JP2015069250A - 交通量計測装置、および交通量計測方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】システムの構築、運用、維持管理等にかかるコストの増加を抑え、流入リンクに滞留している車両の台数の計測精度の向上を図った交通量計測装置を提供する。【解決手段】流入交通量計測部22がリンクに流入する車両の台数を計測し、流出交通量計測部23がリンクから流出する車両の台数を計測する。滞留台数推定部27が、計測したリンクに流入した車両の台数、リンクから流出した車両の台数、および補正係数対応テーブルに登録されている対応する時間帯の補正係数を用いて前記リンク内に滞留している車両の台数を推定する。また、補正係数更新部25が、計測したリンクに流入した車両の台数、リンクから流出した車両の台数を用いて、補正係数対応テーブルに登録されている補正係数を更新する。【選択図】図3
Description
この発明は、リンクにおける車両の交通量を計測する装置に関し、特に、このリンクに滞留している車両の台数を推定する交通量計測装置、および交通量計測方法に関する。
従来、道路網における渋滞の発生を抑制することや、発生した渋滞を迅速に解消するため、渋滞が発生しやすい交差点(所謂、ボトルネック交差点)の流入リンク(ボトルネック交差点に流出する車両が信号待ち等で停止する道路)に滞留している車両の台数を計測することが行われている。
また、特許文献1は、トンネル入口側で車両を検知する毎にカウンタを1カウントアップし、トンネル出口側で車両を検知する毎にカウンタを1カウントダウンすることによって、トンネル内に滞留している車両の台数の計測する装置の構成を開示している。
また、特許文献2は、流入リンクに滞留している車両台数に応じて、ボトルネック交差点に設置されている信号灯器の現示表示を制御する信号制御パラメータ(信号灯器のサイクル、スプリット、オフセット等)を変化させる装置の構成を開示している。
しかしながら、特許文献1に記載されている構成は、流入リンクの入口と出口との間に、車両がこの流入リンクに流入したり、この流入リンクから流出できる分岐路(交差点を含む。)が接続されている場合、この分岐路で流入リンクに流入した車両や、分岐路で流入リンクから流出した車両の台数を検知することができず、この流入リンクに滞留している車両の台数の計数値に生じる誤差が大きくなる。すなわち、特許文献1は、流入リンクの入口と出口との間に、流入リンクの入口と出口との間に、車両がこの流入リンクに流入したり、この流入リンクから流出できる分岐路が接続されていないことを前提にしている。したがって、特許文献1に記載された構成では、入口と出口との間に分岐路が接続されている流入リンクに滞留している車両の台数の計数値の信頼性を確保することができない。
なお、流入リンクの入口と出口との間に1または複数の車両検知器を追加設置し、これらの車両検知器による車両の検知結果から得られる、検知位置での車両の検知台数や、時間占有率等も用いて渋滞長を推定することによって、信頼性を向上させることはできる(渋滞長から、流入リンクに滞留している車両の台数を推定できる。)。しかし、車両検知器の追加によって敷設するケーブルの増加や、通信回線の増設等が必要になり、システムの構築、運用、維持管理等にかかるコストが増大する。
この発明の目的は、システムの構築、運用、維持管理等にかかるコストの増加を抑え、流入リンクに滞留している車両の台数の計測精度の向上を図った交通量計測装置を提供することにある。
この発明の交通量計測装置は、上述の目的を達するために、以下のように構成している。
流入交通量計測部は、リンクの入口において、このリンクに流入する車両の台数を計測する。また、流出交通量計測部は、リンクの出口において、このリンクから流出する車両の台数を計測する。流入交通量計測部、および流出交通量計測部は、例えば公知の金属感応型(ループ式、磁気式等)、や固体感応型(超音波式、レーダ式等)等の車両感知器を用いて計測する構成であってもよいし、リンクの入口や出口を撮像した撮像画像を処理して撮像されている車両を計測する構成であってもよい。
補正係数記憶部は、第1の時間(15分や20分等)で区分した時間帯毎に、リンク内に滞留する車両の台数の推定に用いる補正係数を対応づけて登録した補正係数対応テーブルを記憶する。この補正係数は、流入交通量計測部が計測したリンクに流入した車両の台数と、流出交通量計測部が計測したリンクから流出した車両の台数と、を一致させる係数であり、流入交通量計測部が計測したリンクに流入した車両の台数、または流出交通量計測部が計測したリンクから流出した車両の台数の一方を補正する。すなわち、補正係数は、流入交通量計測部が計測したリンクに流入した車両の台数、または流出交通量計測部が計測したリンクから流出した車両の台数の一方を、リンクの入口と出口との間に接続されている分岐路(交差点を含む。)から流入した車両と、流出した車両とについて推定される台数差に応じて補正する係数である。
滞留台数推定部は、流入交通量計測部が計測した車両の台数、流出交通量計測部が計測した車両の台数、および補正係数記憶部が記憶する補正係数対応テーブルに登録されている対応する時間帯の補正係数を用いてリンク内に滞留している車両の台数を推定する。これにより、リンク内に滞留している車両の台数の推定が、リンクの入口と、出口との間に接続されている分岐路から流入、または流出した車両の台数を考慮して行える。また、この台数の推定では、流入交通量計測部、および流出交通量計測部における、車両の台数の計測誤差も考慮される。
さらに、補正係数更新部は、補正係数対応テーブルに対して、補正係数が対応付けられている連続する複数の時間帯を補正係数更新期間に決定し、流入交通量計測部が補正係数更新期間に計測した車両の台数と、流出交通量計測部が補正係数更新期間に計測した車両の台数とを用いて、補正係数更新期間に属する時間帯毎に対応付けられている補正係数を更新する。
リンクの入口と、出口との間に接続されている分岐路から流入、または流出する車両の台数は、時間帯で変動する。これにより、時間帯毎に、流入交通量計測部が計測したリンクに流入した車両の台数と、流出交通量計測部が計測したリンクから流出した車両の台数と、を一致させる補正係数を精度よく算出できる。したがって、リンク内に滞留している車両の台数が精度よく推定できる。
また、リンクの入口と出口との中間に車両検知器を設置しなくてもよいので、システムの構築、運用、維持管理等にかかるコストの増加を抑えることができる。
また、リンクが非飽和状態であるか、過飽和状態であるかを判定する状態判定部を備え、補正係数更新部は、状態判定部が連続して過飽和状態であると判定した期間を含む補正係数更新期間を決定する、構成としてもよい。
過飽和状態であるときは、流入交通量計測部、および流出交通量計測部において計測される車両台数が多いので、流入交通量計測部、および流出交通量計測部の計測誤差が、算出する補正係数に与える影響を抑えられる。したがって、補正係数を適正に算出できる。
また、状態判定部は、例えば、リンクの出口側における単位時間当たりの車両の流出台数に基づいて、このリンクが非飽和状態であるか、過飽和状態であるかを判定する構成とすればよい。
また、車両に搭載され、その車両の走行軌跡を示すプローブ情報を取得する車載機との無線通信により、当該車載機からプローブ情報を受信する受信部を備え、補正係数更新部は、受信部でプローブ情報を受信した2台の車両の一方がリンクを走行した時間から、他方がリンクを走行した時間までの期間を含む補正係数更新期間を決定する、構成としてもよい。
この場合、受信部でプローブ情報を受信した車両の走行軌跡から得た、当該車両のリンクの走行時間に基づいて、このリンクが非飽和状態であるか、過飽和状態であるかを判定すればよい。
また、車両に搭載された車載機との無線通信により、その車両の通過情報を受信する受信部を備え、受信部は、リンクの入口手前側、およびリンクの出口外側の2箇所において通過情報を受信し、補正係数更新部は、受信部で通過情報を取得した車両についてリンクの走行軌跡を推定し、通過情報を受信した2台の車両の一方がリンクを走行した時間から、他方がリンクを走行した時間までの期間を含む補正係数更新期間を決定する、構成としてもよい。
この場合、受信部で通過情報を受信した車両について推定した当該車両の走行軌跡から得た、当該車両のリンクの走行時間に基づいて、このリンクが非飽和状態であるか、過飽和状態であるかを判定すればよい。
また、補正係数記憶部は、日種別に、補正係数対応テーブルを記憶するのが好ましい。日種は、例えば平日と休日(土曜、日曜、祝日)の2種類であってもよいし、曜日別の7種類であってもよい。
この発明によれば、システムの構築や運用にかかるコストの増加を抑え、流入リンクに滞留している車両の台数の計測精度の向上を図ることができる。
以下、この発明の実施形態である交通量計測装置について説明する。
図1は、この例にかかる交通量計測装置を用いた交通管制システムを示す概略図である。図1では、2つの交差点A、Bを図示している。
交通管制センタ1が、この実施形態にかかる交通量計測装置(後述する交通量計測ユニット12)を備える。詳細については、後述する。
交差点Aには、車両の進入方向別に、信号灯器5aが設置されている。また、交差点Bには、車両の進入方向別に、信号灯器5bが設置されている。信号制御装置2aは、交差点Aに設置されている複数の信号灯器5aの現示表示を制御する。信号制御装置2bは、交差点Bに設置されている複数の信号灯器5bの現示表示を制御する。
この例では、交差点Aが渋滞が発生しやすいボトルネックの交差点である。図1に示す交差点Aの流入リンクは、交差点Bと交差点Aとを結ぶ道路であり、交差点Bを通過し、交差点Aに向かう車両が走行する道路である。また、図1に示していないが、交差点Aの流入リンクの途中(交差点Aと交差点Bの間)には、車両がこの流入リンクに流入したり、この流入リンクから流出したりすることができる分岐路(交差点を含む。)がつながっている。流入リンクにつながっている分岐路は、1つであってもよいし、複数であってもよい。したがって、交差点Bを通過して交差点Aの流入リンクに進入した車両の中には、途中でつながっている分岐路において、この流入リンクから流出する車両(交差点Aを通過しない車両)が存在する。また、交差点Bを通過することなく、途中でつながっている分岐路から流入リンクに流入し、交差点Aを通過する車両も存在する。
車両感知器3aは、交差点Aの流入リンクから交差点Aに流出する車両の通過を検知する。車両感知器3aは、流入リンクの出口付近に設置されている。また、車両感知器3bは、交差点Bを通って交差点Aの流入リンクに流入する車両の通過を検知する。車両感知器3bは、流入リンクの入口付近に設置されている。車両感知器3a、3bとしては、例えば、金属感応型(ループ式、磁気式等)、や固体感応型(超音波式、レーダ式等)のものがある。車両感知器3aの出力(車両の検知信号)は、交差点Aの近くに設置された信号制御装置2aを介して交通管制センタ1に入力される。車両感知器3bの出力(車両の検知信号)は、交差点Bの近くに設置された信号制御装置2bを介して交通管制センタ1に入力される。
この例では、交通管制センタ1は、2つの交差点A、Bを結ぶ、交差点Aの流入リンクに滞留する車両の台数を計測(推定)する。また、交通管制センタ1は、信号制御装置2a、2bに対して信号灯器5a、5bの現示表示を制御する信号制御パラメータを指示する。信号制御パラメータには、信号灯器5a、5bの1周期の時間を示すサイクル、1サイクル(1周期)に閉める各現示の割合を示すスプリット、交差点間のサイクル開始タイミングの差を示すオフセット等が含まれる。信号制御装置2a、2bは、交通管制センタ1から指示された信号制御パラメータに基づいて信号灯器5a、5bの現示表示を制御する。
図2は、交通管制センタの主要部の構成を示すブロック図である。交通管制センタ1は、制御ユニット11と、交通量計測ユニット12と、信号制御パラメータ生成ユニット13と、入出力ユニット14と、を備えている。
制御ユニット11は、交通管制センタ1本体各部の動作を制御する。
交通量計測ユニット12は、図1に示した交差点Aの流入リンクに滞留する車両の台数を推定する。この交通量計測ユニット12が、この発明の実施形態にかかる交通量計測装置に相当する。
信号制御パラメータ生成ユニット13は、交通量計測ユニット12により推定された交差点Aの流入リンクに滞留する車両の台数に基づき、交差点A、Bに設置されている信号灯器5a、5bの現示表示を制御する信号制御パラメータを生成する。
入出力ユニット14は、信号制御装置2a、2bとの間におけるデータの入出力を行う。入出力ユニット14には、車両感知器3aの出力(車両の検知信号)が信号制御装置2aを介して入力されるとともに、車両感知器3bの出力(車両の検知信号)が信号制御装置2bを介して入力される。また、入出力ユニット14は、信号制御装置2a、2bに対して信号灯器5a、5bの現示表示を制御する信号制御パラメータを指示する出力を行う。
図3は、交通量計測ユニットの主要部の構成を示すブロック図である。交通量計測ユニット12は、制御部21と、流入交通量計測部22と、流出交通量計測部23と、非飽和状態判定部24と、補正係数更新部25と、補正係数記憶部26と、滞留台数推定部27と、を備えている。
制御部21は、交通量計測ユニット12本体各部の動作を制御する。また、制御部21は、制御ユニット11との間で通信を行う。
流入交通量計測部22は、信号制御装置2bを介して入力された車両感知器3bの出力(車両の検知信号)をカウントすることで、交差点Bを通過して交差点Aの流入リンクに流入した車両の台数を計測する。
流出交通量計測部23は、信号制御装置2aを介して入力された車両感知器3aの出力(車両の検知信号)をカウントすることで、交差点Aの流入リンクから交差点Aに流出した車両の台数を計測する。
非飽和状態判定部24は、交差点Aの流入リンクの状態が非飽和状態であるか、過飽和状態であるかを判定する。非飽和状態とは、渋滞していない状態であり、過飽和状態とは渋滞している状態である。
補正係数更新部25は、交差点Aの流入リンクに滞留している車両の台数の推定に用いる補正係数を算出する。
補正係数記憶部26は、日種別に、補正係数更新部25が算出した補正係数を登録した補正係数対応テーブルを記憶する。この例では、日種は平日と休日との2つであり、図4に示すように、平日と、休日の補正係数対応テーブルを補正係数記憶部26に記憶する。また、補正係数対応テーブルは、時間帯毎に、補正係数を対応付けたものである。図4に示す例は、15分間隔で区切った時間帯毎に補正係数を対応付けた補正係数対応テーブルである。
なお、補正係数記憶部26に記憶する補正係数対応テーブルは、曜日毎の7つであってもよいし、時間帯による区分も15分に限らず、5分、10分、20分等であってもよい。
滞留台数推定部27は、補正係数記憶部26が記憶する補正係数対応テーブル、流入交通量計測部22が計測した交差点Bを通過して交差点Aの流入リンクに流入した車両の台数、および、流出交通量計測部23が計測した交差点Aの流入リンクから交差点Aに流出した車両の台数を用いて、交差点Aの流入リンクに滞留している車両の台数を推定する。
次に、この例にかかる交通管制システムの動作について説明する。この例にかかる交通管制システムは、交通管制センタ1において信号灯器5a、5bの現示表示を制御する信号制御処理、および補正係数記憶部26が記憶する補正係数対応テーブルを更新する補正係数更新処理を行う。
まず、信号灯器5a、5bの現示表示を制御する信号制御処理について説明する。図5は、この信号制御処理を示すフローチャートである。交通管制センタ1は、信号制御装置2a、2bに対して信号制御パラメータを指示する。この例では、交通管制センタ1は、信号制御装置2a、2b毎に、指示する信号制御パラメータを生成する。信号制御装置2aは、交通管制センタ1から指示された信号制御パラメータで信号灯器5aの現示表示を制御する。また、信号制御装置2bは、交通管制センタ1から指示された信号制御パラメータで信号灯器5bの現示表示を制御する。
交通管制センタ1は、図1に示した交差点Aの流入リンクが非飽和状態であるか、過飽和状態であるかを判定する(s1)。すなわち、s1では交差点Aの流入リンクが渋滞しているかどうかを判定している。s1にかかる判定は、交通量計測ユニット12が、交差点Aの流入リンクから、交差点Aに流出する車両群の青時間利用率に基づいて判定する。
青時間利用率は、以下の式により算出できる。
青時間利用率=流出台数/(青時間×飽和交通流率)
流出台数は、信号灯器5aの1サイクル(実際には、信号灯器5aの1サイクルにおける青時間)において、交差点Aの流入リンクから、交差点Aに流出した車両の台数である。この流出台数は、流出交通量計測部23が信号制御装置2aを介して入力されている車両感知器3aの車両の検知信号をカウントすることによって取得している。
流出台数は、信号灯器5aの1サイクル(実際には、信号灯器5aの1サイクルにおける青時間)において、交差点Aの流入リンクから、交差点Aに流出した車両の台数である。この流出台数は、流出交通量計測部23が信号制御装置2aを介して入力されている車両感知器3aの車両の検知信号をカウントすることによって取得している。
青時間は、信号灯器5aの1サイクルにおいて、現示が交差点Aの流入リンクの車両群である時間である。ここでは、交差点Aの流入リンクの車両群が、信号灯器5aの1サイクルにおける青時間以外の時間帯に、交差点Aに進入することはないことを前提にしている。したがって、(流出台数/青時間)は、交差点Aの流入リンクから交差点Aに流出した単位時間あたりの車両の台数である。
飽和交通流率は、単位時間(1sec)当たりにおける、交差点Aの流入リンクから、交差点Aに流出可能な車両の最大台数である。この飽和交通流率は、予め設定した固定値であってもよいし、交通量計測ユニット12が学習によって取得した値であってもよい。飽和交通量の学習では、交差点Aの流入リンクが過飽和状態であるときに、このリンクから、交差点Aに流出した車両の台数を計測し、以下の式で算出すればよい。
飽和交通流率=流出台数/青時間
また、上記の式で算出される飽和交通流率は、大型車両の混入率の違いによって変動することから、日種や時間帯別に定めるのが好ましい。
また、上記の式で算出される飽和交通流率は、大型車両の混入率の違いによって変動することから、日種や時間帯別に定めるのが好ましい。
図6は、s1にかかる過飽和状態判定処理を示すフローチャートである。交通量計測ユニット12は、制御部21において、信号灯器5aの前回のサイクルにおける青時間利用率を算出する(s11)。この青時間利用率は、交差点Aの流入リンクに滞留している車両の台数が多くなるにつれて大きくなり、すなわち混雑していくにつれて大きくなり、渋滞時に1付近の値をとる。
制御部21は、交差点Aの流入リンクについて、前回の判定が過飽和状態であれば、s11で算出した青時間利用率と第1の判定値αとを比較する(s12、s13)。また、制御部21は、交差点Aの流入リンクについて、前回の判定が非飽和状態であれば、s11で算出した青時間利用率と第2の判定値βとを比較する(s12、s14)。第1の判定値αは、第2の判定値βよりも小さい(第1の判定値α<第2の判定値β)。例えば、第1の判定値αは、0.85であり、第2の判定値βは、0.90である。
制御部21は、s13において、s11で算出した青時間利用率が第1の判定値α未満であると判定すると、交差点Aの流入リンクを非飽和状態であると判定する(s15)。反対に、制御部21は、s13において、s11で算出した青時間利用率が第1の判定値α以上であると判定すると、交差点Aの流入リンクを過飽和状態であると判定する(s16)。
また、制御部21は、s14において、s11で算出した青時間利用率が第2の判定値β未満であると判定すると、交差点Aの流入リンクを非飽和状態であると判定する(s17)。反対に、制御部21は、s14において、s11で算出した青時間利用率が第2の判定値β以上であると判定すると、交差点Aの流入リンクを過飽和状態であると判定する(s18)。
図6に示した処理では、上述の第1の判定値α、および第2の判定値βを用いることによって、交差点Aの流入リンクが非飽和状態であるか、過飽和状態であるかの判定にヒステリシスを持たせている。これにより、交差点Aの流入リンクについて、s1の処理毎に、非飽和状態、過飽和状態の判定結果が変化するのを抑制している。
図5に戻って、交通量計測ユニット12は、交差点Aの流入リンクに滞留している車両の滞留台数を推定する(s2)。車両の滞留台数は、前回推定した滞留台数、補正係数記憶部26が記憶する補正係数対応テーブル、信号灯器5aの前回のサイクルにおける流入交通量計測部22が計測した交差点Bを通過して交差点Aの流入リンクに流入した車両の台数、および、信号灯器5aの前回のサイクルにおける流出交通量計測部23が計測した交差点Aの流入リンクから交差点Aに流出した車両の台数を用いて、交差点Aの流入リンクに滞留している車両の台数を推定する。
具体的には、
車両の滞留台数=(前回推定した滞留台数)+(信号灯器5aの前回のサイクルにおける流入交通量計測部22が計測した交差点Bを通過して交差点Aの流入リンクに流入した車両の台数×対応する補正係数)−(信号灯器5aの前回のサイクルにおける流出交通量計測部23が計測した交差点Aの流入リンクから交差点Aに流出した車両の台数)
により推定する。
車両の滞留台数=(前回推定した滞留台数)+(信号灯器5aの前回のサイクルにおける流入交通量計測部22が計測した交差点Bを通過して交差点Aの流入リンクに流入した車両の台数×対応する補正係数)−(信号灯器5aの前回のサイクルにおける流出交通量計測部23が計測した交差点Aの流入リンクから交差点Aに流出した車両の台数)
により推定する。
上記推定において用いる、対応する補正係数は、日種および時間帯が信号灯器5aの前回のサイクルに対応する補正係数である。
この補正係数の詳細については後述する。この例では、補正係数は、交差点Bを通過して交差点Aの流入リンクに流入した車両の台数を、この流入リンクから交差点Aに流出した車両の台数に合わせるものである。すなわち、この補正係数は、交差点Bを通過して交差点Aの流入リンクに流入した車両の台数を、このリンクの入口と出口との間に接続されている分岐路から流入した車両と、流出した車両とについて推定される台数差に応じて補正する係数である。
なお、s2では、推定した車両の台数が負の値であれば、0と推定する。
交通量計測ユニット12は、s1で判定した交差点Aの流入リンクの状態(非飽和、または過飽和)、およびs2で推定した交差点Aの流入リンクに滞留している車両の台数を、信号制御パラメータ生成ユニット13に通知する。信号制御パラメータ生成ユニット13は、交通量計測ユニット12からの通知に基づき、信号灯器5a、5bを制御する信号制御パラメータ生成する信号制御パラメータ生成処理を行う(s3)。
s3にかかる信号制御パラメータ生成処理は、例えば、現示毎に各流入リンクの負荷率の最大値を求め、現示負荷率の比でスプリットを配分する公知の負荷率配分方式により、信号灯器5a、5bを制御する信号制御パラメータ生成する。また、予め設定している複数の信号制御パラメータの中から、いずれかの信号制御パラメータを選択する等の他の方式であってもよい。
また、交差点Aの流入リンクが過飽和状態であれば、車両の推定台数を元に、現示毎に各流入リンクの旅行時間の最大値を算出し、旅行時間比でスプリットを配分する公知の方式(例えば、上述の特許文献2に記載された方式)で、信号灯器5a、5bを制御する信号制御パラメータ生成する。また、今回通知された交差点Aの流入リンクに滞留している車両の推定台数に応じて、予め設定している複数の信号制御パラメータの中から、この流入リンクから交差点Aに流出する車両群の現示を長くする信号制御パラメータを選択する等の他の方式であってもよい。
交通管制センタ1は、入出力ユニット14において、s3で信号制御パラメータ生成ユニット13が生成した信号制御パラメータを信号制御装置2a、2bに送信する(s4)。
交通管制センタ1は、信号灯器5aの現示表示が1サイクル終了すると(s5)、s1に戻り、上述した処理を繰り返す。
このように、交通量計測ユニット12は、信号灯器5aの1サイクル毎に、交差点Aの流入リンクに滞留している車両の台数を推定する。また、交通量計測ユニット12は、推定した車両の台数から、交差点Aの流入リンクにおける渋滞長を算出して出力するようにしてもよい。渋滞長は、
渋滞長=推定した滞留台数×平均車頭間隔(例えば7m)
により算出できる。
渋滞長=推定した滞留台数×平均車頭間隔(例えば7m)
により算出できる。
次に、補正係数更新処理について説明する。この補正係数更新処理は、例えば、日付が変わる午前0時になると実行する。
図7は、この補正係数更新処理を示すフローチャートである。交通管制センタ1は、前日の信号制御処理において、図8に示す交通量観測データを取得している。この交通量観測データは、図4に示した補正係数対応テーブルにおいて、補正係数を対応付けている時間帯毎に、車両感知器3bが検知した車両の台数(流入台数)、車両感知器3aが検知した車両の台数(流出台数)、および上述のs1で判定した流入リンクの状態(非飽和、または過飽和)を対応付けたものである。
なお、上述のs1にかかる判定は、上述したように信号灯器5aの1サイクル毎に行うので、交通量観測データを区分している時間帯においては複数回行っている。このため、交通量観測データにおける状態(非飽和、または過飽和)については、対応する時間帯において、上述のs1で過飽和であると判定された回数が、予め定めた回数以上であれば過飽和とし、予め定めた回数未満であれば非飽和としている。
交通量計測ユニット12は、この前日の交通量観測データに基づき、補正係数を更新する補正対象期間を決定する(s21)。s21では、過飽和状態が連続している時間帯(図8に示す例では、7:30〜8:15)と、2つの非飽和状態である時間帯を補正対象期間にする。2つの非飽和状態は、過飽和状態が連続している時間帯を挟む時間帯である。図8に示す例では、7:15〜8:30までの連続する6つの時間帯が、補正対象期間に決定される。
なお、s21で決定される補正対象期間は、1つであるとは限らない。
交通量計測ユニット12は、s21で決定した補正対象期間毎に、以下に示すs22以降の処理を行う。
交通量計測ユニット12は、補正対象期間において、車両感知器3bが検知した車両の合計台数(流入合計台数)を算出する(s22)。図8に示す例では、流入合計台数は、730(145+170+140+85+95+95)台である。また、交通量計測ユニット12は、補正対象期間において、車両感知器3aが検知した車両の合計台数(流出合計台数)を算出する(s23)。図8に示す例では、流出合計台数は、790(135+135+135+135+135+115)台である。
補正対象期間に属する時間帯毎に、対応付けられている補正係数の更新に用いる更新係数を算出する(s24)。この更新係数は、s23で算出した流出合計台数を、s22で算出した流入合計台数で除した値(流出合計台数/流入合計台数)である。すなわち、更新係数は、s22で算出した流入合計台数を補正し、補正した台数をs23で算出した流出合計台数に一致させる係数である。
交通量計測ユニット12は、補正対象期間に属する時間帯毎にs24で算出した更新係数を用いて、その時間帯に対応付けられている補正係数を更新する(s25)。s25では、以下の式により、新たな補正係数を算出し、補正係数対応テーブルに登録されている該当する時間帯の補正係数を算出した値に置き換える。
新たな補正係数=現時点の補正係数×(1−平滑化係数)+s24で算出した更新係数×平滑化係数
平滑化係数は、前日の計測結果が新たな補正係数に与える影響をある程度抑え、補正係数の変動幅を抑制するため、0.2〜0.4の範囲に設定するのが好ましい。
平滑化係数は、前日の計測結果が新たな補正係数に与える影響をある程度抑え、補正係数の変動幅を抑制するため、0.2〜0.4の範囲に設定するのが好ましい。
このように、この補正係数更新処理では、交差点Bを通過して交差点Aの流入リンクに流入した車両の台数を、この流入リンクから交差点Aに流出した車両の台数に合わせる補正係数が得られる。すなわち、交差点Aの流入リンクの途中(交差点Aと交差点Bの間)につながっている分岐路において、この流入リンクから流出する車両(交差点Aを通過しない車両)の台数や、この流入リンクに流入する車両(交差点Bを通過していない車両)の台数を考慮して、流入リンクに流入した車両の台数を補正することができる。したがって、流入リンクに滞留している車両の台数の推定が精度よく行える。
また、過飽和状態であるときは、流入交通量計測部22、および流出交通量計測部23において計測される車両台数が多いので、流入交通量計測部22、および流出交通量計測部23の計測誤差が、算出する更新係数に与える影響を抑えることができるので、新たな補正係数の算出が適正に行える。
さらに、この例では、上述したように、s21で決定する補正対象期間を、過飽和状態が連続している時間帯が2つの非飽和状態である時間帯によって挟まれた時間帯にしている。すなわち、s21で決定する補正対象期間の開始時点、および終了時点の時間帯は、非飽和状態である。このため、流入リンクにおける、補正対象期間の開始時点と、終了時点とにおける車両の滞留台数が略同じ台数になる(大きく異なることはない。)。したがって、補正対象期間の開始時点と、終了時点とにおける車両の滞留台数の違いによる影響が、算出する更新係数に与える影響を抑えることができるので、新たな補正係数の算出が一層適正に行える。
また、流入リンクの両端に車両感知器3a、3bを設けるだけでよく、流入リンクの途中に車両感知器を設けなくてもよいので、システムの構築、運用、維持管理にかかるコストが十分に抑えられる。
なお、上記の例では、車両感知器3a、3bにより、リンクから流出した車両や、リンクに流入した車両を検知するとしたが、リンクの入口、および出口を撮像した撮像画像を処理して、リンクから流出した車両や、リンクに流入した車両を検知する構成としてもよい。
次に、別の例について説明する。この例は、リンクを走行した車両から取得したプローブ情報を用いて補正係数を更新する。この例では、交差点Aに車両に搭載されているプローブ車載器と無線通信を行う無線通信端末を設置している。プローブ車載器は、公知のようにGPSによる測位機能を有し、定期的(一定時間毎、または一定距離走行毎)に、現在位置を測位し、時刻、緯度、経度を対応付けて記憶した走行軌跡情報を取得する機器である。
無線通信端末は、プローブ車載器との無線通信により、このプローブ車載器が記憶している車両の走行軌跡情報を取得する。この無線通信端末は、取得した走行軌跡情報を交通管制センタ1に通知する。
この例にかかる交通管制システムも、上述した図5に示した信号制御処理を行う。また、この交通管制センタ1は、プローブ車載器を搭載した車両の走行軌跡情報を無線通信端末から取得している。
図9は、この例にかかる補正係数更新処理を示すフローチャートである。
この例にかかる交通管制センタ1は、車両感知器3a、3b毎に、その車両感知器3a、3bが車両を検知した時刻を蓄積的に記憶した交通量観測データを取得している。すなわち、車両感知器3a、3bの感知領域における各車両の通過時刻を交通量観測データとして取得している。
補正係数更新処理では、プローブ車載器から取得した走行軌跡情報を時系列にならべ、30分〜2時間程度の間隔で、前日を複数の時間帯に区分する(s31)。s31では、交差点Aの流入リンクに流入した時刻(車両感知器3bの感知領域を通過した時刻)を、基準にして、時間帯の区分を行う。ここで区分する時間帯の開始時刻、および終了時刻は、プローブ車載器を搭載した車両が車両感知器3bの感知領域を通過した時刻である。s31で区分した1つの時間帯の開始時刻、および終了時刻の間に、他の車両に搭載されていたプローブ車載器から取得した走行軌跡情報が含まれていても良い。ここで区分した各時間帯が、上述の例における補正対象期間である。
交通量計測ユニット12は、s31で決定した補正対象期間毎に、以下に示すs32以降の処理を行う。
図10は、s31で区分したある1つの補正対象期間の先頭車両X、および最後尾車両Yの走行軌跡を示す図である。この走行軌跡は、プローブ車載器から取得した走行軌跡情報から得られる。交通量計測ユニット12は、先頭車両Xと、最後尾車両Yとの間において、車両感知器3bが検知した車両の台数を流入合計台数として得る(s32)。また、交通量計測ユニット12は、先頭車両Xと、最後尾車両Yとの間において、車両感知器3aが検知した車両の台数を流出合計台数として得る(s33)。上述したように、この例では、車両感知器3a、3bの感知領域における各車両の通過時刻を交通量観測データとして取得している。また、先頭車両Xと、最後尾車両Yが、車両感知器3a、3bの感知領域を通過した通過時刻が走行軌跡情報から得られる。したがって、s32、s33では、交通量観測データを参照することで、先頭車両Xと、最後尾車両Yとの間において、車両感知器3bが検知した流入合計台数、および車両感知器3aが検知した流出合計台数を得ることができる。
交通量計測ユニット12は、補正対象期間毎に、その補正対象期間に属する各時間帯に対応付けられている補正係数を更新する更新係数を算出する(s34)。この更新係数は、s33で得た流出合計台数を、s32で得た流入合計台数で除した値(s33で得た流出合計台数/s32で得た流入合計台数)である。
交通量計測ユニット12は、補正対象期間に属する時間帯毎にs34で算出した更新係数を用いて、その時間帯に対応付けられている補正係数を更新する(s35)。s35では、以下の式により、新たな補正係数を算出し、補正係数対応テーブルに登録されている該当する時間帯の補正係数を算出した値に置き換える。
新たな補正係数=現時点の補正係数×(1−平滑化係数)+s34で算出した更新係数×平滑化係数
平滑化係数は、上述の例と同様に、前日の計測結果が新たな補正係数に与える影響をある程度抑え、補正係数の変動幅を抑制するため、0.2〜0.4の範囲で設定するのが好ましい。
平滑化係数は、上述の例と同様に、前日の計測結果が新たな補正係数に与える影響をある程度抑え、補正係数の変動幅を抑制するため、0.2〜0.4の範囲で設定するのが好ましい。
なお、この例では、補正係数対応テーブルにおいて、補正係数を対応づけている時間帯の区分で、補正対象期間を定めていないので、時間的に連続する2つの補正対象期間の両方に属する時間帯(補正係数が対応づけられている時間帯)が存在する。時間的に連続する2つの補正対象期間の両方に属する時間帯(補正係数が対応づけられている時間帯)については、どちらか一方の補正対象期間に含め、他方の補正対象期間に含めない。例えば、時間的に連続する2つの補正対象期間の両方に属する時間帯(補正係数が対応づけられている時間帯)については、属する時間がより長い補正対象期間に含める。
この例では、交差点Aの流入リンクが非飽和状態である時間帯についても、補正係数を更新できる。
次に、別の例について説明する。この例は、光ビーコンのアップリンク情報を用いて補正係数を更新する。この例では、交差点Aの流入リンクの両側(流入側と流出側)に、光ビーコン対応車載器と無線通信を行い、光ビーコンのアップリンク情報を受信する受信端末を設置している。光ビーコン対応車載器が出力する光ビーコンのアップリンク情報は、車両IDと、通過時刻とを含む情報である。受信端末は、受信した光ビーコンのアップリンク情報を交通管制センタ1に通知する。
この例にかかる交通管制システムも、上述の図5に示した信号制御処理を行う。また、この交通管制センタ1は、光ビーコンのアップリンク情報受信端末から取得している。
図11は、この例にかかる補正係数更新処理を示すフローチャートである。この例にかかる交通管制センタ1は、車両感知器3a、3b毎に、その車両感知器3a、3bが車両を検知した時刻を蓄積的に記憶した交通量観測データを取得している。すなわち、車両感知器3a、3bの感知領域における各車両の通過時刻を交通量観測データとして取得している。
補正係数更新処理では、光ビーコン対応車載器から取得した光ビーコンのアップリンク情報を時系列にならべ、アップリング情報を取得した車両毎に、走行軌跡を推定する(s41)。s41では、アップリンク情報を取得した流入側、および流出側の2地点間(受信端末の設置間)を等速度で走行したものと仮定し、走行軌跡を推定する。交通量計測ユニット12は、s41で推定した車両の走行軌跡を時系列にならべ、1.5時間〜3時間程度の間隔で、前日を複数の時間帯に区分する(s42)。s42では、交差点Aの流入リンクに流入した推定時刻(車両感知器3bの感知領域を通過した時刻)を、基準にして、時間帯の区分を行う。ここで区分する時間帯の開始時刻、および終了時刻は、光ビーコン対応車載器を搭載した車両が車両感知器3bの感知領域を通過した時刻である。s42で区分した1つの時間帯の開始時刻、および終了時刻の間に、他の車両に搭載されていた光ビーコン対応車載器から取得したアップリンク情報が含まれていても良い。ここで区分した各時間帯が、上述の例における補正対象期間である。
交通量計測ユニット12は、s42で決定した補正対象期間毎に、以下に示すs43以降の処理を行う。
図11は、s42で区分したある1つの補正対象期間の先頭車両X、および最後尾車両Yの推定走行軌跡を示す図である。この推定走行軌跡は、s41で推定したものである。交通量計測ユニット12は、先頭車両Xと、最後尾車両Yとの間において、車両感知器3bが検知した車両の台数を流入合計台数として得る(s43)。また、交通量計測ユニット12は、先頭車両Xと、最後尾車両Yとの間において、車両感知器3aが検知した車両の台数を流出合計台数として得る(s44)。上述したように、この例では、車両感知器3a、3bの感知領域における各車両の通過時刻を交通量観測データとして取得している。また、先頭車両Xと、最後尾車両Yが、車両感知器3a、3bの感知領域を通過した通過時刻が推定走行軌跡から得られる。したがって、s32、s33では、交通量観測データを用いることで、先頭車両Xと、最後尾車両Yとの間において、車両感知器3bが検知した流入合計台数、および車両感知器3aが検知した流出合計台数を得ることができる。
交通量計測ユニット12は、補正対象期間毎に、その補正対象期間に属する各時間帯に対応付けられている補正係数を更新する更新係数を算出する(s45)。この更新係数は、s44で得た流出合計台数を、s43で得た流入合計台数で除した値(s44で得た流出合計台数/s43で得た流入合計台数)である。
交通量計測ユニット12は、補正対象期間に属する時間帯毎にs45で算出した更新係数を用いて、その時間帯に対応付けられている補正係数を更新する(s46)。s46では、以下の式により、新たな補正係数を算出し、補正係数対応テーブルに登録されている該当する時間帯の補正係数を算出した値に置き換える。
新たな補正係数=現時点の補正係数×(1−平滑化係数)+s45で算出した更新係数×平滑化係数
平滑化係数は、上述の例と同様に、前日の計測結果が新たな補正係数に与える影響をある程度抑え、補正係数の変動幅を抑制するため、0.2〜0.4の範囲で設定するのが好ましい。
平滑化係数は、上述の例と同様に、前日の計測結果が新たな補正係数に与える影響をある程度抑え、補正係数の変動幅を抑制するため、0.2〜0.4の範囲で設定するのが好ましい。
なお、この例では、補正係数対応テーブルにおいて、補正係数を対応づけている時間帯の区分で、補正対象期間を定めないので、時間的に連続する2つの補正対象期間の両方に属する時間帯(補正係数が対応づけられている時間帯)も存在する。時間的に連続する2つの補正対象期間の両方に属する時間帯(補正係数が対応づけられている時間帯)については、どちらか一方の補正対象期間に含め、他方の補正対象期間に含めない。例えば、時間的に連続する2つの補正対象期間の両方に属する時間帯(補正係数が対応づけられている時間帯)については、属する時間がより長い補正対象期間に含めればよい。
この構成でも、交差点Aの流入リンクが非飽和状態であった時間帯についても、補正係数を適正に更新できるので、この流入リンクに滞留する車両の台数を一層精度よく推定できる。
また、上述の例では、s1にかかる判定を青時間利用率によって判定するとしたが、プローブ車載器から取得した走行軌跡情報を用いて行う構成としてもよい。具体的には、プローブ車載器の走行軌跡から、交差点Aの流入リンクにおける当該車両の実際の走行時間が、予め定めた時間よりも短ければ非飽和状態と判定し、反対に長ければ過飽和状態であると判定する。この判定で用いる時間は、交差点Aの流入リンクの走行において、信号停止が1回以下であると仮定すればよい。具体的には、交差点Aの流入リンクを設定速度で走行するのに要する第1の時間と、信号灯器5aのサイクルとの加算時間を、予め定めた時間に設定し、
走行軌跡情報から得られた実際の走行時間>第1の時間+信号灯器5aのサイクル
であれば過飽和状態と判定し、でなければ非飽和状態であると判定する。
走行軌跡情報から得られた実際の走行時間>第1の時間+信号灯器5aのサイクル
であれば過飽和状態と判定し、でなければ非飽和状態であると判定する。
この場合、プローブ車載器を搭載した車両が適当な時間間隔で交差点Aの流入リンクを走行することが条件になる。言い換えれば、プローブ車載器を搭載した車両が交差点Aの流入リンクをほとんど走行しない状況では、この流入リンクが非飽和状態であるか、過飽和状態であるかの判定がほとんど行われないことになる。
また、光ビーコンのアップリンク情報により、s1にかかる判定を行っても良い。この場合には、光ビーコン対応車載器から取得したアップリンク情報から、この光ビーコン対応車載器を搭載している車両の走行軌跡を推定し、交差点Aの流入リンクにおける当該車両の推定走行時間が、予め定めた時間よりも短ければ非飽和状態と判定し、反対に長ければ過飽和状態であると判定する。
この判定で用いる時間も、上記の例と同様に、交差点Aの流入リンクの走行において、信号停止が1回以下であると仮定すればよい。具体的には、交差点Aの流入リンクを設定速度で走行するのに要する第1の時間と、信号灯器5aのサイクルとの加算時間を、予め定めた時間に設定し、
アップリンク情報から推定した走行時間>第1の時間+信号灯器5aのサイクル
であれば過飽和状態と判定し、でなければ非飽和状態であると判定する。
アップリンク情報から推定した走行時間>第1の時間+信号灯器5aのサイクル
であれば過飽和状態と判定し、でなければ非飽和状態であると判定する。
この場合も、光ビーコンの車載器を搭載した車両が適当な時間間隔で交差点Aの流入リンクを走行することが条件になる。
また、プローブ車載器からプローブ情報を取得したときに、上述のs2における渋滞台数の推定処理を、このプローブ情報が示す車両の走行軌跡を用いて算出してもよい。
例えば、交差点Aの流入リンクにおける車両の走行時間用いて
滞留台数=(車両の走行時間−非飽和時における設定走行時間)/車両1台あたりの交差点通過時間
非飽和時における設定走行時間は、(交差点Aの流入リンクの長さ/車両の平均速度)により設定すればよい。
滞留台数=(車両の走行時間−非飽和時における設定走行時間)/車両1台あたりの交差点通過時間
非飽和時における設定走行時間は、(交差点Aの流入リンクの長さ/車両の平均速度)により設定すればよい。
また、車両1台あたりの交差点通過時間は、信号周期/(青時間×飽和交通流率)である。
また、プローブ情報に替えて、光ビーコン対応車載器から取得したアップリンク情報を用いて推定した車両の走行軌跡から得た、交差点Aの流入リンクにおける車両の走行時間を用いて、渋滞台数を推定してもよい。
また、プローブ車載器から取得したプローブ情報が示す車両の走行軌跡を用いて渋滞台数を推定したタイミングは、図7に示した補正係数更新処理の実行時において、この処理にかかる上述のs21で決定する補正対象期間の終了時刻や開始時刻にするのが好ましい。
なお、上述の例では、交差点Aの流入リンクから交差点Aに流出する車両台数を基準にし、車両感知器3bで検知した車両の台数を補正して、この流入リンクの途中につながっている分岐路における車両の流入、流出等を考慮する構成としたが、交差点Aの流入リンクに交差点Bを通過して流入する車両台数を基準にし、車両感知器3aで検知した車両の台数を補正して、この流入リンクの途中につながっている分岐路における車両の流入、流出等を考慮する構成としてもよい。
また、上記の例では、交差点Aの流入リンクを1車線として説明したが、2車線以上であってもよい。
また、交通管制センタ1は、交差点Aの流入リンク滞留している車両の渋滞長や、この流入リンクの旅行時間等を算出し、出力する構成としてもよい。
1…交通管制センタ
2a、2b…信号制御装置
3a、3b…車両感知器
5a、5b…信号灯器
11…制御ユニット
12…交通量計測ユニット
13…信号制御パラメータ生成ユニット
14…入出力ユニット
21…制御部
22…流入交通量計測部
23…流出交通量計測部
24…非飽和状態判定部
25…補正係数更新部
26…補正係数記憶部
27…滞留台数推定部
2a、2b…信号制御装置
3a、3b…車両感知器
5a、5b…信号灯器
11…制御ユニット
12…交通量計測ユニット
13…信号制御パラメータ生成ユニット
14…入出力ユニット
21…制御部
22…流入交通量計測部
23…流出交通量計測部
24…非飽和状態判定部
25…補正係数更新部
26…補正係数記憶部
27…滞留台数推定部
しかしながら、特許文献1に記載されている構成は、流入リンクの入口と出口との間に、車両がこの流入リンクに流入したり、この流入リンクから流出できる分岐路(交差点を含む。)が接続されている場合、この分岐路で流入リンクに流入した車両や、分岐路で流入リンクから流出した車両の台数を検知することができず、この流入リンクに滞留している車両の台数の計数値に生じる誤差が大きくなる。すなわち、特許文献1は、流入リンクの入口と出口との間に、車両がこの流入リンクに流入したり、この流入リンクから流出できる分岐路が接続されていないことを前提にしている。したがって、特許文献1に記載された構成では、入口と出口との間に分岐路が接続されている流入リンクに滞留している車両の台数の計数値の信頼性を確保することができない。
飽和交通流率は、単位時間(1sec)当たりにおける、交差点Aの流入リンクから、交差点Aに流出可能な車両の最大台数である。この飽和交通流率は、予め設定した固定値であってもよいし、交通量計測ユニット12が学習によって取得した値であってもよい。飽和交通流率の学習では、交差点Aの流入リンクが過飽和状態であるときに、このリンクから、交差点Aに流出した車両の台数を計測し、以下の式で算出すればよい。
また、交通管制センタ1は、交差点Aの流入リンクに滞留している車両の渋滞長や、この流入リンクの旅行時間等を算出し、出力する構成としてもよい。
Claims (9)
- リンクの入口において、このリンクに流入する車両の台数を計測する流入交通量計測部と、
前記リンクの出口において、このリンクから流出する車両の台数を計測する流出交通量計測部と、
第1の時間で区分した時間帯毎に、前記リンク内に滞留する車両の台数の推定に用いる補正係数を対応づけて登録した補正係数対応テーブルを記憶する補正係数記憶部と、
前記流入交通量計測部が計測した車両の台数、前記流出交通量計測部が計測した車両の台数、および前記補正係数記憶部が記憶する前記補正係数対応テーブルに登録されている対応する時間帯の補正係数を用いて前記リンク内に滞留している車両の台数を推定する滞留台数推定部と、
前記補正係数対応テーブルに対して、補正係数が対応付けられている連続する複数の時間帯を補正係数更新期間に決定し、前記流入交通量計測部が前記補正係数更新期間に計測した車両の台数と、前記流出交通量計測部が前記補正係数更新期間に計測した車両の台数とを用いて、前記補正係数更新期間に属する時間帯毎に対応付けられている補正係数を更新する補正係数更新部と、を備えた交通量計測装置。 - 前記リンクが非飽和状態であるか、過飽和状態であるかを判定する状態判定部を備え、
前記補正係数更新部は、前記状態判定部が連続して過飽和状態であると判定した期間を含む補正係数更新期間を決定する、請求項1に記載の交通量計測装置。 - 前記状態判定部は、前記リンクの出口側における単位時間当たりの車両の流出台数に基づいて、このリンクが非飽和状態であるか、過飽和状態であるかを判定する、請求項2に記載の交通量計測装置。
- 車両に搭載され、その車両の走行軌跡を示すプローブ情報を取得する車載機との無線通信により、当該車載機からプローブ情報を受信する受信部を備え、
前記補正係数更新部は、前記受信部でプローブ情報を受信した2台の車両の一方が前記リンクを走行した時間から、他方が前記リンクを走行した時間までの期間を含む補正係数更新期間を決定する、請求項1に記載の交通量計測装置。 - 前記受信部でプローブ情報を受信した車両の走行軌跡から得た、当該車両の前記リンクの走行時間に基づいて、このリンクが非飽和状態であるか、過飽和状態であるかを判定する状態判定部を備えている、請求項4に記載の交通量計測装置。
- 車両に搭載された車載機との無線通信により、その車両の通過情報を受信する受信部を備え、
前記受信部は、前記リンクの入口手前側、および前記リンクの出口外側の2箇所において通過情報を受信し、
前記補正係数更新部は、前記受信部で通過情報を取得した車両について前記リンクの走行軌跡を推定し、通過情報を受信した2台の車両の一方が前記リンクを走行した時間から、他方が前記リンクを走行した時間までの期間を含む補正係数更新期間を決定する、請求項1に記載の交通量計測装置。 - 前記受信部で通過情報を受信した車両について推定した当該車両の走行軌跡から得た、当該車両の前記リンクの走行時間に基づいて、このリンクが非飽和状態であるか、過飽和状態であるかを判定する状態判定部を備えている、請求項6に記載の交通量計測装置。
- 補正係数記憶部は、日種別に、前記補正係数対応テーブルを記憶する、請求項1〜7のいずれかに記載の交通量計測装置。
- 第1の時間で区分した時間帯毎に、リンク内に滞留する車両の台数の推定に用いる補正係数を対応づけて登録した補正係数対応テーブルを補正係数記憶部に記憶し、
前記リンクの入口において、このリンクに流入する車両の台数を計測する流入交通量計測ステップと、
前記リンクの出口において、このリンクから流出する車両の台数を計測する流出交通量計測ステップと、
前記流入交通量計測ステップで計測した車両の台数、前記流出交通量計測ステップで計測した車両の台数、および前記補正係数記憶部が記憶する前記補正係数対応テーブルに登録されている対応する時間帯の補正係数を用いて前記リンク内に滞留している車両の台数を推定する滞留台数推定ステップと、
前記補正係数対応テーブルに対して、補正係数が対応付けられている連続する複数の時間帯を補正係数更新期間に決定し、前記流入交通量計測ステップで前記補正係数更新期間に計測した車両の台数と、前記流出交通量計測ステップで前記補正係数更新期間に計測した車両の台数とを用いて、前記補正係数更新期間に属する時間帯毎に対応付けられている補正係数を更新する補正係数更新ステップと、を備えた交通量計測方法。
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