JP2015068046A - 外部床の防水構造および防水工法 - Google Patents

外部床の防水構造および防水工法 Download PDF

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Abstract

【課題】 断熱材の上面に金属板を積層するなどして形成された防水床ユニットを敷き並べるユニット防水工法において、防水床ユニット同士が隣接する目地部分に、排水性を妨げるような凹凸を形成することなく、高い防水性および耐久性を備えた防水面を形成することのできる防水構造を提供する。【解決手段】 防水床ユニット10の目地に沿う縁部上面に段落部15を形成し、段落部15同士を突き合わせて形成される凹溝状の目地底に防水テープ6を張着し、防水テープ6の上から目地内に合成樹脂系の防水塗料7を充填することにより、防水床ユニット10の上面と防水塗料7の上面とを略面一に仕上げる。【選択図】 図3

Description

本発明は、建物の屋外部分に設けられる外部床の防水構造と、その施工方法(防水工法)に関する。
バルコニー、屋上床、屋外廊下など、建物の屋外部分に略水平に設けられて風雨に曝される外部床の一般的な防水工法としては、
(1)床下地上にウレタン系塗料やアクリル系塗料などを塗布して、継ぎ目のない防水層を形成する塗膜(塗布)防水工法
(2)加硫ゴムや塩化ビニルその他の合成高分子材料からなる伸縮性の長尺シートを床下地上に敷設し、接着材または円盤状の固定金物を介して床下地に接着・固定するシート防水工法
(3)アスファルトを浸透・被覆したフェルトシートやルーフィングを、溶融アスファルトを接着剤として床下地上に重ね張りして防水層を形成するアスファルト防水工法
などが普及している。
しかし、これらの防水工法は、いずれも現場での作業手間が多いため、施工スケジュールが天候に影響されやすい。また、施工品質についても専門職人の経験や技量に依存する度合いが大きく、施工面全体にわたって均質な防水性能を確保するのが難しい。
そこで、本出願人は、短期間で効率良く施工することができ、経験の少ない職人でも一定水準の施工品質を確保することのできる外部床の防水工法として、特許文献1、2等にかかる防水工法を提案し実用化している。その防水工法は、発泡ポリスチレン樹脂等からなる断熱材の上面に耐候性を有するポリ塩化ビニル樹脂被覆鋼板(以下、「塩ビ鋼板」と略す。)を積層してパネル化した防水床ユニットを、外部床下地上に複数枚、敷き並べて外部床下地に接着し、隣接する防水床ユニットの目地に目地閉塞部材を挿入して防水床ユニットの縁部を押圧固定した後、前記目地閉塞部材を覆うようにして、軟質塩化ビニル樹脂等からなる帯状のパッチベルトを該目地上に張り重ねる、というものである。
この防水工法(以下、「ユニット防水工法」という。)によれば、工場で事前に製作した防水床ユニットを現場に搬入して敷き並べるだけで外部床の大部分が被覆されるので、現場では防水床ユニットの周縁部に帯状のパッチベルト等を接着するなどして防水処理する程度の作業で済み、現場での手間が大幅に省力化される。防水床ユニットの上面全体を覆う塩ビ鋼板は、均質で耐久性に優れた防水面を形成する。外部床に過大な水平力が作用した場合でも、防水床ユニットの目地の隙間と、その隙間を塞ぐパッチベルトの伸縮によって外部床の水平変位が吸収されるので、防水面の損傷も生じにくくなる。
特開平11−222920号公報 特開平11−222921号公報
前述のユニット防水工法によれば、防水床ユニットの上面全体を覆う塩ビ鋼板によって耐久性に優れた平坦な防水面が形成されるものの、防水床ユニットの目地部分には、目地上に張り重ねられるパッチベルトの厚みによる凸条部が形成される。目地が十字状に交差する部分では、パッチベルトも交差して張り重ねられるので、凸条部の高さが2倍になる。この凸条部は、防水面全体の平坦性を損なうこととなり、特に排水勾配を横切る方向の目地においては雨水の流下を妨げて、防水面の上に水たまりを生じさせてしまう。
このような事情から、ユニット防水工法においては、防水床ユニットの目地部分に厚みのあるパッチベルトを張着したり、複数種類の防水材料を重ね張りしたりすることが難しく、その結果、目地部分が相対的に防水上の弱点となりやすかった。
また、シート状の防水材料を張り重ねたときの凹凸が防水面の平坦性を損なうという問題は、前述したシート防水工法やアスファルト防水工法においても生じる問題であった。
本発明は、かかる問題を解決すべくなされたものであって、断熱材の上面に塩ビ鋼板を積層するなどして形成された防水床ユニットを敷き並べるユニット防水工法において、防水床ユニット同士が隣接する目地部分をほぼ面一に仕上げることより、高い防水性および耐久性を備えた防水面を得ることのできる防水構造と、その施工方法を提案するものである。
なお、本発明における「外部床」には、バルコニーや屋外廊下など、建物の屋外部分に設けられる歩行タイプの床面に加えて、陸屋根の屋上に設けられる非歩行タイプの略平坦な床面(屋根面)も含むものとする。
前述の課題を解決するために、本発明の外部床の防水構造は、断熱材の上面が耐候性材料によって被覆されてなる防水床ユニットが、外部床下地上に複数枚、敷設され、前記防水床ユニットの縁部同士が隣接する目地部分に防水処理が施される外部床の防水構造において、前記防水床ユニットの目地に沿う縁部上面に段落部が形成され、前記段落部同士を突き合わせて形成される凹溝状の目地底に防水テープが張着され、前記防水テープの上から前記目地内に防水塗料が充填されて、前記防水床ユニットの上面と前記防水塗料の上面とが面一に仕上げられる、との構成を採用する。
また、本発明の外部床の防水工法は、断熱材の上面が耐候性材料によって被覆されてなる防水床ユニットを外部床下地上に複数枚、敷設し、前記防水床ユニットの縁部同士が隣接する目地部分に防水処理を施す外部床の防水工法において、前記防水床ユニットの目地に沿う縁部上面にあらかじめ段落部を形成しておき、前記段落部同士を突き合わせて形成される凹溝状の目地底に防水テープを張着した後、前記防水テープの上から前記目地内に防水塗料を充填して、前記防水床ユニットの上面と前記防水塗料の上面とを面一に仕上げる、との構成を採用する。
すなわち、これらの発明は、防水床ユニットの縁部上面に段落部を形成し、その段落部同士を突き合わせて形成される凹溝状の目地内に流動性を有する防水塗料を充填することにより、防水塗料のセルフレベリング作用を利用して、防水床ユニットの上面と目地部分の上面とを面一に仕上げるように構成したものである。ここで、本発明における「面一」とは、表面の凹凸差が概ね1mm程度に収まる仕上げ状態を目安とする。このような構成により、防水床ユニットの敷設領域全体にわたって排水性に優れた防水面(一次防水ライン)を形成することができる。
しかも、この構成によれば、防水床ユニットの縁部に形成する段落部の高さに応じて、目地部分に形成される防水塗膜に一定の厚さが確保される。目地底に張着される防水テープは、防水塗料のバックアップ材を兼ねた予備的な防水面(二次防水ライン)を形成する。これらにより、目地部分の防水性能も良好に担保される。
前記の防水構造および防水工法において、防水床ユニットは、断熱材の上面に、耐候性材料によって被覆された金属板または耐候性を有する金属板を積層して形成することができる。
さらに、防水床ユニットの縁部上面に形成する段落部は、前記断熱材の縁部における厚みを減じるとともに、その縁部上面に階段状に成形した前記金属板を積層して形成されたものとすることができる。あるいはまた、前記防水床ユニットの縁部以外の上面に防水塗料を塗り増すことによって形成されたものとすることもできる。
前記防水床ユニットを構成する断熱材としては、特に公知の発泡ポリスチレン樹脂が実用性に優れるが、これに限らず、適当な断熱性を有する比較的軽量で硬質の材料を、適当な厚さの板状体に成形するなどしたものを好適に利用することができる。
また、耐候性材料によって被覆された金属板としては、特に公知の塩ビ鋼板が実用性に優れるが、これに限らず、各種合成樹脂材料または合成ゴム系材料による塗装、融着あるいはシート張着等の表面処理によって、耐水性、耐蝕性、耐酸性等を向上させた鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム合金板その他の金属製薄板材を好適に利用することができる。ステンレス鋼板やアルミニウム合金板については、それ自体が鋼板に比して高い耐候性を備えるため表面処理なしでも利用可能であるが、メッキや塗装等の表面処理によって耐蝕性や耐酸性をさらに強化すると、より好ましい。
また、目地底に張着する防水テープとしては、安価で伸縮性に優れるブチルゴムテープが特に実用的であるが、これに限らず、各種の合成樹脂材料または合成ゴム系材料からなるテープ類を、前記金属板との相性に応じて、適宜利用することができる。
また、目地内に充填する防水塗料としては、厚塗りに適し、塗布後も長期間にわたって適度な伸縮性を保持するウレタン(ポリウレタン、アクリルウレタン)樹脂系塗料が特に実用的であるが、これに限らず、各種合成樹脂系塗料や合成ゴム系塗料を、前記金属板および防水テープとの相性に応じて、適宜利用することができる。
前述のように構成される本発明の外部床の防水構造および防水工法によれば、防水床ユニットの目地部分に凹凸を生じることなく、目地部分の上面が防水床ユニットの上面と面一に仕上がるので、防水床ユニットの敷設領域全体にわたって良好な排水性を得ることができる。
目地部分に充填される防水塗料は、防水床ユニットの縁部に形成された段落部の高さによって一定の厚さが確保されるので、塗膜の厚みを現場で測定するなどの特別な塗膜厚さ管理を行う必要もなくなる。目地底に張着される防水テープは、防水塗料のバックアップ材を兼ねた予備的な防水面(二次防水ライン)を形成するので、これらにより、目地部分の防水性や耐久性も良好に担保される。
また、本発明においては、一般的な塗膜防水工事において必要となる面倒な下地調整作業(塗布面の洗浄、平滑化その他の部分補修)やプライマー処理等も、防水床ユニットの目地部分だけでよいので、現場作業量が格段に少なくて済む。防水塗料の塗布作業時も、防水床ユニットの中央部分を歩行しながら行うことができるので、広い範囲を均一に塗装する防水工法に比べて格段に施工が容易である。
さらに、防水床ユニットが、耐候性材料によって被覆された金属板または耐候性を有する金属板を断熱材の上面に積層して形成されている場合には、防水面の大部分が耐候性の高い金属板によってカバーされるので、経年補修については、目地部分に形成された防水塗膜のトップコートを塗り直すだけでも十分である。これにより、メンテナンスコストが大幅に削減される。
これらの優れた効果は、塗膜防水工法とユニット防水工法とを本発明のようにして組み合わせることにより、相乗的に得られるものである。
本発明の実施の形態にかかるバルコニーの、施工途中の状態を示す部分斜視図である。 図1に示すバルコニーの施工完了状態を示す部分斜視図である。 図2に示すバルコニーのA−A部分の拡大断面図であって、(a)は施工途中の状態、(b)は施工完了状態をそれぞれ示す。 図1に示すバルコニーのB−B部分の拡大断面図である。 図1に示すバルコニーのC−C部分の拡大断面図であって、(a)は当該部分の一実施形態、(b)は同じく他の実施形態を示す。 防水床ユニットの段落部にかかる他の実施形態を示す図であって、(a)は施工途中の状態、(b)は施工完了状態をそれぞれ示す。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1および図2は、本発明の防水構造の実施の形態にかかるバルコニーの部分斜視図であり、図1は施工途中の状態、図2は施工完了状態を、それぞれ示している。また、図3〜図5は、図2中に示したA−A部分、B−B部分、C−C部分の断面構造をそれぞれ拡大して示す図である。
例示したバルコニー1は、図1および図2における右上側が図示しない建物の外壁に接続し、同じく左上側および左下側がバルコニー1を囲む図示しない手摺壁に接続しており、左下側の縁部に沿って箱樋が設けられている。そして、図1に示すように、所定の形状に形成された複数枚(例示形態では2枚)の防水床ユニット10が床下地3上に敷設され、図2に示すように、それら防水床ユニット10の縁部に沿って防水処理が施される。この防水構造に用いられる部材および防水被被覆の詳細等について、以下に詳述する。
床下地3は、適宜の躯体上に、ALC床版や構造用合板その他の下地材を略水平に架設して形成されている。ただし、本発明においては、床下地3の材質や構造は特に限定しない。
防水床ユニット10は、防水面の主体を構成するパネル状の部材であり、あらかじめ工場で、断熱材11の上面に、耐候性材料によって被覆された金属板(以下、「被覆金属板」と略す。)12を積層接着して形成されている。断熱材11には、例えば発泡ポリスチレン樹脂等、硬質の断熱性材料からなる厚板体が利用される。例示形態にあっては、断熱材11の厚さが水上側(図1および図2における右上側)から水下側(同、左下側)に向けて漸減するように成形されて、防水床ユニット10の上面に左下向きの排水勾配(図中に矢印で示す)が付与されている。ただし、排水勾配は床下地3側で設けるようにして、その上に一様厚さの断熱材3を敷設するようにしてもよい。
被覆金属板12は、例えば薄鋼板の上面または上下両面に、例えばポリ塩化ビニル樹脂による耐候性被膜を形成してなるもので、その縁部を断熱材11の縁部と揃えるようにして断熱材11の上に重ねられ、断熱材11に接着されている。耐候性被膜については、ポリ塩化ビニル樹脂に替えて、例えばエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂系、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、シリコンポリエステル系樹脂その他の合成樹脂系材料、あるいはエチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴムその他の合成ゴム系材料等が採用されてもよい。また、金属板については、鋼板に替えて、それ自体が耐水性に優れるステンレス鋼板やアルミニウム合金板が採用されてもよいが、その場合も、メッキや塗装等の表面処理によって耐蝕性や耐酸性を強化すると、より好ましい。
建物の外壁に接続する図示右上側の縁部には、被覆金属板12を上向きに折曲して延設された立上部13が形成されており、この立上部13が建物の外壁下地4に添設される。この防水床ユニット10が、目地部分に一定幅(例えば5mm前後)の隙間をあけて床下地3上に並べられ、接着剤等を介して床下地3に固定される。
図1および図2における左上側の手摺壁に沿っては、防水床ユニット10の縁部と手摺壁との間を止水するための壁際ユニット50が設置される。壁際ユニット50も、あらかじめ工場で被覆金属板52を折曲加工し、その裏面に断熱材51を張着するなどして形成された細長い部材である。被覆金属板52は、略水平に張り出して防水床ユニット10の縁部と相対するように配置される接続片部54と、その縁部から上向きに延びて外壁下地41および手摺壁下地42(図4参照)にそれぞれ添設される大小の立上部53、55とを備えている。断熱材51は接続片部54の裏面にのみ張着されており、この断熱材51の厚さは、相対する防水床ユニット10の縁部における断熱材11の厚さと揃えられている。
防水床ユニット10の水下側には、箱樋を構成する樋ユニット20が設置される。樋ユニット20は、あらかじめ工場で被覆金属板22を折曲加工し、その裏面に断熱材を張着するなどして形成された細長い部材で、その長手方向に沿って延びる断面凹形の樋溝部23を有している。樋溝部23の長手方向に沿う一方の縁部には、防水床ユニット10側に向けて略水平に張り出す接続片部24が形成されている。また、樋溝部23の長手方向に沿う他方の縁部には、手摺壁側に向けて略水平に張り出す平坦部25と、該平坦部25の縁部から上向きに延設されて手摺壁下地(図示せず)に添設される立上部26とが形成されている。さらに、樋溝部23の端部にも、手摺壁に沿って上向きに延びる封端立上部27が形成されている。接続片部24の裏面に張着された断熱材21の厚さは、相対する防水床ユニット10の縁部における断熱材11の厚さと揃えられている。
本発明の要部は、防水床ユニット10の目地に沿う縁部上面に、あらかじめ段落部15が形成されている点にある。例示した防水床ユニット10における段落部15は、図1に示すように、排水勾配に平行する両縁部と、図示左下の水下側縁部とに、それぞれ形成されている。
当該縁部の断面を図3〜図5に拡大して示すように、段落部15は、断熱材11の目地に沿う縁部の上面を一定の幅(例えば20mm〜50mm程度)および高さ(例えば3mm〜8mm程度)で削ぎ取るようにして断熱材11の厚みを減じ、その上面に、階段状に折曲成形した被覆金属板12を積層接着して形成されている。
そして、防水床ユニット10の縁部同士が相対する目地部分(図2におけるA−A部)にあっては、図3(a)に示すように、相対する段落部15の高さが揃えられ、段落部15同士を突き合わせて形成される凹溝状の目地底に、適宜の下地調整作業を施した上で、防水テープ6が張着される。防水テープ6には、耐候性や耐蝕性に優れた合成樹脂材料または合成ゴム系材料からなる、公知各種のテープ類を利用することができるが、施工性や伸縮性、経済性等を考慮すると、ブチルゴムテープが特に好適である。防水テープ6は、目地の長さ方向にわたって途切れないように貼り付けられる。目地の交差部分においては、防水テープ6も交差するように張り重ねられるが、防水テープ6の厚さは目地の深さ(段落部15の高さ)に比して十分に小さいので、交差して張り重ねられても、防水テープ6が目地の上まで突出することはない。この防水テープ6により、目地底の防水面(二次防水ライン)が形成される。
こうして、隣接する防水床ユニット10の縁部同士が防水テープ6を介して接続されるとともに、目地底が防水テープ6によって隙間なく止水されたならば、図3(b)に示すように、防水テープ6の上から、この目地内に合成樹脂系の防水塗料7が充填される。この防水塗料7には、適度な流動性を備えて厚塗りに適し、塗布後も長期間にわたって適度な伸縮性を保持する塗料が好ましく、特にウレタン(ポリウレタン、アクリルウレタン)樹脂系塗料が実用性に優れる。また、それ以外にも、被覆金属板および防水テープとの相性が良い各種の合成樹脂系塗料や合成ゴム系塗料として、例えばピュアアクリル塗料、シリコン樹脂系塗料、ビニル樹脂塗料、タールエポキシ樹脂塗料、塩化ゴム系塗料などが利用可能である。
目地内を満たす程度の量の防水塗料7が目地内に流し込まれると、防水塗料7のセルフレベリング作用により、その塗膜上面が防水床ユニット10の上面と面一に揃うこととなる。同時に、段落部15の高さに規定されて、塗膜にも均一かつ十分の厚さが確保される。このような構成により、防水床ユニット10の目地部分に、平坦で均質な厚みを備えた防水面(一次防水ライン)が形成される。
防水床ユニット10と壁際ユニット50とが相対する目地部分(図2におけるB−B部)にあっては、図4に示すように、防水床ユニット10の段落部15の高さと、壁際ユニット50の接続片部54の高さとが揃えられる。また、防水床ユニット10の段落部15の幅と、壁際ユニット50の接続片部54の幅も、概ね同程度になるようにあらかじめ設計されている。そして、防水床ユニット10の段落部15と、壁際ユニット50の接続片部54および立上部55とによって形成される凹溝状の目地底に、前述のA−A部と同様にして防水テープ6が張着され、その上から目地内に防水塗料7が充填される。このような構成により、壁際に沿う目地部分にも、防水床ユニット10の上面と面一になる防水塗膜が形成される。
防水床ユニット10と樋ユニット20とが相対する目地部分(図2におけるC−C部)にあっては、図5(a)に示すように、防水床ユニット10の段落部15の高さと、樋ユニット20の接続片部24の高さとが揃えられる。また、防水床ユニット10の段落部15の幅と、樋ユニット20の接続片部24の幅も、概ね同程度になるようにあらかじめ設計されている。そして、防水床ユニット10の段落部15から樋ユニット20の接続片部24の上面にかけて防水テープ6が張着され、その上に防水塗料7が塗布される。この部位は目地が凹溝状にならないので、防水塗料7を流し込んで溜めておくのは難しいが、防水塗料7の粘性を利用して、段落部15から樋溝部23の縁部にかけて略一定の厚さの塗膜を形成することは可能である。このような構成により、目地部分が確実に止水されるとともに、防水床ユニット10の上面から樋ユニット20にかけての、雨水の円滑な排水が担保される。
樋ユニット20の接続片部24については、図5(b)に示すように、樋溝部23側の縁部に嵩上部28を形成して、防水床ユニット10の段落部15と同じ高さの段落形状にしてもよい。この構成によれば、目地が凹溝状になるので、粘性の低い防水塗料7を用いる場合でも塗膜の厚さを確保するのが容易になる。
なお、図2に示すように、各ユニットの立上部13、53、55、27等が互いに隣接する縦方向の目地部分については、その目地によって横方向の排水性が妨げられるおそれはないので、目地の防水処理面を各ユニットの立上部13、53、55、27等と面一に仕上げる必要はない。したがって、立上部13、53、55、27等の縁部に段差を形成するには及ばず、立上部13、53、55、27等の表面に防水テープ6を途切れなく張着して目地を塞ぎ、その上に防水塗料7を適度な厚さで盛り付けるか、あるいは帯状のパッチベルトを張り重ねて、図2に示したような防水面を形成すればよい。
図6は、防水床ユニット10の縁部に段落部15を形成するに際しての他の実施形態を示す。図6(a)に示した防水床ユニット10においては、断熱材11の上面に被覆金属板12が積層接着され、さらに、被覆金属板12の上面に、目地に沿う縁部の一定幅(数cm程度)の部分を除いて、合成樹脂製の防水塗料17を一定の厚さ(数mm程度)で塗り増すことにより、段落部15が形成されている。断熱材11には、前述の実施形態に示した防水床ユニット10と同様に、例えば発泡ポリスチレン樹脂等、硬質の断熱性材料からなる厚板体が好適に利用される。断熱材11の上面および被覆金属板12は、目地に沿う縁部を含む全面が平坦に形成される。被覆金属板12の上面に塗り増しされる合成樹脂製の防水塗料17には、前述の実施形態において目地内に充填される防水塗料7と同様に、厚塗りに適した合成樹脂系あるいは合成ゴム系の塗料が好適に利用される。その防水塗料17が、あらかじめ工場で被覆金属板12の上面に塗布され、適度に乾燥・硬化された後、この防水床ユニット10が施工現場に搬入され、前述の実施形態と同様にして床下地3上に設置される。
そして、段落部15同士を突き合わせて形成される凹溝状の目地底に、前述の実施形態と同様にして防水テープ6が張着され、その上から目地内に防水塗料7が充填される。このような構成によっても、防水床ユニット10の敷設領域全体に平坦で均質な厚みを備えた防水面が形成される。
また、防水床ユニットの縁部に段落部を形成する他の実施形態としては、例えば、セメント質原料を繊維質原料で補強して硬化させた窯業系外装材(いわゆる窯業系サイディングボードと同質のもの)などを適当な厚さの板状体に成形して防水床ユニットの本体部分となし、その目地に沿う縁部の上面を一定の幅および高さで削ぎ取るようにして板状体の厚みを減じ、その縁部を含む上面全体に、金属板を積層する替わりに直接、防水塗料を厚塗りする、という構成を採用することもできる。
このように、本発明の外部床の防水構造および防水工法によれば、防水床ユニット10の目地部分が面一に仕上がり、施工面全体にわたって高い防水性および耐久性を備えた防水面が形成される。また、現場作業に依存する従来一般の防水工法(塗膜防水工法、シート防水工法、アスファルト防水工法等)に比べて、現場での作業工数も大幅に省力化される。
とりわけ、表面に塩ビ鋼板が積層された防水床ユニットを用いる場合は、前記従来のユニット防水工法との対比において、次のような利点が生じる。すなわち、従来の工法では、防水床ユニットの目地上にブチルゴムテープを張着し、その上に軟質塩化ビニル樹脂製のパッチベルトを重ね張りすると、それぞれに含まれる可塑剤の化学反応によってパッチベルトが硬化し、パッチベルトが目地の伸縮に追従できなくなって破断しやすくなるという不都合があった。しかし、本発明の工法において、目地底に防水テープとしてのブチルゴムテープを張着し、その上にウレタン樹脂系の防水塗料を塗り重ねた場合には、ブチルゴムテープとウレタン樹脂系の防水塗料とが互いに相性よく接着して、それぞれの伸縮性も良好に保持されるので、目地部分の防水性および耐久性を格段に向上させることができるのである。
ここまで説明した通り、本発明の防水工法は、パネル化した防水床ユニットを敷き並べる従来公知のユニット防水工法の目地部分に、従来公知である塗膜防水工法を部分的に組み合わせて適用したものと解することもできる。しかしながら、このような異種工法の組み合わせは、この技術分野に属する当業者が容易に想到し得るものではない。その理由は、以下のような施工事情による。
(施工業者の相違)
ユニット防水工法は、サイズや形状がシステム化された防水床ユニットをあらかじめ工場で製造する工法であるから、現実的には、スケールメリットを活かせる大手のプレファブメーカーでないと、防水床ユニットの製造効率を確保することが難しい。また、防水床ユニットがプレファブメーカーごとに独自の仕様で製造されるため、個々の防水床ユニットの取り扱いに慣れた専門の施工チームを確保する必要もある。
一方、塗膜防水工法は、ほぼ全てが現場施工であり、作業者が現場に塗料と塗布道具を持ち込むだけで施工が可能なので、小規模の防水工事業者が多く関わっている。
このように、両工法は施工業者の規模や体制が異なるので、両工法を組み合わせて施工するのは工程管理上の調整が難しく、面倒が大きい。また、両工法を一括的に請け負える施工業者も少ない。
(施工性の相違1)
ユニット防水工法は、事前に工場加工された防水床ユニットを利用して、現場作業を極力、簡素化、短時間化することを意図している。
一方、塗膜防水工法は、ほぼ全てが現場施工であり、現場で塗料(2液混合式が主流)を準備するところから、塗布した塗料が硬化するまで、相当の時間と手間を要する。
よって、現場での施工効率を重視すると、あえて両工法を組み合わせるという発想には至り難い。
(施工性の相違2)
塗膜防水工法は、塗料をヘラやローラーで広い面に一度に塗布することにより、広い面積を継ぎ目なく平坦に仕上げられる、という利点を活かす工法である。ゆえに、わざわざ継ぎ目のあるパネル敷設面に塗料を塗布するという発想には至り難い。
また、防水床ユニットの目地部分にのみ塗料を埋める、という工法は、使用する塗料が少ないにもかかわらず、塗料の準備や乾燥に通常と同様の手間がかかるので、塗装業者の立場からすると利益が得られにくく、積極的に請け負い難い。
(防水性能の保証形態の相違)
従来一般のシート防水工法では、シートメーカーが、各社で契約している施工業者に施工を任せた上で、シート製品自体の性能と施工品質の両方にわたり、所定年数の防水保証をつける形態が多い。ユニット防水工法も同様に、ユニットメーカー(すなわちプレファブメーカー)が、ユニット自体の製品性能と施工品質の両方にわたって防水保証をつける、という形態になるのが通常である。
一方、塗膜防水工法では、現場施工を担当する塗装業者が防水保証をつける形態が多い。
しかし、異種の防水工法を組み合わせると、防水性能の保証責任が曖昧になるので、施工業者が責任負担を敬遠する。このような事情から、一般的には品質保証責任が分散する組み合わせ工法を採用し難い。
(組み合わせを実現するための工夫)
仮に、防水性を高めるために複数種類の防水工法を重ねる、という着想を得たとしても、上面の平坦性を重視して製造される鋼板製の防水床ユニットについて、その縁部にわざわざ段落部を形成しておき、その段落部内だけを流動性の材料で埋める、という発想には、容易に至るものではない。
このように、防水工法に関する従来一般の技術常識や施工慣行に鑑みると、両防水工法を組み合わせて実施する、という発想は、当業者が容易には想到し難い構成なのである。
本発明は、建物その他の構造物の屋外部分に略水平に設けられる外部床(非歩行タイプの平坦な屋根面を含む。)の防水工法として、幅広く利用することができる。
10 防水床ユニット
11 断熱材
12 被覆金属板
15 段落部
17 防水塗料
3 外部床下地
6 防水テープ
7 防水塗料

Claims (5)

  1. 断熱材の上面が耐候性材料によって被覆されてなる防水床ユニットが、外部床下地上に複数枚、敷設され、
    前記防水床ユニットの縁部同士が隣接する目地部分に防水処理が施される外部床の防水構造において、
    前記防水床ユニットの目地に沿う縁部上面に段落部が形成され、
    前記段落部同士を突き合わせて形成される凹溝状の目地底に防水テープが張着され、
    前記防水テープの上から前記目地内に防水塗料が充填されて、
    前記防水床ユニットの上面と前記防水塗料の上面とが面一に仕上げられたことを特徴とする外部床の防水構造。
  2. 請求項1に記載された外部床の防水構造において、
    前記防水床ユニットは、断熱材の上面に、耐候性材料によって被覆された金属板または耐候性を有する金属板を積層して形成されていることを特徴とする外部床の防水構造。
  3. 請求項2に記載された外部床の防水構造において、
    前記段落部は、前記断熱材の縁部における厚みを減じるとともに、その縁部上面に階段状に成形した前記金属板を積層して形成されていることを特徴とする外部床の防水構造。
  4. 請求項2に記載された外部床の防水構造において、
    前記段落部は、前記防水床ユニットの縁部以外の上面に防水塗料を塗り増すことによって形成されていることを特徴とする外部床の防水構造。
  5. 断熱材の上面が耐候性材料によって被覆されてなる防水床ユニットを外部床下地上に複数枚、敷設し、
    前記防水床ユニットの縁部同士が隣接する目地部分に防水処理を施す外部床の防水工法において、
    前記防水床ユニットの目地に沿う縁部上面にあらかじめ段落部を形成しておき、
    前記段落部同士を突き合わせて形成される凹溝状の目地底に防水テープを張着した後、
    前記防水テープの上から前記目地内に防水塗料を充填して、
    前記防水床ユニットの上面と前記防水塗料の上面とを面一に仕上げることを特徴とする外部床の防水工法。
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