JP2015067929A - 無機繊維体 - Google Patents

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卓己 有澤
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智和 渡邉
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Abstract

【課題】ホルムアルデヒドの拡散を抑制ホルムアルデヒドの拡散を抑制しつつ、更に、性能の向上を実現した、無機繊維体の提供。【解決手段】ロックウールと、前記ロックウールを構成する繊維同士を結合するバインダー組成物と、を含む無機繊維体であって、前記バインダー組成物は、アクリル樹脂を主成分とし、角周波数5.8s−1、温度25℃にて測定された複素粘度が1.0?105Pa・s以下であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、無機繊維体に関する。
例えば、特許文献1には、繊維径が1〜3μmのロックウールを50質量%以上の割合で含む無機繊維を、熱硬化性樹脂を含有するバインダーによりマット状に成形してなる成形体を備え、ホルムアルデヒド捕集剤を含有することを特徴とする自動車用吸音断熱材成形体について開示がされている。
また、特許文献2には、イミダゾリウム塩を、ポリイソシアネート化合物と反応させてなる自己乳化型イソシアネート化合物を含有する、無機繊維用ポリウレタン系接着剤について開示がされている。
また、特許文献3には、ミネラルウール製造用の、アクリルまたはアクリレートポリマーをベースとするホルムアルデヒドフリーの水性サイズ剤のための添加剤としてのグリセロールの使用方法であって、サイズ剤を架橋した後に得られるミネラルウールをベースとする製品のエージング耐性を改善するための使用方法について開示がされている。
特開2004−299530号公報 特開2011−026447号公報 特表2007−538167号公報
住宅用断熱材、吸音材、耐火被覆材等に使用される無機繊維体は、省エネルギーの観点から断熱性、ホルムアルデヒドの拡散の観点から安全性等の性能が求められる。また、無機繊維体をグラスウールで構成する場合、無機繊維体を構成するグラスウール同士を結合させるバインダー組成物は、フェノール樹脂を含むことが一般的である。
ここで、フェノール樹脂はフェノールとホルムアルデヒドを原料とした熱硬化性樹脂であり、フェノール樹脂がバインダー組成物として用いられた無機繊維体は、該無機繊維体からのホルムアルデヒドの拡散が懸念される。すなわち、住宅用断熱材として使用された場合、フェノール樹脂がバインダー組成物として用いられた無機繊維体は、安全性の観点から懸念を有するものである。
バインダー組成物は、ホルムアルデヒドの拡散の観点から、ウレタン樹脂を主成分とするもの、アクリル樹脂を主成分とするもの等が考えられる。複数のロックウールと、ウレタン樹脂若しくはアクリル樹脂等を主成分とするバインダー組成物と、を含む無機繊維体は、断熱性、安全性(ホルムアルデヒドの拡散がない)の観点から優れた性能を有するものであった。
しかしながら、無機繊維体を構成する無機繊維をロックウールとすることによって、特有の問題を有することがわかった。
住宅用断熱材に使用される無機繊維体は、非常に嵩高いものであるため、通常輸送の際には、外圧を加えて圧縮し、使用の際(住宅用断熱材として施工の際)に圧縮を復元させて使用することが一般的である。
ここで、ロックウールにて構成される無機繊維体に、既知の熱硬化性樹脂であるウレタン樹脂等をバインダー組成物として用いた場合、圧縮の復元する程度(圧縮復元率)が小さく、満足するものではなかった。
上記問題を解決するにあたり発明者らは更なる研究をおこなった結果、本発明に至った。
本発明は、ホルムアルデヒドの拡散を抑制しつつ、更に、性能の向上を実現した、無機繊維体の提供することを目的の一つとする。また、本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述によって明らかにする。
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る無機繊維体は、ロックウールと、前記ロックウールを構成する繊維同士を結合するバインダー組成物と、を含む無機繊維体であって、前記バインダー組成物は、アクリル樹脂を主成分とし、角周波数5.8s−1、温度25℃にて測定された複素粘度が1.0×10Pa・s以下であることを特徴とする。
また、本発明の他の実施形態に係る無機繊維体は、ロックウールと、前記ロックウールを構成する繊維同士を結合する、アクリル樹脂を主成分とするバインダー組成物と、を含み、圧縮率80%で圧縮したときの、復元率が67%以上であることを特徴とする。
また、本発明の一実施形態に係る無機繊維体の製造方法は、ロックウールを構成する繊維の表面に、前記繊維同士を結合するバインダー組成物を付着させる工程を含み、前記バインダー組成物は、アクリル樹脂を主成分とし、角周波数5.8s−1、温度25℃にて測定された複素粘度が1.0×10Pa・s以下であることを特徴とする。
本発明によれば、ホルムアルデヒドの拡散を抑制しつつ、更に、性能の向上を実現した、無機繊維体が提供される。
バインダー成分に主成分として含まれるアクリル樹脂の複素粘度と、無機繊維体の復元率と、の関係を示す図である。 温度25℃において角周波を0.1〜100s−1に変化させた場合の、バインダー組成物Aの貯蔵弾性率G´(Pa)、損失弾性率G´´(Pa)、損失正弦tanδ及び複素粘度ηの(Pa・s)関係を示す図である。 温度25℃において角周波を0.1〜100s−1に変化させた場合の、バインダー組成物Aの貯蔵弾性率G´、損失弾性率G´´、及び、G´、G´´の測定値に基づいて算出される複素粘度η(Pa・s)を示す図である。 温度25℃において角周波を0.1〜100s−1に変化させた場合の、バインダー組成物Bの貯蔵弾性率G´(Pa)、損失弾性率G´´(Pa)、損失正弦tanδ及び複素粘度ηの(Pa・s)関係を示す図である。 温度25℃において角周波を0.1〜100s−1に変化させた場合の、バインダー組成物Bの貯蔵弾性率G´、損失弾性率G´´、及び、G´、G´´の測定値に基づいて算出される複素粘度η(Pa・s)を示す図である。 温度25℃において角周波を0.1〜100s−1に変化させた場合の、バインダー組成物Cの貯蔵弾性率G´(Pa)、損失弾性率G´´(Pa)、損失正弦tanδ及び複素粘度ηの(Pa・s)関係を示す図である。 温度25℃において角周波を0.1〜100s−1に変化させた場合の、バインダー組成物Cの貯蔵弾性率G´、損失弾性率G´´、及び、G´、G´´の測定値に基づいて算出される複素粘度η(Pa・s)を示す図である。 温度25℃において角周波を0.1〜100s−1に変化させた場合の、バインダー組成物Dの貯蔵弾性率G´(Pa)、損失弾性率G´´(Pa)、損失正弦tanδ及び複素粘度ηの(Pa・s)関係を示す図である。 温度25℃において角周波を0.1〜100s−1に変化させた場合の、バインダー組成物Dの貯蔵弾性率G´、損失弾性率G´´、及び、G´、G´´の測定値に基づいて算出される複素粘度η(Pa・s)を示す図である。
本発明に係る無機繊維体は、例えば、住宅用断熱材、吸音材、耐火被覆材等に使用される。住宅用断熱材に使用される無機繊維体は、省エネルギーの観点から断熱性、ホルムアルデヒドの拡散の観点から安全性等の性能が求められる。断熱性に関しては、次世代省エネ基準を満たす一つの指標として、熱抵抗値が2.2m・K/W以上であることが設定されている。
この点、無機繊維体を構成する無機繊維をロックウールとしたものは、現在住宅用断熱材に一般的に用いられているグラスウール10Kを使用した無機繊維体と比較して、高い熱抵抗値が得られることから、住宅用断熱材への更なる展開が期待されている。
また、無機繊維体をグラスウールで構成する場合、無機繊維体を構成するグラスウール同士を結合させるバインダー組成物は、フェノール樹脂を含むことが一般的である。ここで、フェノール樹脂はフェノールとホルムアルデヒドを原料とした熱硬化性樹脂であり、フェノール樹脂がバインダー組成物として用いられた無機繊維体は、該無機繊維体からのホルムアルデヒドの拡散が懸念される。
すなわち、住宅用断熱材として使用された場合、フェノール樹脂がバインダー組成物として用いられた無機繊維体は、安全性の観点から懸念を有するものである。
発明者らは、上記を鑑み住宅用断熱材に使用され得る無機繊維体について鋭利研究を行った。まず発明者らはロックウールを、断熱性の観点から無機繊維体を構成する無機繊維として採用し、ロックウール同士を結合させるバインダー組成物について検討を行った。
バインダー組成物は、ホルムアルデヒドの拡散の観点から、アクリル樹脂を主成分とするものが考えられる。複数のロックウールと、アクリル樹脂を主成分とするバインダー組成物と、を含む無機繊維体は、断熱性、安全性(ホルムアルデヒドの拡散がない)の観点から優れた性能を有するものであった。
しかしながら、複数のロックウールと、アクリル樹脂を主成分とするバインダー組成物と、を含む無機繊維体は、無機繊維をロックウールとすることによって、特有の問題を有することがわかった。
住宅用断熱材に使用される無機繊維体は、非常に嵩高いものであるため、通常輸送の際には、外圧を加えて圧縮し、使用の際(住宅用断熱材として施工の際)に圧縮を復元させて使用することが一般的である。
ここで、ここで、ロックウールにて構成される無機繊維体に、既知の熱硬化性樹脂であるウレタン樹脂等をバインダー組成物として用いた場合、圧縮の復元する程度(圧縮復元率)が小さく、満足するものではなかった。
発明者らは、既知のバインダー組成物が、ロックウールにて構成される無機繊維体に、そのまま適用することが、圧縮復元率の観点から難しいことの理由として、ロックウールが短繊維(例えば、繊維長が1mm以下)であること、それに伴って無機繊維体を構成する繊維同士がバインダー組成物によって結合される結合点が多いことに着目した。
すなわち、ロックウールは、グラスウール等と比較しても、繊維自体が外部から力が加えられることによって折れやすく、また多くの結合点にて固定されていることによって、圧縮された際の、外部からの力を吸収若しくは逃がすことができず、結果、無機繊維体の構造が壊れ、圧縮復元率の低下につながっているのではないかと考えた。
したがって、発明者らは、ロックウールにて構成される無機繊維体が外部から力が加えられて圧縮された場合、ロックウールを構成する繊維同士を結合するバインダー組成物が、該外部からの力を緩衝する役割を果たすことによって、高い圧縮復元率等の性能向上を実現することができないかと考えた。
本発明に係る無機繊維体は、ロックウールと、前記ロックウールを構成する繊維同士を結合するバインダー組成物と、を含む無機繊維体であって、前記バインダー組成物は、アクリル樹脂を主成分とし、角周波数5.8s−1、温度25℃にて測定された複素粘度が1.0×10Pa・s以下であることを特徴とするものである。
また、無機繊維体は、ロックウールと、前記ロックウールを構成する繊維同士を結合するバインダー組成物と、を含む無機繊維体であって、前記バインダー組成物は、アクリル樹脂を主成分とし、角周波数5.8s−1、温度25℃にて測定された複素粘度が7.5×10Pa・s以下であることは好適であり、5.0×10Pa・s以下であることは更に好適であり、4.5×10Pa・s以下であることは特に好適である。
また、本発明に係る無機繊維体は、ロックウールと、前記ロックウールを構成する繊維同士を結合する、アクリル樹脂を主成分とするバインダー組成物と、を含み、圧縮率80%で圧縮したときの、復元率が67%以上であることを特徴とする。
また、無機繊維体は、ロックウールと、前記ロックウールを構成する繊維同士を結合する、アクリル樹脂を主成分とするバインダー組成物と、を含み、圧縮率80%で圧縮したときの、復元率が68%以上であることは好適であり、復元率が69%以上であることは特に好適である。
本発明におけるロックウールは、例えば、高炉スラグ、電気炉スラグ等の各種冶金スラグ、玄武岩、輝緑岩等の天然岩石、及び各種冶金スラグと天然岩石との混合物を、キュポラや電気炉で1500〜1600℃の高温で溶解し、遠心力若しくは加圧気体又はこれら両方を用いて製綿して得られる無機繊維(人造鉱物繊維)によって構成されている。
また、ロックウールを構成する繊維は、組成中にSiO、FeO+Fe、CaO、MgO等を含むこととしてもよい。また、ロックウールを構成する繊維の組成は、SiO35〜45重量%、CaO30〜40重量%、MgO3〜6重量%、FeO+Fe0.1〜3重量%であることとしてもよい。
また、ロックウールを構成する繊維は、短繊維である。具体的には、ロックウールを構成する繊維の繊維長は、1mm以下であることとしてもよい。
また、ロックウールを構成する繊維の平均繊維径は、1〜10μmであることとしてもよい。また、ロックウールの平均繊維径が4〜5μmであることは好ましい。ロックウールの平均繊維径が1μm未満であると、人体に吸引されたときに健康被害を引き起こす可能性があるため好ましくない。また、平均繊維径が10μmを越えると、ロックウール自体の柔軟性が失われて強度が脆くなるため好ましくない。
また、本発明におけるバインダー組成物は、ロックウールを構成する繊維同士を結合させるものである。バインダー組成物は、有機化合物を含有し、ロックウールを構成する複数の繊維同士を固着して結合させる。すなわち、本発明におけるバインダー組成物は、ロックウールを構成する複数の繊維同士を固着して結合させることとしてもよい。
また、本発明におけるバインダー組成物は、アクリル樹脂を主成分とするものである。また、本発明におけるバインダー組成物は、該バインダー組成物中にアクリル樹脂を50wt%以上含有するものであることとしてもよい。また、本発明におけるバインダー組成物は、該バインダー組成物中にアクリル樹脂を70wt%以上含有することとしてもよいし、90wt%以上含有することとしてもよい。
また、本発明におけるバインダー組成物に含まれるアクリル樹脂を生成する原料において、ホルムアルデヒドを含まないものである。このようにすることによって、バインダー組成物をフェノール樹脂のみで構成されているものと比較して、無機繊維体からのホルムアルデヒドの拡散が抑制されることとなる。
また、本発明におけるバインダー組成物は、フェノール樹脂を含まないこととしてもよい。これにより無機繊維体において、フェノール樹脂に由来するホルムアルデヒドの拡散はゼロとなる。また、本発明におけるバインダー組成物は、ホルムアルデヒドを原料として合成される樹脂成分を含まないこととしてもよい。これにより、無機繊維体において、バインダー組成物に由来するホルムアルデヒドの拡散はゼロとなる。また、本発明におけるバインダー組成物は、アクリル樹脂のみからなることとしてもよい。
また、本発明における無機繊維体において、上記説明を行ったバインダー組成物は、0.5〜5wt%含まれることとしてもよいし、1〜3wt%含まれることは好ましく、1.5〜2.5wt%含まれることは特に好ましい。
次に、複素粘度について説明を行う。本発明における複素粘度は、粘弾性測定装置を用いて測定された、動的せん断貯蔵弾性率G´、動的せん断損失弾性率G´´の値に基づいて算出されたものである。
より具体的に説明を行うと、動的せん断貯蔵弾性率G´、動的せん断損失弾性率G´´は、樹脂バインダーを厚さ1mm、φ12mmのサイズとした試験体を、粘弾性測定装置(Anton−Paar社製、MCR−301)にセットし、角周波数5.8Hz、温度25℃、ひずみ0.1%の条件にて測定した。なお、上記測定において、測定子として、パラレルプレート(φ12mm)を用いた。
そして、上記測定によって得られた動的せん断貯蔵弾性率G´、動的せん断損失弾性率G´´の測定値に基づいて、損失正弦tanδ、複素粘度η(Pa・s)は算出される。
ここで、損失正弦tanδとは、下記式(1)によって求められる。
損失正弦tanδ=損失弾性率G´´/貯蔵弾性率G´ ・・・(1)
また、複素粘度η(Pa・s)とは、下記式(2)によって求められる。
複素粘度η(Pa・s)=√{(G´)+(G´´)}/角周波数ω ・・・(2)
本発明のバインダー組成物は、アクリル樹脂を主成分として、角周波数5.8s−1、温度25℃にて測定された複素粘度が1.0×10Pa・s以下である。なお、本発明のバインダー組成物の複素粘度の下限値は、特に規定はないが例えば、角周波数5.8s−1、温度25℃にて測定された複素粘度が1.0×10Pa・s以上であることとしてもよい。
また、バインダー組成物の、動的せん断貯蔵弾性率G´及び動的せん断損失弾性率G´´は、下記(3)、(4)の式を満たすこととしてもよい。
G´(0.1〜100s−1)<1.0×10Pa ・・・(3)
G´´(0.1〜100s−1)<1.0×10Pa ・・・(4)
但し、式(3)におけるG´は、角周波数0.1〜100s−1の範囲、25℃におけるバインダー組成物の、動的せん断貯蔵弾性率G´を示す。また、式(4)におけるG´´は、角周波数0.1〜100s−1の範囲、25℃におけるバインダー組成物の、動的せん断損失弾性率G´´を示す。
動的せん断貯蔵弾性率G´及び動的せん断損失弾性率G´´が、上記(3)、(4)を満たすバインダー組成物が無機繊維体に適用された場合、本発明の効果を更に高めることとなる。
また、本発明における復元率は、圧縮復元試験によって得られたものである。より具体的に説明を行うと、無機繊維体を60mm×60mm×厚さ約50mmのサイズとした試験体を、圧縮復元試験装置(島津製作所社製 オートグラフAG−50kNG)にセットし、20mm/minの速度で厚さ方向に、初期厚さ(X)の80%となるまで圧縮した。そして、圧縮した試験体を1時間放置した後、再度厚さ(Y)を測定した。
復元率は、復元後厚さ(Y)と初期厚さ(X)の割合、すなわち、
復元率=100×復元後厚さ(Y)/初期厚さ(X)にて算出した。
図1は、バインダー組成物の複素粘度と、無機繊維体の復元率と、の関係を示す図である。なお、図1中に示される、無機繊維体1乃至4については後に詳細に説明を行う。
図1に示されるように、ロックウールと、前記ロックウールを構成する繊維同士を結合するバインダー組成物と、を含む無機繊維体であって、バインダー組成物は、アクリル樹脂を主成分とし、角周波数5.8s−1、温度25℃にて測定された複素粘度が1.0×10Pa・s以下である場合、該無機繊維体は、圧縮率80%で圧縮したときの、復元率が67%以上である。
また、図1には、複素粘度が、1.0×10Pa・s以下である場合、圧縮率80%で圧縮したときの復元率が、67%の値を境に、急激に上昇していることが示されている。
次に、本発明の無機繊維体の製造方法について下記に説明を行う。本発明の無機繊維体の製造方法は、ロックウールを構成する繊維の表面に、前記繊維同士を結合するバインダー組成物を付着させる工程を含み、前記バインダー組成物は、アクリル樹脂を主成分とし、角周波数5.8s−1、温度25℃にて測定された複素粘度が1.0×10Pa・s以下であることを特徴とするものである。
また、ロックウールを構成する繊維の表面に、前記繊維同士を結合するバインダー組成物を付着させる工程は、バインダー組成物を固形分として含む溶液を、ロックウールを構成する繊維の表面に塗布し、その後、該溶液に含まれる溶媒を取り除き、バインダー組成物を、ロックウールを構成する繊維の表面に付着させる工程とすることとしてもよい。
この場合、バインダー組成物を固形分として含む溶液は、該バインダー組成物を1wt%〜50wt%含有することとしてもよい。また、溶液に含まれる溶媒は、水であることとしてもよいし、石油系溶剤であることとしてもよいし、水溶性有機溶剤であることとしてもよい。
そして、バインダー組成物が表面に付着した複数の繊維で構成されるロックウールを、所定の形状にすることによって、本発明の無機繊維体は製造される。無機繊維体の形状としては特に限定はされないが、例えば、マット状、シート状、粒状等が挙げられる。
また、本発明の無機繊維体は、マット状であることとしてもよい。すなわち、本発明の無機繊維体の製造方法は、バインダー組成物が表面に付着した複数の繊維で構成されるロックウールを、マット状に形成する工程を含むこととしてもよい。
また、本発明の無機繊維体は、嵩密度が20kg/m以上の無機繊維体であることとしてもよい。嵩密度が20kg/m以上の無機繊維体である場合、無機繊維体の断熱性能を高めるという効果を奏する。
[実施例1]
図1に示される無機繊維体1について説明を行う。無機繊維体1は、ロックウールと、ロックウールを構成する繊維同士を結合するバインダー組成物と、を含む無機繊維体である。
無機繊維体1に含有されるバインダー組成物Aは、アクリル樹脂DIC社製ボンコートR3360(以下、アクリル樹脂Aと呼ぶ)からなるものであり、バインダー組成物A(すなわちアクリル樹脂A)は、ロックウールを構成する繊維の表面に付着し、該繊維同士を結合している。また、無機繊維体1にバインダー組成物Aは2wt%含有されている。
バインダー組成物Aの複素粘度(角周波数5.8s−1、温度25℃)を前述の方法によって測定したところ、4.1×10(Pa・s)であり、1.0×10Pa・s以下であった。
図2Aは、温度25℃において角周波を0.1〜100s−1に変化させた場合の、バインダー組成物Aの貯蔵弾性率G´(Pa)、損失弾性率G´´(Pa)、損失正弦tanδ及び複素粘度ηの(Pa・s)関係を示す図である。また、図2Bは、温度25℃において角周波を0.1〜100s−1に変化させた場合の、バインダー組成物Aの貯蔵弾性率G´、損失弾性率G´´、及び、G´、G´´の測定値に基づいて算出される複素粘度η(Pa・s)を示す図である。
温度25℃において角周波を0.1〜100s−1に変化させたときのバインダー組成物Aの貯蔵弾性率G´、損失弾性率G´´の測定値は、角周波数のいずれにおいても1.0×10Pa以下であった。
無機繊維体1の、圧縮率80%で圧縮したときの復元率を、前述の方法にて測定したところ、69%であり、高い圧縮復元率が実現されている。
[実施例2]
図1に示される無機繊維体2について説明を行う。無機繊維体2は、ロックウールと、ロックウールを構成する繊維同士を結合するバインダー組成物と、を含む無機繊維体である。
無機繊維体2に含有されるバインダー組成物Bは、アクリル樹脂DIC社製ボンコートAB886(以下、アクリル樹脂Bと呼ぶ)からなるものであり、バインダー組成物B(すなわちアクリル樹脂B)は、ロックウールを構成する繊維の表面に付着し、該繊維同士を結合している。また、無機繊維体2にバインダー組成物Bは2wt%含有されている。
バインダー組成物Bの複素粘度(角周波数5.8s−1、温度25℃)を前述の方法によって測定したところ、3.2×10(Pa・s)であり、1.0×10Pa・s以下であった。
図3Aは、温度25℃において角周波を0.1〜100s−1に変化させた場合の、バインダー組成物Bの貯蔵弾性率G´(Pa)、損失弾性率G´´(Pa)、損失正弦tanδ及び複素粘度ηの(Pa・s)関係を示す図である。また、図3Bは、温度25℃において角周波を0.1〜100s−1に変化させた場合の、バインダー組成物Bの貯蔵弾性率G´、損失弾性率G´´、及び、G´、G´´の測定値に基づいて算出される複素粘度η(Pa・s)を示す図である。
温度25℃において角周波を0.1〜100s−1に変化させたときのバインダー組成物Bの貯蔵弾性率G´、損失弾性率G´´の測定値は、角周波数のいずれにおいても1.0×10Pa以下であった。
無機繊維体2の、圧縮率80%で圧縮したときの復元率を、前述の方法にて測定したところ、73%であり、高い圧縮復元率が実現されている。
[比較例1]
図1に示される無機繊維体3について説明を行う。無機繊維体3は、ロックウールと、ロックウールを構成する繊維同士を結合するバインダー組成物と、を含む無機繊維体である。
無機繊維体3に含有されるバインダー組成物Cは、アクリル樹脂DIC社製ボンコートED85E(以下、アクリル樹脂Cと呼ぶ)からなるものであり、バインダー組成物C(すなわちアクリル樹脂C)は、ロックウールを構成する繊維の表面に付着し、該繊維同士を結合している。また、無機繊維体3にバインダー組成物Cは2wt%含有されている。
バインダー組成物Cの複素粘度(角周波数5.8s−1、温度25℃)を前述の方法によって測定したところ、2.8×10(Pa・s)であり、1.0×10Pa・sを超えるものであった。
図4Aは、温度25℃において角周波を0.1〜100s−1に変化させた場合の、バインダー組成物Cの貯蔵弾性率G´(Pa)、損失弾性率G´´(Pa)、損失正弦tanδ及び複素粘度ηの(Pa・s)関係を示す図である。また、図4Bは、温度25℃において角周波を0.1〜100s−1に変化させた場合の、バインダー組成物Cの貯蔵弾性率G´、損失弾性率G´´、及び、G´、G´´の測定値に基づいて算出される複素粘度η(Pa・s)を示す図である。
温度25℃において角周波を0.1〜100s−1に変化させたときのバインダー組成物Cの貯蔵弾性率G´、損失弾性率G´´の測定値は、角周波数のいずれにおいても1.0×10Paを超えるものであった。
無機繊維体3の、圧縮率80%で圧縮したときの復元率を、前述の方法にて測定したところ、65%であった。
[比較例2]
図1に示される無機繊維体4について説明を行う。無機繊維体4は、ロックウールと、ロックウールを構成する繊維同士を結合するバインダー組成物と、を含む無機繊維体である。
無機繊維体4に含有されるバインダー組成物Dは、アクリル樹脂DIC社製ボンコートAC501(以下、アクリル樹脂Dと呼ぶ)からなるものであり、バインダー組成物D(すなわちアクリル樹脂D)は、ロックウールを構成する繊維の表面に付着し、該繊維同士を結合している。また、無機繊維体4にバインダー組成物Dは2wt%含有されている。
バインダー組成物Dの複素粘度(角周波数5.8s−1、温度25℃)を前述の方法によって測定したところ、3.6×10(Pa・s)であり、1.0×10Pa・sを超えるものであった。
図5Aは、温度25℃において角周波を0.1〜100s−1に変化させた場合の、バインダー組成物Dの貯蔵弾性率G´(Pa)、損失弾性率G´´(Pa)、損失正弦tanδ及び複素粘度ηの(Pa・s)関係を示す図である。また、図5Bは、温度25℃において角周波を0.1〜100s−1に変化させた場合の、バインダー組成物Dの貯蔵弾性率G´、損失弾性率G´´、及び、G´、G´´の測定値に基づいて算出される複素粘度η(Pa・s)を示す図である。
温度25℃において角周波を0.1〜100s−1に変化させたときのバインダー組成物Dの貯蔵弾性率G´、損失弾性率G´´の測定値は、図5Bに示されるように、角周波数一部において1.0×10Paを超えるものであった。
無機繊維体4の、圧縮率80%で圧縮したときの復元率を、前述の方法にて測定したところ、66%であった。

Claims (3)

  1. ロックウールと、前記ロックウールを構成する繊維同士を結合するバインダー組成物と、を含む無機繊維体であって、
    前記バインダー組成物は、アクリル樹脂を主成分とし、角周波数5.8s−1、温度25℃にて測定された複素粘度が1.0×10Pa・s以下である、
    ことを特徴とする無機繊維体。
  2. ロックウールと、前記ロックウールを構成する繊維同士を結合する、アクリル樹脂を主成分とするバインダー組成物と、を含み、
    圧縮率80%で圧縮したときの、復元率が67%以上である、
    ことを特徴とする無機繊維体。
  3. ロックウールを構成する繊維の表面に、前記繊維同士を結合するバインダー組成物を付着させる工程を含み、
    前記バインダー組成物は、アクリル樹脂を主成分とし、角周波数5.8s−1、温度25℃にて測定された複素粘度が1.0×10Pa・s以下である、
    ことを特徴とする無機繊維体の製造方法。
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