JP2015067164A - 坂道発進補助装置 - Google Patents

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哲郎 小関
Tetsuro Koseki
哲郎 小関
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Abstract

【課題】車両発進時における変速機のギヤ入れに伴う車速センサによる誤検知により警報が発せられるのを防止することのできる坂道発進補助装置を提供すること。
【解決手段】坂道発進補助制御により制動力が保持されている車両発進時において、変速機(3)のギヤ入れ開始から所定時間の間、車速センサ(28)により検出される車速が警報作動閾値を超えた場合でも警報器(33)による警報を行わないよう車両移動警告制御による警報を無効化する。
【選択図】図2

Description

本発明は、坂道発進補助装置に関する。
車両が坂道で一時停止したときに、ブレーキペダルの踏み込み操作による制動力を保持することでブレーキペダルを開放しても車両が後退するのを防止し、車両を発進させる際の適切なタイミングで制動力を解除する坂道発進補助装置が知られている。
このような坂道発進補助装置において、制動力保持中に車輪が回転した場合に、運転者に対し直ちに警報を発する技術が特許文献1に開示されている。
特開平8−99614号公報
特許文献1では、車輪の回転を車速センサにより検知しており、当該車速センサは、車輪の一定角度毎にパルスを発するものであり、当該パルスを一定時間毎に計数することにより車速情報を取得することができる。車速センサとしては、車輪に設けられるものだけでなく、変速機の出力軸に設けられ、当該出力軸の一定角度毎にパルスを発生するものも一般的に用いられている。
車両発進時には、変速機において発進段へのギヤ入れが行われるが、このギヤ入れの際にギヤ同士が噛み合う過程でギヤが回転し、変速機の出力軸が僅かに回転振動することがある。この回転振動を車速センサが検知して、パルスが発せられると、車両が動いていないにも関わらず、坂道発進補助装置における警報が発せられるという問題がある。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、車両発進時における変速機のギヤ入れに伴う車速センサによる誤検知により警報が発せられるのを防止することのできる坂道発進補助装置を提供することにある。
上記した目的を達成するために、本発明では、車両の走行用駆動源であるエンジンと、複数の変速ギヤを有し、前記エンジンからの駆動力を変速して出力する変速機と、前記エンジンから前記変速機への駆動力の断接を行うクラッチ手段と、車両の停車時にブレーキペダル操作により発生した制動力を、ブレーキペダルを開放した状態においても保持する坂道発進補助制御手段と、前記車両の車速を検出する車速検出手段と、前記坂道発進補助制御手段による制動力保持中に前記車速検出手段により検出される車速に基づき前記車両の移動を判定したときに警報を発する警報制御手段と、前記車両の発進時における前記変速機のギヤ入れ開始から所定時間の間、前記警報制御手段による警報を無効化する警報無効化制御手段と、を備えることを特徴としている。
上記手段を用いる本発明によれば、車両発進時における変速機のギヤ入れ開始から所定時間の間、坂道発進補助制御実行中の車両の移動を知らせる警報を無効化することで、当該ギヤ入れにより変速機の出力軸が回転振動した場合でも警報は発せられなくなる。これにより、車速センサによる誤検知による警報を防止することができる。
本発明の一実施形態における坂道発進補助装置を備えた車両の駆動系を示す概略構成図である。 本発明の一実施形態における坂道発進補助装置を備えた車両の発進時の状態を示すタイムチャートである。
以下、本発明を具体化した坂道発進補助装置の一実施形態を説明する。
図1は本実施形態の坂道発進補助装置を備えた車両の駆動系を示す全体構成図であり、以下同図に基づき本実施形態の構成について説明する。
本実施形態における車両はトラックであり、走行用動力源としてディーゼルエンジン(以下、エンジンという)1が搭載されている。エンジン1の出力軸1aにはクラッチ装置2(クラッチ手段)を介して自動変速機(以下、単に変速機という)3の入力軸3aが接続され、クラッチ装置2の接続時にエンジン1の回転が変速機3に伝達されるようになっている。当該変速機3は、例えば前進6段及び後退1段を備えた手動式変速機をベースとしたものであり、以下に述べるように、その変速操作及び変速に伴うクラッチ装置2の断接操作を自動化した、いわゆるAMT(Automated Manual Transmission)である。
クラッチ装置2は、フライホイール4にクラッチ板5をプレッシャスプリング6により圧接させて接続される一方、フライホイール4からクラッチ板5を離間させることにより切断される摩擦式クラッチとして構成されている。クラッチ板5にはアウタレバー7を介してエアシリンダ8が連結され、エアシリンダ8には電磁弁9が介装されたエア通路10を介して圧縮エアを充填したエアタンク11が接続されている。
電磁弁9の開弁時にはエアタンク11からエア通路10を介してエアシリンダ8に圧縮エアが供給され、エアシリンダ8が作動してアウタレバー7を介してクラッチ板5をフライホイール4から離間させ、これによりクラッチ装置2が接続状態から切断状態に切り替えられる。一方、電磁弁9が閉弁すると、圧縮エアの供給中止によりエアシリンダ8が作動しなくなることから、クラッチ板5はプレッシャスプリング6によりフライホイール4に圧接され、これによりクラッチ装置2は切断状態から接続状態に切り替えられる。このように電磁弁9の開閉に応じてエアシリンダ8が作動して、クラッチ装置2を自動的に断接操作可能になっている。
変速機3には変速段を切り替えるためのギヤシフトユニット14が設けられ、図示はしないがギヤシフトユニット14は、変速機3内の各変速段に対応するシフトフォークを作動させる複数のエアシリンダ、及び各エアシリンダを作動させる複数の電磁弁を内蔵している。ギヤシフトユニット14はエア通路12を介して上記したエアタンク11と接続されており、各電磁弁の開閉に応じてエアタンク11からの圧縮エアが対応するエアシリンダに供給され、そのエアシリンダが作動して対応するシフトフォークを切替操作すると、切替操作に応じて変速機3の変速段のギヤ入れが行われる。このようにギヤシフトユニット14の電磁弁の開閉に応じてエアシリンダが作動して、変速機3を自動的に変速操作可能になっている。
車両内には、図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAMなど)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタなどを備えたECU(制御ユニット)21が設置されており、エンジン1、クラッチ装置2、変速機3の総合的な制御を行う。
ECU21の入力側には、エンジン1の回転速度を検出するエンジン回転速度センサ22、変速機3の入力軸3aの回転速度(クラッチ回転速度)を検出するクラッチ回転速度センサ23、運転席に設けられたチェンジレバー13の切替位置を検出するレバー位置センサ24、変速機3のギヤ位置を検出するギヤ位置センサ25、アクセルペダル26の操作量(アクセル開度)を検出するアクセルセンサ27、変速機3の出力軸3bに設けられ車速と相関する出力軸3bの回転速度を検出する車速センサ28(車速検出手段)、ブレーキペダル29の操作を検出するブレーキスイッチ30、クラッチ装置2のクラッチストロークを検出するクラッチストロークセンサ31などのセンサ類が接続されている。
車速センサ28は、詳しくは、変速機3の出力軸3bに設けられた歯車3cの回転に応じたパルス信号をECU21に発するものであり、当該パルスを一定時間毎に計数することで車速が検出される。
ECU21の出力側には、上記したクラッチ装置2の電磁弁9、ギヤシフトユニット14の各電磁弁などが接続されると共に、図示はしないが、エンジン1の燃料噴射弁などが接続されている。なお、このように単一のECU21で総合的に制御することなく、例えばECU21とは別にエンジン制御専用のECUを備えるようにしてもよい。
そして、例えばECU21は、エンジン回転速度センサ22により検出されたエンジン回転速度及びアクセルセンサ27により検出されたアクセル開度に基づき、図示しないマップからエンジン1の各気筒への燃料噴射量を算出すると共に、エンジン回転速度及び燃料噴射量に基づき図示しないマップから燃料噴射時期を算出する。そして、これらの算出値に基づき各気筒の燃料噴射弁を駆動制御しながらエンジン1を運転する。
また、ECU21は、レバー位置センサ24によりチェンジレバー13のD(ドライブ)レンジへの切替が検出されているときには自動変速モードを実行し、アクセル開度及び車速センサ28により検出された車速に基づき、図示しないシフトマップから目標変速段を算出する。そして、クラッチ装置2の電磁弁9を開閉してエアシリンダ8によりクラッチ装置2を断接操作させながら、ギヤシフトユニット14の所定の電磁弁を開閉してエアシリンダにより対応するシフトフォークを切替操作して目標変速段にギヤ入れし、これにより常に適切な変速段をもって車両を走行させる。
なお、チェンジレバー13が選択可能なシフト位置としては、駐車時に選択するP(パーキング)レンジ、変速機3のギヤをニュートラルとするN(ニュートラル)レンジ、前進走行時に選択するD(ドライブ)レンジ、後退時に選択するR(リバース)レンジ、手動で変速段をシフトアップ又はシフトダウン可能なM(マニュアル)レンジ等がある。また、図示しないが、車両には発進時に使用する変速段(発進段という)を選択する発進段選択スイッチも備えており、ECU21は車両の発進時においては当該発進段選択スイッチにより選択された発進段を目標変速段とする。
また、ECU21は、車両の停車時にブレーキペダル操作により発生した制動力を、ブレーキペダル29を開放した状態においても保持する坂道発進補助制御を行う(坂道発進補助制御手段)。具体的には、車両の車輪のブレーキ配管に制動力を保持可能な制動力保持電磁弁32が設けられており、ECU21は当該制動力保持電磁弁32への電力供給を制御することで、坂道発進補助制御を行う。当該制動力保持電磁弁32は、電力供給を受けることで閉弁して制動力(ブレーキ液圧やブレーキエア圧など)を保持し、電力供給が停止すると開弁して制動力の保持を解除するものである。
ECU21は坂道発進補助制御として、車両の停止を検出した時点(車速=0)から、バッテリから各制動力保持電磁弁32への電力供給を開始させる。そして車両の発進時においてECU21は、クラッチ装置2のクラッチストロークが所定の坂道発進補助解除閾値より接側になったときに、坂道発進補助制御による制動力の保持を解除する。当該坂道発進補助解除閾値は、車両重量、路面勾配、エンジン出力及びエンジントルクからなる制御マップから算出されるものとする。
また、ECU21は、坂道発進補助制御により制動力を保持している間に、車速センサ28により検出される車速に基づき車両の移動を検出したときには、運転者に警告すべく、車両の車室内に設けられた警報器33により警報を発する車両移動警告制御を行う(警報制御手段)。この車速センサ28による車両の移動の検出は、車速が警報作動閾値(例えば2〜3km/h)以上となったか否かを判別することで行う。そして、当該車両移動警告制御では、坂道発進補助制御による制動力保持の解除、又は、車速が警報解除閾値(1〜2km/h)未満となってから所定の確認時間を経過したときに警報を解除する。
一方で、ECU21は、車両発進時における変速機3のギヤ入れ開始から所定時間の間は、車両移動警告制御による警報を無効化する警報無効化制御を行う(警報無効化制御手段)。この所定時間は、例えばギヤ入れ完了後から第1所定時間T1経過までとする。また、警報無効化制御では、この所定時間内に車速センサ28により車速の立ち上がりを検出した際には、検出した車速が停車相当の車速(例えば0km/h)に戻った時点から第2所定時間T2経過してから警報の無効化を解除する。
なお、当該警報無効化制御では、車速センサ28の誤検知でなく実際に車両が移動していると判断可能な車速(例えば5〜10km/h)に相当する警報無効化解除閾値を設定し、車速センサ28により検出された車速が当該警報無効化解除閾値以上となったときには、警報の無効化を解除する。警報無効化解除閾値は警報作動閾値より高い値に設定されており、従ってECU21は、警報の無効化が解除された時点で車両移動警告制御により警報を発することとなる。
ECU21は車両の発進時において上述のような坂道発進補助制御、車両移動警告制御、及び警報無効化制御を行う。
ここで図2を参照すると、上述の坂道発進補助装置を備えた車両の発進時における変速機3のシフトストローク、車両移動警告フラグ、警報無効化フラグの各状態がタイムチャートで示されており、以下同図に基づき当該坂道発進補助装置の作用効果について説明する。なお、図2では、車両が停止し、坂道発進補助制御により制動力が保持されており、変速機3のギヤがニュートラル位置となっている状態からスタートしており、以下時系列に沿って説明する。
図2に示すt1時点において、変速機3の変速段がニュートラル位置から発進段である第2速にギヤ入れが開始される。ECU21は、この変速機3におけるギヤ入れを検知した時点で、警報無効化制御による警報の無効化を開始すべく、t1時点から警報無効化フラグをONに切り替える。
続いてt2時点において、変速機3の第2速へのギヤ入れが完了するとともに、車速センサ28により検出される車速が立ち上がり始める。
そして、t3時点にて車速が警報作動閾値以上となっているが、ECU21は、警報無効化制御により車両移動警告制御による警報を行わず、図2に示す車両移動警告フラグもOFFを維持する。
なお、図2において破線で示すように警報無効化制御を行わなかった場合には、t3時点にて車両移動警告フラグがONに切り替わり、ECU21は警報器33により警報を発する。この警報は車速が警報解除閾値未満となるt4時点から所定の確認時間を経過するまで行われる。
図2における車速の立ち上がりは、警報無効化解除閾値を超えずに低下し、t5時点で車速ゼロとなる。警報無効化制御は、変速機3のギヤ入りが完了したt2時点から第1所定時間T1が経過しており(t6’時点経過)、且つ車速センサ28により検出される車速がゼロとなったt5時点から第2所定時間T2経過したt6時点で警報の無効化を解除し、警報無効化フラグをOFFとする。
このように、警報無効化制御により、車両発進時における変速機3のギヤ入れ開始から所定時間の間、車両移動警告制御による警報を無効化することで、当該ギヤ入れにより変速機3の出力軸3bが回転振動した場合でも警報は発せられなくなる。
これにより、車速センサ28による誤検知により警報が発せられるのを防止することができる。
以上で本発明に係る坂道発進補助装置の実施形態についての説明を終えるが、実施形態は上記実施形態に限られるものではない。
例えば上記実施形態では、エンジン1はディーゼルエンジンであるが、エンジンはこれに限られず、例えばガソリンエンジンでもよい。
また、上記実施形態では、車速センサ28を変速機3の出力軸3bに設けられた歯車3cの回転に応じたパルス信号をECU21に発するものとしたが、車速センサは変速機のギヤ入れの際の回転振動を検出するものであればよい。例えば車速センサが車輪軸に設けられている場合でも変速機の出力軸から車輪軸に回転振動が伝達されことから、車速センサの誤検知が生じ得るため、このような車両にも本発明を適用可能である。
1 エンジン
2 クラッチ装置
3 変速機
13 チェンジレバー
21 ECU(坂道発進補助制御手段、警報制御手段、警報無効化制御手段)
22 エンジン回転速度センサ
23 クラッチ回転速度センサ
24 レバー位置センサ
25 ギヤ位置センサ
27 アクセルセンサ
28 車速センサ
31 クラッチストロークセンサ
32 制動力保持電磁弁
33 警報器

Claims (1)

  1. 車両の走行用駆動源であるエンジンと、
    複数の変速ギヤを有し、前記エンジンからの駆動力を変速して出力する変速機と、
    前記エンジンから前記変速機への駆動力の断接を行うクラッチ手段と、
    車両の停車時にブレーキペダル操作により発生した制動力を、ブレーキペダルを開放した状態においても保持する坂道発進補助制御手段と、
    前記車両の車速を検出する車速検出手段と、
    前記坂道発進補助制御手段による制動力保持中に前記車速検出手段により検出される車速に基づき前記車両の移動を検出したときに警報を発する警報制御手段と、
    前記車両の発進時における前記変速機のギヤ入れ開始から所定時間の間、前記警報制御手段による警報を無効化する警報無効化制御手段と、
    を備えることを特徴とする坂道発進補助装置。
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