JP2015066509A - 電気集塵機 - Google Patents

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Abstract

【課題】含塵空気中の微粉塵やミストを確実に荷電し、荷電効率の向上を図る。
【解決手段】本発明の電気集塵機は、含塵空気の流通を遮る向きに配置され、含塵空気を通過させる開口部41が多数形成された接地電極板16と、接地電極板16より含塵空気の流通方向下流側において、各開口部41に対応して配置される放電用針電極18と、放電用針電極18の先端部と開口部41の周縁部とが所定間隔を維持するように放電用針電極18の基端部を支持する支持基板17と、放電用針電極18より含塵空気の流通方向下流側に並設される複数の集塵板19と、各集塵板19の間において集塵板19に対向して配置される高電圧極板20と、を備えていることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、高電圧の印加によって発生するコロナ放電により含塵空気中の微粉塵やミスト等の粒子を帯電させて捕集する電気集塵機に関するものである。
従来、マシニングセンタなどの加工機から発生する含塵空気を吸引して工場内の空気浄化を行うために、産業用の電気集塵機が使用されている。この電気集塵機には、高電圧の印加によって発生するコロナ放電により含塵空気中の微粉塵やミスト等の粒子を帯電させる荷電部や該荷電部で帯電された粒子を捕集する集塵部が設けられている。
この種の従来の電気集塵機としては、例えば、特許文献1に開示されているように、多数本の放電用針電極を上下に間隔を開けた状態で並べて取付けた支持基板を、複数並設された接地極板の間に該接地極板とある程度の距離を保つように取付けることにより構成されたものや、或いは、特許文献2に開示されているように、高電圧を印加する突起状の放電電極と、アースに接続された接地極板と、を交互に配置することにより構成されたものなどが知られている。
特開2007−222717号公報 特開2008−207168号公報
ところが、上記した特許文献1又は2に開示された電気集塵機では、含塵空気中の微粉塵やミストを吸引するに従って次第に接地極板に微粉塵やミストが付着堆積し、それらの堆積量が一定量に達して接地電極と放電用針電極との間の距離が狭まると、異常放電が発生して運転停止に至ったり、或いは、温度が上昇して最悪火災に発生する危険性が生じたり、或いは、接地極板の堆積物が再飛散したりする問題がある。
また、接地極板が複数枚設けられているため、接地極板に付着堆積した微粉塵やミストを清掃除去するのに手間が掛かり、使い勝手の向上を図り難いといった問題もある。
さらに、上記した特許文献1の電気集塵機では、帯電領域を広げるため、含塵空気の流通方向に対して放電用針電極を斜めに傾斜させて配列する構成も提案されているが、このような構成を採用した場合でも、含塵空気に対して放電用針電極と接地極板とを平行に配置する構造上、どうしても放電が弱いエリアが存在してしまい、含塵空気中のすべての微粉塵やミストを帯電することができないため、荷電効率の上昇を図ることが難しく、結果的に捕集効率の低下に繋がるという問題がある。
さらに、接地極板は含塵空気の流通方向に沿うように平行に設けられているため、電極装置の長手方向(含塵空気の流通方向)の長さを短縮することが難しい。したがって、上記した特許文献1又は2の電気集塵機では、製品の小型化を図り難いといった問題がある。さらに、特許文献1の電気集塵機では、荷電部と集塵部が別々の枠体で構成されているため、部品点数が多くなり、製品の小型化を図り難いといった問題もある。
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、接地極板に付着堆積する微粉塵やミスト等の粒子量をできる限り減少させて汚れ難くすることで異常放電の発生を抑制することができ、接地極板の枚数を減らすことでコストの低減化、メンテナンス性の向上、及び製品の小型化を図ることができ、含塵空気中の微粉塵やミスト等の粒子を確実に荷電することのできる荷電効率に優れた電気集塵機を提供することを目的とするものである。
上記した課題を解決するため、本発明の第1の電気集塵機は、高電圧の印加によって発生するコロナ放電により含塵空気中の微粉塵やミスト等の粒子を帯電させて捕集する電気集塵機において、含塵空気の流通を遮る向きに配置され、含塵空気を通過させる開口部が多数形成された接地電極板と、該接地電極板より含塵空気の流通方向下流側において、前記各開口部に対応して配置される放電用針電極と、該放電用針電極の先端部と該開口部の周縁部とが所定間隔を維持するように該放電用針電極の基端部を支持する支持基板と、前記放電用針電極より含塵空気の流通方向下流側に並設される複数の集塵板と、該各集塵板の間において該集塵板に対向して配置される高電圧極板と、を備えていることを特徴とする。
本発明の第1の電気集塵機によれば、前記放電用針電極の先端部と前記開口部の周縁部とが所定距離を維持するように該放電用針電極が前記接地電極板の各開口部に対応して配置されているため、該開口部を通過する含塵空気は必ず帯電エリアを通過し、該放電用針電極が異常放電することなく、含塵空気中の微粉塵やミスト等の粒子を荷電することができ、荷電効率を高めることができる。また、前記接地電極板が含塵空気の流通を遮る向きに配置されているため、含塵空気の流通方向の長さを短縮することができ、小型化を実現することができる。さらに、前記放電用針電極によって帯電された微粉塵やミスト等の粒子は、含塵空気下流側に設けた前記高電圧極板の反発作用によって、前記集塵板側に移動することで確実に粒子を捕集することができる。
本発明の第2の電気集塵機では、前記集塵板が前記支持基板とラップする位置まで前記流通方向上流側に延出するように形成されていることを特徴とする。
本発明の第2の電気集塵機によれば、前記集塵板が前記支持基板とラップしている箇所では、印加電圧による反発力が作用し、前記放電用針電極によって帯電された微粉塵やミスト等の粒子は、すぐに該集塵板に捕集されるため、捕集効率の向上を図ることができる。
本発明の第3の電気集塵機では、前記放電用針電極の先端部から該放電用針電極に対応する前記開口部の周縁部までの距離が該放電用針電極から最も近い前記集塵板の端部までの距離より短くなるように設けられていることを特徴とする。
本発明の第3の電気集塵機によれば、前記放電用針電極と前記接地電極板との間で確実に放電エリアを生成することができる。また、異常放電しない程度まで前記集塵板の面積を大きく形成しており、帯電粒子をより多く捕集することができるため、帯電粒子の捕集効率を向上させることができる。
本発明の第4の電気集塵機では、前記集塵板が、隣接する前記支持基板の中間位置において該支持基板とラップする位置まで前記流通方向上流側に延出するように配置される第1の集塵板と、前記支持基板の前記流通方向下流側延長線上において該支持基板から離間して配置される第2の集塵板と、を備え、前記高電圧極板が、前記第1の集塵板と前記第2の集塵板との中間位置にそれぞれ配置されていることを特徴とする。
本発明の第4の電気集塵機によれば、前記第1の集塵板と前記第2の集塵板を設けることにより、該集塵板の面積を増大させることができるため、帯電粒子の捕集効率に優れ、高濃度の粒子の吸引にも対応することができると共に、メンテナンスサイクルを延長することができる。
本発明の第5の電気集塵機では、前記高電圧極板が、前記流通方向に直交する方向から見て該高電圧極板の全周縁部が前記第2の集塵板の全周縁部より内側となるように該第2の集塵板より小さく形成されていることを特徴とする。
本発明の第5の電気集塵機によれば、前記高電圧極板と前記第2の集塵板の周縁部(エッジ)間の距離を該高電圧極板と該第2の集塵板間の離間距離より大きく取ることができるため、放電し易い箇所である周縁部(エッジ)間において異常放電が発生するのを防止することができる。また、前記高電圧極板を前記第2の集塵板より小さくすることにより、捕集面積の減少やメンテナンスサイクルの短縮を防止することができる。
本発明の第6の電気集塵機では、前記高電圧極板と前記第1の集塵板及び前記第2の集塵板との間に印加される高電圧が前記放電用針電極と前記接地電極板との間に印加される高電圧の1/2の大きさに制御されていることを特徴とする。
本発明の第6の電気集塵機によれば、例えば、長期に亘る稼働により前記放電用針電極が磨耗した場合であっても、放電を維持するために、該放電用針電極と前記接地電極板間の荷電部の電圧のみを上昇させることができる。この時、前記高電圧極板と前記第1の集塵板及び第2の集塵板間の集塵部の電圧も一緒に上昇させてしまうと、該高電圧極板と該第1の集塵板及び第2の集塵板間では、両者間の距離が変化しないため、異常放電(スパーク)が発生し易くなり、該異常放電(スパーク)が発生すると、該第1の集塵板や第2の集塵板に捕集された粒子に着火し、火災が発生する危険性がある。しかしながら、荷電部の電圧と集塵部の電圧とをそれぞれ別々に制御することにより、このような異常放電の発生や、粒子の着火による火災の発生を確実に防止することができる。
また、集塵部の電圧を荷電部の高電圧に対して1/2の大きさに制御することにより、前記第1の集塵板と第2の集塵板との中間位置に前記高電圧極板を配置することができるため、該高電圧極板に印加された高電圧により荷電部で帯電された粒子が反発し、該第1の集塵板と第2の集塵板に効率良く粒子が捕集され、捕集効率を向上させることができる。さらに、前記第1の集塵板と第2の集塵板には、捕集された粒子が堆積するが、集塵部の電圧を荷電部の電圧の1/2に制御しているため、異常放電(スパーク)発生時のエネルギーを小さく抑えることができ、粒子の捕集堆積による異常放電(スパーク)を防止し、火災や発火の発生を防止することができる。
本発明の第7の電気集塵機では、前記接地電極板の開口部は内径が13mmの丸穴により形成され、前記放電用針電極の先端部は前記開口部の周縁部との距離が10mmとなるように該開口部の中心に配置され、前記放電用針電極と前記接地電極板との間には−8kVの高電圧が印加されることを特徴とする。
本発明の第7の電気集塵機によれば、前記放電用針電極と前記接地電極板との間で放電を確実に発生させることができるため、安定した帯電エリアを生成することができる。また、前記放電用針電極と前記接地電極板との間に印加される電圧を、異常放電発生電圧以下の余裕を持たせた値(−8kV)に設定することで、異常放電の発生を抑制することができる。さらに、前記放電用針電極の先端部と前記開口部の周縁部との距離を10mmに設定することにより、含塵空気の流れ方向の寸法をコンパクトにすることができ、電気集塵機の小型化を図ることができる。
本発明の第8の電気集塵機は、前記集塵板が、隣接する前記支持基板の中間位置において前記支持基板とラップする位置まで前記流通方向上流側に延出するように配置され、前記高電圧極板は、前記各集塵板の中間位置に配置され、前記支持基板の前記流通方向下流側延長線上において該支持基板と一体化されていることを特徴とする。
本発明の第8の電気集塵機によれば、前記集塵板が前記支持基板とラップしている箇所では、印加電圧による反発力が作用し、前記放電用針電極によって帯電された微粉塵やミスト等の粒子は、すぐに該集塵板に捕集されるため、捕集効率の向上を図ることができる。また、前記高電圧極板と前記支持基板とを一体化することにより、シンプルな構成で部品点数の削減及びコストの低減化を図ることができ、経済性を高めることができる。
本発明の第9の電気集塵機では、前記高電圧極板が、前記流通方向に直交する方向から見て、該高電圧極板の前記流通方向上流側端部が前記集塵板の前記流通方向上流側端部と一致すると共に該流通方向上流側端部を除く該高電圧極板の周縁部が前記集塵板の周縁部より内側となるように、該集塵板より小さく形成されていることを特徴とする。
本発明の第9の電気集塵機によれば、前記高電圧極板と前記集塵板の周縁部(エッジ)間の距離を該高電圧極板と該集塵板間の離間距離より大きく取ることができるため、放電し易い箇所である周縁部(エッジ)間において異常放電が発生するのを防止することができる。また、前記高電圧極板を前記集塵板より小さくすることにより、該集塵板の捕集面積の減少やメンテナンスサイクルの短縮を防止することができる。また、高電圧極板は、流通方向に直交する方向から見て、集塵板の流通方向上流側端部と一致しているので、集塵板には、高電圧極板からの印加電圧による反発力が有効に作用することとなり、放電用針電極によって帯電された微粉塵やミスト等の粒子は、すぐに集塵板に捕集されるため、捕集効率の向上を図ることができると共に、放電用針電極と集塵板間の異常放電の発生を防止することができる。
本発明の第10の電気集塵機では、前記集塵板が、隣接する前記支持基板の中間位置において該支持基板とラップする位置まで前記流通方向上流側に延出するように配置され、前記高電圧極板が、前記各集塵板の中間位置に配置され、前記支持基板の前記流通方向下流側延長線上において該支持基板から離間して配置されていることを特徴とする。
本発明の第10の電気集塵機によれば、前記放電用針電極と前記接地電極板間の荷電部の電圧と前記高電圧極板と前記集塵板間の集塵部の電圧とをそれぞれ別々に制御することにより、前記放電用針電極と前記接地電極板間で安定的で均一な帯電エリアを形成することができ、荷電効率の向上を図ることができると共に、異常放電の発生や、粒子の着火による火災の発生を確実に防止することができる。
本発明の第11の電気集塵機では、前記放電用針電極と前記支持基板と前記高電圧極板とが一体に形成されていることを特徴とする。
本発明の第11の電気集塵機によれば、シンプルな構成で部品点数の削減及びコストの低減化を図ることができ、経済性を高めることができる。
本発明によれば、接地電極板の開口部を通過する含塵空気は必ず帯電エリアを通過し、放電用針電極が異常放電することなく、含塵空気中の微粉塵やミスト等の粒子を荷電することができ、荷電効率を高めることができる。また、接地電極板が含塵空気の流通を遮る向きに配置されているため、含塵空気の流通方向の長さを短縮することができ、小型化を実現することができる。さらに、放電用針電極によって荷電された微粉塵やミスト等の粒子は、含塵空気下流側に設けた高電圧極板の反発作用によって、集塵板側に移動することで確実に粒子を捕集することができる等、種々の優れた効果を得ることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る電気集塵機の内部を示す側面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る電気集塵機の電極装置を示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係る電気集塵機の電極装置の内部を示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係る電気集塵機の電極装置を示す平面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る電気集塵機の電極装置を示す側面図である。 図4のA−A矢視図である。 図4のB−B矢視図である。 本発明の第1の実施の形態に係る電気集塵機の電極装置を部分的に示す平断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る電気集塵機の電極装置を示す斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係る電気集塵機の電極装置を示す平面図である。 図10のA−A矢視図である。 図10のB−B矢視図である。 本発明の第2の実施の形態に係る電気集塵機の電極装置を部分的に示す平断面図である。 図13のC矢視図である。 本発明の第2の実施の形態に係る電気集塵機の電極装置の変形例を示す側面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る電気集塵機の電極装置の別の変形例を示す平断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る電気集塵機の電極装置の別の変形例を示す正面図である。 本発明の第1及び第2の実施の形態に係る電気集塵機を業務用機器にビルトインした適用例を示す斜視図である。 従来の電気集塵機の電極装置の作用を示す平面図である。 従来の電気集塵機の電極装置の作用を示す正面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る電気集塵機について説明する。
先ず、図1を参照しつつ、本発明の第1の実施の形態に係る電気集塵機の全体構成について概略説明する。ここで、図1は本発明の第1の実施の形態に係る電気集塵機の内部を示す側面図である。なお、以下の説明において、上下前後左右の向きは、便宜上、電気集塵機に含塵空気が吸い込まれる方向(図1中の左側矢印)から見た向きを基準とする。
本発明の第1の実施の形態に係る電気集塵機は、直方体形状の本体ケース1を備えている。本体ケース1には、前側に吸込口2が開口されており、上面の後側に排気口3が開口されている。
本体ケース1の内部には、吸込口2の後方に配設されるエリミネータ又はプレフィルター(図示省略)と、電極装置4と、吸引ファン5と、が含塵空気の流通方向(図1の矢印方向)に沿って順に直列に配置されており、本体ケース1の後面側には吸引ファン5を回転させるための駆動源としてモータ6が取り付けられている。
次に、図1〜図8を参照しつつ、本発明の第1の実施の形態に係る電気集塵機の電極装置4について詳細に説明する。ここで、図2は電極装置4を示す斜視図、図3は電極装置4の内部を示す斜視図、図4は電極装置4を示す平面図、図5は電極装置4を示す側面図、図6は図4のA−A矢視図、図7は図4のB−B矢視図、図8は電極装置4を示す平断面図である。
図2に示すように、電極装置4は、電極装置本体10と、この電極装置本体10に対して高電圧を印加する高電圧電源部11と、を備えている。高電圧電源部11は、交流の元電源12を高圧トランス13で昇圧した後、倍圧部14で交流電流を直流に変換すると共にさらに昇圧して高電圧を生成するように構成されており、電極装置本体10に印加する高電圧の出力を制御するための出力制御部としても機能する。
電極装置本体10は、前面側から見て矩形状で内部が中空な枠体15と、枠体15の前面に取り付けられてアース接続される接地電極板16と、接地電極板16より後方(含塵空気の流通方向下流側)の枠体15内において接地電極板16に直交する向きに鉛直姿勢で並設される複数の支持基板17と、枠体15内において前方に向かって支持基板17に片持ち支持される放電用針電極18と、放電用針電極18の先端部18aより後方(含塵空気の流通方向下流側)の枠体15内において接地電極板16に直交する向きに鉛直姿勢で並設される複数の集塵板19と、枠体15内において集塵板19に対向するように鉛直姿勢で配置される複数の高電圧極板20と、を備えている。
図2〜図7に示されているように、枠体15は、互いに対向するように立設される左右の側板21と、左右の側板21間に水平姿勢で貫設される6本の連結シャフト22a,22b,23a,23b,24a,24bと、を備えて構成されている。
左右の側板21は、外面25が凹状に形成された縦長箱状を成し、外面25には、それぞれ高電圧電源部11に接続される第1給電部材26及び第2給電部材27が前後に配設されている。
第1給電部材26は、左右の側板21の前壁28に対向するように縦長に形成される第1対向片29と、第1対向片29の中央部分において第1対向片29から前方に直角に屈曲して形成される第1中央片30と、第1対向片29の上下端部において第1対向片29から前方に直角に屈曲して形成される第1端片31と、により構成されている。第1中央片30と上下の第1端片31との間において、第1対向片29と前壁28との間にはそれぞれ第1絶縁碍子32が介装されており、これにより、第1給電部材26は、左右の側板21に絶縁された状態で支持される。
第2給電部材27は、左右の側板21の後壁33に対向するように縦長に形成される第2対向片34と、第2対向片34の中央部分において第2対向片34から後方に直角に屈曲して形成される第2中央片35と、第2対向片34の上端部において第2対向片34から後方に直角に屈曲して形成される第2上端片36と、第2対向片34の下端部において第2対向片34から前方に直角に屈曲して形成される第2下端片37と、により構成されている。第2中央片35と第2上端片36及び第2下端片37との間において、第2対向片34と後壁33との間にはそれぞれ第1絶縁碍子39が介装されており、これにより、第2給電部材27は、左右の側板21に絶縁された状態で支持される。
6本の連結シャフト22a,22b,23a,23b,24a,24bは、両端部が左右の第1端片31に締結される上下の第1連結シャフト22a,22bと、両端部が左右の第2上端片36及び第2下端片37に締結される上下の第2連結シャフト23a,23bと、両端部が左右の側板21に締結される上下の第3連結シャフト24a,24bと、により構成されている。側面視において、第1連結シャフト22a,22bは上下同一線上に配置され、第2連結シャフト23a,23bは上部後側と下部中央側との対角位置に配置され、第3連結シャフト24a,24bは第2連結シャフト23a,23bのさらに外側で対角位置に配置されている。また、左右の側板21の上下には、第2連結シャフト23a,23bに対応する位置に円形の逃げ孔47(図5参照)が穿設されており、これにより、左右の側板21に第2連結シャフト23a,23b及び後述する第2スペーサ48が干渉しないようになっている。
図2に示されているように、接地電極板16は、丸孔形状の開口部41が多数形成された1枚の矩形状の導電性を有する金属(実施例では鉄)により平板状に形成されており、着脱可能なリベットなどの着脱手段により含塵空気の流通を遮る向き(含塵空気の流通方向に対して直交する向き)で枠体15の前面に着脱自在に取り付けられている。開口部41は、碁盤の目のように上下左右に整列して一定間隔で配置されている。本実施例において、開口部41は、上下12段且つ左右11列に亘って合計で132個設けられており、開口部41の内径は13mmに設定されている。
図3に示されているように、支持基板17は、縦長短冊状で導電性を有する金属(実施例ではアルミ)製の板材により形成されており、上下端部を第1連結シャフト22a,22bがそれぞれ貫通し、第1連結シャフト22a,22bに取り付けられた第1スペーサ42により各支持基板17間は等間隔で平行に保持されている。本実施例において、支持基板17は、開口部41の配列に対応して11個設けられており、正面視で開口部41の中付付近を通過するように配置されている。
図3〜図8に示されているように、1つの支持基板17には、カシメ部9が1列分の開口部41の数(本実施例では、12個)に対応する段数分形成されており、該各段のカシメ部9にはそれぞれ1本の放電用針電極18の基端部18bが片持ち支持されている。放電用針電極18はその先端部18aを前方に向けた水平姿勢に保持されている。放電用針電極18は、64チタンと称されるチタン合金製、具体的には、JIS60種合金(6%Al+4%V+90%Ti)製であり、例えば直径がφ0.5mm〜0.6mmの細線状又は針状に形成され、先端は研磨加工されている。
放電用針電極18は、その先端部18aをカシメ部9から前方に向けた水平姿勢に保持され、放電用針電極18の先端部18aが接地電極板16の開口部41の中心線CL(図8参照)上に位置するように配設されている。これにより、放電用針電極18の先端部18aと開口部41の周縁部とが一定間隔を維持するようになっている。本実施例において、放電用針電極18の先端部18aと開口部41の周縁部との距離(図8L1参照)は、コンパクト化を図るため、10mmに設定されている。
このように放電用針電極18を構成することにより、オゾン発生量を著しく低下することができると共に、加工性に優れ、安定した放電を可能とし、放電用針電極18の磨耗量を抑制し、長寿命化を図ることができる。また、64チタン製の放電用針電極18は、靭性に優れているため、カシメ接合や屈曲可能する場合に破断し難く、耐久性を高めることができる。
図2〜図8に示されているように、集塵板19は、アース接続されており、支持基板17の中間位置に配置される第1の集塵板43と、支持基板17の後方延長線上に配置される第2の集塵板44と、を備え、第1の集塵板43と第2の集塵板44とは交互に配置されている。第1の集塵板43及び第2の集塵板44の上部後方部分及び下部前方部分には、第3連結シャフト24a,24bがそれぞれ貫通し、第3連結シャフト24a,24bに取り付けられた第3スペーサ45(図3参照)により第1の集塵板43と第2の集塵板44との間は等間隔で平行に保持されている。本実施例では、10枚の第1の集塵板43と11枚の第2の集塵板44とが交互に配置されている。
図8に良く示されているように、第1の集塵板43は、その前端部43aが支持基板17の前端部17aと一致する位置まで前方に延出して形成されている。この時、放電用針電極18の先端部18aから該放電用針電極18に対応する開口部41の周縁部までの距離L1が該放電用針電極18から最も近い第1の集塵板43の前端部43aまでの距離L2より短くなるように設定されている。なお、本実施例では、L1が10mm、L2が13mmに設定されている。
第1の集塵板43の前方部分の上下端部には切欠部46(図7参照)がそれぞれ形成されており、これにより、第1の集塵板43に第1連結シャフト22a,22b及び第1スペーサ42が干渉しないようになっている。また、第1の集塵板43の上下には、第2連結シャフト23a,23bに対応する位置に円形の逃げ孔47(図7参照)が穿設されており、これにより、第1の集塵板43に第2連結シャフト23a,23b及び後述する第2スペーサ(図示せず)が干渉しないようになっている。
第2の集塵板44は、その前端部44aが放電用針電極18の後端部18bから後方に所定距離、離間して配置され、側面視において第2の集塵板44の前端部44aを除く上下後方の周縁部は第1の集塵板43の上下後方の周縁部と一致するように配設されている。また、第2の集塵板44の上下には、第1の集塵板43と同様に円形の逃げ孔47(図6参照)が穿設されており、これにより、第2の集塵板44に第2連結シャフト23a,23b及び後述する第2スペーサ(図示せず)が干渉しないようになっている。
高電圧極板20は、第1の集塵板43と第2の集塵板44との中間位置に配置され、第1の集塵板43又は第2の集塵板44を両側から挟むように設けられている。高電圧極板20の上部後方部分及び下部前方部分には、第2連結シャフト23a,23bがそれぞれ貫通し、第2連結シャフト23a,23bに取り付けられた前記第2スペーサにより各高電圧極板20間は等間隔で平行に保持されている。本実施例では、22枚の高電圧極板20が配置されている。
図6に良く示されているように、高電圧極板20は、側面視において高電圧極板20の全周縁部が第2の集塵板44の全周縁部より内側となるように第2の集塵板44より一回り(本実施例では、約6mm)小さく形成されている。また、高電圧極板20の上部後方部分及び下部前方部分には切欠部49(図6参照)がそれぞれ形成されており、これにより、高電圧極板20に第3連結シャフト24a,24b及び第3スペーサ45(図3参照)に干渉しないようになっている。図7に良く示されているように、高電圧極板20は、側面視において上下後方の周縁部が第1の集塵板43の上下後方の周縁部より内側となるように第1の集塵板43より一回り小さく形成されている。また、上述したように、第1の集塵板43の前端部43aは、支持基板17の前端部17aと一致する位置まで前方に延出して形成されているため、高電圧極板20の前方の周縁部より一回り以上前方に大きく形成されている。
次に、上記した本発明の第1の実施の形態に係る電気集塵機の作用について説明する。
図1及び図2に示されている矢印のように、マシニングセンタなどの加工機から発生した含塵空気は、モータ6の駆動で回転する吸引ファン5の吸引によって吸込口2から本体ケース1内に吸い込まれる。本体ケース1内に流入した含塵空気は、前記エリミネータ(又は前記プレフィルター)により濾過された後、電極装置4に吸い込まれる。
電極装置4において、放電用針電極18には高電圧電源部11から第1給電部材26を介して高電圧HVが印加され、これにより発生するコロナ放電によって、放電用針電極18の先端部18aと接地電極板16の開口部41の全周端部との間には、綺麗な放物線状の円錐形状の帯電エリアEAが形成される。一方、高電圧極板20には、高電圧電源部11から第2給電部材27を介して高電圧LVが印加される。
なお、本実施例の場合、コンパクト化を図るため、放電用針電極18の先端部18aと開口部41の全周縁部との距離を10mmに設定したことにより、コロナ放電の開始電圧が約6.5kV位になる。そのため、この放電開始電圧に多少の余裕を加味して、放電用針電極18の先端部18aから開口部41の全周縁部との間に印加される高電圧HVは、−8kVに設定されている。一方、高電圧極板20に印加される高電圧LVは、前記高電圧HVの1/2の−4KVに設定されている。
図8に示されているように、このように形成された帯電エリアEAを含塵空気が通過すると、含塵空気中の微粉塵及びミスト等の粒子は帯電され、帯電された粒子は高電圧極板20に印加された高電圧LVに反発することで第1の集塵板43及び第2集塵板44に捕集される。これにより、含塵空気は清浄空気となり、図1の右側上方に示されている矢印のように、排気口3から本体ケース1の外部へ排出される。
このように上記した構成を備えた本発明の第1の実施の形態に係る電気集塵機によれば、放電用針電極18の先端部18aと接地電極板16の開口部41の周縁部とが所定距離を維持するように放電用針電極18が接地電極板16の各開口部41に対応して配置されているため、開口部41を通過する含塵空気は必ず帯電エリアEAを通過し、放電用針電極18が異常放電することなく、含塵空気中の微粉塵やミスト等の粒子を荷電することができ、荷電効率を高めることができる。また、接地電極板16が含塵空気の流通を遮る向きに配置されているため、含塵空気の流通方向の長さを短縮することができ、小型化を実現することができる。さらに、放電用針電極18によって帯電された微粉塵やミスト等の粒子は、含塵空気下流側に設けた高電圧極板20の反発作用によって、第1の集塵板43側及び第2の集塵板44側に移動することで確実に粒子を捕集することができる。
また、第1の集塵板43が支持基板17とラップする位置まで含塵空気の流通方向上流側に延出するように形成されているため、第1の集塵板43が支持基板17とラップしている箇所では、印加電圧による反発力が作用し、放電用針電極18によって帯電された微粉塵やミスト等の粒子は、すぐに第1の集塵板43に捕集されるため、捕集効率の向上を図ることができる。
また、放電用針電極18の先端部18aから放電用針電極18に対応する開口部41の周縁部までの距離L1が放電用針電極18から最も近い第1の集塵板43の端部までの距離L2より短くなるように設けられているため、放電用針電極18と接地電極板16との間で確実に放電エリアを生成することができる。また、異常放電しない程度まで第1の集塵板43の面積を大きく形成することができ、帯電粒子をより多く捕集することができるため、帯電粒子の捕集効率をさらに向上させることができる。
また、集塵板19が、第1の集塵板43と第2の集塵板44とを備えており、集塵板19の面積を増大させることができるため、帯電粒子の捕集効率を高め、高濃度の粒子の吸引にも対応することができると共に、集塵板19の清掃等のメンテナンスサイクルを延長することができる。
また、高電圧極板20を側面視で第2の集塵板44より小さく形成することにより、高電圧極板20と第2の集塵板44の周縁部(エッジ)間の距離を高電圧極板20と第2の集塵板44間の離間距離より大きく取ることができるため、放電し易い箇所である周縁部(エッジ)間において異常放電が発生するのを防止することができる。また、高電圧極板20を第2の集塵板44より小さくすることにより、捕集面積の減少やメンテナンスサイクルの短縮を防止することができる。
また、高電圧極板20と集塵板19間に印加される高電圧LVを放電用針電極18と接地電極板16間に印加される高電圧HVの1/2の大きさに制御することにより、例えば、長期に亘る稼働により放電用針電極が磨耗した場合であっても、放電を維持するために、放電用針電極18と接地電極板16間の電圧HVのみを上昇させることができる。この時、高電圧極板20と集塵板19間の電圧LVも一緒に上昇させてしまうと、高電圧極板20と集塵板19間では、両者間の距離が変化しないため、異常放電(スパーク)が発生し易くなり、異常放電(スパーク)が発生すると、集塵板19に捕集された粒子に着火し、火災が発生する危険性がある。しかしながら、放電用針電極18と接地電極板16間の電圧HVと高電圧極板20と集塵板19間の電圧LVとをそれぞれ別々に制御することにより、このような異常放電の発生や、粒子の着火による火災の発生を確実に防止することができる。
また、高電圧極板20と集塵板19間の電圧LVを放電用針電極18と接地電極板16間の電圧HVに対して1/2の大きさに制御することにより、第1の集塵板43と第2の集塵板44との中間位置に高電圧極板20を配置することができるため、高電圧極板20に印加された高電圧LVにより帯電された粒子が反発し、第1の集塵板43と第2の集塵板44に効率良く粒子が捕集され、捕集効率を向上させることができる。さらに、第1の集塵板43と第2の集塵板44には、捕集された粒子が堆積するが、高電圧極板20と集塵板19間の電圧LVを放電用針電極18と接地電極板16間の電圧HVに対して1/2の大きさに制御しているため、異常放電(スパーク)発生時のエネルギーを小さく抑えることができ、粒子の捕集堆積による異常放電(スパーク)を防止し、火災や発火の発生を防止することができる。
また、放電用針電極18と接地電極板16との間に印加される電圧HVを、異常放電発生電圧以下の余裕を持たせた値(−8kV)に設定することで、異常放電の発生を抑制することができる。さらに、放電用針電極18の先端部18aと開口部41の周縁部との距離を10mmに設定することにより、含塵空気の流れ方向の寸法をコンパクトにすることができ、電気集塵機の小型化を図ることができる。
また、含塵空気の流通方向に対して直交する向きに接地電極板16が配置され、接地電極板16に多数の開口部41が形成されることにより、接地電極板16は、電極装置4のアース板の機能を有すると共に、含塵空気を整流する機能を有するため、別途整流板を設ける必要がなく、その分コストの低減化を図ることができる。
また、接地電極板16は枠体15に対して着脱自在に設けられ、1枚の板金のみにより構成されているため、接地電極板16が微粉塵やミストの付着堆積によって汚染された場合に、特に接地電極板16の裏面側(含塵空気の流通方向の下流側)に堆積した汚れを簡単に清掃することができ、メンテナンス性を高めることができると共に、部品点数の削減が可能となり、コストの低減化を図ることができる。さらに、含塵空気の流通を遮る直交の向きに配置された1枚の板金により接地電極板16を構成することにより、電極装置4の長手方向(含塵空気の流通方向)の寸法を短縮することができ、電気集塵機自体の長手方向の寸法も小さくすることができるため、製品の小型化が可能となる。
次に、図9〜図14を参照しつつ、本発明の第2の実施の形態に係る電気集塵機の電極装置50について詳細に説明する。ここで、図9は本発明の第2の実施の形態に係る電気集塵機の電極装置50を示す斜視図、図10は電極装置50を示す平面図、図11は図10のA−A矢視図、図12は図10のB−B矢視図、図13は電極装置50を示す平断面図、図14は図13のC矢視図である。なお、以下の説明では、説明の簡略化のため、上記した第1の実施の形態における電極装置4の場合と同等の構成については、図中、図1〜図8と同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図9に示すように、電極装置50は、電極装置本体51と、この電極装置本体51に対して高電圧を印加する高電圧電源部11と、を備えている。
図9〜図14に示されているように、電極装置本体51は、前面側から見て矩形状で内部が中空な枠体52と、枠体52の前面に取り付けられてアース接続される接地電極板16と、接地電極板16より後方(含塵空気の流通方向下流側)の枠体52内において接地電極板16に直交する向きに鉛直姿勢で並設される複数の高電圧極板53と、枠体52内において前方に向かって高電圧極板53に片持ち支持される放電用針電極18と、各高電圧極板53の中間位置に鉛直姿勢で並設される複数の集塵板54と、を備えている。
枠体52は、互いに対向するように立設される左右の側板55と、左右の側板55間に水平姿勢で貫設される4本の連結シャフト56a,56b,57a,57bと、を備えて構成されている。
左右の側板55は凹状に形成された縦長箱状を成し、左右の側板55には、上部後方及び下部前方にそれぞれ円形の逃げ孔58が穿設され、逃げ孔58の側方には碍子支持部材59が取り付けられている。
4本の連結シャフト56a,56b,57a,57bは、両端部が左右の碍子支持部材59に締結される上下の第1連結シャフト56a,56bと、両端部が左右の側板55の上部後方角部及び下部前方角部に締結される上下の第2連結シャフト57a,57bと、により構成されている。側面視において、第1連結シャフト56a,56bは上部後側と下部前側との対角位置に配置され、逃げ孔58を遊貫している。また、第2連結シャフト57a,57bは第1連結シャフト56a,56bのさらに外側で対角位置に配置されている。
高電圧極板53は、導電性を有する金属(実施例では鉄)製の板材により形成されている。高電圧極板53の上部後方部分及び下部前方部分には、第1連結シャフト56a,56bがそれぞれ貫通し、第1連結シャフト56a,56bに取り付けられた第1スペーサ(図示せず)により各高電圧極板53間は等間隔で平行に保持されている。本実施例において、高電圧極板53は、開口部41の配列に対応して14枚設けられており、正面視で開口部41の中心付近を通過するように配置されている。なお、本実施例では、接地電極板16の開口部41が上下12段且つ左右14列に亘って合計で168個設けられている。
図12に良く示されているように、高電圧極板53は、側面視において前端部53aを除く上下後方の周縁部が集塵板54の上下後方の周縁部より内側となるように集塵板54より一回り(本実施例では、約9mm)小さく形成されている。高電圧極板53の上部後方部分及び下部前方部分には切欠部60がそれぞれ形成されており、これにより、高電圧極板53に第2連結シャフト57a,57b及び後述する第2スペーサ61(図9参照)に干渉しないようになっている。また、左右端部側の高電圧極板53と碍子支持部材59との間には、それぞれ絶縁碍子62が介装されており、これにより、高電圧極板53は、左右の側板55に絶縁された状態で支持されている。
高電圧極板53は、支持基板としての機能も有しており、その前端部53aには、カシメ部(図示省略)が1列分の開口部41の数(本実施例では、12個)に対応する段数分形成されており、該各段のカシメ部にはそれぞれ1本の放電用針電極18の基端部18bが片持ち支持されている。
集塵板54は、アース接続されており、集塵板54の上部後方部分及び下部前方部分には、第2連結シャフト57a,57bがそれぞれ貫通し、第2連結シャフト57a,57bに取り付けられた第2スペーサ61(図9参照)により集塵板54間は等間隔で平行に保持されている。本実施例では、13枚の集塵板54が設けられている。
図13に良く示されているように、集塵板54は、その前端部54aが高電圧極板53の前端部53aと一致する位置まで前方に延出して形成されている。この時、放電用針電極18の先端部18aから該放電用針電極18に対応する開口部41の周縁部までの距離L1が該放電用針電極18から最も近い集塵板54の前端部54aまでの距離L2より短くなるように設定されている。
次に、上記した本発明の第2の実施の形態に係る電気集塵機の電極装置50の作用について説明する。
図13に示されているように、高電圧極板53及び放電用針電極18には高電圧電源部11から下側の第1連結シャフト56bを介して高電圧HVが印加され、これにより発生するコロナ放電によって、放電用針電極18の先端部18aと接地電極板16の開口部41の全周端部との間には、綺麗な放物線状の円錐形状の帯電エリアEAが形成される。なお、本実施例の場合、高電圧HVは、−8kVに設定されているが、プラスの高電圧+8kVに設定しても良い。
このように形成された帯電エリアEAを、電極装置50に吸い込まれた含塵空気が通過すると、含塵空気中の微粉塵及びミスト等の粒子は帯電され、帯電された粒子は高電圧極板53に印加された高電圧HVに反発することで集塵板54に捕集される。これにより、含塵空気は清浄空気となり、外部へ排出される。
このように上記した構成を備えた本発明の第2の実施の形態に係る電気集塵機によれば、
高電圧極板53が支持基板と一体化されており、該高電圧極板53の前端部53aにラップする位置まで集塵板54が含塵空気の流通方向上流側に延出するように配置されている。そのため、前記ラップしている箇所では、印加電圧による反発力が作用し、帯電された粒子は、すぐに集塵板54に捕集されるため、捕集効率の向上を図ることができる。また、高電圧極板53と支持基板とを一体化することにより、シンプルな構成で部品点数の削減及びコストの低減化を図ることができ、経済性を高めることができる。
また、側面視で高電圧極板53の前端部53aが集塵板54の前端部54aと一致すると共に前端部53aを除く高電圧極板53の上下後方の周縁部が集塵板54の周縁部より内側となるように高電圧極板53が集塵板54より小さく形成されているため、高電圧極板53と集塵板54の周縁部(エッジ)間の距離を高電圧極板53と集塵板54間の離間距離より大きく取ることができる。そのため、放電し易い箇所である周縁部(エッジ)間において異常放電が発生するのを防止することができる。また、高電圧極板53を集塵板54より小さくすることにより、捕集面積の減少やメンテナンスサイクルの短縮を防止することができる。
なお、上記した第2の実施の形態では、放電用針電極18と高電圧極板53とを別体に構成しているが、図15に示すように、放電用針電極61と高電圧極板62とを板金で一体に形成し、放電用針電極61を先細り三角突起形状としてもよい。この場合、部品点数を削減することができ、コストの低減化を図ることができる。
また、上記した第2の実施の形態では、高電圧極板53を支持基板と一体に構成しているが、図16に示すように、高電圧極板53を支持基板71から離間して構成してもよい。
この場合、放電用針電極18と接地電極板16間の電圧HVと高電圧極板53と集塵板54間の電圧HVとをそれぞれ別々に制御することができる。したがって、放電用針電極18と接地電極板16間で安定的で均一な帯電エリアを形成することができ、荷電効率の向上を図ることができると共に、異常放電の発生や、粒子の着火による火災の発生を確実に防止することができる。なお、放電用針電極18と接地電極板16間の電圧HVと高電圧極板53と集塵板54間の電圧HVは、同一値でもよく、異なる値であってもよい。
また、図17に示すように、接地電極板の開口部91を矩形状に形成すると共に開口部91の四隅を湾曲して形成してもよい。このように接地電極板90の開口部91を矩形状とした場合には、丸孔形状とした場合と比較して、開口面積を多く確保することができるため、含塵空気量が多い場合には、特に有効である。さらに、開口部91の四隅をR形状とすることで、四隅の帯電エリアEAにおける放電量の減少を抑制することができ、四隅への微粉塵やミストの堆積も抑制することができる。
次に、図8、図13、図14、図19及び図20を参照しつつ、電極装置の帯電エリアEAについて従来の電極装置と本発明の電極装置4,50とを比較して説明する。
図19は、並設された接地電極板101の間に支持基板102を配設し、接地電極板101に平行を成すように含塵空気の流通方向に沿って放電用針電極103を支持基板102に支持させた従来の電気集塵機の電極装置100を示す平面図であり、図20はその正面図であり、それぞれ、帯電エリアEAを一点鎖線で示している。この場合、図20に破線の楕円で示すように、放電用針電極103の間に帯電の弱いエリアWAが存在する。この帯電の弱いエリアWAを少なくするため、上下方向に放電用針電極103を傾斜させて取り付けることも提案されているが(上記特許文献1の図4乃至図6等参照)、これだけで帯電の弱いエリアWAをすべてカバーすることは難しい。そのため、従来の電極装置100では、荷電効率の向上を図ることが難しいという問題がある。
これに対して、上記した本発明の第1及び第2の実施の形態に係る電気集塵機の電極装置4,50では、図8、図13及び図14に示すように、接地電極板16の開口部41の全周端部との間に、帯電エリアEAを形成することができ、特に開口部41を丸孔形状とした場合には、開口部41に綺麗な放物線を描いた円錐形状の帯電エリアEAを形成することができる。したがって、含塵空気は必ず開口部41を通過し、含塵空気中の微粉塵及びミスト等の粒子を確実且つ均一に帯電することができると共に、高電圧コロナ放電で発生する空気イオンと微粉塵及びミストとの衝突(接触)の効率を高めることができるため、効率の良い帯電を行うことが可能となる。
なお、上記した本発明の実施の形態の説明は、本発明に係る電気集塵機における好適な実施の形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。すなわち、上記した本発明の実施の形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した本発明の実施の形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
本発明の技術は、加工工場で発生する粉塵やオイルミストを吸引して捕集する電気集塵機で利用されることが見込まれるものである。また、図18に示されているように、本発明の電気集塵機90を業務用機器91にビルトインして利用されることも見込まれる。
図18に示す業務用機器91は、縦長直方体形状を有し、内部下方に配設される油槽92と、内部上方に配置される電気集塵機90と、前面中央に開口される吸込口93と、前面上部に貫設される操作部94と、後面上部に開口される排気口95と、を備えて構成されている。電気集塵機90は押し込みタイプのファン96を有し、このファン96の駆動により、吸込口93から内部に流入した空気は、図18中の矢印で示すように、油槽92から発生した油煙を含んだ後、電気集塵機90を通過することで清浄化され、排気口95を通って外部に排出される。
16 接地電極板
17 支持基板
18 放電用針電極
18a (放電用針電極の)先端部
19 集塵板
20 高電圧極板
41 開口部
43 第1の集塵板
44 第2の集塵板
53 高電圧極板
54 集塵板
61 放電用針電極
62 高電圧極板
71 支持基板
91 開口部

Claims (11)

  1. 高電圧の印加によって発生するコロナ放電により含塵空気中の微粉塵やミスト等の粒子を帯電させて捕集する電気集塵機において、
    含塵空気の流通を遮る向きに配置され、含塵空気を通過させる開口部が多数形成された接地電極板と、
    該接地電極板より含塵空気の流通方向下流側において、前記各開口部に対応して配置される放電用針電極と、
    該放電用針電極の先端部と該開口部の周縁部とが所定間隔を維持するように該放電用針電極の基端部を支持する支持基板と、
    前記放電用針電極より含塵空気の流通方向下流側に並設される複数の集塵板と、
    該各集塵板の間において該集塵板に対向して配置される高電圧極板と、
    を備えていることを特徴とする電気集塵機。
  2. 前記集塵板は前記支持基板とラップする位置まで前記流通方向上流側に延出するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気集塵機。
  3. 前記放電用針電極の先端部から該放電用針電極に対応する前記開口部の周縁部までの距離が該放電用針電極から最も近い前記集塵板の端部までの距離より短くなるように設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気集塵機。
  4. 前記集塵板は、隣接する前記支持基板の中間位置において該支持基板とラップする位置まで前記流通方向上流側に延出するように配置される第1の集塵板と、前記支持基板の前記流通方向下流側延長線上において該支持基板から離間して配置される第2の集塵板と、を備え、前記高電圧極板は、前記第1の集塵板と前記第2の集塵板との中間位置にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1の請求項に記載の電気集塵機。
  5. 前記高電圧極板は、前記流通方向に直交する方向から見て該高電圧極板の全周縁部が前記第2の集塵板の全周縁部より内側となるように該第2の集塵板より小さく形成されていることを特徴とする請求項4に記載の電気集塵機。
  6. 前記高電圧極板と前記第1の集塵板及び前記第2の集塵板との間に印加される高電圧は前記放電用針電極と前記接地電極板との間に印加される高電圧の1/2の大きさに制御されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の電気集塵機。
  7. 前記接地電極板の開口部は内径が13mmの丸穴により形成され、前記放電用針電極の先端部は前記開口部の周縁部との距離が10mmとなるように該開口部の中心に配置され、前記放電用針電極と前記接地電極板との間には−8kVの高電圧が印加されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1の請求項に記載の電気集塵機。
  8. 前記集塵板は、隣接する前記支持基板の中間位置において前記支持基板とラップする位置まで前記流通方向上流側に延出するように配置され、前記高電圧極板は、前記各集塵板の中間位置に配置され、前記支持基板の前記流通方向下流側延長線上において該支持基板と一体化されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1の請求項に記載の電気集塵機。
  9. 前記高電圧極板は、前記流通方向に直交する方向から見て、該高電圧極板の前記流通方向上流側端部が前記集塵板の前記流通方向上流側端部と一致すると共に該流通方向上流側端部を除く該高電圧極板の周縁部が前記集塵板の周縁部より内側となるように、該集塵板より小さく形成されていることを特徴とする請求項8に記載の電気集塵機。
  10. 前記集塵板は、隣接する前記支持基板の中間位置において該支持基板とラップする位置まで前記流通方向上流側に延出するように配置され、前記高電圧極板は、前記各集塵板の中間位置に配置され、前記支持基板の前記流通方向下流側延長線上において該支持基板から離間して配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1の請求項に記載の電気集塵機。
  11. 前記放電用針電極と前記支持基板と前記高電圧極板とが一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1の請求項に記載の電気集塵機。
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