以下、本発明の実施形態として、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)を詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10を前方から見た斜視図、図3及び図4はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図、図5は中間ユニット13の正面図である。なお、図3及び図5では便宜上パチンコ機10の遊技領域23a内の構成を省略している。
パチンコ機10は、図3に示すように、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機本体12と、を有する。外枠11は、木製の板材を上辺及び下辺とし、アルミ製の板材を左右の辺とした四辺を固定した枠状に形成される。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより遊技場に設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、外枠11又は外枠11と同一の内形を有し、外枠11の遊技機本体12支持構造及び施錠構造を有する部材が遊技場に備え付けられた構成としても良い。
遊技機本体12は、図3に示すように、中間ユニット13と、その中間ユニット13の前方に配置される前扉枠14と、中間ユニット13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。遊技機本体12のうち中間ユニット13が外枠11に対して回動可能に支持されている。
中間ユニット13には、図3に示すように、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし、右側を回動先端側(開閉先端側)として前方へ回動可能とされている。また、中間ユニット13には、図4に示すように、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし、右側を回動先端側(開閉先端側)として後方へ回動可能とされている。
中間ユニット13には、図3に示すように、その回動先端部に施錠機構16が設けられており、遊技機本体12を外枠11に対して開放不能に施錠状態とする機能と、前扉枠14を中間ユニット13に対して開放不能に施錠状態とする機能を有している。これらの各施錠状態は、図1に示すようにパチンコ機10前面にて露出させて設けられた施錠機構16のキーシリンダに対して、解錠キーを用いて解錠操作を行うことにより、それぞれ解除される。
中間ユニット13は、図3に示すように、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす枠状の枠ユニット21を主体に構成されている。枠ユニット21は、前面側より遊技盤23が着脱可能に取り付けられる内枠としての機能を有し、この遊技盤23に形成される遊技領域23aが中間ユニット13の前面側に露出可能に取り付けられる。遊技領域23a内の様子は、図3に示すように、前扉枠14の背面側に設けられた窓パネルユニット30を通じてパチンコ機10前方から視認可能となっている。
前扉枠14は、中間ユニット13の前面側に回動可能に取り付けられている。前扉枠14の回動基端側には、図2に示すように、前扉取付金具57,58が設けられ、この前扉取付金具57,58が中間ユニット13に係合することにより、中間ユニット13に対して前扉枠14が回動可能に支持される。
前扉枠14は、図3に示すように、中間ユニット13と外形がほぼ同一の長方形状に形成されている。前扉枠14には、窓パネルユニット30の外周縁が正面視で露出しないように窓パネルユニット30より小さく開口形成された窓部14aが設けられる(図1参照)。この窓部14aが窓パネルユニット30によって背面側から覆われることで、窓パネルユニット30を取り付けた前扉枠14によって中間ユニット13の前面側のほぼ全域が覆われる。
窓パネルユニット30は、図3に示すように、窓部14aより大きな外形で透明性を有する前後一対の透明ガラス31,32と、これら透明ガラス31,32を一体化する固定枠33とを備えている。固定枠33は、合成樹脂により透明ガラス31,32より一回り大きな環状に形成され、透明ガラス31,32の外周縁が固定枠33に接着されることで窓パネルユニット30は一体化された複層ガラスとされている。
なお、窓パネルユニット30は、透明ガラス31,32によって無色透明に形成されているが、これに限定されることはなく合成樹脂によって無色透明に形成されていてもよく、パチンコ機10前方から窓パネルユニット30を通じて遊技領域23aを視認可能であれば無色透明でなく有色透明に形成されていても良い。
前扉枠14において窓部14aの周囲には、図1に示すように、LED等の発光手段を内蔵した電飾部24が複数設けられている。これら電飾部24では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、窓部14aの上側の電飾部24には、払出球が不足する等の所定のエラー時に点灯する発光手段と、賞球払出中に点灯する発光手段とが内蔵されている。また、窓部14aの右上側及び左上側には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ装置を覆うスピーカカバー27が設けられている。
前扉枠14における窓部14aの下方には、図2に示すように、手前側へ膨出した上側膨出部28と下側膨出部29とが上下に並設されている。上側膨出部28には上方に開口した上皿28aが設けられており、下側膨出部29には同じく上方に開口した下皿29aが設けられている。上皿28aは、払出装置224より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射機構110側へ導く機能を有している。また、下皿29aは、上皿28a内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有している。なお、上皿28aと下皿29aとに分けて複数箇所に遊技球を貯留する部位を設ける必要はなく、下皿29aを廃止して上皿28aのみとした1つの貯留部のみを有する構成としても良い。
上側膨出部28における上皿28a(遊技球の貯留領域)の手前側には、遊技者らにより手動操作される操作スイッチ40が設けられている。操作スイッチ40は、図柄表示装置94の表示画面94a等にて遊技者の操作に対応した演出が行われる場合に使用される操作装置である。この操作スイッチ40は、上皿28a以外に下皿29a周辺等の別の部位に設けられても良いし、複数箇所に設けられても良く、また、操作方法として押しボタン式のスイッチであっても良く、タッチセンサ、非接触式のセンサ等の別の操作方法によって情報入力可能な構成としても良い。
前扉枠14における下側膨出部29の右側には、図2に示すように、手前側へ突出するようにして発射操作装置45が設けられている。発射操作装置45は、遊技領域23aに遊技球を発射すべく操作される装置であり、図2に示すように、操作ベース46に対して、環状の操作ハンドル47が回転可能に軸支されてなり、遊技球の発射操作に際して操作ハンドル47が遊技者により回転操作されるものである。この場合、操作ハンドル47の回転操作量は、操作ベース46に内蔵された操作量検出手段としての可変抵抗器により検出される。また、発射操作装置45には、操作ハンドル47を遊技者が触れていることを検知するためのタッチセンサが操作ベース46に内蔵されるとともに、操作ハンドル47を回転操作した状態において遊技球の発射を停止させるために操作される停止操作レバー48が設けられている。
前扉枠14の背面側には、図3に示すように、通路形成ユニット50が取り付けられている。通路形成ユニット50は、合成樹脂により成形されており、上皿28aに通じる前扉側上皿通路部51と、下皿29aに通じる前扉側下皿通路部52と、ファール球通路部55を有している。通路形成ユニット50の上側隅部には後方に突出し上方に開放された払出球受口部53が形成されており、当該受口部53が仕切壁54によって左右に仕切られることで前扉側上皿通路部51の通路入口と前扉側下皿通路部52の通路入口とがそれぞれ形成されている。
ファール球通路部55は、遊技球発射機構110から発射された遊技球のうち遊技領域23aまで至らなかった遊技球をファール球として下皿29aに排出する通路を形成する部位である。ファール球通路部55には、図3に示すように、上方に開放されたファール球受口部56が設けられる。このファール球受口部56よりファール球が受け入れられ、前扉側下皿通路部52にファール球が案内されることにより、ファール球通路部55に入った遊技球は下皿29aに排出される。なお、ファール球通路部55は、下皿29aでなく、上皿28aに接続され、ファール球が上皿28aに排出される構成としても良い。
遊技球発射機構110は、図3に示すように、前扉枠14を開放した場合に前面側に露出される部品であり、中間ユニット13の前面側右下部分に設けられている。この遊技球発射機構110は、図5に示すように、発射装置として設けられた電磁式の発射用ソレノイド111と、発射レール112と、球送り装置113とを備えている。球送り装置113は、上皿28aに貯留された遊技球を発射レール112上に1個ずつ供給する。この場合、この供給される遊技球は発射用ソレノイド111において打出し部として設けられたプランジャ114の突出経路上に配置される。そして、発射用ソレノイド111への電気的な信号の入力により、プランジャ114が発射レール112上の遊技球に向けて移動し、当該遊技球は遊技領域23aに向けて打出される。なお、遊技球発射機構110の電動アクチュエータは、発射用ソレノイド111に限定されることはなく、発射モータなどを用いても良い。
中間ユニット13の左側であって発射レール112の左方には、図5に示すように、皿通路形成部材121が配設されている。枠ユニット21には、皿通路形成部材121が設けられる部位を前後方向に貫通する貫通孔が設けられ、この貫通孔を前面側から覆うようにして皿通路形成部材121は、枠ユニット21にネジ止めされている。
皿通路形成部材121は、図5に示すように、本体側上皿通路部122と本体側下皿通路部123とを有している。前扉枠14が閉鎖状態とされた場合には、皿通路形成部材121の下側部分に前扉枠14に設けられる通路形成ユニット50の払出球受口部53(図3参照)が入り込む。そして、本体側上皿通路部122の下方には前扉側上皿通路部51が配置され、本体側下皿通路部123の下方には前扉側下皿通路部52が配置される。
皿通路形成部材121の下側部分には、図5に示すように、本体側上皿通路部122及び本体側下皿通路部123からの遊技球の流出を規制するシャッタ124が設けられている。シャッタ124は、両通路の出口部分を狭め遊技球の流出を阻止する阻止位置と、遊技球の流出を許容する許容位置との両位置に切り替え可能に設けられる。また、枠ユニット21には、シャッタ124を阻止位置に向けて付勢する付勢部材が取り付けられ、前扉枠14を中間ユニット13に対して開いた状態では付勢部材の付勢力によってシャッタ124が阻止位置に留まる構成となっている。これにより、本体側上皿通路部122又は本体側下皿通路部123に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合に、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が回避されている。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット50に設けられた払出球受口部53の外周部分により上記付勢力に抗してシャッタ124が許容位置に押し戻される。この状態では、本体側上皿通路部122及び前扉側上皿通路部51が連通し、本体側下皿通路部123及び前扉側下皿通路部52が連通して、遊技球の流下が許容される。
次に、遊技領域23aを形成する遊技盤23の構成を、図6に基づいて説明する。図6は遊技盤23の正面図である。
遊技盤23は、木製の合板で形成した板材と同板材の前側の板面を覆うシート材とを有する遊技板23bを備えており、その全面が枠ユニット21の前面側に露出している。この露出している部位、すなわち遊技盤23の前面には、遊技球が流下する遊技領域23aが形成されている。上記したように遊技領域23aは透明ガラス31,32によって前面側が覆われているため、後側の透明ガラス32によって遊技領域23aの前面側が区画される。また、遊技領域23aの背面側は遊技板23bの前面によって区画される。なお、遊技板23bを構成する板材は、合板に限らず一枚板で形成しても良いし、木製に限らず例えば透明な合成樹脂製の板材または成形品で形成しても良い。
遊技領域23aは、正面視において遊技盤23のほぼ全域に渡る上下及び左右方向の寸法に設定され、右下部分のみが右下側に突出した略円形状に形成されている。遊技領域23aは、その外周が誘導レール100及び区画部材107により区画されている。誘導レール100は、遊技盤23の前面左側部分に設けられる円弧状の内レール101と外レール102とからなり、これら内レール101と外レール102とにより遊技領域23aの左側に円弧状の誘導通路103を形成する。
誘導通路103の下側端部には、誘導通路103の入口部104が形成され、この入口部104と発射レール112とは離間して設けられる(図5参照)。誘導通路103の上側端部には、誘導通路103の出口部105が形成され、その出口部105の右上側には遊技領域23aに到達した遊技球の誘導通路103内への戻りを防止する戻り防止部材106が取り付けられている。
発射操作装置45(図1参照)の操作ハンドル47が遊技者により手動操作された場合、中間ユニット13の右下部分に設けられた遊技球発射機構110(図5参照)から発射された遊技球は、誘導通路103を経由し、誘導通路103の出口部105において戻り防止部材106により閉鎖された遊技領域23aの入口を押し広げて遊技領域23a内に進入する。遊技球の発射力が弱すぎる場合には、遊技球が遊技領域23aまで至らず誘導通路103内で落下し始め、誘導通路103の入口部104と発射レール112との間に落下する。前扉枠14の閉鎖状態においては、この入口部104と発射レール112との間にファール球受口部56が配置され、遊技領域23aまで至らなかった遊技球はファール球通路部55を経由して下皿29aへ排出される。
区画部材107は、遊技領域23aの右側を区画するものであり、合成樹脂を成形して縦長に形成され、遊技板23bの前面にネジ止めされている。この区画部材107は、外レール102の上側における右側端部を起点とし、内レール101の下側における右側端部まで延在する大きさとされている。
なお、区画部材107の上端部には、機種名等が印字された証紙107aが貼り付けられ、区画部材107の下端部には、メーカー名や製造番号などが印字された証紙107bを貼り付けた台座部品が固定されている。これら証紙107a,107bは、透明ガラス31,32を介してパチンコ機10前方から視認可能な位置に配置される。
遊技板23bには、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の貫通孔が形成されている。各貫通孔には、一般入賞口81、可変入賞口82、上作動口83a、下作動口83b及びスルーゲート84等の遊技球が入球する部位を形成する各部材が取り付けられ、また、センターフレーム85及び主表示装置96等が取り付けられている。
一般入賞口81、可変入賞口82、上作動口83a及び下作動口83bへの入球が発生すると、それが遊技盤23の背面側等に配設された検知手段としてのセンサSE(図10参照)により検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。この場合、上作動口83aへの入球が発生した場合及び下作動口83bへの入球が発生した場合には3個の賞球の払い出しが実行され、一般入賞口81への入球が発生した場合には10個の賞球の払い出しが実行され、可変入賞口82への入球が発生した場合には15個の賞球の払い出しが実行される。但し、これら賞球の個数は任意であり、例えば上作動口83aに係る賞球個数よりも下作動口83bに係る賞球個数が多いといったように、両作動口83a,83bの賞球個数が相違しても良い。また、可変入賞口82に係る賞球個数が他の賞球個数に比べて多い構成に限定されることはなく、例えば一般入賞口81に係る賞球個数と同一の構成としても良く、少ない構成としても良い。
遊技領域23aの中央部には、センターフレーム85が設けられ、センターフレーム85の後方には、図柄表示装置94が配置されている。図柄表示装置94は、表示画面94aにおいて絵柄の一種である図柄を変動表示(又は、可変表示若しくは切換表示)する装置であり、遊技板23bの背面側に取り付けられている。センターフレーム85は、正面視で図柄表示装置94の表示画面94aを囲むように設けられ、遊技板23bに前面側より取り付けられている。図柄表示装置94の前面側であってセンターフレーム85の後側には、ポリカーボネート等の透明な合成樹脂材料により形成された透明保護板が設けられ、図柄表示装置94の表示画面94aは、その透明保護板を介して前面側から視認可能とされている。
遊技領域23aは、その中央部にセンターフレーム85が設けられることで、センターフレーム85の左右両側に位置する左側領域PE1と右側領域PE2とに区画され、遊技領域23aに発射された遊技球は、左側領域PE1または右側領域PE2のいずれか一方を流下することとなる。左側領域PE1及び右側領域PE2の下側には、両領域から流下した遊技球が合流して流下する下側領域PE3が遊技領域23aの一部として設けられている。
遊技領域23aへ遊技球が到達する回動量に操作ハンドル47が操作されると、左側領域PE1または右側領域PE2のいずれか一方を遊技球が流下する。操作ハンドル47の操作量が少なく、センターフレーム85の一番上側の部位を超えない発射力となる回動操作量で遊技球が発射されると、遊技球は遊技領域23aの入口に近い左側領域PE1を流下する。その操作量より操作ハンドル47の操作量が多く、センターフレーム85の一番上側の部位を確実に超える発射力となる回動操作量で遊技球が発射されると、遊技球は右側領域PE2を流下する。それらの間部分に相当する回動操作量の場合には、遊技球は、左側領域PE1と右側領域PE2との両方に分散して流下する。遊技者は、操作ハンドル47の回動操作量を調整することで、左側領域PE1と右側領域PE2とのいずれの領域を遊技球が流下するかを選択して遊技を行うことができる。
遊技盤23の最下部には、アウト口86が設けられ、左側領域PE1または右側領域PE2を流下して最終的に各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口86を通って遊技領域23aから排出される。遊技領域23aには、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘87が植設され、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
ここで、入球とは、所定の開口部を遊技球が通過することを意味し、開口部を通過した後に遊技領域23aから排出される態様だけでなく、開口部を通過した後に遊技領域23aから排出されない態様も含まれる。但し、以下の説明では、アウト口86への遊技球の入球と明確に区別するために、一般入賞口81、可変入賞口82、上作動口83a、下作動口83b又はスルーゲート84への遊技球の入球を、入賞とも表現する。
上作動口83a及び下作動口83bは共に上向きに開放されている。また、上作動口83aが上方となるようにして両作動口83a,83bは鉛直方向に並んでいる。下作動口83bには、左右一対の可動片よりなるガイド片(サポート片)としての電動役物83cが設けられている。
上作動口83a及び下作動口83bは、遊技領域23aの下側領域PE3に設けられている。上作動口83aは、センターフレーム85の下部に設けられて遊技球が上面を転動するステージの直下に配置され、センターフレーム85で形成された誘導通路(図示略)を介してステージ上に誘導され、誘導通路を経由しない遊技球より上作動口83aへ入賞しやすい構成とされている。この誘導通路の入口は、センターフレーム85において左側領域PE1に面する左側部分に設けられ、また、ステージの下側から飛び込む遊技球として、左側領域PE1からの方がステージに飛び込み易い釘87の配置とされている。すなわち、左側領域PE1を遊技球が流下した場合の方が、右側領域PE2を遊技球が流下する場合に比べて上作動口83aへの入賞が発生しやすい設定とされている。
電動役物83cは遊技板23bの背面側に搭載された電動役物駆動部(図示省略)に連結されており、当該電動役物駆動部により駆動されて閉鎖状態(非サポート状態又は非ガイド状態)及び開放状態(サポート状態又はガイド状態)のいずれかに配置される。電動役物83cの閉鎖状態では遊技球が下作動口83bに入賞できず、電動役物83cが開放状態となることで下作動口83bへの入賞が可能となる。電動役物83cは、下側領域PE3で左右両側に開放可能とされ、左側領域PE1を流下した遊技球及び右側領域PE2を流下した遊技球のいずれも入賞可能とされている。
スルーゲート84は、右側領域PE2に設けられ、遊技領域23aの入口から遠い側へ届く一定以上の強い発射力で発射された遊技球が入球可能に構成されている。スルーゲート84の下側には、可変入賞口82が設けられ、可変入賞口82も右側領域PE2に設けられている。
可変入賞口82は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たり当選といった開閉実行モード(特別遊技状態)への移行当選となった際に、遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞口82の開放態様として具体的には、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとし、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞口82が繰り返し開放される。
スルーゲート84及び可変入賞口82は、遊技領域23aの右側領域PE2に設けられ、右側領域PE2を遊技球が流下するように一定以上に強い発射力で遊技球が発射された場合にスルーゲート84及び可変入賞口82に遊技球が入賞する。スルーゲート84に遊技球を入球させた場合に電動役物83cが遊技者にとって有利な開放状態とされ易い遊技状態(いわゆる時短遊技状態)や、可変入賞口82が開閉実行モードとされる特別遊技状態等、遊技領域23aの右側領域PE2に遊技球を流下させた場合に遊技者にとって有利となる遊技状態においては、遊技者は、右側領域PE2を数多く遊技球が流下するように操作ハンドル47を操作する。これに対し、上作動口83aに遊技球を多く入賞させて内部抽選の当選を期待する通常の遊技状態においては、遊技者は、左側領域PE1を数多く遊技球が流下するように操作ハンドル47を操作して遊技を実行することとなる。
遊技者にとって有利となる回動操作量は、図柄表示装置94やスピーカの音声によって遊技者に報知され、遊技状態が切り替わるときに、例えば、「右打ちをしてください。」または「左打ちをしてください。」の表示または音声によって遊技者に報知される。
図柄表示装置94は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、表示制御装置142により表示内容が制御される。なお、図柄表示装置94は、液晶表示装置に限定されることはなく、プラズマディスプレイ装置、有機EL表示装置又はCRTといった表示画面を有する他の表示装置であってもよく、ドットマトリクス表示器であっても良い。
図柄表示装置94では、上作動口83a又は下作動口83bへの入賞に基づいて図柄の変動表示が開始される。図柄表示装置94における変動表示は、正面視で視認可能な視認可能領域において行われ、例えば上、中及び下に並べて図柄が表示され、これらの図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組み合わせの図柄が停止表示された場合には、開閉実行モードが発生することとなる。この図柄表示装置94における変動表示は、主表示装置96のメイン表示部において行われる変動表示に合わせて行われる。
センターフレーム85に対して左下側には、遊技の状態を表示する主表示装置96が設けられる。主表示装置96は、複数の発光部が並んで配列されてなる表示器を有する構成とされ、遊技領域23aの外側に相当する外レール102の外側に設けられ、その前面側には、例えば、左上側からメイン表示部、役物用表示部、状態表示部、保留表示部等が順に設けられる。
メイン表示部では、上作動口83a又は下作動口83bへの入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、上作動口83a又は下作動口83bへの入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。本パチンコ機10では、上作動口83aへの入賞と下作動口83bへの入賞とが内部抽選において区別され、上作動口83a又は下作動口83bのいずれの入賞に基づいて行われた内部抽選の結果であるかがメイン表示部にて明示される。そして、上作動口83a又は下作動口83bへの入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、各作動口83a,83bにおける当選結果に対応した所定の停止結果が表示されて変動表示が停止し、その後に、開閉実行モードへ移行する。上作動口83aへの入賞と下作動口83bへの入賞とは、当選によって得られる特典に差異が設けられ、可変入賞口82の開放態様(ラウンド数や1ラウンドにおける開放時間)、時短遊技状態への移行確率等、当選後に遷移する遊技状態が入賞した作動口によって異なる場合がある設定とされ、遊技が複雑化されている。ここで、いずれかの作動口83a,83bへの入賞に基づいて、メイン表示部及び図柄表示装置94にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。
なお、複数の作動口83a,83bが設けられる場合に、必ずしも作動口によって当選後に遷移する遊技状態を異ならせる必要はなく、同一の抽選条件にて抽選を実行し、同一の確率で各遊技状態へ移行する設定としても良い。また、必ずしも複数の作動口を設ける必要はなく、1の作動口のみを有する構成としても良い。
役物用表示部では、スルーゲート84への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート84への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。スルーゲート84への入賞に基づく抽選結果が電役開放状態への移行に対応した当選であった場合には、役物用表示部にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、下作動口83bに設けられた電動役物83cが所定の態様で開放状態となる。
状態表示部は、メイン表示部にて所定の停止結果が表示されることで遊技状態が開閉実行モードへ移行し、その所定の停止結果の表示後における遊技回が所定回数に到達する等して遊技状態が開閉実行モード前の通常状態に移行する場合に、その遊技状態の変化が表示によって明示される。また、状態表示部では、開閉実行モードの移行当選となった場合に可変入賞口82の開放態様として複数種類に設定されたラウンド数のうち移行当選となったラウンド数が表示によって明示される。
保留表示部は、遊技球が上作動口83a又は下作動口83bに入賞した個数及び遊技球がスルーゲート84を通過した回数のうち未だ遊技が実行されていない保留状態の遊技回数を表示によってそれぞれ明示する。遊技球が上作動口83a又は下作動口83bに入賞した個数及び遊技球がスルーゲート84を通過した回数はそれぞれ最大4個まで保留され、保留表示部によって各保留数がそれぞれ表示される。保留表示部の保留数に対応した情報は、図柄表示装置94の表示画面にも表示され、保留数が数字又はキャラクタの個数などにより表示される。
なお、メイン表示部、役物用表示部、状態表示部及び保留表示部等は、複数の発光部が所定の態様で配列されてなる表示器により構成されているが、これに限定されることはなく、一部または全ての表示部を液晶表示装置、有機EL表示装置、CRT、セグメント表示器又はドットマトリックス表示器等その他のタイプの表示装置によって構成しても良い。また、メイン表示部及び役物用表示部にて変動表示される態様として、絵柄としての複数種の文字が変動表示される構成、複数種の記号が変動表示される構成、複数種のキャラクタが変動表示される構成又は複数種の色が切り換え表示される構成等、他の態様としても良い。
次に、遊技機本体12の背面側の構成について、図4に加え、図7から図9を参照しながら説明する。図7は中間ユニット13の背面図、図8は裏パックユニット15の背面図、図9はパチンコ機10の背面図である。
中間ユニット13には、図7に示すように、枠ユニット21によって開口形成される前後に貫通した遊技盤収容部21aが設けられ、この遊技盤収容部21aを通じて中間ユニット13の背面側には遊技盤23の背面側に搭載される各種部品が露出されている。
中間ユニット13の背面側には、図4に示すように、合成樹脂により形成された箱状の盤裏カバー141が設けられている。盤裏カバー141は、遊技盤23の背面のほぼ全域にわたって設けられ、遊技盤23の背面側に設けられる各種部品を、埃の進入、遊技球の衝突、或いは遊技盤23の搬送時における周辺部分との衝突から保護すると共に、遊技球の入賞を検知するセンサSE等を狙った不正を防止する機能を有している。
中間ユニット13の背面側中央部には、図4に示すように、表示制御装置142と音声発光制御装置143とが左右に並んで設けられ、その下側には、遊技の主たる制御を司る主制御装置160が設けられている。表示制御装置142は、図柄表示装置94の表示制御を司るものであり、音声発光制御装置143は、主制御装置160からの指示に従って音声やLED、ランプ等の表示制御及び表示制御装置142の制御を司るものである。
主制御装置160は、図7に示すように、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板と、基板を収容するために設けられた透明性を有する樹脂製の基板ボックス163を備えている。また、主制御装置160には、基板ボックス163の開放に際して痕跡を残す痕跡手段としての開放封印部164が設けられている。当該開放封印部164は解除操作を一度行うと再結合を不可とするものであり、結果的に主制御装置160の基板ボックス163は一度開放操作を行うと、再度封印状態とすることが不可となっている。
主制御装置160の背面視左側端部には、図7に示すように、取付封印部165が設けられている。取付封印部165は、遊技板23b側に設けられる支持部材と主制御装置160とを固定し、主制御装置160の取り外しに際して痕跡を残す痕跡手段として機能する。取付封印部165には、最初に主制御装置160を取り付けるための固定部品以外に、予備用の固定部品が3組設けられ、主制御装置160の点検作業における一時的な取り外しや主制御装置160の交換が最大3回まで痕跡を残して実行可能とされている。
主制御装置160の背面視左部には、RAM消去スイッチ166が設けられている。本パチンコ機10は、各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。例えば遊技場の営業終了時に通常手順で電源を遮断した場合には遮断前の状態が記憶保持され、RAM消去スイッチ166を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
枠ユニット21の背面における回動基端側(図7の右側)には、上下に離間して支持金具132が設けられ、各支持金具132の上端部において貫通穴が設けられた軸受け部133によって中間ユニット13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられる。また、枠ユニット21の背面には、裏パックユニット15を中間ユニット13に固定するための固定レバー134が回動先端側(図7の左側)に複数設けられている。
次に、裏パックユニット15について説明する。裏パックユニット15は、図8に示すように、透明性を有する合成樹脂により形成された裏パック201と、払出ユニット202と、外部端子板203とを備えている。
裏パック201は、図8に示すように、裏パック201の周縁部を構成する裏ベース部211と、裏ベース部211の後側に開口する部分を覆うようにして形成された保護カバー部212とを有している。裏ベース部211と保護カバー部212とにより、裏パック201は、左右側面と上面の全部、背面の上部が閉鎖されて前方側が開放した収容空間を形成し、この収容空間内に遊技盤23の背面側に搭載される各種部品として、図柄表示装置94や制御装置142,143等を収容する。保護カバー部212の下側部分には、前後方向に貫通した開口部212aが形成されている。なお、裏パック201は、枠ユニット21と別部品で構成される必要はなく、枠ユニット21と一体的に、例えば、樹脂により枠ユニット21と一体成形されて前側が開口した部品の一部として裏パック201に相当する部分を構成しても良い。
外部端子板203は、図8に示すように、後方から見た裏パックユニット15の右上側端部に設けられている。外部端子板203は、パチンコ機10の状態を遊技場の管理コンピュータに認識させるために、所定の信号出力を行うための基板である。外部端子板203には、出力端子として、開閉実行モード中に信号出力するための出力端子、下作動口83bの電動役物83cが高頻度で開放状態となる電役開放状態中に信号出力するための出力端子、払出ユニット202において遊技球が不足した場合に信号出力するための出力端子、所定個数の賞球を払い出す毎に信号出力するための出力端子、所定個数の遊技球を貸し出す毎に信号出力するための出力端子、外枠11に対する中間ユニット13の開放時に信号出力するための出力端子、中間ユニット13に対する前扉枠14の開放時に信号出力するための出力端子などが設けられている。
裏パックユニット15における背面視右側端部には、図8に示すように、上下一対の掛止ピン204が取り付けられている。この掛止ピン204を中間ユニット13側の軸受け部133に挿通させることで、裏パックユニット15が掛止ピン204を中心にして中間ユニット13に対して回動可能に支持される。裏ベース部211における掛止ピン204が配置されていない反対側の端部には、中間ユニット13に設けられた固定レバー134が挿通される挿通部211aが上下に形成されている。固定レバー134が挿通部211aに挿通されて90度回転させた状態にすることで、固定レバー134の一部が裏ベース部211に後方から当接し、中間ユニット13に裏パックユニット15が固定される。また、裏パックユニット15の前面下側における中央部にも、固定レバー135(図4参照)が設けられ、中間ユニット13側に設けられる挿通部21b(図5参照)に挿通されてから回転操作することで、中間ユニット13に対して裏パックユニット15の下側中央部が固定される。
裏パックユニット15は、上記したとおり、中間ユニット13の背面に対して回動可能に軸支されている。裏パックユニット15を中間ユニット13に対して背面側から重ね合わせた状態では、図9に示すように、主制御装置160の大半は開口部212aを介して背面側に露出し、主制御装置160の一部は保護カバー部212により覆われている。主制御装置160の上端部には他の制御装置と電気的に接続するためのコネクタ及び配線が設けられ、この配線に関する部位や開放封印部164及び取付封印部165の一部が保護カバー部212に覆われる。このため、主制御装置160の視認性を高めつつ、不正行為の抑制及び遊技球の衝突による破損防止等を実現している。主制御装置160の上側に配置される音声発光制御装置143等は、保護カバー部212により全体が覆われている。
裏パックユニット15は、図8に示すように、保護カバー部212を迂回するようにして裏ベース部211に取り付けられている払出ユニット202を備えている。払出ユニット202は、裏パック201の最上部に設けられて遊技球を貯留可能に上方に開口したタンク221と、タンク221内の遊技球を下流側に向けて案内可能に緩やかに傾斜するタンクレール222と、タンクレール222の下流側にて上下方向に遊技球を案内するケースレール223と、ケースレール223の最下流部に設けられる払出装置224とを有し、これらが連結することでタンク221に補給された遊技球を必要数分だけ払出装置224の下流側に払い出し可能とされている。払出装置224によって払い出された遊技球は、払出装置224の下流側に設けられた裏側通路部225に供給される(図4参照)。
裏側通路部225には、払出装置224より払い出された遊技球を上皿28a、下皿29a又はタンク球排出通路の何れかに振り分けるための3つの通路が形成されている。これら通路のうち、裏パック201の中央側に位置する通路が上記した本体側上皿通路部122及び前扉側上皿通路部51を介して上皿28aに通じ、その外側の通路が本体側下皿通路部123及び前扉側下皿通路部52を介して下皿29aに通じ、更に外側の通路がタンク球排出通路とされている。払出装置224によって払い出された遊技球は、上皿28aの通路に優先して案内され、その通路が遊技球で満たされると、その通路から分岐した下皿29aに通じる通路に遊技球が案内される。タンク球排出通路は、ケースレール223の操作部223aに対して排出操作を行うことにより、タンク221からケースレール223の途中までの間に貯留された遊技球が払出装置224を経由せずに裏パックユニット15の下端に設けられる排出口から排出される。
裏ベース部211の背面側下端部には、図8に示すように、各種制御装置等で要する所定の電力を生成して出力する電源装置241と、払出制御装置242とが前後に重ねて取り付けられている。電源装置241は、裏ベース部211の横幅全域にわたって設けられている。裏ベース部211の背面視右下側端部には、電源スイッチ245が設けられている。パチンコ機10へは電圧変換器を介して例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ245の切換操作によりパチンコ機10の電源がON又はOFFとされる。
払出制御装置242は、払出ユニット202を通じた遊技球の払い出しを制御するための装置である。払出制御装置242は、基板を収容するために設けられた透明性を有する基板ボックス243に払出制御基板を収容して構成されており、その開放に際しては痕跡を残す痕跡手段として開放封印部244が設けられている。開放封印部244は解除操作を一度行うと再結合を不可とするものであり、結果的に払出制御装置242の基板ボックス243は一度開放操作を行うと、再度封印状態とすることが不可となっている。
裏ベース部211の前面側下部には、図4に示すように、遊技領域23aを流下した遊技球を収集してパチンコ機10の外部へ排出するための球収集部301が設けられている。以下、球収集部301に関する構成について図10以降を主に参照して説明する。
図10は、遊技板23bの裏面側における遊技球の流下経路を背面視して示した図であり、図11は、図5のA−A線における断面図である。なお、図10及び図11においては、球収集部301に関する主要な部位のみを示すとともに一部の形状を模式的に示し、流下方向を示す矢印を付して遊技球の経路を図示している。図11においては、球収集部301の一部分を拡大視して示している。
遊技盤23の前面側には、遊技球が流下可能な遊技領域23aが形成され、遊技領域23aにおいて一般入賞口81、可変入賞口82、上作動口83a及び下作動口83bのいずれかに入賞した遊技球や、入賞しないでアウト口86に誘導された遊技球は、パチンコ機10の後方側に誘導されてから、遊技板23bの裏面側にて下方に流下する。一般入賞口81及び上下の作動口83a,83bの配置位置には、図11に示すように、遊技板23bを前後方向に貫通する球通路302〜304が設けられ、一般入賞口81及び上下の作動口83a,83bに入賞した遊技球は、球通路302〜304を通じて遊技板23bの裏面側へ誘導される。可変入賞口82に入賞した遊技球は、可変入賞口82を開閉する可変入賞装置の内部を経由して遊技板23bの裏面側に誘導される。
遊技板23bの裏面側には、図10及び図11に示すように、板裏通路形成部材311が設置されている。遊技板23bの裏面側に誘導された遊技球は、板裏通路形成部材311により形成される板裏通路312〜316を通じて下方側に誘導される。板裏通路312〜316における遊技球の排出部分は、遊技板23bの裏面下側における左右方向の広範囲にわたって形成されている。
板裏通路形成部材311は、遊技板23bの裏面側に誘導された遊技球を、側方に折れ曲がりつつ下方に流下させる合成樹脂製の部材である。遊技盤23の下部には、一般入賞口81や可変入賞口82が左右方向の広範囲に亘って設置され、この範囲に対応して、板裏通路形成部材311は、遊技盤23の下部における左右方向の全域にわたる大きさに形成されている。板裏通路形成部材311は、遊技板23bの裏面側に重なるようにして取り付けられ、例えば、ネジ(図示略)により遊技板23bの裏面に固定されている。
板裏通路形成部材311は、遊技板23bの裏面に対して遊技球の直径より僅かに大きな隙間を隔てて後側に対向して設けられる裏板部321と、裏板部321から遊技板23bの裏面に近づくように板状に突出して設けられる区画壁部322とを有し、区画壁部322と裏板部321によって前側が開口して上下方向に連続する溝状の板裏通路312〜316が形成される。遊技板23bの裏面側に誘導された遊技球は、裏板部321によって後側への移動が制限され、遊技板23bの裏面に沿って下方に遊技球が流下する。なお、遊技板23bの裏面側に誘導された遊技球は自重により落下するものであり、必ずしも裏板部321を設ける必要はない。
板裏通路形成部材311は、板裏通路312〜316として、一般入賞口81の後側に設けられる一般入賞口用通路312、可変入賞口82の後側に設けられる可変入賞口用通路313、上下の作動口83a,83bの後側に設けられる上作動口用通路314および下作動口用通路315、アウト口86の後側に設けられるアウト口後側通路316とを形成する。板裏通路312〜316は、各入賞口81,82、作動口83a,83b及びアウト口86の後側を上端部として下側に連続する形状とされている。板裏通路312〜316の前側には、遊技板23bが位置し、遊技板23bの裏面によって前側が塞がれることにより板裏通路312〜316が形成されている。
一般入賞口用通路312及び作動口用通路314,315は、遊技球が1球ずつ通過可能に構成され、遊技球の直径より僅かに大きな隙間を隔てて区画壁部322が設けられている。アウト口後側通路316は、アウト口86より左右方向に幅広に形成され、アウト口86が設けられる高さ位置を上端として下方に連続して形成されている。アウト口後側通路316に対しては、図10に示すように、上作動口用通路314の下流側部分が背面視左側に合流し、上作動口83aに入賞した遊技球は、アウト口86に入球した遊技球ととともに、下流側に誘導される。また、下作動口用通路315は、アウト口後側通路316の上側に連続し、アウト口後側通路316の上側に下作動口用通路315の下流側部分が接続されている。下作動口83bに入賞した遊技球についても、上作動口83aに入賞した遊技球と同様、アウト口後側通路316を通じて流下する。
一般入賞口用通路312および作動口用通路314,315の途中部分には、遊技球の通過を検知するセンサSEが配置されている。板裏通路形成部材311には、各通路312,314,315の途中位置にセンサSEを固定可能なセンサ固定部が設けられ、そこにセンサSEが取り付けられている。背面視右側のセンサSEは、複数の一般入賞口81に通じる複数の通路の合流部分より下流側に設けられ、複数の一般入賞口81への入賞が1つのセンサSEによって検知される。
可変入賞口用通路313は、可変入賞口82の設置位置の後側に相当する遊技板23bの背面視左側に設けられている。可変入賞口用通路313には、センサ固定部が設けられず、可変入賞口82を形成する可変入賞装置に内蔵されるセンサにより遊技球の入賞が検知される。可変入賞口82に入賞した遊技球は、既に入賞が検知された状態で可変入賞口用通路313内へと流入し、下流側に誘導される。
板裏通路312〜316の下端部は、下方に開口し、板裏通路312〜316を経由した遊技球は、板裏通路312〜316の形状に沿って下側に誘導され、遊技板23bの下端部裏面側であって板裏通路形成部材311の下端部から下方へ向かって排出される。
なお、板裏通路312〜316は、そのすべてが遊技板23bの裏面に沿って形成されて遊技盤23の裏面に沿って遊技球が流下する構成としても良いし、一部又はすべての遊技球が遊技板23bの裏面から後側に離間した位置を流下する構成としても良い。また、板裏通路312〜316のうちアウト口86など遊技板23bの下部において遊技領域23aから排出される遊技球に対しての通路は、遊技板23bの厚み範囲内において下方に排出される構成としても良く、遊技板23bの裏面より前側に通路の少なくとも一部が位置する構成であっても良い。また、板裏通路形成部材311としての通路を形成する専用の部材を遊技盤23の裏面側に配置しても良いし、遊技板23bの裏面側に配置される他の機能を有する部材(例えば、主制御装置160を支持する支持部材)によって板裏通路312〜316を形成しても良いし、板裏通路312〜316として遊技球が誘導される通路を区画して形成することなく、遊技板23bの裏面側に誘導された遊技球が下方に落下可能なように上下方向に連続する空間を形成し、その空間部分を板裏通路312〜316としても良い。
板裏通路312〜316に対して下側には、図10及び図11に示すように、球収集部301が設けられている。球収集部301は、遊技領域23aを流下した遊技球を収集してパチンコ機10の外部へ排出する部位であり、板裏通路312〜316によって左右方向における広範囲から排出される遊技球が球収集部301により収集される。球収集部301は、その上流側端部に相当する上端部においては板裏通路312〜316において遊技球が排出される領域を含む横長に形成され、下流側端部に相当する下端部に排出口359が設けられている。球収集部301に流入した遊技球は、排出口359につながる経路の入口部分に収集された後に、排出口359からパチンコ機10の外部へ排出され、遊技場の島設備へ戻される。なお、球収集部301における収集としては、遊技球を1箇所にまとめた状態にしてから下流側に流下させる形態の収集でなく、遊技領域を経由した遊技球が予め定めた箇所を通過するように誘導し、誘導された遊技球が滞留することなく排出される形態の収集に相当する。
次に、球収集部301の構成について、図12から図19を主に参照して説明する。図12は、前側から見た裏パックユニット15の下側部分及びコネクタケースユニット331の斜視図であり、図13は、裏パックユニット15及びコネクタケースユニット331の分解斜視図である。図14及び図15は、裏パックユニット15の下側部分の分解斜視図であり、図14は、前側から見た図であり、図15は、後側から見た図である。図16(a)は、球収集部301の平面図であり、図16(b)は、図16(a)の要部拡大図である。図17は、球収集部301の下側部分を平面視した断面図である。図18は、球収集部301の前側部分を後側から見た斜視図であり、図19は、球収集部301の後側部分を前側から見た斜視図である。なお、図16(b)及び図17においては、主要部のみを示すとともに、流下方向を示す矢印を付して球収集部301を流下する遊技球の経路を図示している。
球収集部301は、透明な合成樹脂製の部材を複数組み合わせて形成され、外側より内部が視認可能に構成されている。この球収集部301は、図12及び図13に示すように、裏パックユニット15の下側部分によって大部分が形成され、残りの一部分が中間ユニット13のコネクタケースユニット331によって形成されている。
中間ユニット13の背面視左側部分には、図4に示すように、遊技盤23の下側にコネクタケースユニット331が設けられている。コネクタケースユニット331は、図13に示すように、遊技盤23と中間ユニット13とを電気的に接続するためのコネクタ332が上端部に取り付けられる合成樹脂製のケース本体333を主体とした装置であり、球収集部301は、コネクタケースユニット331によって一部分が構成されている。
裏パックユニット15には、図13に示すように、コネクタケースユニット331に対応する位置において前方側に開放した空間部15aが形成されている。裏パックユニット15が中間ユニット13に対して回動して裏面側に重なるように閉鎖されると、空間部15a内に中間ユニット13側のコネクタケースユニット331が配置され、裏パックユニット15と中間ユニット13とにより球収集部301が形成される。なお、必ずしも、球収集部301を、裏パックユニット15と中間ユニット13との両方により形成する必要はなく、いずれか一方に球収集部301をまとめて形成しても良い。
球収集部301の上端部には、図12に示すように、遊技板23bの裏面側に誘導された遊技球の入口部分としての開口部341,342が設けられている。開口部341,342は、左右方向における途中の一部分が分断されることにより左右方向に略直線状に並んだ2つの開口により構成される。以下、正面側から見て左側に位置する開口部341を裏パック側開口部341とし、右側に位置する開口部342を中間ユニット側開口部342とする。裏パック側開口部341は、裏パックユニット15により形成され、中間ユニット側開口部342は、コネクタケースユニット331により形成されている。なお、開口部341,342は、必ずしも2つに分けて形成する必要はなく、一つにまとめて形成しても良いし、3つ以上に分けて形成しても良い。
裏パック側開口部341は、遊技板23bの中央部分を含んで左側に連続し、上方に開口した横長の溝状に形成されている。一方、中間ユニット側開口部342は、裏パック側開口部341に対して僅かに離間した位置より右側に連続して上方に開放した横長の溝状に形成されている。遊技板23bの裏面側において遊技板23bの中央部及び正面側から見て左側部分より排出される遊技球は、裏パック側開口部341より球収集部301に流入する。遊技板23bの右側部分から排出される遊技球は、裏パック側開口部341より球収集部301に流入する。
球収集部301は、図12に示すように、左右方向側に連続し、非直線状に形成された溝状の整流部351と、整流部351の前側に位置して後側に下降傾斜した前側球受け面部352と、整流部351の後側に位置して前側に下降傾斜した後側球受け面部353とを備えている。また、球収集部301は、図10に示すように、整流部351とは別に上方に開口して遊技球を下流側に誘導する側方側誘導通路354及び上流側通路部355と、整流部351を経由した遊技球が流下する下流側通路部356及び排出通路部357を備えている。ここで、整流部351及び側方側誘導通路354は、裏パック側開口部341によって左右方向に連続して開口する部位の一部分として上側に開口して形成され、上流側通路部355は中間ユニット側開口部342によって上側に開口して形成される。
整流部351は、図12に示すように、裏パック側開口部341の一部(右側部分)より下側に連続する部位であり、裏パックユニット15(裏ベース部211)の下側部分によって形成されている。裏パックユニット15は、図14及び図15に示すように、上部から下部までの骨格をなす部材として背面側に電源装置241、払出制御装置242等が取り付けられる裏ベース本体361と、裏ベース本体361の下部に対して前面側に重なるように取り付けられる球収集カバー362とを備えている。裏ベース本体361と球収集カバー362との間部分には、遊技球が下方に流下可能なように、遊技球の直径より僅かに大きな前後幅の空間を隔てることにより球収集部301が形成され、その球収集部301の一部分として整流部351が形成されている。
球収集カバー362は、図14に示すように、上下の辺が短くて、左右の辺が長い横長の略L字状に形成された前後方向に厚みを有する合成樹脂製の部材である。球収集カバー362は、前後方向に厚みを有する平板状をしたベース面部371に対して、前方側と後方側とに必要な機能部位として通路等を形成するための壁面や、補強リブ、取付穴等が一体的に形成されて構成されている。裏ベース本体361は、球収集カバー362により形成された機能部位の背面側にて球収集カバー362と共に必要な機能部位を形成する部材であり、機能部位を形成するための壁面や、補強リブ、取付穴等が一体的に形成されている。球収集カバー362は、裏ベース本体361に対して複数箇所に形成された取付穴を通じて前面側からネジ固定されて一体化されている。なお、球収集部301及び整流部351は、必ずしも合成樹脂製の2つの部材を組み合わせて形成する必要はなく、3つ以上の部材を組み合わせて形成しても良いし、単一の部材により形成しても良い。
球収集カバー362の左側部分には、上記した払出装置224より払い出された遊技球を上皿28a及び下皿29aに案内する本体側上皿通路部122及び前扉側上皿通路部51の一部分に相当する皿通路部372が設けられている。裏ベース本体361には、皿通路部372の後側に連続する上流側部分に相当する皿通路部381が設けられている。
球収集カバー362の裏面側には、図15に示すように、その背面視における右側端部から下側部分まで上下方向に連続し、下端部において背面側から見て左側に屈曲して下降傾斜して形成されたカバー側排出通路373が設けられている。カバー側排出通路373は、ベース面部371から後側に突出する壁部により後方側に開口した溝状に形成されている。裏ベース本体361には、図14に示すように、カバー側排出通路373の後側に一致する形状にて前方側に開口し、タンク球排出通路の後側部分に相当する壁面により本体側排出通路382が形成され、その上端部は後側に屈曲した後に上方側に連続した形状をなしている。これら球収集カバー362と裏ベース本体361との組合せによって、タンク球排出通路の下流側部分が形成されている。
前側球受け面部352は、図12に示すように、球収集カバー362において上方に突出する一部分を除いた上端部に形成されている。前側球受け面部352は、ベース面部371の上端より前側に突出した横長の板状に形成され、左右方向における全域において略一定の前後幅を有する形状とされている。
前側球受け面部352は、遊技領域23aに対してパチンコ機10の後側に位置するように設けられ、図11に示すように、その前端が遊技板23bの裏面に近接する位置まで連続している。また、前側球受け面部352は、図10から図12に示すように、板裏通路312〜316の一部に相当するアウト口後側通路316等の下側に位置して上方側を向く上面形状とされている。前側球受け面部352は、遊技板23bの中央部から背面視右側部分に対応した位置に設けられ、アウト口86等から排出された遊技球が左右に並列した状態で流下可能なように、遊技球2個分以上の左右長さを有する形状とされている。ここで、アウト口86についても、遊技球2個分以上の左右長さを有する開口形状とされ、アウト口86からアウト口後側通路316を経由した遊技球が左右に並んで落下可能とされ、前側球受け面部352から整流部351へ左右に遊技球が並んで流入可能とされている。
板裏通路312〜316のうち遊技盤23の左右方向における中央部、すなわち、アウト口86や上下の作動口83a,83bを経由して下方に流下した遊技球は、アウト口後側通路316を経由して前側球受け面部352に当接し、その後に整流部351内へと誘導される。なお、本実施形態における板裏通路312〜316は、遊技板23bの裏面を通路の前面壁部分とし、遊技板23bの裏面に沿って遊技球が下方に流下する構成とされているが、板裏通路312〜316を、遊技板23bの裏面より後側に離間した位置に形成しても良く、この場合には、整流部351における上側に開口した部位を越えて後側に遊技球を誘導し、後側球受け面部353の上側に遊技球が落下する通路の形状とすることが好ましい。自重により加速した遊技球を一旦減速させてから整流部351内に流入させることができるので、遊技球が勢いよく整流部351に入り込むことにより生じる不具合の発生を抑制することができる。
球収集カバー362における前側球受け面部352の後端部に対して下側には、図15に示すように、前後方向に厚みを有する前壁部374が下方に連続して一体形成されている。前壁部374は、前後方向に起伏する部位を有して上下及び左右方向に連続する板状の部位であり、前後方向に厚みを有するようにした平板状のベース面部371と、ベース面部371に対して後方側に突出した前側突部375とを備えている。ベース面部371と前側突部375とは、略一定の前後厚みを有して左右方向に連続し、これらベース面部371と前側突部375とによって前壁部374の上側部分が形成されている。前壁部374は、整流部351の前側部分を構成し、整流部351の前側部分は、前壁部374を有する球収集カバー362によって形成されている。
前側突部375は、図16に示すように、平面視において後側に突出した略二等辺三角形の形状とされ、略同一の形状をした複数の前側突部375が左右方向に略一定の間隔で離間して配置されている。前側突部375における後側に突出した部分の内角は、略120度に設定されている。
前側突部375の間部分には、図15に示すように、平面形状をしたベース面部371の後面が位置し、平面視で直線形状を組み合わせた折れ線状に整流部351の前側における外形が形成されている。すなわち、平板状のベース面部371に対して平面視略三角形状をした前側突部375とが組み合わされているので、前壁部374の後面は、図15に示すように、上下方向に長手方向を有する縦長の平面を左右方向に組み合わせた形状とされている。
整流部351の左右方向における長さは、前側突部375が形成される領域に相当し、図10に示すように、板裏通路312〜316より上方側から遊技球が流下する範囲の一部分に対応し、左右両側を除いた中央側の一部分に対応して設けられている。また、整流部351は、アウト口86及び作動口83a,83bを経由した遊技球が流下する範囲を一部に含み、アウト口86と比較した場合にアウト口86の左右両側に広がる大きさに設定され、作動口83a,83bに対しては、作動口83a,83bから流下する遊技球の流下位置を含んでその両側に広がる大きさに設定されている。なお、整流部351は、必ずしも板裏通路312〜316より遊技球が流下する範囲の一部分に対応する大きさとする必要はなく、球収集部301における左右方向に連続する開口部341,342の全てを整流部351とし、その全範囲に前側突部375(及び、後述する後側凹部384)を設けても良い。
前側突部375の上面376は、図15に示すように、ベース面部371側を底辺として後側に突出した略三角形の板状とされている。この前側突部375の上面376は、前側球受け面部352より一段低い位置に形成されている。また、前側突部375の上面376は、前側球受け面部352より後側に大きく傾斜した形状(すなわち、急勾配に傾斜した形状)とされている。
整流部351の後側部分は、裏ベース本体361によって形成され、図12及び図14に示すように、横長略矩形状に形成された後側球受け面部353の前縁より下方に後壁部383が連続し、これら部位によって整流部351の後側部分が形成されている。
後壁部383の右側部分には、図14に示すように、前側突部375が後側に突出する位置に対応して後側凹部384が形成されている。後側凹部384は、前側突部375及びベース面部371に対して遊技球の直径より僅かに大きな隙間に相当する一定距離離間した位置に前面が位置する形状とされている。すなわち、後側凹部384は、後方側への凹み形状が上下方向に連続する形状とされ、複数の平面を組み合わせた前面形状とされている。この後側凹部384と前側突部375とによって、遊技球が左右方向に連続して1列に整列可能な前後幅に整流部351が形成される。
後壁部383は、図11に示すように、前壁部374と比較した場合に上方側に相当する高い位置まで連続して形成されている。後壁部383の前端部分と前壁部374の後端部分との高さの差は、遊技球の半径より僅かに大きく設定され、前側球受け面部352から後方側へ遊技球が勢い良く流下した場合でも、容易には後壁部383の上側に位置する後側球受け面部353に乗り上げない設定とされている。
後側球受け面部353の上面は、前方側に相当する整流部351側に下降傾斜し、その前方側への下り傾斜角度は、前側球受け面部352の上面における後方側への下り傾斜角度より緩い傾斜角度に設定されている。このため、整流部351から遊技球が溢れて、前側球受け面部352と後側球受け面部353との両側に遊技球が滞留した場合に、前側球受け面部352の上面に滞留した遊技球が整流部351側へ流下し易く設定されている。
球収集カバー362の裏面側であって前側突部375の下側には、図15に示すように、ベース面部371に対して後側に横長に突出した帯板状の底面部377が一体形成されている。底面部377は、図10に示すように、球収集カバー362における背面視左側部分の略中央の高さ位置にて僅かに右下がりに形成されている。底面部377は、整流部351の底面を形成する部位であり、整流部351に流入した遊技球は、底面部377によって背面側から見て右側へ誘導される。
底面部377の後側端縁378は、図14及び図15に示すように、後壁部383の前面形状に沿った形状をなし、図11に拡大視して示すように、後壁部383の前面に近接した位置まで突出している。平面視においては、底面部377の後側端縁378は、図17に示すように、前側突部375の突出先端部分の後側を中心として左右方向における幅が次第に狭まる略三角形状の突出部分を左右に複数並べて形成される外縁形状とされている。
前壁部374における底面部377に近い部位には、図15に示すように、遊技球の半径より上下幅が短く設定され、前後方向に貫通する通路窓部379が横長に形成されている。通路窓部379は、横並びに2つ設けられ、整流部351における一部の前側突部375の突出先端部分に対応する位置を含んで左右両側に連続する横長に一方の通路窓部379が形成され、底面部377の下り傾斜方向先端側に他方の通路窓部379が形成されている。
2つの通路窓部379は、図5に示すように、中間ユニット13を前側より視認した場合に、遊技盤23の下側において視認可能とされている。ここで、図5には、通路窓部379の周辺部分を拡大視して示すと共に、通路窓部379及び貫通窓部21cの外形線を他に比べて太線で示し、また、貫通窓部21cと通路窓部379とが形成される範囲にそれぞれ異なる斜線を付して示している。
中間ユニット13を構成する枠ユニット21には、図5に示すように、通路窓部379に対応した位置に前後方向に貫通する貫通窓部21cが設けられ、貫通窓部21cを通じて通路窓部379が中間ユニット13の前側より視認可能とされている。このため、整流部351において球詰まり等の異常が発生した場合には、通路窓部379を通じて状況を確認し、必要に応じてドライバの先端部分等を差し込んで、球詰まりした状態の遊技球を崩す等の対処をすることができる。
中間ユニット13における貫通窓部21cは、図5に示すように、通路窓部379より大きく、通路窓部379よりも上側に連続して開口して形成されている。このため、通路窓部379より上側における整流部351の状況についても前側より視認し易いものとすることができる。
中間ユニット13の貫通窓部21cの近傍には、図5に示すように、裏パックユニット15を中間ユニット13に固定するための固定レバー135が設けられている。固定レバー135は、裏パックユニット15に回動可能に取り付けられ、中間ユニット13に開口形成される挿通部21bを通過した後に一定量回動させたロック状態とすることで、裏パックユニット15の固定レバー135が中間ユニット13における挿通部21bの縁部分に係合し、中間ユニット13に対する裏パックユニット15の後側への移動が不能となる。固定レバー135は、中間ユニット13の正面視において貫通窓部21cに近接し、貫通窓部21cの隣に並んで設けられており、左右に離間して設けられる2つの貫通窓部21cの間に挿通部21bの一部分が位置する程度に近接して配置されている。
整流部351において球詰まり等の異常が発生した場合、遊技場の店員は、固定レバー135を操作し、中間ユニット13に対して裏パックユニット15を開放操作することで整流部351に対して直接的な作業が可能となる。この固定レバー135を操作する際に、店員は、固定レバー135の隣に位置する貫通窓部21cの存在に気付き易く、中間ユニット13に対して裏パックユニット15を開放しなくても球詰まり等の異常を解除可能なときには貫通窓部21cを通じた工具等の操作によって速やかに異常状態を解除することができる。また、固定レバー135を解除状態とすると、中間ユニット13に対して裏パックユニット15の左右方向における中央側部分の固定状態が解除され、中間ユニット13に対して裏パックユニット15における固定レバー135の周辺部分が前後方向において振動し易くなる。このため、固定レバー135の近傍を軽く叩いたり、揺すったりすることによって球詰まり等の異常が解除される場合も生じ易い。よって、異常状態を迅速に解除し易いパチンコ機10とすることができる。
底面部377における後側端縁378の下側には、図11に示すように、底面支持部380が設けられている。底面支持部380は、図14に示すように、後壁部383より前側に突出して一体形成された部位であり、後側凹部384により後方側に凹んで形成される空間の下側を塞ぐ壁面により構成されている。底面支持部380の上面は、底面部377に対して一定の隙間を隔てた下側に位置し、底面部377の自由端側における一定量以上の下側への変形が底面支持部380により阻止される。
前側球受け面部352と後側球受け面部353の間部分には、図12に示すように、整流部351に対して一方側(前側から見て左側)に連続して側方側誘導通路354が溝状に形成されている。側方側誘導通路354は、図18に示すように、球収集カバー362の前壁部374(ベース面部371)によって前面が形成されている。また、側方側誘導通路354の後面は、図19に示すように、前壁部374から遊技球の直径より僅かに大きな隙間を隔てて配置される平板状の壁面であって後側球受け面部353の前縁より下方に連続する後壁部383によって形成されている。
側方側誘導通路354の底面は、図15に示すように、球収集カバー362の前壁部374(ベース面部371)より後方側に突出し、背面側から見て左側に下降傾斜する帯板状の側方球受け面部391により形成されている。側方球受け面部391の下流端部分は、図18に示すように、底面部377に対して遊技球の直径より大きく上側に離間して配置され、整流部351の底面部377が側方球受け面部391の下側に連続した通路を形成するように側方球受け面部391と底面部377との高さ位置が設定されている。
整流部351の底面に沿った下流側には、図18及び図19に示すように、下流側通路部356が設けられている。下流側通路部356は、底面部377と同一方向側に下降傾斜し、遊技球を支持する底面が整流部351の底面部377に連続する形状をなしている。下流側通路部356は、その前面及び底面が球収集カバー362によって形成され、後面が裏ベース本体361によって形成されている。
下流側通路部356は、側方側誘導通路354の下流側の端縁部分が左右方向における入口部分として整流部351側に開口した形状をなしている。この下流側通路部356は、入口部分より僅かに下流側に相当する箇所において前面部分が後方側に突出し、後面部分が後方側に凹んだ形状とされている。具体的には、図16(a)及び17に示すように、下流側通路部356の入口部分に相当する左右位置LTを基準として、整流部351とは反対側において下流側突部392及び下流側凹部385が球収集カバー362と裏ベース本体361とにそれぞれ設けられ、下流側通路部356には、後側に部分的に屈曲した曲部358が通路の一部として形成されている。
下流側通路部356の上側には、図18に示すように、側方球受け面部391が天井面として設けられ、下流側通路部356の入口の上縁は、側方球受け面部391の下り傾斜方向先端側に相当する下流側端部における下端位置に一致している。側方球受け面部391の下流側端部は、整流部351の上端に相当する前側球受け面部352の上面より低い高さ位置に設けられ、下流側通路部356には遊技球が上方側からは流入せず、整流部351側からのみ流入可能な構成とされている。
整流部351内において上下に遊技球が積み重なった状態にて下流側通路部356側に遊技球が流入しようとした場合、一定以上に高く積み重なった上側の遊技球は、側方球受け面部391の下流側端部に当接し、下流側通路部356内への進入が抑止される。下流側通路部356内に流入した遊技球は、下流側通路部356において曲部358を形成する通路の壁面に当接し、遊技球が減速しつつ流下する。よって、整流部351に多量の遊技球が流入する状況が生じても、遊技球の速度を整流部351の下流側で一旦減速させてから更に下流側に流下させることができる。
下流側通路部356における下流側突部392及び下流側凹部385の形状は、図17に示すように、整流部351における前側突部375及び後側凹部384と同一形状とされている。下流側通路部356の底面は、整流部351の底面に連続して形成され、同一の傾斜角度とされているので、整流部351から流下してきた遊技球は、自重による力の作用状態が変わらずに下流側通路部356を通過する。よって、整流部351から下流側通路部356へ円滑に遊技球を流下させることができる。なお、下流側突部392及び下流側凹部385の形状と、整流部351における前側突部375及び後側凹部384の形状とは、必ずしも同一形状とする必要はなく、異なる形状としても良いが、異なる形状とする場合には下流側通路部356において整流部351から流下する遊技球が滞留することがないように、下流側突部392及び下流側凹部385の左右方向に対する傾斜角度を小さくし、下流側通路部356における遊技球を支持する底面の傾斜角度を整流部351より急勾配にし、曲部358における後方側への突出量を少なくすることのいずれか又はこれらを組み合わせた形状にして下流側通路部356において曲部358を設けつつも下流側に遊技球が流下し易くすることが好ましい。
下流側通路部356より下流側には、図18及び図19に示すように、下方に連続した後に下流側通路部356の下側に折り返すように連続し、最下流部分において下方に開口形成された排出口359を有する排出通路部357が設けられている。排出通路部357においては、下流側通路部356を通過した遊技球が一列になって流下するように前後方向及び左右方向における通路幅が遊技球の直径より僅かに大きく設定されている。排出通路部357の途中部分には、遊技球の通過を検知するセンサSE(以下、発射球検知センサSE1という)のセンサ取付部が形成され、センサ取付部に発射球検知センサSE1が取り付けられている。排出通路部357の前面、左右及び上下の壁面とセンサ取付部は、球収集カバー362によって形成され、排出通路部357の後面は裏ベース本体361によって形成されている。
排出通路部357の排出口359に対して上方側に位置する壁面や、排出通路部357と下流側通路部356との境界部分に相当する位置に対する上方側、及び、下流側通路部356の入口部分には、下流側通路部356及び排出通路部357の下流側に相当する下側や左右方向の一方側に開口形成された溝状部を形成するように各通路の内面側に突出形成され、不正目的の工具等の進行を阻止する返し部393〜395が球収集カバー362の一部として形成されている。返し部393〜395は、排出口359から不正を目的として挿入する工具等の進行を阻止するために設けられている。
発射球検知センサSE1は、遊技球が通過する検知孔を有する通過型のセンサである。球収集部301によって収集された遊技球は発射球検知センサSE1によって検知された後に、下流側に流下し、パチンコ機10の外部へと排出される。発射球検知センサSE1によって検知された遊技球数は、遊技領域23a内に発射された遊技球数に対応し、この遊技球数に対応した信号が外部端子板203を介して出力される。
整流部351の底面に沿った整流部351よりも上流側には、図18及び図19に示すように、上流側通路部355が設けられている。上流側通路部355は、整流部351の底面部377と同一方向側に連続して下降傾斜した底面401を有している。上流側通路部355は、上記したようにコネクタケースユニット331によって形成されている。具体的には、コネクタケースユニット331が前後方向に厚みを有する合成樹脂製で板状の部材を前後に組み合わせて構成され、その間部分において上方側が中間ユニット側開口部342として開口すると共に、整流部351側が横向きに開口し、底面が整流部351側に下降傾斜した上流側通路部355が形成される。上流側通路部355は、遊技球が前後に重なることなく1個だけ通過可能な前後幅に形成され、左右方向の長さは、遊技板23bにおける背面視左側の端部に相当する位置を最上流側の端部とし、アウト口86までの距離の半分以上の範囲に及ぶ長さに設定されている。このため、遊技板23bの裏面側における背面視左側部分から流出した遊技球は、上流側通路部355を経由して整流部351へと誘導され、整流部351、下流側通路部356及び排出通路部357を経由して排出口359へと誘導される。
上流側通路部355と整流部351との境界部分には、図12に示すように、2つの開口区画壁396,402が設けられている。整流部351側の開口区画壁396は球収集カバー362の一部分として形成され、上流側通路部355側の開口区画壁402は、コネクタケースユニット331により形成されている。2つの開口区画壁396,402は、整流部351及び上流側通路部355を形成する前後の壁部の上端部において左右に並んだ状態で柱状に架設されている。開口区画壁396,402の下側には、上流側通路部355と整流部351とにおける遊技球の通路が左右方向に開口形成されて連通し、上流側通路部355の底面401と整流部351の底面部377とが連続する通路の継ぎ目部分が設けられ、この継ぎ目部分に向けて遊技球が上方側から衝突することが開口区画壁396,402により阻止されている。このため、遊技球の衝突による継ぎ目部分の欠損が生じ難く、上流側通路部355から整流部351へ長期間に亘って遊技球が円滑に流下可能な構造とされている。
次に、球収集部301の作用及び効果を説明する。まず、整流部351に流入する遊技球の流れについて説明し、その後、整流部351、側方側誘導通路354、上流側通路部355に関する作用及び効果を順に説明する。
遊技領域23aを経由してパチンコ機10の後方側に誘導された遊技球は、板裏通路312〜316を経由して遊技板23bの裏面に沿って下方に流下し、球収集部301へ流入する(図10参照)。球収集部301へ流入する遊技球のうち、整流部351に対して上方側に位置するアウト口86及び上下の作動口83a,83bを経由した遊技球は、自重により加速した後、前側球受け面部352に当接して下側が支持されることにより一旦減速する(図11参照)。
前側球受け面部352によって減速させられた遊技球は、前側球受け面部352における傾斜方向に沿って整流部351内へと誘導される。整流部351内に流入した遊技球は、底面部377の下降傾斜する方向側に誘導されて下流側通路部356に収集される(図16(b)参照)。整流部351内に多数の遊技球が流入した場合、平面視において遊技球が1列に整列した状態で左右方向側に連なって下流側通路部356に収集される。
下流側通路部356に収集された遊技球は、排出通路部357へと流下する(図10参照)。下流側通路部356の入口部分においては、側方球受け面部391により上側に積み重なった遊技球の流入が阻止され、一定以下の高さに制限された状態で遊技球が下流側通路部356内に流入して、排出通路部357へと流下する。排出通路部357においては、発射球検知センサSE1により遊技球の通過が検知され、その後、遊技球が排出口359よりパチンコ機10の外部に排出される。
ここで、前側球受け面部352は、図16(b)に示すように、複数の遊技球が並列可能な横幅を有する上面形状とされている。また、アウト口86が横長に形成される分、左右方向において下方に落下する位置が変化し、更には、上下の作動口83a,83bを経由した遊技球の経路とアウト口86を経由した遊技球の経路とがアウト口後側通路316において合流することで、更に、落下位置が左右方向において変化し易い。このため、遊技球がパチンコ機10の後方側に誘導された後に整流部351に流入する位置は、前側球受け面部352への遊技球の落下位置や遊技球同士の接触等により左右方向において一定とはならず変化する。
整流部351には、図16(b)に示すように、平面視において後側に三角形状に突出する前側突部375が設けられ、前側突部375が存在しない位置にて整流部351に流入した遊技球B1はパチンコ機10の前側にて下方に落下する。一方、前側突部375が設けられる位置にて整流部351に流入した遊技球B2は、前側突部375が存在しない位置にて整流部351に流入した遊技球B1よりパチンコ機10の後側において下方に落下することとなる。前側突部375が存在する位置においても、その流入する位置における前側突部375の後側への突出量によって遊技球が落下する前後位置が異なり、前側突部375の後側への突出量が大きい部位ほど、遊技球がパチンコ機10の後側にて落下する。すなわち、左右方向における遊技球の流入位置が変化すると、遊技球が整流部351内へ前後に位置を違えて流入することとなる。
このため、左右に並んで遊技球が整流部351へ流入した場合であっても、整流部351に落下する際に遊技球同士が斜め方向側に位置し、斜め方向側に位置した分、遊技球同士の間隔が離れて隙間Sが形成され易い。整流部351は、左右方向のみに連続する形状とされた場合と比較して斜め方向に連続する部位を有するので遊技球の経路が長く構成され、その長く構成された分、整流部351内において遊技球同士の間隔に相当する隙間Sが大きくなり易い。よって、整流部351において1列に遊技球が整列される際に、遊技球同士の接触が少なくなり易く、遊技球同士の接触により生じる球詰まりや騒音の発生が抑制される。従って、アウト口86や上下の作動口83a,83bへ一時的に多量の遊技球が流入して球収集部301にまとまって遊技球が流入した場合であっても遊技球の間隔が広がり易く、その分、遊技球同士の接触により生じる不具合の発生を抑制することができる。
また、整流部351内への流入の前に、アウト口86等へ流入した一部の遊技球は前側球受け面部352に支持されることによって一旦減速させられる。このため、上下の作動口83a,83bとアウト口86とが異なる高さ位置に設けられ、その異なる高さ位置から下方側に向かって進行することで落下速度が異なる遊技球であっても、前側球受け面部352に当接することで一旦減速させられる。よって、整流部351内には一定の速度範囲内で遊技球が流入し易くなり、整流部351においては前後方向に位置を違えて遊技球同士が離間し易くなるので、遊技球を、下流側通路部356に好適に収集することができる。
更に、整流部351は、遊技球が1列に整列した状態で左右方向側に連なる前後幅に設定されている。このため、遊技球が並列して流下可能とする場合と比較して整流部351の前後幅を最小限に抑えることができる。整流部351は、斜め方向に連続する部位を有する形状とされているので、前後幅が大きくなり易く他の部品の設置スペースが制限される可能性がある。このため、整流部351は、遊技球が並列して流下しない前後幅に設定することが好ましく、小型に形成される分は、他の機能部品の設置スペースに使用することができる。よって、整流部351の後側に機能部品として複数の装置を重なるようにして設けたり、整流部351の前側に機能部品として発射装置等を設置しやすくすることができる。
なお、整流部351の大きさを小型化しつつ遊技球を好適に収集可能とするために、整流部351は、以下の形状とすることが好ましい。前側突部375の後側への突出量は、遊技球の直径に対して略10%から略25%の範囲内に設定することが好ましく、略15%から略20%の範囲内に設定することが好適である。前側突部375における後側に突出した部分の内角は、略90度以上に設定することが好ましく、略110度以上に設定することが好適である。前側突部375によって形成される斜め方向に連続する溝形状の方向は、左右方向に対して45度以下に設定することが好ましく、55度以下に設定することが好適である。整流部351における遊技球の通路としての前後幅は、遊技球の直径の略1.1倍から略1.3倍の範囲内に設定することが好ましく、略1.2倍に設定することが好適である。
整流部351においては、前壁部374の一部として前側突部375が形成され、後壁部383の一部として後側凹部が形成されている。このため、前側突部375や後側凹部384を形成するために前後の壁部に対して別部材を設ける必要がなく、簡易な構成により軽量且つ低コストで整流部を形成することができる。
また、前側突部375の上面376は、前側球受け面部352の上面に対して下側に離間して位置し、前側球受け面部352の上面から前側突部375側へ移動した遊技球が自重により勢いを増して前側突部375の上面に到達し、その後に前側突部375の上面から整流部351内に流入する。このため、前側球受け面部352の上面から前側突部375の存在しない箇所において整流部351内へ流入する遊技球の勢いは十分に弱まるように前側球受け面部352の上面の傾斜角度を緩く設定しても、前側突部375の存在する箇所において整流部351内へ流入する遊技球は前側突部375の上面376付近でパチンコ機10の後方側に加速させてから落下させることができる。よって、整流部351内へ左右に並んで流入した遊技球を比較的大きく離間させることができ、遊技球同士の当接を少なくして球詰まりや騒音の発生を抑制した高品質なパチンコ機10とすることができる。なお、前側突部375の上面376は、前側球受け面部352の上面に対して下側に離間して位置させる構成、及び、前側球受け面部352より後側に大きく傾斜した形状とする構成のうちいずれか一方の構成を有する形状としても良い。
整流部351において底面部377に支持された状態で流下中の遊技球に対して別の遊技球が上方側から当接した場合には、その流下中の遊技球の勢いが増し、勢いが増した遊技球と他の遊技球とが噛み合った状態となって球詰まりが生じる可能性がある。これに対して、前側突部375と後側凹部384は、いずれも上下方向に連続する略平面状の壁面を複数組み合わせて形成されている。このため、底面部377に支持された状態で流下中の遊技球に対して上方側から遊技球が当接しても、平面状の壁面に一回又は複数回遊技球が衝突することで遊技球の勢いが短い区間で弱められる。すなわち、断面円弧状に凹んだ曲面形状に遊技球の壁面が形成された場合には壁面に当接しつつ遊技球が流下することで遊技球の勢いが弱まらない可能性があるものの、平面部分を複数組み合わせて折れ線状に壁面が形成された場合には遊技球を壁面に確実に衝突させることができる。よって、遊技球同士が勢い良く衝突する状況を少なくすることができ、整流部351における球詰まりをより確実に防止することができる。
ここで、上下の作動口83a,83b及びアウト口86を経由した遊技球が誘導される前側球受け面部352及び整流部351には、多量の遊技球がまとまって誘導される状況が発生し易い。例えば、遊技球が遊技領域23a内において釘の間部分に一時的に詰まった状態となり、その上流側に多量の遊技球が滞留した場合、下流側部分の滞留が解除されると、アウト口86に多量の遊技球が一気に流入することとなる。このような状況においては、遊技球同士が前側球受け面部352の上で衝突し、一部の遊技球がパチンコ機10の後方側に押し出されて整流部351を越えてしまう状況が想定される。
これに対して、整流部351の後側部分を形成する後壁部383は、前壁部374より上方側に連続して形成されているので、一部の遊技球がパチンコ機10の後方側に押し出されても、その遊技球は後壁部383の上部に衝突することでパチンコ機10の後方側への移動が制限される。このため、アウト口86等を経由する遊技球が多量となっても整流部351内に遊技球が流入し易くなり、アウト口86等を経由する多数の遊技球を速やかに下流側通路部356に収集し、更に下流側の排出通路部357にて遊技球の通過を速やかに検知することができる。よって、遊技状態と発射球数との管理を精度良く行うことができ、球収集部301による遊技球の収集が遅延することで遊技状態と発射球数とを対応づけた管理をすることが不能となるといった問題の発生を抑制することができる。
また、整流部351の後側には、後側球受け面部353が設けられているので、整流部351内において遊技球の流下が遅れて整流部351が満杯となった場合には、アウト口86等から流下した遊技球の一部が整流部351を越えてパチンコ機10の後方側へ移動し、後側球受け面部353の上側に滞留する。このため、整流部351において遊技球の流下が遅れても遊技球を整流部351の上流側であってアウト口86の下流側に多量に遊技球を貯留することができ、整流部351とアウト口86との上下位置を近づけつつも、アウト口86から遊技球が溢れて遊技領域23aに遊技球が滞留してしまう状況を回避することができる。よって、遊技領域23aを拡大してアウト口86を下側に配置可能にして遊技領域の設計レイアウトの自由度を高めつつ、アウト口86の周辺部分に遊技球が滞留する状況を少なくして不具合の生じ難いパチンコ機10とすることができる。
後側球受け面部353における前方側への下降傾斜角度は、前側球受け面部352における後方側への下降傾斜角度より緩い傾斜角度に設定されている。このため、前側球受け面部352と後側球受け面部353との上側に遊技球が滞留した場合において、前側球受け面部352側の遊技球を優先して整流部351内に流下し易くすることができる。よって、前側球受け面部352に支持された遊技球が速やかに整流部351内へ流入し易く、アウト口86から遊技球が溢れて遊技領域23aの下部に遊技球が滞留する不具合を抑制することができる。
整流部351に流入した遊技球を支持する底面部377は、前壁部374より後壁部383側に突出した形状であって突出先端側が自由端とされた断面形状に形成されている。このため、前側球受け面部352から整流部351内へ流下した遊技球が底面部377に当接すると、遊技球の自重及び落下の勢いにより底面部377が弾性変形して上下に振動し易い。よって、遊技球同士が衝突して球詰まりする状況が生じそうになっても底面部377の上下動により球詰まりの状態が崩されやすく、整流部351内に球詰まりを生じ難くすることができる。また、整流部351へは前後に位置を違えて遊技球が流入可能とされているので、固定端に相当する前側から遠く離間した自由端に近い位置に遊技球が落下した場合に底面部377が大きく振動させることができ、一層球詰まりを生じ難いものとすることができる。なお、アウト口86の横幅における中央部分に相当する位置に前側突部375を配置することが好ましく、更には、アウト口86の中央位置と、前側突部375における突出先端部分とを左右方向において一致させることが、底面部377を振動させ易くすることができて好ましい。
底面部377における後側端縁378の下側には、底面支持部380が設けられ、底面部377の自由端側における一定量以上の下側への変形が底面支持部380により阻止される。このため、多量の遊技球が整流部351内に滞留した場合など、底面部377に過大な負荷が作用した場合でも、底面部377が下側に変形し過ぎたり、破損したりすることが防止されている。よって、底面部377の弾性変形により球詰まりの発生を抑えつつ、底面部377の過大な変形及び破損は防止して底面部377により遊技球を円滑に下流側に流下させることができる。
前壁部374は、底面部377の固定端側に相当し、前壁部374における底面部377に近い下側部分に通路窓部379が設けられている。このため、底面部377に遊技球が当接した場合における底面部の弾性変形を生じ易くすることができ、球詰まりの発生を防止することができる。また、通路窓部379を通じて、整流部351の内外が連通するので、通路窓部379内に流入した異物を除去したり、球詰まりが生じた場合において外部側から工具を差し込んで球詰まりを解消したりすることができる。更に、通路窓部379の上下幅は遊技球の半径より短く設定され、底面部377に支持された遊技球は通路窓部379の上側に位置する壁部に支持させることができ、整流部351において遊技球を整列しつつ下流側に誘導する機能は維持することができる。
通路窓部379は、前壁部374から後壁部383側に突出する突出先端部分に対応する位置を含んで左右両側に連続する横長に設けられている。このため、底面部377を左右方向における広範囲にわたって振動し易くすると共に、通路窓部379を通じた外部側から突出先端部分が形成される奥側に相当する位置まで工具等を差し込み易くすることができる。
遊技盤23の背面視右側部分より球収集部301に流下する遊技球は、前側球受け面部352に当接した後に、側方球受け面部391の上側に形成される側方側誘導通路354を経由して整流部351の背面視右側端部に誘導される。整流部351の背面視右側端部に誘導された遊技球は、下方に落下した後に底面部377に支持され、底面部377の傾斜方向側に向かうように進路を折り返し、下流側通路部356に収集される。
この場合において、整流部351の背面視右側端部には前側突部375が位置し、前側突部375はアウト口86の開口位置よりも側方側誘導通路354に近い位置において後側に突出して形成されている。このため、側方側誘導通路354に流入した遊技球がアウト口86から整流部351に流入した遊技球に衝突することが抑制される。よって、整流部351における底面部377によって側方側誘導通路354とは逆の方向に向けて流下することとなるアウト口86を経由した遊技球と、側方側誘導通路354に誘導された遊技球とが勢い良く衝突することが抑制され、遊技球の衝突により生じる球詰まり等の不具合を抑制することができる。
遊技盤23の背面視左側部分より球収集部301に流下する遊技球は、中間ユニット側開口部342に流入した後に、上流側通路部355の底面401に当接し、底面401の下降傾斜方向に沿って整流部351の背面視左側端部に誘導される。整流部351の背面視左側端部に誘導された遊技球は、整流部351の背面視左端の前側突部375に衝突し、その後に、前側突部375と後側凹部384を形成する壁面に衝突を繰り返しながら底面部377に支持されつつ流下し、下流側通路部356に収集される。
この場合において、整流部351の背面視左側端部には前側突部375が位置し、前側突部375はアウト口86の開口位置よりも上流側通路部355に近い位置において後側に突出して形成されている。このため、上流側通路部355に流入した遊技球がアウト口86から整流部351に流入した遊技球に勢い良く衝突することが抑制される。よって、アウト口86を経由した遊技球に、上流側通路部355に流入した遊技球が勢い良く衝突することが抑制され、遊技球の衝突により生じる球詰まり等の不具合を抑制することができる。
また、上流側通路部355は、整流部351に比べて左右方向において直線状の通路形状とされている。このため、整流部351と平面視において同一形状に折れ曲がって上流側通路部が形成される場合に比べて上流側通路部355に流入した遊技球が発射球検知センサSE1へ到達するまでの時間を短くすることができる。よって、整流部351を経由して発射球検知センサSE1に到達することとなる遊技板23bの背面視左側部分から流入した遊技球についても発射球検知センサSE1に到達するまでの時間を極度に遅延させることがなく、発射球検知センサSE1を利用したパチンコ機10の管理をより正確に行うことができる。上流側通路部355の上方には、可変入賞口用通路313が配置されているので、例えば、特別遊技状態における発射球数に対する可変入賞口82への入賞数などを比較的正確に管理することができる。また、遊技板23bの背面視左側部分の下側における通路幅に要するスペースを小さくすることができ、その分、他の部材の設置スペースを確保し易くすることができる。
また、上流側通路部355が設けられるコネクタケースユニット331は、整流部351が形成される裏パックユニット15とは別の部材である中間ユニット13に設けられ、中間ユニット13から後側に突出した形状のコネクタケースユニット331が裏パックユニット15に形成される空間部15aに回動動作において入り込む構成とされている。このため、コネクタケースユニット331の前後幅を薄く形成することで回動動作において相互に干渉しないようにするために必要な左右方向における隙間幅を少なく設定することができ、その分についても他の部材の設置スペースを確保し易く、また、隙間を通じた不正行為を抑制することができる。また、中間ユニット13に対して裏パックユニット15が回動する中心軸についても、コネクタケースユニット331が設けられる背面視左側とは反対の背面視右側に設けられ、その分、空間部15a内においてコネクタケースユニット331が相対的に回動することを抑制して左右方向における隙間幅を少なく設定することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られることはなく、例えば、以下に記載するように変形して実施しても良い。この場合に、以下に記載する各構成を上記実施形態に対して適用しても良く、以下に記載する複数の構成を組み合わせて上記実施形態に対して適用しても良い。
上記実施形態における整流部351の形状に代えて、他の形状の整流部351としても良く、左右方向における整流部351への流入位置によって遊技球が前後に位置を違えて流入する形状であれば良い。整流部は、平面視において斜め方向に連続する部位を有して左右方向側に連続した形状であれば良く、平面視において、正弦波、三角波又は鋸刃状波等によって折れ線状又は曲線状に形成された部位を有するいずれの溝形状によって整流部を形成しても良い。すなわち、整流部351は、平面視において遊技球が1列に左右方向側に連なる前後幅に設定される部位であり、前後方向に対して垂直でなく斜め方向に交差する斜め方向側に連続する溝状の部位を少なくとも一部に有し、整流部351に遊技球が連なった場合に平面視において曲線状又は折れ線状に連なる部分を有して遊技球が1列に並ぶものであれば良い。また、左右方向と前後方向に連続する溝のみを組み合わせた平面視において矩形波の形状のみで構成される溝形状により整流部351を形成しても良く、この場合には、下面形状として平面視における溝経路に沿って下流側に下降傾斜する形状とする。
上記実施形態における整流部351は、パチンコ機10の前後方向に垂直な方向であって、遊技板23bの裏面に平行な方向に相当する左右方向に連続する形状とされていたが、パチンコ機10の前後方向に対して斜めに交差する斜め方向(左右方向の成分を有する方向)に連続する形状としても良く、左右方向の成分を含む左右方向側に連続する形状であれば良い。
上記実施形態における整流部351は、前壁部374及び後壁部383により構成したが、これに代えて、平板状の前壁部と後壁部を離間して配置し、その間に前側突部375と後側凹部384の形状に相当する別部材を配置して構成しても良い。
上記実施形態における整流部351は、アウト口86を経由した遊技球が上方側から流入可能なように左右方向においてアウト口86の配置位置を含む構成としたが、これに代えて、又は、これに加えて、一般入賞口81、可変入賞口82、上下の作動口83a,83b及びアウト口86のいずれか又は複数を経由した遊技球が上方側から流入可能なように、左右方向において各通路312〜316のいずれか又は複数の出口部分を含む、上記実施形態とは異なる範囲に整流部351を形成しても良い。この場合において、各通路312〜316から遊技球が整流部351に流下する位置には、前側突部375が配置されることが好ましく、例えば、各通路312〜316の出口部分における左右方向中央位置に前側突部375における突出先端部分が位置するように整流部351に対して各通路312〜316を形成することが好ましく、これにより、遊技球同士の衝突を抑制することができる。
上記実施形態における底面部377は、前壁部374と一体的に形成されていたが、これに代えて後壁部383と一体に形成し、前側の端縁が自由端となる形状としても良く、この場合においても弾性変形を利用した球詰まりの抑制機能を付加することができる。
上記実施形態における前側球受け面部352及び後側球受け面部353の少なくとも一方の上面を、平坦でなく起伏を設けた形状としても良く、例えば、前後方向に延びる線状の突部又は溝部を多数並べて形成し、上面に落下した遊技球が後方側に真っすぐに進行し易く構成しても良く、これにより、左右方向において並んだ状態で整流部351に流下した遊技球が整流部351内において離間し易くすることができる。
上記実施形態における球収集部301は、パチンコ機10から遊技球を排出する排出口359を有する部位であり、遊技領域23aを経由した遊技球の最下流部を構成する部位としたが、必ずしも最下流部を構成する部位とする必要はなく、球収集部301より下流側に遊技球を貯留する貯留部が設けられる構成としても良い。例えば、パチンコ機の演出において遊技球を使用した演出を実行可能な構成における演出用の遊技球を貯留する貯留部が球収集部301より下流側に設けられても良い。
上記実施形態における通路窓部379は、2カ所に形成する構成としたが、1又は3カ所以上に通路窓部379を形成しても良いし、通路窓部379の形状及び長さについても、上記実施形態に限らず、例えば、通路窓部379の上下幅が左右方向において一定でなく変化する形状など、他の形状としても良い。
本発明を上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球が入賞することを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。また、大当たり等の抽選機能のないいわゆる普通機として採用されても良い。球が所定の入賞口に入ることで特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。また、球が循環する封入式のパチンコ機に実施しても良く、この場合には、遊技領域の下流側であって発射位置との間部分に球収集部301を配置し、発射位置に誘導される遊技球を貯留する貯留部に対して遊技球を収集する構成としても良い。さらに、パチンコ機以外にも、アレンジボール型パチンコ、雀球等の各種遊技機として実施するようにしても良い。
<上記実施形態から抽出される発明>
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
<特徴A群>
遊技機の一種であるパチンコ機には、遊技領域が前面側に形成される遊技板が設けられている。遊技板には、遊技領域に発射された遊技球が入賞可能な入賞口が複数箇所に設けられ、また、その複数の入賞口のいずれにも入賞しなかった遊技球が流入するアウト口が設けられている。遊技領域には、発射装置によりほぼ一定の時間間隔で遊技球が発射され、遊技領域へ発射された遊技球は、遊技領域を経由した後に入賞口又はアウト口を経由して遊技板の裏面側に誘導される。遊技板の裏面側には収集経路と排出口が設けられ、遊技板の裏面側に誘導された遊技球は、収集経路によって排出口につながる経路の入口部分へ収集され、排出口からホール側の島設備へと排出される(例えば、特開2001−178926号公報参照)。
また、遊技機として封入球式の遊技機がある。この種の遊技機においては、遊技球が1つの遊技機内において循環する構成とされている。すなわち、遊技領域に発射された遊技球は、遊技領域を経由した後に収集経路によって発射位置につながる経路の入口部分に収集され、再び発射位置へと誘導される(例えば、特開2005−137404号公報参照)。
従来の遊技機において、遊技球は、通常ほぼ一定の時間間隔で遊技領域内へと発射されるものの、遊技領域内に滞在する時間は遊技球毎に一定でなく変動する。このため、遊技領域から複数の遊技球がまとまって出力される場合があり、この場合には収集経路に複数の遊技球がまとまって流入し、球詰まりが生じたり、一時的に大きな騒音が生じたりする可能性がある。すなわち、遊技領域を経由した遊技球を排出口や発射位置といった所定箇所に収集する構成において改善の余地がある可能性がある。
<特徴A1>
遊技球が流下する遊技領域を前面側に形成する遊技部材(遊技板23b)と、該遊技部材の前面側に形成される遊技領域を経由した遊技球を所定箇所に収集する球収集手段(球収集部301)とを備えた遊技機において、
該球収集手段は、
前記遊技領域に対して遊技機後方側に設けられ、前記遊技領域を経由して遊技機後方側に誘導される遊技球の少なくとも一部に相当する所定の遊技球が下方側に流下する経路の下側に位置して上方側を向き、遊技機後方側に下降傾斜し、複数の遊技球が並列可能な横幅を有する上面形状とされた前側球受け面部(前側球受け面部352)と、
該前側球受け面部に対して遊技機後方側に設けられ、前記所定の遊技球を上方側より受け入れ可能に上方側に横長に開口し、平面視において遊技球が1列に整列した状態で左右方向側に連なる前後幅に設定され、底面が左右方向における一方側に傾斜した整流部(整流部351)と、を備え、
該整流部は、平面視において左右方向に対して斜めに交差する斜め方向に連続する部位を有して左右方向側に連続する形状にて上方側に開口し、
前記所定の遊技球は、前記前側球受け面部にて下側を支持された後に前記整流部に誘導され、前記整流部における斜め方向側に連続する部位において前後に位置を違えて前記整流部内に流入可能に構成されていることを特徴とする遊技機。
特徴A1記載の遊技機によれば、遊技領域を経由した遊技球を好適に所定箇所に収集可能な遊技機を提供することができる。すなわち、遊技領域を経由して遊技機後方側に誘導された所定の遊技球は、下方側に流下する経路において自重により加速した後、前側球受け面部に当接して支持されることにより減速する。前側球受け面部によって減速させられた所定の遊技球は、前側球受け面部における傾斜方向に沿って整流部側に誘導され、整流部内に流入する。整流部内においては平面視において遊技球が1列に整列した状態で左右方向側に連なり、底面の傾斜方向側に誘導されて所定箇所に収集される。
ここで、前側球受け面部は、複数の遊技球が並列可能な横幅を有する上面形状とされているため、遊技球が遊技機後方側に誘導されて整流部に流入する位置は、前側球受け面部への遊技球の落下位置や遊技球同士の接触等により左右方向において一定とはならず変化する。整流部は、平面視において斜め方向に連続する部位を有して左右方向側に連続する形状とされているので、その斜め方向に連続する部位において左右方向における遊技球の流入位置が変化すると、遊技球が整流部内へ前後に位置を違えて流入することとなる。
整流部は、左右方向のみに連続する場合に比べて、斜め方向に連続する部位を有する分、遊技球の経路が長くなり、その長くなった分は、整流部において遊技球同士の間隔が大きくなり易い。例えば、複数の遊技球が接触するように左右に並んで整流部内へ流入しても、整流部内への流入する際に左右に並列していた遊技球が斜め方向に位置し、その斜め方向に位置した分、遊技球同士の間隔が離れた状態となり易い。よって、整流部において1列に遊技球が整列される際に、遊技球同士の接触が生じ難くなり、遊技球同士の接触により生じる球詰まりや騒音の発生は抑制することができる。
また、整流部内への流入の前に、所定の遊技球は前側球受け面部に支持されることによって一旦減速させられる。このため、入賞口やアウト口といった異なる高さ位置から遊技機後方側に誘導された後に下方側に向かって進行することで落下速度が異なることとなり易い遊技球であっても、整流部内には一定の速度範囲内で遊技球を流入させ易くすることができる。よって、設計者の意図に近い状態で遊技球同士が離間し易く、遊技球を所定箇所に好適に収集することができる。
更に、整流部は、遊技球が1列に整列した状態で左右方向側に連なる前後幅に設定されているので、遊技球が並列可能とする場合に比べて整流部の前後幅を縮小することができ、他の部品を含めた設計レイアウトを容易化することができる。
なお、特徴A1における「遊技球を所定箇所に収集する」とは、遊技球が所定箇所に貯留される貯留部を必ずしも必要とするものでなく、所定箇所としての通路を遊技球が通過するように誘導する場合を含み、この場合には、遊技球が通過するように次第に通路の大きさを狭めた後の下流側において最小の断面積に形成された通路の一部分(例えば、排出口359)又は当該通路全体(例えば、下流側通路部356)が所定箇所に該当する。また、特徴A1及び以下の記載における「球収集手段」に代えて「球誘導手段」とし、「遊技部材の前面側に形成される遊技領域を経由した遊技球を所定箇所に誘導する球誘導手段」を備えた遊技機としても良く、「球誘導手段」としては上記実施形態における球収集部301が該当する。
特徴A1における「遊技部材」は、一枚板により一定の厚みに形成された板状の部材により構成され、遊技球が遊技領域から遊技機後方側に通過可能に前後方向に貫通する貫通孔がルータ加工等により形成された部材により構成されても良く、または、全体としては板状でなく前後方向における厚みが一定でない部材により構成され、樹脂成形や切削加工等により前後に貫通する貫通孔が形成された部材により構成されても良い。また、遊技部材は、貫通孔の外周部おいて後方側に円筒状に突出し、貫通孔の内面に沿った内面形状を有する筒状部が設けられること等により、部分的に厚みが異なる部位を有するものであっても良い。
特徴A1における「遊技球が通過可能な貫通孔」としては、外周縁が閉じた穴形状はもちろん、外周縁の一部が遊技部材の外縁に連続し、遊技機正面視において遊技部材の外縁側から中央側に入り込んだ形状により前後に貫通する貫通孔に相当する部位が形成される構成としても良い。
特徴A1における「所定の遊技球」は、遊技領域を経由した遊技球の全てに相当するものであっても良いし、遊技領域を経由した遊技球の一部に相当するものであって、残りの遊技球は前側球受け面部に当接することなく所定箇所に流下する構成であっても良い。
特徴A1における「遊技球が下方側に流下する」とは、真下側に流下する場合のみでなく、斜め下側等、下方側の成分を有して遊技球が下側に流下する構成であれば良い。
<特徴A2>
前記整流部は、前記前側球受け面部の後端部より下側に連続する形状の前壁部(前壁部374)と、該前壁部に対して平面視において遊技球が整列可能な隙間を隔てて遊技機後方側に設けられる後壁部(後壁部383)と、前記前壁部と前記後壁部の下側にて遊技球を支持する底面を形成する底面部(底面部377)とを有し、
前記前壁部の一部は、前記後壁部側に突出した前側突部(前側突部375)を形成し、該前側突部が左右方向に離間した複数箇所に設けられ、
前記後壁部の一部は、前記前側突部の配置位置に対応した複数箇所において遊技機後方側に凹んだ形状に形成された後側凹部(後側凹部384)を形成し、
前記整流部は、前記前壁部に設けられる前側突部と、前記後壁部に設けられる後側凹部とにより、平面視において斜め方向に連続する部位を有して左右方向側に連続した形状にて上方側に開口していることを特徴とする特徴A1記載の遊技機。
特徴A2記載の遊技機によれば、前壁部の一部として前側突部が形成され、後壁部の一部として後側凹部が形成されることにより整流部が構成されているので、前側突部や後側凹部を形成するために前後の壁部に対して別部材を設ける必要がなく、簡易な構成により軽量且つ低コストで整流部を形成することができる。
<特徴A3>
前記前側突部の上面(上面376)は、前記前側球受け面部の上面に対して下側に位置し、又は、前記前側球受け面部の上面に対して遊技機後方側に大きく傾斜して設けられていることを特徴とする特徴A2記載の遊技機。
特徴A3記載の遊技機によれば、前側球受け面部の上面から前側突部に当接することなく整流部内へ流入する遊技球の勢いを弱めるように前側球受け面部の上面の傾斜角度を緩く設定しても、前側突部が設けられる部位に流入した遊技球は前側突部の上面付近で遊技機後方側に加速させてから落下させることができる。よって、整流部内へ左右に並んで流入した遊技球を比較的大きく離間させることができ、遊技球同士の当接を少なくして球詰まりや騒音の発生を抑制した高品質な遊技機とすることができる。
<特徴A4>
前記前側突部及び前記後側凹部の少なくとも一部は、上下方向に連続する略平面状の壁面を複数組み合わせて形成されていることを特徴とする特徴A2又はA3記載の遊技機。
特徴A4記載の遊技機によれば、略平面状の壁面を複数組み合わせて前側突部及び前記後側凹部の少なくとも一部が形成されているので、底面に支持された状態で流下中の遊技球に対して上方側から遊技球が当接しても、平面状の壁面に一回又は複数回遊技球が衝突することで遊技球の勢いが短い区間で弱められる。よって、遊技球同士が勢い良く衝突する状況を少なくすることができ、整流部における球詰まりをより確実に防止することができる。
<特徴A5>
前記整流部に対して左右方向における一方側であって遊技球の流下方向下流側に設けられ、前記底面部に対して遊技球を支持する底面が連続し、前記整流部の上端側における開口部より低い位置に入口の上縁が設定された下流側通路部(下流側通路部356)を備え、
該下流側通路部は、遊技球が1列に整列可能な前後幅を隔てて形成されると共に少なくとも1箇所以上において前側又は後側に突出した曲部を有する形状とされていることを特徴とする特徴A2からA4のいずれかに記載の遊技機。
特徴A5記載の遊技機によれば、整流部内において上下に遊技球が積み重なった状態となって下流側通路部側に遊技球が押し出されても、下流側通路部における曲部に遊技球が当接して遊技球が減速する。よって、整流部に多量の遊技球が流入する状況が生じても、遊技球の速度を整流部の下流側で確実に減速させることができ、遊技球を所定箇所に好適に収集可能とすることができる。
なお、下流側通路部に設けられる曲部より下流側において遊技球の通過を検出する通過検出手段が遊技機に設けられる場合には、通過検出手段と整流部との間には曲部を1カ所にのみ設けることが好ましい。遊技球を減速可能としつつも遊技球の流下が極端に遅れることがないので、通過検出手段による遊技球の検出時期と遊技の状態とが一致し易く、遊技機をより正確に管理することができる。
特徴A5記載の遊技機における「底面部に対して底面が連続する」とは、底面部に支持された遊技球が下流側通路部において大きな段差(例えば、遊技球の直径より大きな段差)が設けられることなく同一方向側に流下することを意味し、遊技球の直径より小さい程度の僅かな段差が設けられる場合には、底面部に対して底面が連続するものとする。
<特徴A6>
前記整流部における前記底面部に対して上流側には、該底面部の上流側に横長直線状に連続して上方側に開口した上流側通路部(上流側通路部355)が設けられていることを特徴とする特徴A2からA5のいずれかに記載の遊技機。
特徴A6記載の遊技機によれば、上流側通路部が横長直線状に設けられているので、上流側通路部が折れ曲がる等した場合に比較して、上流側通路部から整流部へは遊技球を円滑に誘導することができる。このため、整流部において遊技球が減速する構成においても、所定箇所へ遊技球が到達するまでの時間が極端に遅延することを抑制することができる。よって、整流部の下流側にて遊技球の排出数を計数する場合における時間ずれを低減して計数を正確なものとすることができ、また発射位置へ遊技球を誘導する構成において少ない遊技球数としつつも発射する遊技球が不足する事態を回避することができる。
<特徴A7>
前記遊技領域には、入賞により賞球が払い出される1又は複数の入賞部(上下の作動口83a,83b)と、該入賞部に入賞しなかった遊技球が流入するアウト口部(アウト口86)とが設けられ、
前記前側球受け面部は、少なくとも前記アウト口部を経由した遊技球が前記所定の遊技球として流下する経路の下側に位置し、
前記後壁部は、前記前壁部より上方側に連続し、
前記後壁部の上端部に対して遊技機後方側には、上方側を向き、前側に下降傾斜した上面形状とされ、複数の遊技球が並列可能な横幅を有する後側球受け面部(後側球受け面部353)が設けられていることを特徴とする特徴A2からA6のいずれかに記載の遊技機。
特徴A7記載の遊技機によれば、後壁部が前壁部より上方側に連続した形状とされているので、一部の遊技球が遊技機後方側に押し出されて整列部を越えそうになっても、その遊技球は後壁部の上部に衝突することで遊技機後方側への移動が制限される。このため、所定の遊技球が比較的多量に設定されても、整流部内に遊技球を流入し易くすることができるので、アウト口部を経由する多数の遊技球を速やかに所定箇所に収集することができる。よって、発射された遊技球を比較的速やかに所定箇所に収集し、球収集手段による遊技球の収集の遅延による問題の発生を抑制することができる。
また、整流部内において遊技球の流下が遅れて整流部が満杯となった場合には、アウト口部から流下した遊技球の一部が整流部を越えて遊技機後方側へ移動して後側球受け面部の上側にも滞留可能となる。このため、整流部によって遊技球の流下が遅れたとしても遊技球を整流部の上流側であってアウト口部の下流側に滞留可能とし、整流部とアウト口部との上下位置を近づけつつも、アウト口部から遊技球が溢れてしまう状況を回避することができる。よって、遊技領域を拡大してアウト口部が下側に配置されてもアウト口部の周辺部分に遊技球が滞留する状況を少なくすることができる。
<特徴A8>
前記後側球受け面部における遊技機前方側への傾斜角度は、前記前側球受け面部における遊技機後方側への傾斜角度より緩い傾斜角度に設定されていることを特徴とする特徴A7記載の遊技機。
特徴A8記載の遊技機によれば、前側球受け面部と後側球受け面部との上側に遊技球が滞留した場合において前側球受け面部側の遊技球を優先して整流部内に流下し易くすることができる。よって、前側球受け面部に支持された遊技球が速やかに整流部内へ流入し、アウト口部の周辺部分に遊技球が滞留する可能性を低減することができる。
<特徴A9>
前記底面部は、前記前壁部又は前記後壁部のうち一方の壁部より他方の壁部側に突出した形状であって突出先端側が自由端とされた断面形状に形成されていることを特徴とする特徴A2からA8のいずれかに記載の遊技機。
特徴A9記載の遊技機によれば、一方の壁部より他方の壁部側に底面部が突出した形状で突出先端側が自由端とされているので、前側球受け面部から整流部内へ流下した遊技球が底面部に当接することで、底面部が弾性変形して上下に振動し易くなる。このため、遊技球同士が衝突して球詰まりする状況が生じそうになっても底面部の上下動により球詰まりの状態が崩されやすく、整流部内に球詰まりを生じ難くすることができる。また、整流部へは前後に位置を違えて遊技球が流入可能とされているので、固定端側から遠く離間した自由端に近い位置に遊技球が落下した場合には底面部が大きく振動し易く、一層球詰まりを生じ難いものとすることができる。
<特徴A10>
前記前壁部又は前記後壁部のうち前記一方の壁部には、前記底面部に近い下側部分に遊技球の半径より上下幅が短く設定され、前後方向に貫通する通路窓部(通路窓部379)が横長に設けられていることを特徴とする特徴A9記載の遊技機。
特徴A10記載の遊技機によれば、一方の壁部が底面部の固定端側に相当し、底面部の固定端側における壁部の下側部分に通路窓部が横長に設けられているので、その分、底面部に遊技球が当接した場合における底面部の弾性変形を生じ易くすることができ、球詰まりの発生を防止することができる。また、通路窓部を通じて、整流部の内外が連通するので、通路窓部内に流入した異物を除去したり、球詰まりが生じた場合において外部側から工具を差し込んで球詰まりを解消したりすることができる。更に、通路窓部の上下幅は遊技球の半径より短く設定されているので、底面部に支持された遊技球は通路窓部の上側に位置する壁部に支持させることができ、遊技球を整列しつつ下流側に誘導する機能は維持することができる。
<特徴A11>
前記通路窓部は、前記一方の壁部から他方の壁部側に突出する突出先端部分に対応する位置を含んで左右両側に連続する横長に設けられていることを特徴とする特徴A10記載の遊技機。
特徴A11記載の遊技機によれば、突出先端部分に対応する位置を含んで左右両側に連続する横長に設けられているので、底面部を左右方向における広範囲にわたって振動し易くすると共に、通路窓部を通じた外部側から突出先端部分が形成される奥側に相当する位置まで工具等を差し込み易くすることができる。
<特徴A12>
前記底面部は、前記自由端側における外縁形状として平面視において前記整流部により形成される遊技球の経路の形状に沿って形成され、次第に左右方向における幅が狭まる部位を有する外縁形状とされていることを特徴とする特徴A9からA11のいずれかに記載の遊技機。
特徴A12記載の遊技機によれば、底面部を一層振動し易くして球詰まりの生じ難い整流部とすることができる。
なお、以下には、上記した各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を遊技領域に導く通路部と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。