はじめに、本実施の形態から抽出され得る発明群を手段n(n=1,2,3…)として区分して示し、それらを必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
手段1.遊技結果に応じて遊技球を払い出す払出手段(払出装置135)と、
当該払出手段から払い出された遊技球を貯留する上皿(上皿195)と、
当該上皿の下方において当該上皿と上下に並設され、上方に開放されているとともに、前記払出手段から払い出された遊技球であって前記上皿にて余剰となった遊技球を貯留する下皿(下皿214)と、
を備えており、
前記下皿は、
奥壁部(奥壁部215)と、
当該奥壁部の下端から前方に延びる底部(底部216)と、
前記奥壁部とともに前記底部の周縁を囲み、前記下皿を前記上方に開放された形状とする囲み壁部(囲み壁部217)と、
を備えており、
前記奥壁部における前記底部よりも上方に離間された部位には、前記余剰となった遊技球を前記下皿へ排出する排出口(第1球入口218)が形成されているとともに、
前記囲み壁部はその前側に、上端の高さ位置が前記排出口の下端よりも下方となるように形成された前側領域(前側領域235)を備えていることを特徴とする遊技機。
手段1の遊技機では、遊技結果に応じて払出手段から遊技球が払い出され、その払い出された遊技球は上皿にて貯留される。また、払出手段から払い出された遊技球であって上皿にて余剰となった遊技球は下皿に排出され、当該下皿にて貯留される。
当該構成において、余剰となった遊技球を下皿に排出する排出口は下皿の奥壁部において底部よりも上方に離間された部位に形成されている。これにより、下皿の底部上に多数の遊技球が待機したとしても、それら遊技球により排出口が塞がれてしまうことが抑制され、下皿の貯留容量が確保される。
また、下皿の囲み壁部の前側には、上端の高さ位置が排出口の下端よりも下方となった前側領域が設けられている。これにより、従来の遊技機に比べ、少なくとも前側領域の上方においては上皿と下皿との間の距離を長く確保することが可能となり、下皿に貯留された遊技球を上皿と下皿との間から取り出す場合の作業の容易化が図られる。
なお、「底部」とは、下皿の貯留領域の最底部を構成する部位のことをいう。
また、「遊技結果」とは、遊技球が流下する遊技領域を備えた遊技機においては、遊技領域を流下する遊技球が当該遊技領域に設けられた入球部に入球したか否かなどの結果のことをいう。また、絵柄を可変表示するとともに遊技者の操作手段の積極操作により絵柄の可変表示の開始及び停止が行われる絵柄表示装置を備えた遊技機においては、絵柄表示装置における絵柄の可変表示後の停止絵柄が予め定められた入賞用のものか否かなどの結果のことをいう。
手段2.手段1において、前記前側領域は、前記囲み壁部の前側端部を含み、左右方向に延びる領域であることを特徴とする遊技機。
手段2によれば、上皿と下皿との間の距離を長く確保した領域が、囲み壁部の前側端部を含む位置において左右方向の所定範囲に亘って形成されることとなる。これにより、下皿に貯留された遊技球を上皿と下皿との間から取り出す場合の作業の容易化が図られる。
手段3.手段1又は2において、前記排出口の後方から当該排出口に通じ、前記払出手段から払い出された遊技球を前記排出口に導く下皿通路部(裏パック側下皿通路部259、本体側下皿通路部263、前面側下皿通路部273)をさらに備えており、
当該下皿通路部の下流部には、それよりも上流側からの遊技球の流下方向に対して交差する面(通路壁306の面)を有するとともに前記上流側からの遊技球を当該交差面に衝突させて減速させた後に前記排出口に導く減速部(曲がり部305)を備えていることを特徴とする遊技機。
上記手段1の構成を備え、下皿の囲み壁部が比較的低く形成された構成においては、排出口から排出される遊技球がその排出に際しての勢いで囲み壁部を越えて下皿外に零れてしまうことが懸念される。これに対して、本手段3によれば、払出手段から払い出された遊技球を下皿に導く下皿通路部にはその下流部に減速部が設けられており、下皿通路部を通過する遊技球は減速部の交差面に衝突して減速された後に排出口に導かれる。これにより、排出口から排出される遊技球の勢いが低減され、当該遊技球が囲み壁部を越えてしまうことを阻止することが可能となる。
手段4.手段3において、前記下皿通路部は、当該下皿通路部の最下流部を含み前記奥壁部の裏面において当該裏面に沿うようにして形成された下流側通路部(前面側下皿通路部273)を備えており、
当該下流側通路部は前記排出口の後方位置に、前記減速部として、通路方向が前記裏面に沿った方向から前記奥壁部の厚み方向へと変わる曲がり部(曲がり部305)を備えていることを特徴とする遊技機。
手段4によれば、下流側通路部においてその通路方向を奥壁部の裏面に沿った方向から奥壁部の厚み方向へと変更させる曲がり部が減速部として兼用されている。これにより、減速部を曲がり部等とは別に独立して設ける構成に比して、構成の簡素化を図りつつ上記優れた効果を得ることができる。さらには、下流側通路部が奥壁部の裏面において当該裏面に沿うようにして形成されていることにより、上記優れた効果だけでなく下流側通路部を設置するための空間の縮小化が図られるという優れた効果をも得ることができる。
手段5.手段3において、遊技機本体(遊技機ベースユニット22、裏パックユニット24)に対して遊技機前方に開閉可能に設けられた遊技機前面ユニット(遊技機前面ユニット23)をさらに備えており、
当該遊技機前面ユニットに対して、遊技を遊技機前方から視認可能とする窓部(窓パネル部58)と、前記上皿と、前記下皿とが一体化されており、
さらに前記下皿通路部は、当該下皿通路部の最下流部を含み前記遊技機前面ユニットの裏面において当該裏面に沿うようにして形成された下流側通路部(前面側下皿通路部273)を備えており、
当該下流側通路部は前記排出口の後方位置に、前記減速部として、通路方向が前記裏面に沿った方向から前記遊技機前面ユニットの厚み方向へと変わる曲がり部(曲がり部305)を備えていることを特徴とする遊技機。
手段5によれば、遊技機前面ユニットに対して窓部と上皿と下皿とが一体化されている。これにより、遊技機前面において窓部、上皿及び下皿の各間に、遊技機本体側へと通じる境界が生じることはなく、従来の遊技機のような当該境界を利用した不正行為を阻止することが可能となる。
この場合に、下流側通路部においてその通路方向を遊技機前面ユニットの裏面に沿った方向から遊技機前面ユニットの厚み方向へと変更させる曲がり部が減速部として兼用されている。これにより、減速部を曲がり部等とは別に独立して設ける構成に比して、構成の簡素化を図りつつ上記優れた効果を得ることができる。さらには、下流側通路部が遊技機前面ユニットの裏面において当該裏面に沿うようにして形成されていることにより、上記優れた効果だけでなく下流側通路部を設置するための空間の縮小化が図られるという優れた効果をも得ることができる。
なお、「遊技」とは、遊技球が流下する遊技領域を備えた遊技機においては、当該遊技領域を流下する遊技球の態様などのことをいう。また、絵柄を可変表示するとともに遊技者の操作手段の積極操作により絵柄の可変表示の開始及び停止が行われる絵柄表示装置を備えた遊技機においては、当該絵柄表示装置において表示される絵柄の可変表示などのことをいう。
手段6.手段5において、前記下流側通路部を形成する通路形成体(前面側通路形成ユニット271)は、前記遊技機前面ユニットに取り付けられていることを特徴とする遊技機。
手段6によれば、下流側通路部が遊技機前面ユニットに対して一体化されていることにより、下流側通路部における減速部の位置と下皿における排出口との位置を近づけることが可能となる。よって、減速部にて流れの勢いを低減させた直後に下皿に遊技球を排出することが可能となり、減速部にて勢いを低減させる効果が好適に発揮される。下流側通路部が遊技機前面ユニットではなく遊技機本体側に対して一体化された構成を想定すると、遊技機前面ユニットの遊技機本体に対する開放に際して下流側通路部の球出口や排出口を閉鎖するためのシャッタ機構を設ける必要が生じる。そうすると、減速部と排出口との間を、シャッタ機構を設けた分だけ離間させる必要が生じてしまう。これに対して、本手段における構成によれば、上記のとおり下流側通路部が遊技機前面ユニットに対して一体化されていることにより上記シャッタ機構が必要なくなり、上記のとおり減速部と排出口との位置を近づけることが可能となる。
手段7.手段1乃至6のいずれか1において、前記排出口は、少なくとも左右方向寸法が遊技球の複数個分となるように形成されており、
前記奥壁部は、少なくとも前記排出口の下縁から前記底部に至る排出口下方領域(後退面224)が後方となるように、前後方向に段差状に形成されていることを特徴とする遊技機。
手段7によれば、奥壁部が排出口下方領域を有し前後方向に段差状に形成されていることにより、奥壁部に内蔵される部品や構造等の内蔵空間を広く確保しつつ、下皿の貯留容量を確保することが可能となる。特に、上記手段1の構成を備え、囲み壁部に高さ寸法が比較的小さい前側領域を形成した構成においてはそれだけ下皿の貯留容量が小さくなることが懸念されるが、これに対して、上記のように排出口下方領域が形成されていることにより、下皿の貯留容量を確保することが可能となる。
また、奥壁部を少なくとも排出口の下縁から底部に至る排出口下方領域が後方となるように前後方向に段差状に形成することで、前側領域に対する排出口の実質的な距離を長く確保することが可能となる。上記手段1の構成を備え、下皿の囲み壁部が比較的低く形成された構成においては、排出口から排出される遊技球がその排出に際しての勢いで囲み壁部を越えて下皿外に零れてしまうことが懸念される。これに対して、上記のとおり前側領域に対する排出口の実質的な距離を長く確保することで、排出口から排出された遊技球には前側領域に到達するまでに勢いが低減される機会が多く付与されることとなり、当該遊技球が下皿外に零れてしまうことが抑制される。
手段8.手段7において、前記奥壁部は前記排出口の上方に、当該排出口の上縁に向けて遊技機後方となる上方テーパ領域(上方テーパ面231)を有していることを特徴とする遊技機。
上記手段7の構成を備え排出口下方領域が後方となるように奥壁部が前後方向に段差状に形成された構成においては、排出口下方領域側へ凹んだ箇所に遊技球が待機することがある。これに対して、本手段8では、奥壁部における排出口の上方に、当該排出口の上縁に向けて遊技機後方となる上方テーパ領域が形成されていることにより、排出口下方領域側に凹んだ箇所に手を差し入れ易くなり、当該箇所に待機している遊技球を取り出し易くなる。
手段9.手段7において、前記奥壁部は、前記排出口下方領域を除いた前記排出口の周囲の領域が当該排出口下方領域よりも前方に位置していることを特徴とする遊技機。
手段9によれば、排出口下方領域のみが奥壁部において後退させて設けられているため、奥壁部における内蔵空間を極力広く確保しつつ、下皿の貯留容量を確保することが可能となる。
手段10.手段9において、前記排出口下方領域を除いた前記排出口の周囲の領域には、当該排出口の縁部に向けて遊技機後方となるテーパ領域(上方テーパ面231、側方テーパ面232,233)が形成されていることを特徴とする遊技機。
上記手段9の構成を備え排出口下方領域が後方となるように奥壁部が前後方向に段差状に形成された構成においては、排出口下方領域側へ凹んだ箇所に遊技球が待機することがある。そして、奥壁部において排出口下方領域のみが後退された構成においては、そこに待機した遊技球の取り出しを行いづらくなることが懸念される。これに対して、本手段10では、奥壁部における排出口下方領域を除いた排出口の周囲の領域には、排出口の縁部に向けて遊技機後方となるテーパ領域が形成されていることにより、排出口下方領域に凹んだ箇所に手を差し入れ易くなり、当該箇所に待機している遊技球を取り出し易くなる。
手段11.手段7乃至10のいずれか1において、前記上皿に貯留されている遊技球を前記下皿に排出すべく操作される球抜き操作部(球抜きボタン222)と、少なくとも一部を前記奥壁部に内蔵させて設けられ、前記球抜き操作部が操作されたことに基づいて前記上皿から前記下皿に排出される遊技球が通過する球抜き通路部(球抜き通路部221)と、をさらに備えていることを特徴とする遊技機。
手段11によれば、球抜き操作部が操作されることにより上皿に貯留されている遊技球が球抜き通路部を通じて下皿に排出される。また、球抜き通路部は少なくとも一部が奥壁部に内蔵されており、空間の有効活用が図られている。
当該構成においては、奥壁部の前後空間が狭小化されると、それだけ球抜き通路部の設計が難しくなる。これに対して、上記手段7の構成を備え、下皿の奥壁部が前後方向に段差状に形成されていることにより、球抜き通路部を内蔵させるための奥壁部の前後空間を確保しつつ、下皿の貯留容量を確保することが可能となる。
なお、前記球抜き通路部の球出口を、前記奥壁部において前記排出口下方領域よりも前方に位置する領域に形成することで、球抜き通路部の設計をより容易なものとすることが可能となる。
手段12.手段7乃至11のいずれか1において、発射操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構80)と、当該遊技球発射手段から発射された遊技球を遊技領域に向けて誘導する誘導部(内,外レール部77,78)と、前記遊技球発射手段よりも遊技球の発射方向側に設けられ、前記誘導部を逆流してくる遊技球を回収する回収部(回収口281a)と、少なくとも一部を前記奥壁部に内蔵させて設けられ、前記回収部にて回収した遊技球を前記下皿に向けて導く回収通路部(戻り球通路部299)と、をさらに備えていることを特徴とする遊技機。
手段12によれば、遊技球発射手段から発射されたものの遊技領域に到達することなく誘導部を逆流してくる遊技球は回収部にて回収され、その回収された遊技球は回収通路部を通じて下皿に排出される。また、回収通路部は少なくとも一部が奥壁部に内蔵されており、空間の有効活用が図られている。
当該構成においては、奥壁部の前後空間が狭小化されると、それだけ回収通路部の設計が難しくなる。これに対して、上記手段7の構成を備え、下皿の奥壁部が前後方向に段差状に形成されていることにより、回収通路部を内蔵させるための奥壁部の前後空間を確保しつつ、下皿の貯留容量を確保することが可能となる。
なお、前記回収通路部の球出口を、前記奥壁部において前記排出口下方領域よりも前方に位置する領域に形成することで、回収通路部の設計をより容易なものとすることが可能となる。
また、上記手段11を備えた構成においては、前記回収通路部と前記排出通路部とをその下流側にて合流させてもよく、この場合、その合流した通路部の球出口を、前記奥壁部において前記排出口下方領域よりも前方に位置する領域に形成してもよい。
手段13.手段1乃至6のいずれか1において、前記上皿に貯留されている遊技球を前記下皿に排出すべく操作される球抜き操作部(球抜きボタン222)と、少なくとも一部を前記奥壁部に内蔵させて設けられ、前記球抜き操作部が操作されたことに基づいて前記上皿から前記下皿に排出される遊技球が通過する球抜き通路部(球抜き通路部221)と、をさらに備えており、
前記奥壁部において前記底部に至る領域が前後方向に段差状に形成されており、
前記段差状となった領域において前方の領域に前記球抜き通路部の球出口(第2球入口219)が形成されているとともに後方の領域に前記排出口が形成されていることを特徴とする遊技機。
手段13によれば、球抜き操作部が操作されることにより上皿に貯留されている遊技球が球抜き通路部を通じて下皿に排出される。また、球抜き通路部は少なくとも一部が奥壁部に内蔵されており、空間の有効活用が図られている。
当該構成において、奥壁部にて底部に至る領域が前後方向に段差状に形成されており、その段差状となった領域において前方の領域に球抜き通路部の球出口が形成されているとともに後方の領域に排出口が形成されている。これにより、奥壁部に内蔵される球抜き通路部の設計を難しくすることなく、下皿の貯留容量を確保することが可能となる。特に、上記手段1の構成を備え、囲み壁部に高さ寸法が比較的小さい前側領域を形成した構成においてはそれだけ下皿の貯留容量が小さくなることが懸念されるが、これに対して、上記のように奥壁部の一部を後退させることにより、下皿の貯留容量を確保することが可能となる。
また、排出口を奥壁部の前後方向に段差状となった領域において後方の領域に形成することにより、前側領域に対する排出口の実質的な距離を長く確保することが可能となる。上記手段1の構成を備え、下皿の囲み壁部が比較的低く形成された構成においては、排出口から排出される遊技球がその排出に際しての勢いで囲み壁部を越えて下皿外に零れてしまうことが懸念される。これに対して、上記のとおり前側領域に対する排出口の実質的な距離を長く確保することで、排出口から排出された遊技球には前側領域に到達するまでに勢いが低減される機会が多く付与されることとなり、当該遊技球が下皿外に零れてしまうことが抑制される。
手段14.手段1乃至6のいずれか1において、発射操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構80)と、当該遊技球発射手段から発射された遊技球を遊技領域に向けて誘導する誘導部(内,外レール部77,78)と、前記遊技球発射手段よりも遊技球の発射方向側に設けられ、前記誘導部を逆流してくる遊技球を回収する回収部(回収口281a)と、少なくとも一部を前記奥壁部に内蔵させて設けられ、前記回収部にて回収した遊技球を前記下皿に向けて導く回収通路部(戻り球通路部299)と、をさらに備えており、
前記奥壁部において前記底壁部に至る領域が前後方向に段差状に形成されており、
前記段差状となった領域において前方の領域に前記回収通路部の球出口(第2球入口219)が形成されているとともに後方の領域に前記排出口が形成されていることを特徴とする遊技機。
手段14によれば、遊技球発射手段から発射されたものの遊技領域に到達することなく誘導部を逆流してくる遊技球は回収部にて回収され、その回収された遊技球は回収通路部を通じて下皿に排出される。また、回収通路部は少なくとも一部が奥壁部に内蔵されており、空間の有効活用が図られている。
当該構成において、奥壁部にて底部に至る領域が前後方向に段差状に形成されており、その段差状となった領域において前方の領域に回収通路部の球出口が形成されているとともに後方の領域に排出口が形成されている。これにより、奥壁部に内蔵される回収通路部の設計を難しくすることなく、下皿の貯留容量を確保することが可能となる。特に、上記手段1の構成を備え、囲み壁部に高さ寸法が比較的小さい前側領域を形成した構成においてはそれだけ下皿の貯留容量が小さくなることが懸念されるが、これに対して、上記のように奥壁部の一部を後退させることにより、下皿の貯留容量を確保することが可能となる。
また、排出口を奥壁部の前後方向に段差状となった領域において後方の領域に形成することにより、前側領域に対する排出口の実質的な距離を長く確保することが可能となる。上記手段1の構成を備え、下皿の囲み壁部が比較的低く形成された構成においては、排出口から排出される遊技球がその排出に際しての勢いで囲み壁部を越えて下皿外に零れてしまうことが懸念される。これに対して、上記のとおり前側領域に対する排出口の実質的な距離を長く確保することで、排出口から排出された遊技球には前側領域に到達するまでに勢いが低減される機会が多く付与されることとなり、当該遊技球が下皿外に零れてしまうことが抑制される。
手段15.手段1乃至14のいずれか1において、前記底部はその上面が前記前側領域の後方箇所に向けて下り傾斜となるように形成されていることを特徴とする遊技機。
手段15によれば、下皿に貯留されている遊技球は前側領域の後方個所に待機し易くなる。この場合に、上記手段1の構成を備え、前側領域の上端が排出口の下端よりも下方となるように形成されており、少なくとも前側領域の上方においては上皿と下皿との間の距離が長く確保することが可能な構成となっていることにより、前側領域の後方個所に待機している遊技球を上皿と下皿との間から取り出し易くなる。
手段16.手段1乃至15のいずれか1において、前記上皿は、前記底部の上方において当該底部と対向する上皿側の底部を備えており、
当該上皿側の底部は、その下面が遊技機前方から見て上方に凹んだ形状となるように形成されていることを特徴とする遊技機。
手段16によれば、下皿側だけでなく上皿側においても上皿と下皿との間の距離を長く確保する構成が設けられている。これにより、下皿に貯留された遊技球を上皿と下皿との間から取り出す場合の作業の容易化が図られる。
手段17.遊技結果に応じて遊技球を払い出す払出手段(払出装置135)と、
当該払出手段から払い出された遊技球を貯留する上皿(上皿195)と、
当該上皿の下方において当該上皿と上下に並設され、上方に開放されているとともに、前記払出手段から払い出された遊技球であって前記上皿にて余剰となった遊技球を貯留する下皿(下皿214)と、
を備えており、
前記下皿は、
奥壁部(奥壁部215)と、
当該奥壁部の下端から前方に延びる底部(底部216)と、
前記奥壁部とともに前記底部の周縁を囲み、前記下皿を前記上方に開放された形状とする囲み壁部(囲み壁部217)と、
を備えており、
前記奥壁部における前記底部よりも上方に離間された部位には、前記余剰となった遊技球を前記下皿へ排出する排出口(第1球入口218)が形成されており、
さらに、前記排出口は少なくとも左右方向寸法が遊技球の複数個分となるように形成されており、
前記奥壁部は、少なくとも前記排出口の下縁から前記底部に至る排出口下方領域(後退面224)が後方となるように、前後方向に段差状に形成されていることを特徴とする遊技機。
手段17の遊技機では、遊技結果に応じて払出手段から遊技球が払い出され、その払い出された遊技球は上皿にて貯留される。また、払出手段から払い出された遊技球であって上皿にて余剰となった遊技球は下皿に排出され、当該下皿にて貯留される。
当該構成において、余剰となった遊技球を下皿に排出する排出口は下皿の奥壁部において底部よりも上方に離間された部位に形成されている。これにより、下皿の底部上に多数の遊技球が待機したとしても、それら遊技球により排出口が塞がれてしまうことが抑制され、下皿の貯留容量が確保される。
また、奥壁部が排出口下方領域を有し前後方向に段差状に形成されていることにより、奥壁部に内蔵される部品や構造等の内蔵空間を広く確保しつつ、下皿の貯留容量を確保することが可能となる。
また、奥壁部を少なくとも排出口の下縁から底部に至る排出口下方領域が後方となるように前後方向に段差状に形成することで、囲み部壁部の前側領域に対する排出口の実質的な距離を長く確保することが可能となる。よって、排出口と囲み壁部の前側領域との間に手を差し入れ易くなっており、下皿からの遊技球の取り出しを良好に行うことが可能となる。
なお、本手段17に対して上記手段1乃至16のいずれか1において限定した構成を適用してもよい。
以下に、以上の各手段を適用し得る各種遊技機の基本構成を示す。
弾球遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル84)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する球発射手段(遊技球発射機構80)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く誘導部(内,外レール部77,78)と、遊技領域内に配置された各遊技部品(一般入賞口62等)とを備えた遊技機。
球使用の回胴式遊技機:複数の絵柄を変動表示する絵柄表示手段(具体的にはリールユニット)と、前記絵柄の変動表示を開始させるべく操作される始動操作手段(具体的にはスタートレバー)と、前記絵柄の変動表示を停止させるべく操作される停止操作手段(具体的にはストップボタン)と、を備え、その停止後の停止絵柄に応じて遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させる構成であり、さらに、上皿を設けてその上皿から遊技球を取り込む取込処理を行う取込装置と、前記上皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、取込装置にて遊技球が取り込まれ且つ前記始動操作手段が操作されたことに基づいて前記絵柄の変動表示が開始される遊技機。
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の斜視図、図2はパチンコ機10を構成する外枠11の斜視図、図3及び図4はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図、図5はパチンコ機10の背面図である。なお、図3では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機主部21とを有する。
外枠11は、図2に示すように、板材12〜15を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。外枠11を構成する板材12〜15は、左右の板材12,13がアルミなどの金属製となっており、上下の板材14,15が木製となっている。パチンコ機10は、外枠11の上下の板材14,15を島設備に取り付け固定することにより、遊技ホールに設置される。上記のように左右の板材12,13を金属製とするとともに上下の板材14,15を木製とすることで、島設備への固定を可能としつつ外枠11の補強を行うことができる。なお、外枠11の構成は上記のものに限定されることはなく、全ての板材12〜15を木製としてもよく、全ての板材12〜15を金属製としてもよい。また、板材12〜15の全部又は一部を合成樹脂製としてもよい。
ちなみに、図2に示すように、左右の各板材12,13の後端にはその高さ方向の途中位置に、左右両端にて開放された溝部16が形成されている。この溝部16はその幅寸法が板材12,13の厚み寸法分となっている。また、溝部16は上記高さ方向に所定間隔を置いて2つ形成されており、当該所定間隔は左右の板材12,13間の距離と同一となっている。上記のように溝部16が形成されていることにより、外枠11単体を複数まとめて搬送する場合において、その搬送を良好に行うことが可能となる。つまり、各外枠11を寝かせた状態で積み重ねる際に、各外枠11をその前面が上方を向くように載置する。そして、各外枠11は、下方の外枠11に対して90°回転させた状態とする。この場合に、上側の外枠11の溝部16内に下側の外枠11における左右の板材12,13の前縁が入り込むようにすることで、積み重ねた外枠11の荷崩れを防止することが可能となる。なお、上記溝部16は必須の構成ではなく、不具備としてもよい。また、パチンコ機10が外枠11を備える構成としたが、パチンコ機10は外枠11を備えずに遊技機主部21のみを備える構成としてもよい。
外枠11の左側の板材12には、図2に示すように、その上下の各端部に支持金具17,18が取り付けられている。これら支持金具17,18に支持させるようにして、図3及び図4に示すように、遊技機主部21が外枠11に対して回動可能に取り付けられている。
遊技機主部21は、遊技機ベースユニット(本体枠又は内枠)22と、その遊技機ベースユニット22の前方に配置される遊技機前面ユニット(前面扉又は前枠)23と、遊技機ベースユニット22の後方に配置される裏パックユニット24とを備えている。遊技機主部21のうち遊技機ベースユニット22が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端(開閉基端)側とし右側を回動先端(開閉先端)側として遊技機ベースユニット22が前方へ回動可能(開閉可能)とされている。
遊技機ベースユニット22は、図3及び図4に示すように、外枠11の開口全体を覆う大きさを有しており、その背面側であって回動先端側には施錠装置31が取り付けられている。施錠装置31は長尺状の連動杆32を備えており、当該連動杆32には上下一対の鉤金具33が設けられている。外枠11に対して遊技機ベースユニット22を閉鎖した際には、鉤金具33が外枠11の右側の板材13に設けられた受け金具34に係止され、施錠装置31により施錠状態とされるようになっている。また、遊技機ベースユニット22にはシリンダ錠35が設けられており、シリンダ錠35の操作によって連動杆32を上方向又は下方向のうち予め定められた方向に移動させると、外枠11に対する遊技機ベースユニット22の施錠状態が解除される。
ここで、外枠11の各受け金具34は、前方に開放された箱状をなしている。そして、外枠11に対して遊技機ベースユニット22が閉鎖された状態では、鉤金具33が受け金具34内に入り込み、当該受け金具34の前方の開口周縁部に対して鉤金具33が係止される。つまり、受け金具34と鉤金具33との係止箇所は受け金具34自身により囲まれている。これにより、パチンコ機10の背面側から不正に外枠11と遊技機ベースユニット22との施錠状態を解除しようとする行為を阻止可能となっている。なお、上記のような受け金具34の構成は必須のものではなく、他の周知の構成を適用してもよい。
ちなみに、外枠11の右側の板材13には、図3及び図5に示すように、その後端に外枠11の開口内側へと延出させて遮蔽壁36が一体形成されている。当該遮蔽壁36は上側の板材14から下側の板材15までの全体に亘って形成されている。この遮蔽壁36により、外枠11に対して遊技機ベースユニット22が閉鎖された状態において施錠装置31がパチンコ機10背面にて開放されないように遮蔽され、パチンコ機10の背面側から施錠装置31に不正にアクセスする行為を阻止することが可能となる。
さらには、図2及び図5に示すように、外枠11の左側の板材12にも、その後端に外枠11の開口内側へと延出させて遮蔽壁37が一体形成されている。当該遮蔽壁37は上側の板材14から下側の板材15までの全体に亘って形成されている。外枠11に対して遊技機ベースユニット22が閉鎖された状態では、遊技機ベースユニット22の背面が遮蔽壁37の前面と当接する又は接しない程度の近い位置にて対向する。これにより、パチンコ機10前方から遊技機ベースユニット22の回動基端の隙間を介してパチンコ機10背面側に不正用冶具などを挿入する行為を阻止することが可能となる。なお、上記の各遮蔽壁36,37の構成は必須のものではなく、不具備としてもよい。
遊技機ベースユニット22の背面側には、図4に示すように、その回動先端側の下部に、遊技機ベースユニット22の開放の状態を検知するための本体開放スイッチ38が設けられている。本体開放スイッチ38は、遊技機ベースユニット22の背面に出没可能な押圧部38aを有しており、外枠11に対して遊技機ベースユニット22を閉じた状態では押圧部38aが押し込まれて遊技機ベースユニット22の閉鎖が検知され、外枠11に対して遊技機ベースユニット22を開いた状態では押圧部38aが突出位置に戻って遊技機ベースユニット22の開放が検知されるようになっている。ここで、本体開放スイッチ38を遊技機ベースユニット22の回動先端側に設けることで、遊技機ベースユニット22の横方向の中央側や回動基端側に設ける構成に比して、遊技機ベースユニット22の開閉の感度を高めることができる。但し、このように回動先端部に設けることは必須の構成ではなく、中央側や回動基端側に設けてもよい。
遊技機ベースユニット22には、図3に示すように、遊技機前面ユニット23が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端(開閉基端)側とし右側を回動先端(開閉先端)側として前方へ回動可能(開閉可能)とされている。また、遊技機ベースユニット22には、図4に示すように、裏パックユニット24が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端(開閉基端)側とし右側を回動先端(開閉先端)側として後方へ回動可能(開閉可能)とされている。
次に、遊技機ベースユニット22、遊技機前面ユニット23及び裏パックユニット24のそれぞれについて詳細に説明する。
<遊技機ベースユニット22>
先ず、遊技機ベースユニット22について詳細に説明する。図6は遊技機ベースユニット22の正面図、図7は遊技機ベースユニット22に搭載された遊技盤61の正面図、図8は遊技機ベースユニット22の背面図である。なお、図6では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。また、以下の説明では、必要に応じて、遊技機前面ユニット23及び裏パックユニット24の構成についても適宜説明する。
遊技機ベースユニット22は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース41を主体に構成されている。樹脂ベース41の前面における回動基端側にはその上端部及び下端部に支持金具42,43が取り付けられており、これら支持金具42,43に対して遊技機前面ユニット23が支持されていることで当該遊技機前面ユニット23が遊技機ベースユニット22に対して前方に回動可能となっている。また、樹脂ベース41の前面における回動先端側には、遊技機前面ユニット23の背面に設けられた鉤金具44(図3参照)を挿入するための挿入孔45が上下方向に離間させて複数設けられている。遊技機ベースユニット22に対して遊技機前面ユニット23を閉鎖した状態では、遊技機前面ユニット23の鉤金具44が挿入孔45内に入り込み、当該鉤金具44は上述した施錠装置31に係止される。これにより、遊技機ベースユニット22に対して遊技機前面ユニット23が施錠された状態となる。この施錠状態はシリンダ錠35の操作によって施錠装置31の連動杆32を、外枠11に対する遊技機ベースユニット22の解錠を行う場合とは反対側に移動させることで解除される。
ここで、遊技機ベースユニット22の回動基端における上下の支持金具42,43の間には浮き上がり防止金具46が設けられている。当該浮き上がり防止金具46は遊技機ベースユニット22の基端部に沿う長手軸を有するようにして形成されており、右方にて開放された形状をなしている。遊技機ベースユニット22に対して遊技機前面ユニット23を閉鎖した状態では、遊技機前面ユニット23の回動基端部の一部が浮き上がり防止金具46内に入り込む。これにより、遊技機ベースユニット22に対して遊技機前面ユニット23が閉鎖された状態において遊技機前面ユニット23をパチンコ機10前方に引っ張り、遊技機前面ユニット23の回動基端側を遊技機ベースユニット22から離間させてパチンコ機10内部に不正用冶具を挿入しようとしても、浮き上がり防止金具46により遊技機前面ユニット23の前方への移動が規制されるため、上記不正行為を阻止することが可能となる。なお、上記浮き上がり防止金具46に関する構成は必須ではなく、不具備としてもよい。
樹脂ベース41の回動先端部には、図3及び図6に示すように、遊技機前面ユニット23の開放の状態を検知するための前面体開放スイッチ47が設けられている。前面体開放スイッチ47は、樹脂ベース41の前面に出没可能な押圧部47aを有しており、遊技機ベースユニット22に対して遊技機前面ユニット23を閉じた状態では押圧部47aが押し込まれて遊技機前面ユニット23の閉鎖が検知され、遊技機ベースユニット22に対して遊技機前面ユニット23を開いた状態では押圧部47aが突出位置に戻って遊技機前面ユニット23の開放が検知されるようになっている。ここで、前面体開放スイッチ47を樹脂ベース41の回動先端部に設けることで、樹脂ベース41の横方向の中央側や回動基端側に設ける構成に比して、遊技機前面ユニット23の開閉の感度を高めることができる。但し、このように回動先端部に設けることは必須の構成ではなく、中央側や回動基端側に設けてもよい。
樹脂ベース41の中央部には略楕円形状の窓孔51が形成されている。樹脂ベース41にはその後方から遊技盤61が着脱可能に取り付けられている。詳細には、樹脂ベース41の裏面には、図8に示すように、複数(本実施の形態では4箇所)の固定金具52〜55が設けられており、これら固定金具52〜55によって遊技盤61は後方へ脱落しないように固定されている。固定金具52〜55は手動で回動操作することができ、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とに切り換えることができるよう構成されている。
固定金具52〜55は、遊技盤61の固定位置において回動軸よりも遊技盤61外側に位置するレバー部が樹脂ベース41と当接している。例えば、下部の固定金具53については、樹脂ベース41にパチンコ機10後方へ突出したリブ56が一体形成されており、当該リブ56に対してレバー部が当接している。これにより、遊技盤61から固定金具52〜55に掛かる負荷が樹脂ベース41において好適に受けられ、固定金具52〜55が上記負荷によりパチンコ機10後方へ倒れてしまうことが抑制されている。
遊技盤61は合板よりなり、遊技盤61の前面に形成された遊技領域が樹脂ベース41の窓孔51を通じて遊技機ベースユニット22の前面側に露出した状態となっている。この遊技領域は、遊技機前面ユニット23に形成された窓パネル部58を通じてパチンコ機10前方から視認可能となっている。ちなみに、樹脂ベース41の窓孔51の下部周縁には、図3に示すように、当該窓孔51から若干離間された位置において当該窓孔51に沿うようにして、対向壁部59が一体形成されている。遊技機ベースユニット22に対して遊技機前面ユニット23を閉鎖した状態においては、対向壁部59は窓パネル部58の下側縁部と上下に対向する。このように対向壁部59が形成されていることにより、パチンコ機10の下部側から遊技領域内に不正用冶具を挿入する行為を対向壁部59にて阻止することが可能となる。
ここで、遊技盤61の構成を図7に基づいて説明する。遊技盤61には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口62,可変入賞装置63,作動口64,スルーゲート65及び可変表示ユニット66等がそれぞれ設けられている。一般入賞口62、可変入賞装置63及び作動口64に遊技球が入ると、それが検知スイッチにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤61の最下部にはアウト口67が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口67を通って遊技領域から排出される。また、遊技盤61には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘68が植設されていると共に、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示ユニット66には、作動口64への入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置71が設けられている。また、可変表示ユニット66には、図柄表示装置71を囲むようにしてセンターフレーム72が配設されている。センターフレーム72の上部には、第1特定ランプ部73及び第2特定ランプ部74が設けられている。また、センターフレーム72の上部及び下部にはそれぞれ保留ランプ部75,76が設けられている。下側の保留ランプ部75は、図柄表示装置71及び第1特定ランプ部73に対応しており、遊技球が作動口64を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部75の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。上側の保留ランプ部76は、第2特定ランプ部74に対応しており、遊技球がスルーゲート65を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部76の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
図柄表示装置71は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置71には、例えば左、中及び右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。なお、図柄表示装置71は、CRT,ドットマトリックス,7セグメント等その他のタイプにより表示画面を構成したものであってもよい。
第1特定ランプ部73では、作動口64への入賞をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には大当たりが発生する。また、第2特定ランプ部74では、遊技球のスルーゲート65の通過をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には作動口64に付随する電動役物が所定時間だけ開放状態となる。
可変入賞装置63は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置63の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置63が繰り返し開放されるものが一般的である。
遊技盤61には、内レール部77と外レール部78とが取り付けられており、これら内レール部77と外レール部78とにより誘導レール(誘導部)が構成され、遊技球発射機構から発射された遊技球が遊技領域の上部に案内されるようになっている。ちなみに、図6に示すように、樹脂ベース41の窓孔51の右上部には返しゴム79が設けられており、所定以上の勢いで発射された遊技球は返しゴム79に当たり、遊技領域の中央寄りに跳ね返されるようになっている。この場合、返しゴム79はその遊技球が当たる面が遊技領域の中央側に向けて傾斜させて形成されているため、遊技領域の中央に向けた遊技球の跳ね返しが良好に行われるようになっている。
遊技球発射機構80は、図6に示すように、樹脂ベース41における窓孔51の下方に取り付けられている。遊技球発射機構80は、電磁式のソレノイド81と、発射レール82と、球送り機構83とからなり、ソレノイド81への電気的な信号の入力により当該ソレノイド81の出力軸が伸縮方向に移動し、球送り機構83によって発射レール82上に置かれた遊技球を遊技領域に向けて打ち出す。ソレノイド81への電気的な信号の入力は、遊技機前面ユニット23の下部に設けられた遊技球発射ハンドル84(図1等参照)が操作されることに基づいて発生する。
次に、遊技機ベースユニット22の背面構成について図8を用いて詳細に説明する。
樹脂ベース41の背面における回動先端側には既に説明した施錠装置31が設けられている。また、樹脂ベース41の中央には上記のとおり遊技盤61が取り付けられている。
樹脂ベース41の背面における遊技盤61が取り付けられた位置よりも下方には、長尺状の補強金属板86が左右方向に延びるようにして取り付けられている。また、補強金属板86が取り付けられた位置よりも下方には、補強リブ領域87が形成されている。これにより、樹脂ベース41の補強が行われている。特に、これら補強金属板86及び補強リブ領域87が設けられた位置は、遊技球発射機構80の後方となっている。したがって、樹脂ベース41における遊技球発射機構80の取り付け部分の平坦性が良好に保たれ、当該遊技球発射機構80からの遊技球の発射が好適に行われる。
遊技盤61の中央に配置された可変表示ユニット66には、図4及び図8に示すように、センターフレーム72を後方から覆う合成樹脂製のフレームカバー91が後方に突出させて設けられており、フレームカバー91に対して後側から上述した図柄表示装置71が取り付けられているとともに、その図柄表示装置71を駆動するための表示制御装置92が取り付けられている。これら図柄表示装置71及び表示制御装置92は前後方向に重ねて配置され(図柄表示装置71が前、表示制御装置92が後)、さらにその後方に音声ランプ制御装置ユニット93が搭載されている。音声ランプ制御装置ユニット93は、音声ランプ制御装置94と、取付台95とを具備する構成となっており、取付台95上に音声ランプ制御装置94が装着されている。
音声ランプ制御装置94は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックスに収容されて構成されている。
遊技盤61の背面であって可変表示ユニット66の下方には、主制御装置ユニット100が搭載されている。主制御装置ユニット100は、合成樹脂製の取付台101を有し、取付台101に主制御装置102が搭載されている。主制御装置102は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス103に収容されて構成されている。なお、当該基板ボックス103には、当該基板ボックスの開放痕跡手段としてカシメ構造や図示しない封印シールが設けられているとともに、取付台101に対する主制御装置102の離脱痕跡手段としてカシメ構造が設けられている。
遊技盤61の背面における主制御装置ユニット100により覆われた領域には、図示しない集合板ユニットが設けられている。集合板ユニットには、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入賞を検知するための入賞検知センサなどが設けられている。遊技球回収機構にて回収された遊技球は後述する排出通路を介してパチンコ機10外部に排出される。また、入賞検知センサは主制御装置102と電気的に接続されており、遊技球の入賞を検知した場合の検知信号は主制御装置102にて入力される。
樹脂ベース41の背面における回動基端側(図8の右側)には、軸受け金具111,112,113が取り付けられている。軸受け金具111〜113は上下に離間させて3個設けられている。なお、軸受け金具111〜113の数は任意であり、2個であってもよく、4個以上であってもよい。これら軸受け金具111〜113に対して軸支させて遊技機ベースユニット22には裏パックユニット24が取り付けられている。裏パックユニット24により、図5に示すように、可変表示ユニット66の全部及び主制御装置ユニット100の一部が後方から覆われており、裏パックユニット24を開放させない限り可変表示ユニット66及び主制御装置ユニット100を樹脂ベース41から取り外すことができないようになっている。
樹脂ベース41の背面には、図4及び図8に示すように、裏パックユニット24を遊技機ベースユニット22に固定するための固定金具115が設けられている。固定金具115は手動で回動操作することができ、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とに切り換えることができるよう構成されている。また、図8に示すように、樹脂ベース41の背面には締結孔部116が形成されており、当該締結孔部116に対して裏パックユニット24に設けられた締結具117(図10参照)を締結させることによっても裏パックユニット24が遊技機ベースユニット22に固定される。
ここで、本パチンコ機10では、固定金具115の固定解除位置への操作を困難なものとすることが可能な構造が設けられている。具体的には、図4に示すように、固定金具115のレバー部115aにはその厚み方向に貫通した貫通孔115bが形成されており、これに対応させて、裏パックユニット24には、当該裏パックユニット24を閉鎖状態とし固定金具115を固定位置とした場合に上記貫通孔115bと連通可能な連通部118が形成されている。そして、これら貫通孔115b及び連通部118に挿通させて、結束バンドによる結束を行うことにより、固定金具115の固定解除位置への回動操作に際して結束バンドを破壊等する必要が生じ、その作業が手間となる。これにより、裏パックユニット24を不正に開放操作しようとする行為を思い留まらせることが可能となる。
また、樹脂ベース41における回動先端側の上部には平坦な前側貼付用面119aが形成されている。これに対応させて、裏パックユニット24における回動先端側の上部には遊技機ベースユニット22に対して閉鎖した状態において上記前側貼付用面119aと前後に隣接し当該前側貼付用面119aと概ね面一となる後側貼付用面119bが形成されている。そして、これら前側及び後側貼付用面119a,119bの境界を跨ぐようにして周知の封印シールを貼り付けることにより、裏パックユニット24が不正に開放操作されたか否かを確認することが可能となる。
<裏パックユニット24>
次に、裏パックユニット24の構成について詳細に説明する。図9は裏パックユニット24の正面図、図10は裏パックユニット24の分解斜視図である。
裏パックユニット24は、当該裏パックユニット24の上部及び中央部分を構成する第1裏パックユニット121と、当該第1裏パックユニット121に連続させて設けられ裏パックユニット24の下部を構成する第2裏パックユニット141とを備えている。第1裏パックユニット121にはその下部に開口部122が形成されており、第2裏パックユニット141の上部は当該開口部122の下縁部分を構成している。
第1裏パックユニット121と第2裏パックユニット141には、図9に示すように、それぞれ軸金具123,139が設けられており、それら軸金具123,139はそれぞれ個別に軸受け金具111〜113に支持されている。これにより、第1裏パックユニット121と第2裏パックユニット141とは、遊技機ベースユニット22に対してそれぞれ個別に回動可能となっている。
ここで、上記のとおり、第2裏パックユニット141はその上部が第1裏パックユニット121の開口部122の下縁部分を構成しており、当該下縁部分において、第1裏パックユニット121がパチンコ機10前方となるようにして第1裏パックユニット121と第2裏パックユニット141とが前後に重なっている。したがって、第1裏パックユニット121を遊技機ベースユニット22に対して閉鎖した状態で第2裏パックユニット141を開放させることはできるが、第2裏パックユニット141を閉鎖した状態で第1裏パックユニット121を開放させることはできない。なお、これに限定されることはなく、開閉の関係が第1裏パックユニット121と第2裏パックユニット141とで逆であってもよく、第1裏パックユニット121と第2裏パックユニット141とが相互に干渉することなく開閉可能な構成であってもよい。さらには、第1裏パックユニット121と第2裏パックユニット141とが一体化され個別に開閉できない構成としてもよい。
次に、第1裏パックユニット121の構成について詳細に説明する。
第1裏パックユニット121は、裏パック124を備えており、当該裏パック124に対して、払出機構部125が取り付けられている。裏パック124は透明性を有する合成樹脂により成形されており、払出機構部125などが取り付けられるベース部126と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部127とを有する。保護カバー部127は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット66を囲むのに十分な大きさを有する。
ベース部126には、その右上部に外部端子板131が設けられている。外部端子板131には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置に対して各種信号が出力される。また、ベース部126には上述した第1裏パックユニット121の軸金具123が設けられているとともに、上述した連通部118及び後側貼付用面119bが設けられている。
ベース部126には、保護カバー部127を迂回するようにして払出機構部125が配設されている。すなわち、裏パック124の最上部には上方に開口したタンク132が設けられており、タンク132には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク132の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール133が連結され、タンクレール133の下流側には上下方向に延びるケースレール134が連結されている。ケースレール134の最下流部には払出装置135が設けられている。これらケースレール134及び払出装置135は、裏パックユニット24の回動基端側にある。払出装置135より払い出された遊技球は、遊技機前面ユニット23に設けられた後述する上皿195又は下皿214に排出される。
払出機構部125には、裏パック基板136が設置されている。裏パック基板136には、例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ137の切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
次に、第2裏パックユニット141の構成について詳細に説明する。
第2裏パックユニット141は、排出通路盤142と制御装置集合ユニット143とを備えている。排出通路盤142は第2裏パックユニット141の前側を構成し、制御装置集合ユニット143は第2裏パックユニット141の後側を構成している。そして、これら排出通路盤142と制御装置集合ユニット143とが前後に組み付けられて第2裏パックユニット141が構成されている。
排出通路盤142は、制御装置集合ユニット143と対向する面に後方に開放された排出通路144が形成されており、当該排出通路144の開放部は制御装置集合ユニット143によって塞がれている。排出通路144は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した各種入賞口等から排出通路144に導出された遊技球は当該排出通路144を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
制御装置集合ユニット143は、横長形状をなす取付台145を有し、取付台145に払出制御装置146と電源及び発射制御装置147とが搭載されている。これら払出制御装置146と電源及び発射制御装置147とは、払出制御装置146がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置146は、基板ボックス148内に払出装置135を制御する払出制御基板が収容されている。なお、払出制御装置146から払出装置135への払出指令の信号は上述した裏パック基板136により中継される。また、払出制御装置146には状態復帰スイッチ148aが設けられている。例えば、払出装置135における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ148aが押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源及び発射制御装置147は、基板ボックス149内に電源及び発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル84の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源及び発射制御装置147にはRAM消去スイッチ149aが設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチ149aを押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
<遊技機前面ユニット23>
次に、遊技機前面ユニット23の構成について説明する。図11は遊技機前面ユニット23の正面図、図12は遊技機前面ユニット23の一部の構成を分解して示す分解斜視図、図13は遊技機前面ユニット23の背面図である。
遊技機前面ユニット23は、図12に示すように、その基礎となるベース部材としてのベース枠151を備えており、当該ベース枠151に対して各種部材が取り付けられて構成されている。このうち、ベース枠151の前面に対しては複数の前面カバー171〜173,213及び各ユニット181,182が取り付けられており、これら前面カバー171〜173,213及び各ユニット181,182によりベース枠151の前面全体が覆われている。当該構成について以下に詳細に説明する。
ベース枠151は、ABS樹脂などの合成樹脂製であり、外形が遊技機ベースユニット22とほぼ同一形状をなしている。図12に示すように、ベース枠151の前面における一方の側部の上下両端には軸金具152,153が取り付けられている。これら軸金具152,153が遊技機ベースユニット22における上述した支持金具42,43に対して回動可能に支持されている。
また、図13に示すように、ベース枠151の背面における上端及び左右両端にはベース枠151の各辺に沿うようにして長尺状の補強金属154,155,156が取り付けられている。このうち、回動先端側の補強金属155に対して上述した鉤金具44が取り付けられている。なお、補強金属154〜156をベース枠151の下端に対しても設ける構成としてもよく、上記補強金属154〜156の全部又は一部を不具備としてもよい。但し、補強金属154〜156の全部を不具備とした構成においては、ベース枠151を補強するために補強リブなどを設ける構成とすることが好ましい。
ベース枠151には前後に貫通させて窓部161が形成されており、当該窓部161を塞ぐようにしてパチンコ機10後方からベース枠151の背面に窓パネル部(窓パネルユニット)58が取り付けられている。窓パネル部58は透明ガラスにより形成されているが、これに代えて、ポリカーボネートなどといった透明性を有する合成樹脂材料により形成してもよい。
ベース枠151の前面において窓部161の周囲には、図12に示すように、複数のLED基板162〜165が取り付けられている。具体的には、窓部161の上方にLED基板162が取り付けられているとともに、窓部161の左右の側方にそれぞれLED基板163,164が取り付けられている。さらには、ベース枠151の回動先端側の上部にもLED基板165が取り付けられている。各LED基板162〜165にはそれぞれ複数又は多数のLED(発光手段又は発光体)162a〜165aが搭載されており、それらLED162a〜165aが搭載された搭載面がパチンコ機10前方を向くようにして各LED基板162〜165は取り付けられている。また、ベース枠151において上部に取り付けられたLED基板162の左右両側にはそれぞれスピーカ166が取り付けられている。スピーカ166はその前面がパチンコ機10の横方向の中央側であって斜め下方を向くようにして設置されている。なお、窓部161の上方であってLED基板162の後方には中継基板167が設置されており、LED基板162〜165及びスピーカ166からの各電気配線は中継基板167にて中継されている。そして、中継基板167はハーネス168(図3参照)を介して音声ランプ制御装置94に接続されている。
上記の各LED基板162〜165及びスピーカ166は、上部前面カバー171及び側部前面カバー172,173等によりパチンコ機10前方から覆われている。詳細には、上部前面カバー171及び各側部前面カバー172,173は、ABS樹脂、ポリカーボネート及びアクリル樹脂などにより形成された合成樹脂製部材が複数組み合わされてなり、これらの各合成樹脂製部材により前後に起伏したデザインが施されている。なお、上部前面カバー171及び各側部前面カバー172,173のうちのいずれか又は全部を、単一の合成樹脂材料により形成してもよく、各合成樹脂製部材を単一の合成樹脂材料により形成してもよい。
上部前面カバー171はベース枠151の上部に取り付けられたLED基板162,165、右側部に取り付けられたLED基板164の一部及びスピーカ166をパチンコ機10前方から覆うようにしてベース枠151にネジ固定されている。このネジ固定は、図13に示すように、可逆的螺着部材としての複数又は多数のネジ174により、ベース枠151の背面側から行われている。つまり、上部前面カバー171はベース枠151に対して着脱自在に取り付けられている。
ちなみに、ネジ174のうちの一部は上側の補強金属154をベース枠151に固定するために兼用されているが、補強金属154専用のネジも存在するため上部前面カバー171のネジ174を取り外したとしても直ちに補強金属154が外れてしまうことはない。また、ネジ174の少なくとも一部を、窓パネル部58により後方から覆うようにしてもよく、ネジ174の全てが窓パネル部58により後方から覆われないようにしてもよい。
上部前面カバー171はベース枠151の前面における上部の略全体を覆っている。すなわち、上部前面カバー171は遊技機前面ユニット23の前面において窓パネル部58の上部を構成している。
上部前面カバー171において各LED基板162,164,165の前方箇所には光透過性を有する合成樹脂製部材が配置されており、LED162a,164a,165aから照射された光は上部前面カバー171を通じてパチンコ機10前方から視認可能となっている。また、スピーカ166の前方箇所に配置されている合成樹脂製部材にはスピーカ166用の孔部が形成されており、スピーカ166から出力された音がパチンコ機10前方へ伝搬可能となっている。なお、上部前面カバー171の各合成樹脂製部材は有色であるため、当該上部前面カバー171により覆われた、LED162a,164a,165a自体、LED基板162,164,165、スピーカ166及びベース枠151の前面はパチンコ機10前方から視認不可又は視認困難となっている。
各側部前面カバー172,173はベース枠151の側部に取り付けられたLED基板163,164をパチンコ機10前方から覆うようにしてベース枠151にネジ固定されている。このネジ固定は、可逆的螺着部材としてのネジにより、ベース枠151の背面側から行われている。つまり、各側部前面カバー172,173はベース枠151に対して着脱自在に取り付けられている。
各側部前面カバー172,173はベース枠151の前面における側部の略全体を覆っている。すなわち、各側部前面カバー172,173は遊技機前面ユニット23の前面において窓パネル部58の側部を構成している。また、各側部前面カバー172,173はその上側端面が上部前面カバー171の下側端面に対して近い位置にて対峙している。なお、これらが当接した構成としてもよい。
各側部前面カバー172,173においてLED基板163,164の前方箇所には光透過性を有する合成樹脂製部材が配置されており、LED163a,164aから照射された光は側部前面カバー172,173を通じてパチンコ機10前方から視認可能となっている。なお、側部前面カバー172,173の各合成樹脂製部材は有色であるため、これら側部前面カバー172,173により覆われた、LED163a,164a自体、LED基板163,164及びベース枠151の前面はパチンコ機10前方から視認不可又は視認困難となっている。
ベース枠151に取り付けられたLED基板162〜164、上部前面カバー171及び側部前面カバー172,173等により、図11に示すように、遊技機前面ユニット23は電飾部175〜177を備えた構成となっている。これら電飾部175〜177では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、ベース枠151に取り付けられたスピーカ166及び上部前面カバー171により、遊技機前面ユニット23はスピーカ部178を備えた構成となっている。スピーカ部178からは、遊技状態に応じた効果音や所定のエラー時にエラー音などが出力される。また、ベース枠151に取り付けられたLED基板165及び上部前面カバー171により、遊技機前面ユニット23はエラー表示部179を備えた構成となっている。エラー表示部179では、所定のエラー時に点灯や点滅が行われる。
ベース枠151において窓部161の下方には、上皿ユニット181及び下皿ユニット182が設けられている。これら上皿ユニット181及び下皿ユニット182はベース枠151の前面下部を覆うようにしてパチンコ機10前方から取り付けられており、当該ベース枠151に対してネジ固定されている。これらのネジ固定は、可逆的螺着部材としての複数又は多数のネジ183,184により、ベース枠151の背面側から行われている。つまり、上皿ユニット181及び下皿ユニット182はベース枠151に対して着脱自在に取り付けられている。
ちなみに、ネジ183,184のうちの一部は左右の補強金属155,156をベース枠151に固定するために兼用されているが、補強金属155,156専用のネジも存在するため上皿ユニット181のネジや下皿ユニット182のネジを取り外したとしても直ちに補強金属155,156が外れてしまうことはない。また、上皿ユニット181用のネジ183の少なくとも一部を、窓パネル部58や後述する前面側通路ユニット271により後方から覆うようにしてもよく、ネジ183の全てが窓パネル部58や前面側通路ユニット271により後方から覆われないようにしてもよい。また、下皿ユニット182用のネジ184の少なくとも一部を、後述する前面側通路ユニット271により後方から覆うようにしてもよく、ネジ184の全てが前面側通路ユニット271により後方から覆われないようにしてもよい。
上皿ユニット181及び下皿ユニット182は、上皿ユニット181が上方となるようにして上下に並設されている。
上皿ユニット181は、ABS樹脂などにより形成された上皿本体191を備えているとともに、その上皿本体191の表面の一部を外側から覆うように設けられ、ポリカーボネートなどといった透明性を有する合成樹脂材料により形成された上皿カバー192を備えている。このように上皿カバー192が取り付けられていることにより、上皿ユニット181のデザイン性が高められている。また、上皿本体191に対しては右側部のLED基板164の一部を覆う発光カバー193が一体化されており、当該発光カバー193はLED164aから照射された光がパチンコ機10前方から視認可能となるように光透過性を有する合成樹脂材料により形成されている。なお、この発光カバー193としての機能を側部前面カバー173に設け、上皿ユニット181から発光カバー193としての機能を消失させてもよい。
上皿ユニット181はその上側端面における左右両側が、各側部前面カバー172,173の下側端面に対して近い位置にて対峙している。なお、これらが当接した構成としてもよい。
上皿ユニット181は、上部前面カバー171及び側部前面カバー172,173よりもパチンコ機10前方に膨出している。上皿ユニット181の上皿本体191には、上方に開放された上皿195が形成されている。上皿195は、図12に示すようにその奥壁に球入口196を有し、払出装置135より払い出され当該球入口196を介して導入された遊技球を一旦貯留するとともに、それら遊技球を一列に整列させながら球出口197へ導く機能を有する。球出口197から上皿195外に出た遊技球は遊技球発射機構80へ導かれる。なお、上皿195は、その底部が比較的深く形成されており、貯留容量の大型化が図られている。また、球入口196や球出口197に対応させてベース枠151にも開口部が形成されている。これについては、後述する下皿214に関しても同様である。
上皿ユニット181において、上皿195の囲み壁部198の上面には、図12に示すように球貸し操作装置201が設けられている。球貸し操作装置201には球貸しボタン202と、返却ボタン203と、度数表示部204とが設けられている。パチンコ機10側方に配置されたカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で、球貸し操作装置201によって球貸し操作、カード返却操作及びカード度数の確認を行うことができる。すなわち、球貸しボタン202は、貸出球を得るために操作されるものであり、投入された紙幣やカード等の残額が存在する限りにおいて貸出球が払い出される。返却ボタン203は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部204はカード等の残額情報を表示するものである。
当該球貸し操作装置201において、球貸しボタン202と返却ボタン203とでその大きさに差がつけられている。具体的には、球貸しボタン202は返却ボタン203よりも大きく形成されている。これにより、両ボタン202,203間での誤操作の防止が図られている。また、球貸し操作装置201の表面には防水シートが貼付されており、遊技者が飲み物等を溢したとしても、それに起因した球貸し操作装置201の故障の抑制化が図られている。
なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿195に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機(いわゆる現金機)では球貸し操作装置201が不要となるが、かかる場合には、球貸し操作装置201の設置部分に飾りシール等が付されるようになっている。
ここで、図12に示すように、ベース枠151の前面において上皿ユニット181により覆われる部位には、補強金属板206が取り付けられている。上記のとおり上皿ユニット181には上皿195及び球貸し操作装置201が設けられており、比較的重量が大きくなっている。特に、上皿195には多数の遊技球が貯留され、上皿ユニット181を支持するベース枠151にはそれら遊技球の重量が掛かることとなる。これに対して、上記のとおり補強金属板206が設けられていることにより、ベース枠151における上皿ユニット181の支持強度が高められている。また、補強金属板206が設けられていることにより、上記のように支持強度が高められているだけでなく、上皿ユニット181及びベース枠151を前後に貫通させて遊技機ベースユニット22側に不正用冶具を挿入しようとする行為を阻止することが可能となる。ちなみに、補強金属板206は上皿ユニット181によりパチンコ機10前方から覆われているため、補強金属板206が外部に露出してしまうことはなく、パチンコ機10前面のデザイン性を低下させることなく補強金属板206が設けられている。
下皿ユニット182は、ABS樹脂などにより形成された下皿本体211を備えているとともに、その下皿本体211の表面の一部を外側から覆うように設けられ、ポリカーボネートなどといった透明性を有する合成樹脂材料により形成された下皿カバー212を備えている。このように下皿カバー212が取り付けられていることにより、下皿ユニット182のデザイン性が高められている。
下皿ユニット182はその上側端面の略全体が、上皿ユニット181の下側端面に対して近い位置にて対峙している。なお、これらが当接した構成としてもよい。ちなみに、遊技機前面ユニット23の回動先端側において下皿ユニット182と上皿ユニット181との間には下部前面カバー213が介在しており、ベース枠151の前面の一部は下部前面カバー213により覆われているが、当該下部前面カバー213を上皿ユニット181又は下皿ユニット182に一体化させてもよい。下部前面カバー213には遊技機ベースユニット22に設けられたシリンダ錠35をパチンコ機10前面にて露出させるための挿通孔が形成されている。以上説明したように、各前面カバー171,172,173,213及び各ユニット181,182が設けられていることにより、ベース枠151の前面はこれら各前面カバー171,172,173,213及び各ユニット181,182により覆われている。
下皿ユニット182は、上皿ユニット181と同様に、上部前面カバー171及び側部前面カバー172,173よりもパチンコ機10前方に膨出している。この場合、下皿ユニット182の最大膨出位置はパチンコ機10の前後方向で見て、上皿ユニット181の最大膨出位置と同一又は略同一となっている。下皿ユニット182の下皿本体211には、上方に開放された下皿214が形成されている。
<下皿214>
下皿214について詳細に説明する。以下の説明では、図11及び図12を参照するとともに、図14及び図15も参照する。図14は図11のA―A線断面図、図15は図11のB−B線断面図である。
下皿214は、下皿本体211を上方から凹ませるようにして形成されており、奥壁部215と、当該奥壁部215の下端から前方に延びる底部216と、上記奥壁部215とともに底部216の周縁を囲み下皿214を上方に開放された形状とする囲み壁部217と、を備えている。
奥壁部215は上皿195の底部に対して連続的となっており、多数の遊技球分の高さ寸法を有している。当該奥壁部215には、パチンコ機10前方に向けて開放され、且つ四角形状(又は略四角形状)をなす第1球入口218と第2球入口219とが形成されている(図11や図18等参照)。
上皿195が満杯状態である状況で払出装置135から払い出された遊技球は第1球入口218を介して下皿214に排出される。また、上皿ユニット181と下皿ユニット182には、図11に示すように、上皿195と下皿214とを連通するように球抜き通路部221が設けられており、当該球抜き通路部221の球出口が第2球入口219となっている。ちなみに、球抜き通路部221は下皿ユニット182において奥壁部215内に内蔵されている(図18等参照)。球抜き通路部221の入口部分は上皿195に内蔵された球止め装置により基本的に閉鎖されており、球貸し操作装置201の上面から上方に突出させて設けられた球抜きボタン222が押圧されることにより球止め装置が開放状態となり、上皿195に貯留されている遊技球が球抜き通路部221を通じて下皿214に排出される。なお、球抜きボタン222を球貸し操作装置201とは別に設置する構成としてもよい。
第1球入口218は奥壁部215において左右方向の中央に形成されており、複数の遊技球が左右方向及び上下方向に並んだ状態で通過可能な開口寸法を有している。具体的には、左右方向が遊技球3個分であり、上下方向が遊技球2個分となっている。一方、第2球入口219は奥壁部215において第1球入口218の横方(具体的には、右方)に形成されている。また、第1球入口218及び第2球入口219は共に、底部216に対して上方に離間された位置にあり、第1球入口218及び第2球入口219の各下縁は底部216に対して少なくとも遊技球1個分上方に位置している。第1球入口218についてより詳細には、第1球入口218の下縁は底部216に対して遊技球略2個分、上方に位置している。但し、これに限定されることはなく、遊技球1.5個分、遊技球2.5個分、又は遊技球3個分以上、上方に位置している構成としてもよい。
第1球入口218は上記のとおり払出装置135から払い出された遊技球を下皿214に排出する機能を有しているため、例えば大当たり状態時などには多数の遊技球が短い期間で第1球入口218を通過することがあり、これら多数の遊技球は下皿214にて貯留されることとなる。この場合に、第1球入口218を底部216に対して上方に離間させた位置に形成することで、多数の遊技球が底部216上に貯留された状況であっても、それら遊技球により第1球入口218が塞がれてしまうことが阻止され、当該状況であっても第1球入口218を通じた下皿214への遊技球の排出が良好に行われる。
奥壁部215は、図14に示すように、第1球入口218の下縁から底部216に至る面224の全体が奥壁部215における他の面に対してパチンコ機10後方に位置するように、前後方向に段差状に形成されている(以下、面224を後退面224ともいう)。この後退面224は、その左右方向寸法が第1球入口218の左右方向寸法と同一となっており、具体的には遊技球2個分となっている。なお、これに限定されることはなく、2個以上の遊技球が並んで入ることが可能な左右方向寸法としてもよい。また、後退面224は奥壁部215における他の面に対して少なくとも遊技球1個分後退している。なお、これに限定されることはなく、遊技球2個分以上後退した構成としてもよい。また、後退面224は、第1球入口218から排出される遊技球が当該後退面224に沿って配置された遊技球を乗り越えてそれら配置された遊技球よりも前方の領域にて貯留されるように、底部216に対する高さ及び底部216に対する傾斜角度が設定されている。具体的には、底部216に対する高さが遊技球略2個分(遊技球略複数個部)となっており、さらには底部216に対して略垂直となっている。なお、これに限定されることはなく、第1球入口218から排出される遊技球が当該後退面224に沿って配置された遊技球を乗り越えてそれら配置された遊技球よりも前方の領域にて貯留されるのであれば、底部216に対する高さ及び底部216に対する傾斜角度は任意である。上記のように後退面224が形成されていることにより、それだけ下皿214における遊技球の貯留容量が確保されている。
一方、下皿ユニット182において奥壁部215の奥側には上記のとおり上皿195からの球抜き通路部221の一部が内蔵されているため、後退面224として奥壁部215の一部のみを後退させるとともに、後退面224よりも前方に位置している面に対して第2球入口219を形成することで、上記球抜き通路部221の一部を内蔵させるための空間を確保しながら下皿214における遊技球の貯留容量を確保するという効果を得ることができる。
なお、後述するように本パチンコ機10は、遊技球発射機構80から発射されたが遊技領域まで至らず、内,外レール部77,78によって構成される誘導レールを逆流してくる戻り球を回収するとともにその回収した遊技球を下皿214に排出する戻り球通路部299を備えており、当該戻り球通路部299は奥壁部215の奥側にて球抜き通路部221に合流されるとともに戻り球通路部299を通過した遊技球は第2球入口219から下皿214に排出される。つまり、戻り球が通過する戻り球通路部299を含む通路部は一部が奥壁部215に内蔵されている。当該構成において、上記のとおり、後退面224として奥壁部215の一部のみを後退させるとともに、後退面224よりも前方に位置している面に対して第2球入口219を形成することで、球抜き通路部221と戻り球通路部299との合流を空間的な余裕を持って行うことを可能としつつ下皿214における遊技球の貯留容量を確保するという効果を得ることができる。また、下皿ユニット182において奥壁部215の奥側には下皿ユニット182に設けられた電気部品の配線の設置空間が形成されている。これに対して、後退面224として奥壁部215の一部のみを後退させることで、上記設置空間を確保しながら下皿214における遊技球の貯留容量を確保するという効果を得ることができる。
ちなみに、底部216には、図14及び図15に示すように、第1球入口218及び後退面224の前方位置に球抜き孔225が形成されており、当該球抜き孔225は囲み壁部217の前面に設けられた球抜きレバー226により開放操作される閉鎖板227により自然状態では閉塞されている。そして、底部216の上面は当該球抜き孔225に向けて下り傾斜となるように形成されている。つまり、下皿214に貯留されている遊技球は球抜き孔225に向けて自ずと移動することとなる。当該構成においては、下皿214に比較的少数の遊技球のみが貯留されている場合、それら遊技球は閉鎖板227上に位置する。この場合に、上記のとおり奥壁部215において閉鎖板227の後方箇所に後退面224が形成されていることにより、閉鎖板227上に向けて手を差し入れる場合において閉鎖板227の後方に空間的なゆとりが生じ、閉鎖板227上に位置している遊技球の手による取り出しを良好に行うことが可能となる。つまり、後退面224は下皿214の貯留容量を確保するという効果を奏するだけでなく、上記のように下皿214からの手による遊技球の取り出しを良好なものとするという効果も奏する。
上記のように後退面224が形成された構成において、図14及び図15に示すように、奥壁部215における第1球入口218の上方さらには第1球入口218及び後退面224の左右側方には、それぞれ上方テーパ面231及び各側方テーパ面232,233が形成されている。これら各テーパ面231〜233は、第1球入口218及び後退面224の周囲においてこれら第1球入口218及び後退面224に至る位置まで形成されており、さらに第1球入口218及び後退面224に向かうほどパチンコ機10後方に位置するように形成されている。上記のように後退面224が形成された構成においては、後退面224側に凹んだ箇所に遊技球が待機することがある。これに対して、上記のように各テーパ面231〜233が形成されていることにより、後退面224側に凹んだ箇所に手を差し入れ易くなり、当該箇所に待機している遊技球を取り出し易くなる。また、単なる後退面とするのではなくテーパ面とすることにより、単なる後退面とする構成に比して、奥壁部215の内蔵空間を広く確保することが可能となる。
囲み壁部217は、底部216の前縁及び左右の縁を規制するようにして形成されている。囲み壁部217の高さ寸法はその全体が奥壁部215よりも小さくなっており、さらには前側の方が後側よりも高さ寸法は小さくなっている。この囲み壁部217における当該囲み壁部217の前側端部を含む前側領域235は、図11に示すように、パチンコ機10の正面視で第1球入口218と前後に並んでおり、左右方向の所定範囲に亘って高さ寸法が略同一となっている。
ここで、前側領域235は、図14に示すように、上端が第1球入口218の下端よりも下方に位置するように、底部216に対する高さ寸法が設定されている。当該構成であることにより、上皿195の下面237から下皿214の前側領域235までの距離を長く確保することが可能となる。また、当該両者の距離を長く確保する構成に関して、図11に示すように、上皿195における下皿214と対向する下面237は上方に凹ませて形成されており、これによっても上皿195の下面237から下皿214の前側領域235までの距離が長く確保されている。下皿214にて貯留されている遊技球は上皿195と下皿214との間から取り出され上皿195へ補充されることがあり、この場合に、上皿195の下面237から下皿214の前側領域235までの距離を長く確保することで、上記補充作業の作業性の向上が図られている。特に、本パチンコ機10では遊技領域の拡張が図られており、それに伴って上皿195と下皿214との間の距離が狭くなっている。これに対して、上皿195の下面237から下皿214の前側領域235までの距離を上記のように長く確保することで、上記補充作業の作業性が低下することを抑制しつつ遊技領域の拡張を図ることが可能となる。ちなみに、囲み壁部217において前側領域235以外の領域は、その上端が第1球入口218の下端よりも上方に位置している。
上記のように前側領域235の高さ寸法を小さくした構成においてはそれだけ下皿214の貯留容量が小さくなる。これに対して、上記のとおり奥壁部215に後退面224が形成されていることにより、下皿214の貯留容量が極端に小さくなってしまうことが防止されている。
また、前側領域235は第1球入口218の前方に位置しているため、当該前側領域235の高さ寸法を小さくすると、第1球入口218から排出された遊技球がその排出された勢いで前側領域235を越えて下皿214外に零れてしまうことが懸念される。これに対して、上記のとおり奥壁部215に後退面224が形成されていることにより、第1球入口218に対する前側領域235の距離が長く確保されている。そして、第1球入口218に対する前側領域235の距離が長く確保されていることで、第1球入口218から排出された遊技球には前側領域235に到達するまでに勢いが低減される機会が多く付与されることとなり、下皿214外に零れてしまうことが抑制される。さらにまた、払出装置135から第1球入口218に続く通路部には、第1球入口218から排出される遊技球の勢いを低減するための構成が設けられている。これについては後に説明する。
下皿ユニット182の説明に戻り、下皿ユニット182において下皿214の右方には、下皿ユニット182を前後に貫通させて遊技球発射ハンドル84が設けられている。遊技球発射ハンドル84が操作されることにより、上述した遊技球発射機構80から遊技球が発射される。
下皿ユニット182において下皿214の左方には、図柄表示装置71における図柄の変動表示や演出表示に際して遊技者によって押圧操作される演出用ボタン238が設けられている。この演出用ボタン238が設けられた位置は、下皿214を挟んで遊技球発射ハンドル84の反対側であるため、遊技者にとっては右手で遊技球発射ハンドル84を操作しながら左手で無理なく演出用ボタン238を押圧操作することができる。よって、演出用ボタン238の操作を良好に行うことができる。なお、演出用ボタン238はその表面が上斜め前方を向くようにして設置されているため、この点からも演出用ボタン238の操作の良好化が図られている。その一方で、演出用ボタン238の上方は上皿ユニット181により覆われている。これにより、演出用ボタン238に対して高い位置から腕を振り下ろして力強く演出用ボタン238を押圧操作しようとしてもその軌道上に上皿ユニット181が存在することとなり、当該態様の押圧操作を阻止することが可能となる。上記態様の押圧操作が行われると演出用ボタン238の故障が懸念されるが、上記構成によればそれを阻止することが可能となる。
ここで、図12に示すように、ベース枠151の前面において下皿ユニット182により覆われる部位には、補強金属板239が取り付けられている。上記のとおり下皿ユニット182には下皿214及び演出用ボタン238が設けられており、比較的重量が大きくなっている。特に、下皿214には多数の遊技球が貯留され、下皿ユニット182を支持するベース枠151にはそれら遊技球の重量が掛かることとなる。これに対して、上記のとおり補強金属板239が設けられていることにより、ベース枠151における下皿ユニット182の支持強度が高められている。また、補強金属板239が設けられていることにより、上記のように支持強度が高められているだけでなく、下皿ユニット182及びベース枠151を前後に貫通させて遊技機ベースユニット22側に不正用冶具を挿入しようとする行為を阻止することが可能となる。ちなみに、補強金属板239は下皿ユニット182によりパチンコ機10前方から覆われているため、補強金属板239が外部に露出してしまうことはなく、パチンコ機10前面のデザイン性を低下させることなく補強金属板239が設けられている。
<上部前面カバー171及び各ユニット181,182の取り外しに関する構成>
以上説明した各前面カバー171〜173,213及び各ユニット181,182のうち一部のものについては、他のものに干渉されることなくベース枠151から取り外し可能となっている。そこで、当該構成について以下に説明する。図16は上部前面カバー171を取り外した状態を示す遊技機前面ユニット23の分解斜視図、図17は上皿ユニット181を取り外した状態を示す遊技機前面ユニット23の分解斜視図、図18は下皿ユニット182を取り外した状態を示す遊技機前面ユニット23の分解斜視図である。
上部前面カバー171は上記のとおり遊技機前面ユニット23の前面において各側部前面カバー172,173に対して並設されている。この場合、上部前面カバー171には、各側部前面カバー172,173の後方においてこれら各側部前面カバー172,173と前後に並ぶ部位が存在していない。また、ベース枠151には上部前面カバー171の前方にて当該上部前面カバー171と前後に並ぶ部位が存在していない。これにより、図16に示すように、ベース枠151の背面側から上部前面カバー171に対応したネジ174を取り外すことにより、側部前面カバー172,173や各ユニット181,182の取り外しを要することなく上部前面カバー171を取り外すことができる。よって、上部前面カバー171の掃除や交換といったメンテナンスの容易化、さらにはLED基板162,165及びスピーカ166の掃除や交換といったメンテナンスの容易化が図られている。
特に、上部前面カバー171はLED基板162,165及びスピーカ166だけでなく中継基板167をパチンコ機10前方から覆っている。この場合に、LED基板162〜165やスピーカ166に異常が発生した場合には中継基板167が点検されることが一般的であり、点検を行う必要が生じる頻度が高いものである。かかる事情において中継基板167を覆う上部前面カバー171の取り外しの容易化を図ることで、中継基板167の点検の容易化が図られる。
上皿ユニット181は上記のとおり遊技機前面ユニット23の前面において各側部前面カバー172,173、下部前面カバー213及び下皿ユニット182に対して並設されている。この場合、上皿ユニット181には各側部前面カバー172,173及び下部前面カバー213の後方においてこれら各カバー172,173,213と前後に並ぶ部位が存在していない。また、上皿ユニット181及び下皿ユニット182には相互に前後に並ぶ部位が存在していない。さらには、ベース枠151には上皿ユニット181の前方にて当該上皿ユニット181と前後に並ぶ部位が存在していない。これにより、図17に示すように、ベース枠151の背面側から上皿ユニット181に対応したネジ183を取り外すことにより、側部前面カバー172,173、下部前面カバー213及び下皿ユニット182の取り外しを要することなく上皿ユニット181を取り外すことができる。よって、上皿ユニット181の掃除や交換といったメンテナンスの容易化が図られている。
下皿ユニット182は上記のとおり遊技機前面ユニット23において下部前面カバー213及び上皿ユニット181に対して並設されている。この場合、下皿ユニット182には下部前面カバー213の後方において当該下部前面カバー213と前後に並ぶ部位が存在していない。また、上記のとおり上皿ユニット181及び下皿ユニット182には相互に前後に並ぶ部位が存在していない。さらには、ベース枠151には下皿ユニット182の前方にて当該下皿ユニット182と前後に並ぶ部位が存在していない。これにより、図18に示すように、ベース枠151の背面側から下皿ユニット182に対応したネジ184を取り外すことにより、下部前面カバー213及び上皿ユニット181の取り外しを要することなく下皿ユニット182を取り外すことができる。よって、下皿ユニット182の掃除や交換といったメンテナンスの容易化が図られている。
ちなみに、上皿ユニット181はその下縁部が上方へ凹ませて形成されており(凹部を有しており)、下皿ユニット182はこの凹み形状に対応させてその上縁部が上方へ凸となるように形成されている(凸部を有している)。そして、上皿ユニット181と下皿ユニット182とが上下に並設された状態においては、上皿ユニット181の凹部内に下皿ユニット182の凸部が入り込んでいる。これにより、上皿ユニット181と下皿ユニット182との左右の位置決め機能が果たされている。
側部前面カバー172,173は上部前面カバー171及び上皿ユニット181の後方においてそれらと前後に並ぶ部位が存在しているため、上部前面カバー171及び上皿ユニット181をベース枠151から取り外さない限り側部前面カバー172,173をベース枠151から取り外すことができないようになっている。つまり、側部前面カバー172,173は上部前面カバー171及び上皿ユニット181の後方においてこれらに対して係合される係合部を備えている。遊技機前面ユニット23において窓パネル部58の左右の領域は他の領域に比して幅が狭くなっており、強度が低くて変形し易い。したがって、側部前面カバー172,173は上部前面カバー171及び上皿ユニット181に対して左右方向にずれてしまう可能性がある。そうすると、デザイン上好ましくない。これに対して、上記のように係合部が設けられていることにより、側部前面カバー172,173が上部前面カバー171及び上皿ユニット181に対して左右方向にずれてしまうことが抑制される。また、側部前面カバー172,173がずれようとする負荷が上部前面カバー171及び上皿ユニット181においても受けられることとなるため、窓パネル部58の左右の領域の強度が高められる。
また、下部前面カバー213は上皿ユニット181及び下皿ユニット182の後方においてそれらと前後に並ぶ部位が存在しているため、上皿ユニット181及び下皿ユニット182をベース枠151から取り外さない限り下部前面カバー213をベース枠151から取り外すことができないようになっている。下部前面カバー213は既に説明したようにシリンダ錠35の周囲を覆う機能を有しているため、当該下部前面カバー213を取り外しづらくすることで、シリンダ錠35に対する不正の抑制効果が得られる。
なお、側部前面カバー172,173及び下部前面カバー213についても他のカバー171及びユニット181,182に対して前後に並ぶ部位を不具備とすることで、他のカバー171及びユニット181,182の取り外しを要することなくベース枠151からの取り外しが可能な構成としてもよい。つまり、ベース枠151の前面に取り付けられる各前面構成体の全てについて、他の前面構成体に干渉することなく個別にベース枠151から取り外し可能な構成としてもよい。
上記のとおり上部前面カバー171、上皿ユニット181及び下皿ユニット182を他の前面構成体に干渉することなく個別にベース枠151から取り外すことができるようにした構成において、本パチンコ機10では、ベース枠151の背面において上部前面カバー171のネジ174の位置、上皿ユニット181のネジ183の位置及び下皿ユニット182のネジ184の位置を容易に識別可能とする識別手段が設けられている。そこで、当該識別手段について図13を用いて以下に説明する。
上部前面カバー171、上皿ユニット181及び下皿ユニット182は既に説明したように、ベース枠151の背面側から複数又は多数のネジ174,183,184により固定されている。この場合に、図13に示すように、ベース枠151の背面や補強金属154〜156の背面には、各ネジ174,183,184に対応した貫通孔に対して識別用情報が併記されている。これら識別用情報は、パチンコ機10の製造段階においてベース枠151や補強金属154〜156を形成する金型に対して刻印部分が設けられており、ベース枠151や補強金属154〜156を形成するのと同時に記される。
識別用情報について具体的には、上部前面カバー171のネジ174に対応した貫通孔に対しては、上部前面カバー171用の識別用情報として「T」という文字が併記されている。また、上皿ユニット181のネジ183に対応した貫通孔に対しては、上皿ユニット181用の識別用情報として「U」という文字が併記されている。さらには、下皿ユニット182のネジ184に対応した貫通孔に対しては、下皿ユニット182用の識別用情報として「S」という文字が併記されている。これにより、上部前面カバー171、上皿ユニット181及び下皿ユニット182を個別にベース枠151から取り外す場合に、それらに対応したネジ174,183,184の位置を的確に把握することが可能となり、当該取り外し作業、すなわちそれらのメンテナンス性の向上が図られている。
なお、上記の各識別用情報の具体的な内容は相互に識別可能であれば任意である。また、上記のように識別用情報を併記する構成に代えて、各ネジ174,183,184の頭部にそれぞれ異なる色を付す構成としたとしても、各ネジ174,183,184の特定を行うことは可能である。但し、本構成においては、パチンコ機10の製造段階において多数のネジ174,183,184に対して個別に色を付す作業が必要となる。さらに、製造段階において用いるネジ174,183,184を間違えてしまう可能性があり、この場合、ネジ174,183,184の位置を把握することができなくなってしまう。これに対して、上記のように識別用情報を併記することで、パチンコ機10の製造段階においてベース枠151などを形成する際に識別用情報も同時に記すことができ、上記のような不都合が生じることはない。なお、側部前面カバー172,173及び下部前面カバー213を含めて、ベース枠151の前面に取り付けられる各前面構成体の全てについて、他の前面構成体に干渉することなく個別にベース枠151から取り外し可能な構成においては、それら各前面構成体の全てのネジに対してそれぞれ個別の識別用情報を併記することが好ましい。
<球貸し操作装置201の取り外しに関する構成>
以上のとおり上部前面カバー171、上皿ユニット181及び下皿ユニット182のメンテナンス性の向上が図られているが、本パチンコ機10では球貸し操作装置201のメンテナンス性の向上も図られている。そこで、当該構成について、図19及び図20を用いて以下に説明する。図19は球貸し操作装置201を取り外した状態を示す遊技機前面ユニット23の分解斜視図、図20は球貸し操作装置201の取り付けに関する構成を説明するための説明図である。
既に説明したように球貸し操作装置201は上皿ユニット181に取り付けられている。図19に示すように、球貸し操作装置201はハウジング241を備えており、当該ハウジング241に対して球貸し操作用基板などが内蔵されている。
ハウジング241は、ABS樹脂などの合成樹脂材料により形成されている。ハウジング241の上部には、側方に突出したフランジ部242が上部周縁の全体に亘って形成されている。また、ハウジング241の側面には、当該側面から側方に突出させて板状の係止部243が一体形成されている。係止部243はハウジング241の側面に対して当該側面の周方向に複数形成されている。
上記構成の球貸し操作装置201は、上皿ユニット181において上皿195の囲み壁部198の上面に形成された開口部244に対してその上方から嵌め込まれている。この嵌め込みに際しては、ハウジング241に形成された各係止部243は開口部244の周縁に当たることで内方に弾性変形する。これにより、各係止部243の形成された位置が開口部244を通過することが可能となる。そして、ハウジング241に形成されたフランジ部242が上皿ユニット181における開口部244の周縁に対して上方から当接し球貸し操作装置201のそれ以上の下方への移動が規制された位置では、各係止部243は開口部244を通過することで弾性復帰し、図20に示すように、各係止部243の先端部は開口部244周縁の下方に位置することとなる。つまり、開口部244の周縁がフランジ部242と各係止部243とで上下に挟持された状態となっている。これにより、球貸し操作装置201が上皿本体191に固定されている。なお、フランジ部242が開口部244の周縁に対して上方から当接していることにより、球貸し操作装置201に対して飲み物などが溢されたとしても、それが開口部244を通じて内部に入り込んでしまうことが抑制されている。
図20に示すように、ハウジング241の一の側面245はパチンコ機10後方を向いており、当該側面245に対して一の係止部243が形成されている。また、上皿ユニット181及びベース枠151において上記側面245と対向する箇所には、内外に貫通し相互に連通する連通孔246,247がそれぞれ形成されている。そして、これら連通された連通孔246,247を介してベース枠151の背面側から細長状の部材を挿入することで、当該部材により上記側面245に形成された係止部243を内方に弾性変形させることができるようになっている。この係止部243を内方に弾性変形させることで、上記側面245側でのフランジ部242と係止部243とによる開口部244周縁の挟持状態が解除される。これにより、上皿本体191から球貸し操作装置201の上記側面245側を浮かせることが可能となる。そして、その浮かせた角度を所定の角度とすることで、他の係止部243とフランジ部242との挟持状態を解除することができ、球貸し操作装置201を上皿本体191から取り外すことができる。つまり、上記構成によれば、上皿ユニット181やパチンコ機10の前面を構成する他の前面構成体のベース枠151からの取り外しを要することなく、球貸し操作装置201を取り外すことができる。よって、球貸し操作装置201の掃除や交換といったメンテナンス性の向上が図られている。
その一方、上皿ユニット181をベース枠151から取り外す場合には、球貸し操作装置201の上皿ユニット181からの取り外しを要しない。よって、上皿ユニット181のメンテナンス性を低下させることなく、球貸し操作装置201のメンテナンス性の向上が図られている。
なお、上皿ユニット181内には、図19に示すように、球抜きボタン222の操作に連動して球止め装置を開放状態とするリンク装置248が内蔵されている。そして、当該リンク装置248は球貸し操作装置201を取り外した際に固定解除ができるように、上皿ユニット181に対してネジ固定されている。つまり、上皿ユニット181やパチンコ機10の前面を構成する他の前面構成体のベース枠151からの取り外しを要することなく、リンク装置248を取り外すことができる。よって、リンク装置248の掃除や交換といったメンテナンス性の向上が図られている。
以上のように、本パチンコ機10では、ベース枠151に対して各前面カバー171〜173,213及び各ユニット181,182を取り付けることで、単一の遊技機前面ユニット23に対して、窓パネル部58、電飾部175〜177、スピーカ部178、エラー表示部179、上皿195及び下皿214が一体的に設けられている。従来のパチンコ機は、遊技機前面部が複数単位に分割されており、それら各単位が個別に遊技機本体に取り付けられていた。例えば、窓パネル部と、上皿又は下皿とがそれぞれ別単位として個別に遊技機本体に取り付けられていた。しかしながら、このような従来の構成においては、各単位の間に境界が生じてしまう。この場合、その境界を利用して遊技機本体側に不正用冶具を挿入するといった不正行為が想定される。これに対して、本パチンコ機10では各カバー171〜173,213や各ユニット181,182の境界を跨ぐようにしてベース枠151が位置しているため、遊技機前面ユニット23において上記のような境界が存在しなくなり、上記不都合が解消されている。
ベース枠151に各カバー171〜173,213や各ユニット181,182を取り付けた構成であるため、遊技機前面ユニット23のメンテナンス性の向上が図られている。つまり、遊技機前面ユニット23の前面を構成する各部位は、遊技者側にて露出していることに起因して人為的な破損が生じてしまうことがある。これに対して、上記構成であるため、各カバー171〜173,213及び各ユニット181,182のうち交換の必要があるものだけを交換すればよく、遊技機前面ユニット23のメンテナンス性の向上が図られている。なお、このように交換の必要があるものだけを交換すればよい構成とすることにより、遊技機前面部の全体の交換を要する構成に比して省資源化が図られているとも言える。
また、上部前面カバー171、上皿ユニット181及び下皿ユニット182は、他の前面構成体に干渉されることなくベース枠151からの取り外しが可能となっている。つまり、上部前面カバー171、上皿ユニット181及び下皿ユニット182は単独で取り外し可能となっている。これにより、上部前面カバー171、上皿ユニット181及び下皿ユニット182のメンテナンス性の向上が図られている。
特に、上皿ユニット181及び下皿ユニット182はパチンコ機10前方に膨出しているとともに、パチンコ機10前面において遊技者の手に対して近い位置にある。したがって、人為的な破損が生じ易く、他の部位に比して交換が必要となる可能性が高い部位である。これに対して、上皿ユニット181又は下皿ユニット182を交換する場合は、他の前面構成体の取り外しを要しない構成としたことにより、当該メンテナンス性の向上が図られている。
さらにまた、遊技者によっては飲み物を飲みながら遊技を行うことがあり、その飲み物がパチンコ機10の前面を構成する部位に溢されてしまうことが想定される。この場合、上皿ユニット181及び下皿ユニット182はパチンコ機10の前面において下部を構成する部位であるため、飲み物がかかり易くなっている。そして、その飲み物が上皿ユニット181又は下皿ユニット182において外部から容易に拭き取ることができない領域に入り込んでしまうおそれがある。これに対して、上皿ユニット181又は下皿ユニット182をベース枠151から取り外す場合は、他の前面構成体の取り外しを要しない構成としたことにより、当該メンテナンス性の向上が図られている。
<上皿195及び下皿214への遊技球の通路構成>
次に、上皿195及び下皿214への遊技球の通路構成について説明する。図21は遊技球の通路構成を説明するための説明図である。なお、図21においては、便宜上、遊技機ベースユニット22側及び裏パックユニット24側の通路構成について断面で示す。
払出装置135は、上述したとおりパチンコ機10の背面部を構成する払出機構部125に設けられている。払出装置135の下方には上下方向に延びる払出通路251が形成されており、払出装置135から払い出された遊技球は払出通路251を流下し、払出機構部125の下端に形成された遊技球振分部252に導入される。
遊技球振分部252は、払出装置135より払い出された遊技球を遊技機前面ユニット23に設けられた上皿195側又は下皿214側に振り分ける機能を有する。遊技球振分部252の構成を、図22に示す遊技球振分部252周辺の縦断面図を参照しながら説明する。遊技球振分部252は上方及び前方に開放しており、その内部が2つの仕切壁253a,253bによって仕切られることで3つの開口部255a,255b,255cが左右方向に並設されている。
これら開口部255a,255b,255cのうち、パチンコ機10内側の開口部255aは上皿195へ続く上皿通路に通じており、中央の開口部255bは下皿214へ続く下皿通路に通じている。なお、パチンコ機10外側の開口部255cは排出通路144に通じており、タンク132に貯留された遊技球の排出作業においてはそれら貯留された遊技球が外側の開口部255cを介して排出通路144に導かれパチンコ機10の外部に排出される。
上皿通路は、裏パックユニット24に設けられた裏パック側上皿通路部258と、遊技機ベースユニット22に設けられた本体側上皿通路部262と、遊技機前面ユニット23に設けられた前面側上皿通路部272とから構成されている。同様に、下皿通路は、裏パックユニット24に設けられた裏パック側下皿通路部259と、遊技機ベースユニット22に設けられた本体側下皿通路部263と、遊技機前面ユニット23に設けられた前面側下皿通路部273とから構成されている。
これら各通路部258,259,262,263,272,273について詳細に説明する。
<裏パック側通路部258,259>
裏パック側上皿通路部258及び裏パック側下皿通路部259は、裏パックユニット24の回動基端側においてベース部126を前後方向に貫通するようにして設けられた裏パック側通路ユニット257に形成されている(図21参照)。裏パック側上皿通路部258及び裏パック側下皿通路部259は通路壁によって区画され左右方向に並設されている。また、裏パック側上皿通路部258及び裏パック側下皿通路部259は、それぞれ前後方向に延びており、下流側に向けて下り傾斜となっている。以上の構成において裏パック側上皿通路部258及び裏パック側下皿通路部259に導入された遊技球は、底部258a,259a上を転がった後に本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263のそれぞれに排出される。
ちなみに、裏パック側下皿通路部259は裏パック側上皿通路部258に比べ幅寸法(左右方向寸法)が大きくなっている。これは、以下の理由による。つまり、払出装置135から払い出された遊技球は裏パック側上皿通路部258へ続く遊技球振分部252の内側の開口部255aに導かれる。これに対して、裏パック側下皿通路部259へは、遊技球振分部252において内側の開口部255aに遊技球が充たされ、当該開口部255aから溢れた遊技球が導かれる。したがって、裏パック側上皿通路部258を通過する遊技球に比べ、裏パック側下皿通路部259を通過する遊技球はその軌道が不規則となり、裏パック側下皿通路部259内での球詰まりの発生が懸念される。これに対して、裏パック側通路ユニット257という限られた空間において、裏パック側下皿通路部259の幅寸法を裏パック側上皿通路部258よりも大きくすることで、上記球詰まりが発生する確率が低減される。なお、下皿通路において球詰まりが発生する確率を低減するために、裏パック側下皿通路部259だけでなく、本体側下皿通路部263及び前面側下皿通路部273についても各上皿通路部262,272より幅寸法が大きくなっている。つまり、下皿通路は上皿通路よりも幅寸法(通路幅寸法又は通路方向に対して垂直方向の通路開口断面積)が大きくなっている。
<本体側通路部262,263>
本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263は、遊技機ベースユニット22の回動基端側において樹脂ベース41を前後方向に貫通するようにして設けられた本体側通路ユニット261に形成されている。なお、遊技盤61にはその隅角に本体側通路ユニット261を避けるようにして切欠部267が設けられている(図7参照)。
本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263は、仕切用通路壁264によって区画されて左右方向に並設されており、それぞれ球出口262a,263aが下方を向くようにして形成されている。詳細には、本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263の上流側は下流側に向けて下り傾斜となっており、その下流側では若干下方に延出させて球出口262a,263aが形成されている。以上の構成において本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263に導入された遊技球は、底部262b,263b上を転がり球出口262a,263aを介して前面側上皿通路部272及び前面側下皿通路部273のそれぞれに排出される。ちなみに、本体側上皿通路部262は本体側下皿通路部263に比べ幅寸法(左右方向寸法)が小さくなっている。
<前面側通路部272,273>
前面側上皿通路部272及び前面側下皿通路部273は、遊技機前面ユニット23の背面に設けられた前面側通路ユニット271に形成されている。ここで、前面側通路ユニット271について図23〜図27を用いて説明する。図23は遊技機前面ユニット23から前面側通路ユニット271を分離した状態を示す斜視図、図24は前面側通路ユニット271の斜視図、図25は前面側通路ユニット271の分解斜視図、図26は前面側通路ユニット271の正面図、図27は前面側通路ユニット271の平面図である。
前面側通路ユニット271は、図25に示すように一対のベース板274a,274bを有している。これらベース板274a,274bはポリカーボネート樹脂などといった透明性を有する合成樹脂材料により形成されており、それぞれ溝部や開口部が形成されている。両ベース板274a,274bがネジ固定されていることで、前面側上皿通路部272を構成する受口部275が形成されているとともに、少なくとも前面側下皿通路部273を構成する通路形成部276が形成されている。なお、前面側通路ユニット271は受口部275及び通路形成部276の他に板状部271aを有している。この前面側通路ユニット271は、前面側上皿通路部272の出口272aが上皿195の球入口196と前後に重なり、前面側下皿通路部273の出口273aが下皿214の第1球入口218と前後に重なるようにして、遊技機前面ユニット23の背面に対してパチンコ機10後方からネジ固定されている。この場合、前面側通路ユニット271の板状部271aは遊技機前面ユニット23の背面に当接している。
ちなみに、前面側通路ユニット271には、補強金属板301,302が取り付けられている。これら補強金属板301,302のうち、第1補強金属板301は受口部275に取り付けられている。また、第2補強金属板302は通路形成部276に取り付けられている。受口部275は上皿195の球入口196に通じており、また通路形成部276は下皿214の第1球入口218に通じている。したがって、パチンコ機10前方から球入口196又は第1球入口218を介して不正用冶具を挿入し、さらに受口部275の壁又は通路形成部276の壁を破壊してその挿入した不正用冶具を遊技領域や遊技盤61の裏面まで侵入させる行為が想定される。これに対して、上記のように補強金属板301,302が取り付けられていることにより、受口部275の壁又は通路形成部276の壁が破壊されたとしても上記不正用冶具のそれ以上の侵入を阻止することが可能となる。
前面側通路ユニット271の受口部275及び通路形成部276について説明する。受口部275が形成された位置は前面側通路ユニット271において上側隅部であり、遊技機前面ユニット23との関係では当該遊技機前面ユニット23の回動基端側となっている。また、受口部275は、通路形成部276よりもパチンコ機10の後方に突出しており、さらには遊技機前面ユニット23の回動軸よりもパチンコ機10の後方にある。そして、遊技機前面ユニット23を閉鎖した状態において、受口部275は遊技機ベースユニット22の前側端部よりも後側に入り込んでいる。
但し、受口部275は遊技機ベースユニット22の後側端部よりも前側にあり、遊技機ベースユニット22(樹脂ベース41)には受口部275と対峙する位置に、当該受口部275の突出側をカバーするカバー部としての収容凹部292bが形成されている(図28参照)。よって、遊技機前面ユニット23を閉鎖した状態において受口部275は遊技機ベースユニット22を前後方向に貫通していない。
受口部275は図24等に示すように上方に開放されており、その左右方向の略中央には底部から上方に起立した仕切壁277が一体形成されている。この仕切壁277に仕切られることで、受口部275には2つの開口部278,279が左右方向に並設されている。かかる構成において、受口部275におけるパチンコ機10内側の側壁はパチンコ機10後側などに比べ背が高くなっており、当該側壁には庇部275aが形成されている。この庇部275aが形成されていることにより、上記2つの開口部278,279のうちパチンコ機10内側の開口部278はパチンコ機10外側の開口部279よりも幅寸法(左右方向寸法)が小さくなっている。
パチンコ機10内側の開口部278は、本体側上皿通路部262の球出口262aと上下に対峙しており、図26等に示すように、前面側上皿通路部272の球入口となっている。また、パチンコ機10外側の開口部279は、本体側下皿通路部263の球出口263aと上下に対峙しており、通路形成部276に形成される前面側下皿通路部273の球入口となっている。この場合に、上記のとおり、受口部275は遊技機ベースユニット22の前側端部よりも後側に入り込んでいるため、前面側上皿通路部272と本体側上皿通路部262との境界部分、及び前面側下皿通路部273と本体側下皿通路部263との境界部分は、その一部が遊技機ベースユニット22の前側端部よりも後側に入り込んでいる(図21等参照)。
内側開口部278と上皿195の球入口196とは前後に並んでおり、前面側上皿通路部272はそれら内側開口部278と球入口196とを繋ぐように前後方向に延びている。なお、前面側上皿通路部272は上皿195の球入口196に向けて幅寸法(左右方向寸法)が大きくなっている。
外側開口部279と下皿214の第1球入口218とは左右方向及び上下方向にずれた位置関係となっている。つまり、外側開口部279が遊技機前面ユニット23の回動基端側にあり、下皿214の第1球入口218は遊技機前面ユニット23の左右方向の中央付近にある(図23等参照)。また、外側開口部279に対して下皿214の第1球入口218は下方にある。これら外側開口部279と下皿214の第1球入口218とを繋ぐように、前面側下皿通路部273が形成されている。前面側下皿通路部273は遊技機前面ユニット23の背面に沿っており、クランク状をなしている。詳細には、図26に示すように、上流側左右領域284と上下領域285と下流側左右領域286とからなる。このように前面側下皿通路部273をクランク状とすることで、直線状とする構成に比して通路長が長くなる。
前面側下皿通路部273には、球出口において遊技球の流下方向がパチンコ機10前方に向けた方向となるように、最下流部に曲がり部305が形成されている(図15参照)。この曲がり部305は下流側左右領域286に対して形成されている。つまり、曲がり部305は、それよりも上流側の遊技球の流下方向に対して直交する面を備えた通路壁306を備えている。したがって、前面側下皿通路部273を流下してきた遊技球はその最下流部において曲がり部305の通路壁306に当たった後に第1球入口218を通じて下皿214に排出される。つまり、通路壁306が減速部としての機能を有することとなる。これにより、前面側下皿通路部273から下皿214に排出される遊技球は下皿214に排出される直前においてその勢いが低減される。
なお、曲がり部305よりも上流側の通路方向を左右方向ではなく上下方向とした構成においては、曲がり部305の底部が上記減速部としての機能を有することとなる。つまり、減速部は、それよりも上流側の遊技球の流下方向に対して直交(略直交)又は交差する面を有し、上流側から流下してきた遊技球をその面に衝突させて減速させた後に下皿214に導く機能を有している構成であればよい。
ここで、既に説明したように、下皿214において囲み壁部217の前側領域235はその高さ寸法が小さく設定されている。この場合、第1球入口218から排出された遊技球が前側領域235を越えて下皿214外に零れてしまうことが懸念される。これに対して、上記のように前面側下皿通路部273に曲がり部305が形成されており、前面側下皿通路部273から下皿214に排出される遊技球が下皿214に排出される直前においてその勢いが低減されることにより、第1球入口218から排出された遊技球がその排出された勢いに起因して下皿214外に零れてしまうことが抑制される。
ちなみに、前面側下皿通路部273が前面側通路ユニット271として遊技機前面ユニット23の背面に一体化されていることにより、前面側下皿通路部273の曲がり部305の位置と下皿214における第1球入口218との位置を近づけることが可能となる。よって、曲がり部305にて流れの勢いを低減させた直後に下皿214に遊技球を排出することが可能となり、曲がり部305にて勢いを低減させる効果が好適に発揮される。前面側下皿通路部273が遊技機前面ユニット23側ではなく遊技機ベースユニット22側に設置された構成を想定すると、遊技機前面ユニット23の遊技機ベースユニット22に対する開放に際して前面側下皿通路部273の球出口を閉鎖するためのシャッタ機構を設ける必要が生じる。そうすると、曲がり部305と第1球入口218との間を、シャッタ機構を設けた分だけ離間させる必要が生じてしまう。これに対して、本パチンコ機10では前面側下皿通路部273が遊技機前面ユニット23に形成されていることにより上記シャッタ機構が必要なくなり、上記のとおり曲がり部305と第1球入口218との位置を近づけることが可能となる。
次に、上皿195及び下皿214への遊技球の流れについて説明する。
図22に示すように払出装置135からは遊技球振分部252における内側の開口部255aに向けて遊技球が払い出される。よって、払出装置135から払い出された遊技球は各上皿通路部258,262,272によって構成される上皿通路を通って上皿195に排出される。
但し、払出装置135から多数の遊技球が払い出され上皿195が満杯状態となり、さらにその後も遊技球の払い出しが継続されると、上皿通路にて遊技球が連なり、図22に示すように、遊技球振分部252における内側の開口部255aの全体に遊技球が充たされることとなる。かかる状態において払出装置135から払い出された遊技球は遊技球振分部252における内側の仕切壁253aを乗り越え中央の開口部255b内に入る。そして、この遊技球は各下皿通路部259,263,273によって構成される下皿通路を通って下皿214に排出される。
<満杯検知センサ280>
次に、満杯検知センサ280について説明する。
通路形成部276には、図26に示すように、前面側下皿通路部273を通る遊技球を検知するように満杯検知センサ280が設けられている。満杯検知センサ280は、磁気検知タイプの近接センサにて構成されており、検知範囲内を遊技球が通過する際の磁界の変化が検知されて電気信号として出力される。なお、満杯検知センサ280は磁気検知タイプの近接センサに限定されることはなく、フォトセンサやリミットセンサなどを用いてもよい。
満杯検知センサ280は主制御装置102に対して電気信号を出力する。主制御装置102では、満杯検知センサ280の検知結果に基づいて払出装置135による遊技球の払い出しを停止させる。これにより、下皿214が満杯状態となり、前面側下皿通路部273において満杯検知センサ280の位置まで遊技球が連なった場合には、それ以上の遊技球の払い出しが停止される。かかる払い出しの停止は、下皿214の満杯状態が解除され満杯検知センサ280にて遊技球が検知されなくなることにより解除される。
ここで、満杯検知センサ280は、前面側下皿通路部273における上流側左右領域284に対して設けられている。詳細には、上流側左右領域284における底壁の下方に、満杯検知センサ280が取り付けられている。このように上流側左右領域284に対して満杯検知センサ280を設けることで、下皿214が満杯状態である状況では、少なくとも上下領域285及び下流側左右領域286にて遊技球が連なり上流側左右領域284の位置にて遊技球が待機しない限り、満杯検知センサ280が満杯状態である旨の検知結果とならない。したがって、少なくとも上下領域285及び下流側左右領域286が遊技球の待機領域となり、遊技者の持ち球の貯留容量を極力大きくすることができる。
上記のように満杯検知センサ280の位置が設定された構成において、下皿通路(裏パック側下皿通路部259、本体側下皿通路部263、前面側下皿通路部273)における満杯検知センサ280よりも上流側の通路長は、下皿214が満杯状態となった際に下皿通路にて連なる遊技球の遊技球列が払出装置135の位置まで到達しないように設定されている。つまり、所定の払出速度で遊技球の払い出しを行っている払出装置135が払出停止された際には、既に払出装置135から払い出され下皿214に向けて流下している遊技球が存在し得る。この場合に、その既に流下している遊技球として想定される最大数の遊技球が下皿通路にて満杯検知センサ280よりも上流側に並んだとしても、その遊技球列が払出装置135の位置まで並ばないようになっている。
<シャッタ機構291>
次に、シャッタ機構291について説明する。図28はシャッタ機構291の分解斜視図、図29はシャッタ機構291の動きを説明するための説明図である。
本実施の形態では上述したように遊技機前面ユニット23に対して前面側通路ユニット271が設けられている。また、遊技機前面ユニット23には上述したように窓パネル部58が設けられており、例えば遊技領域にて球詰まり等が発生しそれを解消するために遊技機前面ユニット23を開放すると、それに合わせて前面側通路ユニット271が前方に移動し、遊技機前面ユニット23側の各通路部272,273と遊技機ベースユニット22側の各通路部262,263とが離間される。そして、この遊技機前面ユニット23の開放操作が、上皿195や下皿214が満杯状態であり本体側上皿通路部262や本体側下皿通路部263にて遊技球が待機されている状態において行われると、その待機されている遊技球が前面側上皿通路部272や前面側下皿通路部273にて受けられなくなり散乱してしまうおそれがある。これに対して、この遊技球の散乱を防止するためにシャッタ機構291が設けられている。
シャッタ機構291は遊技機ベースユニット22の前面側に設けられている。詳細には、樹脂ベース41における本体側通路ユニット261の下方には取付部292が形成されており、この取付部292に対してシャッタ機構291が取り付けられている。シャッタ機構291は、シャッタ部材293と、コイルバネ294と、ストッパ295とから構成されている。
シャッタ部材293は合成樹脂により略板状に形成されている。シャッタ部材293の下端には左右方向に貫通させて軸孔293aが形成されており、取付部292にはこの軸孔293aと同一軸線上に軸孔を有する支軸部292aが形成されている。シャッタ部材293の軸孔293a及び支軸部292aに支軸ピン296が挿通固定されていることにより、シャッタ部材293は取付部292に対して下端を軸線として前後方向に回動可能に支持されている。
シャッタ部材293の上端には、一方の端部(本実施の形態では、左側の端部)から側方に延出させて延出部297が形成されており、当該延出部297の前方となるようにしてストッパ295が設けられている。ストッパ295は合成樹脂材料により成形されており、取付部292にネジ固定されている。また、ストッパ295には、シャッタ用ストッパ295aと当該シャッタ用ストッパ295aよりも下方にあり前方に張り出したバネ用ストッパ295bとが形成されている。
ストッパ295と延出部297との間にはコイルバネ294が設けられている。コイルバネ294は、一端がバネ用ストッパ295bに固定され他端が延出部297の下端に固定されており、伸張状態で設けられている。したがって、シャッタ部材293には前方へ向けた付勢力が常に作用しており、シャッタ部材293の自然状態では延出部297がシャッタ用ストッパ295aに当接した位置にある。この当接した位置では、シャッタ部材293の上端部298が本体側通路ユニット261の下方にある。
シャッタ部材293の上端部298は、その上面が所定の曲率で、外方に凸であって前後方向に円弧状となっている。この円弧の仮想中心は、軸孔293aとなっている。また、シャッタ部材293は、その前後方向寸法が本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263の球出口262a,263aの前後方向寸法と略同一となっており、さらに左右方向寸法が本体側通路ユニット261の左右方向寸法と略同一となっている。そして、上端部298は、本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263の球出口262a,263aの略全体と対峙している。つまり、本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263の球出口262a,263aがシャッタ部材293によって閉鎖されている。この位置がシャッタ部材293の閉鎖位置(阻止位置)である。
上端部298には前方に突出させて前方段部298bが一体形成されている。この前方段部298bは、閉鎖位置に移動する際に、本体側上皿通路部262と前面側上皿通路部272との境界部分や、本体側下皿通路部263と前面側下皿通路部273との境界部分にある遊技球を受口部275側に押し込む機能を有する。
上端部298には、その左右方向の途中位置に前後方向に延びる溝部298aが形成されている。この溝部298aの位置は、受口部275における仕切壁277の位置に対応している。つまり、上端部298において溝部298aよりもパチンコ機10内側の領域は上皿通路用の阻止領域となっており、溝部298aよりもパチンコ機10外側の領域は下皿通路用の阻止領域となっている。この溝部298aには、シャッタ部材293が閉鎖位置にある場合に、本体側通路ユニット261における各通路部262,263を仕切る仕切用通路壁264の下端部分264aが入り込む。
取付部292におけるシャッタ部材293の後方には、後方へ凹んだ収容凹部292bが形成されている。また、シャッタ部材293はその前側端面が、遊技機前面ユニット23を閉鎖した際に前面側通路ユニット271の受口部275と当接する位置にあり、上述したとおり遊技機前面ユニット23を閉鎖した際には受口部275は本体側通路ユニット261の下方に配置される。したがって、遊技機前面ユニット23が閉鎖されている状態においては、受口部275の後方端部がシャッタ部材293の前側端面に当接しシャッタ部材293に対して上記付勢力に抗する力が作用することで、当該シャッタ部材293は後方に回動し収容凹部292bに収容されている。この位置がシャッタ部材293の開放位置(阻止解除位置)である。
遊技機前面ユニット23の開放操作に対するシャッタ部材293の動きについて説明すると、図29(a)に示すように、遊技機前面ユニット23が閉鎖されている状態ではシャッタ部材293は開放位置にあり、本体側上皿通路部262と前面側上皿通路部272とが連通し、本体側下皿通路部263と前面側下皿通路部273とが連通している。
また、遊技機前面ユニット23を開放することで、図29(b)に示すようにシャッタ部材293は閉鎖位置に移動する。これにより、本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263の各球出口262a,263aが閉鎖され、本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263に遊技球が待機されている状態において遊技機前面ユニット23が開放されたとしても、その待機されている遊技球が散乱しないようになっている。その後、遊技機前面ユニット23を閉鎖すると、図29(a)の状態に戻る。
この場合に、上記のとおり本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263は、それぞれ球出口262a,263aに向けて下り傾斜となっている。よって、遊技機ベースユニット22側の各通路部262,263に待機されている遊技球の重量負荷は、その一部が遊技機ベースユニット22側の各通路部262,263の底部262b,263bにて受けられる。つまり、それら待機されている遊技球のシャッタ部材293に対する重量負荷が低減されている。よって、シャッタ部材293の開閉動作の円滑化が図られている。
<球詰まり抑制構造>
次に、遊技機前面ユニット23の開放操作に際しての上皿通路における球詰まり抑制構造について説明する。図30及び図31は球詰まり抑制構造を説明するための説明図である。
上述したように遊技機前面ユニット23の開放に際しては、遊技機ベースユニット22側の各通路部262,263と遊技機前面ユニット23側の各通路部272,273とが離間される。この場合に、遊技機ベースユニット22側の各通路部262,263と遊技機前面ユニット23側の各通路部272,273との境界部分に遊技球が存在すると、その遊技球が本体側通路ユニット261と前面側通路ユニット271との境界部分に遊技球が存在することがあり、その遊技球が本体側通路ユニット261と前面側通路ユニット271とのそれぞれに当接し、球詰まりが発生することで遊技機前面ユニット23の開放操作を円滑に行えないおそれがある。これに対して、球詰まり抑制構造が設けられている。この球詰まり抑制構造としては、第1球詰まり抑制構造と、第2球詰まり抑制構造とが設けられている。
<第1球詰まり抑制構造>
先ず、第1球詰まり抑制構造について図30を用いて説明する。遊技機前面ユニット23を閉鎖した状態においては受口部275の各開口部278,279と本体側通路ユニット261の各球出口262a,263aとが対峙している(なお、図30においては上皿通路側のみを示す)。ここで、本体側通路ユニット261の球出口262a,263a付近において、図30に示すように手前側通路壁265はその下端が、仕切用通路壁264の下端や側方の通路壁の下端よりも上方となるように形成されている。これにより、受口部275における上方に開放された部位の開放上面部と本体側通路ユニット261の手前側通路壁265との間には、所定の間隔X1の隙間が存在する。したがって、遊技機前面ユニット23の開放開始に際して遊技機前面ユニット23側の各通路部272,273と遊技機ベースユニット22側の各通路部262,263との境界部分(図30におけるB1の位置)に遊技球があったとしても、その遊技球が本体側通路ユニット261の手前側通路壁265に当たりづらくなっている。よって、球詰まりの発生が抑制され遊技機前面ユニット23の開放操作を円滑に行うことが可能となる。
なお、シャッタ部材293が開放位置にある場合、当該シャッタ部材293の前方段部298bは、受口部275よりも上方であって当該受口部275側に入り込む位置にある。そして、シャッタ部材293が閉鎖位置に移動する場合、当該シャッタ部材293の前方段部298bは、上記間隔X1の範囲内に配置される。これにより、上記のとおり、シャッタ部材293が閉鎖位置に移動する際に、本体側上皿通路部262と前面側上皿通路部272との境界部分や、本体側下皿通路部263と前面側下皿通路部273との境界部分にある遊技球は受口部275側に押し込まれる。
上記のように手前側通路壁265の下端が仕切用通路壁264の下端や側方の通路壁の下端よりも上方となるように形成された構成において、シャッタ部材293が閉鎖位置にある場合、本体側の通路部262,263に待機している遊技球が零れ落ちないようになっている。詳細には、図29(b)に示すように、シャッタ部材293の軸孔293aから手前側通路壁265の下端までの距離L1と、軸孔293aからシャッタ部材293の上端部298の上面までの距離L2との差は、遊技球の直径よりも小さくなっている(L1―L2<R)。したがって、両者の隙間が遊技球の直径よりも小さくなり、上記待機している遊技球が零れ落ちない。
特に、シャッタ部材293の軸孔293aから手前側通路壁265の下端までの距離L1と、軸孔293aからシャッタ部材293の上端部298の上面までの距離L2との差は、遊技球の半径よりも小さくなっている(L1―L2<R/2)。したがって、上記待機している遊技球の負荷は手前側通路壁265に確実に受けられ、上記遊技球の零れ落ちが確実に阻止されている。
<第2球詰まり抑制構造>
次に、第2球詰まり抑制構造について図30及び図31を用いて説明する。この第2球詰まり抑制構造は、上皿通路及び下皿通路のそれぞれに対して設けられている。そこで、先ず上皿通路の第2球詰まり抑制構造について説明する。
上述したように受口部275は遊技機前面ユニット23の背面よりも後方に突出させて形成されており、図31に示すように受口部275は遊技機前面ユニット23の回動軸282よりも後方にある。したがって、遊技機前面ユニット23の開放に際しての外側開口部279の回動範囲には、図31(b)に示すように本体側上皿通路部262の下方領域の一部が含まれる。また、遊技機前面ユニット23の開放におけるその途中位置においては、内側開口部278及び外側開口部279のそれぞれの一部が本体側上皿通路部262の下方に位置することとなる。そして、この状態では内側開口部278にある遊技球が、受口部275の仕切壁277よりも上方の領域を通って外側開口部279へ移動することが可能となる。
また、図24及び図31に示すように、受口部275の仕切壁277にはその上端から下方に凹ませて凹部283が形成されている。凹部283は仕切壁277の左右方向の途中位置から後側端部にかけて形成されており、その前後方向寸法X2は遊技球の直径Rよりも大きくなっている(X2>R)。
以上のように、受口部275の外側開口部279の回動範囲が設定されており、さらに受口部275の仕切壁277に凹部283が形成されていることにより、遊技機前面ユニット23の開放開始に際して前面側上皿通路部272と本体側上皿通路部262との境界部分であって本体側上皿通路部262寄りの位置(図30におけるB2の位置)に遊技球があったとしても、その遊技球が凹部283を横切って内側開口部278側から外側開口部279側に退避され得る。よって、球詰まりの発生が抑制され遊技機前面ユニット23の開放操作を円滑に行うことが可能となる。但し、凹部283の深さ寸法はX3となっており、凹部283の底と本体側通路ユニット261の仕切用通路壁264の下端との間の間隔は遊技球の直径Rよりも小さくなっている。したがって、仕切壁277に凹部283を形成した構成において、遊技機前面ユニット23を閉鎖した状態においては内側開口部278にある遊技球が外側開口部279に移動してしまうことが防止されている。
次に、下皿通路の第2球詰まり抑制構造について説明する。
受口部275における外側開口部279側の上端部にはパチンコ機10外方に延出させて球退避部290が一体形成されている。つまり、球退避部290は外側開口部279に対して遊技機前面ユニット23の回動基端側において当該外側開口部279と左右に並んでいる。球退避部290は1個の遊技球が十分に載ることができる程度の皿状となっており、その底部290aは外側開口部279の開放上面部よりも下方であって外側開口部279の底部よりも上方にある。但し、球退避部290は遊技機前面ユニット23の閉鎖時において、本体側下皿通路部263を通過した遊技球が載らないように形成されている。つまり、球退避部290の底部290aと本体側通路ユニット261の側壁部との間の距離は、遊技球の直径未満となっている。なお、かかる距離を遊技球の半径未満とするのが好ましい。
球退避部290の底部290aは外側開口部279に向けて下り傾斜となっており、球退避部290は外側開口部279に対して連通されている。また、上記のとおり受口部275は遊技機前面ユニット23の回動軸282よりも後方にあり、遊技機前面ユニット23の開放に際しての球退避部290の回動範囲には、本体側下皿通路部263の下方領域の一部が含まれる。
以上のように球退避部290が設けられておりその回動範囲が上記のとおり設定されていることにより、遊技機前面ユニット23の開放開始に際して前面側下皿通路部273と本体側下皿通路部263との境界部分であって本体側下皿通路部263寄りの位置(図31においてB3の位置)に遊技球があったとしても、その遊技球は球退避部290に退避され得る。つまり、当該位置にある遊技球は、遊技機前面ユニット23の開放操作に際して本体側通路ユニット261の手前側通路壁265に当たり、球退避部290に向けて押し込まれるため、当該球退避部290に退避される。よって、球詰まりの発生が抑制され遊技機前面ユニット23の開放操作を円滑に行うことが可能となる。また、球退避部290の底部290aは上記のとおり外側開口部279に向けて下り傾斜となっているので球退避部290に退避した遊技球は自重により外側開口部279内に入る。
<戻り球通路部299>
次に、戻り球通路部299について説明する。
前面側通路ユニット271には、図26等に示すように、戻り球通路形成部281が受口部275や通路形成部276と一体的に形成されている。戻り球通路形成部281は、前面側下皿通路部273における上下領域285と下流側左右領域286との曲がり部分の内側に設けられており、上方に開放された回収口281aを有している。なお、回収口281aの上縁は、上流側左右領域284及び上下領域285の上壁287の上面287aよりも低位にある。
戻り球通路形成部281の回収口281aは、遊技機前面ユニット23を遊技機ベースユニット22に閉鎖した状態において、遊技球発射機構80の発射レール82と遊技盤61の内,外レール部77,78との間に位置している。したがって、遊技球発射機構80から発射されたが遊技領域まで至らず、内,外レール部77,78によって構成される誘導レールを逆流してくる戻り球は回収口281aから戻り球通路形成部281内に入る。
この戻り球通路形成部281内に入った遊技球は、戻り球通路形成部281に形成された戻り球通路部299を通って下皿214に排出される。戻り球通路部299は、遊技球1個分よりも若干大きい程度の通路幅及び通路高さを有しており、複数の遊技球が通路幅方向に並ぶこと、及び途中位置にて複数の遊技球が積み重なることが防止されている。また、戻り球通路部299は、回収口281aを入口として、前面側通路ユニット271における受口部275側とは反対側の端部に出口299aを有している(図25参照)。この出口299aは、下皿214の第2球入口219に通じている。ここで、当該第2球入口219は既に説明したように上皿195から下皿214への球抜き通路部221の球出口となっている。つまり、戻り球通路部299はその下流側にて球抜き通路部221と合流しており、これら両通路部221,299は下皿214において同一の球出口を有している。
上記のとおり、前面側下皿通路部273の球出口は、下皿214において第2球入口219とは別に形成された第1球入口218となっている。つまり、戻り球通路部299は、前面側下皿通路部273とは別に設けられており、戻り球通路部299に導入された遊技球は前面側下皿通路部273を通過する遊技球とは完全に別経路で下皿214に排出される。ここで、下皿214において、第2球入口219は第1球入口218に対して左右方向にずらした位置に形成されている。詳細には、戻り球通路部299は、前面側下皿通路部273の下流側よりも遊技球流下方向で見て外方(横方)に延長させて形成されており、この延長させた距離分、第2球入口219は第1球入口218に対して横方にずれた位置にある。これにより、前面側下皿通路部273を通過した遊技球と、戻り球通路部299を通過した遊技球とが同時に下皿214に排出される場合において、それら両遊技球が衝突することが回避される。これら遊技球が衝突すると相互の跳ね返りにより遊技球が下皿214の外方に飛び出てしまうおそれがあるが、上記のとおり両遊技球の衝突が回避されていることでかかる飛び出しのおそれが低減されている。
戻り球通路部299は、図26に示すように、回収口281aから第2球入口219とは反対側に向けて左右方向に延び、その後、折り返し部299bを介して折り返され、第2球入口219に向けて左右方向に延びている。これにより、戻り球通路部299の通路長が長く確保され、戻り球通路部299にて待機可能な遊技球の数を極力多くすることができる。また、上記のように戻り球通路部299が、前面側下皿通路部273の下流側よりも遊技球流下方向で見て外方(横方)に延長させて形成されていることにより、下皿214にて第1球入口218と第2球入口219とを左右方向にずらすようにした構成において、戻り球通路部299の通路長を極力長く確保することができる。なお、戻り球通路部299の底面であって回収口281aにより上方が開放された領域に対してスポンジ部材などの衝撃吸収部材を付与してもよい。当該衝撃吸収部材を付与することにより、上方から落下してきた戻り球の戻り球通路部299に対する衝撃を吸収することができる。
戻り球通路部299は、前面側下皿通路部273の上方にあり、戻り球通路部299が占めるパチンコ機10の前後方向の領域と、前面側下皿通路部273が占めるパチンコ機10の前後方向の領域とは上下に重なっている。これにより、前面側通路ユニット271に前面側下皿通路部273及び戻り球通路部299を設けた構成において、前面側通路ユニット271の体格の縮小化、すなわち前面側通路ユニット271のコンパクト化が図られる。また、戻り球通路部299は、その少なくとも一部が前面側下皿通路部273に沿うようにして形成されている。この点からも、前面側通路ユニット271の体格の縮小化、すなわち前面側通路ユニット271のコンパクト化が図られている。
<球受け構造>
次に、遊技機前面ユニット23の開放操作に際しての球受け構造について説明する。
遊技機前面ユニット23の開閉は上皿195が満杯状態において行われることがある。この場合に、受口部275の内側開口部278が遊技球で満たされている状態で遊技機前面ユニット23が開閉されると、その開閉の際の振動等によって内側開口部278にある遊技球が庇部275aを乗り上げ零れ落ちてしまうおそれがある。これに対して、その零れ球に対する球受け構造が設けられている。
この球受け構造は前面側通路ユニット271の通路形成部276に設けられている。詳細には、図26及び図27に示すように、球受け構造は通路形成部276における前面側下皿通路部273の上流側左右領域284及び上下領域285の上壁287に設けられている。
上壁287は、受口部275における内側開口部278の下方を通って、前面側下皿通路部273の遊技球流下方向に緩やかに下り傾斜となっている。また、上壁287は、平面視で内側開口部278に対して左右に並んでいる。つまり、上壁287が内側開口部278の下方の位置から遊技機前面ユニット23の回動先端側に延びていると言える。
上壁287におけるパチンコ機10後側端部には、上面287aから起立させて左右方向に延びる突条部288が一体形成されている。また、上壁287におけるパチンコ機10前側端部には、前面側通路ユニット271の板状部271aがある。かかる構成により、上壁287の上面287aには突条部288と板状部271aとの間に球受け通路289が形成されている。
球受け通路289は、上壁287が上記のとおり形成されていることにより、受口部275における内側開口部278の下方から遊技機前面ユニット23の回動先端側に向けて延びており、当該回動先端側に向けて下り傾斜となっている。ここで、上記のとおり、前面側下皿通路部273における上下領域285と下流側左右領域286との曲がり部分の内側に戻り球通路形成部281が設けられており、戻り球通路形成部281の開口部の上縁は、上壁287の上面287aよりも低位にある。すなわち、球受け通路289の先には戻り球通路形成部281があり、当該戻り球通路形成部281の開口部の上縁は球受け通路289よりも低位にある。したがって、球受け通路289は、戻り球通路形成部281に通じており、さらには戻り球通路部299に通じている。
以上のように球受け通路289が設けられていることにより、遊技機前面ユニット23の開閉の際の振動等によって内側開口部278から遊技球が零れ落ちたとしても、その遊技球は球受け通路289によって受けられる。この受けられた遊技球は球受け通路289を流下することで戻り球通路形成部281に導入され、戻り球通路部299を通って下皿214に排出される。これにより、零れ球を遊技ホールなどに散乱させることなく下皿214に排出することができる。
特に、零れ球は、遊技機前面ユニット23の回動に際しての遠心力により、内側開口部278から遊技機前面ユニット23の回動先端側に落下するものと考えられる。この場合に、上記のとおり球受け通路289が内側開口部278の下方から回動先端側に延びるようにして設けられていることにより、球受け通路289において零れ球を受け易くなる。また、仮に内側開口部278から遊技機前面ユニット23の回動基端側に遊技球が落下したとしても、その零れ球は外側開口部279にて受けられる。
なお、上記のとおり受口部275には球退避部290が設けられている。したがって、遊技機前面ユニット23の開閉に際して外側開口部279から遊技機前面ユニット23の回動基端側に零れ球が落下したとしても、その零れ球は球退避部290にて受けられ得る。この点から、球退避部290は、球詰まり抑制構造としての機能だけでなく、球受け構造としての機能も有する。また、外側開口部279から遊技機前面ユニット23の回動先端側に零れ球が落下した場合には、その零れ球は内側開口部278にて受けられる。
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図32のブロック図に基づいて説明する。図32では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
主制御装置102に設けられた主制御基板311には、主制御回路312と停電監視回路313とが内蔵されている。主制御回路312には、CPU321が搭載されている。CPU321には、当該CPU321により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM322と、そのROM322内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM323と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM323は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御装置147に設けられた電源及び発射制御基板331からデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。
CPU321には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。主制御回路312の入力側には、主制御基板311に設けられた停電監視回路313、払出制御装置146に設けられた払出制御基板332及びその他図示しないスイッチ群などが接続されている。この場合に、停電監視回路313には電源及び発射制御基板331が接続されており、主制御回路312には停電監視回路313を介して電力が供給される。
一方、主制御回路312の出力側には、停電監視回路313、払出制御基板332及び中継端子板333が接続されている。払出制御基板332には、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。中継端子板333を介して主制御回路312から音声ランプ制御装置94に設けられた音声ランプ制御基板334に対して各種コマンドなどが出力される。
停電監視回路313は、主制御回路312と電源及び発射制御基板331とを中継し、また電源及び発射制御基板331から出力される最大電源である直流安定24ボルトの電源を監視する。
払出制御基板332は、払出装置135により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU341は、そのCPU341により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM342と、ワークメモリ等として使用されるRAM343とを備えている。
払出制御基板332のRAM343は、主制御回路312のRAM323と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御基板331からデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。
払出制御基板332のCPU341には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。払出制御基板332の入力側には、主制御回路312、電源及び発射制御基板331、及び裏パック基板136が接続されている。また、払出制御基板332の出力側には、主制御回路312及び裏パック基板136が接続されている。
電源及び発射制御基板331は、電源部と発射制御部とを備えている。電源部は、二重線矢印で示す経路を通じて、主制御回路312や払出制御基板332等に対して各々に必要な動作電力を供給する。発射制御部は、遊技者による遊技球発射ハンドル84の操作にしたがって遊技球発射機構80の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構80は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
音声ランプ制御基板334は、各電飾部175〜177、スピーカ部178、エラー表示部179及び表示制御装置92を制御するものである。演算装置であるCPU351は、そのCPU351により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM352と、ワークメモリ等として使用されるRAM353とを備えている。
音声ランプ制御基板334のCPU351にはアドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。音声ランプ制御基板334の入力側には中継端子板333に中継されて主制御回路312が接続されており、主制御回路312から出力される各種コマンドに基づいて、各電飾部175〜177、スピーカ部178、エラー表示部179及び表示制御装置92を制御する。表示制御装置92は、音声ランプ制御基板334から入力する表示コマンドに基づいて図柄表示装置71を制御する。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
下皿214の囲み壁部217の前側領域235を、その上端が第1球入口218の下端よりも下方に位置するように形成した。これにより、上皿195の下面237から下皿214の前側領域235までの距離を長く確保することが可能となる。下皿214にて貯留されている遊技球は上皿195と下皿214との間から取り出され上皿195へ補充されることがあり、この場合に、上皿195の下面237から下皿214の前側領域235までの距離を長く確保することで、上記補充作業の作業性の向上が図られている。特に、本パチンコ機10では遊技領域の拡張が図られており、それに伴って上皿195と下皿214との間の距離が狭くなっている。これに対して、上皿195の下面237から下皿214の前側領域235までの距離を上記のように長く確保することで、上記補充作業の作業性が低下することを抑制しつつ遊技領域の拡張を図ることが可能となる。
また、上皿195における下皿214と対向する下面237を上方に凹ませて形成した。これにより、上皿214の貯留容量が極端に小さくなることを抑制しつつ、上皿195の下面237から下皿214の前側領域235までの距離が長く確保することができる。
前面側下皿通路部273には、球出口において遊技球の流下方向がパチンコ機10前方に向けた方向となるように、最下流部に曲がり部305を形成した。この曲がり部305は下流側左右領域286に対して形成されている。つまり、曲がり部305は、それよりも上流側の遊技球の流下方向に対して直交する面を備えた通路壁306を備えている。したがって、前面側下皿通路部273を流下してきた遊技球はその最下流部において曲がり部305の通路壁306に当たり減速された後に第1球入口218を通じて下皿214に排出される。これにより、前面側下皿通路部273から下皿214に排出される遊技球は下皿214に排出される直前においてその勢いが低減される。下皿214において囲み壁部217の前側領域235の高さ寸法が小さく設定された構成においては、第1球入口218から排出された遊技球が前側領域235を越えて下皿214外に零れてしまうことが懸念される。これに対して、上記のように前面側下皿通路部273から下皿214に排出される遊技球が下皿214に排出される直前においてその勢いが低減されることにより、第1球入口218から排出された遊技球がその排出された勢いに起因して下皿214外に零れてしまうことが抑制される。
また、上記のとおり減速部としての機能を、前面側下皿通路部273において遊技球の流下方向を変更させる曲がり部305に対して兼用させたことにより、減速部を独立して設ける構成に比して、構成の簡素化を図りつつ上記優れた効果を得ることができる。
また、前面側下皿通路部273を遊技機前面ユニット23の背面に一体化させて設けた。これにより、前面側下皿通路部273の曲がり部305の位置と下皿214における第1球入口218との位置を近づけることが可能となる。よって、曲がり部305にて流れの勢いを低減させた直後に下皿214に遊技球を排出することが可能となり、曲がり部305にて勢いを低減させる効果が好適に発揮される。前面側下皿通路部273が遊技機前面ユニット23側ではなく遊技機ベースユニット22側に設置された構成を想定すると、遊技機前面ユニット23の遊技機ベースユニット22に対する開放に際して前面側下皿通路部273の球出口を閉鎖するためのシャッタ機構を設ける必要が生じる。そうすると、曲がり部305と第1球入口218との間をシャッタ機構分離間させる必要が生じてしまう。これに対して、本パチンコ機10では前面側下皿通路部273が遊技機前面ユニット23に形成されていることにより上記シャッタ機構が必要なくなり、上記のとおり曲がり部305と第1球入口218との位置を近づけることが可能となる。
下皿214の奥壁部215を、第1球入口218の下縁から底部216に至る面224の全体が奥壁部215における他の面に対してパチンコ機10後方に位置するように、前後方向に段差状に形成した。このように後退面224を形成したことにより、それだけ下皿214における遊技球の貯留容量が確保されている。
特に、上記のように前側領域235の高さ寸法を小さくした構成においてはそれだけ下皿214の貯留容量が小さくなる。これに対して、上記のとおり奥壁部215に後退面224が形成されていることにより、下皿214の貯留容量が極端に小さくなってしまうことが防止されている。
また、前側領域235は第1球入口218の前方に位置しているため、当該前側領域235の高さ寸法を小さくすると、第1球入口218から排出された遊技球がその排出された勢いで前側領域235を越えて下皿214外に零れてしまうことが懸念される。これに対して、上記のとおり奥壁部215に後退面224が形成されていることにより、第1球入口218に対する前側領域235の距離が長く確保されている。そして、第1球入口218に対する前側領域235の距離が長く確保されていることで、第1球入口218から排出された遊技球には前側領域235に到達するまでに勢いが低減される機会が多く付与されることとなり、下皿214外に零れてしまうことが抑制される。
一方、下皿ユニット182において奥壁部215の奥側には上皿195からの球抜き通路部221の一部等が内蔵されているため、後退面224として奥壁部215の一部のみを後退させるとともに、後退面224よりも前方に位置している面に対して第2球入口219を形成することで、上記球抜き通路部221の一部を内蔵させるための空間を確保しながら下皿214における遊技球の貯留容量を確保するという効果を得ることができる。
また、奥壁部215に後退面224を形成した構成においては、下皿214の容量が極端に小さくなってしまうことを抑えつつ、下皿214の前側縁部を遊技機後方に配置することが可能となる。そして、下皿214の前側縁部を遊技機後方に配置することで、下皿214の下方に載置される球箱からの遊技球の取り出しの容易化が図られるという効果が得られる。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(1)上記実施の形態における下皿214の変形例を図33及び図34に示す。
(1−1)図33に示す変形例では、下皿361において第1球入口362の位置が上記実施の形態と異なっている。つまり、上記実施の形態では、第1球入口218は下皿214の奥壁部215における左右方向の略中央に形成されていたが、本構成では第1球入口362は下皿361の奥壁部363における側部寄り(具体的には左側部)の位置に形成されている。但し、当該構成であっても、下皿361の底部はその左右方向の中央に球抜き孔が形成されており、底部の上面は球抜き孔に向けて下り傾斜となるように形成されている。
当該構成において、下皿361の囲み壁部364には、上記実施の形態と同様に、囲み壁部364の前縁部分を含み左右方向の所定範囲に亘って高さ寸法が同一(又は略同一)となった前側領域365が形成されている。前側領域365は球抜き孔と前後に並んでいるが、上記のとおり第1球入口362が奥壁部363において側部寄りの位置に形成されているため、上記実施の形態と異なり、前側領域365は第1球入口362の少なくとも一部とは前後に並んでいない。
上記構成であっても、前側領域365はその上端が第1球入口362の下縁よりも下方に位置している。したがって、上記実施の形態と同様に、下皿361に貯留された遊技球の上皿195と下皿361との間からの取り出しの容易化が図られている。
なお、本構成では、上記実施の形態と異なり、下皿361に第2球入口219が形成されておらず、球抜き通路部221や戻り球通路部299はその下流側にて前面側下皿通路部273に合流され、それら通路部221,299を通過した遊技球は第1球入口362を通じて下皿361に排出されるように構成されている。ちなみに、当該構成を、上記実施の形態やそれに対する他の実施の形態に対して適用してもよい。
(1−2)図34に示す変形例では、下皿371において後退面372の構成が上記実施の形態と異なっている。つまり、後退面372は第1球入口373の下方にのみ形成されているのではなく、奥壁部374における第1球入口373の下方及び第1球入口373の左右側方のうち一方に対しても形成されている。本構成によれば、上記実施の形態よりも奥壁部374における内蔵空間が縮小化してしまうものの、下皿371の貯留容量の増大化を図ることが可能となる。なお、上記構成であっても、戻り球通路部221は奥壁部374において前方に張り出した面の後方に内蔵されているため、戻り球通路部221を形成する上での空間的な余裕は確保されている。
(2)上記(1−1)の変形例に関して、球抜き孔を下皿361の底部において左右方向の中央に形成するのではなく第1球入口362の前方において当該第1球入口362と前後に並ぶ位置に形成するとともに、下皿361の底部の上面をその球抜き孔に向けて下り傾斜となるように形成してもよい。この場合、下皿361に貯留されている遊技球は中央側ではなく側方に偏倚した位置に集まることとなる。当該構成においては、下皿361に貯留された遊技球の上皿195と下皿361との間からの取り出しの容易化を図るために、下皿361の囲み壁部364を左右対称の形状とするのではなく、囲み壁部364において第1球入口362の前方箇所である側部に偏倚した位置に前側領域365を形成し囲み壁部364を左右非対称の形状としてもよい。
(3)下皿214の囲み壁部217の高さ寸法をその全体に亘って同一又は略同一としてもよい。当該構成においては、囲み壁部217の上端はその略全体に亘って第1球入口218の下端よりも下方に位置することとなり、下皿214に貯留された遊技球の上皿195と下皿214との間からの取り出しをより容易に行うことが可能となるものの、上記実施の形態よりも下皿214に貯留されている遊技球が下皿214外に零れてしまう可能性が高まってしまう。
(4)上記実施の形態や上記(1−2)の変形例では、奥壁部215,374において前後に段差状となる境界を第1球入口218,373の周縁としたが、これに限定されることはなく、第1球入口218,373を後退面224,372側において上記段差状の境界(段差部)から離間させて形成してもよい。
(5)上記実施の形態では、下皿214の囲み壁部217において前側領域235が囲み壁部217の前側端部を含む構成としたが、これに限定されることはなく、囲み壁部217の前壁を前後に段差状とし、そのうちの後側の壁部を上記実施の形態における前側領域235としてもよい。
(6)上記実施の形態では、前面側下皿通路部273に形成された減速部としての曲がり部305はそれよりも上流側の通路方向に対して直交する通路壁306を有し、当該通路壁306に遊技球が衝突することで当該遊技球が減速される構成としたが、これに代えて、遊技球の減速が可能な範囲において、上記上流側の通路方向に対する通路壁306の角度を変更してもよい。なお、上記実施の形態における構成や本構成において、通路壁306における遊技球との衝突面にクッション材を付与するようにしてもよい。
(7)上記実施の形態では、遊技機前面ユニット23として窓パネル部58、上皿195及び下皿214が一体化されたパチンコ機10に対して下皿214に関する本発明を適用したが、これに代えて、窓パネル部58、上皿195又は下皿214の全部又は一部が個別に遊技機ベースユニット22に対して取り付けられたパチンコ機に対して下皿214に関する本発明を適用してもよい。また、上記実施の形態における下皿ユニット182が遊技機ベースユニット22に対して開閉不可な状態で取り付けられたパチンコ機に対して下皿214に関する本発明を適用してもよい。
(8)上記実施の形態では、図柄表示装置71を備えたパチンコ機10に対して本発明を適用したが、それ以外のタイプのパチンコ機に適用してもよい。例えば、遊技球転動部や有利口などが設けられた入賞役物装置を備えたパチンコ機や、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
また、例えば、取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも、本発明を適用できる。