JP2015063756A - 球状ナノ粒子の製造方法及び同製造方法によって得られた球状ナノ粒子 - Google Patents
球状ナノ粒子の製造方法及び同製造方法によって得られた球状ナノ粒子 Download PDFInfo
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Abstract
Description
(1)油/水相分離やミセル構造を利用した方法
この技術は、単分散性に優れるが、真球度が高いナノ粒子は限られた材料系や限られたサイズ範囲でのみ実現されている。100nm以上の大きなナノ粒子では、油/水相分離を利用し、10nm以下の小さなナノ粒子では両親媒性有機分子が作るミセル構造を利用して、その限られた液滴空間の中に原料を仕込み、化学プロセスにより粒子を生成させるものである(特許文献1、非特許文献1参照)。
特に、Fe、Ni、Cu、Coなどの卑金属あるいは酸化しやすい高温・高強度材料である炭化物やホウ化物の球状ナノ粒子の作製法は極めて限定されている(特許文献2、非特許文献2、3参照)。
また、この他にも液相合成条件の制御によって球状粒子が得られているが、どのような系が得られるかは試行錯誤な状態である。
上記の液滴空間は、長時間の反応系では、重力の影響を受けて変形することによる真球性の低下や液滴凝集によるサイズ分布の広がりを引き起こす。微小重力場を使って液滴空間の分散安定を図ることで、分散性や真球度を上げる試みも行われているが、微小重力場発生のためのコストを考えると、あくまでも極めて特殊な用途に限定されてしまうという問題がある(非特許文献4参照)。
原料粒子を気相中で溶融・急冷する方法は、まずプラズマなどを使って気相中で高温環境を作り出して溶融液滴を生成させる。
これを徐冷させると結晶析出が進行し生成粒子に晶癖が現れてくるため、不活性ガス分子との衝突を繰り返させることで急冷させて、球状液滴が固化した粒子を生成させるという工程が必要となる(非特許文献5参照)。
したがって、プラズマ発生装置やガス冷却装置といった大がかりな仕組みが必要となり、またプロセスを制御すること自体が難しくなる。
この技術は、材料に関する制限は少ないが、サイズの小さい粒子はプロセス中に気化しやすいことから、通常ミクロン以上の大きいサイズの粒子しか得られないという問題がある(特許文献3参照)。
最近、金属の薄膜1ミクロン以下の厚さの薄膜を液体中に分散してレーザー光を照射して金属のナノ粒子を作製する方法が提案されている。この手法はレーザー光の照射により大きなサイズの液中分散体が破壊され球状化するというものであり、しかも金属以外の材料についての検討は全くなされていない。これに対し本願発明はナノ粒子を原料として融合により10〜1000nmのナノ粒子を製造する方法であり、酸化物や他の化合物に対する明確な可能性にも言及しており、先の提案とは異なる内容である。(特許文献5参照)。
これに対して、球状ナノ粒子が2個接触した場合を考えると、点接触しかありえないことから凝集が進行しにくく安定な分散性が得られる。このように、球状ナノ粒子は凝集安定性に関して有利であり、特にバイオや医療の分野などでの、さまざまなナノ粒子応用を考える上で、極めて有効な材料となることが期待される(M. Abe et al. J. Magn. Magn. Mater. 321 (2009) 645、参照)。
1)液相中に1〜1000nmの大きさの原料粒子を分散させ、この液相中の原料粒子に1レーザーパルスあたり0.5J/cm2以下のレーザー光を照射して、原料粒子を溶融させ、その後液相中で急冷することにより10〜1000nmの大きさの球状ナノ粒子を製造することを特徴とする球状ナノ粒子の製造方法、を提供する。
1レーザーパルスあたり0.5J/cm2以下とする理由は、これを超えると粒子の急速加熱溶融によって生成する液滴の爆発的飛散や液相分子の急速な気化による衝撃波の生成が起こり、不定形のナノ粒子が物理的な破砕プロセスにより形成されやすくなるため、好ましくないからである(S. Vladimir et al. Chem. Phys. Lett. 429 (2006) 483、参照)。本願発明の方法により適度なサイズ、すなわち10〜1000nmの大きさの球状ナノ粒子を製造することが可能となる。
2)液相中に1〜1000nmの大きさの金属酸化物からなる原料粒子を分散させ、この液相中の粒子に1レーザーパルスあたり0.5J/cm2以下のレーザー光を照射して、液相中で原料酸化物粒子に還元反応を起こさせ、これにより金属球状ナノ粒子又は還元球状ナノ粒子を生成させることを特徴とする金属を主成分とする球状ナノ粒子の製造方法、を提供する。
これは1レーザーパルスあたり0.5J/cm2以下の弱いレーザー光を照射して、液相中で原料酸化物粒子に還元反応を起こさせることが可能であることを意味している。このことは、高温・高硬度物質である炭化物やホウ化物の粒子を原料として、その酸化を抑えながら球状ナノ粒子を製造することも可能であることを示している。
3)原料粒子を分散させる液相として、水系の溶媒又は有機溶媒を用いることを特徴とする1)又は2)記載の球状ナノ粒子の製造方法、を提供する。
有機溶媒の好適な材料としては、エタノール、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、メタノールなどを挙げることができる。有機溶媒以外にも場合によっては水などを使用することが可能である。水の場合は酸化性が強いため、酸化物粒子を原料としたときは、酸化物の球状粒子が得られる。
5)レーザー照射光の照射エネルギーを変化させることにより、生成球状粒子のサイズ及び/又は組成を制御することを特徴とする1)〜4)のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法、を提供する。
6)レーザー照射光のパルス幅を変化させることにより、生成球状粒子のサイズ及び/又は組成を制御することを特徴とする1)〜5)のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法
7)液相種を相違させることにより、生成球状粒子のサイズ及び/又は組成を制御することを特徴とする1)〜6)のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法
8)液相中に原料粒子を分散させ、これにレーザー光を照射して球状ナノ粒子を製造する際に、超音波を使用して前記液相を攪拌し、中空のナノ粒子を製造することを特徴とする1)〜7)のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法、を提供する。
9)液相中に分散させる原料酸化物粒子として、鉄粒子、酸化鉄粒子、鉄に酸化物層が被覆された粒子、複数の酸化鉄の混相若しくはこれらと鉄の混相又は固溶相からなる粒子、又はこれらの混合物の粒子を使用し、該粒子にレーザー光を照射して原料粒子に還元反応を起こさせ、これにより球状ナノ粒子を形成することを特徴とする2)〜7)のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法、を提供する。
10)液相中に分散させる原料酸化物粒子として、酸化銅粒子、銅に酸化物層が被覆された粒子、複数の酸化銅の混相若しくはこれらと銅の混相又は固溶相からなる粒子、又はこれらの混合物の粒子を使用し、該粒子にレーザー光を照射して原料酸化物粒子に還元反応を起こさせ、これにより球状ナノ粒子を形成することを特徴とする2)〜7)のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法、を提供する。
11)液相中に分散させる原料酸化物粒子として、酸化ニッケル粒子、ニッケルに酸化物層が被覆された粒子、複数の酸化ニッケルの混相若しくはこれらとニッケルの混相又は固溶相からなる粒子、又はこれらの混合物の粒子を使用し、該粒子にレーザー光を照射して原料酸化物粒子に還元反応を起こさせ、これにより球状ナノ粒子を形成することを特徴とする2)〜7)のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法、を提供する。
12)液相中に分散させる原料酸化物粒子として、酸化コバルト粒子、コバルトに酸化物層が被覆された粒子、複数の酸化コバルトの混相若しくはこれらとコバルトの混相又は固溶相からなる粒子、又はこれらの混合物の粒子を使用し、該粒子にレーザー光を照射して原料酸化物粒子に還元反応を起こさせ、これにより球状ナノ粒子を形成することを特徴とする2)〜7)のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法、を提供する。
液相中に1〜1000nmの大きさの金属原料粒子、金属酸化物からなる原料粒子、炭化物からなる原料粒子、窒化物からなる原料分子、ホウ化物からなる原料分子から選択した一以上の原料粒子を分散させ、この液相中の粒子に1レーザーパルスあたり0.5J/cm2以下の弱いレーザー光を照射して、金属球状ナノ粒子、酸化物球状ナノ粒子、炭化物球状ナノ粒子、窒化物球状ナノ粒子、硼化物球状ナノ粒子又はこれらの混合粒子若しくは複合構造の粒子を生成させることを特徴とする球状ナノ粒子の製造方法、を提供する。
有機溶媒又は窒素化合物若しくはホウ素化合物を含有する有機溶媒からなる分散液中に、1〜1000nmの大きさの金属原料粒子を導入し、この分散液中に非集光でレーザー光を照射することにより前記分散液と溶融した粒子と反応させて炭化物、窒化物又はホウ化物からなる球状粒子を製造することを特徴とする球状ナノ粒子の製造方法を、提供する。
液相中に分散させる原料酸化物粒子として、酸化タングステン粒子、タングステンに酸化物層が被覆された粒子、複数の酸化タングステンの混相若しくはこれらとタングステンの混相又は固溶相からなる粒子、又はこれらの混合物の粒子を使用し、該粒子にレーザー光を照射して原料酸化物粒子に還元反応を起こさせ、これにより球状ナノ粒子を形成することを特徴とする2)〜7)のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法、を提供する。
液相中に分散させる原料酸化物粒子として、酸化亜鉛粒子、亜鉛に酸化物層が被覆された粒子、複数の酸化亜鉛の混相若しくはこれらと亜鉛の混相又は固溶相からなる粒子、又はこれらの混合物の粒子を使用し、該粒子にレーザー光を照射して原料酸化物粒子に還元あるいは酸化反応を起こさせ、これにより球状ナノ粒子を形成することを特徴とする2)〜7)のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法、を提供する。
液相中に分散させる原料酸化物粒子として、酸化チタン粒子、チタンに酸化物層が被覆された粒子、複数の酸化チタンの混相若しくはこれらとチタンの混相又は固溶相からなる粒子、又はこれらの混合物の粒子を使用し、該粒子にレーザー光を照射して原料酸化物粒子に還元あるいは酸化反応を起こさせ、これにより球状ナノ粒子を形成することを特徴とする2)〜7)のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法、を提供する。
液相中に分散させる原料粒子として、粉砕したシリコン粒子を使用し、該粒子にレーザー光を照射して球状ナノ粒子を形成する際に、2)〜7)のいずれか一項の方法を用いることを特徴とする球状シリコンナノ粒子の製造方法、を提供する。この場合のシリコン原料は、市販の5ミクロン程度の粒子のシリコンを使用することができる。これを粉砕して、1ミクロン以下のシリコン粒子として原料とすることが有効である。
原料粒子としてホウ素ナノ粒子を使用し、有機溶媒からなる分散液にホウ素ナノ粒子を導入し、この分散液中に非集光でレーザー光を照射することにより前記分散液と溶融した粒子と反応させて炭化ホウ素(B4C)を生成させ、その後液相中の反応生成物を硝酸処理して、未反応のホウ素を除去し、炭化ホウ素粒子を製造することを特徴とする球状ナノ粒子の製造方法、を提供する。
原料粒子としてホウ素ナノ粒子を使用し、有機溶媒からなる分散液にホウ素ナノ粒子を導入し、この分散液中に非集光でレーザー光を照射することにより前記分散液と溶融した粒子と反応させて炭化ホウ素(B4C)を生成させ、その後液相中の反応生成物を硝酸処理して、未反応のホウ素を除去し、炭化ホウ素粒子を製造する際に、3)〜7)のいずれか一項の方法を用いて炭化ホウ素粒子を製造することを特徴とする球状ナノ粒子の製造方法、を提供する。
原料粒子としてタングステンナノ粒子を使用し、有機溶媒からなる分散液にタングステンナノ粒子を導入し、この分散液中に非集光でレーザー光を照射することにより前記分散液とタングステン粒子と反応させて炭化タングステン(W2C)粒子を生成させ、その後液相中の未反応のタングステンを除去し、炭化タングステン粒子を製造することを特徴とする球状ナノ粒子の製造方法、を提供する。
タングステンは融点の高い物質で、溶融が難しい材料であるが、エタノール分散液に非集光でレーザーを照射することにより、溶媒であるエタノールと反応させ炭化タングステンナノ粒子を製造できる。
原料粒子としてタングステンナノ粒子を使用し、有機溶媒からなる分散液にタングステンナノ粒子を導入し、この分散液中に非集光でレーザー光を照射することにより前記分散液と溶融した粒子と反応させて炭化タングステン(W2C)粒子を生成させ、その後液相中の未反応のタングステンを除去し、炭化タングステン粒子を製造する際に、3)〜7)のいずれか一項の方法を用いて炭化タングステンナノ粒子を製造することを特徴とする球状ナノ粒子の製造方法、を提供する。
原料粒子として金属粒子と酸化物粒子を使用し、これらの粒子にレーザー光を照射して原料酸化物粒子に還元反応を起こさせると共に、金属粒子との複合体を形成させ、これにより球状ナノ粒子を形成することを特徴とする3)〜7)のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法、を提供する。
この場合に使用する原料粒子として金属粒子と酸化物粒子は、全く異なる構成物質を使用するケースである。この場合でも、それぞれの構成物質の複合体からなる球状ナノ粒子を製造することができる。
前記23)で得られた球状ナノ粒子を、酸又はアルカリで処理して、金属ナノ粒子又は酸化物ナノ粒子の一方を溶解させて除去し、残存する他方の金属ナノ粒子又は酸化物ナノ粒子のポーラスな粒子を製造することを特徴とする球状ナノ粒子の製造方法、を提供する。
この作製されたナノ粒子のポーラス部には、気相又は液相の雰囲気中の処理又は気相又は液相反応により、新たに他の物質を埋め込むことが可能であることは言うまでもない。本願発明はこれらを包含するものである。
原料粒子として光学吸収があり還元反応を行うナノ粒子と光学吸収のない金属酸化物ナノ粒子を使用し、これらの粒子にレーザー光を照射して前記酸化物粒子に還元反応を起こさせて、光学吸収のない金属酸化物ナノ粒子から金属の球状ナノ粒子を形成することを特徴とする3)〜7)のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法、を提供する。
この場合、光学吸収があり還元反応を行うナノ粒子としては、具体的にはカーボン粒子を挙げることができるが、還元性の物質であれば、他の粒子も使用できることは言うまでもない。また光学吸収のない金属酸化物ナノ粒子としては、代表的には、酸化アルミニウムを上げることができるが、他の光学吸収のない金属酸化物でも良い。
26)原料粒子に1レーザーパルスあたり0.5J/cm2以下のレーザー光を照射して、原料粒子を溶融させ、その後液相中で急冷することにより得られた10〜1000nmの大きさの球状ナノ粒子
27)液相中の金属酸化物からなる原料粒子に1レーザーパルスあたり0.5J/cm2以下のレーザー光を照射して、該液相中で原料酸化物粒子に還元反応を起こさせ、これにより得られた金属球状ナノ粒子若しくは還元球状ナノ粒子又はこれらの複合構造の粒子からなる10〜1000nmの大きさの球状ナノ粒子、を提供する。
23)上記1)〜25)の製造方法によって得られた10〜1000nmの大きさの球状ナノ粒子、を提供する。この寸法の球状ナノ粒子には、中空ナノ粒子が含まれることは容易に理解できるであろう。
上記の通り、本発明の球状ナノ粒子は、寸法を任意に制御することができるので、球状ナノ粒子の使用目的に応じて寸法を選択できるというメリットがある。本願発明はこれらを達成できる球状ナノ粒子を提供するものである。
このようなことから、界面活性剤などによらない分散安定性を示すナノ粒子合成技術を確立することができ、バイオ・医療応用が可能な高い分散安定性を示すナノ粒子、研磨剤や超精密スペーサー粒子膜、ハイパーサーミアなどのガン治療用磁性ナノ粒子、導電性ナノ粒子ペースト、毒性元素を含まないシリコン系医療用高輝度蛍光体の製造等に適用することができるという優れた効果を有する。
レーザー光が照射している時間(例えば、ナノ秒オーダー)に、粒子温度は数千度を超えて溶融し、その後急冷して球状ナノ粒子を製造するものである。
また、これにより真球性やサイズの制御性の高いプロセス技術として応用可能である。したがって、油/水相分離やミセル構造を利用した真球状ナノ粒子の製造ができない10〜100nmの空白のサイズ領域にも十分対応可能な方法を提供できる。
この場合、球状のナノ粒子を製造する原料として、金属や酸化物が好適な材料であるが、粒子サイズが小さければ、炭化物粒子やホウ化物粒子にも適用できることは容易に理解できるであろう。
もし、これを超えるような条件、すなわち従来の2.0J/cm2の条件での照射を行うと、原料粒子の急激な温度上昇とこれに伴う液滴の爆発的飛散や衝撃が発生し、サイズの小さい不定形ナノ粒子生成が起こる可能性がある。このような過度な条件は、既に報告されているレーザー破砕化プロセスに相当し、避けなければならない条件である。
酸化鉄粉末の代表例として、Fe3O4粒子又はFeにFe3O4層が被覆された粒子を挙げることができる。酸化鉄粉末も多種多様であり、上記の通り、表層に酸化鉄層がある場合もあるが、複数の酸化鉄が混相になっている場合、固溶相となっている場合、そしてこれらの混合物もある。
球状ナノ粒子は代表例を示したものであり、上記以外のナノ粒子の形成は当然含まれるものである。なお、上記の生成物質の中に、Fe3C粒子が含まれているが、液相として有機溶媒を使用した場合、有機溶媒の一部の炭素がFe3Cの球状粒子が形成される場合を示す。この形成は、有機溶媒の種類、原料粉末の種類と量、レーザー光の照射条件等によって変化するものであり、常時形成されるものではない。
酸化銅原料粉末の代表例として、CuO粒子、Cu2O粒子、これらの混合物の粒子等を挙げることができる。そして、これらの粒子にレーザー光を照射して原料酸化物粒子に還元反応を起こさせ、これにより代表的に、Cu、CuO、Cu2Oの1つ若しくは複数の成分から構成されている球状ナノ粒子、又はこれらの球状ナノ粒子の混合物を作製することができる。
上記酸化鉄粉末の原料を使用した場合と同様に、上記の代表例に示す酸化銅以外の酸化物を使用することができることは、容易に理解できるであろう。
酸化銅原料粉末の代表例として、NiO粒子を挙げることができる。そして、これらの粒子にレーザー光を照射して原料酸化物粒子に還元反応を起こさせ、これにより代表的に、Ni、NiOの1つ若しくは複数の成分から構成されている球状ナノ粒子、又はこれらの球状ナノ粒子の混合物を作製することができる。
上記酸化鉄粉末の原料を使用した場合と同様に、上記の代表例に示す酸化銅以外の酸化物を使用することができることは、容易に理解できるであろう。
酸化コバルト原料粉末の代表例として、Co3O4粒子、CoO粒子、これらの混合物の粒子を挙げることができる。そして、これらの粒子にレーザー光を照射して原料酸化物粒子に還元反応を起こさせ、これにより代表的に、Co、CoO、Co3O4の1つ若しくは複数の成分から構成されている球状ナノ粒子、又はこれらの球状ナノ粒子の混合物を作製することができる。
上記酸化鉄粉末の原料を使用した場合と同様に、上記の代表例に示す酸化銅以外の酸化物を使用することができることは、容易に理解できるであろう。
(液相中での弱いレーザー光照射による鉄ナノ粒子の作製)
エタノール中に分散させた原料Fe/Fe3O4ナノ粒子(直径: 50−100nm)に、Nd:YAGの第2高調波(532nm)をレンズで集光させずに1W(1パルスあたり66mJ/cm2)のレーザー出力で10分間照射を行った。
照射前の原料はFe3O4層で被覆されたFe粒子であり、レーザー光照射により図1に示すような球状粒子が非常に効率よく生成した。
その組成はFeとFeOとの混合相であった。すなわち有機溶媒中の還元雰囲気によりFe3O4相が還元されたことがわかる。
エネルギーを変えずにレーザーの照射光の波長を1064nm、532nm、355nmと変化させたところ、図2に示すように、生成球状粒子のサイズは徐々に大きくなり、サイズの制御が可能である。
また、レーザー光の波長と照射時間を一定にして、レーザーの照射エネルギーを1パルスあたり33mJ/cm2から0.13J/cm2まで変化させたところ、図3に示すように、徐々に球状ナノ粒子サイズが増加した。この時のX線回折スペクトルの変化から高いエネルギーのレーザー光照射によりFeの生成が抑えられ、FeOの占める割合が大きくなることがわかる(図4参照)。
なお、レーザー波長や照射エネルギーを固定して、照射時間の効果を検討したが、この場合には顕著な変化は認められなかった(図5参照)。
原料Fe/Fe3O4ナノ粒子を分散させる有機溶媒の種類の違いによる生成物の形態やサイズを検討したところ、図6に示すように、溶媒種によってサイズが大きく異なることがわかった。
また、図7に示すようにFe3O4原料ナノ粒子を有機溶媒中ではなく水中でレーザー光照射を行った場合でも球状粒子は生成するが、この場合は水の酸化性を反映して還元相ではなく原料と同じ酸化相のFe3O4球状粒子が生成した。
また、レーザーを照射する際には、粒子の沈降を抑えて効率よく球状粒子が生成するように液相を攪拌することがよく行われるが、本実施例において、通常の攪拌子を使った攪拌と超音波を使った攪拌を比較したところ、超音波を使った場合に図8に示すように球状中空ナノ粒子の生成が確認された。
得られた球状ナノ粒子は、大気中では不安定なFeやFeOの相を含むが、その組成安定性をX線回折により評価したところ、図9に示すように、組成は非常に安定であった。
これまでの実施例は全てサイズが70nmのFe/Fe3O4ナノ粒子に関するものであったが、異なるサイズのさまざまな酸化鉄系ナノ粒子を原料に用いても同様の結果が得られた。
図10は、化学法により合成したFe3O4ナノ粒子(サイズ:5nm)をアセトン中に分散した液に異なる強度のレーザー光(532nm)を照射した時の形態を示したものである。球状粒子がどの条件でも観測されたことがわかるが、その組成はX線回折測定の結果、図11に示すように、低強度の場合のFe3O4からFeO(還元相)、Fe金属、Fe3C(炭化物)へと徐々に生成物が変化した。この結果はアセトンの持つ強い還元能を示すものである。
左側は走査電子顕微鏡像、右側は透過電子顕微鏡像である。1パルスあたり33mJ/cm2で照射した場合でも球状粒子が生成しているが、中空のものが多くできていることがわかる。
エネルギーを徐々にあげていくと2つの1次粒子がつながったひょうたん型の粒子が見られ、粒子の成長過程が粒子間の融合であることを示している。さらにエネルギーを上げて133mJ/cm2以上になると真球状に近づくが、その内部には複合構造を持つことがわかった。この間粒子サイズは徐々に大きくなった。
図14は、別の市販のFe3O4粒子(サイズ: 30〜200nm)であり、この場合でも球状粒子の生成が確認された。以上のように出発原料のサイズによらず、弱いエネルギーのレーザー光照射により、球状粒子が再現性よく生成することがわかった。
これまでの実施例は、全て酸化鉄系のナノ粒子に関するものであるが、さまざまなナノ粒子を原料に用いても同様の結果が得られた。次に、その具体例を示す。
酸化銅(CuO)を原料として同様の弱いエネルギーでレーザー照射を行ったときの典型的な変化を図15に示す。上の図はCuO原料粒子の(a)走査電子顕微鏡写真、(b)粒子サイズ分布、(c)透過電子顕微鏡写真、(d)電子線回折パターンであり、平均34nmのサイズをもった結晶性CuO粒子であった。
50〜200mJ/cm2での照射エネルギー範囲では粒子は溶融して球状粒子になるが、これより高いレーザー光照射では粒子は沸騰のような現象を起こし始め、ナノ粒子の生成が主となるものと考えられる。
NiOナノ粒子を原料としたときは、図20に示すように、Ni金属の球状ナノ粒子が製造できた。この例では、平均粒径がサブミクロンオーダーの球状ナノ粒子が得られた。
Co3O4ナノ粒子を原料としたときは、図21に示すように、CoとCoOとCo3O4の混合物が得られた。この例では、平均粒径がサブミクロンオーダーの球状ナノ粒子であった。
図22に示すように、WO3でも同様の手法により球状粒子が得られた。この例では、平均粒径がサブミクロンオーダーの球状ナノ粒子であった。
ZnOナノ粒子を原料としたときは、図23に示すように、水中でのレーザー照射によりZnOの球状粒子が得られた。この例では、平均粒径がサブミクロンオーダーの球状ナノ粒子が得られた。また、図24に示すように、33mJ/cm2の照射では原料と大きな変化はないが、67mJ/cm2の以上で球状粒子が生成し、その大きさは照射エネルギーの増加に伴い徐々に増加した。
TiO2ナノ粒子を原料としたときは、図25に示すように、エタノール中でのレーザー照射によりTiO2の球状粒子が得られた。この例では、平均粒径がサブミクロンオーダーの球状ナノ粒子が得られた。酸化チタンは原料ナノ粒子として非晶質、アナターゼ相、アナターゼとルチルの混合相などさまざまなものが入手可能であるが、ほぼ同様の照射エネルギー条件で球状サブミクロン粒子が得られるが、その相は有機溶媒を用いた場合は全て高温安定相であるルチル相であった。この事実は本手法が溶融状態を経て球状粒子が生成することと対応している。
Siは原料となる粒子として、市販の5ミクロン程度の粒子を粉砕して原料とし、これをエタノール中に分散してレーザー光を照射したところ図26に示すように球状粒子が得られた。この例では、平均粒径がサブミクロンオーダーの球状ナノ粒子が得られた。生成粒子のX線回折結果ではSiと同定された。粉砕を行わないでレーザー光を照射した場合は表面が若干溶融した程度の形態変化しか示さないことから、球状粒子生成には粉砕によって生成した1ミクロン以下の粒子の存在が寄与しているものと考えられる。
これまでの実施例は全て、原料粒子がレーザー光を吸収し、それ自体が溶融して球状粒子を生成する、あるいは原料粒子が熱分解して生成する物質が溶融することで球状粒子を生成させている。一方で、液相成分分子は急速加熱された原料粒子と接することで高温になり熱分解を起こし、活性な状態の生成物が粒子と反応することで原料とは異なる粒子の生成も可能である。すなわち高温化学反応を室温大気圧環境下の環境で実現することができる。その実例を取りあげる。
図28は、より融点の高いタングステン粒子を原料とし、そのエタノール分散液に非集光でレーザーを照射して得られる球状粒子であり、W2Cという炭化物が生成することがわかった。この例でも、エタノール中の炭素とタングステンが反応してW2Cが生成するものと考えられる。この例では、平均粒径がサブミクロンオーダーの球状ナノ粒子が得られた。
これまでの実施例は全て、1種類の原料粒子をさまざまな液相中に分散し、これにさまざまな条件でレーザー光を照射いて球状粒子を得たものである。これとは異なり、複数の原料粒子を液相中に分散してレーザー光を照射した場合の結果について以下に取りあげる。
Auナノ粒子のエタノール分散液とFe3O4ナノ粒子のエタノール分散液を1:1で混合し、球状粒子が生成する条件(532nm,100mJ/pulse/cm2,60min)でレーザー照射を行うと、図29のように球状粒子が得られた。Au:Fe組成はほぼ仕込み通りの1:1となった。
いずれも従来法では容易に得られない構造である。ポーラスなサブミクロン球状粒子はポアに新たな物質を導入することにより粒子キャリアーとしての展開も期待される。
上記の例では、Auナノ粒子、Fe3O4ナノ粒子ともに使用した532nmのレーザー光に対して吸収があるため、粒子の溶融・粒子間の融合が進みナノコンポジット状の粒子が生成されると考えられる。
光学吸収のない粒子ではこのような粒子間の融合は期待できない。光学吸収のある粒子と光学吸収のない粒子との強い接触を実現し溶融を実現できれば、これまで不可能であった高温化学反応を実現できるものと考えられる。このような考えに基づいた結果を取りあげる。
Claims (28)
- 液相中に1〜1000nmの大きさの原料粒子を分散させ、この液相中の原料粒子に1レーザーパルスあたり0.5J/cm2以下のレーザー光を照射して、原料粒子を溶融させ、その後液相中で急冷することにより10〜1000nmの大きさの球状ナノ粒子を製造することを特徴とする球状ナノ粒子の製造方法。
- 液相中に1〜1000nmの大きさの金属酸化物からなる原料粒子を分散させ、この液相中の粒子に1レーザーパルスあたり0.5J/cm2以下のレーザー光を照射して、液相中で原料酸化物粒子に還元反応を起こさせ、これにより金属球状ナノ粒子若しくは還元球状ナノ粒子又はこれらの複合構造の粒子を生成させることを特徴とする金属を主成分とする球状ナノ粒子の製造方法。
- 原料粒子を分散させる液相として、水系の溶媒又は有機溶媒を用いることを特徴とする請求項1又は2記載の球状ナノ粒子の製造方法。
- レーザー照射光の波長を変化させることにより、生成球状ナノ粒子のサイズ及び/又は組成を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法。
- レーザー照射光の照射エネルギーを変化させることにより、生成球状粒子のサイズ及び/又は組成を制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法。
- レーザー照射光のパルス幅を変化させることにより、生成球状粒子のサイズ及び/又は組成を制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法。
- 液相種を相違させることにより、生成球状粒子のサイズ及び/又は組成を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法。
- 液相中に原料粒子を分散させ、これにレーザー光を照射して球状ナノ粒子を製造する際に、超音波を使用して前記液相を攪拌し、中空のナノ粒子を製造することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法。
- 液相中に分散させる原料酸化物粒子として、鉄、酸化鉄粒子、鉄に酸化物層が被覆された粒子、複数の酸化鉄の混相若しくはこれらと鉄の混相又は固溶相からなる粒子、又はこれらの混合物の粒子を使用し、該粒子にレーザー光を照射して原料粒子に還元反応を起こさせ、これにより球状ナノ粒子を形成することを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法。
- 液相中に分散させる原料酸化物粒子として、酸化銅粒子、銅に酸化物層が被覆された粒子、複数の酸化銅の混相若しくはこれらと銅の混相又は固溶相からなる粒子、又はこれらの混合物の粒子を使用し、該粒子にレーザー光を照射して原料酸化物粒子に還元反応を起こさせ、これにより球状ナノ粒子を形成することを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法。
- 液相中に分散させる原料酸化物粒子として、酸化ニッケル粒子、ニッケルに酸化物層が被覆された粒子、複数の酸化ニッケルの混相若しくはこれらとニッケルの混相又は固溶相からなる粒子、又はこれらの混合物の粒子を使用し、該粒子にレーザー光を照射して原料酸化物粒子に還元反応を起こさせ、これにより球状ナノ粒子を形成することを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法。
- 液相中に分散させる原料酸化物粒子として、酸化コバルト粒子、コバルトに酸化物層が被覆された粒子、複数の酸化コバルトの混相若しくはこれらとコバルトの混相又は固溶相からなる粒子、又はこれらの混合物の粒子を使用し、該粒子にレーザー光を照射して原料酸化物粒子に還元反応を起こさせ、これにより球状ナノ粒子を形成することを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法。
- 液相中に1〜1000nmの大きさの金属原料粒子、金属酸化物からなる原料粒子、炭化物からなる原料粒子、窒化物からなる原料分子、ホウ化物からなる原料分子から選択した一以上の原料粒子を分散させ、この液相中の粒子に1レーザーパルスあたり0.5J/cm2以下の弱いレーザー光を照射して、金属球状ナノ粒子、酸化物球状ナノ粒子、炭化物球状ナノ粒子、窒化物球状ナノ粒子、硼化物球状ナノ粒子又はこれらの混合粒子若しくは複合構造の粒子を生成させることを特徴とする球状ナノ粒子の製造方法。
- 有機溶媒又は窒素化合物若しくはホウ素化合物を含有する有機溶媒からなる分散液中に、1〜1000nmの大きさの金属原料粒子を導入し、この分散液中に非集光でレーザー光を照射することにより前記分散液と溶融した粒子と反応させて炭化物、窒化物又はホウ化物からなる球状粒子を製造することを特徴とする球状ナノ粒子の製造方法。
- 液相中に分散させる原料酸化物粒子として、酸化タングステン粒子、タングステンに酸化物層が被覆された粒子、複数の酸化タングステンの混相若しくはこれらとタングステンの混相又は固溶相からなる粒子、又はこれらの混合物の粒子を使用し、該粒子にレーザー光を照射して原料酸化物粒子に還元反応を起こさせ、これにより球状ナノ粒子を形成することを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法。
- 液相中に分散させる原料酸化物粒子として、酸化亜鉛粒子、亜鉛に酸化物層が被覆された粒子、複数の酸化亜鉛の混相若しくはこれらと亜鉛の混相又は固溶相からなる粒子、又はこれらの混合物の粒子を使用し、該粒子にレーザー光を照射して原料酸化物粒子に還元あるいは酸化反応を起こさせ、これにより球状ナノ粒子を形成することを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法。
- 液相中に分散させる原料酸化物粒子として、酸化チタン粒子、チタンに酸化物層が被覆された粒子、複数の酸化チタンの混相若しくはこれらとチタンの混相又は固溶相からなる粒子、又はこれらの混合物の粒子を使用し、該粒子にレーザー光を照射して原料酸化物粒子に還元あるいは酸化反応を起こさせ、これにより球状ナノ粒子を形成することを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法。
- 液相中に分散させる原料粒子として、粉砕したシリコン粒子を使用し、該粒子にレーザー光を照射して球状ナノ粒子を形成する際に、請求項2〜7のいずれか一項の方法を用いることを特徴とする球状シリコンナノ粒子の製造方法。
- 原料粒子としてホウ素ナノ粒子を使用し、有機溶媒からなる分散液にホウ素ナノ粒子を導入し、この分散液中に非集光でレーザー光を照射することにより前記分散液と溶融した粒子と反応させて炭化ホウ素を生成させ、その後液相中の反応生成物を硝酸処理して、未反応のホウ素を除去し、炭化ホウ素粒子を製造することを特徴とする球状ナノ粒子の製造方法。
- 原料粒子としてホウ素ナノ粒子を使用し、有機溶媒からなる分散液にホウ素ナノ粒子を導入し、この分散液中に非集光でレーザー光を照射することにより前記分散液と溶融した粒子と反応させて炭化ホウ素を生成させ、その後液相中の反応生成物を硝酸処理して、未反応のホウ素を除去し、炭化ホウ素粒子を製造する際に、請求項3〜7のいずれか一項の方法を用いて炭化ホウ素粒子を製造することを特徴とする球状シリコンナノ粒子の製造方法。
- 原料粒子としてタングステンナノ粒子を使用し、有機溶媒からなる分散液にタングステンナノ粒子を導入し、この分散液中に非集光でレーザー光を照射することにより前記分散液とタングステン粒子と反応させて炭化タングステン粒子を生成させ、その後液相中の未反応のタングステンを除去し、炭化タングステン粒子を製造することを特徴とする球状ナノ粒子の製造方法。
- 原料粒子としてタングステンナノ粒子を使用し、有機溶媒からなる分散液にタングステンナノ粒子を導入し、この分散液中に非集光でレーザー光を照射することにより前記分散液と溶融した粒子と反応させて炭化タングステン粒子を生成させ、その後液相中の未反応のタングステンを除去し、炭化タングステン粒子を製造する際に、請求項3〜7のいずれか一項の方法を用いて炭化タングステンナノ粒子を製造することを特徴とする球状ナノ粒子の製造方法。
- 原料粒子として金属粒子と酸化物粒子を使用し、これらの粒子にレーザー光を照射して原料酸化物粒子に還元反応を起こさせると共に、金属粒子との複合体を形成させ、これにより球状ナノ粒子を形成することを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法。
- 前記請求項23で得られた球状ナノ粒子を、酸又はアルカリで処理して、金属ナノ粒子又は酸化物ナノ粒子の一方を溶解させて除去し、残存する他方の金属ナノ粒子又は酸化物ナノ粒子のポーラスな粒子を製造することを特徴とする球状ナノ粒子の製造方法。
- 原料粒子として光学吸収があり還元反応を行うナノ粒子と光学吸収のない金属酸化物ナノ粒子を使用し、これらの粒子にレーザー光を照射して前記酸化物粒子に還元反応を起こさせて、光学吸収のない金属酸化物ナノ粒子から金属の球状ナノ粒子を形成することを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載の球状ナノ粒子の製造方法。
- 原料粒子に1レーザーパルスあたり0.5J/cm2以下のレーザー光を照射して、原料粒子を溶融させ、その後液相中で急冷することにより得られた10〜1000nmの大きさの球状ナノ粒子。
- 液相中の金属酸化物からなる原料粒子に1レーザーパルスあたり0.5J/cm2以下のレーザー光を照射して、該液相中で原料酸化物粒子に還元反応を起こさせ、これにより得られた金属球状ナノ粒子若しくは還元球状ナノ粒子又はこれらの複合構造の粒子からなる10〜1000nmの大きさの球状ナノ粒子。
- 請求項1〜25の製造方法によって得られる10〜1000nmの大きさの球状ナノ粒子。
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