以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域PE内の構成を省略している。
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に取り付けられた遊技機主部12とを有している。
外枠11は木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。外枠11を島設備に取り付け固定することにより、パチンコ機10が遊技ホールに設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技場の島設備に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
遊技機主部12は、外枠11によって開閉可能な状態で支持されている。具体的には、図1に示すように、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持用金具17が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持用金具18が設けられている。これら上側支持用金具17及び下側支持用金具18により支持機構が構成され、当該支持機構により外枠11に対して遊技機主部12がパチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側としてパチンコ機10の前方へ回動可能とされている。
図2に示すように、遊技機主部12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。なお、遊技機主部12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として内枠13が前方へ回動可能とされている。
内枠13には、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
次に、前扉枠14について説明する。なお、以下の説明では、図1及び図2を参照するとともに、前扉枠14の背面の構成については図3を参照する。図3は前扉枠14の背面図である。
図2に示すように、前扉枠14は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす合成樹脂製の枠体20を主体に構成されており、内枠13における前面のほぼ全域を覆っている。枠体20の中央部分には後述する遊技領域PEのほぼ全域を前方から視認することができるようにした略楕円状の窓部21が形成されており、その窓部21はガラスユニット22によって同前扉枠14の背面側から塞がれている。
ガラスユニット22は、透明性を有するガラスパネル23,24と、それらガラスパネル23,24を保持するガラスホルダ25とを備えている。ガラスホルダ25には、ガラスパネル23,24の保持領域を前後に仕切る仕切り部が形成されており、両ガラスパネル23,24は仕切り部を挟んで前後に相対向している。つまり、ガラスパネル23,24の間に所定の隙間を確保することにより、両ガラスパネル23,24同士の干渉を回避しつつ、それらガラスパネル23,24によって遊技領域PEをパチンコ機10の正面側から2重に覆った状態となっている。
なお、必ずしもガラスパネル23,24をガラスホルダ25を用いてユニット化する必要は無く、ガラスパネル23,24を枠体20に対して個々に取り付ける構成としてもよい。更には、ガラスパネルの枚数は任意であり、1枚としてもよいし、3枚以上としてもよい。但し、安全性及び防犯性向上の観点から、複数のガラスパネルを採用し、それら各ガラスパネルを所定の隙間を挟んで前後に対向させることが好ましい。因みに、ガラスパネルに代えて透明性を有する合成樹脂性のパネル部材を採用することも可能である。
ガラスユニット22(詳しくは窓部21)の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部26が設けられている。環状電飾部26では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部26の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部27が設けられ、さらにその左右側方には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部28が設けられている。また、左右の賞球ランプ部28に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部29が設けられている。
前扉枠14(枠体20)における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部31と下側膨出部32とが上下に並設されている。上側膨出部31内側には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部32内側には同じく上方に開口した下皿34が設けられている。上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿34は、上皿33内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
下側膨出部32の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。
前扉枠14の背面には、図2及び図3に示すように、通路形成ユニット50が取り付けられている。通路形成ユニット50は、合成樹脂により成形されており、上皿33に通じる前扉側上皿通路51と、下皿34に通じる前扉側下皿通路52とが形成されている。通路形成ユニット50において、その上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部53が形成されており、当該受口部53を仕切壁54によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路51の入口部分と前扉側下皿通路52の入口部分とが区画形成されている。前扉側上皿通路51及び前扉側下皿通路52は上流側が後述する遊技球分配部に通じており、前扉側上皿通路51に入った遊技球は上皿33に導かれ、前扉側下皿通路52に入った遊技球は下皿34に導かれる。
前扉枠14の背面における回動基端側(図3の右側)には、その上端部及び下端部に突起軸61,62が設けられている。これら突起軸61,62は内枠13に対する組付機構を構成する。また、前扉枠14の背面における回動先端側(図3の左側)には、図2に示すように、後方に延びる鉤金具63が上下方向に複数並設されている。これら鉤金具63は内枠13に対する施錠機構を構成する。
次に、図4に基づき内枠13について詳細に説明する。図4は内枠13の正面図である。なお、図4においては図2と同様に便宜上パチンコ機10の遊技領域PE内の構成を省略している。
内枠13は、外形が外枠11と同様に略矩形状をなす樹脂ベース70を主体に構成されている。樹脂ベース70の高さ寸法は、外枠11の高さ寸法よりも若干小さく設定されている。また、樹脂ベース70は外枠11の上側枠部に寄せて配置され、外枠11の下側枠部と樹脂ベース70との間には若干の隙間が形成されている。外枠11にはこの隙間を塞ぐようにして幕板が装着されている。幕板は、樹脂ベース70(詳しくはその下端部)の下方に配置されており、内枠13が外枠11に対して閉じられた状態では樹脂ベース70が幕板の上に載ることとなる。なお、幕板と樹脂ベース70との間に若干のクリアランスを設けてもよい。
樹脂ベース70の前面における回動基端側(図4の左側)には、その上端部及び下端部に支持金具71,72が取り付けられている。図示は省略するが、支持金具71,72には軸孔が形成されており、それら軸孔に前扉枠14の突起軸61,62が挿入されることにより、内枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。
樹脂ベース70の前面における回動先端側(図4の右側)には、前扉枠14の背面に設けられた鉤金具63を挿入するための挿入孔73がそれぞれ設けられている。本パチンコ機10では、内枠13や前扉枠14を施錠状態とするための施錠装置75が内枠13の背面側に隠れて配置される構成となっている。したがって、鉤金具63が挿入孔73を介して施錠装置75(詳しくは前扉用鉤受け部材76)に係止されることによって、前扉枠14が内枠13に対して開放不能に施錠される。また、施錠装置75は、内枠13の後方へ延びる内枠用鉤部材77を有している。これら内枠用鉤部材77が外枠11の鉤受け部材19に引っ掛かることにより遊技機主部12が外枠11に対して閉じた状態で施錠される。
樹脂ベース70の右下隅部には、施錠装置75の解錠操作を行うためのシリンダ錠78が設置されている。シリンダ錠78は施錠装置75に一体化されており、シリンダ錠78の鍵穴に差し込んだキーを右に回すと内枠13に対する前扉枠14の施錠が解除され、シリンダ錠78の鍵穴に差し込んだキーを左に回すと外枠11に対する内枠13の施錠が解除されるように施錠装置75が構成されている。
樹脂ベース70の中央部には略楕円形状の窓孔74が形成され、樹脂ベース70に装着された遊技盤80によって同窓孔74が後方から塞がれている。遊技盤80は、木製の合板と同合板における前側の板面を覆うシート材とを有してなり、その前面が上記窓孔74を通じて樹脂ベース70の正面側に露出している。この露出している部位、すなわち遊技盤80の前面には、遊技球が流下する遊技領域PEが形成されている。既に説明したように遊技領域PEはガラスユニット22(詳しくはガラスパネル24)によって覆われている。ガラスユニット22は、ガラスパネル24と遊技盤80の前面との隙間が遊技球の直径よりも僅かに大きくなるように、すなわち遊技領域PEを流下する遊技球が同遊技領域PEの同一箇所にて前後に並ばないように配置されている。これにより、遊技領域PEでの球詰まりを抑制している。なお、遊技盤80は木製に限定されるものではなく、合成樹脂製とすることも可能である。
以下、図5に基づき遊技盤80(特に遊技領域PEに配された各種構成)について説明する。図5は遊技盤80の正面図である。
遊技盤80には、ルータ加工が施されることによって自身の厚さ方向(前後方向)に貫通する大小複数の開口が形成されている。各開口には、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口83,84、スルーゲート85及び可変表示ユニット86等がそれぞれ設けられている。一般入賞口81、可変入賞装置82及び作動口83,84に遊技球が入ると、それら遊技球が後述する検知スイッチにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤80の最下部にはアウト口87が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口87を通って遊技領域PEから排出される。以下の説明では、アウト口87への遊技球の入球と明確に区別するために、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口83,84、スルーゲート85への遊技球の入球を、入賞とも表現する。
また、遊技盤80には、遊技球の流下経路を適宜分散,調整等するために多数の釘88が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。これら釘88や風車等の各種構成によって、遊技球の流下経路が分化され、上述した一般入賞口81等への入賞が適度な確率で発生するように調整されている。
可変表示ユニット86には、作動口83,84への入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置91が設けられている。また、可変表示ユニット86には、図柄表示装置91を囲むようにしてセンターフレーム92が配設されている。センターフレーム92の上部には、第1特定ランプ部93及び第2特定ランプ部94が設けられている。また、センターフレーム92の上部及び下部にはそれぞれ保留ランプ部95,96が設けられている。下側の保留ランプ部95は、図柄表示装置91及び第1特定ランプ部93に対応しており、遊技球が作動口84を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部95の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。上側の保留ランプ部96は、第2特定ランプ部94に対応しており、遊技球がスルーゲート85を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部96の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
図柄表示装置91は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置91には、例えば左、中及び右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。
第1特定ランプ部93では、作動口83,84への入賞をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には大当たりが発生する。
作動口83,84は、可変表示ユニット86寄りとなる位置に配置されている。作動口83,84への入賞をトリガとして、大当たりが発生し得るため、遊技者は作動口83,84に入賞するか否かに注目するとともに、大当たりが発生するか否かを把握するため図柄表示装置91や第1特定ランプ部93に注目するものと考えられる。作動口83,84を可変表示ユニット86寄りに設けたことは、遊技者が注目したい箇所を可変表示ユニット86周辺に集中させるための工夫である。
また、作動口83,84は、可変表示ユニット86の下方に上下に並べて配列されている。以下便宜上、上側の作動口を「上作動口83」、下側の作動口を「下作動口84」と称する。
下作動口(抽選契機入球部)84には、開閉式の入球補助装置(入球補助手段)又は開閉部材(開閉手段)としての電動役物89が設けられている。電動役物89は、下作動口84への入球が可能又は容易となる開放状態(補助状態)と、同入球が不可又は困難となる閉鎖状態(非補助状態)とに切替可能となっている。上述した第2特定ランプ部94において遊技球のスルーゲート85の通過をトリガとした発光色の切り替えが所定の順序で行われ予め定められた色が停止表示された場合には、電動役物89が所定時間だけ開放状態となる。
可変入賞装置(特別入球装置又は特別入球手段)82は、開閉部材(開閉手段)としての開閉扉を有しており、遊技球の入球が可能又は容易となる開放状態(補助状態)と、同入球が不可又は困難となる閉鎖状態(非補助状態)とに切替可能となっている。通常時においては、開閉扉は閉鎖状態のまま維持され、大当たりの際には開放状態への切り換えがなされる。可変入賞装置82の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとし、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限とした可変入賞装置82の開放が繰り返されるものが一般的である。
再び図4を用いて説明すれば、樹脂ベース70における遊技盤80の下方には、上記遊技球発射ハンドル41の操作に基づいて遊技領域PEへ遊技球を発射する遊技球発射機構110が設けられている。図4に示すように、遊技球発射機構110は、所定の発射待機位置に配置された遊技球を打ち出すソレノイド111と、同ソレノイド111によって打ち出された遊技球の発射方向を規定する発射レール112と、上記発射待機位置に遊技球を供給する球送装置113と、それら各種構成111〜113が装着されているベースプレート114とを主要な構成として備えており、同ベースプレート114が樹脂ベース70に固定されることで、樹脂ベース70に対して一体化されている。
発射レール112は、遊技盤80側に向けて上り傾斜となるように、斜めに傾いた状態でベースプレート114に固定されている。発射レール112の下流側の端部(すなわち下端部)寄りとなる位置には、球送装置113から供給された遊技球を上述した発射待機位置に留める球ストッパが配されている。球ストッパよりも更に下流側となる位置に、上記ソレノイド111が配置されている。
ソレノイド111は、後述する電源・発射制御装置に対して電気的に接続されている。その電源・発射制御装置からの電気的な信号の出力に基づいてソレノイド111の出力軸が伸縮方向に往復動することにより、発射待機位置に置かれた遊技球が遊技盤80側、詳しくは遊技盤80に装着された誘導レール100に向けて打ち出される。
誘導レール100は、遊技領域PEを同遊技領域PEの外形が略円形状となるように区画形成している。また、誘導レール100は、遊技球の直径よりも若干大きな隙間を隔てて対峙するように配置された内レール101及び外レール102からなり、それら両レール101,102によって一条の誘導通路103が区画形成されている。誘導通路103は、発射レール112の先端側(斜め下方)に開放された入口部分と、遊技領域PEの上部に位置する出口部分とを有している。ソレノイド111の動作に基づいて発射された遊技球は、発射レール112→誘導レール100(入口部分→出口部分)の順に移動することにより遊技領域PEに導かれる。なお、遊技盤80において出口部分の先側、詳しくは内レール101の先端付近には、遊技領域PEに到達した遊技球の同誘導通路103内への逆戻りを防止する逆戻り防止部材106が取り付けられており、先んじて遊技領域PEに至った遊技球によって後続する遊技球の打ち出しが妨げられることを抑制している。
誘導レール100を構成している各レール101,102は、遊技領域PEの略中央部分を中心とする円弧状をなしている。このため、誘導通路103を通過する遊技球は、自身に発生する遠心力により外レール102に沿って、すなわち外レール102に接触したまま移動(摺動又は転動)しやすくなっている。
同図5に示すように、誘導レール100及び発射レール112は、同誘導レール100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤80の下端縁を挟んで斜めに対峙するように配置されている。つまり、それら両レール100,112は、同誘導レール100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤80の下端縁近傍にて左右にずれるようにして配置されている。これにより両レール100,112を遊技盤80の下端縁に近づけつつ、誘導レール100の入口部分と発射レール112との間には所定間隔の隙間を形成している。
このようにして形成された隙間よりも下側にはファール球通路55が配設されている。ファール球通路55は前扉枠14の通路形成ユニット50に一体成形されている。仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域PEまで至らずファール球として誘導通路103内を逆戻りする場合には、それらファール球が上記隙間を介してファール球通路55内に入ることとなる。ファール球通路55は前扉側下皿通路52に通じており、ファール球通路55に入った遊技球は図1に示した下皿34に排出される。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
樹脂ベース70において発射レール112の左方(詳しくは前扉枠14を支持している側)には樹脂ベース70を前後方向に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔に通路形成部材121が配設されている。通路形成部材121は、樹脂ベース70に対してネジ止めされており、本体側上皿通路122と本体側下皿通路123とを有している。それら本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部材121の下方には前扉枠14に取り付けられた通路形成ユニット50の受口部53が入り込んでおり、本体側上皿通路122の下方には前扉側上皿通路51が配置され、本体側下皿通路123の下方には前扉側上皿通路51が配置されている(図2参照)。
樹脂ベース70において通路形成部材121の下方には、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を開閉する開閉部材124が取り付けられている。開閉部材124はその下端に設けられた支軸により前後方向に回動可能に支持されており、さらに本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を閉鎖する前方位置に付勢する付勢部材が設けられている。従って、前扉枠14を内枠13に対して開いた状態では開閉部材124が図示の如く起き上がり、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を閉鎖する。これにより、本体側上皿通路122又は本体側下皿通路123に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できる。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット50に設けられた受口部53により付勢力に抗して開閉部材124が押し開けられる。この状態では、本体側上皿通路122と前扉側上皿通路51とが連通し、さらに本体側下皿通路123と前扉側下皿通路52とが連通している。
次に、図6に基づき内枠13(樹脂ベース70及び遊技盤80)の背面構成について説明する。図6はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。
樹脂ベース70の背面における回動基端側(図8の右側)には、軸受け金具132が上下に並設されている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部が形成されており、これら軸受け部により内枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。
樹脂ベース70の背面には、係止金具135が複数設けられており、これら係止金具135によって上述したように樹脂ベース70に対して遊技盤80が取り付けられている。ここで、遊技盤80の背面の構成を説明する。図7は遊技盤80から主制御装置ユニット160を取り外した状態を示す背面図である。
遊技盤80の中央に配置される可変表示ユニット86には、センターフレーム92を背後から覆う合成樹脂製のフレームカバー141が後方に突出させて設けられており、フレームカバー141に対して後側から上述した図柄表示装置91が取り付けられるとともに、その図柄表示装置91を駆動するための表示制御装置が取り付けられている(図示は省略)。これら図柄表示装置91及び表示制御装置は前後方向に重ねて配置され(図柄表示装置が前、表示制御装置が後)、さらにその後方に音声ランプ制御装置ユニット142が搭載されている。音声ランプ制御装置ユニット142は、音声ランプ制御装置143と、取付台144とを具備する構成となっており、取付台144上に音声ランプ制御装置143が装着されている。
音声ランプ制御装置143は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス145に収容されて構成されている。
遊技盤80の背面には、図7に示すように、可変表示ユニット86の下方に集合板150が設けられている。集合板150には、各種入賞口に入賞した遊技球を回収する遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入球を検知する検知機構などが設けられている。
遊技球回収機構について説明すると、集合板150には、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口83,84等の各種入球口に対して個々に対応する回収通路151が設けられている。これら回収通路151は、それら入球口から遊技盤80の背面に沿って下っており、遊技球の落下経路を規定している。各回収通路151は、同遊技盤80の下端付近にて合流しており、一般入賞口81等の入球口を通過した遊技球は何れも回収通路151を介して遊技盤80の下部に集合することとなる。各回収通路151の出口部分は、下方に開放されており、その先側(詳しくは遊技盤80の下方)には後述する排出通路が設けられている。回収通路151により遊技盤80の下方に集合した遊技球は、排出通路へと導出される。なお、アウト口87も同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球もアウト口87を介して排出通路へ導出される。
検知機構について説明すると、集合板150には、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口83,84に対して個々に対応する検知センサが設けられている。これら各種検知センサは、上記一般入賞口81等の入球口に連なる各回収通路151の途中位置に配置されており、同回収通路151にて遊技球の落下経路が規定された状態にて遊技球の通過を検知する。より詳しくは、各検知センサは、各回収通路151の途中位置に設けられた検知領域を遊技球が通過することで、一般入賞口81等の入球口への入球を検知するものであり、具体的には上記検知領域を遊技球が通過した場合に生じる磁場の変化を把握する磁気センサが採用されている。
これら各種検知センサは、遊技盤80の背面側に設けられた主制御装置ユニット160(詳しくは主制御装置)に電気的に接続されており、それら検知センサにおける検知信号が同主制御装置に対して出力される構成となっている。以下、主制御装置ユニット160及びそれに付随する構成について図11に基づき説明する。図11は主制御装置ユニット160の構成を示す斜視図である。
主制御装置ユニット160は、集合板150を後側から覆うようにして遊技盤80に搭載されており、合成樹脂製の取付台161と、同取付台161に搭載された主制御装置162とによって構成されている。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印部164によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。封印部164は、基板ボックス163の長辺部に5つ設けられ、そのうち少なくとも一つが用いられて封印処理が行われる。
封印部164はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、封印部164を構成する長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。封印部164による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、5つの封印部164のうち、少なくとも一つの長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部と他の封印部との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の封印部の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
基板ボックス163の一方の短辺部には、その側方に突出するようにして複数の結合片が設けられている。これら結合片は、取付台161に形成された複数の被結合片と1対1で対応しており、結合片と被結合片とにより基板ボックス163と取付台161との間で封印処理が行われる。
次に、図8〜図10に基づき裏パックユニット15について説明する。図8はパチンコ機10の背面図、図9は裏パックユニット15の正面図、図10は裏パックユニット15を主要な構成ごとに分解して示す分解斜視図である。
図8に示すように、内枠13は裏パックユニット15によって後方から覆われている。裏パックユニット15は、裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。
裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、図9に示すように払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット86を囲むのに十分な大きさを有する。
図9に示すように、ベース部211には、その右上部に外部端子板213が設けられている。外部端子板213には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置に対して各種信号が出力される。また、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン214が設けられており、掛止ピン214を内枠13に設けられた軸受け金具132(詳しくは軸受け部)に挿通させることで、裏パックユニット15が内枠13に対して回動可能に支持されている。また、ベース部211における回動先端部には、内枠13に設けられた被締結孔90に対して締結するための締結具215が設けられており、当該締結具215を被締結孔に嵌め込むことで内枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。払出機構部202には、裏パック201の最上部に配されているとともに上方に開口したタンク221が設けられており、遊技ホールの島設備から供給される遊技球がそのタンク221に逐次補給される。タンク221の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール222が連結され、タンクレール222の下流側には上下方向に延びるケースレール223が連結されている。ケースレール223の最下流部には払出装置224が設けられている。払出装置224より払い出された遊技球は、当該払出装置224の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部225に供給される。
遊技球分配部225は、払出装置224より払い出された遊技球を上皿33、下皿34又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部が上述した本体側上皿通路122及び前扉側上皿通路51を介して上皿33に通じ、外側の開口部が本体側下皿通路123及び前扉側下皿通路52を介して下皿34に通じるように形成されている(図3及び図7参照)。
図10に示すように、ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤には、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路が形成されており、当該排出通路の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路等から排出通路に導出された遊技球は当該排出通路を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台241を有し、取付台241に払出制御装置242と電源・発射制御装置243とが搭載されている。これら払出制御装置242と電源・発射制御装置243とは、払出制御装置242がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置242においては基板ボックス244内に払出装置224を制御する払出制御基板が収容されており、当該払出制御基板に設けられた状態復帰スイッチ245が基板ボックス244外に突出している。例えば、払出装置224における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ245が押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源・発射制御装置243は、基板ボックス246内に電源・発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源・発射制御装置243にはRAM消去スイッチ247が設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチ247を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
<可変入賞装置82における入賞検知に関する構成>
既に説明したように、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口83,84等の入球部に流入した遊技球が検知センサによって検知されると、その検知情報に基づいて遊技者に遊技球の払い出し等の特典が付与される。本実施の形態においては特に、入球部に流入した遊技球の検知精度(すなわち入賞の検知精度)を向上するための各種工夫がなされている。そこで以下、その一例として可変入賞装置82における球検知に関する構成を図5、図11及び図12に基づき補足説明する。図11は、図5のA−A線部分断面図、図11のB矢視図である。なお、図12においては便宜上、集合板150の一部を破断させることにより回収通路151を部分的に視認可能としている。
図5に示すように、遊技盤80において下作動口84の下方となる位置には、横長の矩形状をなす開口部99が設けられている。開口部99は遊技盤80の厚さ方向(前後方向)に貫通しており、開口断面が略矩形状をなすように形成されている。開口部99には、遊技盤80の前面側から可変入賞装置82が組み付けられている。
可変入賞装置82は、開口部99に流入した遊技球を遊技盤80の背面側へ誘導する誘導通路部260と、同誘導通路部260における前方への開放部分(以下、大入賞口261と称する)に合わせて形成された開閉扉270を備えている。開閉扉270は、大入賞口261を塞ぐことにより同大入賞口261への遊技球の流入を不可とする閉位置と、同大入賞口261への遊技球の流入を許容する開位置とに切替可能に設けられている。具体的には、開閉扉270は、回動可能に設けられているとともに閉位置に向けて付勢されている。この付勢力によって同開閉扉270は、閉位置に待機した状態となっている。
また、可変入賞装置82は、主制御装置162に対して電気的に接続されている駆動部部(詳しくはソレノイド)を備えている。大当たりが発生した場合には主制御装置162から駆動信号が入力されてソレノイドが駆動し、同ソレノイドの出力軸によって開閉扉270が開位置へ押される。これにより、開閉扉270が上記付勢力に抗して開位置へ移動することとなる(図11の2点鎖線参照)。
このようにして開閉扉270が開放されている状態では、遊技領域PEを流下する遊技球が開閉扉270の板面に沿って移動する。これにより、大入賞口261への入賞が容易化される。つまり、開閉扉270には大入賞口261への遊技球の流入をサポートするサポート機能が付与されており、当該開閉扉270が開位置に配されることで同サポート機能が有効化される。
誘導通路部260の後方には、同誘導通路部260から流出した遊技球を回収する大入賞口用回収通路部310が設けられており、この大入賞口用回収通路部310によって区画形成された通路により上記回収通路151の一部が構成されている。
図12に示すように、大入賞口用回収通路部310は、誘導通路部260から流出した遊技球が流入する上流側通路部320と、当該上流側通路部320に連なる下流側通路部330とを有している。
上流側通路部320は、大入賞口261と同様に水平方向(詳しくパチンコ機10における左右方向)に延びている。上流側通路部320は、誘導通路部260の誘導通路265を後方から覆う前側壁部321と遊技球の通過領域(以下、上流通路325と称する)を挟んで同前側壁部321に対向する後側壁部322とを有してなる。
前側壁部321には、誘導通路部260側に開放された受入口323が形成されており、当該受入口323を通じて誘導通路265から上流通路325へ遊技球が流入する。
本実施の形態においては、誘導通路265から上流通路325へ流入する遊技球の勢いを弱めるための工夫が施されている。ここで、遊技球の減勢に関する構成について説明する。
誘導通路部260は、開口部99の底面に沿って設けられた長板状の底部262を有している。図12に示すように、底部262において回収通路部311の受入口323の前方となる部分には、当該受入口323に連なるようにして溝部263が形成されている。より具体的には、底部262の一側部には、後方へ延びるとともに、受入口323に連通する溝部263が形成されている。
また、底部262の上面は溝部263へ向けて下り傾斜している。このため、大入賞口261から流入した遊技球は、底部262の傾斜に沿って溝部263へ流入することとなる。溝部263の底面は、後方へ緩やかに下っており、溝部263に流入した遊技球は同底面に沿って後方へ移動することにより受入口323を通じて大入賞口用回収通路部310へ流入する。このようにして溝部263を経由させることにより、大入賞口261から流入した遊技球の上流通路325の通路方向への移動が抑制されることとなる。
大入賞口用回収通路部310へ流入した遊技球は、上流側通路部320の後側壁部322に衝突する。これにより、前後方向での勢いが弱められる。
このようにして流下の勢いが弱められた遊技球は、上流通路325に沿って下流側へ移動する。
図12に示すように、下流側通路部330には、複数の検知センサ350が配設されている。検知センサ350は、集合板150に形成されたセンサ収容部に収容された状態で固定されることで、同集合板150に対して一体化されている(図7参照)。これら検知センサ350によって遊技球の通過が検知されることとなる。このように、下流側通路部330にて遊技球の検知が行われる点に着目すれば、同下流側通路部330を球検知通路部330と称することも可能である。
下流側通路部330は、同一箇所を遊技球が1つずつ通過可能な下流通路335を区画形成している。下流通路335は、遊技盤80の背面に沿って水平方向(パチンコ機10における左右方向)に複数回折れ曲がるクランク状をなしている。具体的には、下流通路335は、鉛直方向に延びる第1縦通路336及び第2縦通路338と、それら両縦通路336,338を繋ぐ横通路337とによって構成されており、それら各通路336〜338の境界部分にて通路方向が鉛直方向→略水平方向→鉛直方向の順に変化している。このように、複数の折れ曲がり箇所を有することにより、同通路335を通過する遊技球の流下速度のばらつきが抑えられる構成となっている。言い換えれば、下流側通路335には各遊技球の流下速度を一定化する機能が付与されている。
第1縦通路336は、上記上流通路325に連通しており、その上流部分に上記検知センサ350が取り付けられている。第1縦通路336には下流側から横通路337が連なっており、第1縦通路336から当該横通路337に移った遊技球は、その流下方向が略水平となるように誘導される。
横通路337は第2縦通路338に向けて僅かに傾いており、その下流側には第2縦通路338が連なっている。第2縦通路338の途中位置には上記検知センサ350が取り付けられている。
ここで、図12及び図13に基づき検知センサ350について説明する。図13(a)は検知センサ350の斜視図、図13(b)は検知センサ350を主要部品ごとに分解して示す分解斜視図である。
図13に示すように、検知センサ350は、遊技球を検知するセンサ主部360を有している。センサ主部360には、コンデンサ等の電子部品が実装されることで各種回路が形成されたセンサ基板361と、同センサ基板361の一側部に固定された電磁式の球検知部362と、センサ基板361において球検知部362とは反対側の端部に固定されたコネクタベース363とが設けられている。
図11に示すように、球検知部362は縦通路336,338の通路方向と同一方向に延びる筒状部362aを有しており、検知センサ350が集合板150に組み付けられた状態、すなわちセンサ収容部336a,338aに収容された状態では同筒状部362aによって縦通路336,338の一部が構成されている。より詳しくは、上記センサ収容部336a,338aは縦通路336,338の一部を同縦通路336,338の通路方向と交差する方向へ凹ませることで形成されており、検知センサ350が同センサ収容部326に収容された状態では、筒状部362aによってその凹み部分が通路内側から塞がれている。筒状部362aの内周面は縦通路336,338の通路壁面と略面一となるように形成されており、同筒状部362aの内周面によって通路領域の一部が区画形成されている。
筒状部362aの外周面にはコイル364が巻きつけられており、同コイル364の両端(電気導線の両端)はセンサ基板361に接続されている(13(b)参照)。このコイル364が通電されることで、少なくとも筒状部362aによって囲まれた領域(以下便宜上、検知領域DEと称する)に磁界が発生することとなる。
再び図13を参照して説明すれば、検知センサ350は、センサ主部360を収容するケース体370を備えている。ケース体370は、センサ主部360を挟んで対峙する一対のケース構成体を有してなり、それら各ケース構成体が組み合わせられることで、検知センサ350の内部領域と外部領域とを区画している。ケース体370には電波や静電気等の通過を抑制するシールド機能が付与されており、当該ケース体370によってそれら電波等の影響がセンサ基板361に及ぶことを抑制している。
ケース体370には、コネクタベース363を検知センサ350の外部に露出させる切欠き部372が形成されており、同コネクタベース363に対してハーネスHが接続されている(図13(b)参照)。これにより、検知センサ350と主制御装置162とが電気的に接続され、検知センサ350から出力された検知信号を主制御装置162に伝達することが可能となっている。
また、それらケース体370には、上記球検知部362の筒状部362aに連通する開口部371が形成され、縦通路336,338を落下する遊技球の検知領域DEの通過が許容されている。遊技球が検知領域DEを通過した際には、同検知領域DEに形成された磁界が変化し、コイル364におけるインピーダンスが変化する。これにより、遊技球の通過が、信号の変化、詳しくは電圧の変化として現れることとなる。
なお、図11に示すように筒状部362aにおける中心軸線方向(縦通路336の通路方向)の長さ寸法L1は、遊技球の直径寸法D1よりも小さく設定されている。このため、同筒状部362aを通過する遊技球は筒状部362a内に埋没することはなく、通過タイミングにおいては同遊技球の少なくとも一部が筒状部362aから突出することとなる。これにより、例えば遊技球が複数連なった状態で検知領域DEを通過した場合での個々の遊技球の識別能力を向上させている。
ここで、図12に基づき、各検知センサ350と下流通路335との関係について補足説明する。なお、以下の説明においては便宜上、第1縦通路336に配された検知センサ350を「第1検知センサ350A」、第2縦通路338に配された検知センサ350を「第2検知センサ350B」として区別する。
第1検知センサ350Aは第1縦通路336の上流部分に配されており、第2検知センサ350Bは第2縦通路338の下流部分に配されている。上流通路325を区画形成している底部324から第1検知領域DE1までの距離L1は、横通路337を区画形成している底部331から第2検知領域DE2までの距離L2よりも小さく設定されている。より具体的には、距離L1が距離L2の凡そ1/4となるように設定されている。
上流通路325から第1縦通路336へ流入する遊技媒体の上下方向の移動成分は、ほぼ0となるように設定されているとともに、横通路337から第2縦通路338へ流入する遊技媒体の上下方向の移動成分についてもほぼ0となるように設定されている。このため、各縦通路336,338に流入した遊技球は自重によって加速して、各検知領域DE1,DE2を通過することとなる。このため、第1検知領域DE1を通過する際の遊技球の移動速度は、第2検知領域DE2を通過する際の遊技球の移動速度の凡そ半分となる。言い換えれば、遊技球が第1検知領域DE1を通過するのに要する期間及び第1検知センサ350Aから検知信号が出力される期間は、遊技球が第2検知領域DE2を通過するのに要する期間及び第2検知センサ350Bから検知信号が出力される期間の凡そ2倍となる。
なお、遊技球を上流通路325や横通路337を経由させて縦通路336,338に流入させる構成としたのは、以下の理由からである。すなわち、上述した遊技球の自由落下に基づく速度のばらつきは小さく、検知領域DEを通過する際の通過速度にばらつきを生じさせる要因とはなりにくい。一方、各縦通路336,338に流入する遊技球の初速ばらつきはそのまま、上記通過速度のばらつきを生じさせる要因となり得る。落下距離を大きく設定することができれば、上記初速のばらつきを無視することも可能となるが、回収通路151の配設領域が限られていることを考慮すれば、そのような対応は困難であると想定される。そこで、略水平に延びる通路を経由させた後、縦通路336,338へと遊技球を流入させることで、検知領域DEを通過する遊技球の初速をほぼ0としている。これにより、初速ばらつきが支配的となって、検知領域DEを通過する際の遊技球の移動速度が大きくばらつくことを回避している。
ここで、遊技進行に伴う遊技球検知の流れについて説明する。
遊技球発射機構110から発射された遊技球は誘導レール100を経由して遊技領域PEに到達する。これら複数の遊技球のうち1の遊技球が上作動口83に流入すると、大当たりの抽選がなされ、その結果大当たりに当選すると、可変入賞装置82の開閉扉270が開放され、大入賞口261への遊技球の流入が許容される。
このようにして開放された開閉扉270に当たった遊技球は、同開閉扉270に沿って大入賞口261へと導かれ、誘導通路265に沿って後方へ移動する。そして、大入賞口用回収通路部310の前側壁部321に衝突することでその勢いが弱められ、誘導通路部260の底部262に沿って溝部263へ流入する。溝部263に流入した遊技球は、同溝部263に沿って後方へ移動し、受入口323を通じて回収通路151へ流入する。この際、同遊技球は後側壁部322に衝突することで、再びその勢いが弱められることとなる。
回収通路151(詳しくは上流通路325)に流入した遊技球は、上流通路325に沿って流下し、第1縦通路336へ流入する。この際、上流通路325の延長上に位置する通路壁面に衝突することにより、再びその勢いが弱められるととなる。その後、遊技球は、第1縦通路336を自由落下することにより、第1検知センサ350Aの検知領域DE1を通過する。遊技球が検知領域DE1を通過することによって得られた信号は、センサ基板361A→コネクタベース363A→ハーネスHA(図13参照)を経由して主制御装置162へ出力される。
第1縦通路336を流下した遊技球は、同第1縦通路336の延長上に位置する通路壁面(詳しくは底部331)に衝突し、自由落下で得た落下速度がほぼ0となるように減勢される。その後、遊技球は、横通路337の傾斜に沿って第2縦通路338側へ移動する。
第2縦通路338へ到達した遊技球は、第2縦通路338に沿って自由落下することにより、所定の速度となるまで加速された後、第2検知センサ350Bの検知領域DE2を通過する。遊技球が検知領域DE2を通過することによって得られた信号は、センサ基板361B→コネクタベース363B→ハーネスHB(図13参照)を経由して主制御装置162へ出力される。
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図14のブロック図に基づき説明する。図14では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
主制御装置162に設けられた主制御基板601には、主制御回路602と停電監視回路603とが内蔵されている。主制御回路602には、MPU611が搭載されている。MPU611には、当該MPU611により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM612と、そのROM612内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM613と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM613は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源・発射制御装置243に設けられた電源・発射制御基板621からデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。
MPU611には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。主制御回路602の入力側には、主制御基板601に設けられた停電監視回路603、払出制御装置242に設けられた払出制御基板622及び各種センサ群などが接続されている。この場合に、停電監視回路603には電源・発射制御基板621が接続されており、主制御回路602には停電監視回路603を介して電力が供給される。
センサ群の一部として、可変入賞装置82に設けられた検知センサ350や、作動口83,84等の他の入球部に設けられた各種検知センサが接続されており、MPU611において各入球部における入賞判定が行われる。
<入賞判定に関する電気的な構成>
ここで、検知センサ350からの検知情報に基づいた入賞判定を行う上での電気的な構成を図15のブロック図を用いて説明する。
図15に示すように、検知センサ350のセンサ基板361には、主回路650及び出力回路680からなる集積回路が設けられている。
主回路650は、上記コイル364及びコンデンサ661を並設接続した発振回路660を有している。発振回路660はコイル364を発振コイルとする回路であって一定の電圧が印加されることにより一定の周波数(本実施の形態においては1MHz)で発振する。発振回路から出力された信号(アナログ信号)は、同発振回路660と共に主回路650を構成する処理回路670に入力される。処理回路670は、発振回路660から入力された信号をHIレベル及びLOWレベルのいずれかに変換する(2値化する)機能を有しており、上記周波数で発振された信号の振幅が所定の閾値を超えている場合(通常時)にはHIレベル信号を出力する。このようにして2値化された信号は、出力回路680を通じて反転された後、主制御基板601へ出力される。
検知センサ350の検知領域DEを遊技球が通過した場合には、同遊技球がコイル364によって形成されている磁界を通過することになる。このようにして遊技球が磁界を通過すると、コイル364におけるインピーダンスが低下することにより、発振回路の発振条件が変化し、発振回路660から出力される信号の振幅が小さくなる。より詳しくは振幅がほぼ0となって発振が一時的に停止することとなる。
上述した閾値は、遊技球の通過に伴って振幅が小さくなった場合に同振幅が当該閾値を下回るように設定されており、このようにして振幅が閾値を下回った場合(すなわち検知時)には、処理回路670から出力回路680へLOWレベル信号が入力される。出力回路680へ入力されたLOWレベル信号は出力回路680を通じて反転された後、主制御基板601へ出力される。
検知センサ350から入力された信号を主制御基板601のMPU611にて分析することにより、後述する入賞判定が実行される。主制御基板601(詳しくは主制御回路602)の出力側には、中継端子板623を介して音声ランプ制御装置143(詳しくは音声ランプ制御基板624)が接続されているとともに、外部端子板213を通じてホールコンピュータが接続されている。仮に、入賞判定にてノイズ等の影響によるエラーが確認された場合には、当該エラーが発生している旨を報知するべく報知コマンドが音声ランプ制御装置143に出力されるとともに、エラー情報がホールコンピュータに伝達されることとなる。
ここで、主制御装置162のMPU611にて入賞判定を行う上での電気的な構成にていて補足説明する。
MPU611のRAM613には、遊技球の入賞を判定する際に用いられる第1検知カウンタエリア613a及び第2検知カウンタエリア613bが設けられている。第1検知カウンタエリア613aは、最大値(本実施の形態においては2)とするカウンタ(以下便宜上、第1検知カウンタDC1と称する)となっており、所定の条件に応じてその値が「0」,「1」,「2」で変化する構成となっている。具体的には、任意の1回の処理にて遊技球を検知していないことに対応した信号(すなわちLOWレベル信号)の入力を確認することにより「0」にリセットされ、その後、遊技球を検知していることに対応した信号(すなわちHIレベル信号)の入力を2回の処理にて連続して確認した場合に、「0」→「1」又は「1」→「2」となるようにカウントアップされる。このようにして同第1検知カウンタDC1の値が「2」となった場合に、1の遊技球が入賞したと判定される。
第2検知カウンタエリア613bは、最大値(本実施の形態においては2)とするカウンタ(以下便宜上、第2検知カウンタDC2と称する)となっており、所定の条件に応じてその値が「0」,「1」,「2」で変化する構成となっている。具体的には、任意の1回の処理にて遊技球を検知していないことに対応した信号(詳しくはLOWレベル信号)の入力を確認することにより「0」にリセットされ、その後、遊技球を検知していることに対応した信号(詳しくはHIレベル信号)の入力を2回の処理にて連続して確認した場合に、「1」→「2」となるようにカウントアップされる。このようにして同第2検知カウンタDC2が「2」となることに基づいて、1の遊技球が入賞したと判定される。
チェックカウンタエリア613cは、最大値を「200」且つ初期値を「100」とするカウンタ(以下便宜上、チェックカウンタCCと称する)となっており、所定の条件に応じてその値が加算又は減算される構成となっている。具体的には、第1検知カウンタDC1によって遊技球が入賞したと判定された場合に「1」ずつ加算され、第2検知カウンタDC2によって遊技球が入賞したと判定された場合に「1」ずつ減算される。つまり、遊技球が正常に入賞している場合には、一時的な変動を経由してチェックカウンタCCの値が初期値に落ち着くこととなる。一方、チェックカウンタCCの値が初期値から外れたままとなった場合には、検知信号が正常でない旨が把握される。つまり、意図的又は偶発的要因により、いずれかの検知センサ350A,350Bから出力される検知信号にノイズ等が混入している可能性があることが把握される。
また、MPU611のRAM613には、検知センサ350から入力されている検知信号が正常であるか否か、すなわち有害なノイズ等が混入しているか否かを判定する際に用いられるエラーカウンタエリア613d及び判定タイマカウンタ613eが設けられている。エラーカウンタエリア613dは、最大値を「3」とするカウンタ(以下便宜上、エラーカウンタECと称する)となっており、所定の条件に応じてその値が「0」,「1」,「2」で変化する構成となっている。具体的には、上記チェックカウンタCC用の判定処理にて同チェックカウンタCCの値が初期値から外れていると判定された場合に、「0」→「1」→「2」→「3」の順に1ずつカウントアップされる。このようにして、同エラーカウンタECの値が「3」となることにより、検知信号が正常でない旨が把握される。つまり、意図的又は偶発的要因により、検知信号にノイズ等が混入している可能性があることが把握される。
また、判定タイマカウンタ613eは、所定の更新条件に応じて、その更新の都度前回値から1ずつ減算されることにより0に戻るカウンタ(以下便宜上、判定タイマカウンタJTCと称する)となっている。この判定タイマカウンタJTCの値は、上述したエラーカウンタECの更新処理を実行するタイミングを図るものである。具体的には、可変入賞装置82の開閉扉270が閉じた際にカウントを開始し、開閉扉270が閉じた際に大入賞口261に流入した遊技球が第2検知センサ350Bの検知領域DE2を通過し終えるのに十分な値(本実施の形態においては「2000」すなわち4sec)がセットされる。
次に、MPU611にて大当たり発生判定を行う上での電気的な構成について図15及び図16を用いて説明する。
MPU611は遊技に際し各種カウンタ情報(詳しくは図15に示すRAM613の各種カウンタエリア613fの情報)を用いて、大当たり抽選、第1特定ランプ部93の発光色の設定や、図柄表示装置91の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図16に示すように、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、確変大当たりや通常大当たり等の大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置91が外れ変動する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、第1特定ランプ部93に表示される色の切り替えを行う期間及び図柄表示装置91における図柄の変動表示時間を決定する変動種別カウンタCSとを用いることとしている。さらに、下作動口84の電動役物89を電役開放状態とするか否かの抽選に使用する電動役物開放カウンタC4を用いることとしている。なお、上記各カウンタC1〜C4,CINI,CSは、RAM613の各種カウンタエリア613fに設けられている。
カウンタC1〜C4,CINI,CSは、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM613の抽選カウンタ用バッファ613gに適宜格納される。RAM613には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア613h及び電役保留エリアが設けられており、このうち保留球格納エリア613hには、作動口83,84への遊技球の入球履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値が時系列的に格納されるようになっている。
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜676の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり676)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0〜676)。大当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球が作動口83,84に入球したタイミングでRAM613の保留球格納エリア613hに格納される。
大当たり種別カウンタC2は、0〜49の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり49)に達した後0に戻る構成となっている。そして、本実施の形態では、大当たり種別カウンタC2によって、大当たりが終了した後に、確変状態とするか通常状態とするかを決定することとしている。大当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、遊技球が作動口83,84に入球したタイミングでRAM613の保留球格納エリア613hに格納される。
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。リーチ乱数カウンタC3は定期的に更新され、遊技球が作動口83,84に入球したタイミングでRAM613の保留球格納エリア613hに格納される。
変動種別カウンタCSは、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSによって、第1特定ランプ部93に表示される色の切り替えを行う期間としての切替表示時間が決定される。この切替表示時間は、図柄表示装置91の図柄の変動表示時間に相当する。変動種別カウンタCSは、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、第1特定ランプ部93に表示される色の切り替え開始時及び図柄表示装置91による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSのバッファ値が取得される。
なお、1遊技回の開始に際しては、主制御基板601のMPU611にて、保留球格納エリア613hに格納されている各カウンタC1〜C3,CSの値を用いて大当たり抽選や第1特定ランプ部93に表示される色の切り替え時間が決定されるが、ここで決定された抽選結果の情報や切り替え時間の情報は遊技回用コマンドとして音声ランプ制御装置143に送信される。音声ランプ制御装置143では、当該遊技回用コマンドに基づいて、図柄表示装置91における変動パターンやリーチ発生の有無といった該当する遊技回の演出内容を決定する。
また、スルーゲート85への入賞が発生したタイミングでその時点での電役開放カウンタC4の値が取得され、その取得した値に基づいて電動役物を開放状態とするか否かの抽選が実行される。
再び図15を用いて、大当たり発生時の各種処理にて利用される電気的構成について説明する。
上述した内部抽選の結果大当たりに当選していると判定された場合には、上記可変入賞装置82が開放状態へ切り換られる。可変入賞装置82の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとし、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限とした開放が繰り返される。
各種カウンタエリア613fには、大当たり中のラウンドをカウントするラウンドカウンタRCと、入賞数をカウントする入賞カウンタPCと、各ラウンド中の開放期間をカウントする開放タイマカウンタOTCと、ラウンド間の閉鎖期間をカウントする閉鎖タイマカウンタCTCとが設けられている。
ラウンドカウンタRCは、最大値を「15」とするカウンタとなっており、1のラウンドが経過する毎に1ずつ減算される。そして、このラウンドカウンタが「0」となった場合には、大当たりに伴う可変入賞装置82の開放モードが終了する。入賞カウンタPCは最大値を「10」とするカウンタとなっており、第1検知カウンタによって遊技球が入賞したと判定される毎に1ずつ減算される。また、開放タイマカウンタOTCは最大値を「15000」とするカウンタとなっており、後述するタイマ割込み処理が行われるごとに1ずつ減算される。これら入賞カウンタPC及び開放タイマカウンタOTCの一方が「0」となることにより、1ラウンドが終了する。また、閉鎖タイマカウンタCTCは最大値を「2000」とするカウンタとなっており、後述するタイマ割込み処理が行われる毎に1ずつ減算され、同閉鎖タイマカウンタCTCが「0」となることで、次のラウンドへ移行され、可変入賞装置82の開閉扉270が開放されることとなる。
図10の説明に戻り、主制御回路602の出力側には、停電監視回路603、払出制御基板622及び中継端子板623が接続されている。払出制御基板622には、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。中継端子板623を介して主制御回路602から音声ランプ制御装置143に設けられた音声ランプ制御基板624に対して上記報知コマンドを含む各種コマンドが出力される。
停電監視回路603は、主制御回路602と電源・発射制御基板621とを中継し、また電源・発射制御基板621から出力される最大電源である直流安定24ボルトの電源を監視する。
払出制御基板622は、払出装置224により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU631は、そのMPU631により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM632と、ワークメモリ等として使用されるRAM633とを備えている。
払出制御基板622のRAM633は、主制御回路602のRAM613と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源・発射制御基板621からデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。
払出制御基板622のMPU631には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。払出制御基板622の入力側には、主制御回路602、電源・発射制御基板621、及び裏パック基板629が接続されている。また、払出制御基板622の出力側には、主制御回路602及び裏パック基板629が接続されている。
電源・発射制御基板621は、電源部と発射制御部とを備えている。電源部は、二重線矢印で示す経路を通じて、主制御回路602や払出制御基板622等に対して各々に必要な動作電力を供給する。発射制御部は、遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作にしたがって遊技球発射機構110の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構110は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
音声ランプ制御基板624は、各種ランプ部26〜28やスピーカ部29、及び表示制御装置625を制御するものである。演算装置であるMPU641は、そのMPU641により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM642と、ワークメモリ等として使用されるRAM643とを備えている。
音声ランプ制御基板624のMPU641にはアドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。音声ランプ制御基板624の入力側には中継端子板623に中継されて主制御回路602が接続されており、主制御回路602から出力される各種コマンドに基づいて、各種ランプ部26〜28、スピーカ部29、及び表示制御装置625を制御する。表示制御装置625は、音声ランプ制御基板624から入力する表示コマンドに基づいて図柄表示装置91を制御する。
<主制御装置162にて実行される各種処理について>
次に、主制御装置162のMPU611にて実行されるタイマ割込み処理及び通常処理を説明する。なお、MPU611では、タイマ割込み処理及び通常処理の他に、電源投入に伴い起動されるメイン処理とNMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とが実行されるが、これらの処理については説明を省略する。
<タイマ割込み処理>
先ず、タイマ割込み処理について、図17のフローチャートを参照しながら説明する。本処理はMPU611により定期的に(例えば2msec周期で)起動される。この周期は任意である。但し、当該タイマ割込み処理には、電断信号や不正検知信号の確認や、各種入賞の確認などといった短い周期で繰り返し実行すべき処理が設定されているため、これら以外の処理が設定されている後述する通常処理の繰り返し周期よりも短く設定されていることが好ましい。
先ずステップS101にて、信号読み込み処理を実行する。信号読み込み処理では、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口83,84及びスルーゲート85に対して個別に設けられた検知センサから入力ポートに入力されている情報を確認し、その確認結果から各入球部への入球の有無を特定する。具体的には、任意の1回の処理にて遊技球を検知していないことに対応した信号(例えば、LOWレベル信号)の入力を確認し、その後の2回の処理にて遊技球を検知していることに対応した信号(例えば、HIレベル信号)の入力を連続して確認した場合に、その検知センサに対応した入球部において遊技球の入球が発生したと特定する。以下、信号判定処理の一部、具体的には可変入賞装置82に対応した検知センサ350A,350Bからの信号に基づいた処理について図18のフローチャートを参照して説明する。
<信号読み込み処理>
信号読み込み処理においては、先ず第1検知センサ350Aから入力される検知信号の読み込み処理(ステップS201〜ステップS207)を行い、その後、第2検知センサ350Bから入力される検知信号の読み込み処理(ステップS208〜ステップS214)を行う。なお、これら各検知信号の読み込み処理の順序は、これに限定されるものではなく、先に第2検知センサ350Bから入力される検知信号の読み込み処理を行ってもよい。
ステップS201では、第1検知センサ350Aから入力されている検知信号がHIレベルであるか否かを判定する。ステップS203にて否定判定がなされた場合には、すなわち検知信号がLOWレベルである場合には、ステップS202に進み、第1検知カウンタDC1の値を「0」に更新した後、第2検知センサ350B用の信号読み込み処理に進む。
一方、ステップS201にて肯定判定がなされた場合には、すなわち検知信号がHIレベルである場合には、ステップS203に進む。ステップS203では、第1検知カウンタDC1の値が「1」であるか否かを判定する。
ステップS203にて肯定判定がなされた場合には、すなわち第1検知カウンタDC1の値が「1」である場合には、ステップS204にて第1検知カウンタDC1の値を「2」に更新(1加算)した後、ステップS205に進む。ステップS204における肯定判定は、検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルの順に入力されていることを示すものであり、このような信号の入力に基づいて、検知領域DE1を遊技球が通過した、すなわち大入賞口261への入賞があったと判定されることとなる。そして、続くステップS205にて第1入賞検知フラグをセットする。この第1入賞検知フラグは、大入賞口261への入賞に基づいて遊技球の払出し等を実行する際に用いられるフラグである。
ステップS205にて入賞検知フラグをセットした後は、第1検知センサ350A用の信号読み込み処理を終了して、第2検知センサ350B用の信号読み込み処理に進む。
一方、ステップS203にて否定判定をした場合には、すなわち第1検知カウンタDC1の値が「0」又は「2」であるには、ステップS206にて第1検知カウンタDC1の値が「2」であるか否かを判定する。ステップS206にて肯定判定をした場合、すなわち第1検知カウンタDC1の値が「2」である場合には、第1検知センサ350A用の信号読み込み処理を終了して、第2検知センサ350B用の信号読み込み処理に進む。
ステップS206にて否定判定をした場合、すなわち第1検知カウンタDC1の値が「0」である場合には、ステップS207に進み第1検知カウンタDCの値を「1」に更新(1加算)した後、第2検知センサ350B用の信号読み込み処理に進む。
次に、第2検知センサ350B用の信号読み込み処理について説明する。
ステップS202,S205,S207の各処理を実行した後は、ステップS208に進み、第2検知センサ350Bから入力されている検知信号がHIレベルであるか否かを判定する。ステップS208にて否定判定がなされた場合には、すなわち検知信号がLOWレベルである場合には、ステップS209に進み、第1検知カウンタDC1の値を「0」に更新した後、信号読み込み処理を終了する。
一方、ステップS208にて肯定判定がなされた場合には、すなわち検知信号がHIレベルである場合には、ステップS210に進む。ステップS210では、第2検知カウンタDC2の値が「1」であるか否かを判定する。
ステップS210にて肯定判定がなされた場合には、すなわち第2検知カウンタDC2の値が「1」である場合には、ステップS211にて第2検知カウンタDC2の値を「2」に更新(1加算)した後、ステップS212に進む。ステップS210における肯定判定は、検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルの順に入力されていることを示すものであり、このような信号の入力に基づいて、検知領域DE2を遊技球が通過した、すなわち大入賞口261への入賞があったと判定されることとなる。そして、続くステップS212にて第2入賞検知フラグをセットする。この第2入賞検知フラグは、大入賞口261への入賞に基づいて遊技球の払出し等を実行する際に用いられるフラグである。
ステップS212にて入賞検知フラグをセットした後は、本信号読み込み処理を終了する。
一方、ステップS210にて否定判定をした場合には、すなわち第2検知カウンタDC2の値が「0」又は「2」であるには、ステップS213にて第2検知カウンタDC2の値が「2」であるか否かを判定する。ステップS213にて肯定判定をした場合、すなわち第2検知カウンタDC2の値が「2」である場合には、信号読み込み処理を終了する。
ステップS213にて否定判定をした場合、すなわち第2検知カウンタDC2の値が「0」である場合には、ステップS214に進み第2検知カウンタDC2の値を「1」に更新(1加算)した後、本信号読み込み処理を終了する。
再び図17を参照してタイマ割込み処理について説明する。以上詳述した信号読み込み処理を実行した後は、ステップS102にて、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。続くステップS103では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4の更新を実行する。具体的には、それぞれの乱数カウンタの値を1ずつ加算するとともに、当該加算した値が上限値になっているか否かを判定する。そして、当該加算した値が上限値を超えている場合には、カウンタの値を初期値に設定する。その後、各カウンタC1〜C4の更新値を、RAM613の該当するバッファ領域に格納する。
ここで、大当たり乱数カウンタC1に関しては、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。乱数初期値カウンタCINIは乱数値であるため、大当たり乱数カウンタC1の初期値は変動している。よって、大当たり乱数カウンタC1の値が当選値と一致するタイミングは、大当たり乱数カウンタC1が1周する毎に異なっているため、大当たり乱数カウンタC1の値が当選値となるタイミングを把握することは困難になっている。
続くステップS104ではスルーゲート85への入賞に伴うスルー用の入賞処理を実行する。スルー用の入賞処理では、スルーゲート85への入賞が発生していた場合には、電役保留エリアに記憶されている役物保留記憶数が上限数(例えば、「4」)未満であることを条件として、前記ステップS103にて更新した電動役物開放カウンタC4の値を電役保留エリアに格納する。また、音声ランプ制御装置143に対して、役物保留記憶数と対応する保留ランプ部96を点灯させるための処理を実行する。
その後、ステップS105にて始動入賞処理を実行する。始動入賞処理では、RAM613の各種フラグ格納エリア613iにおける入賞検知フラグ格納エリアに作動口用の入賞検知フラグが格納されているか否かを判定することにより、遊技球が作動口83,84に入賞(始動入賞)したか否かを判定する。遊技球が作動口83,84に入賞したと判定すると、第1特定ランプ部93及び図柄表示装置91の作動保留球数Nが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判定する。作動口83,84への入賞があり、且つ作動保留球数N<4である場合に作動保留球数Nを1加算する。その後、抽選カウンタ用バッファ613gに格納されている大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、RAM613の保留球格納エリア613hの空きエリアのうち最初のエリアに格納する。
そして、始動入賞処理の後、MPU611は本タイマ割込み処理を一旦終了する。
<通常処理>
次に、通常処理の流れを図19のフローチャートを参照しながら説明する。通常処理は電源投入に伴い起動されるメイン処理が実行された後に開始される処理であり、通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS301〜S306の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS309,S310のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
通常処理において、ステップS301では、タイマ割込み処理又は前回の通常処理で設定したコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する。具体的には、賞球コマンドの有無を判定し、賞球コマンドが設定されていればそれを払出制御装置242に送信する。また、遊技回制御用コマンド又は遊技状態用コマンドが設定されている場合にはそれを音声ランプ制御装置143に送信する。更には、RAM613の各種フラグ格納エリア613iに後述するエラー検知フラグが格納されている場合には、それ音声ランプ制御装置143に報知コマンドを出力することにより、エラー表示ランプ部27やスピーカ部29を用いた旨の報知を実行するとともに、外部端子板213を経由してホールコンピュータへエラー情報を出力する。
続くステップS302では変動種別カウンタCSの更新を実行し、ステップS303では第1特定ランプ部93に表示される色の切り替えを行うための第1特定ランプ部制御処理を実行する。第1特定ランプ部制御処理では、大当たり判定や第1特定ランプ部93に配設されたLEDランプの光源スイッチのオンオフ制御などが行われる。また、第1特定ランプ部制御処理において、図柄表示装置91による第1図柄の変動表示の設定も行われる。
具体的には、大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判定する。より詳細には、大当たり乱数カウンタC1の値が予め定めた大当たり当選となる当選値と一致しているか否かを判定する。また、大当たり種別カウンタC2の値に基づいて大当たりの種類を決定する(いわゆる、確変大当たりか否かを決定する)。また、リーチ乱数カウンタC3の値及び変動種別カウンタCSの値に基づいて、第1特定ランプ部93に表示される色の切替表示時間、及び第1図柄の変動表示時間を決定する。なお、当該第1特定ランプ部制御処理にて第1特定ランプ部93のオンオフ制御が開始される毎に作動保留球数Nが1減算され、作動保留球数Nが0の場合にはオンオフ制御が開始されない。
第1特定ランプ部制御処理の後は、ステップS304にて大入賞口開閉処理を実行する。大入賞口開閉処理では、大当たり状態である場合において可変入賞装置82の大入賞口を開放又は閉鎖する。すなわち、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口を開放し、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数だけ入賞したかを判定する。なお、この大入賞口開閉処理についての詳細は後述する。
その後、ステップS305では、第2特定ランプ部94に表示される色の切り替え処理を行うための第2特定ランプ部制御処理を実行する。第2特定ランプ部制御処理では、スルーゲート85に遊技球が入賞したことを条件に第2特定ランプ部94における表示色の切り換えを開始する。この際、表示色の切り換え時間も設定する。また、スルーゲート85に遊技球が入賞した際に取得された第2特定ランプ乱数カウンタの値に基づいて停止表示する色を設定する。この停止表示される色として所定の色が設定された場合には、その色の停止表示後に、作動口83,84に付随する電動役物89が所定時間開放される。
ステップS305の後は、ステップS306にて、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、電源・発射制御装置243から発射許可信号を入力していることを条件として、所定期間(例えば、0.6sec)に1回、遊技球が遊技領域PEに向けて打ち出されるように、遊技球発射機構110を駆動させる。詳細には、MPU611は所定期間経過毎に電源・発射制御装置243に発射パルス信号を出力する。電源・発射制御装置243は、発射パルス信号が入力されたことに基づいて、当該発射パルス信号の電圧を増幅させた駆動信号(駆動電圧)を遊技球発射機構に搭載されているソレノイド111へ向けて出力し、ソレノイド111の出力軸を発射位置と収容位置とに移動させることで、遊技球の発射を制御する。
その後、ステップS307にて、RAM613に停電フラグが格納されているか否かを判定する。停電フラグが格納されていない場合には、ステップS308に進み、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始からタイマ割込み処理が複数回数として予め設定された割込み基準回数(具体的には、2回)発生したか否かを判定する。このタイマ割込みの回数の把握として具体的には、RAM613の各種カウンタエリア613fにおける割込み回数カウンタの値を、タイマ割込みが起動される度に1加算するとともに、ステップS301の処理が実行される直前のタイミングで当該カウンタの値が0クリアする(初期化される)。タイマ割込み処理が割込み基準回数発生していない場合には、ステップS309に進む。
ステップS309では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする(初期化する)。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM613の抽選カウンタ用バッファ613gに格納する。また、ステップS310では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値に達した際それぞれ0にクリアする(初期化する)。そして、変動種別カウンタCSの更新値を、RAM613の抽選カウンタ用バッファ613gに格納する。
その後、ステップS307に進み、前回の通常処理の開始からタイマ割込み処理が割込み基準回数発生するまで上述した処理を繰り返し、割込み基準回数に達した場合にはステップS301の処理に戻る。つまり、停電フラグが格納されていない場合には、ステップS301〜ステップS306の各種処理が4msec周期で繰り返し実行されることとなる。なお、当該周期は、遊技の進行を良好に制御することができるのであれば、4msecに限定されない。
停電フラグが格納されている場合には、ステップS311以降の停電時処理を実行する。つまり、ステップS311では、タイマ割込み処理の発生を禁止し、その後、ステップS312にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS313にてRAM613のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
<大入賞口開閉処理>
ここで、図20及び図21のフローチャートを参照してステップS304に示した大入賞口開閉処理について補足説明する。
大入賞口開閉処理においては、先ずステップS401にて大当たりが発生しているか否かを判定する。具体的には、RAM613の各種フラグ格納エリア613iに大当たりを示すフラグが格納されているか否かを判定する。同ステップS401にて否定判定をした場合には、そのまま本大入賞口開閉処理を終了する。一方、ステップS401に肯定判定をした場合には、ステップS402のエラー判定準備処理に進む。
エラー判定準備処理においては、図21(a)に示すように、先ずS501にてRAM613の各種フラグ格納エリア613iに検知領域DE1を遊技球が通過したことを示す第1入賞検知フラグが格納されているか否かを判定する。ステップS501にて肯定判定をした場合には、続くステップS502にてチェックカウンタCCの値を更新する、詳しくは「1」加算する。同ステップS502にてチェックカウンタCCの値を更新した後、又はステップS501にて否定判定をした場合には、ステップS503に進む。
ステップS503では、RAM613の各種フラグ格納エリア613iに検知領域DE2を遊技球が通過したことを示す第2入賞検知フラグが格納されているか否かを判定する。ステップS503にて肯定判定をした場合には、チェックカウンタCCの値を更新する、詳しくは「1」減算する。ステップS503にてチェックカウンタCCの値を更新した後、又はステップS503にて否定判定をした場合には、本エラー判定準備処理を終了する。
再び図20を参照して説明すれば、ステップS402にてエラー判定準備処理を行った後は、ステップS403に進み、大入賞口261(開閉扉270)が開放中であるか否かを判定する。具体的には、可変入賞装置82の駆動状態に基づいてかかる判定を行う。
ステップS403にて否定判定がなされた場合には、ステップS404に進み、エラー判定処理S404を実行する。
エラー判定処理S404では、図21(b)に示すように、先ずステップS601にて判定タイマカウンタJTCの更新処理を行う。具体的には、判定タイマカウンタJTCの値を「1」減算する。続くステップS602においては、判定タイマカウンタJTCの値が「0」であるか否かを判定する。つまり、開閉扉270が閉鎖されてからエラー判定を実行するタイミングとなったか否かを判定する。
ステップS602に否定判定がなされた場合、すなわち以下のエラー判定に関する各種処理を行うタイミングになっていないと判定された場合には、本エラー判定処理を終了する。一方、ステップS602にて肯定判定がなされた場合、すなわち、開閉扉270が閉じた時点で大入賞口261に流入した遊技球が検知領域DE2を通過し終えたであろう場合には、続くステップS603にてチェックカウンタの値が正常値であるか否かを判定する。詳しくはチェックカウンタCCの値が所定の範囲、詳しくは「99」〜「101」を外れているか否かが判定される。既に説明したように、ノイズ等の混入がない場合、加算及び減算が繰り返されたチェックカウンタCCの値は「100」のまま維持される。チェックカウンタCCの値が「100」から外れている場合には、ノイズ等の混入した可能性があるが、本実施の形態においては、閾値に幅を持たせることにより、2以内の誤差を許容している。これは、本エラーチェックを実行する時点で、両検知領域DE1,DE2の間を遊技球が通過している可能性を考慮するとともに、偶発的なノイズの混入に対する過敏な反応を抑制するための工夫である。
ステップS603にて、チェックカウンタCCの値が正常値、すなわち「99」〜「101」内であると判定された場合には、本エラー判定処理を終了する。一方、チェックカウンタCCの値が正常値でないと判定された場合には、ステップS604のエラーカウンタ更新処理に進む。エラーカウンタ更新処理においては、エラーカウンタECの値を「1」加算する。その後、ステップS605にて同エラーカウンタECの値が「3」に達しているか否かが判定される。
ステップS305にて否定判定をした場合、すなわちエラーカウンタECの値が「3」に達していない場合には、本エラー判定処理を終了する。一方、ステップS306にて肯定判定をした場合には、ステップS606にてRAM613の各種フラグ格納エリア613iにエラー報知フラグを格納し、続くステップS607にてエラーカウンタECを「0」に更新した後、本エラー判定処理を終了する。
図20に示すように、ステップS404のエラー判定処理を終了した後は、ステップS405に進み、ラウンドカウンタRCの値が「0」か否かを判定する。
ステップS405にて否定判定をした場合には、ステップS406に進み、閉鎖タイマカウンタCTCの値が「0」であるか否かを判定する。ステップS406にて肯定判定をした場合には、ステップS407にて大入賞口開放処理を実行する。具体的には、大入賞口261を開放すべく可変入賞装置82のソレノイドを励磁状態とし、開閉扉270を開位置へ移動させる。
続くステップS409では、各ラウンド用の設定処理を実行する。各ラウンド用の設定処理では、開放タイマカウンタOTCに、「15000」(すなわち30sec)をセットする。ここでセットされたカウント値は、タイマ割込み処理(図7)が起動される都度、すなわち2msec周期で1減算される。また、大入賞口261への遊技球の入賞数をカウントするために、RAM613の各種カウンタエリア613fに設けられた入賞カウンタPCに、「10」をセットする。
その後、ステップS409にて開放コマンドを設定し、続くステップS412にて大1検知フラグ及び第2検知フラグを消去した後、本大入賞口開閉処理を終了する。開放コマンドは、通常処理(図19)におけるステップS301にて、音声ランプ制御装置143に送信される。音声ランプ制御装置143は、受信した開放コマンドに基づいて、表示ランプ部26やスピーカ部29における演出内容を変更する。また、音声ランプ制御装置143は、上記開放コマンドをその情報形態を維持したまま表示制御装置625に送信する。表示制御装置625では、受信した開放コマンドに基づいて、図柄表示装置91における演出を切り換える。
ステップS405にて肯定判定をした場合、すなわちラウンドカウンタRCが「0」である場合には、ステップS410にてエラーカウンタECの値を「0」に更新するとともに、続くステップS411にて各種フラグ格納エリア613iに格納された大当たり用のフラグを消去し、ステップS412にて各検知フラグを消去した後、本大入賞口開閉処理を終了する。
また、ステップS406にて否定判定をした場合、すなわち閉鎖タイマカウンタCTCが「0」でない場合には、ステップS412にて各検知フラグを消去した後、本大入賞口開閉処理を終了する。
ステップS403にて肯定判定をした場合、すなわち大入賞口が開放中である場合には、ステップS413に進み開放タイマカウンタOTCの値が「0」か否かを判定する。開放タイマカウンタOTCの値が「0」でない場合、ステップS414にて大入賞口261に遊技球が入賞したか否かを、第1検知フラグが格納されているか否かをもって判定する。入賞が発生していない場合には、ステップS412にて各検知フラグを消去して、本大入賞口開閉処理を終了する。一方、入賞が発生している場合には、ステップS415にて入賞カウンタPCの値を1減算した後にステップS416にて入賞カウンタPCの値が「0」か否かを判定し、「0」でない場合には、ステップS412にて各検知フラグを消去した後、本大入賞口開閉処理を終了する。
ステップS413にて開放タイマカウンタOTCの値が「0」であると判定した場合、又はステップS416にて入賞カウンタPCの値が「0」であると判定した場合には、大入賞口閉鎖条件が成立したことを意味する。かかる場合にはステップS417にて大入賞口261を閉鎖すべく可変入賞装置82のソレノイドを非励磁状態とする。
続くステップS418ではラウンドカウンタRCの値を「1」減算し、ステップS419にてラウンドカウンタRCの値が「0」か否かを判定する。ラウンドカウンタRCの値が「0」でない場合には閉鎖タイマカウンタCTCの値を「2000」に更新し、続くステップS421にて閉鎖コマンドを設定する。
この設定された閉鎖コマンドは、通常処理(図19)におけるステップS301にて、音声ランプ制御装置143に送信される。音声ランプ制御装置143は、受信した閉鎖コマンドに基づいて、1ラウンド分の大入賞口261の開放が終了したことを特定する。また、音声ランプ制御装置143は、上記閉鎖コマンドをその情報形態を維持したまま表示制御装置625に送信する。表示制御装置625では、受信した閉鎖コマンドに基づいて、1ラウンド分の大入賞口261の開放が終了したことを特定するとともに、それに対応した処理を実行する。
ステップS419にて肯定判定をした場合(ラウンドカウンタRCが「0」である場合)、又はステップS421にて閉鎖コマンドを設定した後は、ステップS412にて各検知フラグを消去し、本大入賞口開閉処理を終了する。
次に、遊技球が検知センサ350A,350B(詳しくは検知領域DE1,DE2)を通過する際の入賞判定及び信号判定の態様の具体例について図22〜図24のタイミングチャートに基づき説明する。図22はノイズが混入していない状態を示し、図23,図24はノイズが混入している状態を示している。なお、図22(a)〜図24(a)はノイズを示す概略図、図22(b)〜図24(b)は第1検知センサ350Aの発振回路660Aによって生成される信号を示す概略図、図22(c)〜図24(c)は第2検知センサ350Bの発振回路660Bによって生成される信号を示す概略図、図22(d)〜図24(d)は第1検知センサ350Aから主制御装置162に入力される信号を示す概略図、図22(e)〜図24(e)は第2検知センサ350Bから主制御装置162に入力される信号を示す概略図、図22(f)〜図24(f)はチェックカウンタCCの値を示す概略図である。
先ず、図22を参照して、検知信号にノイズが混入していない場合について説明する。
ta1のタイミングにおいては、遊技球が検知領域DE1に達することにより、第1検知センサ350Aの発振回路660にて生成される高周波が減衰する。これにより、第1検知センサ350Aから出力される検知信号がLOWレベルからHIレベルに立ち上がる。
その後、上記タイマ割込み処理(詳しくは信号読み込み処理)にて、同検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルであることがta2のタイミングにて確認され、遊技球が検知領域DE1を通過した、すなわち大入賞口261において入賞が発生したと判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が「1」加算され、「100」から「101」に変更される。
その後,ta3のタイミングにて、遊技球が検知領域DE1を通過し、減衰されていた高周波が元の状態に復帰する。これにより、第1検知センサ350Aから出力される検知信号がHIレベルからLOWレベルに立ち下がる。
検知領域DE1を通過した遊技球は、上記下流通路335を流下し、ta4のタイミングにて第2検知センサ350Bの検知領域DE2に到達する。これにより、第2検知センサ350Bの発振回路660Bにて生成される高周波が減衰し、第2検知センサ350Bから出力される検知信号がLOWレベルからHIレベルに立ち上がる。
その後、上記タイマ割込み処理(詳しくは信号読み込み処理)にて、同検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルであることがta5のタイミングにて確認され、遊技球が検知領域DE2通過した、すなわち大入賞口261において入賞が発生したと判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が「1」減算され、「101」から「100」に戻る。
ta5のタイミングにて入賞が発生したと判定された後、詳しくはta4のタイミングから凡そ30msecが経過したta6のタイミングにおいては、遊技球が検知領域DE2を通過し、減衰されていた高周波が元の状態に復帰する。これにより、第2検知センサ350Bから出力される検知信号がHIレベルからLOWレベルに立ち下がることとなる。
第1検知センサ350Aからの検知信号に基づいて大入賞口261へ入賞したと判定された遊技球の数が、「10」に達すると可変入賞装置82の開閉扉270が閉位置へ復帰する。このタイミングから、4secが経過したta7のタイミングにてチェックカウンタCCの値に基づいたエラー判定が行われる。今回は、ノイズ等の混入が無く、チェックカウンタCCの値が「100」となっているため、エラーカウンタECが更新されることはない。
次に、図23を参照し、両検知センサ350A,350Bから出力される検知信号のうち一方にのみノイズが混入した場合について説明する。詳しくは、検知センサ350Aの発振回路660Aにて生成される高周波と同じ周波数且つ同じ振幅のノイズが周期的に発生し、同ノイズが発振回路660Aにて生成された高周波に混入した場合について説明する。
tb1のタイミングにおいては、遊技球が検知領域DE1に達することにより、第1検知センサ350Aの発振回路660Aにて生成される高周波が減衰する。これにより、第1検知センサ350Aから出力される検知信号がLOWレベルからHIレベルに立ち上がる。
その後、上記タイマ割込み処理(詳しくは信号読み込み処理)にて、同検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルであることがtb2のタイミングにて確認され、遊技球が検知領域DE1を通過した、すなわち大入賞口261において入賞が発生したと判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が「1」加算され、「100」から「101」に変更される。
tb2のタイミングから4msecが経過したtb3のタイミングにて、ノイズが混入すると、その混入したノイズに反応して検知信号がHIレベルからLOWレベルに立ち下がる。これにより、上記検知カウンタによる通過判定が有効化され、次のHIレベル信号の入力待ちの状態となる。
その後、2msec以上の期間を経たtb4のタイミングにてノイズが消失すると、第1検知センサ350Aから出力される検知信号がLOWレベルからHIレベルに復帰し、第1検知カウンタDC1を用いた入賞判定が実行され、続くtb5のタイミングにて、遊技球の入賞が発生したと誤判定される。つまり、実際には1の遊技球に対応している検知信号がノイズによって分化されることにより、2つ目の遊技球の入賞が発生していると誤判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が「1」加算され、同チェックカウンタの値は「102」となる。
続くtb6のタイミングにて再びノイズが混入すると、tb3のタイミングと同様に検知信号が一時的にLOWレベルに立ち下がり、tb7のタイミングにてノイズが消失することで検知信号がHIレベルに復帰する。そして、tb8のタイミングにて、再び遊技球の入賞が発生したと誤判定されることで、チェックカウンタCCの値が「1」加算される。これにより、同チェックカウンタの値は「103」となる。
なお、以降のtb9〜tb11については、既に説明したtb4〜tb6と同様の事象が発生し、その結果チェックカウンタCCの値が「104」に加算される。
続くtb12のタイミングにて、遊技球が第1検知センサ350Aの検知領域DE1を通過し終えると、発振回路660Aにて生成されている高周波がもとの状態に復帰し、第1検知センサ350Aから出力される検知信号がLOWレベルに立ち下がることとなる。
その後、上記ノイズは、遊技球が第2検知センサ350B(詳しくは検知領域DE2)に達する前まで継続して発生するが、この期間においては同ノイズによって検知信号がLOWレベルに立ち下がることは無い。
検知領域DE1を通過した遊技球は、上記下流通路335を流下し、tb13のタイミングにて第2検知センサ350Bの検知領域DE2に到達する。これにより、第2検知センサ350Bの発振回路660Bにて生成される高周波が減衰し、第2検知センサ350Bから出力される検知信号がLOWレベルからHIレベルに立ち上がる。
その後、上記タイマ割込み処理(詳しくは信号読み込み処理)にて、同検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルであることがtb15のタイミングにて確認され、遊技球が検知領域DE2通過した、すなわち大入賞口261において入賞が発生したと判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が「1」減算され、「104」から「103」に更新される。
tb14にて入賞したと判定された後、詳しくはtb13のタイミングから凡そ30msecが経過したtb15のタイミングにおいては、遊技球が検知領域DE2を通過し、減衰されていた高周波が元の状態に復帰する。これにより、第2検知センサ350Bから出力される検知信号がHIレベルからLOWレベルに立ち下がることとなる。
なお、tb13〜tb15の期間においては、上述したノイズは既に消失しているため、第1検知センサ350Aから出力された信号のように、ノイズによる検知信号の分化が発生することはない。
第1検知センサ350Aからの検知信号に基づいて大入賞口261へ入賞したと判定された遊技球の数が、「10」に達すると可変入賞装置82の開閉扉270が閉位置へ復帰する。このタイミングから4secが経過したtb16のタイミングにてチェックカウンタCCの値に基づいたエラー判定が行われる。チェックカウンタCCの値は「103」となっているため、上述した閾値(詳しくは「99」〜「101」)を外れている。このため、今回のラウンドにおいては、ノイズの影響により誤判定が発生していることとなり、エラーカウンタECが更新される。ここで、仮に、エラーカウンタECの値が「3」となった場合には、すなわち少なくとも3つのラウンドにてノイズ混入に起因する誤判定が発生したと認識された場合には、上述したエラー報知が実行されることとなる。
次に、図24を参照し、両検知センサ350A,350Bから出力される検知信号のう両方にノイズが混入した場合について説明する。詳しくは、検知センサ350A,350Bの発振回路660A,660Bにて生成される高周波と同じ周波数且つ同じ振幅のノイズが周期的に発生し、同ノイズが発振回路660A,660Bにて生成された高周波に混入した場合について説明する。
tc1のタイミング〜tc12のタイミングについては、上記tb1のタイミング〜tb12のタイミングと同様に、1の遊技球の入賞を示す検知信号が4つに分化されることで4度の入賞が発生したと判定され、その判定結果に基づいてチェックカウンタCCの値が「100」→「104」に加算される。
本具体例においては、ノイズが両検知センサ350A,350Bの検知信号出力期間を包括するようにして発生しているため、第2検知センサ350Bからの検知信号についてもノイズによる変化が生じる。
具体的には、検知領域DE1を通過した遊技球は、上記下流通路335を流下し、tc13のタイミングにて第2検知センサ350Bの検知領域DE2に到達する。これにより、第2検知センサ350Bの発振回路660Bにて生成される高周波が減衰し、第2検知センサ350Bから出力される検知信号がLOWレベルからHIレベルに立ち上がる。
その後、上記タイマ割込み処理(詳しくは信号読み込み処理)にて、同検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルであることがta5のタイミングにて確認され、遊技球が検知領域DE2通過した、すなわち大入賞口261において入賞が発生したと判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が「1」減算され、「104」から「103」に更新される。
その後、tc14のタイミングから2msecが経過したtc15のタイミングにて、ノイズが混入すると、その混入したノイズに反応して検知信号がHIレベルからLOWレベルに立ち下がる。これにより、上記検知カウンタによる通過判定が有効化され、次のHIレベル信号の入力待ちの状態となる。
その後、2msec以上の期間を経たtb16のタイミングにてノイズが消失すると、第2検知センサ350Bから出力される検知信号がLOWレベルからHIレベルに復帰し、第2検知カウンタDC2を用いた入賞判定が実行され、続くtc17のタイミングにて、遊技球の入賞が発生したと誤判定される。つまり、実際には1の遊技球に対応している検知信号がノイズによって分化されることにより、2つ目の遊技球の入賞が発生していると誤判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が「1」減算され、同チェックカウンタの値は「102」となる。
tc17のタイミングにて入賞が発生したと判定された後、詳しくはtc13のタイミングから凡そ30msecが経過したtc18のタイミングにおいては、遊技球が検知領域DE2を通過し、減衰されていた高周波が元の状態に復帰する。これにより、第2検知センサ350Bから出力される検知信号がHIレベルからLOWレベルに立ち下がることとなる。
第1検知センサ350Aからの検知信号に基づいて大入賞口261へ入賞したと判定された遊技球の数が、「10」に達すると可変入賞装置82の開閉扉270が閉位置へ復帰する。このタイミングから、4secが経過したtc19のタイミングにてチェックカウンタCCの値に基づいたエラー判定が行われる。チェックカウンタCCの値は「102」となっているため、上述した閾値(詳しくは「99」〜「101」)を外れている。このため、今回のラウンドにおいては、ノイズの影響により誤判定が発生していることとなり、エラーカウンタECが更新される。ここで、仮に、エラーカウンタECの値が「3」となった場合には、すなわち少なくとも3つのラウンドにてノイズ混入に起因する誤判定が発生したと認識された場合には、上述したエラー報知が実行されることとなる。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
大入賞口261に流入した遊技球を2つの検知センサ350A,350Bによって個別に検知し、それら各検知センサ350A,350Bから出力される検知信号に基づいて入賞判定を行う構成とし、入賞判定精度の向上を図っている。これにより、誤検知による不利益の発生を抑制し、遊技機の信頼性向上に貢献することができる。
検知センサ350A,350Bから出力される信号に混入するノイズは、偶発的な要因によるものばかりでなく、不正行為者によって意図的に混入される可能性がある。例えば、パチンコ機10の前方から検知センサ350A,350Bに対して当該検知センサ350A,350Bの発振回路660A,660Bにて生成される高周波と同様の高周波が射出されることにより、意図的にノイズが混入され得る。この点、本実施の形態においては、それら両検知センサ350A,350Bから出力される検知信号の出力期間を相違させることで、上記不正行為に対する防犯機能を好適に高めることが可能である。
具体的には、高周波の振幅が減少することにより、遊技球の通過を検知する構成としているため、遊技球が大入賞口261に流入していない場合に、上記不正な高周波を出力したとしても、高周波の振幅を減少させることは困難である。このため、不成行為者は、遊技球が大入賞口261に流入したタイミングを見計らって上記不正な高周波を射出すると想定される。このようにして、検知信号にノイズが混入すると、1の遊技球を検知したことを示す信号が複数に分化され、あたかも複数の遊技球を検知したかのように変化し得る。上述の如く、検知信号の出力期間を相違させることにより、検知信号が分化される数を相違させることができる。その後、各検知センサ350A,350Bによって検知された遊技球の数を比較することにより、上述したノイズの混入を容易に発見することが可能となる。
本実施の形態においては特に、検知センサ350A,350Bから入力される検知信号に基づいて入賞判定を行う場合に、それら各判定の判定条件を同一とした。これにより、実質的に無害なノイズと、遊技機進行に影響をおよぼし得る有害なノイズとを区別することができる。無害なノイズについて過敏に反応することは、遊技の円滑な進行を妨げる要因となるため好ましくなく、このようなノイズを無視することで実用上好ましい構成を実現できる。また、上述の如く不正行為者よるノイズの意図的な混入がなされた場合には、このような有害なノイズを好適に識別することができる。これにより、不正行為の発見を容易なものとすることができる。
また、入賞に基づく遊技球の払い出しを、上流側に配置された第1検知センサ350Aの検知結果に基づいて実行し、第2検知センサ350Bによる検知結果を払い出しに反映しない構成とした。これにより、入賞時の特典付与を迅速に行うことが可能となっている。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
(1)上記実施の形態では、「入球部」としての大入賞口261に、「第1検知手段」としての第1検知センサ350A、「第2検知手段」としての第2検知センサ350B及びそれら検知センサ350A,350Bに付随する構成を適用し、各検知センサ350A,350Bの検知結果を比較することにより、入賞判定精度の向上を図った。「検知手段」を3つ以上設けることも可能である。この場合、各検知手段からの検知信号に基づく判定結果(例えば入賞したと判定された遊技球の数)を個別に記憶する記憶手段を採用し、それら各判定結果を比較する構成とすればよい。例えば、検知センサを3つ有する構成とした場合には、各検知センサからの出力信号に基づいて個別に判定結果を出し、それら判定結果のうち1つが他の2つと相違している場合に、ノイズが発生したと判定する構成とするとよい。
(2)上記実施の形態では、「判定手段」の判定結果に基づいて、遊技球の入賞が発生したことを把握する構成としたが、これに限定されるものではない。本実施の形態に示した検知精度向上に関する技術的思想を入賞判定以外に適用することも可能である。
例えば、スロットマシン等においては所定数の遊技媒体を投入することにより、大当たり等の抽選が可能となるが、この遊技媒体を「検知手段」によって検知するとともに、その検知情報を「判定手段」によって判定することで投入の可否を判定する構成とすることも可能である。これにより、ノイズ等の影響により遊技媒体を投入していないにも関わらずあたかも遊技媒体が投入されたかのような判定がなされることを回避することが可能となる。
(3)上記実施の形態に示した検知精度向上に関する技術的思想を作動口83,84や一般入賞口81等に適用することも可能である。すなわち、「入球部」として一般入賞口81や作動口83,84等を採用することも可能である。更には、「入球部」は必ずしも遊技球を遊技領域PEから離脱させるものである必要はなく、スルーゲート85のように、入球した遊技球が遊技領域PEから離脱しない構成を含む。このような変更を行った場合、エラー判定を行うタイミングは任意であり、例えば、何れか一方の検知センサの検知信号に基づいて入賞が発生したと判定されたタイミングにて、他方の検知センサの判定結果を参照することにより、エラー判定を行うことも可能である。
大入賞口261においては開放期間と閉鎖期間とが設定されていたため、遊技球が「案内通路」としての下流通路335内に滞留していないタイミング、つまり両検知センサ350A,350Bの検知領域DE1,DE2を通りすぎたタイミングにて、エラー判定を行うことが可能であった。しかしながら、作動口83,84等においては、常に遊技球が流入する可能性がある。このため、エラー判定を行うタイミングによっては、ノイズが発生していないにも関わらず、判定結果(入賞したと判定された遊技球の数)が相違し得る。故に、このような構成を採用する場合、併せて以下の変更を行うとよい。
すなわち、第1検知センサ350Aの検知領域DE1から第2検知センサ350Bの検知領域DE2までの通路に滞留可能な遊技球の数を閾値とし、両検知センサ350A,350Bにおける判定結果の差(入賞したと判定された遊技球の数の差)が、その閾値を超えた場合にエラーが生じたと判定する構成とするとよい。なお、このような構成を採用する場合、検知領域DE1と検知領域DE2との間に滞留可能な遊技球の数を減らすことにより、エラー判定の閾値を厳し目に設定することが可能である。また、エラー報知のパターンは1に限定されるものではない。例えば、閾値を2段階で設定し、1段階の閾値を超えた場合には、たくさんの遊技球が一気に流入している可能性を交流して、「DOOD JOB」等遊技者を称えるようなメッセージを表示させる構成とし、2段階面の閾値(すなわち上述した現実的な最大値)を超えた場合には「係員を呼んでください」等の不具合が生じていることを示唆するメッセージを表示させる構成としてもよい。
更には、判定結果を比較する場合には、必ずしも同じタイミングでの判定結果同士を比較対象とする必要はない。例えば、遊技球が検知領域DE1から検知領域DE2まで期間を一定化する一定化手段を設け、下流側に位置する検知領域DE2にて入賞が発生したと判定されたタイミングから上記一定化手段によって規定された期間を遡った検知領域DE1での過去の判定結果と、検知領域DE2における現在の判定結果を比較対象とすることも可能である。
(4)上記実施の形態では、第1検知センサ350Aから出力される検知信号の出力期間が、第2検知センサ350Bから出力される検知信号の出力期間よりも長くなる構成としたが、これを逆にすることも可能である。この場合、第1検知センサ350A(詳しくは検知領域DE1)における遊技球の通過速度を速くすることができ、入賞判定の応答性向上が期待できる。
(5)上記実施の形態では、第1検知センサ350Aからの検知信号に基づく入賞判定結果に応じて、遊技者に特典の付与(詳しくは遊技球の払い出し)を行う構成とし、第2検知センサ350Bをエラー判定用のセンサとして活用したが、これに限定されるものではない。例えば、第2検知センサ350Bからの検知信号に基づく入賞判定結果に応じて、遊技者に特典の付与を行う構成とし、第1検知センサ350Aをエラー判定用のセンサとして活用することも可能である。また、両検知センサ350A,350Bの検知信号に基づいた入賞判定結果が一致した場合にのみ、上記特典の付与を行う構成とすることも可能である。
但し、これらの変形例を採用した場合には、遊技者が目視にて入賞を確認してから、特典が付与されるまでの待機期間が長くなると想定される。つまり、入賞時の応答性が低下すると懸念される。故に、好ましくは上流側に位置する第1検知センサ350Aを特典付与用のセンサとし、下流側に位置する第2検知センサ350Bをエラー検知用のセンサとするとよい。
(6)上記実施の形態では、第1検知センサ350Aを第1縦通路336に配設するとともに、第2検知センサ350Bを第2縦通路338に配設した。つまり、両検知センサ350A,350Bの間にて「案内通路」を構成する下流通路335の通路方向が変化する構成とした。これを変更し、1の方向に延びる通路に両検知センサ350A,350Bを配設することも可能である。
(7)上記実施の形態では、大入賞口用回収通路部310によって区画形成された各通路325,335を遊技球が通過することにより、その移動速度を一定化し、各検知領域での通過速度に差を生じさせた。出力期間の調整方法は、これに限定されるものではない。例えば、検知領域DE1,DE2の幅(通路方向の長さ寸法)を相違させることにより、出力期間に差を生じさせてもよいし、検知センサ350A,350Bの制御回路670A,670Bに出力期間を調整する調整回路を設けてもよい。
(8)上記実施の形態では、検知領域DE2を通過する遊技球の通過速度を一定化する構成としたが、これを任意に変更可能な構成とすることも可能である。以下、図25に基づき具体例について説明する。図25は、出力期間調整手段の変形例を示す概略図である。
図25に示すように、大入賞口用回収通路部801によって区画されている流下通路802の途中位置(詳しくは第1検知センサ350Aと第2検知センサ350Bとの間となる位置)には、には球送り機構810が設けられている。球送り機構810には誘導通路265から流出した遊技球を所定の速度で第2検知センサ350B側へ送る機能が付与されている。
具体的には、球送り機構810は、回転体811と、同回転体811を駆動する駆動部としての駆動モータとを有している。詳しくは、回転体811は略円板状をなしており、その中心が駆動モータの出力軸に固定されている。
駆動モータは、ステッピングモータにより構成されており、電源・発射制御装置243から供給される電力によって、常時一定の速度で回転する。このように駆動モータが駆動することで、回転体811はその所定方向に一定速度で回転する。
回転体811の周縁には、複数個所(本変形例においては180°間隔で2箇所)に、凹部812が形成されている。これら凹部812に入り込んだ遊技球のみが下流側へ案内される。
つまり、遊技球の移動速度が回転体811よりも上流側にてどのようにばらついたとしても、同回転体811を介して第2検知センサ350B側へ移動することにより、その移動速度が一定となるように調整される。つまり、球送り機構810を採用することにより第2検知センサ350B(検知領域DE4)を通過する際の通過速度を任意の速度となるよう調整することができ、上記出力期間の調整が可能となる。
また、このような球送り手段を有する構成を採用した場合には、併せて以下の構成を採用することにより、更なる防犯性の向上が期待できる。上記変形例においては球送り速度を駆動モータの回転速度によって調整し、検知センサから検知信号(HIレベル信号)が出力される期間を定期的に又は不定期的に変化させることが可能である。このような期間の変化に応じてタイマカウンタに入力される値を変化させるとよい。例えば、駆動モータへ印加する電圧をHI,LOWで切り替え可能とするとともに、同電圧がHIレベルである場合には検知信号の出力期間を20msec、LOWレベルである場合には検知信号の出力期間を30msecとなるように設定する。そして、出力期間の切り替え条件を、ノイズの検知に関連付けることとする。例えば、ノイズの混入が確認されていない通常状態では出力期間を20msecとなるように設定するとともに、ノイズの混入が確認された場合には出力期間を20msecから30msecに切り替えるように設定する。これにより、ノイズの混入を好適に把握することが可能となる。また、検知時の応答性を考慮した場合には球送り速度が速いほうが好ましいと想定される。故に、上述の如くノイズを検知した場合に一時的に出力期間を延長する構成とすることで、ノイズの検知機能を強化しつつ遊技進行の円滑さを妨げにくくすることが可能となり、実用上好ましい構成を実現できる。
(9)上記実施の形態においては、遊技球を自由落下させることにより、同遊技球が検知領域DEを通過する際の速度ばらつきを抑える構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、略水平方向に延びる通路に沿って遊技球が流下する構成とし、その通路の途中位置に検知領域DEを設けることも可能である。
(10)上記実施の形態では、検知領域DE1から検知領域DE2に到達するまでの移動期間を固定式としたが、両移動期間を可変式とすることも可能である。この場合、例えば通路長を変更することにより移動期間を変化させることも可能であるが、このような構成とした場合、遊技球の円滑な流下を担保することが困難になり得る。そこで、例えば、横通路337の上面にコンベアを設け、このコンベアによって遊技球が第2縦通路338に輸送される構成とするとよい。コンベアによる輸送速度を調整することによって、上記移動期間を相違させることが可能となる。これにより、遊技球が検知領域を通過するタイミングを見計らってノイズを混入させるといった行為を難しくすることができる。
(11)上記実施の形態では、定期的に行われる信号読み込み処理にて検知センサ350から入力された信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルと認識されることにより、遊技球の入賞が発生したと判定する構成としたが、この判定条件は任意である。例えば、LOWレベル→HIレベル→HIレベル→HIレベルと認識されることにより遊技球の入賞が発生したと判定する構成としてもよいし、LOWレベル→HIレベルと認識されることにより、遊技球の入賞が発生したと判定する構成としてもよい。
(12)上記実施の形態では、信号判定処理におけるエラー(ノイズ)判定の判定条件を、通常の入賞判定の判定条件と同一とした。すなわち、検知センサ350,450から入力される信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルと認識することにより、エラーが発生していると判定する構成とした。このエラー判定の判定条件は任意であり、必ずしも入賞判定の判定条件と同一にする必要はない。但し、両判定条件を同一とすれば、無害なノイズと、有害なノイズとを区別することが可能となり、防犯性の向上が期待できるてんで優れている。故に、望ましくは両判定条件を統一するとよい。
(13)上記実施の形態では、「検知手段」としての検知センサ350からの検知情報を主制御装置162に入力し、「通過判定手段」を構成する信号読み込み処理や信号判定処理を主制御装置162のMPU611にて実行する構成としたが、これを以下のように変更することも可能である。すなわち、検知センサ350からの検知情報を払出制御装置242等の他の制御装置に入力し、同制御装置にて上記信号読み込み処理や信号判定処理を実行する構成とすることも可能である。更には、信号入力処理と信号判定処理を同一の制御装置にて実行する必要は必ずしもなく、両処理を別々の制御装置で実行することも可能である。
(14)上記実施の形態では、「報知手段」としてエラー表示ランプ部27、スピーカ部29及びホールコンピュータにエラー情報を伝達する機能を有する構成とし、エラーが発生した際の把握を容易化したが、これに限定されるものではない。例えば、パチンコ機10において行われるエラー表示ランプ部27やスピーカ部29を用いた報知を行わない構成とし、エラー発生時にはその情報をホールコンピュータにのみ伝達する構成とすることも可能である。
更には、エラーの発生頻度が大きくなった場合に遊技進行を中断させるロック手段を設け、状態復帰スイッチ245等の操作に基づいて同ロック手段によるロック状態が解除されることにより遊技が再開される構成とすることも可能である。
(15)上記実施の形態では、「検知手段」として高周波発振式の磁気センサを採用したが、これに限定されるものではない。例えば、フォトセンサ等の光学式の近接センサを採用してもよいし、プッシュセンサ等の接触式のセンサを採用してもよい。
(16)上記実施の形態では、「検知手段」としての検知センサ350(詳しくは筒状部362a)によって「案内通路」を構成する縦通路336,338の一部を区画形成する構成としたが、これに限定されるものではない。すなわち、検知センサによって案内通路の一部を区画形成する必要はない。本実施の形態においては特に、検知センサ350が磁気センサであるため、案内通路の通路壁を隔てた外側に検知センサを配置することも可能である。
(17)上記実施の形態では、各検知センサ350による遊技球の検知数同士を比較することにより異常判定を行う構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、第1検知センサ350Aにて検知信号がHIレベルであると検知された回数と、第2検知センサ350Bにて検知信号がHIレベル信号であると検知された回数とを比較することにより異常判定を行う構成としてもよい。但し、このような変更を行う場合、検知信号の出力期間が相違しているため検知回数に差違が生じると想定される。この差違は、遊技球の通過速度のばらつきによって大きくなったり小さくなったりすると想定される。そこで、このようなばらつきを考慮して、異常判定にはある程度の誤差を許容する余裕代を設定することが好ましい。
また、遊技球検知の信号が出力されている期間中に第1検知センサ350Aにて検知信号がLOWレベルであると検知された回数と、第2検知センサ350Bにて検知信号がLOWレベル信号であると検知された回数とを比較する構成としてもよい。この場合、HIレベル信号の検知回数を参照する場合と比較して、上記余裕代を小さくすることができ、実用上好ましい構成を実現できる。
(18)上記実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されるか所定時間が経過することでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも本発明を適用できる。
更に、外枠に開閉可能に支持された遊技機本体に貯留部及び取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも本発明を適用できる。
<上記実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
特徴1.遊技媒体を案内する案内通路(例えば誘導通路265、上流通路325及び下流通路335)と、
前記案内通路における第1検知位置を通過する遊技媒体を検知して所定の検知信号を出力する第1検知手段(第1検知センサ350A)と、
前記案内通路において前記第1検知位置よりも下流側の第2検知位置を通過する遊技媒体を検知して所定の検知信号を出力する第2検知手段(第2検知センサ350B)と、
前記案内通路における第1検知位置を遊技媒体が通過したか否かを、前記第1検知手段から出力される前記検知信号に基づいて判定する第1判定手段(主制御装置162のMPU611において信号読み込み処理のステップS201〜ステップS207を実行する機能)と、
前記案内通路における前記第2検知位置を遊技媒体が通過したか否かを、前記第2検知手段から出力される前記検知信号に基づいて判定する第2判定手段(主制御装置162のMPU611において信号読み込み処理のステップS208〜ステップS214を実行する機能)と、
前記第1検知手段からの前記検知信号として遊技媒体検知の信号が出力される出力期間の長さと、前記第2検知手段からの前記検知信号として遊技媒体検知の信号が出力される出力期間の長さと、を相違させる出力期間調整手段(例えば誘導通路265、上流通路325及び下流通路335)と、
前記第1判定手段によって前記第1検知位置を通過したと判定された遊技媒体の数と、前記第2判定手段によって前記第2検知位置を通過したと判定された遊技媒体の数と、に基づいて異常判定を行う異常判定手段(主制御装置162のMPU611においてエラー判定処理のステップS603を実行する機能)と
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴1によれば、案内通路によって案内される遊技球が第1検知手段及び第2検知手段によって検知されると、それら第1検知手段及び第2検知手段から検知信号が出力され、それら各検知信号に基づいて遊技媒体の通過判定が行われる。そして、第1検知位置を通過したと判定された遊技媒体の数と第2検知位置を通過したと判定された遊技媒体の数とに基づいて(例えば比較して)異常判定を行うことにより、検知信号の異常(例えばノイズ等の混入)の発生を見つけることができる。これにより、例えば、誤った判定結果に基づき遊技者に対して不当に特典が付与されることを抑制し、遊技の健全性の担保に貢献することができる。
上述した不都合は、偶発的な要因や人為的な要因によって発生し得る。検知信号としての遊技媒体検知の信号の出力期間中に同遊技媒体検知の信号に連続して繰り返し発生するノイズが混入した場合を想定すると、例えば検知信号が部分的に遊技媒体非検知の信号に切り替ることにより1の遊技媒体検知の信号が複数の遊技媒体検知の信号に分化され得る。つまり、ノイズの混入によって、あたかも複数の遊技媒体の通過が検知されたかのように1の遊技媒体検知の信号が変化する可能性がある。このようなノイズが、第1検知手段からの検知信号と第2検知手段からの検知信号とに同じように混入すると、以下の不都合が生じ得る。つまり、各判定手段によって判定される遊技媒体の数が同数となり、それら両遊技媒体数に基づく異常判定が回避され、異常判定手段によるノイズの把握が困難になると想定される。
特に上述したノイズが人為的に混入される場合、不正行為を効率に行うために遊技媒体の通過タイミング(すなわち検知信号の出力タイミング)を見計らって複数のノイズを混入させることにより、1の遊技媒体の通過に対応する検知信号を多数の遊技媒体の検知信号に分化されると想定される。仮に、このような不正行為の発見が困難になると、遊技ホール等における損害が甚大なものになり得る。この点、本特徴においては、各検知手段から出力される遊技媒体検知の信号の出力期間の長さを相違させることにより、上記不都合を好適に抑制することができる。つまり、上述の如く1の検知信号に複数のノイズが混入される場合、各検知信号の出力期間の長さが相違することにより、分化される数が相違しやすくなる。より具体的には、連続して複数のノイズが繰り返し混入する場合、2つの出力期間内では、検知信号が分化される数が相違することとなる。これにより、各検知信号に基づいて通過したと判定される遊技媒体の数が相違することとなる。
このため、異常判定手段によって判定結果を比較することにより、上述した不正行為を好適に見つけることが可能となる。
以上、詳述したように期間調整手段及び異常判定手段によってノイズの混入等による誤判定を抑制することで、判定精度を向上することが可能となる。故に、誤検知による不利益の発生を抑制し、遊技機の信頼性向上に貢献することができる。
特徴2.前記出力期間調整手段は、前記第1検知位置における遊技媒体の通過速度を、前記第2検知位置における同遊技媒体の通過速度とは相違するようにして調整することにより、前記第1検知手段における前記出力期間の長さと、前記第2検知手段における前記出力期間の長さとを相違させるものであることを特徴とする特徴1に記載の遊技機。
特徴1等に示した構成を実現するには、出力期間調整手段によって各検知位置における遊技媒体の通過速度を相違させるとよい。
特徴3.前記出力期間調整手段は、前記第1検知位置における遊技媒体の通過速度が前記第2検知位置における遊技媒体の通過速度よりも遅くなるように調整するものであることを特徴とする特徴1又は特徴2に記載の遊技機。
特徴1等に示したように、各検知手段から出力される遊技媒体検知の信号の出力期間を相違させる構成においては、それら各出力期間の長さの差が小さくなると、判定精度の向上機能が低下し得る。例えば、案内通路内で遊技媒体の流下が滞る等した場合には、遊技媒体同士が干渉して各検知位置における通過速度が安定しない可能性がある。これは、第1検知手段から出力される遊技媒体検知の信号の出力期間の長さと、第2検知手段から出力される遊技媒体検知の信号の出力期間の長さと、の差を縮める要因となり得るため好ましくない。
この点、本特徴に示すように、案内通路を移動する遊技球の移動速度を、第1検知位置側で遅く、第2検知位置側で早くすることが可能であれば、案内通路内での遊技媒体の移動を円滑なものとすることができ、上述したような遊技媒体同士の干渉を好適に抑制することができる。これにより、出力期間の差が縮まるといった不都合の発生を抑えることが可能となる。
特に、第2検知位置においては、仮に後続の遊技媒体が先行する遊技媒体に当たって先行する遊技媒体が加速された場合、第2検知位置における先行する遊技媒体の通過速度が速くなることはあっても遅くなることはない。第2検知手段から出力される検知信号の出力期間が、第1検知手段から出力される検知信号の出力期間よりも短く設定されているため、上述の如く遊技媒体が加速した場合には、両出力期間の差が拡大されることとなる。故に、上記不都合を一層好適に回避することができる。
特徴4.前記第1判定手段によって前記第1検知位置を遊技媒体が通過したと判定された場合に、その判定結果に基づいて遊技者に特典を付与する特典付与手段(例えば主制御装置162のMPU611において通常処理のステップS301を実行する機能)を備え、
前記出力期間調整手段は、前記第2検知位置における遊技媒体の通過速度が前記第1検知位置における遊技媒体の通過速度よりも遅くなるように調整するものであることを特徴とする特徴1又は特徴2に記載の遊技機。
例えば、第2検知位置を遊技媒体が通過したと判定された場合に上記特典(例えば遊技媒体の払い出し等)の付与を行う構成や、第1検知位置及び第2検知位置の両検知位置を遊技媒体が通過したと判定された場合に上記特典の付与を行う構成を採用することも可能である。しかしながら、これらの構成においては、第2検知位置を通過したと判定されるまで特典付与が行われないため、案内通路に遊技媒体が流入してから特典が付与されるまでの期間が間延びすると想定される。つまり、上記例示した構成においては、検知精度の向上を図ることができる反面、特典付与の応答性の向上が困難になり得る。
この点、本特徴によれば、案内通路に流入した遊技媒体が第2検知位置よりも上流側の第1検知位置を通過し、第1判定手段によって同第1検知位置を同遊技媒体が通過したと判定されることにより、遊技者に特典が付与される。これにより、検知精度の向上を図りつつ、それに起因した特典付与時の応答性の低下を抑制することができる。
また、第1検知位置を第2検知位置よりも案内通路における上流側に配置するとともに、同第2検知位置における遊技媒体の通過速度を第1検知位置における遊技媒体の通過速度を遅くすることにより、第2検知位置における遊技媒体の通過速度を第1検知位置における遊技媒体の通過速度を速くする場合と比較して、遊技媒体が案内通路に流入してから特典が付与されるまでの期間を短縮し、上述した特典付与時の応答性を向上することができる。すなわち、実際に遊技媒体が第1検知位置を通過してから特典が付与されるまでの期間が間延びすることを抑制し、遊技進行の円滑化に貢献することができる。
特徴5.前記出力期間調整手段は、前記案内通路において前記第1検知位置と前記第2検知位置との間となる部位に、遊技媒体の通過速度を調整する速度調整部が設けられていることで構成されていることを特徴とする特徴2乃至特徴4のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴1に示したように案内通路に流入した遊技球を検知手段によって検知する場合には、遊技媒体の通過判定結果を用いて各種処理が実行されると想定される。本特徴に示すように、第1検知位置と第2検知位置との間に速度調整部(出力期間調整手段)を配すれば、第1検知位置を案内通路における上流寄りに配置することが可能となり、遊技媒体が案内通路に流入してから上記処理が行われるまでの期間が間延びすることを抑え、同処理の応答性の向上に貢献することができる。例えば、特徴4との組み合わせにおいては、特典付与時の応答性を向上することにより、円滑な遊技の進行に貢献することができる。
特徴6.前記第1検知手段の検知信号により遊技媒体の通過判定がなされた場合、又は前記第2検知手段の検知信号により遊技媒体の通過判定がなされた場合において、そのいずれか一方では、通過判定結果に基づく前記遊技媒体の検知数を検知数差分カウンタ(チェックカウンタCC)に加算し、他方では、通過判定結果に基づく前記遊技媒体の検知数を前記検知数差分カウンタから減算する差分値算出手段(主制御装置162のMPU611においてエラー判定準備処理のステップS501〜S504を実行する機能)を備え、
前記異常判定手段は、前記検知数差分カウンタの初期値からの変化量に基づいて、前記第1判定手段によって通過判定された遊技媒体の数と前記第2判定手段によって通過判定された遊技媒体の数とを比較して前記異常の判定を行うことを特徴とする特徴1乃至特徴5のいずれか1つに記載の遊技機。
ノイズ等の混入が無く、検知信号に基づいた通過判定が正常に行われている場合には、第1検知位置を通過したと判定された遊技媒体の数と、第2検知位置を通過したと判定される遊技媒体の数とが一致する。このため、記憶手段に記憶されている遊技媒体の数は一時的に増加したり減少したりするものの、初期の値と同じ値に保持されることとなる。一方、検知信号にノイズ等が混入した場合には、第1検知位置を通過したと判定された遊技媒体の数と、第2検知位置を通過したと判定される遊技媒体の数とが相違することとなる。これにより、検知差分数カウンタに記憶されている数は初期の値から外れたままとなる。このような検知差分数カウンタの初期値からの外れに基づいて、第1判定手段によって通過判定された遊技媒体の数と第2判定手段によって通過判定された遊技媒体の数とを比較して異常判定を行うことにより、検知信号に異常が発生した旨の判定がなされる。例えばその比較結果を報知手段等を用いてホール管理者等に伝えることにより、ノイズ等の発生を容易に把握することが可能となる。
本特徴においては特に、各判定手段による判定結果を1のカウンタによってまとめて取り扱うことが可能であり、判定精度の向上を図りつつ、それによる構成の煩雑化を抑制することが可能となっている。
特徴7.前記第1検知位置及び前記第2検知位置が遊技機前方から視認困難又は不可となるように前記案内通路を遮蔽する遮蔽手段(例えば遊技盤80)を備え、
前記期間調整手段は、前記第1検知手段における前記出力期間の長さと、前記第2検知手段における前記出力期間の長さと、の少なくとも一方を変更する出力期間変更手段を有していることを特徴とする特徴1乃至特徴6のいずれか1つに記載の遊技機。
既に説明したように、判定結果に影響を与え得るノイズの混入は、偶発的に生じるのものに限られず、不正行為者によって意図的に行われる可能性がある。このような不正なノイズの混入がなされる場合を想定すれば、第1検知手段に混入させるノイズと、第2検知手段に混入させるノイズとが調整されること、例えば各検知手段に混入させるノイズの数や出力期間等を各検知手段から出力される遊技媒体検知の信号の数が同一となるように調整されることにより、各判定手段によって通過判定される遊技媒体の数に差違が生じなくなる。これにより、上記異常判定手段による異常の発見が困難になり得る。
そこで、本特徴においては、先ず遮蔽手段によって各検知位置を視認困難又は不可とし、更に検知信号の出力期間の長さを変化させる構成とした。これにより、上述の如く意図的に混入させるノイズの数等を調整することにより両判定手段にて通過判定された遊技媒体の数を揃えることを難しくすることができる。故に、更なる防犯性の向上が期待できる。
例えば、特徴2との組み合わせにおいては、遊技媒体の通過速度を変更することにより、本特徴に示した構成を好適に実現することが可能である。
特徴8.前記出力期間変更手段は、前記異常判定手段によって、前記第1判定手段により通過判定された遊技媒体の数と、前記第2判定手段により通過判定された遊技媒体の数との数が相違していると判断された場合に、前記出力期間の長さの変更を実行することを特徴とする特徴7に記載の遊技機。
特徴7に示したように出力期間変更手段を有する構成においては、逐次、出力期間の長さを変更する構成とすることにより、防犯機能の向上効果を享受することができる。しかしながら、出力期間の長さを逐次変更する構成を採用した場合、防犯機能の向上が期待できる反面、それに起因した制御不可の増大が顕著になると想定される。この点、本特徴に示すように、第1判定手段により第1検知位置を通過したと判定された遊技媒体の数と、第2判定手段により第2検知位置を通過したと判定された遊技媒体の数との数が相違していると判断された場合に出力期間の長さの変更を行う構成とすれば、上記制御不可の増大を好適に抑制することができ、実用上好ましい構成を実現できる。
特徴9.前記異常判定手段は、前記第1判定手段によって通過判定された遊技媒体の数と、前記第2判定手段によって通過判定された遊技媒体の数とを比較し、それら遊技媒体の数の差が予め定められた異常判定値に達した場合に異常が発生したと判定するものであり、
前記異常判定値は、前記第1検知位置及び前記第2検知位置の間を遊技媒体が移動するのに要する移動期間の長さに基づいて、同移動期間内において前記第1判定手段による通過判定が可能な遊技媒体の最大数よりも大きく設定されていることを特徴とする特徴1乃至特徴8のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴9によれば、ノイズ等の混入により検知位置を通過したと判定された遊技媒体の数に差違が生じた場合、その差が予め定められた異常判定値に達した場合に異常判定がなされる。第1検知位置と第2検知位置とを離して配した場合、各判定手段による通過判定には必ずタイムラグが生じる。このため、第1判定手段によって第1検知位置を通過したと判定された遊技媒体の数と、第2判定手段によって第2検知位置を通過したと判定された遊技媒体の数とには一時的に差違が生じ得る。そこで、遊技媒体の数の差が異常判定値に達した場合に異常が発生したと判定する構成とするともに、同異常判定値を第1検知位置及び第2検知位置の間を遊技媒体が移動するのに要する移動期間の長さに基づいて、同移動期間内において第1判定手段による通過判定が可能な遊技媒体の最大数よりも大きく設定されていることにより、そのような正常な差違に対して異常判定手段が過敏に反応することを回避でき、実用上好ましい構成を実現できる。
ここで、上述の如く遊技媒体の数の差が異常判定値に達した場合に異常が発生したと判定する構成を採用する場合、異常判定値に過度にゆとりを与えると異常の発見が遅れる可能性がある。例えば、異常判定値を上記最大値に近づけて(具体的には最大値よりも1大きい数等)設定することにより、異常判定に関する比較精度を高めることができ、異常判定手段の信頼性の更なる向上に貢献できる。
特徴10.前記第1検知位置及び前記第2検知位置が遊技機前方から視認困難又は不可となるように前記案内通路を遮蔽する遮蔽手段(例えば遊技盤80)を備え、
前記出力期間調整手段は、前記第1検知位置及び前記第2検知位置の間を遊技媒体が移動するのに要する期間を変更する移動期間変更手段を備えていることを特徴とする特徴1乃至特徴9のいずれか1つに記載の遊技機。
既に説明したように、判定結果に影響を与え得るノイズの混入は、偶発的に生じるものに限られるものではなく、不正行為者によって意図的に行われる可能性を払拭できない。仮に不正行為者が第1検知手段に混入させるノイズと、第2検知手段に混入させるノイズとを差別化することが可能であれば、上記異常判定手段によるノイズ混入形跡の把握が困難になり得る。例えば、第1検知手段から出力される検知信号の出力期間と、第2検知手段から出力される検知信号の出力期間のうち、短い一方に合わせて混入させるノイズの数が調整されると、上記異常判定手段によるノイズ混入形跡の把握が困難になり得る。
この点、本特徴によれば、第1検知位置〜第2検知位置を移動するのに要する期間を変更手段によって延長したり短縮したりすることにより、一方の検知手段から検知信号が出力されるタイミングを基準として他方の検知手段から検知信号が出力されるタイミングを見定めることを困難なものとすることができる。これにより、上述した不正行為を抑制し、更なる防犯性の向上が期待できる。
特徴11.前記遊技媒体としての遊技球が流下する遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技盤80)と、
前記遊技領域に設けられ、当該遊技領域を流下する遊技媒体の入球が可能となる入球部(大入賞口261等)と
を備え、
前記案内通路は、前記入球部に入球した遊技媒体を少なくとも前記遊技盤の背面側へ案内するものであり、
前記遊技媒体検知位置は、前記案内通路において前記遊技盤の背面側に位置する部分に配されており、
前記第1検知手段は、高周波発振式の近接センサであり、前記第1検知位置における遊技媒体の通過時に一時的に高周波の発振を抑え、それにより前記遊技媒体の通過時と非通過時とで異なる二値信号を出力するものであり、
前記第2検知手段は、高周波発振式の近接センサであり、前記第2検知位置における遊技媒体の通過時に一時的に高周波の発振を抑え、それにより前記遊技媒体の通過時と非通過時とで異なる二値信号を出力するものであることを特徴とする特徴1乃至特徴10のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴11によれば、遊技領域を流下する遊技球が入球部に入球すると、同遊技球は案内通路によって遊技盤の背面側に案内される。その後、同遊技球が検知位置を通過することにより高周波の発振が抑えられ、遊技球の通過時と非通過時とで異なる二値信号を出力される。高周波を利用して遊技球の通過検知を行う場合、遊技機外部から検知手段に対して高周波が出力されると、そのような遊技機外部からの高周波が検知信号に混入すると想定される。
そこで、本特徴においては、検知位置を遊技盤の背面側に配することにより、遊技機前方から検知位置を見えにくくすることができる。これにより、例えば不正行為者が意図的に高周波を混入させようととしても、どのタイミングで遊技球が検知位置を通過するかを把握することが困難となる。このため、不正行為を効率よく行うには、不正な高周波の出力周期を上記出力期間よりも短く設定するとともに、遊技球が遊技媒体検知位置を通過する前のタイミングから通過し終えるタイミングまである程度の期間継続して高周波の出力を継続する必要が生じる。この場合、1の遊技球の通過に対応する検知信号が多数に分化されやすくなる。
第1検知手段と、第2検知手段とを近づけて配置したとしても、両検知手段から出力される検知信号には差が生じやすくなる。つまり、出力期間が相違する各検知信号は、それぞれ分化される数が相違し、ノイズの混入を容易に把握することが可能となる。このように、各検知手段を近づけて配置したとしてもそれに起因した検知精度や防犯機能の低下を抑制することができるため、それら検知手段の配置自由度を向上することができる。
特徴12.前記第1判定手段によって前記第1検知位置を遊技媒体が通過したと判定された場合に、その判定結果に基づいて遊技者に特典を付与する特典付与手段(例えば主制御装置162のMPU611において通常処理のステップS301を実行する機能)を備え、
前記第1検知位置は、前記遊技盤の背面側にて前記遊技領域と前後に重なる位置に配されており、
前記第2検知位置は、前記遊技盤の背面側にて前記遊技領域と前後に重ならない位置に配されていることを特徴とする特徴11に記載の遊技機。
特徴11に示したように、高周波発振式の検知手段を採用している場合、各検知手段に向けて高周波が出力されることで、ノイズが混入しやすくなる。本特徴においては、第1検知位置を遊技領域の後方に配することにより、入球部への入球に対する遊技球検知の応答性向上に貢献することができる。また、第2検知位置を遊技領域と前後に重ならない位置に配することにより、第1検知位置及び第2検知位置の両位置に向けて外部から高周波を射出することを困難なものとすることができる。これにより、ノイズの混入が生じた場合であっても、各検知信号での差を明確なものとすることができ、異常判定手段によるノイズの発見を容易化することができる。
特徴13.前記遊技領域に設けられ、前記案内通路へ遊技球が流入し易い第1状態と当該第1状態よりも遊技球が流入しにくい又は不可となる第2状態とに切替可能な可変入球手段(可変入賞装置82)を備え、
前記可変入球手段は、前記第1判定手段によって前記第1検知位置を通過したと判定された遊技球の数が予め定められた数に達した場合に、前記第1状態から前記第2状態に切り替えられるものであることを特徴とする特徴11又は特徴12に記載の遊技機。
特徴13によれば、遊技領域を流下した遊技球が案内通路へ入り、その数が予め定められた数に達することで、可変入球手段が第2状態に切り替る。第1判定手段による判定結果に基づいて第1状態から第2状態に切り替る構成において、第2検知位置よりも第1検知位置が通路上流側に配されていることにより、入球部への遊技球の流入に対する可変入球手段の状態切替の応答性を高めることができる。
例えば、第1検知手段を可変入球手段の切り替えに用いるとともに第2検知手段をノイズ判定に用いる構成とすることにより、判定精度の向上と遊技進行の円滑化とを好適に両立することができる。
特徴14.前記異常判定手段は、前記可変入球手段が前記第2状態に切り替えられた後、同可変入球手段が前記第1状態に保持されている期間中に前記第1判定手段によって通過判定された遊技媒体の数と当該保持されている期間中に前記第2判定手段によって通過判定された遊技媒体の数とに基づいて前記異常判定を実行することを特徴とする特徴13に記載の遊技機。
特徴13に示したように可変入球手段を有する構成においては、同可変入球手段が第1状態となることにより、多数の遊技球が一気に案内通路へ流入し得る。第1検知位置と第2検知位置とが同一箇所に配されていない構成においては、各判定手段による判定結果に一時的に大きな差が生じ得る。このような構成においては、可変入球手段が第2状態に切り替えられた後に遊技媒体の数(例えば通過判定手段による通過判定に基づく遊技媒体の検知数)に基づいて異常判定を行うことにより、一時的な差を考慮する必要がなくなり、比較結果を用いたノイズの判別を容易化することができる。
特徴15.前記第1判定手段は、定期的に実行される定期処理にて、前記第1検知手段から出力される遊技媒体検知の信号に基づいた通過判定を実行するものであり、
前記第2判定手段は、前記定期処理にて、前記第2検知手段から出力される遊技媒体検知の信号に基づいた通過判定を実行するものであり、
前記第1検知手段から遊技媒体検知の信号が出力された場合に前記第1判定手段においてその信号に基づく通過判定を行う際に必要な判定期間と、前記第2検知手段から遊技媒体検知の信号が出力された場合に前記第2判定手段においてその信号に基づく通過判定を行う際に必要な判定期間と、が同一となるように設定されていることを特徴とする特徴1乃至特徴14のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴1等に示したように第1判定手段によって第1検知位置を通過したと判定された遊技媒体の数と第2判定手段によって第2検知位置を通過したと判定された遊技媒体の数とを比較することで、ノイズ等の混入に基づく異常の発生を把握可能な構成に対して本特徴に示す構成を適用することにより、実用上好ましい構成を実現できる。すなわち、第1判定手段と第2判定手段とが定期処理によって実行されるとともに、通過判定に要する期間が同一となることにより、上記比較の容易化を図りつつ、比較結果の信頼性を好適に高めることができる。
特徴16.前記期間調整手段は、前記第1判定手段における前記出力期間の長さと、前記第2検知手段における前記出力期間の長さとの差が、少なくとも前記判定期間よりも大きくなるように調整するものであることを特徴とする特徴15に記載の遊技機。
特徴1等に示した構成を実現するには、各検知手段から出力される検知信号の出力期間の差を判定期間よりも大きくすることが望ましい。
特徴17.前記出力期間調整手段は、前記案内通路に流入した遊技媒体を減速させる減速部であり、遊技媒体を減速させることで前記各出力期間の長さを相違させるものであることを特徴とする特徴1乃至特徴16のいずれか1つに記載の遊技機。
案内通路における遊技媒体の流下速度がばらつが生じている場合には、同ばらつきの影響が各検知位置を通過する際の遊技媒体の通過速度に影響を与え得る。仮に第1検知位置と第2検知位置との通過速度差が小さくなるようなばらつきが生じると、上記出力期間の長さの差が小さくなり、当該差を利用した異常判定が困難になると懸念される。そこで、本特徴に示すように、出力期間調整手段によって遊技媒体を減速させる構成とすれば、流下速度のばらつきを抑制し、上記差を好適に担保することができる。具体的には、案内通路に沿って遊技球が流下する場合には、検知位置を通過する前の速度(以下便宜上、初速と称する)を小さく抑えた状態で遊技球を自重落下させることにより、通過速度における初速の寄与度を小さくし、上記速度ばらつきを好適に抑制することができる。
例えば、第1検知位置の直上流となる位置及び第2検知位置の直上流となる位置にそれぞれ減速部を配するとよい。
特徴18.前記出力期間調整手段は、前記案内通路に流入した遊技媒体の流下速度を当該案内通路の途中位置にてほぼ0となるように減速させるものであることを特徴とする特徴17に記載の遊技機。
特徴18によれば、遊技媒体の流下速度をほぼ0となるように減速させることにより、特徴17に示した速度ばらつきを好適に抑えることができる。つまり、出力調整機関に到る前の速度がいかようであったとしても、ほぼ0となるように減速させることで、初速のばらつきによる影響を払拭することができる。これにより、検知位置を通過する際の通過速度のばらつきを抑えることが可能となり、実用上好ましい構成を実現できる。
特徴19.遊技媒体を案内する案内通路(例えば誘導通路265、上流通路325及び下流通路335)と、
前記案内通路における第1検知位置を通過する遊技媒体を検知して所定の検知信号を出力する第1検知手段(第1検知センサ350A)と、
前記案内通路において前記第1検知位置よりも下流側の第2検知位置を通過する遊技媒体を検知して所定の検知信号を出力する第2検知手段(第2検知センサ350B)と、
前記第1検知手段から出力される前記検知信号に基づいて判定を行う第1判定手段(主制御装置162のMPU611において信号読み込み処理のステップS201〜ステップS207を実行する機能)と、
前記第2検知手段から出力される前記検知信号に基づいて判定を行う第2判定手段(主制御装置162のMPU611において信号読み込み処理のステップS208〜ステップS214を実行する機能)と、
前記第1検知手段からの前記検知信号として遊技媒体検知の信号が出力される出力期間の長さと、前記第2検知手段からの前記検知信号として遊技媒体検知の信号が出力される出力期間の長さと、を相違させる出力期間調整手段(例えば誘導通路265、上流通路325及び下流通路335)と、
前記第1判定手段の判定結果と前記第2判定手段の判定結果とに基づいて異常判定を行う異常判定手段(主制御装置162のMPU611においてエラー判定処理のステップS603を実行する機能)と
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴19によれば、案内通路によって案内される遊技球が第1検知手段及び第2検知手段によって検知されると、それら第1検知手段及び第2検知手段から検知信号が出力され、それら各検知信号に基づいて各判定手段による判定が行われる。そして、第1判定手段による判定結果と第2判定手段による判定結果とに基づいて(例えば比較して)異常判定を行うことにより、検知信号の異常(例えばノイズ等の混入)の発生を見つけることができる。これにより、例えば、誤った判定結果に基づき遊技者に対して不当に特典が付与されることを抑制し、遊技の健全性の担保に貢献することができる。
上述した不都合は、偶発的な要因や人為的な要因によって発生し得る。検知信号としての遊技媒体検知の信号の出力期間中に同遊技媒体検知の信号に連続して繰り返し発生するノイズが混入した場合を想定すると、例えば検知信号が部分的に遊技媒体非検知の信号に切り替ることにより1の遊技媒体検知の信号が複数の遊技媒体検知の信号に分化され得る。つまり、ノイズの混入によって、あたかも複数の遊技媒体の通過が検知されたかのように1の遊技媒体検知の信号が変化する可能性がある。このようなノイズが、第1検知手段からの検知信号と第2検知手段からの検知信号とに同じように混入すると、以下の不都合が生じ得る。つまり、各判定手段によって判定される遊技媒体の数が同数となり、それら両遊技媒体数に基づく異常判定が回避され、異常判定手段によるノイズの把握が困難になると想定される。
特に上述したノイズが人為的に混入される場合、不正行為を効率に行うために遊技媒体の通過タイミング(すなわち検知信号の出力タイミング)を見計らって複数のノイズを混入させることにより、1の遊技媒体の通過に対応する検知信号を多数の遊技媒体の検知信号に分化されると想定される。仮に、このような不正行為の発見が困難になると、遊技ホール等における損害が甚大なものになり得る。この点、本特徴においては、各検知手段から出力される遊技媒体検知の信号の出力期間の長さを相違させることにより、上記不都合を好適に抑制することができる。つまり、上述の如く1の検知信号に複数のノイズが混入される場合、各検知信号の出力期間の長さが相違することにより、分化される数が相違しやすくなる。より具体的には、連続して複数のノイズが繰り返し混入する場合、2つの出力期間内では、検知信号が分化される数が相違することとなる。これにより、各検知信号に基づいて通過したと判定される遊技媒体の数が相違することとなる。
このため、異常判定手段によって判定結果を比較することにより、上述した不正行為を好適に見つけることが可能となる。
以上、詳述したように期間調整手段及び異常判定手段によってノイズの混入等による誤判定を抑制することで、判定精度を向上することが可能となる。故に、誤検知による不利益の発生を抑制し、遊技機の信頼性向上に貢献することができる。
なお、「検知手段から出力される前記検知信号に基づいて判定を行う」は、例えば検知信号がHI/LOWの2値信号である場合、信号がHIレベル信号又はLOWレベルの何れであるかの判定ことを含み、「前記第1判定手段の判定結果と前記第2判定手段の判定結果とに基づいて異常判定を行う」は、各判定手段においてHIレベル信号であると判定された回数や、LOWレベル信号が出力された回数の比較により異常判定を行うことを含む。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(誘導レール100)と、遊技領域内に配置された各遊技部品(釘88等)とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部(一般入賞口81等)を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにした遊技機。
球使用ベルト式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにし、さらに、球受皿を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。