JP2015059246A - Cu−Ga合金ターゲット材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 切断や研削といった機械加工時やスパッタ成膜時の割れや欠けの発生が抑制でき、尚且つスパッタ成膜時に安定した成膜が可能で、ターゲット材表面のノジュールの発生も抑制できる新規なCu−Ga合金ターゲット材を提供する。
【解決手段】 本発明は、質量%で、Gaを25〜35%、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、Cの含有量が0.1%以下であるCu−Ga合金ターゲット材の発明であり、ビッカース硬度が450HV以上であることが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明は、質量%で、Gaを25〜35%、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、Cの含有量が0.1%以下であるCu−Ga合金ターゲット材の発明であり、ビッカース硬度が450HV以上であることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
本発明は、例えば、カルコパイライト系薄膜太陽電池の光吸収層を形成するためのCu(InGa)Se2合金膜を形成するのに使用されるCu−Ga合金ターゲット材に関するものである。
現在、シリコン太陽電池、薄膜太陽電池、化合物太陽電池等の様々な太陽電池の開発が進んでおり、その中でも、薄膜太陽電池は薄膜技術を応用した光デバイスとして製造プロセスが簡易かつ低エネルギーで可能となる利点から商品化が進んでいる。また、薄膜太陽電池の中でも、カルコパイライト化合物であるCu(InGa)Se2(以下「CIGS」という)系を光吸収層として備えた薄膜太陽電池が有望視され、今後市場拡大が見込まれている。
CIGS系薄膜太陽電池は、一般的に、ソーダライムガラス基板、Moからなる背面電極層、CIGS層からなる光吸収層、透明導電層からなる前面電極が順に形成される積層構造からなる。
CIGS系薄膜太陽電池は、一般的に、ソーダライムガラス基板、Moからなる背面電極層、CIGS層からなる光吸収層、透明導電層からなる前面電極が順に形成される積層構造からなる。
上記のCIGS層を形成する方法としては、例えば、先ずInターゲットを用いてスパッタリング法によりIn層をスパッタ成膜した上に、Cu−Ga合金ターゲット材を用いてCu−Ga合金層をスパッタ成膜して積層膜を作製する。そして、この積層膜をSe雰囲気中で熱処理を施して四元系合金層であるCIGS層とする方法が用いられている。Cu−Ga合金層を成膜するために用いるターゲット材としては、例えば、所望のCu−Ga合金組成の合金を溶解鋳造法で作製したものが使用されている(特許文献1参照)。
また、Cu−Ga合金は脆弱で成分の偏析を生じやすいため、ターゲット材の製造には粉末焼結法も試みられている。しかし、高Ga含有のCu−Ga合金組成においては、脆弱なCu−Ga合金相が形成されやすく、ターゲット材としての形状に機械加工する際に、欠け等の問題が発生する場合がある。そこで、高Ga含有のCu−Ga合金相を低Ga含有のCu−Ga合金相で包囲した二相共存組織に制御された焼結組織とすることで、機械加工時の問題を抑制可能なCu−Ga合金ターゲット材が提案されている(特許文献2参照)。
一方、Cu−Ga合金ターゲットを用いてスパッタする際には、成膜速度を上げて生産性を向上させる観点から、高い投入電力でスパッタされることがある。しかし、高い投入電力でスパッタすると異常放電(以下、「アーキング」ともいう。)が発生してしまう場合があり、投入電力をさらに増大させると、異常放電の問題が顕在化する。
この異常放電の問題は、Cu−Ga合金ターゲット材に含まれる酸素が影響するとして、低酸素分圧雰囲気中でCu−Ga合金粉末を製造し、得られたCu−Ga合金粉末を焼結して、酸素含有量の少ないCu−Ga合金ターゲット材を製造することが提案されている(特許文献3参照)。
この異常放電の問題は、Cu−Ga合金ターゲット材に含まれる酸素が影響するとして、低酸素分圧雰囲気中でCu−Ga合金粉末を製造し、得られたCu−Ga合金粉末を焼結して、酸素含有量の少ないCu−Ga合金ターゲット材を製造することが提案されている(特許文献3参照)。
上述した特許文献1に開示される溶解鋳造法により製造したCu−Ga合金ターゲット材は、脆くて割れやすいという問題や、ターゲット材中に空孔が散見されるため、スパッタリング時に異常放電が発生し、安定したスパッタリングが困難になるという問題がある。
また、特許文献2に開示されるCu−Ga合金ターゲット材は、より脆弱な高Ga含有のCu−Ga合金相を低Ga含有のCu−Ga合金相を覆うように形成される二相共存組織とすることで、良好な機械加工が実現できるので有用な技術である。
しかしながら、本発明者の検討によれば、このような二相共存組織の場合には、Ga含有の濃淡を積極的に形成する方法であるため、このCu−Ga合金ターゲット材を用いてスパッタ成膜すると、スパッタレートに差が生じるため、安定して所望のCu−Ga合金層が形成しづらいことに加え、ターゲット材表面にノジュールが発生するという問題が生じることを確認した。
しかしながら、本発明者の検討によれば、このような二相共存組織の場合には、Ga含有の濃淡を積極的に形成する方法であるため、このCu−Ga合金ターゲット材を用いてスパッタ成膜すると、スパッタレートに差が生じるため、安定して所望のCu−Ga合金層が形成しづらいことに加え、ターゲット材表面にノジュールが発生するという問題が生じることを確認した。
また、特許文献3に開示される酸素含有量の少ないCu−Ga合金ターゲット材は、スパッタリング時の異常放電やスパッタ成膜後の薄膜中で欠陥となるパーティクルの発生を抑制することに有効である。
ところが、本発明者の検討によれば、特許文献3の実施例に具体的に記載される0.03〜0.2質量%に酸素含有量をコントロールしても、Cu−Ga合金ターゲット材の硬さや抗折力が低下し、ターゲット材の使用に悪影響を及ぼすことを確認した。この硬さや抗折力が低下する問題は、ターゲット材の製造工程における切断や研削といった機械加工時や、スパッタ成膜時にターゲット材が高温に加熱されることにより、割れや欠けを誘発する虞がある。
本発明の目的は、上記課題を解決し、切断や研削といった機械加工時やスパッタ成膜時の割れや欠けの発生が抑制でき、尚且つスパッタ成膜時の異常放電を抑制し、安定した成膜が可能で、ターゲット材表面のノジュールの発生も抑制できる新規なCu−Ga合金ターゲット材を提供することである。
ところが、本発明者の検討によれば、特許文献3の実施例に具体的に記載される0.03〜0.2質量%に酸素含有量をコントロールしても、Cu−Ga合金ターゲット材の硬さや抗折力が低下し、ターゲット材の使用に悪影響を及ぼすことを確認した。この硬さや抗折力が低下する問題は、ターゲット材の製造工程における切断や研削といった機械加工時や、スパッタ成膜時にターゲット材が高温に加熱されることにより、割れや欠けを誘発する虞がある。
本発明の目的は、上記課題を解決し、切断や研削といった機械加工時やスパッタ成膜時の割れや欠けの発生が抑制でき、尚且つスパッタ成膜時の異常放電を抑制し、安定した成膜が可能で、ターゲット材表面のノジュールの発生も抑制できる新規なCu−Ga合金ターゲット材を提供することである。
本発明者は、上記の課題を検討した結果、Cu−Ga合金ターゲット材中の炭素(以下「C」という。)含有量に着目し、これを適正な範囲に規定することで、切断や研削といった機械加工時の割れや欠けの発生が抑制でき、尚且つスパッタ成膜時の異常放電を抑制し安定した成膜が可能となることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、質量%で、Gaを25〜35%、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、Cの含有量が0.1%以下であるCu−Ga合金ターゲット材の発明である。
また、本発明のCu−Ga合金ターゲット材は、ビッカース硬度が450HV以上であることが好ましい。
また、本発明のCu−Ga合金ターゲット材は、ビッカース硬度が450HV以上であることが好ましい。
本発明のCu−Ga合金ターゲット材は、ターゲット材の製造工程における切断や研削といった機械加工時やスパッタ成膜時の割れや欠けを抑制することができる。また、本発明のCu−Ga合金ターゲット材は、スパッタ成膜の際にターゲット表面に発生するノジュールの抑制や異常放電の発生の抑制をすることが可能となり、良質なCu−Ga層が形成できる。このため、本発明は、薄膜太陽電池の製造において有用な技術となる。
本発明のCu−Ga合金ターゲット材は、質量%で、Gaを25〜35%、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、Cの含有量を0.1%以下に規制したことに特徴を有する。
先ず、Cの含有量を0.1%以下とした理由を説明する。本発明のCu−Ga合金ターゲット材は、Cの含有量を0.1質量%以下に規制することで、スパッタ成膜時の異常放電の発生を抑制することができる。また、Cの含有量を0.1質量%以下にすることで、Cu−Ga合金ターゲット材を得るときの焼結性が向上でき、ターゲット材の密度を高くすることができる。その結果、本発明のCu−Ga合金ターゲット材は、抗折力の向上が可能となる。
また、本発明のCu−Ga合金ターゲット材は、C量を極力排除することで、ターゲット材中のCu−Ga合金相と硬度が異なるC相を低減することができる。これにより、Cu−Ga合金焼結体をターゲット材にする際の切断や研削といった機械加工しても、割れや欠けの発生を効果的に抑制することができる上、スパッタ成膜時の割れも抑制することが可能となる。
また、本発明のCu−Ga合金ターゲット材中のC含有量は、より好ましくは、0.05質量%以下である。尚、現実的には、Cu−Ga合金ターゲット材中Cは、原料となるCuおよびGaに不可避的に含まれるものもあり、また、製造工程で混入する場合があるため、0.0005質量%以上である。
先ず、Cの含有量を0.1%以下とした理由を説明する。本発明のCu−Ga合金ターゲット材は、Cの含有量を0.1質量%以下に規制することで、スパッタ成膜時の異常放電の発生を抑制することができる。また、Cの含有量を0.1質量%以下にすることで、Cu−Ga合金ターゲット材を得るときの焼結性が向上でき、ターゲット材の密度を高くすることができる。その結果、本発明のCu−Ga合金ターゲット材は、抗折力の向上が可能となる。
また、本発明のCu−Ga合金ターゲット材は、C量を極力排除することで、ターゲット材中のCu−Ga合金相と硬度が異なるC相を低減することができる。これにより、Cu−Ga合金焼結体をターゲット材にする際の切断や研削といった機械加工しても、割れや欠けの発生を効果的に抑制することができる上、スパッタ成膜時の割れも抑制することが可能となる。
また、本発明のCu−Ga合金ターゲット材中のC含有量は、より好ましくは、0.05質量%以下である。尚、現実的には、Cu−Ga合金ターゲット材中Cは、原料となるCuおよびGaに不可避的に含まれるものもあり、また、製造工程で混入する場合があるため、0.0005質量%以上である。
また、本発明のCu−Ga合金ターゲット材は、C含有量を極力排除することで、スパッタ成膜の際に発生するターゲット表面のノジュールを抑制することができ、良質なCu−Ga層が形成できる。
尚、本発明のCu−Ga合金ターゲット材は、Cを上記の範囲で含有する以外の残部は、Cu、Gaおよび不可避的不純物である。不純物の含有量は、できるだけ少ないことが望ましく、特にガス成分である酸素は0.015質量%以下、窒素は0.0005質量%以下、水素は0.0001質量%以下にすることが好ましい。より好ましくは、酸素は0.010質量%以下、窒素は0.0003質量%以下である。尚、これら不純物は、原料となるCuおよびGaに不可避的に含まれるものもあり、また、溶解等の製造工程で混入する場合があるため、現実的には、酸素は0.005質量%以上、窒素は0.0001質量%以上である。
尚、本発明のCu−Ga合金ターゲット材は、Cを上記の範囲で含有する以外の残部は、Cu、Gaおよび不可避的不純物である。不純物の含有量は、できるだけ少ないことが望ましく、特にガス成分である酸素は0.015質量%以下、窒素は0.0005質量%以下、水素は0.0001質量%以下にすることが好ましい。より好ましくは、酸素は0.010質量%以下、窒素は0.0003質量%以下である。尚、これら不純物は、原料となるCuおよびGaに不可避的に含まれるものもあり、また、溶解等の製造工程で混入する場合があるため、現実的には、酸素は0.005質量%以上、窒素は0.0001質量%以上である。
本発明のCu−Ga合金ターゲット材において、Gaの含有量が25質量%に満たないと、完全に合金化しない場合があり、ターゲット材中で偏析が生じやすくなり、均一なCu−Ga合金相を得ることが難しい。また、Cu−Ga合金ターゲット材をCIGS光吸収層の形成に適用する際は、Cu−Ga合金ターゲット材のGaの含有量が25質量%に満たないと、CIGS光吸収層中のGa濃度が低くなり、薄膜太陽電池にしたときの変換効率が向上しないという問題もある。
一方、Gaの含有量が35質量%を超えると、C量を0.1質量%以下に規制しても、ターゲット材中に、非常に脆弱な相が出現し、ターゲット材をハンドリングする際や機械加工する際に割れや欠けが発生する場合がある。このため、本発明では、Gaの含有量を25〜35質量%とする。
一方、Gaの含有量が35質量%を超えると、C量を0.1質量%以下に規制しても、ターゲット材中に、非常に脆弱な相が出現し、ターゲット材をハンドリングする際や機械加工する際に割れや欠けが発生する場合がある。このため、本発明では、Gaの含有量を25〜35質量%とする。
また、本発明のCu−Ga合金ターゲット材は、ビッカース硬度が450HV以上であることが好ましい。これは、Cu−Ga合金ターゲット材のビッカース硬度が450HV以上であれば、Cu−Ga合金焼結体をターゲット材にする際の切断や研削といった機械加工時に割れや欠け等の発生を抑制することが可能となるからである。より好ましくは、ビッカース硬度は465HV以上である。尚、現実的には、ビッカース硬度は500HV以下である。
本発明におけるビッカース硬度の測定方法は、JIS Z 2244で規定される、ダイヤモンド圧子で9.8Nの力で試験片に圧痕を入れ、その圧痕のサイズから換算し硬度を算出する。
本発明におけるビッカース硬度の測定方法は、JIS Z 2244で規定される、ダイヤモンド圧子で9.8Nの力で試験片に圧痕を入れ、その圧痕のサイズから換算し硬度を算出する。
次に、本発明のCu−Ga合金ターゲット材の作製方法の一例を説明する。
本発明のCu−Ga合金ターゲット材は、例えばCの含有量が0.1質量%以下のCu−Ga合金からなり、平均粒径が10〜100μmのガスアトマイズした合金粉末を加圧焼結することで得ることができる。ここで、C量を低減するためには、例えば、純度が4N(99.99%)以上のCu原料およびGa原料を用いることが好ましい。
平均粒径が10μmを下回る合金粉末を用いると、単位体積当たりの比表面積が大きくなるため、粉末全体の酸素含有量が高くなり、ターゲット材の酸素含有量に影響を与える。一方、平均粒径が100μmを超える合金粉末を用いると、焼結性が低下し、高密度のターゲット材を得ることが困難になる。
尚、本発明でいう合金粉末の平均粒径とは、JIS Z 8901で規定される、レーザー光を用いた光散乱法による球相当径とする。ここでの平均粒径は、累積粒度分布を等体積(50%)の2つに分けたときの径(D50)で表す。
本発明のCu−Ga合金ターゲット材は、例えばCの含有量が0.1質量%以下のCu−Ga合金からなり、平均粒径が10〜100μmのガスアトマイズした合金粉末を加圧焼結することで得ることができる。ここで、C量を低減するためには、例えば、純度が4N(99.99%)以上のCu原料およびGa原料を用いることが好ましい。
平均粒径が10μmを下回る合金粉末を用いると、単位体積当たりの比表面積が大きくなるため、粉末全体の酸素含有量が高くなり、ターゲット材の酸素含有量に影響を与える。一方、平均粒径が100μmを超える合金粉末を用いると、焼結性が低下し、高密度のターゲット材を得ることが困難になる。
尚、本発明でいう合金粉末の平均粒径とは、JIS Z 8901で規定される、レーザー光を用いた光散乱法による球相当径とする。ここでの平均粒径は、累積粒度分布を等体積(50%)の2つに分けたときの径(D50)で表す。
ガスアトマイズ法によるCu−Ga合金粉末を作製する際は、アトマイズ出湯温度をCu−Ga合金の融点より50〜300℃高い温度にすることが好ましい。この理由は、かかる温度範囲よりも低い温度で出湯しようとすると、出湯ノズルが閉塞する可能性があるためである。一方、かかる温度範囲よりも高い温度で出湯すると、アトマイズ粉末がアトマイズ装置のチャンバー内で凝集する可能性がある。
また、より球状で酸素含有量を抑制したアトマイズ粉末を得るためには、アトマイズのガス圧力は1〜10MPaとすることが好ましい。
また、より球状で酸素含有量を抑制したアトマイズ粉末を得るためには、アトマイズのガス圧力は1〜10MPaとすることが好ましい。
本発明に係るCu−Ga合金ターゲット材の製造方法に適用できる加圧焼結法としては、ホットプレス、熱間静水圧プレス、通電加圧焼結、熱間押し出しなどがある。中でも、熱間静水圧プレスは加圧圧力が高く、緻密なターゲット材を得やすいため、特に好ましい。
なお、加圧焼結時の焼結温度は、Cu−Ga合金の融点より10〜300℃低い温度に設定することが好ましい。かかる温度範囲よりも低い温度で焼結した場合には、緻密なターゲット材を得難い。一方、かかる温度範囲よりも高い温度で焼結した場合には、アトマイズ粉末が溶融する可能性がある。このため、焼結温度は700〜900℃とすることが好ましい。
なお、加圧焼結時の焼結温度は、Cu−Ga合金の融点より10〜300℃低い温度に設定することが好ましい。かかる温度範囲よりも低い温度で焼結した場合には、緻密なターゲット材を得難い。一方、かかる温度範囲よりも高い温度で焼結した場合には、アトマイズ粉末が溶融する可能性がある。このため、焼結温度は700〜900℃とすることが好ましい。
加圧焼結時の加圧力は、10MPa以上に設定することが好ましい。加圧力が10MPaを下回ると、緻密なターゲット材が得にくい。一方、加圧力が200MPaを超えると、耐え得る装置が限られるという問題がある。このため、加圧力は10〜200MPaとすることが好ましい。
焼結時間は、1時間未満では焼結を十分に進行させることが困難である。一方、10時間を超える焼結は製造効率において避ける方がよい。このため、焼結時間は1〜10時間とすることが好ましい。
なお、熱間静水圧プレスやホットプレスで加圧焼結をする際には、アトマイズ粉末を加圧容器や加圧用ダイスに充填した後に、加熱しながら減圧脱気をすることが好ましい。減圧脱気は、加熱温度100〜600℃の範囲で、大気圧(101.3kPa)より低い減圧下で行うことが望ましい。これにより、得られるターゲット材の酸素含有量を0.015質量%以下に低減することができる。
焼結時間は、1時間未満では焼結を十分に進行させることが困難である。一方、10時間を超える焼結は製造効率において避ける方がよい。このため、焼結時間は1〜10時間とすることが好ましい。
なお、熱間静水圧プレスやホットプレスで加圧焼結をする際には、アトマイズ粉末を加圧容器や加圧用ダイスに充填した後に、加熱しながら減圧脱気をすることが好ましい。減圧脱気は、加熱温度100〜600℃の範囲で、大気圧(101.3kPa)より低い減圧下で行うことが望ましい。これにより、得られるターゲット材の酸素含有量を0.015質量%以下に低減することができる。
先ず、Cu原料を68質量%、Ga原料を32質量%の割合になるように秤量し、C製の溶解炉内に装填して真空溶解した後、出湯温度1030℃、アトマイズガス圧力4MPaの条件でガスアトマイズを行ない、Cu−Ga合金粉末を得た。得られた粉末を目開き250μmのふるいを用いて分級し、平均粒径(累積粒度分布のD50)が30μmのアトマイズ粉末Aと、平均粒径(累積粒度分布D50)が80μmのアトマイズ粉末Bを得た。
次に、上記で得たアトマイズ粉末Aとアトマイズ粉末Bに混合したものにC粉末を添加して、C含有量を調整した混合粉末を準備した。尚、表1に示す実施例1、実施例6、および実施例7は、C粉末を添加せず、実施例2〜実施例5、および比較例1〜比較例3は、C粉末の添加量が異なるよう調整した。
次に、上記で得たアトマイズ粉末Aとアトマイズ粉末Bに混合したものにC粉末を添加して、C含有量を調整した混合粉末を準備した。尚、表1に示す実施例1、実施例6、および実施例7は、C粉末を添加せず、実施例2〜実施例5、および比較例1〜比較例3は、C粉末の添加量が異なるよう調整した。
上記で得た各混合粉末をC製の加圧容器に充填し、この加圧容器をホットプレス装置の炉体内部に設置して、加熱温度750℃、加圧力30MPa、焼結時間2時間の条件で加圧焼結を実施した。尚、実施例1〜実施例5、および比較例1〜比較例3は、真空雰囲気下で加圧焼結を行なった。また、実施例6および実施例7は、窒素雰囲気下で加圧焼結を行なった。そして、加圧焼結後にC製の加圧容器からCu−Ga合金焼結体を取り出した。
得られたCu−Ga合金焼結体を、ダイヤモンド砥石を用いて平面研削による板厚加工を実施して、ウォータージェット切断機を用いて切断加工することによって、厚さ10mm×直径100mmのCu−Ga合金ターゲット材を製作した。
本発明のC含有量を0.1質量%以下に規制したCu−Ga合金ターゲット材は、上記の切断加工および研削加工おいて、割れや欠けを発生することがなく、機械加工性に優れることが確認できた。一方、C含有量が0.1質量%を超える比較例のCu−Ga合金ターゲット材は、切断加工時に割れやチッピングが発生していることを確認した。
得られたCu−Ga合金焼結体を、ダイヤモンド砥石を用いて平面研削による板厚加工を実施して、ウォータージェット切断機を用いて切断加工することによって、厚さ10mm×直径100mmのCu−Ga合金ターゲット材を製作した。
本発明のC含有量を0.1質量%以下に規制したCu−Ga合金ターゲット材は、上記の切断加工および研削加工おいて、割れや欠けを発生することがなく、機械加工性に優れることが確認できた。一方、C含有量が0.1質量%を超える比較例のCu−Ga合金ターゲット材は、切断加工時に割れやチッピングが発生していることを確認した。
上記で得た各Cu−Ga合金ターゲット材から、ガス成分分析用、ビッカース硬度測定用、密度測定用、抗折試験用の試料を採取した。ガス成分分析用の試料としては、5mm×5mm×5mmの試料を切り出した。また、C分析用の試料としては、ダライ粉を採取した。また、ビッカース硬度測定用および密度測定用の試料としては、5mm×15mm×15mmの試料を切り出した。また、抗折試験用の試料としては、5mm×5mm×70mmの試料を切り出した。
Cの分析は、株式会社堀場製作所製のEMIA−920Vを用い、燃焼−赤外線吸収法で測定した。Nの分析は、株式会社堀場製作所製のEMGA−620Wを用い、不活性ガス融解−熱伝導度法で測定した。Oの分析は、株式会社堀場製作所製のEMGA−620Wを用い、不活性ガス融解−赤外線吸収法で測定した。また、Hの分析は、株式会社堀場製作所製のEMGA−921を用い、不活性ガス融解−熱伝導度法で測定した。
相対密度の測定は、アルキメデス法により測定された「かさ密度」を、本発明のターゲット材の組成比から得られる質量比で算出した元素単体の加重平均として得た理論密度で除した値に100を乗じて得た値とする。Cu−Ga合金の理論密度は、合金相を含まないCuおよびGaのみからなるものと仮定して算出した。このとき、Cu、Gaの密度として各々8.96×103kg/m3、5.91×103kg/m3の値を用いた。また、Cu相およびGa相が独立してなるものに比べ、Cu−Ga合金の密度が高いために相対密度が100%を超える場合もある。
相対密度の測定は、アルキメデス法により測定された「かさ密度」を、本発明のターゲット材の組成比から得られる質量比で算出した元素単体の加重平均として得た理論密度で除した値に100を乗じて得た値とする。Cu−Ga合金の理論密度は、合金相を含まないCuおよびGaのみからなるものと仮定して算出した。このとき、Cu、Gaの密度として各々8.96×103kg/m3、5.91×103kg/m3の値を用いた。また、Cu相およびGa相が独立してなるものに比べ、Cu−Ga合金の密度が高いために相対密度が100%を超える場合もある。
抗折力の測定は、上記で採取した試験片について、株式会社オリエンテック製のテンシロン試験機(RTM−250)を使用し、クロスヘッドスピード0.5mm/分、支点間距離50mmで3点曲げ試験を行った。得られた曲げ荷重−たわみ曲線から最大曲げ荷重を測定し、抗折力を求めた。
ビッカース硬度の測定方法は、JIS Z 2244で規定されるように、ダイヤモンド圧子で9.8Nの力で試験片に圧痕を入れ、その圧痕のサイズから換算し硬度を算出した。
ビッカース硬度の測定方法は、JIS Z 2244で規定されるように、ダイヤモンド圧子で9.8Nの力で試験片に圧痕を入れ、その圧痕のサイズから換算し硬度を算出した。
上記で得られた焼結体のガス成分等の分析値、ビッカース硬度、相対密度、および抗折力の測定結果を表1に示す。
表1に示すように、C含有量を0.1質量%以下に規制した本発明のCu−Ga合金ターゲット材は、焼結性に優れ、ビッカース硬度が460HV以上、相対密度が110以上、抗折力が280MPa以上であり、いずれも良好であった。
一方、比較例となるC含有量が0.1質量%を超えるCu−Ga合金ターゲット材は、焼結性が悪く、相対密度、ビッカース硬度、抗折力が本発明例よりも劣っていることを確認した。
表1に示すように、C含有量を0.1質量%以下に規制した本発明のCu−Ga合金ターゲット材は、焼結性に優れ、ビッカース硬度が460HV以上、相対密度が110以上、抗折力が280MPa以上であり、いずれも良好であった。
一方、比較例となるC含有量が0.1質量%を超えるCu−Ga合金ターゲット材は、焼結性が悪く、相対密度、ビッカース硬度、抗折力が本発明例よりも劣っていることを確認した。
次に、上記で製作した各Cu−Ga合金ターゲット材のスパッタ成膜テストを実施した。スパッタは、株式会社アルバック製のSBR−1104Eを用いて、Ar圧力0.5Pa、DC電力600Wの条件で、積算時間で2時間のスパッタを実施した。
比較例1および比較例2のCu−Ga合金ターゲット材を用いてスパッタ成膜すると、異常放電が発生することを確認した。これに対し、本発明例となるいずれのCu−Ga合金ターゲット材を用いてスパッタ成膜しても、異常放電の発生はなく、安定してスパッタすることができた。
スパッタ後のCu−Ga合金ターゲット材の表面観察を行なった結果、比較例1および比較例2のCu−Ga合金ターゲット材には、目視で多数のノジュールが確認された。これに対し、本発明例となるいずれのCu−Ga合金ターゲット材にも、目視ではノジュールは確認されなかった。
比較例1および比較例2のCu−Ga合金ターゲット材を用いてスパッタ成膜すると、異常放電が発生することを確認した。これに対し、本発明例となるいずれのCu−Ga合金ターゲット材を用いてスパッタ成膜しても、異常放電の発生はなく、安定してスパッタすることができた。
スパッタ後のCu−Ga合金ターゲット材の表面観察を行なった結果、比較例1および比較例2のCu−Ga合金ターゲット材には、目視で多数のノジュールが確認された。これに対し、本発明例となるいずれのCu−Ga合金ターゲット材にも、目視ではノジュールは確認されなかった。
Claims (2)
- 質量%で、Gaを25〜35%、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、Cの含有量が0.1%以下であることを特徴とするCu−Ga合金ターゲット材。
- ビッカース硬度が450HV以上であることを特徴とする請求項1に記載のCu−Ga合金ターゲット材。
Priority Applications (1)
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JP2013194308A JP2015059246A (ja) | 2013-09-19 | 2013-09-19 | Cu−Ga合金ターゲット材 |
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JP2013194308A JP2015059246A (ja) | 2013-09-19 | 2013-09-19 | Cu−Ga合金ターゲット材 |
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JP2015059246A true JP2015059246A (ja) | 2015-03-30 |
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Family Applications (1)
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JP2013194308A Pending JP2015059246A (ja) | 2013-09-19 | 2013-09-19 | Cu−Ga合金ターゲット材 |
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JP (1) | JP2015059246A (ja) |
-
2013
- 2013-09-19 JP JP2013194308A patent/JP2015059246A/ja active Pending
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