JP2015059108A - チオール化合物 - Google Patents

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Yuki Kaji
勇樹 梶
石野 義夫
Yoshio Ishino
義夫 石野
昌弘 坂口
Masahiro Sakaguchi
昌弘 坂口
政昭 茶谷
Masaaki Chatani
政昭 茶谷
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Abstract

【課題】シロキサン構造を有し、保存安定性に優れたかご型シロキサン構造を有する新規チオール化合物の提供。【解決手段】例えば、オクタキス(テトラメチルアンモニウム)シルセスキオキサンにクロロジメチルビニルシランを反応させてオクタキス(ジメチルビニルシロキシ)シルセスキオキサンを調整し、さらにアゾビスイソブチロニトリル存在下、硫化水素ガスを反応させて得たオクタキス(ジメチル(2−メルカプトエチル)シロキシ)シルセスキオキサン。【選択図】なし

Description

本発明は、チオール化合物に関する。
チオール化合物は、オレフィン類等のモノマーの重合時に用いられる連鎖移動剤、エポキシ樹脂の硬化剤、エン−チオール反応による光硬化性樹脂等の多種多様な用途に用いることができる化合物として知られている。チオール化合物は、近年では、メルカプト基と金属との結合力が強いことを利用し、シリコン基板状への電極パターニングの際にシリコン基板と電極金属を接合する単分子膜としても使用されている(特許文献1及び2)。
このようにチオール化合物は、一般に強度等を求められる樹脂の用途、単分子膜の用途等に幅広く使用されている。そのため、得られる樹脂等の物性を向上し得る新規なチオール化合物の開発が要望されている。
一方、シロキサン化合物は、Si−O結合によりSi原子が互いに結合された化合物であるが、Siに有機基で置換したケイ素化合物を用いることにより、分子中に炭化水素よりなる有機部分を導入できる。このように、シロキサン化合物は、ケイ素原子および酸素原子よりなる無機部分と、炭素原子および水素原子よりなる有機部分とを有することができ、有機化合物及び無機化合物両者の特徴を併せ持つ、有機−無機ハイブリッド材料として注目されている。シロキサン化合物として、かご型シルセスキオキサンが報告されている。かご型シルセスキオキサンは、そのかごの大きさが1nm程度のサイズであることから、最小のナノフィラーとみなすことができ、ナノコンポジットとして期待されている。
以上の点から、チオール化合物の特性とシロキサン化合物の特性の双方を兼備する化合物として、チオール基を有するシロキサン化合物が期待されている。
現在知られているチオール基を含むシロキサン化合物の製造方法は、3−メルカプトプロピルトリアルコキシシランを原料としてゾル−ゲル反応により縮合させることでランダム型シルセスキオキサンを合成する方法がある。しかしながら、この方法では様々なシルセスキオキサンがランダムに製造されるため、3−メルカプトプロピルトリアルコキシシランの全てのアルコキシシランがシロキサン結合を形成することができない。そのため、縮合後も未反応のシラノール基が多く残存し、未反応のシラノール基によって保存中にゲル化が起きるため、保存安定性に劣る(特許文献3)。
特開2012−122012号公報 特開2009−293082号公報 特開2007−291313号公報
本発明は、シロキサン構造を有し、保存安定性に優れた新規チオール化合物を提供することを課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決するため、シロキサン構造を有する新規チオール化合物を開発すべく、鋭意研究を重ねてきた。その結果、テトラアルコキシシランを原料として、水酸化第四級アンモニウムを触媒として用いることにより、かご型シルセスキオキサンを合成し、官能基変換によりチオール基を導入することで、保存安定性に優れたかご型シロキサン構造を有するチオール化合物を合成することに成功した。本発明は、この様な知見に基づき完成されたものである。
即ち、本発明は、下記項1〜4に記載のかご型シロキサン構造を有するチオール化合物及びその製造方法を提供するものである。
項1.下記一般式(1)
Figure 2015059108
[式中、Xは同一又は異なって下記X又はXを示す。
Figure 2015059108
Figure 2015059108
ここで、R、R、R、R及びRは各々炭素数1〜8のアルキル基又は芳香族炭化水素基を示し、Aは炭素数1〜8の2価の炭化水素基を示す。
但し、8個のXのうち少なくとも一つはXを示すものとする。]
で表されるかご型シロキサン構造を有するチオール化合物。
項2.下記一般式(3)
Figure 2015059108
[式中、X
Figure 2015059108
を示す。X中のAlkylは炭素数1〜8のアルキル基を示す。]
で表されるかご型シルセスキオキサンとチオール基に変換可能な官能基を有するハロゲン化アルキルシランとを反応させる工程、及び
該チオール基に変換可能な官能基をチオール基に変換する工程
を含む製造方法によって得られる、前記項1に記載のかご型シロキサン構造を有するチオール化合物。
項3.下記一般式(3)
Figure 2015059108
[式中、Xは上記に同じ。]
で表されるかご型シルセスキオキサンとチオール基に変換可能な官能基を有するハロゲン化アルキルシランとを反応させる工程(工程1)、及び
該チオール基に変換可能な官能基をチオール基に変換する工程(工程2)
を含む、下記一般式(1)
Figure 2015059108
[式中、Xは上記に同じ。]
で表されるかご型シロキサン構造を有するチオール化合物の製造方法。
項4.前記工程1が前記一般式(3)で表される化合物とアルケニル基を有するハロゲン化アルキルシランとを反応させる工程であり、
前記工程2が下記一般式(2)
Figure 2015059108
[式中、Xは同一又は異なって下記X又はXを示す。
は上記と同じであり、X
Figure 2015059108
である。R、R、R、R及びRは上記と同じであり、Zは炭素数2〜8のアルケニル基を示す。]で表されるかご型シルセスキオキサンと硫化水素とを反応させる工程である、前記項3に記載のかご型シロキサン構造を有するチオール化合物の製造方法。
本発明のかご型シロキサン構造を有するチオール化合物は、残存のシラノール基が極めて少ないため、保存安定性が極めて良好である。
また、本発明のかご型シロキサン構造を有するチオール化合物は、無機部分としてナノスケールのかご型シロキサン構造を有し、且つ有機部分としてチオール基を有しており、そのため、プラスチックレンズ用モノマーやオレフィン類の重合時に用いられる連鎖移動剤、エポキシ樹脂の硬化剤、エン−チオール反応による光硬化性樹脂等の用途に好適に使用できる。
本発明のかご型チオール化合物1のIRスペクトル図である。 本発明のかご型チオール化合物2のIRスペクトル図である。 比較例1で得られたゲル化した化合物のIRスペクトル図である。
以下、本発明について説明する。
1.かご型シロキサン構造を有するチオール化合物
本発明のかご型シロキサン構造を有するチオール化合物は、下記一般式(1)
Figure 2015059108
[式中、Xは上記に同じ。]
で表されるかご型シロキサン構造を有するチオール化合物(以下「かご型チオール化合物」ともいう)である。
上記一般式(1)中、Xは同一又は異なってX又はXであり、8個のXのうち少なくとも一つはXを示す。ここで、X
Figure 2015059108
であり、X
Figure 2015059108
である。
本発明のかご型チオール化合物は、その構造上、シラノール基(SiOH)を有していない。本発明のかご型チオール化合物は、実質的に未反応のシラノール基を有する副生成物を含有していないため、シラノール基の残存量が極めて少ない(理想的にはシラノール基の残存がない)。本発明のかご型チオール化合物における副生成物由来のシラノール基の残存は、IRスペクトルにおいてシラノール基による吸収の有無、即ち、3500cm−1付近に観測されるピークの有無により確認することができる。本発明のかご型チオール化合物におけるシラノール基の残存量は、好ましくは、上記シラノール基による吸収が観測できない程度である。
上記一般式(1)において、X、X、R、R、R、R、R及びAで示される各基が複数個ある場合、複数個ある各基(すなわち、X、X、R、R、R、R、R又はA)は同一であっても互いに異なっていてもよい。
上記X及びX中、R、R、R、R及びRは各々炭素数1〜8のアルキル基又は芳香族炭化水素基である。特に、原料であるハロゲン化アルキルシランの入手が容易な点で、炭素数1〜8のアルキル基が好ましい。
炭素数1〜8のアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等を例示できる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等を例示できる。
上記X中、Aは炭素数1〜8の2価の炭化水素基である。炭素数1〜8の2価の炭化水素基としては、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。これらの中でもかご型チオール化合物の合成が容易な点で、−CHCH−、−CHCHCH−等の炭素数2又は3の直鎖状のアルキレン基が好ましい。
2.かご型シロキサン構造を有するチオール化合物の製造
本発明のかご型チオール化合物は、下記一般式(3)
Figure 2015059108
[式中、X
Figure 2015059108
を示す。X中のAlkylは炭素数1〜8のアルキル基を示す。]
で表されるかご型シルセスキオキサン(以下「シロキサン化合物前駆体(A)」ともいう)にチオール基を有する有機基を導入することにより、製造することができる。
一般式(3)のかご型シルセスキオキサンにチオール基を有する有機基を導入する方法としては、一般式(3)のかご型シルセスキオキサンとチオール基に変換可能な官能基を有するハロゲン化アルキルシランとを反応させる工程(工程1)、及びチオール基に変換可能な官能基をチオール基に変換する工程(工程2)を含む方法を用いることが好ましい。上記方法を使用することにより、シルセスキオキサンの構造を制御することができ、未反応のシラノール基が極めて少なくなる(理想的には未反応のシラノール基が存在しない)ため、副生成物の生成を抑えることが可能である。
チオール基に変換可能な官能基とは、シロキサンとの反応を阻害せずに、後に所定の化合物と反応し、チオール基を導入することができる官能基であればよい。例えば、ビニル基等の炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。
炭素数2〜8のアルケニル基は、例えば、硫化水素と反応させることで、チオール基を導入することができる。炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基は、例えば、水硫化物イオン(SH)と反応させることで、チオール基を導入することができる。
上記チオール基に変換可能な官能基を有するハロゲン化アルキルシランは、例えば、ビニル基等の炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基等を有するハロゲン化アルキルシランを挙げることができる。特に該官能基を有するアルキルシリルクロライド又は該官能基を有するアルキルシリルブロマイドが好ましい。
本発明のかご型チオール化合物は、より具体的には、例えば、下記反応式−1に記載の手順により、シロキサン化合物前駆体(A)及びシロキサン化合物前駆体(B)を経て製造することができる。下記反応式−1に記載の手順では、炭素数2〜8のアルケニル基を有するハロゲン化アルキルシランとの反応でシロキサン化合物前駆体(B)を製造し(前記工程1)、その後硫化水素と反応させることで一般式(1)の化合物を製造している(前記工程2)。
下記反応式−1の製造方法によれば、未反応のシラノール基が極めて少ない(好ましくは未反応のシラノール基が存在しない)かご型チオール化合物を製造することができる。
Figure 2015059108
[式中、Alkyl、R、R、R、R、R、Z及びAは前記に同じ。]
以下、反応式−1に記載の手順について、より詳細に説明する。
(2.1)シロキサン化合物前駆体(A)の製造
シロキサン化合物前駆体(A)は、上記反応式−1に記載のように、テトラアルコキシシランと水酸化第四級アンモニウム塩とを水、アルコール、又はこれらの混合溶媒中で反応させることにより得ることができる。この反応には、例えば、特表2010−530911号公報に記載の反応条件を適用することができる。
溶媒に用いるアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。これらの中でも、次工程のクロロシランとの反応効率の観点よりメタノールを用いることが好ましい。
水とアルコールとの混合溶媒における両者の混合比は特に限定されるものではないが、容量比で40%以上の割合でアルコールを含む混合溶媒を使用することが好ましい。
上記反応に用いる溶媒の使用量は、原料となるテトラアルコキシシラン 1molに対して、通常、0.15〜10L、好ましくは0.4〜0.8Lである。
上記反応に用いるテトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(1−プロポキシ)シラン、テトラ(2−プロポキシ)シラン等が挙げられる。これらの中でも、反応効率が良いという観点よりテトラメトキシシランを用いることが好ましい。
水酸化第四級アンモニウムとしては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。これらの中でも、八面体シルセスキオキサンを選択的に生成しやすいという観点より水酸化テトラメチルアンモニウムが好ましい。
水酸化第四級アンモニウムの使用量は、テトラアルコキシシラン 1molに対して、通常、0.5〜3.0mol、好ましくは0.8〜1.2molである。
上記反応の反応温度は、通常、0〜50℃程度、好ましくは15〜35℃程度である。反応時間はその反応温度において上記反応が完了するのに十分な時間であればよいが、例えば、通常、6〜48時間程度、好ましくは12〜24時間程度である。
(2.2)シロキサン化合物前駆体(B)の製造
シロキサン化合物前駆体(B)は、シロキサン化合物前駆体(A)とハロゲン化アルキルシランとを、溶媒中で反応させることにより製造することができる。
上記反応において、ハロゲン化アルキルシランは下記一般式(4)
Figure 2015059108
[式中、Xはハロゲン原子を示し、R、R及びZは上記と同じ。]
で表されるハロゲン化アルキルシラン単独で用いるか、又は一般式(4)のハロゲン化アルキルシランと下記一般式(5)
Figure 2015059108
[式中、R、R、R及びXは上記と同じである。]
で表されるハロゲン化アルキルシランとの混合物で用いることができる。ここで、上記Zは、チオール基に変換可能な官能基として、炭素数2〜8のアルケニル基を有している。
上記一般式(4)で表されるハロゲン化アルキルシランがシロキサン化合物前駆体(A)に結合して基X、上記一般式(5)で表されるハロゲン化アルキルシランがシロキサン化合物前駆体(A)に結合して基Xがそれぞれ形成される。基Xは続く反応において(a)かご型チオール化合物の基Xへと変換されるため、ハロゲン化アルキルシランを混合物で使用する場合は、目的とする(a)かご型チオール化合物の置換基X及びXの比率に合わせて、両者の混合比を決定すればよい。
上記反応でのハロゲン化アルキルシランは、シロキサン化合物前駆体(A) 1molに対して、通常、6〜40mol、好ましくは8〜24molを使用すればよい。ハロゲン化アルキルシランが混合物である場合は、両者の合計が当該範囲内であればよい。
上記反応での溶媒は、シロキサン化合物前駆体(A)をアルコール又は水とアルコールとの混合溶媒中に溶解させ、ハロゲン化アルキルシランを他の有機溶媒中に溶解させて、両溶液を混合することによって行うことがよい。シロキサン化合物前駆体(A)のアルコール溶液又は水とアルコールとの混合溶液は、シロキサン化合物前駆体(A)を合成した際に得られたアルコール溶液又は水とアルコールとの混合溶液をそのまま使用することができる。
アルコールとしては、シロキサン化合物前駆体(A)を溶解する公知のアルコールを広く使用でき、例えば、メタノール、エタノール、2−プロピルアルコール等が挙げられ、メタノールが好ましい。水とアルコールとの混合溶媒における両者の比率は上記と同じである。他の有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒等が挙げられる。
アルコール又は水とアルコールとの混合溶媒の使用量としては、上記反応が良好に進行する範囲であればよく、シロキサン化合物前駆体(A) 1molに対して、通常、1.2〜80L、好ましくは3.2〜7Lである。他の有機溶媒の使用量は、上記反応が良好に進行する範囲であればよく、ハロゲン化アルキルシラン 1molに対して、通常、95〜1400ml、好ましくは600〜800mlである。
上記反応の反応温度は、通常、−50〜65℃、好ましくは−10〜40℃、特に好ましくは0〜25℃であればよい。反応時間は、その反応温度において上記反応が完了するのに十分な時間であればよいが、例えば、通常、0.5〜6時間程度、好ましくは1〜2時間程度であればよい。
(2.3)かご型チオール化合物の製造
本発明におけるかご型チオール化合物は、例えば、上記シロキサン化合物前駆体(B)と硫化水素とを有機溶媒中で反応させることにより得ることができる。
上記反応は、硫化水素雰囲気下で行うことが好ましい。硫化水素の使用量は、シロキサン化合物前駆体(B)が有する基Zの数に対して過剰量であればよい。硫化水素の分圧は、通常、0.01〜15MPa、好ましくは0.2〜0.6MPaである。
上記反応に用いる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類を用いることができる。これらの溶媒の中でもヘキサンを用いることが好ましい。溶媒の使用量は、シロキサン化合物前駆体(B) 1molに対して、通常1.2〜25L、好ましくは3〜3.5Lである。
上記反応の反応温度は、通常、−30〜120℃、好ましくは30〜100℃、特に好ましくは70〜100℃である。反応時間は、その反応温度において上記反応が完了するのに十分な時間であればよいが、例えば、通常、0.1〜24時間程度、好ましくは0.5〜2時間程度である。
上記反応では、必要に応じてラジカル開始剤を反応系内に存在させることができる。ラジカル開始剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル等を用いることができる。ラジカル開始剤の使用量は触媒量以上あればよい。具体的には、上記シロキサン化合物前駆体(B) 100重量部に対して、ラジカル開始剤を通常0.1〜20重量部、好ましくは1〜3重量部使用することができる。
本発明のかご型チオール化合物は、通常の分離手段により反応混合物より容易に分離され、精製される。この様な分離及び精製手段としては、例えば、蒸留法、再結晶法、溶媒抽出法等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は実施例に制限されるものではない。なお、以下において、得られた化合物の分析及び物性評価は下記に示す装置を用いて行った。
<IR分析>
IR分析装置(堀場製作所製、FT−710)を用いて、500〜4000cm−1の波数領域の透過率を測定した。
<NMR分析>
NMR分析装置(日本電子株式会社製、LA−500)を用いて、各種NMRスペクトルを測定した。内部標準はテトラメチルシランを用いた。
合成例1:オクタキス(テトラメチルアンモニウム)シルセスキオキサンの合成
温度計を備えた500mlフラスコに25重量%テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド水溶液 143.7g(394mmol)及びメタノール160mlを加え、これに25〜30℃でテトラメトキシシラン 60g(394mmol)を滴下した。得られた混合物を25℃で24時間攪拌することにより、下記構造式のオクタキス(テトラメチルアンモニウム)シルセスキオキサン(以下「シロキサン化合物前駆体A1」という)溶液を得た。
Figure 2015059108
合成例2:オクタキス(ジメチルビニルシロキシ)シルセスキオキサンの合成
温度計及び還流冷却器を備えた1Lフラスコにクロロジメチルビニルシラン 71.31g(594mmol)、及びヘプタン280mLを加えた。窒素気流下、得られた混合物に合成例1で得たシロキサン化合物前駆体A1の溶液 331g(49.3mmol)を0〜5℃で滴下し、滴下終了後、この混合物を30℃で1時間攪拌した。得られた反応物を水 180mLで4回洗浄した後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去させることにより、粗生成物 64.05gを得た。得られた粗生成物にメタノール 278mLを加え、25℃で30分攪拌後、生成物を濾別し、さらにメタノールにより洗浄した後、乾燥させることで白色粉末のオクタキス(ジメチルビニルシロキシ)シルセスキオキサン(以下「シロキサン化合物前駆体B1」という) 48.24g(収率:79.9%)を得た。
以下にシロキサン化合物前駆体B1の構造式を示す。
Figure 2015059108
合成例3:ビス(ジメチルビニルシロキシ)ヘキサキス(トリメチルシロキシ)シルセスキオキサンの合成
温度計及び還流冷却器を備えた300mLフラスコにクロロジメチルビニルシラン 3.22g(26.7mmol)、クロロトリメチルシラン 8.70g(80.1mmol)、及びヘプタン 89mLを加えた。窒素気流下、得られた混合物に合成例1で得られたシロキサン化合物前駆体A1の溶液 59.8g(8.9mmol)を0〜5℃で滴下し、滴下修了後、30℃で1時間攪拌した。得られた反応混合物を水 88mLで4回洗浄した後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去させることにより粗生成物 10.00gを得た。得られた粗生成物にメタノール 77mLを加え、25℃で30分攪拌後、生成物を濾別し、メタノールにより洗浄した後、乾燥させることで白色粉末のビス(ジメチルビニルシロキシ)ヘキサキス(トリメチルシロキシ)シルセスキオキサン(以下「シロキサン化合物前駆体B2」という) 8.86g(収率:84.1%)で得た。
以下にシロキサン化合物前駆体B2の構造式を示す。
Figure 2015059108
実施例1:オクタキス(ジメチル(2−メルカプトエチル)シロキシ)シルセスキオキサンの合成
300mLオートクレーブに合成例2で得られたシロキサン化合物前駆体B1 45.0g(36.7mmol)、及びヘプタン 118mLを加えた。得られた混合物にアゾビスイソブチロニトリル 0.53g(3.2mmol)を25〜30℃で加えた。オートクレーブ内を減圧した後、硫化水素ガスを内圧が0.3MPaになるまで吹き込み、90℃で1時間攪拌した。攪拌後、室温まで冷却し、オートクレーブ内を脱気した。得られた反応混合物を水 140mLで3回洗浄した後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、溶媒を留去することにより、薄黄色透明油状物として、オクタキス(ジメチル(2−メルカプトエチル)シロキシ)シルセスキオキサン(以下「かご型チオール化合物1」という) 51.98g(収率:94.5%)を得た。
以下に、かご型チオール化合物1のH−NMR、29Si−NMR及び構造式を示す。また、図1にかご型チオール化合物1のIRスペクトル図を示す。
H−NMR(CDCl、500MHz);δ 0.19(s、48H)、 1.06(m、16H)、 1.55(t、8H)、 2.65(m、16H)。
29Si−NMR(CDCl、99MHz);δ −109(s)、 11.0(s)。
Figure 2015059108
実施例2:ビス(ジメチル(2−メルカプトエチル)シロキシ)ヘキサキス(トリメチルシロキシ)シルセスキオキサンの製造
300mLオートクレーブに合成例3で得られたシロキサン化合物前駆体B2 8.50g(7.2mmol)、及びヘプタン85mLを加えた。得られた混合物にアゾビスイソブチロニトリル 0.116g(0.7mmol)を25〜30℃で加えた。オートクレーブ内を減圧した後、硫化水素ガスを内圧が0.3MPaになるまで吹き込み、90℃で1時間攪拌した。攪拌後、室温まで冷却し、オートクレーブ内を脱気した。得られた反応混合物を水 40mLで3回洗浄した後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、溶媒を留去することにより、薄黄色粘性油状物として、ビス(ジメチル(2−メルカプトエチル)シロキシ)ヘキサキス(トリメチルシロキシ)シルセスキオキサン(以下「かご型チオール化合物2」という) 8.27g(収率:94%)で得た。
以下に、かご型チオール化合物2のH−NMR及び構造式を示す。また、図2にかご型チオール化合物2のIRスペクトル図を示す。
H−NMR(CDCl、500MHz);δ 0.15(s、66H)、 1.04(t、4H)、 1.51(t、2H)、 2.66(m、4H)。
Figure 2015059108
比較例1:酸触媒による加水分解および縮合反応によるチオール基含有シルセスキオキサンの製造
30mlフラスコに3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン 5.0g(25.4mmol)、水 2.75g(152.4mmol)、及び酢酸 0.3g(5.1mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温にて30分反応後、50℃で2時間反応させた。減圧下、濃縮することにより、水、酢酸、副生したメタノールを留去したが、ゲル化した為、チオール基含有シルセスキオキサンを得ることはできなかった。
図3にゲル化した化合物のIRスペクトルを示す。
図1及び図2では、SiOH基由来の3500cm−1付近のピークが存在しておらず、実施例1及び2の化合物ではシラノール基が残存していないことが分かる。一方で、図3では、3500cm−1付近に大きくピークが存在しており、比較例1の化合物ではシラノール基が多量に残存していることが分かる。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 2015059108
    [式中、Xは同一又は異なって下記X又はXを示す。
    Figure 2015059108
    Figure 2015059108
    ここで、R、R、R、R及びRは各々炭素数1〜8のアルキル基又は芳香族炭化水素基を示し、Aは炭素数1〜8の2価の炭化水素基を示す。
    但し、8個のXのうち少なくとも一つはXを示すものとする。]
    で表されるかご型シロキサン構造を有するチオール化合物。
  2. 下記一般式(3)
    Figure 2015059108
    [式中、X
    Figure 2015059108
    を示す。X中のAlkylは炭素数1〜8のアルキル基を示す。]
    で表されるかご型シルセスキオキサンとチオール基に変換可能な官能基を有するハロゲン化アルキルシランとを反応させる工程、及び
    該チオール基に変換可能な官能基をチオール基に変換する工程
    を含む製造方法によって得られる、請求項1に記載のかご型シロキサン構造を有するチオール化合物。
  3. 下記一般式(3)
    Figure 2015059108
    [式中、X
    Figure 2015059108
    を示す。X中のAlkylは炭素数1〜8のアルキル基を示す。]
    で表されるかご型シルセスキオキサンとチオール基に変換可能な官能基を有するハロゲン化アルキルシランとを反応させる工程(工程1)、及び
    該チオール基に変換可能な官能基をチオール基に変換する工程(工程2)
    を含む、下記一般式(1)
    Figure 2015059108
    [式中、Xは同一又は異なって下記X又はXを示す。
    Figure 2015059108
    Figure 2015059108
    ここで、R、R、R、R及びRは各々炭素数1〜8のアルキル基又は芳香族炭化水素基を示し、Aは炭素数1〜8の2価の炭化水素基を示す。
    但し、8個のXのうち少なくとも一つはXを示すものとする。]
    で表されるかご型シロキサン構造を有するチオール化合物の製造方法。
  4. 前記工程1が前記一般式(3)で表される化合物とアルケニル基を有するハロゲン化アルキルシランとを反応させる工程であり、
    前記工程2が下記一般式(2)
    Figure 2015059108
    [式中、Xは同一又は異なって下記X又はXを示す。
    は上記と同じであり、X
    Figure 2015059108
    である。R、R、R、R及びRは上記と同じであり、Zは炭素数2〜8のアルケニル基を示す。]で表されるかご型シルセスキオキサンと硫化水素とを反応させる工程である、請求項3に記載のかご型シロキサン構造を有するチオール化合物の製造方法。
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