以下に、図示した実施形態に基づいて、本発明を説明する。先ず、本発明の解体方法は、構築物を形成する躯体を構築物の内側に設けた破砕手段で構築物の内側から破砕する解体方法において、構築物の外表面にこの外表面が構築物の外側に出ることを阻止する規制手段を設け、この規制手段を構築物の外表面に設けた状態で躯体を破砕手段で破砕するところに特徴がある。
そして、本発明の解体方法は、本発明の解体装置によって具現化できる。そこで、以下では、本発明の解体装置について説明し、併せて、本発明の解体方法について説明する。
本発明の解体装置は、図1に示すように、構築物を形成する躯体(図1中の符号A1〜A4参照)をこの構築物の内側に設けられてこの構築物の内側から破砕する破砕手段1を備えると共に、構築物の外表面(符示せず)に設けられ、躯体が破砕手段1で構築物の内側から破砕されるとき、構築物の外表面が構築物の外側に出ることを阻止する規制手段2を備える。
そして、図示する実施形態では、本発明の解体方法の好ましい具現化を実現するために、本発明の解体装置が上記の破砕手段1および規制手段2を備えることに加えて、図2に示すように、規制手段2を構築物の外表面に連結するための連結手段3,4を備え、さらには、構築物の外側に作業足場5を備え、この作業足場5を上記の規制手段2に繋ぐための繋ぎ手段6,7を備える。なお、本発明の解体装置にあっては、図13の他の実施形態に示すように、連結手段10によっても、構築物の外表面に規制手段2を連結し得るとしている。
構築物は、図示するところでは、建物Aとされているが、本発明、すなわち、解体方法および解体装置の実施を可能にする観点からすれば、図示しないが、構築物が建物A以外の塔であったり擁壁であったりしても良い。
そして、図示する構築物たる建物Aは、鉄筋コンクリートを利用して躯体が形成されているが、本発明を実施する上からは、建物Aの躯体が鉄骨を利用して形成されていても良い。
ちなみに、建物Aの躯体が鉄骨で形成される場合に、その躯体の解体は、破砕に代わる溶断になり、破砕手段1に相当する溶断手段は、鉄骨の溶断を実践できる構成を備えるのはもちろんである。
ところで、本発明にあっては、構築物の「内側」および「外側」なる表現をするが、構築物が建物Aや塔などのいわゆる囲まれた空間を備える場合には、この囲まれた空間を「内側」と言うことになり、言わば囲まれていない空間を「外側」と言うことになる。
対して、構築物が擁壁などのように空間を前後あるいは左右などに区分するだけの場合には、区分される一方側「内側」に相当するとすれば、区分される他方側が「外側」に相当することになり、本発明の実施を妨げないことになる。
戻って、構築物、すなわち、建物Aにおける躯体は、建物Aを形成するもので、図1中に符号A1で示す柱、同じく符号A2で示す梁、同じく符号A3で示す壁、同じく符号A4で示す床が相当する。なお、図示しないが、天井は、見方によっては床A4と言え、躯体になる。
一方、図示する構築物たる建物Aは、本発明の実施にあって、上下方向に複数となる階を備える、すなわち、複数階建物となるが、規制手段2を設けることを可能にする観点からすれば、建物Aが複数階建物とされずに、いわゆる平屋建てであったり、二階建てであったりしても、本発明の実施を妨げないことはもちろんである。
本発明の解体装置を構成する破砕手段1は、図示する実施形態では、建物Aの内側での移動を自在にする自走式のいわゆる重機からなり、この重機が水平方向への旋回および上下方向への搖動を自在にするアーム11を備え、このアーム11が先端に躯体の破砕を可能にする破砕具12を備える。
破砕具12としては、二軸式の破砕具あるいはハンマー式の破砕具が候補となり、二軸式の破砕具にあっては、躯体を挟み切るようにするので、ハンマー式の破砕具に比較して、騒音の発生を抑えながら躯体を破砕でき、ハンマー式の破砕具にあっては、いわゆる鑿を備えるから、二軸式の破砕具に比較して、細かい破砕を容易に実践できる。
そして、図1に示すところでは、破砕手段1は、破砕具12として、ハンマー式の破砕具を備えるとし、このハンマー式の破砕具による柱A1の根元部分の破砕、すなわち、建物Aの内側からする部分的な破砕を実践できるとしている。
破砕具12が二軸式の破砕具あるいはハンマー式の破砕具のいずれで構成されるとしても、本発明では、破砕手段1による躯体の破砕が建物Aの内側から実践されて、破砕作業、すなわち、破砕工事に伴う破砕屑、すなわち、コンクリート屑やコンクリート塊が建物Aの外側に出ることを阻止する。
破砕手段1による躯体の破砕が建物Aの内側から実践される場合には、躯体の破砕作業に伴うコンクリート屑やコンクリート塊が建物Aの外側に出ることを阻止する上で有利になるのは自明である。
このことからして、本発明にあっても、建物Aを形成する躯体の破砕を建物Aの内側からするのを原則とし、これを具現化するために、本発明の解体方法や解体装置にあって、破砕手段1を建物Aの内側に設ける。
なお、図示しないが、破砕手段1で躯体たる柱A1の根元部分を破砕するまでに至る(図1参照)には、破砕手段1たる重機が建物Aの内側に導入され、そのために、たとえば、躯体たる壁A3が建物Aの外側から破砕されるが、このときには、壁A3の破砕作業に伴うコンクリート塊が壁A3の内側、すなわち、建物Aの内側に落ちることになり、コンクリート屑はともかくとして、コンクリート塊が建物Aの外側に出ることが阻止されるのはもちろんである。
また、建物Aの内側に導入された、すなわち、配設された破砕手段1たる重機によって、躯体たる柱A1の根元部分を破砕するまでに至るには、図示しないが、重機を導入する内側の上方を覆う天井床を破砕し、また、この天井床に続く梁A2を破断して、図1に示すように、柱A1が壁A3に連続して起立する状態になるようにする。
なお、破砕手段1たる重機を建物Aの内側に導入する方策としては、重機を一旦いわゆる構成部品に分解し、分解された構成部品を建物Aの内側に搬入して、重機を組み立てることで、重機の導入を実行しても良いことはもちろんである。
次に、規制手段2について説明すると、本発明において、規制手段2は、建物Aが内側から破砕されるとき、すなわち、建物Aを形成する躯体が建物Aの内側から前記した破砕手段1で破砕されるとき、破砕された躯体、すなわち、コンクリート塊が建物Aの外側に出ることを阻止するのを旨とする。
そのため、規制手段2は、建物Aの外表面、すなわち、躯体の外表面に言わば一体的に連結されるとし、この規制手段2が連結された躯体にあっては、これが建物Aの内側から破砕されるとしても、たとえば、コンクリート塊となった状態で建物Aの外側に出ないようにする。
ところで、規制手段2が、図2および図3に示すように、建物Aの躯体たる壁A3の外表面に連結された状態では、この壁A3が破砕されるとしても、この破砕された壁A3の外表面が規制手段2の連結によって建物Aの外側に出なくなるのはもちろんである。
ちなみに、図3に示すところでは、規制手段2が柱A1を左右側から挟む態勢に設けられるとしているが、これは一例であって、必要に応じて左右側のいずれか一方側にのみ規制手段2が設けられるとしても良いことはもちろんである。
一方、規制手段2が建物Aの躯体たる壁A3の外表面に連結された状態で、この壁A3に連続する外表面を備える躯体、すなわち、壁A3に連続する躯体たる柱A1が破砕されても、壁A3の外表面が規制手段2に連結されていて建物Aの外側に出ないから、この壁A3に連続する柱A1、すなわち、破砕された柱A1の外表面も建物Aの外側に出ないことになり、結果として、破砕された躯体たる柱A1が建物Aの外側に出ることが阻止される。
なお、規制手段2を設けるのは、破砕される躯体が建物Aの外側に出ないようにするためであることからすると、規制手段が壁A3に設けられる(図3(B)参照)ことに代えて、図示しないが、破砕される躯体たる柱A1あるいは梁A2や床A4に設けられるとしても良いとも言い得る。
ちなみに、柱A1を破砕するときに、柱A1に規制手段2を設けるとしても、柱A1の破砕作業の際には、柱A1の破砕作業を円滑に進行する上から、破砕される柱A1の外表面から規制手段2が分離されることになり、この限りでは、破砕された柱A1が建物Aの外側に出ることを阻止し得ない事態になると言える。
しかし、規制手段2は、基本的には、下方階から上方階の複数階に跨って設けられるから、上端側が柱A1の外表面から分離されるとしても下端側が柱A1に連結されていて、言わば自立する態勢に維持されることになり、規制手段2と分離された状態で破砕された柱A1が建物Aの外側に出ることを阻止し得ることになる。
また、柱A1を破砕するときに、規制手段2が壁A3に設けられていれば、破砕される柱A1が規制手段2を設ける壁A3に鉄筋で連続することから、柱A1が破砕されても、この破砕された柱A1が建物Aの外に何の規制もなく外側に出る事態を招来させないことが可能になる。
したがって、本発明の好ましい実施形態からすれば、規制手段2は、壁A3に設けられるのが良い(図3(B)参照)が、本発明が意図するところからすれば、上述したように、規制手段2が柱A1あるいは梁A2や床A4に設けられるとしても、本発明の実施が可能になるのはもちろんである。
以上のように機能する規制手段2は、図2に示すように、連結手段3,4および連結手段10によって建物Aの外表面に分離可能に設けられる。規制手段2が建物Aの外表面に分離可能に設けられるのは、規制手段2の言わば別の解体工事での再利用を可能にするためであることはもちろんであるが、進行中の解体工事における規制手段2のいわゆる盛り替えを可能にするためでもある。規制手段2の盛り替えについては、後述する。
戻って、規制手段2は、図示する実施形態では、図2および図3に示すように、トラス構造に形成される副え支柱21を備えるもので、この副え支柱21を上下方向に複数連結した態勢にして建物Aの外表面に設けられる。
副え支柱21は、図4に示すように、一対となる溝付き形鋼22が、間隔を有して互いに溝(符示せず)を対向させた状態(図4中の(C)参照)で、一対となるラチス23で連結されてなる(図4中の(A)参照)とする。
そして、溝付き形鋼22は、横断面を浅い角U字状にする軽鉄骨からなり、ラチス23は、棒鋼をジグザグ状に折り曲げて、溝付き形鋼22のフランジ部22aに溶接される。
以上のように形成される副え支柱21は、トラス構造とされるから、所定の自己支持性および機械的強度を備えながら軽量となり、たとえば、作業員による取り扱いを容易にする上で有利となる。
ちなみに、規制手段2を構成して、しかも、所定の自己支持性および機械的強度を備える観点からすれば、副え支柱21が、トラス構造に形成されるのに代えて、図示しないが、たとえば、軽量H形鋼などからなるとしても良いと言い得る。ただ、上記したように、作業員による取り扱いを容易にすることを重視する場合には、副え支柱21が図示するトラス構造に形成されるのが好ましいであろう。
戻って、副え支柱21は、図示する実施形態では、上下方向に複数連結した態勢で規制手段2とされて建物Aの外表面に設けられる(図1参照)が、建物Aの外表面に設けられることからすれば、すなわち、規制手段2としての機能からすれば、副え支柱21が、建物Aの複数階を跨るいわゆる一本仕様とされても良いと言える。
ただ、副え支柱21が建物Aの複数階に跨るいわゆる一本仕様になる場合には、言わば長尺となって、必要以上に重量が大きくなり、作業員による取り扱いを困難にし易くなることが想定される。
このことを勘案すると、上記のトラス構造からなる副え支柱21は、たとえば、ほぼ1.0メートル、ほぼ1.5メートル、あるいは、ほぼ2.0メートルなどの作業員が扱い易い長さに設定され、これが複数連結されて長尺となる所定の長さを備えるとするのが良い。
そして、いわゆる短く形成された副え支柱21は、言わば利用が終わった段階で下方に下げられて、すなわち、盛り替え作業で、未だ建物Aの外表面に設けられている最下段の副え支柱21に連結されるのに向くことにもなる。なお、本発明の解体方法にあって、最下段の副え支柱21にさらに副え支柱21を連結するタイミングについての限定はなく、任意である。
ちなみに、副え支柱21が建物Aの複数階に跨るいわゆる一本物に形成される場合でも、たとえば、クレーンなどの利用で吊持して建物Aの外表面に設けることが可能になるから、本発明の実施を妨げないことはもちろんである。
なお、クレーンなどの利用で長尺となる副え支柱21を建物Aの外表面に設ける設定の場合には、上記した言わば短尺に形成されたものを、地上などで複数本連結して長尺の一本仕様にし、これをクレーンなどの利用で吊持して建物Aの外表面に設けるとしても良いことはもちろんである。
また、短尺に形成の副え支柱21を上下方向に複数連結させるについては、基本的には任意の手段が選択されて良いが、図示する実施の形態では、図4(D)に示すように、副え支柱21の上下端を形成するプレート24がいわゆる四隅部にこの四隅部を上下方向に貫通するボルト挿通用孔24aを備え、このボルト挿通用孔24aにボルト(図示せず)を挿通しナット(図示せず)を螺合して上下の副え支柱21を連結するのが良い。
なお、短尺に形成の副え支柱21を上下方向に複数連結させるについては、上記のプレート24およびボルト挿通用孔24aの構成に代えて、図示しないが、たとえば、上下となる副え支柱21を連結ブラケットや連結プレートで連結するなどの任意の連結構造が利用されても良いことはもちろんである。
連結手段3,4および連結手段10は、前記したように、規制手段2を構成する副え支柱21を建物Aの外表面に分離可能に連結するためのもので、副え支柱12の建物Aの外表面への連結およびいわゆる利用後の副え支柱21の分離を可能にするのはもちろんのこと、副え支柱21が短尺に形成され、上方階での利用の後に分離し、および、分離した副え支柱21を下方階に連結する作業、すなわち、盛り替作業を可能にする。
以下に、連結手段3,4bについて、少し説明する。なお、連結手段10については、後述する。また、各連結手段3、4、10は、金属材で代表される硬質材料からなる、すなわち、図示する実施形態では、金属製とされる。
先ず、連結手段3は、図5(A),(B)に示すように、螺条ロッド31と、この螺条ロッド31の両端部に螺装される固定用ナット32,33とを備え、螺条ロッド31は、その長さを副え支柱21を貫通すると共に躯体たる壁A3を貫通するに十分で、なおかつ、固定ナット32,33の螺装を可能にする十分な長さを備えるように形成されている。
ちなみに、螺条ロッド31が副え支柱21を貫通する方向は、原理的には、横断面において短手方向あるいは長手方向にいずれであっても良いが、図示する実施形態では、副え支柱21を建物Aの外表面に当接させるのに際して、副え支柱21の長手方向の軸線が建物Aにおける躯体たる壁A3の肉厚を貫通する方向に沿うようにすることに起因して、副え支柱21の長手方向を貫通する。
ここで、副え支柱21を建物Aの外表面に当接させることについて説明する。本発明の規制手段2は、前述したように、建物Aの外表面に設けられることを旨とする。
副え支柱21が建物Aの外表面に設けられるとは、副え支柱21が建物Aの外表面に連結されることを意味するが、建物Aの外表面は、周知の通り、大なり小なり凹凸面となっているのが常態である。
すなわち、建物Aの外表面に規制手段2を設けるのにあっては、規制手段2を建物Aの外表面に直接当接させて設けるのが好ましいが、上述したように建物Aの外表面は、凹凸しており、したがって、複数ある規制手段2の全てを建物Aの外表面に直接当接させて連結すること、および、一の規制手段2にあっても上下方向にあって建物Aの外表面に直接当接させて連結することは事実上困難になると考えられる。
そこで、規制手段2を建物Aの外表面に設けるのにあって、規制手段2と建物Aとの間に隙間がある場合には、任意の材料で形成されるスペーサやクサビを利用するなどして、隙間を解消させて連結するのが好ましいし、そうすることになる。
ちなみに、図示するところでは、副え支柱21を建物Aの外表面に直接当接させた状態となっているが、これは、副え支柱21と建物Aとの間に隙間があり、この隙間をスペーサなどの利用で埋めている状態を図示することによる図面の煩雑化を避けるためであって、副え支柱21と建物Aとの間に隙間がある場合に本発明の適用を除外する意味でないことはもちろんである。
戻って、副え支柱21にあっては、図5に示すところでは、螺条ロッド31の貫通作業を容易にするように、一対となる溝付き形鋼22の間にガイドパイプ25が設けられているが、このガイドパイプ25は、これがあれば、螺条ロッド31を貫通する作業を迅速に行えるからである。
したがって、作業に迅速性を求めないのであれば、図示しないが、溝付き形鋼22に螺条ロッド31を挿通させる孔を設ければ良く、このガイドパイプ25の配設が省略されても良い。ただ、このガイドパイプ25を適宜の間隔で複数本配設する(図4(B)参照)場合には、副え支柱21における機械的強度を大きくし得る点でも有利になる。
戻って、固定用ナット32,33は、それぞれダブルナットとされるもので、これにより、螺条ロッド31を利用する副え支柱21の建物Aの外表面への固定的な定着状態を保障するとしている。
ちなみに、図5に示すところでは、連結手段3にあって、螺条ロッド31に建物Aの内側から螺装される固定用ナット33と壁A3の間にプレート34が設けるとし、躯体たる壁A3がプレート34を介して固定用ナット33の螺装力を受け易くなるように配慮している。
なお、上記の連結手段3は、副え支柱21が上下方向に複数連結される場合には、それぞれの副え支柱21を建物Aの外表面に設けるために、それぞれの副え支柱21に連結されることは前述した通りである。
図6に示す連結手段4は、前記した図5に示す連結手段3と同様に、副え支柱21を建物Aの外表面に分離可能に連結するために設けられるもので、前記した連結手段3を一の実施形態とすれば、この連結手段4は、他の実施形態と言い得る。
そして、この連結手段4にあっても、これを利用することで、連結手段3と同様に、いわゆる利用後の副え支柱21を建物Aの外表面から分離できるのはもちろんのこと、利用後の副え支柱21の盛り替えを可能にする。
その一方で、この連結手段4は、副え支柱21との関係からすれば、その利用にあって、副え支柱21が備えるガイドパイプ25を利用しない、あるいは、ガイドパイプ25を利用できない場合の利用に向くとしている。
すなわち、前記した連結手段3による場合には、図5にも示すように、螺条ロッド31の図4中で左側端部となる言わば先端部(符示せず)が副え支柱21の外に突出する状態になる。
この螺条ロッド31の先端部が副え支柱21の外に突出すること自体は、規制手段2を建物Aの外表面に設ける上では、何ら問題にならないと言い得るが、建物Aの外側には作業足場5が設けられることを勘案すると、螺条ロッド31の先端部が副え支柱21の外に突出する場合には、その先端部が作業足場5に干渉する事態になることが想定され、この観点からは、好ましくないとも言い得る。
そこで、副え支柱21が備えるガイドパイプ25を利用する前記した連結手段3の利用が好ましくない場合、すなわち、利用しない場合や、建物Aの外表面に副え支柱21を設ける位置から、副え支柱21が備えるガイドパイプ25を利用できない場合に、この連結手段4が利用される。
上記したことからして、連結手段4は、図6(A),(B)に示すように、副え支柱21を挟持して建物Aの外表面に設けるとするもので、挟持金具41と、この挟持金具41に連結される螺条ロッド42と、この螺条ロッド42に螺装される固定用ナット43とを備える。
挟持金具41は、拡大図たる図7に示すように、副え支柱21の建物Aの外表面に対向する(図6参照)図7中で右端部となる建物側端部を横方向から挟持する態勢に設けられる鍔付き帯体411と、この鍔付き帯体411を副え支柱21の建物側端部に固着させる一対の締付用ボルト412とを備える。
そして、鍔付き帯体411は、図8中の(A)〜(C)に示すように、いわゆる本体部411aが副え支柱21の建物Aの外表面に対向する端面(図6中での右端面)に当接する態様に形成され、この本体部411aの建物Aの外表面に対向する面の図7中および図8(A),(B)で上下方向となる横方向の中央部に、建物Aの外表面に対向して螺条ロッド42を螺着させる連結用ナット411bを固着させると共に、副え支柱21の建物側端部の側面に対向する一対の鍔部411cを備え、この一対の鍔部411cにそれぞれ上記の締付用ボルト412を螺装させるナット411dを固着させる。
ちなみに、鍔付き帯体411における本体部411aには、連結用ナット411bに照準するボルト挿通用孔411eが開穿され(図8(C)参照)、鍔付き帯体411における鍔部411cには、ナット411dに照準するボルト挿通用孔(図示せず)が開穿される。
対して、締付用ボルト412は、図7に示すように、鍔付き帯体411における鍔部411cのいわゆる外側から鍔部411cの肉厚を貫通して、この鍔部411cに固着したナット411dに螺合し、先端を副え支柱21の建物側端部の側面に圧接させる。
なお、ナット411dは、図8(C)に示すように、鍔部411cにいわゆる上下の二個に設けられているが、締付用ボルト412の締め付け力が言わば十分である場合には、一個とされても良いことはもちろんである。
それゆえ、この挟持金具41にあっては、副え支柱21の建物側端部に鍔付き帯体411の一対の鍔部411cを対向させるように位置決めし、この位置決めされた一対の鍔部411cに締付用ボルト412を螺装すると共に、これを締め付けることで、副え支柱21の建物側端部に分離可能にして一体的に連結されることになる。
そして、この副え支柱21の建物側端部に設けられた挟持金具41には、すなわち、鍔付き帯体411が備える連結用ナット411bには、螺条ロッド42(図6参照)が螺合し、この螺条ロッド42の建物Aの内側に臨む後端部、すなわち、建物Aにおける躯体たる壁A3を貫通して建物Aの内側に臨む後端部に後述の固定用ナット43が螺装される。
なお、図示するところでは、副え支柱21が設けられる建物Aの外表面には、上記の連結用ナット411bを嵌装させるための凹部A5(図6参照)が形成されているが、これは、副え支柱21が建物Aの外表面に直接当接される場合に対応するためであり、前述したように、副え支柱21と建物Aの外表面との間に隙間がある場合には、連結用ナット411bを上記の凹部A5に嵌装することに代えて、連結用ナット411bを副え支柱21と建物Aの外表面との間の隙間に位置決めしても良いことはもちろんである。
それゆえ、螺条ロッド42は、基本的には、前記した連結手段3における螺条ロッド31と同様に形成され、その長さを建物Aにおける壁A3を貫通するに十分で、なおかつ、固定用ナット43の螺装を可能にする十分にするように形成される。
ところで、図6に示すところからすると、連結手段4における螺条ロッド42は、前記した連結手段3における螺条ロッド31に比較して、その長さを短くするが、それは、螺条ロッド42が壁A3を貫通すると共に、固定用ナット43の螺装を可能にするのに十分な長さを有すれば足りることによる。
すなわち、連結手段4における螺条ロッド42が連結手段3における螺条ロッド31より短く形成されるとするのは、この連結手段4で副え支柱21を建物Aの外表面に設けたときに、螺条ロッド42の建物Aの内側に突出するいわゆる後端部がいたずらに長く突出することを避けるためである。
それゆえ、連結手段4における螺条ロッド42の後端部が建物Aの内側に大きく突出する状況になっても、いわゆる支承がない場合には、連結手段4における螺条ロッド42が連結手段3における螺条ロッド31に代えられるとしても良い。
戻って、図6に示すところにあって、固定用ナット43は、ダブルナットとされるもので、これにより、螺条ロッド42を利用する副え支柱21の躯体たる壁A3の外表面への固定的な定着状態を保障するとしている。
そして、図示するところでは、連結手段4にあって、螺条ロッド42に建物Aの内側から螺装される固定用ナット43と壁A3の間にプレート44が設けられるとし、壁A3がプレート44を介して固定用ナット43の螺装力を受け易くなるように配慮している。
なお、上記の連結手段4は、副え支柱21が上下方向に複数連結される場合には、それぞれを建物Aの外表面に、すなわち、壁A3に連結するために、それぞれの副え支柱21に設けられることがあるのはもちろんである。
ところで、図7に示すところにあって、連結手段4を構成する挟持金具41にあっては、鍔付き帯体411に補助金具413が関連付けされているが、この補助金具413について少し説明する。
すなわち、上記の連結手段4にあって、連結金具41を構成する鍔付き帯体411は、締付用ボルト412の締め付け力によって、言い換えれば、締付用ボルト412の先端と、この締付用ボルト412の先端が圧接する副え支柱21の建物側端部との間の摩擦力によって、固定的に設けられるとしている。
このことからすると、連結金具41と副え支柱21との連結状態は、締付用ボルト412の締め付け力に依存することになるが、図7に示すように、副え支柱21の構成を鑑みると、副え支柱21にあって、この副え支柱21を形成する溝付き形鋼22のフランジ部22aには、いわゆるバックアップ部材がなく、したがって、締付用ボルト412の締め付け力が大きくなり過ぎることで、副え支柱21を形成する溝付き形鋼22のフランジ部22aが溝側に変形することが危惧され、実際に変形する場合には、その変形部分から副え支柱21が折れ曲がることが危惧されることになる。
そこで、締付用ボルト412の締め付け力を大きくしても副え支柱21が変形しないようにするために、また、仮に、締付用ボルト412の締め付け力が十分でないとしても、鍔付き帯体411、すなわち、連結金具41が副え支柱21の建物側端部から分離しないようにするために、補助金具413を設けるとしている。
すなわち、この補助金具413は、図7および図8(D)に示すように、平面視で、内側に鍔付き帯体411の鍔部411cを臨ませる角U字状の断面を有するように形成される。
すなわち、補助金具413は、本体部413aと、この本体部413aに設けられた一対の鍔部413b,413cとを備え、この一対の鍔部413b,413c間に鍔付き帯体411の鍔部411cおよびこの鍔部411cに対向する副え支柱21における溝付き形鋼22のフランジ部22aを臨ませるとしている(図7参照)。
そして、この補助金具413は、一対の鍔部413b,413c間に鍔部411cおよびフランジ部22aを臨ませるとき、一方の鍔部413bが副え支柱21を形成する溝付き形鋼22のフランジ部22aの内側面に副うようになってフランジ部22aをバックアップする部分として機能すると共に、建物Aの外表面に対向する先端(符示せず)を溝付き形鋼22の内側面に隙間を設けて対向させるとしている。
対して、補助金具413における他方の鍔部413cは、一対の鍔部413b,413c間に鍔部411cおよびフランジ部22aを臨ませた状態のとき、そこに開穿されたボルト挿通用孔314dに、鍔付き帯体411の鍔部411cに設けられているナット411dに螺装される締付用ボルト412の挿通を許容するとしている。
それゆえ、この補助金具413にあっては、一方の鍔部413bが副え支柱21を形成する溝付き形鋼22のフランジ部22aをバックアップして、締付用ボルト412の締め付け力を大きくし、連結金具41と副え支柱21との連結状態を安定させることを可能にすることになる。
そして、この補助金具413にあっては、他方の鍔部413cが締付用ボルト412を介して鍔付き帯体411の鍔部411cに連結されると共に、一方の鍔部413bの先端が溝付き形鋼22の内側面に隙間を設けて対向するから、仮に、鍔付き帯体411の鍔部411cが補助金具413の内側から抜け出るようになるとき、一方の鍔部413bの先端が溝付き形鋼22の内側面に当接するようになり、鍔付き帯体411の鍔部411cが補助金具413の内側から抜け出る、すなわち、連結金具41が副え支柱21の建物側端部から分離することを阻止することになる。
図9に示すところは、前記した図7に示す挟持金具41を改良したところを示すもので、具体的には、鍔付き帯体411の鍔部411cを改変し、締付用ナット412を長くし、補助金具413を改変したものである。
すなわち、この図9に示す挟持金具41にあっては、鍔付き帯体411が補助金具413にボルトナット414で一体的に連結されるとするもので、これによって、鍔付き帯体411が補助金具413に直接連結されることになって、鍔付き帯体411の副え支柱21の建物側端部への連結状態が一層保障されることになる。
このことから、この図9に示す実施の形態の場合には、鍔付き帯体411を副え支柱21の建物側端部に固着させるのについて、前記した図7に示す場合に比較して、締付用ボルト412に対する大きい操作力、すなわち、大きい締め付け力を必要としないことになるから、締付用ボルト412を一本利用にする設定としている。ちなみに、この締付用ボルト412は、前記した図7に示す実施の形態におけるように、上下となる二本仕様とされても良いことはもちろんである。
戻って、図9に示す鍔付き帯体411は、図10(A)〜(C)に示すように、鍔部411cが本体部411aの軸線方向に沿うように折り曲げ形成された連結部411fを備え、この連結部411fが補助金具413における長く形成された本体部413a(図10(E)参照)に当接されて、上記のボルトナット414で一体的に連結されるとしている(図9参照)。
ちなみに、図10に示すところにあって、(A)〜(F)に示す各構成については、その機能するところが、前記した図8に示すところと同様であるので、図10中に同一の符号を付するのみとして、その説明を省略する。
ところで、前記した図1および図2に示すように、建物Aの解体工事にあっては、建物Aの解体に先立ち、建物Aの外側に作業足場5を設けるのが常態で、この作業足場5を設けることで、すなわち、この作業足場5を利用することで、建物Aの外表面に本発明における規制手段2を設けるための諸作業の実行を可能にすることになる。
また、作業足場5に養生幕5a(図2参照)を展設することで、解体工事で発生する埃や塵がいたずらに建物Aの外側に落下することを阻止することが可能になり、また、いわゆる美観を考慮した目隠しを形成することが可能になる。
以上のことから、解体しようとする建物Aの外側には作業足場5が設けられるが、この作業足場5が建物Aから離れて倒れたりしないように建物Aに繋がれるのも常態であり、図示する実施形態にあっても、作業足場5が建物Aに繋がれるとしている。
ただ、作業足場5を建物Aに繋ぐのにあって、従来では、すなわち、規制手段2を設けない従来の解体方法にあっては、作業足場5が適宜の手段たる繋ぎで建物Aを形成する躯体に直接繋がれるとしている。
この従来の解体方法からすると、建物Aの解体作業時には、解体される、すなわち、破砕される躯体と作業足場5を繋ぐ繋ぎが撤去されることになるから、作業足場5がいわゆる倒れ易くなることになる。
対して、本発明にあっては、作業足場5は、図2に示すように、繋ぎ手段6,7によって規制手段2に繋がれ、しかも、規制手段2は、建物Aを形成する躯体に言わば一体的に連結され、のみならず、建物Aの躯体を解体、すなわち、破砕するときに、建物Aの外表面から分離されないから、作業足場5が建物Aに対する繋ぎを失うことがなく、作業足場5の倒れを危惧することなく解体工事を実行できることになる。
そこで、以下に、本発明における繋ぎ手段6,7について説明するが、その前に、繋ぎ手段6,7で規制手段2に繋がれる作業足場5について少し説明すると、作業足場5は、凡そこの種の作業足場がそうであるように、枠組足場あるいは単管足場からなるもので、いずれにしても、多くの場合に、地上から立ち上げられて、たとえば、建物Aを外側から囲むように設けられる。
ちなみに、本発明が意図するところからすれば、作業足場5が建物Aの外表面に繋がれることは必須でなく、したがって、作業足場5が規制手段2に繋がれながら建物Aに繋がれ、あるいは、規制手段2に繋がれることなく建物Aに繋がれるとしても本発明の実施が妨げられるものでないことはもちろんである。
戻って、図示する実施の形態では、作業足場5は、枠組足場からなるが、この枠組足場は、詳しくは図示しないが、たとえば、図2に示すように、ほぼ門形に形成されて建物Aに沿って整列されると共に上方に連続される複数の建枠51と、この複数の建枠51を横方向に連結する足場板(図示せず)およびブレス(図示せず)とを備える。
そして、建枠1は、一対の縦支柱51aと、この一対の縦支柱51aの上端を連結する横架材51bとを備え、一対の縦支柱51aは、上方となる縦支柱51aの連結を許容し、横架材51bは、作業員が立ち入る足場板の架け渡しを許容し、ブレスは、足場板を架けさせる建枠51が整列方向に倒れることを阻止する。
なお、建枠51は、横架材51bで繋がれる一対の縦支柱51aが建物Aの外表面に直交する状態に設けられるのが常態(図2参照)で、建物Aの形状によるなどするときに、複数の建枠51が直線状に整列せずして、いわゆるうねって整列されることがあるのはもちろんである。
作業足場5にあって、複数の建枠51が直線状に整列するか、あるいは、うねって整列するかのいずれにあっても、本発明にあっては、作業足場5が繋ぎ手段6,7で建物Aに繋がれる。
ちなみに、以下に説明する繋ぎ手段6,7について、図示するところは、いわゆる一例であって、図示しない任意の構造に形成される繋ぎ手段の利用を排除するものではないことはもちろんである。
図11は、繋ぎ手段6の一の実施形態を示すもので、副え支柱21における図11中で左側端部となる足場側端部を挟持する挟持金具61と、この挟持金具61に連結すると共に作業足場5を形成する枠体51における縦支柱51aに連結する組連結体62とを備える。
挟持金具61は、図11(B)に示すように、前記した図6および図7に示す挟持金具41と同一に構成されており、したがって、この挟持金具61についての詳しい説明は、これを省略する。
ちなみに、図12に示す他の実施の形態となる繋ぎ手段7にあっても、副え支柱21における図12中で左側端部となる足場側端部を挟持する挟持金具71を備えるが、この挟持金具71も、前記した図6および図7に示す挟持金具41と同一に構成されてなり、したがって、この挟持金具71についての詳しい説明も、これを省略する。
戻って、繋ぎ手段6にあって、組連結体62は、上記の挟持金具61に螺着などで連結する第一クランプ62aと、この第一クランプ61aに挟持される第一単管62bと、この第一単管62bを挟持する第二クランプ62cと、この第二クランプ62cに挟持される第二単管62dと、この第二単管62dを挟持する直交クランプ62eとを備え、この直交クランプ62eが建枠51を形成する縦支柱51aを挟持する。
それゆえ、この繋ぎ手段6にあっては、副え支柱21の足場側端部を挟持する挟持金具61が作業足場5を構成する建枠51における縦支柱51aに組連結体62で連結することで、作業足場5を副え支柱21に繋ぐことになる。
ちなみに、この図11に示す実施の形態にあっては、挟持金具61に設けられた連結用ナット611bの中央を通る軸線が、作業足場5を構成する建枠51における縦支柱51aの軸線に水平方向から直交し得ない場合に、挟持金具61と縦支柱51aとを連結する場合に利用に向く。
対して、図12に示す実施形態の繋ぎ手段7にあっては、挟持金具71に設けられた連結用ナット711bの中央を通る軸線が、作業足場5を構成する建枠51における縦支柱51aの軸線に水平方向から直交する場合の利用に向くもので、その結果、前記した図11に示す繋ぎ手段6に比較して、構成部材数を少なくでき、コスト面で有利になる。
ちなみに、この図12に示す繋ぎ手段7にあっては、挟持金具71と、この挟持金具71に設けた連結用ナット711bに連結する棒状繋ぎ体72と、この棒状繋ぎ体72を作業足場5の建枠51における縦支柱51aに連結するクランプ73とを備える。
なお、繋ぎ手段7にあって、棒状繋ぎ体72は、軸線方向への伸縮を自在にして副え支柱21と建枠51との間の寸法が区々になる場合に対応できるとしても良いことはもちろんである。
図13乃至図15は、さらに他の実施形態の連結手段10を示すが、図13、図14および図15(A)にあっては、連結手段10を副え支柱21と共に示し、図15(B)にあっては、連結手段10を省略した状態の副え支柱21を示す。
先ず、この連結手段10と、前記した連結手段3(図5参照)および連結手段4(図6参照)との相違点について説明すると、先の連結手段3,4は、建物Aの外表面に副え支柱21を当接した状態から、この副え支柱21を建物Aの外表面に連結する。
対して、この他の実施形態の連結手段10は、この連結手段10を建物Aに先に連結した状態から、言わば後からこの連結手段10に副え支柱21を連結し、結果として、副え支柱21を連結手段10で建物Aの外表面に連結するとしている。
すなわち、解体される建物Aの多層となる階高が統一されている傾向にある場合には、連結手段3,4を設ける位置を特定し易く、したがって、下準備たるいわゆる段取りをしてある副え支柱21を建物Aに当接させてから連結手段3,4で建物Aに連結する作業を容易に実践し得る。
対して、解体される建物Aの多層となる階高が区々になる傾向にある場合には、連結手段3,4を設ける位置を特定するのが容易でなく、このことからすると、事前に建物Aに連結してある連結手段10に副え支柱21を連結する作業の方が、建物Aの外表面に副え支柱21を設ける際の全体作業を容易する上では有利になると言い得る。
一方、この連結手段10による場合には、建物Aの内側からでなく、建物Aの外側から、すなわち、作業足場5側から躯体たる壁A3に連結手段10を設けることが可能になり、その意味では、建物Aの内側に作業員が立ち入る余地がない、たとえば、床A4が無いような場合に対応できる利点がある。
以上のような前提の下にこの連結手段10について説明すると、この連結手段10は、建物Aに着脱自在に設けられると共に爾後に副え支柱21を着脱自在に連結させるブラケット構造に形成される。
すなわち、この連結手段10は、図13乃至図15に示すように、図13中で横方向に配在される本体部たる腕部101と、この腕部101の図13中での右端部となる一端部に設けられる係止部102と、腕部101の図13中での左端部となる他端部に設けられる固定部103とを備える。
腕部101は、図示するところでは、建物Aにおける躯体たる壁A3に開穿される連結手段10を挿通するための孔、すなわち、挿通用孔A5を図13中で左側となる建物Aの外側から挿通して一端部を図13中で右側となる建物Aの内側に臨ませ、このとき、他端部を建物Aの外側に残す態勢になるように形成され、特に、他端部は、固定部103に対する副え支柱21の連結を許容する長さを備えて建物Aの外に突出する態勢になるとしている。
係止部102は、図14にも示すように、腕部101の一端部に設けられて、建物Aの内側に臨在するとき、垂下する態勢になり、爾後に当接する挿通用孔A5を形成する壁A3に対向するとしている(図14(B)参照)。
固定部103は、図14にも示すように、腕部101の他端部に設けられて、腕部101の一端部が、すなわち、係止部102が建物Aの内側に臨在する態勢なるとき、建物Aの外側に残されて係止部102に対向するように垂下する態勢になり、爾後に係止部102との間に上記の挿通用孔A5を形成する壁A3を挟持するとしている。
そして、この固定部103は、係止部102との間に位置決めされる壁A3、すなわち、挿通用孔A5を形成する壁A3を挟持し、あるいは、この挟持を解除する固定手段たる固定用ボルト104を備えると共に、副え支柱21との間にこの副え支柱21の固定部103への着脱自在な連結を可能にする連結機構(符示せず)を備える。
固定部103における固定用ボルト104は、回動時に腕部101の軸線方向に沿って移動、すなわち、進退し、前進時に、係止部102との間に挿通用孔A5を形成する壁A3を挟持し、後退時この挟持を解除する。
そして、固定用ボルト104は、図示する実施の形態では、所定の機能の発揮を可能にするために副え支柱21の軸線方向に沿う上下の二段に設けられるとしているが、所定の機能を発揮する限りには、一段、すなわち、一本とされても良い。
次に、固定部103と副え支柱21との間に設けられる連結機構は、副え支柱21の固定部103への着脱自在な連結を可能にする限りには任意に構成されて良いが、図示する実施形態では、図15に示すように、固定部103が引っ掛け部材たる有頭ボルト105を備え、副え支柱21が引っ掛け部材たる有頭ボルト105の引っ掛かりを許容する部位たるダルマ孔21aを備えてなるとし、固定部103の有頭ボルト105が副え支柱21のダルマ孔21aに係合するとき、副え支柱21の固定部103への連結が具現化されるとしている。
それゆえ、この有頭ボルト105およびダルマ孔21aを備える連結機構にあっては、副え支柱21を固定部103に沿うように位置決めすると共に、副え支柱21を上下動させるなどして、有頭ボルト105をダルマ孔21aに係合すれば、固定部103、すなわち、連結手段10への副え支柱21の連結が可能になる。
なお、上記のダルマ孔21aは、副え支柱21の両側面に設けられて良く、また、このとき、図示する実施形態では、相互に上下を逆にするように形成されるが、相互が同方向に形成されても良く、また、一側面で上下を逆にする二段に形成されても良い。
以上からすれば、連結機構にあって、上記の引っ掛け部材が有頭ボルト105からなるのに代えて、図示しないが、L字状に形成の軸からなり、上記の引っ掛け部材の引っ掛かりを許容する部位がダルマ孔21aからなるのに代えて、同じく図示しないが、縦方向に延びる細孔からなるとしても良い。
ちなみに、上記のダルマ孔21aおよび細孔については、図示する実施形態では、副え支柱21における帯板26に形成されるが、この帯板26は、副え支柱21にあってラチス23(図13(A)参照)と同じ機能を発揮するので、副え支柱21における帯板26を設ける部位へのラチス23の配設は、これが省略される。
ところで、図示する実施形態にあって、連結手段10は、上記の挿通用孔A5で、図13中で左右に延びる腕部101の軸線を中心線にして回動していわゆる天地を逆にする反転を可能にする設定としている。
この設定は、この連結手段10を上記の挿通用孔A5に挿通する際だけでなく、この挿通用孔A5から抜き出す際の操作性も良くするためからである。すなわち、ブラケット構造に形成の連結手段10を挿通用孔A5に抜き挿し自在にするについては、挿通用孔A5を無制限に大きく形成すれば、その抜き挿し操作を容易になし得る。
しかし、連結手段10を抜き挿しするための挿通用孔A5を必要以上に大きく形成することは不経済であり、最小限度の大きさにするのが常態である。そこで、図示する実施形態では、挿通用孔A5を必要最小限度の大きさに形成する一方で、連結手段10に工夫を凝らすとしたもので、具体的には、連結手段10の天地を逆にすることで、連結手段10の抜き挿し、特に、抜き出しを容易にするとしたものである。
すなわち、この連結手段10にあって、腕部101の一端部に設けられる係止部102は、図14に示すように、腕部101に軸102aで枢着されて腕部101の軸線方向に対する起伏を自在にする設定とされ、図13中に実線図で示すように、係止部102が垂下する態勢になるとき、固定部103との間で挿通用孔A5を形成する壁A3を挟持し得るとする。
その一方で、図示しないが、腕部101が反転されて係止部102が言わば上向き状態になるときに倒れる態勢になり、この状態における腕部101および係止部102がなす全高を低くして、上記の挿通用孔A5を容易に通過し得るとしている。
また、係止部102が腕部101に起伏自在に連結されることで、図示しないが、腕部101の一端部、すなわち、係止部102が壁A3に形成の挿通用孔A5を挿通するときに、係止部102が腕部101に対して折り畳まれた状態になり、挿通用孔A5の開口面積を小さく設定できると共に、挿通用孔A5の挿通を容易にすることになる。
なお、係止部102が腕部101の一端部で垂下する態勢になり、固定部103との間に壁A3を挟持するとき、この挟持態勢を保障するために、図13および図14に示すように、腕部101が一端部に支え部101aを備え、この支え部101bに係止部102の背面が当接するとしている。
一方、図示する実施形態にあって、固定部103は、腕部101に移動自在に介装されたスライダ106に保持されるとしており、スライダ106の移動で、連結機構を構成する上記の有頭ボルト105の腕部101に対する突設位置を変更し得るとしている。
このとき、スライダ106は、腕部101に断面が相似する角パイプからなり、また、スライダ106の腕部101に対する定着は、図示する実施形態では、スライダ106および腕部101を貫通する孔(符示せず)へのボルトなどの軸部材106a(図14(A)参照)の挿通で具現化されるが、この定着の方策については、その他の任意の方策が選択されても良いことはもちろんである。
さらに、連結手段10は、図示する実施形態にあって、図14(B)に示すように、固定部103を構成するスライダ106が副え支柱21を内側に挿通させるガイド枠107を着脱自在に備えてなるとしている。なお、図14(A)にあっては、ガイド枠107の図示を省略している。
固定部103を構成するスライダ106が内側に副え支柱21を挿通させるガイド枠107を備えることで、建物Aの外表面に設けられた連結手段10に副え支柱21を連結する際に、副え支柱21をガイド枠107内に挿通することで、副え支柱21を固定部103に対していわゆる大きく偏心させることなく近隣させることが可能になり、爾後の連結機構による副え支柱21と固定部103との連結を迅速に実践し得ることになる。
ちなみに、上記のガイド枠107は、図示しない基部がスライダ106に形成の孔106b及びこれに照準する腕部101に形成の孔(図示せず)に抜き挿し自在に挿通されることで、スライダ106に分離可能に保持されるとしている。
前記したところでは、規制手段2にあって、短尺に形成された副え支柱21が上下方向に複数連結されて建物Aの外表面に設けられるとするが、本発明の意図するところからすると、規制手段2は、建物Aの外表面に設けられていれば良く、したがって、副え支柱21が上下方向に連結されずして、建物Aの各階ごとの外表面に単独で設けられるとしても良く、その場合における規制手段2を設けることによる作用効果が異ならないのはもちろんである。
また、前記したところでは、たとえば、連結手段4における副え支柱21を挟持する挟持金具41にあって、締付用ボルト412は、先端を副え支柱21を形成する溝付き形鋼22のフランジ部22aに当接するとしたが、これに代えて、図示しないが、締付用ボルト412の先端部が溝付き形鋼22のフランジ部22aに開穿のボルト挿通用孔に挿通されるとしても良く、この場合には、鍔付き帯体411の副え支柱21からの分離を確実に阻止できる点で有利になる。ちなみに、このことは、図9に示す挟持金具41、図11示す挟持金具61、および、図12に示す挟持金具71にあっても同様である。