JP2015055844A - パターン形成方法、電子デバイスの製造方法、及び、処理剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (1)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む現像液に対する溶解性が減少する樹脂を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて、膜を形成する工程、(2)前記膜を、活性光線又は放射線により露光する工程、(3)前記膜を、有機溶剤を含む現像液を用いて現像して被処理パターンを形成する工程、及び、(4)前記被処理パターンに対し、1級アミノ基及び2級アミノ基の少なくともいずれかを有する化合物(x)を含む処理剤を作用させて、処理済パターンを得る工程を含む、パターン形成方法、及びそれに用いられる処理剤、並びに、電子デバイスの製造方法。
【選択図】 なし
Description
上記方法において、アルカリ現像液としては、種々のものが提案されている。例えば、このアルカリ現像液として、2.38質量%TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)の水系アルカリ現像液が汎用的に用いられている。
しかしながら、性能が総合的に良好なパターンを形成するために必要な、レジスト組成物、現像液、リンス液等の適切な組み合わせを見出すことが極めて困難であるのが実情であり、更なる改良が求められている。
〔1〕
(1)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む現像液に対する溶解性が減少する樹脂を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて、膜を形成する工程、
(2)前記膜を、活性光線又は放射線により露光する工程、
(3)前記膜を、有機溶剤を含む現像液を用いて現像して被処理パターンを形成する工程、及び、
(4)前記被処理パターンに対し、1級アミノ基及び2級アミノ基の少なくともいずれかを有する化合物(x)を含む処理剤を作用させて、処理済パターンを得る工程を含む、パターン形成方法。
〔2〕
前記処理剤が、有機溶剤を、前記処理剤の全量に対して30質量%以上で含有する、上記〔1〕に記載のパターン形成方法。
〔3〕
前記処理剤が含有する有機溶剤が、アルコール系溶剤又はエーテル系溶剤である、上記〔2〕に記載のパターン形成方法。
〔4〕
前記化合物(x)が、前記1級アミノ基又は前記2級アミノ基として、下式(1)で表される部分構造を有する化合物である、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
−NHR (1)
上式中、Rは、水素原子、ヘテロ原子が含まれていてもよい脂肪族炭化水素基、又は、ヘテロ原子が含まれていてもよい芳香族炭化水素基を表し、−は結合手を表す。
〔5〕
前記化合物(x)が、樹脂である、上記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
〔6〕
前記樹脂が、1級アミノ基及び2級アミノ基の少なくともいずれかを有する繰り返し単位を、前記樹脂の全繰り返し単位に対して30モル%以上で有する樹脂である、上記〔5〕に記載のパターン形成方法。
〔7〕
前記工程(4)の前に、(3’)アルカリ現像液による現像工程を更に含む、上記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
〔8〕
前記工程(4)の後に、(5)前記処理済パターンに対して、前記化合物(x)を溶解可能な除去液を接触させる工程を含む、上記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
〔9〕
前記除去液が、有機溶剤を含有する、上記〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
〔10〕
前記工程(2)における露光が、波長250nm以下の光、又は、電子線による露光である、上記〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
〔11〕
〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
〔12〕
(1)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む現像液に対する溶解性が減少する樹脂を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて、膜を形成する工程、(2)前記膜を、活性光線又は放射線により露光する工程、及び、(3)前記膜を、有機溶剤を含む現像液を用いて現像して被処理パターンを形成する工程を有するパターン形成方法により得られる前記被処理パターンを処理する、1級アミノ基及び2級アミノ基の少なくともいずれかを有する化合物(x)を含む処理剤。
〔13〕
有機溶剤を前記処理剤の全量に対して30質量%以上で含有する、上記〔12〕に記載の処理剤。
なお、本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等を意味する。また本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
本発明のパターン形成方法は、
(1)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む現像液に対する溶解性が減少する樹脂を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて、膜を形成する工程、
(2)前記膜を、活性光線又は放射線により露光する工程、
(3)前記膜を、有機溶剤を含む現像液を用いて現像して被処理パターンを形成する工程、及び、
(4)前記被処理パターンに対し、1級アミノ基及び2級アミノ基の少なくともいずれかを有する化合物(x)を含む処理剤を作用させて、処理済パターンを得る工程を含む。
これに対して、本発明における処理剤は、上記したように、1級アミノ基及び2級アミノ基の少なくともいずれかを有する化合物(x)を含有している。よって、パターン中の樹脂が有する極性基と、上記化合物の1級アミノ基及び2級アミノ基の少なくともいずれかとが反応することにより、イオン結合と比較してより強固な共有結合を形成できる。これにより、被処理パターンに対して、本発明における処理剤を確実に結合させることができ、その結果、シュリンク工程におけるパターンの微細化が優れたもの(換言すれば、パターンの厚肉化が充分なもの)となることによって、超微細のスペース幅(例えば60nm以下)を有するラインアンドスペースパターンを確実に形成できるものと考えられる。
また、上記のように、被処理パターンに対して、本発明における処理剤を確実に結合させることができるため、シュリンク工程が適用された後におけるラフネス性能にも優れるものと考えられる。
工程(1)における膜は、工程(1)における感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物から形成されるものであり、より具体的には、基材に、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を塗布することにより形成される膜であることが好ましい。本発明のパターン形成方法に於いて、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物による膜を基板上に形成する工程は、一般的に知られている方法により行うことができる。
また、露光工程の後かつ現像工程の前に、露光後加熱工程(PEB;Post Exposure Bake)を含むことも好ましい。ここで、本発明のパターン形成方法は、露光後加熱工程を複数回含んでいてもよい。
加熱温度はPB、PEB共に70〜130℃で行うことが好ましく、80〜120℃で行うことがより好ましい。
加熱時間は30〜300秒が好ましく、30〜180秒がより好ましく、30〜90秒が更に好ましい。
加熱は通常の露光・現像機に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
ベークにより露光部の反応が促進され、感度やパターンプロファイルが改善する。
工程(2)における露光に用いられる活性光線又は放射線に制限は無いが、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、極紫外光、X線、電子線等を挙げることができる。
遠紫外光としては、好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下、特に好ましくは1〜200nmの波長の光が挙げられ、具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)及びEUV(13nm)等が挙げられ、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUVが好ましく、ArFエキシマレーザーであることがより好ましい。
工程(2)における露光は、波長250nm以下の光、又は、電子線による露光であることが好ましい。
液浸露光を行う場合には、(1)基板上に膜を形成した後、露光する工程の前に、及び/又は(2)液浸液を介して膜に露光する工程の後、膜を加熱する工程の前に、膜の表面を水系の薬液で洗浄する工程を実施してもよい。
水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させる添加剤(液体)を僅かな割合で添加しても良い。この添加剤はウエハー上のレジスト層を溶解させず、かつレンズ素子の下面の光学コートに対する影響が無視できるものが好ましい。
一方で、193nm光に対して不透明な物質や屈折率が水と大きく異なる不純物が混入した場合、レジスト上に投影される光学像の歪みを招くため、使用する水としては、蒸留水が好ましい。更にイオン交換フィルター等を通して濾過を行った純水を用いてもよい。
上記工程(3)により、ネガ型のパターンが形成される。
有機系現像液としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤及び炭化水素系溶剤を用いることができる。
ケトン系溶剤としては、例えば、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、2−ヘプタノン(メチルアミルケトン)、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルー3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等を挙げることができる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノール等のアルコールや、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤等を挙げることができる。
エーテル系溶剤としては、例えば、上記グリコールエーテル系溶剤の他、ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が使用できる。
特に、有機系現像液は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有する現像液であるのが好ましく、とりわけ、エステル系溶剤としての酢酸ブチルまたケトン系溶剤としてのメチルアミルケトン(2−ヘプタノン)を含む現像液が好ましい。
すなわち、有機系現像液に対する有機溶剤の使用量は、現像液の全量に対して、90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることが好ましい。
界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、イオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。これらのフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、好ましくは、非イオン性の界面活性剤である。非イオン性の界面活性剤としては特に限定されないが、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を用いることが更に好ましい。
界面活性剤の使用量は現像液の全量に対して、通常0.001〜5質量%、好ましくは0.005〜2質量%、更に好ましくは0.01〜0.5質量%である。
上記各種の現像方法が、現像装置の現像ノズルから現像液を膜に向けて吐出する工程を含む場合、吐出される現像液の吐出圧(吐出される現像液の単位面積あたりの流速)は、一例として、好ましくは2mL/sec/mm2以下、より好ましくは1.5mL/sec/mm2以下、更に好ましくは1mL/sec/mm2以下である。流速の下限は特に無いが、スループットを考慮すると0.2mL/sec/mm2以上が好ましい。この詳細については、特開2010−232550号公報の特に段落0022〜段落0029等に記載されている。
また、有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後に、他の溶媒に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。含水率を10質量%以下にすることで、良好な現像特性を得ることができる。
リンス工程においては、有機溶剤を含む現像液を用いる現像を行ったウェハを前記の有機溶剤を含むリンス液を用いて洗浄処理する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、たとえば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)、などを適用することができ、この中でも回転塗布方法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2000rpm〜4000rpmの回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。また、リンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含むことも好ましい。ベークによりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。リンス工程の後の加熱工程は、通常40〜160℃、好ましくは70〜95℃で、通常10秒〜3分、好ましくは30秒から90秒間行う。
また、本発明のパターン形成方法は、工程(4)の前に(かつ典型的には工程(2)の後に)、(3’)アルカリ現像液による現像工程を更に含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法は、工程(3’)を工程(3)の前に含んでいてもよく、工程(3)の後に含んでいてもよい。
工程(3)と工程(3’)との組み合わせにより、US8227183B号公報のFIG.1−FIG.11等で説明されているように、光学像の空間周波数の1/2のパターンを得られることが期待できる。
上記工程(3)におけるアルカリ現像液には水が主成分として含まれる。なお、主成分とは、現像液全量に対して、水の含有量が50質量%超であることを意図する。
現像液としては、パターンの溶解性がより優れる点で、アルカリを含むアルカリ水溶液を用いることが好ましい。
上記アルカリ水溶液の種類は特に制限されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドドキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラペンチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリアミルアンモニウムヒドロキシド、ジブチルジペンチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。更に、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。アルカリ現像液のアルカリ濃度及びpHは、適宜調製して用いることができる。
アルカリ現像液としては、一般的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38%質量の水溶液が用いられる。
アルカリ現像液は、界面活性剤や、アルコール類等の有機溶剤を適当量添加して用いてもよい。
工程(3’)の後にリンスを行ってもよく、アルカリ現像の後に行うリンス処理におけるリンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
本発明のパターン形成方法は、処理済パターンに対して、化合物(x)を溶解可能な除去液を接触させる工程(5)を含有することが好ましい。
工程(5)を実施することにより、パターン中の樹脂との反応に寄与しなかった(換言すれば、パターンの厚肉化に寄与しなかった)余剰の化合物(x)を除去でき、被処理パターン表面以外の領域の形状変化を抑止することができる。
除去液を接触させる方法は、上記工程(3)における現像処理と同様である。接触時間は、例えば30〜120秒とされる。
除去液は、有機溶剤を含有することが好ましく、この有機溶剤の具体例及び好ましい例としては、工程(3)における有機系現像液として上述したものを好適に挙げることができる。
本発明の電子デバイスは、電気電子機器(家電、OA・メディア関連機器、光学用機器及び通信機器等)に、好適に、搭載されるものである。
以下、本発明に使用される処理剤(以下、「本発明の処理剤」とも言う。)について詳細に説明する。
直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が飽和炭化水素基である場合、脂肪族炭化水素基の炭素数は、1〜50であることが好ましく、1〜30であることがより好ましく、1〜20であることが更に好ましい。このような飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、及び、2−エチルヘキシル基等の飽和炭化水素基が挙げられる。
直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が不飽和炭化水素基である場合、脂肪族炭化水素基の炭素数は、2〜50であることが好ましく、2〜30であることがより好ましく、3〜20であることが更に好ましい。このような不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、アリル基、及びスチリル基等のアルケニル基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基としては、好ましくは、シクロプロピル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等の炭素数3〜8の単環のシクロアルキル基等が挙げられる。
Rにより表される芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜14のものが好ましい。このような基としては、例えば、フェニル基及びナフチル基等のアリール基が挙げられる。
Y1〜Y4は、各々独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、及びテルル原子からなる群から選択される。なかでも、取り扱いがより簡便である点から、酸素原子、硫黄原子が好ましい。
上記Ra、Rb、Rcは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基から選択される。
tは1〜3の整数を表す。
また、複素環式炭化水素基としては、例えば、後述する樹脂(A)において例示するラクトン構造を備えた基等も挙げられる。
低分子化合物は、典型的には、分子量900以下の化合物であり、分子量700以下の低分子化合物であることがより好ましく、分子量500以下の低分子化合物であることが更に好ましい。ここで、本発明における低分子化合物とは、不飽和結合を持った化合物(いわゆる重合性モノマー)を、開始剤を使用しつつその不飽和結合を開裂させ、連鎖的に結合を成長させることによって得られる、いわゆるポリマーやオリゴマーではなく、分子量2000以下(より好ましくは1500以下、更に好ましくは900以下)の一定の分子量を有する化合物(実質的に分子量分布を有さない化合物)である。なお、分子量は、通常、100以上である。
nは2以上の整数を表す。ただし、Aが単結合を表す場合、nは2を表す。
Bは単結合、アルキレン基、シクロアルキレン基、又は芳香族基を表す。
ただし、A、Bが共に単結合であることはない。
Rzは、水素原子、ヘテロ原子が含まれていてもよい脂肪族炭化水素基、又は、ヘテロ原子が含まれていてもよい芳香族炭化水素基を表す。
複数のB及び複数のRzは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。
なかでも、Aは、脂肪族炭化水素基(アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基)、上述した式(1B)で表される基、−NH−、又は、−NRW−であることが好ましい。
芳香族基としては、単環でも多環でもよく、非ベンゼン系芳香族基も含まれる。単環芳香族基としてはベンゼン残基、ピロール残基、フラン残基、チオフェン残基、インドール残基等、多環芳香族基としてはナフタレン残基、アントラセン残基、テトラセン残基、ベンゾフラン残基、ベンゾチオフェン残基等を例として挙げることができる。該芳香族基は置換基を有していてもよい。
ただし、A、Bが共に単結合であることはない。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などが挙げられる。脂肪族炭化水素基に含まれる炭素数は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基には、ヘテロ原子が含まれていてもよい。ヘテロ原子の定義および好適態様は、上記式(1)で説明したヘテロ原子の定義と同義である。
また、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基には、置換基(例えば、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基、アルコキシ基、ハロゲン原子)が含まれていてもよい。
nは2から8の整数を表すことが好ましく、より好ましくは3から8の整数を表す。
なお、上記式(2)で表される化合物は、窒素原子を3つ以上有することが好ましい。この態様においては、nが2の場合、Aには少なくとも一つの窒素原子が含まれる。Aに窒素原子が含まれるとは、例えば、上述した式(1B)で表される基、−NH−、及び−NRW−からなる群から選択される少なくとも一つがAに含まれる。
樹脂(x)は、1級アミノ基及び2級アミノ基の少なくともいずれか(以下、纏めて、単に「アミノ基」ともいう)を有する樹脂であり、アミノ基は、樹脂の主鎖及び側鎖のいずれに含まれていてもよい。
アミノ基が側鎖の一部に含まれる場合の側鎖の具体例を以下に示す。なお、※は樹脂の主鎖に結合する結合手を表す。
1級アミノ基及び2級アミノ基の少なくともいずれかを有する繰り返し単位としては、下式(3)で表される繰り返し単位が好適に挙げられる。
R2は、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよいシクロアルキル基、又は、ヘテロ原子を含んでいてもよい芳香族基を表す。
Laは、2価の連結基を表す。
R2としてのアルキル基及びシクロアルキル基に含まれる炭素数は特に制限されないが、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。
R2としての芳香族基としては、芳香族炭化水素又は芳香族複素環基などが挙げられる。
上記アルキル基、シクロアルキル基、芳香族基には、ヘテロ原子が含まれていてもよい。ヘテロ原子の定義および好適態様は、上記式(1)で説明したヘテロ原子の定義と同義である。
また、上記アルキル基、シクロアルキル基、芳香族基には、置換基(例えば、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基、アルコキシ基、ハロゲン原子)が含まれていてもよい。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、Laとしては、アルキレン基、アリーレン基、−COO−、及び、これらを2種以上組み合わせた基(−アリーレン基−アルキレン基−、−COO−アルキレン基−など)が好ましく、アルキレン基がより好ましい。
なお、樹脂(x)は、1級アミノ基及び2級アミノ基の少なくともいずれかを有する繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を含有していてもよく、このような他の繰り返し単位としては、後述する樹脂(A)が有していてもよい繰り返し単位を挙げることができる。
樹脂(x)の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、通常、100000以下である。
具体的には、処理剤が含有する有機溶剤は、アルコール系溶剤又はエーテル系溶剤であることが好ましい。具体的には、炭素数3以上のアルキル基(炭素数5以上10以下がより好ましい)、シクロアルキル基(炭素数5以上10以下が好ましい)、及びアラルキル基(炭素数7以上10以下が好ましい)の少なくともいずれかを有するアルコール、ジアルキルエーテル、等が挙げられる。また、水も溶剤として適用可能である。
膜溶解速度とは、溶液を感活性光線性又は感放射線性膜に接触させた際の、単位時間あたりの膜厚の減少量を表す。膜溶解速度は、感活性光線性又は感放射線性膜を基板上に形成した後、QCM(水晶発振子マイクロバランス)センサー等を用いて測定した、室温(23℃)における現像液に対して該膜を1000秒間浸漬させた際の平均の溶解速度(膜厚の減少速度)である。
但し、本発明の効果を十二分に奏するために、本発明の処理剤は、有機溶剤を、処理剤の全量に対して30質量%以上で含有することが好ましく、50質量%以上で含有することがより好ましく、90質量%以上100質量%以下であることが更に好ましく、95質量%以上100質量%以下であることが特に好ましい。
処理剤全体としての含水率が10質量%未満であることが好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。
本発明の処理剤がその他の添加剤を含有する場合、その含有量は、処理剤の全量に対して、0.001〜1質量%であることが好ましく、0.001〜0.1質量であることがより好ましい。
ここで、処理剤の好ましい形態としては、有機溶剤を処理剤の全量に対して30質量%以上で含有する処理剤が挙げられる。
次に、本発明のパターン形成方法において使用される感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物について説明する。
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、ネガ型の現像(露光されると現像液に対して溶解性が減少し、露光部がパターンとして残り、未露光部が除去される現像)に用いられる。即ち、本発明に係る感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、有機溶剤を含む現像液を用いた現像に用いられる有機溶剤現像用の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物とすることができる。ここで、有機溶剤現像用とは、少なくとも、有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程に供される用途を意味する。
このように、本発明は、上記した本発明のパターン形成方法に供される感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物にも関する。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、典型的にはレジスト組成物であり、ネガ型のレジスト組成物(即ち、有機溶剤現像用のレジスト組成物)であることが、特に高い効果を得ることができることから好ましい。また本発明に係る組成物は、典型的には化学増幅型のレジスト組成物である。
また、本発明の組成物は、一態様において、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、疎水性樹脂、塩基性化合物、界面活性剤などを更に含有していてもよい。
以下、これら各成分について説明する。
酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む現像液に対する溶解性が減少する樹脂(以下、「樹脂(A)」ともいう)は、例えば、樹脂の主鎖又は側鎖、あるいは、主鎖及び側鎖の両方に、酸の作用により分解し、極性基を生じる基(以下、「酸分解性基」ともいう)を有する樹脂を挙げることができる。ここで、樹脂(A)は、酸の作用により極性が増大してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂でもある。
酸分解性基は、極性基を酸の作用により分解し脱離する基で保護された構造を有することが好ましい。
好ましい極性基としては、カルボキシル基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、スルホン酸基が挙げられる。
酸分解性基として好ましい基は、これらの基の水素原子を酸で脱離する基で置換した基である。
酸で脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−C(R01)(R02)(OR39)等を挙げることができる。
R01及びR02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
R36〜R39、R01及びR02のアルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基が好ましい。
R36〜R39、R01及びR02のシクロアルキル基は、単環型でも、多環型でもよい。炭素数は3〜20のものが好ましい。
R36〜R39、R01及びR02のアリール基は、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
R36〜R39、R01及びR02のアラルキル基は、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましい。
R36〜R39、R01及びR02のアルケニル基は、炭素数2〜8のアルケニル基が好ましい。
R36とR37とが結合して形成される環としては、シクロアルキル基(単環若しくは多環)であることが好ましい。シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。炭素数5〜6の単環のシクロアルキル基がより好ましく、炭素数5の単環のシクロアルキル基が特に好ましい。
酸分解性基としては好ましくは、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、第3級のアルキルエステル基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基である。
樹脂(A)は、酸分解性基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
樹脂(A)は、一形態において、酸分解性基を有する繰り返し単位として、酸によって分解しカルボキシル基を生じる繰り返し単位(AI)(以下、「繰り返し単位(AI)」とも言う。)を含有することが好ましく、下記一般式(aI)または(aI’)で表される繰り返し単位を有することがより好ましい。
Xa1は、水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx1〜Rx3は、それぞれ独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。Rx1〜Rx3の2つが結合して環構造を形成してもよい。また、該環構造は、環中に酸素原子等のヘテロ原子を含有してもよい。
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、−COO−Rt−基、−O−Rt−基、フェニレン基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
一般式(aI’)中のTは、単結合が好ましい。
Xa1のアルキル基は、炭素数1〜4のものが好ましく、メチル基であることが好ましい。
Xa1は、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
Rx1、Rx2及びRx3のアルキル基としては、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。
Rx1、Rx2及びRx3のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx1、Rx2及びRx3の2つが結合して形成する環構造としては、シクロペンチル環、シクロヘキシル環などの単環のシクロアルカン環、ノルボルナン環、テトラシクロデカン環、テトラシクロドデカン環、アダマンタン環などの多環のシクロアルキル基が好ましい。炭素数5又は6の単環のシクロアルカン環が特に好ましい。
Rx1、Rx2及びRx3は、各々独立に、アルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基であることがより好ましい。
上記各基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1〜4)、シクロアルキル基(炭素数3〜8)、ハロゲン原子、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)などが挙げられ、炭素数8以下が好ましい。なかでも、酸分解前後での有機溶剤を含有する現像液に対する溶解コントラストをより向上させる観点から、酸素原子、窒素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を有さない置換基であることがより好ましく(例えば、水酸基で置換されたアルキル基などではないことがより好ましく)、水素原子及び炭素原子のみからなる基であることが更に好ましく、直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基であることが特に好ましい。
以下に一般式(aI)または(aI’)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
具体例中、Rxは、水素原子、CH3、CF3、又はCH2OHを表す。Rxa、Rxbはそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基を表す。Xa1は、水素原子、CH3、CF3、又はCH2OHを表す。Zは、置換基を表し、複数存在する場合、複数のZは互いに同じであっても異なっていてもよい。pは0又は正の整数を表す。Zの具体例及び好ましい例は、Rx1〜Rx3などの各基が有し得る置換基の具体例及び好ましい例と同様である。
更に好ましくは、一般式(aI)においてRx1、Rx2及びRx3の全てがメチル基またはエチル基である態様か、あるいは、下記一般式(aII)で表される態様である。
R31は、水素原子又はアルキル基を表す。
R32は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表す。
R33は、R32が結合している炭素原子とともに単環の脂環炭化水素構造を形成するのに必要な原子団を表す。前記脂環炭化水素構造は、環を構成する炭素原子の一部が、ヘテロ原子、又は、ヘテロ原子を有する基で置換されていてもよい。
ここで、R32とR33が有する炭素原子の合計は8以下である。
R31は、好ましくは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
R33が炭素原子とともに形成する単環の脂環炭化水素構造において、環を構成し得るヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子等が挙げられ、ヘテロ原子を有する基としては、カルボニル基等が挙げられる。ただし、ヘテロ原子を有する基は、エステル基(エステル結合)ではないことが好ましい。
R33が炭素原子とともに形成する単環の脂環炭化水素構造は、炭素原子と水素原子とのみから形成されることが好ましい。
また、樹脂(A)は、他の形態において、酸分解性基を有する繰り返し単位として、酸により分解する部位の炭素数が10〜20個であり、多環構造を含む酸分解部位を有する繰り返し単位(aIII)を含んでいてもよい。
この酸分解部位の炭素数が10〜20個であり、且つ酸分解部位に多環構造を含む繰り返し単位(aIII)としては、上掲の一般式(aI)において、Rx1、Rx2及びRx3の1つがアダマンタン骨格を有する基であり、残りの2つが直鎖または分岐のアルキル基である態様、または、一般式(aI)において、Rx1、Rx2及びRx3のうち2つが結合してアダマンタン構造を形成し、残りの1つが直鎖または分岐のアルキル基である態様が好ましい。
樹脂(A)が2種以上の酸分解性基を有する繰り返し単位を含有する場合、例えば、上述した一般式(aI)においてRx1、Rx2及びRx3の全てがメチル基またはエチル基である態様、あるいは、上述した一般式(aII)で表される態様の繰り返し単位と、上述した酸分解部位の炭素数が10〜20個であり、且つ酸分解部位に多環構造を含む繰り返し単位(aIII)で表される繰り返し単位との組み合わせが好ましい。
また、繰り返し単位(aIII)が酸分解性基を有する全繰り返し単位に占める割合は、3〜50モル%が好ましく、5〜40モル%が更に好ましく、5〜30モル%以下が最も好ましい。
樹脂(A)は、ラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位を含有していてもよい。
Aは、エステル結合(−COO−で表される基)又はアミド結合(−CONH−で表される基)を表す。
R0は、複数個ある場合にはそれぞれ独立にアルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組み合わせを表す。
Zは、複数個ある場合にはそれぞれ独立に、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合
R8は、ラクトン構造又はスルトン構造を有する1価の有機基を表す。
nは、−R0−Z−で表される構造の繰り返し数であり、0〜5の整数を表し、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。nが0である場合、−R0−Z−は存在せず、単結合となる。
R7は、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
Zは好ましくは、エーテル結合、エステル結合であり、特に好ましくはエステル結合である。
R0のアルキレン基、シクロアルキレン基、R7におけるアルキル基は、各々置換されていてもよく、置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子やメルカプト基、水酸基、アルコキシ基が挙げられる。
R7は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基が好ましい。
また、R8は無置換のラクトン構造又はスルトン構造を有する1価の有機基、或いはメチル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を置換基として有するラクトン構造又はスルトン構造を有する1価の有機基が好ましく、シアノ基を置換基として有するラクトン構造(シアノラクトン)を有する1価の有機基がより好ましい。
また、樹脂(A)は、環状炭酸エステル構造を有する繰り返し単位を有していてもよい。
環状炭酸エステル構造を有する繰り返し単位は、下記一般式(A−1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
RA 1は、水素原子又はアルキル基を表す。
RA 2は、nが2以上の場合は各々独立して、置換基を表す。
Aは、単結合、又は2価の連結基を表す。
Zは、式中の−O−C(=O)−O−で表される基と共に単環又は多環構造を形成する原子団を表す。
nは0以上の整数を表す。
RA 1で表されるアルキル基は、フッ素原子等の置換基を有していてもよい。RA 1は、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。
樹脂(A)において、環状炭酸エステル構造を有する繰り返し単位(好ましくは、一般式(A−1)で表される繰り返し単位)の含有率は、樹脂(A)を構成する全繰り返し単位に対して、3〜80モル%であることが好ましく、3〜60モル%であることが更に好ましく、10〜50モル%であることが特に好ましい。このような含有率とすることによって、レジストとしての現像性、低欠陥性、低LWR、低PEB温度依存性、プロファイル等を向上させることができる。
樹脂(A)は、水酸基、シアノ基又はカルボニル基を有する繰り返し単位を有していてもよい。これにより基板密着性、現像液親和性が向上する。
水酸基、シアノ基又はカルボニル基で置換された脂環炭化水素構造に於ける、脂環炭化水素構造としては、アダマンチル基、ジアダマンチル基、ノルボルナン基が好ましい。
Abにより表される2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合、又はその組み合わせ等が挙げられる。アルキレン基としては、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
本発明の一形態において、Abは、単結合、又は、アルキレン基であることが好ましい。
Rpは、水素原子、ヒドロキシル基、又は、ヒドロキシアルキル基を表す。複数のRpは、同一でも異なっていても良いが、複数のRpの内の少なくとも1つは、ヒドロキシル基又はヒドロキシアルキル基を表す。
樹脂(A)は、酸基を有する繰り返し単位を有してもよい。酸基としてはカルボキシル基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビススルホニルイミド基、ナフトール構造、α位が電子求引性基で置換された脂肪族アルコール基(例えばヘキサフロロイソプロパノール基)が挙げられ、カルボキシル基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。酸基を有する繰り返し単位を含有することによりコンタクトホール用途での解像性が増す。酸基を有する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接酸基が結合している繰り返し単位、あるいは連結基を介して樹脂の主鎖に酸基が結合している繰り返し単位、更には酸基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入、のいずれも好ましく、連結基は単環又は多環の環状炭化水素構造を有していてもよい。特に好ましくはアクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位である。
酸基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
本発明における樹脂(A)は、更に極性基(例えば、前記酸基、ヒドロキシル基、シアノ基)を持たない脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を有することができる。これにより、液浸露光時にレジスト膜から液浸液への低分子成分の溶出が低減できるとともに、有機溶剤を含む現像液を用いた現像の際に樹脂の溶解性を適切に調整することができる。このような繰り返し単位としては、一般式(IV)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Raは水素原子、アルキル基又は−CH2−O−Ra2基を表す。式中、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Raは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していても良く、好ましい置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、水素原子が置換されたヒドロキシル基、水素原子が置換されたアミノ基などが挙げられる。
本発明の組成物にKrFエキシマレーザー光、電子線、X線、波長50nm以下の高エネルギー光線(EUVなど)を照射する場合には、樹脂(A)は、芳香環を有する繰り返し単位を有してもよい。芳香環を有する繰り返し単位としては、特に限定されず、また、前述の各繰り返し単位に関する説明でも例示しているが、スチレン単位、ヒドロキシスチレン単位、フェニル(メタ)アクリレート単位、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート単位、ベンジル(メタ)アクリレート単位などが挙げられる。樹脂(A)としては、より具体的には、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位と、酸分解性基によって保護されたヒドロキシスチレン系繰り返し単位とを有する樹脂、上記芳香環を有する繰り返し単位と、(メタ)アクリル酸のカルボン酸部位が酸分解性基によって保護された繰り返し単位を有する樹脂、などが挙げられる。
樹脂(A)が芳香環を有する単位を有する場合、共重合単位は特に限定されず、前述の種々の繰り返し単位(例えばラクトン含有繰り返し単位)、また、その他公知の繰り返し単位を適宜選択することができる。例えば、酸分解基を有する繰り返し単位については、前述の酸分解性基を有する繰り返し単位はもちろんのこと、特開2013−160947号公報(この公報は本明細書に組み込まれる)の0086段落〜0107段落で説明されているような、フェノール性水酸基をアセタール等の酸分解性基で保護した構造を有する繰り返し単位、同公報の0108段落〜0136段落で説明されているような、アラルキル部位を有する酸分解性繰り返し単位、同公報の0127段落〜0147段落で説明されているような、アルコール性水酸基が酸分解性基で保護された構造を有する繰り返し単位、などが適用可能である。
このような繰り返し構造単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し構造単位を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
これにより、本発明の組成物に用いられる樹脂に要求される性能、特に、
(1)塗布溶剤に対する溶解性、
(2)製膜性(ガラス転移点)、
(3)アルカリ現像性、
(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、
(5)未露光部の基板への密着性、
(6)ドライエッチング耐性、等の微調整が可能となる。
このような単量体として、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
本発明の組成物が、ArF露光用であるとき、ArF光への透明性の点から本発明の組成物に用いられる樹脂(A)は実質的には芳香環を有さない(具体的には、樹脂中、芳香族基を有する繰り返し単位の比率が好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下、理想的には0モル%、すなわち、芳香族基を有さない)ことが好ましく、樹脂(A)は単環又は多環の脂環炭化水素構造を有することが好ましい。
本発明の組成物に用いられる樹脂(A)として好ましくは、繰り返し単位のすべてが(メタ)アクリレート系繰り返し単位で構成されたものである。この場合、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがアクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位とアクリレート系繰り返し単位とによるもののいずれのものでも用いることができるが、アクリレート系繰り返し単位が全繰り返し単位の50モル%以下であることが好ましい。
例えば、上記樹脂が難溶或いは不溶の溶媒(貧溶媒)を、該反応溶液の10倍以下の体積量、好ましくは10〜5倍の体積量で、接触させることにより樹脂を固体として析出させる。
沈殿又は再沈殿溶媒の使用量は、効率や収率等を考慮して適宜選択できるが、一般には、ポリマー溶液100質量部に対して、100〜10000質量部、好ましくは200〜2000質量部、更に好ましくは300〜1000質量部である。
沈殿又は再沈殿する際の温度としては、効率や操作性を考慮して適宜選択できるが、通常0〜50℃程度、好ましくは室温付近(例えば20〜35℃程度)である。沈殿又は再沈殿操作は、攪拌槽などの慣用の混合容器を用い、バッチ式、連続式等の公知の方法により行うことができる。
これら精製工程により、未反応の低分子成分(モノマー、オリゴマー)をできるだけ少なくすることが好ましい。
以下に樹脂(A)の具体例を示すが(繰り返し単位の組成比はモル比である)、これらに限定されるものではない。
本発明の組成物は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「化合物(B)」又は「酸発生剤」ともいう。)を含有してもよい。
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物が、低分子化合物の形態である場合、分子量が3000以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましく、1000以下であることが更に好ましい。
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物が、重合体の一部に組み込まれた形態である場合、前述した樹脂(A)の一部に組み込まれても良く、樹脂(A)とは異なる樹脂に組み込まれても良い。
本発明において、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物が、低分子化合物の形態であることが好ましい。
酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
R201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
R201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
Z−としては、例えば、スルホン酸アニオン(脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなど)、カルボン酸アニオン(脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなど)、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン等を挙げられる。
芳香族スルホン酸アニオン及び芳香族カルボン酸アニオンにおける芳香族基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンを挙げることができる。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。これらのアルキル基の置換基としてはハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基等を挙げることができ、フッ素原子又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
その他のZ−としては、例えば、弗素化燐(例えば、PF6 −)、弗素化硼素(例えば、BF4 −)、弗素化アンチモン(例えば、SbF6 −)等を挙げることができる。
Z−としては、スルホン酸の少なくともα位がフッ素原子で置換された脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子又はフッ素原子を有する基で置換された芳香族スルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましい。
R201、R202及びR203のうち、少なくとも1つがアリール基であることが好ましく、3つ全てがアリール基であることがより好ましい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などの他に、インドール残基、ピロール残基などのヘテロアリール基も可能である。
R201、R202及びR203のうち少なくとも1つがアリール基でない場合の好ましい構造としては、特開2004−233661号公報の段落0046,0047、特開2003−35948号公報の段落0040〜0046、米国特許出願公開第2003/0224288A1号明細書に式(I−1)〜(I−70)として例示されている化合物、米国特許出願公開第2003/0077540A1号明細書に式(IA−1)〜(IA−54)、式(IB−1)〜(IB−24)として例示されている化合物等のカチオン構造を挙げることができる。
R1は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又はアルケニル基を表し、
R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、R2とR3が互いに連結して環を形成してもよく、
R1とR2は、互いに連結して環を形成してもよく、
RX及びRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、2-オキソアルキル基、2-オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アルコキシカルボニルシクロアルキル基を表し、RXとRyが互いに連結して環を形成してもよく、この環構造は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケトン基、エーテル結合、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
Z−は、非求核性アニオンを表す。
R1としてのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキル基であり、アルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有していてもよい。具体的には分岐アルキル基を挙げることができる。R1のアルキル基は置換基を有していてもよい。
R1とR2は、互いに連結して環を形成してもよい。R1とR2が互いに連結して環を形成する場合、R1がアリール基(好ましくは置換基を有してもよいフェニル基又はナフチル基)であり、R2が炭素数1〜4のアルキレン基(好ましくはメチレン基又はエチレン基)であることが好ましく、好ましい置換基としては、上述したR1としてのアリール基が有していても良い置換基と同様のものが挙げられる。R1とR2が互いに連結して環を形成する場合における他の形態として、R1がビニル基であり、R2が炭素数1〜4のアルキレン基であることも好ましい。
RX及びRyにより表される2-オキソシクロアルキル基及びアルコキシカルボニルシクロアルキル基のシクロアルキル基部分としては、例えば、先にRX及びRyとして列挙したものが挙げられる。
Z−は、例えば、前述の一般式(ZI)におけるZ−として列挙したものが挙げられる。
R13は、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又はシクロアルキル基を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
R14は複数存在する場合は各々独立して、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、又はシクロアルキル基を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
R15は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基又はナフチル基を表す。2個のR15が互いに結合して環を形成してもよく、環を構成する原子として、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子などのヘテロ原子を含んでも良い。これらの基は置換基を有してもよい。
lは0〜2の整数を表す。
rは0〜8の整数を表す。
Z−は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZ−と同様の非求核性アニオンを挙げることができる。
2個のR15が互いに結合して形成してもよい環構造としては、2個のR15が一般式(ZI−4)中の硫黄原子と共に形成する5員又は6員の環、特に好ましくは5員の環(即ち、テトラヒドロチオフェン環又は2,5−ジヒドロチオフェン環)が挙げられ、アリール基又はシクロアルキル基と縮環していてもよい。この2価のR15は置換基を有してもよく、置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。前記環構造に対する置換基は、複数個存在しても良く、また、それらが互いに結合して環を形成しても良い。
lとしては、0又は1が好ましく、1がより好ましい。
rとしては、0〜2が好ましい。
R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
R204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基としては、前述の化合物(ZI)におけるR201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基と同様である。
R204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としても、前述の化合物(ZI)におけるR201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基が有していてもよいものが挙げられる。
Z−は、例えば、前述の一般式(ZI)におけるZ−として列挙したものが挙げられる。
次に、非求核性アニオンZ−の好ましい構造について説明する。
非求核性アニオンZ−は、一般式(2)で表されるスルホン酸アニオンであることが好ましい。
Xfは、各々独立に、フッ素原子、又は少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
R7及びR8は、各々独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、又は、少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、複数存在する場合のR7及びR8は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Lは、二価の連結基を表し、複数存在する場合のLは同一でも異なっていてもよい。
Aは、環状構造を含む有機基を表す。
xは、1〜20の整数を表す。yは、0〜10の整数を表す。zは、0〜10の整数を表す。
Xfは、上記の通り、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基であり、フッ素原子で置換されたアルキル基におけるアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。また、Xfのフッ素原子で置換されたアルキル基は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。
Lは、2価の連結基を表し、−COO−、−OCO−、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−N(Ri)−(式中、Riは水素原子又はアルキルを表す)、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜6)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3〜10)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜6)又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基などが挙げられ、−COO−、−OCO−、−CO−、−SO2−、−CON(Ri)−、−SO2N(Ri)−、−CON(Ri)−アルキレン基−、−N(Ri)CO−アルキレン基−、−COO−アルキレン基−又は−OCO−アルキレン基−であることが好ましく、−COO−、−OCO−、−SO2−、−CON(Ri)−又は−SO2N(Ri)−であることがより好ましい。複数存在する場合のLは同一でも異なっていてもよい。
Riとしてのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキル基であり、アルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有していてもよい。具体的には直鎖アルキル基、分岐アルキル基を挙げることができる。置換基を有するアルキル基としては、シアノメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
脂環基としては、単環でも多環でもよい。また、ピペリジン基、デカヒドロキノリン基、デカヒドロイソキノリン基等の窒素原子含有脂環基も好ましい。中でも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基、デカヒドロキノリン基、デカヒドロイソキノリン基といった炭素数7以上のかさ高い構造を有する脂環基が、PEB(露光後加熱)工程での膜中拡散性を抑制でき、露光ラチチュード向上の観点から好ましい。
また、本発明の一形態において、一般式(2)で表されるアニオンに含まれるフッ素原子数は2又は3であることが好ましい。これにより、本発明の効果を更に高めることができる。
Rb1は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基(CF3)を表す。
nは0〜4の整数を表す。
nは0〜3の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
Xb1は単結合、アルキレン基、エーテル結合、エステル結合(−OCO−若しくは−COO−)、スルホン酸エステル結合(−OSO2−若しくは−SO3−)、又はそれらの組み合わせを表す。
Xb1はエステル結合(−OCO−若しくは−COO−)又はスルホン酸エステル結合(−OSO2−若しくは−SO3−)であることが好ましく、エステル結合(−OCO−若しくは−COO−)であることがより好ましい。
Rb2は炭素数6以上の有機基を表す。
Rb2についての炭素数6以上のアルキル基としては、直鎖状であっても分岐状であってもよく、炭素数6〜20の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、例えば、直鎖又は分岐ヘキシル基、直鎖又は分岐ヘプチル基、直鎖又は分岐オクチル基などが挙げられる。嵩高さの観点から分岐アルキル基であることが好ましい。
R1は、アルキル基、1価の脂環式炭化水素基、アリール基、又は、ヘテロアリール基である。
R2は、2価の連結基である。
Rfは、フッ素原子、又は、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基である。
n1及びn2は、それぞれ独立して、0又は1である。
また、上記アルキル基は置換基(好ましくはフッ素原子)を有していてもよく、置換基を有するアルキル基としては、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。
単環式のアリール基としては、フェニル基等が挙げられる。
多環式のアリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
単環式のヘテロアリール基としては、ピリジル基、チエニル基、フラニル基等が挙げられる。
多環式のヘテロアリール基としては、キノリル基、イソキノリル基等が挙げられる。
R1は、シクロヘキシル基、又は、アダマンチル基であることが特に好ましい。
Rfは、好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。より具体的には、Rfはフッ素原子又はCF3であることが好ましい。
n1は1であることが好ましい。
n2は1であることが好ましい。
上記一般式(A−I)で表されるスルホン酸アニオンの好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記具体例には、上述した一般式(2)で表されるスルホン酸アニオンに該当するものも含まれている。
Xfは、上記一般式(2)で定義した通りであり、好ましい例も同様である。一般式(2’)において、2つのXfは互いに連結して環構造を形成してもよい。
Z−についてのジスルホニルイミド酸アニオンとしては、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオンであることが好ましい。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオンにおける2つのアルキル基が互いに連結してアルキレン基(好ましくは炭素数2〜4)を成し、イミド基及び2つのスルホニル基とともに環を形成していてもよい。ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオンが形成していてもよい上記の環構造としては、5〜7員環であることが好ましく、6員環であることがより好ましい。
酸発生剤の組成物中の含有率は、組成物の全固形分を基準として、0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは1〜28質量%、更に好ましくは3〜25質量%である。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、特に液浸露光に適用する際、疎水性樹脂(以下、「疎水性樹脂(HR)」又は単に「樹脂(HR)」ともいう)を含有してもよい。なお、疎水性樹脂(HR)は前記樹脂(A)とは異なることが好ましい。
疎水性樹脂(HR)が、フッ素原子及び/又は珪素原子を含む場合、疎水性樹脂(HR)に於ける上記フッ素原子及び/又は珪素原子は、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。
疎水性樹脂(HR)がフッ素原子を含んでいる場合、フッ素原子を有する部分構造として、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又は、フッ素原子を有するアリール基を有する樹脂であることが好ましい。
フッ素原子を有するシクロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環又は多環のシクロアルキル基であり、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられ、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
R57〜R68は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基(直鎖若しくは分岐)を表す。但し、R57〜R61の少なくとも1つ、R62〜R64の少なくとも1つ、及びR65〜R68の少なくとも1つは、それぞれ独立に、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)を表す。
一般式(F2)で表される基の具体例としては、例えば、p−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル基等が挙げられる。
アルキルシリル構造、又は環状シロキサン構造としては、具体的には、下記一般式(CS−1)〜(CS−3)で表される基などが挙げられる。
R12〜R26は、各々独立に、直鎖若しくは分岐アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)又はシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)を表す。
L3〜L5は、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、アルキレン基、フェニレン基、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、及びウレア結合よりなる群から選択される単独或いは2つ以上の組み合わせ(好ましくは総炭素数12以下)が挙げられる。
nは、1〜5の整数を表す。nは、好ましくは、2〜4の整数である。
以下、一般式(CS−1)〜(CS−3)で表される基を有する繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明は、これに限定されるものではない。なお、具体例中、X1は、水素原子、−CH3、−F又は−CF3を表す。
ここで、前記樹脂(HR)中の側鎖部分が有するCH3部分構造(以下、単に「側鎖CH3部分構造」ともいう)には、エチル基、プロピル基等が有するCH3部分構造を包含するものである。
一方、樹脂(HR)の主鎖に直接結合しているメチル基(例えば、メタクリル酸構造を有する繰り返し単位のα−メチル基)は、主鎖の影響により樹脂(HR)の表面偏在化への寄与が小さいため、本発明におけるCH3部分構造に包含されないものとする。
より具体的には、樹脂(HR)が、例えば、下記一般式(M)で表される繰り返し単位などの、炭素−炭素二重結合を有する重合性部位を有するモノマーに由来する繰り返し単位を含む場合であって、R11〜R14がCH3「そのもの」である場合、そのCH3は、本発明における側鎖部分が有するCH3部分構造には包含されない。
一方、C−C主鎖から何らかの原子を介して存在するCH3部分構造は、本発明におけるCH3部分構造に該当するものとする。例えば、R11がエチル基(CH2CH3)である場合、本発明におけるCH3部分構造を「1つ」有するものとする。
R11〜R14は、各々独立に、側鎖部分を表す。
側鎖部分のR11〜R14としては、水素原子、1価の有機基などが挙げられる。
R11〜R14についての1価の有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、シクロアルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基などが挙げられ、これらの基は、更に置換基を有していてもよい。
疎水性樹脂(HR)は、側鎖部分にCH3部分構造を有する繰り返し単位を有する樹脂であることが好ましく、このような繰り返し単位として、下記一般式(II)で表される繰り返し単位、及び、下記一般式(V)で表される繰り返し単位のうち少なくとも一種の繰り返し単位(x)を有していることがより好ましい。
以下、一般式(II)で表される繰り返し単位について詳細に説明する。
Xb1のアルキル基は、炭素数1〜4のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基等が挙げられるが、メチル基であることが好ましい。
Xb1は、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
R2は、1つ以上のCH3部分構造を有する、アルキル基又はアルキル置換シクロアルキル基が好ましい。
Xb2のアルキル基は、炭素数1〜4のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基等が挙げられるが、水素原子である事が好ましい。
Xb2は、水素原子であることが好ましい。
R3としては、1つ以上のCH3部分構造を有する、アルキル基が挙げられる。
R3としての1つ以上のCH3部分構造を有する酸に安定な有機基は、CH3部分構造を1個以上10個以下有することが好ましく、1個以上8個以下有することがより好ましく、1個以上4個以下有することが更に好ましい。
R3に於ける、1つ以上のCH3部分構造を有するアルキル基としては、炭素数3〜20の分岐のアルキル基が好ましい。
R3に於ける、2つ以上のCH3部分構造を有するアルキル基としては、具体的には、イソプロピル基、t−ブチル基、2−メチル−3−ブチル基、2−メチル−3−ペンチル基、3−メチル−4−ヘキシル基、3,5−ジメチル−4−ペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、2,6−ジメチルヘプチル基、1,5−ジメチル−3−ヘプチル基、2,3,5,7−テトラメチル−4−ヘプチル基、2,6−ジメチルヘプチル基である。
(x)酸基、
(y)ラクトン構造を有する基、酸無水物基、又は酸イミド基、
(z)酸の作用により分解する基
酸基(x)としては、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
酸基(x)を有する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に、直接、酸基が結合している繰り返し単位、或いは、連結基を介して樹脂の主鎖に酸基が結合している繰り返し単位などが挙げられ、更には酸基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入することもでき、いずれの場合も好ましい。酸基(x)を有する繰り返し単位が、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有していても良い。
酸基(x)を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂(HR)中の全繰り返し単位に対し、1〜50モル%が好ましく、より好ましくは3〜35モル%、更に好ましくは5〜20モル%である。
これらの基を含んだ繰り返し単位は、例えば、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルによる繰り返し単位等の、樹脂の主鎖に直接この基が結合している繰り返し単位である。或いは、この繰り返し単位は、この基が連結基を介して樹脂の主鎖に結合している繰り返し単位であってもよい。或いは、この繰り返し単位は、この基を有する重合開始剤又は連鎖移動剤を重合時に用いて、樹脂の末端に導入されていてもよい。
ラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位としては、例えば、先に酸分解性樹脂(A)の項で説明したラクトン構造を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。
ラクトン構造を有する基、酸無水物基、又は酸イミド基を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂(HR)中の全繰り返し単位を基準として、1〜100モル%であることが好ましく、3〜98モル%であることがより好ましく、5〜95モル%であることが更に好ましい。
疎水性樹脂(HR)は、更に、下記一般式(VI)で表される繰り返し単位を有していてもよい。
Rc31は、水素原子、アルキル基(フッ素原子等で置換されていても良い)、シアノ基又は−CH2−O−Rac2基を表す。式中、Rac2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Rc31は、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
Rc32は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基又はアリール基を有する基を表す。これら基はフッ素原子、珪素原子を含む基で置換されていても良い。
一般式(VI)に於ける、Rc32のアルキル基は、炭素数3〜20の直鎖若しくは分岐状アルキル基が好ましい。
シクロアルキル基は、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましい。
アルケニル基は、炭素数3〜20のアルケニル基が好ましい。
シクロアルケニル基は、炭素数3〜20のシクロアルケニル基が好ましい。
アリール基は、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、フェニル基、ナフチル基がより好ましく、これらは置換基を有していてもよい。
Rc32は無置換のアルキル基又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
Lc3の2価の連結基は、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜5)、エーテル結合、フェニレン基、エステル結合(−COO−で表される基)が好ましい。
一般式(VI)により表される繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位を基準として、1〜100モル%であることが好ましく、10〜90モル%であることがより好ましく、30〜70モル%であることが更に好ましい。
Rc11’及びRc12’は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
Zc’は、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、脂環式構造を形成するための原子団を表す。
一般式(CII−AB)により表される繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位を基準として、1〜100モル%であることが好ましく、10〜90モル%であることがより好ましく、30〜70モル%であることが更に好ましい。
疎水性樹脂(HR)の組成物中の含有量は、本発明の組成物中の全固形分に対し、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜8質量%がより好ましく、0.1〜7質量%が更に好ましい。
疎水性樹脂(HR)は、樹脂(A)同様、金属等の不純物が少ないのは当然のことながら、残留単量体やオリゴマー成分が0.01〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜3質量%、0.05〜1質量%が更により好ましい。それにより、液中異物や感度等の経時変化のない感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が得られる。また、解像度、レジスト形状、レジストパターンの側壁、ラフネスなどの点から、分子量分布(Mw/Mn、分散度ともいう)は、1〜5の範囲が好ましく、より好ましくは1〜3、更に好ましくは1〜2の範囲である。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、露光から加熱までの経時による性能変化を低減するために、塩基性化合物を含有することが好ましい。使用可能な塩基性化合物は特に限定されないが、例えば、以下の(1)〜(6)に分類される化合物を用いることができる。
塩基性化合物としては、好ましくは、下記式(A)〜(E)で示される構造を有する化合物(N)を挙げることができる。
R200、R201及びR202は、同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(炭素数6〜20)を表し、ここで、R201とR202は、互いに結合して環を形成してもよい。
R203、R204、R205及びR206は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜20個のアルキル基を表す。
上記アルキル基について、置換基を有するアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1〜20のシアノアルキル基が好ましい。
これら一般式(A)及び(E)中のアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
好ましい化合物(N)として、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、ピペリジン等を挙げることができ、更に好ましい化合物(N)として、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造又はピリジン構造を有する化合物(N)、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体等を挙げることができる。
また、下記化合物も塩基性化合物(N)として好ましい。
酸発生剤と塩基性化合物(N)の組成物中の使用割合は、酸発生剤/塩基性化合物(モル比)=2.5〜300であることが好ましい。即ち、感度、解像度の点からモル比が2.5以上が好ましく、露光後加熱処理までの経時によるレジストパターンの太りによる解像度の低下抑制の点から300以下が好ましい。酸発生剤/塩基性化合物(N)(モル比)は、より好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
本発明における感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下する、塩基性化合物又はアンモニウム塩化合物(以下、「化合物(F)」ともいう)を含有することが好ましい。
化合物(F)は、塩基性官能基又はアンモニウム基と、活性光線又は放射線の照射により酸性官能基を発生する基とを有する化合物(F−1)であることが好ましい。すなわち、化合物(F)は、塩基性官能基と活性光線若しくは放射線の照射により酸性官能基を発生する基とを有する塩基性化合物、又は、アンモニウム基と活性光線若しくは放射線の照射により酸性官能基を発生する基とを有するアンモニウム塩化合物であることが好ましい。
化合物(F)又は(F−1)が、活性光線又は放射線の照射により分解して発生する、塩基性が低下した化合物として、下記一般式(PA−I)、(PA−II)又は(PAIII)で表される化合物を挙げることができ、LWR、局所的なパターン寸法の均一性及びDOFに関して優れた効果を高次元で両立できるという観点から、特に、一般式(PA−II)又は(PA−III)で表される化合物が好ましい。
Q−A1−(X)n−B−R (PA−I)
一般式(PA−I)中、
A1は、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、−SO3H、又は−CO2Hを表す。Qは、活性光線又は放射線の照射により発生する酸性官能基に相当する。
Xは、−SO2−又は−CO−を表す。
nは、0又は1を表す。
Bは、単結合、酸素原子又は−N(Rx)−を表す。
Rxは、水素原子又は1価の有機基を表す。
Rは、塩基性官能基を有する1価の有機基又はアンモニウム基を有する1価の有機基を表す。
Q1−X1−NH−X2−Q2(PA−II)
一般式(PA−II)中、
Q1及びQ2は、各々独立に、1価の有機基を表す。但し、Q1及びQ2のいずれか一方は、塩基性官能基を有する。Q1とQ2は、結合して環を形成し、形成された環が塩基性官能基を有してもよい。
X1及びX2は、各々独立に、−CO−又は−SO2−を表す。
なお、−NH−は、活性光線又は放射線の照射により発生する酸性官能基に相当する。
Q1−X1−NH−X2−A2−(X3)m−B−Q3(PA−III)
一般式(PA−III)中、
Q1及びQ3は、各々独立に、1価の有機基を表す。但し、Q1及びQ3のいずれか一方は、塩基性官能基を有する。Q1とQ3は、結合して環を形成し、形成された環が塩基性官能基を有していてもよい。
X1、X2及びX3は、各々独立に、−CO−又は−SO2−を表す。
A2は、2価の連結基を表す。
Bは、単結合、酸素原子又は−N(Qx)−を表す。
Qxは、水素原子又は1価の有機基を表す。
Bが、−N(Qx)−の時、Q3とQxが結合して環を形成してもよい。
mは、0又は1を表す。
なお、−NH−は、活性光線又は放射線の照射により発生する酸性官能基に相当する。
本発明における感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は化合物(F)を含有してもしていなくてもよいが、含有する場合、化合物(F)の含有量は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の固形分を基準として、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。
本発明の組成物は、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する化合物(以下「化合物(G)」ともいう)を含有してもよい。
酸の作用により脱離する基としては特に限定されないが、アセタール基、カルボネート基、カルバメート基、3級エステル基、3級水酸基、ヘミアミナールエーテル基が好ましく、カルバメート基、ヘミアミナールエーテル基であることが特に好ましい。
酸の作用により脱離する基を有する化合物(N’’)の分子量は、100〜1000が好ましく、100〜700がより好ましく、100〜500が特に好ましい。
化合物(G)としては、酸の作用により脱離する基を窒素原子上に有するアミン誘導体が好ましい。
Rbは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30)、アリール基(好ましくは炭素数3〜30)、アラルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、又はアルコキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)を表す。Rbは相互に連結して環を形成していてもよい。
Rbとして好ましくは、直鎖状、又は分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基である。より好ましくは、直鎖状、又は分岐状のアルキル基、シクロアルキル基である。
2つのRbが相互に連結して形成する環としては、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環式炭化水素基若しくはその誘導体等が挙げられる。
一般式(d−1)で表される基の具体的な構造としては、米国特許出願公開第2012/0135348A1号明細書の段落[0466]に開示された構造を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
Rbは、前記一般式(d−1)におけるRbと同義であり、好ましい例も同様である。
lは0〜2の整数を表し、mは1〜3の整数を表し、l+m=3を満たす。
一般式(6)において、Raとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基は、Rbとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基が置換されていてもよい基として前述した基と同様な基で置換されていてもよい。
前記Raのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基(これらのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、上記基で置換されていてもよい)の好ましい例としては、Rbについて前述した好ましい例と同様な基が挙げられる。
本発明において、低分子化合物(G)は、一種単独でも又は2種以上を混合しても使用することができる。
また、本発明の組成物は、塩基性化合物として、オニウム塩を含んでもよい。オニウム塩としては、例えば下記一般式(6A)又は(6B)で表されるオニウム塩が挙げられる。このオニウム塩は、レジスト組成物で通常用いられる光酸発生剤の酸強度との関係で、レジスト系中で、発生酸の拡散を制御することが期待される。
Raは、有機基を表す。但し、式中のカルボン酸基に直接結合する炭素原子にフッ素原子が置換しているものを除く。
X+は、オニウムカチオンを表す。
一般式(6B)中、
Rbは、有機基を表す。但し、式中のスルホン酸基に直接結合する炭素原子にフッ素原子が置換しているものを除く。
X+はオニウムカチオンを表す。
上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基及び複素環基が有し得る置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ラクトン基、アルキルカルボニル基等が挙げられる。
一般式(6A)又は(6B)で表されるオニウム塩の具体的構造を以下に示す。
更に、本発明の組成物は、特開2012−189977号公報の式(I)に含まれる化合物、特開2013−6827号公報の式(I)で表される化合物、特開2013−8020号公報の式(I)で表される化合物、特開2012−252124号公報の式(I)で表される化合物などのような、1分子内にオニウム塩構造と酸アニオン構造の両方を有する化合物(以下、ベタイン化合物ともいう)も好ましく用いることができる。このオニウム塩構造としては、スルホニウム、ヨードニウム、アンモニウム構造が挙げられ、スルホニウムまたはヨードニウム塩構造であることが好ましい。また、酸アニオン構造としては、スルホン酸アニオンまたはカルボン酸アニオンが好ましい。この化合物の例としては、例えば以下が挙げられる。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を調製する際に使用することができる溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4〜10)、環を有しても良いモノケトン化合物(好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、ピルビン酸アルキル等の有機溶剤を挙げることができる。
本発明においては、有機溶剤として構造中に水酸基を含有する溶剤と、水酸基を含有しない溶剤とを混合した混合溶剤を使用してもよい。
水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤との混合比(質量)は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。水酸基を含有しない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
本発明における感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、更に界面活性剤を含有してもしなくても良く、含有する場合、フッ素及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素原子とケイ素原子の両方を有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することがより好ましい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0276]に記載の界面活性剤が挙げられ、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431、4430(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、F113、F110、F177、F120、R08(DIC(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106、KH−20(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)、GF−300、GF−150(東亜合成化学(株)製)、サーフロンS−393(セイミケミカル(株)製)、エフトップEF121、EF122A、EF122B、RF122C、EF125M、EF135M、EF351、EF352、EF801、EF802、EF601((株)ジェムコ製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520(OMNOVA社製)、FTX−204G、208G、218G、230G、204D、208D、212D、218D、222D((株)ネオス製)等である。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)若しくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
一方、界面活性剤の添加量を、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物全量(溶剤を除く)に対して、10ppm以下とすることで、疎水性樹脂の表面偏在性があがり、それにより、レジスト膜表面をより疎水的にすることができ、液浸露光時の水追随性を向上させることが出来る。
また、本発明の組成物は、含水率が低いことが好ましい。具体的には、含水率は組成物の全重量中2.5質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下であることが更に好ましい。
・合成例
窒素気流下、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルの6/4(質量比)の混合溶剤40gを3つ口フラスコに入れ、これを80℃に加熱した(溶剤1)。下記繰り返し単位に対応するモノマーをそれぞれモル比30/10/60の割合でプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルの6/4(質量比)の混合溶剤に溶解し、22質量%のモノマー溶液(400g)を調製した。更に、重合開始剤V−601(和光純薬工業製)をモノマーに対し8mol%を加え、溶解させた溶液を、上記溶剤1に対して6時間かけて滴下した。滴下終了後、更に80℃で2時間反応させた。反応液を放冷後ヘキサン3600ml/酢酸エチル400mlに注ぎ、析出した粉体をろ取、乾燥すると、樹脂(P−1)が74g得られた。得られた樹脂(P−1)の重量平均分子量は、12000、分散度(Mw/Mn)は、1.6であった。
各繰り返し単位に対応するモノマーを、所望の組成比(モル比)となるように使用した以外は、上記合成例1と同様にして、樹脂(P−2)〜(P−8)及び疎水性樹脂(N−1)〜(N−3)を合成した。
下記表4に示す成分を同表に示す溶剤に溶解させ全固形分濃度3.5質量%とし、それぞれを0.05μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターでろ過して、レジスト組成物Ar−1〜Ar−13を調製した。
実施例において使用された樹脂の、繰り返し単位の組成比(モル比)、重量平均分子量及び分散度を以下に示す。
酸発生剤の構造式を以下に示す。
塩基性化合物の構造式を以下に示す。
実施例において使用された疎水性樹脂の組成比(モル比)、重量平均分子量及び分散度を以下に示す。
W−1: メガファックF176(DIC(株)製)(フッ素系)
W−2: メガファックR08(DIC(株)製)(フッ素及びシリコン系)
W−3: ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)(シリコン系)
W−4: PolyFox PF−6320(OMNOVA製)(フッ素系)
A1: プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
A2: γ−ブチロラクトン
A3: シクロヘキサノン
B1: プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
B2: 乳酸エチル
B3: 2−ヘプタノン
B4: プロピレンカーボネート
[実施例1〜29,比較例1及び2]
<被処理パターンの形成:ドライ露光>
ドライ露光法により、レジストパターンを形成した。
具体的には、先ず、シリコンウエハー上に有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークを行って、膜厚78nmの反射防止膜を形成した。その上に、上記のレジスト組成物を塗布し、100℃で60秒間ベークを行い、膜厚50nmのレジスト膜を形成した。
液浸露光法により、レジストパターンを形成した。
具体的には、先ず、シリコンウエハー上に有機反射防止膜ARC29SR(日産化学社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークを行って、膜厚91nmの反射防止膜を形成した。その上に、上記のレジスト組成物を塗布し、100℃で60秒間ベークを行い、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。
<被処理パターンの形成:ドライ露光/2重現像>
シリコンウエハー上に有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークを行って、膜厚86nmの反射防止膜を形成した。その上に、上記のレジスト組成物を塗布し、100℃で60秒間ベークを行い、膜厚50nmのレジスト膜を形成した。
次いで、第二の現像液を用いて20秒間現像し、表6中に第二のリンス液が記載された例については、第二のリンス液を用いてリンスした後、4000rpmの回転数で30秒間ウェハを回転させることにより、被処理パターンとしての線幅40nmの1:1ラインアンドスペースのレジストパターンを得た。
シリコンウエハー上に有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークを行って、膜厚98nmの反射防止膜を形成した。その上に、上記のレジスト組成物を塗布し、90℃で60秒間ベークを行い、膜厚50nmのレジスト膜を形成した。
次いで、第二の現像液を用いて20秒間現像し、表6中に第二のリンス液が記載された例については、第二のリンス液を用いてリンスした後、4000rpmの回転数で30秒間ウェハを回転させることにより、被処理パターンとしての線幅30nmの1:1ラインアンドスペースのレジストパターンを得た。
以上のようにした得られた各被処理パターンに表5及び表6に記載の処理剤(シュリンク剤)を塗布し、表5及び表6中の処理剤ベーク温度の欄に温度が記載されている例については、その温度で90秒間ベークを行って膜厚100nm(シリコンウエハの表面を基準面とした膜厚)の処理剤膜(シュリンク剤膜)を形成した。その後、処理剤膜を、除去液で20秒間パドルして洗浄した。続いて、2000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させることにより、処理済パターンを得た。
MAK: メチルアミルケトン
EL: 乳酸エチル
MIBC: 4−メチル−2−ペンタノール
TMAH: 2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液
有機溶剤A: 酢酸ブチルに、酢酸ブチルの量に対して2質量%の化合物S−1を混合した溶剤
W−A: サーフロンS−111 (旭硝子(株)製)
・シュリンク量の評価方法
被処理パターンにおけるスペース幅と、処理済パターンにおけるスペース幅とを、測長走査型電子顕微鏡(日立社製S9380II)を使用して計測し、スペース幅の差を算出し、これを、シュリンク量(nm)とした。値が大きいほど、スペース幅の縮小効果が高い(すなわち、パターンの微細化に優れる)ことを示しており、性能が良好であることを表す。
得られた処理済パターンを測長走査型電子顕微鏡(SEM(株)日立製作所S−9380II)を使用して観察し、スペースパターンの長手方向2μmの範囲を等間隔で50点線幅を測定し、その標準偏差から3σを算出することで測定した。値が小さいほど良好な性能であることを示す。
また、化合物(x)として、Mwが10000以上の樹脂を使用した実施例は、評価結果がより優れ、Mwが50000以上の樹脂を使用した実施例は、評価結果が更に優れることが分かった。
<レジスト組成物の調製>
下記表7に示す成分を同表に示す溶剤に固形分で1.6質量%となるように溶解させ、それぞれを0.05μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターでろ過して、表7に示す感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(化学増幅型レジスト組成物)を調製した。
上記実施例1において、レジスト組成物を上記レジスト組成物E−1に、露光源をEUV光(極紫外線)に変えた以外は、実施例1に準じて評価を行い、パターン処理を行うことができた。
<実施例65>
上記実施例23において、レジスト組成物を上記レジスト組成物E−1に、露光源をEUV光(極紫外線)に変えた以外は、実施例1に準じて評価を行い、パターン処理を行うことができた。
<実施例66>
上記実施例1において、レジスト組成物を上記レジスト組成物E−2に、露光源をEUV光(極紫外線)に変えた以外は、実施例1に準じて評価を行い、パターン処理を行うことができた。
<実施例67>
上記実施例23において、レジスト組成物を上記レジスト組成物E−2に、露光源をEUV光(極紫外線)に変えた以外は、実施例1に準じて評価を行い、パターン処理を行うことができた。
Claims (13)
- (1)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む現像液に対する溶解性が減少する樹脂を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて、膜を形成する工程、
(2)前記膜を、活性光線又は放射線により露光する工程、
(3)前記膜を、有機溶剤を含む現像液を用いて現像して被処理パターンを形成する工程、及び、
(4)前記被処理パターンに対し、1級アミノ基及び2級アミノ基の少なくともいずれかを有する化合物(x)を含む処理剤を作用させて、処理済パターンを得る工程を含む、パターン形成方法。 - 前記処理剤が、有機溶剤を、前記処理剤の全量に対して30質量%以上で含有する、請求項1に記載のパターン形成方法。
- 前記処理剤が含有する有機溶剤が、アルコール系溶剤又はエーテル系溶剤である、請求項2に記載のパターン形成方法。
- 前記化合物(x)が、前記1級アミノ基又は前記2級アミノ基として、下式(1)で表される部分構造を有する化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
−NHR (1)
上式中、Rは、水素原子、ヘテロ原子が含まれていてもよい脂肪族炭化水素基、又は、ヘテロ原子が含まれていてもよい芳香族炭化水素基を表し、−は結合手を表す。 - 前記化合物(x)が、樹脂である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記樹脂が、1級アミノ基及び2級アミノ基の少なくともいずれかを有する繰り返し単位を、前記樹脂の全繰り返し単位に対して30モル%以上で有する樹脂である、請求項5に記載のパターン形成方法。
- 前記工程(4)の前に、(3’)アルカリ現像液による現像工程を更に含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記工程(4)の後に、(5)前記処理済パターンに対して、前記化合物(x)を溶解可能な除去液を接触させる工程を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記除去液が、有機溶剤を含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記工程(2)における露光が、波長250nm以下の光、又は、電子線による露光である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
- (1)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む現像液に対する溶解性が減少する樹脂を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて、膜を形成する工程、(2)前記膜を、活性光線又は放射線により露光する工程、及び、(3)前記膜を、有機溶剤を含む現像液を用いて現像して被処理パターンを形成する工程を有するパターン形成方法により得られる前記被処理パターンを処理する、1級アミノ基及び2級アミノ基の少なくともいずれかを有する化合物(x)を含む処理剤。
- 有機溶剤を前記処理剤の全量に対して30質量%以上で含有する、請求項12に記載の処理剤。
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