JP2015055818A - 赤外線遮蔽フィルム、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
1回の塗工で、可視光領域での透過率を高く保ちながらも、近赤外領域の波長の光を効果的に遮蔽する機能を有した層を薄膜で形成した赤外線遮蔽フィルム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
基材の少なくとも片面に、微粒子を含まない樹脂層と微粒子層とが順に積層されている赤外線遮蔽フィルムであって、前記微粒子層の膜厚が0.25μmから2.1μmであり、かつ赤外線遮蔽効果を有することを特徴とする赤外線遮蔽フィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、赤外線遮蔽フィルム、及びその製造方法に関する。
微粒子薄膜や微粒子薄膜を含んだ積層体を形成する技術は、電子的、磁気的、光学的、生物学的特性を発現する機能性被膜の開発において必要不可欠な技術である。
従来、微粒子薄膜や、赤外線遮蔽層は、ゾル−ゲル法などにより、無機化合物に水や有機溶媒のような分散媒を添加した分散液に基材をディップする方法や、あるいは各層毎に分散液を調製し、基材にコーティングする方法によって形成されている。しかしながら、このようにして形成した微粒子薄膜は必ずしも意図した機能が発現するための構造を有していないことが多く、塗液中の微粒子添加量を増やしたり、多層構成にすることで機能の発現をさせおり、材料費や加工工程の面で不利になるという問題があった。
このような問題を解決する方法として、無機薄膜として、無機コロイド溶液と、該コロイド溶液と反対の電荷を有する有機高分子イオン溶液とを交互に塗布することにより、膜厚が均一な無機薄膜を得る方法が開示されている。(特許文献1参照)
また無機化合物の積層構造が均一な無機薄膜として、三次元秩序を有するコロイド結晶を有する膜が開示されている。(特許文献2参照)
ところで、熱線を遮蔽する機能が付与されたフィルム、すなわち熱線遮蔽フィルムがある。これは建物の窓、乗り物の窓、あるいは冷蔵、冷凍ショーケースの窓などに貼り付けることで熱線を遮蔽し、内部の温度上昇を抑制、エアコン効率を向上させ省エネルギー化を図ろうというものである。熱線遮断機能については、反射または吸収することで性能を付与する方法が様々提案されている。例えば、透明フィルム状基体の表面に、アルミニウム、銀、金等の金属薄膜をスパッタリングや蒸着により形成してなる熱線反射フィルムを窓に貼付する方法などが開示されている。(特許文献3、4参照)
また、近年、基材フィルム上に、赤外線遮蔽剤を含有する赤外線遮蔽層を設けてなる様々な赤外線遮蔽フィルムが提案されている。(特許文献5、6、7、8参照)
さらに、赤外線者遮蔽層を形成する塗液中に反応型シリコーン樹脂などを含有する手法が提案されている。(特許文献9参照)
特開平10−167707号公報 特開2001−162157号公報 特開昭57−59748号公報 特開昭57−59749号公報 特開平7−100996号公報 特開平8−281860号公報 特開平9−108621号公報 特開平9−156025号公報 特開平11−134586号公報
特許文献1に記載の無機薄膜はコロイド粒子が有する電荷およびその濃度に応じて変化する静電的相互作用を利用したものであり、膜厚は均一であるものの、無機コロイド粒子が有する特性を発現させる上で障害となる有機高分子層を、無機コロイド溶液由来の層と交互に積層せざるを得ないという問題があった。
特許文献2に記載のコロイド結晶を有する膜におけるコロイド結晶は、三次元周期性に優れるものの、ナノメータースケールで制御されたコロイド・テンプレート上にコロイド粒子を沈殿させるという方法で製造するため、無機薄膜が形成できる固体の材質や形
態およびその大きさなどに制約があることが多かった。
特許文献3、4に記載の金属のスパッタリング薄膜や蒸着膜は、熱線遮蔽性能については優れているものの、透明性が悪く、したがって、窓ガラスに貼付して用いる場合、窓の可視光線透過率が損なわれる上、金属による光沢反射もあるので、外観上好ましくなく、さらに製造コストが高くつくのを免れないなどの欠点があった。
文献5、6、7、8に記載の赤外線遮蔽フィルムに用いられる赤外線遮蔽剤は、無機系赤外線遮蔽剤と有機系赤外線遮蔽剤とに大別することができる。前者の無機系赤外線遮蔽剤としては、例えば酸化錫、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、ITO(錫ドープ酸化インジウム)などの金属酸化物がよく知られている。しかしながら、これらの金属酸化物を使用し、フィルム上に赤外線遮蔽層を形成して赤外線遮蔽フィルムを作製する場合、バインダー樹脂100重量部に対し、これら金属酸化物を一般に50〜100重量部と多量に配合することが必要であり、その結果、赤外線遮蔽層を形成する際の加工適性が低下したり、製造コストが高くつくなどの問題が生じる。一方、有機系赤外線遮蔽剤としては、例えばシアニン系、フタロシアニン系、ナフトキノン系、アントラキノン系化合物などが知られている。しかしながら、これらの有機系赤外線遮蔽剤は、無機系のものに比べて少量で赤外線遮蔽機能を発揮するが、一般に耐光性及び耐久性に劣る上、着色しやすいなどの欠点を有している。
文献9に記載のようなフィルムにおいては、使用する赤外線遮蔽剤の大きさによっては、赤外線遮蔽層の厚さは500nm以上の厚さになり、可視光領域での透過率が低くなる問題がある。また、可視光領域での透過率を上げるために薄膜の塗工をする場合には塗膜の膜厚均一性を大面積で保つのが難しく、ムラが発生しやすくなるという問題点がある。
本発明の課題は、1回の塗工で、可視光領域での透過率を高く保ちながらも、近赤外領域の波長の光を効果的に遮蔽する機能を有した層を薄膜で形成した赤外線遮蔽フィルムを提供することである。
上記課題を解決するための手段として、本発明は、基材の少なくとも片面に、微粒子を含まない樹脂層と微粒子層とが順に積層されている赤外線遮蔽フィルムであって、前記微粒子層の膜厚が0.25μmから2.1μmであり、かつ赤外線遮蔽効果を有することを特徴とする赤外線遮蔽フィルムである。
また、本発明は、微粒子層を形成する微粒子の平均粒径が1〜100nmであることを特徴とする赤外線遮蔽フィルムである。
また、本発明は、基材の少なくとも片面に、微粒子を含まない樹脂層と微粒子層とが順に積層される赤外線遮蔽フィルムの製造方法であって、前記微粒子を含まない樹脂層と微粒子層を形成する微粒子含有塗液を基材に塗布する工程からなり、前記微粒子含有塗液は、基材を溶解・膨潤させる成分が占める割合が5wt%以上90wt%以下の範囲内にあることを特徴とする赤外線遮蔽フィルムの製造方法である。
また、本発明は、上記の方法により製造された赤外線遮蔽フィルムである。
また、本発明は、前記基材がトリアセチルセルロースフィルムまたは、ポリカーボネートフィルムからなることを特徴とする赤外線遮蔽フィルムである。
本発明の赤外線遮蔽フィルムは、微粒子含有塗液中の微粒子添加量を増やしたり、多層構成にしなくても、微粒子層の赤外線遮蔽機能を発現するのに十分な構造をもち、可視光領域での透過率を高く保ちながらも、近赤外領域の波長の光を効果的に遮蔽する機能を有した、赤外線遮蔽フィルムとなる。
本発明の赤外線遮蔽フィルムの一例を示す断面図。 実施例1において得られた、図1符合1に示した微粒子層の断面STEM写真。 (倍率45000倍) 比較例1において得られた図1符合1に示した微粒子層の断面STEM写真。 (倍率45000倍)
本発明者らは、薄膜樹脂層と微粒子層を積層する場合に、樹脂塗液に特定のモノマー、溶剤を含むことにより、樹脂層と微粒子層の界面を制御し、膜厚が均一に制御された微粒子層を形成することを見出し、その微粒子層が、可視光領域での透過率を保ったまま、近赤外領域の波長の光を効果的に遮蔽する機能を有し、赤外線遮蔽フィルムを効率よく形成することができることを見出した。
塗液に含む微粒子としては、目的とする特性が得られれば特に限定されるものではないが、金属酸化物、金属ホウ化物、金属窒化物などが挙げられる。
金属酸化物としては、例えば、酸化タングステン系化合物、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化ルテニウム、酸化インジウム、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、酸化セシウムなどが挙げられる。
金属ホウ(硼)化物としては、多ホウ化金属化合物が好ましく、具体的には、ホウ化ランタン(LaB)、ホウ化プラセオジウム(PrB)、ホウ化ネオジウム(NdB)、ホウ化セリウム(CeB)、ホウ化イットリウム(YB)、ホウ化チタン(TiB)、ホウ化ジルコニウム(ZrB)、ホウ化ハフニウム(HfB)、ホウ化バナジウム(VB)、ホウ化タンタル(TaB)、ホウ化クロム(CrB、CrB)、ホウ化モリブデン(MoB、Mo、MoB)、ホウ化タングステン(W)などが挙げられる。
また金属窒化物としては、窒化チタン、窒化ニオブ、窒化タンタル、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウム、窒化バナジウムなどが挙げられる。好ましくは、アンチモン含有酸化錫(ATO)粒子であり、これらの金属酸化物粒子を本発明の塗液中に含有し塗工すると微粒子層を含まない樹脂層の上層に均一な微粒子層が形成され、可視光領域での透過率を保ちながら、赤外領域の透過率が低下させるなどの機能性向上が可能となる。これら金属酸化物粒子は、一種単独又は二種以上の組み合わせで使用することができる。また屈折率を低下させるためにシリカ微粒子等を配合することもできる。
本発明の微粒子の大きさについては、超微粒子や微粒子と称されるものまですべて含むこととし、限定はされないが、通常、1次粒子の平均粒子径が1〜100nmであることが好ましく、より好ましくは2〜60nmである。1次粒子の平均粒子径が100nmを超えると、透明性が低下するおそれがある。また、粒子の平均粒径は、光散乱式粒径分布測定装置(SALD−7000 島津製作所製)を用いて測定した。平均粒径は、この装置を用いて測定した「粒度分布」から一義的に決定される。
本発明の微粒子の含有量は、用途に応じて適宜決定すればよいが、例えば、微粒子含有塗液の全量に対して0.5体積%以上が好ましく、より好ましくは1体積%以上であり、50体積%以下が好ましく、より好ましくは20体積%以下である。微粒子の含有量が少なすぎると、充分な機能発揮され難い場合があり、一方、微粒子の含有量が多すぎると、透明性が低下する場合がある。
本発明の赤外線遮蔽フィルムは、基材の少なくとも片面に微粒子を含まない樹脂層が積層され、樹脂層上に該微粒子からなる層が積層されて赤外線遮蔽効果を有する。「基材を溶解・膨潤させる成分を含む塗液」を基材上に塗布するにあたり、基材側から塗布した塗液側へ基材の成分が移動する。このため、塗布された塗液内では基材側から表面側の方向へ物質移動による流れが発生する。このとき、塗液内に含まれる微粒子は、物質移動による流れに沿って拡散移動する。よって、微粒子を含まない樹脂層の上層に微粒子が偏在した微粒子層が形成され、赤外線遮蔽効果を示す。
上述したように、本発明の赤外線遮蔽フィルムの有する、樹脂層の製造方法では、基材成分と塗液の樹脂成分が混合した層を形成することにより、微粒子を含まない樹脂層の上層に微粒子が偏在した微粒子層とを好適に層分離出来る。よって、1回の塗工で効率よく多層の積層体を形成することが出来る。また、混合層は、基材の成分と塗液の樹脂成分が勾配をもって混ざり合うことから、基材の屈折率から粒子層の屈折率まで漸次変化する。微粒子を含まない樹脂層と基材界面との屈折率の差により発生する干渉縞の発生を防ぐことができる。また、基材と混合層の界面が不明瞭であることから、層界面での剥離を抑制することが出来る。また、混合層を有することにより、基材と微粒子層の密着性を保つことができる。
本発明の赤外線遮蔽フィルムに用いる基材の材質や形状は特に限定されるものではないが、種々の有機高分子からなるフィルムまたはシートを用いることができる。例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等のアセチルセルロース系、6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド系、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、エチレンビニルアルコール等の有機高分子からなるものが用いられる。特に、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートが好ましい。
さらに、これらの有機高分子に公知の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等を添加することにより機能を付加させたものも使用できる。また、基材は上記の有機高分子から選ばれる1種または2種以上の混合物、または重合体からなるものでもよく、複数の層を積層させたものであってもよい。
以下、本発明の赤外線遮蔽フィルムの製造方法について説明を行う。
<塗液調製工程>
まず、微粒子と、電離放射線硬化型材料とを溶媒に分散させ、基材を溶解・膨潤させる成分を含む塗液を調製する。
微粒子を含まない樹脂層の形成材料として、電離放射線硬化型材料を含む。基材に選択した材料に応じて、基材を溶解・膨潤させる成分として電離放射線硬化型材料のうち、単官能のアクリレート化合物や2官能のアクリレート化合物などの硬化性アクリル系材料を好ましく用いることができる。また、電離放射線硬化型材料は、複数の材料が混合されたものあってもよい。混合した電離放射線硬化型材料を用いることにより、「基材を溶解・膨潤させるモノマー」と「基材を溶解・膨潤させないモノマー」との比率を調整することで塗液内の「基材を溶解・膨潤させる成分」の量の多寡を調整することが出来、混合層を好適に形成可能な塗液を調製することが出来る。
基材を溶解・膨潤させない成分としても、多価アルコールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルのような多官能または多官能の(メタ)アクリレート化合物、ジイソシアネートと多価アルコール及びアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシエステル等から合成されるような多官能のウレタン(メタ)アクリレート化合物を使用することができる。またこれらの他にも、電離放射線硬化型材料として、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等を使用することができる。
なお、本発明において「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」と「メタクリレート」の両方を示している。たとえば、「ウレタン(メタ)アクリレート」は「ウレタンアクリレート」と「ウレタンメタアクリレート」の両方を示している。
単官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニルフェノールアクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−アダマンタンおよびアダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチルアクリレートなどのアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記2官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタアクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、1.54 エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、9,9−ビス(4−(2−アクリロイルオキシエトキシフェニル)フルオレン等が挙げられる。
前記3官能以上の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート化合物や、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物や、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε−カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
アクリル系材料として多官能ウレタンアクリレートを用いることもできる。ウレタンアクリレートは、多価アルコール、多価イソシアネート及び水酸基含有アクリレートを反応させることによって得られる。具体的には、共栄社化学社製、UA−306H、UA−306T、UA−306I等、日本合成化学社製、UV−1700B、UV−6300B、UV−7600B、UV−7605B、UV−7640B、UV−7650B等、新中村化学社製、U−4HA、U−6HA、UA−100H、U−6LPA、U−15HA、UA−32P、U−324A等、ダイセルユーシービー社製、Ebecryl−1290、Ebecryl−1290K、Ebecryl−5129等、根上工業社製、UN−320HA、UN−3220HB、UN−3220HC、UN−3220HS等を挙げることができるがこの限りではない。
またこれらの他にも、電離放射線硬化型材料として、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等を使用することができる。
また、微粒子を含まない層の形成材料は熱可塑性樹脂を含むこともできる。熱可塑性樹脂を含むことにより、反りの発生を抑制できる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、酢酸ビニル及びその共重合体、塩化ビニル及びその共重合体、塩化ビニリデン及びその共重合体等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、アクリル樹脂及びその共重合体、メタクリル樹脂及びその共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、線状ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、などが挙げられる。上記溶媒は1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶媒は、基材に選択した材料に応じて、微粒子を含まない層の成分に用いた材料を分散・溶解可能な適宜公知の材料を用いてよい。また、溶媒は、複数の材料が混合された混合溶媒であってもよい。混合溶媒を用いることにより、「基材を溶解・膨潤させる溶媒」と「基材を溶解・膨潤させない溶媒」との比率を調整することで塗液内の「基材を溶解・膨潤させる成分」の量の多寡を調整することが出来、混合層を好適に形成可能な塗液を調製することが出来る。
また、塗液に含まれる溶媒は、沸点の高い揮発性溶媒が好ましい。具体的には、沸点が100℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。沸点が高いほうが、混合層及び低屈折率層の形成に重要な要素となる乾燥工程の時間を調整しやすいためである。
また、前記塗液における、「基材を溶解・膨潤させる成分」の占める比率は、5wt%以上90wt%以下程度の範囲内にあることが好ましく、20wt%以上70wt%以下程度の範囲内、がより好ましい。5wt%以上90wt%以下程度の範囲内にあることにより、好適に混合層を形成し、微粒子層を微粒子を含まない混合層の上層に均一な膜厚で形成することが出来る。5wt%より少ない場合、充分に基材を溶解・膨潤できず、好適に微粒子を含まない混合層を形成することができず、微粒子層を形成できない。また、90wt%より大きい場合、微粒子を含まない混合層の厚みが増大して微粒子層を均一な膜厚で形成できない。
基材にトリアセチルセルロースフィルムを用いる場合、「基材を溶解・膨潤させる溶媒」としては、例えば、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、ジオキサン、ジオキソラン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトール等のエーテル類、またアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、およびメチルシクロヘキサノン等の一部のケトン類、また蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン醸エチル、酢酸n−ペンチル、およびγ−プチロラクトン等のエステル類、さらには、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ類、その他としてN−メチル−2−ピロリドン(N−メチルピロリドン)、炭酸ジメチル、などが挙げられる。また、上記溶媒は1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、基材にトリアセチルセルロースフィルムを用いる場合、「基材を溶解・膨潤させる樹脂」として、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)3−ヒドロキシブチルアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアセテートなどが挙げられる。また上記樹脂は1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
基材にトリアセチルセルロースフィルムを用いる場合、「基材を溶解・膨潤させない溶媒」としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、シクロヘキシルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、n−ヘキサンなどの炭化水素類、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、ジアセトンアルコールなどの一部のケトン類などが挙げられる。また、上記溶媒は1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、基材にトリアセチルセルロースフィルムを用いる場合、「基材を溶解・膨潤させない樹脂」としては、イソボルニルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPT)などが挙げられる。上記樹脂は1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤は、電離放射線が照射された際にラジカルを発生するものであれば良い。例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、の光重合開始剤を用いることができる。
また、塗液に添加剤を添加しても良い。例えば、添加剤として、表面調整剤、屈折率調整剤、密着性向上剤、硬化剤、などを用いてもよい。
<塗布工程>
次に、前記塗液を基材上に塗布する。
塗布方法は、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーター、などを用いた塗布方法を用いることができる。
<乾燥工程>
次に、前記基材上に塗布された前記塗液を乾燥させ、塗液内の溶媒を除去し、基材上に塗膜を形成する。乾燥は、適宜公知の乾燥手段を用いて行ってよい。例えば、乾燥手段として、加熱、送風、熱風、などを用いることができる。
また、乾燥工程は、複数段階の乾燥を行うことが好ましい。本発明の樹脂層の製造方法では、塗液によって基材を溶解・膨潤することにより微粒子を含まない樹脂層である混合層を形成するため、塗液を塗工後ただちに急激な乾燥を行うと混合層の形成が阻害される。このため、複数段階の乾燥を行い、段階毎に乾燥条件を変更することで、混合層を形成しつつ、好適に乾燥を行うことが出来る。
例えば、一次乾燥した後、二次乾燥を行っても良い。このとき、一次乾燥は、乾燥温度20℃以上30℃以下程度の範囲内で行い、二次乾燥として乾燥温度40℃以上200℃以下程度の範囲内行うことが好ましい。
<電離放射線照射工程>
次に、前記塗膜に電離放射線を照射し、塗膜を硬化することで樹脂層の表面に表面硬度を付与することができ、耐擦傷性に優れた赤外線遮蔽効果を示すことができる。
電離放射線としては、紫外線、電子線、などを用いてよい。紫外線硬化の場合、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク、などの光源が利用できる。また、電子線硬化の場合、コックロフトワルト型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型、などの各種電子線加速器から放出される電子線が利用できる。用いる電子線は、50KeV以上1000KeV以下程度のエネルギーを有するのが好ましく、100KeV以上300KeV以下程度のエネルギーを有する電子線がより好ましい。
また、本発明の赤外線遮蔽フィルムの有する樹脂層の製造方法は、(1)枚葉状の基材に塗布する枚葉方式、(2)ロール状の基材に塗布し、製造された反射防止フィルムを巻き取る、ロール・ツー・ロール方式、のいずれの方式で実施しても良い。特に、ロール・ツー・ロール方式は赤外線遮蔽フィルムを連続的に形成でき、本発明の赤外線遮蔽フィルム製造方法の実施方式として好ましい。例えば、ロール・ツー・ロール方式を用いて本発明の赤外線遮蔽フィルム製造方法の実施する場合、基材を、巻き出し部/塗布ユニット/乾燥ユニット/電離放射線照射ユニット/巻き取り部、この順で通過させ、連続走行することにより連続的に樹脂層を製造してもよい。
以上より、微粒子を含まない樹脂層の上層に微粒子層が積層した、樹脂層を有する赤外線遮蔽フィルムを製造することができる。
本発明の赤外線遮蔽フィルムにおいては、所望によりこのようにして基材フィルム上に樹脂層が設けられた側の反対面に、粘着剤層を介して剥離シートを設けることができる。上記粘着剤層を構成する粘着剤としては特に制限はなく、従来公知の様々な粘着剤の中から、状況に応じて適宜選択して用いることができるが、耐候性などの点から、特にアクリル系、ウレタン系及びシリコーン系粘着剤が好適である。この粘着剤層の厚さは、通常5〜100μm、好ましくは10〜60μmの範囲である。
また、この粘着剤層の上に設けられる剥離シートとしては、例えばグラシン紙、コート紙、ラミネート紙などの紙及び各種プラスチックフィルムに、シリコーン樹脂などの剥離剤を塗付したものなどが挙げられる。この剥離シートの厚さについては特に制限はないが、通常20〜150μm程度である。なお、上記粘着剤層には、必要に応じ、紫外線吸収剤や光安定剤を含有させることができる。
本発明の赤外線遮蔽フィルムは、特に窓ガラスや窓用プラスチックボードなどの内側表面貼付用として好適に用いられる。使用する場合は、剥離シートを剥がし、粘着剤層面が対象物に接するようにして貼付すればよい。
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお実施例及び比較例中の試験方法は次の通りである。
(塗液:実施例1)
アンチモン含有酸化スズ(ATO)微粒子分散液20%溶液(日本触媒化成製)
12.5重量部。
電離放射線硬化型材料:
メチロールプロパントリアクリレート(TMPT)(新中村化学工業製)13.5重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)(新中村化学工業製)31.6重量部
光重合開始剤:イルガキュア184(BASFジャパン社製)2.4重量部。
溶媒:エタノール 40.0重量部。
固形分:50wt%
次に、上記で得られた塗液を基材上に塗布した。
このとき、基材は、トリアセチルセルロースフィルム(屈折率1.49、厚さ60μm)とした。また、ワイヤーバーコーターを用いて塗布した。
次に、塗布された塗液を乾燥させ、基材上に塗膜を形成した。
このとき、一次乾燥し、二次乾燥し、2段階の乾燥を行った。一次乾燥および二次乾燥の乾燥条件を以下に示す。
(乾燥条件)
一次乾燥:2vol%以上5vol%以下の溶媒雰囲気下の半密閉空間にて8秒25℃
で室温乾燥。
二次乾燥:オーブンで100℃1分乾燥。
次に、塗膜に電離放射線を照射し、塗膜を硬化した。
このとき、電離放射線として紫外線を照射した。また、紫外線の照射は、コンベア式紫
外線硬化装置を用いて露光量400mJ/cm2とした。
以上より、本発明の赤外線遮蔽フィルムを得た。
(塗液:実施例2)
アンチモン含有酸化スズ(ATO)微粒子分散液20%溶液(日本触媒化成製)
12.5重量部。
電離放射線硬化型材料:
メチロールプロパントリアクリレート(TMPT )(新中村化学工業製)27.1重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)(新中村化学工業製)18.1重量部
光重合開始剤:イルガキュア184(BASFジャパン社製)2.4重量部。
溶媒:エタノール 40.0重量部。
固形分:50wt%
上記塗液を、実施例1と同様の方法で、塗工、乾燥、硬化させ、本発明の赤外線遮蔽フィルムを得た。
(塗液:実施例3)
アンチモン含有酸化スズ(ATO)微粒子分散液20%溶液(日本触媒化成製)
25.0重量部。
電離放射線硬化型材料:
メチロールプロパントリアクリレート(TMPT )(新中村化学工業製)42.8重量部、
光重合開始剤:イルガキュア184(BASFジャパン社製)2.3重量部。
溶媒:MEK 30.0重量部。
固形分:50wt%
次に、上記で得られた塗液を基材上に塗布した。
このとき、基材は、ポリカーボネートフィルム(厚さ100μm)とした。また、ワイヤーバーコーターを用いて塗布した。
次に、塗布された塗液を乾燥させ、基材上に塗膜を形成した。
このとき、一次乾燥し、二次乾燥し、2段階の乾燥を行った。一次乾燥および二次乾燥の乾燥条件を以下に示す。
(乾燥条件)
一次乾燥:2vol%以上5vol%以下の溶媒雰囲気下の半密閉空間にて8秒25℃
で室温乾燥。
二次乾燥:オーブンで100℃1分乾燥。
次に、塗膜に電離放射線を照射し、塗膜を硬化した。
このとき、電離放射線として紫外線を照射した。また、紫外線の照射は、コンベア式紫
外線硬化装置を用いて露光量400mJ/cm2とした。
以上より、本発明の赤外線遮蔽フィルムを得た。
(塗液:実施例4)
アンチモン含有酸化スズ(ATO)微粒子分散液20%溶液(日本触媒化成製)
25.0重量部。
電離放射線硬化型材料:
メチロールプロパントリアクリレート(TMPT )(新中村化学工業製)42.8重量部、
光重合開始剤:イルガキュア184(BASFジャパン社製)2.3重量部。
溶媒:MEK 30.0重量部。
固形分:50wt%
次に、上記で得られた塗液を基材上に塗布した。
このとき、基材は、ポリカーボネートフィルム(厚さ100μm)とした。また、ワイヤーバーコーターを用いて塗布した。
次に、塗布された塗液を乾燥させ、基材上に塗膜を形成した。
このとき、一次乾燥し、二次乾燥し、2段階の乾燥を行った。一次乾燥および二次乾燥の乾燥条件を以下に示す。
(乾燥条件)
一次乾燥:2vol%以上5vol%以下の溶媒雰囲気下の半密閉空間にて8秒25℃
で室温乾燥。
二次乾燥:オーブンで140℃1分乾燥。
次に、塗膜に電離放射線を照射し、塗膜を硬化した。
このとき、電離放射線として紫外線を照射した。また、紫外線の照射は、コンベア式紫
外線硬化装置を用いて露光量400mJ/cm2とした。
以上より、本発明の赤外線遮蔽フィルムを得た。
(塗液:実施例5)
アンチモン含有酸化スズ(ATO)微粒子分散液20%溶液(日本触媒化成製)
25.0重量部。
電離放射線硬化型材料:
1,4−ブタンジオールジアクリレート (巴工業製 製品名SR213)15.2重量部
光重合開始剤:イルガキュア184(BASFジャパン社製)2.3重量部。
溶媒:エタノール 30.0重量部。
固形分:50wt%
上記塗液を、実施例4と同様の方法で、塗工、乾燥、硬化させ、本発明の赤外線遮蔽フィルムを得た。
<比較例1>
(塗液:比較例1)
アンチモン含有酸化スズ(ATO)微粒子分散液20%溶液(日本触媒化成製)
12.5重量部。
電離放射線硬化型材料:
メチロールプロパントリアクリレート(TMPT )(新中村化学工業製)45.1重量部、
光重合開始剤:イルガキュア184(BASFジャパン社製)2.4重量部。
溶媒:エタノール 40.0重量部。
固形分:50wt%
上記塗液を、実施例1と同様の方法で、塗工、乾燥、硬化させ、本発明の赤外線遮蔽フィルムを得た。
<比較例2>
(塗液:比較例2)
アンチモン含有酸化スズ(ATO)微粒子分散液20%溶液(日本触媒化成製)
25.0重量部。
電離放射線硬化型材料:
メチロールプロパントリアクリレート(TMPT )(新中村化学工業製)42.8重量部、
光重合開始剤:イルガキュア184(BASFジャパン社製)2.3重量部。
溶媒:エタノール 30.0重量部。
固形分:50wt%
上記塗液を、実施例1と同様の方法で、塗工、乾燥、硬化させ、本発明の赤外線遮蔽フィルムを得た。
<比較例3>
赤外線遮断層を形成する前の基材のみ
<測定・評価>
得られた実施例1〜5、比較例1、2の赤外線遮蔽フィルムについて、(1)微粒子層の膜厚測定、樹脂層の有無の確認(2)分光透過率の測定をそれぞれ行い結果について表1、表2に示す。また、比較例3については、(2)分光透過率の測定を行い、表2に示す。
(1)微粒子層の膜厚測定、樹脂層の有無の確認
塗膜をミクロトームにより切削、断面について走査型透過電子顕微鏡を用いて観察した。(2)分光透過率の測定
自動分光光度計(日立製作所製、U−4000)を用いて分光透過率を測定した。このとき、測定条件は、C光源、2度視野、入射角5°とした。
実施例1〜2の結果を[表1]に示す。基材としてトリアセチルセルロースを用い、微
粒子平均粒径15nmのATO粒子を使用し、塗液に基材膨潤、溶解成分を5wt%以上含む実施例1〜2は、樹脂層の上層に赤外線遮蔽効果を示す微粒子層が形成され、基材膨潤・溶解成分の量を調整することで、樹脂層上層に形成される赤外線遮蔽効果を示す微粒子層の膜厚を調整できることを確認した。また、実施例1と実施例2の可視光領域での透過率は、比較例1に示した微粒子層(赤外線遮蔽層)が樹脂層上層に形成されない、膜厚が厚い場合と同等であるが、赤外領域での透過率は下がることが分かった。
また実施例3〜5の結果を[表2]に示す。基材としてポリカーボネートを用い、微粒
子平均粒径15nmのATO粒子を使用し、塗液に基材膨潤、溶解成分を5wt%以上含む実施例3〜5では、樹脂層の上層に微粒子層が形成され、乾燥温度を変えたり、基材膨潤・溶解成分の種類を変えることで、樹脂層上層に形成される赤外線遮蔽効果を示す微粒子層の膜厚を調整できることを確認した。また、実施例3〜5の赤外領域の透過率は、比較例2に示した、微粒子層(赤外線遮蔽層)が樹脂層上層に形成されずに膜厚が厚い場合よりも下がることが確認された。
比較例1では、基材としてトリアセチルセルロースを用い、微粒子平均粒径15nmのATO粒子を使用したが、塗液に含まれる基材膨潤、溶解成分が5wt%未満であるため、樹脂層の上層に微粒子層は形成されず、樹脂層全体に微粒子が分散し、赤外線遮蔽層の膜厚が厚い状態であることを確認した。また、赤外領域での透過率は、微粒子層が樹脂層上層に形成される実施例1〜2と比較して高いが、可視光領域の透過率は同等であることを確認した。このことから、樹脂層上層に微粒子層が形成されることで、樹脂層全体に微粒子が分散した比較例1よりも、赤外領域での吸収を大きくし、可視光領域の透過率を保つことができることを確認した。
また、比較例2では、基材としてポリカーボネートを用い、微粒子平均粒径15nmのATO粒子を使用し、塗液に含まれる基材膨潤、溶解成分を含まない塗液で塗膜を形成した。その結果、樹脂層の上層に微粒子層は形成されず、樹脂層全体に微粒子が分散し、赤外線遮蔽層の膜厚が厚い状態であることを確認した。また、赤外領域での透過率は、微粒子層が樹脂層上層に形成される実施例3〜5と比較して高いことを確認した。このことから、基材がポリカーボネートの場合でも、樹脂層上層に微粒子層が形成されることで、樹脂層全体に微粒子が分散した比較例2よりも、赤外領域での吸収を大きくすることができることを確認した。また、基材にトリアセチルセルロースを用いた実施例1〜2、比較例1と基材にポリカーボネートを用いた、実施例3〜5、比較例2とを比較すると、基材にポリカーボネートを用いた方が、樹脂層全体に微粒子が分散し、赤外線遮蔽効果を示す微粒子層の膜厚が厚い場合と比較して(比較例2)塗液に基材膨潤、溶解成分を5wt%以上含み、樹脂層の上層に微粒子層が形成される場合(実施例3〜5)の赤外領域での透過率の下がり幅が大きく、微粒子を偏在させる効果が、より大きく発現することが分かった。
Figure 2015055818
Figure 2015055818
本発明の赤外線遮蔽フィルムは、建築向けや自動車の窓ガラスに適用されるウィンドフィルムとして利用され、室内に入り込む太陽光に含まれる可視光線以外の紫外線が人体に対する悪影響を及ぼしたり、包装材の劣化が原因で内容物の変質が生じることもよく知られていることである。一方、太陽に含まれる赤外線についても、直射日光による室内の温度上昇を引き起こし、夏場の冷房効果を低下させるなどの問題がある。本発明の赤外線遮蔽フィルムは、建築向けや自動車の窓ガラスに適用されるウィンドフィルムとして利用されると共に、ガラスの飛散防止、防犯、セキュリティー、意匠性付与等に応用されることが期待される。
1……微粒子層
2……樹脂層
3……基材
4……赤外線遮蔽フィルム

Claims (5)

  1. 基材の少なくとも片面に、微粒子を含まない樹脂層と微粒子層とが順に積層されている赤外線遮蔽フィルムであって、前記微粒子層の膜厚が0.25μmから2.1μmであり、かつ赤外線遮蔽効果を有することを特徴とする赤外線遮蔽フィルム。
  2. 微粒子層を形成する微粒子の平均粒径が1〜100nmであることを特徴とする請求項1に記載の赤外線遮蔽フィルム。
  3. 基材の少なくとも片面に、微粒子を含まない樹脂層と微粒子層とが順に積層される赤外線遮蔽フィルムの製造方法であって、
    前記微粒子を含まない樹脂層と微粒子層を形成する微粒子含有塗液を基材に塗布する工程からなり、
    前記微粒子含有塗液は、基材を溶解・膨潤させる成分が占める割合が5wt%以上90wt%以下の範囲内にあることを特徴とする赤外線遮蔽フィルムの製造方法。
  4. 請求項3に記載の製造方法により製造された赤外線遮蔽フィルム。
  5. 前記基材がトリアセチルセルロースフィルムまたは、ポリカーボネートフィルムからなることを特徴とする請求項1、2、4に記載の赤外線遮蔽フィルム。
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