JP2015054661A - 振動低減装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】振動低減装置のコストを低減させる。
【解決手段】振動低減装置は、エンジンから車体へと伝達される振動を能動的に低減するために、演算部160から出力されるエンジン振動と逆位相の振動を表すPWM信号に応じて、エンジンマウントに備えられた電磁アクチュエータ120を駆動する駆動部170を有する。駆動部170は、電磁アクチュエータ120を駆動する駆動素子1及び2、電磁アクチュエータ120で発生した逆起電流から駆動素子1及び2を保護する還流素子1及び2が直列に接続されたHブリッジ回路を含む駆動回路174と、PWM信号の電圧レベルを調整して駆動回路174に出力するレベル調整回路176と、を有する。
【選択図】図4
【解決手段】振動低減装置は、エンジンから車体へと伝達される振動を能動的に低減するために、演算部160から出力されるエンジン振動と逆位相の振動を表すPWM信号に応じて、エンジンマウントに備えられた電磁アクチュエータ120を駆動する駆動部170を有する。駆動部170は、電磁アクチュエータ120を駆動する駆動素子1及び2、電磁アクチュエータ120で発生した逆起電流から駆動素子1及び2を保護する還流素子1及び2が直列に接続されたHブリッジ回路を含む駆動回路174と、PWM信号の電圧レベルを調整して駆動回路174に出力するレベル調整回路176と、を有する。
【選択図】図4
Description
本発明は、車両に搭載されたエンジンから車体に伝達される振動を能動的に低減する、振動低減装置に関する。
エンジンから車体に伝達される振動を能動的に低減する振動低減装置として、特開2009−185856号公報(特許文献1)に記載されるように、エンジンの爆発パルス信号に応じて、エンジンマウントに取り付けられた電磁アクチュエータを駆動する技術が提案されている。
この振動低減装置においては、電磁アクチュエータを駆動する駆動回路は、エンジンコントロールユニットから爆発パルス信号を入力し、電磁アクチュエータを駆動するための周期性を持った波形状の制御信号を生成していた。このため、駆動回路は、制御信号を生成するためのマイクロコンピュータを搭載しており、振動低減装置のコストを削減し難いという問題があった。
そこで、本発明は、コストを低減可能な、振動低減装置を提供することを目的とする。
振動低減装置は、エンジンマウントに備えられた電磁アクチュエータを駆動する駆動素子と、電磁アクチュエータにおいて発生した逆起電流から駆動素子を保護する還流素子と、が直列に接続されたHブリッジ回路を含む駆動回路と、エンジンの振動と逆位相の振動を表すパルス信号を入力し、パルス信号の電圧レベルを調整して駆動回路に出力するレベル調整回路と、を有する。
本発明によれば、振動低減装置のコストを低減することができる。
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。
図1は、車両としての自動車に搭載された振動低減装置の一例を示す。
図1は、車両としての自動車に搭載された振動低減装置の一例を示す。
自動車100の車体110には、電磁アクチュエータ120を備えた複数のエンジンマウント130を介して、エンジン140が横置きで搭載されている。エンジンマウント130は、例えば、エンジン140の前部を2点で支持すると共に、エンジン140の後部を1点で支持する、いわゆる3点支持式のエンジンマウンティングを構成している。エンジン140は、例えば、4気筒の直列エンジンであって、ガソリンを燃料とするガソリンエンジン、軽油を燃料とするディーゼルエンジンのいずれであってもよい。また、エンジン140は、縦置きで車体110に搭載されていてもよく、その形式として、任意の気筒数の直列エンジン、水平対向エンジン、V形エンジンなどであってもよい。
エンジン140から車体110に伝達される振動を能動的に低減するために、自動車100の車体110の所定位置には、エンジン140の振動に応じてエンジンマウント130の電磁アクチュエータ120を電子制御する、電子制御ユニット150が取り付けられている。電子制御ユニット150は、図2に示すように、マイクロコンピュータを内蔵した演算部160と、演算部160から所定周期で出力される、エンジン140の振動と逆位相の振動を表すPWM(Pulse Width Modulation)信号(パルス信号)に応じて電磁アクチュエータ120を駆動する駆動部170と、を有している。ここで、演算部160としては、例えば、エンジン140の燃料噴射弁などを電子制御するエンジンコントロールユニットなどを流用することもできる。
エンジン140の所定位置には、カムシャフトの基準位置からの回転角度信号(カム角信号)を出力するカム角センサ180と、クランクシャフトが所定角度(例えば、1°)回転するごとにパルス信号(クランク角パルス信号)を出力するクランク角センサ190と、が夫々取り付けられている。カム角センサ180及びクランク角センサ190の各出力信号は、電子制御ユニット150を構成する演算部160へと入力される。そして、演算部160は、カム角信号及びクランク角パルス信号に基づいて、エンジン140から車体110に伝達される振動を能動的に低減するためのPWM信号を生成し、これを駆動部170へと出力する。ここで、演算部160は、エンジン140の前部を支持するエンジンマウント130の電磁アクチュエータ120に出力するPWM信号と、エンジン140の後部を支持するエンジンマウント130の電磁アクチュエータ120に出力するPWM信号と、を分けて生成し、これらのPWM信号を別系統で駆動部170へと出力する。
エンジン140が4気筒の直列エンジンである場合、図3(A)に示すように、各気筒のピストンが圧縮行程において上死点近傍まで上昇したときに、燃料と空気との混合気が着火・爆発するため、エンジン140の振動は、クランクシャフトが180°回転するたびに発生する。エンジン140の振動の発生頻度f[Hz]は、エンジン回転速度N[rpm]に比例し、「f=(N/60)×2」という式で表すことができる。また、エンジン140の振動の大きさは、エンジン回転速度Nが大きくなると平滑化されるため、図3(B)に示すように、エンジン回転速度Nに反比例する。
従って、このようなエンジン140の振動特性を考慮し、電子制御ユニット150の演算部160は、カム角信号及びクランク角パルス信号に応じた、2系統のPWM信号を生成すればよい。具体的には、演算部160は、例えば、カム角信号及びクランク角パルス信号からエンジン140の作動状態を把握し、混合気が爆発するときの振動を打ち消すPWM信号を生成する。
一方、電子制御ユニット150の駆動部170は、演算部160からのPWM信号に応答して、エンジン140の前部を支持するエンジンマウント130の電磁アクチュエータ120、及び、エンジン140の後部を支持するエンジンマウント130の電磁アクチュエータ120に対して駆動電流を独立して出力する。
図4は、電子制御ユニット150の第1実施形態を示す。なお、電子制御ユニット150の第1実施形態においては、説明の簡略化のため、1つの電磁アクチュエータ120を駆動するための回路構成を示している(以下同様)。従って、電子制御ユニット150は、駆動対象となる電磁アクチュエータ120の駆動系統数に応じた回路を有している。
演算部160は、カム角センサ180及びクランク角センサ190からの信号に応じて、電磁アクチュエータ120の駆動信号を生成するマイクロコンピュータ162と、マイクロコンピュータ162から出力される駆動信号をPWM信号に変換するスイッチング素子164と、を有する。マイクロコンピュータ162は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと、ROM(Read Only Memory)などの不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリと、これらを相互に接続するための内部バスと、を含んでいる。本実施形態では、スイッチング素子164として、ゲートにソースより高い電圧を印加すると、ドレインとソースとの間に電流が流れるNチャンネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を使用する。
なお、スイッチング素子164としては、NチャンネルMOSFETに代えて、ゲートにソースより低い電圧を印加すると、ドレインとソースとの間に電流が流れるPチャンネルMOSFETなどを使用することもできる。また、マイクロコンピュータ162がPWM信号を直接出力できる場合には、スイッチング素子164を設けなくてもよい。
駆動部170は、バッテリなどの電源から供給される電源電圧VBを平滑化する平滑回路172と、電磁アクチュエータ120を駆動する駆動回路174と、演算部160からのPWM信号の電圧レベルを調整して駆動回路174に出力するレベル調整回路176と、を有する。
平滑回路172としては、例えば、コンデンサやコイルなどを利用した、公知の平滑回路を使用することができる。
駆動回路174は、電磁アクチュエータ120に対して駆動電流を出力する駆動素子1及び2と、駆動素子1及び2がオン(作動状態)からオフ(非作動状態)に変化したときに電磁アクチュエータ120で発生する逆起電流からこれらを保護する還流素子1及び2と、を含んでいる。平滑回路172により平滑化された電源電圧VBを供給する電源ライン170AとグランドGNDに接続されたグランドライン170Bとの間に、駆動素子1及び還流素子1がこの順番で配設されると共に、還流素子2及び駆動素子2がこの順番で配設される。そして、電磁アクチュエータ120の一端部が、駆動素子1と還流素子1との間に位置する電路に接続されると共に、電磁アクチュエータ120の他端部が、還流素子2と駆動素子2との間に位置する電路に接続される。従って、駆動回路174は、電磁アクチュエータ120を駆動する回路として、駆動素子及び還流素子が直列に接続されたHブリッジ回路を構成している。
ここで、駆動素子1及び2としては、例えば、PチャンネルMOSFET、NチャンネルMOSFETなど、高速で動作可能なスイッチング素子を使用することができる。また、還流素子1及び2としては、例えば、駆動素子1及び2の方向に電流を流すことができるダイオードを使用することができる。さらに、駆動素子1及び2としては、例えば、Hブリッジ回路に通電異常が発生したときに内部の通電を遮断する、自己診断回路付きのスイッチング素子を使用することができる。
レベル調整回路176は、演算部160からのPWM信号を2系統に分けた第1の電路176A及び第2の電路176Bに、夫々、逆流防止素子1及び電圧調整回路1が直列に配設されると共に、逆流防止素子2及び電圧調整回路2が直列に配設されて構成される。逆流防止素子1及び2は、例えば、ダイオードを含んで構成され、電流が電圧調整回路1及び2の方向に流れないようにする。電圧調整回路1及び2は、電源ライン170Aから供給される電源電圧VBを用いて、演算部160からのPWM信号の電圧レベルを、駆動回路174の駆動素子1及び2を作動させる所定電圧に調整し、この所定電圧を駆動素子1及び2に夫々出力する。従って、駆動素子1及び2の作動電圧が異なる場合には、電圧調整回路1及び2は、夫々、PWM信号の電圧レベルを異なる所定電圧に調整する。
次に、かかる振動低減装置の作用について説明する。
前提条件として、演算部160のマイクロコンピュータ162は、電磁アクチュエータ120を作動させるときに電源電圧VB(Hi電圧)を出力し、電磁アクチュエータ120を停止させるときにグランド電圧VG(Lo電圧)を出力するものとする(以下同様)。
前提条件として、演算部160のマイクロコンピュータ162は、電磁アクチュエータ120を作動させるときに電源電圧VB(Hi電圧)を出力し、電磁アクチュエータ120を停止させるときにグランド電圧VG(Lo電圧)を出力するものとする(以下同様)。
電磁アクチュエータ120を作動させる場合、図5に示すように、演算部160のマイクロコンピュータ162は、スイッチング素子164に対してHi電圧を出力する。スイッチング素子164は、ゲートにHi電圧が印加されることでソースとドレインとの間で電流が流れるようになり、ドレインの電圧がLo電圧となる。このため、演算部160から駆動部170のレベル調整回路176へは、Lo電圧のPWM信号が出力される。
駆動部170においては、演算部160からのPWM信号が2系統に分けられ、Lo電圧のPWM信号が、第1の電路176Aを介して電圧調整回路1に供給されると共に、第2の電路176Bを介して電圧調整回路2に供給される。電圧調整回路1及び2は、夫々、Lo電圧のPWM信号の供給を受けて、駆動回路174の駆動素子1及び2を作動させるための所定電圧に調整し、この所定電圧を駆動素子1及び2に出力する。駆動素子1及び2は、この所定電圧の供給を受けて夫々作動し、図5において太線で示すように、電源ライン170A、駆動素子1、電磁アクチュエータ120、駆動素子2及びグランドライン170Bを通る電路を形成する。そして、電源から電磁アクチュエータ120に駆動電流が供給され、エンジンマウント130がエンジン振動と逆位相の振動で伸縮することで、エンジン140から車体110に伝達される振動が低減される。このとき、還流素子1及び2は、電磁アクチュエータ120を作動させる電流が逆流しないようにする。
一方、電磁アクチュエータ120の作動を停止させる場合、図6に示すように、演算部160のマイクロコンピュータ162は、スイッチング素子164に対してLo電圧を出力する。スイッチング素子164は、ゲートにLo電圧が印加されることでソースとドレインとの間に電流が流れなくなり、ドレインの電圧がHi電圧となる。このため、演算部160から駆動部170のレベル調整回路176へは、Hi電圧のPWM信号が出力される。
駆動部170においては、演算部160からのPWM信号が2系統に分けられ、Hi電圧のPWM信号が、第1の電路176Aを介して電圧調整回路1に供給されると共に、第2の電路176Bを介して電圧調整回路2に供給される。電圧調整回路1及び2は、夫々、Hi電圧のPWM信号を受けて、駆動回路174の駆動素子1及び2の作動を停止させるための所定電圧に調整し、この所定電圧を駆動素子1及び2に出力する。駆動素子1及び2は、この所定電圧の供給を受けて夫々作動を停止し、図6において太線で示すように、グランドライン170B、還流素子1、電磁アクチュエータ120、還流素子2及び電源ライン170Aを通る電路を形成する。そして、電磁アクチュエータ120で発生した逆起電流は、上記電路を介して電源ライン170Aへと還流される。このため、電磁アクチュエータ120をオンからオフへと変化させたときに発生する逆起電流が、駆動素子1及び2へと逆流することが阻止され、駆動素子1及び2を保護することができる。
即ち、電子制御ユニット150が電磁アクチュエータ120を電子制御する場合、演算部160のマイクロコンピュータ162は、図7に示すように、所定周期でエンジン140の振動と逆位相の振動を表すHi電圧又はLo電圧を出力する。マイクロコンピュータ162から出力されたHi電圧又はLo電圧は、スイッチング素子164によって、図7に示すようなPWM信号に変換され、駆動部170へと出力される。このとき、マイクロコンピュータ162は、所定周期内におけるHi電圧の出力期間を変化させることで、駆動部170へと出力されるPWM信号のデューティを変化させる。
駆動部170は、演算部160からのPWM信号を受け、前述したような作用により、電磁アクチュエータ120に対して図7に示すような駆動電流を供給する。そして、電磁アクチュエータ120は、駆動電流によって駆動し、エンジン140の振動を能動的に低減する。
このような作用を奏する過程において、駆動部170は、一般的な電子部品であるダイオード、MOSFETなどで構成される電子回路によって、演算部160からのPWM信号に応じて電磁アクチュエータ120を作動又は停止させることができる。このため、電子制御ユニット150の駆動部170は、マイクロコンピュータを搭載する必要がなく、振動低減装置のコストを削減することができる。
第1実施形態における駆動部170の具体的な一例として、図8に示すような回路を提示することができる。
駆動回路174では、駆動素子1としてPチャンネルMOSFET、駆動素子2としてNチャンネルMOSFET、還流素子1及び2としてダイオードを使用する。また、レベル調整回路176では、逆流防止素子1及び2としてダイオードを使用する。この場合、レベル調整回路176の電圧調整回路1及び2は、電磁アクチュエータ120を作動させるときに、駆動素子1及び2にLo電圧及びHi電圧を夫々出力し、電磁アクチュエータ120の作動を停止させるときに、駆動素子1及び2にHi電圧及びLo電圧を夫々出力する。
駆動回路174では、駆動素子1としてPチャンネルMOSFET、駆動素子2としてNチャンネルMOSFET、還流素子1及び2としてダイオードを使用する。また、レベル調整回路176では、逆流防止素子1及び2としてダイオードを使用する。この場合、レベル調整回路176の電圧調整回路1及び2は、電磁アクチュエータ120を作動させるときに、駆動素子1及び2にLo電圧及びHi電圧を夫々出力し、電磁アクチュエータ120の作動を停止させるときに、駆動素子1及び2にHi電圧及びLo電圧を夫々出力する。
このようにすれば、前述したような作用が奏され、振動低減装置のコストを削減することができる。
ここで、図8に示す回路は、単なる一例であって、その回路でなければならないというものではない。従って、本提案技術の当業者であれば、図示の回路の一部を均等な素子に置き換えたり、動作安定化などを図るべく他の素子を追加することもあり得る(以下同様)。
ここで、図8に示す回路は、単なる一例であって、その回路でなければならないというものではない。従って、本提案技術の当業者であれば、図示の回路の一部を均等な素子に置き換えたり、動作安定化などを図るべく他の素子を追加することもあり得る(以下同様)。
図9は、電子制御ユニット150の第2実施形態を示す。
なお、演算部160並びに駆動部170の平滑回路172及びレベル調整回路176は、先の第1実施形態と同一であるので、その説明は省略することとする。必要があれば、先の第1実施形態の説明を参照されたい。
なお、演算部160並びに駆動部170の平滑回路172及びレベル調整回路176は、先の第1実施形態と同一であるので、その説明は省略することとする。必要があれば、先の第1実施形態の説明を参照されたい。
駆動部170の駆動回路174は、電磁アクチュエータ120に対して駆動電流を出力する駆動素子1及び2と、駆動素子1及び2がオンからオフに変化したときに電磁アクチュエータ120で発生する逆起電流からこれらを保護するフライホイールダイオード(還流ダイオード)FD及び還流素子2と、を含んでいる。平滑回路172により平滑化された電源電圧VBを供給する電源ライン170AとグランドGNDに接続されたグランドライン170Bとの間に、駆動素子1及びフライホイールダイオードFDがこの順番で配設されると共に、還流素子2及び駆動素子2がこの順番で配設される。そして、電磁アクチュエータ120の一端部が、駆動素子1とフライホイールダイオードFDとの間に位置する電路に接続されると共に、電磁アクチュエータ120の他端部が、還流素子2と駆動素子2との間に位置する電路に接続される。従って、駆動回路174は、電磁アクチュエータ120を駆動する回路として、第1の実施形態と同様に、駆動素子及び還流素子若しくはフライホイールダイオードFDが直列に接続されたHブリッジ回路を構成している。
ここで、駆動素子1としては、自己診断回路付きのスイッチング素子を使用することができる。また、フライホイールダイオードFDは、グランドライン170Bから駆動素子1の方向に電流が流れる向きに配置される。さらに、駆動素子2及び還流素子2としては、排他的に作動する2つのスイッチング素子が一体化された、自己診断回路付きのハーフブリッジ素子を使用することができる。自己診断回路は、例えば、Hブリッジ回路に通電異常が発生したときに、内部の通電を遮断する。
このようにすれば、駆動素子2及び還流素子2は、排他的に作動する2つのスイッチング素子が一体化されたハーフブリッジ回路を構成しているので、ダイオードなどの還流素子と比較して、逆起電流の還流による発熱が小さく、駆動回路174の熱劣化などを抑制することができる。また、駆動素子1及びハーフブリッジ素子がオンからオフに変化するときの時間的なずれが抑制され、電磁アクチュエータ120で発生する逆起電流を還流させて処理することができる。このため、駆動回路174を高速で駆動(切り替える)ことが可能となり、エンジン140の振動に対応した電磁アクチュエータ120の駆動を行うことができる。さらに、駆動素子1、駆動素子2及び還流素子2は、自己診断回路を有しているため、例えば、Hブリッジ回路に通電異常が発生したとき、電磁アクチュエータ120への通電が遮断され、マイクロコンピュータを使用しなくても、フェールセイフ機能を発揮することができる。
次に、かかる振動低減装置の作用について説明する。
電磁アクチュエータ120を作動させる場合、図10に示すように、演算部160のマイクロコンピュータ162は、スイッチング素子164に対してHi電圧を出力する。スイッチング素子164は、ゲートにHi電圧が印加されることでソースとドレインとの間で電流が流れるようになり、ドレインの電圧がLo電圧となる。このため、演算部160から駆動部170のレベル調整回路176へは、Lo電圧のPWM信号が出力される。
電磁アクチュエータ120を作動させる場合、図10に示すように、演算部160のマイクロコンピュータ162は、スイッチング素子164に対してHi電圧を出力する。スイッチング素子164は、ゲートにHi電圧が印加されることでソースとドレインとの間で電流が流れるようになり、ドレインの電圧がLo電圧となる。このため、演算部160から駆動部170のレベル調整回路176へは、Lo電圧のPWM信号が出力される。
駆動部170においては、演算部160からのPWM信号が2系統に分けられ、Lo電圧のPWM信号が、第1の電路176Aを介して電圧調整回路1に供給されると共に、第2の電路176Bを介して電圧調整回路2に供給される。電圧調整回路1及び2は、夫々、Lo電圧のPWM信号の供給を受けて、駆動回路174の駆動素子1及び2を作動させるための所定電圧に調整し、この所定電圧を駆動素子1並びに駆動素子2及び還流素子2が一体化されたハーフブリッジ素子に出力する。駆動素子1及び2は、この所定電圧の供給を受けて夫々作動すると共に、還流素子2は、この所定電圧の供給を受けて非作動状態となるので、図10において太線で示すように、電源ライン170A、駆動素子1、電磁アクチュエータ120、駆動素子2及びグランドライン170Bを通る電路を形成する。そして、電源から電磁アクチュエータ120に駆動電流が供給され、エンジンマウント130がエンジン振動に応じて伸縮することで、エンジン140から車体110に伝達される振動が低減される。このとき、フライホイールダイオードFD及び還流素子2は、電磁アクチュエータ120を作動させる電流が逆流しないようにする。
一方、電磁アクチュエータ120の作動を停止させる場合、図11に示すように、演算部160のマイクロコンピュータ162は、スイッチング素子164に対してLo電圧を出力する。スイッチング素子164は、ゲートにLo電圧が印加されることでソースとドレインとの間に電流が流れなくなり、ドレインの電圧がHi電圧となる。このため、演算部160から駆動部170のレベル調整回路176へは、Hi電圧のPWM信号が出力される。
駆動部170においては、演算部160からのPWM信号が2系統に分けられ、Hi電圧のPWM信号が、第1の電路176Aを介して電圧調整回路1に供給されると共に、第2の電路176Bを介して電圧調整回路2に供給される。電圧調整回路1及び2は、夫々、Hi電圧のPWM信号を受けて、駆動回路174の駆動素子1及び2の作動を停止させるための所定電圧に調整し、この所定電圧を駆動素子1及び2に出力する。駆動素子1及び2は、この所定電圧の供給を受けて夫々作動を停止すると共に、駆動素子2と排他的に作動する還流素子2が作動し、図11において太線で示すように、グランドライン170B、フライホイールダイオードFD、電磁アクチュエータ120、還流素子2及び電源ライン170Aを通る電路を形成する。そして、電磁アクチュエータ120で発生した逆起電流は、上記電路を介して電源ライン170Aへと還流される。このため、電磁アクチュエータ120をオンからオフへと変化させたときに発生する逆起電流が、駆動素子1及び2へと逆流することが阻止され、駆動素子1及び2を保護することができる。
なお、第2実施形態に係る振動低減装置の他の作用及び効果は、先の第1実施形態と同様であるので、その説明は省略するものとする。
第2実施形態における駆動部170の具体的な一例として、図12に示すような回路を提示することができる。
第2実施形態における駆動部170の具体的な一例として、図12に示すような回路を提示することができる。
駆動回路174では、駆動素子1としてPチャンネルMOSFET、駆動素子2及び還流素子2としてNチャンネルMOSFET及びPチャンネルMOSFETが一体化された自己診断回路付きのハーフブリッジ素子を使用することができる。ここで、自己診断回路付きのハーフブリッジ素子は、電子回路部品として流通しているものの中から、例えば、電磁アクチュエータ120の駆動に適したものを選定すればよい。
このようにすれば、一般的な電子部品を使用して駆動回路174を構成可能であるため、信頼性を低下させずに原価低減を図ることができる。
なお、振動低減装置として、演算部160及び駆動部170を含んだ電子制御ユニット150、又は、電子制御ユニット150及び電磁アクチュエータ120を備えたエンジンマウント130を含んだシステムとしてもよい。
120 電磁アクチュエータ
130 エンジンマウント
140 エンジン
170 駆動部
174 駆動回路
176 レベル調整回路
130 エンジンマウント
140 エンジン
170 駆動部
174 駆動回路
176 レベル調整回路
Claims (4)
- エンジンマウントに備えられた電磁アクチュエータを駆動する駆動素子と、前記電磁アクチュエータにおいて発生した逆起電流から前記駆動素子を保護する還流素子と、が直列に接続されたHブリッジ回路を含む駆動回路と、
エンジンの振動と逆位相の振動を表すパルス信号を入力し、当該パルス信号の電圧レベルを調整して前記駆動回路に出力するレベル調整回路と、
を有することを特徴とする振動低減装置。 - 前記Hブリッジ回路は、第1の駆動素子と第1の還流素子とが一体化されたハーフブリッジ素子に対して並行に、第2の駆動素子と第2の還流素子としてのダイオードとが直列に接続されて構成され、
前記ハーフブリッジ素子の前記第1の駆動素子及び前記第1の還流素子は、前記レベル調整回路からのパルス信号の電圧レベルと所定電圧とに基づいて排他的に作動する、
ことを特徴とする請求項1に記載の振動低減装置。 - 前記ハーフブリッジ素子は、前記Hブリッジ回路に通電異常が発生したときに、前記電磁アクチュエータへの通電を遮断する自己診断回路を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の振動低減装置。 - 前記Hブリッジ回路の駆動素子は、前記Hブリッジ回路に通電異常が発生したときに、前記電磁アクチュエータへの通電を遮断する自己診断回路を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の振動低減装置。
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2013
- 2013-09-13 JP JP2013190452A patent/JP2015054661A/ja active Pending
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