JP2015052361A - 分子貯蔵方法及び分子貯蔵設備 - Google Patents
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Abstract
【課題】貯蔵対象分子を包接させたクラスレートハイドレートの生成条件を従来よりも緩和させて、貯蔵対象分子をクラスレートハイドレートとして貯蔵するために要するエネルギーを従来よりも低減する。【解決手段】水分子で構成されるケージ内に貯蔵対象分子を包接させてクラスレートハイドレートとして貯蔵する分子貯蔵方法であって、クラスレートハイドレート生成用反応水として、質量数19以上の水分子が天然存在比よりも多く含まれる水を用いるようにした。【選択図】図3
Description
本発明は、分子貯蔵方法及び分子貯蔵設備に関する。さらに詳述すると、本発明は、特に水素(H2)等を貯蔵するのに好適な分子貯蔵方法及び分子貯蔵設備等に関する。
水素は、二次エネルギーとして、様々なエネルギー変換との連携が可能であることが知られている(図6、非特許文献1)。
近年、水素をより利用しやすい形態で貯蔵すべく、水素貯蔵技術に関する様々な研究が進められている。その中でも特に注目すべきものとして、クラスレートハイドレートの形態で水素を貯蔵する技術、より詳細には、水分子で構成されるケージ内に水素を包接させてクラスレートハイドレートとして貯蔵する技術に関する研究が挙げられる。
例えば、Louw等は、クラスレートハイドレートの生成条件を緩和させる補助剤として、テトラヒドロフラン(THF)等が有効であることを報告している(非特許文献2)。この報告によると、テトラヒドロフラン(THF)の使用によって、水素を包接させたクラスレートハイドレートを280K(7℃)の温度条件下において圧力5MPaで生成することが可能である。一方で、テトラヒドロフラン(THF)を使用することなく水素を包接させたクラスレートハイドレートを生成する場合、等温条件(つまり、280K(7℃))において200MPaもの高圧が必要となる。したがって、テトラヒドロフラン(THF)等の補助剤を用いることによって、水素を包接させたクラスレートハイドレートの生成条件を劇的に緩和させることが可能となる。これにより、水素をクラスレートハイドレートの形態で貯蔵するために要するエネルギー(クラスレートハイドレートを生成する際に要するエネルギー、及び生成されたクラスレートハイドレートを分解させることなく保持するために要するエネルギー)を大幅に低減することが可能となる。
佐々木、電気化学および工業物理化学、Vol.75[3](2007)
Louw J, Florusse, et al: Stable low pressure hydrogen clusters stored in a binary clathrate hydrate, Science vol.306, pp469-471, 2004
しかしながら、水素をクラスレートハイドレートの形態で貯蔵する技術を実用化することに鑑みた場合、水素を包接させたクラスレートハイドレートの生成条件をさらに緩和させて(つまり、生成条件をさらに常温・常圧に近づけて)、水素をクラスレートハイドレートの形態で貯蔵するために要するエネルギーをさらに低減することが要求され得るものと考えられる。
ここで、クラスレートハイドレートの形態で貯蔵することが望まれる分子は、水素に限定されるものではない。例えば、メタン(CH4)等の天然ガス成分やトリチウム(T2)等の分子も、クラスレートハイドレートの形態での貯蔵が望まれ得る。そこで、クラスレートハイドレートの形態で貯蔵することが望まれ得るあらゆる貯蔵対象分子について、クラスレートハイドレートの生成条件を緩和させることのできる汎用性のある技術の確立が望まれる。
本発明は、貯蔵対象分子を包接させたクラスレートハイドレートの生成条件を従来よりも緩和させて、貯蔵対象分子をクラスレートハイドレートとして貯蔵するために要するエネルギーを従来よりも低減することのできる分子貯蔵方法及び分子貯蔵設備を提供することを目的とする。
また、本発明は、貯蔵対象分子が包接されたクラスレートハイドレートを、従来よりも緩やかな条件で製造して、貯蔵対象分子が包接されたクラスレートハイドレートを生成する際に要するエネルギーを従来よりも低減することのできるクラスレートハイドレートの製造方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、貯蔵対象分子が包接されたクラスレートハイドレートであって、従来よりも分解し難く(つまり、分解条件が従来よりも常温・常圧に近く)、クラスレートハイドレートの状態を分解させることなく保持するために要するエネルギーを低減することのできるクラスレートハイドレートを提供することを目的とする。
かかる目的を解決するため、本願発明者が鋭意研究を行った結果、貯蔵対象分子を水素(H2)とし、クラスレートハイドレートのホスト分子源となるクラスレートハイドレート生成用反応水として実質的に2H及び16Oからなる水分子(D2O)からなる水(重水)を用い、クラスレートハイドレート生成反応時に補助剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用いることによって、280.2K(7.2℃)の温度条件下において圧力2MPaで水素を包接させたクラスレートハイドレートを生成することが可能であることを知見するに至った。
本願発明者は、この知見から、貯蔵対象分子が包接されたクラスレートハイドレートを生成する際に用いるクラスレートハイドレート生成用反応水を、質量数19以上の水分子が天然存在比よりも多く含まれる水とすることによって、クラスレートハイドレート生成条件を緩和(常温・常圧に近づけ)させ得る(換言すれば、クラスレートハイドレートを分解させ難いものとできる(分解条件を常温・常圧に近づけることができる))ことを知見するに至り、さらに種々検討を重ねて本発明に至った。
即ち、本発明の分子貯蔵方法は、水分子で構成されるケージ内に貯蔵対象分子を包接させてクラスレートハイドレートとして貯蔵する分子貯蔵方法であって、クラスレートハイドレート生成用反応水として、質量数19以上の水分子が天然存在比よりも多く含まれる水を用いるようにしている。
ここで、本発明の分子貯蔵方法においては、クラスレートハイドレート生成時に、前記クラスレートハイドレートの生成条件を緩和させる補助剤を用いることが好ましい。この場合、貯蔵対象分子が水素(H2)であることが好ましく、補助剤がテトラヒドロフラン(THF)であることが好ましい。
次に、本発明の分子貯蔵設備は、水分子で構成されるケージ内に貯蔵対象分子を包接させてクラスレートハイドレートとして貯蔵する分子貯蔵設備であって、クラスレートハイドレートの生成に用いられる圧力容器に供給されるクラスレートハイドレート生成用反応水として、質量数19以上の水分子が天然存在比よりも多く含まれる水が用いられているものとしている。
ここで、本発明の分子貯蔵設備においては、圧力容器に、クラスレートハイドレートの生成条件を緩和させる補助剤を供給する補助剤供給手段が備えられているものとすることが好ましい。この場合、貯蔵対象分子が水素(H2)であることが好ましく、補助剤がテトラヒドロフラン(THF)であることが好ましい。
次に、本発明のクラスレートハイドレート製造方法は、水分子で構成されるケージ内に貯蔵対象分子が包接されたクラスレートハイドレートを製造する方法であって、クラスレートハイドレート生成用反応水として、質量数19以上の水分子が天然存在比よりも多く含まれる水を用いるようにしている。
ここで、本発明のクラスレートハイドレート製造方法において、クラスレートハイドレート生成時に、クラスレートハイドレートの生成条件を緩和させる補助剤を用いることが好ましい。この場合、貯蔵対象分子が水素(H2)であることが好ましく、補助剤がテトラヒドロフラン(THF)であることが好ましい。
次に、本発明のクラスレートハイドレートは、本発明のクラスレートハイドレート製造方法により得られるクラスレートハイドレートである。
本発明の分子貯蔵方法及び分子貯蔵設備によれば、貯蔵対象分子を包接させたクラスレートハイドレートの生成条件を従来よりも緩和させることができる。したがって、貯蔵対象分子をクラスレートハイドレートとして貯蔵するために要するエネルギー(クラスレートハイドレートを生成する際に要するエネルギー、及び生成されたクラスレートハイドレートを分解させることなく保持するために要するエネルギー)を従来よりも低減することが可能となる。
また、本発明のクラスレートハイドレートの製造方法によれば、貯蔵対象分子が包接されたクラスレートハイドレートを、従来よりも緩やかな条件で製造することができる。したがって、貯蔵対象分子が包接されたクラスレートハイドレートを生成する際に要するエネルギーを従来よりも低減することが可能となる。
さらに、本発明のクラスレートハイドレートは、本発明のクラスレートハイドレートの製造方法により得られるものであることから、従来よりも分解し難い(つまり、分解条件が従来よりも常温・常圧に近い)。したがって、クラスレートハイドレートを分解させることなく保持するために要するエネルギーを従来よりも低減することが可能となる。
以下、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の分子貯蔵方法は、水分子で構成されるケージ内に貯蔵対象分子を包接させてクラスレートハイドレート(以下、単に「ハイドレート」と呼ぶこともある)として貯蔵する分子貯蔵方法であって、ハイドレート生成用反応水として、質量数19以上の水分子が天然存在比よりも多く含まれる水を用いるようにしている。
このように、ハイドレート生成用反応水として、質量数19以上の水分子が天然存在比よりも多く含まれる水を用いることで、実質的に質量数18の水分子からなる水(質量数19以上の水分子が天然存在比以下で含まれる水)を用いた場合よりもハイドレート生成条件が緩和される。つまり、ハイドレート生成条件が、常温及び/又は常圧に近づき得る。
質量数19以上の水分子とは、質量数18の水分子(1H2 16O)以外のあらゆる水分子が包含されるという意味である。即ち、2H(重水素:D)、3H(トリチウム:T)、17O及び18Oの少なくともいずれかを含む水分子が包含される。
ここで、質量数19以上の水分子が天然存在比よりも多く含まれる水によってハイドレート生成条件が緩和される効果は、同位体効果のうちの質量効果に起因しているものと考えられる。質量効果とは、原子の質量数が異なることで当該質量数の異なる原子間に物理的・化学的な違いが生じる効果である。その効果は原子番号が小さい程大きくなり、水素同位体間で最大となる。したがって、ハイドレート生成用反応水によるハイドレート生成条件の緩和効果を向上させる上では、質量数19以上の水分子は、2H及び3Hの少なくともいずれかを含む水分子とすることが好ましく、2H及び3Hの少なくともいずれかを含み、且つ17O及び18Oの少なくともいずれかを含む水分子とすることがより好ましいと言える。但し、3Hは放射性同位体であることから、取り扱いの容易性も考慮に入れると、2Hを少なくとも含む水分子とすることが好ましく、2Hを少なくとも含み、且つ17O及び18Oの少なくともいずれかを含む水分子とすることがより好ましいと言える。
質量数19以上の水分子(以下、「重水分子」と呼ぶこともある)が天然存在比よりも多く含まれる水(以下、「重水分子含有水」と呼ぶこともある)は、その重水分子濃度を高濃度にする程、ハイドレート生成条件を緩和する効果が得られ易くなる一方で重水分子含有水を準備するためのコストが増加する。逆に、重水分子濃度を低濃度にする程、ハイドレート生成条件を緩和する効果が得られ難くなる一方で重水分子含有水を準備するためのコストが抑えられる。したがって、重水分子濃度については、ハイドレートの収率、ハイドレートの性状、及びコスト等の要求に応じて適宜決定される。例示すると、重水分子含有水の重水分子濃度は、1〜100重量%、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは20〜100重量%、さらに好ましくは30〜100重量%、なお好ましくは40〜100重量%、最も好ましくは50〜100重量%である。
尚、ハイドレートの性状をスラリー状態とすることが望まれる場合には、重水分子含有水には質量数18の水分子が含まれていることが望ましい。この場合、質量数18の水分子から実質的になる水をハイドレート生成用反応水とした場合にはハイドレートが生成されない条件で、且つ重水分子含有水をハイドレート生成用反応水とした場合にはハイドレートが生成される条件でハイドレートを生成すれば、質量数18の水分子がハイドレート生成に関与し難くなり、ハイドレートの性状をスラリー状態にし易いものとできる。
本発明において貯蔵対象となる分子としては、ハイドレートのゲスト分子となり得る分子であって、且つ貯蔵するニーズが存在するあらゆる分子が包含される。例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン及びイソブタン等の炭化水素、水素、硫化水素、二酸化炭素などが挙げられ、特に水素とすることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
尚、貯蔵対象分子を、高質量数同位体原子を含むものとしてもよい。この場合、同位体効果(質量効果)により、ハイドレート生成条件をさらに緩和させ得る。例えば、DH、D2、TH、TD、T2を貯蔵対象分子とすることで、H2を貯蔵対象分子とするよりもハイドレート生成条件の緩和効果が期待できる。特に、トリチウム(T2)については、核融合燃料として使用され得ることから、貯蔵対象分子として貯蔵するニーズがあり得る。
貯蔵対象分子は、重水分子含有水と接触して反応可能な形態で供される。例えば、当該分子により実質的に構成される流体、又は当該分子を含む流体等の状態で、重水分子含有水との反応の供される。貯蔵対象分子の流体を重水分子含有水と接触させることでハイドレート生成反応が生じ得る。
ここで、貯蔵対象分子の流体が気体の場合には、貯蔵対象分子の流体を微細気泡として重水分子含有水に供給することが好ましく、特にマイクロバブル及び/又はナノバブル(μmオーダーサイズ及び/又はnmオーダーサイズの微細気泡)の状態で供給することが好ましい。この場合、貯蔵対象分子の流体と重水分子含有水の海面の面積を大幅に増加させることで反応性が向上し、ハイドレート生成が促進される。但し、貯蔵対象分子の流体の供給形態は、このような形態に限定されるものではなく、例えば貯蔵対象分子の気体を重水分子含有水に供給して適宜攪拌等するようにしてもよい。
また、貯蔵対象分子の流体が液体の場合には、貯蔵対象分子の流体を微細な液滴として重水分子含有水に供給することが好ましく、特に(μmオーダーサイズ及び/又はnmオーダーサイズの液滴の状態で供給することが好ましい。この場合も上記と同様、貯蔵対象分子の流体と重水分子含有水の海面の面積を大幅に増加させることで反応性が向上し、ハイドレート生成が促進される。但し、貯蔵対象分子の流体の供給形態は、このような形態に限定されるものではなく、例えば貯蔵対象分子の液体を重水分子含有水に供給して適宜攪拌等するようにしてもよい。
ここで、本発明の分子貯蔵方法においては、ハイドレート生成時に、必要に応じて補助剤が用いられる。補助剤としては、貯蔵対象分子とは異なる分子であって、且つ貯蔵対象分子が包接されたハイドレートの生成条件を緩和し得る分子(換言すれば、貯蔵対象分子が包接されたハイドレートの分解条件を常温・常圧に近づけることができる分子)が適宜用いられる。このような分子は、通常、ハイドレートのゲスト分子となり得る分子である。例示すると、テトラヒドロフラン(THF)、臭化テトラブチルアンモニウム、アセトン、プロパン、メタン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)、シクロペンタン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
補助剤は、重水分子含有水及び貯蔵対象分子の流体と接触して反応可能な形態で供される。例えば、補助剤の分子により実質的に構成される流体、又は補助剤の分子を含む流体の状態で、重水分子含有水及び貯蔵対象分子の流体との反応に供される。具体的には、例えば、重水分子含有水に予め補助剤を溶解又は混在させておいた後、貯蔵対象分子の流体を供給する方法等が挙げられるが、必ずしもこのような方法に限定されるものではない。
ここで、ハイドレートに包接されている貯蔵対象分子が、当該ハイドレートの分解時の温度・圧力条件下で気体となる場合には、この温度・圧力条件下で液体となる補助剤を用いることが好ましい。この場合には、当該ハイドレートの分解時に貯蔵対象分子と補助剤を容易に分離することができる。つまり、当該ハイドレートから貯蔵対象分子を取り出すときに、貯蔵対象分子と補助剤を分離する工程を必要としないという利点が生じる。但し、当該温度・圧力条件下で気体となる補助剤を用いた場合であっても、貯蔵対象分子と補助剤の分離は行い得る。例えば、貯蔵対象分子が水素の場合、パラジウム等から構成される水素分離膜を利用し、補助剤の構成分子と水素分子とを分離することが可能である。したがって、補助剤の形態は必ずしも液体に限定されるものではない。
尚、補助剤として機能する分子についても、貯蔵対象分子と同様に、高質量数同位体原子を含むものとしてもよい。この場合、同位体効果(質量効果)により、ハイドレート生成条件をさらに緩和させ得る。
ここで、補助剤を用いた場合のハイドレートの構造について簡単に説明する。水分子により構成されるケージ(ハイドレート格子)の構造としては、5角形12面(512と記述される)、5角形12面+6角形2面(51262)、5角形12面+6角形4面(51264)の3種類が知られている(図7を参照)。この3種類のハイドレート格子の組み合わせによって、結晶構造はI型とII型に分類される。貯蔵対象分子が水素分子であり、補助剤がテトラヒドロフラン(THF)である場合には、水素分子がII型で512と51262の両方のハイドレート格子に第一ゲスト分子としてトラップされる。THFは格子サイズの大きな51262のハイドレート格子に第二ゲスト分子としてトラップされる。THF濃度が低い場合には、THFがトラップされなかった51262のハイドレート格子にも水素分子がトラップされる。このように、ゲスト分子の分子サイズによって、トラップされるハイドレート格子のサイズが制限されることがある。一方で、大きなハイドレート格子は、より小さい分子をトラップし得ると考えられる。また、第二ゲスト分子として機能する補助剤として51264のハイドレート格子にトラップされる分子サイズのものを使用することで、I型の結晶構造をとる可能性もある。貯蔵対象分子と補助剤は、このような理論に基づいてハイドレート格子中にトラップされる。
そして、本発明のようにハイドレート生成用反応水として重水分子含有水を用いることによって、ハイドレート格子を構成する水分子の一部又は全部が、質量数19以上の水分子により構成されることになる。したがって、ハイドレート格子を構成する水分子が実質的に質量数18の水分子からなる場合よりも、ハイドレート格子における水素結合力が向上し、ハイドレートを分解し難く(つまり、分解条件を従来よりも常温・常圧に近く)できる。
本発明の分子貯蔵方法は、水分子で構成されるケージ内に貯蔵対象分子を包接させてハイドレートとして貯蔵する、あらゆる分子貯蔵設備にて容易に適用し得る。即ち、水分子で構成されるケージ内に貯蔵対象分子を包接させてハイドレートとして貯蔵する分子貯蔵設備において、ハイドレートの生成に用いられる反応容器に供給されるハイドレート生成用反応水を、重水分子含有水とするだけで、貯蔵対象分子をハイドレートとして貯蔵するために要するエネルギー(ハイドレートを生成する際に要するエネルギー、及び生成されたハイドレートを分解させることなく保持するために要するエネルギー)を従来よりも低減することが可能となる。
以降の説明では、本発明の分子貯蔵設備の実施形態の一例として、貯蔵対象分子が水素ガスであり、且つ補助剤が併用される水素貯蔵設備について説明する。
水素貯蔵設備の実施形態の一例を図1に示す。水素貯蔵設備1は、水素ガスを、水分子で構成されるケージ内に水素ガスが包接されたハイドレート(以下、「水素ハイドレート」と呼ぶこともある)として貯蔵する水素貯蔵設備であって、水素ハイドレートの生成に用いられる圧力容器20に供給されるハイドレート生成用反応水2として、重水分子含有水が用いられるものとしている。
より詳細には、図1に示す水素貯蔵設備1は、ハイドレート生成用反応水2に水素ガスを供給する第一の圧力容器10と、水素ガスとハイドレート生成用反応水2とを反応させて水素ハイドレートを生成するために用いられる圧力容器20(以下、第二の圧力容器20と呼ぶ)と、密閉構造のセパレータ30とを有しており、ハイドレート生成用反応水2として、重水分子含有水が用いられるものである。ここで、図1に示す水素貯蔵設備1では、ハイドレート生成用反応水2として、補助剤が添加されたものが用いられる。以降の説明では、補助剤が添加されたハイドレート生成用反応水2を、補助剤含有ハイドレート生成用反応水2と呼ぶ。尚、図1に示す水素貯蔵設備1における第二の圧力容器20は、水素ハイドレートの生成だけでなく、水素ハイドレートの貯蔵と分解を行う機能も兼ねている。
水素ガスは、水素タンク80から第一の圧力容器10に供給される。水素タンク80に収容されている水素ガスは、例えば、水力発電、太陽光発電、風力発電及び波力電力並びに夜間電力のいずれかの電力を利用して電気分解により生成された水素ガスであるが、このような水素ガスには限定されず、貯蔵するニーズが存在するあらゆる水素ガスが用いられ得る。水素タンク80に収容されている水素ガスは、水素ガス供給配管19を通って加圧ポンプ13で加圧され、圧力調整バルブ14で調圧された後、多孔質フィルタ11を介して第一の圧力容器10内の補助剤含有ハイドレート生成用反応水2に供給される。本実施形態では、加圧ポンプ13と圧力調整バルブ14と多孔質フィルタ11とにより微細気泡発生装置12が構成されている。尚、加圧ポンプ13や圧力調整バルブ14によって、補助剤含有ハイドレート生成用反応水2と水素ガスの混合比を調整することができる。
多孔質フィルタ11としては、アルミナ等の多孔質セラミックスや多孔質金属等を適宜用いることができるが、特にシラス多孔質ガラスを用いることが好適である。シラス多孔質ガラスは、細孔の大きさが均一であると共に、熱処理条件等を調節することによって、細孔径を所望のサイズに自由にコントロールできる素材であり、水素ガスのナノバブル及び/又はマイクロバブルを効率的に且つ安定して発生させることができる。これにより、補助剤含有ハイドレート生成用反応水2と水素ガスの界面の面積を増加させて反応性を向上させ、水素ハイドレート生成を促進することができる。
多孔質フィルタ11は、例えば図2に示すように、その全体が多孔質基材で構成され且つ一端が閉塞した管状部材としてこれを第一の圧力容器10内に収容し、他端から水素ガスを導入することで、水素ガスが多孔質フィルタ11を通過して補助剤含有ハイドレート生成用反応水2に供給され、ナノバブル及び/又はマイクロバブル(以下、「微細気泡」と呼ぶこともある)となる。但し、多孔質フィルタ11の構成はこれに限定されるものではなく、例えば管状部材の全体ではなく一部のみを多孔質基材により構成するようにしてもよい。また、形状は管状には限定されず、球体や直方体等といった適宜の形状が採用され得る。
補助剤含有ハイドレート生成用反応水2は、セパレータ30から第一の圧力容器10に供給される。第一の圧力容器10とセパレータ30は、ポンプ41を介して第一配管41により接続されている。ポンプ40は、補助剤含有ハイドレート生成用反応水2をセパレータ30内から第一の圧力容器10内に加圧しながら供給するためのものであり、例えば複数(通常3個)の注射器状のピストンで構成され、ピストン運動に位相差を設けて高圧水を連続的に排出するプランジャーポンプ等である。
第一の圧力容器10と第二の圧力容器20は、水素ガスの微細気泡が供給された補助剤含有ハイドレート生成用反応水2を、第一の圧力容器10から第二の圧力容器20内に導入可能に接続されている。本実施形態では、第二の圧力容器20を第一の圧力容器10の上方に設置すると共に、第一の圧力容器10の上部に設けられた排出部15と、第二の圧力容器20の底部に設けられた導入部25とを接続することによって、第一の圧力容器10と第二の圧力容器20を連通させて、水素ガスの微細気泡が供給された補助剤含有ハイドレート生成用反応水2を、第一の圧力容器10から第二の圧力容器20に導入可能としている。より詳細には、ポンプ40による補助剤含有ハイドレート生成用反応水2の第一の圧力容器10への供給によって、水素ガスの微細気泡が供給された補助剤含有ハイドレート生成用反応水2が、第二の圧力容器20に導入される。尚、第一の圧力容器10と第二の圧力容器20の接続形態は、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、第二の圧力容器20の底面ではなく、側面から水素ガスの微細気泡が供給された補助剤含有ハイドレート生成用反応水2を導入するようにしてもよい。
第二の圧力容器20とセパレータ30は、ハイドレート生成用反応水2を、第二の圧力容器20内からセパレータ30に排出可能に圧力調整弁32を介して第二配管31により接続されている。尚、第二の圧力容器20内からセパレータ30に排出されるのは、水素ハイドレートの生成に利用されなかったハイドレート生成用反応水2であり、この中には水素ハイドレートの生成に利用されなかった水素ガス及び補助剤も含まれている。
熱交換器26は、第二の圧力容器20の導入部25の近傍に備えられている。具体的には、第二の圧力容器20内部の底部に備えられて、導入部25を冷却または加熱するようにしている。但し、熱交換器26の設置位置は、導入部25近傍には限定されず、これよりも上方の第二の圧力容器20の内部の側面等に設置してもよい。
第二の圧力容器20は断熱されている。本実施形態において、第二の圧力容器20にはその周囲等に断熱材が備えられており、外部からの熱の出入りが遮断されるようにしているが、断熱方法はこのような形態には限定されない。例えば、真空を利用した断熱方法を採用してもよいし、第二の圧力容器20の周囲の温度を水素ハイドレートの相平衡温度近傍に維持するようにしてもよい。あるいは、これらの方法を併用するようにしてもよい。
第二の圧力容器20の最上部には、水素ハイドレートを分解する際(つまり、貯蔵されている水素ハイドレートから水素を取り出す際)に発生する水素ガス及びハイドレートの生成に利用されなかった水素ガスが滞留する。本実施形態では、これらの水素ガスをセパレータ30に導く第一の水素ガス排出管51が備えられると共に、この第一の水素ガス排出管51を開閉する第一のバルブ52が備えられている。尚、第一の水素ガス排出管51をセパレータ30に接続することなく、第一の水素ガス排出管51から第二の圧力容器20内の水素ガスを直接回収するようにしてもよい。
また、密閉構造のセパレータ30の最上部には、第二の圧力容器20内から排出されたハイドレート生成用反応水2に含まれていた水素ガスが分離して滞留する。また、第二の圧力容器20内の最上部に滞留する水素ガスが第一の水素ガス排出管51を介して送られて滞留する。本実施形態では、これらの水素ガスをセパレータ30の外に排出する第二の水素ガス排出管61が備えられると共に、この第二の水素ガス排出管61を開閉する第二のバルブ62が備えられている。
尚、図1では図示省略しているが、第一の圧力容器10内が水素ハイドレートの相平衡温度以下の温度条件となる場合には、第一の圧力容器10を水素ハイドレートの相平衡温度よりも高温に加熱する加熱手段が備えられている。これにより、第一の圧力容器10内は水素ハイドレートの相平衡温度よりも高温に制御され、第一の圧力容器10内にて水素ハイドレートが生成されることがなく、水素ハイドレートの生成による多孔質フィルタ11のポア(微細孔)が閉塞するのを防ぐことができる。
また、図1では図示省略しているが、第二配管31が水素ハイドレートの相平衡温度未満の温度条件となる場合には、第二配管31を水素ハイドレートの相平衡温度以上、好ましくは水素ハイドレートの相平衡温度よりも高温に加熱する加熱手段が備えられている。これにより、第二配管31内においては、水素ハイドレート生成による閉塞が起こることなく、一定の流動性が常に確保される。
また、本実施形態において、第二の圧力容器20内には、水素ハイドレートを貯蔵する貯蔵部73と、第二の圧力容器20内の貯蔵部73以外を充填する固体・気液分離フィルタ70と、導入部25から貯蔵部73に向けて固体・気液分離フィルタ70を貫通させて形成された反応路71とが備えられている。このような構成とすることで、第二の圧力容器20内で生成された水素ハイドレートが第二配管31に進入して閉塞するのを防ぐことができる。また、水素ガスが供給された補助剤含有ハイドレート生成用反応水2の浮上(流れ)が安定する。さらに、熱交換器26にて冷却または加熱された、水素ガスが供給された補助剤含有ハイドレート生成用反応水2が拡散し難くなるので、冷却や加熱のために投入したエネルギーが水素ハイドレート生成や水素ハイドレート分解に効率よく利用される。
水素ハイドレートを生成して貯蔵するための操作は、例えば以下のようにして行われる。
まず、第一の水素ガス排出管51の第一のバルブ52を閉じて、第二の圧力容器20の密閉性を確保すると共に、第二の水素ガス排出管61の第二のバルブ62を閉じて、セパレータ30からの水素ガスの漏れ出しを防ぐ。
第一の圧力容器10内と第二の圧力容器20内に補助剤含有ハイドレート生成用反応水2を満たすと共に、セパレータ30内に補助剤含有ハイドレート生成用反応水2を収容して、ポンプ40と圧力調整弁32により第一の圧力容器10内と第二の圧力容器20内を水素ハイドレートの相平衡圧力以上の圧力条件に維持する。尚、圧力条件は、水素ハイドレートが安定に生成し得る条件であれば上限値は特に規定されないが、圧力制御に必要なエネルギーを考慮すると、できるだけ低圧とすることが好ましい。具体的には、相平衡圧力+2MPaを上限とすることが好ましく、相平衡圧力+1MPaを上限とすることがより好ましく、相平衡圧力+0.5MPaを上限とすることがさらに好ましく、相平衡圧力+0.2MPaを上限とすることがなお好ましく、圧力条件を相平衡圧力とすることが最も好ましい。
次に、第一の圧力容器10内にて微細気泡発生装置12により補助剤含有ハイドレート生成用反応水2に水素ガスを供給する。これにより、補助剤含有ハイドレート生成用反応水2に水素ガスの微細気泡が供給されて補助剤含有ハイドレート生成用反応水2と水素ガスの界面の面積が増加する。また、第一の圧力容器10内が水素ハイドレートの相平衡圧力以上の圧力条件に維持されていることによって、圧力溶解により補助剤含有ハイドレート生成用反応水2に水素が瞬時に溶け込んで水素の過飽和状態が形成される。しかも、第一の圧力容器10内が水素ハイドレートの相平衡温度よりも高温の温度条件に維持されているので、第一の圧力容器10内では水素ハイドレートが発生せず、多孔質フィルタ11の閉塞は起こらない。したがって、第一の圧力容器10内にて補助剤含有ハイドレート生成用反応水2に水素ガスが供給されることによって、水素ハイドレートが極めて短時間に生成され得る状態の、水素ガスが供給された補助剤含有ハイドレート生成用反応水2が得られることになる。
尚、第一の圧力容器10内の温度を高め過ぎても、系全体としてのメリットは無く、しかも熱交換器26での冷却が困難になるので、相平衡温度超〜相平衡温度+3℃とすることが好ましく、相平衡温度超〜相平衡温度+2℃とすることがより好ましく、相平衡温度超〜相平衡温度+1℃とすることがさらに好ましい。
第一の圧力容器10内にて水素ガスが供給された補助剤含有ハイドレート生成用反応水2には、第二の圧力容器20内に導入される。第二の圧力容器20内では、水素ガスの微細気泡が、水素の過飽和状態が形成されている補助剤含有ハイドレート生成用反応水2を巻き込みながら反応路71を浮上する(流れる)。そして、水素ガスが供給された補助剤含有ハイドレート生成用反応水2が、第二の圧力容器20の導入部25にて熱交換器26により水素ハイドレートの相平衡温度未満の温度に冷却されることによって、反応路71を浮上する過程で水素ハイドレートが生成される。水素ハイドレートは水よりも密度が小さいことから、水素ハイドレートは反応路71を浮上し続けて、第二の圧力容器20の上部に貯蔵される。また、第二の圧力容器20は断熱されており、水素ハイドレートの生成反応は発熱反応であることから、水素ガスの微細気泡が反応路71を浮上する過程で水素ハイドレートが生成されるのと同時に発熱して、最終的には水素ハイドレートの相平衡温度と等温となる。したがって、反応路71にはスラリー状の水素ハイドレートが浮上して流動性が維持され、連続的に水素ハイドレートが生成されて貯蔵される。但し、熱交換器26により第二の圧力容器20の導入部25を冷却させ過ぎると、反応路71が閉塞する虞があるので、熱交換器26による冷却温度は、水素ハイドレートの相平衡温度未満で且つ反応路71が閉塞することのなく反応路71に水素ハイドレートがスラリーの状態で浮上し続ける温度以上とすることが好ましい。具体的には、相平衡温度−1℃とすることが好ましく、相平衡温度−2℃とすることがより好ましく、相平衡温度−3℃とすることがさらに好ましく、相平衡温度−4℃とすることがなお好ましい。
例えば、D2O濃度99.9重量%の重水分子含有水をハイドレート生成用反応水とし、補助剤をテトラヒドロフラン(THF)とした場合を例に挙げて説明する。図3に示される相平衡図のうち、■のプロットが本願発明者が新たに知見した相平衡曲線である。他のプロットは非特許文献2より引用したものであり、ハイドレート生成用反応水として軽水が用いられている。尚、図3中、「H」はハイドレート相、「L」は液相、「V」は気相を示しており、HLV>LVは3相が同時に存在する条件と、液相と気相の2相が同時に存在する条件の境界の温度・圧力条件(相平衡温度・圧力条件)を示している。図3に示す相平衡図から明らかなように、D2O濃度99.9重量%の重水分子含有水をハイドレート生成用反応水とし、補助剤をテトラヒドロフラン(THF)とした場合、水素ハイドレートは、7.2℃の温度条件下で、2MPaという低圧条件下においても生成する。したがって、第一の圧力容器10と第二の圧力容器20を相平衡圧力である2MPaとし、熱交換器26により導入路25を相平衡温度である7.2℃よりも低温、好ましくは7℃、より好ましくは6℃、さらに好ましくは5℃、なお好ましくは4℃に冷却することで、水素ハイドレートを生成することができる。
また、図1に示す水素貯蔵設備によれば、水素ガスを微細気泡とすることによる補助剤含有ハイドレート生成用反応水2と水素ガスの界面の面積の増加、さらには補助剤含有ハイドレート生成用反応水2における水素の過飽和状態の形成によって、第二の圧力容器20の導入部25における熱交換器26での冷却の際に、水素ハイドレートが極めて短時間(10分以下(1分〜数分程度))で生成され得ることになる。したがって、第二の圧力容器20の反応路71を浮上する(流れる)水素ガスの大部分が水素ハイドレート生成に寄与することになる。水素ガスがハイドレート化すると、その体積は収縮することから、水素ガスの導入による第二の圧力容器20(さらには第一の圧力容器10)における体積増加が抑えられることになる。したがって、セパレータ30へのハイドレート生成用反応水2の排出量が抑えられる。また、セパレータ30に滞留する水素ガスの量も抑えられる。したがって、セパレータ30を無駄に大型化することなくコンパクトなものとできる。また、本実施形態では、第二の水素排出管61を水素タンク80に接続するようにしているが、セパレータ30に滞留する水素ガスの量が抑えられることによって、セパレータ内の圧力増加を緩和するための水素ガスの水素タンク80への排出を抑えることができるので、水素タンク80の容量も無駄に大型化することなくコンパクトなものとできる。しかも、上記のように第一の圧力容器10と第二の圧力容器20の圧力を大幅に低減することができるので、従来と比較して、圧縮エネルギーを劇的に低減できることになる。例えば、5MPa→2MPaに圧力を低減できる場合、2MPaの圧縮に要するエネルギーは、5MPaの圧縮に要するエネルギーの16%となる(22/52×100)。つまり、概算でおよそ84%程度の圧縮エネルギーの削減が可能になる。加えて、圧力容器に要求される耐圧性能も小さくできることから、圧力容器自体の大型化が容易となる。したがって、第二の圧力容器20を大型化し、水素ハイドレートの生成・貯蔵能力を大幅に向上させることが可能である。
次に、第二の圧力容器20内に貯蔵されている水素ハイドレートを分解して水素ガスを回収する際の操作について説明する。
まず、第一の水素排出管51の第一のバルブ52と第二の水素排出管61の第二のバルブ62を開いて、第二の圧力容器20内を減圧する。この操作により、第二の圧力容器20内に貯蔵されている水素ハイドレートが分解し、第二の圧力容器20内の最上部に滞留する水素ガスが第一の水素排出管51を通過してセパレータ30に導入される。この水素ガスが、第二の圧力容器20から排出された補助剤含有ハイドレート生成用反応水2から分離された水素ガスと共に第二の水素排出管61から排出され、利用に供される。尚、第一の水素排出管51をセパレータ30と接続することによって、第一の水素排出管51から水素ガスと共に第二の圧力容器20内の補助剤含有ハイドレート生成用反応水2が若干排出されてしまった場合にも、これをセパレータ30で回収して再利用でき、ハイドレート生成用反応水2の無駄な消費を確実に抑えることができる利点がある。
ここで、水素ハイドレートの分解反応は吸熱反応であることから、貯蔵されている水素ハイドレートの分解が進むと、徐々に相平衡温度に近づき、最終的には分解が殆ど起こらなくなる。そこで、貯蔵されている水素ハイドレートをさらに分解する際には、熱交換器26により第二の圧力容器20の導入部25を水素ハイドレートの相平衡温度よりも高温に加熱し、加熱された補助剤含有ハイドレート生成用反応水2を浮上(対流)させて水素ハイドレートの分解を促進するようにしてもよい。但し、急激に加熱し過ぎると、第二の圧力容器内で急激な体積膨張が起こるので、相平衡温度+3℃に加熱することが好ましく、相平衡温度+2℃に加熱することがより好ましく、相平衡温度+1℃に加熱することがさらに好ましい。
上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態では水素ハイドレートを第二の圧力容器20から取り出すことなく、第二の圧力容器20内で分解して水素ガスを回収するようにしていたが、第二の圧力容器20内で水素ハイドレートを生成して貯蔵した後、必要に応じて貯蔵されている水素ハイドレートを取り出して、これを別途貯蔵したり輸送したりすることにより、水素ガスの貯蔵や輸送を簡易且つ安全に行うようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、水素を貯蔵対象分子とする水素貯蔵設備について説明したが、水素以外の他の分子を貯蔵するようにしても勿論よい。例えば、天然ガスの輸送・貯蔵は、液体天然ガス(LNG)が主流ですが、極低温であるため、ボイルオフ(蒸発)が0.1%/日程度生じており、10日で1%減となる。この対策として、ボイルオフしたガスを圧縮して液化することが行われている。国内の臨海のLNGタンクでも同様のボイルオフがある。そこで、本発明により天然ガス(つまり、メタン分子等)をハイドレート化させて貯蔵することで、小さな投入エネルギーで長期貯蔵が可能となる。
さらに、ハイドレート生成用反応水2として用いる重水分子含有水を以下の方法により製造するようにしてもよい。即ち、重水分子をホスト分子とした場合のハイドレートの安定存在領域は、同位体効果のうちの質量効果に起因して、軽水分子をホスト分子とした場合のハイドレートの安定存在領域よりも拡大する。したがって、ハイドレート格子を構成するホスト分子として重水分子が取り込まれる確率は、軽水分子のそれよりも大きい。そこで、重水分子と軽水分子が混在する被処理水をハイドレートのゲスト分子となる流体と接触させてハイドレートを生成し、被処理水の一部をハイドレートに取り込ませた場合、ホスト分子として重水分子が優先的にハイドレートに取り込まれる。よって、当該被処理水の一部においては、当初の被処理水よりも重水分子濃度が増加する。したがって、このハイドレートのみを回収し、分解することで、重水分子を濃縮して回収することができる。そして、この処理を繰り返すことで、重水分子をさらに濃縮して回収することができる。本発明の実施に先立って、このような手法により所望の重水分子濃度の重水分子含有水を製造するようにしてもよい。この場合には、重水分子含有水の入手コストを低減することが可能となる。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に限られるものではない。
尚、以降の説明における「%」とは、「重量%」のことである。
[実施例1]
ハイドレート生成用反応水としてD2O(Dは重水素)を含む水(99.9%D2O)を用い、水素を貯蔵対象分子とし、補助剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用いて、ハイドレートの相平衡条件について検討した。
ハイドレート生成用反応水としてD2O(Dは重水素)を含む水(99.9%D2O)を用い、水素を貯蔵対象分子とし、補助剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用いて、ハイドレートの相平衡条件について検討した。
1.実験方法
D2Oを含む水と水素とTHFとを圧力容器に封入し、自動制御のポンプにて圧力容器内の圧力を制御し、熱量計の機能で温度を制御して、ハイドレートを生成させた後、圧力を一定値に制御しながら熱量計の機能で徐々に温度を上昇させ、相平衡温度(ハイドレート分解開始温度)を測定した。相平衡温度の測定は、ハイドレート分解反応が吸熱反応であることを利用し、熱量計(製品名:SETARAM microDSC)を利用して実施した。尚、D2Oを含む水のTHF濃度は、4mol%とした。
D2Oを含む水と水素とTHFとを圧力容器に封入し、自動制御のポンプにて圧力容器内の圧力を制御し、熱量計の機能で温度を制御して、ハイドレートを生成させた後、圧力を一定値に制御しながら熱量計の機能で徐々に温度を上昇させ、相平衡温度(ハイドレート分解開始温度)を測定した。相平衡温度の測定は、ハイドレート分解反応が吸熱反応であることを利用し、熱量計(製品名:SETARAM microDSC)を利用して実施した。尚、D2Oを含む水のTHF濃度は、4mol%とした。
圧力容器内の圧力条件は、以下の通りとした。
(a)10000kPa
(b)8000kPa
(c)6000kPa
(d)5000kPa
(e)4000kPa
(f)3000kPa
(g)2000kPa
(a)10000kPa
(b)8000kPa
(c)6000kPa
(d)5000kPa
(e)4000kPa
(f)3000kPa
(g)2000kPa
2.実験結果
実験の結果得られた相平衡図を図3に示す。尚、図3の■以外のプロットは、非特許文献2から引用した。図3に示す結果から、D2Oを含む水を用いることによって、7.2℃の温度条件下においても2MPa(2000kPa)までは分解しないことが明らかとなった。換言すれば、7.2℃の温度条件下において、2MPaでもハイドレートの生成が可能であることが明らかとなった。また、5MPaの圧力条件下においては、温度を10℃とした場合にもハイドレートの生成が可能であることが確認された。
実験の結果得られた相平衡図を図3に示す。尚、図3の■以外のプロットは、非特許文献2から引用した。図3に示す結果から、D2Oを含む水を用いることによって、7.2℃の温度条件下においても2MPa(2000kPa)までは分解しないことが明らかとなった。換言すれば、7.2℃の温度条件下において、2MPaでもハイドレートの生成が可能であることが明らかとなった。また、5MPaの圧力条件下においては、温度を10℃とした場合にもハイドレートの生成が可能であることが確認された。
非特許文献2における報告によれば、補助剤としてTHFを利用した場合の相平衡条件は、7℃、5MPaであったことから、D2Oを含む水を用いることによって、等温条件(つまり、7℃)においては圧力を従来よりも3MPaも低下させることができることが明らかとなった。また、等圧条件(つまり、5MPa)においては温度を従来よりも3℃上昇させることができることが明らかとなった。したがって、従来よりもハイドレートの生成条件及び分解条件を常温・常圧に近づけることができ、ハイドレートの貯蔵に要するエネルギーを低減できることが明らかとなった。また、ハイドレートの生成や貯蔵に用いる圧力容器に要求される耐圧性能や断熱性能も従来より小さくできることが明らかとなった。
尚、この結果は、同位体効果のうちの質量効果(質量数の違いにより、物理的・化学的な性質が異なる効果)に起因しているものと考えられる。即ち、H2Oの沸点は100℃、D2Oの沸点は101.4℃で、その差は1.4℃である。また、H2Oの融点は0℃、D2Oの融点は3.82℃で、その差は3.82℃である。このように、H2OとD2Oとの間で沸点と融点に温度差が生じるのは、同位体効果のうちの質量効果によるものである。ハイドレート生成についても、質量効果によって、H2OよりもD2Oの方が生成条件が緩和(つまり、ハイドレートの安定存在領域が拡大)しているものと考えられる。また、質量効果は、原子番号が小さい同位体ほど顕著になることから、D2Oと同様、DHO、DTO、THO、T2Oについても、H2Oよりもハイドレート生成条件が緩和するものと考えられる。特に、DTO、T2Oについては、D2Oよりもハイドレート生成条件が緩和するものと考えられる。また、質量数16の酸素原子で構成される水分子よりも、質量数17又は18の酸素原子で構成される水分子の方が、ハイドレート生成条件が緩和するものと考えられる。
また、このことは、ゲスト分子に対しても適用できる。即ち、質量数1の水素原子からなる水素分子よりも、質量数2の重水素原子を含む水素分子、又は質量数3の三重水素原子を含む分子の方が、ハイドレート生成条件が緩和するものと考えられる。
さらに、このことは、補助剤の分子に対しても適用できる。
[実施例2]
ハイドレート生成用反応水としてD2O(Dは重水素)を含む水を用い、二酸化炭素をゲスト分子とした場合のハイドレートの相平衡条件を検討した。
ハイドレート生成用反応水としてD2O(Dは重水素)を含む水を用い、二酸化炭素をゲスト分子とした場合のハイドレートの相平衡条件を検討した。
1.実験方法
D2Oを各種濃度で含む水を二酸化炭素ガスとともに圧力容器に封入し、自動制御のポンプにて圧力容器内の圧力を制御し、熱量計の機能で温度を制御して、ハイドレートを生成させた後、圧力を一定値に制御しながら熱量計の機能で徐々に温度を上昇させ、相平衡温度(ハイドレート分解開始温度)を測定した。相平衡温度の測定は、ハイドレート分解反応が吸熱反応であることを利用し、熱量計(製品名:SETARAM microDSC)を利用して実施した。
D2Oを各種濃度で含む水を二酸化炭素ガスとともに圧力容器に封入し、自動制御のポンプにて圧力容器内の圧力を制御し、熱量計の機能で温度を制御して、ハイドレートを生成させた後、圧力を一定値に制御しながら熱量計の機能で徐々に温度を上昇させ、相平衡温度(ハイドレート分解開始温度)を測定した。相平衡温度の測定は、ハイドレート分解反応が吸熱反応であることを利用し、熱量計(製品名:SETARAM microDSC)を利用して実施した。
D2Oを含む水のD2O濃度条件は、以下の通りとした。 尚、D2Oを含む水のD2O以外の成分は、実質的に軽水(H2O)からなる。
(A)99.9%D2O
(B)7.96%D2O
(C)1.45%D2O
(A)99.9%D2O
(B)7.96%D2O
(C)1.45%D2O
圧力容器内の圧力条件は、以下の通りとした。
(a)21500kPa(99.9%D2Oのみ)
(b)17000kPa
(c)13500kPa
(d)10000kPa
(e)6500kPa
(a)21500kPa(99.9%D2Oのみ)
(b)17000kPa
(c)13500kPa
(d)10000kPa
(e)6500kPa
2.実験結果
実験の結果得られた相平衡図を図4に示す。尚、図4中の0.015%D2Oの結果は、D2Oを天然存在比である0.015%含む水、即ち天然に存在する一般的な水を用いた場合の相平衡状態を示している。圧力5000kPa以下のプロットは文献(Sloan, E..D. jr. Clathrate hydrates of natural gases, Second Edition, Marcel Dekker Inc., 1998.)から引用したものである。
実験の結果得られた相平衡図を図4に示す。尚、図4中の0.015%D2Oの結果は、D2Oを天然存在比である0.015%含む水、即ち天然に存在する一般的な水を用いた場合の相平衡状態を示している。圧力5000kPa以下のプロットは文献(Sloan, E..D. jr. Clathrate hydrates of natural gases, Second Edition, Marcel Dekker Inc., 1998.)から引用したものである。
図4に示す結果から、D2O濃度の増加に伴って、相平衡温度が高温側にシフトすることが明らかとなった。また、99.9%D2Oの相平衡温度は、0.015%D2Oのそれと比較すると、3.5℃上昇した。以上のことから、D2O濃度の増加に伴って、ハイドレートの安定領域が拡大することが明らかとなった。
この結果は、同位体効果のうちの質量効果(質量数の違いにより、物理的・化学的な性質が異なる効果)に起因しているものと考えられる。即ち、H2Oの沸点は100℃、D2Oの沸点は101.4℃で、その差は1.4℃である。また、H2Oの融点は0℃、D2Oの融点は3.82℃で、その差は3.82℃である。このように、H2OとD2Oとの間で沸点と融点に温度差が生じるのは、同位体効果のうちの質量効果によるものである。ハイドレート生成についても、質量効果によって、H2OよりもD2Oの方が相平衡温度が高くなっていると考えられる。また、質量効果は、原子番号が小さい同位体ほど顕著になることから、D2Oと同様、DHO、DTO、THO、T2Oについても、H2Oよりも相平衡温度が高くなると考えられる。特に、DTO、T2Oについては、D2Oよりも相平衡温度が高くなると考えられる。また、質量数16の酸素原子で構成される水分子よりも、質量数17又は18の酸素原子で構成される水分子の方が、相平衡温度が高くなると考えられる。
また、このことは、ゲスト分子に対しても適用できる。
[実施例3]
ハイドレート生成による重水分子の濃縮について検討した。
ハイドレート生成による重水分子の濃縮について検討した。
1.実験方法
7.30%D2Oを二酸化炭素ガスとともに圧力容器に封入し、自動制御のポンプにて圧力容器内の圧力を6500kPaに制御し、熱量計の機能で2℃(275.15K)に冷却、12.6℃に加熱、2℃に冷却、12.7℃に加熱、2℃に冷却、12.8℃に加温の3回を繰り返し、分解が生じると予測された温度を十分含む範囲で、温度上昇を0.02℃/分として熱量を計測した。そして、3回のハイドレート生成時に相平衡温度(ハイドレート分解開始温度)をそれぞれ熱量計(製品名:SETARAM microDSC)で測定した。
7.30%D2Oを二酸化炭素ガスとともに圧力容器に封入し、自動制御のポンプにて圧力容器内の圧力を6500kPaに制御し、熱量計の機能で2℃(275.15K)に冷却、12.6℃に加熱、2℃に冷却、12.7℃に加熱、2℃に冷却、12.8℃に加温の3回を繰り返し、分解が生じると予測された温度を十分含む範囲で、温度上昇を0.02℃/分として熱量を計測した。そして、3回のハイドレート生成時に相平衡温度(ハイドレート分解開始温度)をそれぞれ熱量計(製品名:SETARAM microDSC)で測定した。
実験結果を図5に示す。図5に示される結果から、ハイドレートの生成を繰り返す毎に、相平衡温度が高温側にシフトすることが明らかとなった。実施例2では、D2O濃度が増加する程、相平衡温度が高温側にシフトすることが確認された。したがって、実施例3における実験においても、ハイドレート生成を繰り返す毎に、ハイドレートに取り込まれるD2Oの量が多くなり、このことに起因して相平衡温度が高温側にシフトしているものと考えられた。
尚、実施例2及び3においては、圧力容器内の撹拌を行わなかったことから、実施例3のように、ハイドレートの生成と分解を繰り返すことで、ハイドレートの生成と分解が生じた箇所において局所的にD2O濃度が上昇していると考えられる。ハイドレートの生成が圧力容器内全体ではなく一部に生じていたことも、このことを裏付けていると考えられる。
2 ハイドレート生成用反応水
20 (第二の)圧力容器
20 (第二の)圧力容器
Claims (13)
- 水分子で構成されるケージ内に貯蔵対象分子を包接させてクラスレートハイドレートとして貯蔵する分子貯蔵方法であって、
クラスレートハイドレート生成用反応水として、質量数19以上の水分子が天然存在比よりも多く含まれる水を用いることを特徴とする分子貯蔵方法。 - クラスレートハイドレート生成時に、前記クラスレートハイドレートの生成条件を緩和させる補助剤を用いる請求項1に記載の分子貯蔵方法。
- 前記貯蔵対象分子が水素(H2)である、請求項2に記載の分子貯蔵方法。
- 前記補助剤がテトラヒドロフラン(THF)である、請求項3に記載の分子貯蔵方法。
- 水分子で構成されるケージ内に貯蔵対象分子を包接させてクラスレートハイドレートとして貯蔵する分子貯蔵設備であって、
前記クラスレートハイドレートの生成に用いられる圧力容器に供給されるクラスレートハイドレート生成用反応水として、質量数19以上の水分子が天然存在比よりも多く含まれる水が用いられていることを特徴とする分子貯蔵設備。 - 前記圧力容器に、前記クラスレートハイドレートの生成条件を緩和させる補助剤を供給する補助剤供給手段が備えられている請求項5に記載の分子貯蔵設備。
- 前記貯蔵対象分子が水素(H2)である、請求項6に記載の分子貯蔵設備。
- 前記補助剤がテトラヒドロフラン(THF)である、請求項7に記載の分子貯蔵設備。
- 水分子で構成されるケージ内に貯蔵対象分子が包接されたクラスレートハイドレートを製造する方法であって、
クラスレートハイドレート生成用反応水として、質量数19以上の水分子が天然存在比よりも多く含まれる水を用いることを特徴とする製造方法。 - クラスレートハイドレート生成時に、前記クラスレートハイドレートの生成条件を緩和させる補助剤を用いる請求項9に記載の製造方法。
- 前記貯蔵対象分子が水素(H2)である、請求項10に記載の製造方法。
- 前記補助剤がテトラヒドロフラン(THF)である、請求項11に記載の製造方法。
- 請求項9〜12のいずれか1項に記載の製造方法により得られるクラスレートハイドレート。
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2013
- 2013-09-09 JP JP2013185852A patent/JP2015052361A/ja active Pending
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