JP6901141B2 - トリチウム水を含む被処理水からトリチウム水を分離する方法 - Google Patents

トリチウム水を含む被処理水からトリチウム水を分離する方法 Download PDF

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Description

本発明は、トリチウム水を含む被処理水からトリチウム水を分離する方法に関する。
東京電力福島第一原子力発電所内には大量の汚染水が貯留されており、この福島原発汚染水には放射性核種であるトリチウムがトリチウム水(HTO)として含まれており、そのトリチウム濃度は公共水域に放出する場合の制限値を超過している。この原発汚染水の貯留量は、2018年10月現在で約105万mであり、現在も平均約220m/日で増加し続けている。しかし、発電所内の汚染水タンク建設適地には限りがあり、現在の計画上では約137万mが貯蔵の限界と考えられえている。この場合、単純計算では2023年中には貯蔵限界を迎えることになる。このため、効率のよい、トリチウムで汚染された軽水からのトリチウム水の分離方法が望まれている。
上記福島原発汚染水に含まれているトリチウムの濃度は、0.5×10Bq/L〜5×10Bq/Lであり、公共水域に放出する場合の制限値1500Bq/kgの約300〜3000倍高い値である。トリチウムは自身の半減期12.3年の放射性壊変により、年率約5.5%の割合で減少する。従って、5年後の2023年には、トリチウム濃度は2018年の約75%になるが、依然として公共水域放出制限値よりはるかに高い。
また、トリチウムは、原子力発電所の原子炉の中でも生成することも知られている。また、トリチウムは、宇宙から地球に降り注ぐ放射線が空気中の窒素や酸素に接触することで生成されるため、空気中の水蒸気、雨水、海水に含まれ、日本において一般的に1Bq/L含まれているといわれている。
ここで、以下のような重水やトリチウム水の分離する技術が知られている。
特許文献1には、軽水及び重水を含有する水と、ハイドレート形成物質とを、該ハイドレート形成物質と重水とのハイドレート生成平衡条件より低温・高圧側であり、かつ該ハイドレート形成物質と軽水とのハイドレート生成平衡条件より高温・低圧側の条件で接触させて重水からハイドレートを生成させ、生成した重水によるハイドレートを軽水から分離することを特徴とする、重水濃縮方法が開示されている。
特許文献2には、トリチウム水と軽水を含む混合液に、重水を添加し、重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレートの形成条件下であって且つ大部分の軽水の液体状態を維持する条件下で、トリチウム水と重水とを結晶構造中に含むガスハイドレートを形成し、該ガスハイドレートを軽水から除去することを特徴とする、トリチウム水で汚染された軽水からのトリチウム水の分離方法が開示されている。
特許文献3には、アイソトポローグの混合物を分離するための方法であって、第2の凍結温度を有する第2のアイソトポローグの少なくとも一部がフィルター内に残り、第1の凍結温度を有する第1のアイソトポローグを含む濾液が前記フィルターから出るように、前記第2のアイソトポローグを選択的に捕捉することができる前記フィルター内に前記液体流を導入する工程とを含む、方法が開示されている。
特開2005−139015号公報 WO2016/002856 特表2014−516313号公報
廃炉・汚染水対策事業事務局、資料3:トリチウム分離技術検証試験事業総括及び評価、2016年4月19日、資源エネルギー庁電力・ガス事業部 原子力政策課 原子力発電所事故収束対応室、[平成30年10月11日検索]インターネット< URL:http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/ osensuitaisaku/committtee/tritium_tusk/pdf/160419_06.pdf> 株式会社東芝、Demonstration Project for Verification Tests of Tritium Separation Technologies(汚染水処理対策技術検証事業(トリチウム分離 技術検証試験事業)の成果報告)、2016年5月16日廃炉・汚染水対策事業事務局、[平成30年10月11日検索]インターネット< URL:https:// dccc-program.jp/files/20160526TOSHIBA_j.pdf> Masato Kida, Mizuho Watanabe, Yusuke Jin, Jiro Nagao, Phase equilibrium for gas hydrates formed from deuterium oxide, Journal of Chemical and Engineering Data, 2015, Vol.60, 1939-1944. 齋藤幸夫、結晶成長の物理I−融液からの理想的結晶成長−、まてりあ、2010年、第49巻、第7号、p.327−331
さらに、トリチウム水を含む混合液からトリチウム水を効率よく分離するための様々な技術開発が望まれている。
そこで、本発明は、トリチウム水を含む被処理水から、トリチウム水を効率よく分離する技術を提供することを主な目的とする。
ここで、福島原発汚染水に含まれているトリチウムの濃度0.5×10Bq/L〜5×10Bq/Lは、トリチウムの比放射能が3.59×1011Bq/mgであることから、物質量濃度で表示すれば1.4×10−6〜1.4×10−5ppmと極めて希薄であり、このトリチウム水の約99%以上を除去することが求められていることになる。
しかも、トリチウム水と軽水の分離の場合には、比重差がわずかであることから、固液分離や遠心分離等の重力や遠心力を利用した方法では十分な分離が行なえないのが実情である。
さらに、トリチウム水は水分子の一部として存在しているため、セシウムやストロンチウムといったイオンの形で水に溶けることが可能な他の放射性物質とは異なるためセシウム等の分離除去方法では、極めて希薄なトリチウム水を汚染水から分離することに非常に技術的困難性が伴う。
このように、トリチウムで汚染された軽水からトリチウム水を分離することは、既存の蒸留法、化学交換法、電解法、CECE法や深冷法等のトリチウム濃縮技術やその組み合わせだけでは要求仕様を満たすことができないという技術的困難性がある。さらに、福島原発汚染水のような極めて希薄なトリチウム水を含む汚染水を用いた場合、要求仕様を満たすことができるところまで、トリチウム水を含む混合液からのトリチウム水分離技術が実用化に至っているとは言い難いのが実情である。
上記特許文献1には、重水と軽水のガスハイドレート晶析温度の差を利用して、重水を軽水から分離することが開示されている。しかしながら、上述の通り、汚染水中のトリチウム水は極めて少量しか存在せず、汚染水にガスを添加し、トリチウム水を含むガスハイドレートを晶析させようとしても、結晶核は形成されても臨界核まで形成される確率は小さく、実際にはガスハイドレートとして晶析させることができない。さらに、特許文献1は重水を軽水から分離する技術であり、本発明はトリチウム水を軽水から分離する技術であるので、両者の方向性及び技術的思想は全く相違する。
特許文献2には、汚染水に重水を添加して、トリチウム水と重水とを結晶構造中に含むガスハイドレートの臨界核が形成されるのに十分な水分子の量を存在させて、トリチウム水と重水とを含むガスハイドレートを形成することが開示されている。しかしながら、特許文献2では、十分な水の存在下で、トリチウム水と重水とを含むガスハイドレートを形成させているのに対し、本発明では重水のガスハイドレートをベースとしてガスハイドレートを形成させているので、両者の方向性及び技術的思想は全く相違する。
特許文献3には、汚染水中のトリチウム水を凍結又は結晶化させ、トリチウム水の氷を0℃超1.0℃以下のフィルター分離により除去する方法が開示されている。しかし、この方法で汚染水中のトリチウム水を除去しても1回の操作で、汚染水中のトリチウム水濃度は1.02分の1にしかならず、産業上の利用可能性が乏しい技術である(非特許文献1、2)。さらに、特許文献3は汚染水中からのトリチウム水の氷を0℃前後のフィルターで分離する技術であり、本発明はガスハイドレートを用いて分離する技術であるので、両者の方向性及び技術的思想は全く相違する。
ここで、トリチウム水と重水と軽水はその構造にほとんど差異がないために、ガスハイドレートは完全固溶体を形成する。これは、軽水と重水とトリチウム水の任意の組成比をもつ混合ガスハイドレートが安定に存在することを意味する。
トリチウム水と重水と軽水は互いに分子構造は良く似ている同位体置換体(アイソトポローグ)であるが、水素結合の結合力が異なることから、同一のガスに対してガスハイドレート化エンタルピーが3〜5kJmol−1gas異なり(非特許文献3)、ガスハイドレート化する温度および圧力の条件も異なる。しかし、その分子構造にはほとんど差異がないために、トリチウム水と重水と軽水の任意の組成比をもつ混合ガスハイドレートが安定に存在できる。
このため、仮に、重水のみがガスハイドレート化し、軽水は液体状態であるような温度および圧力条件下でガスハイドレートを形成させ、固液分離によって軽水から重水のガスハイドレートを除去する場合には、温度および圧力条件を精密にコントロールする必要があると考える。また、軽水からトリチウム水のガスハイドレートを同様の方法で除去する場合においても温度及び圧力条件を精密にコントロールする必要があると考える。
しかし、形成されたガスハイドレートには一定の割合で必ず軽水が含まれており、効率よく重水を除去することは困難である。仮に、このガスハイドレート中の軽水の濃度を低下させる目的で、一度形成させたガスハイドレートを加熱し、軽水のみを優先的に溶融させ液相とする再結晶法を連続的に行うことが考えられる。この再結晶操作を行うために分離操作全体として長時間を要する。また、ガスハイドレートは一度形成されると温度を上昇させても熱力学的に準安定であり、溶融しにくい。
従って、再結晶法で溶融させる場合には、熱力学的な平衡溶融温度よりも高温で溶融することが必要となる。しかし、一旦溶融が始まると、熱力学的な平衡溶融温度との温度差が溶融の駆動力となり過剰に溶融しやすい。このため、再結晶法の溶融温度の決定が困難である。
トリチウム水と重水と軽水では、ガスハイドレートが晶析する温度と圧力の条件が異なる。この条件の差異を利用して、軽水とトリチウム水の混合液から、トリチウム水を分離するのが、ガスハイドレート法の原理である。より具体的には、図1は、軽水100%と重水100%とトリチウム水100%の状態図、すなわち熱力学的に平衡な相を重ねて示したものである。この図上で、処理条件領域Zにおいてはトリチウム水と重水を含む又はいずれかを含むガスハイドレートが熱力学的に安定である。
理論上、トリチウム水と重水と軽水の混合液とガスを含む系において処理条件領域Z内の温度と圧力条件で反応を行えば、トリチウム水と重水の含有量が高く且つ軽水の含有量が低いガスハイドレートが生成する。しかしながら、実際には、処理条件領域Z内の任意の条件pでガスハイドレートが生成するためには極めて長い時間を要する。
このため、さらにこの生成したガスハイドレートを固液分離法により分離すれば、軽水中からトリチウム水を除去することが可能である。しかし、処理条件領域Zの任意の条件pでガスハイドレートが生成するためには極めて長い時間を要するのでは、トリチウムで汚染された軽水からのトリチウム水を除去方法としては、時間的ロスが大きく非常に効率が悪いため、不具合である。
理論上、短時間で晶析させるためには、pから矢印aの示す高圧方向又は矢印bの示す低温方向、及びその合成方向cのいずれかに変位した条件で反応を行う必要がある。これは、熱力学的にはガスハイドレートが安定な条件であっても、液体のトリチウム水と重水及び気体のガスが共存する熱力学的に準安定な状態が存在するためである。
そして、非特許文献4には、点pからの変位が大きいほど晶析の駆動力は大きくなり、迅速にガスハイドレートが晶析することが報告されている。しかしながら、点pは軽水ガスハイドレートの安定領域内にあるので、実際には、軽水もガスハイドレート化する可能性が高くなることから、トリチウム水と重水の含有量が高く且つ軽水の含有量が低いガスハイドレートを晶析させることが困難になる。
さらに、トリチウム水と重水の含有量が高く且つ軽水の含有量が低いガスハイドレートを形成するためには、温度と圧力の制御を極めて精密に行い、軽水の含有量が低く且つガスハイドレート晶出速度が高い至適な処理温度・圧力を決定し、その条件で処理を行う必要がある。しかしながら、実際には、このような温度・圧力の極めて精密な制御は、試験プラントレベルの装置であっても難しく、当然に工業的に処理するための大型の装置で行うことは非常に困難である。
さらに、晶出速度を高くして大量のガスハイドレートが晶析されると、気体状態のガスはガスハイドレートの結晶構造中に取り込まれ固体化することから、系の体積は急激に減少し圧力が低下する。ガスハイドレート晶析の処理能力を増大させるために処理装置を大型化する必要があるが、急激な圧力低下に対応するための圧力補償が大型の装置では非常に困難になる。
さらに、発明者は、鋭意検討を行った結果、重水を含むガスハイドレート及び/又は当該ガスハイドレートをベースとするトリチウム水−重水を含むガスハイドレートに対して、トリチウム水を含む軽水の被処理水を一定条件下で接触させることで、当該被処理水からトリチウム水を効率よく分離できることを見出した。前記被処理水を接触させることにより、前記ガスハイドレートの表面及び/又は内部に、当該被処理水に含まれる微量のトリチウム水を大量の軽水よりも優先的に固定化させることができたことは、通常予測し得ない結果である。また、この方法は、重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレート形成条件下かつ軽水の液体状態を維持する条件下における、前記ガスハイドレートに対する接触反応であるため、温度及び圧力の制御も行い易いという非常に優れた効果も有する。
そして、本発明者は、この方法により、トリチウムが当該被処理水から高率で移行している一方で軽水を微量でしか含んでいないトリチウム水−重水を含むガスハイドレートを得ることができることを見出した。この得られたガスハイドレートから表面近傍に偏在しているトリチウム高濃度部分を除去することで当該ガスハイドレートからトリチウムを容易に回収でき、また除去後のガスハイドレートも一度溶融させることなく、再利用できるので、この方法は非常に効率のよい分離方法であり経済的でもある。
また、本発明者は、この方法により、トリチウム水を低濃度で含む軽水の被処理水であっても、当該被処理水からトリチウムを効率よく分離でき、接触反応後の被処理水中のトリチウム濃度を低減させることができたので、従来技術的に極めて困難とされていた低濃度トリチウム水で汚染された軽水からトリチウム水を分離する方法や汚染水の処理方法もこの方法により克服することができた。
斯様にして本発明者は本発明を完成させ、本発明は以下のとおりである。
本発明は、重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレートの形成条件下であってかつ軽水の液体状態を維持する条件下で、重水を含むガスハイドレート及び/又は当該ガスハイドレートをベースとするトリチウム水−重水を含むガスハイドレートに対して、トリチウム水を含む被処理水を接触させて、当該被処理水からトリチウム水を分離する方法を提供することができる。
また、本発明は、重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレートの形成条件下であってかつ軽水の液体状態を維持する条件下で、重水を含むガスハイドレート及び/又は当該ガスハイドレートをベースとするトリチウム水−重水を含むガスハイドレートに対して、トリチウム水を含む被処理水を接触反応させて、当該被処理水からトリチウム水を分離する、トリチウム水汚染水の処理方法を提供することができる。
前記被処理水を接触させて前記 ガスハイドレートの表面及び/又は内部に、トリチウム水を含むガスハイドレートを形成させてもよい。
前記接触させて形成されたトリチウム水−重水を含むガスハイドレートと、接触後の被処理水とを分離してもよい。
前記重水を含むガスハイドレートが、重水を含む混合液を、重水のガスハイドレート形成条件下において重水を含むガスハイドレートに形成させたものであってもよい。
前記前記形成されたトリチウム水−重水を含むガスハイドレートの一部を回収してトリチウム水を含む溶液を回収してもよい。
本発明によれば、トリチウム水を含む被処理水から、トリチウム水を効率よく分離する技術を提供することができる。なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本発明中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
ガスハイドレートの生成条件下において、横軸に温度、縦軸に圧力を取った軽水100%と重水100%とトリチウム水100%の状態図を重ねて表示した図である。 本発明の方法の一例を示すスキーム1の図である。 本発明の方法の一例を示すスキーム2の図である。 本発明を実施するための装置構成の一例を示す図であり、本発明はこれに限定されない。 本発明を実施するための装置構成の一例のときの動作スキームを示す図であり、本発明はこれに限定されない。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。
<1.本発明に係るトリチウム水を含む被処理水からのトリチウム水の分離方法>
本発明は、トリチウム水を含む被処理水からのトリチウム水の分離方法である。本発明は、重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレートの形成条件下であってかつ軽水の液体状態を維持する条件下で、重水を含むガスハイドレート及び/又は当該ガスハイドレートをベースとするトリチウム水−重水を含むガスハイドレートに対して、トリチウム水を含む被処理水を接触させて、当該被処理水からトリチウム水を分離することが好適である。
本発明によれば、重水を含むガスハイドレート及び/又は当該ガスハイドレートをベースとするトリチウム水−重水を含むガスハイドレート(表面及び/又は内部)に、トリチウム水を含むガスハイドレートを形成させることができる。重水を含むガスハイドレートをベースにすることで、軽水よりもトリチウム水が優先的に取り込まれトリチウム水−重水を含むガスハイドレートを効率よく形成でき、当該ガスハイドレート中のトリチウム水濃度が高まる。また、当該ガスハイドレート中に含まれる軽水は微量である
また、本発明では、重水及び/又はトリチウム水、並びに汚染された軽水から、各ガスハイドレートを同時に晶析させなくともよい。このため、本発明では、トリチウム水を含むガスハイドレート中の軽水の含有量を低減させるために、再結晶法のような精密な温度・圧力制御が要求され且つ煩雑な操作を行わなくともよい点に大きな利点である。
本発明により、トリチウム水を含む混合液(被処理水)からトリチウム水を効率よく分離することができる。また、被処理水から分離されたトリチウムは重水との核融合反応に利用することも可能である。なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本発明中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
本発明におけるトリチウム水を含む混合液(以下、「トリチウム水を含む被処理水」又は「被処理水」ともいう)からのトリチウム水の分離方法に関し、一例として図2及び図3に示し、図2及び図3を参照して詳述するが、本発明はこれに限定されない。
〔1−1.被処理水〕
本発明に用いられる被処理水は、トリチウム水を少なくとも含む混合液である。当該トリチウム水を含む混合液とは、トリチウムによって汚染された軽水(以下、「汚染水」ともいう)であってもよい。また、当該汚染水は、被処理水には塩化ナトリウム等塩類を含んでいてもよく、トリチウムに汚染された海水、汽水又はこれらを含む軽水であってもよい。また、本発明に用いられる被処理水は、原子炉(核分裂)関連で発生するトリチウム含有の汚染水であってもよい。
本発明に用いられる被処理水は、トリチウムを少なくとも含むものであればよく、トリチウム水(例えばTHO、TDO、TO)の由来は特に限定されない。通常、低濃度のトリチウム水で汚染された軽水の場合、平衡反応(HO+TO⇔2THO)がTHO側にシフトし、ほとんどすべてがTHOとなっている。
また、被処理水には、本発明の効果を損なわない範囲内で、重水(例えば、D0、DHO)を含んでいてもよく、例えば、接触前のトリチウムを含む混合液中の重水濃度は特に制限はないが5%程度以下が好ましい。
また、前記汚染水には、トリチウム水及び重水以外の他の放射性核種(例えば、セシウム、ストロンチウム等)が含まれていてもよいが、効率的な分離の観点から、前処理工程として他の放射性核種を公知の方法で除去分離又は低減した汚染水を被処理水として用いることが好適である。
本発明に用いる被処理水中のトリチウム濃度は、特に限定されない。本発明であれば、被処理水中のトリチウム濃度が高濃度であっても低濃度であっても、トリチウム水のガスハイドレートが形成されて、これが優先的に重水のガスハイドレート及び/又はこれをベースとするトリチウム水−重水のガスハイドレートに固定化される利点を有する。
被処理水中のトリチウム濃度が低濃度でも、本発明であれば分離することができ、このときの被処理水中のトリチウム濃度は、その上限値として好適には1000×10Bq/L以下、より好適には50×10Bq/L以下、より好適には10×10Bq/L以下、さらに好適には5×10Bq/L以下であり、その下限値として、500Bq/L以上であることが好ましく、より好適には0.001×10Bq/L以上、さらに好適には0.01×10Bq/L以上、よりさらに好適には0.05×10Bq/L以上、より好適には0.1×10Bq/L以上である。本発明によれば、被処理水中のトリチウム濃度が0.5×10Bq/L〜5×10Bq/L程度の低濃度であっても容易に分離可能であるという当該技術分野において極めて有利な利点を有する。また、このトリチウム濃度の1/10〜10倍程度の被処理水からも本発明であればトリチウム水を容易に分離可能である。なお、現時点の福島第一原子力発電所において公共水域に放出する場合の制限値は1500Bq/L以下となっているが、各施設ごとや各国によって規制値は異なっているが、本発明の場合、後記〔実施例〕の表1に示すように処理水を500程度Bq/L以下にすることも可能である。また、トリチウム濃度は、液体シンチレーション法で測定することができる。
また本発明に用いられる被処理水中の塩化ナトリウム等の塩類の濃度は、特に限定されないが、海水の塩(約3.5質量%)濃度程度含んでいてもよい。本発明であれば、本発明のガスハイドレートと接触する際に、塩化ナトリウム等の塩類を10質量%程度含んで行うことが可能である。この塩化ナトリウム等の塩類は、後述する接触反応後にトリチウム濃度の基準値を満たした被処理水に対して、さらに逆浸透膜や活性炭等のフィルター処理を行うことで除去することができる。
前記被処理水は、前処理として、被処理水中に含まれる夾雑物や有機物を除去するために、フィルター処理することが好ましい。これにより、ガスハイドレート法を良好に行うことができる。また、接触後の被処理水に対しても後処理としてフィルター処理を行うことができる。
前記フィルター処理として、特に限定されないが、例えば、活性炭処理、や精密ろ過膜(MF膜)処理、限界ろ過膜(UF)処理、ナノろ過膜(NF)処理、逆浸透膜(RO膜)処理の膜処理等が挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
〔1−2.重水を含むガスハイドレート及び/又は当該ガスハイドレートをベースとするトリチウム水−重水を含むガスハイドレート〕
本発明で用いられる重水を含むガスハイドレート及び/又は当該ガスハイドレートをベースとするトリチウム水−重水を含むガスハイドレート(以下、「本発明のガスハイドレート」ともいう)の形態は、塊状、スラリー状等を挙げることができるが、特に限定されない。必要に応じて粉砕手段を用いてガスハイドレートを粉砕してもよい。粉砕手段は特に限定されないが、回転翼羽やスクリュー羽根等の機械的破砕がその一例である。この粉砕手段にて、ガスハイドレートの大きさ(粒度)を調整することができる。
本発明に用いられる「重水を含むガスハイドレート及び/又は当該ガスハイドレートをベースとするトリチウム水−重水を含むガスハイドレート」の由来は、特に限定されない。当該ガスハイドレートは、例えば、別の工程(又は別の手段)で形成されたもの、接触反応工程又はその前処理工程で形成されたもの、回収されたもの等特に限定されず、またこれらを単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明は、「重水を含むガスハイドレート」が被処理水に接触反応することにより、その表面及び/又は内部に、トリチウム水を含むガスハイドレートを形成することができる。これにより、重水を含むガスハイドレートをベースとして、「トリチウム水−重水を含むガスハイドレート」を形成することができる。
さらに当該重水を含むガスハイドレートをベースとする「トリチウム水−重水を含むガスハイドレート」が、被処理水に接触反応することにより、その表面及び/又は内部に、トリチウム水を含むガスハイドレートを形成することができる。このように「トリチウム水−重水を含むガスハイドレート」にトリチウム水を取り込んで、トリチウム水濃度がより高くなった「トリチウム水−重水を含むガスハイドレート」(当該トリチウム水−重水を含むガスハイドレートは、重水を含むガスハイドレートをベースとするものである)を形成することができる。
前記重水を含むガスハイドレートは、重水を含む混合液を、重水のガスハイドレート形成条件下において重水を含むガスハイドレートに形成させたものであることが好適である。これをベースにしてトリチウム水を効率よく分離できる。
前記重水のガスハイドレートは、後述する接触反応工程又はその前処理工程(例えば、反応容器内等)で形成されたものでもよく、別の形成工程(又は別の製造手段)で形成されたものでもよい。別の形成工程で形成された重水のガスハイドレートを、前記接触反応工程に添加することができる。この添加により、接触反応容器内に外部から重水のガスハイドレートを充填でき、時間短縮や効率性の観点から好適である。
また、接触反応前に反応容器内に重水ガスハイドレートを形成させることで、接触反応工程の反応容器の内壁に重水ガスハイドレートをコーティングすることができる。重水ガスハイドレートを充填及びコーティングすることは、トリチウム回収率向上の観点から好適である。
別の形成工程で形成された重水のガスハイドレートは、重水を含むガスハイドレートを形成する工程を経て得られたものが好適である。より具体的には、重水を含む混合液を重水のガスハイドレート形成条件下において、重水を含むガスハイドレートに形成されたものが好ましい。これをベースにトリチウム水を効率よく分離できる。また、別の形成工程で形成された外部からの重水のガスハイドレートを、前記接触反応工程に添加することで、重水のガスハイドレートの基準値の充填率まで速やかに高くし接触反応の初期段階を速やかに開始することができる。
また、本発明では、接触後の被処理水との分離後に回収されたガスハイドレートを用いてもよい。当該回収されたガスハイドレートは、重水を含むガスハイドレートがベースとなっているものであればよく、トリチウム水−重水のガスハイドレートを回収して使用してもよいし、トリチウム水−重水のガスハイドレートからトリチウム水部分を一部又は全部除去したものを使用してもよい。
回収されたガスハイドレートを再利用することで、重水のガスハイドレートの形成時間を短縮することができ、また、コスト的にも有利である。回収されたガスハイドレートを使用する際に重水のガスハイドレートが基準値より少し低下してもトリチウム水の分離能や回収効率は低下しないという本発明の有利な利点がある。なお、重水のガスハイドレートが基準値より不足(例えば50%以下)する場合には触反応工程の前処理で適宜形成させてもよいし、別に形成された重水のガスハイドレートを接触反応工程に適宜添加してもよい。
重水のガスハイドレート形成条件及びガスハイドレート形成方法等については、後述する<1.トリチウム水を含む被処理水からのトリチウム水の分離方法>の「重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレートの形成条件下によるガスハイドレートの形成工程」及び<3.トリチウム水汚染水の汚染水処理装置又はトリチウム水を含む被処理水からのトリチウム水の分離装置>の「工程A」を利用することができ、公知の重水のガスハイドレートの形成方法を参考にすることもできる。
重水のガスハイドレート化の温度は、特に限定されないが、重水がガスハイドレート化する温度より10℃低温までの温度領域が好適である。
重水のガスハイドレート化のガスは、特に限定されないが、CH(HFC−32)、CHFCF(HFC−134a)、CFCFCH(HFO−1234yf)、C(プロパン)及びCO(二酸化炭素)から選ばれる1種又は2種以上が好適である。
重水のガスハイドレート化の圧力は、特に限定されないが、重水がガスハイドレート化する圧力から、これより0.2MPa高圧までの圧力領域が好適である。
前記重水のガスハイドレートを形成するための重水を含む混合液は、本発明の効果を損なわない範囲内で、重水の他、軽水やトリチウム水が含まれていてもよい。本発明の重水のガスハイドレートとして用いることができれば、トリチウム水で汚染された軽水や本発明で用いる被処理水に、重水を添加して重水を含む混合液に調製してもよい。
前記重水を含む混合液中の重水濃度は、特に限定されず、軽水ガスハイドレートの溶融分解が優勢とならない重水濃度10質量%以上が好ましい。さらに、重水を含む混合液中の重水濃度は、トリチウム分離能を発揮しやすい重水のガスハイドレートを得るためには重水が主成分以上であることが好ましく、トリチウム分離能発揮の観点から、より好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上、よりさらに好ましくは99質量%以上である。また、重水の製造コスト的に、重水を含む混合液中の重水濃度が70〜90質量%程度が好ましい。
なお、当該重水は、市販品又は公知の重水の製造方法にて工業的に製造されたものを用いることができ、重水を軽水に混合することで、重水濃度が調整された重水を含む混合液を得ることもできる。
〔1−3.被処理水接触反応工程〕
本発明は、重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレートの形成条件下であってかつ軽水の液体状態を維持する条件下で、重水を含むガスハイドレート及び/又は当該ガスハイドレートをベースとするトリチウム水−重水を含むガスハイドレートに対して、トリチウム水を含む被処理水を接触させて、当該被処理水からトリチウム水を分離する。
前記被処理水を接触させて、前記ガスハイドレート(表面及び/又は内部)に、トリチウム水を含むガスハイドレートを形成させることが好適である。これにより、トリチウム水をさらに含んだトリチウム水−重水を含むガスハイドレートを形成できる。
前記接触させて形成されたトリチウム水−重水を含むガスハイドレートと、接触後の被処理水とを分離することが好適である。これにより、接触後の被処理水を回収することで、トリチウム水低減の処理水が得られ、トリチウム水−重水のガスハイドレートを回収することで、トリチウム水がより高濃度で得られる。
前記形成されたトリチウム水−重水を含むガスハイドレートの一部を回収することでトリチウムを回収することが好適である。
形成されたトリチウム水−重水を含むガスハイドレートの表面を溶解させてトリチウムを回収することが好適である。温度及び/又は圧力制御による溶解制御が行いやすく、簡便に効率よくトリチウム水がより高濃度で得られる。
本発明において、本発明のガスハイドレート(体積部)に対して、接触させる被処理水の体積量は、特に限定されない。本発明は、上記ガスハイドレート条件下で、トリチウム水を取り込みながら形成されるトリチウム水−重水のガスハイドレートは固体状で、接触後の被処理水は液体状態であるので、オーバーフローさせながら接触反応を行うことも可能である。また、本発明のガスハイドレートは、トリチウム水のガスハイドレートを積層しながらトリチウム水を取り込んでいくのでトリチウム水分離能も低減しにくいので、被処理水量は特に限定されない。
前記被処理水の処理量は、作業効率及び回収効率の観点から、本発明のガスハイドレートの体積量(1m)に対して、その上限値として好ましくは10000倍以下、より好ましくは5000倍以下、さらに好ましくは2500倍以下であり、当該数値範囲として、被処理水の処理効率の観点から、好ましくは100〜2500倍より好ましくは500〜1500倍である。なお、被処理水1Lを1kgと換算できる。
本発明において、接触反応容器内に重水を含むガスハイドレートを所定量充填することが好適である。当該充填率(反応容器内の体積100%)は、特に限定されないが、その下限値として、好ましくは10%以上、さらに好ましくは20%以上、よりさらに好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上、その上限値は、好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下である。
ここで、本発明における「重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレートの形成条件」とは、重水とトリチウム水の両方又はいずれかのガスハイドレート形成条件であり、当該条件は、ゲスト分子の種類により異なるばかりか、形成するガスハイドレートの結晶構造によっても異なる。例えば、重水のガスハイドレートの構造がI型とII型の場合、重水のガスハイドレート相と氷相と水相とゲスト分子の気相との4重点(Q1)と、ハイドレート相と水相とゲスト分子のガス相と液相との4重点(Q2)の間における温度と圧力の間に条件を設定する。
また、本発明における「重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレートの形成条件下であってかつ軽水の液体状態を維持する条件下」には、本発明の効果を奏する範囲内で、重水のハイドレート生成平衡条件よりわずかに高圧側の定常条件及び/又は重水のハイドレート生成平衡条件よりわずかに低温側の定常条件であり、大部分の軽水が液体状態を維持可能な条件も含んでもよい。
なお、「大部分の軽水の液体状態を維持可能な条件」とは、トリチウム濃度が低い環境下では少量の軽水がガスハイドレートに含まれることもあるので、少なくとも9割程度以上の軽水が液体状態維持する条件下という意味である。例えば0.5×10Bq/L〜5×10Bq/L程度の場合では最大で2質量%程度の軽水がガスハイドレートに含まれることもあるので、この場合の「大部分の軽水の液体状態を維持する条件下」では、98%以上の軽水が液体状態で維持されている。
なお、一例であるが、大気圧下で、例えば軽水(HO)のQ1は0℃となり、例えば重水(DO)のQ1は3.82℃となり、例えばトリチウム水(TO)のQ1は4.49℃となる。これらのQ1や融点等の関係を考慮しつつ、重水のガスハイドレート形成条件下において、ベースとなる重水のガスハイドレートの表面及び/又は内部に、汚染された軽水から分離されたトリチウム水のガスハイドレートが形成でき、また、トリチウム水のガスハイドレート形成条件下でも汚染された軽水から分離されたトリチウム水のガスハイドレートが形成でき、ベースとなる重水のガスハイドレートの表面及び/又は内部に固化され得る。このように、トリチウム水のガスハイドレート形成条件から軽水の液体状態を維持する条件までの範囲内にて適宜制御することによって、分離するためのトリチウム水−重水を含むガスハイドレートを形成させることができ、本発明ではこの制御が容易である。
また、重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレート化の温度は、特に限定されないが、重水及び/又はトリチウム水がガスハイドレート化する温度の低温側の−10℃が好適である。重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレート化の圧力は、特に限定されないが、重水及び/又はトリチウム水がガスハイドレート化する圧力以上にすることが好適である。「わずかに高圧側」として、例えば、0.05〜0.3Mpa程度高い圧力が挙げられ、「わずかに低温側」として、例えば、−1.5℃程度低い温度が挙げられるが、これに特に限定されない。
ここで、本発明のガスハイドレートにおけるゲスト分子は、特に限定されず、一般的に用いられるものでよい。例えば、CH(HFC−32)、CHFCF(HFC−134a)、CFCFCH(HFO−1234yf)等のフッ化炭化水素;CH、C、C、C、C、C10等の炭化水素;Ar、Kr、Xe等の希ガス;N、O、HS、CO等及びこれらの混合ガス等が挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合わせて用いることが可能である。
このガスのなかでも、CH(HFC−32)、CHFCF(HFC−134a)、CFCFCH(HFO−1234yf)、C(プロパン)及びCO(二酸化炭素)が好ましい。さらに、取り扱い容易の観点から、CH(Difruoromethan:HFC−32)及び/又はプロパンが好ましい。
ガスハイドレート化を始める前に目的ゲスト分子以外のガス分子の数を減少させるために、始める前の容器及び液体の中に含まれるガス(例えば、空気、酸素、炭酸ガス等)を除くことが好適である。ガス除去する液体として、例えば、被処理水、重水を含む混合液等が挙げられるが、ガスハイドレート化させる液体であれば特に限定されず、ガス除去を前処理として行うことが望ましい。
当該ガス除去手段として、特に限定されないが、減圧ポンプ等が通常用いられる。その後、ゲスト分子と、ガスハイドレート化目的の液体(例えば、重水、被処理水等)とを混合する。当該混合手段として特に限定されないが、通常はガスバブリング法が用いられる。これらの処理をした上でガスハイドレート化を行う。なお、この際、ゲスト分子としてHFC−32は、水に対する溶解性が高いので、ガスハイドレート形成速度を速めることができる。
本発明において、本発明のガスハイドレートに対してトリチウム水を含む被処理水を接触させることにより、当該ガスハイドレートの表面及び/又は内部に、被処理水中のトリチウム水由来のトリチウム水を含むガスハイドレートを形成させることができる。この接触反応の際に、結晶成長が起こり易く、ベースとなる重水を含むガスハイドレート又はトリチウム水−重水を含むガスハイドレートの表面及び/又は内部に、トリチウム水を含むガスハイドレートが成長しやすい。また、この接触反応の際に、トリチウム水分子(THO)のトリチウムが、重水(DO又はDOH)中のH又はDと入れ替わる場合もあるので、ベースとなる本発明のガスハイドレートの内部にもトリチウム水を含むガスハイドレートが形成されることもある。この工程により、重水のガスハイドレートをベースとする「トリチウム水−重水を含むガスハイドレート」を形成したり、トリチウム水−重水のガスハイドレートの表面及び/又は内部にトリチウム水のガスハイドレートがさらに積層された「トリチウム水−重水のガスハイドレート」を形成することができる。このようにガスハイドレートの表面/又は内部に、被処理水中のトリチウム水がガスハイドレート化して移行するため、被処理水中のトリチウム水濃度が低減できる。
前記重水を含むガスハイドレートをベースとする「トリチウム水−重水を含むガスハイドレート」はさらに被処理水と接触することで、その内部に及び/又は表面にトリチウム水を含むガスハイドレートを形成する。形成されたトリチウム水を含むガスハイドレート自身もトリチウム水を取り込む能力をもつので、トリチウム水の取り込み能力は低下しない。このため、形成されたトリチウム水−重水を含むガスハイドレートは、トリチウム水を含む被処理水に繰り返し接触させることで、さらなるトリチウム水の高濃度化を図ることもできる。
さらに、接触反応後に前記トリチウム水濃度が低減された被処理水を、繰り返し、本発明のガスハイドレートに接触させて、被処理水中のトリチウム水濃度をさらに低減することも可能である。このような被処理水中のトリチウム水濃度の低減のための繰り返し処理を行うことにより、装置を大型化することで被処理水との接触面積を増大させたガスハイドレートを形成させなくとも、被処理水中のトリチウム水濃度をより高度に低減することも可能である。
なお、本発明において、ガスハイドレートを晶析させる操作において、晶析温度・圧力条件は、軽水がガスハイドレート化する条件でもよい。また、晶析温度・圧力条件は、重水及びトリチウム水がガスハイドレートとして安定に存在する平衡条件、すなわち図1の処理条件領域Zに限定されずに、(a)温度は処理条件領域Z内の温度より低温で、重水の融点より高温であればよく、また、(b)圧力は処理条件領域Z内の圧力より高圧であればよい。本発明において、温度・圧力制御に要求される精度は低くても良いので、操作性及び作業性の観点からも有利である。例えば、特許文献2の方法よりも要求精度を低くできるので、本発明の方法は制御が容易である。
上述のようにガスハイドレートを晶析させる操作の晶析温度・圧力条件が拡大できることにより、晶析の駆動力は大きくなり、ガスハイドレートを高速に形成させることも可能になり、全体の処理速度が高速化される。これは、晶析の駆動力は、晶析を行う温度と熱力学的平衡温度の差に比例し、且つ晶析前後の体積変化と圧力変化の積に比例して大きくなることによる(非特許文献3)。よって、本発明は、分離処理速度の観点、作業効率の観点及び経済的観点からも、有利である。
本発明においては、重水を含む混合液から晶析させたガスハイドレートに接触させることにより、該重水を含むガスハイドレートの表面及び/もしくは内部に、並びに/又は、接触処理により晶析したガスハイドレートの表面及び/もしくは内部に、汚染水に含有されるトリチウム水由来のトリチウム水を含むガスハイドレートを形成させる。これによって、トリチウム水の濃度を低減させる目的の汚染水を、繰り返し該ガスハイドレートに接触させる。この繰り返し処理を行うことにより、装置を大型化したり邪魔板を配置したりして該ガスハイドレートと汚染水との接触面積を増大させるような構成を採用することなくても、汚染水中のトリチウム水濃度をより高度に低減することができる。
本発明の非常に優れた利点として、被処理水中のトリチウム濃度が低濃度、すなわち軽水が多量に存在していても、優先的に継続的にトリチウムが本発明のガスハイドレートに固定化できる。さらにこれにより得られたトリチウム水−重水のガスハイドレート中に含まれる軽水は微量であり、トリチウムがより高濃度に凝集されることになる。
本発明であれば、接触後にトリチウム水がより低濃度化した被処理水であっても、さらに本発明のガスハイドレートに接触させることで、さらにこの被処理水中のトリチウム濃度を低減できる利点を有する。
〔1−4.トリチウム水−重水を含むガスハイドレートの分離工程〕
前記接触反応にて形成されたトリチウム水−重水を含むガスハイドレートと、接触後の被処理水とを分離することが好適である。当該分離し除去する方は、ガスハイドレート側であっても被処理水側であってもよく、特に限定されない。本発明は、分離方法や装置構成によって好適に分離手段を設定することができる点でも利点がある。当該分離手段として、例えば、固液分離、遠心分離等の公知の分離手段を用いることができるが、これに限定されない。
本発明は、前記接触反応させる際に、連続式及び/又はバッチ式にて行うことが好適である。公知の連続式又はバッチ式に準じて行うことができる。連続式及び/又はバッチ式として、被処理水の供給、ガスハイドレートとの接触、被処理水の排出の手順で行うことが好適である。
本発明の一例を以下に挙げるが、本発明はこれに限定されない。一例として、(a)バッチ槽で重水のハイドレートと被処理水を接触反応させる。トリチウム水−重水のハイドレート形成後に接触反応後の被処理水をフローで排出し、新たな被処理水を供給する。次いで新たな被処理水とトリチウム水−重水のハイドレートを接触反応させる。この供給−接触反応−排出を一定数繰り返す;(b)トリチウム水−重水のハイドレートを回収する。当該ハイドレードにあるトリチウム水部分を除去する。(c)この除去後のハイドレートを再利用する、及び/又は新たに形成された重水のハイドレートを使用して、前記(a)戻ってトリチウム水の分離を行う。
また、本発明は、循環式を行うことができ、より具体的にはガスハイドレートに接触後の被処理水を、前記接触反応に再度給水するような循環式処理を採用することが好適である。循環式処理として、被処理水の供給、ガスハイドレートとの接触、被処理水の排出、接触後の処理水を被処理水として供給の手順で行うことが好適である。
〔1−5.トリチウム水回収工程〕
本発明は、さらに前記形成されたトリチウム水−重水を含むガスハイドレートの一部を分離回収することが好適である。この分離回収により、トリチウム水を含む溶液を回収できるので、トリチウム水を効率よく回収することができる。
上述したように、重水のガスハイドレートの表面及び/又その内部に、被処理水中のトリチウム水由来のトリチウム水を含むガスハイドレートが形成され、その結果、トリチウム水−重水を含むガスハイドレート固体を形成している。このため、トリチウム水−重水を含むガスハイドレート固体において「トリチウム水が存在する部分」を回収することで、効率よくトリチウム水を分離回収することができる。
なお、回収された「トリチウム水が存在する部分」には軽水及び重水を含む場合があり、回収されたトリチウム水混合液は、既存の蒸留法、化学交換法、電解法、CECE法、吸着法や深冷法等のトリチウム濃縮技術により、さらにトリチウムを濃縮してもよい。
「トリチウム水が存在する部分」とは、トリチウム水を少なくとも含む部分であり、当該部分には、重水、軽水を含んでいてもよい。より高い回収率確保の観点から、好ましくは、トリチウム水が高濃度に存在する部分であり、当該高濃度部分として、例えば、トリチウム水−重水を含むガスハイドレートにおいて、ベースとなった重水を含むガスハイドレート層の上層として付着形成されたトリチウム水を含むガスハイドレート層が好適である。本発明の接触反応により、トリチウム水を含むガスハイドレートは、重水のガスハイドレートの上に多層晶析することが可能である。当該多層部分にトリチウム水が高濃度に存在することになる。
例えば、吸着剤によるガスハイドレートを除去する方法もあるが、吸着剤の場合、吸着の活性点が覆われることで機能しなくなる。吸着剤からの分離が困難な場合には、吸着剤ごと貯蔵する必要があり、体積が多くなる。また、吸着剤から分離するにしても、トリチウム水であるため煩雑な工程が必要になる。
これに対し、本発明は、トリチウム水−重水のガスハイドレートから、トリチウム濃度が高い部分を選択的に回収することが容易であり、当該回収部分においてトリチウムが高濃度になっているため、溶融等の容易な回収方法で行うことができ、またトリチウム水の回収効率も高いという非常に優れた効果を有する。
前記「ガスハイドレート一部分」の回収手段として、溶融、削り等が挙げられるがこれに限定されず、また一般的に氷塊の表面除去を行う公知の方法を用いてもよい。
本発明において、トリチウム水−重水の溶融差(温度差又は溶融圧力差)を考慮して溶融してもよく、より具体的にはトリチウム水が溶融できる温度(又は圧力)で重水が溶融しない温度帯(又は圧力帯)で溶融処理を行ってもよい。また、回転翼羽、ドラム回転等の表面削り可能な機械的手段を行ってもよい。
得られた溶融部分又は削り部分等にトリチウム水が高濃度に存在するので、この部分を回収することで、トリチウムを効率よく高濃度で回収することができる。また、回収する際に温度制御することにより、トリチウム水を液体状態や固体状態等で回収することも可能である。さらにトリチウム水の高濃縮、トリチウム水の膜除去、又はトリチウム水の貯留等のいずれの工程に移行することも可能である。
さらに、前記「ガスハイドレートの一部分」を除去しても、重水を含むガスハイドレートがベースとして存在していれば、これをベースとして被処理水と接触反応させて、トリチウム水−重水を含むガスハイドレートが増大しつつ、トリチウム水の分離を行うことができる。このように、トリチウム水−重水のガスハイドレートに存在するトリチウム水のガスハイドレート層も増大していくので、これによりトリチウム水の分離能も高めることができる。そして、本発明であれば、重水のガスハイドレートを新たに追加しなくとも、一部除去後のトリチウム水−重水のガスハイドレートを再利用することも可能であるので、経済性及び作業効率性の観点からも有利である。
さらに、このトリチウム水−重水を含むガスハイドレート固体におけるトリチウム水分子の分布濃度は、ガスハイドレート表面近傍で最大で、表面から内部に向かい濃度が低下している。このため、ガスハイドレートを溶融させトリチウム水を回収する場合には表面を効率よく溶かせばよく、ガスハイドレート固体の大部分はそのまま保存し、再度利用することができる。よって、前記形成されたトリチウム水−重水を含むガスハイドレートの表面近傍を回収してトリチウムを分離回収することが好ましく、回収する際に、溶解させることが作業性及びコストの観点から好ましい。分離回収されたトリチウム水を含む溶液は、当該溶液中のトリチウム水の濃度が高いという利点を有する。本発明によれば、例えば、分離回収したガスハイドレート中のトリチウム濃度(Bq/L)を、10の3乗のオーダー以上に設定することができ、10の6〜7乗オーダーで設定でき、10の8乗オーダーまで設定可能と考える。
これに対して、特許文献2の方法では、トリチウム水分子はガスハイドレート固体中に一様に分布していることから、トリチウム水を回収する場合にはガスハイドレート全体を溶かす必要があるが、本発明では全体を溶融させなくともよいので、再利用、工程時短、作業効率や回収効率等の観点で優れている。
上述のように、トリチウム水を回収する際にガスハイドレート固体の表面近傍を効率よく溶かすことが、高濃度トリチウム水の回収等といった効率性及び作業性の観点からも好適である。
本発明においては、トリチウム水を回収する際に溶かす必要があるガスハイドレート量は、特許文献2の方法と比べて少ない。従って、ガス回収にかかるコストは相対的に少なくなる。また、ガス回収にかかる単位量当たりのコストが高いガス種であっても、本発明においては経済的合理性が得られ、使用が可能になる。
例えば、二酸化炭素ガスをガスハイドレート形成に用いた場合を挙げて説明する。二酸化炭素ガスは、水に対する溶解度が高く、ガスハイドレートを高速に晶析し得るガスである反面、水からの分離が物理的な方法では困難であり、水酸化カルシウムに吸収させ炭酸カルシウムとして固定化する等の化学的な方法による必要がある。しかし、一度固定化してしまうと、二酸化炭素ガスを分離するのに大きなエネルギーが必要となる。
これに対し、本発明では、液相中に溶解又は混和しているガス量が、特許文献2の方法と比べて相対的に少ないので、液相中に溶解又は混和している二酸化炭素ガスを回収しない、又は化学的に固定分離するが、再利用しないという工程を選択することも可能である。このように、本発明は、コスト面及び作業性の観点においても従来技術よりはるかに優れている。
<2.本発明に係るトリチウム水汚染水の処理方法>
本発明に係るトリチウム水汚染水の汚染水処理方法は、上述の本発明の分離方法に従って行うことができる。上述した構成と同じ構成については適宜省略する。
本発明は、重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレートの形成条件下であってかつ軽水の液体状態を維持する条件下で、重水を含むガスハイドレート及び/又は当該ガスハイドレートをベースとするトリチウム水−重水を含むガスハイドレートに対して、トリチウム水を含む被処理水を接触させて、当該被処理水からトリチウム水を分離することを含む、トリチウム汚染水の汚染水処理方法方法を提供することができる。
さらに、前記接触させることで、重水を含むガスハイドレート及び/又は当該ガスハイドレートをベースとするトリチウム水−重水を含むガスハイドレート(表面及び/又は内部)に、トリチウム水を含むガスハイドレートを形成させることができる。また、前記接触して形成されたトリチウム水−重水を含むガスハイドレートの氷状の結晶と、トリチウム水を含む被処理水とを分離することを含むことが好適である。また、前記重水を含むガスハイドレートが、重水を含む混合液を、重水のガスハイドレート形成条件下において重水を含むガスハイドレートに形成させることを経たものであることが好適である。また、前記接触させる際に、連続式又はバッチ式にて行うことが好適である。また、前記形成されたトリチウム水−重水を含むガスハイドレートの一部をトリチウムとして分離回収し、回収後の重水を含むガスハイドレートにて上記接触反応を行うことが好適である。
より具体的には、図2及び図3を参照して説明するが、これに限定されるものではない。
スキーム1について、図2を参照して説明する。
ステップ11(S11):まずトリチウム水を含む被処理水(汚染水)を、接触反応ステップに供給(給水)する。
ステップ12(S12):接触反応ステップにおいて、重水のガスハイドレートに対して、前記被処理水(汚染水)を接触させて反応させる。このとき、重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレートの形成条件下であってかつ軽水の液体状態を維持する条件下で行う。これにより、重水のガスハイドレートの内部及び/又は表面に、トリチウム水のガスハイドレートが取り込まれ、トリチウム水−重水のガスハイドレートが形成される。なお、ステップ2(S2)において、重水を含むガスハイドレートをベースとするトリチウム水−重水を含むガスハイドレートを用いてもよく、このときさらにトリチウム水濃度が高まったトリチウム水−重水のガスハイドレートが形成される。
ステップ13(S13):トリチウム水−重水のガスハイドレートと、接触反応後の被処理水とを分離する。例えば、接触反応後の被処理水を排出口から排出する。また、排出分を補充するため新たな被処理水を接触反応ステップに給水してもよい。新たな被処理水からトリチウム水が、トリチウム水のガスハイドレートとして、当該ガスハイドレートの内部及び/又は表面に、さらに取り込まれる。
ステップ130(S130):接触反応後の被処理水を回収する。基準値以下の場合、処理水として回収し、貯留又は外系に放流ことができる。
スキーム2について、図3を参照して説明する。
ステップ1(S11):まずトリチウム水を含む被処理水(汚染水)を、接触反応ステップに給水する。
ステップ20(S20):重水のガスハイドレートを形成し、形成された重水のガスハイドレートを接触反応のステップ12に供給する。
ステップ12(S12):ステップ12は上記スキーム1のステップ12と同様である。当該接触反応ステップにおいて、重水のガスハイドレート及び/又はこれをベースとするトリチウム水−重水のガスハイドレートに対して、前記被処理水(汚染水)を接触させて反応させる。
ステップ13(S13):ステップ13は上記スキーム1のステップ13と同様である。トリチウム水−重水のガスハイドレートと、接触反応後の被処理水とを分離する。
ステップ131:分離された接触反応後の被処理水中のトリチウム濃度が基準値以下か否かを判断する。基準値以下の場合には、上記ステップ130と同様に、処理水として回収する(ステップ132(S132))。基準値以上の場合には、ステップS11の接触反応ステップに再送し、再度トリチウム水の分離を行う。
なお、ステップ13(S13)の分離とステップ131(S131)の基準値判断とのステップを入れ替えてもよい。例えば、反応容器に被処理水の循環経路を設けた場合、循環経路でS131の基準判断を行うことで、被処理水が基準値以下に達したときに、処理後の被処理水を回収することも可能である。
ステップ30:(S30):トリチウム水−重水のガスハイドレートの固体を回収する。当該回収は、上記ステップ13(S13)にて接触反応後の被処理水を排出することで、固体を回収してもよい。
ステップ31(S31):トリチウム水−重水のガスハイドレートからトリチウム水を含むガスハイドレート部分を回収する。
例えば、トリチウム水−重水のガスハイドレートの表層にあるトリチウム水ガスハイドレートの一部又は全部を、溶融又は削りによって、当該ガスハイドレートから少なくともトリチウム水を含む部分を分離回収できる。
又は、トリチウム水−重水のガスハイドレートごと溶解させてもよい。この場合、後述するステップ31(S31)は省略してもよい。
ステップ32(S32):トリチウム水を含むガスハイドレート部分を回収し、液状又は固体状で貯留する。
ステップ33(S33):トリチウム水−重水のガスハイドレートからトリチウム水のガスハイドレート部分の一部又は全部を分離除去された重水のガスハイドレートを、接触反応ステップ(S12)に供給する。接触反応のための必要量が基準値以下の場合には、接触反応工程(S12)の前に重水のガスハイドレートを形成して補充してよいし、ステップ20(S20)から重水のガスハイドレートを新たに接触反応工程(S12)供給してもよい。
なお、本発明に係る分離方法及び汚染水処理方法を、処理対象となる被処理水からトリチウム水を分離するための汚染水処理装置及びこの汚染水処理制御装置(例えば、パーソナルコンピュータ等)におけるCPU等を含む汚染水処理制御部によって実現させることも可能である。また、本発明に係る汚染水処理方法を、記録媒体(不揮発性メモリ(USBメモリ等)、HDD、CD等)等を備えるハードウェア資源にプログラムとして格納し、前記制御部によって実現させることも可能である。当該制御部によって、被処理水と重水のハイドレートを接触反応するように制御する等の汚染水処理システムを提供することも可能である。
<3.本発明に係るトリチウム水汚染水の汚染水処理装置又はトリチウム水の汚染水からの分離装置>
本発明に係るトリチウム水汚染水の汚染水処理装置は、重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレートの形成条件下であってかつ軽水の液体状態を維持する条件下で、重水を含むガスハイドレート及び/又は当該ガスハイドレートをベースとするトリチウム水−重水を含むガスハイドレートに対して、トリチウム水を含む被処理水を接触反応させる接触反応装置を少なくとも備えるものである。また、本発明に係るトリチウム水汚染水の汚染水処理装置は、トリチウム水の汚染水からの分離装置としても使用することができる。
本発明の接触反応装置は、被処理水を供給及び排出できる手段、重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレートが形成できる手段、並びにガスハイドレートと被処理水を接触反応できる手段を備えるように構成されている装置が好適である。
より具体的な接触反応装置の1例として、被処理水の供給口及び排出口を有し、被処理水及びガスハイドレートが接触反応可能な、ガスハイドレート形成用の反応容器を備える装置であることが好ましいが、これに限定されない。なお、当該接触反応装置は、重水のガスハイドレート及び/又はトリチウム水−重水のガスハイドレートを形成させることができる。また、例えば、当該接触反応装置は、重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレート結晶化が可能な公知の装置を利用してもよいが、例えば、当該接触反応槽の外部に、当該接触反応槽上部と接触反応槽底部とをつなぐ循環パイプを有し、このパイプの中間部には底部から上部方向に圧送するポンプを有する接触反応装置等が挙げられるが、これに限定されない。また、本発明の汚染水処理装置には、本発明の方法に従って、被処理水の処理量及びガスハイドレート形成等を制御できる制御部を備えるものが好適である。
前記接触反応装置は、上記接触反応させるための接触反応容器の他、重水のハイドレート供給部、加熱冷却部、ガス供給部、被処理水の給水部、接触反応後被処理水の排水部等を適宜備え、これらのいずれか又はこれらの組み合わせを適宜備えてもよい。
当該加熱冷却部(例えば、ヒーター、冷凍機等)、ガス供給部(例えば、管、調節弁、ポンプ等)は、ハイドレート形成及び/又は溶解を行うための装置(手段)である。加熱冷却部及びガス供給部はそれぞれ温度制御部及び圧力制御部によって制御されてもよい。また、これら各部を制御し接触反応を制御する接触反応制御部を、さらに備えることが好適である。当該接触反応制御部は、本発明の接触反応装置又は本発明の汚染水処理装置に配置されてもよいし、又はアクセス可能な装置(例えば、サーバ等)内に配置してもよい。
また、本発明の汚染水処理装置には、前記接触反応部に被処理水を供給(給水)する装置(供給手段)、接触反応後の被処理水を排出(排水)する装置(排出手段)等をさらに備えることが好適である。また、接触反応後の被処理水のトリチウム濃度を計測する計測装置及び当該被処理水が基準濃度以下か否かを判断する判断処理部を備えても良い。当該判断処理部により、基準値以下の場合には、軽水タンクに流入させて貯留する又は外系に放流させることができる。基準値以上又は超えの場合には、前記接触反応部に再送することができる。
また、本発明の汚染水処理装置には、前記接触反応により形成されたトリチウム水−重水のガスハイドレートから、トリチウム水を回収するトリチウム水回収部をさらに備えてもよい。当該トリチウム水回収部は、上述の接触反応部の槽内にて行うことが可能であり、この場合の温度制御部及び圧力制御部によってこれらを制御することで、トリチウム水−重水のガスハイドレートからトリチウム水を回収することができる。また、トリチウム水−重水のガスハイドレートを固液分離にて回収する固液分離部を備えてもよい。回収されたトリチウム水は、トリチウム水タンクにて貯留することができる。また、重水も溶融条件を調整することで、重水タンクに回収し貯留することができる。溶融させて発生したガスは、ガス供給部に再送することも可能である。
本発明の汚染水処理装置には、当該接触反応制御部を制御する汚染水処理制御部を備えてもよく、当該制御部は、本発明の汚染水処理方法(接触反応、ガスハイドレート形成・溶融、回収等)を管理制御することができる。
本発明の汚染水処理装置によれば、トリチウム水を含む被処理水の汚染水からトリチウム水を効率よく分離することができ、これにより処理水中のトリチウム水を除去又は低減できる。
さらに、本発明の汚染水処理装置は、重水のガスハイドレート製造装置をさらに備えることが好適である。当該重水のガスハイドレート製造装置は、当該ガスハイドレート形成処理部を備えてもよく、さらにこれは汚染処理水制御部によって制御されてもよい。
前記重水のハイドレート供給部として、供給管、供給ポンプ(スラリーポンプ等)等が挙げられ、また、前記接触反応装置に供給前に、ハイドレートの粉砕装置を備えてもよい。
〔3−1.本発明の汚染水処理装置又は分離装置及び動作の一例〕
本発明の汚染水処理装置又は分離装置には、前記接触反応装置に供給するための、重水のガスハイドレート製造装置をさらに備えることが好適である。前記汚染水処理装置は分離装置として使用することもでき、また前記分離装置は汚染水処理装置としても使用することができる。前記重水のガスハイドレート製造装置には、当該ガスハイドレートを製造するための、加熱冷却部及びガス供給部、温度制御部、圧力制御部、重水製造部、ガスタンク部、これらの制御部等を備えてもよい。
以下に、本発明の汚染水処理装置の一例を挙げ、本発明の汚染水処理装置について、図4及び図5を参照して、この装置構成及びその動作について説明するが、本発明はこれに限定されない。
本発明の汚染水処理装置の一例として、(a)重水を含む混合液を、重水のガスハイドレート形成条件下において重水を含むガスハイドレートに形成させるガスハイドレート形成装置と、(b)重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレートの形成条件下であってかつ軽水の液体状態を維持する条件下で、重水を含むガスハイドレートに対して、トリチウム水を含む被処理水を接触反応させる接触反応装置と、を備える汚染水処理装置を挙げる。さらに、当該汚染水処理装置は、当該汚染水処理制御部によって下記の工程A〜Cを行うように制御されている。
<3−1(1).工程A:重水のガスハイドレート生成>
重水を重水タンク(10)からポンプ(11)を使用して、重水予冷タンク(13)に圧送する。重水はDOまたはDOHの少なくともいずれかを含む。また、純度100%である必要はない。
重水予冷タンク(13)中の重水を、温度制御装置(12)を使用して、その温度を重水がガスハイドレート化する温度あるいは該温度の±10℃の範囲内にある温度にする。重水タンク(10)を重水予冷タンク(13)として兼用しても良いが、重水タンク(10)に貯留する重水量が多い場合には、予冷温度の精密な制御が困難になるので、重水タンク(10)と重水予冷タンク(13)に分割した方がよい。
ガスハイドレート製造タンク(16)中の空気を、ガスタンク(20)中のガスハイドレートを構成させるガスを導入することにより置換する。温度制御装置(15)を使用して、ガスの温度を重水がガスハイドレート化する温度に調整する。置換したガスの圧力は大気圧あるいは大気圧より低い圧力あるいは、大気圧より高く且つ使用するガスが液化する圧力より低い圧力とする。ここで使用されるガスは、一般的に用いられるものでよく、特に限定されない。たとえば、CH(HFC−32)、CHFCF(HFC−134a)、CFCFCH(HFO−1234yf)などのフッ化炭化水素、CH、C、C、C、C、C10などの炭化水素、Ar、Kr、N、O、Xe、HS、CO等およびこれらの混合ガスが挙げられる。
前項に挙げたガスのなかでも、CH(HFC−32)、CHFCF(HFC−134a)、CFCFCH(HFO−1234yf)、C(プロパン)及びCO(二酸化炭素)が好ましい。
ガスハイドレート製造タンク(16)中の空気は、その手段は限定されないが、あらかじめ真空ポンプなどにより脱気して、減圧しておく。
予冷された重水予冷タンク(13)中の重水をポンプ(14)でガスハイドレート製造タンク(16)中に圧送する。ガスハイドレート製造タンク(16)の圧力は重水が装填されることにより上昇する。圧力が、重水がガスハイドレート化する圧力より高い場合には、即座に重水ガスハイドレートが晶析する。圧力が、重水がガスハイドレート化する圧力より低い場合には、ガスを導入して、ガスハイドレート製造タンク内の圧力を、重水がガスハイドレート化する圧力以上にする。この圧力は図1の領域Zの圧力よりも高くても良い。ただし、圧力は晶析する重水ガスハイドレートの粒径に影響を与える。圧力が高い場合には塊状で粒径が大きい重水ガスハイドレート固体が得られる。圧力が比較的低い場合にはシャーベット状の粒径が小さい重水ガスハイドレート固体が得られる。
又、ガスハイドレートが晶出すると、気体のガスが固体であるガスハイドレートに取り込まれるので、ガスハイドレート製造タンク(16)の圧力が低下する。この圧力低下分を補償するために、自動制御でガスをガスハイドレート製造タンク(16)中に導入する。同時にガスハイドレートが晶析すると生成熱が発生するので、自動制御で冷却を行い、温度が一定になるようにする必要がある。
粉砕装置(18)を脱気したのち、該ガスを導入し、前項におけるガスハイドレート製造に使用した圧力と同じあるいは図1の領域Zの圧力範囲の圧力とする。反応装置(40)を脱気したのち、該ガスを導入し、前項におけるガスハイドレート製造に使用した圧力と同じあるいは図1の領域Zの圧力範囲の圧力とする。反応装置(40)の温度を、温度制御装置(41)を使用して図1の領域Zの温度範囲の温度とする。その後、前項で晶析させた重水ガスハイドレートを粉砕装置内に移送し、粉砕し、さらに反応装置内に装填する。重水ガスハイドレートの粉砕手段としては特に限定されないが、回転翼刃による機械的粉砕がその一例である。
重水ガスハイドレートをガスハイドレート製造タンク(16)から粉砕装置(18)内に移送する際に、ガスタンク(20)からガスハイドレート製造タンクにガスをさらに導入して内圧を高め、これを駆動力としてガスハイドレートを移送しても良い。移送完了後、必要があれば、ガスをガス回収装置(23)に排出してもよい。
ガスハイドレート製造タンク(16)から、粉砕装置内(18)への重水ガスハイドレートの移送手段としては特に限定されないが、粉砕装置内の回転翼刃がスクリューポンプとして機能するのを利用しても良い。また、粉砕装置内(18)から反応装置(40)への重水ガスハイドレートの移送手段としては特に限定されないが、粉砕装置(18)後段のスクリューポンプ(19)を用いることができる。
ガスハイドレート製造タンク(16)、粉砕装置(18)及び反応装置(40)あるいは、ガスハイドレート製造タンク(16)と粉砕装置(18)、あるいは粉砕装置(18)と反応装置(40)は一体化することができる。また、シャーベット状の粒径が小さい重水ガスハイドレート固体の場合には、粉砕装置(18)は省略することが可能である。
<3−1(2).工程B:トリチウム水−重水のガスハイドレートとの接触反応>
汚染水は、前処理として汚染水に含まれる粗大な夾雑物をフィルター等で排除し、有機物を活性炭フィルター等で取り除いた後に、汚水タンク(30)に貯留される。ガスハイドレート法による操作に支障をきたさない場合には前処理を省略しても良い。
汚染水タンク(30)中の汚染水を、ポンプ(31)を使用して、汚染水予冷タンク(33)に圧送する。
汚染水予冷タンク(33)中の汚染水を、温度制御装置(32)を使用して、その温度を重水がガスハイドレート化する温度あるいは該温度の±10℃の範囲内にある温度にする。汚染水タンク(30)を汚染水予冷タンク(33)として兼用しても良いが、汚染水タンク(30)に貯留する汚染水量が多い場合には、予冷温度の精密な制御が困難になるので、汚染水タンク(30)と汚染水予冷タンク(33)に分割した方がよい。
汚染水予冷タンク(33)中の予冷された重水をポンプ(34)で重水ガスハイドレートが装填された反応装置(40)中に圧送する。反応装置(40)は単純な圧力容器でも良いが、内部に攪拌機構を設置してもよい。又、汚染水入り口から、汚染水出口までの距離を長く取る目的で、内部に邪魔板を設置しても良い。
汚染水中のトリチウム水を、重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレートの形成条件下であって且つ軽水の液体状態を維持する温度及び圧力条件下、すなわち図1の領域Z内の温度及び圧力で、工程Aで得た重水ガスハイドレートに接触させることにより、重水ガスハイドレート上にトリチウム水を構造中に含むガスハイドレートが晶出する。これにより、汚染水からトリチウム水をガスハイドレート側に移行させ分離することができる。
汚染水(原水)は、反応装置(40)下部の入口から装置中に連続的に圧送され、上向流として重水ガスハイドレートと接触し、反応後の汚染水は、反応装置上部の出口から排出される。この排出口には重水ガスハイドレートの流出を防止する目的でストレーナーが設置されている。ただし、汚染水(原水)の出入口の幾何学的配置には制限はなく、自由に配置することが可能であるが、入口と出口間の距離が長い方が汚染水と重水ガスハイドレートとの接触面積を広く取ることができるので、反応効率が高くなり有利である。又、上向流とした方が、重水ガスハイドレートの流出を防止するのが容易である。一方、反応装置(40)の製造コスト及び温度制御の容易さの点から、反応装置形状には制約が生じるので、反応装置の形態は、総合的に決定する必要がある
汚染水出口から排水されたトリチウム水除去後の汚染水は、そのトリチウム濃度があらかじめ設定された基準濃度と比較して低いと判断された場合には、ポンプ(42)によって、軽水タンク中に移送貯留する。
汚染水出口から排水されたトリチウム水除去後の汚染水は、そのトリチウム濃度があらかじめ設定された基準濃度と比較して高いと判断された場合には、再度、反応装置(40)にポンプ(42)によって圧送され、上記トリチウム水をガスハイドレート化することにより汚染水から除去する操作を、そのトリチウム濃度があらかじめ設定された基準濃度と比較して低いと判断されるまで、汚染水を外部循環させることによって繰り返してから、ポンプ(42)によって、軽水受けタンク(50)中に移送貯留する。
<3−1(3).工程C:トリチウム水回収>
トリチウム水を含有するガスハイドレートは、重水ガスハイドレート表面にその大半が存在する。しかし、トリチウムの内ごく一部は、同位体交換反応、すなわちトリチウム原子核と重水素原子核と軽水素原子核がその位置を交換するので、ごく一部であるがトリチウムは重水ガスハイドレートの内部まで侵入する。しかし、固体における原子核の拡散速度は常温では遅いので、トリチウムの進入深さは小さい。従って、その表面にトリチウム水を含むガスハイドレートが晶析した重水ガスハイドレートの表面を溶かし、液体とガスに分解すれば、汚染水から分離されたトリチウム水のほぼ全量を回収することができる。
又、トリチウム水の除去操作後、除去後の汚染水を軽水タンク中に移送貯留後に、毎回トリチウム水の回収操作を行う必要はない。これは、トリチウム水を含むガスハイドレートの晶析基板として機能するのが、重水ガスハイドレートだけではなく、重水ガスハイドレート上に晶析したトリチウム水を含むガスハイドレートも含まれるからである。すなわち、トリチウム水を含むガスハイドレートは、重水ガスハイドレート上に単層晶析するのではなく、多層晶析するわけである。
これは活性点が覆われてしまうと機能しなくなる吸着剤によるガスハイドレート除去とは、本発明が異なる点であり、本発明が有利な点である。
トリチウム水を含むガスハイドレートからトリチウム水を回収するためには、温度と圧力のうち、少なくともいずれかを、その安定条件からガスハイドレートの結合力を弱める方向にずらせばよい。すなわち、加熱するか、減圧するか、又はその両方を行う。このようにして得られたトリチウム水は、軽水及び重水を含んでいる混合液であって、これをポンプ(42)によってトリチウム水タンク(52)に移送する。気体状態のガスはガス回収装置(22)に回収する。
軽水及び重水を含んでいるトリチウム水混合液を回収後は、反応装置(40)及び配管内を少量の重水で洗浄する。洗浄液はポンプ(42)によってトリチウム水タンク(52)に移送する。
洗浄液回収後に、反応装置(40)内の重水ガスハイドレートの量があらかじめ規定した基準量より減少している場合には、反応装置内に重水を満たし、ガスを導入し、重水がガスハイドレート化する温度および圧力条件にすることにより、重水ガスハイドレートの量を基準値以上まで回復させる。このときの温度及び圧力条件は上記工程Aに記述した通りである。ただし、ガスハイドレートの粒子径が過大にならないように、圧力は高すぎないようにすることが好ましい。
洗浄液回収後に、反応装置(40)内の重水ガスハイドレートの量があらかじめ規定した基準量より大幅に減少している場合には、<工程A>により重水ガスハイドレートを製造し、反応装置内に不足分を再充填する。
メインテナンスが必要になった等によりシステム内の物質を排出する必要がある場合には、常温まで加熱し、減圧することにより重水ガスハイドレートを溶かし、重水はポンプ(42)によって重水受けタンク(51)に移送回収する。回収した重水は再利用することができる。気体状態のガスはガス回収装置(22)に回収する。
回収した軽水及び重水を含んでいるトリチウム水混合液は、既存の蒸留法、化学交換法、電解法、CECE法、吸着法や深冷法等のトリチウム濃縮技術により、さらにトリチウムを濃縮してもよい。
また、本発明は、以下の構成を採用することも可能である。
〔1〕
重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレートの形成条件下であってかつ軽水の液体状態を維持する条件下で、重水を含むガスハイドレート及び/又は当該ガスハイドレートをベースとするトリチウム水−重水を含むガスハイドレートに対して、トリチウム水を含む被処理水を接触させて、当該被処理水からトリチウム水を分離する方法。
〔2〕
前記被処理水を接触させて前記 ガスハイドレートの表面及び/又は内部に、トリチウム水を含むガスハイドレートを形成させる、前記〔1〕記載のトリチウム水の分離方法。
〔3〕
前記接触させて形成されたトリチウム水−重水を含むガスハイドレートと、接触後の被処理水 とを分離する、前記〔1〕又は〔2〕記載のトリチウム水の分離方法。
〔4〕
前記重水を含むガスハイドレートが、重水を含む混合液を、重水のガスハイドレート形成条件下において重水を含むガスハイドレートに形成させたものである、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか記載のトリチウム水の分離方法。
〔5〕
前記接触させる際に、連続式又はバッチ式にて行う、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか記載のトリチウム水の分離方法。
〔6〕
前記形成されたトリチウム水−重水を含むガスハイドレートの一部を回収してトリチウムを分離回収する、前記〔1〕〜〔5〕のいずれか記載のトリチウム水の分離方法。
〔7〕
重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレートの形成条件下であってかつ軽水の液体状態を維持する条件下で、重水を含むガスハイドレート及び/又は当該ガスハイドレートをベースとするトリチウム水−重水を含むガスハイドレートに対して、トリチウム水を含む被処理水を接触反応させて、当該被処理水からトリチウム水を分離する、トリチウム水汚染水の処理方法。
〔8〕
前記〔7〕記載のトリチウム水汚染水の処理方法において、前記〔2〕〜〔7〕のいずれかを選択する、汚染水の処理方法。
〔9〕
重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレートの形成条件下であってかつ軽水の液体状態を維持する条件下で、重水を含むガスハイドレート及び/又は当該ガスハイドレートをベースとするトリチウム水−重水を含むガスハイドレートに対して、トリチウム水を含む被処理水を接触反応させる接触反応装置を少なくとも備える、トリチウム水汚染水の処理装置。
〔10〕
被処理水が給水及び排出できる手段、重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレートが形成できる手段、並びにガスハイドレートと被処理水を接触反応できる手段を備える、汚染水の処理装置又は汚染水の処理システム。
〔11〕
被処理水の供給口及び排出口を有する、ガスハイドレート形成用反応容器を備えるガスハイドレート形成装置を備え、
前記反応容器が、被処理水及びガスハイドレートが接触反応できるものである、汚染水の処理装置。
前記汚染水処理装置には、さらに、重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレートの形成条件下であってかつ軽水の液体状態を維持する条件下で、重水を含むガスハイドレート及び/又は当該ガスハイドレートをベースとするトリチウム水−重水を含むガスハイドレートに対して、トリチウム水を含む被処理水を接触反応させるように制御する制御部を備えることが好適である。
〔12〕
前記〔9〕〜〔11〕のいずれか記載の処理装置又は処理システムにおいて、前記〔1〕〜〔8〕のいずれかを行うように構成されている、処理装置又は処理システム。
以下、実施例等に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例等は、本発明の代表的な実施例等の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
<実施例1>
試験用の汚染水として、超純水に市販のトリチウム試薬を混合し、トリチウム濃度が5.00×10、5.00×10及び5.00×10Bq/Lとなるように3つ調製した。調製した3つの汚染水はポリエチレン製広口ビンに入れ、さらに19.0℃の水浴中にいれた。
純度99.8%の重水(酸化重水素)を真空ポンプで脱気した圧力容器内に導入し、温度が19.0℃となるように調整した。圧力容器内にHFC−32ガスを徐々に導入し、圧力が0.17MPaあるいは0.25MPaとなるように調整し、重水ガスハイドレートを晶析させた。0.17MPaで晶析させた場合はシャーベット状を呈する粒径が小さいガスハイドレートが得られたのに対し、0.25MPaで晶析させた場合は塊状の粒径が大きいガスハイドレートが得られた。以降の試験では比表面積が大きい0.17MPaで晶析させたガスハイドレートを使用した。
上記で得られた0.17MPaで晶析させた重水ガスハイドレートの充填率を、以下の3通り(充填率50%、25%、1%)に設定した。重水ガスハイドレートを反応装置(圧力容器)に充填率50%および25%で充填した。また、反応装置の器壁に重水ガスハイドレート層をコーティングする目的で、真空ポンプで脱気した反応装置に純度99.8%の重水(重水濃度99.8質量%の混合液)を導入した後にHFC−32ガスを徐々に導入し、温度が19.0℃、圧力が0.25MPaとなるように調整後、ガスを排気した。その結果、反応装置の器壁に重水ガスハイドレート層が晶析した。排出させた重水の体積から算出した重水ガスハイドレート層の体積は、反応装置の容積の1%であった。以降、器壁に重水ハイドレート層をコーティングした場合を、「充填率1%」と呼ぶ。
重水ガスハイドレートを充填した反応装置の温度及び圧力を精密調整し、重水ガスハイドレート及びトリチウム水ガスハイドレートが安定化され、軽水はガスハイドレートせず液体状態となる条件となるようにした。この温度圧力条件を保ったまま、汚染水を反応装置に徐々にポンプで圧入した。汚染水導入開始から、反応装置の空隙容積(反応装置容積からガスハイドレート体積を減じた容積)の2倍量の汚染水を導入する間は、反応装置からオーバーフローした液相は反応装置上端の出口に接続した受けタンクで回収することにより、反応装置内に残留している重水と汚染水とを置換した。置換後は、反応装置出口からオーバーフローした液相は外部配管を通じてポンプで反応装置下端の入口に戻し、循環させた。この操作によって、汚染水中のトリチウム水は重水ガスハイドレート表面にガスハイドレートとして晶析し除去される。
一定時間経過後、外部循環ポンプを停止した後、ガスを反応装置内に導入し圧力、温度を設定条件に保ったまま、液相(除去処理後の汚染水)を軽水受けタンクで回収した。回収した液相中のトリチウム濃度を測定した。トリチウム濃度の測定は液体シンチレーション法によった。
これにより、トリチウム水−重水を含むガスハイドレートを得ることができ、このガスハイドレートを用いて、トリチウム水をより良好に回収することができた。よって、トリチウム水を含む汚染水から、トリチウム水を効率よく分離することができた。
Figure 0006901141
<実施例2>
試験に使用するガスをHFC−32からHFC−134aあるいはプロパンあるいはCOに変更し、HFC−134aでの試験(実施例2−1)、プロパンでの試験(実施例2−2)、COでの試験(実施例2−3)を行った。試験用の汚染水のトリチウム濃度は5.00×10Bq/Lとした。重水ガスハイドレートの充填率は50%とした。これ以外の試験方法は、<実施例1>と同様とした。トリチウム濃度の測定は、除去処理後の汚染水についてのみ行った。
これにより、HFC−32、HFC−134a、プロパン及びCOのいずれのガス条件でも、得られたガスハイドレートを用いて、トリチウム水をより良好に回収することができた。よって、通常ガスハイドレート形成に用いるガスを利用できれば、トリチウム水を含む汚染水から、トリチウム水を効率よく分離することができ、より好適にはHFC−32、HFC−134a、プロパン及びCOから選択される1種又は2種以上であった。
Figure 0006901141
<実施例3>
試験に使用する重水の純度を99.8%(重水濃度99.8質量%)から、軽水(超純水)で希釈し、70%あるいは50%に変更し、重水濃度70質量%での試験(実施例3−1)、重水濃度50質量%での試験(実施例3−2)を行った。試験用の汚染水のトリチウム濃度は5.00×10Bq/Lとした。重水ガスハイドレートの充填率は50%とした。これ以外の試験方法は、<実施例1>と同様とした。トリチウム濃度の測定は、除去処理後の汚染水についてのみ行った。
これにより、50%、70%及び99.8%のいずれの重水濃度であっても、得られたガスハイドレートを用いて、トリチウム水をより良好に回収することができた。よって、ベースとなる重水のガスハイドレートに使用する重水を含む混合液の重水濃度は特に限定されず、この重水のガスハイドレートをベースにすることで、トリチウム水を含む汚染水から、トリチウム水を効率よく分離することができ、より好適には50%以上であった。
Figure 0006901141
<実施例4>
<実施例1>の操作後、試験用の汚染水のトリチウム濃度が5.00×10Bq/L、重水ガスハイドレートの充填率が50%の条件の試験例において、液相(除去処理後の汚染水)を軽水受けタンクで回収し、反応装置内にトリチウム水−重水を含むガスハイドレートを残し、これを「分離回収されたガスハイドレート」とした。その後、反応装置内のガスを徐々に排気し、温度を設定条件に保ったまま、圧力を大気圧とした。この操作により、ガスハイドレートは次第に溶融し液相とガスになる。分離回収されたガスハイドレートから次第に溶融して得られる液相を、一定時間ごとにサンプリングし、各試料とした。最初にサンプリングした試料を1回目の試料とし、サンプリングを20回目行った。
1回目から10回目までサンプリングした各試料を混合して1〜10回目までの試料(実施例4−1)とし、11回目から20回目までサンプリングした各試料を混合して11〜20回目までの試料(実施例4−2)とし、2つのトリチウム濃度測定用試料とした。トリチウム濃度の測定は液体シンチレーション法によった。
これにより、重水ガスハイドレートの表面にトリチウム水が偏在していることが明らかになった。よって、ガスハイドレートからトリチウム水を回収する場合にはガスハイドレート表面のみを溶融し液化すれば十分であることが分かった。
Figure 0006901141
本発明は、トリチウム水を含む被処理水全般に利用することができ、原発事故で発生するトリチウムの他、原発の反応炉内で発生するトリチウム、宇宙線で発生するトリチウム等、汚染原因となるトリチウムの由来は特に限定されない。また、本発明での処理水は、さらに、イオンや塩類等水以外の不純物を除去する処理(逆浸透膜処理等)を行うことにより、さらに淡水化や純水化することができる。
10 重水タンク
11 ポンプ
12 温度制御装置
13 重水予冷タンク
14 ポンプ
15 温度制御装置
16 ガスハイドレート製造タンク
17 弁
18 粉砕装置
19 スラリーポンプ
20 ガスタンク
21 弁
22 ガス回収装置
23 弁
30 汚染水タンク
31 ポンプ
32 温度制御装置
33 汚染水予冷タンク
34 ポンプ
40 反応装置
41 温度制御装置
42 ポンプ
50 軽水受けタンク
51 重水受けタンク
52 トリチウム水タンク
53 弁
54 弁
55 弁

Claims (6)

  1. 重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレートの形成条件下であってかつ軽水の液体状態を維持する条件下で、重水を含むガスハイドレート及び/又は当該重水を含むガスハイドレートをベースとして形成されたトリチウム水−重水を含むガスハイドレートに対して、トリチウム水をトリチウム濃度0.05×10 Bq/L〜50×10 Bq/Lで含む被処理水を接触させて、前記ガスハイドレートの表面及び/又は内部に、トリチウム水を含むガスハイドレートを形成させながら、上層として付着形成されたトリチウム水を含むガスハイドレート層が積層したトリチウム水−重水を含むガスハイドレートを形成する被処理水接触反応工程、
    形成後、前記接触させて形成されたトリチウム水−重水を含むガスハイドレートと、接触後の被処理水とを分離する分離工程
    分離後、前記形成されたトリチウム水−重水を含むガスハイドレートの上層に付着形成されたトリチウム水を含むガスハイドレート層を回収して、この回収部分からトリチウム水を回収するトリチウム水回収工程
    を含む、前記被処理水からトリチウム水を分離する方法。
  2. 前記重水を含むガスハイドレートが、重水を含む混合液を、重水のガスハイドレート形成条件下において重水を含むガスハイドレートに形成させたものである、請求項1記載のトリチウム水の分離方法。
  3. 前記重水を含むガスハイドレートが、前処理工程にて、重水を重水濃度10質量%以上含む混合液を、重水のガスハイドレート形成条件下において形成させたものである、請求項1又は2記載のトリチウム水の分離方法。
  4. 前記被処理水接触反応工程における前記被処理水の処理量は、前記ガスハイドレートの体積量(1m )に対して、100〜10000倍である、請求項1〜3のいずれか一項記載のトリチウム水の分離方法。
  5. 前記被処理水接触反応工程は、接触反応容器内に、前記ガスハイドレートを充填率10体積%以上充填して行う、請求項1〜4のいずれか一項記載のトリチウム水の分離方法。
  6. 重水及び/又はトリチウム水のガスハイドレートの形成条件下であってかつ軽水の液体状態を維持する条件下で、重水を含むガスハイドレート及び/又は当該重水を含むガスハイドレートをベースとして形成されたトリチウム水−重水を含むガスハイドレートに対して、トリチウム水をトリチウム濃度0.05×10 Bq/L〜50×10 Bq/Lで含む被処理水を接触させて、前記ガスハイドレートの表面及び/又は内部に、トリチウム水を含むガスハイドレートを形成させながら、上層として付着形成されたトリチウム水を含むガスハイドレート層が積層したトリチウム水−重水を含むガスハイドレートを形成すること、
    形成後、前記接触させて形成されたトリチウム水−重水を含むガスハイドレートと、接触後の被処理水とを分離すること
    分離後、前記形成されたトリチウム水−重水を含むガスハイドレートの上層に付着形成されたトリチウム水を含むガスハイドレート層を回収して、この回収部分からトリチウム水を回収すること
    を含む前記被処理水からトリチウム水を分離する、トリチウム水汚染水の処理方法。
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