JP2015051719A - サスペンション制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 車輪速変動量に基づいて制御を行う減衰力可変ダンパの制御装置において、乗り心地を向上させる。
【解決手段】 車輪速センサ9によって検出された信号から車輪速変動量を抽出し、車輪速変動量に基づく入力値を車両状態量推定モデル33に入力して車両状態量を算出し、車両状態量に基づいて減衰力可変ダンパ6の減衰力を制御する減衰力可変ダンパの制御装置8であって、車輪のスリップ率の変化量であるスリップ率変化量が所定の閾値以上になると予測される場合に、スリップ率変化量が閾値未満になると予測される場合よりも、入力値を小さくするように補正する入力調整手段28を有するようにした。
【選択図】 図11

Description

本発明は、入力信号に応じて減衰力を調整可能な減衰力可変ダンパを備えた車両のサスペンション制御装置に関する。
近年、自動車のサスペンションに用いられるダンパとして、減衰力を段階的あるいは無段階に可変制御できる減衰力可変型のものが種々開発されている。減衰力を変化させる機構としては、ピストンに設けたオリフィスの面積をロータリバルブによって変化させる機械式のほか、作動油に磁気粘性流体(Magneto-Rheological Fluid:以下、MRFと記す)を用い、ピストンに設けた磁気流体バルブによってMRFの粘度を制御するMRF式が知られている。このような減衰力可変ダンパ(以下、単にダンパと記す)を装着した車両では、車両の走行状態に応じてダンパの減衰力を可変制御することにより、操縦安定性や乗り心地の向上を図ることが可能となる。
乗心地を向上する手法の1つとして、スカイフック理論に基づくスカイフック制御が知られている。乗心地制御(制振制御)を行うスカイフック制御では、ばね上の上下方向の移動を抑制するように目標減衰力を設定するため、ばね上速度を検出する必要がある。また、ダンパの特性として、オリフィスの面積やMRFの粘度が一定であったとしても、ストローク速度に応じて減衰力が変化することから、スカイフック制御を行うためにはストローク速度すなわちばね上とばね下との相対変位速度も検出する必要がある。
従来、スカイフック制御を行うサスペンション制御装置では、ばね上の上下速度やストローク速度を検出するために、各輪について上下Gセンサやストロークセンサを装着する必要があった。しかしながら、各輪に上下Gセンサやストロークセンサを設けるとコストが増大するという問題がある。また、ストロークセンサはホイールハウス内またはその近傍に取り付けられることから、配置スペースの確保が問題となる。そこで、これらの問題を解決すべく、ストロークセンサや上下Gセンサを設置することなく、ばね上とばね下との相対変位速度を車輪速変動量から算出し、算出した相対変位速度などに基づいて、ダンパの減衰力を制御するようにしたサスペンション制御装置が提案されている(特許文献1参照)。
特開2009−241813号公報
しかしながら、運転者によるアクセル操作やブレーキ操作を含む加減速操作が行われた場合、車輪のスリップ率が変化し、車輪速に変動が生じる場合がある。そのため、加減速操作に起因する変動量を含む車輪速変動量に応じてダンパの減衰力を制御すると、ダンパの制御が過剰になり、乗り心地が悪化する原因となる。
本発明は、以上の背景を鑑み、車輪速変動量に基づいて制御を行う減衰力可変ダンパの制御装置において、乗り心地を向上させることを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、車輪速センサ(9)によって検出された信号から車輪速変動量を抽出し、前記車輪速変動量に基づく入力値を車両状態量推定モデル(33)に入力して車両状態量を算出し、前記車両状態量に基づいて減衰力可変ダンパ(6)の減衰力を制御する減衰力可変ダンパの制御装置(8)であって、車輪のスリップ率の変化量であるスリップ率変化量が所定の閾値以上になると予測される場合に、前記スリップ率変化量が前記閾値未満になると予測される場合よりも、前記入力値を小さくするように補正する入力調整手段(28)を有することを特徴とする。
この構成によれば、スリップ率変化量が所定の閾値以上になると予測される場合に、車輪速変動量に基づく車両状態量推定モデルへの入力値を小さくするため、スリップ率の変化に起因する車輪速変動を除去し、車両状態量を一層高精度に算出することができる。これにより、車両状態量に基づく減衰力可変ダンパの制御が一層適切になり、乗り心地が向上する。
また、上記の発明において、前記入力調整手段は、運転者の操作に起因する加減速入力量に基づいて前記スリップ率変化量が前記閾値以上であるか否かを予測するとよい。
この構成によれば、スリップ率が変化する原因となる加減速入力量に基づいて、スリップ率変化量が所定の閾値以上になるか否かを予測するため、スリップ率の変化に迅速に対応することができ、制御を適時に適切に行うことができる。
また、上記の発明において、車両の横加速度を検出する横加速度検出手段を有し、
前記入力調整手段は、前記加減速入力量の変化量と所定の判定値とを比較することによって前記スリップ率変化量が前記閾値以上になるか否かを予測し、前記横加速度に応じて前記判定値を変化させるとよい。
この構成によれば、スリップ率の変化のし易さに影響を与える横加速度を考慮し、加減速入力量の変化量の判定値を変化させるため、加減速入力量に基づいたスリップ率変化量が所定の閾値以上になるか否かの予測精度が向上する。摩擦円を用いて検討すると、同じ加減速入力量であっても横加速度が生じている場合には、スリップ率の変化が起こり易いことがわかる。
また、上記の発明において、路面μを含む路面状態を推定する路面状態推定手段を有し、前記入力調整手段は、前記路面状態に応じて前記判定値を変化させるとよい。
この構成によれば、スリップ率の変化のし易さに影響を与える路面状態を考慮し、加減速入力量の変化量の判定値を変化させるため、加減速入力量に基づいたスリップ率変化量が所定の閾値以上になるか否かの予測精度が向上する。
また、上記の発明において、前記路面状態推定手段は、車輪の駆動トルクに対するスリップ率の比に基づいて前記路面状態を取得するとよい。
この構成によれば、路面状態によって影響される駆動トルクとスリップ率との関係から路面状態を取得することができる。
また、上記の発明において、前記入力値は、前記車輪速変動量にゲインを乗じることによって算出され、前記入力調整手段は、予測した前記スリップ率変化量が前記閾値以上であると予測される場合に、前記スリップ率変化量が前記閾値未満であると予測される場合よりも、前記ゲインを小さくするとよい。
この構成によれば、車輪速変動量に乗じるゲインを変化させることによって、スリップ率の変化に起因する車輪速変動量を除去することができる。
以上の構成によれば、車輪速変動量に基づいて制御を行う減衰力可変ダンパの制御装置において、乗り心地を向上させることができる。
実施形態に係るサスペンション制御装置を適用した車両の概略構成図 図1に示すサスペンションのモデル図 図1に示すサスペンション制御装置の概略構成を示すブロック図 図3に示す状態量推定部のブロック図 図4に示すばね下荷重一輪モデルにおける車輪速と接地荷重の関係を示すタイムチャート 図4に示すばね下荷重一輪モデルにおける車輪速変動と接地荷重変動との相関を示すグラフ 図4に示すばね下荷重一輪モデル計算部のブロック図 図3に示す車体速推定部のブロック図 図8に示す車体速推定部の要部制御ブロック図 図8に示す操舵補正量算出部のブロック図 図4に示す入力調整部のブロック図 (A)ブレーキ液圧変化量判定値、(B)駆動トルク変化量判定値を示すマップ 入力調整部におけるモデル入力ゲインの設定手順を示すフローチャート (A)図4に示す一輪モデルによるばね上速度の推定値とセンサ値とを比較したタイムチャート、(B)図4に示す一輪モデルによるストローク速度の推定値とセンサ値とを比較したタイムチャート 図3に示すスカイフック制御演算部のブロック図 図15に示す目標電流設定部が用いる目標電流マップ 図3に示すばね下制振制御演算部のブロック図 車輪速とばね下加速度とを対比して示す周波数応答図 ばね下加速度と図17に示すピークホールド・ランプダウン回路による目標電流とを対比して示すタイムチャート (A)平坦路走行時のローパスフィルタ処理前後の車輪速変動のタイムチャート、(B)荒れた舗装路走行時のローパスフィルタ処理前後の車輪速変動のタイムチャート 図3に示すサスペンション制御装置による減衰力制御の手順を示すフロー図
以下、本発明に係るサスペンション制御装置20を4輪自動車に適用した実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図中では4本の車輪3やそれらに対して配置された要素、すなわち、ダンパ6や車輪速Vw等については、それぞれ数字の符号に前後左右を示す添字を付して、例えば、車輪3FL(左前)、車輪3FR(右前)、車輪3RL(左後)、車輪3RR(右後)と記している。また、符号に添字を付した要素について一部をまとめて指す場合には、例えば、前輪3、後輪3と記している。
≪自動車Vの概略構成≫
先ず、図1を参照して、第1実施形態に係る自動車Vの概略構成について説明する。自動車(車両)Vの車体1にはタイヤ2が装着された車輪3が前後左右に設置されており、これら各車輪3がサスペンションアーム4や、スプリング5、減衰力可変式ダンパ(以下、単にダンパ6と記す)等からなるサスペンション7によって車体1に懸架されている。自動車Vには、各種の制御に供されるECU(Electronic Control Unit)8の他、車輪3ごとに設置された各車輪3の車輪速Vwを検出する車輪速センサ9や、車体1の横加速度Gyを検出する横Gセンサ10、車体1のヨーレイトγを検出するヨーレイトセンサ11、ステアリング操舵角δfを検出する操舵角センサ12、車体1の前後加速度Gxを検出する前後Gセンサ13等が車体1の適所に設置されている。
図示は省略するが、自動車Vには、ブレーキ時の車輪ロックを防ぐABS(Antilock Brake System)、または、加速時などの車輪空転を防ぐTCS(トラクションコントロールシステム)、或いは、ABSとTCSとを備え、旋回時のヨーモーメント制御、ブレーキアシスト機能などのための自動ブレーキ機能を備えた車両挙動安定化制御システムとして公知のVSA(Vehicle Stability Assist)制御が可能なブレーキ装置が搭載されている。これらABS、TCSおよびVSAは、推定した車体速Vbに基づく車輪速に対して車輪速センサ9の検出値が所定値以上乖離したことをもってスリップ状態を判定し、走行状態に応じて最適なブレーキ制御またはトラクションコントロール制御を行うことで車両挙動を安定化させる。
また、自動車Vには、ブレーキ装置のブレーキ液圧Pbを検出するブレーキ圧センサや、エンジントルクTeを検出するトルクセンサ、変速機のギヤポジションPgを検出するギヤポジションセンサなどが適所に設定されている。
ECU8は、マイクロコンピュータやROM、RAM、周辺回路、入出力インタフェース、各種ドライバ等から構成されており、通信回線(本実施形態では、CAN14(Controller Area Network))を介して、各車輪3のダンパ6や各センサ9〜13などと接続されている。ECU8やこれらのセンサ9〜13などによってサスペンション制御装置20が構成される。
本実施形態のダンパ6は、詳細な図示は省略するが、モノチューブ式(ド・カルボン式)であり、MRFが充填された円筒状のシリンダに対してピストンロッドが軸方向に摺動可能に挿入され、ピストンロッドの先端に装着されたピストンがシリンダ内を上部油室と下部油室とに区画し、上部油室と下部油室とを連通する連通路とこの連通路の内側に位置するMLVコイルとがピストンに設けられた公知の構成のものである。
ダンパ6は、シリンダの下端が車輪側部材であるサスペンションアーム4の上面に連結され、ピストンロッドの上端が車体側部材であるダンパベース(ホイールハウス上部)に連結される。模式的に表せば、図2に示すように各ダンパ6は、質量Mを有するばね下(車輪3やナックル、サスペンションアーム4を含むサスペンションスプリングの下側の可動部位)と車体1からなる質量Mを有するばね上とをスプリング5とともに連結している。
ECU8からMLVコイルに電流が供給されると、連通路を流通するMRFに磁界が印可されて強磁性微粒子が鎖状のクラスタを形成する。これにより、連通路を通過するMRFの見かけ上の粘度(以下、単に粘度と記す)が上昇し、ダンパ6の減衰力が増大する。
≪ECU8≫
次に、図3を参照して、サスペンション制御装置20の構成要素のうち、ダンパ6の制御を行うECU8の概略構成について説明する。なお、ECU8は、ダンパ6の制御だけでなく、ABS、TCSおよびVSAの制御も併せて行うものであるが、これらの制御を行う車両挙動制御部についての説明はここでは割愛する。
ECU8は、CAN14を介して上述した各センサ9〜12や車両挙動制御部などが接続する入力部21と、各センサ9〜12の検出信号などから自動車Vの状態量を推定する車両状態量推定部22と、車両状態量推定部22にて算出された各種値や各センサ9〜12などの検出信号から、自動車Vの操縦安定性および乗心地を向上すべく、各ダンパ6の各種制御目標電流を設定する制御目標電流設定部23と、所定の条件に応じてダンパ6の駆動電流を固定すべく電流固定信号Sfixを設定する電流固定化部24と、制御目標電流設定部23にて設定された各種制御目標電流のなかから各ダンパ6の目標電流Atgtを選択するとともに、電流固定信号Sfixに応じて各ダンパ6(MLVコイル)への駆動電流を生成してダンパ6の減衰力を制御するダンパ制御部25とを主要素として構成されている。
<車両状態量推定部22>
車両状態量推定部22は、車輪速Vwの単位時間当たりの変動量である車輪速変動量ΔVwが、車輪3の接地荷重の単位時間当たりの変動量である接地荷重変動量に一定の関係を有することを利用して自動車Vの状態量を推定するものであり、車輪速センサ9の検出値に基づき、車両モデルを用いて自動車Vの各種状態量を各輪について推定する状態量算出部31と、状態量算出部31に対する車輪速補正量である車体速Vb(内輪側車体速Vbiおよび外輪側車体速Vbo)を算出する車体速推定部32と、状態量算出部31に対する車輪速変動量のモデル入力ゲインG(補正値)を設定する入力調整部28とを有している。状態量算出部31は、前後左右の各輪に対する一輪モデル計算部33や四輪モデル計算部34を含んでいる。車体速推定部32は、加減速力算出部51や、ステアリング操作による補正量を算出する操舵補正量算出部53などを含んでいる。以下では、車両状態量推定部22の各部について、図4〜図14を参照しながら詳細に説明する。
<状態量算出部31>
図4に示すように、状態量算出部31では、入力した車輪速Vw(信号)が減算器35に加算値として入力する。減算器35には、後述する内輪側車体速Vbiまたは外輪側車体速Vboが減算値として入力しており、減算器35にて各車輪速Vwから内輪側車体速Vbiまたは外輪側車体速Vboが減算されることにより、車輪速Vwが補正される。すなわち、減算器35は、車輪速Vwに基づいて車輪速変動量ΔVw1を算出する車輪速変動算出手段としても機能する。
減算器35に入力する内輪側車体速Vbiまたは外輪側車体速Vboは、後述するように、自動車Vの車速変化や内外輪の旋回半径差に起因する軌跡長さの差による車輪速変動成分を除去するために算出されるものである。つまり、減算器35は、バンドパスフィルタ36に入力する前の各車輪速Vwから、車体速推定部32で算出された内輪側車体速Vbiまたは外輪側車体速Vboを減算することにより、運転者による操作などに起因する車体速Vb成分を車輪速Vwから除去する補正処理を行う補正手段として機能する。
減算器35から出力された車輪速変動量ΔVw1は、乗算器29に入力される。また、乗算器29には、後述する入力調整部28において設定されたモデル入力ゲインGが入力する。乗算器29にて、車輪速変動量ΔVw1およびモデル入力ゲインGが乗じられて調整車輪速変動量ΔVw2が算出される。
乗算器29から出力された調整車輪速変動量ΔVw2は、バンドパスフィルタ36を介してゲイン回路37に入力する。バンドパスフィルタ36は、0.5〜5Hzの周波数成分を通過させるバンドパス特性を有する。本実施形態では、通信回線としてCAN14を用いており、10〜20msec程度の更新周期で車輪速Vw信号が入力するため、バンドパスフィルタ36は、高周波成分を遮断し且つばね上共振帯の周波数成分(ばね上振動に対応した周波域の信号)を確実に取り出せるように、5Hz程度よりも低い帯域を通過させるローパス特性を有する。一方、車輪速Vw信号がより短い更新周期で入力する場合には、ばね下共振帯の周波数成分をも抽出できるように、例えば20Hzといったより高い帯域のローパス特性を有するバンドパスフィルタ36を用いてもよい。
また、バンドパスフィルタ36は、連続的に入力する調整車輪速変動量ΔVw2信号からDC成分を除去すべく、0.5Hz程度よりも高い帯域を通過させるハイパス特性を有する。これにより、ばね上振動に対応した5Hz以下の低周波域の信号から、運転者による操作などに起因する車体速Vb成分(制駆動力による車体速成分)を除去することができる。つまり、バンドパスフィルタ36は、車輪速Vwに基づいて車輪速変動量ΔVwを抽出する車輪速変動抽出手段として機能する。なお、バンドパスフィルタ36によって車輪速Vw信号からDC成分を除去できるため、車輪速Vwから車体速Vbを減算する減算器35を設けない構成とすることも可能である。
ゲイン回路37は、車輪速変動量ΔVwとばね下荷重u(接地荷重変動)とが一定の相関関係にあることを利用して、各輪の車輪速変動量ΔVwをばね下荷重uに変換する。以下に、ゲイン回路37が利用する車輪速変動量ΔVwとばね下荷重uとの関係について説明する。
例えば、自動車Vが一定速度で平坦路を直進走行している場合、車輪3の接地荷重は一定であり、車輪速Vwも一定である。ここで、車輪3は、接地荷重(ばね下質量M+ばね上質量M)に応じて接地部分が変形しており、タイヤ2の動的荷重半径Rdは無荷重状態に比べて小さくなっている。ところが、例えば時速80km/h程度で走行中に路面の凹凸によって接地荷重が図5(B)に示すように増減すると、タイヤ2の動的荷重半径Rdの変化に起因して、車輪速も接地荷重に対応して図5(A)に示すように増減する。ここでは、路面バウンスにより接地荷重が1Hz程度で変動するのと同様に、車輪速Vwも1Hz程度で変動している。なお、車輪速Vwおよび接地荷重はいずれもセンサによる検出値である。
このときの両センサの検出信号をバンドパス処理(ここでは0.5〜2Hzのバンドパスフィルタを通過させる)して求めたときの車輪速変動量ΔVwを横軸に、接地荷重変動を縦軸にとったグラフが図6である。図6に示すように、車輪速変動量ΔVwは接地荷重変動と比例関係になっており、下式として表すことができる。
=kΔVw
ただし、k:比例定数である。
そこで、図4のゲイン回路37は、車輪速変動量ΔVwに比例定数kを乗じて各輪のばね下荷重uを算出する。つまり、ゲイン回路37は、車輪速センサ9が検出した車輪速変動量ΔVwに基づいて自動車Vの基本入力量であるばね下荷重uを算出する基本入力量算出手段として機能する。
このように、車輪速Vwの信号から車体速Vb成分を除去する補正を行うことにより、加減速や旋回に起因した車速変動の影響を受けることなく、接地荷重の変動に起因した車輪速変動量ΔVwを精度良く算出することができる。また、車輪速Vw信号をばね上振動に対応するバンドパスフィルタ36に通すことにより、車輪速変動量ΔVwに基づいてばね下荷重uを高精度に算出することができる。そして、バンドパスフィルタ36によってばね下振動に対応する周波数域をカットすることにより、車輪速センサ9の検出精度や計測周期・通信速度を必要以上に高めずに済むため、サスペンション制御装置20の汎用性が向上する。
(一輪モデル計算部33)
ゲイン回路37から出力されたばね下荷重uは、一輪モデル計算部33に含まれる一輪モデル38に入力する。一輪モデル計算部33は、一輪モデル38にばね下荷重uを入力することにより、スカイフック制御部90での演算に供されるばね上速度Sおよびサスペンション7のストローク速度Ssといった自動車Vの状態量を演算・出力する。すなわち、一輪モデル38は、車輪速変動量ΔVwを外力として扱うことで自動車Vの各種状態量を算出する状態量算出手段をなす。
ここで、一輪モデル38の一例について詳細に説明すると、上記したように自動車Vの各車輪3は図2に示すように表すことができ、車輪3のばね下荷重uを入力uとして下式(1)で表すことができる。なお、本明細書の式中および図中では、1階微分値(dx/dt)および2階微分値(dx/dt)を下のように表示するものとする。
Figure 2015051719
Figure 2015051719
ここで、M:ばね下質量、M:ばね上質量、x:ばね下の上下方向位置、x:ばね上の上下方向位置、であり、d/dtは、ばね下の上下方向加速度、d/dtは、ばね上の上下方向加速度である。
ここで、ばね下質量Mおよびばね上質量Mは既知である。一方、入力uとしては、ばね下荷重uのほか、ダンパ6が減衰力可変式であることからダンパ6の減衰力uが含まれるが、ダンパ6の減衰力uは一輪モデル38内においてばね下荷重uに基づいて求めることができる。そこで、ばね下荷重uが車輪速Vwに基づいて算出できれば、ばね下荷重uおよびこれに基づいて算出したダンパ6の減衰力uを入力uとし、ばね上およびばね下間のばね定数K(スプリング5のばね定数)や、ばね下質量M、ばね上質量Mを考慮したシステム行列を用いることにより、ばね下およびばね上の上下方向加速度d/dt、d/dtや、ばね下位置x、ばね下速度dx/dtなどを求めることができる。なお、ストローク速度Ssは、dx/dt−dx/dtで表される。
具体的に説明すると、上式(1)のM・d/dtおよびM・d/dtは、それぞれ下式(2)、(3)のように表すことができる。
Figure 2015051719
Figure 2015051719
ただし、u:ばね下荷重、u:ダンパ6の減衰力、K:ばね定数、である。
そこで、一輪モデル38では、下式(4)の状態方程式をモデルとし、入力ベクトルuから下式(5)の状態変数xを算出する。
Figure 2015051719
Figure 2015051719
ただし、x:状態変数ベクトル、A,B:システム行列、である。
上式(2)〜(5)から、上式(4)は下式(6)として表される。
Figure 2015051719
このような状態方程式を用いた一輪モデル38は、図7に示すように、システム行列Bを用いた演算器39に入力uを入力し、演算器39からの出力を加算器40を介して積分器41に入力させ、積分器41からの出力を、システム行列Aを用いた演算器42に入力させて加算器40に戻す処理を行う。この一輪モデル38から第1〜第4観測行列43〜46の出力を得ることにより、ばね下位置x、ばね上位置x、ばね上速度S(d/dt)、およびストローク速度Ss(d/dt−d/dt)を算出することができる。なお、第1観測行列43は、ばね下位置観測行列であり、[1 0 0 0]である。第2観測行列44は、ばね上位置観測行列であり、[0 1 0 0]である。第3観測行列45は、ばね上速度観測行列であり、[0 0 0 1]である。第4観測行列46は、ストローク速度観測行列であり、[0 0 −1 1]である。すなわち、一輪モデル38における第1〜第4観測行列43〜46はそれぞれ、車輪速変動量ΔVwに基づいてばね下位置x、ばね上位置x、ばね上速度Sおよびストローク速度Ssを算出するための手段である。
このように、車輪速Vwに基づいて算出したばね下荷重uを一輪モデル38に入力することにより、サスペンション7にキャスター角が設定されているか否かにかかわらず、ばね上速度Sおよびストローク速度Ssを算出することができる。そして、ばね下荷重uからばね上速度Sおよびストローク速度Ssを算出できるため、自動車Vに上下Gセンサやストロークセンサを設ける必要がなく、サスペンション制御装置20のコスト低減を図ることができる。
再び図4に戻り、一輪モデル計算部33は、一輪モデル38にて算出されたばね下位置xおよびばね上位置xをフィードバックさせるフィードバック手段としてのPID回路47を備えている。これにより、一輪モデル計算部33では、一輪モデル38にて算出されたばね下位置xおよびばね上位置xと、ばね下基準位置xo(=0)またはばね上基準位置xo(=0)との偏差に基づいて、一輪モデル計算部33で算出されるばね下位置xおよびばね上位置xが補正され、平坦路の定速直進走行時といった定常状態における一輪モデル38のばね上位置xおよびばね下位置xが基準位置(初期値)に収束するようになっている。
これにより、ばね下荷重uが基準位置を参照して調整されるため、一方にオフセットした入力が継続した際にも、系全体がオフセットすることでばね上速度Sおよびストローク速度Ssに誤差が生じることが抑制される。また、他制御システム上でのデータ利用等も可能となる。
このように、一輪モデル計算部33は、ばね下荷重uおよびダンパ6の減衰力uを入力として一輪モデル38から第1観測行列43および第2観測行列44の出力を得ることにより、ばね下位置x、ばね上位置xを算出する位置算出手段として機能する。なお、ここでは一輪モデル計算部33を、PID回路47がばね下位置xおよびばね上位置xの両方をフィードバックさせる形態としているが、ばね下位置xとばね上位置xとの少なくとも一方をフィードバックさせ、ばね下位置xおよびばね上位置xを補正す形態としてもよい。一輪モデル計算部33で算出されたばね上速度Sおよびストローク速度Ssは、図3に示すように、スカイフック制御部90に入力する。
(四輪モデル計算部34)
図4に示すように、状態量算出部31に含まれる四輪モデル計算部34は、ピッチ角速度算出部48とロール角速度算出部49とを備えている。ピッチ角速度算出部48には、ゲイン回路37から出力されたばね下荷重uが入力する。ピッチ角速度算出部48は、前後加速度Gxや、サスペンション特性、ばね上質量Mなどに基づいてピッチ角速度ωpを求める。なお、ピッチ角速度算出部48は、入力された各輪のばね下荷重uに基づいて(車輪速Vwに基づいて)自動車Vの加減速度を算出し、この算出した前後加速度や、サスペンション特性、ばね上質量Mなどに基づいてピッチ角速度ωpを求めてもよい。一方、ロール角速度算出部49には、横Gセンサ10で検出された横加速度Gyが入力している。ロール角速度算出部49は、入力された横加速度Gyや、サスペンション特性、ばね上質量Mなどに基づいてロール角速度ωrを求める。なお、図3に示すように、ピッチ角速度ωpはピッチ制御部91に入力し、ロール角速度ωrはロール制御部92に入力する。
<車体速推定部32>
図3の車体速推定部32は、図8に示すように、自動車Vの加減速力F(Fe、Fs、Fd)を算出する加減速力算出部51と、加減速力算出部51により算出された加減速力に基づいて車体速Vbを算出する車体速算出部52と、ステアリング操作に応じた補正量(後述する内輪車体速比Rviおよび外輪車体速比Rvo)を算出する操舵補正量算出部53と、操舵補正量算出部53により算出された補正量に基づいて車体速Vbを補正する車体速補正部54とを有している。
加減速力算出部51は、エンジンまたはモータ等の原動機の出力による自動車Vの駆動力Fe(加速力)を算出する加速力算出部55と、路面勾配による自動車Vの減速力Fsを算出する路面勾配減速力算出部56と、路面勾配以外の要素に起因する自動車Vの減速力Fdを算出する減速力算出部57とを含んでいる。
加速力算出部55は、トルクセンサにより検出されたエンジントルクTe、およびギヤポジションPgを入力として、原動機出力による自動車Vの駆動力Feを算出する。
路面勾配減速力算出部56は、例えば、加速力算出部55が算出した駆動力Feから減速力算出部57が算出した減速力Fdを減じて求めた加減速力から、前後Gセンサ13が検出した前後加速度Gxに車体重量Mを乗じて求めた加減速力を減じることにより、路面勾配による減速力Fsを算出する。
減速力算出部57は、ブレーキ装置のブレーキ液圧Pbを入力として、ブレーキ液圧Pbに比例して増大するブレーキ操作にかかる自動車Vの減速力を算出するブレーキ減速力算出部58と、車輪速Vwの平均値を概算車体速として用いることにより、車体形状および概算車体速に起因する走行抵抗にかかる減速力を算出する走行抵抗算出部59と、車輪速フィードバックによる走行抵抗力を算出するフィードバック抵抗力算出部60とを含んでおり、ブレーキ減速力算出部58、走行抵抗算出部59およびフィードバック抵抗力算出部60の算出結果を加算して、路面勾配以外の要素に起因する自動車Vの減速力Fdを算出する。
車体速算出部52は、加速力算出部55で算出された駆動力Feから、路面勾配減速力算出部56で算出された減速力Fsを減じるとともに、減速力算出部57で算出された減速力Fdを減じて車体1の加減速力Fを算出した後、算出した加減速力Fを車体重量Mで除して加速度を求め、これを積算することで車体速Vbを算出する。算出された車体速Vbは、車体速補正部54に入力する。
ここで、図9を参照して、加速力算出部55および減速力算出部57における処理について詳細に説明する。エンジントルクTeは乗算器61に入力する。ギヤポジションPgは、ギヤポジション−変速ギヤ比変換回路62に入力する。ギヤポジション−変速ギヤ比変換回路62では、ギヤポジションPgに基づいてテーブルを参照することにより変速ギヤ比Rgが求められ、出力された変速ギヤ比Rgが乗算器61に入力する。なお、乗算器61には、後述する第1車輪速ゲイン設定回路63からの第1車輪速ゲインGも入力する。
第1車輪速ゲインGは、第1車輪速ゲイン設定回路63において、各車輪速センサ9が検出した車輪3の車輪速平均値である平均車輪速Vwavに基づいて、参照テーブルを参照することにより設定される。なお、この例においては第1車輪速ゲインGは、平均車輪速Vwavが微小の領域では0、平均車輪速Vwavが所定の閾値よりも大きい場合には略一定としている。乗算器61にて、エンジントルクTe、変速ギヤ比Rgおよび第1車輪速ゲインGが乗じられて駆動輪の出力である車輪トルクTwが算出されると、この車輪トルクTwは、トルク−駆動力変換回路64に入力し、タイヤ2の動的荷重半径Rdで除算されることよって自動車Vの駆動力Feに変換され、その出力がゲイン回路65を介して減算器66に加算値として入力する。
減算器66には、ゲイン回路65から出力される駆動力Feの他、後述する制動力Fb、走行抵抗力Frおよびフィードバック抵抗力Ffbが入力している。
ブレーキ液圧Pbは、乗算器67に入力する。乗算器67には、第2車輪速ゲイン設定回路68からの第2車輪速ゲインGも入力する。第2車輪速ゲインGは、第2車輪速ゲイン設定回路68において、平均車輪速Vwavに基づいて参照テーブルを参照することにより設定される。なお、この例においては第2車輪速ゲインGは、平均車輪速Vwavが微小の領域では0、平均車輪速Vwavが所定の閾値よりも大きい場合には略一定としている。乗算器67にてブレーキ液圧Pbと第2車輪速ゲインGとが乗じられてブレーキ装置による制動力に相当する制動力Fbが算出されると、正の値を示すこの制動力Fbは、減算器66に減算値として入力する。
また、平均車輪速Vwavは走行抵抗力設定回路69に入力する。走行抵抗力設定回路69では、入力した平均車輪速Vwavに基づいて参照テーブルを参照することにより、車速(平均車輪速Vwav)に依存する走行抵抗力Frが設定される。走行抵抗力設定回路69で算出された正の値を示す走行抵抗力Frは、減算器66に減算値として入力する。
さらに、従動輪である後輪3の車輪速平均値である平均後輪速Vwavがフィードバック抵抗力算出部60に入力する。フィードバック抵抗力算出部60は、減算器71に入力する車体速Vbから平均後輪速Vwavを減じて求めた偏差ΔVにそれぞれ基づいて、比例ゲインに基づく走行抵抗力を設定する比例回路72と、積分ゲインに基づく走行抵抗力を設定する積分回路73と、微分ゲインに基づく走行抵抗力を設定する微分回路74とを備えている。これら比例回路72、積分回路73および微分回路74の出力が加算器75に入力して加算され、車体速Vbのフィードバックによる補正値であるフィードバック抵抗力Ffbが出力される。出力されたフィードバック抵抗力Ffbは、減算器66に減算値として入力する。
減算器66では、駆動力Feから、これら制動力Fb、走行抵抗力Frおよびフィードバック抵抗力Ffb、ここでは図示しない図8の路面勾配による減速力Fsが減算され、その出力である加減速力Fが、加減速力−加減速度変換回路76に入力し、加減速力Fが車体重量Mで除算されることにより自動車Vの加減速度(算出前後加速度)に変換される。自動車Vの加減速度は、ゲイン回路77を介して積算器78に入力して積算されることによって車体速Vbとなって出力される。
このように、駆動力Feや制動力Fb、走行抵抗力Frおよびフィードバック抵抗力Ffbに基づいて自動車Vの車体速Vbを算出することにより、車輪速Vwを補正するための車体速Vbを求めることができる。
図8に戻り、操舵補正量算出部53は、各車輪速Vwおよびヨーレイトγに基づいて自動車Vの旋回半径TRを算出する旋回半径算出部79と、自動車VのトレッドTと算出された旋回半径TRとに基づいて、補正量としての旋回状態量、すなわち内輪および外輪に対応する各車体部位の車体速Vbに対する比である内輪車体速比Rviおよび外輪車体速比Rvoを算出する内外輪車体速比算出部80とを含んでいる。
図10を参照して、操舵補正量算出部53における処理について詳細に説明する。各車輪速センサ9が検出した車輪速Vwの平均車輪速Vwavが除算器81に被除数(分子)として入力する。除算器81には、ヨーレイトセンサ11の検出値であるヨーレイトγも除数(分母)として入力しており、除算器81では、各輪の平均車輪速Vwavをヨーレイトγで除すことにより自動車Vの旋回半径TRが算出される。なお、除算時にヨーレイトγが0となる場合には、定数で置換する等の周知の方法により値を規制する。算出された旋回半径TRは、減算器83および加算器85にそれぞれ加算値として入力する。減算器83および加算器85はそれぞれ、入力した旋回半径TRに対し、メモリ82に記憶されたトレッドTの1/2を減算または加算することにより、内輪旋回半径TRiおよび外輪旋回半径TRoを算出する。減算器83および加算器85からの出力は、それぞれ除算器84・86に被除数として入力する。除算器84・86には、除算器81で算出した自動車Vの旋回半径TRが除数として入力しており、各除算器84・86は、内輪旋回半径TRiまたは外輪旋回半径TRoを自動車Vの旋回半径TRで除すことにより、それぞれ内輪車体速比Rviおよび外輪車体速比Rvoを算出する。
各除算器84・86で算出された内輪車体速比Rviおよび外輪車体速比Rvoは、図8に示すように、車体速補正部54に入力し、車体速補正部54にて車体速Vbと内輪車体速比Rviおよび外輪車体速比Rvoとがそれぞれ乗じられることにより、内輪に対応する車体部位の車体速Vbである内輪側車体速Vbiおよび外輪に対応する車体部位の車体速Vbである外輪側車体速Vboが算出される。つまり、車体速補正部54は、内輪車体速比Rviおよび外輪車体速比Rvoに基づいて車体速Vbを補正する補正手段である。
このように、自動車Vの旋回状態に応じて車体速Vbが補正されることにより、運転者のステアリング操作に応じて変化する内輪側および外輪側の車体速Vb(Vbi・Vbo)が正確に算出される。
内輪側車体速Vbiおよび外輪側車体速Vboは、図4に示すように状態量算出部31に、より詳しくはバンドパスフィルタ36の上流側に設けられた減算器35に減算値として入力し、車輪速Vwに基づく車輪速変動量ΔVwの算出に供されるとともに、自動車Vの車体速変動成分や内外輪の旋回半径差に起因する軌跡長さの差による車輪速変動成分の除去に供される。
このように、状態量算出部31において入力した各車輪速Vwから内輪側車体速Vbiまたは外輪側車体速Vboが減算されることにより、車輪速Vwから自動車Vの制駆動力による影響が排除されるため、自動車Vの状態量(ばね上速度Sやストローク速度Ss)がより高精度に算出される。また、車体速補正部54が、内輪車体速比Rviおよび外輪車体速比Rvoに基づいて車体速Vbを補正することにより、各輪に対応した車体速Vbが高精度に算出されて、自動車Vの旋回による車輪速Vwに対する影響が排除されるため、自動車Vの状態量がより高精度に算出される。
<入力調整部28>
図3の入力調整部28は、図11に示すように、スリップ率変化判定部120と、モデル入力ゲイン設定部121とを有している。ここで、スリップ率とは、車体速Vbと車輪速Vwとの差を車体速Vbで除したものである(スリップ率=(Vb−Vw)/Vb)。スリップ率変化判定部120は、スリップ率に急激な変動(変化)が発生するか否かを予測するものであり、運転者の操作に起因する加減速入力量(加減速操作量)に基づいてスリップ率変化量が所定の閾値以上になるか否かを予測する。運転者の操作に起因する加減速入力量は、ブレーキ液圧Pb、ブレーキペダルの踏み込み量、アクセルペダルの踏み込み量、要求駆動力、要求エンジントルク、エンジントルクTe(検出値)、及び駆動トルクTs(足軸トルク)を含む。これらの加減速入力量は、車体の前後加速度Gxに変化をもたらすものであり、スリップ率変化の増加の原因になる。そのため、これらの加減速入力量の単位時間当たりの変化量(以下、単に加減速入力量の変化量という)に基づいてスリップ率変化の増加を推定することができる。本実施形態では、加減速入力量の変化量として、ブレーキ液圧Pbの変化量と、駆動トルクTsの変化量とを用いる。
ブレーキ圧センサによって検出されたブレーキ液圧Pbは、微分回路124に入力され、微分処理されてブレーキ液圧Pbの変化量に変換された後、スリップ率変化判定部120に入力される。
ギヤポジションセンサによって検出された変速機のギヤポジションPgは、ギヤポジション−変速ギヤ比変換回路125に入力する。ギヤポジション−変速ギヤ比変換回路125では、ギヤポジションPgに基づいてテーブルを参照することにより変速ギヤ比(減速比)Rgが求められる。変速ギヤ比Rgは、乗算器126に入力される。また、乗算器126には、トルクセンサにより検出されたエンジントルクTeが入力される。乗算器126は、エンジントルクTeと変速ギヤ比Rgとを乗算することによって、駆動トルクTsを算出する。駆動トルクTsは、微分器128に入力され、微分処理されて駆動トルクTsの変化量に変換された後、スリップ率変化判定部120に入力される。
また、スリップ率変化判定部120には、横Gセンサ10によって検出された横加速度Gyと、路面状態推定部129によって演算された路面情報Igが入力される。路面状態推定部129は、各車輪3の車輪速Vwと、乗算器126から出力される駆動トルクTsとが入力され、これらに基づいて路面状態を推定し、その推定結果である路面情報Igを出力する。
路面状態推定部129は、入力される各車輪3の車輪速Vwに基づいて、対象とする車輪3のスリップ率を算出する。本実施形態では、スリップ率を算出する手法の一例として、駆動輪である前輪3の車輪速Vwと従動輪である後輪3の車輪速Vwとに基づき、前輪3の車輪速Vwと後輪3の車輪速Vwとの差を後輪3の車輪速Vwで除することによって簡易にスリップ率を算出する。他の例としては、対象とする車輪3の車輪速Vwと車体速Vbとの差を車体速Vbで除することによって、スリップ率を算出してもよい。
路面状態推定部129は、駆動トルクTsと、算出したスリップ率との関係に基づいて路面状態を推定する。駆動トルクTsとスリップ率との間には、駆動トルクTsが増加するにつれてスリップ率が増加するという関係がある。また、路面μ(路面摩擦係数)が低くなるほど、駆動トルクTsが増加した際のスリップ率増加量が増大すると共に、スリップ率の変動が大きくなる。これらの関係から、駆動トルクTsに対するスリップ率を確認することによって、路面状態を推定することができる。例えば、駆動トルクTsの増加に対応して増加する路面判定値を設定し、スリップ率が路面判定値以上の場合には低μ路(雪道、凍結路、ウェット路等を含む)、スリップ率が路面判定値未満の場合には高μ路(ドライ路)と推定してもよい。また、複数の路面判定値を設定することによって、路面状態を複数のレベルに推定してもよい。本実施形態では、推定した路面状態は、路面情報Igとして路面状態推定部129からスリップ率変化判定部120に入力される。
スリップ率変化判定部120は、横加速度Gyと、路面情報Igとに基づいて判定値を設定し、ブレーキ液圧Pbの変化量や駆動トルクTsの変化量である加減速入力量の変化量が判定値以上か否かを判定することによって、スリップ率に急激な変動が発生するか否かを予測する。スリップ率変化判定部120は、ブレーキ液圧Pbの変化量に対する判定値であるブレーキ液圧変化量判定値と、駆動トルクTsの変化量に対する判定値である駆動トルク変化量判定値とを設定する。
図12は、(A)ブレーキ液圧変化量判定値、(B)駆動トルク変化量判定値を示すマップである。図12(A)、(B)に示すように、ブレーキ液圧変化量判定値及び駆動トルク変化量判定値は、横加速度Gyが大きいほど小さくなるように設定される。また、ブレーキ液圧変化量判定値及び駆動トルク変化量判定値は、路面μが小さいほど小さくなるように設定される。摩擦円に基づいて考えると、スリップ率の変動は横加速度Gyが大きくなるほど生じ易くなることがわかる。そのため、横加速度Gyが大きくなるほど、ブレーキ液圧変化量判定値及び駆動トルク変化量判定値を小さく設定することによって、スリップ率の変動が予測(察知)され易くなる。また、路面状態において路面μが小さくなるとスリップ率の変動が大きくなるため、路面μが小さくなるほど、ブレーキ液圧変化量判定値及び駆動トルク変化量判定値を小さく設定することによって、スリップ率の変動が予測(察知)され易くなる。
スリップ率変化判定部120は、ブレーキ液圧Pbの変化量とブレーキ液圧変化量判定値と比較すると共に、駆動トルクTsの変化量と駆動トルク変化量判定値と比較することによって、スリップ率の変化量が所定の閾値以上になるか否か、すなわちスリップ率の変動が急激となるか否かを予測する。本実施形態では、スリップ率変化判定部120は、ブレーキ液圧Pbの変化量がブレーキ液圧変化量判定値以上である場合、又は駆動トルクTsの変化量が駆動トルク変化量判定値以上である場合に、スリップ率の変動が急激になると推定し(スリップ率の変化量が所定の閾値以上になると推定し)、それ以外の場合にスリップ率の変動は急激にならないと推定する(スリップ率の変化量が所定の閾値未満になると推定する)。他の実施形態では、スリップ率変化判定部120は、ブレーキ液圧Pbの変化量がブレーキ液圧変化量判定値以上であり、かつ駆動トルクTsの変化量が駆動トルク変化量判定値以上である場合に、スリップ率の変動が急激になると判定し、それ以外の場合にスリップ率の変動は急激にならないと判定してもよい。スリップ率変化判定部120の判定結果は、モデル入力ゲイン設定部121に入力される。
モデル入力ゲイン設定部121は、スリップ率変化判定部120がスリップ率の変動が急激でないと判定した場合にモデル入力ゲインGに通常値を設定し、スリップ率の変動が急激であると判定した場合にモデル入力ゲインGに通常値よりも小さい低減値を設定する。通常値は、任意の値であり、例えば1とすることができ、この場合には低減値は0以上1未満の任意の値とすることができる。モデル入力ゲインGは、低減値が設定された場合に、値が設定されてから所定の期間(例えば、1秒〜数秒)、低減値の値に維持され、その後に所定の期間(例えば、1秒〜数秒)かけて漸増し、低減値から通常値に増加する。すなわち、モデル入力ゲインGが低減値に維持されるのは、所定の期間であり、その後、通常値に復帰する。なお、モデル入力ゲインGが低減値から通常値に復帰するまでの間に、再度、スリップ率の変動が急激であると判定された場合には、モデル入力ゲインGには再び低減値が設定される。
以上のように構成された入力調整部28は、次のような手順に従ってモデル入力ゲインGを設定する。図13は、入力調整部28におけるモデル入力ゲインGの設定手順を示すフローチャートである。図13に示すように、最初に、ブレーキ液圧Pb、エンジントルクTe、ギヤポジションPgを取得し、これらに基づいて加減速入力量としてのブレーキ液圧Pb及び駆動トルクTsの変化量をそれぞれ算出する(ステップST1)。次に、横加速度Gyを検出する(ステップST2)。続いて、路面状態推定部129において車輪速Vwと駆動トルクTsとに基づいて路面状態を推定する(ステップST3)。次に、スリップ率変化判定部120において、横加速度Gyと、路面状態推定部129が推定した路面情報Igとに基づき、ブレーキ液圧変化量判定値と駆動トルク変化量判定値とを設定する(ステップST4)。続いて、スリップ率変化判定部120において、加減速入力量の変化量が判定値以上であるか否かを判定する(ステップST5)。詳細には、スリップ率変化判定部120は、ブレーキ液圧Pbの変化量がブレーキ液圧変化量判定値以上、又は駆動トルクTsの変化量が駆動トルク変化量判定値以上であるか否かを判定する。ブレーキ液圧Pbの変化量がブレーキ液圧変化量判定値以上、又は駆動トルクTsの変化量が駆動トルク変化量判定値以上である場合には、モデル入力ゲイン設定部121においてモデル入力ゲインGに低減値が設定され(ステップST6)、モデル入力ゲインGが低減される。一方、ブレーキ液圧Pbの変化量がブレーキ液圧変化量判定値未満、かつ駆動トルクTsの変化量が駆動トルク変化量判定値未満である場合には、モデル入力ゲイン設定部121においてモデル入力ゲインGに通常値が設定される(ステップST7)。なお、ステップST6において、モデル入力ゲインGに低減値が設定された場合、値が設定されてから所定の期間、低減値の値に維持され、その後に所定の期間かけて漸増し、低減値から通常値に増加する。
以上のようにして設定されたモデル入力ゲインGは、モデル入力ゲイン設定部121から出力され、図4に示すように、状態量算出部31の乗算器29に入力される。
乗算器29は、車輪速変動量ΔVw1とモデル入力ゲインGとを乗算し、調整車輪速変動量ΔVw2を算出する。モデル入力ゲインGは、スリップ率の変動が急激になると予測される場合(スリップ率の変化量が所定の閾値以上になると予測される場合)に、値が通常値よりも小さい低減値に設定されるため、スリップ率の変動に起因して車輪速変動量ΔVw1が大きくなるような場合に、調整車輪速変動量ΔVw2を小さく設定し、スリップ率の変動による影響を除去することができる。これにより、路面からの荷重変動に起因する車輪速変動量を一層高精度に抽出することができる。
入力調整部28は、ブレーキ液圧Pbの変化量や駆動トルクTsの変化量といった加減速入力量の変化量に基づいて、スリップ率の変化量が所定の閾値以上になるか否かを予測する、すなわちスリップ率の変化(変動)が急激であるか否かを予測するため、制御が遅れることなく、スリップ率の変化が発生する際に迅速にモデル入力ゲインGを低下させることができる。スリップ率の変化は加減速入力量によって生じるため、加減速入力量に基づいて制御を行うことで、スリップ率の変化に迅速に対応することができる。
本実施形態では、ブレーキ液圧Pbの変化量及び駆動トルクTsの変化量といった2つの加減速入力量の変化量のそれぞれに対して判定値との比較を行い、スリップ率の変動量が急激であるか否かを予測したが、予測に用いる加減速入力量は1つにしてもよいし、3つ以上にしてもよい。また、加減速入力量は、ブレーキ液圧Pbや駆動トルクTsだけでなく、ブレーキペダルの踏み込み量、アクセルペダルの踏み込み量、要求駆動力、要求エンジントルク、エンジントルク(検出値)等を使用することができる。
本実施形態では、ブレーキ液圧変化量判定値及び駆動トルク変化量判定値の判定値を横加速度Gy及び路面状態に基づいて変化させるようにしたが、他の実施形態では判定値を横加速度Gy及び路面状態の一方に基づいて変化させるようにしてもよいし、横加速度Gy及び路面状態のいずれに対しても変化させないようにしてもよい。
また、本実施形態では、車輪速Vwに基づくスリップ率と、駆動トルクTsとの関係から路面状態を推測するようにしたが、他の実施形態では、路面温度を測定することによって路面状態を推定する等、公知の様々な手法を採用することができる。
図14(A)は、センサを用いて検出したばね上速度と、状態量算出部31により算出されたばね上速度Sとをそれぞれ破線と実線とで示したタイムチャートであり、図14(B)は、センサを用いて検出したストローク速度と、状態量算出部31により算出されたストローク速度Ssとをそれぞれ破線と実線とで示したタイムチャートである。図14に示すように、算出されたストローク速度Ssおよびばね上速度Sは、センサ値と略一致しており、車輪速Vwに基づいて状態量算出部31がストローク速度Ssおよびばね上速度Sを高精度に算出できることがわかる。また、本実施形態では、車輪速Vwに基づいてばね下荷重uを算出し、ばね下荷重uを車両モデルの入力にするため、サスペンション7にキャスター角が設定されているか否かにかかわらず、ばね上速度Sおよびストローク速度Ssを算出することができる。
<制御目標電流設定部23>
図3に示すように、制御目標電流設定部23は、スカイフック制御を行い、スカイフック制御目標電流Ashを設定するスカイフック制御部90や、ピッチ角速度ωpに基づくピッチ制御を行い、ピッチ制御目標電流Apを設定するピッチ制御部91、ロール角速度ωrに基づくロール制御を行い、ロール制御目標電流Arを設定するロール制御部92、ステアリング操舵角δfに基づくロール制御を行い、舵角比例制御目標電流Asaを設定する舵角比例制御部93、自動車Vのばね下の制振制御を行い、ばね下制振制御目標電流Auを設定するばね下制振制御部95、車速に依存する最低減衰力を発生させるための最低目標電流Aminを設定する最低目標電流制御部96等を有している。
スカイフック制御部90は、路面の凹凸を乗り越える際の車両の動揺を抑えて乗り心地を高める乗り心地制御(制振制御)を行う。ピッチ制御部91は、自動車Vの急加速時や急減速時のピッチングを抑えて車体1の姿勢を適正化する車体姿勢制御を行う。ロール制御部92および舵角比例制御部93からなるロール姿勢制御部94は、自動車Vの旋回時のローリングを抑えて車体1の姿勢を適正化する車体姿勢制御を行う。ばね下制振制御部95は、ばね下の共振域の振動を抑制して車輪3の接地性や乗り心地を高めるものである。
<スカイフック制御部90>
次に、図15および図16を参照してスカイフック制御部90における処理について詳細に説明する。スカイフック制御部90では、図3の状態量算出部31で算出されたばね上速度Sが減衰力ベース値算出部97に入力する。減衰力ベース値算出部97は、入力したばね上速度Sに基づいて、ばね上―減衰力マップを参照することにより減衰力ベース値Dsbを設定する。設定された減衰力ベース値Dsbは、ゲイン回路98に入力する。ゲイン回路98では、減衰力ベース値DsbにスカイフックゲインGshが乗じられてスカイフック目標減衰力Dshtが算出され、算出された目標減衰力Dshtが目標電流設定回路99に入力する。目標電流設定回路99にはストローク速度Ssも入力しており、目標電流設定回路99は、スカイフック目標減衰力Dshtとストローク速度Ssとに基づいて、図16に示す電流マップを参照することにより各ダンパ6に対するスカイフック制御目標電流Ashを設定し、スカイフック制御目標電流Ashを出力する。
<ばね下制振制御部95>
次に、図3のばね下制振制御部95について、図17〜図20を参照して詳細に説明する。図17に示すように、ばね下制振制御部95では、入力した各車輪速Vwがバンドパスフィルタ101に入力する。バンドパスフィルタ101は、ばね下の共振域の車輪速Vw信号を通過させるべく、ここでは8〜18Hzのバンドパス特性を有する。したがって、バンドパスフィルタ101は、スカイフック制御のためのバンドパスフィルタ36(図4)の0.5〜5Hzの周波数域よりも高い周波数域の信号を抽出する。そして、スカイフック制御のためのバンドパスフィルタ36の高周波側のカット周波数が5Hzとされ、ばね下制振制御のためのバンドパスフィルタ101の低周波側のカット周波数が8Hzとされ、両バンドパスフィルタ36、101の間にバンドギャップが設けられていることにより、スカイフック制御とばね下制振制御とによる相互干渉が防止される。
CAN14から入力する車輪速Vw信号には、ばね下共振域以外の信号も含まれており、例えば時速40kpmで走行中に得られる図18(A)に示す周波数特性の車輪速Vw信号には、図18(B)に示すようなばね下共振域の車輪速Vw信号が含まれている。そこで、車輪速Vw信号をばね下の共振域に対応するバンドパスフィルタ101を通過させることにより、ばね下信号成分を含んだ車輪速Vw信号を抽出して車輪速Vw信号からDC成分を除去することができる。すなわち、バンドパスフィルタ101は、車輪速Vw信号に基づいて車輪速変動量ΔVwを抽出する車輪速変動抽出手段として機能する。
バンドパスフィルタ101を通過した車輪速変動量ΔVwは、絶対値演算回路102に入力して車輪速変動量ΔVwの絶対値に変換される。車輪速変動量ΔVwは、上記したようにばね下荷重uに比例し、ばね下荷重uをばね下質量Mで除算して求まるばね下の上下方向加速度も車輪速変動量ΔVwに対応した値となる。そのため、上下方向加速度の絶対値に応じた減衰力を発生させることにより、ばね下振動を抑制することができる。
絶対値演算回路102から出力された車輪速変動量ΔVwが、ゲイン回路103に入力してゲインが乗じられることにより、自動車Vの基本入力量であるばね下加速度Gzの大きさ(絶対値)が算出される。具体的には、ゲイン回路103では、図6に関連して説明した比例定数kをばね下質量Mで除算した値をゲインとして車輪速変動量ΔVwに乗算する。
ゲイン回路103から出力されたばね下加速度Gzは、目標電流設定回路104に入力する。目標電流設定回路104では、ばね下加速度Gzに対応する算出電流が算出され、この算出電流に基づいてピークホールド・ランプダウン制御によるばね下制振制御目標電流Auが設定される。
目標電流設定回路104は、図19(A)に示す特性のばね下加速度Gzの入力に対して、図19(B)に破線で示す算出電流に基づいて、図19(B)に実線で示すようなばね下制振制御目標電流Auを設定する。具体的には、目標電流設定回路104は、入力した算出電流のうちの最大値をばね下制振制御目標電流Auとして所定時間ホールドし、この最大値が入力してから所定時間が経過した後に、ばね下制振制御目標電流Auの値を所定の勾配で低下させる。すなわち、ばね下加速度Gzが増大する場合には、ばね下加速度Gzに合わせて(早く)応答するようにばね下制振制御目標電流Auの値を設定する一方、ばね下加速度Gzが縮小する場合には、増大する場合に比べて遅く応答するように設定される。これにより、破線で示すような算出電流をばね下制振制御目標電流Auに設定する場合に比べて、ばね下振動がより効果的かつ安定的に減衰する。
図17に戻り、目標電流設定回路104から出力されるばね下制振制御目標電流Auは、制限回路105に入力する。制限回路105は、ばね下制振制御目標電流Auの上限を上限値Aumaxに制限し、ばね下制振制御目標電流Auを出力する。すなわち、制限回路105は、入力したばね下制振制御目標電流Auが上限値Aumaxを超えている場合、上限値Aumaxをばね下制振制御目標電流Auに設定する。これにより、車輪速変動量ΔVwの大きさに応じて設定されるばね下制振制御目標電流Auが、自動車Vの電源容量やダンパ6の減衰力特性を考慮して設定される上限値Aumaxを超えて設定されることが防止される。
絶対値演算回路102から出力された車輪速変動量ΔVwは、ゲイン回路103だけでなくローパスフィルタ106にも入力している。ローパスフィルタ106は、ここでは1Hzよりも低い帯域を通過させるローパス特性を有する。上限設定回路107は、ローパスフィルタ106を通過した車輪速変動量ΔVwの絶対値に応じて上限値Aumaxを設定し、上限値Aumaxを制限回路105に入力させる。具体的には、上限設定回路107は、車輪速変動量ΔVwの絶対値が所定値を超える場合に、車輪速変動量ΔVwが大きくなるほど小さくなるように上限値Aumaxを設定する。
制限回路105は、入力した上限値Aumaxに応じてばね下制振制御目標電流Auの上限を変更する、すなわちローパスフィルタ106を通過した車輪速変動量ΔVwの絶対値が大きいほど上限値Aumaxが小さくなるように変更する。その効果について以下に説明する。
比較的平坦な舗装路では、図20(A)に実線で示すローパスフィルタ106通過後の車輪速変動量ΔVw(絶対値)は、細線で示すローパスフィルタ106通過前の車輪速変動量ΔVwに比べて小さく、かつその平均値も小さい。これに対し、荒れた舗装路では、図20(B)に示すように、細線で示すローパスフィルタ106通過前の車輪速変動量ΔVwが(A)の平坦路に比べて大きいだけでなく、実線で示すローパスフィルタ106通過後の車輪速変動量ΔVwも(A)に比べて大きくなっている。そこで、ローパスフィルタ106を通過した車輪速変動量ΔVwの絶対値が大きい場合には、路面が荒れているものとして、制限回路105がばね下制振制御目標電流Auを小さくする(ばね下制振制御を弱める)ことで、下制振制御目標電流Auが過剰に高く設定されることによって乗心地が悪化することを防止できる。
このように、ばね下制振制御部95を、車輪速Vw信号に基づいてばね下制振制御目標電流Auを設定する構成とすることができ、ばね下制振制御目標電流Auを、車輪速Vwのばね下共振域成分の車輪速変動量ΔVwの大きさに基づいて決定するため、ばね上などの他の要因を介入させることなくばね下の制振制御を行うことができる。
<電流固定化部24>
図3に戻り、電流固定化部24は、VSA、ABSおよびTCSが作動していることを示す作動信号のいずれかが入力部21に入力している場合、自動車Vの挙動が不安定であるものとして、電流固定信号Sfixを出力する。出力された電流固定信号Sfixは、ダンパ制御部25に入力する。
<ダンパ制御部25>
ダンパ制御部25は、高電流選択部108と、電流制御部109とを有している。高電流選択部108は、設定されたスカイフック制御目標電流Ash、ピッチ制御目標電流Ap、ロール制御目標電流Ar、舵角比例制御目標電流Asa、ばね下制振制御目標電流Auおよび最低目標電流Aminのなかから値が最も大きなものを目標電流Atgtに設定する。
電流制御部109には、目標電流Atgtと電流固定信号Sfixとが入力している。電流制御部109は、電流固定信号Sfixが入力していないときには、高電流選択部108が設定した目標電流Atgtに基づいて各ダンパ6への駆動電流を生成してダンパ6の減衰力を制御する。一方、電流固定信号Sfixが入力した場合、電流制御部109は、ダンパ6の減衰力が急変することを避けるために、電流固定信号Sfixが入力する直前の目標電流Atgtに基づいて電流を固定し(すなわちダンパ6の減衰係数を所定値に固定する)、固定した目標電流Atgtに基づいて各ダンパ6への駆動電流を生成してダンパ6の減衰力を制御する。
なお、電流制御部109は、ここでは電流固定信号Sfixが入力している期間にわたって目標電流Atgtを一定に維持する。或いは、電流固定信号Sfixの入力がなくなってから所定時間経過するまで目標電流Atgtを一定に維持する形態としてもよい。
≪減衰力制御手順≫
このように構成されたECU8は、次のような基本手順にしたがって減衰力制御を行う。すなわち、自動車Vが走行を開始すると、ECU8は、所定の処理インターバル(例えば、10ms)をもって、図21のフローチャートにその手順を示す減衰力制御を実行する。減衰力制御を開始すると、ECU8は、車輪速センサ9の検出値などに基づいて各輪のばね下荷重uを演算するとともに、演算したばね下荷重uや、横Gセンサ10の検出値に基づいて、自動車Vの運動状態量(各輪におけるばね上速度Sやストローク速度Ss、車体1のロール角速度ωr、ピッチ角速度ωp)を演算する(ステップST21)。
次に、ECU8は、ばね上速度Sおよびストローク速度Ssに基づいて各ダンパ6のスカイフック制御目標電流Ashを算出し(ステップST22)、車体1のピッチ角速度ωpに基づいて各ダンパ6のピッチ制御目標電流Apを算出し(ステップST23)、車体1のロール角速度ωrに基づいて各ダンパ6のロール制御目標電流Arを算出し(ステップST24)、ステアリング操舵角δfに基づいて各ダンパ6の舵角比例制御目標電流Asaを算出し(ステップST25)、各輪の車輪速Vwに基づいて各ダンパ6のばね下制振制御目標電流Auを算出し(ステップST26)、各輪の車輪速Vwに基づいて各ダンパ6の最低目標電流Aminを算出する(ステップST27)。なお、ステップST22〜ST27の処理は、この順に行われる必要はなく、或いは、並行して行われてもよい。
次に、ECU8は、各輪について6つの制御目標電流Ash,Ap,Ar,Asa,Au,Aminのうち値が最も大きいものを目標電流Atgtに設定する(ステップST28)。その後、ECU8は、電流固定信号Sfixが入力しているか否かを判定し(ステップST29)、この判定がNoであった場合(すなわち、VSA、ABSおよびTCSのいずれも作動していない場合)、ステップST28で選択した目標電流Atgtに基づき、各ダンパ6のMLVコイルに駆動電流を出力する(ステップST30)。これにより、減衰力制御においては、ダンパ6の荷重に応じた最適な目標減衰力が設定され、操縦安定性や乗り心地の向上が実現される。
一方、ステップST29の判定がYesであった場合(すなわち、VSA、ABSおよびTCSのいずれかが作動している場合)、ECU8は、前回値の目標電流Atgtに基づき、各ダンパ6のMLVコイルに駆動電流を出力する(ステップST31)。これにより、VSA、ABSおよびTCSのいずれかが作動している場合に、ステップST28で選択する目標電流Atgtが急変して車両挙動が不安定になることが防止される。
V 自動車(車両)
3 車輪
6 ダンパ(減衰力可変ダンパ)
8 ECU
9 車輪速センサ
20 サスペンション制御装置
23 制御目標電流設定部
25 ダンパ制御部
28 入力調整部
29 乗算器
31 状態量算出部
32 車体速推定部
33 一輪モデル計算部
35 減算器
36 バンドパスフィルタ
37 ゲイン回路
38 一輪モデル(車両モデル)
51 加減速力算出部
52 車体速算出部
53 操舵補正量算出部
90 スカイフック制御部
95 ばね下制振制御部
120 スリップ率変化判定部
121 モデル入力ゲイン設定部
124 微分回路
125 ギヤポジション−変速ギヤ比変換回路
126 乗算器
128 微分器
129 路面状態推定部

Claims (6)

  1. 車輪速センサによって検出された信号から車輪速変動量を抽出し、前記車輪速変動量に基づく入力値を車両状態量推定モデルに入力して車両状態量を算出し、前記車両状態量に基づいて減衰力可変ダンパの減衰力を制御する減衰力可変ダンパの制御装置であって、
    車輪のスリップ率の変化量であるスリップ率変化量が所定の閾値以上になると予測される場合に、前記スリップ率変化量が前記閾値未満になると予測される場合よりも、前記入力値を小さくするように補正する入力調整手段を有することを特徴とする減衰力可変ダンパの制御装置。
  2. 前記入力調整手段は、運転者の操作に起因する加減速入力量に基づいて前記スリップ率変化量が前記閾値以上になるか否かを予測することを特徴とする請求項1に記載の減衰力可変ダンパの制御装置。
  3. 車両の横加速度を検出する横加速度検出手段を有し、
    前記入力調整手段は、前記加減速入力量の変化量と所定の判定値とを比較することによって前記スリップ率変化量が前記閾値以上になるか否かを予測し、前記横加速度に応じて前記判定値を変化させることを特徴とする請求項2に記載の減衰力可変ダンパの制御装置。
  4. 路面μを含む路面状態を推定する路面状態推定手段を有し、
    前記入力調整手段は、前記路面状態に応じて前記判定値を変化させることを特徴とする請求項3に記載の減衰力可変ダンパの制御装置。
  5. 前記路面状態推定手段は、車輪の駆動トルクに対するスリップ率の比に基づいて前記路面状態を取得することを特徴とする請求項4に記載の減衰力可変ダンパの制御装置。
  6. 前記入力値は、前記車輪速変動量にゲインを乗じることによって算出され、
    前記入力調整手段は、予測した前記スリップ率変化量が前記閾値以上になると予測される場合に、前記スリップ率変化量が前記閾値未満になると予測される場合よりも、前記ゲインを小さくすることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つの項に記載の減衰力可変ダンパの制御装置。
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