JP2015049219A - 磁気式酸素分析計 - Google Patents
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Abstract
Description
図4(A)は、酸素を含むガス中に磁界を発生させる手段(磁石)を配置したときの酸素分子と磁界の関係を示したものである。図4(B)に示すように、磁界が強く、且つその強さが変化しているところ(不均一の磁界になっている磁極の端部)に酸素を引き付ける力が作用し、磁極の端部で右向きの力と左向きの力が押し合ってバランスし、酸素分子は磁界の影響を受けて引き付けられ、磁界(磁石のギャップ)内へ移動する。これにより、図4(C)に示すように、磁界内では、引き付けられた酸素の圧力(濃度)が磁界の外と比較して高くなる。
上記構成の磁気式酸素分析計は、サンプルセル1の測定ガス導入口4から導入された測定ガスが測定ガス導出口5に向けて流れる。また、補助ガス供給流路8から供給された補助ガスは、第1補助ガス分岐流路9及び第2補助ガス分岐流路10に分流し、第1補助ガス流入口6及び第2補助ガス流入口7からサンプル流路3に流入し、測定ガスと合流して測定ガス導出口5に流れる。また、補助ガス供給流路8から第1補助ガス分岐流路9及び第2補助ガス分岐流路10に分流した補助ガスの一部は、第1補助ガス分岐流路9に接続するバイパス流路11から流量センサ12に向けて流れるとともに、第2補助ガス分岐流路10に接続するバイパス流路11から流量センサ12に向けて流れる。
すなわち、測定ガス中に酸素分子が含まれている場合、第1補助ガス分岐流路9及びバイパス流路11から流量センサ12に酸素の凝集圧により上昇した圧力が通過し、流量センサ12がその圧力に応じた電気信号に変換する。ここで、補助ガス供給流路8から供給される補助ガスに流量変動が生じると、バイパス流路11に補助ガスの流量変動による脈流が発生し、この脈流が流量センサの電気信号に重畳する形でノイズ成分となり、測定ガス中の酸素濃度を正確に測定することができない。
さらに、流量センサ12を構成している熱線センサは、周囲の温度変化に応じて補助ガス流量の信号が変動してしまい、測定ガス中の酸素濃度を正確に測定できない。このため、従来の磁気式酸素分析計は、周囲温度の変化による流量変動に起因した温度ドリフトの面で問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、装置コストの低減化を図りながら補助ガス、或いは測定ガスの流量変動に強く、周囲温度の変化にも強い磁気式酸素分析計を提供することを目的としている。
また、この発明の一態様に係る磁気式酸素分析計は、前記第1流量センサ及び前記第2流量センサが、前記バッファ流路から等距離の位置の前記バイパス流路に配置されている。
この発明の一態様に係る磁気式酸素分析計によると、測定ガス或いは補助ガスに流量変動が生じたときの脈流発生によるノイズ成分を第1流量センサ及び第2流量センサが検出しても、バッファ流路から等距離の位置に第1流量センサ及び第2流量センサが配置されており、同一レベルのノイズ成分が測定値及び補正値に含まれることから、測定値及び補正値の差分によりノイズ成分が相殺され、測定ガスの測定精度を高めることができる。
この発明の一態様に係る磁気式酸素分析計によると、第1熱線センサ〜第4熱線センサは熱的影響が等しくなるように配置される。
また、第1流量センサ及び第2流量センサを4つの熱線センサからなるフルブリッジ回路で形成したことから、周囲温度の変化による流量変動に起因した温度ドリフトを抑制することができる。
図1は、本発明に係る一実施形態の磁気式酸素分析計を示すものであり、サンプルセル20と、このサンプルセル20内に設置した第1流量センサ21及び第2流量センサ22から得られる信号により測定ガスに含まれている酸素濃度を検出する差動増幅器23とからなる。
これら第1流量センサ21及び第2流量センサ22は、それぞれ2つの熱線センサで形成されており、これら第1流量センサ21及び第2流量センサ22を構成する4つの熱線センサでフルブリッジ回路が構成されている。
そして、第1流量センサ21は、バッファ流路24より第1補助ガス分岐流路9側のバイパス流路11に配置された第2熱線センサ26及び第4熱線センサ28で構成されており、補助ガス流れの上流側に第4熱線センサ28が配置され、下流側に第2熱線センサ26が配置されており、上流側の第4熱線センサ28の温度が下がり、下流側の第2熱線センサ26の温度が上がるようになっている。
そして、ブリッジ電圧Vbを印加すると、第1熱線センサ25及び第2熱線センサ26の間の中点P1の中点電位V1が差動増幅器23に入力、第3熱線センサ27及び第4熱線センサ28の間の中点P2の中点電位V2が差動増幅器23に入力し、差動増幅器23は、中点電位V1,V2の電位差を演算することで、測定ガスの濃度信号SCを得るようにしている。
測定ガス導入口4から供給される測定ガス中に酸素分子が含まれていない場合、サンプル流路3の第1補助ガス流入口6が連通する付近に磁界Mfを印加しても、酸素分子が引き寄せられず、その部分の圧力は上昇しない。これにより、第1補助ガス分岐流路9及び第2補助ガス分岐流路10のそれぞれからサンプル流路3に補助ガスが流出する際の流体抵抗が同じになり、第1補助ガス分岐流路9からバイパス流路11に流入する補助ガスと、第2補助ガス分岐流路10からバイパス流路11に流入する補助ガスが同量となる。
この場合、第1流量センサ21及び第2流量センサ22を構成するフルブリッジ回路29から中点電位V1,V2が差動増幅器23に入力し、差動増幅器23は、中点電位V1,V2の電位差がゼロ(0)、すなわち測定ガスの濃度信号SCがゼロ(0)の演算結果を得る。
サンプル流路3の第1補助ガス流入口6が連通する付近に磁界Mfが印加されると、その部分に酸素分子が引き付けられ(図4(C)参照)、酸素の凝集圧により圧力が上昇する。そのため、第1補助ガス分岐流路9からサンプル流路3に補助ガスが流出する際の流体抵抗が増大し、流出量が減少して第1補助ガス分岐流路9の補助ガスの圧力がPに上昇する。
ここで、測定ガスに流量変動が生じているため、バイパス流路11に測定ガスの流量変動による脈流が発生すると、その脈流によるノイズ成分Snが測定ガスの濃度信号SCに重畳されるおそれがある。
第1流量センサ21は、前述したノイズ成分Snと、圧力Pに伴う流量Qpと、測定ガスの流量変動の圧力変化に伴う流量Qfとを合わせた値を検出する。また、第1流量センサ21を通過した補助ガスは、バッファ流路24を通過することで圧力Pに伴う流量Qpが減衰していくので、第2流量センサ22は、前述したノイズ成分Snと、測定ガスの流量変動の圧力変化に伴う流量Qfとを合わせた値を検出する。そして、中点電位V1,V2の電位差を演算する差動増幅器23は、ノイズ成分Sn及び測定ガスの流量変動の圧力変化に伴う流量Qfを相殺し、圧力Pに伴う流量Qp(測定ガスの濃度信号SC)に応じた演算結果を得る。
なお、図3では測定ガスに流量変動を発生している場合について説明したが、補助ガス供給路8から供給される補助ガスに流量変動が発生している場合にも、補助ガスの流量変動の脈流発生によるノイズ成分と、補助ガスの流量変動の圧力変化に伴う流量とを除いた測定ガスの酸素濃度の測定を高精度に行うことができる。
ここで、本発明に係る測定ガス入口が測定ガス導入口4に対応し、本発明に係る測定ガス出口が測定ガス導出口5に対応し、本発明に係る補助ガス流路が第1補助ガス分岐流路9及び第2補助ガス分岐流路10に対応し、本発明に係る第1流量が、第1流量センサ21が検出する流量に対応し、本発明に係る第2流量が、第2流量センサ22が検出する流量に対応し、本発明に係る酸素濃度演算部が差動増幅器23に対応している。
本実施形態によると、測定ガス或いは補助ガスに流量変動が生じている場合に、バイパス流路11の中間位置に設けたバッファ流路24より第1補助ガス分岐流路9側で第1流量センサ21が補助ガスの流量Qp及び流量変動による圧力変化に伴う流量Qf(測定値と称する)を測定し、バッファ流路24より第2補助ガス分岐流路10側で、第2流量センサ22が測定ガス或いは補助ガスに流量変動が生じたときの圧力変化に伴う流量Qf(以下、補正値と称する)と、を測定し、差動増幅器23が測定値及び補正値の差分により測定ガスの酸素濃度を演算しているので、測定ガス或いは補助ガスの流量変動による影響を除去して高精度の測定ガスの酸素濃度を測定することができる。
また、本実施形態の磁気式酸素分析計は、測定ガス或いは補助ガスの流量や温度を一定に保つための機構や装置を使用しておらず、装置コストの低減化も図ることができる。
Claims (3)
- サンプル流路と、このサンプル流路の両端に形成された測定ガス入口及び測定ガス出口と、前記測定ガス出口側の前記サンプル流路に互いに対向して設けられた第1補助ガス流入口及び第2補助ガス流入口と、前記第1及び第2補助ガス流入口に接続された補助ガス流路と、を備え、前記補助ガス流路の中間位置から前記補助ガスを供給し、前記第1補助ガス流入口の近くの前記サンプル流路に磁界をかけることにより生じる前記補助ガス流路の流量変化を検出することによって、前記測定ガスに含まれる酸素濃度を演算する磁気式酸素分析計において、
前記第1補助ガス流入口側の前記補助ガス流路及び前記第2補助ガス流入口側の前記補助ガス流路を連通するバイパス流路と、
このバイパス流路の中間位置に流路を拡大して設けたバッファ流路と、
このバッファ流路より前記第1補助ガス流入口側の前記バイパス流路に配置した第1流量センサと、
前記バッファ流路より前記第2補助ガス流入口側のバイパス流路に配置した第2流量センサと、
前記第1流量センサが検出した前記第1補助ガス流入口から流れてきた補助ガスの第1流量と、前記第2流量センサが検出した前記バッファ流路を通過して前記第2補助ガス流入側のバイパス流路に流れる補助ガスの第2流量との差に基づいて、前記測定ガスに含まれる酸素濃度を演算する酸素濃度演算部と、を備え、
前記第1流量センサ及び前記第2流量センサを、4つの熱線センサからなるフルブリッジ回路で形成したことを特徴とする磁気式酸素分析計。 - 前記第1流量センサ及び前記第2流量センサは、前記バッファ流路から等距離の位置の前記バイパス流路に配置されていることを特徴とする請求項1記載の磁気式酸素分析計。
- 前記フルブリッジ回路は、第1熱線センサ及び第2熱線センサが定電源側からグランドに向かって順に直列接続された第1のハーフブリッジ回路と、第3熱線センサ27及び第4熱線センサ28が前記定電源側から前記グランドに向かって順に直列接続された第2のハーフブリッジ回路とで構成され、
前記第1流量センサは、補助ガス流れの上流側に配置された前記第4熱線センサと、下流側に配置された前記第2熱線センサとで構成され、
前記第2流量センサは、補助ガス流れの上流側に配置された前記第1熱線センサと、下流側に配置された前記第3熱線センサとで構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の磁気式酸素分析計。
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