JP2015048676A - 防水装置の止水板 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、この装置における一つの難点は、止水板を人手を使って持ち運び、着脱操作することにある。ことに、使用に当って止水板を離れた格納場所に持ち運び移動させなければならないことである。この作業において最も問題となることは、止水板の重量であり、作業者にとって大きな負担となっていることである。
従って、分割によってその重量が軽減されるものとなっているが、それでいてもその一枚一枚には水圧に耐え得る所要の強度が求められることや、着脱作業の容易性等から出入口の開口幅に合わせた長さに設計されると言った事情があり、必然的、自動的に重量物になる傾向にあった。
従来、この対策として、素材からの軽量化が図られ、これによりアルミ製の止水板が提案されるに至ったのである。現在多くの防水装置の止水板がこのアルミ製になり、実用化されるに至っているのである。
従来のアルミ製の止水板は、板状に形成したアルミ製押出型材の複数枚を構成体としてこの複数枚の押出型材を互いの縁を揃えて平面状に並べ、所定の止水板の形状に整えた後に、この平面状に並べた型材の四辺に同じくアルミ製の押出型材で形成した固定用の枠材を添わせ、囲み込んで複数枚の押出型材を一体に連結し、枠材と共に型材相互を水密に固定して強度と防水性能を備えた止水板に形成していたのである。
つまり、板状に形成した型材を所定枚数並べた後、その四辺全体にアルミ製の押出型材で形成した枠材を添わせて、この枠材相互の連結によって複数枚の上記型材同士を一体化し、横長矩形状の止水板に組立てるようにしていたのである。
その一つの要因は、複数枚のアルミの型材を一体化するため全周に亘って巡らす前記枠材の存在である。
しかし、この枠材は、上述したように複数枚の型材同士を一体に連結固定する上で不可欠の構成体であり、これを欠いて従来の止水板の形成は不可能であると同時に、この枠材が止水板全体の強度を出す上から所要の剛性が求められるものとなっていることから必然的に強固な構造に造られるものとなり、その結果、自動的に重量物とならざるを得なかったのである。
本発明は、従来のアルミ製止水板においての問題が板本体を構成する複数枚の型材を一体に囲み固定する枠材が存在することによって充分な軽量化が図られていないことに鑑みこれを改善すること、ことに、この枠材の組み付けを除いた上でアルミ製型材同士の直接的な連結組合せによって耐水圧強度に優れると同時に、充分な水密機能を有した軽量化に係る改善された防水装置の止水板を提供することを目的にしたものである。
そして、本発明では上記アルミ製型材を中空体にすると共に、その内部に補強片を渡すことによって軽量化を図りながら所要の強度を出すようにしたことに一つの特徴を有し、更にこれら中空体の複数個を直接的に連結接合することによって一つの集合体を形成し、止水板としたもので、これによって全体の軽量化と一体的な組立によって所要強度を持った止水板の獲得を実現したのである。
そして、この中空板体は、断面形を縦長の長方形断面形に形成することによって所要の厚みを持った板状に成形し、中空の内部に1又は複数個の補強片を渡すことで板自体に所要の強度を持たせ、止水板としての使用に耐えられるものにするのである。
従って、ここに形成される板本体は、実質的に止水板を構成するものとなる。この板本体の横幅は、防水装置が設置される出入口開口部の左右に対向して設けられる装着溝の間隔に適合した長さに形成し、また上下、つまり縦の長さは止水板の設計に従って定められることになる。尚、上記板本体を構成する前記中空板体の横幅については、設計上この板本体を何枚の中空板体の組合せによって形成するかによって決定されることになる。
このネジによる固定,連結は、適宜の間隔をおいて複数箇所で止め付けることになる。複数箇所での固定によって中空板体相互を充分な強度で強固に連結することができると同時に、この連結に当たって、両者の面板部の間に止水のためのシール材を介挿することによってネジの締付けと同時にこれを圧締し、中空板体間の防水処理を簡単に、且つ確実にすることができる。
防水装置の開口部を閉塞するため用意される所定枚数の止水板のうち、最上部の止水板の下面板部の溝形凹部と、最下部の止水板の上面板部及びこれらの中間に配置組合せられる中間の止水板の上、下の面板部にそれぞれ形成される溝形凹部に対して、予め断面コ字形に形成される受け枠を組付け、これに連結用棒材を嵌め込むようにして止水板同士の連結の際に、この連結用棒材を介して止水板相互の接合位置を確定し、これによって正確な位置で止水板同士の連結が図れるようにしたものである。また、この時の連結作業を容易に行えるようにしたものである。
ここに使用されるシール材は、耐水性に優れる弾力性素材が適しており、止水板を差し入れるだけで上下の止水板間の空隙を塞ぐことになる。
また、固定用締付け具は、止水板に植設する支軸を支点にハンドルを回転させることで止水板を装着溝に固定するものであり、この締付け具は上記ハンドルの先端部、つまり支軸の支点を越えた先に突出する係止爪をハンドルの回転で止水板の前面側の端部と出入口の開口部に設けられる装着溝との間に割込ませ、差し入れることによって締付けを図り、固定するものにしてある。この締付け具は、止水板の前面側の両端部に少なくとも1個づつ設けることになる。
また、この止水板は上記中空板体の内部に補強片を予め配置する一方、当該中空板体相互の接合を通して中空板体の上下の面板部を接面状に直接連結固定することにより、ここに形成される前記板本体の縦幅の中間位置に1乃至複数の補強部を形成することができることになり、この結果この組立を通して自動的に所要の強度を持った止水板を得ることができる。
図面において、符号1は、本発明に係る止水板であり、2は、止水板1を構成する中空板体である。
中空板体2は、アルミ合金を材料に押出成形によって内部を中空にする長尺型材として形成し、この長尺な押出型材を後述する様に所要の長さに切断することによって中空板体としたものである。
そして、この中空板体2の短辺側に当る上及び下の面板部2d,2eには僅かな高さ隆起してその隆起先端面3a,4aを平滑面に形成する連結用突条部3,4を長さ方向の全長に亘り隆設してある。そして、これら連結用突条部3,4にそれぞれ高さを揃え、且つ相対向するように前記前面板部2aの上下の縁に沿ってそれぞれ小突出片5,6を長さの全長に亘り突設し、これによってこの小突出片5,6と前記連結用突条部3,4との間にそれぞれ溝形凹部7,8を形成している。
尚、ここではこの連結用突条部を僅かな突き出し高さに形成すると共に、隆起先端面3a,4aの幅を比較的狭くして、接合の精度を高め、また後述するネジ止めの際の作業が容易に行えるようにしてある。
尚、ここでの上記止めネジ9は、連結用突条部3,4の長さ方向に沿って適宜間隔を置いて複数箇所に貫き通し、締め付けることになる。
尚、図15には、支軸16の本体部分が省略され、頭部のナット部分のみが記載されている。この図面の符号19は、ハンドル17の回転を助けるワッシャを示している。
ここに示す使用例は、間口の広い地下鉄駅の出入口20に設置する防水装置の止水板として使用した場合である。
ここでの防水装置は、間口の広い出入口20に対応させたものであり、出入口20の左右を囲む側壁21,21に相対向して縦に設ける装着溝22,22の中間位置に着脱自由な支柱23を立上げ、この支柱23を介してその左右にそれぞれ止水板1を装着する構造のものであり、この支柱23の左右の面に設ける装着溝24,24と、上記装着溝22,22との間にそれぞれ止水板1を嵌め込み装着することによって止水する構造のものにしてある。
そして、洪水等の非常時には出入口20の定位置に、先ず前記支柱23を立上げ、次に向い合った支柱23と側壁21の装着溝22,24の間に止水板1を差し入れて出入口20を封鎖するのである。
この実施形態では、支柱23を挟んでその左右に2枚づつの止水板1を重ねる様にして順次装着し、その後、それぞれの止水板1に設ける固定用締付け具14のハンドル17を回転させてそれぞれの係止片18を止水板1の前面とこの前面の端部が嵌り込む装着溝22,24の前方側の内面との間に差し入れ、これによって各止水板1を固定することになる。
つまり、このシール材26は、止水板1が出入口20の前方側からの水圧を受けて後退方向に押圧されたとき、上記左右端部の背面部を受けて密着し、装着溝22,24との一体性が図られ、止水することになるもので、同時に、このシール材26の密着によって各止水板1は装着溝22,24に対し固定されることになる。
従って、このことから前記固定用締付け具14は、装着溝に対して止水板を仮止めする程度の固定となっており、ここでのこの締め付けには特段封水機能を持たせていない。
一方、この上下の止水板1,1を衝き合わせるように誘導する受け枠29は、金属材(ここではアルミ材)を以て断面コ字形の長尺材として形成してあり、これを止水板1の長さに合せて切断したものであり、それぞれは開口部を外に向けて(上下に向けて)前記溝形凹部7,8に嵌め込み、位置を固定した上で止めネジ31で固定し、上下において向い合わせとなるようにしてある。
このため、ここでは前記上下に向き合う受け枠29,29と、この両者間に割り込む棒材30とは、上下の止水板1,1が衝き合って組み合わされた時、その全体の高さが前記2つのシール材27,27同士が重なり合った時の高さ(厚み)を超えないこと、つまり、これによってシール材相互の衝き合せ時の圧縮状態が妨げられないようにしてある。
尚、このシール材28は、上記床面25が、人の出入によって平面状態が荒らされることに鑑み、この形状変形に対応するため柔軟性を兼ね備えた弾性素材の選択が望まれることになる。
ことに、上記補強片2cを増加することは、中空板体2自体を大型化して止水板1を大型化するとき有効であり、中空体の肉厚を抑えることで全体の強度が低下する場合、これをカバーする上で有効に働くことになる。
そして、本発明の止水板は、構造が簡素であり、また前述の様にネジの締め付けで簡単に組立てられるものとなっていることから製造性に優れ、また前記従来のアルミ製止水板に比較して低コストで提供できる利点がある。
1A 止水板の基体となる板本体
2 板本体を構成する中空板体
2a 中空板体の前面板部
2b 中空板体の後面板部
2c 補強片
2d 中空板体の上面板部
2e 中空板体の下面板部
3,4 連結用突条部
3a,4a 連結用突条部の隆起先端面
5,6 小突出片
7,8 溝形凹部
9 止めネジ
10 嵌合部材
11 嵌合部材を止めるネジ
12 シール材
13 把手
14 固定用締付け具
17 固定用締付け具のハンドル
18 固定用締付け具の係止片
20 地下鉄駅の出入口
21 出入口の側壁
22 側壁に設けられる装着溝
23 支柱
24 支柱に設けられる装着溝
25 出入口の床面
27 止水板相互の間に介挿されるシール材
28 止水板と出入口の床面との間を塞ぐシール材
29 受け枠
30 棒材
H部 中空板体同士の連結部
I部 止水板同士の衝き合わせ部分
Claims (8)
- 縦長長方形の断面形状をなす中空の板状体の前面板部と後面板部の間に1又は複数の補強片を渡したアルミ押出型材からなる中空板体の複数個をその長さ方向を横向きに揃え、且つ互いの上面板部と下面板部を接面状に衝き合せて該面板部同士を一体に接合し、連結組合せてこれにより前記中空板体の長さを横幅とし、また前記連結した複数個の中空板体の全幅員を縦幅にする矩形の板本体を形成し、その一方、前記板本体の前面側の適所に把手を、また前面側の左右両側部に固定用締付け具を取付け一体に備えてなることを特徴とした防水装置の止水板。
- 請求項1に記載の防水装置の止水板において、前記板本体を構成する中空板体の接面状に衝き合せる上下の板面部同士はこれらを貫通する止めネジの締付けによって接合することを特徴とした防水装置の止水板。
- 請求項1又は2に記載の防水装置の止水板において、前記板本体を構成する中空板体の接面状に衝き合せる上下の板面部の間には防水用シール材を介挿して当該上下の板面部同士を接合する際に該防水用シール材を圧締し、前記中空板体間を水密に連結することを特徴とした防水装置の止水板。
- 請求項1又は2に記載の防水装置の止水板において、前記中空板体の上下の面板部には長さ方向に沿って先端隆起面を平滑面にする連結用突条部を全長に亘り隆設し、前記中空板体相互の連結において該連結用突条部の先端隆起面同士を衝き合せにすると共に、該先端隆起面間に前記止めネジを貫き通し、その締付けによって接合して前記複数個の中空板体相互を一体に連結し、前記板本体を形成することを特徴とした防水装置の止水板。
- 請求項4に記載の防水装置の止水板において、前記中空板体の互いに向き合う上下の面板部には前記連結用突条部を避けた空隙部分に前記防水用シール材を介挿し、前記止めネジの締付けにより前記上下の面板部間に圧縮収納して水密に連結することを特徴とした防水装置の止水板。
- 請求項4又は5に記載の防水装置の止水板において、前記中空板体の上下の面板部の共通一側縁部に前記連結用突条部に並行して全長に亘り小突出片を突設し、これにより前記上下の面板部に相対向状に溝形凹部を形成すると共に、該向き合う溝形凹部間に連結位置を合せる嵌合部材を嵌め入れ、前記中空板体相互を連結することを特徴とした防水装置の止水板。
- 請求項6に記載の防水装置の止水板において、前記止水板の板本体を構成するうちの上部の中空板体の上面板部に形成される溝形凹部と、これに向き合う下部の中空板体の下面板部に形成される溝形凹部には断面コ字形に形成される受け枠をそれぞれ開口部を外向きにして固定し、前記止水板相互を上下に衝き合せて連設する際、向き合う前記受け枠の間に連結用棒材を嵌合して上下の止水板同士を該連結用棒材を介して一定位置で接合連結することを特徴とした防水装置の止水板。
- 請求項7に記載の防水装置の止水板において、止水板の前記連結用突条部並びに前記溝形凹部を避けた上下の面板部の間にシール材を介挿し、止水板を上下に重ねて連結する際に上方の止水板の重量で当該シール材を圧縮し、上下の止水板間の空隙を密閉封水することを特徴とした防水装置の止水板。
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