JP2015048234A - エレベータの調速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】調速機を大型化、複雑化することなく、可動側ロープ掴みシューの安定かつ確実な入り込み性と、調速機ロープの把持性能との両立を可能にする。【解決手段】実施形態によれば、調速機のロープ掴み機構の掴みばね26は、可動側ロープ掴み24が調速機ロープ10に接触して引き込まれ固定側ロープ掴み22とロープの把持を開始する引き込み完結位置に引き込まれるまでの第1圧縮行程での低いばね定数の特性と、調速機ロープ10の把持を開始してから完了するまで第2圧縮行程での高いばね定数の特性との二重のばね特性を有する。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、エレベータの調速機に関する。
エレベータにおいては、安全装置として、非常停止装置を設けることが法令で義務づけられている(建築基準法施行令第129条の10)。この非常停止装置は、乗りかごの下降速度が規定された値を超えたときに作動して、乗りかごの降下を自動的に制止させる装置である。
ここで、図7は、非常停止装置が設けられている一般的なエレベータの概略構成を示す図である。
図7において、参照番号2は、エレベータの乗りかごを示している。参照番号4は、エレベータの昇降路を示している。この乗りかご2は、主ロープ5で吊られており、図示しない巻上機に駆動されて、昇降路4に設けられたガイドレール6に案内されながら昇降路4内を昇降する。
機械室には、調速機8が設置されている。この調速機8には、乗りかご2の下降速度が規定された値を超える速度以上になったことを検知する機構と、乗りかご2の下降速度が定格速度以上になると、乗りかご2と一体的に走行する調速機ロープ10を把持するロープ掴み機構が設けられている。
乗りかご2には、乗りかご2を非常停止させる非常止め装置12が設けられている。この非常止め装置12は、主ロープ5が切断したり、あるいは巻上機の回転速度が異常になり、エレベータの乗りかご2の下降速度が定格速度以上になったときに、ガイドレール6を掴み、乗りかご2を機械的に非常停止させるための装置である。
調速機ロープ10は、調速機8に取り付けてある綱車14と、昇降路4の下部に配置されている滑車15とに無端状に巻き掛けられている。滑車15には錘16がつり下げられている。調速機ロープ10は、ロープ連結部17を介して、非常止め装置12を作動させるセフティーリンク18と連結されており、調速機ロープ10は乗りかご2の昇降する方向と同方向でかつ同速度で走行するようになっている。
このようなエレベータの非常停止装置では、乗りかご2の降下過速度を調速機8が検知すると、以下に説明するロープ掴み機構によって調速機ロープ10を把持してその走行を停止させ、その結果、セフティーリンク18が非常止め装置12を作動させるので、乗りかご2を非常停止させることができる。
次に、図8は、調速機8に設けられている従来のロープ掴み機構を示す。この種のロープ掴み機構には、例えば、特許文献1に記載されているものが知られている。このロープ掴み機構20は、基台21に固定されている固定側ロープ掴みシュー22と、調速機ロープ10を間に置いて固定側ロープ掴みシュー22と対向して配置されている可動側ロープ掴みシュー24と、この可動側ロープ掴みシュー24に所定の把持力を与える掴みばね26と、可動側ロープ掴みシュー24をホルダ27を介して先端に保持する腕部材28と、この腕部材28を揺動自在に保持する回転軸30と、から構成されている。
腕部材28の後端部は、回転軸30の軸方向と直角に回転軸30を貫通しており、ロックナット31によって固定されている。回転軸30には、ばね受け32a、32bが設けられ、掴みばね26はばね受け32a、32bの間に装着され、その弾性力によって可動側ロープ掴みシュー24を押し出す方向に付勢するようになっている。
このようなロープ掴み機構20では、調速機8によって、乗りかご2の過速度が検知されると、腕部材28が下方の矢印方向Aに倒れ、可動側ロープ掴みシュー24は調速機ロープ10に接触する。
このとき、調速機ロープ10は矢印B方向に走行しており、調速機ロープ10と接触した可動側ロープ掴みシュー24は、摩擦力によって、さらに下方に引き込まれる。調速機ロープ10は、最終的に、固定側ロープ掴みシュー22と可動側ロープ掴みシュー24とによって把持され、調速機ロープ10の走行は止められることになる。
以上のようなロープ掴み機構20の一連の動作では、乗りかご2の過速度が検知され、可動側ロープ掴みシュー24が調速機ロープ10と接触したときに、可動側ロープ掴みシュー24が固定側ロープ掴みシュー22側へ確実に引き込まれることがきわめて重要になる。もし、引き込まれずにいると、調速機ロープ10は固定側ロープ掴みシュー22と可動側ロープ掴みシュー24によって把持されない結果、非常止め装置12は作動しないことになる。
可動側ロープ掴みシュー24が調速機ロープ10に接触し、その摩擦力によって固定側ロープ掴みシュー22に対向する位置まで入り込み易い性能(以下、入り込み性能と呼ぶ)には、以下の条件が関係してくる。
図8において、可動側ロープ掴みシュー24が調速機ロープ10に接触すると、調速機ロープ10と可動側ロープ掴みシュー24との間には摩擦力fが発生する。この摩擦力fは、可動側ロープ掴みシュー24を下方に引き込む力として作用する。
このとき、可動側ロープ掴みシュー24は掴みばね26を押圧するため、圧縮された掴みばね26の弾性力によって、可動側ロープ掴みシュー24には、掴みばね力Pが作用する。掴みばね力Pの調速機ロープ10と垂直な方向の成分をPx、平行な方向の成分をPyとする。腕部材28の角度をθとし、摩擦係数をμとすれば、
f=μPx=μPcosθ …(1)
である。
f=μPx=μPcosθ …(1)
である。
そして、摩擦力fが掴みばね力Pの調速機ロープ10と平行な方向の成分をPyより大きい場合、すなわち
f>Py=Psinθ …(2)
の条件が成立する場合である。
f>Py=Psinθ …(2)
の条件が成立する場合である。
したがって、(1)式を(2)式に代入すると、
μPcosθ>Psinθ
μ>sinθ/cosθ=tanθ …(3)
となる。
μPcosθ>Psinθ
μ>sinθ/cosθ=tanθ …(3)
となる。
(3)式から、可動側ロープ掴みシュー24が摩擦力によって固定側ロープ掴みシュー22に引き込まれるためには、摩擦係数μを大きくするか、調速機ロープ10に可動側ロープ掴みシュー24に接触するときの腕部材28の角度θを小さくすればよいことがわかり、これによって、可動側ロープ掴みシュー24の入り込み性能を向上させることが可能になる。
ところが、可動側ロープ掴みシュー24の材料などを変えることよって、摩擦係数を大きくすると、調速機ロープ10に対する可動側ロープ掴みシュー24の攻撃性が高くなるため、単純に摩擦係数を大きくすることには限界がある。
また、運転速度が300m/分を超えるような高速エレベータの場合、調速機ロープ10の走行速度も高速となり、可動側ロープ掴みシュー24と調速機ロープ10との間の動摩擦係数の値が低下するという現象が発生する。
このようなことから、可動側ロープ掴みシュー24の入り込み性能を向上させるためには、摩擦係数を大きくするよりは、可動側ロープ掴みシュー24が調速機ロープ10に接触するときの腕部材28の角度θをできるだけ小さくすることが好ましいといえる。
ところが、調速機ロープ掴み機構は、調速機ロープ10の並列ピッチ内に配置させる必要があることから、腕部材28の回転半径を任意に大きく取ることはできない。このため、調速機ロープに接触するときの腕部材28の角度θを小さくすると、掴みばね12のストロークも小さくなり、シュー材の摩耗や、加工・組立時の誤差等の影響を強く受けるようになり、安定した把持力を継続して発生させることが難しくなり、ひいては、非常止め装置12の不動作等の問題を引き起こしかねない。
このようなことから、可動側ロープ掴みシュー24の入り込み性能の向上と、安定した把持性能の両立を図るには、調速機ロープに接触するときの腕部材28の角度θを小さくしつつ、掴みばね26のストロークが大きくなるようなロープ掴み機構が望ましいことになるが、結果として、調速機全体が大型化してしまうことが避けられない。
本発明は、前記従来技術の有する問題点に鑑みなされたものであって、調速機を大型化、複雑化することなく、可動側ロープ掴みシューの安定かつ確実な入り込み性と、調速機ロープの把持性能との両立を可能にするエレベータの調速機を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、乗りかごの下降速度が規定値を超えたことを検知したときに、固定側ロープ掴みと、回転軸を支点に回動可能な腕部材の先端に取り付けられロープ把持力を発生する掴みばねによって付勢された可動側ロープ掴みとで、調速機ロープを把持するロープ掴み機構を備えたエレベータの調速機において、前記掴みばねは、前記可動側ロープ掴みが前記調速機ロープに接触して引き込まれ前記固定側ロープ掴みとロープの把持を開始する引き込み完結位置に引き込まれるまでの第1圧縮行程での低いばね定数の特性と、前記調速機ロープの把持を開始してから完了するまで第2圧縮行程での高いばね定数の特性との二重のばね特性を有することを特徴とする。
以下、本発明によるエレベータの調速機の一実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態によるエレベータの調速機を示す斜視図であり、図2は、この調速機の正面図である。
図1は、本発明の第1実施形態によるエレベータの調速機を示す斜視図であり、図2は、この調速機の正面図である。
図1、図2において、参照番号40は、調速機8の本体が設置される基台を示し、41は基台の脚である。基台40の上には、2枚の板状のフレーム42A、42Bが平行に所定間隔をおいて垂直に設けられている。このフレーム42A、42Bの間には、綱車44が回転軸45を介して支持されている。綱車44には、調速機ロープ10が巻き掛けられている。
綱車44には、回転錘46が設けられており、この回転錘46は綱車44と連動して回転し遠心力によって広がるようになっている。この回転錘46の広がる動作は、速度調整ばね48によって調整され、この速度調整ばね48の調整によって回転錘46が開く動作をするときの綱車44の回転速度を設定することができる。
調速機8には、リミットスイッチ49が設けられており、調速機ロープ10が所定の速度になって、回転錘46が検知レバー51に当たるまで開くと、リミットスイッチ50はオンになる。その信号は制御盤に送られ、エレベータの主電源が切れるようになっている。
そして、乗りかごが下降を続けて、調速機ロープ10の走行とともに回転する綱車44の回転速度がさらに増加すると、回転錘46は遠心力によってさらに広がり、次のようなロープ掴み機構20を作動させる。
そこで、調速機8に設けられているロープ掴み機構20について説明する。このロープ掴み機構20は、基台40に固定されている固定側ロープ掴み22(以下、固定側ロープ掴みシュー22という)と、調速機ロープ10を間に置いて固定側ロープ掴みシュー22と対向して配置されている可動側ロープ掴み24(以下、可動側ロープ掴みシュー24という)を有する可動ロープ掴み組立体23と、から構成されている。固定側ロープ掴みシュー22、可動側ロープ掴みシュー24の対向面には、調速機ロープ10を挟み込むU溝が形成されている。
図2において、掴みばね26は、可動側ロープ掴みシュー24に所定の把持力を与えるばねである。可動側ロープ掴みシュー24は、ホルダ27を介して腕部材28の先端に保持されている。この腕部材28は、回転軸30によって揺動自在に支持されている。この腕部材28の後端部は、回転軸30の軸方向と直角に回転軸30を貫通しており、ロックナット31によって抜け止めとともに固定されている。腕部材28には、ばね受け32a、32bが設けられ、掴みばね26をばね受け32a、32bの間に装着し、その弾性力によって可動側ロープ掴みシュー24を押し出す方向に付勢するようになっている。
このようなロープ掴み機構20では、調速機8によって、乗りかご2の過速度が検知されると、図3(a)に示されるように、可動ロープ掴み組立体23が下方の矢印方向Aに倒れ、可動側ロープ掴みシュー24は調速機ロープ10に接触する。
このとき、調速機ロープ10は矢印B方向に走行しており、調速機ロープ10と接触した可動側ロープ掴みシュー24は、摩擦力によってさらに下方に引き込まれ、図3(b)に示されるように、調速機ロープ10は、最終的に、固定側ロープ掴みシュー22と可動側ロープ掴みシュー24とによって把持され、調速機ロープ10の走行は止められることになる。
本実施形態によるロープ掴み機構では、掴みばね26には、圧縮量に対してばね定数が非線形的に変化する非線形圧縮コイルばねが用いられている。そこで、図4に、掴みばね26のばね特性を示す。
この図4は、可動ロープ掴み組立体23が倒れ、可動側ロープ掴みシュー24が調速機ロープ10と接触を始めてから、可動側ロープ掴みシュー24が固定側ロープ掴みシュー22と平行になるまで引き込まれて調速機ロープ10の把持が完了するまでの過程での掴みばね力Pの変化を示している。
この図4において、掴みばね26が圧縮していくばねストロークは、ばね圧縮行程S1、S2に分けられる。
ばね圧縮行程S1は、可動側ロープ掴みシュー24が調速機ロープ10と接触し始め、掴みばね26の圧縮が開始され、しだいに下方に引き込まれていき、以後確実に引き込まれるような状態が確保され、かつ可動側ロープ掴みシュー24と固定側ロープ掴みシュー22による調速機ロープ10の把持が開始される位置(以下、引き込み動作完結位置という)に到達するまでの圧縮行程である。このばね圧縮行程S1の範囲において、掴みばね26は、小さいばね定数をもち、圧縮量とともに掴みばね力Pは漸増していく特性を有している。
これに対して、ばね圧縮工程S2は、可動側ロープ掴みシュー24が、引き込み動作完結位置から固定側ロープ掴みシュー22と平行になるまで倒れ、把持の開始から強固な把持が完了するまでの圧縮行程である。このばね圧縮行程S2の範囲では、掴みばね26は、大きなばね定数をもつように変化し、掴みばね力Pは急激に増大していく特性を有している。
本実施形態によるエレベータの調速機は、以上のように構成されるものであり、次に、その作用並びに効果について説明する。
調速機8によって、乗りかご2の過速度が検知されると、図3(a)に示されるように、可動ロープ掴み組立体23は下方の矢印方向Aに倒れ、可動側ロープ掴みシュー24が調速機ロープ10に接触する。
既に図8に基づいて説明したように、可動側ロープ掴みシュー24が調速機ロープ10に接触すると、調速機ロープ10と可動側ロープ掴みシュー24との間には摩擦力fが発生する。この摩擦力fは、可動側ロープ掴みシュー24を下方に引き込む力として作用する。
このとき、可動側ロープ掴みシュー24が摩擦力によって固定側ロープ掴みシュー22に引き込まれるための条件
μ>tanθ …(3)
を満たすように、可動側ロープ掴みシュー24が調速機ロープ10に接触をはじめたときの腕部材28の角度θと摩擦係数μが設定されているとする。
μ>tanθ …(3)
を満たすように、可動側ロープ掴みシュー24が調速機ロープ10に接触をはじめたときの腕部材28の角度θと摩擦係数μが設定されているとする。
調速機ロープ10と接触した可動側ロープ掴みシュー24は、摩擦力fによって引き込まれながら、掴みばね26を押圧していくため、圧縮された掴みばね26の弾性力によって、可動側ロープ掴みシュー24には、調速機ロープ10に押し付けようとする掴みばね力Pが作用する。前述の式(2)により、摩擦力fが掴みばね力Pより大きい場合に、可動掴側ロープ掴みシュー24が引き込まれるため、Pyを小さくするほど引き込みやすくなる。
本実施形態では、可動側ロープ掴みシュー24が引き込まれていきながら、掴みばね26が圧縮されるロープ入り込み時の行程S1では、図4に示したように、掴みばね26は小さなばね定数によるばね特性を発揮し、押し付ける掴みばね力Pは、比較的小さい範囲に低減されるようになっている。
次に、引き込み動作完結位置を超えて、可動側ロープ掴みシュー24がさらに倒れると、可動側ロープ掴みシュー24は固定側ロープ掴みシュー22とで調速機ロープ10の把持を開始する。この間、可動側ロープ掴みシュー24は、掴みばね26をさらに圧縮していく。やがて、可動側ロープ掴みシュー24が固定側ロープ掴みシュー22と平行になるまで完全に倒れ込む。この過程で圧縮される掴みばね26による掴みバネ力Pは、調速機ロープ10を把持する力として作用する。
本実施形態では、ロープ把持時に掴みばね26が圧縮される行程S2では、図4に示したように、掴みばね26は大きなばね定数によるばね特性を発揮し、ロープ把持力として作用する掴みばね力Pを入れ込み時と較べて大きく増大させて規定のロープ把持力を確保することができる。
以上のようにして、本実施の形態では、可動側ロープ掴みシュー24を付勢する掴みばね26に、可動側ロープ掴みシュー24が調速機ロープ10に入り込む際のばね特性と、調速機ロープ10を把持するときとでばね特性が異なる二重のばね特性を持たせることにより、ロープ掴み機構自体は変えることなく、掴みばね26のばね特性のみによって、可動側ロープ掴みシュー24の入り込み性能とロープ把持性能との両立を実現することができる。
第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態によるエレベータの調速機について、図5並びに図6を参照して説明する。
次に、本発明の第2実施形態によるエレベータの調速機について、図5並びに図6を参照して説明する。
この第2実施形態による調速機のロープ掴み機構では、図5に示されるように、大小異なるばね定数を有する第1圧縮コイルばね50、第2圧縮コイルばね52の2つを直列に繋いだ掴みばねが用いられている。図6に、この掴みばねのばね特性を示す。
この図6は、可動ロープ掴み組立体23が倒れ、可動側ロープ掴みシュー24が調速機ロープ10と接触を始めてから、可動側ロープ掴みシュー24が固定側ロープ掴みシュー22と平行になって調速機ロープ10を把持するまでの過程での掴みばね力Pの変化を示している。
この図6において、掴みばね26が圧縮していくばねストロークは、ばね圧縮行程S1、S2に分けられる。
ばね圧縮行程S1は、可動側ロープ掴みシュー24が調速機ロープ10と接触し始め、掴みばね26の圧縮が開始され、しだいに下方に引き込まれていき、以後確実に引き込まれるような状態が確保され、かつ可動側ロープ掴みシュー24と固定側ロープ掴みシュー22による調速機ロープ10の把持が開始される位置(以下、引き込み動作完結位置という)に到達するまでの圧縮行程である。このばね圧縮行程S1の範囲において、掴みばねを構成している第1のコイルばね50は、小さいばね定数K1をもち、圧縮量とともにばね力Pは漸増していく特性を有している。
これに対して、ばね圧縮工程S2は、可動側ロープ掴みシュー24が、引き込み動作完結位置から固定側ロープ掴みシュー22と平行になるまで倒れ、ロープ把持が開始されてから把持が完了するまでの圧縮行程である。このばね圧縮行程S2の範囲では、掴みばねを構成している第2のコイルばね52は、大きなばね定数K2をもち、ばね力Pは急激に増大していく特性を有している。
次に、以上のように構成される第2実施形態の作用並びに効果について説明する。
調速機8によって、乗りかご2の過速度が検知されると、図5(a)に示されるように、可動ロープ掴み組立体23は下方の矢印方向Aに倒れ、可動側ロープ掴みシュー24が調速機ロープ10に接触する。
このとき、第1実施形態と同様に、可動側ロープ掴みシュー24が摩擦力によって固定側ロープ掴みシュー22に引き込まれるための条件
μ>tanθ …(3)
を満たすように、可動側ロープ掴みシュー24が調速機ロープ10に接触をはじめたときの腕部材28の角度θと摩擦係数μが設定されているものとする。
μ>tanθ …(3)
を満たすように、可動側ロープ掴みシュー24が調速機ロープ10に接触をはじめたときの腕部材28の角度θと摩擦係数μが設定されているものとする。
調速機ロープ10と接触した可動側ロープ掴みシュー24は、摩擦力fによって引き込まれながら、掴みばねを構成している小さいばね係数K1の第1圧縮コイルばね50を押圧していく。このとき、第2圧縮コイルばね52の方は圧縮されることはないように、第1あっしゅくコイルばね50と第2圧縮コイルばね52のばね定数を設計しておく。これにより、第1圧縮コイルばね52の弾性力のみよって、可動側ロープ掴みシュー24には、調速機ロープ10に押し付けようとする掴みばね力Pが作用する。
本実施形態では、可動側ロープ掴みシュー24が引き込まれていきながら、第1圧縮コイルばね50が圧縮されるロープ入り込み時の行程S1では、図6に示したように、小さなばね定数K1によるばね特性を発揮し、押し付ける掴みばね力Pは、比較的小さい範囲に低減されるようになっている。
次に、引き込み動作完結位置を超えて、可動側ロープ掴みシュー24がさらに倒れると、可動側ロープ掴みシュー24は固定側ロープ掴みシュー22とで調速機ロープ10の挟持を開始する。この第2実施形態の場合、引き込み動作完結位置で第1圧縮コイルばね50が全圧縮するようにばねストロークが設定されており、可動側ロープ掴みシュー24は、この時点から第2圧縮コイルばね52を圧縮していく。
やがて、図5(b)に示されるように、可動側ロープ掴みシュー24が固定側ロープ掴みシュー22と平行になるまで完全に倒れ込む。この過程で圧縮される第2コイルばね52による掴みバネ力Pは、調速機ロープ10を把持する力として作用する。
本実施形態では、ロープ把持時に第2圧縮コイルばね52が圧縮される行程S2では、図6に示したように、大きなばね定数K2によるばね特性を発揮し、ロープ把持力として作用する掴みばね力Pを入れ込み時と較べて大きく増大させて規定のロープ把持力を確保することができる。
以上のようにして、本実施の形態では、可動側ロープ掴みシュー24を付勢する掴みばねを、可動側ロープ掴みシュー24が調速機ロープに入り込む際に圧縮されるばね定数の小さい第1圧縮コイルばね50と、調速機ロープ10を把持する際に圧縮されるばね定数の大きい第2圧縮コイルばね52とを直列に繋げて構成し、ばね特性が異なる二重のばね特性を持たせている。これにより、ロープ掴み機構自体は変えることなく、掴みばねのばね特性のみによって、可動側ロープ掴みシュー24の入り込み性能とロープ把持性能との両立を実現することができる。
なお、以上説明した第2実施形態では、圧縮コイルばねを2つ直列に繋げて二重のばね特性を持たせるようにしたが、圧縮コイルの替わりに、複数個の皿ばねを直列または並列若しくは直列と並列を組み合わせることにより、二重のばね特性をもたせるようにしてもよい。
以上、本発明によるエレベータの調速機について、好適な実施形態を挙げて説明したが、これらの実施形態は、例示として挙げたもので、発明の範囲の制限を意図するものではない。もちろん、明細書に記載された新規な装置、方法およびシステムは、様々な形態で実施され得るものであり、さらに、本発明の主旨から逸脱しない範囲において、種々の省略、置換、変更が可能である。請求項およびそれらの均等物の範囲は、発明の主旨の範囲内で実施形態あるいはその改良物をカバーすることを意図している。
2…乗りかご、4…昇降路、5…主ロープ、6…ガイドレール、8…調速機、10…調速機ロープ、12…非常止め装置、14…綱車、18…セフティーリンク、20…ロープ掴み機構、22…固定側ロープ掴みシュー、24…可動側ロープ掴みシュー、26…掴みばね、28…腕部材、30…回転軸、50…第1圧縮コイルばね、52…第2圧縮コイルばね
Claims (4)
- 乗りかごの下降速度が規定値を超えたことを検知したときに、固定側ロープ掴みと、回転軸を支点に回動可能な腕部材の先端に取り付けられロープ把持力を発生する掴みばねによって付勢された可動側ロープ掴みとで、調速機ロープを把持するロープ掴み機構を備えたエレベータの調速機において、
前記掴みばねは、前記可動側ロープ掴みが前記調速機ロープに接触して引き込まれ前記固定側ロープ掴みとロープの把持を開始する引き込み完結位置に引き込まれるまでの第1圧縮行程での低いばね定数の特性と、前記調速機ロープの把持を開始してから完了するまで第2圧縮行程での高いばね定数の特性との二重のばね特性を有することを特徴とするエレベータの調速機。 - 前記掴みばねは、前記第1圧縮行程では相対的に低いばね定数を有し、前記第2圧縮行程では、前記調速機ロープの規定の把持力を発揮する高いばね定数の特性を有する非線形圧縮コイルばねからなることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの調速機。
- 前記掴みばねは、相対的に低いばね定数を有し前記第1圧縮行程で圧縮される第1の圧縮コイルばねと、前記第2圧縮行程で圧縮され前記調速機ロープの規定の把持力を発揮する高いばね定数を有する第2の圧縮コイルばねと、を直列に繋げたばねからなることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの調速機。
- 前記掴みばねは、複数個の皿ばねを直列または並列に並べることで。前記二重のばね特性を有することを特徴とする請求項1に記載のエレベータの調速機。
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