本発明を具体化した実施の形態について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成やフローチャートなどは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
<1.パチンコ機1の機械的構成>
図1を参照して、パチンコ機1の機械的構成を説明する。パチンコ機1は、正面略で略正方形状の遊技盤2を着脱可能な本体枠19を備える。本体枠19に装着された遊技盤2は、パチンコ機1の上側部分に配置される。遊技盤2は、本体枠19と、本体枠19の前側に装着された前面枠18との間で保持される。前面枠18は、透明なガラス板を保持しており、遊技盤2の前面を保護する。前面枠18のガラス板を取り囲むように、遊技の進行中に点灯又は点滅可能な電飾部材35が設けられている。前面枠18の上部の両角部に、スピーカ48がそれぞれ設けられている。
遊技盤2の下部に、上皿5が設けられている。上皿5は、発射装置37(図2参照)に遊技球を供給し、且つ、賞球払出装置49(図2参照)から払い出される賞球を受ける。上皿5の上面に、操作ボタン9が設けられている。上皿5の直下に、賞球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右側に、発射装置37による遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。遊技盤2の前面に、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。遊技領域4の略中央に、各種演出を実行する演出装置8が設けられている。
演出装置8の左右両側に、それぞれ普通図柄作動ゲート10が設けられている。演出装置8の下側に、振分装置30が設けられている。振分装置30の右側に、大入賞口16が設けられている。大入賞口16は開閉部材を備え、開閉部材が開放された場合にのみ、遊技球は大入賞口16に入賞できる。振分装置30の下側に、左右に並ぶ二つの第一特別図柄始動口14と、可動部材を備える第二特別図柄始動口15とが設けられている。
振分装置30の内部に、後述する第一〜第三通過口11〜13が配設されている(図5参照)。左側の第一特別図柄始動口14は、第一通過口11を通過した遊技球が入賞容易である。右側の第一特別図柄始動口14は、第二通過口12を通過した遊技球が入賞容易である。第二特別図柄始動口15の開閉部材が開放されていない場合、第二特別図柄始動口15は第三通過口13を通過した遊技球が入賞容易である。なお、第二特別図柄始動口15の開閉部材が開放されている場合、第三通過口13を通過した遊技球のみならず、第二特別図柄始動口15の近傍を流下する遊技球も入賞可能となる。
演出装置8の正面に、遊技を演出する様々な映像が表示されるLCD(表示画面28)が設けられている。表示画面28には、大当たり判定の結果を遊技者に報知するための複数のデモ図柄が表示される。複数のデモ図柄は、遊技球が第一特別図柄始動口14及び第二特別図柄始動口15のいずれかに入賞すると変動を開始し、その変動後に大当たり判定の結果に応じた組み合わせで確定表示される。
遊技盤2の右斜め下部には、図柄表示部24(図2参照)が設けられている。図柄表示部24は、特別図柄表示部、普通図柄表示部、特別図柄記憶数表示LED、及び普通図柄記憶数表示LEDを含む。特別図柄表示部は、2つの7セグメントLEDからなり、大当たり判定の結果を示す特別図柄を表示する。普通図柄表示部は、LEDの点灯及び消灯によって普通当たり判定の結果を表示する。特別図柄記憶数表示LEDは、大当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数(所謂「特別図柄作動保留球数」)を表示する。普通図柄記憶数表示LEDは、普通当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数(所謂「普通図柄作動保留球数」)を表示する。
本実施形態のパチンコ機1における遊技の流れを概略的に説明する。遊技球が普通図柄作動ゲート10を通過すると、普通当たり判定が行われる。普通当たり判定において当たりと判定された場合、普通当たり遊技が実行される。普通当たり遊技では、第二特別図柄始動口15の開閉部材が所定時間開放される。遊技球が第一特別図柄始動口14に入賞すると、第一特別図柄に基づく大当たり判定(以下、第一大当たり判定)が行われる。遊技球が第二特別図柄始動口15に入賞すると、第二特別図柄に基づく大当たり判定(以下、第二大当たり判定)が行われる。第一、第二大当たり判定のいずれかにおいて当たりと判定されると、大当たり遊技が実行される。大当たり遊技では、大入賞口16が所定回数開放される。開放された大入賞口16に遊技球が入賞すると、賞球が遊技者に付与される。
本実施形態では、大当たり遊技時における大入賞口16の開放回数(所謂、ラウンド数)として、16ラウンド及び4ラウンドの2パターンが設けられている。第二大当たり判定において当たりと判定された場合は、第一大当たり判定において当たりと判定された場合よりも、16ラウンドの大当たり遊技が実行される確率が高い。つまり、第二特別図柄は、第一特別図柄よりも遊技者に有利な特別図柄(換言すると、第二特別図柄始動口15は第一特別図柄始動口14よりも有利な始動口)である。
<2.パチンコ機1の電気的構成>
図2を参照して、パチンコ機1の電気的構成を説明する。パチンコ機1の制御部40は、主基板41、サブ制御基板58、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、払出制御基板45、及び中継基板47を主に備える。
主基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主基板41の主基板CPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とが設けられている。主基板CPUユニット50には、割込信号発生回路57が接続されている。主基板41は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎にプログラムを実行する。
主基板41は、I/Oインタフェイス54を介してサブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47、出力ポート55、第一検出スイッチ71、第二検出スイッチ72、第三検出スイッチ73、第一始動口スイッチ74、第二始動口スイッチ75、及び第三始動口スイッチ76に接続されている。出力ポート55は、図示外の遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の情報を出力する。
第一検出スイッチ71は、第一通過口11を通過した遊技球を検出し、検出信号を主基板41に出力する。第二検出スイッチ72は、第二通過口12を通過した遊技球を検出し、検出信号を主基板41に出力する。第三検出スイッチ73は、第三通過口13を通過した遊技球を検出し、検出信号を主基板41に出力する。第一始動口スイッチ74は、左側の第一特別図柄始動口14に入賞した遊技球を検出し、検出信号を主基板41に出力する。第二始動口スイッチ75は、右側の第一特別図柄始動口14に入賞した遊技球を検出し、検出信号を主基板41に出力する。第三始動口スイッチ76は、第二特別図柄始動口15に入賞した遊技球を検出し、検出信号を主基板41に出力する。第一始動口スイッチ74及び第二始動口スイッチ75が出力する検出信号は、CPU51に第一特別図柄に基づく大当たり判定を実行させる信号として機能する。第三始動口スイッチ76が出力する検出信号は、CPU51に第二特別図柄に基づく大当たり判定を実行させる信号として機能する。
サブ制御基板58は、CPU581、RAM582、及びROM583を備え、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、操作ボタン9、スピーカ48、及び後述の振分モータ330に接続している。サブ制御基板58は、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出に関する総合的な制御を行う。ランプドライバ基板46は、電飾部材35の発光制御を行う。演出制御基板43は、CPU43a等を備え、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って表示画面28の表示を制御する。払出制御基板45は、CPU45a等を備える。払出制御基板45は、主基板41から送信されるコマンドに応じて賞球払出装置49の動作を制御し、所定数の遊技球を払い出させる。
中継基板47には、普通電動役物開閉ソレノイド77、普通図柄作動スイッチ70、大入賞口開閉ソレノイド78、大入賞口スイッチ79、及び図柄表示部24が接続されている。普通電動役物開閉ソレノイド77は、普通当たり遊技中に第二特別図柄始動口15の開閉部材を開閉する。普通図柄作動スイッチ70は、普通図柄作動ゲート10を通過した遊技球を検出する。大入賞口開閉ソレノイド78は、大当たり遊技中に大入賞口16の開閉部材を開閉する。大入賞口スイッチ79は、大入賞口16に入賞した遊技球を検出する。
電源基板42は、主基板41及び発射装置37に接続されており、各基板及び発射装置37に直流の安定化した電力を供給する。発射装置37は、一定間隔(パチンコ機1では0.6秒)毎に1個ずつ遊技球を遊技領域4へ発射する。
<3.振分判定テーブル500>
図3を参照して、振分判定テーブル500を説明する。振分判定テーブル500は、サブ制御基板58のROM583に記憶されている。振分判定テーブル500は、振分装置30に設けられた3つの検出領域(具体的には、第一〜第三通過口11〜13)ごとに、振分率の大きさに応じて不正操作の可能性を段階的に示す異常レベルを定める。振分率は、第一〜第三通過口11〜13のいずれかを通過した遊技球の総数のうち、第一〜第三通過口11〜13のそれぞれを通過した遊技球の割合である。
製造者は、あらかじめ振分装置30の第一〜第三通過口11〜13の振分率を、計算、シミュレーション、実射試験などによって、適正な遊技状態における理論上の期待値(以下、基準値)を特定する。一例として、第一通過口11及び第二通過口12の振分率の基準値をそれぞれ35%、第三通過口13の振分率の基準値を30%とする。実際の振分率が基準値に対する許容誤差を超えた場合に、振分装置30で遊技球の振分け先に異常な偏り(以下、振分エラー)が生じたものとみなされる。
具体的には、図3に示すように、実際の第一通過口11の振分率が、第一通過口11の基準値に対して上下10%の許容誤差に収まる場合、異常レベルは「0」である。実際の第一通過口11の振分率が許容誤差から乖離するほど、対応する異常レベルが「1」、「2」の順に大きくなる。第二通過口12についても同様である。
第一特別図柄よりも有利な第二特別図柄は、遊技者及びホールの利益バランスに対する影響が大きい。本実施形態では、第三通過口13を通過する遊技球は、第二特別図柄始動口15に入賞しやすい。したがって、第三通過口13は第一通過口11及び第二通過口12よりも厳密に異常レベルが設定されている。具体的には、実際の第三通過口13の振分率が、第三通過口13の基準値に対して上下5%の許容誤差に収まる場合、異常レベルは「0」である。実際の第一通過口11の振分率が許容誤差から乖離するほど、対応する異常レベルが「1」〜「3」の順に大きくなる。
振分判定テーブル500は、各異常レベルに対応するエラーの報知態様が定められている。本実施形態の報知態様は、各異常レベルに対応して、電飾部材35を点滅又は点灯させる発光色を示す。異常レベルが「0」である場合、電飾部材35の発光色は正常状態を示す「白」である。異常レベルが「1」〜「3」である場合、電飾部材35の発光色はそれぞれ異常状態を示す「青」、「黄」、「赤」である。つまり、異常レベルが高いほど、電飾部材35はより視覚的な印象が強い色で点灯又は点滅する。
<4.振分装置30>
図4〜図7を参照して、振分装置30の全体構成を説明する。以下の説明では、図4の左下側、右上側、左上側、右下側、上側、下側を、それぞれ振分装置30の前側、後側、左側、右側、上側、下側とする。振分装置30の各方向は、パチンコ機1の各方向と一致する。
図4に示すように、振分装置30は、球案内部100、取付板120、機構設置部140、後部材160、回転駆動機構300を備える。球案内部100は、取付板120の前面に固定される。機構設置部140は、取付板120の背面に固定される。後部材160は、機構設置部140の後部に固定される。機構設置部140及び後部材160は、遊技盤2(図1参照)に形成された取付穴(図示外)に前側から挿入された状態で、取付板120が遊技盤2の前面に固定される。これにより、球案内部100が遊技領域4に配置される。
図4及び図5に示すように、球案内部100は、正面視で左右対称に形成されており、上下左右方向に延びる前面101と、前面101から後方に延びる複数の壁部102〜113とを含む。球案内部100と取付板120との間に、入球口80、排出口81〜85、連通口86〜89、設置部90、流路91〜95、分岐部99、及び先述の第一〜第三通過口11〜13が、以下に説明するように左右対称に形成される。
入球口80は、球案内部100の上端中央に設けられた、遊技領域4を流下する遊技球が入球可能な開口部である。壁部102,103は、それぞれ、入球口80から左下側及び右下側に延びる。壁部102,103の各上端部は、入球口80から下側に延びる流路91を形成する。流路91の下端部(排出案内部91A)は、後述の分岐部99に接続している。
壁部102の右下側には、壁部102に沿って左下側に延びる壁部110が設けられる。壁部103の左下側には、壁部103に沿って右下側に延びる壁部111が設けられる。壁部110,111は、入球口80よりも左右方向に長い間隔を空けて、左右に並んで配置されている。壁部110,111によって挟まれた領域が、振分可動体310が回転自在に設置される設置部90である。振分可動体310は、遊技盤2の前面に対して垂直な軸部319を中心に回転可能な回転体である。設置部90では、正面視で振分可動体310の輪郭と壁部110,111の各上端部とが接している。
壁部102,110の間に、分岐部99から左下側に延びる流路92が形成される。壁部102,110の各下端部の下側に、それぞれ上下方向に延びる壁部104,105が左右に並んで設けられる。壁部104,105によって挟まれた領域に、第一検出スイッチ71の検出穴71A(図6参照)が配設される。壁部104,105によって挟まれた領域が、第一通過口11である。流路92の下端部と第一通過口11とは、互いに上下方向に対向する。壁部102の下端部と壁部104の上端部との隙間が、排出口84である。壁部110の下端部と壁部105の上端部との隙間が、連通口86である。
壁部103,111の間に、分岐部99から右下側に延びる流路93が形成される。壁部103,111の各下端部の下側に、それぞれ上下方向に延びる壁部106,107が左右に並んで設けられる。壁部106,107によって挟まれた領域に、第二検出スイッチ72の検出穴72A(図6参照)が配設される。壁部106,107によって挟まれた領域が、第二通過口12である。流路93の下端部と第二通過口12とは、互いに上下方向に対向する。壁部103の下端部と壁部106の上端部との隙間が、排出口85である。壁部111の下端部と壁部107の上端部との隙間が、連通口88である。
壁部110の下端部から右下側に向けて、壁部112が延びている。流路94は、連通口86から壁部105,112の間を通って下側に延びている。壁部111の下端部から左下側に向けて、壁部113が延びている。流路95は、連通口88から壁部107,113の間を通って下側に延びている。壁部112,113の間に、設置部90から下側に延びる流路96が形成される。
壁部112,113の各下端部の下側に、それぞれ上下方向に延びる壁部108,109が左右に並んで設けられる。壁部108,109によって挟まれた領域に、第三検出スイッチ73の検出穴73A(図6参照)が配設される。壁部108,109によって挟まれた領域が、第三通過口13である。流路96の下端部と第三通過口13とは、互いに上下方向に対向する。壁部108,109の各下端部の隙間が、排出口83である。壁部112の下端部と壁部108の上端部との隙間が、連通口87である。壁部113の下端部と壁部109の上端部との隙間が、連通口89である。
壁部104は、壁部105よりも下側に延びている。壁部104の下端部と壁部108との隙間が、排出口81である。排出口81は、第一通過口11の直下に設けられ、且つ流路94の下端部に連通する。壁部106は、壁部107よりも下側に延びている。壁部106の下端部と壁部109との隙間が、排出口82である。排出口82は、第二通過口12の直下に設けられ、且つ流路95の下端部に連通する。
図6及び図7に示すように、取付板120は正面視で略正方形状の板状本体121を有する。板状本体121の上側部分には、後述の回転板311が内部に保持される筒状の取付部122が設けられている。取付部122の後端部には、後述の軸部319が挿通する軸支部129が設けられている。板状本体121の下側部分には、第一〜第三検出スイッチ71〜73の後部がそれぞれ嵌め込まれる三つの取付穴123〜125が設けられている。三つの取付穴123〜125に嵌め込まれた第一〜第三検出スイッチ71〜73の検出穴71A〜73Aは、それぞれ第一〜第三通過口11〜13に配置される(図5参照)。
機構設置部140は、前側に開口する箱状の本体部141を有する。本体部141の内部領域142に、後述のリンク部材320が収容される。本体部141の後端部上側に、内部領域142を後方に露出させる開口部143が形成されている。本体部141の背面における開口部143の上下両側に、それぞれモータ固定部148及び軸支部149が設けられている。モータ固定部148は、後述の振分モータ330を固定する部材である。軸支部149は、後述の軸部351の前端部を軸支する孔部である。
後部材160は、前側に開口する箱状の本体部161を有する。本体部161の内部領域162に、後述の振分モータ330及びリンク部材340,350が収容される。本体部161の上端側に、後述の軸部351の後端部を軸支する孔部である軸支部169が設けられている。
<5.回転駆動機構300>
図6〜図10に示すように、回転駆動機構300は、振分可動体310、リンク部材320,340,350、及び振分モータ330を備える。図8〜図10に示す振分可動体310は、回転時の基準位置(以下、定常状態)にある。以下の説明では、定常状態の振分可動体310をもとに、各部の位置関係を説明する。
振分可動体310は、回転板311、前板312、規制面313,314、及び軸部319を有する。回転板311は円形板であり、背面中央から後方に軸部319が突出している。回転板311が取付板120の取付部122に保持された状態で、軸部319の後端部は取付板120の軸支部129よりも後方に突出する。前板312は、回転板311の前側に配置され、回転板311の上半分に対応する半円形状である。
前板312と回転板311との間に、通過口315及び規制面313,314が設けられている。通過口315は、遊技球が振分可動体310の内部に進入可能な開口部である。規制面313は、通過口315の上端左縁部から左下側に延びている。規制面314は、通過口315の上端右縁部から右下側に延びている。規制面313,314は、遊技球が振分可動体310の内部に進入するのを妨げる壁面である。通過口315及び規制面313,314は、設置部90に配置される(図5参照)。なお、前板312には、振分可動体310の内部を通過する遊技球を前側に露出させるスリットである窓部312Aが形成されている。
リンク部材320の両端部に、連結部321及び軸部322が設けられている。連結部321は、取付板120の軸支部129から後方に突出する軸部319が挿入連結される。軸部322は、正面視で連結部321とは異なる位置に設けられ、且つ連結部321よりも後方に突出する。振分モータ330は、振分可動体310を回転させる動力を供給するステッピングモータである。リンク部材340の両端部に、連結部341及び軸部342が設けられている。連結部341は、振分モータ330の出力軸が挿入連結される。軸部342は、正面視で連結部341とは異なる位置に設けられ、且つ連結部341よりも後方に突出する。
リンク部材350は、上下方向に延びる板状部材であり、軸部351、軸受部352、摺動溝353を有する。軸部351は、リンク部材350の上端部に設けられ、且つ前後方向に突出する。軸受部352は、リンク部材350の長手方向略中央に設けられた、下方に開口するコの字型部材である。リンク部材320の軸部322は、機構設置部140の開口部143を介して後部材160の内部領域162に進入し、軸受部352の内部に配置される。摺動溝353は、リンク部材350の下側部分に設けられた、リンク部材350の長手方向に延びる溝部である。リンク部材340の軸部342は、摺動溝353に挿入される。
振分モータ330の上側には、振分可動体310に伴って回転する検出板(図示外)を検出可能な反射センサ331が設けられている。振分可動体310が定常状態にある場合、反射センサ331は検出板を検出する。サブ制御基板58のCPU581は、反射センサ331が出力する検出信号に基づいて、振分可動体310の回転位置を特定できる。
<6.振分可動体310の動作態様>
図5〜図14を参照して、振分可動体310の動作態様と、球案内部100における遊技球の流下態様とを説明する。図5、図12、図14に示すように、遊技領域4を流下した遊技球が入球口80に入球すると、入球した遊技球は流路91を流下する。流路91を流下した遊技球は、流路91の下端部である排出案内部91Aを経由して、分岐部99に排出される。このとき、排出案内部91Aは、遊技球を振分可動体310に向けて下側に排出する。
図5に示すように、振分可動体310が定常状態にある場合、通過口315は排出案内部91Aと上下方向に対向する。したがって、分岐部99に排出された遊技球は、通過口315から振分可動体310の内部に進入しやすい。また、規制面313と壁部110との隙間は、遊技球の直径よりも小さい。規制面314と壁部111との隙間は、遊技球の直径よりも小さい。したがって、振分可動体310の内部に進入しなかった遊技球は、設置部90に進入することなく、流路92,93のいずれかに案内される。
図6〜図10に示すように、定常状態の振分可動体310において、振分モータ330がリンク部材340を正面視で時計回り方向に回転すると、軸部342が摺動溝353内を移動しながら、リンク部材350を軸部351を中心に時計回り方向に回転させる。軸受部352に配置されている軸部322も時計回り方向に回転し、さらに連結部321に連結された軸部319も時計回り方向に回転する。これにより振分可動体310は、図11及び図12に示す回転位置(以下、第一変位位置)まで正面視で時計回り方向に回転する。振分可動体310が第一変位位置から定常状態まで回転する場合は、上記と逆の動作が実行される。
図12に示すように、振分可動体310が第一変位位置にある場合、規制面313は排出案内部91Aと上下方向に対向する。規制面313と壁部110との隙間は、遊技球の直径よりも小さい。壁部111は、通過口315の開口幅が遊技球の直径よりも小さくなるように、通過口315の一部を上側から塞ぐ。したがって、分岐部99に排出された遊技球は、規制面313によって通過口315に進入することが妨げられる。振分可動体310の内部に進入しなかった遊技球は、設置部90に進入することなく、流路92,93のいずれかに案内される。
図6〜図10に示すように、定常状態の振分可動体310において、振分モータ330がリンク部材340を正面視で反時計回り方向に回転すると、軸部342が摺動溝353内を移動しながら、リンク部材350を軸部351を中心に反時計回り方向に回転させる。これに伴って、軸受部352に配置されている軸部322も反時計回り方向に回転し、さらに連結部321に連結された軸部319も反時計回り方向に回転する。これにより振分可動体310は、図13及び図14に示す回転位置(以下、第二変位位置)まで正面視で反時計回り方向に回転する。振分可動体310が第二変位位置から定常状態まで回転する場合は、上記と逆の動作が実行される。
図14に示すように、振分可動体310が第二変位位置にある場合、規制面314は排出案内部91Aと上下方向に対向する。規制面314と壁部111との隙間は、遊技球の直径よりも小さい。壁部110は、通過口315の開口幅が遊技球の直径よりも小さくなるように、通過口315の一部を上側から塞ぐ。したがって、分岐部99に排出された遊技球は、規制面314によって通過口315に進入することが妨げられる。振分可動体310の内部に進入しなかった遊技球は、設置部90に進入することなく、流路92,93のいずれかに案内される。
つまり、振分可動体310の回転位置が定常状態に近いほど、遊技球が通過口315に進入しやすい。通過口315に進入した遊技球は、振分可動体310の内部を通過して、排出案内部91Aとは反対側(つまり、下側)に排出されて、流路96を流下する。流路96を流下した遊技球は、流路96と上下方向に対向する第三通過口13に進入しやすい。第三通過口13に進入した遊技球は、第三検出スイッチ73によって検出されたのち、排出口83から振分装置30の外部(つまり、遊技領域4)に排出される。排出された遊技球は、第三通過口13の直下に設けられた第二特別図柄始動口15(図1参照)に入賞しやすい。
なお、流路96を流下する遊技球の挙動によっては、遊技球が連通口87を介して流路94に流入したり、遊技球が連通口89を介して流路95に流入したりする場合がある。これらの場合、遊技球は排出口81,82のいずれかを介して、振分装置30の外部に排出される。
一方、振分可動体310の回転位置が第一、第二変位状態のいずれかに近いほど、遊技球は流路92,93のいずれかに振り分けられやすい。流路92を流下した遊技球は、主として、流路92と上下方向に対向する第一通過口11に進入する。第一通過口11に進入した遊技球は、第一検出スイッチ71によって検出されたのち、排出口81から振分装置30の外部に排出される。排出された遊技球は、第一通過口11の直下に設けられた左側の第一特別図柄始動口14(図1参照)に入賞しやすい。
なお、流路92を流下する遊技球の挙動によっては、遊技球が排出口84を介して振分装置30の外部に排出されたり、遊技球が連通口86を介して流路94に流入したりする場合がある。流路94に流入した遊技球は、主として、排出口81から振分装置30の外部に排出される。ただし、流路94を流下する遊技球の挙動によっては、遊技球が連通口87を介して第三通過口13に進入する場合がある。
流路93を流下した遊技球は、主として、流路93と上下方向に対向する第二通過口12に進入する。第二通過口12に進入した遊技球は、第二検出スイッチ72によって検出されたのち、排出口82から振分装置30の外部に排出される。排出された遊技球は、第二通過口12の直下に設けられた右側の第一特別図柄始動口14(図1参照)に入賞しやすい。
なお、流路93を流下する遊技球の挙動によっては、遊技球が排出口85を介して振分装置30の外部に排出されたり、遊技球が連通口88を介して流路95に流入したりする場合がある。流路95に流入した遊技球は、主として、排出口82から振分装置30の外部に排出される。ただし、流路95を流下する遊技球の挙動によっては、遊技球が連通口89を介して第三通過口13に進入する場合がある。
入球口80に入球した遊技球のうち、流路94を介して排出口81から排出された遊技球、及び流路95を介して排出口82から排出された遊技球は、第一特別図柄始動口14の横を通って第二特別図柄始動口15に向けて流下する。このとき、第二特別図柄始動口15の開閉部材が開放されていれば、遊技球は第二特別図柄始動口15に入賞する可能性がある。
上記のように振分モータ330は、振分可動体310を軸部319を中心に回転可能である。さらに振分モータ330は、リンク部材340を回転制御することで、振分可動体310の回転方向、回転速度、回転範囲の少なくとも一つを制御可能である。本実施形態では、CPU581は振分モータ330を制御して、振分可動体310を交互に定常状態から第一変位置と第二変位位置とに回転移動させる。これにより、規制面313,314と通過口315とが交互に排出案内部91Aと対向するように、振分可動体310が軸部319を中心に回転する。
回転する振分可動体310は、入球口80に入球した遊技球を、第一〜第三通過口11〜13のいずれかに向けて振分け可能である。振分可動体310の回転位置が定常状態に近いほど、遊技球は通過口315に進入して第三通過口13を通過しやすい。振分可動体310の回転位置が第一、第二変位状態のいずれかに近いほど、遊技球は第一通過口11及び第二通過口12のいずれかを通過しやすい。
さらに、CPU581は振分モータ330を制御して、排出案内部91Aから排出された遊技球のうち、通過口315に進入する遊技球の割合が通過口315に進入しない遊技球の割合よりも小さくなるように、振分可動体310の回転速度及び回転範囲を制御する。したがって、排出案内部91Aから排出された遊技球は、第三通過口13よりも、第一通過口11及び第二通過口12のいずれかを通過しやすい。つまり、排出案内部91Aから排出された遊技球は、第二特別図柄始動口15よりも第一特別図柄始動口14に入賞しやすい。遊技者に有利な第二特別図柄に基づく大当たり判定は、第一特別図柄に基づく大当たり判定よりも実行頻度が抑制される。
第二特別図柄始動口15に入賞した遊技球を検出した第三始動口スイッチ76は、パチンコ機1に第二特別図柄に基づく大当たり判定を実行させる検出信号を出力する。第一特別図柄始動口14に入賞した遊技球を検出した第一始動口スイッチ74及び第二始動口スイッチ75は、パチンコ機1に第一特別図柄に基づく大当たり判定を実行させる検出信号を各々出力する。したがって、第一特別図柄始動口14に遊技球が入賞した場合(つまり、第一始動口スイッチ74及び第二始動口スイッチ75のいずれかが遊技球を検出した場合)と、第二特別図柄始動口15に遊技球が入賞した場合(つまり、第三始動口スイッチ76が遊技球を検出した場合)とで、各々異なる抽選をパチンコ機1に実行させることができ、遊技内容を多様化できる。
<7.振分装置30の作用効果の例示>
本実施形態の振分装置30では、遊技領域4を流下する遊技球が入球口80に入球すると、遊技球は流路91を流下して分岐部99に排出される。分岐部99に排出された遊技球は、遊技盤2の前面に対して垂直な軸線を中心に回転可能な振分可動体310によって、分岐部99から各々異なる方向に延びる三つの流路92,93,96のいずれかに振分けられる。したがって、流下する遊技球の振分け先をより多様に変化させることができる。
振分可動体310の回転によって、規制面313,314と通過口315とが交互に排出案内部91Aと対向する。通過口315と対向するタイミングで排出案内部91Aから排出された遊技球は、振分可動体310の内部に進入して流路96に案内されやすい。規制面313,314と対向するタイミングで排出案内部91Aから排出された遊技球は、振分可動体310の内部に進入せずに流路92,93のいずれかに案内されやすい。これにより、遊技球の振分け先を予測困難にできる。
第三検出スイッチ73は、流路96を流下する遊技球の少なくとも一部を検出可能である。振分可動体310は、排出案内部91Aから排出された遊技球のうち、通過口315に進入する遊技球の割合が通過口315に進入しない遊技球の割合よりも小さくなるように回転する。したがって、排出案内部91Aから排出された遊技球のうち、第三検出スイッチ73によって検出される遊技球の割合を抑制できる。
振分モータ330は、振分可動体310を軸部319を中心に回転可能であり、且つ、振分可動体310の回転方向、回転速度、回転範囲の少なくとも一つを制御可能である。したがって、振分可動体310を回転制御するだけで、複数の振分け先(つまり、三つの流路92,93,96)に対する遊技球の振分率を多様に変化させることができる。
振分モータ330は、規制面313,314と通過口315とが交互に排出案内部91Aと対向するように、振分可動体310を所定の回転範囲で一方向及び他方向に交互に回転させる。したがって、振分可動体310を所定の回転範囲で揺動させる簡易な制御で、遊技球の振分け先を予測困難にできる。
<8.振分エラー検出処理>
図15及び図16を参照して、サブ制御基板58で実行される振分エラー検出処理を説明する。サブ制御基板58では、パチンコ機1に電源が投入されるか、又は図示外のリセットスイッチが押されると(つまり、パチンコ機1が初期化されると)、CPU581がROM583に記憶されているプログラムに従って、振分エラー検出処理を開始する。
図15に示すように、振分エラー検出処理では、まずRAM582に記憶されている検出カウンタK1〜K3がそれぞれ「0」にリセットされる(S1)。検出カウンタK1は、第一検出スイッチ71によって検出された遊技球の数量(第一個別検出数)を示すカウンタである。検出カウンタK2は、第二検出スイッチ72によって検出された遊技球の数量(第二個別検出数)を示すカウンタである。検出カウンタK3は、第三検出スイッチ73によって検出された遊技球の数量(第三個別検出数)を示すカウンタである。
次いで、第一検出スイッチ71がONであるか否かが判断される(S3)。主基板41から第一検出コマンドを受信している場合、第一検出スイッチ71がONであると判断される(S3:YES)。第一検出コマンドは、第一検出スイッチ71によって遊技球が検出される毎に、主基板41からサブ制御基板58に送信されるコマンドである。この場合、検出カウンタK1が「1」加算される(S5)。
第一検出スイッチ71がOFFである場合(S3:NO)、又はS5の実行後、第二検出スイッチ72がONであるか否かが判断される(S7)。主基板41から第二検出コマンドを受信している場合、第二検出スイッチ72がONであると判断される(S7:YES)。第二検出コマンドは、第二検出スイッチ72によって遊技球が検出される毎に、主基板41からサブ制御基板58に送信されるコマンドである。この場合、検出カウンタK2が「1」加算される(S9)。
第二検出スイッチ72がOFFである場合(S7:NO)、又はS9の実行後、第三検出スイッチ73がONであるか否かが判断される(S11)。主基板41から第三検出コマンドを受信している場合、第三検出スイッチ73がONであると判断される(S11:YES)。第三検出コマンドは、第三検出スイッチ73によって遊技球が検出される毎に、主基板41からサブ制御基板58に送信されるコマンドである。この場合、検出カウンタK3が「1」加算される(S13)。
第三検出スイッチ73がOFFである場合(S11:NO)、又はS13の実行後、総検出数Tが算出される(S15)。総検出数Tは、第一〜第三検出スイッチ71〜73によって検出された遊技球の総数である。S15では、検出カウンタK1〜K3が各々示す第一〜第三個別検出数の和が、総検出数Tに算出される。
次いで、算出された総検出数Tが、規定値以上であるか否かが判断される(S17)。S17の規定値は、振分装置30の振分エラーを適切に判定するのに必要なサンプリング数を示し、例えば「100」である。総検出数Tが規定値以上である場合(S17:YES)、総検出数Tが必要なサンプリング数に達しているため、後述のエラー判定処理が実行される(S19)。一方、総検出数Tが規定値未満である場合(S17:NO)、総検出数Tが必要なサンプリング数に達していないため、正常状態が報知される(S21)。具体的には、異常レベルが「0」である場合と同様に、電飾部材35が「白」で点滅又は点灯される(図3参照)。S19又はS21の実行後、処理はS3に戻る。
図16に示すように、エラー判定処理(S19)では、第一通過口11の振分率F1が算出される(S31)。具体的には、総検出数Tを基準として、検出カウンタK1が示す第一個別検出数の割合を百分率(%)で表した値が、振分率F1として算出される。算出された振分率F1に対応する異常レベルL1が、図3に示す振分判定テーブル500を参照して特定される(S33)。
同様に、総検出数T及び検出カウンタK2が示す第二個別検出数に基づいて、第二通過口12の振分率F2が算出される(S35)。算出された振分率F2に対応する異常レベルL2が、振分判定テーブル500を参照して特定される(S37)。総検出数T及び検出カウンタK3が示す第三個別検出数に基づいて、第三通過口13の振分率F3が算出される(S39)。算出された振分率F3に対応する異常レベルL3が、振分判定テーブル500を参照して特定される(S41)。
特定された異常レベルL1〜L3のいずれかが、規定値以上であるか否かが判断される(S43)。S43の規定値は、振分装置30で振分エラーが発生しているとみなす異常レベルの下限値を示し、例えば「1」である。異常レベルL1〜L3のいずれかが規定値以上である場合(S43:YES)、異常レベルL1〜L3のうちで最も大きい異常レベルに基づいて、振分エラーが発生していることを示すエラー報知が実行される(S45)。具体的には、振分判定テーブル500を参照して、最も大きい異常レベルに対応する報知態様が特定される。特定された報知態様が示す色で、電飾部材35が点滅又は点灯される。
異常レベルL1〜L3の全てが規定値未満である場合(S43:NO)、振分エラーが発生していないため、ステップS21と同様に正常状態が報知される。S45又はS47の実行後、処理は振分エラー検出処理(図5)に戻る。
本実施形態における電飾部材35の発光態様を説明する。本実施形態では、パチンコ機1で遊技の進行中に、電飾部材35は通常白色で点滅又は点灯する。振分エラー検出処理(図15)では、パチンコ機1の電源投入後又はリセット後、総検出数Tが「100」に達するまでは、正常状態が報知される(S17:NO、S21)。このとき、電飾部材35は白色又は点灯で点滅するため、電飾部材35の発光態様は通常時から変化しない。
例えば、総検出数Tが「100」に達した時点の振分率F1〜F3がそれぞれ「28%」、「39%」、「33%」である場合、振分判定テーブル500を参照することで、異常レベルL1〜L3はいずれも「0」に特定される(S31〜S41)。この場合、異常レベルL1〜L3は全て「1」未満であるため、正常状態が報知される(S43:NO、S47)。このとき、電飾部材35は白色で点滅又は点灯するため、電飾部材35の発光態様は通常時から変化しない。
例えば、総検出数Tが「200」に達した時点の振分率F1〜F3がそれぞれ「18%」、「32%」、「50%」である場合、振分判定テーブル500を参照することで、異常レベルL1〜L3はそれぞれ「1」、「0」、「3」に特定される(S31〜S41)。この場合、異常レベルL1,L3は「1」以上であるため、エラー報知が実行される(S43:YES、S45)。このとき、電飾部材35は最大の異常レベルL3「3」に対応する黄色で点滅又は点灯するため、電飾部材35の発光態様は通常時から変化する。例えばホールの管理者は、パチンコ機1の振分装置30で振分エラーが発生していることを視覚的に認識できる。
<9.パチンコ機1の作用効果の例示>
本実施形態のパチンコ機1では、振分装置30の入球口80に入球した遊技球は、第一〜第三通過口11〜13のいずれかに振分けられる可能性がある。所定のタイミングから起算して、第一〜第三通過口11〜13のいずれかを通過した遊技球の合計である総検出数Tと、各第一〜第三通過口11〜13を通過した遊技球の数量である第一〜第三個別検出数とがカウントされる(S1〜S15)。カウントされた総検出数Tと第一〜第三個別検出数とに基づいて、各第一〜第三通過口11〜13を通過した遊技球の割合である振分率F1〜F3が算出される(S31〜S41)。振分率F1〜F3の少なくとも一つが所定の閾値を超えた場合、所定のエラーが報知される(S43:YES、S45)。したがって、流下する遊技球を複数の検出領域(第一〜第三通過口11〜13)に振分ける振分装置30で生じた振分け先の異常な偏りを、簡易な構造で正確に検出できる。
振分率F1〜F3に対応する異常レベルL1〜L3が、振分判定テーブル500に基づいて特定される(S33,S37,S41)。あらかじめ定められた複数のエラーの報知態様のうち、特定された異常レベルL1〜L3に対応する報知態様によってエラーが報知される(S45)。したがって、振分け先の偏りの大きさに応じた態様でエラー報知が行われるので、例えばホールの管理者は振分け先の偏りの大きさを容易に判別できる。
エラー報知(S45)では、電飾部材35が遊技の進行中とは異なる態様で点灯又は点滅される。したがって、エラー報知専用の電飾部材を設ける必要がないため、パチンコ機1の構造が複雑になることを抑制できる。さらに遊技に使用される電飾部材35によってエラー報知を行うことで、遊技者がエラー報知を察知困難にできる。
第一〜第三検出スイッチ71〜73によって検出された遊技球の合計が、パチンコ機1の初期状態から起算して所定値に達した場合に、エラー判定処理が実行される(S17:YES、S19)。この場合、遊技球の検出数のサンプリング不足に起因するエラー検出の精度劣化を抑制できる。
第一〜第三検出スイッチ71〜73によって検出された遊技球の合計が、パチンコ機1の初期状態から起算して所定値に達していない場合に、正常状態が報知される(S17:NO、S21)。この場合、遊技球の検出数のサンプリング不足に起因するエラーの誤報知を抑制できる。
<10.変形例等>
上記実施形態及び後述の変形例において、第一〜第三通過口11〜13が、本発明の「少なくとも三つの検出領域」に相当する。振分可動体310が本発明の「振分部材」に相当する。振分装置30が本発明の「遊技部材」に相当する。第一〜第三検出スイッチ71〜73が、本発明の「少なくとも三つの検出手段」に相当する。S15を実行するCPU581が、本発明の「総検出数カウント手段」に相当する。S3〜S13を実行するCPU581が、本発明の「個別検出数カウント手段」に相当する。S31,S35,S39を実行するCPU581が、本発明の「振分率算出手段」に相当する。S17,S43を実行するCPU581が、本発明の「異常判断手段」に相当する。S45を実行するCPU581が、本発明の「エラー報知手段」に相当する。振分判定テーブル500が本発明の「判定テーブル」に相当する。ROM583が本発明の「テーブル記憶手段」に相当する。S33,S37,S41を実行するCPU581が、本発明の「レベル特定手段」に相当する。前面枠18が本発明の「枠部材」に相当する。なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは勿論である。
(1)例えば、第一〜第三通過口11〜13は、遊技球が入賞した場合に特別図柄を作動させる入賞口、又は遊技球が通過した場合に普通図柄を作動させる始動ゲートでもよい。図17に示す変形例のパチンコ機1では、普通図柄作動ゲート10、第一特別図柄始動口14、及び第二特別図柄始動口15(図1参照)は設けられておらず、振分装置30の下側に開閉部材を備えた普通電動役物17が設けられている。本変形例の制御部40(図2参照)では、第一〜第三始動口スイッチ74〜76、大入賞口開閉ソレノイド78、及び普通図柄作動スイッチ70は設けられていない。
この場合、第一検出スイッチ71及び第二検出スイッチ72が出力する検出信号は、CPU51に第一の普通当たり判定を実行させる信号として機能する。第三検出スイッチ73が出力する検出信号は、CPU51に第二の普通当たり判定を実行させる信号として機能する。第一、第二の普通当たり判定のいずれかにおいて当たりと判定されると、普通当たり遊技が実行される。普通当たり遊技では、普通電動役物開閉ソレノイド77(図2参照)が普通電動役物17の開閉部材を所定回数開放する。開放された普通電動役物17に遊技球が入賞すると、賞球が遊技者に付与される。なお、第二の普通当たり判定は第一の普通当たり判定よりも、当たりと判定される確率が高いことが好適である。この場合、第三通過口13は、第一通過口11及び第二通過口12よりも有利な普通図柄の始動ゲートである。
本変形例は、振分装置30及びエラー判定処理(図16)が上記実施形態と同様であるため、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。さらに、振分装置30の備える第一〜第三検出スイッチ71〜73が、パチンコ機1に抽選を実行させる信号を出力する。詳細には、第一通過口11及び第二通過口12をそれぞれ通過した遊技球を検出した第一検出スイッチ71及び第二検出スイッチ72は、パチンコ機1に第一の普通当たり判定を実行させる検出信号を各々出力する。第三通過口13を通過した遊技球を検出した第三検出スイッチ73は、パチンコ機1に第二の普通当たり判定を実行させる検出信号を出力する。
したがって、遊技球が第一通過口11及び第二通過口12のいずれかを通過した場合(つまり、第一検出スイッチ71及び第二検出スイッチ72のいずれかが遊技球を検出した場合)と、遊技球が第三通過口13を通過した場合(つまり、第三検出スイッチ73が遊技球を検出した場合)とで、各々異なる抽選をパチンコ機1に実行させることができ、遊技内容を多様化できる。
(2)振分装置30において、振分可動体310による遊技球の振り分け先は三つの流路92,93,96に限定されず、振り分け先は四つ以上の流路でもよい。振分可動体310は、遊技球を少なくとも三つの流路のいずれかに振分け可能な構造であればよい。遊技球が振り分けられる複数の流路に対応するゲート又は入賞口(及び検出スイッチ)を設けなくてもよいし、遊技球が振り分けられる複数の流路の少なくとも一つに対応して、ゲート又は入賞口(及び検出スイッチ)を設けてもよい。
ただし、振分エラー検出処理(図15参照)を実行するためには、振分可動体310によって遊技球が振り分けられる少なくとも三つの検出領域(上記実施形態では、第一〜第三通過口11〜13)が必要である。この場合、遊技球が振り分けられる全ての検出領域について、各々の検出領域を入賞又は通過する遊技球を検出する検出スイッチを設けることが好適である。
さらに、上記実施形態の振分エラー検出処理(図15参照)では、第一〜第三通過口11〜13の全てについて振分エラーの検出が行われる場合を例示した。しかしながら、振分エラー検出処理では、遊技球が振り分けられる全ての検出領域の少なくとも一つについて、振分エラーの検出が行われればよい。例えば、遊技球が振り分けられる全ての検出領域のうちで、遊技者に最も有利な検出領域(上記実施形態では、第三通過口13)のみについて、振分エラーの検出が行われてもよい。
遊技球が第一特別図柄始動口14及び第二特別図柄始動口15のいずれかに入賞した場合(つまり、遊技球が第一〜第三始動口スイッチ74〜76のいずれかによって検出された場合)、パチンコ機1で全て同じ抽選が実行されてもよいし、パチンコ機1で全て異なる抽選が実行されてもよい。同様に、遊技球が第一〜第三通過口11〜13のいずれかを通過した場合(つまり、遊技球が第一〜第三検出スイッチ71〜73のいずれかによって検出された場合)、パチンコ機1で全て同じ抽選が実行されてもよいし、パチンコ機1で全て異なる抽選が実行されてもよい。なお、第一〜第三通過口11〜13のうち、一部が特別図柄を作動する入賞口であり、残りが普通図柄を作動する始動ゲートでもよい。
(3)振分可動体310の動作態様は、所定の回転範囲で揺動するものに限定されず、例えば一方向に回転するものでもよい。振分可動体310の回転方向、回転速度、回転範囲などは、遊技球の振分先毎に想定する振分率に応じて最適な値を設定すればよい。
上記実施形態では、電飾部材35の発光態様によってエラー報知が実行されるが(S45)、エラー報知の態様は変更可能である。例えばスピーカ48からの音声出力、又は電飾部材35とは異なる発光体の発光態様によって、エラー報知を行ってもよい。電飾部材35は、前面枠18に設けられたものに限定されず、遊技盤2の前面に設けられてもよい。
上記実施形態では、異常レベルに応じた異なる報知態様でエラー報知が実行される(S45)。これに代えて、振分エラーが発生した場合には、共通の態様でエラー報知が実行されてもよい。正常状態の報知(S21、S47)は、実行しなくてもよい。
上記実施形態では、パチンコ機1が初期化されたタイミングから総検出数T及び第一〜第三個別検出数がカウントされるが(S1〜S15)、総検出数及び個別検出数を起算するタイミング(つまり、検出カウンタK1〜K3をリセットするタイミング)は変更可能である。例えば、総検出数Tが規定回数(例えば、300回)に達した場合に、S1と同様に検出カウンタK1〜K3をリセットしてもよい。また、パチンコ機1における特別図柄に基づく大当たり判定回数(所謂、回転数)が規定回数(例えば、500回)に達した場合に、S1と同様に検出カウンタK1〜K3をリセットしてもよい。
(4)第一〜第三検出スイッチ71〜73による検出結果の履歴情報を記憶しておき、この履歴情報に基づいて振分エラーを判定してもよい。具体的に、図18に示す変形例の振分エラー検出処理では、第一〜第三検出スイッチ71〜73のいずれかがONであるか否かが判断される(S101)。主基板41から第一〜第三検出コマンドのいずれかを受信している場合、第一〜第三検出スイッチ71〜73のいずれかがONであると判断される(S101:YES)。この場合、第一〜第三検出コマンドのいずれを受信したかを示す検出履歴情報が、RAM582に時系列で記憶される(S103)。
第一〜第三検出スイッチ71〜73がいずれもOFFである場合(S101:NO)、又はS103の実行後、RAM582に記憶されている検出履歴情報の総数である総履歴数Mが規定値(例えば、100)以上であるか否かが判断される(S105)。総履歴数Mが規定値以上である場合(S105:YES)、総履歴数Mが上限数(例えば、300)以下であるか否かが判断される(S107)。総履歴数Mが上限数を超える場合(S107:NO)、総履歴数Mが上限数と等しくなるように、検出履歴情報が取得日時の古い順にRAM582から削除される(S109)。これにより、検出履歴情報が取得日時の新しい順に上限数と同数だけRAM582に記憶される。
総履歴数Mが上限数以下である場合(S107:YES)、又はS109の実行後、図16に示すエラー判定処理が実行される(S111)。総履歴数Mが規定値未満である場合(S105:NO)、S21と同様に正常状態が報知される(S113)。S111又はS113の実行後、処理はS101に戻る。
RAM582に記憶されている検出履歴情報のうち、第一〜第三コマンドを受信したことを示す検出履歴情報の数量が、それぞれ第一〜第三個別検出数に相当する。エラー判定処理(図16参照)では、総履歴数Mに対する第一コマンドの検出履歴情報(第一個別検出数)の割合が、振分率F1として算出される(S31)。同様に、総履歴数Mと第二コマンドの検出履歴情報(第二個別検出数)とに基づいて、振分率F2が算出される(S35)。総履歴数Mと第三コマンドの検出履歴情報(第三個別検出数)とに基づいて、振分率F3が算出される(S39)。その他の処理は、上記実施形態と同様である。
本変形例によれば、総履歴数Mが100未満である場合は、正常状態が報知される(S105:NO、S113)。総履歴数Mが100〜300である場合は、RAM582に記憶されている検出履歴情報に基づいて、正常状態又は振分エラーが報知される(S107:YES、S45又はS47)。総履歴数Mが300を超えた場合は、取得日時が新しい300個の検出履歴情報に基づいて、正常状態又は振分エラーが報知される(S107:NO、S45又はS47)。これにより、第一〜第三検出スイッチ71〜73による最近の検出結果に基づいて、振分装置30の振分エラーを正確に判定することができる。なお、本変形例においても、遊技球が振り分けられる全ての検出領域の少なくとも一つ(例えば、遊技者に最も有利な検出領域)について、振分エラーの検出が行われればよいことは勿論である。
(5)請求項、明細書および図面に記載される全ての要素(例えば、制御部40、振分装置30、演出装置8、第一〜第三通過口11〜13、第一〜第三検出スイッチ71〜73、大入賞口16等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、前記要素につけられた名称(要素名)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。従って、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。例えば、「振分装置30」は、ハード単体でも、ソフトを含んだものであっても構わない。
更には、上記全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、何れも当業者であれば容易に考えられる事項である。従って、その程度の範囲内での構成上の差異を有する遊技機を、本実施例に記載がなされていないことを理由に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはならない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。