JP2015044966A - ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる光学用成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、重量平均分子量が1000〜18000であるポリスチレン樹脂(B)0.05〜3.0重量部、特定亜リン酸エステル系化合物(C)0.05〜2.0重量部、および別の特定亜リン酸エステル系化合物(D)を2.0重量部まで含むことを特徴とする、ポリカーボネート樹脂組成物ならびにそれからなる導光板等の光学用成形品に関する。【効果】ポリカーボネート樹脂本来の特性、すなわち、機械的性質、および耐熱性を損なうことなく、特に、輝度、光線透過率、及び色相安定性に優れているため、薄型(厚さ0.3mm程度)の導光板の成形加工においても色相が変化したり、樹脂そのものが劣化したりすることがなく、工業的利用価値が極めて高いポリカーボネート組成物を提供する。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリカーボネート樹脂本来の特性、すなわち耐熱性、機械的強度等を損なうことなく、更に、光線透過率の低下がなく、色相ならびに輝度の良好なポリカーボネート樹脂組成物、ならびにこれを成形してなる導光板、面発光体材料、銘板等の光学用成形品に関する。
液晶表示装置には、薄型化、軽量化、省電力化、高輝度・高精細化の要求に対処するために面状光源装置が組み込まれている。この面状光源装置には、一面が一様な傾斜の傾斜面を有する楔型断面の導光板が備えられている。また、高輝度を得るために上記の傾斜面にプリズム形状の凹凸パターンを形成して光散乱機能を付与する提案もなされている(特許文献1)。
導光板は、一般に熱可塑性樹脂の射出成形によって得られ、上記の凹凸パターンは、金型表面に形成された凹凸パターンの転写によって付与される。従来、導光板はポリメチルメタクリレート(PMMA)等の材料から成形されてきた。しかし、パーソナルコンピュータ、携帯電話、PDA等の機器内部で発生する熱が大きくなる傾向にあり、また機器の軽薄短小化に対応するために、使用される熱可塑性樹脂には耐熱性が高く、かつ機械的強度も高い樹脂が求められており、PMMAからポリカーボネート樹脂に置き換えられつつある。
ポリカーボネート樹脂は、PMMAと比較して、機械的性質、熱的性質、電気的性質には優れるが、光線透過率の面ではやや劣る。従って、ポリカーボネート樹脂製導光板を使用した面状光源装置の場合には、PMMAと比べて輝度が低下するという問題があった。
従来から、ポリカーボネート樹脂製導光板における輝度を高める方法が幾つか提案されている。
特許文献2では、蛍光増白剤とビーズ状架橋アクリル樹脂を併用し、蛍光増白剤により輝度を向上し、ビーズ状架橋アクリル微粒子により輝度のむらを少なくする方法が、特許文献3では、アクリル樹脂および脂環式エポキシ樹脂を添加することにより光線透過率および輝度を向上させる方法が、特許文献4では、コポリエステルカーボネートを導入して凹凸パターンの転写を向上させることにより輝度を向上させる方法が提案されている。
しかしながら、特許文献2の方法では、部分的に輝度は向上するが、ビーズ状架橋アクリル樹脂や蛍光増白剤の添加により光線透過率が低下するため、導光板の光源より遠い部分の輝度の低下が大きく、均一な輝度を得ることが出来ないという問題があった。特許文献3の方法では、アクリル樹脂の添加により色相は良好になるが、白濁するために光線透過率および輝度を上げることが出来ず、脂環式エポキシ樹脂を添加することにより透過率が向上する可能性はあるが、色相の改善効果は認められないという問題があった。特許文献4の方法の場合、流動性や転写性の改善効果は期待できるものの、耐熱性が低下するという欠点があった。
本発明は、ポリカーボネート樹脂本来の特性、すなわち耐熱性、機械的強度等を損なうことなく、更に、光線透過率の低下がなく、色相ならびに輝度の良好なポリカーボネート樹脂組成物、ならびにこれを成形してなる導光板、面発光体材料、銘板等の光学用成形品を提供するものである。
本発明者らは、かかる課題を解決するために鋭意検討を行った結果、ポリカーボネート樹脂にポリスチレン樹脂および特定の亜リン酸エステル系化合物を含有させることにより、または更に、他の特定の亜リン酸エステル系化合物を併用して含有させることにより、光線透過率の低下が無く、色相ならびに輝度の良好な導光板等の光学用成形品が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第一態様は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、重量平均分子量が1000〜18000であるポリスチレン樹脂(B)0.05〜3.0重量部、および下記一般式(1)で表される亜リン酸エステル系化合物(C)0.05〜2.0重量部を含むことを特徴とする、ポリカーボネート樹脂組成物ならびにそれからなる導光板等の光学用成形品に関する。
一般式(1)
一般式(1)
また、本発明の第二の態様は、第一の態様の構成に加えて、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、下記一般式(2)で表される亜リン酸エステル系化合物(D)を2.0重量部まで含むことを特徴とする、ポリカーボネート樹脂組成物ならびにそれからなる導光板等の光学用成形品に関する。
一般式(2)
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂本来の特性、すなわち、機械的性質、および耐熱性を損なうことなく、特に、輝度、光線透過率、及び色相安定性に優れているため、薄型(厚さ0.3mm程度)の導光板の成形加工においても色相が変化したり、樹脂そのものが劣化したりすることがなく、工業的利用価値が極めて高いものである。
本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂(A)は、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、又はジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類が挙げられる。
これらは、単独又は2種類以上混合して使用される。これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。
3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン及び2,2−ビス−[4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル]−プロパンなどが挙げられる。
3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン及び2,2−ビス−[4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル]−プロパンなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、通常10000〜100000、好ましくは12000〜30000である。かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調節剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
本発明にて使用されるポリスチレン樹脂(B)の重量平均分子量は、1000〜18000である。ポリスチレン樹脂(B)の重量平均分子量が1000未満の場合には光線透過率に劣り、また重量平均分子量が18000を超える場合は光線透過率(および曇化率)に劣るので、好ましくはない。より好ましくは、1500〜10000、さらに好ましくは2000〜4000の範囲である。
ポリスチレン樹脂(B)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して0.05〜3.0重量部である。配合量が、0.05重量部未満の場合、光線透過率および色相の向上効果が十分ではないため好ましくない。また、配合量が3.0重量部を超える場合、光線透過率が低下し(曇価が増加)するため好ましくない。配合量は、0.08〜2.0が好適で、さらに好ましくは0.1〜1.0重量部である。
商業的に入手可能なポリスチレン樹脂(B)としては、BASF社製JONCRYL ADF−1300があげられる。
商業的に入手可能なポリスチレン樹脂(B)としては、BASF社製JONCRYL ADF−1300があげられる。
本発明にて使用される亜リン酸エステル系化合物(C)は、下記一般式(1)で表される。
一般式(1)
一般式(1)
本発明にて使用される亜リン酸エステル系化合物(C)において、R1、R2、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。
ここで、炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられ、炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などが挙げられ、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基としては、例えば、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチル−4−i−プロピルシクロヘキシル基などが挙げられ、炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基などが挙げられる。
一般式(1)中、R1、R2、R4は、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基である。特に、R1、R4としては、t−ブチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基等のt−アルキル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基が好ましい。
一般式(1)中、R2は、特に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基などの炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、さらに好ましくはメチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基である。
一般式(1)中、R2は、特に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基などの炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、さらに好ましくはメチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基である。
一般式(1)中、R5は、特に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基が好ましく、より好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基などの炭素数1〜5のアルキル基である。
一般式(1)中、R3は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表すが、炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、上述したのと同様のアルキル基が挙げられる。特に水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、より好ましくは水素原子又はメチル基である。
一般式(1)中、Xは、単結合、硫黄原子又はメチレン基を表す。該メチレン基には、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基が置換されていてもよい。ここで、メチレン基に置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、それぞれ上述と同様のアルキル基、シクロアルキル基が挙げられる。Xとしては、特に、単結合、メチレン基又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基又はt−ブチル基などが置換したメチレン基が好ましく、単結合がより好ましい。
一般式(1)中、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、又は*−COR7−基を表す。R7は単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*は酸素側の結合手であることを示す。ここで、炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基などが挙げられ、好ましくはプロピレン基である。また、*−COR7−基における*は、カルボニル基がホスファイト基の酸素原子と結合していることを示す。またR7における、炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基などが挙げられる。R7として、好ましくは単結合、エチレン基である。
一般式(1)中、Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基を表し、他の一方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。ここで、炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば上述したのと同様のアルキル基が挙げられる。
本発明にて使用される亜リン酸エステル系化合物(C)としては、例えば、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−〔3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシンなどが挙げられる。特に、光学特性が求められる分野用途においては、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−〔3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピンが好ましい。
本発明にて使用される亜リン酸エステル系化合物(C)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して0.05〜2.0重量部である。配合量が、0.05重量部未満の場合、光線透過率および色相の向上効果が十分ではないため好ましくない。また、配合量が2.0重量部を超える場合、光線透過率および色相の向上効果が十分ではないため好ましくない。配合量は0.08〜1.5が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0重量部である。
本発明にて使用される亜リン酸エステル系化合物(D)としては、下記一般式(2)に示す化合物が好適に使用できる。
一般式(2)
一般式(2)
一般式(2)において、R1、R2は炭素数1〜20のアルキル基、またはアルキル基で置換されてもよいアリール基を、a、bは整数0〜3を示す。一般式(2)に示す亜リン酸エステル系化合物(D)としては、例えば、ADEKA社製アデカスタブPEP−36等が好適に用いられる。
亜リン酸エステル系化合物(D)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり、2.0重量部までである。2.0重量部を超えると光線透過率および色相の向上効果が十分ではないため好ましくない。好ましくは、0.02〜1.0重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部の範囲である。
さらに、本発明の効果を損なわない範囲で各種の熱安定剤、酸化防止剤、着色剤、離型剤、軟化材、帯電防止剤、等の添加剤、衝撃性改良材、他のポリマーを配合してもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の各種配合成分の混合方法には、特に制限はなく、公知の混合機、例えばタンブラー、リボンブレンダー等による混合や押出機による溶融混練が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形する方法には、特に制限はなく、公知の射出成形法、圧縮成形法等を用いることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形する方法には、特に制限はなく、公知の射出成形法、圧縮成形法等を用いることができる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はそれら実施例に制限されるものではない。尚、「部」はそれぞれ重量基準に基づく。
原料として以下のものを使用した。
1.ポリカーボネート樹脂(A)
ビスフェノールAと塩化カルボニルから合成されたポリカーボネート樹脂
カリバー 200−80 (粘度平均分子量:15000)
(住化スタイロン ポリカーボネート社製、以下「PC」と略記する。)
2.ポリスチレン樹脂(B)
BASF社製JONCRYL ADF−1300(重量平均分子量:2800)
(以下「PS」と略記する。)
3.亜リン酸エステル系化合物(C)
住友化学社製スミライザー GP
製品成分は下記の式のとおりである:
一般式(1)
1.ポリカーボネート樹脂(A)
ビスフェノールAと塩化カルボニルから合成されたポリカーボネート樹脂
カリバー 200−80 (粘度平均分子量:15000)
(住化スタイロン ポリカーボネート社製、以下「PC」と略記する。)
2.ポリスチレン樹脂(B)
BASF社製JONCRYL ADF−1300(重量平均分子量:2800)
(以下「PS」と略記する。)
3.亜リン酸エステル系化合物(C)
住友化学社製スミライザー GP
製品成分は下記の式のとおりである:
一般式(1)
4.亜リン酸エステル系化合物(D)
ADEKA社製アデカスタブPEP−36
製品成分は下記の一般式2の通りである。
一般式(2)
本発明の第一実施態様
(実施例1〜3、比較例1〜4)
前述の各種原料を表1に示す配合比率にて一括してタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、二軸押出機(日本製鋼所社製TEX30α)を用いて、溶融温度220℃にて混練し、ポリカーボネート樹脂組成物の各種ペレットを得た。
(実施例1〜3、比較例1〜4)
前述の各種原料を表1に示す配合比率にて一括してタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、二軸押出機(日本製鋼所社製TEX30α)を用いて、溶融温度220℃にて混練し、ポリカーボネート樹脂組成物の各種ペレットを得た。
得られたペレットを用いて各種評価用試験片を作成し、評価に供した。結果を表1に示した。尚、それぞれの評価方法は以下のとおり。
(積算透過率および色相評価用試験片の作成方法)
得られた各種ペレットを120℃で4時間以上乾燥した後に、射出成形機(ファナック製S2000i100A)を用いて成形温度360℃、金型温度80℃でJIS K7139多目的試験片A型(長さ168mm×厚さ4mm)を作成した。端面を切削し、切削端面についてはメガロテクニカ製樹脂板端面鏡面機PB−500を用いて鏡面加工した。
得られた各種ペレットを120℃で4時間以上乾燥した後に、射出成形機(ファナック製S2000i100A)を用いて成形温度360℃、金型温度80℃でJIS K7139多目的試験片A型(長さ168mm×厚さ4mm)を作成した。端面を切削し、切削端面についてはメガロテクニカ製樹脂板端面鏡面機PB−500を用いて鏡面加工した。
(積算透過率の評価方法)
日立分光光度計U−4100に長光路測定付属装置を設置し、光源として50Wハロゲンランプを用いて、光源前マスク5.6mm×2.8mm、試料前マスク6.0mm×2.8mmを使用した状態で1nm毎の分光透過率を測定した。この時の透過率を積算し、十の位を四捨五入することにより求めた。波長380〜780nmの領域における積算光線透過率が28000以上を良好とした。
日立分光光度計U−4100に長光路測定付属装置を設置し、光源として50Wハロゲンランプを用いて、光源前マスク5.6mm×2.8mm、試料前マスク6.0mm×2.8mmを使用した状態で1nm毎の分光透過率を測定した。この時の透過率を積算し、十の位を四捨五入することにより求めた。波長380〜780nmの領域における積算光線透過率が28000以上を良好とした。
(色相の評価方法)
波長450nmの可視光線は青色を呈するため、波長450nmの光線透過率が高いほど黄色味が小さく、色相に優れている。積算透過率と同様の測定方法で分光透過率を測定し、波長450nmの光線透過率が55%以上を良好とした。
波長450nmの可視光線は青色を呈するため、波長450nmの光線透過率が高いほど黄色味が小さく、色相に優れている。積算透過率と同様の測定方法で分光透過率を測定し、波長450nmの光線透過率が55%以上を良好とした。
実施例1〜3に示すように、本発明の要件を具備したポリカーボネート系樹脂組成物は、高い光線透過率および優れた色相を示した。
比較例1は、PSの配合量が本発明の要件よりも少ない場合で、積算透過率および光線透過率共に劣っていた。
比較例2は、PSの配合量が本発明の要件よりも多い場合で、積算透過率および光線透過率共に劣っていた。
比較例3は、Pの配合量が本発明の要件よりも少ない場合で、積算透過率および光線透過率共に劣っていた。
比較例4は、Pの配合量が本発明の要件よりも多い場合で、積算透過率および光線透過率共に劣っていた。
比較例2は、PSの配合量が本発明の要件よりも多い場合で、積算透過率および光線透過率共に劣っていた。
比較例3は、Pの配合量が本発明の要件よりも少ない場合で、積算透過率および光線透過率共に劣っていた。
比較例4は、Pの配合量が本発明の要件よりも多い場合で、積算透過率および光線透過率共に劣っていた。
本発明の第二態様
(実施例4〜6、比較例5および6)
表1の実施例2に示す配合比率の樹脂組成物に対して、更に亜リン酸エステル系化合物(D)(P1)を表2に示す配合比率にて追加配合した。これ以外は、実施例2と同じ操作を行い、各種性能の評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例4〜6、比較例5および6)
表1の実施例2に示す配合比率の樹脂組成物に対して、更に亜リン酸エステル系化合物(D)(P1)を表2に示す配合比率にて追加配合した。これ以外は、実施例2と同じ操作を行い、各種性能の評価を行った。結果を表2に示す。
表2の示すとおり、本発明の構成を満足する場合(実施例4〜6)には、全ての評価項目において十分な性能を有していた。
一方、本発明のP1の添加量が本発明の定める範囲より多い例(比較例5)においては、積算透過率および光線透過率共に劣っていた。
一方、本発明のP1の添加量が本発明の定める範囲より多い例(比較例5)においては、積算透過率および光線透過率共に劣っていた。
Claims (6)
- ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、重量平均分子量が1000〜18000であるポリスチレン樹脂(B)0.05〜3.0重量部、および下記一般式(1)で表される亜リン酸エステル系化合物(C)0.05〜2.0重量部を含むことを特徴とする、ポリカーボネート樹脂組成物。
一般式(1)
- 前記一般式(1)で表される亜リン酸エステル系化合物(C)が、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−〔3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピンであることを特徴とする、請求項1記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記一般式(2)で表される亜リン酸エステル系化合物(D)が、3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカンであることを特徴とする、請求項2記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜4の何れか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる光学用成形品。
- 請求項1〜4の何れか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる導光板。
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