JP2015044950A - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、射出成形時の流動性及び耐衝撃強度に優れたポリカーボネート樹脂組成物に関する。更に詳しくは、ポリカーボネート樹脂の特徴である、機械的強度、寸法安定性等を保持したまま、射出成形時の流動性及び耐衝撃強度を著しく改善したポリカーボネート樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂は、透明性、熱安定性等に優れた熱可塑性樹脂であり、電気、電子、ITE、機械、自動車などの分野で広く用いられている。
従来、これらの分野の用途においては、例えば、薄肉の携帯情報機器端末等の筐体の機械的強度不足(流動性不足に起因する)により筐体が割れるといった不具合の発生する場合があり、この不具合を改善すべくポリカーボネート樹脂の機械的強度、耐熱性、寸法安定性等をより向上させるためガラス繊維を添加するケースが増えている。しかしながら、ガラス繊維を添加することで機械的強度、寸法安定性は向上するものの、射出成形時の流動性や得られた製品の耐衝撃強度が低下するという新たな不具合が発生する場合があり、このような新たな不具合が発生しないよう流動性および耐衝撃強度の改善されたポリカーボネート樹脂が要望されている。また、これらの分野の用途においては、当該樹脂組成物を用いた製品が落下などにより割れる、欠ける等の不具合を起こす危険性が非常に高いため、耐衝撃性、とりわけ面衝撃強度の高い樹脂組成物への要望が高い。
従来、これらの分野の用途においては、例えば、薄肉の携帯情報機器端末等の筐体の機械的強度不足(流動性不足に起因する)により筐体が割れるといった不具合の発生する場合があり、この不具合を改善すべくポリカーボネート樹脂の機械的強度、耐熱性、寸法安定性等をより向上させるためガラス繊維を添加するケースが増えている。しかしながら、ガラス繊維を添加することで機械的強度、寸法安定性は向上するものの、射出成形時の流動性や得られた製品の耐衝撃強度が低下するという新たな不具合が発生する場合があり、このような新たな不具合が発生しないよう流動性および耐衝撃強度の改善されたポリカーボネート樹脂が要望されている。また、これらの分野の用途においては、当該樹脂組成物を用いた製品が落下などにより割れる、欠ける等の不具合を起こす危険性が非常に高いため、耐衝撃性、とりわけ面衝撃強度の高い樹脂組成物への要望が高い。
上記のような要望に対して、これまで例えば、ポリカーボネート樹脂にポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を配合する方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、上記方法においても製品の流動性および落下強度等の耐衝撃強度については十分解決されていない。
このように、従来から、射出成形時の流動性及び耐衝撃強度(面衝撃強度)に優れたポリカーボネート樹脂組成物は知られていない。
このように、従来から、射出成形時の流動性及び耐衝撃強度(面衝撃強度)に優れたポリカーボネート樹脂組成物は知られていない。
本発明は、射出成形時の流動性及び耐衝撃強度(面衝撃強度)に優れたポリカーボネート樹脂組成物が開発されていないことを課題とし、ポリカーボネート樹脂が本来有する機械的強度、寸法安定性等を保持したまま、射出成形時の流動性および耐衝撃強度(面衝撃強度)を著しく改善したポリカーボネート樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる課題に鑑み鋭意研究を行った結果、ポリカーボネート樹脂に特定のアルキルケテンダイマーとガラス繊維とを特定割合で併用配合することにより、驚くべきことに射出成形時の流動性および耐衝撃性を飛躍的に向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリカーボネート樹脂(A)65〜94.9重量%および下記一般式1に示すアルキルケテンダイマー(B)0.1〜5重量%及びガラス繊維(C)5〜30重量%を含有してなることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物、を提供するものである。
一般式1:
一般式1:
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂が本来有する優れた機械的強度、熱安定性、寸法安定性の性能を保持したまま、射出成形時の流動性及び耐衝撃強度(面衝撃強度)を飛躍的に向上させたものであり、かかる樹脂組成物を使用して、例えば、薄肉の携帯情報機器端末等の筐体を射出成形した際には充填不足といった不具合の発生を抑えられる。また、製品への重量物の落下や製品自体が落下した際に割れが発生するといった不具合の発生が抑えられる。
本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類が挙げられる。
これらは単独または2種類以上混合して使用されるが、これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−〔4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル〕−プロパンなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、特に制限はないが、成形加工性、強度の面より通常10000〜100000、より好ましくは14000〜30000、さらに好ましくは16000〜26000の範囲である。また、かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調整剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
ポリカーボネート樹脂(A)の配合量は、65〜94.9重量%である。94.9重量%を越えると射出成形時の流動性や機械的強度に劣り、65重量%未満では射出成形品にシルバー発生が見られる等の熱安定性に劣る事から好ましくない。好ましい配合量は、77〜94.9重量%、更に好ましくは77〜89重量%である。
本発明にて使用されるアルキルケテンダイマー(B)は下記一般式にて示される化合物である。
一般式1:
一般式1:
一般式1において、Rは、同一でも異なっても良いが、炭素数6〜33のアルキル基、好ましくは炭素数10〜21のアルキル基である。最も好ましくは、Rの炭素数が14〜16のアルキル基である。
アルキルケテンダイマー(B)の配合量は0.1〜5重量%である。0.1重量%未満では射出成形時の流動性に劣り、5重量%を越えると射出成形品にシルバー発生が見られる等の熱安定性に劣る事から好ましくない。好ましい配合量は、0.1〜3重量部、更に好ましくは1〜3重量部である。
本発明にて使用されるガラス繊維(C)は通常熱可塑性樹脂に使用されているガラス繊維であれば、いずれも使用出来る。ガラス繊維に用いられるガラスは無アルカリガラス(Eガラス)が好ましく、ガラス繊維の直径は5〜20μmが好ましく、更にガラス繊維の数平均繊維長は1〜8mmが好ましい。
これらは従来公知の任意の方法に従い製造される。
これらは従来公知の任意の方法に従い製造される。
カラス繊維の直径が5μm未満では量産での生産性に劣るとのことから入手が困難であり、20μmを越えると射出成形品の外観に劣る。数平均繊維長が1mm以下では機械的強度の改良が十分でなく、8mmを越えるとポリカーボネート樹脂を製造する際、ポリカーボネート樹脂中へのガラス繊維の分散性に劣ることからガラス繊維が樹脂から脱落する等して生産性が低下しやすい。ガラス繊維の直径は好ましくは8〜15μmであり、数平均長さは好ましくは2〜6mmである。
ガラス繊維(C)はポリカーボネート樹脂との密着性を向上させる目的でアミノシラン、エポキシシラン等のシランカップリング剤などにより表面処理を行う事が出来る。又、ガラス繊維を取り扱う際、取り扱い性を向上させる目的でウレタンやエポキシ等の集束材などにより集束させることが出来る。
ガラス繊維(C)の配合量は、5〜30重量%である。5重量%未満では機械的強度に劣り、30重量%を越えると射出成形品にシルバー発生が見られる等の熱安定性に劣ることから好ましくない。好ましい配合量は、5〜20重量%、更に好ましくは10〜20重量%である。
本発明の各種配合成分(A)、(B)、(C)の配合方法には特に制限はなく、任意の混合機、例えばタンブラー、リボンブレンダー、高速ミキサー等によりこれらを混合し、通常の単軸または二軸押出機等で溶融混練することができる。また、これら配合成分の配合順序や一括混合、分割混合を採用することについても特に制限はない。
また、混合時、必要に応じて他の公知の添加剤、例えば離型剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、染顔料、展着剤(エポキシ大豆油、流動パラフィン等)やガラス繊維以外の強化材(炭素繊維、タルク、マイカ等)等、又、他の樹脂を配合することができる。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。なお、部や%は特に断りのない限り重量基準に基づく。
使用した配合成分は、以下のとおりである。
ポリカーボネート樹脂(A):
ビスフェノールAとホスゲンから合成されたポリカーボネート樹脂
(住化スタイロンポリカーボネート社製 カリバー200−20
粘度平均分子量:19000、以下、PCと略記)
アルキルケテンダイマー(B):
永恒化工社製 AKD1840(以下、AKDと略記)
成分は、下記式のとおり:
ポリカーボネート樹脂(A):
ビスフェノールAとホスゲンから合成されたポリカーボネート樹脂
(住化スタイロンポリカーボネート社製 カリバー200−20
粘度平均分子量:19000、以下、PCと略記)
アルキルケテンダイマー(B):
永恒化工社製 AKD1840(以下、AKDと略記)
成分は、下記式のとおり:
ガラス繊維(C):
無アルカリガラス繊維
(オーウェンスコーニングジャパン(株) CS03MAFT737)
繊維直径13μm、数平均繊維長3mm(以下、GFと略記)
前述の各種配合成分を表1に示す配合比率にて一括してタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、単軸押出機(田辺プラスチック VS40−3)を用いて、溶融温度280℃にて混練し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
(面衝撃強度の評価及び外観評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ120℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度280℃、射出圧力1600kg/cm2にて試験片(60x60x2mm)を作成した。
得られた試験片を用いてJIS K−7211に準じて50%破壊エネルギーを求め面衝撃強度とした。面衝撃強度を70Kg・cm以上を良好とした。又、成形品である試験片の外観を目視で行いシルバー発生のない試験片を良好とした。
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ120℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度280℃、射出圧力1600kg/cm2にて試験片(60x60x2mm)を作成した。
得られた試験片を用いてJIS K−7211に準じて50%破壊エネルギーを求め面衝撃強度とした。面衝撃強度を70Kg・cm以上を良好とした。又、成形品である試験片の外観を目視で行いシルバー発生のない試験片を良好とした。
(曲げ弾性率の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ120℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度280℃、射出圧力1600kg/cm2にてISO試験法に準じた試験片を作成し、得られた試験片を用いてISO 178に準じ曲げ弾性率を測定し、曲げ弾性率が3000MPa以上を良好とした。
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ120℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度280℃、射出圧力1600kg/cm2にてISO試験法に準じた試験片を作成し、得られた試験片を用いてISO 178に準じ曲げ弾性率を測定し、曲げ弾性率が3000MPa以上を良好とした。
(流動性の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ120℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度280℃、射出圧力1600kg/cm2にてスパイラルフロー金型(1mm厚み)を用いて流動長の測定し、110mm以上を良好とした。
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ120℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度280℃、射出圧力1600kg/cm2にてスパイラルフロー金型(1mm厚み)を用いて流動長の測定し、110mm以上を良好とした。
ポリカーボネート樹脂組成物が本発明の構成要件を満足する場合(実施例1〜4)にあっては、面衝撃強度、スパイラル流動長、曲げ弾性率、及び、外観の全てに亘って良好な結果を示した。
一方、ポリカーボネート樹脂組成物が本発明の構成要件を満足しない場合においては、いずれの場合も何らかの欠点を有していた。
比較例1は、アルキルケテンダイマー(AKD)が本発明の定める範囲より少ない場合であり、スパイラル流動性に劣っていた。
比較例2は、ガラス繊維が本発明の定める範囲よりも少ない場合であり、曲げ弾性率に劣っていた。
比較例3は、アルキルケテンダイマー(AKD)が本発明の定める範囲より多い場合であり、面衝撃強度に劣り、かつ、成形品のシルバー発生により外観不具合が発生した。
比較例4は、ガラス繊維が本発明の定める範囲より多い場合であり、面衝撃強度に劣り、かつ成形品のシルバー発生により外観不具合が発生した。
比較例1は、アルキルケテンダイマー(AKD)が本発明の定める範囲より少ない場合であり、スパイラル流動性に劣っていた。
比較例2は、ガラス繊維が本発明の定める範囲よりも少ない場合であり、曲げ弾性率に劣っていた。
比較例3は、アルキルケテンダイマー(AKD)が本発明の定める範囲より多い場合であり、面衝撃強度に劣り、かつ、成形品のシルバー発生により外観不具合が発生した。
比較例4は、ガラス繊維が本発明の定める範囲より多い場合であり、面衝撃強度に劣り、かつ成形品のシルバー発生により外観不具合が発生した。
Claims (2)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013177588A JP2015044950A (ja) | 2013-08-29 | 2013-08-29 | ポリカーボネート樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013177588A JP2015044950A (ja) | 2013-08-29 | 2013-08-29 | ポリカーボネート樹脂組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015044950A true JP2015044950A (ja) | 2015-03-12 |
Family
ID=52670731
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013177588A Pending JP2015044950A (ja) | 2013-08-29 | 2013-08-29 | ポリカーボネート樹脂組成物 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2015044950A (ja) |
-
2013
- 2013-08-29 JP JP2013177588A patent/JP2015044950A/ja active Pending
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