JP2015044716A - プロトン伝導体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高いプロトン伝導性を有するとともに、例えば200〜500℃の中温域で動作可能であり、しかも緻密な構造を有するプロトン伝導体を提供する。【解決手段】ガラス粉末焼結体からなるマトリクス中にリン酸塩系結晶が分散してなるプロトン伝導体であって、ガラス粉末が、ガラス組成として、モル%で、P2O515〜80%、Al2O30.1〜25%、SiO20〜60%、R2O(RはLi、Na、K、Rb、Csから選択される少なくとも1種) 0〜35%を含有することを特徴とするプロトン伝導体。【選択図】なし

Description

本発明は、例えば燃料電池の電解質として用いられるプロトン伝導体に関する。
燃料電池は、発電効率の理論値が高く、廃熱も利用可能であり、しかも二酸化炭素の発生がほとんどないことから、火力発電に代わる電力源として近年注目されている。
燃料電池は、使用される電解質の種類によって分類される。例えば、電解質としてパーフルオロアルキルスルホン酸系ポリマー(登録商標Nafion)等を使用した固体高分子燃料電池は、家庭用、車載用等の小規模発電用途として注目されている。しかしながら、上記の固体高分子燃料電池は動作温度が80℃前後と低いため、実際の発電効率が低い(〜33%程度)という問題がある。
その他に、電解質としてリン酸水溶液をセパレーターに含浸させて用いたリン酸型燃料電池が実用化されているが、動作温度が200℃程度と低いため、依然として発電効率が低い。また製造コストが高いという問題がある。一方、電解質としてイットリア安定化ジルコニア等のセラミック材料を用いた固体酸化物形燃料電池は、動作温度が1000℃前後と非常に高いため、発電効率が高いという特徴がある。しかしながら、燃料電池の構成部材として、耐熱性の高い高価な材料を使用する必要があり、コスト高になるという問題がある。
以上のような事情から、200〜500℃程度の中温域で良好に動作可能な燃料電池が求められている。当該燃料電池には、電解質として中温域でプロトン伝導性の高い材料が必要となる。中温域で高いプロトン伝導性を示す物質として、SnP結晶が注目されている。SnP結晶は、岩塩型構造を有しており、SnO八面体とPO四面体が連なった構造を有している(非特許文献1参照)。
阿部良弘、NEW GLASS、Vol.12、No.3、1997、p28
SnP結晶は難焼結性であるため、緻密な焼結体が得られにくく、成膜性に劣る。そのため、SnP結晶を用いて電解質層を形成した燃料電池は、燃料ガスのリークが発生しやすいという問題がある。
そこで、本発明は、高いプロトン伝導性を有するとともに、例えば200〜500℃の中温域で動作可能であり、しかも緻密な構造を有するプロトン伝導体を提供することを技術的課題とする。
本発明者が鋭意検討した結果、リン酸塩系結晶を、特定の組成及び構造を有するマトリクス中に分散させることにより、緻密なプロトン伝導体が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、ガラス粉末焼結体からなるマトリクス中にリン酸塩系結晶が分散してなるプロトン伝導体であって、ガラス粉末が、ガラス組成として、モル%で、P 15〜80%、Al 0.1〜25%、SiO 0〜60%、RO(RはLi、Na、K、Rb、Csから選択される少なくとも1種) 0〜35%を含有することを特徴とする。
上記組成を有するガラス粉末焼結体からなるマトリクス中であれば、リン酸塩系結晶を緻密に分散させて存在させることが可能となり、成膜性が向上する。また、ガラス粉末組成中にPを多く含有するため、マトリクス自体もプロトン伝導性に優れる。そのため、燃料ガスのリークを抑制することができるとともに、例えば200〜500℃の中温域で優れたプロトン伝導性を得ることが可能となる。
一方、所定のガラス組成を含有するように調製した原料を溶融、成形することによりバルク状ガラスを作製し、当該バルク状ガラスを焼成して、リン酸塩系結晶を析出させた場合は、焼成工程でガラス内部に気孔が発生する傾向がある。また、リン酸塩系結晶を析出するガラスは表面結晶化タイプのガラスであるため、結晶化後の表面平滑性に劣る傾向がある。結果として、燃料ガスのリーク、化学的耐久性や電気伝導性の低下等の問題が生じやすくなる。さらに、十分な量の結晶を析出させることが難しく、プロトン伝導性に劣る傾向がある。
本発明のプロトン伝導体において、ガラス粉末が、ガラス組成としてSOを含有することが好ましい。
SOはPと同様にプロトン伝導性を示す成分であり、ガラス中に含有させることでプロトン伝導性を高めることができる。
本発明のプロトン伝導体において、リン酸塩系結晶がXP(XはMn、V、Ce、Zr、Sn、Ti、Si、Ge、Mo、W、Nbから選択される少なくとも1種)であることが好ましい。
本発明のプロトン伝導体は、燃料電池の電解質に用いられることが好ましい。
本発明のプロトン伝導体を製造方法は、前記いずれかのプロトン伝導体を製造するための方法であって、ガラス粉末とリン酸塩系結晶粉末を混合し、焼成することを特徴とする。
本発明によれば、高いプロトン伝導性を有するとともに、例えば200〜500℃の中温域で動作可能であり、しかも緻密な構造を有するプロトン伝導体を提供することが可能となる。
本発明のプロトン伝導体は、ガラス粉末焼結体からなるマトリクス中にリン酸塩系結晶が分散してなる。ガラス粉末は、ガラス組成として、モル%で、P 15〜80%、Al 0.1〜25%、SiO 0〜60%、RO(RはLi、Na、K、Rb、Csから選択される少なくとも1種) 0〜35%を含有する。このようにガラス組成を限定した理由を以下に示す。
はプロトン伝導性を高める成分である。Pの含有量は15〜80%であり、好ましくは20〜70%、より好ましくは25〜65%、さらに好ましくは25〜60%、特に好ましくは25〜50%、最も好ましくは25〜45%である。Pの含有量が少なすぎると、プロトン伝導性が低下しやすくなる。一方、Pの含有量が多すぎると、潮解しやすくなるため、燃料電池の電解質として使用した場合に長期安定性に劣る傾向がある。
Alは潮解性を低減し、燃料電池の電解質として使用した場合の長期安定性を高める成分である。Alの含有量は0.1〜25%であり、好ましくは0.1〜20%、より好ましくは1〜16%、さらに好ましくは2〜14%である。Alの含有量が少なすぎると、潮解性が著しく大きくなる傾向がある。一方、Alの含有量が多すぎると、プロトン伝導性が低下しやすくなる。また、溶融または成形時に失透しやすくなったり、粘度が不当に上昇して、溶融または成形が困難になる傾向がある。さらに、粘度が急激に変化する温度域が発生しやすくなり、成形性が低下しやすくなる。
SiOはネットワークフォーマーであり、また化学的耐久性を高める成分である。SiOの含有量は0〜60%であり、好ましくは0.1〜55%、より好ましくは1〜50%、さらに好ましくは5〜49%、特に好ましくは10〜40%である。SiOの含有量が多すぎると、プロトン伝導性が低下しやすくなる。また、溶融または成形時に失透しやすくなったり、粘度が不当に上昇して、溶融または成形が困難になる傾向がある。さらに、粘度が急激に変化する温度域が発生しやすくなり、成形性が低下しやすくなる。
O(RはLi、Na、K、Rb、Csから選択される少なくとも1種)はプロトン伝導性を高める成分であるとともに、粘度を低下させて溶融性や成形性を高める成分である。ROの含有量は0〜35%であり、好ましくは5〜35%、より好ましくは8〜30%、さらに好ましくは10〜25%である。ROの含有量が多すぎると、化学的耐久性が低下しやすくなる。また粘度が急激に変化する温度域が発生しやすくなり、成形性が低下しやすくなる。
Oの各成分の好ましい含有量は以下の通りである。
LiOの含有量は、好ましくは0〜20%、より好ましくは0〜15%、さらに好ましくは0〜10%である。LiOの含有量が多すぎると、化学的耐久性が低下しやすくなる。
NaOの含有量は、好ましくは0〜25%、より好ましくは1〜20%、さらに好ましくは3〜15%である。NaOの含有量が多すぎると、化学的耐久性が低下しやすくなる。また、粘度が急激に変化する温度域が発生しやすくなり、成形性が低下しやすくなる。
Oの含有量は、好ましくは0〜25%、より好ましくは1〜20%、さらに好ましくは3〜15%である。KOの含有量が多すぎると、化学的耐久性が低下しやすくなる。また、粘度が急激に変化する温度域が発生しやすくなり、成形性が低下しやすくなる。
RbO及びCsOの含有量は、それぞれ好ましくは0〜20%、より好ましくは0〜15%、さらに好ましくは0〜10%である。
O成分は2種以上、特に3種以上含有することが好ましい。RO成分を2種以上含有する場合、混合アルカリ効果によりアルカリイオンが動きにくくなるため、プロトン伝導体中を移動するイオンに占めるプロトンの割合(プロトン輸率)が大きくなりやすい。
なお、(NaO+KO)/RO(モル比)は0.2〜1であることが好ましく、0.25〜1であることがより好ましく、0.3〜1であることがさらに好ましい。このようにすれば、混合アルカリ効果を享受しやすく、プロトン伝導性を高めやすくなる。
本発明におけるガラス粉末には、上記成分以外にも、下記の成分を含有させることができる。
AgOは粘度を低下させて溶融性を高める成分である。AgOの含有量は、好ましくは0〜20%、より好ましくは0〜15%、さらに好ましくは0〜10%である。AgOの含有量が多すぎると、電子の伝導性が高くなり、結果としてプロトン輸率が低下する傾向がある。原料コストが高騰しやすくなる。なお、原料コストの低減を優先する場合は、AgOを実質的に含有しない(具体的には0.1%未満)ことが好ましい。
SOはプロトン伝導性を高める成分である。また、耐候性を向上させる効果もある。SOの含有量は、好ましくは1〜60%、より好ましくは5〜50%、さらに好ましくは10〜35%である。SOの含有量が少なすぎると、上記効果が得られにくい。一方、SOの含有量が多すぎると、溶融性が低下しやすくなる。
その他に、粘度の調整、化学的耐久性や清澄性の向上等を目的として、MgO、CaO、SrO、BaO、ZrO、TiO、La、ZnO、Sb、Fe、SnO、SnO、CeO、Cl、As、CuO、Gd、Y、Ta、Nb、Nd、Tb、WO、V、MoO、Bi、CoO、Cr、MnO、NiO、B等を含有させることができる。これらの成分の含有量はそれぞれ0〜10%が好ましい。ただし、MgO、CaO、SrO、BaOの含有量が多すぎると、プロトン伝導性が低下しやすくなるため、これらの成分の合量は10%以下であることが好ましい。
また、ガラス組成中の酸素の一部をフッ素(F)に置換することが好ましい。Fは耐候性を向上させる効果がある。また、ガラスが安定化しやすくなる。ただし、その含有量が多すぎると、ガラスからの揮発量が多くなり、特性のばらつきを引き起こすおそれがある。また、環境面からもFの揮発量が多くなるのは好ましくない。そのため、Fの含有量は、アニオン%で、好ましくは2〜70%、より好ましくは5〜60%、さらに好ましくは8〜50%である。
本発明のプロトン伝導体において、リン酸塩系結晶としては一般式XP(Xは、Mn、V、Ce、Zr、Sn、Ti、Si、Ge、Mo、W、Nbから選択される少なくとも1種)で表されるものが挙げられる。特に、優れたプロトン伝導性が得られやすい観点から、SnPが好ましい。なお、本発明においてリン酸塩系結晶はXPの固溶体も含むものとする。特に、結晶中の4価のカチオンXの一部を、3価または2価のカチオン(Al、Ga、In、Y、Mg等)で置換すると、電荷補償のためのホールが形成される。このホールと水分子が反応することにより、プロトンが生成して、プロトン伝導性を高めることができる。
プロトン伝導体におけるリン酸塩系結晶の含有量は、好ましくは10〜80体積%、より好ましくは15〜70体積%である。リン酸塩系結晶の含有量が少なすぎると、所望のプロトン伝導性が得られにくくなる。また、耐熱性や熱衝撃性に劣る傾向がある。一方、リン酸塩系結晶の含有量が多すぎると、緻密性に劣り、燃料電池の電解質として使用した際に、燃料ガスのリークが発生しやすくなる。また、プロトン伝導性が低下する傾向がある。
本発明の趣旨を逸脱しない限り、機械的強度、電気特性、耐候性を改善する目的で、Al、TiO、SiO等の酸化物フィラーを10体積%まで含有させてもよい。
プロトン伝導体のプロトン伝導性は、電気伝導率とプロトン輸率に依存する。電気伝導率は、イオン(プロトン等)及び電子の動きやすさの指標となる。一方、プロトン輸率は、流れた電流のうち、プロトンに起因する電流の割合をいう。
本発明のプロトン伝導体の電気伝導率は、400℃において、好ましくは10−4.5S/cm以上、より好ましくは10−4S/cm以上、さらに好ましくは10−3.5S/cm以上であり、500℃において、好ましくは10−4S/cm以上、より好ましくは10−3.5S/cm以上、さらに好ましくは10−3S/cm以上である。
本発明のプロトン伝導体の500℃におけるプロトン輸率は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上、さらに好ましくは0.9以上である。
本発明のプロトン伝導体の500℃における面積抵抗値は、好ましくは30Ω・cm以下、より好ましくは15Ω・cm以下、特に好ましくは10Ω・cm以下である。このようにすれば、200〜500℃の中温域において、プロトン伝導性が高くなり、燃料電池の発電効率が向上する。
本発明のプロトン伝導体の厚みは、好ましくは0.001〜2mm、より好ましくは0.002〜1mm、さらに好ましくは0.003〜0.5mm、特に好ましくは0.005〜0.1mm、最も好ましくは0.005〜0.05mmである。プロトン伝導体の厚みが小さすぎると、ハンドリング性が低下して、燃料電池の製造効率が低下する傾向がある。一方、プロトン伝導体の厚みが大きすぎると、面積抵抗値が上昇して、燃料電池の発電効率が低下する傾向がある。
次に、本発明のプロトン伝導体の製造方法について説明する。
本発明のプロトン伝導体は、例えば、上述の組成を有するガラス粉末と、リン酸塩系結晶粉末とを混合し、焼成する(焼結させる)ことにより製造することができる。当該方法によれば、ガラス組成としてPを含有するマトリクス中に、所望量のリン酸塩系結晶が均一に分散してなるプロトン伝導体を容易に作製することができる。なお、詳細なメカニズムについては調査中であるが、上記製造方法によれば、ガラス粉末中にリン酸塩系結晶がごくわずか溶け込み、ガラス粉末とリン酸塩系結晶の界面にプロトン伝導層が生成し、結果として、高いプロトン伝導性が得られるものと考えられる。
ガラス粉末の平均粒子径D50は、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは1〜50μmである。ガラス粉末の平均粒子径D50が小さすぎると、焼成時に気泡の発生量が多くなる傾向がある。プロトン伝導体中に気泡が多く含まれると、燃料ガスのリークの原因となる。また、水分等が内部に浸入して化学的耐久性が低下するおそれがある。さらに、プロトン伝導性が低下する傾向がある。プロトン伝導体の気孔率は、好ましくは10体積%以下、より好ましくは5体積%以下である。一方、平均粒子径D50が大きすぎると、プロトン伝導体中にリン酸塩系結晶が均一に分散されにくくなり、結果として、プロトン伝導性が低下する傾向がある。
リン酸塩系結晶の平均粒子径D50は、好ましくは0.001〜100μm、より好ましくは0.01〜50μmである。平均粒子径D50が小さすぎると、焼成時に気泡の発生量が多くなりやすい。また、焼成時にガラス中に溶け込む量が多くなり、所望のプロトン伝導性が得られにくくなる。一方、リン酸塩系結晶の平均粒子径D50が大きすぎると、プロトン伝導体中にリン酸塩系結晶が均一に分散されにくくなり、結果として、プロトン伝導性が低下する傾向がある。
本発明において、平均粒子径D50はレーザー回折法により測定した値をいう。
ガラス粉末とリン酸塩系結晶粉末の混合粉末の焼成温度は、好ましくはガラス粉末の軟化点以上、より好ましくは軟化点+50℃以上である。焼成温度が低すぎると、気孔が残存して、燃料ガスのリーク、化学的耐久性や電気伝導性の低下等の問題が生じやすくなる。一方、焼成温度の上限は特に限定されないが、高すぎると、ガラス粉末とリン酸塩系結晶粉末の反応が進行し、リン酸塩系結晶粉末の溶解量が増大するため、プロトン伝導性が低下する傾向がある。したがって、焼成温度はガラス粉末の軟化点+300℃以下であることが好ましい。
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1及び2は実施例(No.1〜8)及び比較例(No.9〜12)を示す。
まず、表に示すガラス組成となるように原料粉末を秤量して混合し、アルミナ坩堝中において1400〜1600℃で2時間溶融してガラス化した。溶融ガラスをフィルム状に成形し、ボールミルで粉砕した後、325メッシュの篩に通して分級することにより、平均粒径D50が30μmのガラス粉末を得た。
得られたガラス粉末について、DTA(示差熱分析)装置(TAS−100:株式会社リガク製)を用いて軟化点を測定した。また、XRD測定を行った。XRD測定の結果、いずれのガラス粉末においても結晶化ピークが観察されなかったため、結晶が析出していないことが確認された。
次に、ガラス粉末に対し、表1及び2に示すリン酸塩系結晶粉末を混合し、金型を用いて加圧成形して直径35mmのボタン状の予備成形体を作製した。この予備成形体を表に示す焼成温度で焼成し、焼結体を得た。得られた焼結体に対して研磨処理を施し、直径30mm、厚さ1mmに加工し、プロトン伝導体を得た。
なお、No.12については、溶融ガラスを板状に成形し、アニールしたものを切削、研磨して直径30mm、厚さ1mmの円盤状に加工して試料を得た。
得られた各試料について、耐候性、プロトン輸率、電気伝導率を評価または測定した。結果を表1及び2に示す。
耐候性の評価は、プレッシャークッカー試験機を用い、試料を2atm、湿度95%、温度121℃の条件下に100時間放置し、試験後の試料表面の白濁の有無を、目視及び顕微鏡により観察することにより行った(PCT試験)。目視及び顕微鏡による観察で、微小クラックまたはガラス成分等の溶出による白濁が認められなかったものを「○」、認められたものを「×」として評価した。
プロトン輸率は次のようにして測定した。各試料の一方の表面にスパッタ法によりPt電極を形成した。また、他方の表面を参照極として、水素1体積%雰囲気とした。Pt電極側の水素分圧を変化させた時の起電力を測定し、Nernstの式に基づく直線の傾きにより、500℃におけるプロトンの輸率を算出した。
電気伝導率は、各試料の両面にスパッタ法によりPt電極を形成した後、交流法にて測定した値であり、室温の水にバブリングさせたアルゴンガス(水蒸気を含む)を流しながら測定した値である。測定温度は400℃及び500℃とした。なお、表中には電気伝導率(σ)の常用対数(log10σ)の値を示している。
表1及び2から明らかなように、実施例である試料No.1〜8の試料は、耐候性に優れており、電気伝導率が400℃で10−4.3S/cm以上、500℃で10−3.8S/cm以上であり、プロトン輸率が0.77以上と高かった。
一方、比較例である試料No.9は耐候性に劣っていた。No.10〜12の試料は電気伝導率が400℃で10−4.8S/cm以下、500℃で10−4.3S/cm以下と低かった。なお、No.10については、プロトン輸率も0.22と低かった。
なお、試料No.1〜8については、マスフロメータを用いた窒素ガス透過試験及びヘリウムガス透過試験において、室温でガスリークが認められなかった。
本発明のプロトン伝導体は、燃料電池用途だけでなく、水素検知器等のセンサー用途、リチウムイオン電池の電解質用途に適用することも可能である。なお、本発明のプロトン伝導体を粉末状に加工した後、耐熱性高分子中に分散させて電解質として使用してもよい。

Claims (5)

  1. ガラス粉末焼結体からなるマトリクス中にリン酸塩系結晶が分散してなるプロトン伝導体であって、
    ガラス粉末が、ガラス組成として、モル%で、P 15〜80%、Al 0.1〜25%、SiO 0〜60%、RO(RはLi、Na、K、Rb、Csから選択される少なくとも1種) 0〜35%を含有することを特徴とするプロトン伝導体。
  2. ガラス粉末が、ガラス組成としてSOを含有することを特徴とする請求項1に記載のプロトン伝導体。
  3. リン酸塩系結晶がXP(XはMn、V、Ce、Zr、Sn、Ti、Si、Ge、Mo、W、Nbから選択される少なくとも1種)であることを特徴とする請求項1または2にプロトン伝導体。
  4. 燃料電池の電解質に用いられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロトン伝導体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロトン伝導体を製造するための方法であって、ガラス粉末とリン酸塩系結晶粉末を混合し、焼成することを特徴とするプロトン伝導体の製造方法。
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