JP2015042967A - 透過波面計測装置及び透過波面計測方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被検査物100に発散光20を照射する光源2と、被検査物100の背面側に配された凹面鏡3と、凹面鏡3が反射した収束光30を平行光40に変換するレンズ4と、平行光40を透過させ、回折光を形成する回折格子5と、回折光が形成す干渉縞を撮像する撮像手段6と、撮像データをフーリエ変換法で空間周波数スペクトルを演算し、そのデータにより被検査物100の屈折率と厚みとの積算値の分布を演算する処理部7とを備え、レンズ4は、被検査物100の像を撮像手段6上に共役結像させ、撮像手段6は、回折光がトールボット像を形成する位置に配置された透過波面計測装置1及びこの装置を用いた透過波面計測方法で課題を解決する。
【選択図】図1
Description
本発明の透過波面計測装置1は、被検査物100に発散光20を照射する光源2と、被検査物100の背面側に配置された凹面鏡3と、凹面鏡3によって反射された収束光30を平行光40に変換するレンズ4と、レンズ4によって変換された平行光40を透過させ、回折光を形成する回折格子5と、回折光により形成される干渉縞を撮像する撮像手段6と、干渉縞の撮像データをフーリエ変換法によって空間周波数スペクトルを演算し、該空間周波数スペクトルのデータに基づいて被検査物100の屈折率と厚みとの積算値の分布を演算する処理部7とを備えている。また、撮像手段6は、回折光がトールボット像を形成する位置に配置されている。
本発明の透過波面計測装置1は、トールボット干渉計を利用した装置である。はじめに、トールボット効果及びトールボット干渉計について簡単に説明する。
図1に示す透過波面計測装置1は、波長が635nmである単色光を発光するレーザーダイオードを光源2として用いている。この光源2によって照射される光は、光源2から広がるようにして進行する発散光20であり、光源2が照射した光は凹面鏡3の正面に配置された被検査物100の全体に照射される。
凹面鏡3は、光源2から照射された発散光20を反射し、収束光30をレンズ4に向けて照射させている。図1に示す透過波面計測装置1の凹面鏡3は、レンズ4との距離が1150mmの位置に設置されておいる。凹面鏡の直径は100mmに形成され、その曲面の半径は1000mmに形成されている。凹面鏡3とレンズ4との距離は、レンズ4の光軸上の距離である。なお、凹面鏡3は、反射した収束光30を被検査物100の全体に透過することができる直径に形成されたものを用いればよい。また、凹面鏡3は、レンズ4に収束光30を確実に照射することができるように凹面鏡3とレンズ4との距離に応じ、その曲面の半径が適切な寸法に形成されたものを用いればよい。なお、被検査物100は、凹面鏡3の表面から1000mm以下の距離だけ離れた位置に配置される。ただし、被検査物100が光源2に相対的に近い位置に配置された場合、屈折率と厚みとの積算値の分布の計測結果は誤差が大きくなり且つ、正確に計測することができる被検査物100のサイズは小さくなる。そのため、被検査物100は、凹面鏡3に相対的に近い位置に配置することが好ましい。この場合の凹面鏡3の表面と被検査物100との距離は光軸上の距離である。
レンズ4は、両面が凸面に形成された凸レンズが用いられており、凹面鏡3によって反射された収束光30を平行光40に変換している。また、レンズ4は、凹面鏡3が反射し、被検査物100を透過した収束光30に基づいて、後述する撮像手段5上に被検査物100の像を共役結像している。図1に示したレンズ4は、その焦点距離が150mmである。ただし、レンズ4は、必要に応じて適切な焦点距離のものを選定すればよい。
回折格子5は、レンズ4によって変換された平行光を透過させ、回折光を形成している。この回折格子5は2次元回折格子であり、図2に示すように、X方向に延びる複数のスリット51とY方向に延びる複数のスリット52とが相互に直交して構成されている。この回折格子5は、図3に示すように、レンズ4から(式3)のZGで表された距離だけ離れた位置に配置されている。なお、(式3)において、fはレンズの焦点距離、Rは、凹面鏡とレンズの焦点距離との間の距離、dは回折格子5の回折ピッチ(周期)、λは波長をそれぞれ表している。
撮像手段6は、回折格子5により形成される複数の回折光が干渉することによって現れる干渉縞を撮像している。撮像手段6は、撮像した干渉縞をデジタル信号に変換することができるセンサ、例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の2次元撮像素子が用いられている。この撮像手段6は、回折格子5に形成されているスリット間のピッチの2倍以上の画素数を有するものが用いられている。
(位相分布の演算)
処理部7は、回折光により形成された干渉縞の撮像データをフーリエ変換法によって空間周波数スペクトルを演算し、この空間周波数スペクトルのデータに基づいて被検査物10の屈折率と厚みとの積算値の分布を演算している。換言すると、被検査物100の屈折率と厚みの積の値を演算することによって、被検査物100に存在する「うねり」あるいは「むら」を求めている。この処理部7は、コンピュータ等が利用されていて、撮像手段6にケーブルによって接続されている。この処理部7は、特に図示していないが、データ取得部、記憶部、演算部及び表示部を備えている。データ取得部は、撮像手段6が撮像した干渉縞画像のデータを取得している。記憶部は、撮像手段6により撮像された干渉縞画像のデータを記憶している。演算部は、記憶部に格納された干渉縞画像のデータをフーリエ変換法によって微分位相像を演算している。具体的には、演算部は干渉縞画像データをフーリエ変換して空間周波数スペクトルを得る。次いで、空間周波数スペクトル中から1次スペクトルを切り取り、これを原点に戻して逆フーリエ変換する。その後、逆フーリエ変換して得られたデータに基づいて微分値を演算して位相分布を得ている。また、演算部は演算された微分位相像のデータに基づいて種々の解析を行っている。表示部は、撮像した画像や演算した結果に基づいてデータを処理して得られたグラフ等を表示する。
この位相分布を求める際に、処理部7は、凹面鏡3を反射し、被検査物100を透過した収束光30に基づく回折光を撮像した撮像データから、凹面鏡3を反射し、被検査物100を透過せずに直接レンズ4に到達した収束光30に基づく回折光を撮像した画像データを差し引く校正を行っている。
演算部は、こうした校正を行った後の位相分布に基づいて、波面を求めている。波面を求める演算は、次の(式7)と(式8)を用いて行っている。
また、演算部は、こうした校正を行った後のデータに基づいて得られた位相分布のデータから波面の曲率を演算する。次の(式9)は、波面の曲率を演算する際の式である。なお、この(式9)は、上記した(式6)を置き換えた式であり、(式6)と(8)とは等号「=」で結ぶことができる。
処理部7は、演算部が以上に求めた各データに基づいて、(式10)を用い、屈折率の変位の分布(屈折率の変化量)を求め、屈折率分布の定量化を行っている。その際、演算部は、収束光30が被検査物100を透過する光路を平行光40が被検査物100を透過する光路に置換する補正を行っている。
まず、CCDイメージセンサで回折格子5を透過した光が形成するトールボット像を撮影した。具体的には、凹面鏡3の正面に配置されたサンプルに光源2から発散光20を照射し、この凹面鏡3によって、サンプルから所定の距離だけ離れ且つ、光源2から光軸がずれた位置に配置されたレンズ4に向けて収束光30を反射させた。次いで、レンズ4で収束光30を平行光40に変換させ、レンズ4と所定の間隔を空けて配置された2次元回折格子である回折格子5に平行光40を透過させ、回折格子5によって回折光を形成させた。撮影手段6は、回折光がトールボット像を形成する位置に配置し、撮像手段状に形成されたトールボット像を当該撮像手段6であるCCDイメージセンサで撮像した。
次に、撮像したトールボット像の画像データに基づいて空間周波数スペクトルを演算した。空間周波数スペクトルの演算は、(式4)によって得られた図10に示したトールボット像の画像データをフーリエ変換して求めた。図11は、演算された空間周波数スペクトルを図示したものである。図11に示すように、1次スペクトル61,62,63,64は中央に位置する原点を囲むようにして等間隔をなして現れている。次いで、演算された空間周波数スペクトルのデータを(式5)により逆フーリエ変換してトールボット像の位相分布すなわち波面の微分値のデータを求めた。その後、(式6)により波面の位相分布を求めた。
次に、位相分布のデータから理論式によって波面の曲率を演算した。波面の曲率を演算する際に用いた理論式は、(式6)である。また、(式6)により演算した波面の曲率が正確な値であるかどうかを確認するために、球面波の計測を行った。球面波の測定は、図1に示した装置を用い、光源2を凹面鏡3に近づけたり遠ざけたりして球面波を形成し、形成された球面波を計測して行った。
次に、(式6)により演算した位相分布のデータに基づいて(式7)及び式(式8)によってX方向の波面を演算した。図13は、位相分布の画像を波面の画像に変換したものを示している。図13の左側は位相分布の画像であり、図13の右側は波面の画像である。図13の右側の画像に示すように、波面の画像は、左右両側に比べ中央が明るく表示されている。すなわち、X方向は、左右両側に比べ中央が凸上になっている。Y方向についても同様に、(式6)により演算した位相分布のデータに基づいて(式7)及び式(式8)によってY方向の波面を演算することができる。
以上に説明した透過波面計測装置1によって、テンパックス系ガラス基板をサンプルとし、その屈折率の変位の計測を行った。計測は、図1に示すように、凹面鏡3の表面側にサンプルを配置して行った。
最後に、屈折率変位の分布の定量化を行った。サンプルのX方向及びY方向の波面を3次元的グラフ化した。なお、定量化を行う際、(式10)によって補正を行った。図18は、定量化した画像を示している。図18において、画像の最も暗く表された領域は、屈折率が−1.67×10−3であり、画像のもっとも明るく表された領域は、屈折率が5.43×10−2である。屈折率変位の分布の定量化を行った結果、図18に示すように、サンプルの屈折率は、−1.67×10−3〜5.43×10−2であることが判明した。
2 光源
3 凹面鏡
4 レンズ
5 回折格子
6 撮像手段
7 演算部
20 発散光
30 収束光
40 平行光
51,52 スリット
55 トールボット像
61,62,63,64 1次スペクトル
100 被検査物
200 矩形波
201 正弦波
Claims (8)
- 被検査物に発散光を照射する光源と、
前記被検査物の背面側に配置された凹面鏡と、
前記凹面鏡によって反射された収束光を平行光に変換するレンズと、
前記レンズによって変換された前記平行光を透過させ、回折光を形成する回折格子と、
前記回折光により形成される干渉縞を撮像する撮像手段と、
前記干渉縞の撮像データをフーリエ変換法によって空間周波数スペクトルを演算し、該空間周波数スペクトルのデータに基づいて前記被検査物の屈折率と厚みとの積算値の分布を演算する処理部と、を備え、
前記レンズは、前記凹面鏡を反射して前記被検査物を透過した前記収束光に基づいて前記撮像手段上に前記被検査物の像を共役結像させ、
前記撮像手段は、前記回折光がトールボット像を形成する位置に配置されていることを特徴とする透過波面計測装置。 - 前記回折格子は、複数のスリットが相互に交差して構成された2次元回折格子である、請求項1に記載の透過波面計測装置。
- 前記光源は、前記レンズの光軸から該レンズの半径方向外側にずれた位置に配置されている、請求項1又は2に記載の透過波面計測装置。
- 前記処理部は、前記凹面鏡を反射し、前記被検査物を透過した前記収束光に基づく前記回折光を撮像した撮像データから、前記凹面鏡を反射し、前記被検査物を透過せずに直接前記レンズに到達した前記収束光に基づく前記回折光を撮像した画像データを差し引いて前記被検査物の波面のデータを演算している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の透過波面計測装置。
- 前記処理部は、前記被検査物の屈折率の分布を演算しており、
前記処理部は、前記凹面鏡を反射し、前記被検査物を透過した前記収束光の光路を補正する補正手段を備え、
該補正手段は、前記被検査物を斜めに横切って進行した前記収束光の光路を、前記被検査物をその厚さ方向に直進する平行光の光路に変換している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の透過波面計測装置。 - 凹面鏡の正面に配置された被検査物に光源から発散光を照射する工程と、
前記凹面鏡が前記被検査物から所定の距離だけ離れ且つ、前記光源から光軸がずれた位置に配置されたレンズに向けて収束光を反射する工程と、
前記レンズが前記収束光を平行光に変換する工程と、
前記レンズと所定の間隔を空けて配置された2次元回折格子に前記平行光を透過させ、該回折格子によって回折光を形成する工程と、
前記回折光がトールボット像を形成する位置に配置された撮像手段で前記回折光を撮像する工程と、
前記撮像手段が撮像した前記トールボット像の画像データをフーリエ変換法によって空間周波数スペクトルを演算し、該空間周波数スペクトルのデータに基づいて前記被検査物の屈折率と厚みとの積算値の分布を演算する工程と、を備え、
前記レンズは、前記凹面鏡を反射して前記被検査物を透過した前記収束光に基づいて前記撮像手段上に前記被検査物の像を共役結像させていることを特徴とする透過波面計測方法。 - 前記凹面鏡を反射し、前記被検査物を透過した前記収束光に基づく前記回折光を撮像した撮像データから、前記凹面鏡を反射し、前記被検査物を透過せずに直接前記レンズに到達した前記収束光に基づく前記回折光を撮像した画像データを差し引いて前記被検査物の波面のデータを演算する工程を備えている、請求項6に記載の透過波面計測方法。
- 前記被検査物の屈折率の分布を演算する屈折率分布演算工程を備え、
該屈折率分布演算工程は、前記凹面鏡を反射し、前記被検査物を透過した前記収束光の光路を補正して演算する補正工程を有し、
該補正工程は、前記被検査物を斜めに横切って進行した前記収束光の光路を、前記被検査物をその厚さ方向に直進する平行光の光路に変換している、請求項6又は7に記載の透過波面計測方法。
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