JP2015040943A - 光学装置 - Google Patents

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裕 屋比久
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Abstract

【課題】観察者は、視覚的刺激の強いハーフミラーを注目してしまい、視覚的刺激の弱い空中像がハーフミラーに引き寄せられ、空中像として見えない、という課題があった。【解決手段】光学装置であって、対象物体より放射される光束を反射および透過させる部分反射部材と、部分反射部材で反射された光束を部分反射部材へ反射させる再帰性反射部材と、再帰性反射部材で部分反射部材へ反射され、部分反射部材を透過する前記光束を、部分反射部材の側へ傾ける光学素子とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、光学装置に関する。
表示装置からの光束を、発散または収束させた状態で反射型面対称結像素子に入射させることで、実像または虚像の空中像を結像させる技術が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2011−81296号公報
上記の方法において、結像された空中像を観察する場合、観察者の視線の同一直線上に視覚的刺激の弱い空中像の後方に視覚的刺激の強いハーフミラーが存在する。このため、観察者は、視覚的刺激の強いハーフミラーを注目してしまい、視覚的刺激の弱い空中像がハーフミラーに引き寄せられ、空中像として見えない、という課題があった。
本発明の態様における光学装置は、対象物体より放射される光束を反射および透過させる部分反射部材と、部分反射部材で反射された光束を部分反射部材へ反射させる再帰性反射部材と、再帰性反射部材で部分反射部材へ反射され、部分反射部材を透過する光束を、部分反射部材の側へ傾ける光学素子とを備える。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
(A)本実施形態に係る光学装置の斜視図である。(B)ディスプレイに表示される画像の一例を示す。 (A)従来の光学装置の概略を示す側面図である。(B)本実施形態に係る光学装置の概略を示す側面図である。 本実施形態に係る光学装置の概略を示す側面図である。 本実施形態に係る他の光学装置の概略を示す側面図である。 本実施形態に係る他の光学装置の概略を示す側面図である。 本実施形態に係る他の光学装置の概略を示す側面図である。 本実施形態に係る他の光学装置の概略を示す側面図である。 本実施形態に係る他の光学装置の概略を示す側面図である。 (A)本実施形態に係る他の光学装置の斜視図である。(B)ディスプレイに表示される画像の一例を示す。 (A)従来の光学装置の概略を示す側面図である。(B)本実施形態に係る他の光学装置の概略を示す側面図である。 本実施形態に係る他の光学装置の概略を示す側面図である。 本実施形態に係る他の光学装置の第2再帰性反射部材反射材の展開状態を示す部分断面図である。 本実施形態に係る他の光学装置の第2再帰性反射部材反射材の収容状態を示す部分段面図である。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1(A)は、本実施形態に係る光学装置10の斜視図である。また、図1(B)は、ディスプレイ22に表示される画像の一例を示す。図1(A)において、図中左上に示す矢印方向を光学装置10の前後上下左右方向とする。
本実施形態に係る光学装置10は、表示部20に表示された画像等を観察者に空中像として表示する。光学装置10は、支持台12と、表示部20と、第1再帰性反射部材30と、可動アーム32と、可動部34と、位置調整ユニット36と、ハーフミラー40と、接続アーム42と、支柱44と、支持部46と、光学素子50と、制御部60とを有する。
表示部20は、支持台12の左側中央部に設けられる。表示部20は、ディスプレイ22と、可動アーム24と、位置調整ユニット26と、可動部28とを有する。ディスプレイ22は、可動アーム24と、ユニバーサルジョイントにより結合される。可動アーム24は、位置調整ユニット26を介して支持台12に接続する。可動アーム24は、中央部に上下方向の位置を調整できる可動部28を有する。位置調整ユニット26は、支持台12の左側方中央部に固定されて設置される。可動アーム24は、可動部28により上下方向に移動できるとともに、位置調整ユニット26の位置制御機能により、前後左右方向に移動できる。ディスプレイ22と可動アーム24とは、ユニバーサルジョイントにより、結合されており、上下左右方向に傾斜できる。したがって、ディスプレイ22は、前後上下左右方向に移動でき、且つ、ディスプレイ22は、上下左右方向に傾斜できる。なお、ディスプレイ22は、像を形成させる対象物体の一例であり、可動アーム24、位置調整ユニット26、可動部28は、調整機構の一例である。
第1再帰性反射部材30は、支持台12の中央部に設けられる。第1再帰性反射部材30は、表示部20と同様に可動アーム32と、可動部34と、位置調整ユニット36とを有する。第1再帰性反射部材30は、可動アーム32とユニバーサルジョイントにより結合される。可動アーム32は、位置調整ユニット36を介して支持台12に接続する。可動アーム32は、支持台12の右側中央部に固定されて設置される。可動アーム32は、中央部に上下方向の位置を調整できる可動部34を有する。位置調整ユニット36は、支持台12の右側方中央部に固定されて設置される。可動アーム32は、可動部34により上下方向に移動できるとともに、位置調整ユニット36の位置制御機能により、前後左右方向に移動できる。第1再帰性反射部材30と可動アーム32とは、ユニバーサルジョイントにより、結合されており、上下左右方向に傾斜できる。したがって、第1再帰性反射部材30は、前後上下左右方向に移動でき、且つ、ディスプレイ22は、上下左右方向に傾斜できる。
第1再帰性反射部材30は、第1再帰性反射部材30に入射した光束を入射した方向に反射する機能を有する。第1再帰性反射部材30には、入射した光束を反射する反射媒体として、三角錐のマイクロプリズムを設けた再帰性反射部材と、ガラスビーズを設けた再帰性反射部材とがある。本実施形態においては、対候性の優れるマイクロプリズムを設けた再帰性反射部材を使用したが、ガラスビーズを設けた再帰性反射部材を用いてもよい。
ハーフミラー40は、表示部20および第1再帰性反射部材30の上方に設けられ、支持台12の右側中央部に設けられた支柱44に支持される。ハーフミラー40と支柱44とは、接続アーム42と支持部46を介して接続される。ハーフミラー40は、接続アーム42と左右方向に移動自在に結合される。ハーフミラー40は、支持部46と支柱44との高さ位置を変更することで、上下方向に移動できる。ハーフミラー40は、支柱44を中心に支持部46を回転させることで、支柱44を中心に回転できる。
ハーフミラー40は、ハーフミラー40に入射した光束の半分を反射し、半分を透過させる機能を有する。なお本実施例においては、ハーフミラー40を用いて説明をするが、透過率と反射率とは必ずしも同じでなくてもよい。例えば、透過率70パーセント、反射率30パーセントとなるような反射部材(部分反射部材)であってもよく、透過率、反射率は適宜変更してもよい。なお、この場合の反射部材は、反射率、透過率が波長に依存しないような部材であるほうがより好ましい。
ハーフミラー40の上面には、光学素子50が設けられている。光学素子50は、入射した光束をハーフミラー40側に傾ける機能を有する。光学素子50としては、例えば、マイクロレンズ、平凸レンズ、平凹レンズなど、光を屈折させるための光学素子を用いることができる。
制御部60は、ディスプレイ22に表示させる画像の信号を外部から受信し、ディスプレイ22に出力する。制御部60は、ディスプレイ22の光量を制御する光量制御部を有する。また、制御部60は、ディスプレイ22または第1再帰性反射部材30の傾斜角度または位置を制御する位置制御部を有してもよく、ハーフミラー40の位置および回転角度を制御する位置制御部を有してもよい。
ディスプレイ22から放射された発散光束の半数は、ハーフミラー40によって発散状態を維持しながら第1再帰性反射部材30方向へ反射される。ハーフミラー40に反射された光束は、第1再帰性反射部材30に入射する。第1再帰性反射部材30は、入射した光束を反射する。反射された光束は入射光束と略同じ光路をたどるように反射(再帰性反射)される。したがって、第1再帰性反射部材30に反射された光束は、収束状態に変化する。反射された光束の半数は、ハーフミラー40を、収束状態を維持しながら透過する。透過した光束は、光学素子50によって、ハーフミラー40側に傾けられる。ハーフミラー40側に傾けられた光束は、収束状態を維持しているので、ハーフミラー40の上側であって、ハーフミラー40側で結像し、空中像を形成する。図1に示した例において、ディスプレイ22は、バスの画像を表示するので、ハーフミラー40の上側であって、ハーフミラー40側には、バスの空中像が表示される。なお、図1に示した例において、ディスプレイ22は、バスの画像を上下反転させて表示する。これにより、観察者は、結像する空中像を正位置で観察できる。
ディスプレイ22を前後左右方向に移動すると、空中像の位置は、前後左右方向に移動する。また、ディスプレイ22の傾斜角度を変えても、空中像の位置は移動する。ディスプレイ22の位置および傾斜角度を変えることで、観察者の視線の位置に合わせて、空中像の位置を調整できる。なお、ディスプレイ22の傾斜角度は、ハーフミラー40の面に対し例えば45°となるように設定する。ディスプレイ22の傾斜角度は、ハーフミラー40の特性に応じて適宜変更して設定してもよい。
図2の(A)は、従来の光学装置70の概略を示す側面図である。図2の(B)は、本実施形態に係る光学装置10の概略を示す側面図である。
図2(A)に示した従来の光学装置70において、ディスプレイ22から放射された放射状態の光束は、ハーフミラー40により反射され、第1再帰性反射部材30に入射する。第1再帰性反射部材30に入射された放射状態の光束は、第1再帰性反射部材30によって入射方向と同じ方向に反射される。したがって、反射された光束は、収束状態となる。収束状態となった光束は、ハーフミラー40を透過し、ハーフミラー40に対し、第1再帰性反射部材30が設けられていない側で結像して空中像72が形成される。
観察者は、当該空中像をハーフミラー40が設けられていない側から、結像した光束が瞳に入るように見る。すると、観察者の視線の同一直線上であって、前方には視覚的刺激の低い空中像72が、後方には視覚的刺激の強いハーフミラー40が存在する。この場合におけるハーフミラー40の、空中像を形成する光束の中心軸方向に対して垂直となる方向に投影した長さはXとなる。ここで、視覚的刺激とは、像または物体が観察者に与える視覚的な印象であり、コントラストが高いもの、または、反射の光量が多いものの視覚的刺激は強く、コントラストが低いもの、または、反射の光量が少ないものの視覚的刺激は弱い。
図2(B)に示した光学装置10において、ディスプレイ22から放射された放射状態の光束は、ハーフミラー40により反射され、第1再帰性反射部材30に入射する。第1再帰性反射部材30に入射された放射状態の光束は、第1再帰性反射部材30によって入射方向と同じ方向に反射されるので、反射された光束は、収束状態となる。収束状態となった光束は、ハーフミラー40を透過する。
図2(B)に示した光学装置10には、ハーフミラー40の、ディスプレイ22が配置される面の側とは反対の面の側に、光学素子50が設けられている。光学素子50は、ハーフミラー40を透過して出射する光束を屈折させて、ハーフミラー40側に傾ける。すなわち、光学素子50は、ハーフミラー40を透過した光束を屈折させて、当該光束の出射角度を、第1再帰性反射部材30に反射され、ハーフミラー40へ入射する光束の入射角度よりも大きくする。これにより、ハーフミラー40側に傾けられた光束は、ハーフミラー40に対し、第1再帰性反射部材30が設けられていない側であって、従来の光学装置70よりもハーフミラー40に近い側で結像して空中像14が形成される。
観察者は、当該空中像をハーフミラー40が設けられていない側から、結像した光束が瞳に入るように見る。この場合におけるハーフミラー40の、空中像を形成する光束の中心軸方向に対して垂直となる方向に投影した長さはYとなる。
ここで、ハーフミラー40の幅をL、第1再帰性反射部材30に反射された光束のハーフミラー40への入射角度をθとする。従来の光学装置70において、ハーフミラー40を透過して放射される光束の出射角度はθとなり、図2(A)における長さXは、Lcosθ(0<θ<π/2)で表される。一方、光学装置10において、ハーフミラー40を透過して放射される光束は、光学素子50により屈折されるので、屈折される光束の屈折角度をKとすると、図2(B)における長さYは、Lcos(θ+K)(0<θ+K<π/2)で表される。cosθは、0<θ<π/2において、θが大きくなると、cosθの値は小さくなる。ここで、θ<θ+Kであるので、Lcosθ>Lcos(θ+K)となる。したがって、光学素子50を用いて、光束をハーフミラー40側に屈折させることで、ハーフミラー40の空中像を形成する光束の中心軸方向に対して垂直となる方向に投影した長さを短くすることができる。なお、入射角度とは、光束が入射するとき、光束の入射方向とハーフミラー40の法線とがなす角度をいい、出射角度とは、光束が出射するとき、光束の出射方向とハーフミラー40の法線とがなす角度をいう。これにより、観察者の視界におけるハーフミラーの占める面積を小さくでき、観察者は、視覚的刺激の弱い空中像を注目しやすくなり、結像された像を空中像として見ることができる。
図3は、本実施形態に係る光学装置80の概略図を示す側面図である。図3に示した光学装置80は、光学素子50の一例としてマイクロプリズム82を用いた例を示す。図3に示した光学装置80は、ハーフミラー40の、ディスプレイ22が配置される面の側とは反対の面の側に、マイクロプリズム82が設けられている。
ディスプレイ22から放射された放射状態の光束は、ハーフミラー40により反射され、第1再帰性反射部材30に入射する。第1再帰性反射部材30に入射された放射状態の光束は、第1再帰性反射部材30によって入射方向と同じ方向に反射されるので、反射された光束は、収束状態となる。収束状態となった光束は、ハーフミラー40を透過する。透過した光束は、マイクロプリズム82により屈折され、ハーフミラー40側に傾けられる。ハーフミラー40側に傾けられた光束は、ハーフミラー40に対し、第1再帰性反射部材30が設けられていない側であって、ハーフミラー40に近い側で結像して空中像86が形成される。
このように、マイクロプリズム82を用いて、ハーフミラー40を透過した収束状態の光束を、ハーフミラー側に屈折させる。これにより、ハーフミラー40の空中像を形成する光束の中心軸方向に対して垂直となる方向に投影した長さ84を短くすることができる。これにより、観察者の視界におけるハーフミラーの占める面積を小さくでき、観察者は、視覚的刺激の弱い空中像を注目しやすくなり、結像された像を空中像としてみることができる。
図4は、本実施形態に係る他の光学装置90の概略を示す側面図である。図4に示した光学装置90は、光学素子の一例として凸レンズ92の一部を用いた例を示す。図4に示した光学装置90は、ハーフミラー40の、ディスプレイ22が配置される面の側とは反対の面の側に、凸レンズ92の一部が設けられている。なお、ディスプレイ22から光束が放射され、ハーフミラーを透過するまでは、図3に示した光学装置80と同様であるので、説明を省略する。
図4に示した例において、凸レンズ92は、右側に凸部を有する平凸レンズであって、ハーフミラー40の光束を透過させる領域の上部に凸レンズの端部が、下部に凸レンズの中央部がくるように配される。ハーフミラー40を透過した光束は、凸レンズ92を透過すると、凸レンズ92の凸面で集光される。すなわち、ハーフミラー40の上部および中央部を透過した光束は、凸レンズ92によりハーフミラー40側に屈折される。一方、ハーフミラー40の下部を透過した光束は、凸レンズの中央部を透過するので屈折されることなく凸レンズを透過する。したがって、ハーフミラー40を透過した光束は、光学装置80と同様に、ハーフミラー40側に傾斜され、さらに光学装置90においては、ハーフミラー40を透過してから空中像96が結像するまでの光路長を短くできる。
このように、凸レンズ92の一部を用いて、ハーフミラー40を透過した収束状態の光束を、ハーフミラー40側に屈折させる。これにより、ハーフミラー40の空中像を形成する光束の中心軸方向に対して垂直となる方向に投影した長さ94を短くすることができる。これにより、観察者の視界におけるハーフミラーの占める面積を小さくでき、観察者は、視覚的刺激の弱い空中像を注目しやすくなり、結像された像を空中像としてみることができる。また、凸レンズ92の一部を用いることで、ハーフミラーを透過してから結像するまでの光路長を、観察者の位置に合わせて、短くする側に調節できる。
なお、図4に示した例においては、光学素子として凸レンズ92の一部を用いたが、凸レンズ92に代えて、フレネルレンズ、自由曲面、DOE(Diffractive Optical Element)等の正の屈折力を持つ光学素子を用いてもよい。さらに、正の屈折力をもつ光学素子を用いた場合、空中像に歪みが生じる場合がある。この場合、ディスプレイ22に表示する画像を補正することによって、当該歪みを減少させてもよい。すなわち、ディスプレイ22に表示する画像を予め逆に歪ませることにより、光学素子による歪みと相殺させて、均整のとれた結像を実現する。
図5は、本実施形態に係る他の光学装置100の概略を示す側面図である。図4に示した光学装置100は、光学素子の一例として凹レンズ102の一部を用いた例を示す。図4に示した光学装置100は、ハーフミラー40の、ディスプレイ22が配置される面の側とは反対の面の側に、凹レンズ102の一部が設けられている。なお、ディスプレイ22から光束が放射され、ハーフミラーを透過するまでは、図3に示した光学装置80と同様であるので、説明を省略する。
図5に示した例において、凹レンズ102は、右側に凹面を有する平凹レンズであって、ハーフミラー40の光束を透過させる領域の上部に凹レンズの中央部が、下部に凹レンズの端部がくるように配される。ハーフミラー40を透過した光束は、凹レンズ102を透過すると、凹レンズ102の凹面で発散される。ハーフミラー40の上部を透過した光束は、凹レンズ102の中央部を透過するので、凹レンズ102により屈折されることなく、凹レンズ102を透過する。一方、ハーフミラー40の中央部および下部を透過した光束は、凹レンズ102により、ハーフミラー40側に屈折される。したがって、ハーフミラー40を透過した光束は、光学装置80と同様に、ハーフミラー40側に傾斜され、さらに光学装置100においては、ハーフミラー40を透過してから空中像106が結像するまでの光路長を長くできる。
このように、凹レンズ102の一部を用いて、ハーフミラー40を透過した収束状態の光束を、ハーフミラー40側に屈折させる。これにより、ハーフミラー40の空中像を形成する光束の中心軸方向に対して垂直となる方向に投影した長さ104を短くすることができる。これにより、観察者の視界におけるハーフミラーの占める面積を小さくでき、観察者は、視覚的刺激の弱い空中像を注目しやすくなり、結像された像を空中像としてみることができる。また、凹レンズ102の一部を用いることで、ハーフミラーを透過してから結像するまでの光路長を、観察者の位置に合わせて、長くする側に調節できる。
図6は、本実施形態に係る他の光学装置110の概略を示す側面図である。図6に示した光学装置110は、図3に示した光学装置80に追加して、偏光状態を制御するEOM(Electro―Optic Modulator)112と、1/4波長板114とを有する。また、ハーフミラー40に代えて、偏光ビームスプリッタ116(偏光分離素子)を設けている。
EOM112は、ディスプレイ22から放射する光束の偏光を制御する。ディスプレイ22から放射された光束は、EOM112によって、例えば、縦方向の直線偏光に制御される。この場合において、光学装置110に用いる偏光ビームスプリッタ116は、縦方向の直線偏光は反射させ、横方向の直線偏光を透過させる。したがって、縦方向の直線偏光に制御された光束は、偏光ビームスプリッタ116によって、その全てが第1再帰性反射部材30の方向へ反射される。
反射された光束は、1/4波長板114に入射する。1/4波長板114は、入射した直線偏光に一方の偏光成分と一方の偏光成分に直交する他方の偏光成分に対してπ/2の位相差を生じさせる。その結果、例えば、縦方向の直線偏光は、円偏光となる。偏光状態が円偏光となった光束は、第1再帰性反射部材30により反射され、再び1/4波長板114に入射する。すると、1/4波長板114により、さらにπ/2の位相差が生じ、当該円偏光は、縦方向の偏光成分とは直交する横方向の直線偏光となる。偏光ビームスプリッタ116は、横方向の直線偏光は透過するため、当該反射光束は偏光ビームスプリッタ116を透過し、偏光ビームスプリッタ116のディスプレイ22が配置される面の側とは反対の面の側に設けられたマイクロプリズム82により屈折されて、偏光ビームスプリッタ116側に傾けられる。偏光ビームスプリッタ116側に傾けられた光束は、偏光ビームスプリッタ116に対し、第1再帰性反射部材30が設けられていない側であって、偏光ビームスプリッタ116に近い側で結像して空中像118が形成される。
図3に示した光学装置80は、ハーフミラー40を有する。したがって、ディスプレイ22から放射された光束は、ハーフミラー40によって第1再帰性反射部材30側に反射されるときに、光束の半分が反射されずにハーフミラー40を透過する。また、第1再帰性反射部材30で反射された光束は、ハーフミラー40を透過するときに、光束の半分が透過できずに反射する。したがって、空中像86として結像する光束は、ディスプレイ22から放射された光束のおおよそ1/4となる。
一方、図6に示した光学装置110は、EOM112によって偏光が制御された光束に対し、偏光ビームスプリッタ116と、1/4波長板114を用いることで、光束を減少させることなく結像させて空中像118を得ることができる。このため、図3に示した光学装置80に対し、空中像の発光効率を向上できる。なお、ディスプレイ22が液晶ディスプレイである場合、放射光束の偏光状態は直線偏光となるので、ディスプレイ22と1/4波長板114との配置関係を適切に設定すれば、ディスプレイ22と偏光ビームスプリッタの間に設けたEOM112は、設けなくてよい。
図7は、本実施形態に係る他の光学装置120の概略を示す側面図である。図7に示した光学装置120は、光学素子の一例として、マイクロプリズム82と凸レンズ92の一部を用いた例を示す。図7に示した光学装置120は、ハーフミラー40の、ディスプレイ22が配置される面の側とは反対の面の側に、マイクロプリズム82と凸レンズ92の一部が設けられている。図7に示した例において、凸レンズ92は、図4に示した光学装置90と同様に、右側に凸部を有する平凸レンズであって、ハーフミラー40に対して上部に凸レンズ92の端部が、下部に凸レンズ92の中央部がくるように配される。なお、ディスプレイ22から光束が放射され、ハーフミラーを透過するまでは、図3に示した光学装置80と同様であるので、説明を省略する。
ハーフミラー40を透過した光束は、マイクロプリズム82により屈折され、ハーフミラー40側に傾けられる。さらに、マイクロプリズム82により屈折された光束は、凸レンズ92の一部に入射する。凸レンズ92の上部に入射した光束は、さらにハーフミラー40側に屈折されるが、凸レンズ92の下部に入射した光束は、凸レンズ92の中央部を透過するので、凸レンズ92により屈折されることなく凸レンズ92を透過する。したがって、ハーフミラー40を透過した光束は、図3に示した光学装置80よりも、ハーフミラー40側に傾斜される。これにより、ハーフミラー40の空中像を形成する光束の中心軸方向に対して垂直となる方向に投影した長さ122を短くすることができる。そして更に、凸レンズ92を用いることで、ハーフミラー40を透過してから空中像124が結像するまでの光路長を短くできる。
図7に示した光学装置120は、マイクロプリズム82と、凸レンズ92の一部を組み合わせた例を示したが、マイクロプリズム82と、凹レンズ102の一部とを組み合わせてもよい。また、凸レンズ92の一部と、凹レンズ102の一部を組み合わせてもよい。
図8は、本実施形態に係る他の光学装置130の概略を示す側面図である。図8に示した光学装置130は、ディスプレイ22の代わりにリンゴ132を用いた例を示す。なお、リンゴ132は物体の一例である。
光学装置130において、放射される放射状態のリンゴの反射光束は、ディスプレイ22から放射される放射状態の光束と同様に、ハーフミラー40により反射され、第1再帰性反射部材30で反射される。第1再帰性反射部材30で反射された光束は、ハーフミラー40を透過して、マイクロプリズム82により、ハーフミラー40側に屈折され、ハーフミラー40側に傾けられる。ハーフミラー40側に傾けられた光束は、ハーフミラー40に対し、第1再帰性反射部材30が用いられていない側であって、ハーフミラー40に近い側で結像し、リンゴの空中像134が形成される。
図9(A)は、本実施形態に係る他の光学装置140の斜視図である。また、図9(B)は、ディスプレイ22に表示される画像の一例を示す。図9(A)において、図中左上に示す矢印方向を光学装置140の前後上下左右方向とする。なお、図9(A)において、図1と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
本実施形態に係る光学装置140は、表示部20に表示された画像等を観察者に空中像として表示する。光学装置10は、支持台12と、表示部20と、第1再帰性反射部材30と、可動アーム32と、可動部34と、位置調整ユニット36と、ハーフミラー40と、接続アーム42と、支柱44と、支持部46と、第2再帰性反射部材150と、接続アーム152と、支持アーム154と、支持部156と、角度調整機構158と、位置調整機構160と、回転駆動部162と、位置駆動部164と、検出部170と、制御部172とを有する。
第2再帰性反射部材150は、ハーフミラー40の上方右側に設けられ、ハーフミラー40と同様に支柱44に支持される。第2再帰性反射部材150は、接続アーム152と支持アーム154を介して支柱44に接続する。第2再帰性反射部材150と接続アーム152との接合部には、角度調整機構158が設けられる。角度調整機構158には、回転駆動部162が隣接して設けられる。回転駆動部162は、角度調整機構158を駆動して第2再帰性反射部材150の傾斜角度を変更する。これにより、角度調整機構158は、第2再帰性反射部材150の傾斜角度を調整できる。
接続アーム152は、位置調整機構160を介して支持アーム154に接続する。位置調整機構160には、位置駆動部164が隣接して設けられる。位置駆動部164は、位置調整機構160を駆動して、接続アーム152を左右方向に移動させる。これにより、位置調整機構160は、第2再帰性反射部材150の左右方向の位置を調整できる。
支持アーム154は、支持部156を介して支柱44に接続する。支持部156は、支柱44と上下方向に移動自在に接続する。また、支持部156は、支柱44を中心に回転できる。第2再帰性反射部材150は、支持部156と支柱44との上下方向の位置を変更することで、上下方向に移動できる。また、第2再帰性反射部材150は、支柱44を中心に支持部46を回転させることで、支柱44を中心に回転できる。第2再帰性反射部材150は、第1再帰性反射部材30と同様に、入射した光束を入射した方向に反射する機能を有する。図9に示した例において、第2再帰性反射部材150は、ハーフミラー40に対して平行となる方向へ傾けて配置されている。
検出部170は、支持台12の左後方に設けられ、観察者の観察位置を検出する。ここで、観察者の観察位置とは、例えば、観察者の目の位置である。検出部170は、観察者の目の位置を示す位置データを制御部172に出力する。検出部170は、例えば、ライトフィールドカメラである。
検出部170は、合焦距離を変えて複数回撮像を行い、合焦距離の異なる複数の画像データを生成する。検出部170は、例えば、特定の大きさのウィンドウで走査しつつ、当該ウィンドウ内の画像と人物を示すテンプレート画像とを照合させるパターンマッチングを行うことにより、当該画像に人物の画像が含まれるか否かを判断してもよい。
検出部170は、当該画像に人物の画像が含まれていると判断した場合に、当該画像内の人物の位置、例えば、人物の目の位置に基づいて、当該人物の検出部170に対する方向を特定する。さらに検出部170は、当該人物の画像のコントラストと合焦距離から、検出部170から当該人物までの距離を算出する。また、検出部170はカメラで撮影した画像に基づいて、人物の目の位置を判定し、赤外線等を照射することによって、距離を測距するような構成であってもよい。
検出部170は、特定した画像データ中の位置と、算出した距離から、観察者の目の位置を示す位置データを作成する。なお、位置データは、検出部170の位置を原点としたXYZ座標系における、角度データと距離データとから構成される。
制御部172は、検出部170から位置データを取得する。制御部172は、取得した位置データに基づいて、観察者の視界に対して、第2再帰性反射部材150の占める割合が少なくなる、第2再帰性反射部材150の位置および向きを算出する。制御部172は、算出した位置に第2再帰性反射部材150を移動させる駆動データを作成する。制御部172は、当該駆動データを回転駆動部162および位置駆動部164に出力する。回転駆動部162および位置駆動部164は、駆動データを取得すると、それぞれ角度調整機構158および位置調整機構160を駆動する。これにより、角度調整機構158および位置調整機構160は、ハーフミラー40を透過した光束を反射できる位置であって、観察者の視界に対して、第2再帰性反射部材150の占める割合を少なくする傾斜角度および位置に、第2再帰性反射部材150の角度および位置を調整する。
また、制御部172は、ディスプレイ22に表示させる画像の信号を外部から受信し、ディスプレイ22に出力する。制御部172は、ディスプレイ22の光量を制御する光量制御部を有する。
さらに、制御部172は、ディスプレイ22または第1再帰性反射部材30の傾斜角度または位置を制御してもよく、ハーフミラー40の位置および回転角度を制御する位置制御部を有してもよい。
ディスプレイ22から放射された発散光束の半数は、ハーフミラー40によって発散状態を維持しながら第1再帰性反射部材30方向へ反射される。ハーフミラー40に反射された光束は、第1再帰性反射部材30に入射する。第1再帰性反射部材30は、入射した光束を入射した方向に反射する。したがって、第1再帰性反射部材30に反射された光束は、収束状態に変化する。反射された光束の半数は、ハーフミラー40を、収束状態を維持しながら透過する。
一方、ディスプレイ22から放射された発散光束の半数は、ハーフミラー40を透過して、第2再帰性反射部材150に入射する。第2再帰性反射部材150は、入射した光束を入射した方向に再反射する。したがって、第2再帰性反射部材150に反射された光束は、収束状態に変化する。反射された光束の半数は、ハーフミラー40を、収束状態を維持しながら反射する。
第1再帰性反射部材30を反射して、ハーフミラー40を透過した光束は、第2再帰性反射部材150を反射して、ハーフミラー40を反射した光束と合成される。合成された光束は、収束状態を維持しているので、ハーフミラー40の上側であって、ハーフミラー40側で結像し、空中像を形成する。
このように、第1再帰性反射部材30と、第2再帰性反射部材150を用いることによって、ディスプレイ22の表示画像の明るさに対して、空中像の明るさを50%まで上げることができる。図1に示した例において、ディスプレイ22は、バスの画像を表示しているので、ハーフミラー40の上側であって、ハーフミラー40側では、ディスプレイ22の表示画像の明るさに対して50%の明るさのバスの空中像が表示される。なお、図9に示した例において、ディスプレイ22は、バスの画像を上下反転させて表示する。これにより、観察者は、結像する空中像を正位置で観察できる。
ディスプレイ22を前後左右方向に移動すると、空中像の位置は、前後左右方向に移動する。また、ディスプレイ22の傾斜角度を変えても、空中像の位置は移動する。ディスプレイ22の位置および傾斜角度を変えることで、観察者の視線の位置に合わせて、空中像の位置を調整できる。なお、ディスプレイ22の傾斜角度は、ハーフミラー40の面に対し45°が好ましい。
図10の(A)は、従来の光学装置180の概略を示す側面図である。図10の(B)は、本実施形態に係る光学装置140の概略を示す側面図である。
図10(A)に示した従来の光学装置180において、ディスプレイ22から放射された放射状態の光束の半数は、ハーフミラー40により反射され、第1再帰性反射部材30に入射する。第1再帰性反射部材30に入射された放射状態の光束は、第1再帰性反射部材30によって入射方向と同じ方向に反射される。したがって、反射された光束は、収束状態となる。収束状態となった光束の半数は、ハーフミラー40を透過する。ハーフミラー40は、第1再帰性反射部材30でハーフミラー40側へ反射された光束を透過して、ディスプレイ22から放射された方向とは異なる方向へ放射する。
一方、ディスプレイ22から放射された放射状態の光束は、その半数がハーフミラー40を透過して、第2再帰性反射部材150に反射される。反射された光束は、収束状態となる。収束状態となった光束の半数は、ハーフミラー40を反射する。ハーフミラー40は、第2再帰性反射部材150でハーフミラー40側へ反射された光束を反射して、ディスプレイ22から放射された方向とは異なる方向へ放射する。
第1再帰性反射部材30を反射して、ハーフミラー40を透過した光束は、第2再帰性反射部材150を反射して、ハーフミラー40を反射した光束と合成される。合成された光束は、ハーフミラー40に対し、第1再帰性反射部材30が設けられていない側で結像して空中像182が形成される。
観察者は、空中像182をハーフミラー40が設けられていない側から、結像した光束が瞳に入るように観察する。すると、観察者の視界の前方には、視覚的刺激の低い空中像182が、右側には視覚的刺激の強い第2再帰性反射部材150が存在する。この場合における第2再帰性反射部材150の、観察者の視界に占める第2再帰性反射部材150の角度はVとなる。ここで、視覚的刺激とは、像または物体が観察者に与える視覚的な印象であり、コントラストが高いもの、または、反射の光量が多いものの視覚的刺激は強く、コントラストが低いもの、または、反射の光量が少ないものの視覚的刺激は弱い。
図10(B)に示した光学装置140において、ディスプレイ22から放射された放射状態の光束の半数は、ハーフミラー40により反射され、第1再帰性反射部材30に入射する。第1再帰性反射部材30に入射された放射状態の光束は、第1再帰性反射部材30によって入射方向と同じ方向に反射されるので、反射された光束は、収束状態となる。収束状態となった光束の半数は、ハーフミラー40を透過する。
一方、ディスプレイ22から放射された放射状態の光束の半数は、ハーフミラー40を透過して、第2再帰性反射部材150に反射される。反射された光束は、収束状態となる。収束状態となった光束の半数は、ハーフミラー40を反射する。
第1再帰性反射部材30を反射して、ハーフミラー40を透過した光束は、第2再帰性反射部材150を反射して、ハーフミラー40を反射した光束と合成される。合成された光束は、ハーフミラー40に対し、第1再帰性反射部材30が設けられていない側で結像して空中像142が形成される。
図10(B)に示した光学装置140において、第2再帰性反射部材150は、ハーフミラー40を透過した光束の中心軸に対して直交するよりもハーフミラー40に対して平行となる方向へ傾けて配置されている。観察者は、空中像142をハーフミラー40が設けられていない側から、結像した光束が瞳に入るように観察する。この場合における第2再帰性反射部材150の、観察者の視界に占める第2再帰性反射部材150の角度はWとなる。
このように、第2再帰性反射部材150を、ハーフミラー40を透過した光束の中心軸に対して直交するよりもハーフミラー40に対して平行となる方向へ傾けて配置することで、観察者の視界における第2再帰性反射部材150の占める角度を小さくできる。これにより、観察者は、視覚的刺激の弱い空中像14を注目しやすくなり、結像された像を、視覚的刺激の強い第2再帰性反射部材150に引き寄せられることなく、空中像として見ることができる。
図11は、本実施形態に係る光学装置190の概略図を示す側面図である。図11に示した光学装置190における第2再帰性反射部材192は、光学装置140における第2再帰性反射部材150よりも面積が広い。また、第2再帰性反射部材192は、ハーフミラー40に対して平行となる方向へ傾けられるとともに、光学装置10における第2再帰性反射部材150よりも、ハーフミラー40から離されて配置されている。図11に示した光学装置190において、第1再帰性反射部材30は、第2再帰性反射部材192よりもハーフミラー40の近くに配置される。
ディスプレイ22から放射された放射状態の光束の半数は、ハーフミラー40により反射され、第1再帰性反射部材30に入射する。第1再帰性反射部材30に入射された放射状態の光束は、第1再帰性反射部材30によって入射方向と同じ方向に反射されるので、反射された光束は、収束状態となる。収束状態となった光束の半数は、ハーフミラー40を透過する。
一方、ディスプレイ22から放射された放射状態の光束の半数は、ハーフミラー40を透過する。第2再帰性反射部材192は、ハーフミラー40から離れて配置されているので、ハーフミラー40を透過した放射状態の光束は拡散する。しかし、第2再帰性反射部材192は、第2再帰性反射部材150より面積が広いので、ハーフミラー40を透過した光束の全てを、入射方向と同じ方向に反射する。反射された光束は、収束状態となる。収束状態となった光束の半数は、ハーフミラー40を反射する。
第1再帰性反射部材30を反射して、ハーフミラー40を透過した光束は、第2再帰性反射部材192を反射して、ハーフミラー40を反射した光束と合成される。合成された光束は、ハーフミラー40に対し、第1再帰性反射部材30が設けられていない側で結像して空中像194が形成される。
光学装置190において、第2再帰性反射部材192は、ハーフミラー40を透過した光束の中心軸に対して直交するよりもハーフミラー40に対して平行となる方向へ傾けて配置される。これにより、観察者の視界に占める第2再帰性反射部材192の占める角度を小さくできる。さらに、第2再帰性反射部材192を、第1再帰性反射部材30よりもハーフミラー40から離して配置することで、空中像194と第2再帰性反射部材192とを離すことができ、視覚的刺激の強い第2再帰性反射部材192の空中像194への影響を少なくすることができる。これにより、観察者は、視覚的刺激の弱い空中像を注目しやすくなり、結像された像を、視覚的刺激の強い第2再帰性反射部材192に引き寄せられることなく、空中像として見ることができる。
図12は、本実施形態に係る他の光学装置200の第2再帰性反射部材150の展開状態を示す部分断面図である。また、図13は、光学装置200の第2再帰性反射部材150の収容状態を示す部分段面図である。図12および図13において、図1と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
図12において、光学装置200は、表示部20に対して第1再帰性反射部材30が上となるように設置される。光学装置200は、表示部20および第1再帰性反射部材30等を収容する収容ケース202と、接続アーム152と接続する支持アーム204と、位置駆動部206と、検出部208とを有する。なお、図12、図13に示した光学装置200において、図の説明のため、収容ケース202を断面とし、また、左側の接続アーム152と支持アーム204等は、図示していない。
収容ケース202は、支持台12を囲むように構成され、表示部20、第1再帰性反射部材30および制御部172等を収容する。収容ケース202の前面は、ハーフミラー40の前面と同一面となっている。収容ケース202を設けることによって、ハーフミラー40の後方からの外乱を抑制することができる。なお、外乱とは、ディスプレイ22の表示画像以外の光が、外側から空中像を結像する光の光路へ混入することである。
支持アーム204は、位置駆動部206を介して収容ケース202の上側の側面に接続する。位置駆動部206は、支持アーム204を前後方向に駆動する。これにより、第2再帰性反射部材150は、前後方向に移動できる。検出部208は、収容ケース202の前面右側の下方に設けられ、観察者の観察位置を検出する。検出部208は、検出した観察者の観察位置に基づいて位置データを作成して、制御部172に出力する。なお、検出部208の機能の詳細は、検出部170と同じなので説明を省略する。
制御部172は、取得した位置データに基づいて、駆動データを作成する。制御部172は、当該駆動データを回転駆動部162および位置駆動部164、206へ出力する。回転駆動部162および位置駆動部164、206は、取得した駆動データに基づいて角度調整機構158、位置調整機構160および支持アーム204を駆動する。
第2再帰性反射部材150は、制御部172が算出した、観察者の視界に対して第2再帰性反射部材150の占める角度が小さくなる位置に移動され、観察者の視界に対して第2再帰性反射部材150の占める角度が小さくなる傾斜角度に回転される。これにより、観察者の視界における第2再帰性反射部材150の占める角度を小さくでき、観察者は、視覚的刺激の弱い空中像を注目しやすくなり、結像された像を空中像として見ることができる。
また、光学装置200は、収容ケース202に対して第2再帰性反射部材150を収容できる。使用者からの収容指示を制御部172が受け付けると、制御部172は、予め定められた収容姿勢となる駆動データ作成して、回転駆動部162および位置駆動部164、206に出力する。回転駆動部162および位置駆動部164、206は、取得した駆動データに基づいて、角度調整機構158、位置調整機構160および支持アーム204を駆動して、第2再帰性反射部材150を収容状態へと移動する。この収容状態を示したのが図13である。
図13に示した光学装置200において、第2再帰性反射部材150の反射面は、ハーフミラー40の前面と重なって配置される。この状態が、第2再帰性反射部材150を収容ケース202に収容した状態の一例であり、他の例として、収容ケース202の左右の側面を前面よりも突出させて、第2再帰性反射部材150を当該突出部より低くなるように配置させてもよい。
なお、再び使用者からの展開指示を制御部172が受け付けると、検出部170により検出された観察者の観察位置に基づいて、第2再帰性反射部材150は、再び展開される。そして、ディスプレイ22に表示画像を表示することによって、再び、空中像が表示される。
このように、光学装置200は、収容ケース202を有し、収容ケース202に対し第2再帰性反射部材150を収容、および展開できる。これにより、光学装置200の持ち運びを容易にでき、光学装置200の運用性を高めることができる。
また、光学装置200における第2再帰性反射部材150は、伸縮機能を有していてもよい。第2再帰性反射部材150が伸縮機能を有することで、ハーフミラー40からの第2再帰性反射部材150の位置によって、第2再帰性反射部材150の面積を調整できる。すなわち、第2再帰性反射部材150をハーフミラー40から離して、空中像に対する第2再帰性反射部材150の影響を小さくした場合には、第2再帰性反射部材150の面積を広げることによって、ハーフミラー40を透過した全ての光束を反射させてよい。また、第2再帰性反射部材150がハーフミラー40に近い場合には、第2再帰性反射部材150の面積を狭くして、観察者の視界に占める第2再帰性反射部材150の大きさを小さくしてもよい。
本発明の実施の形態に係る光学装置10を用いることによって、観察者は、結像された像を、視覚的刺激の強いハーフミラー40に引き寄せられることなく、空中像として見ることができる。また、光学装置140を用いることによって、観察者は、結像された像を、視覚的刺激の強い第2再帰性反射部材150に引き寄せられることなく、空中像として見ることができる。そして、光学装置10の特徴と、光学装置140の特徴とを互いに組合せてもよい。
本実施形態に係る光学装置10および光学装置140を、家庭用ゲーム機、業務用ゲーム機の表示装置として用いてもよく、フィットネスクラブでのインストラクターを表示する装置として用いてよい。また、光学装置10を、ハーフミラー40の面が建物の窓の面と一致するように配置して、表示部20と第1再帰性反射部材30を屋内に配置する。これにより、表示部20に表示した画像を、屋外に空中像として表示させることができる。このように屋外に空中像を表示できれば、当該空中像を、歩道を歩く人に対する広告として利用することができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
10、80、90、100、110、120、130、140、190、200 光学装置、12 支持台、14、72、86、96、106、118、124、134、142、182、194 空中像、20 表示部、22 ディスプレイ、24 可動アーム、26 位置調整ユニット、28 可動部、30 第1再帰性反射部材、32 可動アーム、34 可動部、36 位置調整ユニット、40 ハーフミラー、42 接続アーム、44 支柱、46 支持部、50 光学素子、60 制御部、70、180 従来の光学装置、82 マイクロプリズム、84、94、104、122 長さ、92 凸レンズ、102 凹レンズ、112 EOM、114 1/4波長板、116 偏光ビームスプリッタ、132 リンゴ、150、192 第2再帰性反射部材、152 接続アーム、154 支持アーム、156 支持部、158 角度調整機構、160 位置調整機構、162 回転駆動部、164 位置駆動部、170 検出部、172 制御部、202 収容ケース、204 支持アーム、206 位置駆動部、208 検出部

Claims (9)

  1. 対象物体より放射される光束を反射および透過させる部分反射部材と、
    前記部分反射部材で反射された前記光束を前記部分反射部材へ反射させる再帰性反射部材と、
    前記再帰性反射部材で前記部分反射部材へ反射され、前記部分反射部材を透過する前記光束を、前記部分反射部材の側へ傾ける光学素子とを備える光学装置。
  2. 前記光学素子は、前記部分反射部材を透過して出射する前記光束の出射角度を、前記再帰性反射部材に反射され、前記部分反射部材へ入射する前記光束の入射角度よりも大きくする請求項1に記載の光学装置。
  3. 前記光学素子は、前記部分反射部材のうち前記対象物体が配置される第1面の側とは反対の第2面の側に設けられる請求項1または2に記載の光学装置。
  4. 前記光学素子は、プリズムを含む請求項3に記載の光学装置。
  5. 前記光学素子は、凸レンズ成分を含む請求項3または4に記載の光学装置。
  6. 前記光学素子は、凹レンズ成分を含む請求項3から5のいずれか1項に記載の光学装置。
  7. 前記対象物体と前記部分反射部材の間に配置された位相変調器と、
    前記再帰性反射部材と前記部分反射部材との間に配置された位相板と
    を備え、
    前記部分反射部材は、偏光分離素子である請求項1から6のいずれか1項に記載の光学装置。
  8. 前記部分反射部材に対する前記対象物体の位置を調整する調整機構を備える請求項1から7のいずれか1項に記載の光学装置。
  9. 前記対象物体として表示装置を備え、
    前記表示装置に表示された映像に対応する空中像を形成する請求項1から8のいずれか1項に記載の光学装置。
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