JP2015040463A - 石積擁壁の補強工法 - Google Patents

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【課題】石積擁壁背後に侵食形成された空洞に充填材を充填することで石積擁壁を補強する際に、目地に挿入する排水管先端の充填材での閉塞を効果的に防止し、積石間を充填材で強固に接着でき作業効率もよい石積擁壁の補強工法の提供。【解決手段】所定の間隔で石積擁壁1の積石2の目地6から空洞5最奥部に突き当たるまで排水部材7を挿入する工程と、積石2の目地6からノズル8を挿入し、ノズル8を通して空洞5奥壁に発泡固化剤を噴射発泡させ奥壁表面全体を被覆する遮壁9を形成する工程と、遮壁9の発泡固化剤が固化した後に積石2の目地6から空洞5内部に充填材10を注入し空洞5を充填する工程とを有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、石積擁壁を補強し石積擁壁の崩壊を防止するための石積擁壁の補強工法に関する。
石積擁壁とは、石と石とを組み合わせることにより容易に崩壊しないように施工された擁壁をいう。全国防災境界編「災害復旧工事の設計要領」(全国防災協会,2004年)によれば、勾配が1割未満の急なものを「石積み」、勾配が1割以上の緩やかなものを「石張り」と呼んで区別しているが、本明細書では両者をまとめて「石積擁壁」と呼ぶ。
一般によく見られる石積擁壁は、積石の背後に胴込め材,裏込め材を充填した空積と、積石と裏込め材との間に胴込めコンクリートや裏込めコンクリートを充填して補強した練積みがある。これらの石積擁壁は、施工してから長期間経過すると、雨水や湧水に侵食されることにより積石背面に充填された裏込め材が流亡して空洞が形成され、強度が低下し崩壊しやすくなっているケースが多く見られる。そこで、かかる侵食された石積擁壁に対し、積石間の隙間(目地)から充填材を注入し接着固化することによって石積擁壁を補強する補強工事を行う必要がある。石積擁壁の補強工法としては、特許文献1−4に記載のものが公知である。
特許文献1に記載の石積の補修方法では、まず積石の目地を高圧洗滌水の噴射により予め洗滌した後、目地部分にエポキシ樹脂からなる接合剤を充填して積石背後の空洞の入口を密封する。その後、目地が密封、接着されていない部分から漏斗を用いて充填剤(モルタル等)を流し込み、空洞を充填することで補修を行う。
特許文献2記載の石積の補強方法では、伸縮自在の柔軟なシート性の袋をパイプの先端に被せ、石積みの隙間(目地)から挿入して積石背後の空洞の奥まで至らしめる。次いで、パイプを通して袋内に充填剤(セメントモルタル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等)を注入し、袋を介して充填剤を空洞内に充満させる。充填剤が硬化した後、石積みの表面に合わせて硬化した充填剤をパイプごと切除し、最後に、積み石と同色の防水塗装を施すことで補強工程を完了する。
特許文献3記載の石積の補強方法では、充填材とは別に圧縮空気を注入ノズルに供給し、充填材を注入ノズルから圧縮空気の圧力を用いて、石積みの隙間に吹き込む手法を採用する。
特許文献4記載の石積み風化防止工法では、既設の石積みに亀裂や空隙部がある場合、その亀裂や空隙部に、セメントを主成分とする粉黛と水溶性の樹脂を主成分とする混和液とを練混した材料、もしくはセメント系の補修剤をモルタル注入器により注入する。
特開2005−36636号公報 特開平9−256393号公報 特開2012−87579号公報 特開2009−1465号公報
ところで、石積擁壁の目地を充填材により密閉すると、石積み背後の素地斜面に雨水や湧水が溜まり、石積擁壁に背後から加わる土圧が高まり崩壊しやすくなる。これを防止するために、一般に、目地に排水管を挿設し、石積み背後の素地斜面の水を排水することが行われている。即ち、空洞に充填材を充填するに際し、ある所定の間隔で目地から空洞の最奥部まで排水管を挿入しておき、空洞に充填する充填材によって排水管を固定設置し、この排水管を通して素地斜面の水を排水する。
ところで、上記特許文献1,3,4の工法では、充填材を空洞に流し込み又は吹き込んだ際に、排水管の先端と素地斜面との間にまで充填材が流入し、排水管先端が充填材で塞がれてしまう場合がある。かかる場合、排水管による排水が十分に行われず、地下水圧による石積擁壁の崩壊が促進されるおそれがある。また、石積みの目地は狭いため、目地から空洞内に充填材を注入する際には細いノズルを使用する必要がある。そのため、ノズルの詰まりを防止するため、注入する充填材にはある程度高い流動性をもたせておく必要がある。しかしながら、流動性の高い充填材は、積石の背後の胴込め石,裏込め石の隙間にも容易に進入し、隙間を充填する。そのため、胴込め石,裏込め石の透水性が低下して擁壁と素地斜面との間に滞水し易くなり、これにより石積擁壁の崩壊が促進されるおそれもある。
また、上記特許文献2の工法は、充填材を袋内に充填するため排水管先端が充填材で塞がれる恐れはない。しかし、空洞の形状は単純な凸曲面とは限らず、様々な凹凸や狭い隙間ができている。従って、空洞内へ挿入した袋に充填材を充填した場合、完全に空洞に充填材を充満させることはできず、必ずある程度の空洞が残ってしまう。また、充填材と積石は袋シートによって隔てられ、充填材による積石間の結合がなされない。そのため、十分な擁壁補強ができないという欠点がある。また、パイプ、伸縮自在の柔軟なシート性の袋といった比較的価格の高い資材を必要とし、工費も嵩む。また、種々の細かい作業工程があるため、作業効率が悪い。
そこで、本発明の目的は、石積擁壁背後の空洞に充填材を充填し補強するに際し、目地から挿入する排水管の先端が充填材により閉塞されることを効果的に防止することができ、積石間を充填材により強固に接着でき、かつ作業効率もよい石積擁壁の補強工法を提供することにある。
本発明に係る石積擁壁の補強工法は、石積擁壁の背後に形成された空洞に充填材を充填することで石積擁壁を補強する石積擁壁の補強工法であって、
所定の間隔で、石積擁壁の積石の目地から空洞最奥部に突き当たるまで排水部材を挿入する工程と、
前記積石の目地から前記空洞の内壁に発泡固化剤を噴射して発泡させ、前記空洞の内壁表面を被覆する遮壁を形成する工程と、
前記遮壁の発泡固化剤が固化した後に、前記積石の目地から前記空洞内部に充填材を注入し、前記空洞を充填材により充填する工程と、を有することを特徴とする。
この工法によれば、空洞の内壁表面に発泡固化剤を吹き付けて遮壁を形成することで、充填材注入の際に充填材が排水部材の先端や胴込め石,裏込め石の隙間に浸入することが防止される。これにより、排水部材や胴込め石,裏込め石内の排水性が確保される。また、充填材は空洞内に直接充填され、積石間を接着する架橋材となるため、石積擁壁の強度が高められる。また、充填材や発泡固化剤といった広く使用されている安価な素材のみを使用するため、工費が嵩むこともない。更に、発泡固化剤の吹きつけや充填材の充填といった簡易な作業のみで構成されるため、作業効率もよい。
ところで、石積擁壁に特有の特徴として、積石間の目地の隙間が狭い半面、積石の背後に形成される空洞は隙間に対して非常に広いという特徴がある。そのため、隙間への充填材の注入作業は、必然的に細いノズルを用いて行う必要があるが、ノズルが細いと、高粘度の充填材はノズル内に詰まるため、充填材は低粘性のものを使用する必要が生じる。しかしながら、低粘性の充填材は流動性が高く狭い隙間に容易に進入できるため、胴込め石,裏込め石内の隙間にも進入し、これらの層の排水性を悪化させる原因となる。また、通常、空洞は複数の目地に連通しているため、充填材の流動性が高いと、上方の目地から空洞内に注入した充填材が、下方の目地から流れ出てしまい、作業効率が著しく悪化するという問題もある。そこで、本発明では、空洞の内壁表面に遮壁を予め形成することで、このように流動性の高い充填材を使用しても胴込め石,裏込め石の層の排水性を確保できるとともに、充填作業中おける充填材の流出という事態も防止できる。
また、遮壁を形成するに際しては、目地の隙間が狭いため、目地の外側から空洞内部に密閉性の高い遮壁を形成する際に作業が困難であるという問題がある。本発明では、遮壁を形成する材料として、発泡固化剤を採用したことで、細いノズルを使用して空洞内部表面に遮壁を容易に形成することができる。また、吹き付けられた発泡固化剤は、発泡による体積膨張によって隙間が塞がれ遮壁の密閉性を高め充填材が排水部材先端や胴込め石,裏込め石内の隙間に浸入することが効果的に防止できる。また、目地の外側から空洞奥部の狙った位置に発泡固化剤を噴射することで、正確な位置に遮壁を形成できるため、排水部材先端が塞がれることがない。発泡固化剤は、発泡によって比重が小さくなり空洞奥壁に付着した後に垂れ落ちにくく、また噴射後にすぐに膨張するため、空洞奥壁から適度な距離をおいて吹き付ければ胴込め石,裏込め石内の狭い隙間には進入しにくいため、遮壁形成が容易でもある。
発泡固化剤としては、スプレー発泡が可能なものを使用することができる。例えば、発泡ウレタン、発泡モルタル、発泡スチレン、発泡エチレン、発泡プロピレン等を利用することができるが、市販品として広く流通する発泡ウレタンを使用するのが好適である。
また、本発明において、前記排水部材として、長尺の透水性マットの周囲を防水シートで被覆したものを用いることができる。
通常、石積擁壁の目地は狭くその幅も不均一であるため、通常のプラスチック製パイプを使用すると目地が狭すぎて入らない場合が多々ある。そのような場合、ピックなどのハツリ工具によって目地をはつる必要があり余分な工程が必要となる。また、空洞内部の形状も不定形であり、直線状のパイプでは十分奥まで差し込めない場合が多々ある。そこで、本発明では排水部材として、長尺の透水性マットの周囲を防水シートで被覆したものを用いる。この排水部材は、柔らかいマット部材で構成されているため、押しつぶして狭い隙間に挿入することができ、また、複雑な形状の空洞であっても柔軟に曲がって形状が適応するため、空洞の十分奥まで排水部材を挿入することが可能となる。また、排水部材が石積擁壁から余分に突き出た部分は、最後に切断する必要があるが、本発明の構成の排水部材はハサミを用いて容易に切断可能であり作業効率も高い。
以上のように、本発明によれば、充填材の充填前に、発泡固化剤を用いて目地の外側から空洞奥部全体に密閉性の高い遮壁を形成することで、目地から挿入する排水管の先端や胴込め石,裏込め石内の間隙が充填材により閉塞されることを効果的に防止することができる。これにより、排水管,胴込め石内,裏込め石内の排水性が確保され、滞水による土圧上昇が抑えられ、石積擁壁の崩壊促進を防止することができる。また、充填材は積石に直接接着して架橋材となるため、積石間を充填材により強固に接着でき、石積擁壁の強度を高めることができる。また、発泡固化剤の吹きつけや充填材の充填といった簡易な作業のみで構成されるため、作業効率もよい。
本発明の実施例1に係る石積擁壁の補強工法を示す図である。 実施例1で使用する排水部材7を示す図である。 (a)空洞5の奥壁に発泡固化剤を噴射する試験の様子、及び(b)空洞5の奥壁表面全体を被覆する遮壁9を形成した様子を示す試験写真である。 (a)モルタル吹付機11を使用して吹きつけにより充填材を充填する試験の様子、及び(b)化粧材による仕上げを行う様子を示す試験写真である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る石積擁壁の補強工法を示す図である。
図1(a)は、侵食により石積擁壁の積石の背後に空洞ができている状態を示している。石積擁壁1は、積石2(間知石)を積み上げて形成されている。積石2の背後には、素地斜面3と積石2との間に裏込め石4が充填され、積石2の石組みが強化されているが、侵食によって裏込め石4の一部が流亡し、積石2の背後に空洞5が形成されている。
まず、石積擁壁1の目地6に植物が生えている場合には除去し、植物の根がある場合にはバーナーで焼却除去する。隣り合う積石2と積石2とが密着していて、作業に必要な程度の目地6の隙間がない場合には、ピックなどのハツリ工具によって十分な隙間が確保できる程度に目地6を削る。
また、目地6や空洞5内に土砂が詰まっている場合には、掻き出しや洗滌によって土砂を除去する。この際、土砂の除去によって積石2が安定を失い崩壊することがないように注意しながら作業する。崩壊の恐れがある場合には、一部除去せず残留しておく。また、石積擁壁1が練積の場合において、目地6内の間詰めコンクリートが劣化して強度を失っている場合には、電動ハンマや鑿などで、その劣化した部分のコンクリートを除去する。この際にも、間詰めコンクリート除去によって積石2が安定を失い崩壊することがないように注意しながら作業する。崩壊の恐れがある場合には、一部除去せず残留しておく。
次に、積石2の目地6を圧縮空気の吹き付けや高圧水吹き付けにより洗浄する。これは、充填材による接着効果を最大限に発揮させるようにするための下地処理である。
次に、必要に応じて、所定の間隔で目地6から鋼鉄棒等のアンカー(図示せず)を素地斜面3に打設する。アンカーは、石積擁壁1の強度不足を補う必要がある場合にのみ使用すればよい。
次に、図1(b)のように、積石2の目地6(合端)から、空洞5の最奥部に突き当たるまで排水部材7を挿入する。排水部材は、通常のプラスチック製パイプ(塩化ビニル製パイプ等)を使用してもよいが、一般に、石積擁壁1の目地6は狭くその幅も不均一である場合が多いため、パイプが入らない場合が多々ある。また、空洞5の形状も不定形であり、直線状のパイプでは空洞5の最奥部に突き当たる前に引っ掛かってそれ以上は差し込めない場合が多々ある。そこで、本実施例では排水部材7として、図2に示した様なものを使用する。
図2(a)は排水部材7を目地6に差し込んだ状態を示す施工写真、図2(b)は排水部材7の構造を示す拡大図である。図2において、排水部材7は、透水性を有する長尺の透水性マット7aを折り畳んだものの周囲に、防水シート7bを被覆して構成されている。透水性マット7aは捲回した状態としてもよい。透水性マット7aの材料としては、ヤシ殻繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維などのマットや、織布や不織布を丸めたもの等を使用できる。防水シート7bは、セロファンシートやビニルシートなどの柔軟性の高いシートが使用できる。この排水部材7は、柔らかい部材で構成されているため、押しつぶして狭い隙間に挿入することができ、また、複雑な形状の空洞5であっても、図1(b)のように柔軟に曲がって形状が適応し、空洞5の最奥部に突き当たるまで排水部材7を挿入することが可能である。
また、排水部材7の基端側(目地6の出口側)は、図1(b)に示すように、目地6よりも石積擁壁1の外側に突出した状態とする。後に充填材10を充填する際に、排水部材7が充填材10に完全に埋まってしまわないようにするためである。
排水部材7を挿入する間隔は、石積擁壁1の周辺状況に合わせて適宜決めることができる。一般に、湧水の多い場所や降水量の多い場所では、排水部材7の挿入間隔を狭くする。
次に、図1(c)に示すように、積石2の目地6から発泡固化剤注入用のノズル8を挿入し、ノズル8を通して空洞5の奥壁に発泡固化剤を噴射して発泡させ、空洞5の内壁表面を被覆する遮壁9を形成する。本実施例では、発泡固化剤として、発泡ウレタンを使用している。吹き付けた発泡固化剤が固化するとスポンジ状の遮壁9が形成される。
図3は、空洞5の奥壁に発泡固化剤を噴射する試験の様子(a)及び空洞5の内壁表面を被覆する遮壁9を形成した様子(b)を示す試験写真である。発泡ウレタンは、図3(a)に示した様にスプレー缶として市販されており、これを利用するのが便利である。スプレー缶にノズル8を挿着し、このノズル8の先端を目地6から空洞5内に挿入し、目地を通して目視により確認しながら発泡ウレタンを空洞5の奥壁表面に噴射する。噴射されたウレタンは、空洞5の内部で即座に発泡膨張するため、狭い目地6からでも空洞5の奥壁全体に遮壁9を容易に形成することができる。また、ノズル8の差し込む深さを調節することで、遮壁9の位置を調節することが容易に行えるため、図3(b)のように排水部材7の先端を閉塞しないように遮壁9を形成するのは容易である。また、発泡ウレタンがあまり奥に進入しないように調節することも容易であり、裏込め石4間の空隙を維持し、裏込め石4層の排水性を維持させることができる。
尚、吹き付けの際にノズル8を空洞5奥壁からあまり離すと、吹付ノズル付ガン機の引き金を強く握り、吹付圧を上げて奥壁まで発砲固化剤を飛ばす必要がある。この場合、発泡固化剤の空洞5奥壁への接着はよくなるが、吹付圧により折角発砲した気泡がつぶれ、あまり膨張していない状態と同じになってしまう。また、裏込め石4内部まで発泡固化剤が吹き込んでしまい、裏込め石4層の排水性の弊害となる可能性がある。逆に、ノズル8を空洞5奥壁に近づけすぎると、ちょっとした圧力でも発砲固化剤が吹き飛んでしまうため、吹付ノズル付ガン機の引き金を緩く握り、吹付圧を下げる必要がある。しかし、吹付圧を下げ過ぎた場合、その場で発砲し空洞5奥壁によく接着しない状態となる。従って、ノズル8を空洞5奥壁から適度な距離離して吹き付けるよう注意する必要がある。スプレー缶入りの発泡固化剤を使用すれば、かかる調整は極めて容易である。
また、空洞5奥壁に割栗石が脱落した穴が空いている場合には、先にその穴に発泡固化剤を充填して奥壁を平らにしておくとよい。遮壁9を形成する際には、空洞5の奥壁下部から奥壁上部に向かって発泡固化剤を吹き付けていけば、発泡固化剤が固化する前に垂れ落ちるのを防止しつつ綺麗に遮壁9を形成することができる。
吹き付けた発泡固化剤が固化した後、次に、積石2の目地6から遮壁9の手前の空洞5の内部に充填剤10を充填する。充填剤10としては、セメントモルタル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等を使用することができる。また、セメントモルタルを使用する場合、接着性を高めるために樹脂系のコンクリート混和剤を使用するのがよい。充填剤10の注入は、モルタル注入器や漏斗などを用いて流し込むことにより行ってもよいが、作業効率を高めるために、図4(a)のように、モルタル吹付機11を使用して吹きつけにより充填することもできる。また、細部については石の状態を目視で確認しながら、作業者が手作業により鏝で充填材を押し込みながら注入する。
尚、充填剤10として樹脂モルタル(エチレン酢酸ビニル樹脂系接着剤等の樹脂系接着剤をモルタルに混和したもの。例えば、モルダムGハイパー(商品名)など)を使用する場合、下地処理として、樹脂モルタルに使用される樹脂系接着剤の原液を3〜5倍程度に水で希釈したものを、事前に乾燥した状態の吹付け面に吹き付けておくのがよい。洗浄した直後のように吹付け面が濡れた状態では、吹付け面の小さい凹部に水が入っているため接着剤が進入しにくいが、吹付け面が乾燥した状態でこのような希釈液を吹き付けると、石の小さな凹部にもよく接着剤がよく浸透するからである。かかる下地処理の吹付作業が終わると、一定の時間(約1日以上)乾燥させてから、充填剤10の樹脂モルタルを吹き付けて空洞5の内部を充填すれば、充填剤10による各石(積石2や裏込め石4)間の結合を強固とすることができる。
空洞5に充填した充填剤10が十分に凝固した後、最後に、仕上げとして鏝や刷毛を使って、目地6に充填された充填剤10の表面に、1cm程度のセメントモルタル(化粧材)を塗りつけて目地表面の仕上げ処理を行う(図4(b))。そして、化粧材が完全に凝固した後、突出した排水部材7の基端側を化粧材表面と面一になるように切断する。
1 石積擁壁
2 積石
3 素地斜面
4 裏込め石
5 空洞
6 目地
7 排水部材
7a 不織布
7b 防水シート
8 ノズル
9 遮壁
10 充填剤
11 モルタル吹付機

Claims (2)

  1. 石積擁壁の背後に形成された空洞に充填材を充填することで石積擁壁を補強する石積擁壁の補強工法であって、
    所定の間隔で、石積擁壁の積石の目地から空洞最奥部に突き当たるまで排水部材を挿入する工程と、
    前記積石の目地から前記空洞の内壁に発泡固化剤を噴射して発泡させ、前記空洞の内壁表面を被覆する遮壁を形成する工程と、
    前記遮壁の発泡固化剤が固化した後に、前記積石の目地から前記空洞内部に充填材を注入し、前記空洞を充填材により充填する工程と、を有する石積擁壁の補強工法。
  2. 前記排水部材は、長尺の透水性マットの周囲を防水シートで被覆したものであることを特徴とする請求項1記載の石積擁壁の補強工法。
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