JP2015039870A - 複合フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水溶性高分子の層と積層させつつ、生体高分子からなる100nm以下の超薄膜層を、均一な品質で、しかも生産性に優れる共押出によって提供すること。
【解決手段】熱可塑性の生分解性高分子からなる厚みが5〜100nmの複数のA層と、熱可塑性水溶性高分子からなるB層とが積層された複合フィルムであって、
複合フィルムの厚み方向に沿った断面を見たとき、B層の割合が25〜75%の範囲で、かつ複合フィルム全体の厚みが3μm以上であることを特徴とする共押出成形によって製膜された複合フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、水溶性高分子からなるフィルム層と極薄の生分解性高分子からなるフィルム層とが共押出しによって積層された複合フィルムに関する。
有機分子の薄膜の作成法として、従来よりスピンコート法、電解重合法、蒸着法、蒸着重合法などが用いられている。例えば、交互積層法にて得られた構造体に、酵素を静電的な相互作用によって固定化させて、酵素リアクター、バイオセンサー、発光素子などの新たな分子デバイスの開発を目的とする報告がされている(特許文献1や2)。この方法は、特殊な装置を一切使用せず、簡便に3次元の構造体を調製できるので、タンパク質などの変性の恐れのある分子の固定化にも適している。また、円形の金基体に自己組織化単分子膜を形成後、アルブミンを吸着、架橋させた後、円形のアルブミン重合体薄膜を当該金基体から界面活性剤処理によって簡便に剥離させ、アルブミンナノシートを得ることが特許文献3で提案されている。
しかしながら、提案されたようなこれらのナノシートの製造方法は、簡便ではあるものの、その生産性は低く、工業的には困難であった。
ところで、特許文献4には、包装用のフィルムとして、ポリ乳酸とPVAとを共押出ししたフィルムが提案されている。確かに、共押出しであれば、スピンコート法に比べて格段に生産性に優れる。但し、厚みが100nm以下という極めて薄い生分解性高分子からなるフィルム層を形成しようとすると、厚み斑がひどく、品質の不安定なものしかえられないという課題があった。
特許第3020428号公報 特許第2966795号公報 国際公開第2006/025592号パンフレット 特表2010−525962号公報
本発明の課題は、水溶性高分子の層と積層させつつ、生体高分子からなる100nm以下の超薄膜層を、均一な品質で、しかも生産性に優れる共押出によって提供することができる複合フィルムを提供することにある。
本発明によれば、以下の(1)〜(9)の複合フィルムおよび(10)〜(11)の複合フィルムの製造方法が提供される。
(1)熱可塑性の生分解性高分子からなる厚みが5〜100nmの複数のA層と、熱可塑性水溶性高分子からなるB層とが積層された複合フィルムであって、
複合フィルムの厚み方向に沿った断面を見たとき、B層の割合が25〜75%の範囲で、かつ複合フィルム全体の厚みが3μm以上であることを特徴とする共押出成形によって製膜された複合フィルム。
(2)生分解性高分子の融点(Tma)と水溶性高分子の融点(Tmb)との融点差(△Tm=|Tma−Tmb|)が50℃以下で、生分解性高分子の分解温度(Tda)と水溶性高分子の分解温度(Tdb)とがともにTmaおよびTmbよりも高い上記(1)記載の複合フィルム。
(3)生分解性高分子の融点(Tma)+50℃における生分解性高分子と水溶性高分子との溶融粘度の比(生分解性高分子/水溶性高分子)が、0.1〜10の範囲にある上記(1)記載の複合フィルム。
(4)生分解性高分子が、ポリ乳酸(PLA)、グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリグリコール酸(PGA)およびポリカプロラクトン(PCL)からなる群より得られる少なくとも一種である上記(1)記載の複合フィルム。
(5)水溶性高分子が、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、デンプン、セルロースアセテートからなる群より得られる少なくとも一種である上記(1)記載の複合フィルム。
(6)複合フィルムが、A層とB層とを交互に積層した多層フィルムであって、A層とB層の合計総数が、10層以上である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の複合フィルム。
(7)複合フィルムの少なくとも一方の表層の厚みがA層の平均厚みに対し2倍以上でかつ全体の厚みの50%以下である上記(6)記載の複合フィルム。
(8)複合フィルムが少なくとも面内の一方向に延伸された延伸複合フィルムである上記(1)〜(7)のいずれかに記載の複合フィルム。
(9)生体の治療に用いられる上記(1)〜(8)のいずれかに記載の複合フィルム。
(10)熱可塑性の生分解性高分子からなる厚みが5〜100nmA層と、水溶性高分子からなるB層とが積層された全体の厚みが3μm以上である複合フィルムの製造方法であって、
熱可塑性生分解性高分子と熱可塑性水溶性高分子とを、それぞれ溶融状態で生分解性高分子からなるA層と水溶性高分子からなるB層とを積層する共押出工程と、生分解性高分子のガラス転移温度以下に冷却する冷却工程と、得られたフィルムを巻き取る巻取工程とを有し、
該共押出工程において、複合フィルムの厚み方向の断面を見たとき、B層の厚みが複合フィルム全体の厚みに対して、25〜75%の範囲になるように押出す複合フィルムの製造方法。
(11)冷却工程と巻取工程の間に、生分解性高分子のガラス転移温度(Tg1a:℃)〜(Tg1a+30℃)の範囲で、少なくともフィルムの面内方向の一方向に延伸する上記(10)記載の複合フィルムの製造方法。
本発明によれば、生体高分子からなる100nm以下の超薄膜層を、水溶性高分子の層と積層しつつ、均一な品質で、しかも生産性に優れる共押出によって提供ができる。その結果、人体の裂傷や熱傷患部などの傷に本発明の複合フィルムから製造された極めて薄いA層の膜で被覆することで、複雑な形状の表面患部を細菌感染から保護しつつ、治癒を図ることができる。
本発明の複合フィルムは、水に難溶もしくは不溶性でかつ熱可塑性である生分解性高分子Aからなる厚みが5〜100nmの複数のA層と、熱可塑性である水溶性高分子BからなるB層とが共押出によって積層された複合フィルムである。
以下、本発明を詳述する。
<生分解性高分子>
本発明における生分解性高分子は、熱可塑性樹脂である。熱可塑性とは、後述のDSC測定において融点(Tm:℃)が確認できることを意味する。好ましい生分解性高分子の融点(Tma:℃)は50〜300℃の範囲、さらに100〜250℃の範囲である。生分解性高分子の融点がこの範囲にあることで、溶融押出成形の工程に適した高分子となる。
本発明における生分解性高分子としては、ポリ乳酸(PLA)、グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリグリコール酸(PGA)およびポリカプロラクトン(PCL)からなる群より得られる少なくとも一種が挙げられる。これらの中でも、ポリ乳酸(PLA)、グリコール酸共重合体(PLGA)が好ましく、特にポリ乳酸が好ましい。また、ポリ乳酸の中でもポリL−乳酸が好ましい。また、生分解性高分子の中でも、中毒防止のためSnを含有しないこと、患部炎症防止の観点から残存モノマーが5mol%以下である生体用の生分解高分子が好ましい。このような生体用の生分解高分子としては、例えばDurect社製のLACTEL(登録商標)やシグマアルドリッチ社製のRESOMER(登録商標)が挙げられる。
なお、本発明における生分解高分子は、本発明の効果を損なわない範囲で、生分解の速度などを制御する観点から、それ自体公知の耐加水分解剤、例えばポリ乳酸の場合はカルボジイミドなどを共重合させてもよい。
本発明における生分解性高分子の重量平均分子量は、5万以上であることが溶融押出成形する際の延伸工程を容易にする点から好ましく、さらに10万以上であることが、安定して延伸できる点から好ましい。また、重量平均分子量の上限は特に制限されないが、溶融押出成形する際の押出を容易にする観点から、30万以下が好ましく、さらに25万以下が好ましい。分子量が高すぎると、溶融時の高分子粘度が高すぎるため安定した押出ができなくなる。
本発明における生分解性高分子の分解温度は、溶融押出時の分解物の発生や、生分解性高分子の熱劣化を抑える点からTma+10℃以上であることが好ましく、さらにTma+20℃以上であることが好ましい。なお、分解温度の上限は特に制限されない。
本発明における生分解性高分子は、水に難溶もしくは不溶性でかつ熱可塑性である。本発明でいう水に難溶もしくは不溶性とは、23℃の純水1Lに、生分解性高分子(乾燥後の重量が5g)を浸漬し、1時間撹拌した後に、生分解性高分子を取り出し、乾燥後の生分解性高分子の重量が4.5g以上であることを意味し、4.75g以上であることが好ましい。生分解性高分子が水に難溶もしくは不溶性であることにより、後のB層との分離をより容易に行うことができる。
<水溶性高分子>
本発明における水溶性高分子は、水に溶解でき、かつ熱可塑性である。本発明でいう水溶性とは、23℃の純水1Lに、水溶性高分子(乾燥後の重量が5g)を浸漬し、1時間撹拌した後に、水溶性高分子を取り出し、乾燥後の水溶性高分子の重量が2.5g以下であることを意味し、2g以下であることが好ましい。水溶性であることにより、前述のA層との分離をより容易に行うことができる。
また、本発明における熱可塑性とは、後述のDSC測定において融点(Tm:℃)が確認できることを意味する。好ましい水溶性高分子の融点(Tmb:℃)は50〜300℃の範囲、さらに100〜250℃の範囲である。水溶性高分子の融点がこの範囲にあることで、生分解性高分子との共押出成形における層構成が安定となる。
本発明における水溶性高分子としては、好ましくはポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、デンプン、セルロースアセテートからなる群より得られる少なくとも一種が挙げられる。これらの中でも、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)が好ましく、特にPVAが好ましい。
また、本発明における水溶性高分子の分解温度は、溶融押出時の分解物の発生や、生分解性高分子の熱劣化を抑える点からTmb+10℃以上であることが好ましく、さらにTmb+30℃以上であることが好ましい。なお、分解温度の上限は特に制限されない。
<生分解性高分子と水溶性高分子との関係>
本発明において、生分解性高分子と水溶性高分子とは以下の関係を有することが好ましい。
まず、生分解性高分子の融点(Tma)と水溶性高分子の融点(Tmb)とは、その融点差(△Tm)が、50℃以下であることが溶融押出工程でのそれぞれの温度調整が容易になる点から好ましく、さらに30℃以下であることが好ましい。なお、融点差(△Tm)の下限は特に制限されず、0℃であってもよい。
つぎに、生分解性高分子の分解温度(Tda)と、水溶性高分子の分解温度(Tdb)とは、ともにTmaおよびTmbよりも高いことが好ましい。TmaおよびTmbよりもTdaおよびTdbが高いことで、溶融押出時の分解ガスの発生や高分子の熱劣化を抑制することができる。
最後に、生分解性高分子の融点(Tma)+50℃における溶融粘度の生分解性高分子と水溶性高分子との比(生分解性高分子/水溶性高分子)が、0.1〜10の範囲にあることがA層の厚み斑を抑制する点から好ましい。好ましい溶融粘度の比は、0.1〜8、さらに0.2〜5の範囲である。
<複合フィルム>
本発明の複合フィルムは、前述のA層と前述のB層とが積層されており、A層の厚みが5〜100nmである。ここでいうA層の厚みとは複合フィルム中に複数のA層が存在する場合は個々のA層の厚みを意味する。該A層の厚みが下限未満では、B層を水などで溶解して除去した際、取扱いがしづらくなり、他方上限を超えると、患部への密着性が低くなる。好ましいA層の厚みは、5〜80nm、さらに5〜50nmの範囲である。
ところで、本発明の複合フィルムの特徴の一つは、複合フィルムの厚み方向に沿った断面を見たとき、複数のA層が存在し、かつB層の割合が25〜75%の範囲で、かつ複合フィルム全体の厚みが3μm以上であることである。ここでいうB層の割合とは、複合フィルムの厚み方向に沿った断面を見たとき、複合フィルム全体の厚みに占める全B層の合計厚みの割合を意味する。複合フィルム全体の厚みをA層の厚みに比べて極めて厚い3μm以上としながらも、A層を複数存在させ、かつB層の割合を上記範囲にすることで、A層の厚みを均一にすることができ、さらに複合フィルム自体は共押出成形した後、巻き取り性などの加工性を具備することができる。
この理由は定かではないが、A層を複数存在させることで製膜時の吐出をより安定にでき、さらに2種類の高分子が溶融状態において合流する際に双方の樹脂の流動力のバランスが取れるといったことが影響していると推測される。
好ましいB層の割合は、30〜70%、さらに35〜65%の範囲である。また、好ましい複合フィルム全体の厚みの下限は、5μm以上、さらに10μm以上である。他方、好ましい複合フィルム全体の厚みの上限は、巻取り作業性などの点から、75μm以下、さらに50μm以下である。
本発明の複合フィルムの層構成は、A層/B層/A層の3層、A層/B層/A層/B層の4層、A層/B層/A層/B層/A層の5層、A層/B層を交互に積層した多層積層など上げることができる。なお、複数のA層を同時に製造でき、かつA層の厚みをより均一にしやすくなることから、A層とB層の合計層数が10層以上、さらに30層以上であることが好ましい。特にA層とB層の合計層数を40層以上にすることで、さらにA層とB層の間の剥離を抑制し、取扱い性をさらに高めることもできる。なお、積層数の上限は特に制限されないが、B層を溶解してA層の分離を容易にする観点から、1000層以下、さらに850層以下であることが好ましい。
また、本発明の複合フィルムは、その表面がA層、B層いずれであっても良い。なお、本発明の複合フィルムが、A層/B層を交互に積層した多層積層の場合、よりA層の厚みを均一にしやすく、また取扱い性を良くする観点から、表層に厚い厚み調整層を設けることが好ましい。この厚み調整層としては、A層と同じ樹脂でもB層と同じ樹脂でもよいが、後にA層とB層を分離して使用するA層を使用する場合、B層である方がB層を溶解して除去した際に、均一な厚みのA層を得ることができることから好ましい。
この厚み調整層は、本発明の複合フィルムの少なくとも一方の表層に位置し、その厚みがA層の平均厚みに対し2倍以上で、複合フィルム全体の厚みの50%以下であることが、芯層のA層の厚みをより均一にしやすいことから好ましい。さらに好ましい厚み調整層の厚みの下限はA層の平均厚みに対し3倍以上、特に好ましくは4倍以上、他方上限は40%、特に好ましくは30%である。
ところで、本発明の複合フィルムは、未延伸フィルムであってもよいが、よりA層の厚みを均一にしやすいことから、少なくとも面内の一方向に延伸された延伸複合フィルムであることが好ましい。
本発明の複合フィルムは、B層を水などで溶解して除去することで、生体高分子Aからなる厚みが薄いながらも均一なA層を製造することができ、例えば傷などを被覆する生体の治療用の複合フィルムとして好適に用いることができる。また、B層を除去した後のA層とA層の間に薬剤を封入し、それを人体に投入することで、A層の分解速度に応じて、徐々に薬剤を投入する治療用の複合フィルムとしても好適に用いることができる。
本発明の複合フィルムは、製膜後の巻き取り性を向上させる観点から、それ自体公知の不活性粒子を含有してもよい。不活性粒子を含有させる場合、A層の厚みを均一にする観点から、A層は不活性粒子を含有しないか含有するとしてもB層よりも少ない量で含有し、B層に不活性粒子を含有させることが好ましい。
<耐衝撃性改良剤>
本発明における生分解性高分子は、耐衝撃性改良剤を、生分解性高分子の質量を基準として、0.1〜10質量%の範囲で含有させていることが好ましい。本発明における耐衝撃性改良剤とは、生分解性高分子の耐衝撃性改良に用いることのできるものであれば特に制限されず、室温でゴム弾性を示すゴム状物質のことであり、例えば、下記の各種耐衝撃性改良剤などが挙げられる。
具体的な耐衝撃性改良剤としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、各種アクリルゴム、エチレン−アクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩(いわゆるアイオノマー)、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(例えば、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酸変性エチレン−プロピレン共重合体、ジエンゴム(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン)、ジエンとビニル単量体との共重合体およびその水素添加物(例えば、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体、ポリブタジエンにスチレンをグラフト共重合せしめたもの、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体)、ポリイソブチレン、イソブチレンとブタジエンまたはイソプレンとの共重合体、天然ゴム、チオコールゴム、多硫化ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ポリウレタンゴム、ポリエーテルゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリエステル系エラストマーまたはポリアミド系エラストマーなどが挙げることができる。さらに、各種の架橋度を有するものや、各種のミクロ構造、例えばシス構造、トランス構造などを有するもの、コア層とそれを覆う1以上のシェル層から構成される多層構造重合体なども使用することができる。また、本発明において、耐衝撃性改良剤としては、上記具体例に挙げた各種の(共)重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体またはグラフト共重合体などのいずれも用いることができる。さらに、これらの(共)重合体を製造するに際し、他のオレフィン類、ジエン類、芳香族ビニル化合物、アクリル酸、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルなどの単量体を共重合することも可能である。
これらの耐衝撃性改良剤の中でも、アクリル単位を含む重合体や、酸無水物基および/またはグリシジル基を持つ単位を含む重合体が好ましい。ここでいうアクリル単位の好適例としては、メタクリル酸メチル単位、アクリル酸メチル単位、アクリル酸エチル単位またはアクリル酸ブチル単位を挙げることができ、酸無水物基やグリシジル基を持つ単位の好適例としては、無水マレイン酸単位またはメタクリル酸グリシジル単位を挙げることができる。
本発明において、耐衝撃性改良剤としては、本発明の効果の点で、コア層とそれを覆う1以上のシェル層から構成される多層構造重合体がより好ましい。なお、本発明において、多層構造重合体とは、コア層とそれを覆う1以上のシェル層から構成され、また、隣接する層が異種の重合体から構成される、いわゆるコアシェル型と呼ばれる構造を有する重合体である。また、多層構造重合体を構成する層の数は、特に限定されるものではなく、2層以上であればよく、3層以上または4層以上であってもよい。具体的な多層構造重合体としては、例えば、三菱レイヨン製“メタブレン”、カネカ製“カネエース”、ロームアンドハース製“パラロイド”、ガンツ化成製“スタフィロイド”、アルケマジャパン製“Nanostrength”またはクラレ製“パラフェイス”などを挙げることができる。
本発明において、耐衝撃性改良剤の配合量は、本発明の効果の点で、生分解性高分子の質量を基準として、0.1〜10質量%の範囲であることが好ましい。下限未満では、水溶性高分子との層間が過度に剥離しやすくなる。そのような観点から、好ましい耐衝撃性改良剤の配合量の下限は、0.5質量%、さらに1質量%であり、他方上限は、9質量%、さらに8質量%である。なお、このような耐衝撃性改良剤を配合させることで、フィルムの分解性を低下させることなく、水溶性高分子とのの剥離を抑制できる理由は定かではないが、得られた生分解性高分子からなる層に柔軟性を付与でき、結果水溶性高分子からなる層との界面を安定化できるためと考えられる。
<A層の残存モノマー>
本発明におけるA層は、治療に用いる場合、残存モノマーの含有量が0.5wt%以下であることが好ましく、さらに0.3wt%以下であることが治療する部位への刺激を抑える観点から好ましい。このような残存モノマーは、用いる生体高分子として残存モノマーの少ない生体高分子を選択したり、生体高分子の脱モノマー処理を施したり、溶融押出する際の温度を低くしたり、時間を短くすることなどで低減することができる。なお、残存モノマーの含有量の下限は、少なければ少ないほど好ましいが、生産性を過度に損なわないようにする点からは通常0.001wt%程度である。
なお、本発明における残存モノマーとは、繰り返し単位の1〜3量体を意味する。
<複合フィルムの製造方法>
本発明の複合フィルムの製造方法について、以下詳述するが、特に断らない限り、前述の複合フィルムで説明したのと同様なことが言える。
本発明の複合フィルムの製造方法は、熱可塑性である生分解性高分子Aからなる厚みが5〜100nmの複数のA層と、熱可塑性である水溶性高分子BからなるB層とが積層された複合フィルムの製造方法であって、生分解性高分子と水溶性高分子とを、それぞれ溶融状態で生分解性高分子からなるA層と水溶性高分子からなるB層とを積層する共押出工程と、生体高分子のガラス転移温度以下に冷却する冷却工程と、得られたフィルムを巻き取る巻取工程とを有し、該共押出工程において、複合フィルムの厚み方向の断面を見たとき、B層の厚みが複合フィルム全体の厚みに対して、25〜75%の範囲になるように押出すことを特徴とする。
溶融押出する際の温度は、生体高分子AはTma〜Tma+80℃の範囲が好ましく、さらにTma〜Tma+50℃の範囲がA層の残存モノマーの発生量を抑制する点から好ましく、他方水溶性高分子BはTmb〜Tmb+80℃の範囲が好ましく、さらにTmb〜Tmb+50℃の範囲が樹脂の劣化を抑制する観点から好ましい。
また、生体高分子Aと水溶性高分子Bとは溶融状態で積層されるが、その積層は、好ましくはTmaないしTma+30℃の温度でダイ内において積層してからフィルム状に押出すか、それぞれを溶融状態でシート状にダイから押出した後に積層し、急冷固化して積層未延伸フィルムとする方法のいずれであってもよい。なお、前述の10層以上の多層構造で積層する場合は、ダイの手前のフィードブロックにて溶融状態で積層し、ダイから押出す方法が層数を簡便に増やしやすいことから好ましい。例えば200層以上の多層フィルムを得るためのより好ましい方法として、200層以下の範囲で交互積層状態の溶融物を得、かかる層構成を保持したまま、積層方向と垂直方向に1:1の比率になるように分割し、積層数(ダブリング数)が2〜4倍になるように再度積層する方法で積層数を増やすことができる。かかるダブリング処理を行う場合、公知の方法で行うことができる。
このようにして得られた複合未延伸フィルムは、生体高分子Aのガラス転移温度以下に冷却する冷却工程を経る。好ましくはダイから押出された複合未延伸フィルムを回転している冷却ドラムにて冷却する方法が好ましい。この際、複合未延伸フィルムの冷却ドラムと接していない側の表面から、電荷を掛けて複合未延伸フィルムと冷却ドラムとの密着を高めることはA層の厚みをより均一にする観点から好ましい。
このようにして得られた複合未延伸フィルムはそのまま巻き取ってもよいし、少なくとも面内方向の一方向に延伸して複合延伸フィルムとしてもよく、好ましくは延伸によってよりA層の厚みを均一にしやすいことから複合延伸フィルムであることが好ましい。
本発明において、複合延伸フィルムとする場合は、前述の冷却工程と巻き取り工程の間で、少なくとも面内方向の一方向(例えば、製膜方向、幅方向(製膜方向および厚み方向に直交する方向)、もしくは両者の中間の斜め方向)に延伸する。延伸温度は、A層の生分解性高分子のガラス転移点の温度(Tga)〜Tga+30℃の範囲が好ましい。このときの延伸倍率は2〜10倍であることが好ましく、さらに好ましくは2.5〜7倍、さらに好ましくは3〜6倍、特に好ましくは4.5〜5.5倍である。延伸倍率が大きい程、A層のバラツキが延伸による薄層化にてより小さくなるので好ましい。このときの延伸方法は、棒状ヒータによる加熱延伸、ロール加熱延伸、テンター延伸など公知の延伸方法を用いることができるが、ロールとの接触によるキズの低減や延伸速度などの観点から、テンター延伸が好ましい。また、かかる延伸方向と直交する方向(Y方向)にも延伸処理を施し、2軸延伸を行ってもよい。
実施例をもって、本発明をさらに説明する。なお、実施例中の物性や特性は、下記の方法にて測定または評価した。
(1)生分解性高分子および水溶性高分子の融点(Tm)およびガラス転移点(Tg)
ポリマーを10mgサンプリングし、DSC(TA Instruments社製、商品名:DSCQ100)を用いて20℃/minの昇温速度で、融点およびガラス転移点を測定した。
(2)生分解性高分子および水溶性高分子の分解温度
ポリマーを10mgサンプリングし、TGA(TA Instrumens社製、商品名:TGA Q50)を用いて20℃/minの昇温速度で重量減少率を測定した。得られた温度―重量減少率曲線の減少開始部接線の傾きより、分解温度を計算した。
(3)生分解性高分子および水溶性高分子の溶融粘度
測定装置として島津製作所製フローテスターCFT−500Dを用い、測定温度:Tma+50℃、予熱時間:5分、ノズル径:1mm、ノズル長:10mmで測定し、回帰式より剪断速度100(1/秒)における溶融粘度を求めた。
(4)A層の平均厚み(nm)および平均厚み斑(%)
製膜方向(長手方向)および幅方向にそれぞれ1mずつの長さを有するフィルムサンプルを用意し、フィルムサンプルの中央部、それから幅方向に10cm間隔で両側に4点ずつ、またフィルムの中央部から製膜方向に10cm間隔で両側に4点ずつ、合計17点の箇所から、フィルム長手方向2mm、幅方向2cmに切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂(リファインテック(株)製エポマウント)にて包埋した。包埋されたサンプルをミクロトーム(LEICA製ULTRACUT UCT)で幅方向に垂直かつ厚み方向に沿って切断し、5nm厚の薄膜切片にした。電界放出形走査電子顕微鏡(日立製作所製、S−4700)を用いて加速電圧100kVにて観察撮影し、写真から各A層の厚みを測定した。
そして、複合フィルムの各A層の厚みについて、それぞれ平均値と17点中最も厚いA層の厚みから最も薄いA層の厚みの差を前記平均値で割った値を厚み斑(%)として算出した。そして、複合フィルム中に複数のA層が存在する場合は、各A層の平均値と各A層の厚み斑を平均化して、複合フィルム中のA層の平均厚みとA層の平均厚み斑として算出した。
(5)製膜性
それぞれの高分子ポリマーを溶融合流させ押出、キャスティングにて急冷した未延伸シートを得る。該未延伸シートを縦方向、ついで横方向に逐次2軸延伸を行い、熱固定処理を施す。キャスティング時の未延伸シートの外観を先ずは観察し、下記基準にて判定する。更に、延伸工程にてフィルムが破断することなく安定して製膜できるかどうかも判断する。
◎:外観が極めて良好で、フィルム製膜も安定している
○:外観が良好で、フィルム製膜が安定している
△:外観はよくないが、フィルム製膜が安定している
×:外観がひどいか、全くフィルム製膜ができない
(6)水への溶解性
水溶性高分子5gと、23℃の純水1Lとをフラスコに入れて、マグネチックスターラーにて撹拌速度200rpmで60分間撹拌した。
溶解後の水溶液を150μmの金網メッシュでろ過し、純水1000mlで洗浄した。その後、この金網を120℃で3時間乾燥させて、未溶融物の残量から水への溶解性を判断した。
水溶性あり:乾燥後の残量が2.5g以下
水溶性なし(水に難溶もしくは不溶性):乾燥後の残量が4.5g以上
(7)重量平均分子量およびA層の残存モノマー含有量の測定
1%ヘキサフルオロイソプロパノールを含むクロロホルムに樹脂サンプルを溶解し、濃度1mg/mlとしたものを測定用溶液とした。これをゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定、標準ポリスチレンに換算して重量平均分子量およびA層の残存モノマー含有量(重量%)を得た。なお、測定における測定装置、および測定条件は以下のとおりとした。
検出器;示差屈折計「RID−6A」島津製作所製
カラム;東ソー製「TSKgelG3000HXL」「TSKgelG4000HXL」「TSKgelG5000HXL」「TSKguardcokumnHXL−L」を直列に接続したもの、あるいは東ソ−製「TSKgelG2000HXL」、「TSKgelG3000HXL」、「TSKguardcokumnHXL−L」直列に接続したもの。
移動相;クロロホルム
カラム温度;温度40℃
流速;1.0ml/min
注入量;10μl
較正曲線用試料:ポリスチレン
(8)治療用での適正
ラットにて術後癒着モデルにおける癒着防止効果を確認した。具体的には、ラットの腹壁に直経1cmの円形の組織欠損部を作成する。そして、癒着臓器として、少し血がにじむ程度に盲腸を擦過する。欠損部に各実施例で得られたA層のシート(2.5x2.5cm)をかぶせる。その一週間後に臓器間癒着の頻度・強さを下記基準にて評価した。
◎:癒着頻度がなく、炎症もない
○:癒着頻度がほとんどなく、炎症がほとんどない
△:癒着頻度が少しみられるが、強さはそれほど強くない
×:癒着頻度が多い。強固に癒着する
(9)樹脂
PLA1:生体用ポリL−乳酸(Durect社製、商品名:LACTEL「B6002−2」、220℃での溶融粘度:700a・S、Tma:170℃、Tga:60℃、Tda:230℃、水溶性なし)
PLA2:ポリL−乳酸(NatureWorks社製、商品名:PLA Polymer 「4032D」、220℃での溶融粘度:900Pa・S、重量平均分子量19万、Tma:170℃、Tga:55℃、Tda:230℃、水溶性なし)
PVA1:ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:クラレポバール「CP−1000」、220℃での溶融粘度:800Pa・S、Tmb:175℃、Tgb:57℃、Tdb:200℃、水溶性あり)
PVA2:ポリビニルアルコール(日本合成化学社製、商品名:Nichigo G−Polymer「OKS−8074P」、220℃での溶融粘度:1000Pa・S、Tmb:185℃、Tgb:75℃、Tdb:230℃、水溶性あり)
PVA3:ポリビニルアルコール(日本合成化学社製、商品名:Nichigo G−Polymer「OKS−8089P」、220℃での溶融粘度:1100Pa・S、Tmb:148℃、Tgb:65℃、Tdb:230℃、水溶性あり)
PVA4:ポリビニルアルコール(日本合成化学社製、商品名:Nichigo G−Polymer「OKS−8049P」、220℃での溶融粘度:1400Pa・S、Tmb:185℃、Tgb:75℃、Tdb:230℃、水溶性あり)
PVA5:ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:クラレポバール「CP−1220T10」、220℃での溶融粘度:300Pa・S、Tmb:176℃、Tgb:42℃、Tdb:200℃、水溶性あり)
[実施例1]
上記(9)のPLA1を生分解性高分子Aとして用意し、上記(9)のPVA1を水溶性高分子Bとして用意した。
準備したポリL−乳酸を110℃で5時間乾燥後、押出機に供給し、190℃まで加熱して溶融状態とし、また準備したポリビニルアルコールを60℃で16時間乾燥後、押出機に供給し、190℃まで加熱して溶融状態とし、A層を100層、B層を101層に分岐させた後、多層フィードブロック装置を使用して、A層とB層が交互に積層された総数201層の積層状態でダイから20℃の冷却ドラム上に押出して、A層とB層の平均層厚み比が1:1になるように調整し、厚み144μmの多層未延伸フィルムを作成した。
この多層未延伸フィルムを75℃の温度で製膜方向(縦方向)に3倍、幅方向(横方向)に3倍延伸し、110℃で3秒間熱固定処理を行ったのち、95℃で一旦冷却した後、さらに室温まで冷却して巻き取った。得られた複合フィルムの全体厚みは16μmであった。
得られた複合フィルムの特性を表1に示す。
[実施例2〜15、比較例1〜3]
表1に示す通り、溶融押出温度、層数、B層の割合、生分解性高分子および水溶性高分子の種類、延伸倍率および各層の厚みを変更したほかは、実施例1と同様な操作を繰り返した。なお、延伸倍率や各層の厚みを調整する際は、表1に示す厚みになるように押出時の吐出量を調整した。
得られた複合フィルムの特性を表1に示す。
[実施例16および17]
厚み調整層として、複合フィルムの表層に位置するB層の厚みを450nm(実施例16)と4000nm(実施例17)とし、内層に位置するA層とB層の厚みを表1に示す通りに変更したほかは、実施例1と同様な操作を繰り返した。
得られた複合フィルムの特性を表1に示す。
Figure 2015039870
表1中のPLA1〜2,PVA1〜5は、上記(9)樹脂に記載した樹脂である。また、表1にあるA層の平均厚みとB層の平均厚みとは、内層に位置するA層とB層の厚みの平均値であり、表層Bと表層B’とは、表層Bが複合フィルムの一方の表層を形成するB層で、表層B’は複合フィルムの他方の表層を形成するB層であり、B層の割合は、内層のB層と表層に位置するB層の合計厚みを複合フィルム全体の厚みで割った値である。
本発明の複合フィルムは、例えば水に分散させてPLAナノシートの懸濁液として傷などの患部に滴下して該ナノシートを患部に被覆させることで傷の感染防止液などに使用できる。また、本共押出の積層技術を用いることで、非常に簡便にかつ大量にナノシートを得ることができることから社会的貢献は大きいと考える。

Claims (11)

  1. 熱可塑性の生分解性高分子からなる厚みが5〜100nmの複数のA層と、熱可塑性水溶性高分子からなるB層とが積層された複合フィルムであって、
    複合フィルムの厚み方向に沿った断面を見たとき、B層の割合が25〜75%の範囲で、かつ複合フィルム全体の厚みが3μm以上であることを特徴とする共押出成形によって製膜された複合フィルム。
  2. 生分解性高分子の融点(Tma)と水溶性高分子の融点(Tmb)との融点差(△Tm=|Tma−Tmb|)が50℃以下で、生分解性高分子の分解温度(Tda)と水溶性高分子の分解温度(Tdb)とがともにTmaおよびTmbよりも高い請求項1記載の複合フィルム。
  3. 生分解性高分子の融点(Tma)+50℃における生分解性高分子と水溶性高分子との溶融粘度の比(生分解性高分子/水溶性高分子)が、0.1〜10の範囲にある請求項1記載の複合フィルム。
  4. 生分解性高分子が、ポリ乳酸(PLA)、グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリグリコール酸(PGA)およびポリカプロラクトン(PCL)からなる群より得られる少なくとも一種である請求項1記載の複合フィルム。
  5. 水溶性高分子が、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、デンプン、セルロースアセテートからなる群より得られる少なくとも一種である請求項1記載の複合フィルム。
  6. A層とB層とを交互に積層した多層フィルムであって、A層とB層の合計総数が、10層以上である請求項1〜5のいずれかに記載の複合フィルム。
  7. 複合フィルムの少なくとも一方の表層の厚みがA層の平均厚みに対し2倍以上でかつ複合フィルム全体の厚みの50%以下である請求項6記載の複合フィルム。
  8. 複合フィルムが少なくとも面内の一方向に延伸された延伸複合フィルムである請求項1〜7のいずれかに記載の複合フィルム。
  9. 生体の治療に用いられる請求項1〜8のいずれかに記載の複合フィルム。
  10. 熱可塑性の生分解性高分子からなる厚みが5〜100nmの複数のA層と、水溶性高分子からなるB層とが積層された全体の厚みが3μm以上である複合フィルムの製造方法であって、
    熱可塑性生分解性高分子と熱可塑性水溶性高分子とを、それぞれ溶融状態で生分解性高分子からなるA層と水溶性高分子からなるB層とを積層する共押出工程と、生分解性高分子のガラス転移温度以下に冷却する冷却工程と、得られたフィルムを巻き取る巻取工程とを有し、
    該共押出工程において、複合フィルムの厚み方向の断面を見たとき、B層の厚みが複合フィルム全体の厚みに対して、25〜75%の範囲になるように押出すことを特徴とする複合フィルムの製造方法。
  11. 冷却工程と巻取工程の間に、生分解性高分子のガラス転移温度(Tga:℃)〜(Tga+30℃)の範囲で、少なくともフィルムの面内方向の一方向に延伸する請求項10記載の複合フィルムの製造方法。
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