以下に、必要に応じて添付図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の開閉部材及び開閉構造の一例を示す概略分解斜視図であり、図2は、図1の開閉部材及び開閉構造を示す概略断面図であり、図3は、第2のランナーを示す概略斜視図、図4は第2のランナーを示す分解斜視図である。
図1及び図2に示す例において、会議室などの空間を仕切るためのカーテン式間仕切りユニット(又は開閉構造)の開閉部材を示している。この開閉部材は、アルミニウムの押出成形により形成され、かつ長尺で断面円形状の一対の中空筒状対向部材1,11と、この対向部材の対向面(対向部)に長手方向に沿って形成されたアリ溝状の装着凹部2,12(又はアリ溝状の装着凹部2,12を形成する断面コ字状装着壁3,13)と、この装着凹部(又は装着壁)に隣接して前記一対の対向部材1,11の頂部に形成された装着孔部4,14(又は装着孔部壁5,15)と、この装着孔部(又は装着孔部壁)に隣接し、先端部が屈曲又は湾曲して狭まった形態で延出する一対の延出規制壁7a,7b,17a,17bで形成されたスリット状の抜け止め凹部6,16とを備えている。装着凹部2,12は、開口部側が狭まったアリ溝状の形態(開口部側が奥部の凹溝部よりも狭まったほぼ断面コ字状の凹溝部の形態)を有している。前記装着孔部(装着部)4,14は装着凹部2,12(又は装着壁3,13)に隣接して軸方向に貫通して延びる断面四角形状の空孔(開閉方向に対して直行する方向に細幅の孔部)で形成され、抜け止め凹部6,16は、前記一対の対向部材1,11の対向面(前記装着凹部2,12)に対して反対側の側壁(背面部)から延出する一対の延出規制壁(又は舌片状規制壁)7a,7b,17a,17bにより断面スリット状の形態(開閉方向に細幅で延びるスリット状凹部の形態)に形成されている。
また、断面円形状の対向部材1,11は、断面コ字状装着凹部2,12(又は装着壁3,13)の開口周縁部と、抜け止め凹部3,13(又は一対の延出規制壁7a,7b,17a,17b)の開口周縁部とは、断面リング状(円形状)の形態の周壁部8,18と接続している。そして、前記装着凹部2,12(又は装着壁3,13)の幅方向の中央部と抜け止め凹部3,13の幅方向の中央部とを結ぶ線を中心にして、前記対向部材1,11は横断面形状が対称形状(線対称の形状)に形成されている。
さらに、前記装着凹部2,12には、長尺状又は細片状の第1及び第2の軟質マグネット部材9,19が長手方向に沿って装着され、前記対向部材1,11の頂部に形成された装着孔部4,14には、第1のランナー21の吊り下げ部26が装着され、前記抜け止め凹部6,16には間仕切りシート(開閉シート)としてのカーテン31,35が抜け止め状態で取り付けられ、間仕切りユニット(又は開閉構造)を形成している。
なお、第1及び第2の軟質マグネット9,19は磁性粉体と軟質樹脂又はゴムとを含んでおり、前記装着凹部に対応した断面形状を有しており、装着状態において、軟質マグネット部材9,19の対向部位は装着凹部から突出している。すなわち、軟質マグネット部材9,19は装着凹部の深さよりも厚く、しかも両側部が幅方向の中央部よりも肉薄に階段状に形成されており、装着凹部2,12への装着状態において、軟質マグネット部材9,19の幅方向の中央部(対向部)が装着凹部2,12から若干突出して互いに対向している。そのため、装着凹部2,12に対する装着性を高めるとともに脱落を防止できる。特に、軟質マグネット部材9,19による磁気的吸着性を高めることができるとともに、装着凹部2,12から突出する軟質マグネット部材9,19により開閉部材の閉鎖による閉じ音を軽減又は緩衝できる。なお、装着凹部2,12の端部(下端部)には、キャップ部材(図示せず)が配置され、ネジ(図示せず)でねじ止め固定されている。
特に、開閉部材を位置ずれすることなく閉じるため、一方の対向部材1の装着凹部2の幅方向には、幅方向にS極及びN極の2極のみを隣接させて第1のマグネット部材9が長手方向に配設され、他方の対向部材11の装着凹部12の幅方向には、前記第1のマグネット部材9の磁極に対して反対の磁極であるN極及びS極のみを向けて第2のマグネット部材19が長手方向に配設されている。そのため、他方の対向部材11の軸線に対して一方の対向部材1の軸線が傾斜又は交差した状態で閉じても、位置ずれすることなく、他方の対向部材11の軸線に対して一方の対向部材1の軸線を一致させて閉じることができる。
さらに、第1のランナー21は、断面中空四角形状のレール部材30のスリット状開口部の両側部に形成された走行路30a,30bを走行又は転動可能な一対のローラ部22a,22bと、この一対のローラ部を回転可能に軸支する軸部23と、アーム状の形態を有し、このローラ部22a,22b間の軸部23を回転可能に支持する支持部(支持フレーム部)24と、この支持部(支持部の台部)に対して周方向(軸芯に沿って)に回転可能に取り付けられた軸部24と、この軸部に対して揺動可能に取り付けられた揺動リング部材26と、この揺動リング部材に対して取り付けられた吊り下げ部27とを備えている。第1のランナー21は、支持部24が、前記レール部材30の長手方向に延びる前記スリット状開口部に挿入された形態で走行可能である。この吊り下げ部27は、揺動リング部材26に対して係合した形態で揺動可能な断面U字状又はコ字状に形成されている。さらに、吊り下げ部27には、ネジ部材29が螺合可能な孔部28が形成され、吊り下げ部27は、前記対向部材1,11の装着孔部4,14に装着された状態で、装着凹部壁5,15を貫通して螺合可能なネジ部材29により対向部材1,11に取り付け可能である。そのため、装着孔部4,14には、第1のランナー21の吊り下げ部27が揺動可能な形態で装着可能である。
さらに、カーテン31,35の側端部には、可撓性プラスチックの抜け規制ストリップ(可撓性細状体)32,36が縦方向に沿って取り付け可能であり、この抜け規制ストリップ(可撓性細状体)32,36は、薄肉部34,37と、この薄肉部の一方の側縁部に沿って形成された厚肉部33,38とを有しており、ステープラ(ホッチキス)を用い、この薄肉部とカーテン31,35とをステープルなどの閉じ部材39で閉じることにより取り付け可能である。そして、カーテン31,35の端部に前記抜け規制ストリップ32,36で厚肉部33,38を形成した状態で、前記抜け止め凹部6,16には、縦方向に沿ってカーテン31,35の側端部が挿入可能であるだけでなく、横方向に対しては、一対の延出規制壁(又は舌片状規制壁)7a,7b,17a,17bの屈曲して狭まった先端部がカーテン31,35の厚肉部33,38と係止して抜けが規制され、カーテン31,35が抜け止め状態で取り付けできる。なお、この例では、抜け止め凹部6,16へのカーテン31,35の装着状態で、厚肉部33,38は抜け止め凹部6,16の開口部側に位置している。
さらに、カーテン31,35の上端部は、前記レール部材30に沿って走行可能な第2のランナー41で挟着可能であり、第2のランナー41を介して開閉可能な状態で前記レール部材30に吊り下げられている。この第2のランナー41は、前記第1のランナー21と同様に、前記レール部材30の走行路30a,30bを走行可能な一対のローラ部42a,42bと、この一対のローラ部を回転可能に軸支する軸部43と、一対のローラ42a,42b間の前記軸部43を回転可能に支持する支持フレーム部44とを備え、走行ユニットを形成している。前記支持フレーム部44の下部(この例では、平坦な底部)には、第1のランナー21と同様に、軸心に沿って回転可能(回動可能)及び抜け不能に回動部材(軸部)45が取り付けられ、この回動部材(軸部)には、リング部材46が揺動可能に取り付けられている。
このリング部材46には、カーテン31,35を挟着可能な取り付けユニット47が取り付けられている。この取り付けユニット47は、前記リング部材(揺動部材)46に揺動可能に装着でき、かつカーテン31,35が配置(又はカーテン31,35を受け入れ)可能な受け部材51と、この受け部材に係合し、かつ押圧に伴って先端部で前記カーテン31,35を挟圧可能な挟圧部材61と、前記受け部材51に対して回動可能(開閉可能)に取り付けられ、かつ回動(開閉操作)に伴って前記挟圧部材61を押圧可能な押圧部材71とを備えている。
より詳細には、受け部材51は、一方の端部を除き高さの低い周壁が形成され、全体として長方形状の舟形状の形態を有しており、一方の端部に形成された起立壁52と、この起立壁の下部から底部にかけて形成された四角形状の装着孔53と、起立壁52の両側部がU字状に切り欠かれ、前記リング部材(揺動部材)46が遊嵌して揺動自在に装着可能な切り欠き部(又は切り欠き凹部)54と、この切り欠き部に隣接する両側部に形成された支持壁部(支持段部)55と、この支持壁部よりも先端部側(前方側)の両側部に形成された側壁部(高さの大きな側壁部)56と、この両側壁部に形成された軸支孔57とを備えている。なお、受け部材51の底部には、長手方向に盛り上がって延びるリブ部58が形成され、受け部材51の強度を高めている。
前記挟圧部材61は、板バネ材で形成され、一方の端部よりも他方の端部側が押圧部材71側に隆起し、先端部で受け部材51側に湾曲又は屈曲した形態を有している。すなわち、挟圧部材61は、受け部材51との係合部(起立壁52)よりも前方域に形成された被押圧部61aと、この被押圧部から前方域に形成され、かつ前記押圧部材71側に近づく方向に湾曲又は屈曲した傾斜壁部61bと、この傾斜壁部の先端部から延出する延出部(被押圧部61aと平行に延出する延出部)61cと、この延出部の先端部からで受け部材51側に屈曲又は下降する挟圧壁61dとを有している。
前記挟圧部材61は、一方の端部に形成され、前記起立壁52の装着孔53に装着して装着孔の周壁と係合可能な支点突出部62と、一方の端部の両側方に延び、かつ前記支持壁部55で支持可能な支持突出部63と、先端部(他方の端部側)の前記挟圧壁61dに形成された歯状の挟圧部64とを備えている。受け部材51と挟圧部材61との係合部は、起立壁52の装着孔53に装着した支点突出部62が係合して形成される。なお、挟圧部材61には、長手方向に延びるリブ部65(前記被押圧部61aから延出部61cへ傾斜壁部61bを跨いで長手方向に延びるリブ部)が形成されている。
押圧部材71は、全体として内側が窪んだ甲羅状の形態(幅方向の中央部を中心として幅方向又は左右方向に湾曲した形態)を有し、一方の端部には、受け部材51側(下方)に向かって膨出(下降又は延出)して湾曲した押圧壁72が、受け部材51側に傾斜又は屈曲して形成されている。この押圧壁72の両側部には、前記受け部材51の軸支孔57に回動自在に装着可能な軸支部73と、この軸支部を中心とする閉じ操作に伴って前記挟圧部材61を押圧可能な押圧部74とを備えており、この押圧部74は押圧壁72の先端部の膨出部(又は湾曲部)で形成されている。閉じ状態で押圧壁72及び押圧部材71が開方向(解除方向)に回動するのを規制するため、押圧部材71による押圧力を維持するため、閉じ状態において、押圧壁72の先端部(押圧部74)は軸支部73よりも一方の端部側(起立壁52側)に位置している。すなわち、押圧壁72は受け部材51側にいくにつれて一方の端部側(起立壁52側)に傾斜している。
このような取付ユニット47は、受け部材51の起立壁52の装着孔53に挟圧部材61の支点突出部62を挿入し、受け部材51の支持壁部55に挟圧部材61の支持突出部63を支持させると、装着孔53の開口上部内壁よりも支持壁部(支持段部)55が若干上部(押圧部材71側)に位置するため、装着孔53での支点突出部62の係合部を支点として、挟圧部材61の押圧壁72が持ち上がった形態となる。このような状態で、前記受け部材51の両側壁部56の軸支孔57に押圧部材71の軸支部73を装着し、押圧部材71を回動させて閉じると、閉じ操作に伴って、押圧部74で挟圧部材61の被押圧部61aを押圧しつつ、挟圧部材61の挟圧壁64で受け部材51を押圧できる。そして、押圧壁72が傾斜しているため、回動する押圧部74の先端部が最下部を通過すると、押圧部74の先端部(押圧部74)が軸支部73よりも起立壁52側に位置し、押圧部材71による閉じ操作が弾発的に完了する。そのため、受け部材51と挟圧部材61との間にカーテン31,35を配置し、押圧部材71を受け部材51側に傾倒させることにより、受け部材51と挟圧部材61の挟圧壁64とでカーテン31,35を強固に挟圧又は挟着でき、受け部材51と挟圧壁64とで一対の挟圧部を形成できる。また、閉じ状態から押圧部材71を逆方向に回動して開状態に戻すことにより、カーテン31,35の挟圧又は挟着を容易に解除できる。そのため、シートの取付及び交換作業を円滑に行うことができるとともに、カーテン31,35の挟圧又は挟着位置も容易に修正できる。さらに、カーテン31,35に装着孔や装着孔を補強するための補強部(ハトメ部)を形成しなくても、第2のランナー41の取り付けユニット47でカーテン31,35を挟圧又は挟着できる。従って、レール部材30にランナー41を走行自在に配置した状態で、カーテン31,35を簡便かつ効率よく取付又は交換でき、開閉式間仕切り構造を簡単な操作で形成できる。
このような開閉部材及び間仕切りユニットでは、レール部材30に沿って開閉部材(一対の対向部材1,11)を移動させ、一対の軟質マグネット部材9,19の磁気的吸着力を利用して、他方の対向部材11に対して一方の対向部材1が位置ずれすることなく、閉鎖時の閉じ音を低減しつつ、所定の空間をカーテン31,35で円滑に仕切ることができる。しかも、第1のランナー21の取り付けが容易であるだけでなく、押さえ部材およびネジ部材を用いることなく、ステープラ(ホッチキス)などにより側端部に厚肉部33,38を簡便かつ簡単に形成できるとともに、厚肉部33,38を形成したカーテン31,35を抜け止め凹部6,16に簡便かつ容易に取り付けることができる。さらに、対向部材1,11および開閉部材が横断面において対称な構造を有しているため、部品点数を低減できるだけでなく、開閉部材および開閉構造の構造を簡素化できる。さらには、取り付けユニット47の挟圧又は挟着機構を利用して、レール部材30に沿って走行可能な第2のランナー41をカーテン31,35に簡単に取り付けることができる。
[対向部材]
一対の対向部材は、マグネット部材の装着凹部(断面コ字状装着壁)と、第1のランナーの装着部と、間仕切りシート(開閉シート)の抜け止め凹部(抜け止め凹部壁)とを備えていればよく、筒状(円筒状、柱状など)、板状などの種々の棒状体であってもよい。例えば、前記対向部材の断面形状は、円形状、楕円形状、多角形状[三角形状、四角形状(正方形状、長方形状など)、五角形状、六角形状など]などであってもよい。一対の対向部材は、通常、棒状の長尺部材である場合が多いものの、間仕切り空間(又は用途)によっては長さが短い短尺部材であってもよい。
また、前記対向部材(特に、移動可能な対向部材)は、中実状であってもよいが、軽量化するためには中空状であるのが有利である。なお、前記対向部材は、一部に中空部を有していてもよいが、全体が中空状である場合が多い。前記一対の対向部材は、それぞれ、異なる材料で形成されていてもよく、同じ材料で形成されていてもよい。前記一対の対向部材は、木材、プラスチックなどで形成してもよく、強度の面から、アルミニウムなどの金属で形成してもよい。
さらに、対向部材において、マグネット部材の装着凹部(断面コ字状装着壁)の開口周縁部と、抜け止め凹部(抜け止め凹部壁)の開口周縁部とを周壁部で接続し、この周壁部を、断面リング状(円形状、楕円形)又は断面多角枠状(コ字状、三角枠状、四角枠状など)の形態に形成してもよい。
また、対向部材の横断面形状(対向部材の長手方向に対して直行する方向の断面形状)は、非対称構造であってもよいが、対称構造であるのが有利である。横断面形状が対称な構造は、少なくとも一方の対向部材(特に、第1のランナーにより可動な対向部材)が有していればよく、双方の対向部材が有していてもよい。この対称構造は、部品点数を低減し、かつ構造を簡素化できる限り特に制限されないが、開閉方向を中心線として、対称であるのが好ましい。例えば、マグネット部材の装着部位(例えば、前記装着壁の幅方向の中央部)と間仕切りシートの取り付け部位(例えば、抜け止め凹部の幅方向の中央部)とを結ぶ線を中心にして、前記対向部材は横断面形状が対称形状に形成されているのが好ましい。さらに、後述するように、対向部材(特に、可動な対向部材)は、開閉操作のための操作壁又は操作部を備えていてもよい。
[装着凹部及びマグネット部材]
互いに対向可能な一対の対向部材の対向面にはそれぞれ長手方向にマグネット部材が装着可能な装着凹部(又は装着凹部壁)が形成されている。装着凹部(又は装着凹部壁)は、一対の対向部材の対向面に長手方向(又は縦方向)に形成され、例えば、一対の対向部材の両端部を残して長手方向に延びて形成してもよく、部分的に(例えば、長手方向に沿って離散して)形成してもよいが、通常、一対の対向部材の長手方向(又は軸方向)に沿って全長に亘り形成する場合が多い。装着凹部の断面形状は、マグネット部材が装着可能である限り特に制限されず、例えば、断面コ字状、断面多角形状(三角形状、四角形状など)であってもよい。マグネット部材は、装着凹部に対して嵌合、係合などの形態で装着してもよいが、開閉部材の組み立て操作を簡単にするためには、装着凹部に対して摺動可能に装着するのが好ましい。好ましい装着凹部は、マグネット部材が対向面の方向(開閉方向)に移動するのを規制するため、開口部が狭まったアリ溝状(例えば、断面台形状、断面コ字状、階段状の凹部など)、通常、アリ溝状の断面コ字状装着凹部として形成できる。
本発明では、一方の対向部材の軸線に対して第2の対向部材の軸線がずれたり交差又は傾斜していても、自己修復的に確実かつ正確に軸線を一致させて磁着させるため、一対の対向部材の装着凹部に、それぞれ、幅方向にS極及びN極の2極のみを隣接させ、かつ互いに反対の磁極を向けて第1及び第2のマグネット部材を装着するのが重要である。すなわち、前記一方の対向部材(又は前記装着凹部)の幅方向に異なる磁極(N極及びS極)を隣接させて第1のマグネット部材を配設し、他方の対向部材(又は前記装着凹部)の幅方向にも異なる磁極(N極及びS極)を隣接させて第2のマグネット部材を配設させる。そして、前記一対の対向部材の対向面で、反対の磁極(N極に対してはS極、S極に対してはN極)を向けて第1及び第2のマグネット部材を対向させると、閉じ操作において、確実に位置決めしつつ開閉部材を閉じることができる。
さらに、開閉部材の長さ方向に軸線を一致させて確実かつ精度よく閉じるためには、第1及び第2のマグネット部材を長手方向に沿って装着することも重要である。すなわち、マグネット部材は、対向部材の長手方向に散在させて(例えば、対向部材の長手方向に複数のマグネット部材を間隔をおいて規則的に又は非規則的に)配設してもよいが、マグネット部材の配設部位での磁気的吸着力が弱く、一対の対向部材を緊密に閉止できない場合がある。これに対して、対向部材の長手方向に沿って所定長さで第1及び第2のマグネット部材を配設すると、磁極により一対の対向部材の軸線を確実に揃えつつ閉止できる。そのため、対向部材の長さ方向の適所にマグネット部材を所定の長さ(例えば、対向部材の長さの50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上の長さ)で配設するのが好ましく、特に、対向部材の全長又はほぼ全長に亘り(例えば、長手方向の両端部を除き、全長に亘り)マグネット部材配設すると、一対の対向部材を全長に亘り軸線を一致させて緊密に閉止できる。
マグネット部材は、金属の磁石類で形成してもよいが、加工性に優れ、軽量で長細又は細幅状に形成でき、閉じ音を低減するため、軟質マグネット部材で形成するのが好ましい。軟質マグネット部材(ゴム磁石部材、又はラバーマグネット部材)は、磁性粉体と、樹脂、特に軟質樹脂(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、合成ゴムなど)とを含んでいる。
本発明は開閉部材が片開き方式(一方の対向部材が固定され、一方の方向に開く方式)、及び開閉部材が両開き方式(左右両方向に開閉できる方式)のいずれにも適用でき、双方の対向部材にマグネット部材(特に、軟質マグネット部材)が配設されていてもよい。
なお、マグネット部材は装着凹部から突出している必要はなく、装着凹部(装着凹部壁)の両端部とほぼ同一面又は装着凹部(装着凹部壁)よりも内部位置にマグネット部材の表面を位置させてもよい。マグネット部材の磁力を有効に利用するためには、マグネット部材は、装着凹部(装着凹部壁)とほぼ同一面又は装着凹部(装着凹部壁)から突出しているのが好ましい。通常、第1および第2のマグネット部材は、前記一対の対向部材の対向面に長手方向に延びるアリ溝状の装着凹部に摺動可能に装着され、かつ装着凹部(装着凹部壁)から突出している。
また、マグネット部材の対向面は、平坦であってもよく、凹凸形状を有していてもよく、必要であれば、吸着音を低減するため、少なくとも一方のマグネット部材の対向面は樹脂(軟質樹脂など)などで被覆又はコーティングしてもよい。
前記マグネット部材を装着凹部に誤った方向に装着するのを防止するため、マグネット部材及び/又は対向部材(装着凹部を含む)(特に、少なくともマグネット部材)には、マーカーを付してもよく、このマーカーは磁極(N極及びS極)と装着方向又は装着位置と関連させて付してもよい。
[レール部材、装着部、及び第1及び第2のランナー]
[レール部材]
レール部材又はガイド部材は、第1及び第2のランナーが走行可能である限り、開閉空間又は間仕切り部位に応じて、直線状であってもよく、湾曲していてもよい。さらに、必要であれば、レール部材は、閉じた枠状(多角枠状、リング状、又はループ状など)の形態で配設してもよい。レール部材は、開閉部材がレール部材に沿って自動的に移動する程度に傾斜していてもよく、僅かに傾斜して配設してもよいが、通常、開閉部材がレール部材に沿って自動的に移動しない程度にほぼ同じ高さ位置で、横方向(対向部材の長手方向に対して直交する横方向に)又は水平方向に延びて配設できる。すなわち、傾斜することなく、ほぼ同じ高さ位置で延びて(横方向に直線的に延びて)配設されている。なお、レール部材は、高さ方向に対して前後方向には湾曲していてもよい。
レール部材又はガイド部材の構造は特に制限されず、スリット状通路を有する断面中空状であってもよく、ランナーの走行ユニット(例えば、ローラ部(ロール部又は車輪部))が走行又は転動可能な走行路を有している場合が多く、この走行路は、断面中空レール部材又はガイド部材では、長手方向に延びるスリット状開口部(スリット状通過路)の両側部に形成してもよく、両側壁から外側に延出させて形成してもよい。
[対向部材の装着部、第1のランナーなど]
レール部材に吊り下げた状態で、対向部材を移動又はスライドさせるため、少なくとも一方の対向部材の頂部(又は上部)にはレール部材に沿って移動又はスライド可能な第1のランナーが取り付けられる。第1のランナーは、一対の対向部材のうち少なくとも可動な対向部材(開閉操作する対向部材)に取り付ければよく、他方の対向部材は、壁、柱などの固定部に固定された部材であってもよく、双方の対向部材が、互いに近接又は離反する方向に移動可能(又はスライド可能)な部材であってもよい。第1のランナーを装着するための装着部は、開閉方式に応じて、少なくとも一方の対向部材(第1のランナーにより可動の対向部材)の頂部(又は上部)に形成すればよい。すなわち、第1のランナーを介してレール部材に吊り下げられた状態で開閉部材を開閉するため、片開き方式では一方の対向部材(可動の対向部材)の頂部(又は上部)に形成すればよく、両開き方式では互いに対向する双方の対向部材の頂部(又は上部)に形成すればよい。
好ましい態様では、第1のランナーの装着部(又は装着孔部)は、第1のランナーの吊り下げ部の形態に応じて、マグネット部材の装着凹部(又は装着凹部壁、装着壁)に隣接(開閉方向に隣接)して、例えば、装着孔部壁として形成でき、前記装着部には、第1のランナーの吊り下げ部が装着可能(例えば、第1のランナーが揺動可能な形態で装着可能)である。第1のランナーの装着部(又は装着孔部)は、対向部材の成形とともに形成するため、軸方向に貫通して延びる空孔を形成する装着孔部壁で形成できる。
第1のランナーは、レール部材又はガイド部材に沿って走行可能であり、かつ前記対向部材に対して取り付け可能な取り付け部を有していればよく、第1のランナーの構造は特に制限されない。例えば、第1のランナーは、レール部材に沿って走行可能な走行ユニットと、この走行ユニットを前記対向部材に取り付けるために取付部材(吊り下げ部)とで構成できる。走行ユニットは、通常、レール部材上を移動又は滑走可能なスライド部材(特に、レール部材上を転動可能な転動部材(ローラ部又は車輪部)など)と、このローラ部を回転可能に軸支する軸部と、この軸部を回転可能に支持する支持部(支持フレーム部)とを備えている。転動部材(ローラ部又は車輪部)は1つ又は一対のローラ又は車輪で形成してもよく、ベアリングで構成してもよい。支持部(支持フレーム部)は、前記軸部の軸芯方向の中央部(一対のロール部又は車輪部の間)に限らず、軸部の両側部を回転可能に支持してもよい。また、支持部の形態は特に制限されず、上方に逆U字状又はコ字状の形態で突出するアーチ状などの形態であってもよく、支持部の下部には、軸部や吊り下げ部が取り付け又は係止可能な取り付け部位(取り付け座、係止座など)を有していてもよい。
取付部材(吊り下げ部)は、走行ユニットに対して回動可能及び/又は揺動可能に取り付けることができ、走行ユニットと取付部材(吊り下げ部)とをチェインなどの線状連結部材で連結してもよい。好ましい態様では、走行ユニット(又は前記支持部又は支持フレーム部)と取付部材(吊り下げ部)との間には前記回動部材及び/又は前記揺動部材が介在している。すなわち、走行ユニットは、通常、支持部に抜け不能な形態で遊嵌して周方向に回動可能に取り付けられた回動部材(軸部)と、この回動部材に揺動可能に取り付けられた揺動部材(リング部)とを備えており、この揺動部材(リング部)に取付部材(吊り下げ部)が取り付けられる。回動部材は、通常、軸状又は棒状の回転軸部材の形態を有し、走行ユニット(又は前記支持部又は支持フレーム部)の軸芯を中心として、前記支持部(又は支持フレーム部)の下部に取り付けられる。
揺動部材は、回動部材から垂下して揺動可能であればよく、例えば、前記回動部材の下部に形成した貫通孔を利用して揺動部材を揺動可能に装着してもよい。揺動部材は、通常、リング状の形態(例えば、多角枠状、通常、円形枠状、楕円形枠状、四角枠状)を有していてもよい。
取付部材(吊り下げ部)は、揺動可能な形態で対向部材の上部(又は頂部)に取り付けられ、取付部材(吊り下げ部)は、断面U字状又はコ字状に限らず、少なくとも下部が板状であってもよく、対向部材の装着孔部壁に形成した孔部に対して係合可能な鈎状(又はフック状)などであってもよい。また、取付部材(吊り下げ部)は、装着孔部壁に形成された被係合部[突起又は凹部(又は孔部)など]に対して係合可能な係合部[凹部(又は孔部)、凸部など]を有していてもよい。さらに、取付部材(吊り下げ部)は、装着孔部壁を跨いで外壁に沿って装着してもよい。好ましい態様では、取付部材(吊り下げ部)は、装着孔部壁の内壁内に装着する場合が多い。
なお、対向部材に対する第1のランナーの取り付けは、前記のようにネジ部材に限らず、対向部材の装着孔部壁及び第1のランナーの取付部材(吊り下げ部)に形成した孔部を貫通可能なピンなどを用いてもよく、前記のように、鈎状部や、凹部(又は孔部)と凸部とを利用した係合機構を利用してもよい。
なお、可動な対向部材の下部は、レール部材によりスライド可能に支持されていてもよい。例えば、対向部材の下部(又は下端面)にレール部材に沿ってスライド又は転動可能なランナー又はローラ部材を取り付けてもよい。
さらに、一対の対向部材は、レール部材に沿って互いに相対的に対向面が離反又は近接する方向へ移動又はスライド可能であればよく、他方の対向部材に対して、一方の対向部材が相対的にスライド可能であればよい。すなわち、他方の対向部材が固定部(壁部、柱部、天井部及び床部など)に固定され、この固定された他方の部材に対して、一方の対向部材が移動又はスライド可能であってもよく、一対の対向部材が互いに移動又はスライド可能であってもよい。一対の対向部材の対向面は、移動又はスライドにより、開閉方向に対して直行する方向(摺接する形態で側壁が対向する形態、又は対向部材が互いに重なり合う形態)で対向してもよいが、通常、対向面が互いに突き合わせ状態で近接又は離反する。
[第2のランナー]
第2のランナーは、レール部材に沿って走行可能な走行ユニットと、この走行ユニットに取り付けられ、かつシートの上部に取り付け可能な取り付けユニットとを備えていてもよい。なお、前記走行ユニットは、前記第1のランナーの前記走行ユニットと同様に構成でき、転動部材(ロール部又は車輪部)、軸部、支持部(支持フレーム部)とで構成でき、走行ユニットと取り付けユニットとの間には、前記と同様の回動部材(軸部材)及び/又は前記揺動部材(リング部材)が介在していてもよい。
取り付けユニットは、シートに取り付け可能であればよく、シートの孔部に係合可能なフック部材(S字状の係合部材、鈎状、U字状フック部材、開閉ピンなどで開閉可能な開閉部を有する長円状などのリング部材など)で形成してもよい。好ましい取り付けユニットは、シートにハトメ加工などを施すことなく、簡単な取り付け操作でシートに取り付けるため、シートを挟圧又は挟着機能により取り付け可能な挟着機構、例えば、開方向から閉じ方向にバネにより付勢され、シートを吊り下げた状態で挟圧又は挟着可能な少なくとも一対の挟圧部を備えた挟着機構を備えている。
前記取付ユニットは、例えば、一対の挟持部材が閉じ方向に付勢された挟圧又は挟着部材、例えば、洗濯ばさみ、ダブルクリップなどと称される挟圧又は挟着部材で構成してもよい。シートを強固に挟圧又は挟着するため、取付ユニットは、前記揺動部材が装着可能であり、かつシートが配置(又はシートを受け入れ)可能な受け部材と、この受け部材に係合(例えば、一方の端部が係合)し、かつ押圧に伴って先端部で前記シートを挟圧可能な挟圧部材と、前記受け部材に対して回動可能(開閉可能)に取り付けられ、かつ回動(開閉操作)に伴って前記挟圧部材を受け部材方向に押圧可能な押圧部材とを備えているのが好ましい。
受け部材は、前記構造に限らず、挟圧部材とともに一対の挟圧部を形成すればよい。受け部材は、挟圧部材を回動可能に取り付けるため、挟圧部材に対する装着孔を有しており、通常、一方の端部に形成された起立壁に装着孔が形成されている。この装着孔の高さ位置は特に制限されないが、挟圧部材の先端部を開放してシートの配置又は受け入れを容易にするため、通常、起立壁の下部に形成する場合が多い。また、支持壁部を必ずしも必要ではないが、受け部材には、挟圧部材を支持するための挟圧部材の先端部を開放させるため、支持壁部(前記装着孔の上部内壁と同じ又は上部内壁よりも高い位置に形成した支持壁部)を形成するのが有利である。さらに、受け部材には、押圧部材を回動可能に支持又は軸支するため、支持壁部よりも先端部側の両側部に形成された側壁部と、この両側壁部に形成された軸支孔とを備えているのが好ましい。この軸支孔の高さ位置は、前記支持壁部と同じ又は支持壁部よりも高いのが好ましい。
さらに、取付ユニットには揺動部材を不動状に装着又は取り付けてもよいが、揺動部材を揺動自在(又はリング部材が摺動及び揺動自在)に装着するのが好ましい。特に、揺動部材は、取付ユニットに遊嵌して揺動自在(摺動及び揺動自在)に装着可能なリング部材で構成するのが好ましい。例えば、受け部材の前記起立壁(一方の端部に形成された起立壁)の両側部に、揺動部材としてのリング部材が遊嵌して摺動可能な切り欠き部(コ字状又はU字状切り欠き部など)を形成し、この切り欠き部にリング部材を装着することにより、取付ユニットに揺動部材としてのリング部材を取り付けてもよい。
挟圧部材は、前記受け部材に対して回動するための支点を形成する場合が多く、通常、前記受け部材の装着孔(例えば、起立壁の装着孔)に係合又は装着可能な支点突出部を有している。また、前記受け部材の支持壁部で支持するため、挟圧部材は、両側方に翼状に延び、かつ前記支持壁部で支持可能な支持突出部を有している場合が多い。さらに、挟圧部材は、受け部材と関連してシートを挟圧又は挟着するため、先端部に挟圧部とを備えており、この挟圧部の先端部(挟持面)は、シートに対する抜け止め性を高めるため、凹凸加工してもよく、凹凸状又は歯状に形成してもよい。
挟圧部材は、バネ弾性を利用して回動(挟圧又はその解除)操作を円滑にするとともに強固にシートを挟圧又は挟着するため、バネ変形可能な部材(例えば、板状のバネ部材)であるのが好ましい。このようなバネ部材を用い、挟圧部材の一方の端部を受け部材に係合させ、他方の端部(先端部)を持ち上げた状態で受け部材の支持壁部で支持し、押圧部材の押圧解除操作(挟圧部材の一方の端部側への回動操作)をすると、バネ弾性により、挟圧部材の他方の端部(先端部)が弾発的(バネ)に起きあがり、受け部材と挟圧部材との一対の挟圧部が迅速に開放する。開放した一対の挟圧部の間にシートを配置し、押圧部材の閉じ方向に回動させると、挟圧部材の挟圧部でシートを挟圧でき、押圧部材を伏倒させると、押圧部材が開方向へ回動するのを規制しつつ、挟圧部材の挟圧部でシートを強固に挟圧又は挟着できる。そのため、シートの取付又は交換作業を円滑に行うことができる。
なお、挟圧部材の断面形状は特に制限されず、平板状であってもよく、受け部材との係合部よりも前方域(先端部側)が押圧部材側に近づく方向に湾曲又は屈曲した形状であってもよい。例えば、挟圧部材は、受け部材との係合部よりも前方域(先端部側)に形成された被押圧部と、この被押圧部よりも前方域に形成され、前記押圧部材側に近づく方向に湾曲又は屈曲して形成された傾斜壁部と、この傾斜壁部の先端部で受け部材側に屈曲又は下降する挟圧壁とを備えていてもよく、この挟圧壁には歯状の挟圧部を形成してもよい。また、被押圧部は平坦である場合が多く、傾斜壁部と挟圧壁との間には傾斜壁部から被押圧部とほぼ平行に延びる延出部が介在していてもよい。
押圧部材は、前記受け部材に対して回動自在であり、かつ前記挟圧部材を押圧可能であればよい。例えば、押圧部材は、回動操作に伴って挟圧部材を押圧するため、カム機構を備えていてもよい。
押圧部材は、通常、前記受け部材の軸支孔に回動自在に装着可能な軸支部と、この軸支部を中心とする閉じ操作に伴って閉じ状態で前記挟圧部材(少なくとも挟圧部材の被押圧部)を押圧可能な押圧部(押圧壁)とを備えている。また、通常、軸支部と押圧部(押圧壁)との間は、回動操作するための操作部を形成している。この押圧部は押圧部材の一方の端部が屈曲又は湾曲して形成され、挟圧部材を押圧するのに適した高さの押圧壁である場合が多い。この押圧部(押圧壁)の形状は、下部(挟圧部材と接する側)が湾曲した湾曲形状に限らず、下部が平坦な形状、下部が凹凸した形状などであってもよい。
さらに、押圧部(押圧壁)は、閉じ状態において(又は操作部に対して)、垂下(例えば、受け部材に対する軸支部又はこの軸支部よりも少し一方の端部側(起立壁側)から垂下)していてもよく、一方の端部(受け部材の起立壁方向)又は先端部(他方の端部)方向に傾斜していてもよい。好ましい態様では、押圧部(押圧壁)は、垂下しているか、若しくは一方の端部(受け部材の起立壁方向)に傾斜している。押圧部(押圧壁)がこのような形態で傾斜していると、閉じ状態で回動する押圧部(押圧壁)の先端部が最下部(垂下部)に位置するとき最も強い押圧力が作用し、最下部を通過すると、押圧部の先端部が軸支部よりも起立壁側に位置し、押圧部材による閉じ操作が弾発的に完了するとともに、押圧部が開方向へ回動するのを規制できる。
受け部材と挟圧部材との間には、シートの密着性を高め、取付ユニットからのシートの脱落を防止するため、ゴム部材(又はクッション材)、滑り止め部材などを配設してもよい。
さらに、歯状の挟圧部は必ずしも必要ではないが、挟圧部を歯状又は凹凸状に形成することにより、シートの脱落を有効に防止できる。受け部材の先端部を挟圧部材よりも前方位(他方の端部側)に位置させ、受け部材の先端部に挟圧部材側に向いた歯状部(歯状の挟圧部)を形成してもよく、挟圧部材の先端側は、前記と同様に、受け部材側に屈曲させて挟圧壁を形成してもよく、この挟圧壁の先端部には歯状の挟圧部(歯状部)を形成してもよい。すなわち、受け部材の歯状部を、挟圧部材の歯状の挟圧部よりも前方位(他方の端部側)に位置させ、2つの歯状部でシートの異なる位置を挟圧又は挟着してもよい。
歯状の挟圧部は、受け部材及び挟圧部材の適所に形成することができ、受け部材の周壁(周壁の一部(1又は複数箇所)又は全周壁)に形成してもよい。歯状の挟圧部は、少なくとも挟圧部材の先端部に受け部材側に向けて形成してもよい。さらに、挟圧部材及び受け部材の双方に歯状の挟圧部を形成する場合、互いに噛み合わせ可能な位置及び形態に形成してもよい。例えば、挟圧部材及び受け部材の先端部に、互いに向き合って歯状部を形成してもよい。
第2のランナーは、例えば、以下のようなランナーであってもよい。
(1)開方向から閉じ方向にバネにより付勢され、シートを挟圧可能な少なくとも一対の挟圧部を備えている第2のランナー、
(2)走行ユニットに対して回動可能に取り付けられた回動部材と、この回動部材に対して揺動可能に取り付けられた揺動部材と、この揺動部材に取り付けられ、かつシートを挟圧して吊り下げた状態で取り付けるための取付ユニットとを備えており、前記取付ユニットが、前記揺動部材が装着可能であり、かつシートが配置可能な受け部材と、この受け部材に係合し、かつ押圧に伴って先端部で前記シートを挟圧可能な挟圧部材と、前記受け部材に対して回動可能に取り付けられ、かつ回動に伴って前記挟圧部材を押圧可能な押圧部材とを備えている第2のランナー、
(3)取付ユニットが揺動部材に対して揺動自在に装着されている第2のランナー、
(4)揺動部材が、取付ユニットに遊嵌して揺動自在に装着可能なリング部材で構成されている第2のランナー、
(5)受け部材が、一方の端部に形成された起立壁と、この起立壁の両側部が切り欠かれた切り欠き部とを備え、揺動部材が、前記切り欠き部に揺動自在に装着されたリング部材で構成されている第2のランナー、
(6)受け部材が、一方の端部に形成された起立壁と、この起立壁に形成された装着孔と、この装着孔よりも先端部側の両側部に形成された支持壁部と、この支持壁部よりも先端部側の両側部に形成された側壁部と、この両側壁部に形成された軸支孔とを備えており、挟圧部材が、前記起立壁の装着孔に係合可能な支点突出部と、両側方に延び、かつ前記支持壁部で支持可能な支持突出部と、先端部に形成された歯状の挟圧部とを備えており、押圧部材が、前記受け部材の軸支孔に回動自在に装着可能な軸支部と、この軸支部を中心とする閉じ操作に伴って前記挟圧部材を押圧可能な押圧部とを備えている第2のランナー、
(7)挟圧部材が、受け部材との係合部よりも前方域に形成された被押圧部と、この被押圧部から前方域に形成され、前記押圧部材側に近づく方向に湾曲又は屈曲して形成された傾斜壁部と、この傾斜壁部の先端部で受け部材側に屈曲又は下降する挟圧壁と、この挟圧壁に形成された歯状の挟圧部とを備えており、押圧部材が、閉じ状態で少なくとも挟圧部材の被押圧部を押圧可能な押圧部を備えている第2のランナー、
(8)受け部材に、シートと接触して挟圧部材により挟圧可能なゴム部材又は滑り止め部材が配設されている第2のランナー、
(9)挟圧部材よりも受け部材の先端部が前方位に位置し、かつ受け部材の先端部に挟圧部材側に向いた歯状部が形成されている第2のランナー、
(10)挟圧部材及び受け部材の先端部に、互いに向き合って歯状部が形成されている第2のランナー、
(11)挟圧部材が、バネ変形可能な部材である第2のランナー。
[抜け止め凹部及び間仕切りシート(開閉シート)]
抜け止め凹部(抜け止め凹部壁)は、少なくとも一方の対向部材に形成でき、かつ間仕切りシート(開閉シート)を抜け止め状態で取り付け可能であればよい。抜け止め凹部(抜け止め凹部壁)は、開閉又は移動不能な固定された他方の対向部材(例えば、天井部及び床部などの固定部に取り付けられた対向部材)に形成してもよいが、少なくとも開閉可能な可動の対向部材に形成する場合が多い。
抜け止め凹部(抜け止め凹部壁)は、対向部材の対向面に対して反対側の側壁に形成でき、通常、前記側壁から延出して形成できる。抜け止め凹部(抜け止め凹部壁)は、断面形状を対称形状とするため、対向部材の開閉方向に対して直行する幅方向の中央部に形成するのが有利である。
抜け止め凹部(抜け止め凹部壁)は、例えば、対向部材の側壁から延出する一対の規制壁によりスリット状に形成でき、この一対の規制壁は、対向部材の軸方向(縦方向又は長手方向)に連続して又は間隔をおいて形成できる。好ましい態様では、抜け止め凹部(抜け止め凹部壁)は、対向部材の軸方向(縦方向又は長手方向)に沿って延びる一対の延出規制壁(又は舌片状規制壁)によりスリット状に形成できる。また、抜け止め凹部(抜け止め凹部壁)は、通常、第1のランナーの装着孔部壁に隣接して形成できる。
抜け止め凹部(抜け止め凹部壁)の形態は、間仕切りシート(開閉シート)の挿入を許容し、間仕切りシートの抜けを規制する形態、すなわち、間仕切りシートを抜け止め状態で取り付け可能である限り特に制限されず、前記側壁から延出する一対の延出規制壁(又は舌片状規制壁)などで形成できる。例えば、抜け止め凹部に間仕切りシートの端部を挿入した状態で、一対の規制壁(抜け止め凹部壁)間で間仕切りシートの抜けを規制してもよく、間仕切りシートの抜けには、例えば、一対の規制壁(抜け止め凹部壁)を貫通する貫通部材(ピンやネジ部材、ボルトなど)、他方の規制壁に対して間仕切りシートを押圧又は挟圧する部材(例えば、一方の規制壁に螺合可能な螺合部材など)などを利用できる。
間仕切りシートを簡便かつ容易に装着するためには、少なくとも先端部で間仕切りシートを係止可能な形態、例えば、先端部が狭まった一対の規制壁で形成でき、先端部は湾曲して又は屈曲して狭まっていてもよい。特に、間仕切りシートの側端部に厚肉部(肉厚な抜け規制部)を形成し、この厚肉部を一対の規制壁間に挿入すると、抜け止め凹部から厚肉部の抜けを一対の規制壁で規制でき、間仕切りシートの開閉方向(横方向)への抜けを有効に規制又は防止できる。
このような厚肉部(肉厚な抜け規制部)は、種々の態様で形成でき、間仕切りシートの側端部に沿って縦方向に連続して形成してもよく、間隔をおいて複数の肉厚部を形成してもよい。さらに、厚肉部は、例えば、間仕切りシートの側端部を折り畳んで折り畳み状態を固定した折り畳み部で形成してもよく、間仕切りシートの側端部に取り付け可能な細幅又はストリップ状の細状体又は帯状体などで形成できる。この細状体又は帯状体は、剛性又は硬質であってもよく、可撓性又は軟質であってもよく、布帛、プラスチック、金属などで形成してもよい。細状体又は帯状体は、通常、可撓性又は軟質である場合が多く、例えば、軟質塩化ビニル樹脂、オレフィン系樹脂などの軟質又は可撓性樹脂で形成してもよい。
細状体による厚肉部は、例えば、細状体又は帯状体を、前記ステープルや縫合(ステッチなど)などの機械的方法、接着剤による接着などの化学的方法、熱圧着や融着などの熱的方法などの種々の方法で間仕切りシートに取り付けることにより形成できる。
さらに、細状体又は帯状体は、厚肉部を有している必要はないが、間仕切りシート(開閉シート)に対する取り付け作業性などを改善するため、厚肉部に隣接して薄肉部を有していてもよく、厚肉部から薄肉部には厚みが連続的に又は段階的に変化していてもよい。薄肉部を利用すると、前記機械的方法、熱的方法などで間仕切りシートに細状体を容易に取り付けることができる。特に、ステープラ(ホッチキス)を利用して、ステープルで薄肉部を間仕切りシート(開閉シート)に簡便かつ容易に綴じて取り付けることができる。
さらに、前記厚肉部を形成する場合、間仕切りシートの上端部(側端部の上端部)には、間仕切りシートが抜け止め凹部で下方へ位置ずれするのを規制するためのストッパー部材を取り付けてもよい。このストッパー部材は、抜け止め凹部(抜け止め凹部壁)と係合又は掛合可能な形態であればよく、通常、間仕切りシートに対する取り付け部と、抜け止め凹部(抜け止め凹部壁)に対する係合又は係合部位とを有している。例えば、ストッパー部材は、断面L字状、断面T字状、断面マッチ棒状(抜け止め凹部の内径よりも大きな頭部とこの頭部から垂下する薄肉部とを有する断面形状)などの形態を有していてもよい。ストッパー部材も細状体と同様の機械的方法(ステープラにより綴じる方法など)、化学的方法、熱的方法などを利用して間仕切りシートに取り付けることができる。
本発明の開閉部材は、対向部材と、マグネット部材を装着するための装着凹部と、吊り下げ部を装着するための装着部と、間仕切りシート(開閉シート)を取り付けるための抜け止め凹部とで構成でき、間仕切りユニット(又は間仕切りセット)は、前記開閉部材に加えて、マグネット部材と、第1のランナーと、間仕切りシート(開閉シート)とで構成できる。間仕切りユニット(又は間仕切りセット)は、通常、第1のランナーを移動又はスライド可能に配設するためのレール部材を備えている。また、前記のように、ストッパー部材(例えば、厚肉部を形成するための細状体及び/又は間仕切りシートの下方へ位置ずれするのを規制するための上部ストッパー)を備えていてもよい。間仕切りユニット(又は間仕切りセット)は、第1のランナーが走行可能に配設されるレール部材又はガイド部材を備えており、種々の開閉構造を簡便に構築できる。
このような開閉構造は、対向部材の装着凹部にマグネット部材を装着するとともに、対向部材の抜け止め凹部に間仕切りシートを抜け止め状態で取り付け、第1のランナーの吊り下げ部を対向部材の装着部に装着し、間仕切り空間に配設されたレール部材又はガイド部材に第1のランナーを走向自在に配設することにより構築できる。なお、各部材の装着又は取り付け順序は特に制限されず、例えば、装着凹部にマグネット部材が装着され、抜け止め凹部に間仕切りシートが取り付けられた対向部材の装着部に、レール部材に走行自在に配設された第1のランナーの吊り下げ部を装着してもよい。
さらに、開閉構造は、前記間仕切りユニット(又は間仕切りセット)を種々の態様で用いて構築でき、前記開閉部材を構成する一対の対向部材のうち少なくとも一方の部材が、マグネット部材が装着可能な装着凹部(装着壁)に加えて、第1のランナーが装着可能な装着部と間仕切りシートが取り付け可能な抜け止め凹部とを備えていればよく、他方の対向部材は、マグネット部材が装着可能な装着凹部(装着壁)を備えていてもよい。例えば、開閉操作部(又は開閉空間)の少なくとも一方の端部(壁部や柱部などの閉じ側端部)に他方の対向部材を固定してもよく、この他方の対向部材の対向面(一方の対向部材との対向面)には、マグネット部材が装着可能な装着凹部(装着壁)を形成してもよい。また、開閉操作部(又は開閉空間)の途中部に、他方の対向部材を立設し(例えば、天井壁及び/又は床などに上端及び/又は下端を固定して立設し)、この他方の対向部材のうち開閉方向の両対向面(他方の対向部材の一方の側に配設された第1の対向部材と対向する第1の対向面と、他方の対向部材の他方の側に配設された第2の対向部材と対向する第2の対向面)にはマグネット部材が装着可能な装着凹部(装着壁)を形成してもよい。
このような開閉構造では、第1のランナーを介して、横方向に延びるレール部材(特に横方向に延びるレール部材)から縦方向に懸垂した状態で、少なくとも一方の対向部材が、前記レール部材に沿って移動又はスライド可能であり、開閉部材の開閉シートにより所定の空間を開閉可能である。
対向部材(特に、可動な対向部材)は、開閉操作のための操作壁又は操作部を備えていてもよく、間仕切りシートの側端部又は側縁部には肉厚部を有する部材を取り付けてもよい。
図5は、本発明の開閉部材及び開閉構造の他の例を示す概略分解斜視図である。なお、前記図1乃至図4と同様の部材又は要素には同一の符号を付して説明する(以下、同じ)。
この例では、一方の対向部材(可動な対向部材)81は、第1の軟質マグネット部材9を長手方向(縦方向)に沿って装着するためのアリ溝状の装着凹部2を形成する断面コ字状装着壁3と、この装着壁に隣接して軸方向に貫通して延びる空孔で形成され、かつ第1のランナー21の吊り下げ部27が装着可能な横断面四角形状の装着孔部84(又は装着孔部壁85)と、この装着孔部壁に隣接して、かつ先端部が狭まった形態で延出する一対の延出規制壁87a,87bで形成されたスリット状抜け止め凹部86とを備えており、スリット状抜け止め凹部には間仕切りシート31が抜け止め状態で取り付けられる。装着孔部84には、前記と同様に、第1のランナー21の吊り下げ部27がネジ部材29で揺動可能に取り付けられている。
このような対向部材81の一対の延出規制壁87a,87b(又は装着孔部壁85の両側壁)からは側方に操作壁88a,88bが翼状に延出し、操作部を形成している。さらに、一方の対向部材81の下端部には、前記装着孔部84に嵌合可能な嵌合凸部89を有し、かつ対向部材81の下端部の開口部を閉塞可能な下部キャップ部材90が嵌合して装着されている。また、一方の対向部材81は横断面形状が対称構造を有している。
さらに、間仕切りシート31の側端部には、ストッパー部材40が取り付けられ、このストッパー部材は、間仕切りシート31の側端部の上端部に取り付け可能な断面T字状の上部ストッパー40aと、このストッパーの下部に位置する間仕切りシート31の側端部に取り付け可能な抜け規制ストリップ(可撓性細状体又は帯状体)32とを備えている。上部ストッパー40aは、一方の対向部材81の上端面と係止又は掛止可能な天板状頂部40bと、この天板状頂部から下方に延びる下部シート部(頂部から延びる薄肉部)40cとを有している。また、抜け規制ストリップ(可撓性細状体又は帯状体)32は、前記と同様に、厚肉部(肉厚な抜け規制部)33を有する薄肉状の可撓性プラスチックで形成され、厚肉部33に隣接して薄肉部34を有しており、この薄肉部と上部ストッパー40aの下部シート部(頂部から延びる薄肉部)40cは、前記と同様に、ステープラを用い、ステープル39により間仕切りシート31に簡便に取り付け可能である。
一方、他方の対向部材91は、壁部又は柱部92に固定され、板状の形態を有している。すなわち、他方の対向部材91は、一方の対向部材81との対向面(又は対向部)に、上記と同様の構造のアリ溝状の装着凹部12を有する断面コ字状装着壁13で形成されており、この装着凹部12には第2の軟質マグネット部材19が長手方向(縦方向)に沿って装着される。なお、他方の対向部材91も横断面形状が対称構造に形成されている。
このような構造において、閉鎖した開閉部材において、一方の対向部材81の操作壁88a,88bを開方向に牽引すると、操作壁88a,88b及び一方の対向部材81には捻り力が作用し、固定された他方の対向部材91の第2の軟質マグネット部材19に対して、第1の軟質マグネット部材9の磁気的吸着力を容易に開放できる。すなわち、一対の軟質マグネット部材9,19の磁気的吸着力は対向方向に対しては強いものの、斜め方向からの牽引力(又は引離力)に対しては弱く、しかも一対の軟質マグネット部材9,19の吸着面の側部が一旦開くと、軟質マグネット部材9,19の磁気的吸着力が急激に低下する。そのため、閉じ操作では軟質マグネット部材9により長手方向に沿って緊密に閉じることができるとともに、開操作では、軟質マグネット部材9による磁気的吸着力を容易に開放できる。
なお、開閉操作のための操作壁又は操作部は、必ずしも必要ではないが、対向部材に対してネジなどの取り付け手段により取り付けてもよく、対向部材と一体に成形して形成してもよい。操作壁又は操作部は、開閉操作可能であれば対向部材の適所に形成でき、例えば、対向部材の側壁(装着孔部壁及び/又は抜け止め凹部壁)に形成できる。また、操作壁又は操作部は、指が係止可能又は把持可能な形態であればよく、対向部材の側壁に窪ませて又は前記側壁から側方に延出させて形成できる。例えば、操作壁又は操作部は、凹凸部(突起又は突片状、凸条、凹溝状)などのほか、L字状、U字状又はアーム状、フラップ状などの形態であってもよく、取っ手状の把持部(把持部又は取っ手など)であってもよい。さらに、対向部材の長手方向に沿って1又は複数の操作壁又は操作部を形成してもよく、操作壁又は操作部は、対向部材の長手方向の適所に、又は長手方向に連続して形成してもよく、長手方向に間隔をおいて形成してもよい。さらには、操作壁又は操作部は、対向部材の一方の側壁(又は側面)に形成してもよく、対向部材の両側壁(又は両側面)にそれぞれ形成してもよい。
また、下部キャップ部材を用いることなく、マグネット部材は、固定手段(ネジ、ビスや留め具などの機械的手段、粘着剤などの化学的手段など)などで装着凹部壁に取り付け(又は位置決め固定し)て装着してもよいが、通常、脱落防止手段により装着凹部からの脱落を防止してもよい。脱落防止手段は、対向部材の長手方向の少なくとも下端部、特に両端部に配設又は取り付けてもよい。例えば、脱落防止手段は、対向部材の下端部に装着可能な保持部材(キャップ部材など)で構成し、間仕切りシート(開閉シート)が下方へ脱離するのを防止してもよい。保持部材(キャップ部材など)は、装着孔部に限らず、対向部材の下端部の適所(例えば、アリ溝状の装着凹部、装着孔部(装着部)、抜け止め凹部)に嵌合可能な嵌合凸部又は差し込み部を有していてもよく、対向部材の下端部の周縁部全体に対して嵌合可能であってもよい。下部キャップ部材は、嵌合機構に限らず、種々の取り付け機構、例えば、ネジなどによる螺着機構などを利用して取り付けてもよい。
装着凹部にマグネット部材を保持するため、対向部材の長手方向の上端部には、固定部材や保持部材(上部ストッパーなど)を取り付けてもよい。
図6は、本発明の開閉部材及び開閉構造のさらに他の例を示す概略断面図である。この例では、前記図1及び図2に示すのと同様の構造を有する一対の対向部材(可動な第1の対向部材)1,1の間には、第3の対向部材(基準対向部材)101が固定して立設され、一方の第1の対向部材1と第3の対向部材(基準対向部材)101とで一対の対向面(対向部)を形成し、他方の第1の対向部材1と第3の対向部材(基準対向部材)101とで一対の対向面(対向部)を形成している。この例では、第3の対向部材(基準対向部材)101は、中空円筒状に形成され、2つの第1の対向部材1との対向面(又は対向部)には、それぞれ、第3のマグネット部材(軟質マグネット部材)109a,109bを長手方向(縦方向)に沿って装着するため、上記と同様の構造のアリ溝状の装着凹部102a,102bを有する断面コ字状装着壁103a,103bが形成されている。第3の対向部材(基準対向部材)101の横断面形状も対称構造を有している。
このような構造でも、第1の対向部材1に対して、間仕切りシート31を簡便かつ容易に取り付けることができるとともに、第1のマグネット部材9及び第3のマグネット部材109a,109bを、前記と同様の磁極の組合せの形態で、各装着凹部2,102a,102bに装着することにより、確実かつ精度よく第3の対向部材(基準対向部材)101に対して、第1の対向部材1を磁気的に吸着させることができる。特に、第3の対向部材(基準対向部材)101を基準として、各第1の対向部材1に取り付けられた間仕切りシート31で所定の空間を仕切ることができる。
なお、第3の対向部材又は基準対向部材101は、中空円筒状に限らず、前記のように、種々の棒状体の形態で使用できる。また、基準対向部材に3以上の複数の対向面(対向部)を形成すると、基準対向部材を中心として放射状などの形態で複数の対向部材(例えば、3〜6の対向部材)を配設することができる。例えば、断面四角形状の基準対向部材に隣接する3つの対向面を形成すると、基準対向部材を基点として断面T字状の形態で空間を仕切ることができ、4つの対向面を形成すると、基準対向部材を基点として断面十字状の形態で空間を仕切ることができる。そのため、基準対向部材は断面多面体の形状に形成してもよい。
このように、一対の対向部材が、互いに対向面で対向可能な基準対向部材及び第1の対向部材(可動な対向部材)を備えている場合、基準対向部材には、周方向に複数の対向面を形成し、この対向面にマグネット部材が装着可能な装着凹部を形成してもよい。また、前記第1の対向部材の対向面にはマグネット部材が装着可能な装着凹部が形成するとともに、第1の対向部材の対向面に対して反対側の側壁には抜け止め凹部を形成してもよい。なお、複数の対向面のうち少なくとも1つの対向面に前記装着凹部を形成した基準対向部材は、立設して固定された他方の対向部材(固定対向部材)を形成することができる。また、基準対向部材は、可動な第1の対向部材に対して固定した対向部材を形成する場合が多い。好ましい態様では、基準対向部材は、断面多角形状(例えば、断面四角形状)に形成され、1又は複数の第1の対向部材に対して対向可能な複数の対向面(特に、基準対向部材のうち、少なくとも隣接する2つの対向面又は少なくとも互いに対向する対向面を含む複数の対向面)を有しており、これらの複数の対向面には前記のように装着凹部が形成されている。
図7は、本発明の開閉部材及び開閉構造の別の例を示す概略断面図である。この例では、断面中空四角形状の第3の対向部材(基準対向部材)111の隣接する4つの側壁(4つの第1の対向部材1との対向面(又は対向部))には、上記と同様に、断面コ字状装着壁103a〜103dが形成され、この装着壁は、第3のマグネット部材(軟質マグネット部材)109a〜109dが長手方向(縦方向)に沿って装着可能なアリ溝状の装着凹部102a〜102dを有している。第3の対向部材(基準対向部材)111の横断面形状も対称構造を有している。このような第3の対向部材(基準対向部材)111を用いると、第3の対向部材(基準対向部材)111を中心として、各第1の対向部材1に装着された間仕切りシート31により、所定の空間を断面十字状の形態で仕切ることができる。
なお、第1の対向部材は、図1及び図2に示す構造に限らず、図3に示す構造の対向部材であってもよく、前記のように、他の構造の対向部材であってもよい。
図8〜図11は、本発明の開閉部材及び開閉構造の別の形態を示している。この例の開閉部材及び開閉構造は、さらに、間仕切り空間の側壁部に取り付け可能な側壁部材121と、間仕切りシート31の側端部(側縁部)に取り付け可能なストッパー部材140と、対向部材の下端部に装着可能な下部キャップ部材151とを備えている。
前記側壁部材121は、ビスなどのネジ部材128により壁面に対して取り付け可能な板状部122と、この板状部から、前記と同様に、先端部が屈曲又は湾曲して狭まった形態で延出する一対の延出規制壁127a,127bとを備えており、この一対の延出規制壁でスリット状の抜け止め凹部126を形成している。
一方、間仕切りシート31の両側端部(両側縁部)には、ストッパー部材140が取り付け可能であり、このストッパー部材は、断面T字状の上部ストッパー141と、このストッパーの下部に位置又は隣接して取り付け可能な抜け規制ストリップ(可撓性細状体又は帯状体)32とを備えている。上部ストッパー141は、可撓性を有するプラスチックで形成され、前記側壁部材121及び対向部材81の上端面と係止又は掛止可能な天板状頂部141aと、この天板状頂部から下方に隣接して延出し、かつ間仕切りシート31の側端部の上部を挟持可能な一対の薄肉状脚部142と、この一対の脚部の一方の側縁部に沿って形成され、前記側壁部材121の抜け止め凹部126及び対向部材81の抜け止め凹部86からの抜けを防止するための厚肉部(肉厚な抜け規制部)143と、この厚肉部の上部(天板状頂部141から延びて)に縦方向に膨出又は突出して厚肉に形成され、抜け止め凹部126,86への圧入に伴って変形可能であり、かつ一対の延出規制壁(127a,127b),(87a,87b)の内壁に対して圧着可能な圧着部144とを備えている。また、可撓性プラスチックの抜け規制ストリップ(可撓性細状体又は帯状体)32は、前記と同様に、薄肉部34と、この薄肉部の一方の側縁に沿って形成された厚肉部33を有しており、抜け止め凹部126,86からの間仕切りシート31の抜けを防止している。
そのため、上部ストッパー140の一対の薄肉状脚部142で間仕切りシート31の上部の側縁部を挟み、一対の薄肉状脚部142と間仕切りシート31とをステープルなどの綴じ部材39で綴じ、抜け規制ストリップ(可撓性細状体又は帯状体)32の薄肉部34と間仕切りシート31とをステープルなどの綴じ部材39で綴じ、前記抜け止め凹部126,86に沿って間仕切りシート31の両側端部(側縁部)をそれぞれ装着又は挿入することにより、抜け止め凹部126,86から間仕切りシート31が下降するのを防止できるとともに、抜け止め凹部126,86から間仕切りシート31が横方向に抜けるのを防止できる。特に、側壁部材121を利用することにより、間仕切り空間の壁面に、簡便かつ容易に間仕切りシート31を抜け止め可能に取り付けることができる。
さらに、対向部材81の下端部には下部キャップ部材151が装着可能である。この例では、下部キャップ部材151は、対向部材81の下端部に下部キャップ部材151を装着した状態でネジ部材156を用いて取り付けられている。前記下部キャップ部材151は、前記対向部材81の平面形状(横断面形状)に対応した底板部152と、この底板部から突出して形成され、前記対向部材81の下端部に嵌合して装着可能な装着部とを備えている。
この装着部は、断面コ字状装着壁3で規定される前記装着凹部2の断面形状に対応して形成された装着部(前記マグネット部材に対応した断面形状の装着部)153と、前記装着孔部84を形成する装着孔部壁85の外壁に装着可能な線状の一対の装着部154a,154bと、前記装着孔部(ランナーの吊り下げ部が装着可能な孔部)84に装着可能であり、かつネジ部材156が前進動可能な断面四角形の枠状嵌合部155とを備えている。この例では、前記枠状嵌合部155は、他の装着部153及び一対の装着部154a,154bよりも高く形成され、ネジ部材156により、装着孔部84に対して強固に装着するため、前記枠状嵌合部155の周壁は湾曲又は屈曲して途中部の幅が狭く形成されている。
そのため、対向部材81の下端部に下部キャップ部材151の装着部を嵌入などの形態で装着し、ネジ部材156を枠状嵌合部155に螺合すると、ネジ部材156の前進動に伴って枠状嵌合部155を横方向へ拡げることができ、対向部材81の下端部に下部キャップ部材151を強固に装着できる。
なお、ストッパー部材は、一方の側縁部に沿って厚肉部(肉厚な抜け規制部)が形成された帯状体(抜け規制ストリップ又は可撓性細状体)のように、間仕切りシートの側端部(又は側縁部)に取り付け可能であり、開閉部材及び/又は上記側壁部材の抜け止め凹部からの間仕切りシートの抜けを規制可能な抜け規制部(前記例示の肉厚部に相当する規制部)だけで構成してもよいが、好ましい態様では、さらに、間仕切りシートが前記抜け止め凹部から下方へ位置ずれするのを規制するための下降規制部(前記例示の天板状頂部に相当する規制部)とを備えている。ストッパー部材は、断面T字状のストッパーと帯状体(抜け規制ストリップ)とを備えていてもよく、断面T字状のストッパーと帯状体(抜け規制ストリップ)とが一体化したストッパー部材(厚肉部が側縁に沿って連続して形成されたストッパー部材)であってもよい。
なお、ストッパー部材は、前記ステープラ(ホッチキス)に限らず、接着、溶着などの一体化手段により、間仕切りシートの側端部(又は側縁部)に取り付けてもよい。
下部キャップ部材は、断面中空状の対向部材の下端部に装着可能な装着部を有し、前記対向部材の下端部の開口部(例えば、少なくともスリット状の抜け止め凹部)を閉塞可能であればよい。図12は下部キャップ部材の他の例を示す概略斜視図であり、この例の下部キャップ部材161では、枠状装着部165が、装着孔部(ランナーの吊り下げ部が装着可能な孔部)84に装着可能な長方形状の枠状に形成されている。
図13に示す例では、下部キャップ部材171は、スリット172aを有する底板部172と、この底板部から突出し、対向部材の下端部に装着可能な装着部とを備えており、この装着部は、対向部材の下端部の開口部(断面四角形状の開口部など)に装着可能な線状の一対の装着部173a,173bと、この一対の装着部から互いに連結する方向に延び、かつ縦方向に形成されたスリットにより中央部で半環状部が対峙(又は対向)する架橋部174a,174bとを備えている。このような下部キャップ部材171では、前記半環状部で形成される半割れ状の環状部175にネジ部材156を螺合することにより、ネジ部の前進動に伴って環状部175を横方向に拡大でき、断面中空状の対向部材の下端部に装着部を緊密に装着可能できる。
なお、下部キャップ部材は、ネジ部材を利用することなく、対向部材の下端部に装着してもよい。また、図13に示されるように、対向部材の下端部に下部キャップ部材の装着部を装着した状態で、横方向からのネジ部材156bにより、下部キャップ部材の装着部と対向部材とを締結又は連結してもよい。さらに、下部キャップ部材は、対向部材(基準対向部材を含む)に限らず、側壁部材の下端部にも装着してもよい。下部キャップ部材は、断面中空状の対向部材及び/又は側壁部材の下端部に装着可能であり、かつネジ部の前進動(螺合又はビス止め)に伴って横方向に拡大可能な装着部を有し、前記対向部材及び/又は側壁部材の下端部の開口部を閉塞可能するのが好ましい。
なお、側壁部材は、前記形態に限定されず、間仕切り空間の側壁部に取り付け可能であり、かつ間仕切りシートの開閉方向に延出する一対の延出規制壁で形成されたスリット状の抜け止め凹部(間仕切りシートを抜け止め状態で取り付け可能な抜け止め凹部)を有していればよく、例えば、図14に示されるように、側壁部材181は、ネジ部材128により壁面に対して取り付け可能な板状部182と、この板状部から、前記装着孔部壁85に対応して、先端部が屈曲又は湾曲して狭まった形態で延出する一対の延出規制壁183a,183bとを備えている。この一対の延出規制壁のうち前記板状部182側は仕切り壁で仕切られ、ランナー21の吊り下げ部27が装着可能な装着孔部84を形成し、一対の延出規制壁183a,183bの先端部はスリット状の抜け止め凹部126を形成している。
側壁部材は、間仕切り空間の側壁部に取り付け可能であればよく、前記ネジ部材に限らず、必要であれば、壁部に対して嵌合形態や係合形態などの種々の形態で取り付けてもよく、接着などにより取り付けてもよい。
開閉部材及び開閉構造は、前記種々の部材、例えば、側壁に取り付け可能な対向部材91、シートが取り付け可能な側壁部材121,181、前記対向部材1,11,81、基準部材101,111などを組み合わせて構築できる。例えば、図15に示されるように、シートが取り付け可能な側壁部材181と、シート及びマグネット部材が取り付け可能な一対の前記対向部材81とを組み合わせて開閉部材及び開閉構造を構築してもよい。このような構造では、間仕切り空間の両側壁に側壁部材181の板状部182を取り付け、側壁部材181の抜け止め凹部126にシート31の一方の端部の厚肉部(図示せず)を挿入し、ランナー(図示せず)を介してレール部材(図示せず)に沿って対向及び離反する方向に移動又はスライド可能な一対の対向部材81の抜け止め凹部86にシート31の他方の肉厚部を挿入することにより構築してもよい。このような開閉部材及び開閉構造では、一対の対向部材81の操作壁88a,88b及びランナーを利用して、シート31を円滑に開閉できる。
また、開閉構造は、間仕切り空間の横方向の開閉に限らず、必要により縦方向の開閉に利用してもよい。縦方向の開閉では、一対のレール部材を縦方向に配設し、対向部材の長手方向の両端部の装着部に装着した第1のランナーを、一対のレール部材にそれぞれスライド可能に配設してもよい。
間仕切りシート(開閉シート)は、樹脂フィルム又はシート(軟質樹脂シートなど)、紙、布帛(織布(カーテンなど)、不織布など)、樹脂含浸布帛などで構成でき、網状体又はネットで構成してもよい。また、間仕切りシートは、屈曲可能に連接された複数のシートやプレート又はパネル(木材板、金属板など)で構成してもよく、折り畳み式に展開(伸長)又は収納(収縮)可能なシートやパネルで構成してもよい。間仕切りシートは、透明、半透明又は不透明な樹脂フィルム又はシート、布帛などで形成する場合が多く、メッシュ状又はネット状(網目状)などの網状体で形成してもよい。特に、ステープラ(ホッチキス)により、厚肉部を形成するための抜け規制ストリップ(細状体又は帯状体)及びストッパー部材を間仕切りシート(開閉シート)に取り付けるのが好ましい。
必要であれば、間仕切りシートは、開閉方向の適所(1又は複数箇所)にて、間仕切りシートの途中部を補強支持部材で挟持して支持してもよい。