JP2015036107A - 相似構造を有する血管内治療用ハイブリッドステント - Google Patents

相似構造を有する血管内治療用ハイブリッドステント Download PDF

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真弘 小嶋
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康彦 酒井
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史人 新井
恵子 入江
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恵子 入江
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Abstract

【課題】フローダイバータ同等の血流改変効果をもち、かつコイル塞栓術アシスト用のステントのようにメッシュの隙間からコイルを塞栓可能なハイブリッド型の動脈瘤治療デバイスを提供する。【解決手段】相似構造2を有する血管内治療用ハイブリッドステント1はコイルを留置する為のマイクロカテーテルを挿入する隙間を持ち、留置後のコイル塞栓が可能となっている。さらに、相似構造を有する血管内治療用ハイブリッドステントは、フローダイバータと同等の血流改変効果をもち、さらにメッシュに相似構造を有することにより、メッシュを通過した血流が大小様々な渦を形成しながら乱流を生成し、お互いの渦が干渉し合う事により、逆流を抑える新たな効果が得られる。【選択図】図1

Description

本発明は、図形の全体と一部が自己相似となっている相似構造を有する血管内治療用ハイブリッドステントと呼ぶ、血流の整流効果を有する構造と、動脈瘤などに対して、コイルなどを用いて治療するための構造との、ハイブリッド型の血管内治療ステントに関する。
従来まで脳動脈瘤用の血流改変効果を持つフローダイバータは留置後に、例えば金属製のワイヤであるコイルを塞栓する事はできなかったが、本発明の相似構造を有する血管内治療ステントは、血流改変効果を持ち、かつ留置後のコイル塞栓が可能となる。
さらに、心臓拡張時において、従来のフローダイバータでは瘤内で血流の逆流が起こっていたが、本発明の相似構造を有するステントシートでは、逆流を抑える新たな整流効果を得ることが可能となる。
例えば、脳動脈瘤は、大きさが数mm程度の瘤が脳血管にできる症状である。従来は主に、頭部切開によりクリッピングと呼ばれる方法により治療が行われてきたが、頭部切開に伴う患者への負担は大きく、手術時に周辺組織を損傷するリスクが高く、この場合術後の後遺症の発生率が高いことが問題であった。
そこで、血管内治療において、カテーテルという細いチューブ状の治療器具を用いて、コイルと呼ばれるプラチナ等の柔らかい金属製のワイヤで脳動脈瘤を塞栓する低侵襲の治療が広く行なわれるようになってきている。
一方で、ステントと呼ばれる、一般的に金属でできた管腔内部を広げるための医療機器が、例えば、冠動脈の血栓の治療などにおいて、閉塞した血管を拡張し、血管内腔の血流を確保する目的として利用されている。
前記のコイルと前記のステントを併用し、特に動脈瘤の付け根部分が広く広がっているWide neck動脈瘤治療において、金属製のワイヤが脳動脈瘤内部から外へ流出するのを防ぐ目的でステントを併用したステントアシストのコイル塞栓術が行われている。
例えば、国内では、ステントをコイルと併用して使用することを前提として、2010年7月からEnterpriseと呼ばれる頭蓋内血管専用ステントが、また2012年11月からNeuroformと呼ばれる未破裂脳動脈瘤用のステントが使用可能となった。
しかしながら、コイルとステントを併用するため、手術が高度となり、手術に伴うリスクが高まるということと、また術後に塞栓したはずのコイルが血流から力を受けて変形し、瘤内に血流が流入する事により、動脈瘤の再発や動脈瘤の破裂を引き起こす事が報告されている。
また、ステントはWide neck動脈瘤治療のコイル塞栓術の補助的手段のひとつとして登場してきたが、欧米においては、その後の研究開発により、ステントはむしろ補助的ではなく、それ自体が主たる治療手段となりつつある。これは、ステントをコイルの親血管迷入予防のための垣根ではなく、血管壁の一部として用いることにより血流を改変する(フローダイバータ)という、まったく異なった治療概念に基づいている。
フローダイバータとして、欧米で2000年後半から臨床応用されているPipelineが挙げられる。これは、25%プラチナと75%のコバルト合金のワイヤでできた管状のもので、これのみで計算上は動脈瘤頚部を30−35%覆うことになる。
フローダイバータを用いた治療では、コイルを瘤内に留置せずに、動脈瘤内に流入する血流が減少し血栓化を生じさせる事とともに、血管内皮が増殖するための足場としても機能することを目的としている。
しかしながら、欧米におけるPipelineを用いた脳動脈瘤治療は、良好な治療結果が報告される一方、近年、治療後の経過において、動脈瘤からの遅発性の頭蓋内出血や血栓塞栓症を併発することも報告されている。
また、上記のフローダイバータの構造に類似するものとしては、例えば公知技術であるステントが挙げられる(例えば特許文献1〜3参照)
特許文献1では、中間部が密に編まれた筒状の編組体により構成されたステントが開示している。編組体が密に編まれているがマイクロカテーテルが挿入できる隙間が無く、本発明とは異なる。
特許文献2では、互いに編み組まれた第一素線群と第二素線群とからなるステントであって動脈瘤への血液の流れ込みを抑制することができるステントを開示している。編組体が編まれているが構造が2組の編組体からなりメッシュの構造が一様であるため、本発明とは異なる。
特許文献3では、2種類の編組密度の異なる編組体からなる脳動脈瘤へ血液が流れ出ることを防止し、かつ適正位置に長期間保持することができるフローダイバータを開示している。編組体が密に編まれているがこれも、マイクロカテーテルが挿入できる隙間が無く、本発明とは異なる。
特許文献4では、再狭窄の成長を抑制することができるステントとして第1次ステント構造体に接続され、当該第1次ステント構造体の第1次繰り返し単位に比べて略相似形状に小さい第2次繰り返し単位を持つ第2次ステント構造体とを少なくとも有するステントを開示している。狭窄治療用のステントであり、血流改変効果を目的としたデバイスでないという事で本発明と異なる。
米国特許第7763011号明細書 特開2012−223209号 特開2013−135794号 特開2001−238964号
フローダイバータは不整型(紡錘状)動脈瘤やWide neck動脈瘤の治療において、コイルを使用せずに瘤内の血栓化を促進できる利点を有しているが、近年、治療後の経過において、動脈瘤からの遅発性の頭蓋内出血や血栓塞栓症を併発することも報告されている。
フローダイバータを留置後に発生する、頭蓋内出血の原因は明らかではないが、瘤内の血栓形成段階において瘤壁内部でのWSS(Wall shear stress;ずり応力)が著しく減少することによる壁変性に起因しているという説、また、フローダイバータを留置後の瘤内圧の上昇説などが推察されている。
フローダイバータであるPipelineでは、原則としてコイルを用いず、血流改変のみで瘤の血栓化を促すことは前提である。実際、フローダイバータであるPipelineの構造上、頭蓋内血管専用ステントであるEnterpriseと比較して、メッシュが大変密なため、メッシュを通してのマイクロカテーテルの瘤内への挿入は困難である。
一方で、頭蓋内血管専用ステントであるEnterpriseも血流改変効果を有することが報告されており、一部の小さな動脈瘤で頭蓋内血管専用ステントであるEnterpriseを留置することのみにより瘤の血栓化により瘤が消失した報告があるが、完治には至っていない。
また、治療手技の上で、動脈瘤頸部に複数の頭蓋内血管専用ステントであるEnterpriseを重ね合わせて留置する治療技術があるが、この方法では、治療の操作が煩雑となり、手術に伴うリスクが高くなると共に、特に血栓塞栓症や血管破裂、さらにステントのずれなどの合併症を誘発する危険が高まる。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねてきた結果、次なる構成の本発明に想到した。相似構造を有することで、血流改変効果を有し、かつメッシュを通してマイクロカテーテルも挿入可能でコイルを留置できる、ハイブリッド型の血管内治療用ステントを考案した。
本発明に係るステントは、生体の管腔内に留置される略円筒形状のステントであって、複数の隙間が形成され、ステントの外形形状を規定する第1次ステント構造体と、前記第1次ステント構造体に接続され、当該第1次ステント構造体の第1次繰り返し単位に比べて略相似形状に小さい第2次繰り返し単位を持つ第2次ステント構造体とを少なくとも有する。
前記第1次ステント構造体または第2次ステント構造体の隙間には、前記第2次繰り返し単位に比べて略相似形状に小さい第3次繰り返し単位を持つ第3次ステント構造体を配置してもよい。また、同様にして、第4次以降の繰り返し単位を持つ高次のステント構造体を配置しても良い。
好ましくは、前記第1次ステント構造体の隙間の内の少なくとも一つには、前記第2次ステント構造体または第3次構造体が配置されていない貫通孔が形成してあっても良い。
なお、第1次ステント構造体に対し、何ら関係のない高次の微細構造を単に接続しただけでは、ステントを拡張したときに、第1次ステント構造体の変形により、高次の微細構造に過度の変形を与えることになり、高次の微細構造が破壊に至るおそれがある。これに対して本発明では、第1次ステント構造体には、当該第1次ステント構造体の第1次繰り返し単位に比べて略相似形状に小さい第2次以降の繰り返し単位を持つ高次ステント構造体を接続し、いわゆるフラクタル構造を実現する。そのため、本発明に係るステントでは、ステントを拡張したときに、第1次ステント構造体の変形に追随して、高次ステント構造体も、同じ変形率で変形し、高次ステント構造体に過度の変形を与えることがなくなる。そのため、ステントは、適度な柔軟性を持ち、半径方向にスムーズ且つ均一に拡張する。
しかも、本発明のステントの拡張後には、マイクロカテーテルが挿入可能な隙間の繰り返しパターンが存在する事により、スムーズなコイル塞栓が可能となる。
相似構造として自然界に存在する、いわゆるフラクタル構造をステントに採用することで、留置後であってもマイクロカテーテルを挿入してコイル塞栓が可能である。
また、この血管内治療用ハイブリッドステントは脳動脈瘤内への血流を低減し、親動脈への血流を誘導する血流改変効果をもち効率的な動脈瘤内の血栓化を促す事が期待される。
さらに、拍動周期後半の血流量減少時における動脈瘤内の血流の逆流を低減する効果を持ち、フローダイバータ留置後に発生する瘤の破裂を抑制し、動脈瘤内部の血栓化を促すことが期待できる。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。図1は本発明の実施形態に係るステントの全体1の側面図を示す。図1(a)の3がマイクロカテーテルなどの血管内治療用デバイスが通過可能な孔であり、斜線部分2は高次の相似構造が占める領域となっている。図1(b)は図1(a)の一部を拡大した図である。
図1に示すように、本実施形態に係るステントは、生体の管腔内に留置される円筒形状のステントであって、マイクロカテーテルなどの血管内治療用デバイスが通過可能な孔3と2次以上の高次の微細な相似構造を有する領域2からなる。図1の場合は、領域2は、3次の微細な相似構造からなる例を示す。
孔3は均等な間隔に配置されているが、例えば一つ置き等の不均等な配列パターンで配置しても良い。
第1次繰り返し単位の第1次代表幅L1は、特に限定されないが、たとえば100〜200μm程度である。第1次代表幅L1に対する第2次繰り返し単位の代表幅L2の相似比(L2/L1)は、特に限定されないが、好ましくは0.4〜0.6である。また、第2次代表幅L2に対する第3次繰り返し単位8bの代表幅L3の相似比(L3/L2)は、特に限定されず、相似比L2/L1と同じでも異なっていても良い。第4次以上も同様であり(L4/L3)は、特に限定されず、相似比L3/L2と同じでも異なっていても良く、以下同様である。
線材の横断面は、特に限定されず、円形、矩形、その他の形状でも良い。線材の線径は、第1相似構造を構成する線材の線径に対して、前記相似比(L2/L1またはL3/L2)と同程度の割合で細いことが好ましい。ステント2の全体の寸法は、使用目的などに応じて適宜決定され、特に限定されないが、たとえば脳動脈治療用に用いる場合には、拡張時の外径は、好ましくは2〜4mm、軸方向長さは10〜40mmである。また、末梢血管内治療用ステントの場合には、拡張時の外径は、好ましくは3〜10mm、軸方向長さは15〜40mmである。また、大動脈治療用ステントの場合には、ステント2の拡張時の外径は、好ましくは5〜30mm、軸方向長さは30〜100mmである。
図2(a)は本発明の異なる種類の相似構造が複数存在する場合のステントの全体4の側面図である。3つの異なる相似構造5、6、7が円筒状の領域に分割された形で存在している。
なお、円筒状に分割された領域は2つ以上であってもよいし、全ての領域の相似構造が異なる必要は無い。
図2(b)は本発明の異なる種類の相似構造が複数存在する場合のステントの全体8の側面図である。2つの異なる相似構造9、11が局所的に存在し残りの部分10を別の相似構造が占めている。
なお、局所的に存在する相似構造の領域は2つ以上であってもよいし、全ての領域の相似構造が異なる必要は無い。
図3(a)は3角形からなる相似形状12を示している。図3(b)は4角形からなる相似形状13を示している。図3(c)は6角形からなる相似形状14を示している。相似形状としての第一次形状は多角形であれば、特に限定されない。
図3(d)は楕円形状からなる相似形状15を示している。相似形状としての第一次形状は円形であれば、特に限定されない。
図3(e)は直線と曲線の組み合わせで構成される相似形状の一例16を示している。直線と曲線の組み合わせであればどのような形状でもよい。
図3(f)は曲線のみの組み合わせで構成される相似形状の一例17を示している。曲線のみの組み合わせであればどのような形状でもよい。
第一次相似構造と二次以上の相似構造を構成する材質および異なる相似形状を有するステントの領域5、6、7、9、10、11を構成する材質は、製造の容易性などの観点からは、全て同じ材質で構成してあることが好ましいが、異なる材質で構成しても良い。材質としては、特に限定されず、ステンレス、ニッケル、チタン、タンタル、コバルト、白金、金、またはこれらの合金などが用いられる。ただし、金属は、一般に生体内でイオンを溶出し、これが金属炎症反応やアレルギーの原因となる。そこで、ステントを構成する金属の表面は、コーティング層で被覆することが好ましい。
コーティング層としては、ポリエチレンなどのオレフィン類、ポリイミドやポリアミドなどの含窒素ポリマー、シロキサンポリマーなど、医療用として用いられる通常のポリマーなどが用いられる。また、コーティング層としては、ポリマーに限定されず、炭化珪素、パイロライトカーボンやダイアモンドライクカーボンなどのカーボンなど、無機物のコーティング層であっても良い。
材質としては、生体吸収性、生体親和性の材料で構成しても良い。
さらに、ステント2の表面を、親水化処理しても良いし、ステント2の表面に、酵素や生体成分、あるいは再狭窄を防止する薬剤を固定しても良い。
ステントの製造方法は、特に限定されず、機械加工法、レーザによるチューブ状素材の切削法、エッチング法などが例示され、特にエッチング法が好ましい。具体的には、まず、製品寸法の数十倍以上の大きな原図を作製し、この原図を用いて感光用の原版を作製する。次に、ステントの原材料となる金属チューブに感光架橋型レジストをコーティングし、先に作製した原版をフォトマスクとして用い、縮小投影露光装置により露光を行い、原版のパターンをレジストに転写する。その際には、金属チューブを回転しながら露光する。その後は、通常の方法により、レジストの未架橋部分を溶出させ、レジスト上にフラクタル構造のパターンを作り、エッチングにより金属チューブの不要な金属部分を除去し、フラクタル構造のステントを製造する。
または、ステントの製造方法として、次の方法を採用しても良い。すなわち、マンドレルに感光架橋性レジストをコーティング後、上記と同様な方法で露光を行い、レジスト上にフラクタル構造のパターンを作った後、無電解メッキ法、CVD法により、マンドレルの外周面に金属を析出させ、マンドレルを引き抜くことで、フラクタル構造のステントを得ても良い。
実際での、円筒状のステントの拡張方法は、バルーンにステントをマウントしカテーテルを通して、動脈瘤の部位において圧力をかけてバルーンを膨らませてステントを拡張し、留置する方法と、ステントの弾性を利用した自己拡張力を利用して拡張する方法があり、どちらの方法でもよい。なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
相似構造を有する血管内治療用ステントとして、図4(a)18および図4(b)25に示すように、相似構造のパターンを一定間隔で並べる事により設計した。ステンレスSUS430をフォトリソグラフィでフラクタル構造パターンを転写し、金属エッチングによって成形されたステンレスから成る金属製のシートからなる。シートの厚みは50μmとした。実際に作製したシートを図4(a)23および図4(b)25に示す。円筒の表面積全体に対し、金属部分が占める割合を被覆率と定義すると、共に20.6%となっている。第1次代表幅L1に対する第2次繰り返し単位の代表幅L2の相似比(L2/L1)および第2次代表幅L2に対する第3次繰り返し単位8bの代表幅L3の相似比(L3/L2)はともに0。5となっている。
図4(a)に示される第一次相似構造22は中央にマイクロカテーテルが通過できる四角の隙間を有し、第二相似構造23、第三次相似構造24と連結するパターンを一定間隔で並べる事でメッシュ構造となっており、FractalAと呼ぶ。一方、図4(a)25に示されるフラクタル構造はマイクロカテーテルが通過できる隙間は、第一次相似構造26の内部に第二次相似構造27に連結された形で、4つの第三次相似構造28が連結され、フラップのような動きで上下に動く事でマイクロカテーテルが通過する径を確保する事ができる。
本実施形態に係るステント18および22では、第1次相似構造には、当該第1次相似構造の第1次繰り返し単位に比べて略相似形状に小さい第2次以降の繰り返し単位を持つ高次ステント構造体を接続し、いわゆるフラクタル構造を実現している。そのため、本実施形態に係るステント32および34では、ステントを拡張したときに、第1次相似構造の変形に追随して、高次ステント構造体も、同じ変形率で変形し、高次ステント構造体に過度の変形を与えて容易に破壊に至る事は無い。
ステント22ではマイクロカテーテルが通過する孔が高次の相似構造体がフラップのように開く事で確保される。これにより、血流改変効果を持ちつつマイクロカテーテルが通過できる両面の機能を持つこととなっている。
比較検討の為に既に、臨床で使われているコイル塞栓アシスト用のステントデザインを有するステントシート1種類とフローダイバータ2種類を上記の作製方法と同様に作製した。
ステント図5(a)は、既に臨床で使われているEnterpriseと呼ばれるコイル塞栓アシスト用のステントのメッシュ単位のデザインと実際に作製した金属シート26を示す概略図である。位相差のある三角関数からなる曲線を互い違いに配置し、二つの曲線の間をスプライン曲線で結ぶデザインとなっている。円筒の表面積全体に対し、金属部分が占める被覆率は7.0%となっている。
図5(b)は、フローダイバータのメッシュ単位のデザインと実際に作製した金属シート27を示す概略図である。メッシュの繰り返し単位のデザインは菱形である。円筒の表面積全体に対し、金属部分が占める被覆率はFractalAおよびFractalBと同じ20.6%となっている。
図5(c)は、フローダイバータのメッシュ単位のデザインと実際に作製した金属シート28を示す概略図である。メッシュの繰り返し単位のデザインは菱形である。円筒の表面積全体に対し、金属部分が占める被覆率は31.0%となっている。
図6に、本発明のハイブリッドステントの効果を確認するための粒子画像計測法による実験環境の概略図を示す。水槽38内部をグリセリン水溶液で満たし、内部にシリコン製の動脈瘤模擬モデル37を配置した。動脈瘤模擬モデル37の瘤の付け根部分には、ステントシート36を配置した。シリコン製の動脈瘤模擬モデルには、拍動ポンプ29を通して、血流の拍動を再現した流れをバルブ39の流量調整により流入させることができる。流量は、流速計33及び圧力センサ32により、調整した。この流体の流速を、粒子画像流速測定法(Particle Image Velocimetry,PIV)により、取得するために、レーザ源34から、レーザ光35を照射し、高速度カメラ30で流体中の励起した蛍光粒子の軌跡を、画像処理用コンピュータ31を用いて解析した。
図7に、シリコンゴム製の動脈瘤モデルを用いた、動脈瘤断面の流速ベクトル分布の実験結果を示す。Tは時間を示し、拍動を与えた瞬間を0sとし、T=8.0s時に1拍動が終了する条件において実験を行った。つまり、1拍動の周期は、T=8.0sとした。また拍動流を流した時の血流量ピーク時T=2.0sおよび血流量減少時T=6.0sにおける流速ベクトルの分布を示す。
図7(a)の結果より、ステントシートを入れていないControl時には血流量ピーク時T=2.0sで平均流速は50mm/s程であった。また、金属被覆率7.0%の図7(c)のEnterpriseの血流量ピーク時T=2.0sでの平均流速は40mm/s程であり明確な違いは見られなかった。しかしながら、金属被覆率20.6%の相似構造を有するハイブリッドステントFractalA、FractalBおよびフローダイバータSilkと金属被覆率31.0%のフローダイバータPipelineは図7(e)、(g)、(j)、(k)に示されるように、血流量ピーク時T=2.0sでの平均流速は10mm/s以下に低減され血流の改変効果がフラクタル構造を有するハイブリッドステントとフローダイバータに存在し、両者にほとんど差が無い結果が得られた。
またフラクタル構造を有するステントシートは、内径1.2mmのマイクロカテーテルが挿入可能なように内径が確保された構造が連続しており、ステント留置後にコイルによって塞栓する事も可能となっている。
ステントシートを留置しないControl時において、図7(b)の血流量減少時T=6.0sにおける流速ベクトルの分布の結果より瘤内部の血流が反時計回りをしているが、血流減少時のT=7.0sにおいてフローダイバータのSilkとPipelineの場合は図8(a)、(b)に示されるように時計回りに逆流を始める。逆流の流速は金属被覆率20.6%のSilkの方が金属被覆率31.0%のPipelineより強い事が確認できた。
一方で、フラクタル構造を有するステントシート(FractalB)を挿入した場合においては図8(c)に示されるように、瘤内部で大小様々なスケールの渦が発生する事により、逆流が抑制されるというフラクタル構造特有の新たな効果が確認できた。FractalAについても同様の結果が確認できている。したがって、フラクタル構造を有するステントシートは瘤内部の流れの速度及び逆流を抑える事が可能な構造となっている。
図9(a)は、本発明のフラクタル構造を有する血管内治療用ハイブリッドステントを動脈瘤に留置する前の概略図である。留置前において、親動脈40から流れ込む流入血液42は、動脈瘤41で親動脈側の血液の流れ43と動脈瘤内部への血液の流れ44に分岐し、動脈瘤内部を循環した流れ44と合流する事で流出側45へと流れ出ていく。
図9(b)は留置した後の動脈瘤の血流の変化とマイクロカテーテル46、本発明のハイブリッドステント47とコイル48の位置関係を示す概略図である。この図で示されるように、本発明のハイブリッドステント47はマイクロカテーテル46を通過可能な隙間を持ち、留置後であってもコイルで塞栓可能となっている。さらに、フラクタル構造のメッシュを有する事で、大小様々なスケールの渦構造を発生させ、動脈瘤内部の血流を停滞させ血液の流速を抑えるとともに、動脈瘤内への流入血流量減少時において無数の渦の存在により逆流が抑制される効果が得られる。
図1は本発明の相似構造を有する血管内治療用ハイブリッドステントの全体の概略図および相似構造の一例の詳細図である。図1(a)の3がマイクロカテーテルなどの血管内治療用デバイスが通過可能な孔であり斜線部分は高次の相似構造が占める領域となっている。図1(b)は図1(a)の一部を拡大した図である。 図2(a)は本発明の異なる種類の相似構造が円筒状に分割された形で複数存在する場合の他の実施形態の概略図である。図2(b)は本発明の異なる種類の相似構造が局所的に複数存在する場合の他の実施形態の概略図である。 図3は、本発明の相似構造の他の種類の概略図である。図3(a)は3角形からなる相似形状を示している。図3(b)は4角形からなる相似形状を示している。図3(c)は6角形からなる相似形状を示している。図3(d)は楕円形状からなる相似形状を示している。図3(e)は直線と曲線の組み合わせで構成される相似形状の一例を示している。図3(f)は曲線のみの組み合わせで構成される相似形状の一例を示している。 図4(a)は、本発明の相似構造を有する血管内治療用ハイブリッドステントのメッシュ単位のデザインと実際に作製した金属シートの一例を示す概略図である。図4(b)は、本発明の相似構造を有する血管内治療用ハイブリッドステントのメッシュ単位のデザインと実際に作製した金属シートの一例を示す概略図である。 図5(a)は、既に臨床で使われているステントのメッシュ単位のデザインと実際に作製した金属シートを示す概略図である。図5(b)は、フローダイバータのメッシュ単位のデザインと実際に作製した金属シートを示す概略図である。図5(c)は、フローダイバータのメッシュ単位のデザインと実際に作製した金属シートを示す概略図である。 は、本発明のハイブリッドステントの効果を確認するための粒子画像計測法による実験環境の概略図を示す。 図7(a)は、血流量増加時T=2.0sにおける、ステント無しの状態での動脈瘤内部の血流速度ベクトルの分布を示す。図7(b)は、血流量減少時T=6.0sにおける、ステント無しの状態での動脈瘤内部の血流速度ベクトルの分布を示す。図7(c)は、血流量増加時T=2.0sにおける、コイル塞栓アシスト用ステントシート(Enterprise)を留置した際の動脈瘤内部の血流速度ベクトルの分布を示す。図7(d)は、血流量減少時T=6.0sにおける、コイル塞栓アシスト用ステントシート(Enterprise)を留置した際の動脈瘤内部の血流速度ベクトルの分布を示す。図7(e)は、血流量増加時T=2.0sにおける、フローダイバータ(Silk)を留置した際の動脈瘤内部の血流速度ベクトルの分布を示す。図7(f)は、血流量減少時T=6.0sにおける、フローダイバータ(Silk)を留置した際の動脈瘤内部の血流速度ベクトルの分布を示す。図7(g)は、血流量増加時T=2.0sにおける、フローダイバータ(Pipeline)を留置した際の動脈瘤内部の血流速度ベクトルの分布を示す。図7(h)は、血流量減少時T=6.0sにおける、フローダイバータ(Pipeline)を留置した際の動脈瘤内部の血流速度ベクトルの分布を示す。図7(i)は、血流量増加時T=2.0sにおける、ハイブリッドステント(FractalA)を留置した際の動脈瘤内部の血流速度ベクトルの分布を示す。図7(j)は、血流量減少時T=6.0における、ハイブリッドステント(FractalA)を留置した際の動脈瘤内部の血流速度ベクトルの分布を示す。図7(k)は、血流量増加時T=2.0sにおける、ハイブリッドステント(FractalB)を留置した際の動脈瘤内部の血流速度ベクトルの分布を示す。図7(l)は、血流量減少時T=6.0sにおける、ハイブリッドステント(FractalB)を留置した際の動脈瘤内部の血流速度ベクトルの分布を示す。 図8は、血流量減少時T=7.0sにおける、フローダイバータ(Silk)、よりメッシュの細かいフローダイバータ(Pipeline)、および本発明の相似構造を有するハイブリッドステントBを留置した際の動脈瘤内部の血流速度ベクトルの分布を示す。 図9(a)は、本発明の相似構造を有する血管内治療用ハイブリッドステントを動脈瘤に留置する前、図9(b)は留置した後の動脈瘤の血流の変化とマイクロカテーテル、コイルと本発明のハイブリッドステントの位置関係を示す概略図である。
1 相似構造を有する血管内治療用ハイブリッドステントの円筒部分
2 相似構造が占める領域(円筒斜線部分)
3 マイクロカテーテルが通過可能な孔
4 2種類以上の相似構造を有する血管内治療用ハイブリッドステントの円筒部分
5 相似構造が占める領域(円筒斜線部分)
6 上記5とは異なる相似構造が占める領域(円筒白抜き部分)
7 上記5および6とは異なる相似構造が占める領域(円筒斜線部分)
8 局所的に2種類以上の相似構造を有する血管内治療用ハイブリッドステントの円筒部分
9 円筒部分で局所的に相似構造が占める領域(円筒斜線部分)
10 円筒部分で局所的に相似構造が占める領域(円筒白抜き部分)
11 上記10および11とは異なる相似構造が占める領域(円筒斜線部分)
12 多角形の相似形状の一例
13 粗密な部分の繰り返し形状の一例
14 円形からなる相似形の一例
15 楕円形からなる相似形の一例
16 直線と曲線を有する相似形の一例
17 曲線を有する相似形の一例
18 フラクタル構造を有するステントのメッシュ構造を再現した金属製のシート(FractalA)
19 フラクタル構造を有するステントのメッシュ構造を再現した金属製のシート(FractalA)の第一次相似構造体
20 フラクタル構造を有するステントのメッシュ構造を再現した金属製のシート(FractalA)の第二次相似構造体
21 フラクタル構造を有するステントのメッシュ構造を再現した金属製のシート(FractalA)の第三次相似構造体
22 フラクタル構造を有するステントのメッシュ構造を再現した金属製のシート(FractalB)
23 フラクタル構造を有するステントのメッシュ構造を再現した金属製のシート(FractalB)の第一次相似構造体
24 フラクタル構造を有するステントのメッシュ構造を再現した金属製のシート(FractalB)の第二次相似構造体
25 フラクタル構造を有するステントのメッシュ構造を再現した金属製のシート(FractalB)の第三次相似構造体
26 脳動脈瘤塞栓アシストステントのメッシュ構造を再現した金属製のシート(Enterprise)
27 脳動脈瘤治療用フローダイバータシートのメッシュ構造を再現した金属製のシート(Silk)
28 脳動脈瘤治療用フローダイバータシートのメッシュ構造を再現した金属製のシート(Pipeline)
29 拍動ポンプ
30 高速度カメラ
31 画像処理用コンピュータ
32 圧力センサ
33 流速計
34 レーザ源
35 レーザ光
36 ステントシート
37 シリコン製脳動脈瘤モデル
38 水槽
39 バルブ
40 親脳動脈
41 動脈瘤
42 流入血液方向
43 親動脈側に流れる血液の流れ方向
44 動脈瘤内部へ流入する血液の流れ方向
45 流出血液方向
46 マイクロカテーテル
47 フラクタル構造を有するハイブリッド型ステント
48 動脈瘤塞栓コイル
49 フラクタル構造により生成される大小様々なスケールの渦

Claims (5)

  1. 動脈瘤などの血管疾患の治療のための
    血管内部に留置する治療用の相似構造を有する
    血管内治療用ステント。
  2. 前記、相似構造を有する血管内治療用ステントは
    相似形を繰り返したメッシュ型の構造からなり、
    動脈瘤内への血流を低減し、
    親動脈への血流を誘導する血流改変効果を特徴とする
    請求項1記載の血管内治療用ステント。
  3. 前記、相似構造を有する血管内治療用ステントは
    メッシュを通してマイクロカテーテルなどの血管内治療デバイスを挿入可能で、コイルなどの血管内治療デバイスの留置が可能なことを特徴とする
    請求項1記載の血管内治療用ステント。
  4. 前記、血管内治療用ステントは、
    請求項3および請求項4に記載されている両方の機能を有する
    血管内治療用ハイブリッドステントである事を特徴とする。
  5. 前記、相似構造を有する血管内治療用ステントは
    心臓拡張期において、動脈瘤内部への血流の逆流を低減することを特徴とする
    請求項1記載の血管内治療用ステント。
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