JP2015034284A - 透明ポリプロピレンシート - Google Patents
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Abstract
【課題】 未延伸状態を含めて低温延伸で透明性と物理特性(耐熱性と耐候性)のバランスに優れたポリプロピレンシートを提供する。
【解決手段】 ポリプロピレン100重量部に対して、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも1つの重合体ブロック[B]とからなり、全重合体ブロック[A]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwAとし、全重合体ブロック[B]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が30:70〜60:40であるブロック共重合体の、全不飽和結合の90%以上を水素化したブロック共重合体水素化物0.5〜50重量部を配合してなる樹脂組成物からポリプロピレンシートを得る。
【選択図】 なし
【解決手段】 ポリプロピレン100重量部に対して、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも1つの重合体ブロック[B]とからなり、全重合体ブロック[A]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwAとし、全重合体ブロック[B]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が30:70〜60:40であるブロック共重合体の、全不飽和結合の90%以上を水素化したブロック共重合体水素化物0.5〜50重量部を配合してなる樹脂組成物からポリプロピレンシートを得る。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ポリプロピレンを含有する樹脂組成物からなる、透明ポリプロピレンシートに関する。
従来からポリプロピレンは、その透明性や光沢や防湿性の良好さなどからシート状に成形され、商品の包装材料等として汎用されている。ポリプロピレンシートを溶融成形により成形する場合、通常、ポリプロピレンの融点より高い温度のダイで溶融押出成形し、必要に応じて、ポリプロピレンの融点付近の温度で延伸する(特許文献1及び2)。
また、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロックと、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体の、芳香族炭素−炭素二重結合まで水素化したブロック共重合体水素化物がシート等に成形加工され、様々な用途に用いることができることが知られている(特許文献3及び4)
また、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロックと、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体の、芳香族炭素−炭素二重結合まで水素化したブロック共重合体水素化物がシート等に成形加工され、様々な用途に用いることができることが知られている(特許文献3及び4)
かかる従来技術の下、本発明者は、透明性と物理特性(耐熱性と耐候性)とのバランスに優れたポリプロピレンシートを得るべく鋭意検討した結果、ポリプロピレンに、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも1つの重合体ブロック[B]とからなるブロック共重合体の、芳香族炭素−炭素二重結合まで水素化したブロック共重合体水素化物を配合した樹脂組成物を用いると、未延伸の状態で透明性と物理特性(耐熱性と耐候性)とのバランスに優れたシートが得られるばかりでなく、ポリプロピレンの融点より低い温度で延伸すると、透明性と物理特性(耐熱性と耐候性)とのバランスを更に向上させることができる上、延伸温度が低いために生産性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、ポリプロピレン100重量部に対して、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも1つの重合体ブロック[B]とからなり、全重合体ブロック[A]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwAとし、全重合体ブロック[B]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が30:70〜60:40であるブロック共重合体の、全不飽和結合の90%以上を水素化したブロック共重合体水素化物0.5〜50重量部を配合してなる樹脂組成物からなるポリプロピレンシートが提供される。
前記ポリプロピレンは、230℃で測定されたメルトインデックスが1〜30g/10分であるポリプロピレンであり、ブロック共重合体水素化物が、230℃で測定されたメルトインデックスが10〜100g/10分であるブロック共重合体水素化物であるのが好ましい。
前記ポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体であるのが好ましい。
前記ポリプロピレンの融点は150〜170℃であるのが好ましい。
また、本発明によれば、ポリプロピレン100重量部に対して、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも1つの重合体ブロック[B]とからなり、全重合体ブロック[A]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwAとし、全重合体ブロック[B]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が30:70〜60:40であるブロック共重合体の、全不飽和結合の90%以上を水素化したブロック共重合体水素化物0.5〜50重量部を配合してなる樹脂組成物を成形し、ポリプロピレンシートを得た後、当該ポリプロピレンシートを80〜160℃で少なくとも一方向に1.5倍以上延伸することを特徴とする、延伸ポリプロピレンシートの製造方法が提供される。
前記ポリプロピレンは、230℃で測定されたメルトインデックスが1〜30g/10分であるポリプロピレンであり、ブロック共重合体水素化物が、230℃で測定されたメルトインデックスが10〜100g/10分であるブロック共重合体水素化物であるのが好ましい。
前記ポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体であるのが好ましい。
前記ポリプロピレンの融点は150〜170℃であるのが好ましい。
また、本発明によれば、ポリプロピレン100重量部に対して、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも1つの重合体ブロック[B]とからなり、全重合体ブロック[A]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwAとし、全重合体ブロック[B]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が30:70〜60:40であるブロック共重合体の、全不飽和結合の90%以上を水素化したブロック共重合体水素化物0.5〜50重量部を配合してなる樹脂組成物を成形し、ポリプロピレンシートを得た後、当該ポリプロピレンシートを80〜160℃で少なくとも一方向に1.5倍以上延伸することを特徴とする、延伸ポリプロピレンシートの製造方法が提供される。
本発明に用いるポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体、又はプロピレンとこれと共重合可能な単量体との共重合体であり、230℃で測定されたメルトインデックスが1〜30g/10分であるポリプロピレンが好ましく、1mm厚みのHAZEが20%以上であるポリプロピレンがより好ましい。ここでメルトインデックスは、JIS K 7210:1999の試験法に則って測定された値である。また、HAZEはJIS K 7136:2000の試験法に則って測定された値である。
また、本発明に用いるポリプロピレンの融点は、通常131℃以上であり、好ましくは150〜170℃である。尚、本発明に用いるポリプロピレンが共重合体である場合、プロピレン由来の構造単位が通常80重量%以上、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上であるものを用いる。また、共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であっても良い。
また、本発明に用いるポリプロピレンの融点は、通常131℃以上であり、好ましくは150〜170℃である。尚、本発明に用いるポリプロピレンが共重合体である場合、プロピレン由来の構造単位が通常80重量%以上、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上であるものを用いる。また、共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であっても良い。
プロピレンと共重合可能な単量体としては、エチレン及びα−オレフィンが挙げられる。α−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセンン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数4〜20のα−オレフィンが挙げられる。
ポリプロピレンの製造方法に格別な制限はないが、例えば、バルク重合法、溶液重合法、スラリー重合法、気相重合法等が挙げられる。これらの重合方法は、バッチ式、連続式のいずれでもよく、また、これらの重合方法を任意に組み合わせてもよい。重合反応に際しては、通常、触媒を用いる。触媒としては、公知の固体状チタン触媒成分と有機金属化合物触媒成分と更に必要に応じて用いられる電子供与体とからなる立体規則性重合触媒や、あるいは公知のメタロセン錯体と有機アルミニウム化合物と更に必要に応じて用いられる、メタロセン錯体と反応して安定アニオンとなる化合物からなる立体規則性触媒が挙げられ、より好ましくは、公知の固体状チタン触媒成分と有機金属化合物触媒成分と更に必要に応じて用いられる電子供与体とからなる立体規則性重合触媒が挙げられる。前記立体規則性重合触媒としては、例えば、特開平1−319508号公報、特開平7−216017号公報や特開平10−212319号公報に記載されている製造方法により製造された重合触媒が挙げられる。
本発明に用いるブロック共重合体水素化物(以下、「特定ブロック共重合体水素化物」ということがある)は、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも1つの重合体ブロック[B]とからなるブロック共重合体(以下、ブロック共重合体[1])ということがある)の、全不飽和結合の90%以上が水素化されたものであって、重合体ブロック[A]のブロック共重合体全体に占める重量分率wAと重合体ブロック[B]のブロック共重合体全体に占める重量分率wBとの比(wA:wB)が30:70〜60:40、好ましくは40:60〜55:45である。wA:wBがこの範囲にあると、成形体の透明性や、物理特性のバランスなどが良好である。
重合体ブロック[A]は、芳香族ビニル化合物由来の繰返し単位を主成分とするものであり、重合体ブロック[A]中の芳香族ビニル化合物由来の繰返し単位の含有量は、通常90重量%以上、好ましくは95重量%以上、より好ましくは99重量%以上である。また、重合体ブロック[A]中の芳香族ビニル化合物由来の繰返し単位以外の成分としては、鎖状共役ジエン由来の繰返し単位及び/又はその他のエチレン性不飽和化合物由来の繰返し単位を含むことができ、その含有量は通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。重合体ブロック[A]中の芳香族ビニル化合物由来の繰返し単位がこの範囲にあると、成形体は良好な耐熱性を有す。
複数の重合体ブロック[A]は、上記の範囲を満足すれば互いに同じであっても、異なっていても良い。
重合体ブロック[B]は、鎖状共役ジエン化合物由来の繰返し単位を主成分とするものであり、重合体ブロック[B]中の鎖状共役ジエン化合物由来の繰返し単位の含有量は、通常90重量%以上、好ましくは95重量%以上、より好ましくは99重量%以上である。鎖状共役ジエン化合物由来の繰返し単位がこの範囲にあると、成形体は良好な柔軟性と耐衝撃性を有す。
また、重合体ブロック[B]中の鎖状共役ジエン化合物由来の繰返し単位以外の成分としては、芳香族ビニル化合物由来の繰返し単位及び/又はその他のエチレン性不飽和化合物由来の繰返し単位を含むことができ、その含有量は、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。重合体ブロック[B]中の芳香族ビニル化合物由来の繰返し単位及び/又はその他のエチレン性化合物由来の繰返し単位の含有量が増加すると、成形体の柔軟性や耐衝撃性が低下する恐れがある。
重合体ブロック[B]が複数有る場合には、重合体ブロック[B]は、上記の範囲を満足すれば互いに同じであっても、異なっていても良い。
芳香族ビニル化合物は、通常、炭素数が8〜20の芳香族ビニル化合物を、1種又は2種以上を組み合わせて使用する。中でも好ましいのは、炭素数が8〜12の芳香族ビニル化合物である。具体例としては、スチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−メトキシスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレンなどが挙げられ、吸湿性の面で極性基を含有しないものが好ましく、工業的な入手し易さでスチレンが特に好ましい。
鎖状共役ジエン系化合物は、通常、炭素数が4〜10の鎖状共役ジエン化合物を、1種又は2種以上を組合せて使用する。中でも好ましいのは、炭素数が4〜6の鎖状共役ジエンである。具体例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられ、吸湿性の面で極性基を含有しないものが好ましく、重合制御性に優れることで1,3−ブタジエン、イソプレンが特に好ましい。
その他のエチレン性不飽和化合物としては、鎖状エチレン性不飽和化合物や環状エチレン性不飽和化合物が挙げられる。これらのエチレン性不飽和化合物はニトリル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシカルボニル基、酸無水物基又はハロゲン基を有しても良い。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、4,6−ジメチル−1−ヘプテンなどの鎖状オレフィン;ビニルシクロヘキサンなどの環状オレフィンなどの、極性基を含有しないものが吸湿性の面で好ましく、鎖状オレフィンがより好ましく、エチレン、プロピレンが特に好ましい。
ブロック共重合体中の重合体ブロック[A]の数は、通常4個以下、好ましくは3個以下、より好ましくは2個であり、重合体ブロック[B]の数は、通常3個以下、好ましくは2個以下、より好ましくは1個である。重合体ブロック[A]が複数存在する際、重合体ブロック[A]の中で重量平均分子量が最大と最少の重合体ブロックの重量平均分子量をそれぞれMw(A1)及びMw(A2)とした時、該Mw(A1)とMw(A2)との比Mw(A1)/Mw(A2)は、2.0以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.2以下である。また、重合体ブロック[B]が複数存在する際、重合体ブロック[B]の中で重量平均分子量が最大と最少の重合体ブロックの重量平均分子量をそれぞれMw(B1)及びMw(B2)とした時、該Mw(B1)とMw(B2)との比Mw(B1)/Mw(B2)は、2.0以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.2以下である。
ブロック共重合体[1]のブロックの形態は、鎖状型ブロックでもラジアル型ブロックでも良いが、鎖状型ブロックであるものが、機械的強度に優れ好ましい。ブロック共重合体[1]の最も好ましい形態は、重合体ブロック[B]の両端に重合体ブロック[A]が結合したトリブロック共重合体である。
本発明で好ましく使用される特定ブロック共重合体水素化物は、上記のブロック共重合体の主鎖及び側鎖の炭素−炭素不飽和結合、並びに芳香環の炭素−炭素不飽和結合を水素化したものであり、その水素化率は通常90%以上、好ましくは97%以上、より好ましくは99%以上である。水素化率が高いほど、成形体の耐候性、耐熱性が良好である。
不飽和結合の水素化方法や反応形態などは特に限定されず、公知の方法にしたがって行えばよいが、水素化率を高くでき、重合体鎖切断反応の少ない水素化方法が好ましい。このような水素化方法としては、例えば、国際公開WO2011/096389号、国際公開WO2012/043708号などに記載された方法を挙げることができる。
上述したポリプロピレンと特定ブロック共重合体水素化物とを配合し樹脂組成物を得る方法に格別な制限はなく、上述した両樹脂を、必要に応じて用いられる他の配合剤と共に溶融状態で混練する方法が、生産性の観点から好適である。溶融混練装置の具体例は、開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、押出機、ニーダー、連続ミキサー等である。
ポリプロピレンとブロック共重合体水素化物の配合割合は、通常ポリプロピレン100重量部に対してブロック共重合体水素化物1〜50重量部であり、好ましくは5〜40重量部であり、より好ましくは10〜35重量部である。ブロック共重合体水素化物の配合割合が1重量部を下回る場合は、延伸時にも透明性の発現が十分でなく、50重量部を上回る場合は、耐熱性が十分でなく、また経済性の観点からも好ましくない。
本発明において必要に応じて用いられる配合剤の具体例は、酸化防止剤、ゴム質重合体、紫外線吸収剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、防曇剤、染料、顔料、着色剤、天然油、合成油、可塑剤、有機又は無機の充填剤、抗菌剤、消臭剤、脱臭剤等である。
この樹脂組成物をシート状に成形する方法としては、射出成形法、圧縮成形法、ブロー成形法、インフレーション成形法、インジェクションブロー成形法、回転成形法、真空成形法、Tダイ押出成形法、カレンダー成形法、溶液流延法などが挙げられ、シートの膜厚制御の容易さから、射出成形法又は押出成形法が好適に採用され、押出成形法としては、特にTダイ押出成形法が好適に採用される。
本発明のシートは、延伸されたものであってもよい。延伸させることにより、透明性と物理特性(耐熱性と耐候性)とのバランスを更に向上させることができる。
延伸方法は、自由収縮一軸延伸法、幅固定一軸延伸法、テンター延伸法、気体圧力を利用したバブリングによる方法、圧延による方法、など、公知の方法が採用される。
延伸方向は一方向でも、複数方向でも良いが、少なくとも一方向への延伸倍率は1.5倍以上、好ましくは1.5倍以上15倍以下、より好ましくは3倍以上10倍以下である。延伸倍率がこの範囲にあると、試料の広範囲な領域がネッキングを起こし、透明性と物理特性のバランスがより向上するので、好ましい。
本発明において延伸温度は、80〜160℃、好ましくは90〜150℃、より好ましくは100〜140℃である。延伸温度がこの範囲であると、1mm厚みのシートの平均可視光線透過率が60%以上になるため好ましい。平均可視光線透過率は380nmから780nmまでの2nm間隔の可視光線の透過率の平均値である。
本発明のシートは、延伸されたものであってもよい。延伸させることにより、透明性と物理特性(耐熱性と耐候性)とのバランスを更に向上させることができる。
延伸方法は、自由収縮一軸延伸法、幅固定一軸延伸法、テンター延伸法、気体圧力を利用したバブリングによる方法、圧延による方法、など、公知の方法が採用される。
延伸方向は一方向でも、複数方向でも良いが、少なくとも一方向への延伸倍率は1.5倍以上、好ましくは1.5倍以上15倍以下、より好ましくは3倍以上10倍以下である。延伸倍率がこの範囲にあると、試料の広範囲な領域がネッキングを起こし、透明性と物理特性のバランスがより向上するので、好ましい。
本発明において延伸温度は、80〜160℃、好ましくは90〜150℃、より好ましくは100〜140℃である。延伸温度がこの範囲であると、1mm厚みのシートの平均可視光線透過率が60%以上になるため好ましい。平均可視光線透過率は380nmから780nmまでの2nm間隔の可視光線の透過率の平均値である。
こうして得られる透明ポリプロピレンシートは、包装材料、搬送用材料、農業用材料などとして有用である。
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて、より具体的に説明する。本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において、部及び%は、特に断りがない限り、重量基準である。以下に物性、特性の測定法を示す。
(1)重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)
ブロック共重合体、及びブロック共重合体水素化物の分子量は、THFを溶離液とするGPCによる標準ポリスチレン換算値として38℃において測定した。測定装置としては、東ソー社製HLC8020GPCを用いた。
(1)重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)
ブロック共重合体、及びブロック共重合体水素化物の分子量は、THFを溶離液とするGPCによる標準ポリスチレン換算値として38℃において測定した。測定装置としては、東ソー社製HLC8020GPCを用いた。
(2)水素化率
ブロック共重合体水素化物の主鎖、側鎖及び芳香環の水素化率は、1H−NMRスペクトルを測定して算出した。
(3)メルトインデックス(MI)
ポリプロピレンのメルトインデックスは、東洋精機製作所社製「MELT INDEXER F−F01」を用いて、2.16Kg荷重、230℃の条件で測定した。
(4)融点
ポリプロピレンの融点は、リガク社製示差走査熱量計「TP2」を用いて測定した。昇温速度は5℃/分である。
(5)透明性評価
透明性は、日本分光社製自動反射率測定装置「ARM−500V」を用いて、1mm厚みのシートの平均可視光線透過率で評価した。平均可視光線透過率は380nmから780nmまでの2nm間隔の可視光線の透過率の平均値である。
(6)延伸、引っ張り試験、引き裂き試験
射出成形体の延伸はインストロンコーポレーション社製万能材料試験機「5582」を用いて行った。延伸速度は50mm/分である。
押出成形体の延伸、引っ張り試験、及び引き裂き試験は、エー・アンド・デイ社製「TENSILON(登録商標) RTF−1350」を用いて行った。延伸速度は50mm/分である。引き裂き試験は、剃刀で試験片のTD方向に1mmの切り込みを入れて行った。引っ張り及び引き裂き試験はJIS K 7127type5 1/2サイズの試験片にてMD方向にて行った。
(7)延伸試験片のクラックの観測
延伸試験片のクラックの観測は日立製作所社製電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)「S−4700」を用いて行った。加速電圧5kV、フィラメント電流は10mAである。
(8)熱老化試験
熱老化試験はESPEC社製「STH−120」を用いて、150℃で行った。
(9)耐候試験
耐候試験はキセノンウェザーメーターを用いて、ブラックパネルが63℃で槽内温度が45℃の条件にて行った。
ブロック共重合体水素化物の主鎖、側鎖及び芳香環の水素化率は、1H−NMRスペクトルを測定して算出した。
(3)メルトインデックス(MI)
ポリプロピレンのメルトインデックスは、東洋精機製作所社製「MELT INDEXER F−F01」を用いて、2.16Kg荷重、230℃の条件で測定した。
(4)融点
ポリプロピレンの融点は、リガク社製示差走査熱量計「TP2」を用いて測定した。昇温速度は5℃/分である。
(5)透明性評価
透明性は、日本分光社製自動反射率測定装置「ARM−500V」を用いて、1mm厚みのシートの平均可視光線透過率で評価した。平均可視光線透過率は380nmから780nmまでの2nm間隔の可視光線の透過率の平均値である。
(6)延伸、引っ張り試験、引き裂き試験
射出成形体の延伸はインストロンコーポレーション社製万能材料試験機「5582」を用いて行った。延伸速度は50mm/分である。
押出成形体の延伸、引っ張り試験、及び引き裂き試験は、エー・アンド・デイ社製「TENSILON(登録商標) RTF−1350」を用いて行った。延伸速度は50mm/分である。引き裂き試験は、剃刀で試験片のTD方向に1mmの切り込みを入れて行った。引っ張り及び引き裂き試験はJIS K 7127type5 1/2サイズの試験片にてMD方向にて行った。
(7)延伸試験片のクラックの観測
延伸試験片のクラックの観測は日立製作所社製電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)「S−4700」を用いて行った。加速電圧5kV、フィラメント電流は10mAである。
(8)熱老化試験
熱老化試験はESPEC社製「STH−120」を用いて、150℃で行った。
(9)耐候試験
耐候試験はキセノンウェザーメーターを用いて、ブラックパネルが63℃で槽内温度が45℃の条件にて行った。
[参考例1]
(変性ブロック共重合体水素化物の製造)
・ブロック共重合体の合成
充分に窒素置換された、攪拌装置を備えた反応器に脱水シクロヘキサン550部、脱水スチレン25.0部及びn−ジブチルエーテル0.475部を入れ、60℃で攪拌しながらn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)0.99部を加えて重合を開始した。攪拌しながら60℃で60分反応させた。ガスクロマトグラフィーにより測定したこの時点で重合転化率は99.5%であった。
次に、脱水イソプレン50.0部を加えそのまま30分攪拌を続けた。この時点で重合転化率は99%であった。
その後、更に、脱水スチレンを25.0部加え、60分攪拌した。この時点での重合転化率はほぼ100%であった。ここでイソプロピルアルコール0.5部を加えて反応を停止した。得られたブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は48,400、分子量分布(Mw/Mn)は1.02であった。
(変性ブロック共重合体水素化物の製造)
・ブロック共重合体の合成
充分に窒素置換された、攪拌装置を備えた反応器に脱水シクロヘキサン550部、脱水スチレン25.0部及びn−ジブチルエーテル0.475部を入れ、60℃で攪拌しながらn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)0.99部を加えて重合を開始した。攪拌しながら60℃で60分反応させた。ガスクロマトグラフィーにより測定したこの時点で重合転化率は99.5%であった。
次に、脱水イソプレン50.0部を加えそのまま30分攪拌を続けた。この時点で重合転化率は99%であった。
その後、更に、脱水スチレンを25.0部加え、60分攪拌した。この時点での重合転化率はほぼ100%であった。ここでイソプロピルアルコール0.5部を加えて反応を停止した。得られたブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は48,400、分子量分布(Mw/Mn)は1.02であった。
・ブロック共重合体水素化物の合成
次に、上記重合体溶液を、攪拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、水素化触媒として珪藻土担持型ニッケル触媒(製品名「T−8400RL」、ズードケミー触媒社製)3.0部及び脱水シクロヘキサン100部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、さらに溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度190℃、圧力4.5MPaにて6時間水素化反応を行った。水素化反応後のブロック共重合体水素化物の重量平均分子量(Mw)は48,900、分子量分布(Mw/Mn)は1.03であった。
次に、上記重合体溶液を、攪拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、水素化触媒として珪藻土担持型ニッケル触媒(製品名「T−8400RL」、ズードケミー触媒社製)3.0部及び脱水シクロヘキサン100部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、さらに溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度190℃、圧力4.5MPaにて6時間水素化反応を行った。水素化反応後のブロック共重合体水素化物の重量平均分子量(Mw)は48,900、分子量分布(Mw/Mn)は1.03であった。
水素化反応終了後、反応溶液をろ過して水素化触媒を除去した後、フェノール系酸化防止剤であるペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](製品名「Irganox(登録商標)1010」、BASFジャパン社製)0.1部を溶解したキシレン溶液1.0部を添加して溶解させた。
次いで、上記溶液を、金属ファイバー製フィルター(孔径0.4μm、ニチダイ社製)にて濾過して微小な固形分を除去した後、円筒型濃縮乾燥器(製品名「コントロ」、日立製作所社製)を用いて、温度260℃、圧力0.001MPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン、キシレン及びその他の揮発成分を除去し、濃縮乾燥器に直結したダイから溶融状態でストランド状に押出し、冷却後、ペレタイザーでカットしてブロック共重合体のペレット96部を得た。得られたペレットのブロック共重合体水素化物の重量平均分子量(Mw)は48,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.03であった。水素化率はほぼ100%であった。
次いで、上記溶液を、金属ファイバー製フィルター(孔径0.4μm、ニチダイ社製)にて濾過して微小な固形分を除去した後、円筒型濃縮乾燥器(製品名「コントロ」、日立製作所社製)を用いて、温度260℃、圧力0.001MPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン、キシレン及びその他の揮発成分を除去し、濃縮乾燥器に直結したダイから溶融状態でストランド状に押出し、冷却後、ペレタイザーでカットしてブロック共重合体のペレット96部を得た。得られたペレットのブロック共重合体水素化物の重量平均分子量(Mw)は48,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.03であった。水素化率はほぼ100%であった。
[実施例1、比較例1]
参考例1で得られたブロック共重合体水素化物(以下、「HSIS」と言うことがある)2部、5部、10部、及び25部を、それぞれポリプロピレン(日本ポリプロ社製「MA3H」;融点=169℃、MI=10g/10min)98部、95部、90部、及び75部に、2軸混練機を用いて溶融混合をし、HSIS含量2%、5%、10%、及び25%のポリプロピレンペレットを得た(以下、それぞれ、「HSIS2%」、「HSIS5%」、「HSIS10%」、及び「HSIS25%」と表記)。シリンダー温度は200℃で2軸混練をした。更に、HSIS10%及びHSIS25%のペレットを用いて、射出成形機を用いて厚さ3.6mm、幅12.7mm、長さ70mmの延伸される細い部位からなるダンベル状の射出成形体を作成した。射出成形は、シリンダー温度は220℃で行った。
ブロック共重合体水素化物の代わりに水添スチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製、製品名「タフテック(登録商標)H1041」;以下「SEBS」と言うことがある)を用い、SEBS含量2%、5%、10%、及び25%のポリプロピレンペレットを得た(以下、「SEBS2%」、「SEBS5%」、「SEBS10%」、及び「SEBS25%」と表記)。更に、SEBS10%及びSEBS25%のペレットを用いて、同様にして厚さ3.6mmの射出成形体を作成した。
各射出成形体について、100℃で、ネッキング部位の厚さが1mmになるまで延伸し延伸シートを得た。延伸シートのネッキング部位の平均可視光線透過率を測定した。それぞれの平均可視光線透過率は、HSIS10%が61.1%、HSIS25%が65.1%、SEBS10%が0.3%、SEBS25%が0.6%、ポリプロピレン単体(以下、「PP」ということがある)が0.3%であった。図1に100℃での延伸シートのネッキング部位(厚さ1mm)の外観を示す。
参考例1で得られたブロック共重合体水素化物(以下、「HSIS」と言うことがある)2部、5部、10部、及び25部を、それぞれポリプロピレン(日本ポリプロ社製「MA3H」;融点=169℃、MI=10g/10min)98部、95部、90部、及び75部に、2軸混練機を用いて溶融混合をし、HSIS含量2%、5%、10%、及び25%のポリプロピレンペレットを得た(以下、それぞれ、「HSIS2%」、「HSIS5%」、「HSIS10%」、及び「HSIS25%」と表記)。シリンダー温度は200℃で2軸混練をした。更に、HSIS10%及びHSIS25%のペレットを用いて、射出成形機を用いて厚さ3.6mm、幅12.7mm、長さ70mmの延伸される細い部位からなるダンベル状の射出成形体を作成した。射出成形は、シリンダー温度は220℃で行った。
ブロック共重合体水素化物の代わりに水添スチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製、製品名「タフテック(登録商標)H1041」;以下「SEBS」と言うことがある)を用い、SEBS含量2%、5%、10%、及び25%のポリプロピレンペレットを得た(以下、「SEBS2%」、「SEBS5%」、「SEBS10%」、及び「SEBS25%」と表記)。更に、SEBS10%及びSEBS25%のペレットを用いて、同様にして厚さ3.6mmの射出成形体を作成した。
各射出成形体について、100℃で、ネッキング部位の厚さが1mmになるまで延伸し延伸シートを得た。延伸シートのネッキング部位の平均可視光線透過率を測定した。それぞれの平均可視光線透過率は、HSIS10%が61.1%、HSIS25%が65.1%、SEBS10%が0.3%、SEBS25%が0.6%、ポリプロピレン単体(以下、「PP」ということがある)が0.3%であった。図1に100℃での延伸シートのネッキング部位(厚さ1mm)の外観を示す。
この結果から、HSISを含むポリプロピレン(HSIS10%とHSIS25%)は100℃の低温条件下での延伸で透明性に優れたシートを与えることのできることが分かる。
また、25%HSIS含有ポリプロピレンペレットから得られた延伸シートと25%SEBS含有ポリプロピレンペレットから得られた延伸シートのネッキング部位(厚さ1mm)の断面を走査型電子顕微鏡で観察した。結果を図2及び3に示す。
この結果から、SEBS含有ポリプロピレン製シートには多数のクラックが入っている一方、HSIS含有ポリプロピレン製シートにはクラックが発生していないことが分かる。
また、25%HSIS含有ポリプロピレンペレットから得られた延伸シートと25%SEBS含有ポリプロピレンペレットから得られた延伸シートのネッキング部位(厚さ1mm)の断面を走査型電子顕微鏡で観察した。結果を図2及び3に示す。
この結果から、SEBS含有ポリプロピレン製シートには多数のクラックが入っている一方、HSIS含有ポリプロピレン製シートにはクラックが発生していないことが分かる。
[実施例2、比較例2]
実施例1及び比較例1で得たペレットの内、4種類(HSIS10%、HSIS25%、SEBS10%、及びSEBS25%)を用い、実施例1及び比較例1と同様にして、厚さ3.6mmの射出成形体を得た。得られた射出成形体を、ネッキング部位の厚さが1mmになるまで、各延伸温度で延伸し、得られた延伸シートのネッキング部位(厚さ1mm)について、平均可視光線透過率を測定した。結果を図4に示す。
この結果から、HSIS含有ポリプロピレン製の延伸シートの方が、より低い温度での延伸でも高い透明性の得られることが分かる。
また、得られた延伸シートの内、140℃で延伸したものの、ネッキング部位(厚さ1mm)の可視光線透過スペクトルを図5に示す。この結果から、HSIS含有ポリプロピレン製シートの方がどの波長においても高い透過率を示すことが分かる。
実施例1及び比較例1で得たペレットの内、4種類(HSIS10%、HSIS25%、SEBS10%、及びSEBS25%)を用い、実施例1及び比較例1と同様にして、厚さ3.6mmの射出成形体を得た。得られた射出成形体を、ネッキング部位の厚さが1mmになるまで、各延伸温度で延伸し、得られた延伸シートのネッキング部位(厚さ1mm)について、平均可視光線透過率を測定した。結果を図4に示す。
この結果から、HSIS含有ポリプロピレン製の延伸シートの方が、より低い温度での延伸でも高い透明性の得られることが分かる。
また、得られた延伸シートの内、140℃で延伸したものの、ネッキング部位(厚さ1mm)の可視光線透過スペクトルを図5に示す。この結果から、HSIS含有ポリプロピレン製シートの方がどの波長においても高い透過率を示すことが分かる。
[実施例3、比較例3]
実施例1及び比較例1で得たペレットの内、6種類(HSIS2%、HSIS5%、HSIS10%、SEBS2%、SEBS5%、及びSEBS10%)を用い、押し出し成形機により厚さ200μm、幅30cm、長さ50mのシート状の押出成形体を作成した。押し出し成形は、シリンダー温度は220℃で、押出成形体の巻き取り速度が1.1m/分の条件にて行った。得られた押出成形体の中で、HSIS10%とSEBS10%のペレットを用いて得られた押出成形体を5枚重ねて測定した可視光線スペクトルを図6に示す。この結果から、HSIS含有ポリプロピレン製の押出成形体の方がどの波長においても高い透過率を示すことが分かる。
得られた押出成形体の中で、HSIS10%とSEBS10%のペレットを用いて得られた押出成形体を15mmの巾に切り出し、各延伸温度で10倍に延伸し、得られた試験片のネッキング部位(厚さ40μm)を2枚重ねて、平均可視光線透過率を測定した。結果を図7に示す。この結果から、HSIS含有ポリプロピレン製の押出成形体の方が、より低い温度での延伸でも高い透明性の得られることが分かる。
更に、HSIS10%とSEBS10%のペレットを用いて得られた押出成形体を145℃で5時間熱老化させた後、15mmの巾に切り出し、各延伸温度で10倍に延伸し、得られた延伸シートのネッキング部位(厚さ40μm)を2枚重ねて、平均可視光線透過率を測定した。結果を図8に示す。HSIS含有ポリプロピレン製の延伸シートの方が透明性の低下が少なく、透明性の耐熱性に優れていることがわかる。
更に、HSIS10%とSEBS10%のペレットを用いて得られた押出成形体を15mmと40mmの巾に切り出し、140℃で種々の延伸倍率で延伸し、ネッキング部位(厚さ40μm)の平均可視光線透過率とHaze(%)を測定した。結果を図9と10に示す。延伸倍率は延伸後の試験片長(L)を延伸前の試験片長(L0)で割った値である。図9と10より、HSIS含有ポリプロピレンシートの方が、いずれの延伸倍率でも最も透明性が高いことがわかる。またHSIS10%とPPが2倍までの延伸倍率で顕著に透明性が向上するのに対して、SEBS10%は向上しないことがわかる。
実施例1及び比較例1で得たペレットの内、6種類(HSIS2%、HSIS5%、HSIS10%、SEBS2%、SEBS5%、及びSEBS10%)を用い、押し出し成形機により厚さ200μm、幅30cm、長さ50mのシート状の押出成形体を作成した。押し出し成形は、シリンダー温度は220℃で、押出成形体の巻き取り速度が1.1m/分の条件にて行った。得られた押出成形体の中で、HSIS10%とSEBS10%のペレットを用いて得られた押出成形体を5枚重ねて測定した可視光線スペクトルを図6に示す。この結果から、HSIS含有ポリプロピレン製の押出成形体の方がどの波長においても高い透過率を示すことが分かる。
得られた押出成形体の中で、HSIS10%とSEBS10%のペレットを用いて得られた押出成形体を15mmの巾に切り出し、各延伸温度で10倍に延伸し、得られた試験片のネッキング部位(厚さ40μm)を2枚重ねて、平均可視光線透過率を測定した。結果を図7に示す。この結果から、HSIS含有ポリプロピレン製の押出成形体の方が、より低い温度での延伸でも高い透明性の得られることが分かる。
更に、HSIS10%とSEBS10%のペレットを用いて得られた押出成形体を145℃で5時間熱老化させた後、15mmの巾に切り出し、各延伸温度で10倍に延伸し、得られた延伸シートのネッキング部位(厚さ40μm)を2枚重ねて、平均可視光線透過率を測定した。結果を図8に示す。HSIS含有ポリプロピレン製の延伸シートの方が透明性の低下が少なく、透明性の耐熱性に優れていることがわかる。
更に、HSIS10%とSEBS10%のペレットを用いて得られた押出成形体を15mmと40mmの巾に切り出し、140℃で種々の延伸倍率で延伸し、ネッキング部位(厚さ40μm)の平均可視光線透過率とHaze(%)を測定した。結果を図9と10に示す。延伸倍率は延伸後の試験片長(L)を延伸前の試験片長(L0)で割った値である。図9と10より、HSIS含有ポリプロピレンシートの方が、いずれの延伸倍率でも最も透明性が高いことがわかる。またHSIS10%とPPが2倍までの延伸倍率で顕著に透明性が向上するのに対して、SEBS10%は向上しないことがわかる。
[実施例4、比較例4]
実施例3及び比較例3と同様の方法で得たHSIS10%とSEBS10%のシート状の押出成形体から打ち抜いた引っ張り試験片の引き裂き試験結果を表1に示す。破壊エネルギーは引き裂き試験の引っ張り応力(F(r))を破壊伸び(rB)まで、式1により積分した値である。表1より、HSIS10%とSEBS10%の試験片はPPに比べて破壊歪が大きく、その結果破壊エネルギーが大きく、引き裂き難いことがわかる。
実施例3及び比較例3と同様の方法で得たHSIS10%とSEBS10%のシート状の押出成形体から打ち抜いた引っ張り試験片の引き裂き試験結果を表1に示す。破壊エネルギーは引き裂き試験の引っ張り応力(F(r))を破壊伸び(rB)まで、式1により積分した値である。表1より、HSIS10%とSEBS10%の試験片はPPに比べて破壊歪が大きく、その結果破壊エネルギーが大きく、引き裂き難いことがわかる。
実施例3及び比較例3と同様の方法で得た4種類(HSIS5%、HSIS2%、SEBS5%、及びSEBS2%)のシート状の押出成形体から打ち抜いた引っ張り試験片を150℃で409時間までの種々の熱老化時間で熱老化させたのち、引っ張り試験を行った。図11に降伏応力と150℃熱老化時間の関係を、図12に降伏歪と150℃熱老化時間の関係を、更に図13に破壊呼び応力と150℃熱老化時間の関係を示した。HSIS5%とHSIS2%の試験片はPP、SEBS5%及びSEBS2%の試験片に比べて、300時間以上の機械的特性の低下が少ないことがわかる。
図14に、150℃で409時間熱老化させた押出成形体から打ち抜いた引っ張り試験片の外観を示した。PPは完全に熱分解しており、試験片が消滅している。SEBS5%とSEBS2%の試験片はPPの試験片より耐熱性が良く、試験片の形状を一部残しているが、やはり熱分解により試験片が破壊している。それに対して、HSIS5%とHSIS2%の試験片は試験片の形状を維持しており、耐熱性が優れることがわかる。試験片の外観から耐熱性の良い順番は、HSIS5%>HSIS2%>SEBS5%>SEBS2%>PPの順番であった。
以上の結果より、HSIS含有ポリプロピレンの方が耐熱性に優れることがわかる。
[実施例6、比較例6]
HSIS10%とSEBS10%の押し出し成形シートから打ち抜いた引っ張り試験片を200時間まで種々の紫外線(UV)照射時間で老化させたのち、引っ張り試験を行った。図15に破壊呼び応力とUV照射時間の関係を、図16に破壊呼び歪とUV照射時間の関係を、更に図17に破壊エネルギーとUV照射時間の関係を示した。HSIS10%の試験片は、PPやSEBS10%の試験片に比べて、150時間以上の機械的特性の低下が少なく、HSIS含有ポリプロピレンシートの方が耐候性に優れることがわかる。
HSIS10%とSEBS10%の押し出し成形シートから打ち抜いた引っ張り試験片を200時間まで種々の紫外線(UV)照射時間で老化させたのち、引っ張り試験を行った。図15に破壊呼び応力とUV照射時間の関係を、図16に破壊呼び歪とUV照射時間の関係を、更に図17に破壊エネルギーとUV照射時間の関係を示した。HSIS10%の試験片は、PPやSEBS10%の試験片に比べて、150時間以上の機械的特性の低下が少なく、HSIS含有ポリプロピレンシートの方が耐候性に優れることがわかる。
これまでの評価結果を、PP、HSIS10%、及びSEBS10%間の相対的評価として、結果の良好さの低い方から高い方へ、×、△、○、◎の順で表2にまとめた。ここから、HSIS含有ポリプロピレンシートの方が透明性と物理特性(耐熱性と耐候性)のバランスが優れていることがわかる。
Claims (6)
- ポリプロピレン100重量部に対して、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも1つの重合体ブロック[B]とからなり、全重合体ブロック[A]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwAとし、全重合体ブロック[B]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が30:70〜60:40であるブロック共重合体の、全不飽和結合の90%以上を水素化したブロック共重合体水素化物0.5〜50重量部を配合してなる樹脂組成物からなるポリプロピレンシート。
- 前記ポリプロピレンが、230℃で測定されたメルトインデックスが1〜30g/10分であるポリプロピレンであり、ブロック共重合体水素化物が、230℃で測定されたメルトインデックスが10〜100g/10分であるブロック共重合体水素化物である、請求項1記載のポリプロピレンシート。
- 前記ポリプロピレンが、プロピレンの単独重合体である請求項1又は2に記載のポリプロピレンシート。
- 前記ポリプロピレンが融点150〜170℃のものである請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレンシート。
- ポリプロピレン100重量部に対して、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも1つの重合体ブロック[B]とからなり、全重合体ブロック[A]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwAとし、全重合体ブロック[B]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が30:70〜60:40であるブロック共重合体の、全不飽和結合の90%以上を水素化したブロック共重合体水素化物0.5〜50重量部を配合してなる樹脂組成物を成形し、ポリプロピレンシートを得た後、当該ポリプロピレンシートを80〜160℃で少なくとも一方向に1.5倍以上延伸することを特徴とする、延伸ポリプロピレンシートの製造方法。
- 前記樹脂組成物を成形する方法が、射出成形法又は押出成形法である請求項5記載の延伸ポリプロピレンシートの製造方法。
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Citations (3)
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- 2014-05-19 JP JP2014103261A patent/JP2015034284A/ja active Pending
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