JP2015033886A - モータ制御装置 - Google Patents

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尚紀 山野
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Abstract

【課題】モータの不適切な駆動を抑制することのできるモータ制御装置を提供する。
【解決手段】このモータ制御装置4は、操舵トルクに応じた検出信号Sτを出力するトルクセンサ5と、トルクセンサ5の検出信号Sτに基づきモータ20の駆動を制御するマイコン41とを備える。トルクセンサ5は、検出信号Sτの出力と、異常診断信号Sdの出力とを交互に行う。マイコン41は、トルクセンサ5から出力される異常診断信号Sdに基づいてトルクセンサ5の異常の有無を検出する。またマイコン41は、トルクセンサ5から検出信号Sτが出力される期間毎に検出信号Sτに基づいてトルクホールド値を設定し、このトルクホールド値に基づいてモータ20の駆動を制御する。そしてマイコン41は、検出信号Sτに基づいてトルクホールド値の更新値を設定した時点から所定時間経過した後に、トルクホールド値を更新値に更新する。
【選択図】図2

Description

本発明は、モータの駆動を制御するモータ制御装置に関する。
車両の操舵機構にモータのアシストトルクを付与することにより運転者のステアリング操作を補助する電動パワーステアリング装置が知られている。従来、この種の電動パワーステアリング装置としては、特許文献1に記載の装置がある。特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置は、ホールICからなるトルクセンサと、運転者により操舵機構に付与される操舵トルクに応じた磁束をトルクセンサに付与する磁気回路と、モータの駆動を制御するモータ制御装置とを備えている。この電動パワーステアリング装置では、運転者のステアリング操作に伴い操舵トルクが変化すると、磁気回路からトルクセンサに付与される磁束が変化する。これによりトルクセンサから操舵トルクに応じた検出信号が出力される。モータ制御装置は、トルクセンサの検出信号に基づいて、操舵トルクに対応したトルク値を検出する。そしてモータ制御装置は、検出したトルク値に基づきアシスト指令値を設定し、モータのアシストトルクをアシスト指令値に追従させるべくモータの駆動を制御する。
また特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置は、上記のような磁気回路とは別に、トルクセンサに磁界を付与する磁界発生装置を備えている。モータ制御装置は、磁界発生装置を通じてトルクセンサに磁界を付与したとき、付与した磁界に応じた信号がトルクセンサから出力されるか否かを判断する。そしてモータ制御装置は、トルクセンサから出力された信号が、付与した磁界に対応した信号でない場合、トルクセンサに異常が生じたと判定する。またモータ制御装置は、磁界発生装置からトルクセンサに磁界を付与する直前に、トルクセンサの検出信号に基づき検出したトルク値をトルクホールド値としてメモリに予め記憶する。そしてモータ制御装置は、磁界発生装置から磁界を発生させている期間、トルクホールド値に基づいてモータの駆動を制御する。
特開2011−203091号公報
ところで、特許文献1に記載のモータ制御装置では、トルクセンサに何らかの異常が発生すると、トルク検出値が実際の操舵トルクからかけ離れた異常値となる。モータ制御装置が異常なトルク検出値に基づいてトルクホールド値を更新すると、その後に磁界発生装置を用いてトルクセンサの異常が検出されるまでの間、モータ制御装置は異常なトルクホールド値に基づいてモータの駆動制御を行うことになる。そのため、操舵機構に不適切なアシストトルクが付与されることになり、運転者に違和感を与えるおそれがある。
なお、このような課題は、電動パワーステアリング装置に用いられるモータ制御装置に限らず、検出対象の状態量を検出するセンサを有し、このセンサの検出信号に基づきモータの駆動を制御するモータ制御装置に共通する課題である。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、モータの不適切な駆動を抑制することのできるモータ制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するモータ制御装置は、検出対象の状態量に応じた検出信号を出力するセンサと、前記検出信号に基づきモータの駆動を制御する制御部と、を備え、前記センサは、前記検出信号の出力と、前記センサの異常を判定可能な異常診断信号の出力とを交互に行い、前記制御部は、前記異常診断信号に基づき前記センサの異常を判定するとともに、前記センサから前記検出信号が出力される期間毎に前記検出信号に基づいて前記状態量のホールド値を設定し、少なくとも前記センサから前記異常診断信号が出力される期間においては前記ホールド値に基づいて前記モータの駆動を制御するものであり、前記検出信号に基づいて前記ホールド値の更新値を設定した時点から所定時間が経過した後に、前記ホールド値を前記更新値に更新する。
この構成によれば、更新値の設定と同時にホールド値を更新値に更新する場合と比較して、異常な更新値が設定された際に、異常な更新値がホールド値に反映されるまでの時期を所定時間だけ遅らせることができる。すなわちホールド値が異常値に設定される時期を所定時間だけ遅らせることができる。これにより制御部が異常なホールド値に基づいてモータの駆動制御を行う時間を短縮することができるため、モータの不適切な駆動を抑制することができる。
ところで、異常診断信号に検出信号の異常を判定可能な波形が含まれている場合には、異常診断信号に基づいて検出信号に異常が無いことが確認できれば、検出信号に基づき設定された更新値は正常値であると考えられる。
そこで上記モータ制御装置について、前記異常診断信号に、前記センサの異常として、前記検出信号の異常を判定可能な波形が含まれている場合には、前記所定時間が、前記制御部が前記更新値を設定した時点から、前記センサが前記波形の異常診断信号の出力を完了する時点までの時間以上に設定されていることが好ましい。
また上記モータ制御装置について、前記異常診断信号に、前記センサの異常として、前記検出信号の異常を判定可能な波形が含まれている場合には、前記制御部は、前記更新値を設定した後、前記異常診断信号に基づいて前記検出信号に異常が無いと判定されてから、前記ホールド値を前記更新値に更新することが好ましい。
これらの構成によれば、制御部が検出信号に異常がないことを検出して以降にホールド値が更新されるため、ホールド値を正常な更新値に更新することができる。これによりホールド値が検出対象の実際の状態量からかけはなれた異常値に設定されることがなくなるため、モータの不適切な駆動をより的確に回避することができる。
一方、このようなモータ制御装置では、センサの検出信号に基づいて更新値を設定する際にセンサに発生した異常が、例えば給電経路の瞬断などの発生時間の短い異常である場合、センサは即座に正常な状態に復帰する。このときセンサは、検出信号の出力の際に一旦は異常な状態になるものの、異常診断信号の出力の際には正常な状態に復帰する。そのため、異常診断信号に基づく異常判定だけではセンサの異常を検出することが困難であり、更新値が異常値となる可能性がある。これに起因してホールド値が異常値に更新されると、制御部が異常なホールド値に基づいてモータの駆動制御を継続するおそれがある。
そこで上記モータ制御装置について、前記制御部は、前記更新値を設定した直後に前記センサに瞬断が発生していたか否かを判定し、前記センサに瞬断が発生していたと判定した場合、前記ホールド値を更新しないことが好ましい。
この構成によれば、更新値の設定の際にセンサに瞬断が発生することによりセンサから出力される検出信号に異常が生じた場合、制御部はホールド値を更新しない。これにより、ホールド値が異常な更新値に更新されることを回避することができるため、モータの不適切な駆動を抑制することができる。
また上記モータ制御装置について、前記センサは、自身への給電が開始される毎に異常診断信号を出力し、前記異常診断信号は、前記検出信号の取り得る上限値又は下限値を最初に所定時間出力するものであり、前記制御部は、前記更新値を設定した直後に前記センサから出力される信号が、前記上限値に対応する閾値以上、又は前記下限値に対応する閾値以下となる状態が所定時間継続することをもって、前記センサに瞬断が発生していたと判定することが好ましい。
この構成によれば、センサに瞬断が発生すると、センサから異常診断信号として検出信号の上限値又は下限値に対応した信号が出力される。そのためセンサから出力される信号が、上限値に対応する閾値以上、又は下限値に対応する閾値以下となる状態が所定時間継続することをもって、瞬断の発生を容易に検出することができる。
また上記モータ制御装置について、前記制御部は、前記更新値を設定した直後に前記センサから出力される信号が所定の閾値以下となる状態が所定時間継続することをもって、前記センサに瞬断が発生していたと判定することが好ましい。
この構成によれば、センサに瞬断が発生していたか否かを容易に判定することができる。
このモータ制御装置によれば、モータの不適切な駆動を抑制することができる。
電動パワーステアリング装置の概略構成を示すブロック図。 モータ制御装置の第1実施形態についてその構成を示すブロック図。 (a),(b)は、トルクセンサへの供給電圧、及びトルクセンサの出力信号の推移を示すタイミングチャート。 (a)〜(c)は、第1実施形態のモータ制御装置におけるトルクセンサへの供給電圧、トルクセンサの出力信号、及びトルクホールド値の推移を示すタイミングチャート。 第1実施形態のモータ制御装置によるトルクホールド値更新処理の手順を示すフローチャート。 (a)〜(c)は、第1実施形態のモータ制御装置におけるトルクセンサへの供給電圧、トルクセンサの出力信号、及びトルクホールド値の推移を示すタイミングチャート。 モータ制御装置の第1実施形態の変形例についてトルクホールド値更新処理の手順を示すフローチャート。 (a)〜(c)は、第1実施形態のモータ制御装置の変形例におけるトルクセンサへの供給電圧、トルクセンサの出力信号、及びトルクホールド値の推移を示すタイミングチャート。 モータ制御装置の第2実施形態についてトルクホールド値更新処理の手順を示すフローチャート。 (a)〜(c)は、第2実施形態のモータ制御装置におけるトルクセンサへの供給電圧、トルクセンサの出力信号、及びトルクホールド値の推移を示すタイミングチャート。 (a)〜(c)は、モータ制御装置の他の実施形態におけるトルクセンサへの供給電圧、トルクセンサの出力信号、及びトルクホールド値の推移を示すタイミングチャート。
<第1実施形態>
以下、モータ制御装置の第1実施形態について説明する。はじめに、本実施形態のモータ制御装置を用いた電動パワーステアリング装置について説明する。
図1に示すように、この電動パワーステアリング装置は、運転者のステアリングホイール10の操作に基づき転舵輪3を転舵させる操舵機構1、及び運転者のステアリング操作を補助するアシスト機構2を備えている。
操舵機構1は、ステアリングホイール10の回転軸となるステアリングシャフト11、及びその下端部にラックアンドピニオン機構12を介して連結されたラックシャフト13を備えている。操舵機構1では、運転者のステアリングホイール10の操作に伴いステアリングシャフト11が回転すると、その回転運動がラックアンドピニオン機構12を介してラックシャフト13の軸方向の往復直線運動に変換される。このラックシャフト13の往復直線運動がその両端に連結されたタイロッド14を介して転舵輪3に伝達されることにより転舵輪3の転舵角が変化し、車両の進行方向が変更される。
アシスト機構2は、ステアリングシャフト11にアシストトルクを付与するモータ20を備えている。モータ20は三相ブラシレスモータからなる。モータ20の回転が減速機21を介してステアリングシャフト11に伝達されることによりステアリングシャフト11にモータトルクが付与され、ステアリング操作が補助される。
この電動パワーステアリング装置には、ステアリングホイール10の操作量や車両の状態量を検出する各種センサが設けられている。例えばステアリングシャフト11にはトルクセンサ5が設けられている。トルクセンサ5は、運転者のステアリング操作に際してステアリングシャフト11に付与される操舵トルクを検出し、検出したトルク値に応じた電圧信号を検出信号Sτとして出力する。なお検出信号Sτの取り得る範囲は「Vmin≦Sτ≦Vmax」に設定されている。下限値Vminは、グランド電位に相当する0[V]よりも大きい電圧値に設定されており、本実施形態では0.5[V]に設定されている。上限値Vmaxはトルクセンサ5の電源電圧以下の電圧値されており、本実施形態では4[V]に設定されている。またトルクセンサ5は、自身への給電が開始された際に、検出信号Sτに代えて、トルクセンサ5の異常の有無を判定可能な異常診断信号Sdを所定時間出力する。さらにトルクセンサ5には、自身の異常の有無を監視する自己診断機能が搭載されている。自己診断機能は、例えば複数の検出素子により二重化されたトルクセンサ5において各検出素子の出力信号を比較し、出力信号間に所定値以上の差が生じた場合に異常を検出する等の公知の手法が用いられる。本実施形態のトルクセンサ5は、自己診断により自身の異常を検出したとき、例えば0.2[V]の電圧信号からなる異常検出信号Seを出力する。
車両には車速センサ6が設けられている。車速センサ6は、車両の走行速度を検出し、検出した走行速度に応じた電圧信号を検出信号Svとして出力する。モータ20には回転角センサ7が設けられている。回転角センサ7は、モータ20の回転角を検出し、検出したモータ回転角に応じた電圧信号を検出信号Sθとして出力する。各センサ5〜7から出力される信号はモータ制御装置4に取り込まれる。モータ制御装置4は、各センサ5〜7から出力される信号に基づきモータ20の駆動を制御する。
図2に示すように、モータ制御装置4は、車載バッテリなどの電源から供給される直流電力を三相(U相,V相,W相)の交流電力に変換するインバータ回路40、及びインバータ回路40をPWM(パルス幅変調)駆動するマイコン41を備えている。本実施形態ではマイコン41が制御部に相当する。
インバータ回路40は、マイコン41からの制御信号(PWM駆動信号)に基づき、電源から供給される直流電力を三相交流電力に変換する。この三相交流電力は各相の給電線WLを介してモータ20に供給される。各相の給電線WLには電流センサ42が設けられている。なお図2では、説明の便宜上、各相の給電線WL及び各相の電流センサ42をそれぞれ一つにまとめて図示している。電流センサ42は、給電線WLを流れる各相電流値を検出し、検出した各相電流値に応じた検出信号Siを出力する。電流センサ42の検出信号Siはマイコン41に取り込まれる。
マイコン41には、トルクセンサ5の各種出力信号Sτ,Sd,Se、車速センサ6の検出信号Sv、及び回転角センサ7の検出信号Sθも取り込まれる。マイコン41は、各センサ5〜7,42の検出信号Sτ,Sv,Sθ,Siに基づき、操舵トルクに対応するトルク値、車速、モータ回転角、及び各相電流値を検出する。そしてマイコン41は、トルク値及び車速に基づき目標アシストトルクを設定する。またマイコン41は、モータ20からステアリングシャフト11に付与されるアシストトルクを目標アシストトルクに追従させるべく、モータ回転角及び各相電流値を用いて、モータ20を流れる電流をフィードバック制御することにより制御信号を生成する。これによりモータ20の駆動が制御され、ステアリングシャフト11にアシストトルクを付与するアシスト制御が実行される。
またモータ制御装置4は、トルクセンサ5に動作電圧を供給する電源IC43を備えている。電源IC43は、車載バッテリの電源電圧をトルクセンサ5に適した動作電圧に調圧し、調圧された動作電圧をトルクセンサ5に印加する。電源IC43は、マイコン41からの指令に基づいてトルクセンサ5への給電及び給電の遮断を行う。
次に図3を参照してトルクセンサ5の動作について説明する。
図3(a)に示すように、トルクセンサ5への給電が時刻t1で開始されたとすると、トルクセンサ5の出力信号(出力電圧)Saは、図3(b)に示すように変化する。すなわちトルクセンサ5は、まず、予め定められた波形からなりトルクセンサ5の出力異常の有無を判定可能な異常診断信号Sdを出力する。具体的には、トルクセンサ5は、給電が開始された時刻t1以降、第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3を順に出力する。第1信号S1は、検出信号Sτの下限値Vminに対応した出力を所定時間T1だけ継続する波形からなる。第2信号S2は、検出信号Sτの上限値Vmaxに対応した出力を所定時間T2だけ継続する波形からなる。第3信号S3は、異常検出信号Seに対応した出力を所定時間T3だけ継続する波形からなる。なお第3信号S3は、自己診断により異常が検出される出力をトルクセンサ5が自発的に行うことにより、トルクセンサ5から意図的に出力される信号である。これら第1信号S1〜第3信号S3により異常診断信号Sdが構成される。またトルクセンサ5は、異常診断信号Sdの出力が完了した時刻t2以降、検出信号Sτを出力する。
そしてマイコン41は、トルクセンサ5から出力される異常診断信号Sdに基づいてトルクセンサ5の異常を検出する。次にマイコン41によるトルクセンサ5の異常検出方法について説明する。
本実施形態では、トルクセンサ5の出力回路に何らかの異常が生じると、異常診断信号Sdの波形が予め定められた波形からずれる。例えばトルクセンサ5から出力される第1信号S1が検出信号下限値Vminからずれるか、あるいは第2信号S2が検出信号上限値Vmaxからずれる。そのためマイコン41は、トルクセンサ5が第1信号S1として検出信号下限値Vminを出力していないことをもって、あるいは第2信号S2として検出信号上限値Vmaxを出力していないことをもって、トルクセンサ5の出力回路が異常であると判断することができる。またマイコン41は、トルクセンサ5が第1信号S1として検出信号下限値Vminを出力していて、且つ、第2信号S2として検出信号上限値Vmaxを出力している場合、トルクセンサ5の出力回路が正常であると判断することができる。
またトルクセンサ5の自己診断機能が異常である場合、自己診断により異常検出されるような出力をトルクセンサ5が行っても、トルクセンサ5からは第3信号S3が出力されない。そのためマイコン41は、自己診断により異常検出される出力をトルクセンサ5が行っているにもかかわらず、トルクセンサ5が第3信号S3を出力しない場合には、トルクセンサ5の自己診断機能が異常であると判断することができる。またマイコン41は、トルクセンサ5が、自己診断により異常検出される出力として第3信号S3を出力している場合には、トルクセンサ5の自己診断機能が正常であると判断することができる。
本実施形態のマイコン41は、電源IC43を通じてトルクセンサ5への給電の遮断及び給電の再開を周期的に行うことにより、トルクセンサ5から異常診断信号Sd及び検出信号Sτを交互に出力させる。そしてマイコン41は、トルクセンサ5から異常診断信号Sdが出力されている期間、上記のような異常検出原理に基づいてトルクセンサ5の異常を検出する。
具体的には、図4(a)に示すように、マイコン41は、時刻t11でトルクセンサ5への給電を一時的に遮断した後、時刻t12でトルクセンサ5への給電を再開する。これにより図4(b)に示すように、トルクセンサ5は、給電が開始された時刻t12以降、異常診断信号Sdをマイコン41に出力する。このときマイコン41は、トルクセンサ5への給電を開始した時刻t12から所定時間T10が経過するまでの間、トルクセンサ5が検出信号下限値Vminを出力したか否かを判断する。マイコン41は、時刻t12から所定時間T10が経過するよりも前の時刻t13でトルクセンサ5からの検出信号下限値Vminの出力を検出すると、次に時刻t13から所定時間T11が経過するまでの間、トルクセンサ5が検出信号上限値Vmaxを出力したか否かを判断する。そしてマイコン41は、時刻t13から所定時間T11が経過するよりも前の時刻t14でトルクセンサ5からの検出信号上限値Vmaxの出力を検出すると、次に時刻t14から所定時間T12が経過するまでの間、トルクセンサ5が異常検出信号Seを出力したか否かを判断する。またマイコン41は、時刻t14から所定時間T12が経過するよりも前の時刻t16でトルクセンサ5からの異常検出信号Seの出力を検出すると、次に時刻t16から所定時間T13が経過するまでの間、トルクセンサ5の出力が検出信号Sτの取り得る範囲に戻ったか否かを判断する。すなわちマイコン41は、トルクセンサ5が検出信号Sτを出力する状態に戻ったか否かを判断する。そしてマイコン41は、時刻t17でトルクセンサ5が検出信号Sτを出力する状態に戻ったことを検出すると、トルクセンサ5が正常であると判断する。
一方、マイコン41は、以下の(a1)〜(a4)のいずれかに該当する場合には、トルクセンサ5に異常が生じたと判断する。
(a1)トルクセンサ5への給電を開始した時刻t12から所定時間T10が経過するまでの間にトルクセンサ5からの検出信号下限値Vminの出力を検出できなかった場合。
(a2)トルクセンサ5からの検出信号下限値Vminの出力を検出した時刻t13から所定時間T11が経過するまでの間にトルクセンサ5からの検出信号上限値Vmaxの出力を検出できなかった場合。
(a3)トルクセンサ5からの検出信号上限値Vmaxの出力を検出した時刻t14から所定時間T12が経過するまでの間にトルクセンサ5からの異常検出信号Seの出力を検出できなかった場合。
(a4)トルクセンサ5からの異常検出信号Seの出力を検出した時刻t16から所定時間T13が経過するまでの間にトルクセンサ5が検出信号Sτを出力する状態に戻ったことを検出できなかった場合。
そしてマイコン41は、(a1)〜(a4)のいずれかに該当することによりトルクセンサ5の異常を検出した場合、モータ20の駆動を制限する。マイコン41は、例えばモータ20からステアリングシャフト11に付与されるアシストトルクを漸減したり、モータ20の駆動を停止するなどして、モータ20の駆動を制限する。
一方、マイコン41は、時刻t17でトルクセンサ5が正常であることを検出すると、時刻t17から所定時間T14が経過する時刻t18までの間、トルクセンサ5から出力される検出信号Sτに基づいてトルク値を所定の周期で検出する。そしてマイコン41は、図4(a)に示すように時刻t19でトルクセンサ5への給電を一時的に遮断した後、時刻t20でトルクセンサ5への給電を再開する。これにより、図4(b)に示すように、トルクセンサ5は、給電が再開された時刻t20以降、異常診断信号Sdをマイコン41に再び出力する。このときマイコン41は、トルクセンサ5から出力される異常診断信号Sdに基づいてトルクセンサ5の異常の有無を再度判定する。以降、図4(a)に示すように、マイコン41は、トルクセンサ5への給電の遮断及び給電の再開を周期的に行うことでトルクセンサ5から異常診断信号Sdを周期的に出力させる。そしてマイコン41は、トルクセンサ5が異常診断信号Sdの出力を行う毎に、異常診断信号Sdに基づきトルクセンサ5の異常の有無を判定する。
ところで、図4(b)に示すようにトルクセンサ5が異常診断信号Sd及び検出信号Sτを交互に出力する場合、マイコン41は、トルクセンサ5から異常診断信号Sdが出力されている間、トルク値を検出することができない。そこで図4(c)に黒丸の点で示すように、本実施形態のマイコン41は、トルクセンサ5から検出信号Sτが出力されている期間に検出したトルク値に基づいてトルクホールド値τhを設定する。そしてマイコン41は、トルクセンサ5から異常診断信号Sdが出力されている期間及び検出信号Sτが出力されている期間のいずれにおいても、メモリ41aに記憶されたトルクホールド値τhに基づいて目標アシストトルクを設定し、モータ20の駆動を制御する。
次に、図5を参照して、マイコン41により行われるトルクホールド値τhの更新処理について説明する。なおマイコン41は、図5に示す処理を、異常診断信号Sdに基づく異常判定が完了した後、トルクセンサ5が検出信号Sτを出力する状態に戻ったと判断したときに実行する。
図5に示すように、マイコン41は、まず、トルクセンサ5の検出信号Sτに基づくトルク値の周期的な検出を開始した後(ステップS1)、トルク値の周期的な検出を開始した時点から所定時間T14が経過したか否かを判断する(ステップS2)。マイコン41は、トルク値の周期的な検出を開始した時点から所定時間T14が経過したとき(ステップS2:YES)、その時点でトルクセンサ5の検出信号Sτに基づいて検出されたトルク値をトルクホールド値τhの更新値τaとして設定し(ステップS3)、その更新値τaをメモリ41aに記憶する(ステップS4)。そしてマイコン41は、トルク値の周期的な検出を停止する(ステップS5)。続いてマイコン41は、トルクセンサ5から異常診断信号Sdを出力させるべく、トルクセンサ5への給電を一時的に遮断し、トルクセンサ5への給電を再開した後(ステップS6)、更新値τaを設定した時点から所定時間T15が経過したか否かを判断する(ステップS7)。なお所定時間T15は、マイコン41が更新値τaを設定した時点から、トルクセンサ5から異常診断信号Sdの第2信号S2の出力が完了する時点までの時間以上となるように予め実験などにより設定されている。マイコン41は、更新値τaを設定した時点から所定時間T15が経過した場合(ステップS7:YES)、トルクホールド値τhを、メモリ41aに記憶された更新値τaに更新する(ステップS8)。
次に図4を参照して、本実施形態のモータ制御装置4の作用について説明する。
図4(c)に黒丸の点で示すように、マイコン41は、時刻t10でトルクセンサ5の検出信号Sτに基づいて検出されたトルク値τ1を新たな更新値τaとして設定し、この更新値τa(=τ1)をメモリ41aに記憶する。そしてマイコン41は、更新値τaを設定した時刻t10から所定時間T15が経過した時刻t15の時点で、トルクホールド値τhを、メモリ41aに記憶された更新値τa(=τ1)に更新する。すなわちマイコン41は、時刻t13でトルクセンサ5からの検出信号下限値Vminの出力を確認して、且つ、時刻t14でトルクセンサ5からの検出信号上限値Vmaxの出力を確認した後にトルクホールド値τhを更新する。これによりマイコン41は、時刻t14でトルクセンサ5の検出信号Sτが正常であることを確認した後にトルクホールド値τhを更新することができる。その後、マイコン41は、時刻t17でトルクセンサ5が検出信号Sτを出力する状態に戻ったことを検出すると、図4(c)に黒丸の点で示すように、時刻t18でトルクセンサ5の検出信号Sτに基づいて検出したトルク値τ2を新たな更新値τaとして設定し、この更新値τa(=τ2)をメモリ41aに記憶する。またマイコン41は、時刻t19でトルクセンサ5への給電を一時的に遮断した後、時刻t20でトルクセンサ5への給電を開始する。その後、マイコン41は、時刻t21及び時刻t22でトルクセンサ5から検出信号下限値Vmin及び検出信号上限値Vmaxのそれぞれの出力を確認した後、時刻t23でトルクホールド値τhを、メモリ41aに記憶された更新値τa(=τ2)に更新する。以降、マイコン41は同様の動作を繰り返す。
このように本実施形態のマイコン41は、時刻t14あるいは時刻t22でトルクセンサ5が正常であることを確認した後にトルクホールド値τhを更新する。これにより、トルクセンサ5の異常により更新値τaが異常値に設定されてしまった場合でも、モータ20の不適切な駆動を回避することができる。
具体的には、図6(b)に示すように、例えばマイコン41が更新値τaを設定する時刻t18の直前の時刻t30でトルクセンサ5の給電経路に断線が生じることにより、トルクセンサ5の出力信号Saが時刻t30から急降下したとする。この場合、図6(c)に黒丸の点で示すように、マイコン41が時刻t18でトルクセンサ5の出力信号Saに基づいて検出したトルク値τeを更新値τaとして設定すると、更新値τaが実際の操舵トルクからかけ離れた異常値となる。このとき、マイコン41は、異常な更新値τaを設定した時刻t18の時点ではトルクホールド値τhを更新しないため、トルクホールド値τhは前回の更新値τa(=τ1)に設定されたままである。その後、マイコン41は、トルクセンサ5への給電の再開を指示する時刻t20から所定時間T10が経過する時刻t31までの間にトルクセンサ5からの検出信号下限値Vminの出力を検出できないと、トルクセンサ5に異常が生じたと判断し、時刻t31でモータ20の駆動を制限する。したがってマイコン41は、モータ20の駆動を制限するまでの間、異常な更新値τa(=τe)をトルクホールド値τhに設定することがない。すなわちトルクホールド値τhが実際の操舵トルクからかけ離れた異常値に設定されることがないため、モータ20の不適切な駆動を回避することができる。
以上説明したように、本実施形態のモータ制御装置4によれば以下の効果が得られる。
(1)トルクセンサ5は、検出信号Sτの出力と、異常診断信号Sdの出力とを交互に行うこととした。一方、マイコン41は、トルクセンサ5から出力される異常診断信号Sdに基づいてトルクセンサ5の異常を判定することとした。またマイコン41は、トルクセンサ5から検出信号Sτが出力される期間毎に検出信号Sτに基づいてトルクホールド値τhを設定し、このトルクホールド値τhに基づいてモータ20の駆動を制御することとした。そしてマイコン41は、検出信号Sτに基づいてトルクホールド値τhの更新値τaを設定した時点から所定時間T15が経過した後に、トルクホールド値τhを更新値τaに更新することとした。また所定時間T15を、マイコン41が更新値τaを設定した時点から、トルクセンサ5から異常診断信号Sdの第2信号S2の出力が完了する時点までの時間以上となるように設定することとした。これによりトルクホールド値τhが実際の操舵トルクからかけ離れた異常値に設定されることがないため、モータ20の不適切な駆動を回避することができる。
(変形例)
次に第1実施形態のモータ制御装置4の変形例について説明する。
この変形例では、マイコン41が、図5に例示した処理に代えて、図7に示す処理を実行する。なお図7では、図5と同一の処理については同一の符号を付すことによりその説明を割愛する。図7に示すように、マイコン41は、トルクセンサ5への給電を一時的に遮断し、トルクセンサ5への給電を再開した後(ステップS6)、異常診断信号Sdに基づく異常判定においてトルクセンサ5からの検出信号下限値Vmin及び検出信号上限値Vmaxのそれぞれの出力を検出したか否かを判断する(ステップS9)。そしてマイコン41は、トルクセンサ5からの検出信号下限値Vmin及び検出信号上限値Vmaxのそれぞれの出力を検出した場合(ステップS9:YES)、すなわちトルクセンサ5の検出信号Sτが正常である場合には、トルクホールド値τhを、メモリ41aに記憶された更新値τaに更新する(ステップS8)。一方、マイコン41は、異常診断信号Sdに基づく異常判定においてトルクセンサ5からの検出信号下限値Vminの出力、あるいは検出信号上限値Vmaxの出力を検出できなかった場合には(ステップS9:NO)、トルクホールド値τhを更新することなく一連の処理を終了する。
次に図8を参照して、この変形例のモータ制御装置4の作用について説明する。
図8(c)に示すように、この変形例のマイコン41は、異常診断信号Sdに基づく異常判定においてトルクセンサ5からの検出信号下限値Vmin及び検出信号上限値Vmaxのそれぞれの出力を確認した時刻t14及び時刻t22で、トルクホールド値τhを、その時点での更新値τaに更新する。このような構成によれば、第1実施形態と同様にトルクホールド値τhが実際の操舵トルクからかけ離れた異常値に設定されることを回避することができる。そのため、モータ20をより適切に駆動させることができる。
<第2実施形態>
次に、モータ制御装置の第2実施形態について説明する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
トルクセンサ5の検出信号Sτに基づいて更新値τaを設定する際にトルクセンサ5に発生した異常が、例えば給電経路の瞬断などの発生時間の非常に短い異常の場合、トルクセンサ5は即座に正常な状態に復帰する。このときトルクセンサ5は、検出信号Sτの出力の際に一旦は異常な状態になるものの、異常診断信号Sdの出力の際には正常な状態に復帰する。そのため、第1実施形態のように異常診断信号Sdに基づいてトルクセンサ5の異常を検出するという方法では、トルクセンサ5の異常を検出することが困難であり、更新値τaが異常値となる可能性がある。これに起因してトルクホールド値τhが異常値に更新されると、マイコン41が異常なトルクホールド値τhに基づいてモータ20の駆動制御を継続するおそれがある。
そこで本実施形態のマイコン41は、トルクセンサ5の検出信号Sτに基づいて更新値τaを設定して以降もトルクセンサ5から検出信号Sτを所定時間T16だけ出力させ、その間にトルクセンサ5から出力される信号Saに基づいてトルクセンサ5に瞬断が発生していたか否かを判定する。そしてマイコン41は、トルクセンサ5に瞬断が発生していなかったと判定することを条件に、トルクホールド値τhを更新値τaに更新する。次に、図9を参照して、この処理の詳細を説明する。なお図9では、図5と同一の処理については同一の符号を付すことによりその説明を割愛する。
図9に示すように、マイコン41は、トルクセンサ5の検出信号Sτに基づくトルク値の周期的な検出を停止した後(ステップS5)、更新値τaを設定した時点から所定時間T16が経過したか否かを判断する(ステップS10)。マイコン41は、更新値τaを設定した時点から所定時間T16が経過していない場合(ステップS10:NO)、トルクセンサ5の出力信号Saが予め定められた閾値Va以下である状態が所定時間T17以上継続しているか否かを判断する(ステップS11)。なお閾値Vaは、検出信号下限値Vminよりも若干大きい値に設定されている。また所定時間T17は、所定時間T16よりも短い時間に設定されている。マイコン41は、トルクセンサ5の出力信号Saが予め定められた閾値Va以下である状態が所定時間T17以上継続することなく(ステップS11:NO)、更新値τaを設定した時点から所定時間T16が経過した場合(ステップS10:YES)、トルクセンサ5に瞬断が発生していなかったと判定して、ステップS8以降の処理を実行する。すなわちマイコン41は、トルクホールド値τhを、メモリ41aに記憶された更新値τaに更新する(ステップS8)。またマイコン41は、トルクセンサ5から異常診断信号Sdを出力させるべく、トルクセンサ5への給電を一時的に遮断した後、トルクセンサ5への給電を再開する(ステップS6)。
一方、マイコン41は、トルクセンサ5の出力信号Saが予め定められた閾値Va以下である状態が所定時間T17以上継続した場合(ステップS11:YES)、トルクセンサ5に瞬断が発生していたと判定する。この場合、マイコン41は、トルクホールド値τhを更新することなく、ステップS6の処理を実行する。
次に図10を参照して、本実施形態のモータ制御装置4の作用について説明する。
図10(c)に黒丸の点で示すように、マイコン41は、時刻t40でトルクセンサ5の検出信号Sτに基づいて検出されたトルク値τ1を新たな更新値τaとして設定すると、この更新値τa(=τ1)をメモリ41aに記憶する。その後、マイコン41は、時刻t40から所定時間T16が経過する時刻t41までの間、トルクセンサ5の検出信号Sτが予め定められた閾値Va以下となり、且つ、その状態が所定時間T17継続するか否かを判断する。そしてマイコン41は、更新値τaを設定した時刻t40から所定時間T16が経過する時刻t41までに、トルクセンサ5の検出信号Sτが予め定められた閾値Va以下となる状態が所定時間T17継続していないことを確認すると、時刻t41でトルクホールド値τhを更新値τa(=τ1)に更新する。
一方、図10(a)に示すように、時刻t42でトルクセンサ5の給電経路に瞬断が発生した場合、図10(b)に示すように、トルクセンサ5の出力信号Saは、瞬断が発生した時刻t42以降、正常値から0[V]へと急降下する。そして、図10(a)に示すように、時刻t44でトルクセンサ5への給電が復帰すると、図10(b)に示すように、トルクセンサ5は、時刻t44から給電開始時と同様、異常診断信号Sdの第1信号S1の出力を行う。このような状況では、図10(c)に黒丸の点で示すように、トルクセンサ5に瞬断が発生した時刻t42の直後の時刻t43でマイコン41がトルクセンサ5の出力信号Saに基づいて検出した異常値τeを更新値τaとして設定すると、更新値τaが実際の操舵トルクからかけ離れた異常値となる。
そこで、本実施形態のマイコン41は、図10(b)に示すように、更新値τaが異常値τeに設定された時刻t43から所定時間T17が経過する時刻t45までの間、トルクセンサ5の出力信号Saが閾値Va以下である状態が継続すると、トルクホールド値τhの更新を行わない。すなわちトルクホールド値τhは前回の更新値τa(=τ1)に設定されたままとなる。そのため、トルクホールド値τhが実際の操舵トルクからかけ離れた異常値に設定されることがないため、モータ20の不適切な駆動を回避することができる。
以上説明したように、本実施形態のモータ制御装置4によれば以下の効果が得られる。
(2)マイコン41は、更新値τaを設定した直後にトルクセンサ5に瞬断が発生していたか否かを判定し、トルクセンサ5に瞬断が発生していたと判定した場合、トルクホールド値τhを更新しないこととした。これにより、トルクホールド値τhが異常値に設定されることがないため、モータ20の不適切な駆動を回避することができる。
(3)マイコン41は、更新値τaを設定した直後にトルクセンサ5から出力される信号Saが所定の閾値Va以下となる状態が所定時間T17継続することをもって、トルクセンサ5に瞬断が発生していたと判定することとした。これによりトルクセンサ5の瞬断を容易に検出することができる。
<他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
・上記第2実施形態では、閾値Vaを検出信号下限値Vminよりも若干大きい値に設定したが、閾値Vaは任意の値に設定可能である。例えば閾値Vaを「0<Va≦Vmin」の範囲に設定してもよい。
・上記第1の実施形態、あるいはその変形例の構成と、第2実施形態の構成とを組み合わせても良い。
・上記第1実施形態の変形例、及び第2実施形態では、トルクセンサ5や検出信号Sτに異常がないと判定した時点でトルクホールド値τhを更新したが、トルクセンサ5や検出信号Sτに異常がないと判定した時点から所定時間経過した後にトルクホールド値τhを更新してもよい。
・トルクホールド値τhを更新値τaに更新する時期は、更新値τaを設定した後であれば、任意の時期に設定することが可能である。例えばトルクセンサ5が異常診断信号Sdとして第1信号S1を出力している途中でトルクホールド値τhを更新してもよい。またトルクセンサ5の検出信号Sτに基づいて更新値τaの現在値を設定したときに、トルクホールド値τhを更新値τaの前回値に更新してもよい。すなわちトルクホールド値τhを更新する時期を、更新値τaの設定周期の一周期分だけ遅れた時期に設定してもよい。要は、トルクセンサ5の検出信号Sτに基づいて更新値τaを設定した時点から所定時間経過した後に、トルクホールド値τhを更新値τaに更新するものであればよい。このような構成であれば、異常な更新値τaが設定された際に、更新値τaの設定と同時にトルクホールド値τhを更新値τaに更新する場合と比較して、異常な更新値τaがトルクホールド値τhに反映されるまでの時間を遅らせることができる。すなわちトルクホールド値τhが異常値に設定される時期を遅らせることができる。これによりマイコン41が異常なトルクホールド値τhに基づいてモータ20の駆動制御を行う時間を短縮することができるため、モータ20の不適切な駆動を抑制することができる。
・上記各実施形態では、更新値τaを、トルクセンサ5が検出信号Sτの出力を停止する直前に検出されたトルク値に設定したが、更新値τaを検出するタイミングは適宜変更可能である。また更新値τaとして、トルクセンサ5が検出信号Sτを出力している期間に検出される複数のトルク値の平均値を用いてもよい。
・上記各実施形態では、トルクセンサ5から出力される異常診断信号Sdの波形として、図3(b)の波形を例示したが、異常診断信号Sdの波形は適宜変更可能である。異常診断信号Sdの波形として、例えば第2信号S2、第1信号S1、異常検出信号Seの順に出力する波形を用いてもよい。またトルクセンサ5に自己診断機能が搭載されていない場合には、異常診断信号Sdから第3信号S3の波形を省略してもよい。
・上記第2実施形態では、トルクセンサ5の出力信号Saが所定の閾値Va以下となる状態が所定時間T17継続することをもって、トルクセンサ5に瞬断が発生していたと判定することとした。これに代えて、給電開始時にトルクセンサ5から最初に出力される信号が上限値Vmax付近の信号である場合には、トルクセンサ5の出力信号Saが所定の閾値以上となる状態が所定時間継続することをもって、トルクセンサ5に瞬断が発生していたと判定することも可能である。例えばトルクセンサ5が、異常診断信号Sdとして、第2信号S2、第1信号S1、異常検出信号Seを順に出力する場合、瞬断後の給電開始時にトルクセンサ5から最初に出力される信号は第2信号S2となる。このような場合には、図11に示すように、閾値Vaを検出信号上限値Vmaxよりも若干小さい値に設定する。またマイコン41は、更新値τaを設定した時刻t50の直後に、トルクセンサ5の出力信号Saが所定の閾値Va以上となる状態が所定時間T17以上継続したか否かを判断する。そしてマイコン41は、図中に示すように時刻t51から所定時間T17が経過する時刻t52までの間、トルクセンサ5から出力される信号Saが所定の閾値Va以上となる状態が継続したとき、トルクセンサ5に瞬断が発生していたと判定してもよい。マイコン41は、このような方法で更新値τaを設定した直後にトルクセンサ5に瞬断が発生していたか否かを判定し、トルクセンサ5に瞬断が発生していたと判定した場合、トルクホールド値τhを更新しなければ、上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
・上記各実施形態では、トルクセンサ5が自身への給電開始に基づき異常診断信号Sdを出力するものであったが、トルクセンサ5は、例えばマイコン41からの指令信号に基づいて異常診断信号Sdを出力するものであってもよい。
・上記各実施形態では、検出信号及び異常診断信号を出力するセンサとしてトルクセンサ5を例示したが、検出信号及び異常診断信号を出力するセンサはこれに限定されない。例えば回転角センサ7に対して上記各実施形態の構成を適用し、回転角センサ7から検出信号及び異常診断信号を出力させてもよい。
・上記各実施形態のモータ制御装置4は、電動パワーステアリング装置のモータ制御装置に限らず、適宜のモータ制御装置に適用可能である。適用可能なモータ制御装置は、検出対象の状態量に応じた検出信号を出力するセンサを備え、センサの検出信号に基づきモータの駆動を制御するものであればよい。
τa…更新値、Sτ…検出信号、Sd…異常診断信号、1…操舵機構、4…モータ制御装置、5…トルクセンサ、20…モータ、41…マイコン(制御部)。

Claims (6)

  1. 検出対象の状態量に応じた検出信号を出力するセンサと、
    前記検出信号に基づきモータの駆動を制御する制御部と、を備え、
    前記センサは、
    前記検出信号の出力と、前記センサの異常を判定可能な異常診断信号の出力とを交互に行い、
    前記制御部は、
    前記異常診断信号に基づき前記センサの異常を判定するとともに、
    前記センサから前記検出信号が出力される期間毎に前記検出信号に基づいて前記状態量のホールド値を設定し、少なくとも前記センサから前記異常診断信号が出力される期間においては前記ホールド値に基づいて前記モータの駆動を制御するものであり、
    前記検出信号に基づいて前記ホールド値の更新値を設定した時点から所定時間が経過した後に、前記ホールド値を前記更新値に更新することを特徴とするモータ制御装置。
  2. 請求項1に記載のモータ制御装置において、
    前記異常診断信号には、前記センサの異常として、前記検出信号の異常を判定可能な波形が含まれ、
    前記所定時間は、前記制御部が前記更新値を設定した時点から、前記センサが前記波形の異常診断信号の出力を完了する時点までの時間以上に設定されていることを特徴とするモータ制御装置。
  3. 請求項1に記載のモータ制御装置において、
    前記異常診断信号には、前記センサの異常として、前記検出信号の異常を判定可能な波形が含まれ、
    前記制御部は、
    前記更新値を設定した後、前記異常診断信号に基づいて前記検出信号に異常が無いと判定されてから、前記ホールド値を前記更新値に更新することを特徴とするモータ制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のモータ制御装置において、
    前記制御部は、
    前記更新値を設定した直後に前記センサに瞬断が発生していたか否かを判定し、前記センサに瞬断が発生していたと判定した場合、前記ホールド値を更新しないことを特徴とするモータ制御装置。
  5. 請求項4に記載のモータ制御装置において、
    前記センサは、自身への給電が開始される毎に異常診断信号を出力し、
    前記異常診断信号は、前記検出信号の取り得る上限値又は下限値を最初に所定時間出力するものであり、
    前記制御部は、
    前記更新値を設定した直後に前記センサから出力される信号が、前記上限値に対応する閾値以上、又は前記下限値に対応する閾値以下となる状態が所定時間継続することをもって、前記センサに瞬断が発生していたと判定することを特徴とするモータ制御装置。
  6. 請求項4に記載のモータ制御装置において、
    前記制御部は、
    前記更新値を設定した直後に前記センサから出力される信号が所定の閾値以下となる状態が所定時間継続することをもって、前記センサに瞬断が発生していたと判定することを特徴とするモータ制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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