JP2015033370A - 低蛋白パン及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】腎臓病患者が主食の1つとして常食するのに適した低蛋白質であり、かつ外観、食味、食感に優れた低蛋白パン及びその製造方法の提供。
【解決手段】小麦粉原料の一部をでん粉に置換した低蛋白パン製造用原料組成物において、該でん粉原料として、小麦粉とでん粉からなる穀粉100重量部に対して、架橋でん粉25〜40重量部、ヒドロキシプロピルでん粉12〜25重量部及びα化でん粉1〜6重量部を配合したことを特徴とする低蛋白パン製造用原料組成物。該低蛋白パン製造用原料組成物を用いて、パンを製造することにより、タンパク質含有量が6.2重量%以下に調整され、腎臓病患者が主食の1つとして常食するのに適し、小麦粉原料で製造した場合と同様のパン本来の外観、食味、食感を有し、しかも、餅風の食感を付与した新規食感の低蛋白パンが製造できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、低蛋白パン及びその製造方法に関し、特には、低蛋白質含量のパンではあるが、パン用小麦粉で製造したと同様のパン本来の外観、食味、食感とともに、餅風の食感、すなわち、モチモチした食感を付与した新規食感の低蛋白パン及びその製造方法、更には、該低蛋白パン製造用の原料組成物、及び生地に関する。
腎臓病患者の食事療法として、蛋白量を減らした食品を摂取し、腎臓に大きな負荷をかけないように食事制限する方法がある。腎臓病患者が無理なく食事療法を続けられるように、主食の1つであるパンについても、蛋白量を減らしたパンが求められている。低蛋白パンとは、一般的な市販食パンに比べて蛋白量が少ないパンを指して言われているが、一般的な市販食パンの蛋白量は9.3%(日本食品標準成分表2010、文部科学省)である。日本人の蛋白質摂取量は1日あたり平均67.0g(平成23年国民健康・栄養調査報告、厚生労働省)であるが、腎臓病患者では蛋白質摂取量を体重1kgあたり0.6〜0.8g/日、病状の進行具合では0.5g/日以下にする必要がある(慢性腎臓病に対する食事療法基準2007、日本腎臓学会)との報告がある。上記のように蛋白質摂取量は各々の患者で設定されるようであるが、腎臓病患者の食事療法としての低蛋白パンの利用を図る場合には、該低蛋白パンの蛋白質含有量としては、上記データを考慮すると市販食パンの2/3以下となる6.2%以下にすることが望まれる。
従来より、腎臓病患者の食事療法等のために、蛋白量を減らした低蛋白パンの製造が検討されている。パンに含まれる蛋白量を減らすには、主な蛋白供給源となるパン製造用小麦粉の使用量を、他の蛋白質含量の少ない原料で代替し、蛋白量を減らすことが行われている。かかる場合のパン製造用小麦粉の代替としては、でん粉類が用いられている。しかし、でん粉類の使用により、小麦粉を減らすとグルテン形成が上手くいかず、製造したパンの形状が保持できず、ふっくらしたパンが作れない、食感が悪くなる、味質が低下するなど種々の問題が発生する。そこで、以前より、パン製造用小麦粉をでん粉類のような低蛋白質の原料で代替した低蛋白パンにおいても、パン製造用小麦粉を主要な穀粉として使用した普通パンと同様の品質を目指した低蛋白パンの製造方法が提案されている。
例えば、特開平5−7448号公報には、パン用小麦粉にでん粉を配合して、その含有蛋白量を6.5〜7.5%とした低蛋白パン用穀粉組成物が開示されており、また、該低蛋白パン用穀粉組成物においては、添加食塩量の1/2を限度として食塩に代えて塩化カリを添加することにより、従来パンと同等のボリューム、外層・内層、機械耐性を有する低蛋白、低食塩のパンの製造方法が開示されている、該公報に開示の方法においては、蛋白含量の低下及び食塩量の低下による問題点を解決するために、穀粉組成物の7〜10(重量)の砂糖を使用し、中種配合の水分含量を可及的に少なくする等の対策が採られている。しかし、該開示の方法では、蛋白質の含量を、通常のパンの約70%に低減化できる程度にとどまるものであり、該開示の方法で、食事療法用のパンとして蛋白質含量を十分低減化するために、でん粉の置換量を増やすと、製パンに際して、生地の伸展が悪くなり、発酵時に十分な容積が得られなくなり、容積が小さく、ソフト感に欠けるパンとなる問題があった。
そこで、該パン用小麦粉にでん粉を配合した場合の問題を解決するために、特開平11−155467号公報には、でん粉と増粘多糖類と食物繊維とを含有する低蛋白パンの製造方法が開示されている。該開示の方法では、焼成後のパンにしっとりとした弾力を付与するために、でん粉の一部をエーテル化でん粉で代替することが示されている。該開示の方法では、蛋白含量0.5〜4.0%の低蛋白パンを製造することが可能であり、小麦粉の50%以上をでん粉に置換しても、発酵及び焼成中に発生するガスを生地中に保持することができ、ソフトな食感での通常のパンと同じ容積のパンを製造することができることが示されている。しかしながら、該開示の方法は、生地の弾力性を保持し、発酵及び焼成中に発生するガスを保持するために、増粘多糖類を添加し、食感の改善のために食物繊維を添加するものであり、これらの成分の添加においてはその添加量を調整しても、該成分の食味への影響が避けられず、また、食感的にかたいパンになる傾向があり、ソフトな食感での通常のパンと同じ食味、食感の低蛋白パンを製造することが難しいという問題がある。
また、パン用小麦粉にでん粉を配合して、低蛋白パンを製造する方法において、含有する蛋白質の量を更に低減化することを図る方法として、特開2001−224300号公報には、小麦粉原料に、でん粉及びα化でん粉を配合する方法が開示されている。すなわち、該方法では、小麦粉25〜50質量部、α化澱粉を除く澱粉45〜70質量部及びα化澱粉5〜15質量部とした穀粉を原料として、加水、攪拌して一次生地を生成し、該一次生地に油脂20〜50質量部を折り込んで、二次生地を生成し、該二次生地を焼成する低蛋白パンの製造方法が採られている。しかしながら、該方法では小麦粉の使用量を低減化した場合の低蛋白パンのボリユームや食感等の低下の問題を解消するために、製造工程中に相当量の油脂を折込む工程が採用されており、製造される低蛋白パンは、パン用小麦粉から製造される普通パンのようなソフトでボリユームのある食味、食感のパンとは相違するものとなっている。
更に、低蛋白パンの製造方法において、小麦粉に代えて低蛋白米粉(パウダー)や、小麦でん粉、馬鈴薯でん粉のようなでん粉を原料として用い、該原料に生地の膜形成材として増粘多糖類を、硬化抑制材としてα化でん粉及びアミラーゼを、或いは品質改良材として食物繊維等を添加して、蛋白質含量を小麦粉パンの1/10以下に減少させた低蛋白パンの製造方法が開示されている(特開2004−290160号公報、特開2006−158298号公報、特開2007−215464号公報)。しかしながら、これらの製造方法によって製造された低蛋白パンは、小麦粉を使用しないものであるため、その食味、食感において、パン用小麦粉から製造される普通パンとは相違するものとなっている。
また、特開平10−313767号公報には、パン用小麦粉とでん粉を蛋白質含有量が5.0〜8.0になるように配合し、対粉体重量あたり、糖質を10〜20重量%、無塩バター又は油脂を20〜50重量%添加した低蛋白低塩パンが、特開平11−289966号公報には、でん粉40〜60重量%を含有し、蛋白質含量を6〜8重量%とした小麦粉組成物100重量部に、糖類3〜30重量部、でん粉分解物5〜50重量部、油脂5〜30重量部を配合した低塩低蛋白パンが、特開2000−300157号公報には、でん粉小麦粉18〜38重量%、強力粉16〜35重量%、砂糖3〜6重量%、バター6〜8重量%、生クリーム10〜12重量%、ベーキングパウダー0.7〜1.0重量%等を配合した低塩低蛋白パンがそれぞれ開示されている。これらの低蛋白パンの製造方法には、パン製造原料の低蛋白質に原因する製造したパンの外観、食味、食感の低下を補うために、比較的多量の糖質、油脂が用いられており、また、生クリームや、ベーキングパウダーの添加が行われているが、かかる成分の添加は、小麦粉パン本来の食味、食感とは相違するものとなり、小麦粉パン本来のソフトで食味の良いパンとはならないものとなっている。例えば、ベーキングパウダーの添加は、パンの風味を悪くし、その改善のために上記開示のものでは、生クリームが添加されているが、それらの成分の添加は、パンの味覚に影響して、小麦粉パン本来の味覚とは相違するものとなっている。また、上記開示のものにおいては、パン製造原料の蛋白質を減らして、でん粉分解物を添加しているが、そのために添加する水分量を減らす必要があり、できあがったパンは、パサついた食感のものとなる傾向がある。
以上のように、従来より、腎臓病患者の食事療法等のために、蛋白量を減らした低蛋白パンの製造が検討されており、そのための各種の低蛋白パンの製造方法が開示されているが、腎臓病患者が主食の1つとして常食するのに満足できる低蛋白パンとするためには、パン製造原料中の小麦粉の使用量を減少させ、蛋白質含量を減少させる必要があり、かかる蛋白質含量の減少による製パン性、食味、食感の低下を回避して、低蛋白パンを普通パンと同様の外観、食感、食味にするために、従来法では上記のように、油脂や糖質、増粘多糖類、食物繊維等各種の添加物を添加することが行われている。しかしながら、これらの添加物を添加して製造された低蛋白パンは、その外観、食感、食味において、小麦粉パン本来のものとは相違するものとなり、低蛋白パンでありながら、その外観、食感、食味において、小麦粉パン本来のものに匹敵する外観、食感、食味を有する低蛋白パンの製造方法を提供するには至っていないのが現状である。
一方で、本出願人は、小麦粉を原料とするパン類において、パン本来の形状、風味を有すると共に、餅風の食感、即ち、モチモチした食感を有する新規な食感のパン類を提供する方法を開発して、特許出願をなした(特許第3700015号公報)。該パン類の製造方法は、パン類を製造する際の主原料として、小麦粉62〜92.5重量部、ヒドロキシプロピル澱粉及び/又はアセチル澱粉7〜30部及びα−化澱粉質0.5〜8重量部からなる原料粉を用いることにより、パン類を製造するものであるが、該パン類の製造方法を低蛋白パンの製造に適用して、小麦粉とでん粉からなる穀粉を用いた低蛋白原料からパン類を製造しても、小麦粉原料を用いたときのような、パン本来の形状、風味を有すると共に、餅風の食感を有する新規食感の低蛋白パンを製造することはできなかった。
特開平5−7448号公報。 特開平10−313767号公報。 特開平11−155467号公報。 特開平11−289966号公報。 特開2000−300157号公報。 特開2001−224300号公報。 特開2004−290160号公報。 特開2006−158298号公報。 特開2007−215464号公報。 特許第3700015号公報。
本発明の課題は、腎臓病患者が主食の1つとして常食するのに適した低蛋白質であり、かつ外観、食味、食感に優れた低蛋白パン及びその製造方法を提供すること、特に、低蛋白質含量のパンではあるが、パン用小麦粉で製造したと同様のパン本来の外観、食味、食感とともに、餅風の食感、すなわち、モチモチした食感を付与した新規食感の低蛋白パン及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、低蛋白質であり、かつ外観、食味、食感に優れた低蛋白パンを製造する方法について、特に、先に開発したパン用小麦粉を用いた新規食感のパン類(特許第3700015号公報)と同様のパン本来の外観、食味、食感とともに、餅風の食感、すなわち、モチモチした食感を付与した新規食感の低蛋白パンを製造する方法について、鋭意検討する中で、加工でん粉として、架橋でん粉、ヒドロキシプロピルでん粉及びα化でん粉を必須とし、該加工でん粉を特定割合で配合したものを用いて、パン用小麦粉原料の特定量を代替した低蛋白パン製造用原料組成物を用い、製パンすることにより、小麦粉原料で製造した場合と同様のパン本来の外観、食味、食感を有し、しかも、餅風の食感を付与した新規食感の低蛋白パンを製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の低蛋白パンの製造方法は、小麦粉とでん粉の穀粉以外の添加物の量を増大させることなく、また、増粘多糖類や食物繊維或いは油脂のような穀粉以外の特別な添加物を添加することなく、低蛋白パンの製造を行うことが可能であるため、従来法のような添加成分のパンの食味、食感への影響を回避して、普通パンと同等な外観、食感、風味をもった低蛋白パンを製造することができる。
すなわち、本発明は、小麦粉原料の一部をでん粉に置換した低蛋白パン製造用原料組成物において、該でん粉原料として、小麦粉とでん粉からなる穀粉100重量部に対して、架橋でん粉25〜40重量部、ヒドロキシプロピルでん粉12〜25重量部及びα化でん粉1〜6重量部を配合したことを特徴とする低蛋白パン製造用原料組成物からなる。本発明の低蛋白パン製造用原料組成物においては、小麦粉原料のでん粉置換割合は、38〜71重量%であり、パン製造用原料組成物中のタンパク質含有量は、6.2重量%以下である。
本発明の低蛋白パン製造用原料組成物において配合される架橋でん粉は、沈降積1〜45を有する架橋でん粉であることが好ましい。特に好ましい架橋でん粉としては、架橋小麦でん粉及び/又は架橋とうもろこしでん粉を挙げることができる。
本発明の低蛋白パン製造用原料組成物において配合されるヒドロキシプロピルでん粉は、置換度0.01〜0.15のヒドロキシプロピルでん粉であることが好ましい。特に好ましいヒドロキシプロピルでん粉としては、ヒドロキシプロピル馬鈴薯でん粉及び/又はヒドロキシプロピルタピオカでん粉を挙げることができる。
本発明の低蛋白パン製造用原料組成物において配合されるα化でん粉は、冷水膨潤度0.1〜40のα化でん粉であることが好ましい。特に好ましいα化でん粉としては、α化ヒドロキシプロピル化架橋馬鈴薯でん粉及び/又はα化ヒドロキシプロピル化架橋タピオカでん粉を挙げることができる。
本発明は、本発明の低蛋白パン製造用原料組成物を用い、該原料組成物に加水し、混捏工程に付すことを特徴とする低蛋白パン焼成用生地の製造方法の発明を包含する。また、本発明は、該低蛋白パン焼成用生地の製造方法によって製造された低蛋白パン焼成用生地自体の発明を包含する。更に、本発明は、本発明の生地の製造方法により製造された低蛋白パン焼成用生地を用い、該生地を焼成工程に付すことを特徴とするパン本来の外観、風味、食感とともに、餅風の食感を付与し、かつ、タンパク質含有量が6.2重量%以下に調整された低蛋白パンの製造方法の発明を包含する。
すなわち、具体的には本発明は、(1)小麦粉原料の一部をでん粉に置換した低蛋白パン製造用原料組成物において、該でん粉原料として、小麦粉とでん粉からなる穀粉100重量部に対して、架橋でん粉25〜40重量部、ヒドロキシプロピルでん粉12〜25重量部及びα化でん粉1〜6重量部を配合したことを特徴とする低蛋白パン製造用原料組成物や、(2)小麦粉原料のでん粉置換割合が、38〜71重量%であり、パン製造用原料組成物中のタンパク質含有量が6.2重量%以下であることを特徴とする上記(1)に記載の低蛋白パン製造用原料組成物や、(3)架橋でん粉が、沈降積1〜45を有する架橋でん粉であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の低蛋白パン製造用原料組成物や、(4)架橋でん粉が、架橋小麦でん粉及び/又は架橋とうもろこしでん粉であることを特徴とする上記(3)に記載の低蛋白パン製造用原料組成物や、(5)ヒドロキシプロピルでん粉が、置換度0.01〜0.15のヒドロキシプロピルでん粉であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の低蛋白パン製造用原料組成物からなる。
また、本発明は、(6)ヒドロキシプロピルでん粉が、ヒドロキシプロピル馬鈴薯でん粉及び/又はヒドロキシプロピルタピオカでん粉であることを特徴とする上記(5)に記載の低蛋白パン製造用原料組成物や、(7)α化でん粉が、冷水膨潤度0.1〜40のα化でん粉であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の低蛋白パン製造用原料組成物や、(8)α化でん粉が、α化ヒドロキシプロピル化架橋馬鈴薯でん粉及び/又はα化ヒドロキシプロピル化架橋タピオカでん粉であることを特徴とする上記(7)に記載の低蛋白パン製造用原料組成物や、(9)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の低蛋白パン製造用原料組成物を用い、該原料組成物に加水し、混捏工程に付すことを特徴とする低蛋白パン焼成用生地の製造方法や、(10)上記(9)に記載の生地の製造方法により製造された低蛋白パン焼成用生地や、(11)上記(9)に記載の生地の製造方法により製造された低蛋白パン焼成用生地を用い、該生地を焼成工程に付すことを特徴とするパン本来の外観、風味、食感とともに、餅風の食感を付与し、かつ、タンパク質含有量が6.2重量%以下に調整された低蛋白パンの製造方法からなる。
本発明は、低蛋白質含量のパンではあるが、パン用小麦粉で製造したと同様のパン本来の外観、食味、食感とともに、餅風の食感、すなわち、モチモチした食感を付与した新規食感の低蛋白パン及びその製造方法を提供する。本発明の低蛋白パンは、腎臓病患者が主食の1つとして常食するのに適した低蛋白質含量を保持し、しかも、パン用小麦粉で製造したと同様のパン本来の外観、食味、食感とともに、餅風の新規食感を具備する。
本発明は、小麦粉原料の一部をでん粉に置換した低蛋白パン製造用原料組成物において、該でん粉原料として、小麦粉とでん粉からなる穀粉100重量部に対して、架橋でん粉25〜40重量部、ヒドロキシプロピルでん粉12〜25重量部及びα化でん粉1〜6重量部を配合したことを特徴とする低蛋白パン製造用原料組成物、該低蛋白パン製造用原料組成物を用いて製造した低蛋白パン焼成用生地、及び該生地を焼成することにより製造された低蛋白パンからなる。
本発明において低蛋白パンとは、一般的な市販食パンに比べて蛋白量が少ないパンを指す。一般的な市販食パンの蛋白量は9.3%(日本食品標準成分表2010、文部科学省)である。日本人の蛋白質摂取量は1日あたり平均67.0g(平成23年国民健康・栄養調査報告、厚生労働省)であり、腎臓病患者では蛋白質摂取量を体重1kgあたり0.6〜0.8g/日、病状の進行具合では0.5g/日以下にする必要がある(慢性腎臓病に対する食事療法基準2007、日本腎臓学会)との報告がある。これらの報告を踏まえて、本発明の低蛋白パンの蛋白含有量としては、市販食パンの2/3以下となる6.2%以下にすることが好ましい。
本発明で使用する小麦粉は、パン類の製造に使用されている一般的な小麦粉を用いることができるが、所望によってはその一部をライ麦粉、コーンフラワー、グラハムフラワー、米粉などで置き換えることもできる。その置換量は原料粉の30重量%以下、好ましくは5〜20重量%量を原料粉中の小麦粉と置き換えて使用することができる。
本発明で「普通パン」とは、前記パン類の製造に使用される一般的な小麦粉を主な穀粉として用いて製造されたパンを指す。また、本発明の「低蛋白パン」は、小麦粉原料に、でん粉を配合して、蛋白パンの蛋白質含有量を6.2%以下に減少させるものであるが、その場合の小麦粉原料のでん粉置換割合は、38〜71重量%となる。
本発明の低蛋白パン製造用原料組成物で配合される架橋でん粉は、トリメタリン酸塩、オキシ塩化リン、アジピン酸など常用の架橋剤を用いて常法にしたがってでん粉を架橋したものを用いることができる。架橋でん粉の製造に用いるでん粉の種類としては、市販のでん粉、例えば小麦でん粉、馬鈴薯でん粉、タピオカでん粉、小麦でん粉、とうもろこしでん粉、米でん粉、サゴでん粉、甘藷でん粉や各種もち種でん粉などいずれも用いることができる。そのなかで、パン形状の保形性の点からは、小麦でん粉及び/又はとうもろこしでん粉が特に好ましい。
架橋でん粉の架橋の程度を示す指標として、沈降積があるが、発明で使用する架橋でん粉の沈降積としては、生地物性の点から1〜45が好ましく、5〜30がより好ましい。本発明の好ましい沈降積を有する架橋でん粉は、架橋の程度を調節することにより得られる。この架橋の程度は用いる架橋剤の量で調節できる。但し、でん粉の種類により架橋の程度と沈降積は必ずしも一致しないので、でん粉の種類により好ましい沈降積になるように、架橋の程度を変える必要がある。また、沈降積が上記の範囲であれば、他の加工処理、例えば漂白処理、ヒドロキシプロピル化などのエーテル化やアセチル化などのエステル化処理を組み合わせた架橋でん粉も同様に架橋でん粉として用いることができる。
沈降積は、以下の条件で測定される:すなわち、乾燥物換算で試料2.0gを水98mLの割合で分散した懸濁液を、90℃で30分加熱後、30℃に冷却する。このでん粉溶液を100mLのメスシリンダーに入れ、液の上端を100mLに合わせ、24時間後の、白濁層の容量(mL)を測定し、沈降積とする。
本発明の低蛋白パン製造用原料組成物で配合されるヒドロキシプロピルでん粉は、エーテル化でん粉の1種であるが、エーテル化でん粉とは、でん粉を構成するグルコース残基の水酸基に官能基が導入・付加されたでん粉の中で、官能基がエーテル結合で付加されたでん粉をいう。エーテル化でん粉の代表的なものにヒドロキシプロピルでん粉があり、でん粉にプロピレンオキサイドを作用させてヒドロキシプロピル基を付加させることにより得られる。
ヒドロキシプロピルでん粉の製造に用いるでん粉の種類としては、市販のでん粉、例えば小麦でん粉、馬鈴薯でん粉、タピオカでん粉、小麦でん粉、とうもろこしでん粉、米でん粉、サゴでん粉、甘藷でん粉や各種もち種でん粉などいずれも用いることができる。パンの膨らみの点から、馬鈴薯でん粉及び又はタピオカでん粉が好ましい。
ヒドロキシプロピルでん粉の官能基の置換割合を示す指標に置換度(でん粉の無水グルコース残基当たりの置換基のモル数で表す)があるが、本発明においてヒドロキシプロピルでん粉の置換度は、生地物性、パンの膨らみの点から0.01〜0.15が好ましく、0.05〜0.12がより好ましい。置換度の測定方法は澱粉・関連糖質実験法(中村,貝沼編,学会出版センター)に記載の方法に準じて測定することができる。置換度が上記の範囲であれば、沈降積が50を超えるような軽度に架橋したでん粉もヒドロキシプロピルでん粉として使用できる。
本発明の低蛋白パン製造用原料組成物で配合されるα化でん粉とは、でん粉のα化により、でん粉の大部分又は一部が常温の水に溶解するように製造されたものであるが、具体的には、水に懸濁したでん粉をドラムドライヤーで処理して糊化、乾燥する方法、でん粉をエクストルーダーで処理して糊化、乾燥する方法、糊化した後凍結乾燥又は噴霧乾燥する方法などによって製造されるものである。
α化でん粉の製造に用いるでん粉の種類としては、市販のでん粉、例えば小麦でん粉、馬鈴薯でん粉、タピオカでん粉、小麦でん粉、とうもろこしでん粉、米でん粉、サゴでん粉、甘藷でん粉や各種もち種でん粉、各種加工でん粉などいずれも用いることができる。生地物性、低蛋白パンの口どけの点から、ヒドロキシプロピル化架橋馬鈴薯でん粉及び又はヒドロキシプロピル化架橋タピオカでん粉が特に好ましい。
α化でん粉のα化の程度を示す指標として、冷水膨潤度があるが、本発明において採用されるα化でん粉の冷水膨潤度としては、生地物性、保水性の点から、0.1〜40が好ましく、5〜35がより好ましい。冷水膨潤度は、以下の条件で測定される:α化でん粉試料2gを水100mlに均一に分散させ、これを100ml容メスシリンダーに注ぎ入れて24時間静置し、でん粉の沈殿層の体積を読み取った数値を、冷水膨潤度とする。
本発明の低蛋白パンの製造においては、架橋でん粉、ヒドロキシプロピルでん粉及びα化でん粉を、特定割合で配合した加工でん粉を、小麦粉原料に配合した低蛋白パン製造用原料組成物が調製される。該3種類の加工でん粉を併用することで、低蛋白でありながらも、穀粉以外の新規な添加物を添加することなく、普通パンと同等の製造工程で作製可能な低蛋白パン用生地、普通パンと同等の外観、食感、食味をもち、しかも、餅風の新規食感を具備する低蛋白パンを製造することが可能となる。
すなわち、本発明の低蛋白パン製造用原料組成物において、低蛋白パン用組成物に含まれる成分割合としては、小麦粉とでん粉からなる穀粉100重量部のうち、架橋でん粉が25〜40重量部、ヒドロキシプロピルでん粉が12〜25重量部、α化でん粉が1〜6重量部からなる。この範囲において、低蛋白でありながらも、穀粉以外の新規な添加物を添加することなく、普通パンと同等の製造工程で作製可能な低蛋白パン用生地、普通パンと同等の外観、食感、風味をもった低蛋白パンが製造可能となる。3種類の加工でん粉を特定の配合で併用することにより、加工でん粉を小麦粉と一部代替しても、パンの骨格形成性、焼成中のパン生地中のガスの閉じ込め性、生地中の水分の保水性が良好となり、普通パンと同等の低蛋白パンが製造可能となった。また生地の取扱いの点からα化でん粉の配合量は1〜5重量部であることがより好ましい。
本発明の低蛋白パン製造用原料組成物は、上記の小麦粉、架橋でん粉、ヒドロキシプロピルでん粉及びα化でん粉を必須成分とし、これらに必要に応じて、イースト(またはベーキングパウダー)、食塩、水などの他、副材料を加え低蛋白パン製造用原料組成物とすることができる。
上記主原料粉以外には小麦以外の穀物、例えば全粒粉、ライ麦、米、トウモロコシ、大麦、ひえ、あわ、きび、発芽玄米、黒米、赤米、大豆、小豆、アマランサス、キヌアなどを混入することができる。
また、本発明の低蛋白パン製造用原料組成物には、本発明の低蛋白パンの外観、食感、食味を変更しない範囲で、適宜、副材料を添加することができる。該副材料としては、具体的には砂糖、グルコース、異性化糖、オリゴ糖、還元でん粉分解物等の糖質、脱脂粉乳、全乳粉末などの乳製品、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム等の乳化剤、シナモン、バジリコ等の香辛料、ブランデー、ラム酒などのアルコール、レーズン、ドライチェリー等のドライフルーツ、アーモンド、ピーナツ等のナッツ類、αアミラーゼ、βアミラーゼ、グルコアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、キシラナーゼ、ヘミセルラーゼ、グルコースオキシダーゼ等の酵素、ペクチン、クァーガム、キサンタンガム、タマリントガム、カラギーナン、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースなどの増粘多糖類、香料(例えばバニラエッセンス)、人工甘味料(例えばアスパルテーム)、グアガム分解物、アガロース、グルコマンナン、ポリデキストローズ、アルギン酸ナトリウム、キチンキトサン、レジスタントスターチ、ココアパウダー等が例示できる。低蛋白パンの生理機能の付与や栄養強化が望まれる場合に、それぞれの機能を有する成分、例えば、各種オリゴ糖、多価不飽和脂肪酸、ペプチド類、配糖体類、ビタミン類、ポリフェノール、ミネラルなどを所望により添加することができる。
本発明における低蛋白パンの製造法においては、本発明の低蛋白パン製造用原料組成物を用いて、該原料組成物に加水し、混捏工程に付すことにより、低蛋白パン焼成用生地を調製する。該生地の調製は、一般的におこなわれている中種法、直捏法、湯種法などいずれの方法も採用することができ、それらの調製法に於いて原料粉に食塩、イースト、イーストフード、砂糖、油脂類などの必要とする原料粉以外の材料を配合し、水を加えて混捏し、常法に従って発酵、分割、丸め、ねかし、成型、型詰めによって行うことができる。
本発明において、生地を冷凍生地として調製し、保存して、低蛋白パン焼成用生地として用いることができる。該冷凍生地の調製には、冷凍耐性のあるイースト、抗酸化剤(例えばアスコルビン酸)、でん粉分解酵素(例えばグルコアミラーゼ)、などを用いる冷凍生地の技術を適用することができる。
本発明の低蛋白パンの製造には、製造された低蛋白パン焼成用生地を用い、該生地を焼成工程に付すことにより行うことができる。該生地の焼成工程自体は、小麦粉原料を用いた通常のパンの焼成工程と変わるところはない。本発明の低蛋白パンの製造方法により、パン本来の外観、風味、食感とともに、餅風の食感を付与し、かつ、タンパク質含有量が6.2重量%以下に調整された低蛋白パンを製造することができる。
該低蛋白パンを具体的に例示すると、プルマン、イギリス食パン等の食パン類、バケット、パリジャンなどのフランスパン、菓子パン、バンズ、テーブルロールなどの各種ロール類の他、イーストドーナツ、中華まんなどが挙げられる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[試験方法及び評価]
表1の工程に従って、各配合の組成物を用いた1斤半の食パンを作製した。作製したパンを10人で試食し、パンとしての風味、形状、内相、食感の4項目を市販の普通食パンと比較した。風味、形状、内相については、市販の普通食パンを5点とした5点満点で採点し、食感については以下のように採点した。
5点:餅風のモチモチした食感が顕著。
4点:餅風のモチモチした食感がやや顕著。
3点:多少モチモチした食感がある。
2点:モチモチ感が市販の普通食パンと変わらない。
1点:モチモチ感が市販の普通食パンより悪い。
10人の平均値を各項目の得点とし、平均値により以下のように評価した。
◎:4.5点以上
○:3.5点以上〜4.4点以下
△:2.5点以上〜3.4点以下
×:2.4点以下
Figure 2015033370
[実施例1〜3;比較例1〜2]
表2に示すように架橋小麦でん粉の配合を変えて、表1の工程で1斤半の食パンを作製した。強力粉、架橋小麦でん粉以外は同じ配合とした。なお、使用した架橋小麦でん粉の沈降積は12であり、ヒドロキシプロピル馬鈴薯でん粉の置換度は0.10であり、α化ヒドロキシプロピル化架橋馬鈴薯でん粉の冷水膨潤度は16であった。評価結果を表3に示す。
Figure 2015033370
Figure 2015033370
[実施例4〜5;比較例3〜4]
表4に示すようにヒドロキシプロピルでん粉の配合を変えて、表1の工程で1斤半の食パンを作製した。強力粉、ヒドロキシプロピルでん粉以外は同じ配合とした。なお、使用した架橋小麦でん粉の沈降積は12であり、ヒドロキシプロピル馬鈴薯でん粉の置換度は0.10であり、α化ヒドロキシプロピル化架橋馬鈴薯でん粉の冷水膨潤度は16であった。評価結果を表5に示す。
Figure 2015033370
Figure 2015033370
[実施例6〜7;比較例5〜6]
表6に示すようにα化でん粉の配合を変えて、表1の工程で1斤半の食パンを作製した。
強力粉、α化でん粉、水以外は同じ配合とした。α化でん粉の配合量によって生地物性が大きく影響されるため、パン生地として製造可能な程度に水分量を調整した。なお、使用した架橋小麦でん粉の沈降積は12であり、ヒドロキシプロピル馬鈴薯でん粉の置換度は0.10であり、α化ヒドロキシプロピル化架橋馬鈴薯でん粉の冷水膨潤度は16であった。評価結果を表7に示す。
Figure 2015033370
Figure 2015033370
[実施例2、8〜10]
表8に示すように架橋でん粉の種類を変えて、表1の工程で1斤半の食パンを作製した。
架橋でん粉の種類以外は同じ配合とした。なお、使用した架橋でん粉の沈降積は、架橋小麦でん粉が12、架橋とうもろこしでん粉が7、架橋タピオカでん粉が11、架橋馬鈴薯でん粉が10であり、ヒドロキシプロピル馬鈴薯でん粉の置換度は0.10であり、α化ヒドロキシプロピル化架橋馬鈴薯でん粉の冷水膨潤度は16であった。評価結果を表9に示す。
Figure 2015033370
Figure 2015033370
[実施例2、11〜13]
表10に示すようにヒドロキシプロピルでん粉の種類を変えて、表1の工程で1斤半の食パンを作製した。ヒドロキシプロピルでん粉の種類以外は同じ配合とした。なお、使用した架橋小麦でん粉の沈降積は12、ヒドロキシプロピルでん粉の置換度は、ヒドロキシプロピル小麦でん粉が0.09、ヒドロキシプロピルとうもろこしでん粉が0.08、ヒドロキシプロピルタピオカでん粉が0.10、ヒドロキシプロピル馬鈴薯でん粉が0.10であり、α化ヒドロキシプロピル化架橋馬鈴薯でん粉の冷水膨潤度は16であった。評価結果を表11に示す。
Figure 2015033370
Figure 2015033370
[実施例2、14〜16]
表12に示すようにα化でん粉の種類を変えて、表1の工程で1斤半の食パンを作製した。α化でん粉の種類以外は同じ配合とした。なお、使用した架橋小麦でん粉の沈降積は12であり、ヒドロキシプロピル馬鈴薯でん粉の置換度は0.10であり、α化でん粉の冷水膨潤度は、α化ヒドロキシプロピル化架橋小麦でん粉が18、α化ヒドロキシプロピル化架橋とうもろこしでん粉が17、α化ヒドロキシプロピル化架橋タピオカでん粉が32、α化ヒドロキシプロピル化架橋馬鈴薯でん粉が16であった。評価結果を表13に示す。
Figure 2015033370
Figure 2015033370
実施例、比較例に記載のパンは蛋白量がパン重量の2.8〜4.3%といずれも低蛋白パンであった。表3、5,7に記すように、小麦粉とでん粉からなる穀粉全体に対して、架橋でん粉が25〜40重量部、ヒドロキシプロピルでん粉が12〜25重量部、α化でん粉が1〜6重量部である場合、普通パンと同等な外観、食感、風味をもった低蛋白パンを製造できた。また、表9に示すように、架橋でん粉としては、架橋小麦でん粉及び/又は架橋とうもろこしでん粉が好ましく、表11に示すように、ヒドロキシプロピルでん粉としては、ヒドロキシプロピル馬鈴薯でん粉及び/又はヒドロキシプロピルタピオカでん粉が好ましく、表13に示すように、α化でん粉としては、α化ヒドロキシプロピル化架橋馬鈴薯でん粉および/又はα化ヒドロキシプロピル化架橋タピオカでん粉が好ましいという結果であった。
本発明は、低蛋白質含量のパンではあるが、パン用小麦粉で製造したと同様のパン本来の外観、食味、食感とともに、餅風の食感、すなわち、モチモチした食感を付与した新規食感の低蛋白パン及びその製造方法を提供する。本発明の低蛋白パンは、腎臓病患者が主食の1つとして常食するのに適した低蛋白質含量を保持し、しかも、パン用小麦粉で製造したと同様のパン本来の外観、食味、食感とともに、餅風の新規食感を具備する。

Claims (11)

  1. 小麦粉原料の一部をでん粉に置換した低蛋白パン製造用原料組成物において、該でん粉原料として、小麦粉とでん粉からなる穀粉100重量部に対して、架橋でん粉25〜40重量部、ヒドロキシプロピルでん粉12〜25重量部及びα化でん粉1〜6重量部を配合したことを特徴とする低蛋白パン製造用原料組成物。
  2. 小麦粉原料のでん粉置換割合が、38〜71重量%であり、パン製造用原料組成物中のタンパク質含有量が6.2重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の低蛋白パン製造用原料組成物。
  3. 架橋でん粉が、沈降積1〜45を有する架橋でん粉であることを特徴とする請求項1又は2に記載の低蛋白パン製造用原料組成物。
  4. 架橋でん粉が、架橋小麦でん粉及び/又は架橋とうもろこしでん粉であることを特徴とする請求項3に記載の低蛋白パン製造用原料組成物。
  5. ヒドロキシプロピルでん粉が、置換度0.01〜0.15のヒドロキシプロピルでん粉であることを特徴とする請求項1又は2に記載の低蛋白パン製造用原料組成物。
  6. ヒドロキシプロピルでん粉が、ヒドロキシプロピル馬鈴薯でん粉及び/又はヒドロキシプロピルタピオカでん粉であることを特徴とする請求項5に記載の低蛋白パン製造用原料組成物。
  7. α化でん粉が、冷水膨潤度0.1〜40のα化でん粉であることを特徴とする請求項1又は2に記載の低蛋白パン製造用原料組成物。
  8. α化でん粉が、α化ヒドロキシプロピル化架橋馬鈴薯でん粉及び/又はα化ヒドロキシプロピル化架橋タピオカでん粉であることを特徴とする請求項7に記載の低蛋白パン製造用原料組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の低蛋白パン製造用原料組成物を用い、該原料組成物に加水し、混捏工程に付すことを特徴とする低蛋白パン焼成用生地の製造方法。
  10. 請求項9に記載の生地の製造方法により製造された低蛋白パン焼成用生地。
  11. 請求項9に記載の生地の製造方法により製造された低蛋白パン焼成用生地を用い、該生地を焼成工程に付すことを特徴とするパン本来の外観、風味、食感とともに、餅風の食感を付与し、かつ、タンパク質含有量が6.2重量%以下に調整された低蛋白パンの製造方法。
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