JP2015033179A - 車両用制御装置及び車両用制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】実施形態の車両用制御装置は、想定値演算部と、検出部と、健全性判定部と、を備える。想定値演算部は、走行時における車両の状態に応じた車両情報を取得して、当該車両に備えられた検出部から入力される検出情報についての車両情報に応じた想定値を算出する。検出部は、車両走行時において自装置に入力される検出情報についての検出値を取得する。健全性判定部は、想定値と、検出値と、を比較して、検出値が想定値を基準とした所定の範囲内に含まれているか否かを判定する。
【選択図】図1
Description
この場合、作業者は、当該制御装置を電力変換装置から取り外して、専用の試験機に取り付ける。そして作業者は、試験機に予め用意された試験用の入力パターン(テストパターン)を入力し、その入力パターン応じた正しい動作が成されるか否かを判定することで、制御部の健全性を評価する。
このような制御装置の健全性を評価する場合、作業者は、専用の試験機に取り付けた制御装置に対し、予め用意した模擬電流検出情報を入力し、当該制御装置が、試験機により入力される模擬電流検出情報に応じた正しい動作が行われるか否かを判定する。
以下、第1の実施形態に係る車両用制御装置を、図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態の車両の全体構成を示す図である。この図において、符号1は車両用制御装置である。
図1に示すように、車両9は、架線20から交流電力を入力し、これを所定の電圧・電流からなる交流電力に変換して負荷であるモータ34を駆動させる。車両9は、モータ34が駆動することによって走行する。
車両9は、パンタグラフ21、主トランス22、コンバータ30、インバータ31、接地電流検出部32、接触器33、モータ34及び各種設備35を備えている。
車両9は、パンタグラフ21及び主トランス22を介して、架線20から交流電力が入力される。主トランス22は、1次コイル220、2次コイル221、3次コイル222を有しており、電力の供給先に応じて2次コイル221、3次コイル222を使い分けている。
なお、2次コイル221に励起される交流電圧、交流電流をそれぞれ2次電圧、2次電流と、3次コイル222に励起される交流電圧、交流電流をそれぞれ3次電圧、3次電流と表記する。
インバータ31は、コンバータ30が生成した直流電圧・直流電流を入力して、負荷であるモータ34に所定の交流電圧・交流電流を供給する。
コンバータ30及びインバータ31は、内部にスイッチング素子を備えており、例えばPWM(Pulse Width Modulation)制御に基づく車両用制御装置1から出力される駆動信号により、直流電力、交流電力を生成する。
接触器33は、車両9の電気系統全体を保護する目的で、地絡発生が検知された際に車両用制御装置1から所定の開放指令信号を入力して、主トランス22、コンバータ30間の電気接続を開放して電力供給を遮断する。なお、図1に示す接触器33は、2次コイル221の片方のみに設置されているものとして図示しているが、実際には、2次コイル221の両方のそれぞれに設置されるものであってもよい。
モータ34は、インバータ31が生成する交流電力を入力して回転駆動する車両9の動力源である。モータ34は、図1に示すように、主トランス22における2次コイル221からの電力供給に基づいて動作する。
なお、一般的に、設備35の電力供給源となる3次コイル222に励起される電圧は、モータ34の電力供給源となる2次コイル221よりも低めに設定されている。例えば、架線20からの供給電力が安定している場合、1次コイル220から2次コイル221にはAC1500V程度の交流電圧(2次電圧)が励起されるのに対し、3次コイル222にはAC400V程度の交流電圧(3次電圧)が励起される。
車両用制御装置1は、車両9の電気配線の各所に設けられた電流検出器(CT:Current Transformer)及び電圧検出器(PT:Potential Transformer)が出力する電流検出情報、電圧検出情報を入力して種々の動作を実行する。
例えば、車両用制御装置1は、コンバータ30、インバータ31の各入出力配線に設置されたCT及びPTを介して入力される電流検出情報、電圧検出情報に応じて、コンバータ30、インバータ31へ出力する駆動信号の周波数やパルス幅等を調整することで、所望の電力が安定的にモータ34に供給されるような制御を行う。
また、車両用制御装置1は、接地電流検出部32が検出する接地電流情報を入力して地絡の発生を検知する。すなわち車両用制御装置1は、接地電流が所定の閾値を上回った場合には、地絡が発生したものとして、接触器33に開放指令信号を出力し、電力の供給を遮断する制御を行う。
ここで説明の便宜上、車両用制御装置1は、コンバータ30の入力電流(2次電流)を検出するCT40からの電流検出情報と、設備35の入力電圧(3次電圧)を検出するPT41からの電圧検出情報と、を入力するものとして以下、説明する(図1)。
ここで、CT40及びPT41は、車両用制御装置1の通常の制御(上述の電力変換制御等)のために従来から用いられていたものであり、本実施形態において新たに設置されたものではない。また、実際には、車両用制御装置1は、CT40、PT41からの入力のみならず、図1には図示していない他の配線に設置された他のCT、PTからも電流検出情報、電圧検出情報をそれぞれ入力し、これらに基づいて種々の制御(電力変換制御、地絡検知制御等)を行っている。
車両情報取得部5が、車両9の走行速度情報及びノッチ情報を取得する具体的手法は、既存の技術により実施可能であるため説明を省略するが、例えば、車両情報取得部5は、モータ34に備えられたパルスジェネレータ(PG)を介して入力される実回転数情報に基づいて走行速度情報を取得する。
以下、車両用制御装置1の具体的な機能構成について、図2を参照しながら詳細に説明する。なお、上述したように、第1の実施形態に係る車両用制御装置1は、コンバータ30の入力電流(2次電流)を検出するCT40と、設備35の入力電圧(3次電圧)を検出するPT41からの2次電流検出情報、3次電圧検出情報を入力する。
想定値演算部10は、車両走行時における車両情報を取得して、自装置に入力される検出情報についての当該車両情報に応じた想定値を算出する。より具体的には、想定値演算部10は、車両情報である走行速度情報並びにノッチ情報を車両情報取得部5から入力する(図1、図2)。また、想定値演算部10には、検出情報である3次電圧検出情報の検出値(3次電圧検出値V3)が、検出部11(後述)を介して入力される。そして想定値演算部10は、もう一つの検出情報である2次電流検出情報についての想定値(2次電流想定値Ir2)を算出する。この2次電流想定値Ir2は、走行時における車両9の走行速度、設定されたノッチ、並びに、3次電圧検出値V3に鑑みて、本来流れるべき2次電流の電流値である。
なお想定値演算部10が、走行速度情報、ノッチ情報、及び、3次電圧検出値V3に基づいて、2次電流想定値Ir2を算出する具体的な方法については後述する。
したがって、2次電流検出値I2が2次電流想定値Ir2を基準とした所定の範囲内に含まれていない場合には、車両用制御装置1の検出部11、または、CT40、PT41等の検出器の何れかに起因する検出値の異常が想定されることとなる。健全性判定部12は、このような場合に、運転士等のオペレータに対して何らかの異常が検知されたことを通知するための異常通知情報を出力する。この異常通知情報は、例えば警告ランプや警報器等のハードウェアに出力され、その警告ランプの点灯や警報音をもってオペレータに通知される。
例えば、走行の度に取得される2次電流検出値I2が、当該走行ごとに、徐々に2次電流想定値Ir2との差異が広がっている傾向がみられる場合、オペレータは、2次電流を検出する系統で、不具合が徐々に進行していると判断することができる。
また、履歴情報取得部13は、記憶時の時刻を示す時刻情報や、走行速度情報、ノッチ情報等を関連付けて記憶させてもよい。
なお、トリガ部100は、判定実施条件として、走行速度情報ではなく、3次電圧検出値V3を条件としてトリガ信号を出力してもよいし、例えば時刻情報を条件として定期的にトリガ信号を出力してもよい。さらに、トリガ部100は、例えば、車両9の主電源が投入されてから、最初に走行速度が走行速度設定値vrに達した場合にのみトリガ信号を出力するようにしてもよい。その他、車両用制御装置1が健全性の判定を行う条件設定は、種々の態様並びにその組み合わせが用いられてよい。
例えば、記憶部14に記憶領域が10個あった場合、履歴情報取得部13は、このうちの特定の5つの記憶領域に対し、初期5回の走行において取得した想定値、検出値、判定結果等を記録し、以降もその情報を消去せずに常に保持しておく。そして、履歴情報取得部13は、残りの5つの記憶領域に対し、走行して得た新たな情報を適宜上書きしていく処理を行う。
このようにすることで、記憶部14の使用容量を節約しつつ、初期における車両9の状態と現在の状態とを比較することができ、その差異から異常箇所を特定することが可能となる。
以下、想定値演算部10が、走行速度情報、ノッチ情報並びに3次電圧検出値V3に基づいて、2次電流想定値Ir2を算出する具体的な方法について、図3を参照しながら詳細に説明する。
まず、想定値演算部10は、車両の走行速度v、ノッチNと、電力Pとの関係を予め取得しておく。ここで図3(a)に示す各グラフは、想定値演算部10が予め取得している走行速度v、ノッチNと電力Pの関係を示している。複数のグラフは、それぞれ設定されたノッチN(1N、2N、・・・)に対応している。ここで図3(a)縦軸の電力Pは、モータ34に供給される電力の源である2次コイル221に励起される電力である。したがって電力Pは、2次電圧と2次電流の積で与えられる。
よって、想定値演算部10は、図3(a)に示すような走行速度v、ノッチNと、電力Pとの関係を、ルックアップテーブルとして予め保持しておくことにより、車両情報取得部5から入力する走行速度情報及びノッチ情報に基づいて、電力Pを一意に特定することができる。なお、図3(a)に示す関係は、予め車両9の試験走行、モータ34の試験駆動等で得られる計測データ及び理論計算に基づいて取得される。
なお、図3(b)に示す関係は、2次コイル221と3次コイル222の巻き数比から理論計算で取得してもよいし、予め取得した実測データに基づいて取得してもよい。
なお健全性判定部12は、想定値演算部10が算出した2次電流想定値Ir2と、検出部11を介して検出された2次電流検出値I2とを比較して、両者が所定の範囲内にあるか否かを判定する(後述)。
以下、図4を参照しながら、車両用制御装置1の処理フローについて順を追って説明する。
図4に示す処理フローは、車両用制御装置1を搭載する車両9の走行中において開始される。
まず、想定値演算部10のトリガ部100は、想定値演算部10に入力される車両情報、または、電流検出値、電圧検出値に基づいて、予め定められた所定のトリガ条件を満たすか否かを判定する(ステップS10)。トリガ条件とは、上述したように、例えば、走行速度情報に示される車両9の走行速度vが所定の走行速度設定値vrに達したか否か、という条件である。
トリガ条件が満たされない場合(ステップS10:NO)、想定値演算部10は、トリガ条件を満たすまで処理を実行しないで待機する。一方、トリガ条件を満たした場合(ステップS10:YES)、想定値演算部10は、入力する車両情報(走行速度情報、ノッチ情報)及び3次電圧検出値V3に基づいて、2次電流想定値Ir2を算出し、健全性判定部12に出力する(ステップS11)(図3を参照)。
一方、検出部11は、CT40から定常的に入力する2次電流検出情報に基づいて、2次電流検出値I2を取得し、健全性判定部12に出力する(ステップS12)。
次に、健全性判定部12は、入力した2次電流想定値Ir2と、2次電流検出値I2とを参照して、2次電流検出値I2が、2次電流想定値Ir2を基準とした所定の範囲内(±10%以内)に含まれているか否かを判定する(ステップS13)。
2次電流検出値I2が、2次電流想定値Ir2を基準とした所定の範囲内(±10%以内)に含まれている場合(ステップS13:YES)、健全性判定部12は、少なくとも2次電流検出値I2を検出する系統(CT40、検出部11の機能またはその間の電気系統)には異常がないものと判断し、異常通知は行わない。一方、2次電流検出値I2が、2次電流想定値Ir2を基準とした所定の範囲内に含まれていない場合(ステップS13:NO)、健全性判定部12は、異常通知情報を出力して、オペレータに異常の発生を通知する(ステップS14)。
そして履歴情報取得部13は、ステップS11〜S13の処理に基づく2次電流想定値Ir2、2次電流検出値I2、3次電圧検出値V3、及び判定結果等を、その他の情報(時刻情報、走行速度情報等)等と関連付けて記憶部14に記録する処理を行う(ステップS15)。
なお、車両用制御装置1は、ステップS15の処理を終えた後、再びステップS10に戻ってトリガ条件が満たされるまで待機してもよい。
この場合、健全性判定部12は、さらに、図3(b)のグラフに基づいて特定される2次電圧想定値Vr2と、実測された2次電圧検出値V2との比較を行って、3次電圧検出値V3を取得する系統、または、2次電圧検出値V2を取得する系統の何れかに異常があるか否かを特定してもよい。
車両用制御装置1は、このように、複数のCT、PTが出力する電圧検出情報、電流検出情報に基づいて各々の想定値を演算するとともに、対応する検出値との判定結果を組み合わせることで、異常箇所をより絞り込めるようにしてもよい。
図5は、第1の実施形態の変形例に係る車両用制御装置の全体構成を示す図である。
次に、図5を参照しながら、第1の実施形態の変形例に係る車両用制御装置1Aについて説明する。
車両用制御装置1Aは、図5に示すように、インバータ31が出力する交流電流を検出するCT42と、当該コンバータ30が出力する直流電圧を検出するPT430、PT431と、からの電流検出情報、電圧検出情報を入力する。ここで、CT42及びPT430、PT431は、車両用制御装置1Aにおいて、電力変換制御のために従来から用いられていたものであり、本実施形態において新たに設置されたものではない。
なお車両用制御装置1Aの機能構成は、第1の実施形態に係る車両用制御装置1の機能構成(図2)とほぼ同一であるため、図示を省略する。
具体的には、車両用制御装置1Aの想定値演算部10Aは、図3(a)に示したグラフと同等の関係を示すルックアップテーブルを保持している。なおこの変形例の場合、正確には、図3(a)縦軸の電力Pは、2次コイル221に直接励起される電力ではなく、コンバータ30及びインバータ31の各種変換処理による電力効率の減損分を加味した値であって、モータ34に実際に供給される電力である。
一方、車両用制御装置1Aの検出部11Aは、CT42から入力される電流検出情報(モータ電流検出情報)に基づいて、モータ電流検出値Imを取得する。
そして、健全性判定部12Aは、想定値演算部10Aが算出したモータ電流想定値Irmと、検出部11Aが取得したモータ電流検出値Imとを比較して、モータ電流を検出する系統に異常がないか否かの判定処理を行う。例えば、健全性判定部12Aは、入力したモータ電流想定値Ir2と、モータ電流検出値I2とを参照して、モータ電流検出値I2が、モータ電流想定値Ir2を基準とした所定の範囲内(±10%以内)に含まれているか否かを判定する。
さらに、想定値演算部10Aは、CT40、PT41から取得される電流検出情報、電圧検出情報と、車両情報と、に基づいて、直流電圧想定値Vrc、モータ電流想定値Irmを算出してもよい。このように、同一の想定値を異なるルート(検出値)から複数算出することで、冗長性のある評価を行うことができる。
次に、第2の実施形態に係る車両用制御装置を、図面を参照して説明する。
図6は、第2の実施形態の車両の全体構成を示す図である。この図において、符号1Bは車両用制御装置である。なお、第2の実施形態に係る車両9Bの全体構成のうち、上述した第1の実施形態及びその変形例と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
図7に示すように、本実施形態に係る車両用制御装置1Bは、PWM制御部15を備えている。
PWM制御部15は、コンバータ30及びインバータ31に対し、電力変換処理のためのPWM制御を行う。具体的には、PWM制御部15は、コンバータ30、インバータ31をPWM制御するための駆動信号(所定の周波数を有するパルス信号)を出力する。
さらに、本実施形態に係るPWM制御部15は、インバータ31を駆動する駆動信号の周波数(インバータ周波数情報)を取得して想定値演算部10Bに出力する。
以下、想定値演算部10Bが、走行速度情報、ノッチ情報、及びインバータ周波数情報に基づいて、回転周波数想定値frmを算出する具体的な方法について、図8を参照しながら詳細に説明する。
まず、想定値演算部10Bは、車両の走行速度v、ノッチNと、トルクTとの関係を予め取得しておく。ここで図8(a)に示す各グラフは、想定値演算部10Bが予め取得している走行速度v、ノッチNとトルクTの関係を示している。複数のグラフは、それぞれ設定されたノッチN(1N、2N、・・・)に対応している。ここで図8(a)縦軸のトルクTは、モータ34に実際に印加されるトルクを示している。
想定値演算部10Bは、図8(a)に示すような走行速度v、ノッチNと、トルクTとの関係を、ルックアップテーブルとして予め保持しておくことにより、車両情報取得部5から入力する走行速度情報及びノッチ情報に基づいて、モータ34のトルクTを一意に特定することができる。なお、図8(a)に示す関係は、予め車両9の試験走行、モータ34の試験駆動等で得られる計測データ及び理論計算に基づいて取得される。
したがって想定値演算部10Bは、インバータ周波数と滑りsとを取得することで、想定されるモータ34の実際の回転周波数(回転周波数想定値frm)を算出することができる。そして想定値演算部10Bは、この滑りsを、予め保持している走行速度v、ノッチNとトルクTとの関係(図8(a))、並びに、トルクTと滑りsとの関係(図8(b))に基づいて特定することができる。
このようにして、想定値演算部10Bは、モータ34の実際の回転周波数として取得されるべき回転周波数想定値frmを算出することができる。
以下、図9を参照しながら、車両用制御装置1Bの処理フローについて説明する。なお本実施形態に係る車両用制御装置1Bの処理フローのうち、上述した第1の実施形態と同一の処理については、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態に係る車両用制御装置1Bの処理フローは、図4のステップS11、ステップS12において、回転周波数想定値frm、回転周波数検出値fmを取得する点で第1の実施形態の処理フロー(図4)と異なる。
一方、検出部11Bは、PG50から定常的に入力する実回転数情報に基づいて、回転周波数検出値fmを取得し、健全性判定部12Bに出力する(ステップS12B)。
以降の判定結果に基づく異常通知処理(ステップS14)及び履歴情報取得部13による記憶処理(ステップS15)は、第1の実施形態の処理フロー(図4)と同様である。
次に、第3の実施形態に係る車両用制御装置を、図面を参照して説明する。
図10は、第3の実施形態の車両用制御装置の機能構成を示す図である。この図において、符号1Cは車両用制御装置である。なお、第3の実施形態に係る車両用制御装置1Cのうち、上述した第1の実施形態(と、その変形例)及び第2の実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
具体的には、想定値演算部10Cは、予め取得された温度変化特性情報をルックアップテーブルで保持している。ここで、車両9Cの各箇所における温度は、車両9Cの走行状態、特に消費電力に応じて変化するものであるから、想定値演算部10Cは、その法則性を、温度変化特性情報として予め取得しておく。例えば、温度変化特性情報は、走行時においてサーミスタ60により実際に取得された温度の推移を、その走行中の各時点における走行速度v、ノッチN、及び、電流検出値等の各種パラメータに関連付けて記憶したものであってよい。また、この温度変化特性情報は、走行時における温度の、走行前における初期温度との差分を示すものであってもよい。
想定値演算部10Cは、予め取得された温度変化特性情報に基づいて、サーミスタ60から取得されるべき温度の想定値(温度想定値Thr)を算出する。
一方、検出部11Cは、サーミスタ60から定常的に入力される温度検出情報に基づいて、温度検出値Thを取得し、健全性判定部12Cに出力する。
そして、健全性判定部12Cは、入力した温度想定値Thrと、温度検出値Thとを参照して、温度検出値Thが、温度想定値Thrを基準とした所定の範囲内(±10%以内)に含まれているか否かを判定する。
なお、以降の判定結果に基づく異常通知処理(ステップS14(図4))及び履歴情報取得部13による記憶処理(ステップS15(図4))は、第1の実施形態の処理フローと同様である。
次に、第4の実施形態に係る車両用制御装置を、図面を参照して説明する。
図11は、第4の実施形態の車両用制御装置の機能構成を示す図である。この図において、符号1Dは車両用制御装置である。なお、第4の実施形態に係る車両用制御装置1Dのうち、上述した各実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
そして、想定値演算部10Dは、このPWM実施情報に基づいて、接地電流検出部32から取得されるべき接地電流想定値Irgを算出する。
図12に示すグラフは、地絡が発生していない通常状態において、PWM制御部15Dがコンバータ30、インバータ31に対して駆動信号を出力し、PWM制御を実施している最中に、接地電流検出部32が検出する接地電流検出情報を示す例である。
ここで、PWM制御部15DがPWM制御を実施している最中は、コンバータ30、インバータ31内部においてその駆動信号に基づく高速なスイッチング制御が成されている。したがって、地絡がない場合、本来、接地電流は理想的にゼロとなるはずであるが、実際には、配線間に存在する浮遊容量を介して、図12に示すような高周波リプル(ノイズ)が重畳されることとなる。
したがって、検出部11Dが、接地電流検出部32を介して取得する接地電流検出値Igは、PWM制御部15DがPWM制御を行っているか否か、に応じて取得される電流検出値が変動する。
一方、検出部11Dは、接地電流検出部32から定常的に入力する接地電流検出情報に基づいて、接地電流検出値Igを取得し、健全性判定部12Dに出力する。
そして、健全性判定部12Dは、入力した接地電流検出値Igと、接地電流想定値Irgとを参照して、接地電流検出値Igが、接地電流想定値Irgを基準とした所定の範囲内(±10%以内)に含まれているか否かを判定する。
なお、以降の判定結果に基づく異常通知処理(ステップS14(図4))及び履歴情報取得部13による記憶処理(ステップS15(図4))は、第1の実施形態の処理フローと同様である。
次に、第5の実施形態に係る車両用制御装置を、図面を参照して説明する。
図13は、第5の実施形態の車両の全体構成を示す図である。この図において、符号1Eは車両用制御装置である。なお、第5の実施形態に係る車両用制御装置1Eおよび車両9Eの構成のうち、上述した各実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
ここで、VCB23は、パンタグラフ21と1次コイル220との間に備えられた遮断器である。VCB23は、自身が接続(短絡)され、架線20からの通電が成されている場合には、そのことを通知するVCB接続情報を出力する。
また、本実施形態に係る車両情報取得部5Eは、車両情報の一つであって、車両9Eの進行方向(前進、後退)を特定する逆転器(レバーサ)の状態を示すレバーサ情報を車両用制御装置1Eへ出力する。
図14に示すように、本実施形態に係る車両用制御装置1Eは、検出部11E、投入司令部16、停電検知部17、投入条件判定部18、及び、履歴情報取得部13E、記憶部14を備えている。
投入条件判定部18は、種々の車両情報を取得して、これらの全てが各々についての所定の電源投入条件を全て満たしているか否かを示す判定情報を投入司令部16に出力する。
投入司令部16は、投入条件判定部18から入力する上記判定情報において、上記電源投入条件が全て満たされている旨の通知を受けた場合に、投入司令情報を接触器33(図13)へ向けて出力する。なお、この投入司令情報を入力した接触器33は、2次コイル221とコンバータ30とを接続し、電力供給を開始する。
上述の例の場合、投入条件判定部18は、例えば、VCB23が接続されているか否かを示すVCB接続情報を入力して、VCB23が正常に接続されていることを検知する。同様に、投入条件判定部18は、車両情報取得部5Eから入力するレバーサ情報により、レバーサが「前進」または「後退」の何れかを示している状態にあることを検知する。さらに、投入条件判定部18は、停電検知部17から停電検知情報を入力しないことにより、設備35等に対し、電力が正常に供給されていることを検知する。
そして、投入条件判定部18は、上記条件(電源投入条件)を全て満たした場合に、そのことを示す判定情報を出力する。これにより、車両用制御装置1Eは、電源投入条件が全て満たされて初めて(投入司令部16により)投入司令情報を出力し、接触器33を接続させて主変換回路に電源を投入する。
車両用制御装置1Eは、以上に説明したような方法により、車両9Eの電源投入時における安全管理上の制御を実現している。
そして履歴情報取得部13Eは、上記判定情報を入力したタイミングで、当該判定情報の内容と、投入条件判定部18に入力されている各種車両情報(上述の例では、VCB接続情報、レバーサ情報、及び停電検知情報)の内容と、を関連付けて記憶部14に記録する処理を行う。
これにより、オペレータは、車両9Eの電源投入時において逐次記憶される判定情報及び各種車両情報を事後的に確認することで、車両用制御装置1Eは、電源投入処理において自装置に入力される各種車両情報を正しく検知し、判定できているか否かを検査することができる。
以下、図15を参照しながら、車両用制御装置1Eの処理フローについて順を追って説明する。
図15に示す処理フローは、車両用制御装置1Fを搭載する車両9Eへ電源を投入する直前において開始される。
まず、ステップS21において車両9Eへ電源が投入される。
そうすると、起動を開始した車両用制御装置1Fにおいて、投入条件判定部18が各種車両情報(VCB接続情報、レバーサ情報、停電検知情報等)を取得する(ステップS22)。
投入条件判定部18は、入力した各種車両情報の全てが電源投入条件を満たしている場合(ステップS23:YES)には、そのことを示す判定情報を出力する。そして当該判定情報を入力した投入司令部16は、接触器33(図13)へ向けて投入司令情報を出力する(ステップS24)。
一方、投入条件判定部18は、入力した各種車両情報のいずれかが電源投入条件を満たしていない場合(ステップS23:NO)には、そのことを示す判定情報を出力する。
これにより、オペレータ(点検作業者)は、この履歴情報を確認することで、停電検知部17における停電検知判定が正しく成されているか否かを検査することができる。
次に、第6の実施形態に係る車両用制御装置を、図面を参照して説明する。
図16は、第6の実施形態の車両用制御装置の機能構成を示す図である。この図において、符号1Fは車両用制御装置である。なお、第6の実施形態に係る車両用制御装置1Fの機能構成のうち、上述した各実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
外部電源7は、例えばバッテリー(二次電池)であって、車両9Fの電源投入時に、ノイズフィルタ、バックアップコンデンサを介して、各電気系統(ゲート電源70、FAN電源71、車両用制御装置1Fなど)に一斉に電力を供給する。
ゲート電源70は、電源投入時において外部電源7から電力Pgを入力するとともに、コンバータ30、インバータ31に電力を供給する。ゲート電源70は、車両用制御装置1Fが出力する駆動信号の電圧レベルを、コンバータ30、インバータ31の直接的な制御に要する電圧レベルまで引き上げるための電力を供給する。
FAN電源71は、外部電源7から電力Pfを入力するとともに、主変換回路(コンバータ30、インバータ31、モータ34(図1等を参照))の各箇所における温度分布を均一にするために設置された複数の冷却ファン(FAN)710への電力供給を行う。
同様に、車両用制御装置1Fは、電源投入時において外部電源7から電力Pmを入力して各種動作を実施する。
以下、車両用制御装置1Fの処理フローについて、図17を参照しながら詳細に説明する。本実施形態に係る履歴情報取得部13Fは、外部電源7により自装置及びゲート電源70、FAN電源71への電力供給が開始され、自装置が起動した時刻(t0)から、所定の時刻(t1、t2)経過後に、ゲート電源70、FAN電源71が電源容量低下判定部19に出力する電源容量低下検知情報を取得する。
ここで、履歴情報取得部13Fが上記情報を取得する時刻t1、t2は、予め計測された期間Aに基づいて決定される。また、電源容量低下検出部19は、電源投入開始からの期間Aにおいて、電源容量低下検知情報“High”に基づいて所定の保護動作を実行しないように予め設定しておく。
次に、第7の実施形態に係る車両用制御装置を説明する。車両用制御装置には制御電源の電圧が予め設定したセット値よりも低下した際に入力される電源低下信号を保存するメモリが存在する。
電源を切った際には、電源電圧がセット値よりも下回るため電源低下信号がメモリ部に保存される。次回電源投入特には、メモリ部に保存された電源低下信号と、外部電源との接続により入力される電源電圧と、電源電圧がセット値以上であることによる電源低下信号のNOT信号がそろったことを条件として装置の健全性を確認することが可能である。
また車両用制御装置1〜1Fは、上述した各機能部が、ネットワークを介して接続された複数の装置に分散して具備されるものであってもよい。
10、10B、10C、10D・・・想定値演算部
100・・・トリガ部
11、11B、11C、11D・・・検出部
12、12B、12C、12D・・・健全性判定部
13、13E、13F・・・履歴情報取得部
14・・・記憶部
15、15D・・・PWM制御部
16・・・投入司令部
17・・・停電検知部
18・・・投入条件判定部
19・・・電源容量低下判定部
20・・・架線
21・・・パンタグラフ
22・・・主トランス
220・・・1次コイル
221・・・2次コイル
222・・・3次コイル
23・・・VCB
30・・・コンバータ
31・・・インバータ
32・・・接地電流検出器
33・・・接触器
34・・・モータ
35・・・設備
40、42・・・電流検出器(CT)
41、430、431・・・電圧検出器(PT)
5、5E・・・車両情報取得部
50・・・パルスジェネレータ(PG)
60・・・サーミスタ
7・・・外部電源
70・・・ゲート電源
71・・・冷却ファン用電源(FAN電源)
710・・・冷却ファン(FAN)
9、9A、9B、9C、9D、9E、9F・・・車両
Claims (10)
- 走行時における車両の状態に応じた車両情報を取得して、当該車両に備えられた検出部から入力される検出情報についての前記車両情報に応じた想定値を算出する想定値演算部と、
車両走行時において自装置に入力される前記検出情報についての検出値を取得する検出部と、
前記想定値と、前記検出値と、を比較して、前記検出値が前記想定値を基準とした所定の範囲内に含まれているか否かを判定する健全性判定部と、
を備えることを特徴とする車両用制御装置。 - 前記健全性判定部は、
前記想定値演算部が算出する前記想定値が、予め定められた判定実施条件を満たした場合に、前記判定を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用制御装置。 - 前記想定値演算部は、
前記車両情報として、走行速度情報、ノッチ情報、及び、電圧検出情報を取得するとともに、前記検出情報として、電流検出情報についての想定値を算出し、
前記検出部は、
電流検出器から入力される前記電流検出情報についての検出値を取得する
ことを特徴する請求項1または請求項2に記載の車両用制御装置。 - 前記想定値演算部は、
前記車両情報として、走行速度情報、ノッチ情報、及び、インバータ周波数情報を取得するとともに、前記検出情報として、モータの回転周波数についての想定値を算出し、
前記検出部は、
前記モータに備えられた実回転数検出器から入力される実回転数情報に応じた前記回転周波数についての検出値を取得する
ことを特徴する請求項1から請求項3の何れか一項に記載の車両用制御装置。 - 前記想定値演算部は、
前記車両情報として、走行速度情報、ノッチ情報を取得するとともに、前記検出情報として、温度検出情報についての想定値を算出し、
前記検出部は、
車両に備えられたサーミスタから入力される前記温度検出情報についての検出値を取得する
ことを特徴する請求項1から請求項4の何れか一項に記載の車両用制御装置。 - 前記想定値演算部は、
前記車両情報として、PWM制御が実施されているか否かを示すPWM実施情報を取得するとともに、前記検出情報として、接地電流検出情報についての想定値を算出し、
前記検出部は、
接地電流検出部から入力される前記接地電流検出情報についての検出値を取得する
ことを特徴する請求項1から請求項5の何れか一項に記載の車両用制御装置。 - 前記健全性判定部において前記判定が行われた際の前記想定値および前記検出値を記憶部に記録する履歴情報取得部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一項に記載の車両用制御装置。 - 入力される車両情報に基づいて、所定の電気系統への電源投入条件を満たしているか否かを判定し、その判定結果に応じた判定情報を出力する投入条件判定部をさらに備え、
前記履歴情報取得部は、さらに、
前記投入条件判定部が出力する判定情報と、その判定処理に用いた前記車両情報と、を記録する
ことを特徴とする請求項7に記載の車両用制御装置。 - 電源から、当該電源に供給される電力が電力閾値を下回っているか否かを示す電源容量低下検知情報を入力し、当該電源容量低下検知情報に基づいて、前記電源に供給される電力の不足を判定する電源容量低下判定部をさらに備え、
前記履歴情報取得部は、
前記電源に電力の供給が開始された時刻から当該電力が前記電力閾値以上となるまでの期間において出力される前記電源容量低下検知情報に応じた前記電源容量低下判定部における判定結果を記録する
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の車両用制御装置。 - 想定値演算部が、走行時における車両の状態に応じた車両情報を取得して、当該車両に備えられた検出部から入力される検出情報についての前記車両情報に応じた想定値を算出し、
検出部が、車両走行時において自装置に入力される前記検出情報についての検出値を取得し、
健全性判定部が、前記想定値と、前記検出値と、を比較して、前記検出値が前記想定値を基準とした所定の範囲内に含まれているか否かを判定する
ことを特徴とする車両用制御方法。
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