JP2015032645A - 太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】高温多湿下で長時間放置されたり、雨水等の水分の影響を受けても、電極と半導体基板との間の接触抵抗の増大を抑制した良好な信頼性を有する太陽電池モジュールを実現する。【解決手段】受光面電極9は、少なくともAlを含む導電性材料を主成分とする第1の電極層11と、Alを含有せず非Al系の導電性材料を主成分とする第2の電極層12とを有し、かつ第1の電極層11はn型半導体基板5(p型半導体層6)に接合されている。第1の電極層11の表面が第2の電極層12で覆われるように、第1の電極層11の電極幅W1は、第2の電極層12の電極幅W2と同等乃至同等以下とされている。第1の電極層11の電極厚みT1は0.1〜30μmが好ましく、第2の電極層12の電極厚みT2は10〜50μmが好ましい。【選択図】図3
Description
本発明は、太陽電池モジュールに関し、より詳しくは半導体基板の両主面に電極が形成された太陽電池セルを封止材で封止した太陽電池モジュールに関する。
太陽光発電システムは、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するものであり、クリーンで再生可能なエネルギー源として研究・開発が盛んに行われている。
この種の太陽光発電システムでは、信頼性や耐久性の観点から、基本構成要素である太陽電池セルを封止材で封入して太陽電池モジュールを形成し、斯かる太陽電池モジュールを直列又は/及び並列に接続して使用される。
また、前記太陽電池セルは、p型半導体基板又はn型半導体基板の表面にn型半導体層又はp型半導体層が形成されてpn接合を実現し、斯かるn型又はp型の半導体層の主面に所定パターンの受光面電極が形成されている。さらに、この種の太陽電池セルでは、前記受光面電極を除く半導体層上には反射防止膜が形成されており、入射される太陽光の反射損失を前記反射防止膜で抑制し、これにより太陽光の電気エネルギーへの変換効率を向上させている。
前記受光面電極は、通常、導電性ペーストを使用して以下のようにして形成される。すなわち、導電性ペーストは、導電性粉末、バインダ樹脂、及び有機溶剤等を含有しており、p型又はn型の半導体層上に形成された反射防止膜の表面に導電性ペーストを塗布し、所定パターンの導電膜を形成する。そして、焼成過程で導電膜下層の反射防止膜を分解・除去するファイヤースルー(焼成貫通)を行い、これにより導電膜が焼結されて受光面電極を形成すると共に、該受光面電極と半導体層とを接合させ、両者を導通させている。
そして、この種の導電性ペーストとしては、例えば特許文献1に示すように、配合比率が85〜98.5wt%の範囲内にあるAg粉末と、0.5〜10wt%の範囲内、かつ、平均粒径が5〜20μmの範囲内にあるAl粉末と、ホウケイ酸鉛系ガラスフリット、ホウケイ酸ビスマス系ガラスフリット、またはホウケイ酸亜鉛系ガラスフリットのいずれか1つからなり、かつ、1〜10wt%の範囲内にあるガラスフリットと、有機質ビヒクルとを混練したものが知られている。
この特許文献1では、上記導電性ペーストを使用して電極を形成することにより、p型半導体基板と電極との間で良好なオーミック接触を得ようとしている。
ところで、上述した太陽電池セルを太陽電池モジュール内に封止する封止材としては、加工性や透過性等の観点から、従来より化学式(1)で表されるエチレン−ビニルアセテート共重合体(Ethylene−vinyl acetate copolymer;以下、「EVA」という。)が広く使用されている。
このEVAは、化学式(1)で示すように、酢酸基(−OCOCH3)を含有しており、このためこのEVAが雨水や湿気等の水分と接触すると、加水分解反応を起こし、酢酸を生成する。
一方、特許文献1記載の導電性ペーストは、半導体基板との間で良好なオーミック接触を得ることができるAlが含有されているが、斯かるAlは耐食性に劣る。
したがって、加水分解反応により生じた酢酸水溶液が、電極内部に浸入すると、Alを浸食し、このため半導体基板と電極との接触領域が減少して接触抵抗Rcが増加し、また、半導体基板と電極とが剥離するおそれもあり、導通性が劣化してエネルギー変換効率の著しい低下を招くおそれがある。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、高温多湿下で長時間放置されたり、雨水等の水分の影響を受けても、電極と半導体基板との間の接触抵抗の増大を抑制した良好な信頼性を有する太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係る太陽電池モジュールは、半導体基板の両主面に電極が形成された太陽電池セルが、加水分解性基を含有した封止材で封止された太陽電池モジュールであって、前記太陽電池セルが、前記電極のうちの少なくとも一方の電極は、少なくともAlを含む導電性材料を主成分とする第1の電極層と、Alを含有せず非Al系の導電性材料を主成分とする第2の電極層とを有し、前記第1の電極層が前記半導体基板に接合されると共に、前記第1の電極層の表面は前記第2の電極層で覆われていることを特徴としている。
これにより耐食性に劣るAlを含有した第1の電極層が、表面露出することがないので、高温多湿下で長時間放置されたり、雨水等の水分の影響を受けても、電極が浸食されるのを抑制することができる。したがって、良好なオーミック接触を維持しつつ、水分の影響を受けても電極と半導体基板との間の接触抵抗が増大するのを抑制することができる信頼性の良好な太陽電池モジュールを得ることができる。
また、本発明の太陽電池モジュールは、前記第1の電極層は、厚みが0.1〜30μmであるのが好ましい。
この場合は、接触抵抗の増大をより一層効果的に抑制することができる。
さらに、本発明の太陽電池モジュールは、前記第2の電極層は、厚みが10〜50μmであるのが好ましい。
この場合も、接触抵抗の増大をより一層効果的に抑制することができる。
また、本発明の太陽電池モジュールは、前記第1及び第2の電極層が、Agを主成分としたAg系導電性材料が含有されているのが好ましい。
また、本発明の太陽電池モジュールは、前記第1の電極層が、第1の導電性ペーストが焼成されてなると共に、前記第2の電極層が、第2の導電性ペーストが焼成されてなり、前記第2の導電性ペーストは、ガラス成分が3wt%以上含有されているのが好ましい。
これにより、前記ガラス成分が第1の電極層の浸食を効果的に抑制することができ、接触抵抗Rcが増大するのを抑制できる。
また、本発明の太陽電池モジュールは、前記太陽電池セルが、半導体基板の少なくとも一方の主面に反射防止膜が形成されると共に、前記反射防止膜を貫通して前記第1の電極層と前記半導体基板とが接合されているのが好ましい。
本発明の太陽電池モジュールによれば、半導体基板の両主面に電極が形成された太陽電池セルが、加水分解性基を含有した封止材で封止された太陽電池モジュールであって、前記太陽電池セルが、前記電極のうちの少なくとも一方の電極は、少なくともAlを含む導電性材料を主成分とする第1の電極層と、Alを含有せず非Al系の導電性材料を主成分とする第2の電極層とを有し、前記第1の電極層が前記半導体基板に接合されると共に、前記第1の電極層の表面は前記第2の電極層で覆われているので、耐食性に劣るAlを含有した第1の電極層が、表面露出することがないことから、高温多湿下で長時間放置されたり、雨水等の水分の影響を受けても、電極が浸食されるのを抑制することができる。したがって良好なオーミック接触を維持しつつ、水分の影響を受けても電極と半導体基板との間の接触抵抗が増大するのを抑制することができる信頼性の良好な太陽電池モジュールを得ることができる。
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
図1は、本発明に係る太陽電池モジュールの一実施の形態を示す斜視図である。
この太陽電池モジュールは、太陽電池セル1の両面にEVAからなる封止材2a、2bが配され、一方の封止材2aの表面には熱白板強化ガラス等の強化ガラス3が配され、他方の封止材2bの裏面には裏面保護シート4が配されている。この裏面保護シート4は、例えば、ポリフッ化ビニル等で形成された樹脂シートでAl等の金属を挟み込んだものが好んで使用される。
図2は、上記太陽電池セルの一実施の形態を示す要部断面図である。
この太陽電池セル1は、Siを主成分とした単結晶又は多結晶のn型半導体基板5の一方の主面にp型半導体層6が形成されると共に、他方の主面にn+半導体層7が形成されている。また、p型半導体層6の主面には反射防止膜8及び受光面電極9が形成されると共に、n+半導体層7の主面には裏面電極10が形成されている。
尚、この図2では、n型半導体基板5の表面をフラット状に記載しているが、太陽光をn型半導体基板5内に効果的に閉じ込めるために、表面は微小凹凸構造を有するように形成されている。
反射防止膜8は、窒化ケイ素(SiNx)等の絶縁性材料で形成され、矢印Aに示す太陽光の受光面への光の反射を抑制し、太陽光をp型半導体層6に迅速かつ効率よく導く。この反射防止膜8を構成する材料としては、上述した窒化ケイ素に限定されるものではなく、他の絶縁性材料、例えば酸化ケイ素や酸化チタンを使用してもよく、2種類以上の絶縁性材料を併用してもよい。また、結晶Si系であれば単結晶Si及び多結晶Siのいずれを使用してもよい。
図3は、図2のX部詳細断面図である。
受光面電極9は、少なくともAlを含む導電性材料を主成分とする第1の電極層11と、Alを含有せず非Al系の導電性材料を主成分とする第2の電極層12とを有し、かつ第1の電極層11はn型半導体基板5(p型半導体層6)に接合されている。
そして、第1の電極層11の表面が第2の電極層12で覆われるように、第1の電極層11の電極幅W1は、第2の電極層12の電極幅W2と同等乃至同等以下とされている。
すなわち、第1の電極層11の電極幅W1と、第2の電極層12の電極幅W2とは、数式(1)を満足している。
W1≦W2 …(1)
このようにn型半導体基板5と良好なオーミック接触を得ることができるものの、耐食性に劣るAlを含有した第1の電極層11の表面を、Alを含有しない非Al系導電性材料を主成分とした第2の電極層12で覆うことにより、受光面電極9の内部に酢酸水溶液が浸入しても、第1の電極層11が浸食されるのを抑制でき、接触抵抗Rcが増大するのを極力抑制できる。
このようにn型半導体基板5と良好なオーミック接触を得ることができるものの、耐食性に劣るAlを含有した第1の電極層11の表面を、Alを含有しない非Al系導電性材料を主成分とした第2の電極層12で覆うことにより、受光面電極9の内部に酢酸水溶液が浸入しても、第1の電極層11が浸食されるのを抑制でき、接触抵抗Rcが増大するのを極力抑制できる。
すなわち、〔発明が解決しようとする課題〕の項でも述べたように、太陽電池セル1はEVAからなる封止材2a、2bで封止されて太陽モジュールの形態で使用されるが、EVAは酢酸基を含有しているため、高温多湿下で長時間放置されたり雨水の影響を受けて水分と接すると酢酸水溶液を生成する。そして、斯かる酢酸水溶液が受光面電極9の内部に浸入すると、耐食性に劣るAlを浸食し、受光面電極5とn型半導体基板5との接触領域が低減し、その結果接触抵抗Rcが増大してエネルギー変換効率の低下を招くおそれがある。
そこで、本実施の形態では、Alを含有した第1の電極層11の表面をAlを含有せず非Al系導電性材料を主成分とした第2の電極層12で覆い、これにより良好なオーミック接触を有し、かつ高温多湿下で長時間放置されたり雨水の影響を受けても、受光面電極9とn型半導体基板5(p型半導体層6)との接触領域を確保し、接触抵抗の増大を招くことなく信頼性の良好な太陽電池モジュールを得ている。
尚、第1の電極層11及び第2の電極層12は薄膜であることから、その作製方法(塗布法、薄膜形成法、めっき法)の如何にかかわらず、電極幅W1と電極幅W2が同一とされる場合も、第1の電極層11の表面は、実質的に第2の電極層12で覆われることとなる。
ここで、第1の電極層11の電極厚みT1は、特に限定されるものではないが、0.1〜30μmが好ましい。すなわち、上記数式(1)を満足するように第1の電極層11の表面を第2の電極層12で覆うことにより、水分の影響を受けても接触抵抗Rcの増大を十分に抑制できるが、第1の電極層11の電極厚みT1が0.1μm未満になると、該電極厚みT1が過度に薄くなってp型半導体層6とのオーミック接触が不十分となり、第1の電極層11への酢酸水溶液の僅かな浸入によっても接触抵抗Rcが増加するおそれがある。一方、第1の電極層11の電極厚みT1が30μmを超えると、焼成処理やその後の冷却処理で生じる圧縮応力によって第1の電極層11とp型半導体層6との界面に隙間が生じやすくなり、このため酢酸水溶液の第1の電極層11への浸入を十分に阻止することができず、接触抵抗Rcの増加を招くおそれがある。したがって、第1の電極層11の電極厚みT1は、0.1〜30μmが好ましい。
また、第2の電極層12の電極厚みT2も、特に限定されるものではないが、10〜50μmが好ましい。すなわち、上述したように第1の電極層11の表面を第2の電極層12で覆うことにより、水分の影響を受けても接触抵抗Rcの増大を十分に抑制できるが、第2の電極層12の電極厚みT2が10μm未満になると、該電極厚みT2が薄いことから、酢酸水溶液が第2の電極層12を通過して第1の電極層11に浸入し易くなり、接触抵抗Rcが増加するおそれがある。一方、第2の電極層12の電極厚みT2が50μmを超えると、上述と同様、焼成処理やその後の冷却処理で発生する圧縮応力によって第1の電極層11とp型半導体層6の間に隙間が生じやすくなり、このため酢酸水溶液の第1の電極層11への浸入を十分に阻止することができず、接触抵抗Rcの増加を招くおそれがある。したがって、第2の電極層12の電極厚みT2は、10〜50μmが好ましい。
また、受光面電極9とp型半導体層6との密着性を向上させたり、酢酸水溶液の第1の電極層11へのより効果的な浸入を阻止するためには、第1の電極層11及び第2の電極層12にガラス成分を含有させるのも好ましい。特に、第2の電極層12となるべき第2の導電性ペースト中にガラス成分を3wt%以上含有させることにより、第2の電極層12中にはガラス相を形成することが可能となり、これにより第1の電極層12への酢酸水溶液の浸入をより一層抑制することができ、接触抵抗Rcの増加を抑制できる。
そして、このようなガラス成分としては、その種類は特に限定されるものではないが、ホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸鉛ガラス、ホウケイ酸ビスマスガラス、ホウケイ酸亜鉛ガラス等の各種ホウケイ酸系ガラスを好んで使用することができる。また、ガラスフリットを含有する場合は、その含有量は1〜10重量%が好ましい。
尚、第2の電極層12に含有される導電性材料としては、特に限定されるものではないが、良導電性を有するAg、Ag−Pdを好んで使用することができる。
また、第1の電極層11に含有される導電性材料ついても、少なくともAlを含有していればよく、その他の導電性材料としてAgやAg−Pd等を含有させるのが好ましい。
図4は、受光面電極9の平面図を示している。
このように受光面電極9は、多数のフィンガー電極13a、13b、…13nが櫛歯状に並設されると共に、フィンガー電極13a、13b、…13nと交差状にバスバー電極14が設けられ、フィンガー電極13a、13b、…13nとバスバー電極14とが電気的に接続されている。そして、受光面電極9が設けられている部分を除く残りの領域に、反射防止膜8が形成されている。このようにしてn型半導体基板5で発生した電力をフィンガー電極13a、13b、…13nによって集電するとともにバスバー電極14によって外部へ取り出している。そして、これら受光面電極9を形成するフィンガー電極13a、13b、…13n及びバスバー電極14が、上述した第1の電極層11及び第2の電極層12を有している。
尚、裏面電極10は、図5に示すように、n+半導体層7の裏面に形成されたAl等からなる集電電極15と、該集電電極15の裏面に形成されて該集電電極15と電気的に接続されたAg等からなる取出電極16とで構成されている。そして、n型半導体基板5で発生した電力は集電電極15に集電され、取出電極16によって電力を取り出している。
次に、上記太陽電池セルの製造方法を詳述する。
まず、第1の電極層11を形成するための第1の導電性ペーストを作製する。
すなわち、Al粉末、及び必要に応じてAg粉末等の導電性粉末、更にはガラス成分を用意し、所定量秤量する。
Al粉末の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球形状、扁平状、不定形状、或いはこれらの混合粉を使用することができる。
また、Al粉末の平均粒径も特に限定されるものではないが、表面積が小さいことから 平均粒径は1〜30μmが好ましい。
次に、前記秤量物を有機ビヒクル、必要に応じて各種添加剤を所定の混合比率となるように秤量して混合し、三本ロールミル等を使用して分散・混練し、これにより第1の導電性ペーストを作製する。
ここで、有機ビヒクルは、バインダ樹脂と有機溶剤とで形成され、バインダ樹脂と有機溶剤との比率が、例えば体積比率で、1〜3:7〜9となるように調製される。バインダ樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、又はこれらの組み合わせを使用することができる。また、有機溶剤についても特に限定されるものではなく、α―テルピネオール、キシレン、トルエン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等を単独、或いはこれらを組み合わせて使用することができる。
尚、有機ビヒクルの含有量は、ペースト化できるのであれば特に限定されるものではないが、通常は体積含有量で30〜60vol%の範囲で含有される。
次に、第2の電極層12を形成するための第2の導電性ペーストを作製する。
すなわち、Al粉末以外の非Al系の導電性粉末、例えば、Ag、Ag−Pdを用意し、さらに好ましくはガラス成分を用意する。
そして、ガラス成分の含有量が好ましくは3wt%以上となるように、導電性粉末、ガラス成分、有機ビヒクル、必要に応じて各種添加剤を所定量秤量して混合し、三本ロールミル等を使用して分散・混練し、これにより第2の導電性ペーストを作製する。
次に、Siを主成分としたn型半導体基板5を用意する。尚、このn型半導体基板5の裏面にはP等のドナー不純物を拡散させてなるn+半導体層7が予め形成されている。
そして、プラズマ化学気相成長法(PECVD)等の薄膜形成法を使用し、n型半導体基板5上に窒化ケイ素(SiNx)等の絶縁性材料からなる膜厚が70〜80nmの反射防止膜8を形成する。
次に、Al粉末を含有したAlペースト、及びAg粉末を含有したAgペーストを用意する。そして、該Alペーストを前記n型半導体基板5の裏面全面に塗布し、さらにAgペーストをスクリーン印刷して乾燥させ、裏面電極用導電膜を形成する。
次いで、第1の導電性ペーストを焼成後の電極厚みT1が、好ましくは0.1〜30μmとなるように反射防止膜8の表面に塗布し、乾燥させて第1の導電膜を形成する。
そして、第2の導電性ペーストを焼成後の電極厚みT2が、好ましくは10〜50μmとなるように第1の導電膜の表面を被覆するように塗布し、乾燥させて第2の導電膜を形成する。
この後、入口から出口まで1〜3分で搬送されるベルト式焼成炉を使用し、焼成温度600〜700℃で焼成処理を行う。そしてこれにより、第1の導電性ペースト中のAl等のアクセプタ不純物がn型半導体基板5の表面に拡散してp型半導体層6を形成すると共に、前記反射防止膜8は分解・除去され、導電性ペーストはファイヤースルーされてp型半導体層6と導電性ペーストの焼結体である受光面電極9とが接合され、これにより太陽電池セルが製造される。
このように本太陽電池モジュールによれば、太陽電池セルは、受光面電極9が、少なくともAlを含む導電性材料を主成分とした第1の電極層11と、Alを含有せず非Al系の導電性材料を主成分とした第2の電極層12とを有し、第1の電極層11がn型半導体基板5に接合されると共に、前記第1の電極層11の表面は前記第2の電極層12で覆われているので、耐食性に劣るAlを含有した第1の電極層11が、表面露出することがないことから、高温多湿下で長時間放置されたり、雨水等の水分の影響を受けても、第1の電極層11が浸食されるのを抑制することができる。したがって良好なオーミック接触を維持しつつ、水分の影響を受けても電極と半導体基板との間の接触抵抗が増大するのを抑制することができる信頼性の良好な太陽電池モジュールを得ることができる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、非Al系の導電性材料については、通常はAgを主成分としたAg系導電性材料が好適に使用されるが、その形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球形状、扁平状、不定形形状、或いはこれらの混合粉を使用することができる。
また、非Al系導電性粉末の平均粒径についても、特に限定されるものではないが、例えばAgの場合は、球形粉換算で、0.2〜5.0μmが好ましい。
また、第1の電極層11及び第2の電極層12の各厚みの調整方法についても、特に限定されるものではなく、例えばスクリーン印刷法を使用して形成する場合は、印刷版のメッシュや乳剤の厚みを適宜設定することにより容易に調整することができる。
また、導電性ペーストには、必要に応じて、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジブチル等の可塑剤を1種又はこれらの組み合わせを添加するのも好ましい。また、脂肪酸アマイドや脂肪酸等のレオロジー調整剤を添加するのも好ましく、さらにはチクソトロピック剤、増粘剤、分散剤などを添加してもよい。
さらに、上記実施の形態では、受光面電極9が第1の電極層11と第2の電極層12の二層構造としているが、第1の電極層11の表面を第2の電極層12で覆うことができればよく、三層以上の多層構造としてもよい。
また、上記実施の形態では、n型半導体基板5を使用して説明したが、p型半導体基板についても同様に適用できる。
さらに、上記実施の形態では、片面受光型の太陽電池セルについて説明したが、裏面側にも、上述した反射防止膜及び受光面電極を設けた両面受光型の太陽電池セルにも適用可能である。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
(導電性ペーストの作製)
平均粒径が1.0μmの球形Ag粉末、平均粒径5μmの球形Al粉末、及びガラスフリットとしてホウケイ酸ガラスを用意した。
平均粒径が1.0μmの球形Ag粉末、平均粒径5μmの球形Al粉末、及びガラスフリットとしてホウケイ酸ガラスを用意した。
次いで、有機ビヒクルを作製した。すなわち、バインダ樹脂としてエチルセルロース樹脂10重量%、有機溶剤としてテキサノール90重量%となるようにエチルセルロース樹脂とテキサノールとを混合し、有機ビヒクルを作製した。
そして、Ag粉末が86.0wt%、Al粉末が1.2wt%、ホウケイ酸ガラスが3.0wt%、残部が有機ビヒクルとなるように秤量し、これら秤量物をプラネタリーミキサーで混合した後に、三本ロールミルで混練し、これにより第1の導電性ペーストを作製した。
さらに、平均粒径が3.0μmの球形Ag粉末を用意し、Ag粉末が87.0wt%、ホウケイ酸ガラスが3.0wt%、残部が有機ビヒクルとなるように、秤量し、これら秤量物をプラネタリーミキサーで混合した後に、三本ロールミルで混練し、これにより第2の導電性ペーストを作製した。
(試料の評価)
図6に示すように、反射防止膜52上に所定の電極パターン53a〜53eを作製し、TLM(Transmission Line Model)法により接触抵抗Rcを求めた。
図6に示すように、反射防止膜52上に所定の電極パターン53a〜53eを作製し、TLM(Transmission Line Model)法により接触抵抗Rcを求めた。
すなわち、横Xが156mm、縦Yが156mm、厚みTが0.2mmの単結晶のn型Si基板51の表面全域に膜厚0.1μmの反射防止膜52をプラズマ化学気相成長法(PECVD)で形成した。
ここで、反射防止膜52の材料種としては、SiNXを使用した。
次に、第1の導電性ペーストを使用してスクリーン印刷を行い、所定パターンを有する電極幅が20〜100μm、電極厚みが20μmの第1の導電膜を作製し、次いで、第2の導電性ペーストを使用してスクリーン印刷を行い、所定パターンを有する電極幅が20〜100μm、電極厚みが20μmの第2の導電膜を第1の導電膜の表面に作製した。
次いで、各試料を温度150℃に設定したオーブン中に入れて導電膜を乾燥させた。
その後、ベルト式近赤外炉(デスパッチ社製、CDF7210)を使用し、試料が入口〜出口間を約1分で搬送するように搬送速度を調整し、大気雰囲気下、最高焼成温度700℃で焼成し、第1の電極層及び第2の電極層を有する電極53a〜53eを形成し、これにより試料番号1〜25の評価試料を作製した。尚、この焼成時にAlはアクセプタ不純物としてn型Si基板51の表面に拡散され、これによりp型半導体層が形成される。
ここで、各電極53a〜53eの距離L1〜L4を測定したところ、電極53aと電極53bとの間の距離L1は200μm、電極53bと電極53cとの間の距離L2は400μm、電極53cと電極53dとの間の距離L3は600μm、電極53dと電極53eとの間の距離L4は800μmであった。また、電極の長さZはいずれも6mmであった。
次いで、試料番号1〜25の各試料について、TLM法を使用し、酢酸水溶液の浸漬前後の接触抵抗Rcを求めた。
このTLM法は、薄膜試料の接触抵抗を評価する方法として広く知られており、伝送線理論を使用し、電極と下層の半導体基板をいわゆる伝送線回路と等価と考えて接触抵抗Rcを算出する。すなわち、電極53a〜53eの長さZ、p型半導体層のシート抵抗RSH、電極間距離L、電極間抵抗Rとの間には、数式(2)が成立する。
R=(L/Z)×RSH+2Rc・・・(2)
数式(2)から明らかなように、電極間抵抗Rと電極間距離Lとは直線関係を有する。したがって、電極間距離Ln(n=1〜4)における各抵抗Rを測定し、Lを0に外挿することによって2Rcを求め、この2Rcから接触抵抗Rcを算出することができる。
数式(2)から明らかなように、電極間抵抗Rと電極間距離Lとは直線関係を有する。したがって、電極間距離Ln(n=1〜4)における各抵抗Rを測定し、Lを0に外挿することによって2Rcを求め、この2Rcから接触抵抗Rcを算出することができる。
そこで、本実施例では、マイクロオームメータを使用して電極間距離Lnにおける各抵抗Rを測定し、試料番号1〜25の各試料について接触抵抗Rcを算出した。尚、p型半導体層のシート抵抗RSHは、上記の数式(2)から導き出される直線について、横軸をL、縦軸をRとしたときの傾きから算出できる。ここではシート抵抗RSHは70Ω/cmであった。
次いで、試料番号1〜25の各試料を、1vol%の酢酸水溶液に24時間浸漬し、その後、各試料を酢酸水溶液から取り出し、浸漬後の接触抵抗Rcを上述と同様の方法・手順で測定した。
そして、浸漬後の接触抵抗Rcを浸漬前の接触抵抗Rcで除算し、増加倍率を求めた。
表1は、試料番号1〜25の各試料における第1の電極層及び第2の電極層の電極幅、浸漬前後の接触抵抗Rcの増加倍率(倍)を示している。
試料番号6は、第1の電極層の電極幅が40μmであり、第2の電極層の電極幅が20μmであり、第1の電極層の電極幅が第2の電極層の電極幅よりも大きく、第1の電極層が第2の電極層で被覆されずに表面露出しているため、第1の電極層が酢酸水溶液に浸食され、その結果、浸漬前後で接触抵抗Rcは5.9倍に増加した。
同様に試料番号11、12、16〜18、21〜24は、いずれも第1の電極層の電極幅が第2の電極層の電極幅よりも大きく、第1の電極層が第2の電極層で被覆されずに表面露出しているため、第1の電極層が酢酸水溶液に浸食され、その結果、浸漬前後で接触抵抗Rcは5.18〜24.82倍の範囲で増加した。また、第1の電極層の電極幅と第2の電極層の電極幅との差が大きくなるほど、第1の電極層の表面露出している領域が大きくなることから、浸食領域も大きくなり、このため接触抵抗Rcの増加倍率が大きくなることが分かった。
これに対し試料番号1〜5、7〜10、13〜15、19、20、及び25は、第1の電極層の電極幅が第2の電極層の電極幅に対し同等乃至同等以下以下であり、第1の電極層は第2の電極層で被覆されていることから、接触抵抗Rcの浸漬前後における増加倍率は1.20〜1.98倍となって2倍以下に抑制できることが分かった。
第1及び第2の電極層の電極幅をいずれも80μmとし、第1の電極層の電極厚みを0.01〜50μmの範囲で異ならせ、第2の電極層の電極厚みを5〜70μmの範囲で異ならせた以外は、〔実施例1〕と同様の方法・手順で、試料番号31〜40の導電性ペーストを作製し、浸漬前後の接触抵抗Rcを測定した。
表2は、試料番号31〜40の各試料における第1及び第2の電極層の各電極厚み、及び浸漬前後の接触抵抗Rcの増加倍率(倍)を示している。
尚、第1及び第2の電極層の電極厚みは、各試料の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、最大厚みを測定して求めた。
試料番号31〜40のいずれの試料においても、第1及び第2の電極層の電極幅はいずれも80μmであるので、増加倍率は1.97倍以下となり2倍以下の良好な結果を得た。
しかしながら、試料番号31は、第1の電極層の電極厚みが0.01μmと薄く、このため増加倍率は1.97倍となり、また、試料番号36は、第1の電極層の電極厚みが50μmと厚く、このため増加倍率は1.89倍となった。
これに対し試料番号32〜35は、第1の電極層の電極厚みが0.1〜30μmと適度な厚さであるので、増加倍率は1.6倍以下に抑制できた。
一方、試料番号37は、第1の電極層の電極厚みが5μmと薄く、このため増加倍率は1.89倍となり、また、試料番号40は、第1の電極層の電極厚みが70μmと厚く、このため増加倍率は1.94倍となった。
これに対し試料番号38、39は、第1の電極層の電極厚みが10〜50μmと適度な厚さであるので、増加倍率は1.7倍以下に抑制できた。
以上より第1の電極層の電極幅を第2の電極層の電極幅と同等乃至同等以下とすることにより、増加倍率は2倍以下に抑制できるが、これに加えて第1の電極層の電極厚みを0.1〜30μmとし、第2の電極層の電極幅を10〜50μmとすることにより、浸漬前後で接触抵抗Rcが増加するのをより一層抑制できることが分かった。
ガラス成分の含有量を2〜8wt%の範囲で異ならせた試料番号51〜56の第2の導電性ペーストを作製した。
そして、第1及び第2の電極層の電極幅を80μm、電極厚みを20μmとし、第2の電極層を試料番号51〜56の第2の導電性ペーストを使用して作製した以外は、〔実施例1〕と同様の方法・手順で試料番号51〜56の第2の導電性ペーストを作製し、浸漬前後の接触抵抗Rcを測定した。
表3は、試料番号51〜56の各試料における第2の導電性ペースト中のガラス成分の含有量、及び浸漬前後の接触抵抗Rの増加倍率(倍)を示している。
試料番号51〜56のいずれの試料においても、第1及び第2の電極層の電極幅はいずれも80μmであるので、増加倍率は1.94倍以下となり2倍以下の良好な結果を得た。
しかしながら、試料番号51は、第2の導電性ペースト中のガラス成分の含有量が2wt%であり、また、試料番号52は、第2の導電性ペースト中のガラス成分の含有量が2.5wt%であり、いずれも第2の導電性ペースト中のガラス成分の含有量が少ないため、増加倍率は1.86〜1.94倍となった。
これに対し試料番号53〜56は、第2の導電性ペースト中のガラス成分の含有量が3〜8wt%であり、ガラス成分の含有量が3wt%以上であるので、増加倍率は1.49〜1.57倍となって1.6倍以下に抑制できた。
以上より第1の電極層の電極幅を第2の電極層の電極幅と同等乃至同等以下とすることにより、増加倍率は2倍以下に抑制できるが、これに加えて第2の導電性ペースト中のガラス成分の含有量を3wt%以上とすることにより、増加倍率をより一層低減できることが分かった。
高温多湿下で長時間放置されたり、雨水等の水分の影響を受けても、電極と半導体基板との間の接触抵抗の増加を抑制し、これによりエネルギー変換効率の高い太陽電池セルを実現する。
2a、2b 封止材
5 半導体基板
8 反射防止膜
9 受光面電極(電極)
11 第1の電極層
12 第2の電極層
5 半導体基板
8 反射防止膜
9 受光面電極(電極)
11 第1の電極層
12 第2の電極層
Claims (6)
- 半導体基板の両主面に電極が形成された太陽電池セルが、加水分解性基を含有した封止材で封止された太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池セルが、前記電極のうちの少なくとも一方の電極は、少なくともAlを含む導電性材料を主成分とする第1の電極層と、Alを含有せず非Al系の導電性材料を主成分とする第2の電極層とを有し、
前記第1の電極層が前記半導体基板に接合されると共に、前記第1の電極層の表面は前記第2の電極層で覆われていることを特徴とする太陽電池モジュール。 - 前記第1の電極層は、厚みが0.1〜30μmであることを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール。
- 前記第2の電極層は、厚みが10〜50μmであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の太陽電池モジュール。
- 前記第1及び第2の電極層は、Agを主成分としたAg系導電性材料が含有されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
- 前記第1の電極層は、第1の導電性ペーストが焼成されてなると共に、前記第2の電極層は、第2の導電性ペーストが焼成されてなり、
前記第2の導電性ペーストは、ガラス成分が3wt%以上含有されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。 - 前記太陽電池セルは、半導体基板の少なくとも一方の主面に反射防止膜が形成されると共に、前記反射防止膜を貫通して前記第1の電極層と前記半導体基板とが接合されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
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JP2013160148A JP2015032645A (ja) | 2013-08-01 | 2013-08-01 | 太陽電池モジュール |
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ID=52517750
Family Applications (1)
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JP2013160148A Pending JP2015032645A (ja) | 2013-08-01 | 2013-08-01 | 太陽電池モジュール |
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Country | Link |
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2013
- 2013-08-01 JP JP2013160148A patent/JP2015032645A/ja active Pending
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