JP2015032635A - 転写銅箔付きフィルム、銅箔貼り合わせ積層板の製造方法、転写銅箔付きフィルム中間体 - Google Patents

転写銅箔付きフィルム、銅箔貼り合わせ積層板の製造方法、転写銅箔付きフィルム中間体 Download PDF

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Abstract

【課題】基材との密着性に優れ、容易に製造することが可能な転写銅箔付きフィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】絶縁体フィルムと、
前記絶縁体フィルムの少なくとも一方の面に乾式めっき法で形成された銅薄膜層と、
前記銅薄膜層上に電気めっき法で形成され、前記銅薄膜層と対向する一の面と、前記一の面の反対側に位置する他の面とを有する銅めっき被膜と、を備え、
前記銅めっき被膜の他の面の表面粗さ(Ra)が0.03μm以上0.26μm以下であり、かつ、
前記銅薄膜層及び前記銅めっき被膜を有する銅被膜層と、前記絶縁体フィルムと、の密着強度が100N/m以上200N/m以下である転写銅箔付きフィルムを提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、転写銅箔付きフィルム、銅箔貼り合わせ積層板の製造方法、転写銅箔付きフィルム中間体に関する。
配線板に使用する銅箔貼り合せ積層板は一般的に、絶縁体フィルムなどの基材(基板)上に接着剤を用いて導体層となる銅箔を貼り合わせるラミネート法等により作製されている。そして、例えば、銅箔貼り合せ積層板の銅箔上に配線パターンのレジストを形成した後、銅箔をエッチングする方法(サブトラクティブ法)によって所望の配線パターンが形成された配線板を得ることができる。
ところで、近年の電子機器の高密度化に伴って、配線板に対しても従来以上に、その配線ピッチ(配線幅/スペース幅)が、ますます狭いものが要求されてきている。
配線板をサブトラクティブ法で製造する場合、銅箔貼り合せ積層板上に形成したレジストを用いてエッチングし、配線パターンを形成する際に、配線部の側面がエッチングされる、いわゆるサイドエッチングが生じ、配線部の断面形状が裾広がりの台形になり易い。そのため、配線部間の電気的絶縁性を確保するまでエッチングを行うと、配線ピッチ幅が広くなり、従来一般的に用いられている厚み35μmの銅箔を接着剤で絶縁体フィルムと貼り合わせた銅箔貼り合せ積層板を用いた場合、配線部の狭ピッチ化には限界があった。
そこで、銅箔の厚みが35μmの銅箔貼り合わせ基板に代えて、厚み18μm以下の薄い銅箔貼り合わせ基板を使用し、サイドエッチングによる裾広がりの幅を小さくして配線板における配線部の狭ピッチ化を図ることが行われてきた。ところが、厚み18μm以下の薄肉の銅箔は剛性が低くハンドリング性が悪いため、該銅箔にキャリアーと呼ばれる肉厚の銅箔等の金属補強材を貼り合わせ、配線用の薄肉の銅箔と絶縁体フィルムとの接着を行った後、キャリアーを除去する方法等が採られていた(例えば、特許文献1参照)。
しかし、上述のキャリアーを用いる方法の場合、キャリアーとして一定の厚みを有する金属が必要とされるので、重量が増加し、取り扱い性が著しく悪化するため、作業性、生産性が悪化するという問題を有していた。
このような問題を解決するため、例えば、特許文献2には、耐熱性フィルム上に金属箔を形成し、該金属箔付フィルムキャリアを使用して金属箔を転写することで金属張り板を製造する方法が示されている。
しかしながら、近年は転写する銅箔の厚みが数μmから10数μmとさらに薄くなってきているため、転写する銅箔の表面状態によっては、基板にうまく転写できないという問題があった。
そこで、母材銅箔の少なくとも一方の面に粗化処理を施し、表面積の増加やアンカー効果により、樹脂基材との密着性を増加させた粗化処理銅箔が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、特許文献3に開示された粗化処理銅箔は、母材銅箔を製造した後、該銅箔の表面に樹脂基材との密着性を改善するための粗化処理として、銅合金層や、母材銅箔とはめっき条件の異なる銅めっき層等を形成した複雑な構造を有している。このため、複数の湿式めっきを行う必要があり、管理条件が複雑になり、作業性、生産性が悪化し、コスト増になるという問題があった。
特許4504602号公報 特開2005−93771号公報 WO2011/090175
上記従来技術の問題に鑑み、本発明は、基材との密着性に優れ、容易に製造することが可能な転写銅箔付きフィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明は、
絶縁体フィルムと、
前記絶縁体フィルムの少なくとも一方の面に乾式めっき法で形成された銅薄膜層と、
前記銅薄膜層上に電気めっき法で形成され、前記銅薄膜層と対向する一の面と、前記一の面の反対側に位置する他の面とを有する銅めっき被膜と、を備え、
前記銅めっき被膜の他の面の表面粗さ(Ra)が0.03μm以上0.26μm以下であり、かつ、
前記銅薄膜層及び前記銅めっき被膜を有する銅被膜層と、前記絶縁体フィルムと、の密着強度が100N/m以上200N/m以下である転写銅箔付きフィルムを提供する。
本発明によれば、基材との密着性に優れ、容易に製造することが可能な転写銅箔付きフィルムを提供することができる。
転写銅箔付きフィルムの構造の説明図
以下、本発明の転写銅箔付きフィルム、および、転写銅箔付きフィルム中間体の一実施形態について説明する。
本実施形態の転写銅箔付きフィルムは、絶縁体フィルムと、絶縁体フィルムの少なくとも一方の面に乾式めっき法で形成された銅薄膜層と、銅薄膜層上に電気めっき法で形成された銅めっき被膜とを有している。銅めっき被膜は、銅薄膜層と対向する一の面と、一の面の反対側に位置する他の面とを有し、銅めっき被膜の他の面の表面粗さ(Ra)は0.03μm以上0.26μm以下とすることができる。さらに、銅薄膜層及び銅めっき被膜を有する銅被膜層と、絶縁体フィルムと、の密着強度を100N/m以上200N/m以下とすることができる。
また、本実施形態の転写銅箔付きフィルム中間体は、絶縁体フィルムと、絶縁体フィルムの少なくとも一方の面に乾式めっき法で形成された銅薄膜層と、銅薄膜層上に電気めっき法で形成された銅めっき被膜とを有している。銅めっき被膜は、銅薄膜層と対向する一の面と、一の面の反対側に位置する他の面とを有し、銅めっき被膜の他の面から0.4μmの深さまでの範囲において、硫黄濃度を150質量ppm以上500質量ppm以下とすることができる。さらに、銅薄膜層及び銅めっき被膜を有する銅被膜層と、絶縁体フィルムと、の密着強度を100N/m以上200N/m以下とすることができる。
本実施形態の転写銅箔付きフィルムの具体的な構造例を図1に示す。
図1は、本実施形態の転写銅箔付きフィルムの断面構造を模式的に示したものである。図1に示すように、本実施形態の転写銅箔付きフィルム10は、絶縁体フィルム11と、絶縁体フィルム11の少なくとも一方の面11Aに形成された銅薄膜層12と、銅薄膜層12上に形成された銅めっき被膜13と、を有している。
銅めっき被膜13は、銅薄膜層12と対向する一の面13Aと、一の面13Aの反対側に位置する他の面13Bとを有している。なお、以下、銅薄膜層12と、銅めっき被膜13と、の積層構造体を銅被膜層14とも記載する。また、図1では、絶縁体フィルム11の一方の面11A上の全面に銅薄膜層12、銅めっき被膜13を形成しているが、係る形態に限定されるものではなく、絶縁体フィルム11の一方の面の一部領域に銅薄膜層12、銅めっき被膜13を形成することもできる。
転写銅箔付きフィルム中間体も同様の構成とすることができ、例えば後述のように銅めっき被膜13の他の面13Bをエッチングし、所定の表面粗さ(Ra)とすることにより、上記転写銅箔付きフィルム10とすることができる。
以下、本実施形態の転写銅箔付きフィルム10、および、転写銅箔付きフィルム中間体に含まれる各部材について説明する。
(1)絶縁体フィルム
絶縁体フィルム11の材料については特に限定されるものではなく、各種絶縁体フィルムを用いることができ、使用する環境等に応じて任意に選択することができる。例えば、ポリイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレン系フィルム、ポリフィニレンサルファイド系フィルム、ポリエチレンナフタレート系フィルム、液晶ポリマー系フィルム等を好ましく用いることができる。
中でもポリイミド系のフィルムは、熱圧着などの高温の工程が必要な用途にも適用できる点で好ましい。高温の工程が必要ない場合は、ポリエステル系フィルムやポリエチレンナフタレート系フィルムは、取扱などの利便性という点で好ましい。
絶縁体フィルム11の厚さは特に限定されるものではなく、絶縁体フィルム11の材料や、取り扱い性等に応じて任意に選択することができる。絶縁体フィルム11の厚さとしては、例えば8μm以上75μm以下とすることが好ましい。これは、絶縁体フィルム11の厚さが8μm未満の場合、銅被膜層14の支持部材として十分な機能を果たせず、取り扱い性が低下する場合があるためである。また、絶縁体フィルム11の厚さが75μmを超えた場合、基材に銅被膜層14を転写する際の操作性が悪化する恐れがあるためである。
絶縁体フィルム11の銅薄膜層12を形成する面11Aについて、銅薄膜層12を形成する前に、表面処理を行うことが好ましい。表面処理の方法としては特に限定されるものではないが、例えば、プラズマ処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理、イオンビーム処理、フッ素ガス処理などの公知の種々の方法により行うことができる。
表面化処理を行う程度については特に限定されるものではないが、銅薄膜層12及び銅めっき被膜13を有する銅被膜層14と、絶縁体フィルム11と、の密着強度が100N/m以上200N/m以下となるように表面処理を行うことが好ましい。
これは、銅被膜層14と絶縁体フィルム11との密着強度を100N/m以上とすることにより、転写銅箔付きフィルムの搬送時や、位置決めを行う際等の取り扱い中に絶縁体フィルム11から銅被膜層14が意図せず剥離することを特に抑制できるためである。また、銅被膜層14と絶縁体フィルム11との密着強度を200N/m以下とすることにより、銅被膜層14を転写する際には銅被膜層14を絶縁体フィルム11からより確実に剥離し、基材に転写することを容易に実施できるためである。特に、銅被膜層14と絶縁体フィルム11とを、転写時に容易に剥離することができるため、銅被膜層14が損傷することを抑制し、良好な銅箔貼り合せ積層板を効率よく得ることが可能となる。
なお、後述のように絶縁体フィルム11の表面11Aに、ニッケルを含む合金により構成される下地金属層を形成する場合、該下地金属層を含む銅被膜層14と絶縁体フィルム11との密着強度が上記範囲であることが好ましい。
また、ここでの密着強度とは、絶縁体フィルム11と、絶縁体フィルム上に形成した銅被膜層14との間の密着強度を測定したものである。このため、通常、転写銅箔付きフィルム中間体の密着強度と、該転写銅箔付きフィルム中間体の銅めっき被膜13の他の面13Bをエッチングした転写銅箔付きフィルムの密着強度とは等しくなる。
(2)銅薄膜層
銅薄膜層12は、上述のように、絶縁体フィルム11の少なくとも一方の面11Aに形成されている。この際、銅薄膜層12は、絶縁体フィルム11上に接着剤を介することなく乾式めっき法により好ましく形成することができる。
銅薄膜層12の形成に用いる乾式めっき法としては、特に限定されるものではなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、又はイオンプレーティング法等を用いることができる。特に、銅薄膜層12の形成に用いる乾式めっき法としては、膜厚の制御が容易であることから、スパッタリング法を用いることがより好ましい。
巻取式スパッタリング装置を用いた場合を例に銅薄膜層12の成膜方法を説明する。まず、銅ターゲットをスパッタリング用カソードに装着し、真空チャンバー内に絶縁体フィルム11をセットし、真空チャンバー内を真空排気後、Arガスを導入して装置内を0.13Pa〜1.3Pa程度に保持する。この状態で、巻出ロールから絶縁体フィルムを毎分1〜20m程度の速さで搬送しながら、カソードに接続したスパッタリング用直流電源より電力を供給し、スパッタリング放電を行い、絶縁体フィルム11上に所望の銅薄膜層12を連続成膜することができる。
銅薄膜層12の膜厚は特に限定されるものではなく、銅めっき被膜13を形成する際に必要となる導電性や、銅薄膜層12の生産性等を考慮して選択することができるが、銅薄膜層12の膜厚としては例えば、10nm以上0.3μm以下とすることが好ましい。これは、銅薄膜層12の膜厚が10nm未満の場合、銅めっき被膜13を形成するため、電気めっき処理を行う場合に導電性が十分ではなく、充分な給電量を確保できない場合があり好ましくないためである。また、銅薄膜層12の膜厚が0.3μmを超えると銅薄膜層12の成膜に時間を要し、生産性が低下する場合があり、好ましくないためである。
(3)銅めっき被膜
銅めっき被膜13は、銅薄膜層12上に電気めっき法により形成することができ、銅薄膜層12と対向する一の面13Aと、一の面13Aの反対側に位置する他の面13Bとを有することができる。
そして、まず、転写銅箔付きフィルム中間体においては、銅めっき被膜13の他の面13Bから0.4μmの深さまでの範囲において、硫黄濃度が150質量ppm以上500質量ppm以下であることが好ましい。
これは、転写銅箔付きフィルム中間体において銅めっき被膜13の他の面13Bから0.4μmの深さまでの範囲の硫黄濃度が上記範囲の場合、他の面13Bのエッチングを行うことにより、銅めっき被膜13の他の面13Bの表面粗さ(Ra)を転写に適した状態にできるためである。具体的には、銅めっき被膜13の他の面13Bから0.4μmの深さまでの範囲において、硫黄濃度が150質量ppm未満の場合、エッチングを行っても銅めっき被膜13の他の面13Bの表面は平滑となる場合がある。このため、銅箔が転写した基材から剥がれてしまう場合があり好ましくない。一方、銅めっき被膜13の他の面13Bから0.4μmの深さまでの範囲において、硫黄濃度が500質量ppmを超えると、銅めっき被膜が脆くなる場合があり、熱圧着などを行った際に転写した銅被膜層14が崩れて剥離する恐れがあるため好ましくない。
銅めっき被膜13の他の面13Bから0.4μmの深さまでの範囲における硫黄濃度を上記範囲とすることにより、銅めっき被膜13をエッチングした際に表面粗さ(Ra)を所望の範囲により変化し易くし、銅被膜層14が脆くなることを特に抑制できる。
なお、銅めっき被膜13の他の面13Bから0.4μmを越えた部分についての硫黄濃度は特に限定されるものではなく、例えば銅めっき被膜13全体に渡って、硫黄濃度が上記範囲であってもよい。
銅めっき被膜13を形成する際の電気めっき処理の条件は、特に限定されるものではなく、常法による諸条件を採用すればよい。例えば、めっき液である銅めっき液中の硫黄原子を含む有機化合物の含有量や電流密度、搬送速度を制御することによって、他の面13Bから0.4μmの深さまでの範囲に渡って、上記硫黄濃度を有する銅めっき被膜13を形成できる。ここでの搬送速度とは、絶縁体フィルム11の表面に銅薄膜層12を形成した被めっき物(基材)をめっき槽に供給、搬送する速度を意味している。
銅めっき被膜13を成膜する際に用いる銅めっき液中の硫黄原子を含む有機化合物の含有量は特に限定されるものではないが、例えば、25質量ppm以上50質量ppm以下であることが好ましい。これは、上述のように、銅めっき液中の硫黄原子を含む有機化合物の含有量や、電流密度、搬送速度等を調整することにより、銅めっき被膜13の他の面13Bから0.4μmの深さまでの範囲における硫黄濃度を調整することができる。しかし、銅めっき液中の硫黄原子を含む有機化合物の含有量が25質量ppm未満または50質量ppmを超えると、銅めっき被膜13の他の面13Bから0.4μmの深さまでの範囲における硫黄濃度を上記範囲とすることが困難になる場合があるためである。
硫黄原子をもつ有機化合物として使用できるものは、特に限定されるものではないが、例えば、3−(ベンゾチアゾリル−2−チオ)プロピルスルホン酸及びそのナトリウム塩、3−メルカプトプロパン−1−スルホン酸及びそのナトリウム塩、エチレンジチオジプロピルスルホン酸及びそのナトリウム塩、ビス(p−スルホフェニル)ジスルファイド及びその2ナトリウム塩、ビス(4−スルホブチル)ジスルファイド及びその2ナトリウム塩、ビス(3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル)ジスルファイド及びその2ナトリウム塩、ビス(3−スルホプロピル)ジスルファイド及びその2ナトリウム塩、ビス(2−スルホプロピル)ジスルファイド及びその2ナトリウム塩、メチル−(w−スルホプロピル)−スルファイド及びその2ナトリウム塩、メチル−(w−スルホプロピル)−トリスルファイド及びその2ナトリウム塩、チオグリコール酸、チオリン酸−オルト−エチル−ビス(w−スルホプロピル)−エステル及びその2ナトリウム塩、チオリン酸−トリス(w−スルホプロピル)−エステル及びその2ナトリウム塩、チオリン酸−トリス(w−スルホプロピル)−エステル及びその3ナトリウム塩などを用いることができる。
そして、上述のように、転写銅箔付きフィルム中間体の銅めっき被膜13の他の面13Bをエッチングすることにより、所定の表面粗さ(Ra)を有する転写銅箔付きフィルムとすることができる。転写銅箔付きフィルムの銅めっき被膜13の他の面13Bの表面粗さ(Ra)は上述のように、0.03μm以上0.26μm以下であることが好ましい。これは、表面粗さ(Ra)が0.03μm未満の場合、銅箔貼り合せ積層板を製造する際に、銅被膜層14と、転写する基材との密着強度が十分ではなく、銅被膜層14が基材に転写されず、絶縁体フィルム11上に残ってしまう場合があるためである。また、表面粗さ(Ra)を0.26μmよりも大きくするには、例えばエッチング前の銅めっき被膜13の他の面13Bから0.4μmの深さまでの範囲における硫黄濃度を500ppmより大きくすることにより達成できる。しかしながら、この場合、上述のように、銅めっき被膜13が脆くなる場合があり、転写時に銅めっき被膜13の一部に欠けが生じる場合や、崩れて剥離する場合があり好ましくない。
なお、ここでの表面粗さRaは、JIS B 0601に規定されており、測定方法としては、例えば触針法もしくは光学的方法等により評価することができる。
銅めっき被膜13の他の面13Bをエッチングする方法は特に限定されるものではないが、例えば、エッチング液を用いることにより行うことができる。用いるエッチング液としては特に限定されるものではなく、銅用のソフトエッチング液を好ましく用いることができる。
(4)銅被膜層
銅被膜層14は、絶縁体フィルム11上に形成された、基材に転写する金属箔(銅箔)を指している。すなわち、銅被膜層14は、銅薄膜層12と銅めっき被膜13とを有しており、後述のように絶縁体フィルム11の表面11Aに下地金属層を形成する場合には、該下地金属層を含むこともできる。銅薄膜層12と銅めっき被膜13の構成については既述の通りであるためここでは説明を省略する。
そして、銅被膜層14に含まれる銅薄膜層12の膜厚と、銅めっき被膜13の膜厚と、の合計は特に限定されるものではないが、0.5μm以上4μm以下であることが好ましい。これは、基材に転写される銅被膜層14の全部または大半を占める、銅薄膜層12と、銅めっき被膜13と、の膜厚の合計が0.5μmよりも薄い場合、微小な力で銅被膜層14に変形を生じ、転写後の銅被膜層14にシワや歪みが発生しやすくなるためである。また、銅薄膜層12と、銅めっき被膜13と、の膜厚の合計が4μmよりも厚くなると、基材に転写後、銅被膜層14をエッチングする際の形状の制限により微細配線形成に不利となる場合があり好ましくないためである。
なお、転写銅箔付きフィルム、転写銅箔つきフィルム中間体いずれの場合でも銅薄膜層12の膜厚と、銅めっき被膜13の膜厚と、の合計は上記範囲にあることが好ましい。
以上、本実施形態の転写銅箔付きフィルム、転写銅箔付きフィルム中間体について説明してきたが、本実施形態の転写銅箔付きフィルム、転写銅箔付きフィルム中間体においては、上記構成以外に限定されるものではなく、任意の構成を設けることができる。
例えば、基材に転写後の銅被膜層14の表面として問題なければ、銅被膜層14の形成を行う前に、絶縁体フィルム11の表面11Aに、ニッケルを含む合金により構成される下地金属層を形成してもよい。下地金属層は、例えば所望の下地金属層の組成を有する合金ターゲットをスパッタリング用カソードに装着したスパッタリング装置を用い、乾式めっき法により下地金属層を形成することができる。この時、下地金属層と銅薄膜層12との間に酸化物層を形成しないため、また、生産性の観点から、下地金属層と銅薄膜層12は同一真空チャンバー(真空室)内で連続して形成することが好ましい。
次に本実施形態で説明した、転写銅箔付きフィルムを用いた銅箔貼り合せ積層板の製造方法について説明する。
銅箔貼り合せ積層板の製造方法は、転写銅箔付きフィルムを転写する工程を有することができる。
転写銅箔付きフィルムを転写する工程の具体的な手順は特に限定されるものではなく、任意の方法により実施することができる。例えば、転写銅箔付きフィルム10のうち、銅めっき被膜13の他の面13Bを基材の転写する面にあわせ、熱圧着することにより転写することができる。
熱圧着の具体的な方法については特に限定されるものではないが、例えば加熱プレス法または熱ラミネート法等を用いることができる。
加熱プレス法は、転写銅箔付きフィルム10の銅めっき被膜13の他の面13Bに基材を当て、加熱プレス機により熱圧着するする方法である。熱ラミネート法は、転写銅箔付きフィルム10の銅めっき被膜13の他の面13Bに基材を当てたものをローラー間に挟み込みながら加熱することにより熱圧着する方法である。
熱圧着する際の条件については特に限定されるものではなく、基材の材質等に応じて任意に選択することができる。
基材の材質については特に限定されるものではなく、配線板に通常用いられる各種基材を用いることができ、例えば、エポキシ樹脂を含浸させたガラスクロス等を好ましく用いることができる。
熱圧着後は、絶縁体フィルム11に僅かな応力を加えることにより引き剥がし、銅箔貼り合せ積層板とすることができる。
本実施形態の銅箔貼り合せ積層板の製造方法によれば、上述した転写銅箔付きフィルムを用いていることから、基材と銅被膜層14との密着性に優れ、容易に転写を行うことができ、微細配線加工性に優れた基板が得られる。また、転写銅箔付きフィルムは、剛性が十分ありながら重量増加が少ないので取り扱いが容易となり、転写銅箔付きフィルムを転写する工程を容易に行うことができる。
なお、転写銅箔付きフィルムを転写する工程の前に、転写銅箔付きフィルム中間体の銅めっき被膜13の他の面13Bをエッチングするエッチング工程を設けることにより、転写銅箔付きフィルム中間体から、銅箔貼り合せ積層板を製造することもできる。エッチングの方法については既に説明したためここでは説明を省略する。
また、得られた銅箔貼り合せ積層板について、さらに、銅箔(銅被膜層14)上に配線パターンのレジストを形成する工程や、銅箔(銅被膜層14)を例えばサブトラクティブ法によってエッチングする工程を実施することもできる。これにより所望の配線パターンが形成された配線板を製造することができる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって、なんら限定されるものではない。
まず、以下の実施例、比較例における評価方法について説明する。
(1)絶縁体フィルムと銅被膜層との密着強度の測定
絶縁体フィルム11と銅被膜層14との密着強度(ピール強度)の測定は、IPC−TM−650、NUMBER2.4.9に準拠した方法で行った。ただし、リード幅は1mmとし、ピールの角度は90°とした。
密着強度を測定する場合、測定用の試料にリードを形成する必要があるため、以下の各実施例、比較例においては、密着強度測定用の試料を別途作製し、評価に供した。
測定用の試料は、まず、絶縁体フィルム11上に各実施例、比較例と同じ条件で銅めっき被膜13まで形成した。そして、さらに電気めっき法によりリード用の銅層を、銅被膜層14とリード用銅層との厚さが合計で8μmになるまで積層した後、サブトラクティブ法でリードを形成したものを用いた。
(2)硫黄濃度の測定
二次イオン質量分析装置(Dinamics−Secondary Ion Mass Spectroscopy:D−SIMS)で銅めっき被膜中の硫黄含有率を測定した。
なお、二次イオン質量分析装置には、ims5f二次イオン質量分析装置(CAMECA製)を用いた。
一次イオン条件:Cs、14.5keV、30nA、照射領域:150μm×150μm、分析領域:φ60μm、二次イオン極性:負とした。
一般的に、電気的陽性元素(Li、B、Mg、Ti、Cr、Mn、Fe、Ni、Mo、In、Taなど)を分析する場合には酸素イオンを照射して正の二次イオンを検出する。これに対して、電気的陰性元素(H、C、O、F、Si、S、Cl、As、Te、Auなど)を分析する場合にはセシウムイオンを照射して負の二次イオンを検出すると感度よく測定できるため、上記条件とした。
また、試料室真空度:8.0×10−8Pa、スパッタリング速度:約22Å/secとして測定を行った。予め銅めっき被膜13と同様の銅層を有するスパッタリング速度測定用の試料により、実際の分析時と同一のスパッタ条件でスパッタを行い上記平均的なスパッタ速度を求めた。そして、各試料の分析を行う際、該スパッタリング速度を用いてスパッタリング時間から深さを算出した。
(3)表面粗さ(Ra)の測定:
転写銅箔付きフィルムの銅めっき被膜13の他の面13Bについて、オプティカルプロファイラー(Zygo社製、NewView6200)により、表面粗さ(Ra)を測定した。表面粗さ(Ra)はJIS B 0651 2001に準拠した方法により測定を行っている。
(4)転写性の評価
以下の手順により、各実施例、比較例において得られた転写銅箔付きフィルムの銅被膜層14を基材に転写し、転写の可否について評価を行った。転写の際の条件については、以下の実施例、比較例に示した条件で行った。
各実施例、比較例において、同一条件で作製した転写銅箔付きフィルムを10枚用意し、全てについて上記転写の操作を行い、転写した銅被膜層14にシワや破損、転写残りなどの欠陥が発生しないか目視により確認した。10枚中全て転写を行うことができたものについては○、1枚以上9枚以下転写できない場合が発生したものは△、全て転写できなかった場合には×として評価した。
転写できない場合とは、基材上に銅被膜層14を全く転写できない場合以外に、例えば、転写後、銅被膜層14にシワ等が生じ破損した場合や、銅被膜層14の一部が絶縁体フィルム11に残る場合も含む。
[実施例1]
絶縁体フィルム11として、25μm厚のポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製、商品名:カプトン(登録商標)100EN)を用い、該絶縁体フィルム11の片面に、波長254nmの光を60秒間照射し、表面処理を行った。
続いて、Cuターゲット(住友金属鉱山株式会社製)を用いた直流スパッタリング法により、絶縁体フィルム11の表面処理を行った面に200nmの厚さの銅薄膜層12を成膜した。
その後、電気めっきにより銅めっき被膜13を0.8μm積層し、銅薄膜層12の膜厚と銅めっき被膜13の膜厚との合計を1μmとした。なお、ここでは、銅被膜層14は、銅薄膜層12と銅めっき被膜13とで構成されるため、表1では銅被膜層14の膜厚として記載している。他の実施例、比較例についても同様にして示している。
銅めっき被膜13を形成する際に用いた銅めっき液は、温度:27℃、pH:1以下の硫酸銅溶液であり、硫黄原子を含む有機化合物としてSPS(BiS(3−sulfopropyl)disulfide)を40質量ppm含有させた。
得られた転写銅箔付きフィルム中間体について、銅めっき被膜13の表面から深さ0.4μmまでの銅めっき被膜中の硫黄濃度を測定したところ、160質量ppmであった。
そして、転写銅箔付きフィルム中間体の、銅めっき被膜13の他の面13Bを銅用エッチング液であるクリーンエッチCPE−750(三菱ガス化学株式会社製)によりエッチングして転写銅箔付きフィルムとした。
得られた転写銅箔付きフィルムの銅めっき被膜13の他の面13Bについて、上記方法により表面粗さ(Ra)を測定した。
また、得られた転写銅箔付きフィルムについて転写性の評価を行った。転写は、以下の条件で行った。
まず、得られた転写銅箔付きフィルムの銅めっき被膜13の他の面13Bと、基材であるガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させて得た厚さ1mmのプリプレグと、を接するように配置した。そして、温度170℃、圧力40kg/mmで2時間、熱圧着を行った。その後、圧着した転写銅箔付きフィルムの端部に僅かな応力を加えることによってポリイミドフィルムを引き剥がし、銅被膜層14を基材上に転写した。
また、絶縁体フィルム11と銅被膜層14との密着強度を測定したところ200N/mであった。結果を表1に示す。
[実施例2]
銅めっき被膜13を形成する際の電気めっき時間を長くし、銅薄膜層12の膜厚と銅めっき被膜13の膜厚との合計を4μmとした点以外は実施例1と同様にして、転写銅箔付きフィルム中間体、転写銅箔付フィルムを得た。
得られた転写銅箔付きフィルム中間体について、銅めっき被膜表面から深さ0.4μmまでの銅めっき被膜中の硫黄濃度を測定したところ、160質量ppmであった。
実施例1と同様にして、銅めっき被膜表面をエッチングして転写銅箔付きフィルムとした後、表面粗さ(Ra)の測定、転写性の評価を行った。転写の際の条件は実施例1と同様にして行った。
また、絶縁体フィルム11と銅被膜層14との密着強度を測定したところ180N/mであった。結果を表1に示す。
[実施例3]
絶縁体フィルム11として、25μm厚のポリイミドフィルム(宇部興産株式会社製、商品名「ユーピレックス(登録商標)25SGA」)を使用した点以外は実施例1と同様にして、転写銅箔付きフィルム中間体、転写銅箔付きフィルムを得た。
得られた転写銅箔付きフィルム中間体について、銅めっき被膜表面から深さ0.4μmまでの銅めっき被膜中の硫黄濃度を測定したところ、160質量ppmであった。
実施例1と同様にして、銅めっき被膜表面をエッチングして転写銅箔付きフィルムとした後、表面粗さ(Ra)の測定、転写性の評価を行った。転写の際の条件は実施例1と同様にして行った。
また、絶縁体フィルム11と銅被膜層14との密着強度を測定したところ100N/mであった。結果を表1に示す。
[実施例4]
電気めっき時間を短くして、銅めっき被膜13の膜厚を実施例1よりも薄くして、銅薄膜層12の膜厚と銅めっき被膜13の膜厚との合計を0.5μmとした点以外は実施例1と同様にして、転写銅箔付きフィルム中間体、転写銅箔付フィルムを得た。
得られた転写銅箔付きフィルム中間体について、銅めっき被膜表面から深さ0.4μmまでの銅めっき被膜中の硫黄濃度を測定したところ、160質量ppmであった。
実施例1と同様にして、銅めっき被膜表面をエッチングし、転写銅箔付きフィルムとし、同様にして表面粗さ(Ra)を測定した。
また、得られた転写銅箔付きフィルムについて転写性の評価を行った。転写は、以下の条件で行った。
まず、得られた転写銅箔付きフィルムの銅めっき被膜13の他の面13Bと、基材であるLCP(液晶ポリマー)プリプレグとが接するように配置した。そして、温度200℃、圧力40kg/mmで2時間、熱圧着を行った。その後、ポリイミドフィルムを引き剥がし、銅被膜層14を基材に転写した。
また、絶縁体フィルム11と銅被膜層14との密着強度を測定したところ200N/mであった。結果を表1に示す。
[実施例5]
銅めっき液のSPSの含有量を45質量ppmとした点以外は実施例1と同様にして、転写銅箔付きフィルム中間体を得た。
得られた転写銅箔付きフィルム中間体について、銅めっき被膜表面から深さ0.4μmまでの銅めっき被膜中の硫黄濃度を測定したところ、480質量ppmであった。
実施例1と同様にして、銅めっき被膜表面をエッチングして転写銅箔付きフィルムとした後、表面粗さ(Ra)の測定、転写性の評価を行った。転写の際の条件は実施例1と同様にして行った。
また、絶縁体フィルム11と銅被膜層14との密着強度を測定したところ180N/mであった。結果を表1に示す。
[実施例6]
電気めっき時間を短くして、銅めっき被膜13の膜厚を実施例1よりも薄くして、銅薄膜層12の膜厚と銅めっき被膜13の膜厚との合計を0.4μmとした点以外は実施例1と同様にして、転写銅箔付きフィルム中間体を得た。
得られた転写銅箔付きフィルム中間体について、銅めっき被膜表面から深さ0.4μmまでの銅めっき被膜中の硫黄濃度を測定したところ、160質量ppmであった。
実施例1と同様にして、銅めっき被膜表面をエッチングして転写銅箔付きフィルムとした後、表面粗さ(Ra)の測定、転写性の評価を行った。転写の際の条件は実施例1と同様にして行ったが、ポリイミドフィルムを引き剥がしたところ、銅被膜層14にシワが生じたものが1枚あった。
また、絶縁体フィルム11と銅被膜層14との密着強度を測定したところ190N/mであった。結果を表1に示す。
[比較例1]
銅めっき液のSPSの含有量を20質量ppmとした点以外は実施例1と同様にして、転写銅箔付きフィルム中間体を得た。
得られた転写銅箔付きフィルム中間体について、銅めっき被膜表面から深さ0.4μmまでの銅めっき被膜中の硫黄濃度を測定したところ、140質量ppmであった。
実施例1と同様にして、銅めっき被膜表面をエッチングして転写銅箔付きフィルムとした後、表面粗さ(Ra)の測定、転写性の評価を行った。転写の際の条件は実施例1と同様にして行ったところ、ポリイミドフィルムを引き剥がした際に、銅層が全面に転写されず、10枚とも全て角部が転写銅箔付きフィルムに残ったままで破損する結果になった。
また、絶縁体フィルム11と銅被膜層14との密着強度を測定したところ200N/mであった。結果を表1に示す。
[比較例2]
銅めっき液のSPSの含有量を60質量ppmとした点以外は実施例1と同様にして、転写銅箔付きフィルム中間体を得た。
得られた転写銅箔付きフィルム中間体について、銅めっき被膜表面から深さ0.4μmまでの銅めっき被膜中の硫黄濃度を測定したところ、510質量ppmであった。
実施例1と同様にして、銅めっき被膜表面をエッチングして転写銅箔付きフィルムとした後、表面粗さ(Ra)の測定、転写性の評価を行った。転写の際の条件は実施例1と同様にして行ったが、ポリイミドフィルムを引き剥がしたところ、銅層が脆くなっており、10枚とも全て複数の箇所で銅層が破損・脱落する結果になった。
また、絶縁体フィルム11と銅被膜層14との密着強度を測定したところ100N/mであった。結果を表1に示す。
[比較例3]
絶縁体フィルム11の片面を表面処理する際、波長254nmの光を40秒間照射した点以外は実施例1と同様にして、転写銅箔付きフィルム中間体を得た。
得られた転写銅箔付きフィルム中間体について、銅めっき被膜表面から深さ0.4μmまでの銅めっき被膜中の硫黄濃度を測定したところ、160質量ppmであった。
実施例1と同様にして、銅めっき被膜表面をエッチングして転写銅箔付きフィルムとした後、表面粗さ(Ra)の測定、転写性の評価を行った。転写の際の条件は実施例1と同様にして行ったが、ポリイミドフィルムを引き剥がした際に、銅層は全面で転写されたものの、10枚とも全て複数の箇所で銅層にシワが発生した。
また、絶縁体フィルム11と銅被膜層14との密着強度を測定したところ90N/mであった。結果を表1に示す。
[比較例4]
絶縁体フィルム11の片面を表面処理する際、波長254nmの光を80秒間照射した点以外は実施例1と同様にして、転写銅箔付きフィルム中間体を得た。
得られた転写銅箔付きフィルム中間体について、銅めっき被膜表面から深さ0.4μmまでの銅めっき被膜中の硫黄濃度を測定したところ、160質量ppmであった。
実施例1と同様にして、銅めっき被膜表面をエッチングして転写銅箔付きフィルムとした後、表面粗さ(Ra)の測定、転写性の評価を行った。転写の際の条件は実施例1と同様にして行ったが、ポリイミドフィルムを引き剥がした際に、銅層は全面で転写されたものの、10枚とも全て複数の箇所で銅層にシワが発生した。
また、絶縁体フィルム11と銅被膜層14との密着強度を測定したところ210N/mであった。結果を表1に示す。
Figure 2015032635
表1に示した結果によると、実施例1〜6は転写性の評価結果が○または△となっており、基材との密着性に優れた転写銅箔付きフィルムを得られたことが確認できた。
実施例6については△となったが、銅被膜層14の膜厚が非常に薄かったため、10枚中1枚を転写した際、転写後、絶縁体フィルム11を引き剥がす際に銅被膜層14にシワや破損箇所を生じたためと考えられる。
これに対して、比較例1〜4については転写性の評価結果がいずれも×となった。
比較例1は、転写銅箔付きフィルム中間体について、銅めっき被膜表面から深さ0.4μmまでの銅めっき被膜中の硫黄濃度が低くなっていた。このため、エッチング処理を行っても、銅めっき被膜13の他の面13Bの表面粗さ(Ra)が十分に大きな値とならず、基材との密着性を確保できなかったためと考えられる。
比較例2は、転写銅箔付きフィルム中間体について、銅めっき被膜13表面から深さ0.4μmまでの銅めっき被膜中の硫黄濃度が高かったため、銅めっき被膜13が脆くなり、熱圧着等を行った際に転写した銅被膜層14が崩れて剥離したためと考えられる。
また、比較例3は絶縁体フィルム11と銅被膜層14との密着強度が十分ではなかったため、転写を行った際に銅被膜層14にシワが生じたものと考えられる。
比較例4は、絶縁体フィルム11と銅被膜層14との密着強度が強すぎて転写を行うことができなかったためと考えられる。
10 転写銅箔付きフィルム
11 絶縁体フィルム
11A 一方の面
12 銅薄膜層
13 銅めっき被膜
13A 一の面
13B 他の面
14 銅被膜層

Claims (5)

  1. 絶縁体フィルムと、
    前記絶縁体フィルムの少なくとも一方の面に乾式めっき法で形成された銅薄膜層と、
    前記銅薄膜層上に電気めっき法で形成され、前記銅薄膜層と対向する一の面と、前記一の面の反対側に位置する他の面とを有する銅めっき被膜と、を備え、
    前記銅めっき被膜の他の面の表面粗さ(Ra)が0.03μm以上0.26μm以下であり、かつ、
    前記銅薄膜層及び前記銅めっき被膜を有する銅被膜層と、前記絶縁体フィルムと、の密着強度が100N/m以上200N/m以下である転写銅箔付きフィルム。
  2. 前記銅薄膜層の膜厚と、前記銅めっき被膜の膜厚との合計が0.5μm以上4μm以下である請求項1に記載の転写銅箔付きフィルム。
  3. 請求項1または2に記載の転写銅箔付きフィルムを転写する工程を有する、銅箔貼り合わせ積層板の製造方法。
  4. 絶縁体フィルムと、
    前記絶縁体フィルムの少なくとも一方の面に乾式めっき法で形成された銅薄膜層と、
    前記銅薄膜層上に電気めっき法で形成され、前記銅薄膜層と対向する一の面と、前記一の面の反対側に位置する他の面と、を有する銅めっき被膜と、を備え、
    前記銅めっき被膜の他の面から0.4μmの深さまでの範囲において、硫黄濃度が150質量ppm以上500質量ppm以下であり、かつ、
    前記銅薄膜層及び前記銅めっき被膜を有する銅被膜層と、前記絶縁体フィルムとの密着強度が100N/m以上200N/m以下である転写銅箔付きフィルム中間体。
  5. 前記銅薄膜層の膜厚と、前記銅めっき被膜の膜厚との合計が0.5μm以上4μm以下である請求項4に記載の転写銅箔付きフィルム中間体。
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