JP2015031891A - 定着装置 - Google Patents

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光一 覚張
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理久 矢後
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Abstract

【課題】定着ベルトのバタつきをより確実に防止できる構成を実現する。
【解決手段】ジョブ終了時に、定着ベルトの温度が定着ベルトのガラス転移温度未満となるまで、定着ベルトの回転を継続させる。これにより、定着ベルトと加圧ローラとのニップ部で、定着ベルトの形状が記憶されること(くせがつくこと)を抑制できる。この結果、次にジョブを開始した時に、定着ベルトが温まるまでの間のバタつきをより確実に防止できる。定着ベルトのバタつきを防止できれば、分離ガイドを必要以上に定着ベルトから離す必要がなくなるため、記録材の分離性を良好にできる。
【選択図】図8

Description

本発明は、シートなどの記録材に形成されたトナー画像を加熱することで、画像を記録材に定着させる定着装置に関する。
電子写真方式、静電記録方式等を採用する画像形成装置に具備される定着装置は、トナー画像を担持した記録材をニップ部に通過させることで、記録材上のトナー画像を加熱して、画像を記録材に定着させる。このような定着装置としては、装置の立ち上がりが速いオンデマンド方式として、熱容量の小さい定着ベルト(エンドレスベルト)を介して加熱する方式が提案されている(特許文献1、2参照)。
一方、このような定着ベルトを使用した構成の場合、定着ベルトが回転時にバタつく場合がある。このように定着ベルトがバタついた状態で回転すると、定着ベルトから記録材を分離するための分離部材に定着ベルトが干渉して、定着ベルト表面に傷がついてしまう可能性がある。このため、定着ベルト、定着ベルトの加熱手段、定着ベルトを加圧する加圧体のうちのいずれか一つの温度を検知し、その検知温度に応じて加圧体を正回転または逆回転させる構成が提案されている(特許文献3)。
特開昭63−313182号公報 特開2010−217218号公報 特開2009−288587号公報
ここで、上述した定着ベルトのバタつきの原因は、次のように考えられる。即ち、定着ベルトがガラス転移温度よりも高い温度で放置されると、そのままの状態で定着ベルトの温度がガラス転移温度より低くなる。この際、ニップ部での定着ベルトの形状がそのまま記憶されて(くせがついて)しまう。そして、このくせがついた状態で定着ベルトが回転すると上述のようなバタつきが生じてしまう。
ところで、上述の特許文献3に記載された発明の場合、定着ベルトの駆動が停止したときの温度が不明である。このため、定着ベルトにくせがついている時でも、検知時の温度によっては、逆回転が実行されないことがあり、この場合には、定着ベルトのバタつきを防止できず、定着ベルトが分離部材と接触して定着ベルトに傷がついてしまう可能性がある。逆に、定着ベルトにくせがついていない時でも逆回転を実行してしまうことがあり、記録材を出力するまでに時間を要してしまう。
このような定着ベルトのバタつきによる分離部材との接触を防止すべく、このバタつきを考慮して分離部材を定着ベルトから離すことも考えられる。但し、定着ベルトが加熱されてガラス転移温度以上となることでくせが解消され、定着ベルトの軌道が安定してくると、定着ベルトと分離部材とのギャップが大きくなり過ぎてしまい、記録材の分離性が低下する。特に、トナーの載り量が比較的多いフルカラー画像定着時や、比較的コシの弱い薄紙や吸湿紙の定着時は、記録材の巻き付きジャムが発生してしまうことがある。
本発明は、このような事情に鑑み、エンドレスベルトのバタつきをより確実に防止できる構成を実現すべく発明したものである。
本発明は、回転するエンドレスベルトと、前記エンドレスベルトとニップ部を形成しつつ回転する回転体と、前記エンドレスベルトを加熱する加熱部材と、前記エンドレスベルトと前記回転体との少なくとも一方を回転駆動し、前記ニップ部で記録材を挟持搬送する駆動手段と、前記エンドレスベルトの外周面に対向配置され、前記ニップ部を通過した記録材を前記エンドレスベルトから分離する分離部材と、定着処理の終了に伴って前記エンドレスベルトの回転を止める際に、前記エンドレスベルトの温度が前記エンドレスベルトのガラス転移温度未満となるまで、前記エンドレスベルトの回転を継続させるように、前記駆動手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする定着装置にある。
本発明の場合、定着処理の終了に伴ってエンドレスベルトの回転を止める際に、エンドレスベルトの温度がエンドレスベルトのガラス転移温度未満となるまで、エンドレスベルトの回転を継続させる。このため、ニップ部でのエンドレスベルトの形状が記憶されること(くせがつくこと)を抑制できる。この結果、エンドレスベルトのバタつきをより確実に防止できる。
本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成断面図。 第1の実施形態に係る画像形成装置の制御ブロック図。 第1の実施形態に係る定着装置の概略構成断面図。 定着ベルトの断面を模式的に示す図。 PFAシートの損失正接tanδの温度特性を示す図。 加熱ヒータの概略構成断面図。 バタついた状態の定着ベルトの軌跡を模式的に示す定着装置の断面図。 第1の実施形態のジョブ終了時の定着装置の制御を示すフローチャート。 第1の実施形態の定着ベルトの表面温度の変化を時系列で模式的に示す図。 (a)第1の実施形態を実施しなかった場合の、(b)第1の実施形態を実施した場合の、それぞれ分離ガイドと定着ベルトとの間隔の変化を時系列で示す図。 分離ガイドと定着ベルトとの間隔を、0.8mm(第1の実施形態を実施した場合)、1.8mm(第1の実施形態を実施しなかった場合)とした場合のジャム発生の有無を示す図。 本発明の第2の実施形態に係る定着装置の概略構成断面図。 加熱ヒータの温度とその時の定着ベルトの温度との関係を示す図。 第2の実施形態のジョブ終了時の定着装置の制御を示すフローチャート。 第2の実施形態の加熱ヒータの温度の変化を時系列で模式的に示す図。 本発明の第3の実施形態に係る定着装置の概略構成断面図。 第3の実施形態のジョブ終了時の定着装置の制御を示すフローチャート。 本発明の第4の実施形態のジョブ開始時の定着装置の制御を示すフローチャート。 第4の実施形態のジョブ前動作を実行した際の定着ベルトの軌跡を模式的に示す図。 (a)第4の実施形態を実施しなかった場合の、(b)第4の実施形態を実施した場合の、それぞれ分離ガイドと定着ベルトとの間隔の変化を時系列で示す図。 分離ガイドと定着ベルトとの間隔を、0.8mm(第1の実施形態を実施した場合)、1.8mm(第1の実施形態を実施しなかった場合)とした場合のジャム発生の有無を示す図。 本発明の第5の実施形態のジョブ開始時の定着装置の制御を示すフローチャート。 本発明の第6の実施形態のジョブ開始時の定着装置の制御を示すフローチャート。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、図1ないし図11を用いて説明する。まず、本実施形態の定着装置を備えた画像形成装置の概略構成について、図1及び図2を用いて説明する。
[画像形成装置]
本実施形態の画像形成装置100は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、もしくはこれらの機能を複数備えた複合機などであり、図1は、4個の画像形成部を有する4色フルカラーの電子写真方式の画像形成装置である。即ち、画像形成装置100は、中間転写体としての中間転写ベルト17の回転方向(矢印R17方向)に沿って上流側から下流側にかけて4個の画像形成部(画像形成ステーション)Pa、Pb、Pc、Pdが配設されている。各画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、この順に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を形成する画像形成部であり、それぞれ像担持体としての感光ドラム(電子写真感光体)1Y、1M、1C、1Kを備えている。なお、各画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdの構成はほぼ同様であるため、以下、各画像形成部の構成であることを示す添え字(Y、M、C、K)を省略して説明する。
感光ドラム1は、矢印R1方向(図1中の時計回り)に回転駆動されるようになっている。感光ドラム1の周囲には、その回転方向に沿ってほぼ順に、帯電ローラ(帯電手段)2、露光装置(潜像形成手段)3、現像器(現像手段)4、一次転写ローラ(一次転写手段)5、ドラムクリーナ(クリーニング手段)6が配設されている。また、中間転写ベルト17の図1の下方には、転写搬送ベルト18が配設されて、用紙などのシート(記録材)Sの搬送方向(矢印R18方向)の下流側に定着装置(定着手段)16が配設されている。
本実施形態では、感光ドラム1として、直径が例えば30mmのものを用いている。感光ドラム1は、接地されたアルミニウムなどの導電材製ドラム基体の外周面に、通常の有機光導電体層(OPC)からなる感光体層を形成塗布されたものである。この感光体層は、下引層(UCL)、電荷キャリア生成層(CGL)、電荷キャリア移動層(CTL)が積層されている。感光体層は、通常は絶縁層であり、特定の波長の光を照射することにより、導電体になるという性質を有している。これは、光を照射することによって、電荷キャリア生成層内に正孔が生成し、それらが電荷の流れの担い手となるからである。電荷キャリア生成層は、例えば厚さ0.2μmのフタロシニアン化合物で、電荷キャリア移動層は、例えば厚さ25μm程度のヒドラゾン化合物を分散させたポリカーボネートで構成されている。
帯電ローラ2は、感光ドラム1表面に接触するように配置されている。帯電ローラ2の構造は、中心に導電性の芯金を有し、この芯金の外周に導電性弾性層、中抵抗導電層、低抵抗導電層が形成されている。帯電ローラ2は、その両端部を軸受け(図示略)によって回転自在に支持され、感光ドラム1の回転軸線に平行に配置されている。帯電ローラ2両端部の軸受けは、ばねなどの弾性部材(図示略)によって、感光ドラム1に適度な押圧力で圧接されている。その圧接力によって帯電ローラ2は感光ドラム1の回転に従動して回転する。そして、帯電ローラ2に所定の帯電バイアスを印加することで、感光ドラム1の表面が帯電される。
露光装置3は、画像情報に応じてレーザ光をON/OFFするレーザスキャナである。露光装置3から発生したレーザ光は、反射ミラーを介して、帯電後の感光ドラム1表面に走査露光される。これにより、レーザ光照射部分の電荷が除去され、画像情報に応じた静電潜像が感光ドラム1の表面に形成される。
現像装置4は、非磁性のトナーと磁性のキャリアとを有する二成分現像剤を収容している。現像装置4の感光ドラム1に面した開口部内には現像スリーブが回転自在に設置されている。そして、現像スリーブに所定の現像バイアスが印加されることで、感光ドラム1に形成された静電潜像がトナーにより現像される。現像装置4の上方には、不図示の補給用のトナーを収容した着脱自在なトナー容器が設けられている。現像によって消費されたトナーはトナー容器から現像装置4の現像容器内に補給される。
一次転写ローラ5及び二次転写対向ローラ11には、無端状の中間転写ベルト17が掛け渡されている。中間転写ベルト17は、その裏面側から一次転写ローラ5によって押圧されていて、その表面を感光ドラム1に当接させている。これにより、感光ドラム1と、中間転写ベルト17との間には、一次転写ニップ(一次転写部)が形成されている。二次転写対向ローラ11と対向する位置には、中間転写ベルト17を介して二次転写ローラ12が配置されており、中間転写ベルト17と二次転写ローラ12と間に二次転写ニップ(二次転写部)が形成されている。中間転写ベルト17は、駆動ローラも兼ねる二次転写対向ローラ11の回転に伴って、矢印R17方向に回転するようになっている。この中間転写ベルト17の回転速度は、上述の感光ドラム1の回転速度(プロセススピード)とほぼ同じに設定されている。
現像装置4により感光ドラム1に形成されたトナー像は、一次転写部で中間転写ベルト17に、各画像形成部の各色のトナー像が重なるように転写される。中間転写ベルト17に転写されたトナー像は、不図示のカセットから搬送され、レジストローラ13で中間転写ベルト17上を搬送されるトナー像と同期して搬送される記録材Sに、二次転写部で転写される。トナー像が転写された記録材Sは、定着装置16で加熱、加圧されることでトナー像が定着され、装置外部に排出される。一次転写後に感光ドラム1上に残ったトナーは、ドラムクリーナ6により清掃され、二次転写後に中間転写ベルト17上に残ったトナーは、ベルトクリーナ10により清掃される。
このような画像形成装置100は、図2に示すように、制御手段としての制御回路部(制御基板:CPU)101を有する。制御回路部101は、外部ホスト装置102と通信可能に接続され、外部ホスト装置102からの入力画像情報に応じて、上述のように各部を動作させ、記録材S上にフルカラー画像を形成して出力する。外部ホスト装置102としては、コンピュータ、イメージリーダー等である。制御回路部101は、定着装置16が有する後述するような温度センサ41や、装置本体内に配置された環境センサや、記録材の検知センサなどのその他入力103から入力信号を受ける。また、制御回路部101は、メモリ104に記憶されたプログラムなどの各種データに基づいて各部の制御を行う。メモリ104は、例えば、RAMやROMなどである。制御回路部101の制御対象は、画像形成装置100全体である。例えば、定着装置16を駆動する定着駆動モータ19、定着装置16の加熱ヒータ39のヒータ駆動回路部105、定着装置以外の上述した各構成部材などのその他出力106を、上述のセンサの入力信号やプログラムなどに基づいてそれぞれ制御する。即ち、制御回路部101は、各種作像機器と信号の授受をし、作像シーケンス制御を司る。
[現像剤]
次に、本実施形態で使用される二成分現像剤について説明する。二成分現像剤は、非磁性トナーと低磁化高抵抗キャリアとを主成分として構成されている。非磁性トナーは、スチレン系樹脂やポリエステル樹脂等の結着樹脂、カーボンブラックや染料、顔料等の着色剤、ワックス等の離型剤、荷電制御剤等を適当量用いることにより構成される。このような非磁性トナーは、粉砕法や重合法などの方法により製造することができる。
なお、非磁性トナー(負帯電特性)は、摩擦帯電量が−1×10−2〜−5.0×10−2C/kg程度のものであることが好ましい。非磁性トナーの摩擦帯電量が上記範囲を外れると、磁性キャリアに発生するカウンターチャージ量が大きくなって白抜けが生じ易くなり、画像不良を生じることがある。非磁性トナーの摩擦帯電量は、用いられる材料の種類等により調整しても良いし、外添剤の添加によって調整しても良い。また、非磁性トナーの粒径は、特に限定する必要はないが、粒状性や階調性の良好な画像を得るという観点から4μm以上8μm以下であることが好ましい。
本実施形態の画像形成装置における非磁性トナーの定着適正温度は、150〜180℃であった。定着適正温度とは高温での定着ローラオフセット温度の上限温度、低温での記録材に対するトナーの定着性を満たすための下限温度を定着ローラの表面温度で表したものである。定着性は、定着後の記録材上のトナー像を50g/cmの加重をかけたシルボン紙で往復5回摺擦して摺擦前後のトナー像の反射濃度低下率を測定することで評価し、20%を定着適正温度の下限温度とした。
また、磁性キャリアとしては、従来公知のものを使用することができる。例えば、樹脂中に磁性材料としてマグネタイトを分散し、導電化、及び抵抗調整のためにカーボンブラックを分散して形成した樹脂キャリアを使用できる。または、フェライト等のマグネタイト単体表面を酸化、還元処理して抵抗調整を行ったもの、或いは、フェライト等のマグネタイト単体表面樹脂でコーティングし抵抗調整を行ったものなども使用できる。これら磁性キャリアの製造方法は特に制限されない。
なお、磁性キャリアは、0.1Tの磁界において3.0×10A/m〜2.0×10A/mの磁化を有することが好ましい。磁性キャリアの磁化量を小さくすると、磁気ブラシによるスキャベジングを抑制する効果があるが、磁界発生手段による非磁性円筒体への付着が困難となり、感光体ドラムへの磁性キャリア付着等の画像不良やはき寄せ等の画像不良を生じることがある。また、磁性キャリアの磁化が上記範囲よりも大きいと、上述したように磁気ブラシの圧力により画像不良を生じることがある。更に、磁性キャリアの体積抵抗率は、リークや現像性を考慮して10〜1014Ωcmのものを用いるのが好ましい。
[定着装置]
次に、本実施形態の定着装置16について、図3ないし図6を用いて説明する。定着装置16は、上述のように、定着装置16は、記録材上の未定着トナー像を定着する以外に、既に記録材に定着されたトナー像を再度加熱することにより画像の光沢度を調整するように使用する場合もある。
このような定着装置16は、図3に示すように、回転するエンドレスベルトである定着ベルト14と、定着ベルト14とニップ部Nを形成しつつ回転する回転体である加圧ローラ15とを有する。定着ベルト14は、フィルム状に形成されており、内部に、定着ベルト14を加熱する加熱部材としての加熱ヒータ39が配置されている。加熱ヒータ39は、定着ベルト14内に配置されたヒータホルダ40の下面(加圧ローラ15側の面)に、定着ベルト14の長手方向(図3の紙面表裏方向)に沿って固定されており、定着ベルト14の内周面とその加熱面が摺動可能となっている。
ヒータホルダ40は、耐熱性の高い液晶ポリマー樹脂で形成されており、加熱ヒータ39を保持すると共に定着ベルト14をガイドする役割を果たしている。本実施形態では、液晶ポリマーとして、デュポン社製のゼナイト7755(商品名)を使用した。
ヒータホルダ40の両端部は、不図示の加圧機構により、その一端側が例えば156.8N(16kgf)、総圧313.6N(32kgf)の力で加圧ローラ15の軸線方向に付勢されている。その結果、加熱ヒータ39の下面(加熱面)を、定着ベルト14を介して加圧ローラ15の弾性層に抗して所定の押圧力をもって圧接させ、定着に必要な所定幅のニップ部Nが形成されている。加圧ローラ15は、駆動手段としての定着駆動モータ19により回転駆動され、定着ベルト14は加圧ローラ15に従動回転する。これにより、ニップ部Nでトナー像tを担持した記録材Sを挟持搬送するようにしている。
また、定着ベルト14の外周面近傍には、定着ベルト14の表面温度を検知するベルト温度検知手段としての温度センサ41が配置されている。また、ニップ部Nの搬送方向上流側には、記録材Sをニップ部Nに案内するガイド34が配置されている。ガイド34に案内されてニップ部Nを通過した記録材Sは、定着ベルト14の外周面のうち、ニップ部Nの搬送方向下流側に対向配置された分離部材としての分離ガイド42により定着ベルト14から分離される。定着ベルト14から分離された記録材Sは、排出ローラ36により定着装置16から排出される。以下、それぞれの構成について、より詳しく説明する。
[定着ベルト]
定着ベルト14は、図4に示すように、基層14aと、基層上に設けられた弾性層14bと、弾性層上に設けられた離型層14cとから構成される。基層14aは、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の耐熱性樹脂、或いは耐熱性、高熱伝導性を有するSUS(ステンレス鋼)、Al、Ni、Cu、Zn等の純金属、或いは合金により形成される。樹脂製の基層の場合は熱伝導性を向上させるために、BN、アルミナ、Al等の高熱伝導性粉末を混入してあっても良い。また、長寿命の定着装置を構成するために充分な強度を持ち、耐久性に優れた定着ベルト14として、総厚20μm以上の厚みが必要である。本実施形態では、基層14aは、例えば厚さ50μmの耐熱性樹脂であるポリイミド樹脂製としている。
弾性層14bは、合成ゴムを主成分とする耐熱性材料を用いる。合成ゴムとしては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオルシリコンゴム等が好ましく用いられる。本実施形態では、弾性層14bは、例えば厚さ180μmの耐熱性のシリコーンゴム製としている。
定着ベルト14の表層には、PTFE、PFA、FEP、ETFE、CTFE、PVDF等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂等の離型性の良好な耐熱樹脂が混合ないし単独で被覆され離型層14cが形成される。この離型層14cにより、記録材上のトナーが定着ベルト14に移ってしまうオフセットの防止や、記録材の定着ベルト14からの分離性を確保するようにしている。本実施形態では、離型層14cとして、PTFE及びPFAを少なくとも含む耐熱性の材料で構成しており、例えば、厚さ30μmのPFAチューブを弾性層14bに重ねる構成になっている。
ここで、PTFEは、ポリテトラフルオロエチレンであり、PFAは、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体である。また、FEPは、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体である。また、ETFEは、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体であり、CTFEは、ポリクロロトリフルオロエチレンであり、PVDFは、ポリビニリデンフルオライドである。被覆の方法としては、弾性層14bの外面をエッチング処理した後に離型層をディッピングするか、粉体スプレー等の塗布であってもよい。或いは、チューブ状に形成された樹脂を弾性層14bの表面に被せる方式であってもよい。又は、弾性層14bの外面をブラスト処理した後に、接着剤であるプライマ層を塗布し、離型層を被覆する方法であってもよい。
なお、本実施形態においてPFAは、三井・デュポンフロロケミカル株式会社製の商品名「451HP−J」を使用している。図5に451HP−J(PFA)の損失正接tanδ(損失弾性率/貯蔵弾性率)の温度特性を示す。tanδのピーク温度からガラス転移温度Tgの評価が可能であり、451HP−J(PFA)の場合、約110℃でピークになっていることがわかる。即ち、本実施形態の定着ベルト14のガラス転移温度Tgは、110℃である。損失正接の測定には、粘弾性測定装置(商品名:UBM製Rheogel−E4000)を使用した。同装置は、強制振動非共振法による、縦型の動的粘弾測定装置であり、試料に対して正弦波歪を与えて発生する応力レスポンスを水晶圧電型応力検出器により検出する。そのときの動的応力波形、及び動的変位波形をFFT演算等を用いて、各々の周波数の振幅と位相差角を求め、損失弾性率、貯蔵弾性率、損失正接等を算出することが可能である。
[加圧ローラ]
加圧ローラ15は、図3に示すように、SUS、SUM(硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材)、Al等の金属製芯金37の外側に、弾性ソリッドゴム層、弾性スポンジゴム層、あるいは弾性気泡ゴム層等の弾性層38からなる弾性ローラである。ここで、弾性ソリッドゴム層は、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴムで形成したものである。また、弾性スポンジゴム層は、より断熱効果を持たせるためにシリコーンゴムを発泡して形成したものである。また、弾性気泡ゴム層は、シリコーンゴム層内に中空のフィラー(マイクロバルーン等)を分散させ、硬化物内に気体部分を持たせて断熱効果を高めたものである。この上にパーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)等の離型性層を形成してあってもよい。本実施形態では、加圧ローラ15の外径は、25mmとした。
[加熱ヒータ]
加熱ヒータ39は、図6に示すように、絶縁性セラミック基板39bの表面に長手方向に沿って通電発熱抵抗層39aが形成されている。また、通電発熱抵抗層39aは、保護層39cにより保護されている。絶縁性セラミック基板39bは、低熱容量のアルミナや窒化アルミ等の絶縁性セラミックをプレート状に設けたものである。絶縁性セラミック基板39bとしては、記録材の搬送方向の幅が、例えば10mmのものを使用している。通電発熱抵抗層39aは、Ag/Pd(銀パラジウム)、RuO(酸化ルテニウム)、TaN(窒化タンタル)等の抵抗体を、絶縁性セラミック基板39bの表面にスクリーン印刷等により形成している。通電発熱抵抗層39aは、例えば厚さ約10μmに形成されている。ここで、長手方向とは、記録材が搬送される記録材搬送方向に直交する方向であり、加圧ローラ15の軸方向であり、定着ニップ部Nの長手方向である。保護層39cは、加熱ヒータ39の定着ベルト14と接する面に、熱効率を損なわない範囲で通電発熱抵抗層39aを保護するように設けられている。保護層39cは、厚さが十分薄く、表面性を良好にする程度が望ましく、ガラスやフッ素樹脂コート等が施されている。
[定着装置の駆動]
加圧ローラ15は芯金37の端部に接続された定着駆動モータ19により、図3の矢印の方向に回転する駆動力を得る。定着駆動モータ19は、図2に示した制御回路部101からの指令に従って制御される。この加圧ローラ15の回転駆動に伴って、定着ベルト14は加圧ローラ15との摩擦力により従動回転(移動)する。このとき、定着ベルト14は、加熱ヒータ39に対して摺動する。定着ベルト14と加熱ヒータ39との間には、フッ素系やシリコーン系の耐熱性グリース等の潤滑材を介在させることにより、摩擦抵抗を低く抑え、滑らかに定着ベルト14が回転可能(移動可能)となる。加熱ヒータ39の温度制御はセラミック基板の背面に設けたサーミスタ等温度検知素子の信号に応じて制御される。即ち、制御回路部101が、温度検知信号素子の信号に基づいて通電発熱抵抗層39aに印加する電圧のデューティー比や波数等を決定し適切に制御することで、ニップ部N内の温度を所望の定着設定温度に保つ。なお、本実施形態では、加圧ローラ15の周速を150mm/sとした。
このような定着ベルト14を用いた定着装置16は、定着ベルト14が薄肉で熱容量が小さく、かつ熱応答性が良いため、加熱ヒータ39の熱応答をほぼそのままニップ部N内に反映することができる。よって、ヒータのオン時より短時間の定着温度到達が達成され(オンデマンド方式)、これに伴う省電力が実現される。
また、本実施形態では、円筒形の定着ベルト14を加圧ローラ15の搬送力で駆動させるテンションレスの方法を用いている。これにより、装置構成を簡略化して低コストの定着装置を実現できる。但し、このようなテンションレスの定着方式では、前述のように、定着ベルト14がガラス転移温度よりも高い温度で放置されて定着ベルトにくせがついてしまうことによるバタつきが生じ易くなる。特に、定着ベルト14にくせがついており、定着ベルト14がガラス転移温度まで温まっていない状態で、定着ベルト14を回転駆動すると、定着ベルト14のバタつきが大きくなる。
即ち、図7に示すように、定着ベルト14がガラス転移温度以上まで温まった状態、或いは、ガラス転移温度まで温まっていないが定着ベルト14にくせがついていない状態で定着ベルト14を回転すると、定着ベルト14の軌跡は実線αのようになる。これに対して、定着ベルト14にくせがついており、且つ、定着ベルト14がガラス転移温度まで温まっていない状態で定着ベルト14を回転すると、定着ベルト14の軌跡は鎖線βで示すように、一部が膨らむようになる。これは、定着ベルト14がガラス転移温度以上となった状態で停止し、そのままガラス転移温度未満まで下がることでニップ部N部分の形状がそのままくせとして残ってしまうからである。したがって、このくせが残ったまま定着ベルト14を、通常画像の定着動作時(定着処理実行時)のように図7の矢印方向に回転させると、ニップ部Nの下流側に膨らむようになる。ニップ部Nの下流側には、定着ベルト14と対向して分離ガイド42が配置されているため、定着ベルト14が分離ガイド42と接触して定着ベルト14の表面に傷がつく可能性がある。定着ベルト14の表面が傷ついてしまうと、傷跡が記録材の画像面に出てしまい、画像品位が低下してしまう。このために本実施形態では、定着処理の終了に伴って定着ベルト14の回転を止める際(ジョブ終了時)に次のような制御を行うようにしている。
[ジョブ終了時の制御]
次に、本実施形態のジョブ終了時の定着装置16の制御について、図8及び図9を用いて説明する。なお、ジョブとは、ユーザなどの指令に基づく所定の画像形成処理であり、例えば、100枚の画像を形成すると言う指令があった場合に、この100枚の画像形成を定着処理を含めて行う処理である。まず、画像形成が終了し、そのジョブにおける最後の記録材がニップ部Nを通過(定着処理が終了)した後、制御回路部101は、ヒータ駆動回路部105からの加熱ヒータ39への通電をオフする(S1)。但し、定着ベルト14の回転は、引き続き継続する(S2)。即ち、通常、定着処理の終了に伴って定着ベルト14の回転を止めるが、本実施形態では、定着駆動モータ19の駆動を継続することで、加圧ローラ15を介して定着ベルト14の回転を継続させる。そして、定着ベルト14の表面温度を検知する温度センサ41の検知温度が、定着ベルト14の離型層14cのガラス転移温度未満(本実施形態では約110℃未満)となったら(S3)、制御回路部101は、定着ベルト14の回転を停止する(S4)。即ち、定着駆動モータ19の駆動を停止する。
図9に示すように、ジョブ(定着処理)実行中は、定着ベルト14の温調温度は、ガラス転移温度Tgよりも高い。次いでジョブが終了した後も、しばらく、定着ベルト14の表面温度がガラス転移温度Tgよりも高い状態が続く。本実施形態では、このときに、定着ベルト14の回転を停止せずに、そのまま回転を継続させている(駆動継続)。そして、定着ベルト14の表面温度がガラス転移温度Tgを下回ってから、定着ベルト14の回転を停止(駆動停止)させている。即ち、本実施形態では、制御回路部101は、ジョブ終了時に、定着ベルト14の温度が定着ベルト14のガラス転移温度未満となるまで、定着ベルト14の回転を継続させるように、定着駆動モータ19を制御している。なお、図9に示す駆動継続時間は、定着ベルトの温調温度、記録材の通過枚数、装置の使用環境などによって異なってくる。
図10に、(a)本実施形態を実施しなかった場合の、(b)本実施形態を実施した場合の、それぞれ分離ガイド42と定着ベルト14との間隔の変化を時系列で示す。図10(a)に示すように、本実施形態を実施しなかった場合、即ち、ジョブ終了時に定着ベルト14の回転を継続させなかった場合、ジョブ開始時の定着温調時に定着ベルト14がバタつくことで分離ガイドとの間隔が大きく変化することが分かる。したがって、この場合に定着ベルト14と分離ガイド42との接触を防止するためには、分離ガイド42を定着ベルト14から1.8mm離して設置する必要がある。一方、図10(b)に示すように、本実施形態を実施した場合、ジョブ開始時の定着温調時の定着ベルト14のバタつきが小さいため、定着ベルト14と分離ガイド42との間隔は0.8mmあれば足りる。
このように本実施形態の場合、ジョブ終了時に、定着ベルト14の温度が定着ベルト14のガラス転移温度未満となるまで、定着ベルト14の回転を継続させている。このため、ニップ部Nでの定着ベルト14の形状が記憶されること(くせがつくこと)を抑制できる。この結果、次にジョブを開始した時に、定着ベルト14が温まるまでの間の定着ベルト14のバタつきをより確実に防止できる。そして、定着ベルト14のバタつきを防止できれば、分離ガイド42を必要以上に定着ベルト14から離す必要がなくなるため、記録材の分離性を良好にできる。
[実験結果]
このような本実施形態の効果を確認するために行った実験結果について説明する。まず、分離ガイドと定着ベルトとが干渉すると、定着ベルト表面が傷ついてしまうため、定着ベルトがバタついたときでも定着ベルトと分離ガイドが干渉しない位置に分離ガイドを設ける必要がある。そこで、本実験では、定着ベルトが最大でバタついた時でも分離ガイドに干渉しない位置に、分離ガイドを設置した。即ち、それぞれの条件で、定着ベルト14の軌跡が最下流に膨らんだ位置よりも0.5mm下流に分離ガイド42を配置するようにした。具体的には、本実施形態を実施した場合には、定着ベルト14と分離ガイド42との間隔を0.8mmに、本実施形態を実施しなかった倍には、この間隔を1.8mmとした。
そして、それぞれの条件で、記録材の先端余白を図11に示すように変更し、記録材のトナー載り量を最大にし、コシの弱い薄紙での分離性能を確認した。実験では、巻きつきジャム発生の有無を確認した。図11に結果を示す。なお、図11において、○は巻きつきジャムが発生しなかったことを、×は巻きつきジャムが発生したことを示す。図11に示す結果より、本実施形態によれば、記録材の先端余白に拘らず、記録材の分離性能を高めることが可能となった。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について、図1及び図2を参照しつつ図12ないし図15を用いて説明する。上述の第1の実施形態では、定着ベルト14の表面温度を温度センサ41により検知して、ジョブ終了時の定着ベルト14の回転を制御した例について説明した。これに対して本実施形態では、加熱ヒータ39の温度を検知することで、ジョブ(定着処理)終了時の定着ベルト14の回転を制御するようにしている。その他の構成及び作用は、第1の実施形態と同様であるため、重複する構成に同じ符号を付し、説明を省略または簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態は、定着装置における定着ベルトの表面温度を検知する手段を搭載していない機種に対して、特に有効な手段である。図12に示すように、定着ベルト14の表面温度を検知する手段はなく、加熱ヒータ39の温度を検知する加熱部材温度検知手段としての温度センサ43が搭載されている。このために本実施形態では、温度センサ43による加熱ヒータ39の温度検知結果から、定着ベルト14の表面温度を予測し、その予測に基づいて定着装置16の駆動を制御する。
図13に、本実施形態の定着装置16において、予め求めた加熱ヒータ39の温度とその時の定着ベルト14の表面温度との関係を求めたグラフを示す。グラフより、加熱ヒータ39と定着ベルト14との間には10℃の温度差があることがわかる。即ち、定着ベルト14の表面温度は、加熱ヒータ39の温度よりも10℃低いことが分かる。したがって、温度センサ43により検知された加熱ヒータ39の温度から定着フィルムの表面温度を予測することができる。
このような本実施形態のジョブ終了時の制御について、図14及び図15を用いて説明する。図14に示すように、まず、画像形成が終了し、そのジョブにおける最後の記録材がニップ部Nを通過した後、制御回路部101は、ヒータ駆動回路部105からの加熱ヒータ39への通電をオフする(S21)。但し、定着ベルト14の回転は、引き続き継続する(S22)。即ち、定着駆動モータ19の駆動を継続することで、加圧ローラ15を介して定着ベルト14の回転を継続させる。そして、加熱ヒータ39の表面温度を検知する温度センサ43の検知温度が、定着ベルト14の離型層14cのガラス転移温度+10℃未満となったら(S23)、制御回路部101は、定着ベルト14の回転を停止する(S24)。即ち、温度センサ43により検知された温度が、定着ベルト14がガラス転移温度となる予測温度未満(ガラス転移温度+10℃未満)となったら、定着駆動モータ19の駆動を停止する。
図15に示すように、ジョブ実行中は、加熱ヒータ39の温調温度は、定着ベルト14の温調温度よりも10℃高く設定される。したがって、加熱ヒータ39の温度は、ガラス転移温度Tg+10℃よりも高い。次いでジョブが終了した後も、しばらく、加熱ヒータ39の温度がガラス転移温度Tg+10℃よりも高い状態が続く。本実施形態では、このときに、定着ベルト14の回転を停止せずに、そのまま回転を継続させている(駆動継続)。そして、加熱ヒータ39の温度がガラス転移温度Tg+10℃を下回ってから、定着ベルト14の回転を停止(駆動停止)させている。なお、図15に示す駆動継続時間は、加熱ヒータ39の温調温度、記録材の通過枚数、装置の使用環境などによって異なってくる。
本実施形態の場合、加熱ヒータ39の検知温度から、定着ベルト14の表層(離型層)のガラス転移温度Tgとなる温度を予測している。このため、定着ベルト14の表面温度を検知しなくても、第1の実施形態と同様に、定着ベルト14にくせがつくことを防止でき、記録材の分離性能を高めることが可能となる。なお、加熱ヒータ39以外にも、加圧ローラ15の温度、定着装置16のケースの温度など、定着ベルト14の表面温度との関係が分かれば、その温度を検知することで定着ベルト14の表面温度を予測できる。このため、これらのうちの何れかの温度を検知することで、同様の制御可能となる。
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態について、図1及び図2を参照しつつ図16及び図17を用いて説明する。本実施形態では、ジョブ(定着処理)が終了してから定着ベルトの回転を継続させる回転継続期間の定着駆動モータ19による駆動速度を、ジョブ中(定着処理中)の駆動速度と異ならせている。その他の構成及び作用については、上述の第1の実施形態と同様であるため、重複する構成に同じ符号を付し、説明を省略または簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態の場合、定着駆動モータ19を制御回路部101の制御により駆動速度を可変としている。また、図16に示すように、定着ベルト14の表面温度を検知する温度センサ41に加えて、加圧ローラ15の表面温度を検知する回転体温度検知手段としての温度センサ44を設けている。そして、制御回路部101は、ジョブ終了時(定着処理終了時)に、温度センサ41と温度センサ44よりそれぞれ検知された温度の差が所定温度よりも大きい場合に、この差が所定温度以下の場合よりも、回転継続期間中の駆動速度を遅くしている。なお、ジョブ終了時とは、例えば、そのジョブにおける最後の記録材がニップ部Nを通過した直後である。
このような本実施形態のジョブ終了時の制御について図17を用いて説明する。まず、画像形成が終了し、そのジョブにおける最後の記録材がニップ部Nを通過した後、制御回路部101は、ヒータ駆動回路部105からの加熱ヒータ39への通電をオフする(S31)。但し、定着ベルト14の回転は、引き続き継続する。このジョブ終了時に、制御回路部101は、温度センサ41、44の検知結果から、定着ベルト14の表面温度と加圧ローラ15の表面温度との差Tを算出する(S32)。そして、Tが所定温度(本実施形態では30℃)よりも大きい場合(S33のYes)、定着ベルト14を低速駆動する(S34)。例えば、通常の駆動速度に対して1/4倍以上1/2倍以下程度の駆動速度とする。定着ベルト14と加圧ローラ15との温度差が所定温度よりも大きい場合、定着装置16が冷えている状態であると考えられるため、定着ベルト14の温度が下がり易い状況であると判断できる。したがって、定着ベルト14の回転速度を遅くしても、定着ベルト14の熱が加圧ローラ15に吸収され易い。定着ベルト14の回転速度を遅くする、即ち、定着駆動モータ19の駆動速度を遅くすることで、各部材の負担が軽減されるため、各部材の寿命に有利になる(寿命優先)。
一方、Tが所定温度(本実施形態では30℃)以下の場合(S33のNo)、定着ベルト14を高速駆動する(S35)。例えば、通常の駆動速度に対して1.0倍以上1.2倍以下程度の駆動速度とする。定着ベルト14と加圧ローラ15との温度差が所定温度以下の場合、定着装置16が温まっている状態であると考えられるため、定着ベルト14の温度が下がりにくい状況であると判断できる。したがって、定着ベルト14の回転速度を速くしなければ、定着ベルト14の熱が加圧ローラ15に吸収されにくい。定着ベルト14の回転速度を速くする、即ち、定着駆動モータ19の駆動速度を速くした場合、各部材の寿命に不利であるが、早い時間で定着ベルト14の温度をガラス転移温度よりも小さくできる(時間優先)。
次いで、定着ベルト14の表面温度を検知する温度センサ41の検知温度が、定着ベルト14の離型層14cのガラス転移温度未満となるまで(S36)、定着ベルト14の回転を継続する(S37)。そして、温度センサ41の検知温度がガラス転移温度未満となったら、制御回路部101は、定着ベルト14の回転を停止する(S38)。即ち、定着駆動モータ19の駆動を停止する。
本実施形態の場合、上述のように、定着ベルト14と加圧ローラ15の表面温度をそれぞれ検知し、その温度差から定着ベルトの駆動速度を制御することで、定着装置16の寿命と駆動停止までの時間を両立させることが可能となる。そして、第1の実施形態と同様に、定着ベルト14にくせがつくことを防止でき、記録材の分離性能を高めることが可能となる。
なお、上述の説明では、回転継続期間中の定着駆動モータ19の駆動速度を、定着ベルト14と加圧ローラ15との温度差に基づいて変更しているが、この駆動速度の変更は他の条件で判断するようにしても良い。例えば、そのジョブ(定着処理)で記録材がニップ部Nを通過した出力枚数(即ち画像形成枚数)に応じて定着駆動モータ19の駆動速度を変更するようにしても良い。
具体的には、出力枚数が所定枚数(例えば100枚)よりも小さい場合に、出力枚数が所定枚数以上の場合よりも、回転継続期間中の定着駆動モータ19による駆動速度を遅くする。即ち、そのジョブでの出力枚数が少ない場合、定着装置16が冷えている状態であると考えられるため、定着ベルト14の温度が下がり易い状況であると判断できる。このため、この場合には、図17のS34のように定着駆動モータ19を低速駆動する。一方、そのジョブでの出力枚数が多い場合、定着装置16が温まっている状態であると考えられるため、定着ベルト14の温度が下がりにくい状況であると判断できる。このため、この場合には、図17のS35のように定着駆動モータ19を高速駆動する。このように出力枚数で駆動速度を制御すれば、加圧ローラ15の温度を検知する必要がなく、温度センサ44を省略できる。
なお、そのジョブでの出力枚数が極めて少ない枚数(例えば10枚以下)である場合には、ジョブ終了時に定着ベルト14の回転を継続させずに停止させても良い。即ち、最後の記録材がニップ部を通過した後で、加熱ヒータ39をオフした後に、定着ベルト14の回転を停止させる。これは、出力枚数が極めて少ない場合、定着装置16の温度が殆ど上昇していないと考えられるため、回転継続しなくても定着ベルト14の温度がすぐに下がるためである。
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態については、図1ないし図3を参照しつつ図18ないし図21を用いて説明する。上述の第1〜第3の実施形態では、ジョブ終了時の定着ベルト14の回転を継続することにより、定着ベルト14にくせがつくことを防止した。これに対して本実施形態では、ジョブ終了時に定着ベルト14にくせがついたとしても、ジョブ開始時に定着ベルト14の駆動を制御することで、定着ベルト14のバタつきを抑制するものである。このために本実施形態では、上述の第1〜第3の実施形態と異なり、ジョブ終了時に定着ベルト14の回転を継続させていない。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様であるため、重複する構成に同じ符号を付し、説明を省略または簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態の場合、定着駆動モータ19を制御回路部101の制御により駆動方向を切り換え可能としている。そして、制御回路部101は、前回のジョブ終了時の定着ベルト14の温度が定着ベルト14のガラス転移温度よりも大きい場合には、ジョブを実行する前に定着ベルト14を、ジョブ実行時の回転方向とは逆方向に回転させるジョブ前動作を実行する。
即ち、前回のジョブ終了時(定着処理終了時)の定着ベルト14の温度が定着ベルト14のガラス転移温度よりも大きい場合、そのままの状態で定着ベルト14の回転を停止させると、定着ベルト14にくせがついたままの状態となる。そこで、制御回路部101は、ジョブ前動作(定着処理前動作)で、定着駆動モータ19により加圧ローラ15を図3の矢印方向とは逆方向に回転駆動することで、定着ベルト14を図3の矢印方向とは逆方向に回転駆動する。これにより、定着ベルト14にくせがついていたとしても、定着ベルト14の軌跡は、図19に示すように、ニップ部Nの記録材搬送方向上流側に大きく膨らみ、分離ガイド42が存在するニップ部Nの搬送方向下流には膨らまない。
このジョブ前動作の実行中は、加熱ヒータ39への通電をオンした状態とし、制御回路部101は、このまま定着ベルト14の逆方向の回転を継続する。そして、温度センサ41により検知された定着ベルト14の表面温度が、定着ベルト14のガラス転移温度以上となったら、上述のジョブ前動作を停止する。即ち、定着ベルト14の逆方向の回転を停止する。このように定着ベルト14の温度がガラス転移温度以上となると、定着ベルト14のくせがとれる。したがって、その後は、通常通り、ジョブを実行する。
このような本実施形態の制御、即ち、前回のジョブ終了時からジョブ前動作及び実際にジョブを開始するまでの制御について、図18を用いて説明する。まず、画像形成が終了後、制御回路部101は、定着装置16の駆動を停止する時の定着ベルト14の表面温度を温度センサ41により検知して、メモリ104に記憶しておく(S41)。即ち、前回のジョブ終了時の定着ベルト14の表面温度を記憶しておく。そして、前回のジョブ終了時、又は、今回のジョブ開始時に、検知した温度と定着ベルト14の表層(離型層)のガラス転移温度Tgとの差T1を算出する(S42)。
そして、駆動を停止したときの定着ベルト14の表面温度がガラス転移温度Tg以下の場合、即ち、T1≦0である場合(S43のNo)、定着ベルト14を通常通り正回転駆動で立ち上げてジョブを開始する(S48)。即ち、定着ベルト14の表面温度がガラス転移温度以下の場合、定着ベルト14にくせがついてないと判断できるため、そのまま回転させても定着ベルト14にバタつきが生じにくい。したがって、今回のジョブ開始時には、定着ベルト14を通常の正回転駆動で回転を開始し、且つ、加熱ヒータ39の通電を開始する。
一方、駆動を停止したときの定着ベルト14の表面温度がガラス転移温度Tgよりも高かった場合、即ち、T1>0である場合(S43のYes)、定着ベルト14を通常とは逆回転駆動で立ち上げる(S44)。即ち、定着ベルト14の表面温度がガラス転移温度よりも高い場合、定着ベルト14にくせがついていると判断できるため、そのまま定着ベルト14を正回転駆動すると、定着ベルト14がバタついて分離ガイド42に接触する可能性がある。したがって、この場合には、定着ベルト14を逆回転駆動すると共に加熱ヒータ39の通電を行う。これにより、前述の図19に示したように、定着ベルト14の軌跡が分離ガイド42と逆側に膨らみ、定着ベルト14が分離ガイド42と接触することを回避できる。
その後、逆回転駆動を継続し(S45)、定着ベルト14の表面温度が定着ベルト14の表層(離型層)のガラス転移温度Tgに到達した段階で(S46)、定着ベルト14の回転を停止すると共に加熱ヒータ39への通電を停止する(S47)。このとき、加熱ヒータ39への通電も停止するのは、定着ベルト14の回転が停止することでベルトが局所的に加熱されて劣化してしまう可能性があるためである。次いで、即座に、定着ベルト14の駆動を正回転駆動に切り替えて、再び加熱ヒータ39への通電を開始し(S48)、通常通りジョブを開始する。
このように定着ベルト14の表面温度が定着ベルト14の表層(離型層)のガラス転移温度Tgに到達することで、定着ベルト14のくせがとれて、定着ベルト14のバタつきが抑制される。これによって、定着ベルト14の搬送方向下流側への膨らみが抑制されるので、定着ベルト14と分離ガイド42との間隔を小さくすることが可能となる。
図20に、(a)本実施形態を実施しなかった場合の、(b)本実施形態を実施した場合の、それぞれ分離ガイド42と定着ベルト14との間隔の変化を時系列で示す。図20(a)に示すように、本実施形態を実施しなかった場合、即ち、ジョブ開始前に定着ベルト14を逆回転させなかった場合、ジョブ開始時の定着温調時に定着ベルト14がバタつくことで分離ガイドとの間隔が大きく変化することが分かる。したがって、この場合に定着ベルト14と分離ガイド42との接触を防止するためには、分離ガイド42を定着ベルト14から1.8mm離して設置する必要がある。一方、図20(b)に示すように、本実施形態を実施した場合、ジョブ開始前に定着ベルト14をガラス転移温度以上となるまで逆回転させた場合、ジョブ開始時の定着温調時の定着ベルト14のバタつきが小さい。このため、定着ベルト14と分離ガイド42との間隔は0.8mmあれば足りる。
このように本実施形態の場合、ジョブ開始時に、前回のジョブ終了時の定着ベルト14の表面温度を検知して、ガラス転移温度と比較することで、定着ベルト14にくせがついているか否かを判断する。そして、くせがついていると判断できる場合には、このくせを解消するように定着ベルト14を逆回転させることで、定着ベルト14のくせによる定着ベルト14のバタつきを抑制することができる。この結果、分離ガイド42と定着ベルト14の接触を回避しつつ、分離ガイド42を定着ベルト14に近づけて配置することができ、記録材の分離性能を高めることが可能となる。また、定着ベルト14のバタつきによって記録材の未定着トナー画像が乱されてしまうことによる画像不良を抑制することが可能となる。
[実験結果]
このような本実施形態の効果を確認するために行った実験結果について説明する。まず、分離ガイドと定着ベルトとが干渉すると、定着ベルト表面が傷ついてしまうため、定着ベルトがバタついたときでも定着ベルトと分離ガイドが干渉しない位置に分離ガイドを設ける必要がある。そこで、本実験では、定着ベルトが最大でバタついた時でも分離ガイドに干渉しない位置に、分離ガイドを設置した。即ち、それぞれの条件で、定着ベルト14の軌跡が最下流に膨らんだ位置よりも0.5mm下流に分離ガイド42を配置するようにした。具体的には、本実施形態を実施した場合には、定着ベルト14と分離ガイド42との間隔を0.8mmに、本実施形態を実施しなかった倍には、この間隔を1.8mmとした。
そして、それぞれの条件で、記録材の先端余白を図21に示すように変更し、記録材のトナー載り量を最大にし、コシの弱い薄紙での分離性能を確認した。実験では、巻きつきジャム発生の有無を確認した。図21に結果を示す。なお、図21において、○は巻きつきジャムが発生しなかったことを、×は巻きつきジャムが発生したことを示す。図21に示す結果より、本実施形態によれば、記録材の先端余白に拘らず、記録材の分離性能を高めることが可能となった。
<第5の実施形態>
本発明の第5の実施形態について、図1ないし図3を参照しつつ図22を用いて説明する。上述の第4の実施形態では、ジョブ前動作で、定着ベルト14を逆回転させた例について説明した。これに対して本実施形態では、ジョブ前動作(定着処理前動作)で、定着ベルト14の駆動速度を変更するようにしている。その他の構成及び作用は、上述の第4の実施形態と同様であるため、重複する構成に同じ符号を付し、説明を省略または簡略にし、以下、第4の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態の場合、定着駆動モータ19の駆動速度を制御回路部101の制御により可変としている。そして、制御回路部101は、前回のジョブ終了時の定着ベルト14の温度が定着ベルト14のガラス転移温度よりも大きい場合には、ジョブを実行する前に定着ベルト14を、ジョブ実行時の回転速度よりも遅い速度で回転させるジョブ前動作を実行する。これにより、定着ベルト14にくせがついていたとしても、定着ベルト14の回転速度が遅いため、定着ベルト14のバタつきによる膨らみが抑制される。
このような本実施形態の制御、即ち、前回のジョブ終了時からジョブ前動作及び実際にジョブを開始するまでの制御について、図22を用いて説明する。まず、画像形成が終了後、制御回路部101は、定着装置16の駆動を停止する時の定着ベルト14の表面温度を温度センサ41により検知して、メモリ104に記憶しておく(S51)。即ち、前回のジョブ終了時の定着ベルト14の表面温度を記憶しておく。そして、前回のジョブ終了時、又は、今回のジョブ開始時に、検知した温度と定着ベルト14の表層(離型層)のガラス転移温度Tgとの差T1を算出する(S52)。
そして、駆動を停止したときの定着ベルト14の表面温度がガラス転移温度Tg以下の場合、即ち、T1≦0である場合(S53のNo)、定着ベルト14を通常通りの駆動速度で立ち上げてジョブを開始する(S57)。即ち、定着ベルト14の表面温度がガラス転移温度以下の場合、定着ベルト14にくせがついてないと判断できるため、そのまま回転させても定着ベルト14にバタつきが生じにくい。したがって、今回のジョブ開始時には、定着ベルト14を通常の駆動速度で回転を開始し、且つ、加熱ヒータ39の通電を開始する。
一方、駆動を停止したときの定着ベルト14の表面温度がガラス転移温度Tgよりも高かった場合、即ち、T1>0である場合(S53のYes)、定着ベルト14を通常よりも駆動速度を下げて立ち上げる(S54)。例えば、通常の駆動速度に対して1/4倍以上1/2倍以下程度の駆動速度とする。即ち、定着ベルト14の表面温度がガラス転移温度よりも高い場合、定着ベルト14にくせがついていると判断できるため、そのまま定着ベルト14を通常の速度で回転駆動すると、定着ベルト14がバタついて分離ガイド42に接触する可能性がある。したがって、この場合には、定着ベルト14の駆動速度を下げると共に加熱ヒータ39の通電を行う。これにより、定着ベルト14の軌跡の膨らみを抑制して、定着ベルト14が分離ガイド42と接触することを回避できる。即ち、定着ベルト14と分離ガイド42との間隔を小さくでき、記録材の分離性能を高めることができる。
その後、遅い駆動速度で回転を継続し(S55)、定着ベルト14の表面温度が定着ベルト14の表層(離型層)のガラス転移温度Tgに到達した段階で(S56)、定着ベルト14の駆動速度を通常の速度に戻す(S57)。そして、通常通りジョブを開始する。
<第6の実施形態>
本発明の第6の実施形態について、図1ないし図3を参照しつつ図23を用いて説明する。上述の第4の実施形態では、ジョブ前動作で、定着ベルト14を逆回転させた例について説明した。これに対して本実施形態では、ジョブ前動作(定着処理前動作)で、定着ベルト14の回転方向を交互に切り換えるようにしている。その他の構成及び作用は、上述の第4の実施形態と同様であるため、重複する構成に同じ符号を付し、説明を省略または簡略にし、以下、第4の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態の場合、定着駆動モータ19の回転方向を制御回路部101の制御により切り換え可能としている。そして、制御回路部101は、前回のジョブ終了時の定着ベルト14の温度が定着ベルト14のガラス転移温度よりも大きい場合には、ジョブを実行する前に定着ベルト14を、回転方向を切り換えて回転させるジョブ前動作を実行する。ここで、定着ベルト14のくせがつく場所は、前回のジョブ終了時にニップ部に存在していた位置である。したがって、回転方向の切り換えは、定着ベルト14のニップ部の存在していた位置が所定の範囲内で移動するように行う。これにより、定着ベルト14のくせがほぐれやすくなる。この所定の範囲は、少なくとも定着ベルト14のニップ部に存在した領域がニップ部から外れる範囲とする。但し、正回転の方向に関してはこの領域が分離ガイド42と対向する直前までの範囲とする。
このような本実施形態の制御、即ち、前回のジョブ終了時からジョブ前動作及び実際にジョブを開始するまでの制御について、図23を用いて説明する。まず、画像形成が終了後、制御回路部101は、定着装置16の駆動を停止する時の定着ベルト14の表面温度を温度センサ41により検知して、メモリ104に記憶しておく(S61)。即ち、前回のジョブ終了時の定着ベルト14の表面温度を記憶しておく。そして、前回のジョブ終了時、又は、今回のジョブ開始時に、検知した温度と定着ベルト14の表層(離型層)のガラス転移温度Tgとの差T1を算出する(S62)。
そして、駆動を停止したときの定着ベルト14の表面温度がガラス転移温度Tg以下の場合、即ち、T1≦0である場合(S63のNo)、定着ベルト14を通常通りの正回転駆動のみで立ち上げてジョブを開始する(S67)。即ち、定着ベルト14の表面温度がガラス転移温度以下の場合、定着ベルト14にくせがついてないと判断できるため、そのまま回転させても定着ベルト14にバタつきが生じにくい。したがって、今回のジョブ開始時には、定着ベルト14を通常の正回転駆動のみで回転を開始し、且つ、加熱ヒータ39の通電を開始する。
一方、駆動を停止したときの定着ベルト14の表面温度がガラス転移温度Tgよりも高かった場合、即ち、T1>0である場合(S63のYes)、定着ベルト14を、逆回転駆動と正回転駆動とを交互に実行する(S64)。ここでは、まず、逆回転で所定量駆動した後、正回転で更に駆動する。この逆回転と正回転の回転範囲は上述した通りである。また、最初の回転方向は逆回転と正回転との何れでも良いが、逆回転側の方が分離ガイド42の制約がないため、最初に逆回転とすることが好ましい。なお、このとき、加熱ヒータ39のオンオフも連動して行い、定着ベルト14の回転時には加熱ヒータ39がオンとなり、回転方向が切り換わる際に定着ベルト14の回転が停止した時に加熱ヒータ39がオフとなるようにする。但し、回転方向の切り換えを素早くできれば、加熱ヒータ39をオンにしたままとしても良い。
即ち、定着ベルト14の表面温度がガラス転移温度よりも高い場合、定着ベルト14にくせがついていると判断できるため、そのまま定着ベルト14を通常の速度で回転駆動すると、定着ベルト14がバタついて分離ガイド42に接触する可能性がある。したがって、この場合には、定着ベルト14を回転方向を交互に切り換えて回転させると共に加熱ヒータ39の通電を行う。これにより、定着ベルト14のくせをほぐして、定着ベルト14が分離ガイド42と接触することを回避できる。即ち、定着ベルト14と分離ガイド42との間隔を小さくでき、記録材の分離性能を高めることができる。
その後、交互駆動を継続し(S65)、定着ベルト14の表面温度が定着ベルト14の表層(離型層)のガラス転移温度Tgに到達した段階で(S66)、定着ベルト14の回転方向を正回転駆動のみとする(S67)。そして、通常通りジョブを開始する。
<他の実施形態>
上述の各実施形態では、定着ベルト14内のニップ部Nに相当する位置に加熱ヒータ39を配置した構成について説明したが、フィルムなどのエンドレスベルトを使用する構成であれば、他の構成であっても良い。また、回転体として加圧ローラを用いているが、回転体もエンドレスベルトにより構成しても良い。また、上述の各実施形態では、定着ベルト14を回転体である加圧ローラ15に向けて加圧することで、ニップ部を形成しているが、本発明は、加圧方向は逆の場合にも適用できる。即ち、本発明は、回転体をエンドレスベルトに向けて加圧することでニップ部を形成する構成にも適用できる。また、定着ベルトは、上述のようなテンションレスの構成に限らず、例えば、内部に張架ローラを有する構成であっても良い。また、定着ベルトを回転させる駆動手段は、回転体を介して駆動する構成に限らず、定着ベルト自体を直接回転駆動する構成であっても良い。例えば、定着ベルトを複数のローラにより張架し、このうちの1つのローラを駆動ローラとして、この駆動ローラにモータで駆動力を伝達することで定着ベルトを回転駆動しても良い。要は、駆動手段は、エンドレスベルトと回転体との少なくとも一方を回転駆動し、ニップ部で記録材を挟持搬送できるものであれば良い。
14・・・定着ベルト(エンドレスベルト)/14a・・・基層/14b・・・弾性層/14c・・・離型層/15・・・加圧ローラ(回転体)/16・・・定着装置/19・・・定着駆動モータ(駆動手段)/39・・・加熱ヒータ(加熱部材)/41・・・温度センサ(ベルト温度検知手段)/42・・・分離ガイド(分離部材)/43・・・温度センサ(加熱部材温度検知手段)/44・・・温度センサ(回転体温度検知手段)/101・・・制御回路部(制御手段)/N・・・ニップ部/S・・・記録材

Claims (12)

  1. 回転するエンドレスベルトと、
    前記エンドレスベルトとニップ部を形成しつつ回転する回転体と、
    前記エンドレスベルトを加熱する加熱部材と、
    前記エンドレスベルトと前記回転体との少なくとも一方を回転駆動し、前記ニップ部で記録材を挟持搬送する駆動手段と、
    前記エンドレスベルトの外周面に対向配置され、前記ニップ部を通過した記録材を前記エンドレスベルトから分離する分離部材と、
    定着処理の終了に伴って前記エンドレスベルトの回転を止める際に、前記エンドレスベルトの温度が前記エンドレスベルトのガラス転移温度未満となるまで、前記エンドレスベルトの回転を継続させるように、前記駆動手段を制御する制御手段と、を備えた、
    ことを特徴とする定着装置。
  2. 前記制御手段は、定着処理が終了してから前記エンドレスベルトの回転を継続させる回転継続期間の前記駆動手段による駆動速度を、定着処理中の駆動速度と異ならせる、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記エンドレスベルトの温度を検知するベルト温度検知手段と、
    前記回転体の温度を検知する回転体温度検知手段と、を有し、
    前記制御手段は、定着処理終了時に、前記ベルト温度検知手段により検知された温度と前記回転体温度検知手段により検知された温度との差が所定温度よりも大きい場合に、前記差が前記所定温度以下の場合よりも、前記回転継続期間中の前記駆動手段による駆動速度を遅くする、
    ことを特徴とする、請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記制御手段は、その定着処理で記録材が前記ニップ部を通過した出力枚数が所定枚数よりも小さい場合に、前記出力枚数が前記所定枚数以上の場合よりも、前記回転継続期間中の前記駆動手段による駆動速度を遅くする、
    ことを特徴とする、請求項2に記載の定着装置。
  5. 前記エンドレスベルトの表面温度を検知するベルト温度検知手段を有し、
    前記エンドレスベルトは、複数の層から構成され、
    前記制御手段は、前記ベルト温度検知手段により検知された温度が、前記エンドレスベルトの表層のガラス転移温度未満となったら、前記駆動手段の駆動を停止する、
    ことを特徴とする、請求項1ないし4のうちの何れか1項に記載の定着装置。
  6. 前記加熱部材の温度を検知する加熱部材温度検知手段を有し、
    前記制御手段は、前記加熱部材温度検知手段により検知された温度が、前記エンドレスベルトがガラス転移温度となる予測温度未満となったら、前記駆動手段の駆動を停止する、
    ことを特徴とする、請求項1、2、4のうちの何れか1項に記載の定着装置。
  7. 回転するエンドレスベルトと、
    前記エンドレスベルトとニップ部を形成しつつ回転する回転体と、
    前記エンドレスベルトを加熱する加熱部材と、
    前記エンドレスベルトと前記回転体との少なくとも一方を回転駆動し、前記ニップ部で記録材を挟持搬送する駆動手段と、
    前記エンドレスベルトの外周面に対向配置され、前記ニップ部を通過した記録材を前記エンドレスベルトから分離する分離部材と、
    前回の定着処理終了時の前記エンドレスベルトの温度が前記エンドレスベルトのガラス転移温度よりも大きい場合には、定着処理を実行する前に前記エンドレスベルトを、定着処理実行時の回転方向とは逆方向に回転させる定着処理前動作を実行するように、前記駆動手段を制御する制御手段と、を備えた、
    ことを特徴とする定着装置。
  8. 回転するエンドレスベルトと、
    前記エンドレスベルトとニップ部を形成しつつ回転する回転体と、
    前記エンドレスベルトを加熱する加熱部材と、
    前記エンドレスベルトと前記回転体との少なくとも一方を回転駆動し、前記ニップ部で記録材を挟持搬送する駆動手段と、
    前記エンドレスベルトの外周面に対向配置され、前記ニップ部を通過した記録材を前記エンドレスベルトから分離する分離部材と、
    前回の定着処理終了時の前記エンドレスベルトの温度が前記エンドレスベルトのガラス転移温度よりも大きい場合には、定着処理を実行する前に前記エンドレスベルトを、定着処理実行時の回転速度よりも遅い速度で回転させる定着処理前動作を実行するように、前記駆動手段を制御する制御手段と、を備えた、
    ことを特徴とする定着装置。
  9. 回転するエンドレスベルトと、
    前記エンドレスベルトとニップ部を形成しつつ回転する回転体と、
    前記エンドレスベルトを加熱する加熱部材と、
    前記エンドレスベルトと前記回転体との少なくとも一方を回転駆動し、前記ニップ部で記録材を挟持搬送する駆動手段と、
    前記エンドレスベルトの外周面に対向配置され、前記ニップ部を通過した記録材を前記エンドレスベルトから分離する分離部材と、
    前回の定着処理終了時の前記エンドレスベルトの温度が前記エンドレスベルトのガラス転移温度よりも大きい場合には、定着処理を実行する前に前記エンドレスベルトを、回転方向を交互に切り換えて回転させる定着処理前動作を実行するように、前記駆動手段を制御する制御手段と、を備えた、
    ことを特徴とする定着装置。
  10. 前記エンドレスベルトの温度を検知するベルト温度検知手段を有し、
    前記制御手段は、前記ベルト温度検知手段により検知された温度が、前記エンドレスベルトのガラス転移温度以上となったら、前記定着処理前動作を停止する、
    ことを特徴とする、請求項7ないし9のうちの何れか1項に記載の定着装置。
  11. 前記エンドレスベルトは、樹脂製の基層と、前記基層上に設けられた弾性層と、前記弾性層上に設けられた離型層と、から構成される、
    ことを特徴とする、請求項1ないし10のうちの何れか1項に記載の定着装置。
  12. 前記駆動手段は、前記回転体を駆動し、
    前記エンドレスベルトは、前記回転体と当接して従動回転する、
    ことを特徴とする、請求項1ないし11のうちの何れか1項に記載に定着装置。
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