JP2015031794A - 光学積層体、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

光学積層体、偏光板及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】干渉縞及びカールの発生を充分に抑制しつつ、白濁感の発生がなく、光学機能層の薄膜化を図ることができ、製造コストが高くなることを防止できる光学積層体を提供する。【解決手段】光透過性基材の一方の面上に、表面に凹凸形状を有する光学機能層を有する光学積層体であって、上記光学機能層は、シリカ微粒子を含有し、上記シリカ微粒子は、上記光学機能層中で毛細血管状に分布していることを特徴とする光学積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、光学積層体、偏光板及び画像表示装置に関する。
陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等の画像表示装置においては、反射防止性能、帯電防止性能、ハードコート性や防汚性等の種々の性能を有する機能層からなる光学積層体が設けられている。
このような光学積層体は、光透過性基材上に種々の光学機能層を積層してなるものである。このため、光透過性基材上に、例えば、ハードコート層を形成させた場合、光透過性基材とハードコート層との界面の反射光と、ハードコート表面の反射光とが干渉して、膜厚のムラに起因して干渉縞と呼ばれるムラ模様が現れ、外観が損なわれるという問題点が生じていた。
そのような干渉縞の発生を防ぐために、例えば、光透過性基材上にハードコート層を形成する場合、ハードコート層を形成するための樹脂組成物に、光透過性基材に浸透して膨潤又は溶解させることができる溶剤を使用することが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。このような溶剤を含む樹脂組成物を使用することで、溶剤の光透過性基材への浸透に伴い樹脂組成物中の樹脂が光透過性基材中に含浸した含浸層が形成され、その結果、光透過性基材とハードコート層との界面を実質上無くすことができ、干渉縞の発生を防ぐことができる。
しかしながら、このような含浸層を形成することで干渉縞の防止を図った従来の光学積層体では、干渉縞の発生を充分に防ぐためには含浸層を厚く形成しなければならず、必然的にハードコート層を形成する際に使用する組成物の塗布量を多くする必要があった。
このため、光学積層体の薄膜化が難しくなったり、カールが発生したりするといった問題があり、また、ハードコート層形成時の組成物が多くなると、形成するハードコート層の厚みムラの原因となるとともに、製造コストが高くつくという問題もあった。
更に、画像表示装置の表面に用いられる光学積層体として、表面に凹凸形状を有する防眩層を光透過性基材上に設けることで防眩性が付与された光学積層体(防眩性フィルム)も知られている。しかしながら、このような防眩性フィルムでは、干渉縞の発生を防止することができても、白濁感が発生して表示画像のコントラストが低下するという問題があった。
特開2003−131007号公報 特開2003−205563号公報
本発明は、上記現状に鑑みて、干渉縞及びカールの発生を充分に抑制しつつ、白濁感の発生がなく、光学機能層の薄膜化を図ることができ、製造コストが高くなることを防止できる光学積層体、該光学積層体を用いてなる偏光板及び画像表示装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、光透過性基材の一方の面上に、表面に凹凸形状を有する光学機能層を有する光学積層体であって、上記光学機能層は、シリカ微粒子を含有し、上記シリカ微粒子は、上記光学機能層中で毛細血管状に分布していることを特徴とする光学積層体である。
また、上記光学機能層の表面の凹凸形状は、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸のスキューネスをSkとしたとき、前記Skの絶対値及びθaが以下の式を満たすことが好ましい。
0.01°≦θa≦0.10°
|Sk|≦0.5
また、上記光学機能層の凹凸形状は、凹凸の算術平均粗さをRaとしたとき、以下の式を満たすことが好ましい。
0.02μm≦Ra≦0.10μm
また、上記光学機能層の凹凸形状は、λa=2π×(Ra/tan(θa))にて表される平均波長λaが下記式を満たすことが好ましい。
200μm≦λa≦800μm
また、上記光学機能層は、ハードコート層であることが好ましい。
また、上記光学積層体は、ハードコート層上に低屈折率層が積層された構造であることが好ましい。
本発明はまた、偏光素子を備えてなる偏光板であって、上記偏光板は、偏光素子表面に上述の光学積層体を備えることを特徴とする偏光板でもある。
本発明は、上述の光学積層体、又は、上述の偏光板を備えることを特徴とする画像表示装置でもある。
以下に、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明では、特別な記載がない限り、モノマー、オリゴマー、プレポリマー等の硬化性樹脂前駆体も“樹脂”と記載する。
本発明者らは、光透過性基材の一方の面上に、光学機能層を有する構成の光学積層体について鋭意検討した結果、上記光学機能層にシリカ微粒子が毛細血管状のある程度の塊を形成して含有させ、上記光学機能層の表面に極めてなだらかな傾斜の凹凸形状を形成することで、干渉縞及びカールの発生を充分に抑制しつつ、光学機能層の薄膜化を図ることができ、製造コストが高くなることも防止することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
なお、従来、防眩性付与を目的として、光学機能層の表面に凹凸形状を有する光学積層体(防眩性フィルム)が知られているが、本発明の光学積層体は、このような防眩性フィルムとは異なるものである。すなわち、本発明の光学積層体の光学機能層表面に形成された凹凸形状は、従来の防眩性フィルムの表面に形成された凹凸形状と比較して、凹凸の高さがより低く、更に、凹凸部の傾斜角度がよりなだらかである。従って、光学機能層にこのような凹凸形状が形成された本発明の光学積層体では、従来の防眩性フィルムのような防眩性は得られない。一方で、本発明によると、防眩性フィルムで問題となる外光による白濁感の発生が生じず、コントラストに優れた映像を提供する光学積層体を得ることができる。
本発明は、光透過性基材の一方の面上に、表面に凹凸形状を有する光学機能層を有する光学積層体である。
上記光透過性基材は、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度に優れたものが好ましい。光透過性基材を形成する材料の具体例としては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、又は、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂やガラスが挙げられる。好ましくは、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテートが挙げられる。
上記光透過性基材は、上記材料を柔軟性に富んだフィルム状体として使用することが好ましいが、硬化性が要求される使用態様に応じて、板状体のものを使用してもよい。
その他、上記光透過性基材としては、脂環構造を有した非晶質オレフィンポリマー(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)フィルムが挙げられる。これは、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体等が用いられる基材で、例えば、日本ゼオン社製のゼオネックスやゼオノア(ノルボルネン系樹脂)、住友ベークライト社製のスミライトFS−1700、JSR社製のアートン(変性ノルボルネン系樹脂)、三井化学社製のアペル(環状オレフィン共重合体)、Ticona社製のTopas(環状オレフィン共重合体)、日立化成社製のオプトレッツOZ−1000シリーズ(脂環式アクリル樹脂)等が挙げられる。
また、トリアセチルセルロースの代替基材として旭化成ケミカルズ社製のFVシリーズ(低複屈折率、低光弾性率フィルム)も好ましい。
上記光透過性基材の厚さとしては、フィルム状体の場合、20〜300μmであることが好ましく、より好ましくは下限が30μmであり、上限が200μmである。光透過性基材が板状体の場合には、これらの厚さを超える厚さであってもよい。
上記光透過性基材は、その上に上記ハードコート層を形成するのに際して、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的又は化学的な処理のほか、アンカー剤又はプライマーと呼ばれる塗料の塗布が予め行われていてもよい。
また、LCD向けの光透過性基材として主に用いられることが多いトリアセチルセルロースを材料とし、かつ、ディスプレイ薄膜化を目指す場合は、上記光透過性基材の厚さとして20〜65μmが好ましい。
本発明の光学積層体において、上記光学機能層は、毛細血管状に分布した特定の状態でシリカ微粒子を含有する。
上記シリカ微粒子がこのような特定の状態で上記光学機能層に含有されていることで、上記光学機能層の表面に、極めてなだらかな傾斜の凹凸形状を形成され、干渉縞及びカールの発生を充分に抑制しつつ、光学機能層の薄膜化を図ることができ、製造コストが高くなることも防止することができる。
本発明の光学積層体は、上記シリカ微粒子が上記光学機能層中で毛細血管状に分布している。
このような本発明の光学積層体において、上記シリカ微粒子は、上記光学機能層の厚み方向の断面を観察した際に、毛細血管状のある程度の塊で観察される。また、「毛細血管状」とは、シリカ微粒子同士が密に凝集した凝集塊を形成しているのではなく、上記シリカ微粒子同士が橋架け状にある程度の間隔をもった塊として分布していることを意味し、例えば、上記光学機能層中で上記シリカ微粒子が3次元的網目状にある程度広がった塊で分布しているとも言い換えることができる。
また、上記光学機能層の厚み方向の断面において、上記シリカ微粒子が毛細血管状に分布している部分を含む領域を、電子顕微鏡(透過型が好ましい。例えば、日立ハイテク社製S−4800等が好適に用いられる)にて倍率1万倍の条件で観察し、観察画面内から2μm四方の領域における上記シリカ微粒子の占める面積率が最も大きくなるように上記2μm四方の領域を選んだときの面積率(以下、最大面積率ともいう)が30%以下である。上記最大面積率が30%を超える場合、シリカ微粒子が密に凝集していることとなり、充分に毛細血管状に分布しておらず、上記光学機能層の白化の原因となる。上記最大面積率の好ましい上限は25%、より好ましい上限は20%である。また、上記最大面積率の好ましい下限は5%である。上記最大面積率が5%未満であると、干渉縞の発生を充分に抑制できる凹凸形状を上記光学機能層の表面に形成できないことがある。
なお、上記面積率は、上記電子顕微鏡で撮影した写真を画像処理ソフトウェア(例えば、Media Cybernetics社製のImage−Pro Plus等が好適に用いられる)により算出できる。
更に、上記光学機能層の厚み方向の断面において、上記シリカ微粒子が毛細血管状に分布している部分を含む領域を電子顕微鏡にて倍率1万倍の条件で観察したとき、上記シリカ微粒子凝集体を1個の粒子と見做したとき、該凝集体のアスペクト比が2.0以上である。上記アスペクト比が2.0未満であると、充分な毛細血管状の分布を形成しておらず、上記光学機能層の表面に形成される凹凸の傾斜が急峻となって白化の原因となる。上記アスペクト比の好ましい下限は2.5であり、より好ましい下限は3.0である。
なお、上記アスペクト比は、上記電子顕微鏡で撮影した写真を画像処理ソフトウェア(例えば、Media Cybernetics社製のImage−Pro Plus等が好適に用いられる)により算出できる
本発明の光学積層体において、上記シリカ微粒子としては、公知の物が使用できるが、なかでも、フュームドシリカが好適に挙げられる。ここで、上記フュームドシリカとは、乾式法で作製された200nm以下の粒径を有する非晶質のシリカをいい、ケイ素を含む揮発性化合物を気相で反応させることにより得られる。具体的には、例えば、ケイ素化合物、例えば、SiClを酸素と水素の炎中で加水分解して生成されたもの等が挙げられる。上記フュームドシリカは、湿式法で作製される沈殿法シリカやゲル法シリカと比べて、密な凝集体を形成しにくいため、上記光学機能層中で毛細血管状に分布させる上で好ましい。上記フュームドシリカとしては、具体的には、例えば、AEROSIL R805(日本アエロジル社製)等が挙げられる。また、上記シリカ微粒子としては、コロイダルシリカも密な凝集体を形成しにくく、好適に用いられる。上記コロイダルシリカとは、アルコキシシランの加水分解により液相で合成して得られる非晶質シリカをいい、具体的には、例えば、日産化学社製のスノーテック等が挙げられる。
上記シリカ微粒子は、表面処理されていることが好ましい。上記シリカ微粒子が表面処理されていることで、上記光学機能層中で好適に毛細血管状に分布させることができ、また、シリカ微粒子自体の耐薬品性及び耐ケン化性の向上を図ることもできる。
上記表面処理としては、疎水処理が好ましく、例えば、上記シリカ微粒子を、メチル基或いはオクチルシランを有するシラン化合物等の表面処理剤で処理する方法等が挙げられる。ここで、通常、上記シリカ微粒子の表面には水酸基が存在しているが、上記表面処理がされることで上記シリカ微粒子表面の水酸基が少なくなり、更に、上記表面処理剤の種類や処理量を調整することで、上記シリカ微粒子表面の水酸基の割合を調整することができる。それにより、上記シリカ微粒子の種類の凝集の程度を制御することができ、上述した毛細血管状の分布を形成することが容易となる。
上記シリカ微粒子の含有量としては特に限定されないが、上記光学機能層中0.1〜5.0質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、上記光学機能層に毛細血管状で分布させることができないことがあり、5.0質量%を超えると、上記光学機能層に白化の問題が生じることがある。より好ましい下限は0.5質量%、より好ましい上限は3.0質量%である。
なお、上記シリカ微粒子の平均一次粒子径は1〜200nmであることが好ましい。1nm未満であると、上記光学機能層に毛細血管状で分布させることができないことがあり、200nmを超えても、上記光学機能層に毛細血管状で分布させることができないことがある。より好ましい下限は10nm、より好ましい上限は50nmである。
上記シリカ微粒子は、単粒子状態での形状が球状であることが好ましい。上記シリカ微粒子の単粒子がこのような球状であることで、本発明の光学積層体を画像表示装置に適用した場合、高コントラストの表示画像を得ることができる。
なお、上記「球状」とは、例えば、真球状、楕円球状等が挙げられ、いわゆる不定形を除く意味である。
上記光学機能層は、ハードコート性能を有することが好ましく、例えば、硬度が、JIS K5600−5−4(1999)による鉛筆硬度試験(荷重4.9N)において、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましい。
また、本発明の光学積層体において、上記光学機能層は、光透過性基材の一方の面上に形成されており、表面に凹凸形状を有する。上記光学機能層が表面に凹凸形状を有することで、本発明の光学積層体は、干渉縞の発生を防止できる。
上述したように、上記光学機能層の表面に形成された凹凸形状は、凹凸部の傾斜が、従来公知の防眩層の凹凸形状の凹凸部の傾斜と比較してなだらかなものであるが、本発明の光学積層体では、上記光学機能層の表面に形成された凹凸形状は、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸のスキューネスをSkとしたとき、上記θa及びSkが以下の式を満たすことが好ましい。
0.01°≦θa≦0.10°
|Sk|≦0.5
上記光学機能層の表面に形成された凹凸形状により、干渉縞が防止できる理由は、光学機能層表面で反射する光が拡散し、非干渉性の光となるためである。光を拡散させるためには凹凸表面に傾斜があることが必要であり、その指標が平均傾斜角θaである。
本発明の光学積層体において、上記凹凸部の平均傾斜角θaの下限は0.01°であることが好ましい。0.01°未満であると、傾斜が充分でなく、干渉縞を防止することができないことがある。より好ましい下限は0.03°であり、更に好ましい下限は0.04°である。また、上記凹凸部の平均傾斜角θaの上限は0.10°であることが好ましい。0.10°を超えると、上記凹凸部の傾斜角度が過度に大きいため、外光の拡散反射による白濁感の問題が生じることがある。より好ましい上限は0.09°であり、更に好ましい上限は0.08°である。
また、本発明においては上記凹凸のスキューネスSkの絶対値が0.5以下であることが好ましい。上記スキューネスSkは、その絶対値が大きいほど、表面凹凸形状の、平均線に対する非対称性が大きいことを示している。表面凹凸形状の非対称性が大きいとき、急峻な山部分となだらかな谷部分が存在することとなり(Sk>0のとき)、上記平均傾斜角θaが上記範囲を満たしていても、その傾斜角分布に偏りが生じていることを示している。すなわち、山部分は傾斜角が大きくなり、谷部分は傾斜角が小さくなる(Sk<0のときは山と谷の関係が逆になる)。このような場合、傾斜角が大きい部分では、光の拡散が過度に大きくなり白濁感の問題が生じる恐れがある一方、傾斜角が小さい部分では、好適に干渉縞が防止できない恐れがある。上記Skの絶対値が0.5以下であれば、表面凹凸形状の非対称性が小さいため、傾斜角度分布の偏りが適度に抑えられ、干渉縞を好適に防止することができると同時に白濁感も抑えることができる。上記Skの絶対値は、より好ましくは0.4以下であり、更に好ましくは0.2以下である。
また、本発明においては、凹凸の算術平均粗さをRaとしたとき、以下の式を満たすことが好ましい。
0.02μm≦Ra≦0.10μm
本発明においては、凹凸形状の各凸部の大きさ(高さ)を制御することが好ましいが、その指標が算術平均粗さRaである。
上記凹凸の算術平均粗さRaの好ましい下限は0.02μmである。上記Raが0.02μm未満であると、光の波長に対し各凸部の大きさ(高さ)が小さすぎることになり、拡散効果が得られないことがある。より好ましい下限は0.03μmであり、更に好ましい下限は0.04μmである。また、上記Raの好ましい上限は0.10μmである。Raが0.10μm超過であると、各凸部が大きくなりすぎ、透過光をゆがませるため、鮮明な画像が得られなくなることがある。より好ましい上限は0.09μmであり、更に好ましい上限は0.08μmである。
また、本発明においては、λa=2π×(Ra/tan(θa))で表される平均波長λaが200μm以上800μm以下であることが好ましい。
上記平均波長λaは、凹凸の平均的な間隔を示すパラメータである。平均波長λaが200μm未満であると、凹凸が小さすぎて干渉縞が防止できないか、あるいは、凹凸平面での傾斜角の変化が大きすぎて、白濁感が見られる恐れがある。平均波長λaが800μm超過であると、凹凸平面での傾斜角の変化が少なくなり、好適に干渉縞を防止できない恐れがある。上記平均波長λaのより好ましい下限は300μm、より好ましい上限は600μmである。
また、上記光学機能層の表面に形成された凹凸形状の十点平均粗さ(Rz)は、0.5μm未満であることが好ましく、より好ましい上限は0.3μmである。上記Rzが0.5μm以上であると、凹凸が大きすぎて白濁感が見られる恐れがある。上記Rzの下限は特に限定されず、拡散効果が得られる範囲で適宜調整される。
なお、本明細書において、上記のθa、Sk、Ra及びRzは、JIS B 0601−1994に準拠する方法で得られた粗さ曲線から基準長さ毎に求められる値である。Ra及びRzはJIS B 0601−1994に定義された値であり、θaは、表面粗さ測定器:SE−3400 取り扱い説明書(1995.07.20改訂)(株式会社小坂研究所)に記載の定義による値であり、図1に示すように、基準長さLに存在する凸部高さの和(h+h+h+・・・+h)のアークタンジェントθa=tan−1{(h+h+h+・・・+h)/L}で求めることができる。
また、上記Skは下記の式により定義される値である。
ここで、lは基準長さを表し、f(x)は粗さ曲線を表し、Rqは二乗平均平方根粗さであり下記の式により定義される。
このようなθa、Sk、Ra及びRzは、例えば、表面粗さ測定器:SE−3400/株式会社小坂研究所製等により測定して求めることができる。
本発明の光学積層体において、上記光学機能層は、ハードコート層であることが好ましい。
上記ハードコート層の厚さとしては、2.0〜7.0μmであることが好ましい。2.0μm未満であると、ハードコート層表面が傷付きやすくなることがあり、7.0μmを超えると、ハードコート層の薄膜化を図れないだけでなく、ハードコート層が割れやすくなったり、カールが問題となることがある。上記ハードコート層の厚さのより好ましい範囲は2.0〜5.0μmである。なお、上記ハードコート層の厚さは、断面顕微鏡観察により測定することができる。
上記ハードコート層は、上記シリカ微粒子がバインダー樹脂中に分散されていることが好ましい。
上記バインダー樹脂としては、例えば、上記疎水化処理したシリカ微粒子の疎水性に応じて、極性が調整されていることが好ましい。バインダー樹脂の極性を調整する方法としては、例えば、バインダー樹脂の水酸基価を調整することが挙げられる。バインダー樹脂の極性を好適にすることで、上記シリカ微粒子の凝集・分散性を好適に制御し、上述した毛細血管状で光学機能層中に分布させやすくなる。
上記バインダー樹脂としては、透明性のものが好ましく、例えば、紫外線又は電子線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂が紫外線又は電子線の照射により硬化したものであることが好ましい。
上記電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、アクリレート系等の官能基を有する化合物等の1又は2以上の不飽和結合を有する化合物が挙げられる。1の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等を挙げることができる。2以上の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の多官能化合物等を挙げることができる。なかでも、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)が好適に用いられる。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。また、本発明では、上記電離放射線硬化型樹脂として、上述した化合物をPO、EO等で変性したものも使用できる。
上記化合物のほかに、不飽和二重結合を有する比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も上記電離放射線硬化型樹脂として使用することができる。
上記電離放射線硬化型樹脂は、溶剤乾燥型樹脂(熱可塑性樹脂等、塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂)と併用して使用することもできる。溶剤乾燥型樹脂を併用することによって、ハードコート層を形成する際に、塗液の塗布面の被膜欠陥を有効に防止することができる。
上記電離放射線硬化型樹脂と併用して使用することができる溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。上記熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、透明性や耐候性という観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
また、上記ハードコート層は、熱硬化性樹脂を含有していてもよい。
上記熱硬化性樹脂としては特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を挙げることができる。
上記シリカ微粒子及びバインダー樹脂を含有するハードコート層は、例えば、上述したシリカ微粒子、バインダー樹脂のモノマー成分及び溶剤を含有するハードコート層用組成物を、光透過性基材上に塗布し、乾燥させて形成した塗膜を電離放射線照射等により硬化させることで形成することができる。
上記ハードコート層用組成物に含まれる溶剤としては、例えば、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、PGME、エチレングリコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
上記ハードコート層用組成物は、更に光重合開始剤を含有することが好ましい。
上記光重合開始剤としては特に限定されず、公知のものを用いることができ、具体例には、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
上記光重合開始剤としては、上記バインダー樹脂がラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることが好ましい。また、上記バインダー樹脂がカチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、上記光重合開始剤としては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いることが好ましい。
上記ハードコート層用組成物における上記光重合開始剤の含有量は、上記バインダー樹脂100質量部に対して、0.5〜10.0質量部であることが好ましい。0.5質量部未満であると、形成するハードコート層のハードコート性能が不充分となることがあり、10.0質量部を超えると、逆に硬化を阻害する可能性も出てくるため、好ましくない。
上記ハードコート層用組成物中における原料の含有割合(固形分)としては特に限定されないが、通常は5〜70質量%、特に25〜60質量%とすることが好ましい。
上記ハードコート層用組成物には、ハードコート層の硬度を高くする、硬化収縮を抑える、屈折率を制御する等の目的に応じて、従来公知の分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、易滑剤等を添加していてもよい。
上記レベリング剤としては、例えば、シリコーンオイル、フッ素系界面活性剤等が、ハードコート層がベナードセル構造となることを回避することから好ましい。溶剤を含む樹脂組成物を塗工し、乾燥する場合、塗膜内において塗膜表面と内面とに表面張力差等を生じ、それによって塗膜内に多数の対流が引き起こされる。この対流により生じる構造はベナードセル構造と呼ばれ、形成するハードコート層にゆず肌や塗工欠陥といった問題の原因となる。
また、上記ベナードセル構造は、ハードコート層の表面の凹凸が大きくなりすぎて光学積層体の外観を損なう恐れがある。前述のようなレベリング剤を用いると、この対流を防止することができるため、欠陥やムラのないハードコート層膜が得られるだけでなく、ハードコート層表面の凹凸形状の調整も容易となる。
上記ハードコート層用組成物の調製方法としては各成分を均一に混合できれば特に限定されず、例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ニーダー、ミキサー等の公知の装置を使用して行うことができる。
上記ハードコート層用組成物を光透過性基材上に塗布する方法としては特に限定されず、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ダイコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の公知の方法を挙げることができる。
上記の方法のいずれかでハードコート層用組成物を塗布した後、形成した塗膜を乾燥させるために加熱されたゾーンに搬送され各種の公知の方法で塗膜を乾燥させ溶剤を蒸発させる。ここで溶剤相対蒸発速度、固形分濃度、塗布液温度、乾燥温度、乾燥風の風速、乾燥時間、乾燥ゾーンの溶剤雰囲気濃度等を選定することにより、シリカ微粒子の分布状態を調整できる。
特に、乾燥条件の選定によってシリカ微粒子の毛細血管状での分布状態を調整する方法が簡便で好ましい。具体的な乾燥温度としては、30〜120℃、乾燥風速では0.2〜50m/sであることが好ましく、この範囲内で適宜調整した乾燥処理を、1回又は複数回行うことでシリカ微粒子の毛細血管状での分布状態を所望の状態に調整することができる。
また、上記乾燥後の塗膜を硬化させる際の電離放射線の照射方法としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯等の光源を用いる方法が挙げられる。
また、紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
また、本発明の光学積層体は、周囲からの映り込みを低減し、透過率を向上させることができることから、上記光学機能層は、上記ハードコート層上に低屈折率層が積層された構造であることが好ましい。
なお、本発明の光学積層体が、光学機能層として上記低屈折率層を上記ハードコート層上に有する場合、該低屈折率層の表面に上述した特定の凹凸形状が形成されていることが必要である。
上記低屈折率層は、外部からの光(例えば蛍光灯、自然光等)が光学積層体の表面にて反射する際、その反射率を低くするという役割を果たす層である。
上記低屈折率層としては、好ましくは1)シリカ、フッ化マグネシウム等の低屈折率粒子を含有する樹脂、2)低屈折率樹脂であるフッ素系樹脂、3)シリカ又はフッ化マグネシウムを含有するフッ素系樹脂、4)シリカ、フッ化マグネシウム等の低屈折率物質の薄膜等のいずれかで構成される。フッ素系樹脂以外の樹脂については、上述したハードコート層を構成するバインダー樹脂と同様の樹脂を用いることができる。
また、上述したシリカは、中空シリカ微粒子であることが好ましく、このような中空シリカ微粒子は、例えば、特開2005−099778号公報の実施例に記載の製造方法にて作製できる。
これらの低屈折率層は、その屈折率が1.45以下、特に1.42以下であることが好ましい。
また、低屈折率層の厚みは限定されないが、通常は30nm〜1μm程度の範囲内から適宜設定すれば良い。
また、上記低屈折率層は単層で効果が得られるが、より低い最低反射率、あるいはより高い最低反射率を調整する目的で、低屈折率層を2層以上設けることも適宜可能である。上記2層以上の低屈折率層を設ける場合、各々の低屈折率層の屈折率及び厚みに差異を設けることが好ましい。
上記フッ素系樹脂としては、少なくとも分子中にフッ素原子を含む重合性化合物又はその重合体を用いることができる。重合性化合物としては特に限定されないが、例えば、電離放射線で硬化する官能基、熱硬化する極性基等の硬化反応性の基を有するものが好ましい。また、これらの反応性の基を同時に併せ持つ化合物でもよい。この重合性化合物に対し、重合体とは、上記のような反応性基などを一切もたないものである。
上記電離放射線で硬化する官能基を有する重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有するフッ素含有モノマーを広く用いることができる。より具体的には、フルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロブタジエン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)を例示することができる。(メタ)アクリロイルオキシ基を有するものとしては、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、α−トリフルオロメタクリル酸メチル、α−トリフルオロメタクリル酸エチルのような、分子中にフッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物;分子中に、フッ素原子を少なくとも3個持つ炭素数1〜14のフルオロアルキル基、フルオロシクロアルキル基又はフルオロアルキレン基と、少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステル化合物等もある。
上記熱硬化する極性基として好ましいのは、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等の水素結合形成基である。これらは、塗膜との密着性だけでなく、シリカ等の無機超微粒子との親和性にも優れている。熱硬化性極性基を持つ重合性化合物としては、例えば、4−フルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体;フルオロエチレン−炭化水素系ビニルエーテル共重合体;エポキシ、ポリウレタン、セルロース、フェノール、ポリイミド等の各樹脂のフッ素変性品等が挙げられる。
上記電離放射線で硬化する官能基と熱硬化する極性基とを併せ持つ重合性化合物としては、アクリル又はメタクリル酸の部分及び完全フッ素化アルキル、アルケニル、アリールエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類、完全又は部分フッ素化ビニルエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルケトン類等を例示することができる。
また、フッ素系樹脂としては、例えば、次のようなものを挙げることができる。
上記電離放射線硬化性基を有する重合性化合物の含フッ素(メタ)アクリレート化合物を少なくとも1種類含むモノマー又はモノマー混合物の重合体;上記含フッ素(メタ)アクリレート化合物の少なくとも1種類と、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートの如き分子中にフッ素原子を含まない(メタ)アクリレート化合物との共重合体;フルオロエチレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンのような含フッ素モノマーの単独重合体又は共重合体など。これらの共重合体にシリコーン成分を含有させたシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体も用いることができる。この場合のシリコーン成分としては、(ポリ)ジメチルシロキサン、(ポリ)ジエチルシロキサン、(ポリ)ジフェニルシロキサン、(ポリ)メチルフェニルシロキサン、アルキル変性(ポリ)ジメチルシロキサン、アゾ基含有(ポリ)ジメチルシロキサン、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、アルキル・アラルキル変性シリコーン、フルオロシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、メチル水素シリコーン、シラノール基含有シリコーン、アルコキシ基含有シリコーン、フェノール基含有シリコーン、メタクリル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が例示される。なかでも、ジメチルシロキサン構造を有するものが好ましい。
更には、以下のような化合物からなる非重合体又は重合体も、フッ素系樹脂として用いることができる。すなわち、分子中に少なくとも1個のイソシアナト基を有する含フッ素化合物と、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基のようなイソシアナト基と反応する官能基を分子中に少なくとも1個有する化合物とを反応させて得られる化合物;フッ素含有ポリエーテルポリオール、フッ素含有アルキルポリオール、フッ素含有ポリエステルポリオール、フッ素含有ε−カプロラクトン変性ポリオールのようなフッ素含有ポリオールと、イソシアナト基を有する化合物とを反応させて得られる化合物等を用いることができる。
また、上記したフッ素原子を持つ重合性化合物や重合体とともに、上記ハードコート層に記載したような各バインダー樹脂を混合して使用することもできる。更に、反応性基等を硬化させるための硬化剤、塗工性を向上させたり、防汚性を付与させたりするために、各種添加剤、溶剤を適宜使用することができる。
上記低屈折率層の形成においては、上述した材料を添加してなる低屈折率層用組成物の粘度を好ましい塗布性が得られる0.5〜5mPa・s(25℃)、好ましくは0.7〜3mPa・s(25℃)の範囲のものとすることが好ましい。可視光線の優れた反射防止層を実現でき、かつ、均一で塗布ムラのない薄膜を形成することができ、かつ、密着性に特に優れた低屈折率層を形成することができる。
樹脂の硬化手段は、上述したハードコート層で説明したものと同様であってよい。硬化処理のために加熱手段が利用される場合には、加熱により、例えばラジカルを発生して重合性化合物の重合を開始させる熱重合開始剤がフッ素系樹脂組成物に添加されることが好ましい。
低屈折率層の層厚(nm)dは、下記式(1):
=mλ/(4n) (1)
(上記式中、
は低屈折率層の屈折率を表し、
mは正の奇数を表し、好ましくは1を表し、
λは波長であり、好ましくは480〜580nmの範囲の値である)
を満たすものが好ましい。
また、本発明にあっては、低屈折率層は下記式(2):
120<n<145 (2)
を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
本発明の光学積層体は、全光線透過率が90%以上であることが好ましい。90%未満であると、本発明の光学積層体を画像表示装置の表面に装着した場合において、色再現性や視認性を損なうおそれがある。上記全光線透過率は、91%以上であることがより好ましい。
なお、上記全光線透過率は、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K−7361に準拠した方法により測定することができる。
また、本発明の光学積層体は、全ヘイズが2.0%未満であることが好ましい。2.0%以上であると、所望の光学特性が得られず、本発明の光学積層体を画像表示表面に設置した際の視認性が低下することがある。好ましくは1.5%以下、更に好ましくは1.0%以下である。
上記全ヘイズは、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K−7136に準拠した方法により測定することができる。
また、本発明の光学積層体は、透過画像鮮明度が0.125mm櫛において75〜95%であり、かつ、2.0mm櫛において95%以上であることが好ましい。0.125mm櫛における透過画像鮮明度が75%未満であると、画像を表示させた際の画像の鮮明性を損ない、画質に劣る恐れがある。95%超過であると、干渉縞が好適に防止できない恐れがある。0.125mm櫛における透過画像鮮明度は80〜90%であることがより好ましい。また、2.0mm櫛における透過画像鮮明度が95%未満であると、画像の鮮明性が損なわれ、また、外光の拡散反射による白濁感が生じる恐れがある。
上記透過画像鮮明度は写像性測定器(スガ試験機製、製品番号;ICM−1T)を用いて、JIS K−7105の像鮮明度の透過法に準拠した方法により測定することができる。
本発明の光学積層体は、コントラスト比が80%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。80%未満であると、本発明の光学積層体をディスプレイ表面に装着した場合において、暗室コントラストに劣り視認性を損なう恐れがある。なお、本明細書における、上記コントラスト比は、以下の方法により測定された値である。
すなわちバックライトユニットとして冷陰極管光源に拡散板を設置したものを用い、2枚の偏光板(サムスン社製 AMN−3244TP)を用い、該偏光板をパラレルニコルに設置したときに通過する光の輝度のLmaxを、クロスニコルに設置したときに通過する光の輝度のLminで割った値(Lmax/Lmin)をコントラストとし、光学積層体(光透過性基材+ハードコート層等)のコントラスト(L)を、光透過性基材のコントラスト(L)で割った値(L/L)×100(%)をコントラスト比とする。
なお、上記輝度の測定は暗室下で行う。上記輝度の測定には、色彩輝度計(トプコン社製 BM−5A)を用い、色彩輝度計の測定角は、1°に設定し、サンプル上の視野φ5mmで測定する。また、バックライトの光量は、サンプルを設置しない状態で、2枚の偏光板をパラレルニコルに設置したときの輝度が3600cd/mになるように設置する。
本発明の光学積層体は、上記光学機能層がハードコート層である場合、光透過性基材上に、例えば、シリカ微粒子、バインダー樹脂のモノマー成分及び溶剤を含有するハードコート層用組成物を使用してハードコート層を形成することにより製造することができる。また、上記光学機能層が上記ハードコート層上に低屈折率層が積層された構造の場合、光透過性基材上に、例えば、シリカ微粒子、バインダー樹脂のモノマー成分及び溶剤を含有するハードコート層用組成物を使用してハードコート層を形成した後、上述した低屈折率層用組成物を使用してハードコート層上に低屈折率層を形成することにより製造することができる。
上記ハードコート層用組成物及びハードコート層の形成方法、低屈折率層用組成物及び低屈折率層の形成方法については、上述したのと同様の材料、方法が挙げられる。
本発明の光学積層体は、偏光素子の表面に、本発明による光学積層体を該光学積層体におけるハードコート層が存在する面と反対の面に設けることによって、偏光板とすることができる。このような偏光板もまた、本発明の一つである。
上記偏光素子としては特に限定されず、例えば、ヨウ素等により染色し、延伸したポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等を使用することができる。上記偏光素子と本発明の光学積層体とのラミネート処理においては、光透過性基材(トリアセチルセルロースフィルム)にケン化処理を行うことが好ましい。ケン化処理によって、接着性が良好になり帯電防止効果も得ることができる。
本発明は、上記光学積層体又は上記偏光板を備えてなる画像表示装置でもある。
上記画像表示装置は、LCD、PDP、FED、ELD(有機EL、無機EL)、CRT、タブレットPC、タッチパネル、電子ペーパー等の画像表示装置であってもよい。
上記の代表的な例であるLCDは、透過性表示体と、上記透過性表示体を背面から照射する光源装置とを備えてなるものである。本発明の画像表示装置がLCDである場合、この透過性表示体の表面に、本発明の光学積層体又は本発明の偏光板が形成されてなるものである。
本発明が上記光学積層体を有する液晶表示装置の場合、光源装置の光源は光学積層体の下側から照射される。なお、液晶表示素子と偏光板との間に、位相差板が挿入されてよい。この液晶表示装置の各層間には必要に応じて接着剤層が設けられてよい。
上記画像表示装置であるPDPは、表面ガラス基板(表面に電極を形成)と当該表面ガラス基板に対向して間に放電ガスが封入されて配置された背面ガラス基板(電極および、微小な溝を表面に形成し、溝内に赤、緑、青の蛍光体層を形成)とを備えてなるものである。本発明の画像表示装置がPDPである場合、上記表面ガラス基板の表面、又はその前面板(ガラス基板又はフィルム基板)に上述した光学積層体を備えるものでもある。
上記画像表示装置は、電圧をかけると発光する硫化亜鉛、ジアミン類物質:発光体をガラス基板に蒸着し、基板にかける電圧を制御して表示を行うELD装置、又は、電気信号を光に変換し、人間の目に見える像を発生させるCRTなどの画像表示装置であってもよい。この場合、上記のような各表示装置の最表面又はその前面板の表面に上述した光学積層体を備えるものである。
本発明の画像表示装置は、いずれの場合も、テレビジョン、コンピュータ、電子ペーパー、タッチパネル、タブレットPCなどのディスプレイ表示に使用することができる。特に、CRT、液晶パネル、PDP、ELD、FED、タッチパネルなどの高精細画像用ディスプレイの表面に好適に使用することができる。
本発明の光学積層体は、上述した構成からなるものであるため、干渉縞及びカールの発生を充分に抑制しつつ、白濁感の発生がなく、光学機能層の薄膜化を図ることができ、製造コストが高くなることを防止できる。
このため、本発明の光学積層体は、陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、電子ペーパー等に好適に適用することができる。
θaの測定方法の説明図である。 実施例5に係る光学積層体の断面写真である。 比較例1に係る光学積層体の断面写真である。
本発明の内容を下記の実施例により説明するが、本発明の内容はこれらの実施態様に限定して解釈されるものではない。また、特別に断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(実施例1)
光透過性基材(厚み60μmトリアセチルセルロース樹脂フィルム、富士フィルム社製、TD60UL)を準備し、該光透過性基材の片面に、下記に示した組成のハードコート層用組成物を塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、0.2m/sの流速で70℃の乾燥空気を15秒間流通させた後、さらに10m/sの流速で70℃の乾燥空気を30秒間流通させて乾燥させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて積算光量が100mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより、4μm厚み(硬化時)のハードコート層を形成し、実施例1に係る光学積層体を製造した。
(ハードコート層用組成物)
フュームドシリカ(オクチルシラン処理;平均粒子径12nm、日本アエロジル社製)
1質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)(製品名:PETA、ダイセル・サイテック社製) 60質量部
ウレタンアクリレート(製品名:UV1700B、日本合成化学社製) 40質量部
イルガキュア184(BASFジャパン社製) 5質量部
ポリエーテル変性シリコーン(TSF4460、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製) 0.025質量部
トルエン 105質量部
イソプロピルアルコール 30質量部
シクロヘキサノン 15質量部
なお、フュームドシリカは、オクチル基を有するシラン化合物(オクチルシラン)により、シラノール基をオクチルシリル基で置換して疎水化処理されたものである。
(実施例2)
フュームドシリカの配合量を1.5質量部とした以外は、実施例1と同様にしてハードコート層用組成物を調製し、該ハードコート層用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例2に係る光学積層体を製造した。
(実施例3)
フュームドシリカの配合量を0.5質量部とした以外は、実施例1と同様にしてハードコート層用組成物を調製し、該ハードコート層用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例3に係る光学積層体を製造した。
(実施例4)
フュームドシリカの配合量を2.5質量部とした以外は、実施例1と同様にしてハードコート層用組成物を調製し、該ハードコート層用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例4に係る光学積層体を製造した。
(実施例5)
光透過性基材(厚み60μmトリアセチルセルロース樹脂フィルム、富士フィルム社製、TD60UL)を準備し、該光透過性基材の片面に、下記に示した組成のハードコート層用組成物を塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、0.2m/sの流速で70℃の乾燥空気を15秒間流通させた後、さらに10m/sの流速で70℃の乾燥空気を30秒間流通させて乾燥させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて積算光量が50mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより、4μm厚み(硬化時)のハードコート層を形成した。
(ハードコート層用組成物)
フュームドシリカ(オクチルシラン処理;平均粒子径12nm、日本アエロジル社製)
1質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)(製品名:PETA、ダイセル・サイテック社製) 60質量部
ウレタンアクリレート(製品名:UV1700B、日本合成化学社製) 40質量部
イルガキュア184(BASFジャパン社製) 5質量部
ポリエーテル変性シリコーン(TSF4460、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製) 0.025質量部
トルエン 105質量部
イソプロピルアルコール 30質量部
シクロヘキサノン 15質量部
なお、フュームドシリカは、オクチル基を有するシラン化合物(オクチルシラン)により、シラノール基をオクチルシリル基で置換して疎水化処理されたものである。
次いで、形成したハードコート層の表面に、下記組成の低屈折率層用組成物を、乾燥後(40℃×1分)の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて、積算光量100mJ/cmで紫外線照射を行って硬化させて低屈折率層を形成し、実施例5に係る光学積層体を製造した。
(低屈折率層用組成物)
中空シリカ微粒子(該シリカ微粒子の固形分:20質量%、溶液;メチルイソブチルケトン、平均粒径:50nm) 40質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(ダイセル・サイテック社製)
10質量部
重合開始剤(イルガキュア127;BASFジャパン社製) 0.35質量部
変性シリコーンオイル(X22164E;信越化学工業社製) 0.5質量部
MIBK 320質量部
PGMEA 161質量部
(実施例6)
フュームドシリカの配合量を1.5質量部とした以外は、実施例5と同様にしてハードコート層用組成物を調製し、該ハードコート層用組成物を用いた以外は、実施例5と同様にして実施例6に係る光学積層体を製造した。
(実施例7)
フュームドシリカの配合量を0.5質量部とした以外は、実施例5と同様にしてハードコート層用組成物を調製し、該ハードコート層用組成物を用いた以外は、実施例5と同様にして実施例7に係る光学積層体を製造した。
(実施例8)
フュームドシリカの配合量を2.5質量部とした以外は、実施例5と同様にしてハードコート層用組成物を調製し、該ハードコート層用組成物を用いた以外は、実施例5と同様にして実施例8に係る光学積層体を製造した。
(実施例9)
フュームドシリカの配合量を4質量部とした以外は、実施例1と同様にしてハードコート層用組成物を調製し、該ハードコート層用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例9に係る光学積層体を製造した。
(比較例1)
フュームドシリカに代えて、ゲル法シリカ微粒子(平均粒径1.5μm、AX−204 Nipgel 東ソー・シリカ社製)を1.5質量部用い、硬化時の塗膜厚を1.5μmとした以外は、実施例1と同様にしてハードコート層用組成物を調製し、該ハードコート層用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例1に係る光学積層体を製造した。
(比較例2)
下記に示した組成のハードコート層用組成物を用い、形成するハードコート層を10μm厚み(硬化時)とした以外は、実施例1と同様にして比較例2に係る光学積層体を製造した。
(ハードコート層用組成物)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(製品名:PET30、日本化薬社製) 100質量部
イルガキュア184(BASFジャパン社製) 5質量部
ポリエーテル変性シリコーン(TSF4460、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製) 0.025質量部
メチルエチルケトン(MEK) 80質量部
メチルイソブチルケトン(MIBK) 35質量部
得られた実施例及び比較例に係る光学積層体を下記項目について評価した。
全ての結果を表1に示した。
(凹凸部の平均傾斜角(θa)、凹凸のスキューネス(Sk)、凹凸の算術平均粗さ(Ra)
表面粗さ測定器:SE−3400/株式会社小坂研究所製を用いて、JIS B 0601−1994に準拠し、かつ、以下の条件にて粗さ曲線を測定して、θa、Sk及びRaを測定した。なお、表1において、スキューネス(Sk)は、実測値を示した。
(1)表面粗さ検出部の触針:
型番/SE2555N(2μ触針)、株式会社小坂研究所製
(先端曲率半径2μm/頂角:90度/材質:ダイヤモンド)
(2)表面粗さ測定器の測定条件:
基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):2.5mm
評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):12.5mm
触針の送り速さ:0.5mm/s
予備長さ:(カットオフ値λc)×2
縦倍率:2000倍
横倍率:10倍
なお、通常カットオフ値は0.8mmが使用されることが多いが、本発明においては、カットオフ値を2.5mmに設定して測定を行った。
また、λa=2π×(Ra/tan(θa))の式により、λaを算出した。
(ヘイズ)
JIS K7136に準拠し、ヘイズメーターHM−150(村上色彩技術研究所製)を用いて、得られた光学積層体のヘイズを測定した。
(透過画像鮮明度)
JIS K7105に準拠し、写像性測定器ICM−1T(スガ試験機製)を用いて、透過測定により、得られた光学積層体の0.125mm櫛及び2.0mm櫛における透過画像鮮明度を測定した。
(干渉縞)
実施例及び比較例で得られた各光学積層体のハードコート層と逆の面(光透過性基材面)を、透明粘着剤を介して、裏面反射を防止するための黒アクリル板に貼り、ハードコート層又は低屈折率層の面から各光学積層体にナトリウムランプを照射し、目視で観察し、干渉縞の発生の有無を以下の基準により評価した。
◎:干渉縞の発生は全くなかった。
○:干渉縞の発生が若干あるが、問題ないレベルであった。
×:干渉縞の発生があった。
(白濁感)
実施例及び比較例で得られた各光学積層体のハードコート層と逆の面(光透過性基材面)を、透明粘着剤を介して、黒アクリル板に貼り、暗室にて卓上スタンド(3波長蛍光灯管)の下で、白濁感を観察し、以下の基準により評価した。
◎:白さが観察されなかった。
○:白さがわずかに観察されたが気にならない程度であった。
×:白さが観察された。
(カール)
光学積層体のカールの度合いは、実施例及び比較例に係る光学積層体を10cm×10cmにカットしたサンプル片を水平な台(平面)の上に置き、ハードコート層の端点間の距離を測定したときの当該距離の平均値(mm)を以下のように表した。
○:80mm以上
×:80mm未満
表1に示したように、実施例に係る光学積層体は、干渉縞、白濁感、カールの全ての評価において良好であった。また、実施例に係る光学積層体は、透過画像鮮明度の評価が、いずれも0.125mm櫛において75〜95%の範囲内、2.0mm櫛において95%以上であり、良好な結果であり、ヘイズも充分に低いものであった。
一方、比較例1に係る光学積層体はシリカが毛細血管状に分布しておらず、滑らかな凹凸形状が形成できていないため、θaの値が大きく、白濁感及び透過画像鮮明度に劣るものであった。また、比較例2に係る光学積層体は、ハードコート層用組成物として光透過性基材を膨潤させるMEKを用い、さらにハードコート層膜厚を10μmになるよう塗布量を多くすることで、ハードコート層と光透過性基材との界面からの反射光を低減させることにより、干渉縞を防止しているが、カールの評価に劣るものであった。
また、以下の方法で、各実施例及び比較例1に係る光学積層体のハードコート層の厚み方向の断面における最大面積率を算出した。
得られた各光学積層体を包埋樹脂にて包埋後、ミクロトームにて該光学積層体面に垂直な方向に切断して厚さ70nmの切片を作製し、現れたハードコート層断面を、走査型電子顕微鏡(STEM:S−4800、日立ハイテク社製)を用いて倍率1万倍で測定し、上記各光学積層体の断面写真を撮影した。撮影した画像を画像処理ソフトウェア(Media Cybernetics社製のImage−Pro Plus ver.6.2)に取り込んだ。Image−Pro Plusにて矩形ROIで2μm四方の領域を限定選択し、カウント/サイズコマンドを用い(輝度レンジ選択条件を「暗い色のオブジェクトを自動抽出」とした)、黒部分(シリカ微粒子を表す)の合計面積を算出し、2μm四方の領域の全体面積(=4μm)で割ることにより面積率を算出した。これを、撮影した画像の中のシリカ微粒子が多く存在しているところを10ヶ所目視で選んでそれぞれ上記面積率を算出し、そのうちの最大値を最大面積率とした。
また、アスペクト比は以下のように算出した。
上記と同様に撮影した光学積層体のハードコート層の厚み方向の断面画像を、画像処理ソフトウェア(Image−Pro Plus)に取り込み、Image−Pro Plusのフィルタコマンドからモフォロジカルタブを選び、フィルタとして「収縮」、オプションとして「7×7円形、回数:1」の条件でフィルタ処理をかけた。次に、カウント/サイズコマンド(輝度レンジ選択条件を「暗い色のオブジェクトを自動抽出」とした)を用いてシリカ凝集体を測定し、測定項目の楕円長短軸比を算出した。その際、選別レンジは以下に示すようにした。測定された楕円長短軸比のうち、大きい方から5個(抽出された粒子が5未満のときは抽出された粒子全て)の平均をアスペクト比とした。
<選別レンジ>楕円長短軸比(1〜1000000)、面積(1000〜984190000nm)、フェレ径(最小)(0〜9920645nm)、フェレ径(最大)(500〜9920645nm)
実施例5に係る光学積層体の断面写真を図2に示し、比較例1に係る光学積層体の断面写真を図3に示す。
図2に示したように、実施例5に係る光学積層体は、ハードコート層におけるシリカ微粒子が毛細血管状に分布しており、最大面積率は19%、アスペクト比は3.5であった。なお、その他の実施例に係る光学積層体については図示しないが、いずれもハードコート層におけるシリカ微粒子は毛細血管状に分布しており、最大面積率は30%以下、アスペクト比は2.0以上であった。
また、図3に示したように、比較例1に係る光学積層体は、ハードコート層におけるシリカ微粒子が密な塊状として分布しており、最大面積率は40%、アスペクト比は1.6であった。
本発明の光学積層体は、陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、タッチパネル、電子ペーパー、タブレットPC等に好適に適用することができる。

Claims (8)

  1. 光透過性基材の一方の面上に、表面に凹凸形状を有する光学機能層を有する光学積層体であって、
    前記光学機能層は、シリカ微粒子を含有し、
    前記シリカ微粒子は、前記光学機能層中で毛細血管状に分布している
    ことを特徴とする光学積層体。
  2. 光学機能層の表面の凹凸形状は、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸のスキューネスをSkとしたとき、前記Skの絶対値及びθaが以下の式を満たす請求項1記載の光学積層体。
    0.01°≦θa≦0.10°
    |Sk|≦0.5
  3. 光学機能層の凹凸形状は、凹凸の算術平均粗さをRaとしたとき、以下の式を満たす請求項1又は2記載の光学積層体。
    0.02μm≦Ra≦0.10μm
  4. 光学機能層の凹凸形状は、λa=2π×(Ra/tan(θa))にて表される平均波長λaが下記式を満たす請求項3記載の光学積層体。
    200μm≦λa≦800μm
  5. 光学機能層は、ハードコート層である請求項1、2、3又は4記載の光学積層体。
  6. 光学機能層は、ハードコート層上に低屈折率層が積層された構造である請求項1、2、3又は4記載の光学積層体。
  7. 偏光素子を備えてなる偏光板であって、
    前記偏光板は、偏光素子表面に請求項1、2、3、4、5又は6記載の光学積層体を備えることを特徴とする偏光板。
  8. 請求項1、2、3、4、5若しくは6記載の光学積層体、又は、請求項7記載の偏光板を備えることを特徴とする画像表示装置。
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