JP2015031328A - 車両用自動変速機の自動変速装置 - Google Patents
車両用自動変速機の自動変速装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2015031328A JP2015031328A JP2013160360A JP2013160360A JP2015031328A JP 2015031328 A JP2015031328 A JP 2015031328A JP 2013160360 A JP2013160360 A JP 2013160360A JP 2013160360 A JP2013160360 A JP 2013160360A JP 2015031328 A JP2015031328 A JP 2015031328A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- automatic transmission
- gear
- teeth
- clutch
- dog
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Control Of Transmission Device (AREA)
Abstract
【課題】第1部材と第2部材との回転数差がない状態でも、第1部材と第2部材とを係合させることができる車両用自動変速機の自動変速装置を提供する。【解決手段】第1部材23と第2部材26との係合及び非係合を制御する制御装置10は、第1部材23と第2部材26との非係合の直前における第1部材23の位相位置Pzを記憶する位相位置記憶部10aと、第1部材23と第2部材23とを係合させる時に、第1部材23を記憶した位相位置Pzへと駆動用モータ5を介して制御する位相位置制御部10bを有する。【選択図】図4
Description
本発明は、ドグ歯を用いて動力伝達を行う車両用自動変速機の自動変速装置に関する。
従来、制御装置(ECU)によって駆動モータを作動させ、自動変速機のギヤ段を自動で切替える自動変速装置がある。例えば、下記に示す特許文献1が開示する技術では、ギヤ段変速時には、ECUが、自動変速装置の電気アクチュエータとしての駆動モータを作動させ、駆動モータに連結され入力軸に回転連結されるスリーブを入力軸の軸線方向に所定のトルクで移動させる。そして、スリーブが有する凸側ダボを、入力軸に遊転可能に支承されるギヤが有する、凹側ダボに係合させてスリーブとギヤとを一体回転可能とする。これにより、ギヤと回転連結される出力軸に回転駆動力が伝達される。このとき、スリーブとギヤとを回転連結する際には、シンクロナイザ機構を使用していない。このため、スリーブとギヤとは、常時、良好に係合するとは限らない。つまり、スリーブの凸側ダボが、ギヤの凹側ダボに係合されず、凸側ダボの先端が凹側ダボと凹側ダボとの間の凸部平面に当接し、スリーブとギヤとが相対滑りを生じながら、または同期して回転する虞がある。このとき、特許文献1に示す従来技術では、その対策として、駆動モータを作動させた後、まず駆動モータの回転角、即ちスリーブの作動ストロークを検出している。そして、検出した作動ストロークが、スリーブが完全にギヤに係合した時の所定ストロークに達し得ない場合には、スリーブとギヤとは係合していないと判定し、再突入制御(リトライ制御)を行なうようにしている。再突入制御とは、駆動モータによるスリーブの移動トルクを一時的に減じ、スリーブとギヤとの間に相対回転を生じさせ、その後、再度所定トルクを加えて凹側ダボへの再突入を試みる制御である。そして、凸側ダボと凹側ダボとが同位相となった瞬間に、再度スリーブに所定トルクを加えて移動させ、凸側ダボを凹側ダボへ突入させるものである。これによって、スリーブとギヤとを係合させ一体回転させることができる。
特許文献1に示される自動変速装置では、スリーブがギヤと係合できない場合、例えば停車中の如く、スリーブとギヤとの回転数差がなく、スリーブとギヤとがその両凸部同士が向き合った状態では、ギヤ側への押付トルクを一旦減じ、再度トルクを増大させて、スリーブをギヤに押し付けても即ちリトライ制御を試みても、スリーブとギヤとの回転数差がないことから、その両者は相対回転がなく依然スリーブとギヤとがその両凸部同士が向き合った状態であるため、スリーブをギヤに係合させることができない。この様な状態でリトライ制御を繰り返すことは、自動変速装置に大きな負担をかけることになり、好ましくないものである。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、スリーブとギヤとの回転数差がない状態でも、その両部材とを係合させることができる車両用自動変速機の自動変速装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係る車両用自動変速機の自動変速装置は、複数の第1ドグ歯を有し、相隣り合う該第1ドグ歯間に設けられた第1ドグ歯溝を有するとともに駆動用モータと駆動的に連結された第1部材と、前記第1ドグ歯溝に係合可能な複数の第2ドグ歯と、前記各第1ドグ歯が係合可能な複数の第2ドグ歯溝とを有するととともに自動変速機の出力軸と駆動的に連結された第2部材と、前記第1部材と前記第2部材が同軸上で回転し、前記第1部材及び前記第2部材の一方に推力を加えて前記第1部材と前記第2部材とを係合させる軸動装置と、前記軸動装置を作動させ前記第1部材と前記第2部材との係合及び非係合を制御する制御装置と、を備えた車両用自動変速機の自動変速装置であって、前記制御装置は、前記第1部材と前記第2部材とが非係合となる直前における前記第1部材の位相位置を記憶する位相位置記憶部と、前記第1部材と前記第2部材とを係合させる時に、前記第1部材を記憶した前記位相位置へと前記駆動用モータを介して制御する位相位置制御部とを有することを要旨とする。
上記課題を解決するため、請求項2に係る車両用自動変速機の自動変速装置は、請求項1に記載の車両用自動変速機の自動変速装置において、前記第1部材と前記第2部材は、車両を発進させる変速段の動力伝達経路を構成することを要旨とする。
上記課題を解決するため、請求項3に係る車両用自動変速機の自動変速装置は、請求項2に記載の車両用自動変速機の自動変速装置において、前記車両を発進させる変速段は、第1速としたことを要旨とする。
上記課題を解決するため、請求項4に係る車両用自動変速機の自動変速装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の車両用自動変速機の自動変速装置において、前記位相位置は、前記第1ドグ歯の前記第2ドグ歯溝内における円周方向の中点とすることを要旨とする。
上記課題を解決するため、請求項5に係る車両用自動変速機の自動変速装置は、請求項4に記載の車両用自動変速機の自動変速装置において、前記第1ドグ歯の前記第2ドグ歯溝内における円周方向の中点は、前記駆動用モータを正転及び逆転させて演算することを要旨とする。
上記課題を解決するため、請求項6に係る車両用自動変速機の自動変速装置は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の車両用自動変速機の自動変速装置において、前記位相位置は前記駆動用モータが備えた回転角度センサの出力に基いて演算することを要旨とする。
上記課題を解決するため、請求項7に係る車両用自動変速機の自動変速装置は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の車両用自動変速機の自動変速装置において、前記第2部材はスリーブであり、前記第2ドグ歯は低歯より歯丈が高く形成された複数の高歯を有し、前記第1部材はクラッチリングであり、前記第1ドグ歯は前記高歯と対応する位置で前記軸線方向に延在して形成されるとともに外径が前記高歯の内径より大きく前記低歯の内径より小さく前記高歯と同数枚のクラッチ前歯と、前記クラッチ前歯から所定量後退した位置から前記軸線方向に延在して形成されるとともに前記クラッチ前歯間に複数形成されたクラッチ後歯とを有することを要旨とする。
請求項1に記載の発明によれば、前記第1部材と前記第2部材とが非係合となる直前における前記第1部材の位相位置を記憶する位相位置記憶部と、前記第1部材と前記第2部材とを係合させる時に、前記第1部材を記憶した前記位相位置へと前記駆動用モータを介して制御する位相位置制御部とを有するので、位相位置記憶部により前記第1部材と前記第2部材との非係合の直前における前記第1部材の位相位置を記憶していることから、前記第1部材と前記第2部材とを係合させる時に、その記憶した前記位相位置へ前記第1部材を前記駆動用モータによる駆動にて復帰させることにより、例えば一例として、停車中の場合であっても、前記第1部材と前記第2部材との回転数差がない状態でも、前記第1部材と前記第2部材とを係合させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、前記第1部材と前記第2部材は、車両を発進させる変速段の動力伝達経路を構成するので、停車中につき、前記第1部材が非回転状態であっても、前記第1部材と前記第2部材とを係合させることができる。
請求項3に記載の発明によれば、前記車両を発進させる変速段は、第1速であるので、車両はスムーズに発進できる。
請求項4に記載の発明によれば、前記位相位置は、前記第1ドグ歯の前記第2ドグ歯溝内における円周方向の中点とするので、前記第2ドグ歯溝内における前記第1ドグ歯のバックラッシュなる隙間を考慮されて、前記第1ドグ歯は、前記第2ドグ歯溝内における円周方向の中心に位置合わせされるため、前記第1ドグ歯は前記第2ドグ歯溝内に入り易く、第1部材と第2部材との係合は容易となる。
請求項5に記載の発明によれば、前記第1ドグ歯の前記第2ドグ歯溝内における円周方向の中点は、前記駆動用モータを正転及び逆転させて演算するので、当該中点をより正確に求めることができる。
請求項6に記載の発明によれば、前記位相位置は前記駆動用モータが備えた回転角度センサの出力に基いて演算するので、位相位置を演算するために特別なセンサを必要としないため、構造簡単化ができる。
請求項7に記載の発明によれば、前記第2部材はスリーブであり、前記第2ドグ歯は低歯より歯丈が高く形成された複数の高歯を有し、前記第1部材はクラッチリングであり、前記第1ドグ歯は前記高歯と対応する位置で前記軸線方向に延在して形成されるとともに外径が前記高歯の内径より大きく前記低歯の内径より小さく前記高歯と同数枚のクラッチ前歯と、前記クラッチ前歯から所定量後退した位置から前記軸線方向に延在して形成されるとともに前記クラッチ前歯間に複数形成されたクラッチ後歯とを有するので、前記第1部材と前記第2部材との間に回転差がある場合にも、前記スリーブの前記高歯が、前記クラッチリングの前記クラッチ前歯に当接して位相合わせを行うことができる。
本発明に係る車両用自動変速機の自動変速装置を備えた車両駆動装置について図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
図1を参照すると、車両駆動装置1は、動力源として、燃料の燃焼エネルギーにより回転動力を出力するエンジン2と、電気エネルギーにより回転動力を出力する機能と回転動力により回転エネルギーを発電する発電機との機能を有するモータジェネレータ5とを備えるハイブリッド車両を駆動する装置である。車両駆動装置1は、エンジン2と車輪7、8との間の動力伝達経路上にメインクラッチ3、自動変速機4、モータジェネレータ5、及び差動装置6を有する。車両駆動装置1は、エンジン2、メインクラッチ3、自動変速機4、及びモータジェネレータ5の制御系として、制御装置10を有する。
メインクラッチ3は、エンジン2及び自動変速機4との間の動力伝達経路上に配設されるとともに、エンジン2のクランクシャフト2aから自動変速機4の入力軸41への回転動力を断接可能な装置である。なお、メインクラッチ3の係合/非係合動作は、制御装置10によって駆動制御されるクラッチアクチュエータ(図示せず)によって行われる。
自動変速機4は、エンジン2及びモータジェネレータ5の一方又は両方からの回転動力を変速して差動装置6に向けて出力する歯車機構である。自動変速機4は、入力軸41、及び、入力軸41に略平行に配置された出力側の軸なる出力軸42、並びに、中間軸として入力軸41に略平行に配置されたアイドラギヤ44、45用の軸43の平行3軸を有し、かつ、前進5速段に切換可能な平行3軸5速変速機構を有する。自動変速機4は、入力軸41と出力軸42との間の動力伝達経路上おいて、入力軸41と、入力軸46と、入力駆動ギヤ47と、入力アイドラギヤ48と、軸49と、第1駆動ギヤ50と、第2駆動ギヤ51と、第3駆動ギヤ52と、第4駆動ギヤ53と、第5駆動ギヤ54と、第6駆動ギヤ55と、リバースアイドラギヤ56と、軸43と、第1アイドラギヤ44と、第2アイドラギヤ45と、第1切換機構57と、第2切換機構58と、出力軸42と、第1従動ギヤ59と、第2従動ギヤ60と、第3従動ギヤ61と、第4従動ギヤ62と、第3切換機構63と、第4切換機構64とを有する。
入力軸41は、エンジン2からの回転動力が入力される自動変速機4の入力側の軸であり、入力軸41の外周には、メインクラッチ3側から順に、第1駆動ギヤ50、第2駆動ギヤ51、第3駆動ギヤ52、第4駆動ギヤ53、第1切換機構57、第5駆動ギヤ54、第2切換機構58、第6駆動ギヤ55が配されている。入力軸41は、自動変速機4のハウジング(図示せず)に回転可能に支持されている。入力軸41は、第1駆動ギヤ50、第2駆動ギヤ51、及び第3駆動ギヤ53と一体に回転する円環状の軸49を空転可能に支持する。入力軸41は、第5駆動ギヤ54と、第6駆動ギヤ55を空転可能に支持する。入力軸41は、第5駆動ギヤ54と第6駆動ギヤ55との間に配された第2切換機構58において、第5駆動ギヤ54又は第6駆動ギヤ55を選択して連結可能に構成されている。
入力軸46は、モータジェネレータ5からの回転動力が入力される軸である(図1参照)。入力軸46は、自動変速機4のハウジング(図示せず)に回転可能に支持されている。入力軸46は、入力駆動ギヤ47と一体に回転する。入力軸46は、モータジェネレータ5によるEV(Electric Vehicle)走行用ギヤトレーンの構成要素である。
入力駆動ギヤ47は、モータジェネレータ5からの回転動力により入力アイドラギヤ48を回転駆動するギヤである(図1参照)。入力駆動ギヤ47は、入力軸46と一体に回転する。入力駆動ギヤ47は、入力アイドラギヤ48と噛合っている。入力駆動ギヤ47は、モータジェネレータ5によるEV走行用ギヤトレーンの構成要素である。
入力アイドラギヤ48は、入力駆動ギヤ47からの回転動力により第1駆動ギヤ50を回転駆動するギヤである。入力アイドラギヤ48は、自動変速機4のハウジング(図示せず)に回転可能に支持されている。入力アイドラギヤ48は、入力駆動ギヤ47及び第1駆動ギヤ50と噛合っている。入力アイドラギヤ48は、モータジェネレータ5によるEV走行用ギヤトレーンの構成要素である。
軸49は、入力軸41に空転可能に支持された円環状の軸である(図1参照)。軸49は、外周において、メインクラッチ3側から順に、第1駆動ギヤ50、第2駆動ギヤ51、第3駆動ギヤ52及び第4駆動ギヤ53が配され、第1駆動ギヤ50、第2駆動ギヤ51、第3駆動ギヤ52及び第4駆動ギヤ53と一体に回転する。軸49は、第4駆動ギヤ53と第5駆動ギヤ54との間に配された第1切換機構57において、第5駆動ギヤ54と連結可能に構成されている。軸49は、モータジェネレータ5によるEV走行用ギヤトレーンの構成要素でもあり、エンジン2からの1速から4速のエンジン走行用ギヤトレーンの構成要素でもある。
第1駆動ギヤ50は、第1従動ギヤ59を駆動するギヤである(図1参照)。第1駆動ギヤ50は、軸49を介して第2駆動ギヤ51、第3駆動ギヤ52及び第4駆動ギヤ53と一体に回転する。第1駆動ギヤ50は、軸49を介して入力軸41に空転可能に支持されている。第1駆動ギヤ50は、入力アイドラギヤ48と噛合っている。第1駆動ギヤ50の径は、第4駆動ギヤ53の径よりも小さく構成されている。第1駆動ギヤ50は、モータジェネレータ5によるEV走行用ギヤトレーンの構成要素である。
第2駆動ギヤ51は、第1従動ギヤ59を駆動するギヤである(図1参照)。第2駆動ギヤ51は、軸49を介して第1駆動ギヤ50、第3駆動ギヤ52及び第4駆動ギヤ53と一体に回転する。第2駆動ギヤ51は、軸49を介して入力軸41に空転可能に支持されている。第2駆動ギヤ51は、第1従動ギヤ59と噛合っている。第2駆動ギヤ51の径は、第4駆動ギヤ26の径よりも小さく構成されている。第2駆動ギヤ51は、モータジェネレータ5によるEV走行用ギヤトレーンの構成要素である。
第3駆動ギヤ52は、リバースアイドラギヤ56と噛合ったときに、リバースアイドラギヤ56を介して第2従動ギヤ60を駆動するギヤである(図2参照)。第3駆動ギヤ52は、後退するときにリバースアイドラギヤ56と噛合い、後退以外のときにリバースアイドラギヤ56と噛合わない。第3駆動ギヤ52は、軸49を介して第1駆動ギヤ50、第2駆動ギヤ51、及び第4駆動ギヤ53と一体に回転する。第3駆動ギヤ52は、軸49を介して入力軸41に空転可能に支持されている。
第4駆動ギヤ53は、第3従動ギヤ61を駆動するギヤである(図1参照)。第4駆動ギヤ53は、軸49を介して第1駆動ギヤ50、第2駆動ギヤ51及び第3駆動ギヤ52と一体に回転する。第4駆動ギヤ53は、軸49を介して入力軸41に空転可能に支持されている。第4駆動ギヤ53は、第3従動ギヤ61と噛合っている。第4駆動ギヤ53の径は、第1駆動ギヤ50の径よりも大きく構成されている。第4駆動ギヤ53は、モータジェネレータ5によるEV走行用ギヤトレーンの構成要素である。
第5駆動ギヤ54は、第4従動ギヤ62を駆動するギヤである(図1参照)。第5駆動ギヤ54は、入力軸41に空転可能に支持されている。第5駆動ギヤ54は、第1切換機構57において、軸49と連結可能に構成されている。第5駆動ギヤ54は、第2切換機構58において、入力軸41と連結可能に構成されている。第5駆動ギヤ54は、第1アイドラギヤ44及び第4従動ギヤ62と噛合っている。第5駆動ギヤ54の径は、第6駆動ギヤ55の径よりも大きく構成されている。第5駆動ギヤ54は、エンジン走行用ギヤトレーンの構成要素である。
第6駆動ギヤ55は、第2アイドラギヤ45を駆動するギヤである(図1参照)。第6駆動ギヤ55は、入力軸41に空転可能に支持されている。第6駆動ギヤ55は、第2切換機構58において、入力軸41と連結可能に構成されている。第6駆動ギヤ55は、第2アイドラギヤ45と噛合っている。第6駆動ギヤ55の径は、第5駆動ギヤ54の径よりも小さく構成されている。第6駆動ギヤ55は、エンジン走行用ギヤトレーンの構成要素である。
リバースアイドラギヤ56は、第3駆動ギヤ52及び第2従動ギヤ60と噛合ったときに、第3駆動ギヤ52の回転駆動を受けて第2従動ギヤ60を駆動するギヤである(図1参照)。リバースアイドラギヤ56は、軸方向に移動可能であり、後退するときに第3駆動ギヤ52及び第2従動ギヤ60の両方と噛合い、後退以外のときに第3駆動ギヤ52及び第2従動ギヤ60の両方と噛合わず空転する。リバースアイドラギヤ56は、自動変速機4のハウジング(図示せず)に回転可能に支持されている。リバースアイドラギヤ56の軸方向の移動は、制御装置10によって駆動制御される。
中間軸43は、軸方向における第5駆動ギヤ54及び第6駆動ギヤ55が配された位置にて、入力軸41に対して略平行に配置された軸である(図1参照)。中間軸43は、自動変速機4のハウジング(図示せず)に回転可能に支持されている。中間軸43は、外周において、メインクラッチ3側から順に、第1アイドラギヤ44及び第2アイドラギヤ45が配され、第1アイドラギヤ44及び第2アイドラギヤ45と一体に回転する。中間軸43は、エンジン走行用ギヤトレーンの構成要素である。
第1アイドラギヤ44は、第5駆動ギヤ54を駆動するギヤである(図1参照)。第1アイドラギヤ44は、中間軸43及び第2アイドラギヤ45と一体に回転し、中間軸43を介して自動変速機4のハウジング(図示せず)に回転可能に支持されている。第1アイドラギヤ44は、第5駆動ギヤ54と噛合っている。第1アイドラギヤ44の径は、第2アイドラギヤ45の径よりも小さく構成されている。第1アイドラギヤ44は、エンジン走行用ギヤトレーンの構成要素である。
第2アイドラギヤ45は、第6駆動ギヤ55からの駆動を受けるギヤである(図1参照)。第2アイドラギヤ45は、中間軸43及び第1アイドラギヤ44と一体に回転し、中間軸43を介して自動変速機4のハウジング(図示せず)に回転可能に支持されている。第2アイドラギヤ45は、第6駆動ギヤ55と噛合っている。第2アイドラギヤ45の径は、第1アイドラギヤ44の径よりも大きく構成されている。第2アイドラギヤ45は、エンジン走行用ギヤトレーンの構成要素である。
第1切換機構57はその係合及び非係合にて、第1駆動ギヤ50、第2駆動ギヤ51、第3駆動ギヤ52及び第4駆動ギヤ53と一体に回転する軸49と第5駆動ギヤ54との連結及びその解除とに切り換える機構である(図1参照)。第1切換機構57は、EV走行用ギヤトレーン(図1の46、47、48、50、51、53、59、61、63)とエンジン走行用ギヤトレーン(図1の41、58、55、45、43、44、54、62、64)とを切り離す機構となる。この構成において、EV走行用及びエンジン走行用の共用ギヤトレーン(51、53、59、60、61、63)が設けられている。第1切換機構57は、第4駆動ギヤ53と第5駆動ギヤ54との間に配されている。第1切換機構57は、例えばドグクラッチが用いられ、第5駆動ギヤ54とスプライン係合するスリーブが軸49とスプライン係合することで第5駆動ギヤ54と軸49とを連結して第5駆動ギヤ54と軸49とを一体回転するようにし、当該スリーブを軸49とのスプライン係合を解除することで第5駆動ギヤ54と軸49との連結を解除して第5駆動ギヤ54と軸49とを相対回転可能にする。第1切換機構57の切換動作は、制御装置10によって駆動制御される。
第2切換機構58は、「H」側なる第5駆動ギヤ54又は「L」側なる第6駆動ギヤ55との係合と非係合とにより、入力軸41に対して「H」側なる第5駆動ギヤ54又は「L」側なる第6駆動ギヤ55を選択して連結及びその解除に切り換える機構である(図1参照)。第2切換機構58は、第5駆動ギヤ54と第6駆動ギヤ55との間に配されている。第2切換機構58は、例えばドグクラッチが用いられ、軸49とスプライン係合するスリーブを「H」側に移動して第5駆動ギヤ54とスプライン係合することで入力軸41と第5駆動ギヤ54とを連結して入力軸41と第5駆動ギヤ54とを一体回転するようにする。第2切換機構58は、軸49とスプライン係合するスリーブを「L」側に移動して第6駆動ギヤ55とスプライン係合することで入力軸41と第6駆動ギヤ55とを連結して入力軸41と第6駆動ギヤ55とを一体回転するようにする。第2切換機構58の切換動作は、制御装置10によって駆動制御される。
出力軸42は、自動変速機4に入力され変速された回転動力を差動装置6に向けて出力する出力側の軸である(図1参照)。出力軸42の外周には、エンジン側(図2の右側)から順に、第1従動ギヤ59、第3切換機構63(第2従動ギヤ60を含む)、第3従動ギヤ61、第4切換機構64、第4従動ギヤ62が配されている。出力軸42は、自動変速機4のハウジング(図示せず)に回転可能に支持されている。出力軸42は、第1従動ギヤ59を空転可能に支持する。出力軸42は、第1従動ギヤ59と第3従動ギヤ61との間に配された第3切換機構63において、第1従動ギヤ59又は第3従動ギヤ61を選択して連結可能に構成されている。出力軸42は、第3切換機構63においてスプライン係合するスリーブに取り付けられた第2従動ギヤ60と一体に回転する。出力軸42は、第3従動ギヤ61を空転可能に支持する。出力軸42は、第4従動ギヤ62を空転可能に支持する。出力軸42は、第4切換機構64において、第4従動ギヤ62と連結可能に構成されている。出力軸42は、第1従動ギヤ59よりもエンジン側(図1の右側)の部分にて出力駆動ギヤ65が取り付けられており、出力駆動ギヤ65と一体に回転する。なお、出力軸42は、第4切換機構64よりもエンジン側に対する反対側(図1の左側)の部分に出力駆動ギヤ65が取り付けられてもよい。
第1従動ギヤ59は、第2駆動ギヤ51によって駆動されるギヤである(図1参照)。第1従動ギヤ59は、出力軸42に空転可能に支持されている。第1従動ギヤ59は、第3切換機構63において、出力軸42と連結可能に構成されている。第1従動ギヤ59は、第2駆動ギヤ51と噛合っている。第1従動ギヤ59の径は、第3従動ギヤ61の径よりも大きく構成されている。第1従動ギヤ59は、モータジェネレータ5によるEV走行用ギヤトレーンの構成要素である。
第2従動ギヤ60は、リバースアイドラギヤ56と噛合ったときに、リバースアイドラギヤ56を介して第3駆動ギヤ52によって駆動されるギヤである(図1参照)。第2従動ギヤ60は、後退するときにリバースアイドラギヤ56と噛合い、後退以外のときにリバースアイドラギヤ56と噛合わない。第2従動ギヤ60は、第3切換機構63において出力軸42とスプライン係合するスリーブに取り付けられており、当該スリーブ及び出力軸42と一体に回転する。
第3従動ギヤ61は、第4駆動ギヤ53によって駆動されるギヤである(図1参照)。第3従動ギヤ61は、出力軸42に空転可能に支持されている。第3従動ギヤ61は、第3切換機構63において、出力軸42と連結可能に構成されている。第3従動ギヤ61は、第4駆動ギヤ53と噛合っている。第3従動ギヤ61の径は、第1従動ギヤ59の径よりも小さく構成されている。第3従動ギヤ61は、モータジェネレータ5によるEV走行用ギヤトレーンの構成要素である。
第4従動ギヤ62は、第5駆動ギヤ54によって駆動されるギヤである(図1参照)。第4従動ギヤ62は、出力軸42に空転可能に支持されている。第4従動ギヤ62は、第4切換機構64において、出力軸42と連結可能に構成されている。第4従動ギヤ62は、第5駆動ギヤ54と噛合っている。第4従動ギヤ62は、エンジン走行用ギヤトレーンの構成要素である。
第3切換機構63は、「L」側なる第1従動ギヤ59又は「L」側なる第3従動ギヤ61との係合と非係合とにより、出力軸42に対して第1従動ギヤ59又は第3従動ギヤ61を選択して連結及びその解除を切り換える機構である(図1参照)。第3切換機構63は、第1従動ギヤ59と第3従動ギヤ61との間に配されている。第3切換機構63は、ドグクラッチが用いられ、出力軸42とスプライン係合するスリーブを「L」側に移動して第1従動ギヤ59とスプライン係合することで出力軸42と第1従動ギヤ59とを連結して出力軸42と第1従動ギヤ59とを一体回転するようにする。第3切換機構63は、出力軸42とスプライン係合するスリーブを「H」側に移動して第3従動ギヤ61とスプライン係合することで出力軸42と第3従動ギヤ61とを連結して出力軸42と第3従動ギヤ61とを一体回転するようにする。第3切換機構63におけるスリーブは、第2従動ギヤ60が取り付けられており、第2従動ギヤ60と一体に回転する。第3切換機構63の切換動作は、制御装置10によって駆動制御される。
第4切換機構64はその係合及び非係合にて、出力軸42と第4従動ギヤ62との連結及びその解除とに切り換える機構である(図1参照)。第4切換機構64は、例えばドグクラッチが用いられ、出力軸42とスプライン係合するスリーブが第4従動ギヤ62とスプライン係合することで第4従動ギヤ62と出力軸42とを連結して第4従動ギヤ62と出力軸42とを一体回転するようにし、当該スリーブを第4従動ギヤ62とのスプライン係合を解除することで第4従動ギヤ62と出力軸42との連結を解除して第4従動ギヤ62と出力軸42とを相対回転可能にする。第4切換機構64の切換動作は、制御装置10によって駆動制御される。
モータジェネレータ5は、電動機として駆動するとともに発電機としても駆動する同期発電電動機である(図1参照)。モータジェネレータ5の出力軸は、入力軸46と連結され、入力軸46と一体に回転する。モータジェネレータ5は、エンジン2から自動変速機4を介して伝達された回転動力を用いて発電してバッテリ(図示せず)を充電したり、車輪7、8からシャフト66、67、差動装置6、自動変速機4を介して伝達された回転動力を用いて回生してバッテリを充電したり、バッテリからの電力を用いて回転動力を出力できる。モータジェネレータ5には、出力軸(図示せず)の回転角度を検出する回転角度センサ68、回転数センサ(図示せず)等の各種センサが内蔵されており、各種センサが制御装置10に通信可能に接続されている。モータジェネレータ5は、制御装置10によって制御される。
差動装置6は、自動変速機4の出力軸42から入力された回転動力を差動可能にシャフト66、67に伝達する装置である(図1参照)。差動装置6は、自動変速機4の出力軸42と一体に回転する出力駆動ギヤ65を有する。差動装置6は、出力駆動ギヤ65と噛合うリングギヤ69を有する。差動装置6は、リングギヤ69から入力された回転動力を、差をつけてシャフト66、67に振り分ける。シャフト66は、車輪7と一体に回転する。シャフト67は、車輪8と一体に回転する。
制御装置10は、各種センサと通信可能に接続されており、車両の所定の状況に応じて、所定のプログラム(データベース、マップ等を含む)に基づいて、エンジン2の始動や停止、メインクラッチ3の動作、切換機構57、58、63、64の切換動作、及びリバースアイドラギヤ56の移動、モータジェネレータ5の駆動、発電、回生等を制御する。
次に、図1に示した車両駆動装置1の各モードについて図面を用いて説明する。図2は、車両駆動装置1の各モードを模式的に示した表である。
[ニュートラル]
図1、図2を参照すると、自動変速機4のモードなるニュートラルでは、メインクラッチ3がON(係合)、第1切換機構57がON(係合)、第2切換機構58がH側がON(係合)、第3切換機構63がニュートラル(非係合)、第4切換機構64がOFF(非係合)、リバースアイドラギヤ56がOFF(非係合)となっている。モータジェネレータ5の回転動力を用いてエンジン2を始動する場合、及び、エンジン2の回転動力を用いてモータジェネレータ5で発電する場合には、エンジン2とモータジェネレータ5との間に、クランクシャフト2a、メインクラッチ3、入力軸41、第2切換機構58、第5駆動ギヤ54、第1切換機構57、軸49、第4駆動ギヤ53、第3駆動ギヤ52、第2駆動ギヤ51、第1駆動ギヤ50、入力アイドラギヤ48、入力駆動ギヤ47、入力軸46を経由した動力伝達経路が構成され、エンジン2及びモータジェネレータ5と差動装置6との間には動力伝達経路が構成されない。なお、第2駆動ギヤ51によって駆動される第1従動ギヤ59は、ニュートラルモードでは、モータジェネレータ5との間に、第2駆動ギヤ51、第1駆動ギヤ50、入力アイドラギヤ48、入力駆動ギヤ47、入力軸46を経由した動力伝達経路が構成されるため、モータジェネレータ5にて駆動可能である。なお、この自動変速機4のモードのニュートラルには、P(駐車)、D(ドライブ)停車の場合も含むもので、第3切換機構63はニュートラル状態であり、「H」側も「L」側も非係合に切換えられているものである。
図1、図2を参照すると、自動変速機4のモードなるニュートラルでは、メインクラッチ3がON(係合)、第1切換機構57がON(係合)、第2切換機構58がH側がON(係合)、第3切換機構63がニュートラル(非係合)、第4切換機構64がOFF(非係合)、リバースアイドラギヤ56がOFF(非係合)となっている。モータジェネレータ5の回転動力を用いてエンジン2を始動する場合、及び、エンジン2の回転動力を用いてモータジェネレータ5で発電する場合には、エンジン2とモータジェネレータ5との間に、クランクシャフト2a、メインクラッチ3、入力軸41、第2切換機構58、第5駆動ギヤ54、第1切換機構57、軸49、第4駆動ギヤ53、第3駆動ギヤ52、第2駆動ギヤ51、第1駆動ギヤ50、入力アイドラギヤ48、入力駆動ギヤ47、入力軸46を経由した動力伝達経路が構成され、エンジン2及びモータジェネレータ5と差動装置6との間には動力伝達経路が構成されない。なお、第2駆動ギヤ51によって駆動される第1従動ギヤ59は、ニュートラルモードでは、モータジェネレータ5との間に、第2駆動ギヤ51、第1駆動ギヤ50、入力アイドラギヤ48、入力駆動ギヤ47、入力軸46を経由した動力伝達経路が構成されるため、モータジェネレータ5にて駆動可能である。なお、この自動変速機4のモードのニュートラルには、P(駐車)、D(ドライブ)停車の場合も含むもので、第3切換機構63はニュートラル状態であり、「H」側も「L」側も非係合に切換えられているものである。
[HV走行(1速)]
HV走行(1速)モードでは、図2及び図3に示す様に、メインクラッチ3がON(係合)、第1切換機構57がON(係合)、第2切換機構58がL側でON(係合)、第3切換機構46がL側でON(係合)、第4切換機構64がOFF(非係合)、リバースアイドラギヤ56がOFF(非係合)となっており、エンジン2と差動装置6との間に、クランクシャフト2a、メインクラッチ3、入力軸41、第2切換機構58、第6駆動ギヤ55、第2アイドラギヤ45、中間軸43、第1アイドラギヤ44、第5駆動ギヤ54、第1切換機構57、軸49、第2駆動ギヤ51、第1従動ギヤ59、第3切換機構63、出力軸42を経由した動力伝達経路が構成され、モータジェネレータ5と差動装置6との間に、入力軸46、入力駆動ギヤ47、入力アイドラギヤ48、第1駆動ギヤ50、第2駆動ギヤ51、第1従動ギヤ59、第3切換機構63、出力軸42を経由した動力伝達経路が構成される。これにより、エンジン2にて駆動又はエンジンブレーキを行うことができ、モータジェネレータ5にて駆動又は回生を行うことができる。なお、HV(hybrid Vehicle)走行とは、エンジン2及びモータジェネレータ5の両方が駆動可能な状態で走行することをいう。
HV走行(1速)モードでは、図2及び図3に示す様に、メインクラッチ3がON(係合)、第1切換機構57がON(係合)、第2切換機構58がL側でON(係合)、第3切換機構46がL側でON(係合)、第4切換機構64がOFF(非係合)、リバースアイドラギヤ56がOFF(非係合)となっており、エンジン2と差動装置6との間に、クランクシャフト2a、メインクラッチ3、入力軸41、第2切換機構58、第6駆動ギヤ55、第2アイドラギヤ45、中間軸43、第1アイドラギヤ44、第5駆動ギヤ54、第1切換機構57、軸49、第2駆動ギヤ51、第1従動ギヤ59、第3切換機構63、出力軸42を経由した動力伝達経路が構成され、モータジェネレータ5と差動装置6との間に、入力軸46、入力駆動ギヤ47、入力アイドラギヤ48、第1駆動ギヤ50、第2駆動ギヤ51、第1従動ギヤ59、第3切換機構63、出力軸42を経由した動力伝達経路が構成される。これにより、エンジン2にて駆動又はエンジンブレーキを行うことができ、モータジェネレータ5にて駆動又は回生を行うことができる。なお、HV(hybrid Vehicle)走行とは、エンジン2及びモータジェネレータ5の両方が駆動可能な状態で走行することをいう。
なお、車両駆動装置1の各モードについては、図2に示すごとく、メインクラッチ3、第1切換機構57、第2切換機構58、第3切換機構46、第4切換機構64を係合又は非係合へと切換える制御をすることにて得られるものである。なお、図2は前進の例を示す。
次に、自動変速機14においてドグクラッチを用いた自動変速装置に関し、HV走行(1速)を得る第3切換機構63を代表して図4に基いて説明する。
ケーシング21は、ほぼ有底円筒状に形成された本体21a、本体21aの底壁である第1壁21b、および本体21a内を左右方向に区画する第2壁21cを含んで構成されている。
出力軸42はケーシング21に回転自在に支承されている。すなわち、出力軸42の一端(左端)が軸受21b1を介して第1壁21bに軸承され、出力軸42の他端(右端)側が軸受21c1を介して第2壁21cに軸承されている。出力軸42には、第1従動ギヤ59、第2従動ギヤ61が空転可能に連結され、また、出力駆動ギヤ65がスプライン嵌合等で固定されている。
入力軸41に空転可能に支持された軸49はケーシング21に回転自在に支承されている。すなわち、軸49の一端(左端)が軸受21b2を介して第1壁21bに軸承され、軸49の他端(右端)が軸受21c2を介して第2壁21cに軸承されている。軸49には、図4に示す如く、第2駆動ギヤ51、第4駆動ギヤ53がスプライン嵌合等で固定されている。
第1従動ギヤ59は、後述する第1クラッチリング23と一体的に構成され、第1クラッチリング23の外周面にヘリカルギヤにて形成されている。第3従動ギヤ61は、後述する第2クラッチリング24と一体的に構成され、第2クラッチリング24の外周面にヘリカルギヤにて形成されている。出力駆動ギヤ65は、差動装置6のリングギヤ69と噛合するものであり、外周面には、当該リングギヤ69と噛合するギヤ(ヘリカルギヤ)が形成されている。
第3切換機構63における自動変速装置は、図4および図5に示すように、クラッチハブ25と、上述した第1クラッチリング23および第2クラッチリング24(説明の都合上、いずれも本発明の第1部材に該当するとして説明する)と、スリーブ26(説明の都合上、本発明の第2部材に該当するとして説明する)と、軸動装置27と、ストロークセンサ29と、第1回転数センサ31および第2回転数センサ32と、第1クラッチリング23が有する第1ドグ歯23aおよび第2クラッチリング24が有する第1ドグ歯24aと、制御装置10と、を備えている。
クラッチハブ25は、出力軸42に、軸線回りに一体回転可能にスプライン嵌合等で固定されている。図5に示すように、クラッチハブ25の外周面には、スリーブ26の内周面に形成されているスプライン26aに、出力軸42の軸線方向に摺動可能に係合するスプライン25aが形成されている。スプライン25aは、複数(例えば2つ)の溝25a1が残りの溝より深く形成されている。複数の溝25a1は、後述するスリーブ26の複数の高歯26a1に対応するものである。
第1クラッチリング23および第2クラッチリング24は、出力軸42に遊転(回転)可能に支承されている。第1クラッチリング23および第2クラッチリング24は、クラッチハブ25の両側でクラッチハブ25と隣接して配置されている。そして、第1クラッチリング23の外周面には、第2駆動ギヤ51と噛合する第1従動ギヤ59が一体的に形成されている。第2クラッチリング24の外周面には、第4駆動ギヤ53と噛合する第3従動ギヤ61が一体的に形成されている。このようにして、第1クラッチリング23および第2クラッチリング24は、軸49と回転連結されている。
第1クラッチリング23のクラッチハブ25側の側面には、スリーブ26に形成されているスプライン26a(本発明の第2ドグ歯に相当)に係合する複数の第1ドグ歯23aが形成されている。また、第2クラッチリング24のクラッチハブ25側(スリーブ26側)の側面には、スリーブ26のスプライン26aに係合する第1ドグ歯23aと同様な第1ドグ歯24aが形成されている。
なお、第1クラッチリング23の第1ドグ歯23aは、第2クラッチリング24の第1ドグ歯24aと同一構成であるため、図5には第1クラッチリング23、クラッチハブ25およびスリーブ26を示して以下詳細に説明する。
図5に示すように、第1ドグ歯23aには、リング状の凸部23a1と、凸部23a1の外周において180度隔てて配置された2枚のクラッチ前歯23b1と、凸部23a1の外周において2枚のクラッチ前歯23b1の間に5枚ずつ等角度間隔で配置されたクラッチ後歯23c1とが形成されている。クラッチ前歯23b1およびクラッチ後歯23c1は、凸部23a1の外周に一定幅の第1ドグ歯溝23d1を空けて形成されている。従って、2枚のクラッチ前歯23b1間には、図5に示す如く、手前側の角度180度内に6個の第1ドグ歯溝23d1が設けられ、又、その奥側の角度180度内にも6個の第1ドグ歯溝23d1が形成されている。
凸部23a1は、外径がスリーブ26に形成されている第2ドグ歯なるスプライン26aの高歯26a1の内径より小さくなるように形成されている。クラッチ前歯23b1は、外径がスプライン26aの高歯26a1の内径より大きく、第2ドグ歯なるスプライン26aの低歯26b1の内径より小さくなるように形成されている。クラッチ後歯23c1は、第2ドグ歯溝なるスプライン26aのスプライン歯溝26c1と噛合可能に形成されている。すなわち、クラッチ前歯23b1は、低歯26b1とは噛み合わず、高歯26a1と噛み合い可能に形成されている。クラッチ後歯23c1は、高歯26a1および低歯26b1と噛み合い可能に形成されている。
クラッチ前歯23b1は、高歯26a1と同数枚(本例では、2枚)形成されている。スリーブ26の回転速度と第1クラッチリング23の回転速度に大きな差が生じていても、2枚の高歯26a1が2枚のクラッチ前歯23b1間に容易に入り込めるように、クラッチ前歯23b1は少歯とされている。そして、クラッチ前歯23b1は、高歯26a1と対応する位置で凸部23a1の前端面23a2から第1ドグ歯23aの後端位置Peまで軸線方向に延在して形成されている。クラッチ後歯23c1は、凸部23a1の前端面23a2から所定の距離を後退した位置からドグクラッチ部23aの後端位置Peまで軸線方向に延在して形成されている。
クラッチ前歯23b1の高歯26a1と対向する前端部には、高歯26a1と当接可能な端面23b4が形成され、さらに当該端面23b4の円周方向両側からドグクラッチ部23aの後端位置Pe側に向かって傾斜する傾斜面23b2が形成されている。クラッチ前歯23b1の端面23b4は、凸部23a1の前端面23a2と面一もしくは平行な平面状に形成されている。スリーブ26の高歯26a1および低歯26b1と対向するクラッチ後歯23c1の前端部には、高歯26a1および低歯26b1と当接可能な端面23c2が形成されている。クラッチ前歯23b1の傾斜面23b2がクラッチ前歯23b1の側面23b3と交差する位置は、クラッチ後歯23c1の端面23c2より凸部23a1の前端面23a2側となるように、クラッチ前歯23b1の傾斜面23b2は形成されている。なお、クラッチ前歯23b1の前端部の端面23b4と両傾斜面23b2の交差部は、一般的な丸み面取り(R形状)に形成されている。又、クラッチ後歯23c1は、図5に示す如く、端面23c2と、側面23c3と、端面23c2と側面23c3間に形成された傾斜面23c4を有する。
図5に示すように、スリーブ26は、クラッチハブ25と一体回転するとともにクラッチハブ25に対して軸線方向に摺動可能であり、リング状に形成されたものである。スリーブ26の内周面には、クラッチハブ25の外周面に形成されているスプライン25aに軸線方向に摺動可能に係合するスプライン26aが形成されている。スプライン26aは、複数(例えば2つ)の高歯26a1が残りの低歯26b1より歯丈が高く形成されている。高歯26a1および低歯26b1における第1クラッチリング23側の前端面26a2、26b2の両端角部は、クラッチ前歯23b1やクラッチ後歯23c1と当接したときに衝撃で破損しないように、一般的な45度面取り(C形状)に形成されている。スリーブ26は、高歯26a3が側面26a3を有し、低歯26b1は側面26b3を有する。また、スリーブ26の外周面には、周方向に沿って外周溝26dが形成されている。外周溝26dには、フォーク27aの先端円弧部が周方向に沿って摺動可能に係合する。
図4に示すように、軸動装置27は、スリーブ26を軸線方向に沿って往復動させるものであり、スリーブ26を第1クラッチリング23または第2クラッチリング24に押圧させている際に、第1クラッチリング23または第2クラッチリング24から反力が加わった場合に、スリーブ26がその反力によって移動することを許容するように構成されている。
軸動装置27は、フォーク27a、フォークシャフト27bおよび駆動装置(アクチュエータ)27cを含んで構成されている。フォーク27aの先端部は、スリーブ26の外周溝26dの外周形状にあわせて形成されている。フォーク27aの基端部は、フォークシャフト27bに固定されている。フォークシャフト27bは、ケーシング21に軸線方向に沿って摺動自在に支承されている。すなわち、フォークシャフト27bの一端(左端)が軸受21b3を介して第1壁21bに支承され、フォークシャフト27bの他端(右端)側が軸受21c3を介して第2壁21cに支承されている。フォークシャフト27bの他端部は、駆動装置27cを貫通して配設されている。
駆動装置27cは、リニアモータを駆動源とするリニア駆動装置であり、リニアモータとしては、特開2008−259413号公報に記載されているものを採用すればよい。すなわち、リニア駆動装置27cは、複数のコイル(図示略)が軸線方向に沿って並設されて円筒状のコア(図示略)が形成され、その貫通穴を貫通しているフォークシャフト27bに複数のN極磁石とS極磁石(図示略)を交互に並設することで構成されている。各コイルへの通電を制御することで、フォークシャフト27bを往復動させることも、任意の位置に位置決め固定させることも可能である。駆動装置27cは、図4の破線に示すように、制御装置10に電気接続され、制御装置10からの指令によって作動される。
なお、本実施形態では、駆動装置としてリニア駆動装置を採用したが、これに限るものではない。例えば、スリーブ26を、第1クラッチリング23または第2クラッチリング24に所定の荷重で押圧している際に、第1クラッチリング23または第2クラッチリング24から反力が加わった場合、スリーブ26がその反力によって移動することを許容するように構成されているものであれば、他の駆動装置であるソレノイド式駆動装置や油圧
式駆動装置でもよい。また、回転駆動するモータの動きを直線方向の動きに変換する駆動装置でもよい。
式駆動装置でもよい。また、回転駆動するモータの動きを直線方向の動きに変換する駆動装置でもよい。
図4に示すように、ストロークセンサ29は、フォークシャフト27bの近傍に配置され、フォークシャフト27bの移動量、即ちスリーブ26の軸線方向の移動量Sdを検出する。ストロークセンサ29は、制御装置10に接続され、検出データを制御装置10に送信している(図4破線参照)。ストロークセンサ29の構造は、どのようなものでもよい。
図4に示すように、第1回転数センサ31は、出力軸42の近傍に配置され、出力軸42の回転数、即ちスリーブ26の回転数Nsを検出する。第1回転数センサ31は、制御装置10に接続され、検出データを制御装置10に送信している(図4破線参照)。第2回転数センサ32は、図4に示すように、軸49の近傍に配置されるとともに、制御装置10に接続され、検出データを制御装置10に送信している(図4破線参照)。制御装置10では、第2回転数センサ32にて検出した軸43の回転数から第2駆動ギヤ51と第1従動ギヤ59とのギヤ比に基いて演算して、第1クラッチリング23の回転数Ncを得る。なお、第1回転数センサ31および第2回転数センサ32はどのような構造のものでもよい。
制御装置10は、軸動装置27が有する駆動装置27cに指令信号を送信してフォークシャフト27bを作動させる。これにより、フォークシャフト27bに連結されるフォーク27aを介して、スリーブ26を軸線方向に往復動させ、スリーブ26と第1クラッチリング23との係脱を制御する。
また、制御装置10は、各切換機構57、58、63、64における係合、非係合の制御を行うもので、以下、第3切換機構63の「L」側に係る制御を代表して説明する。なお、第1クラッチリング23と記載し、説明する部分の作用等は全て第2クラッチリング24にも同様に適用できるので、第1クラッチリング23のみについて説明を行い、第2クラッチリング24についての説明は省略する。
制御装置10は、第3切換機構63の「L」側なる第1クラッチリング23とスリーブ26とが非係合となる直前における第1クラッチリング23の位相位置を記憶する位相位置記憶部10aと、第1クラッチリング23とスリーブ26とを係合させる時に、第1クラッチリング23を記憶した位相位置へと駆動用モータなるモータジェネレータ5を介して制御する位相位置制御部10bとを有する。
制御装置10の位相位置記憶部10a及び位相位置制御部10bは、主にソフトウエアにて構成され、その作動を図7乃至図9に示すフローチャートに基いて説明する。第3切換機構63の「L」側なる第1クラッチリング23とスリーブ26とを非係合とする第3切換機構63「L」側非係合制御は、図7に示す如く、ステップS11の車両停止確認にて開始される。車両停止確認は車両が停止していることを確認するもので、例えば、車輪速センサ(図示略)の出力にて確認できる。なお、車両停止確認は、スリーブ26の回転数Nsを検出する第1回転数センサ31の出力及び第1クラッチリング23の回転数Ncを検出する第2回転数センサ32の出力にても、可能である。
次いで、ステップS12にて、自動変速機4のモードがHV走行(1速)を確認する。なお、HV走行(1速)は、自動変速機4のモードにおける第1速の一つに該当する。HV走行(1速)のモードでは、メインクラッチ3、第1切換機構57、第2切換機構58の「L」側及び第3切換機構63の「L」側が係合した状態にあり、第1クラッチリング23は第3切換機構63の「L」側、第1従動ギヤ59、第2駆動ギヤ51、軸49、第1駆動ギヤ50、入力アイドラギヤ48、入力駆動ギヤ47、入力軸46を介してモータジェネレータ5と連結された状態にある。又、HV走行(1速)のモードでは、第1クラッチリング23はスリーブ26と噛み合った状態にある。
次いで、ステップS13にて、自動変速機4のモードをニュートラルとするニュートラル指令が発せられる。
次いで、ステップS14にて、第1クラッチリング23とスリーブ26とが係合しているか判定するために、ストロークセンサ29にて検出されるスリーブ26の移動量Sdが閾値Sd1を越えているか判定する。移動量Sdが閾値Sd1を越えていれば、第1クラッチリング23とスリーブ26とが係合した状態に、ステップS15に進む。また、移動量Sdが閾値Sd1を超えていなければ、この判定が繰り返される。
ステップS15では、後述の第1クラッチリング23の位置確定処理が行なわれる。そして、ステップS16にて、演算された第1クラッチリング23の位置Pzを記憶する。
次いで、ステップS17にて、ニュウートラル指令に基き、第3切換機構63の「L」側即ち第1クラッチリング23とスリーブ26とを軸動装置27の作動にて非係合に切換える。また、第2切換機構58の「L」側も非係合に切換える。自動変速機4のニュートラルのモードでは、メインクラッチ3、第1切換機構57、第2切換機構58の「H」側が係合した状態となる。一方、第3切換機構63の「H側」、「L」側及び第4切換機構64が非係合な状態であるため、エンジン2及びモータジェネレータ5と差動装置6との間には動力伝達経路が構成されない。なお、第1クラッチリング23は、モータジェネレータ5との間に、第1従動ギヤ59、第2駆動ギヤ51、軸49、第1駆動ギヤ50、入力アイドラギヤ48、入力駆動ギヤ47、入力軸46を経由した動力伝達経路が構成されるため、モータジェネレータ5にて駆動可能である。この様にして、第3切換機構63「L」側非係合制御は終了する。
次いで、ステップS15にて実行される第1クラッチリング23位置確定処理にかかる第1クラッチリング23位置確定処理制御の作動を図8に示すフローチャートに基いて説明する。ステップS15aにて、モータジェネレータ5を正回転させる。車両は停止した状態にあり、自動変速機4のモードはHV走行(1速)にある。第1クラッチリング23は、前述の説明の如く、モータジェネレータ5と連結された状態にある。又、スリーブ26はクラッチハブ25、出力軸42、出力駆動ギヤ65、リングギヤ69、差動装置6、シャフト66、67を介して車輪7及び車輪8と連結されている。従って、第1クラッチリング23もモータジェネレータ5の正回転に対応して図6の矢印A方向に回転し、クラッチ後歯23c1は、スリーブ26のスプライン歯溝26c1内を矢印A方向に回転する。
次に、ステップS15bにて、所定周期にて、モータジェネレータ5の回転角度を所定周期毎に、回転角度センサ68にて検出することにより、第1クラッチリング23の今回位置P1と前回位置P2との差が所定の閾値D0以下かどうかを判定する。即ちステップS15では、第1クラッチリング23のクラッチ後歯23c1の正転側におけるスリーブ26のスプライン歯溝26c1とのバックラッシュなる遊び量mの演算を行うもので、第1クラッチリング23の今回位置P1と前回位置P2との差が所定の閾値D0以下になった時が、第1クラッチリング23のスリーブ26に対する正転側の位相位置Pxとなる。この遊び量mの演算の際には、クラッチ後歯23c1の側面23c3がスリーブ26の低歯26b1の側面26b3の側面に当接することになるが、スリーブ26は、停止状態にある車輪7、8に連結されているため、スリーブ26は静止状態を保ち、回転角度は変化しない。なお、第1クラッチリング23は、モータジェネレータ5とは第1従動ギヤ59、第2駆動ギヤ51、軸49、第1駆動ギヤ50、入力アイドラギヤ48、入力駆動ギヤ47、入力軸46を介して連結関係にあるため、回転角度センサ68にて検出されたモータジェネレータ5の回転角度とこの連結関係に基いて、第1クラッチリング23のスリーブ26に対する正転側の位相位置Pxを演算することができる。
次いで、ステップS15cに進み、第1クラッチリング23のスリーブ26に対する正転側の位相位置Pxを記憶する。
次に、ステップS15dにて、モータジェネレータ5を逆回転させる。第1クラッチリング23もモータジェネレータ5の逆回転に対応して図6の反矢印A方向に回転し、クラッチ後歯23c1は、スリーブ26のスプライン歯溝26c1内を反矢印A方向に回転する。
次に、ステップS15eにて、所定周期にて、モータジェネレータ5の回転角度を所定周期毎に、回転角度センサ68にて検出することにより、第1クラッチリング23の今回位置P3と前回位置P4との差が所定の閾値D2以下かどうかを判定する。即ちステップS15では、第1クラッチリング23のクラッチ後歯23c1の逆転側におけるスリーブ26のスプライン歯溝26c1とのバックラッシュなる遊び量nの演算を行うもので、第1クラッチリング23の今回位置P3と前回位置P4との差が所定の閾値D2以下になった時が、第1クラッチリング23のスリーブ26に対する逆転側の位相位置Pyとなる。この遊び量nの演算の際には、クラッチ後歯23c1の側面23c3がスリーブ26の低歯26b1の側面26b3の側面に当接することになるが、スリーブ26は、停止状態にある車輪7、8に連結されているため、スリーブ26は静止状態を保ち、回転角度は変化しない。
次いで、ステップS15fに進み、第1クラッチリング23のスリーブ26に対する逆転側の位相位置Pyを記憶する。
次いで、ステップS15gに進み、第1クラッチリング23のスリーブ26に対する正転側の位相位置Pxと第1クラッチリング23のスリーブ26に対する逆転側の位相位置Pyとの中点Pzを演算する。この様にして、第1クラッチリング23位置確定処理制御は終了する。
次に、第3切換機構63の「L」側なる第1クラッチリング23とスリーブ26とを係合とする第3切換機構63「L」側係合制御を、図9に示すフローチャートに基いて説明する。第3切換機構63「L」側係合制御は、ステップS21の車両発進―ドグ噛合指令が出されたどうかの判定にて開始される。車両発進―ドグ噛合指令が出された場合には、ステップS22に進む。車両発進―ドグ噛合指令が出されていない場合は、このステップS12の判定が繰り返される。
次いで、ステップS22に進み、車両停止確認を行う。車両停止確認は車両が停止していることを確認するもので、例えば、車輪速センサ(図示略)の出力にて確認できる。なお、車両停止確認は、スリーブ26の回転数Nsを検出する第1回転数センサ31の出力及び第1クラッチリング23の回転数Ncを検出する第2回転数センサ32の出力にても、可能である。
次いで、ステップS23に進み、自動変速機4のモードがニュートラルであることを確認する。自動変速機4のニュートラルのモードでは、メインクラッチ3と、第1切換機構57及び第2切換機構58の「H」側とが係合した状態であるため、第1クラッチリング23は、モータジェネレータ5との間に、第1従動ギヤ59、第2駆動ギヤ51、軸49、第1駆動ギヤ50、入力アイドラギヤ48、入力駆動ギヤ47、入力軸46を経由した動力伝達経路が構成されるため、モータジェネレータ5にて駆動可能である。
次いで、ステップS24に進み、第1クラッチリング23を記憶位置Pzへモータジェネレータ5にて移動させる。記憶位置Pzは、前述の如く、第1クラッチリング23のスリーブ26に対する正転側の位相位置Pxと第1クラッチリング23のスリーブ26に対する逆転側の位相位置Pyとの中点であるため、第1クラッチリング23のクラッチ後歯23c1は、スリーブ26のスプライン溝26c1の周方向中心に位置することなり、第1クラッチリング23のクラッチ後歯23c1は、スリーブ26のスプライン溝26c1に最も入り込み易い状態とされる。
次いで、ステップS25にて、第1クラッチリング23は記憶位置Pzであるかどうかの判定が行われ、第1クラッチリング23が記憶位置Pzである場合には、ステップS26に進む。なお、第1クラッチリング23が記憶位置Pzでない場合は、ステップS24に戻り、第1クラッチリング23を記憶位置Pzへモータジェネレータ5にて移動させる。
次いで、ステップS26にて、車両発進させるべく自動変速機4をHV走行(1速)のモードにするために、第3切換機構63の「L」側を係合へと切換える。第3切換機構63の「L」側の係合は、軸動装置27にて、ドグクラッチを構成するスリーブ26を第1クラッチリング23に噛み合わせることにて実現できる。
上述の如く、本発明の実施形態による車両用自動変速機の自動変速装置によれば、複数の第1ドグ歯23aを有し、相隣り合う該第1ドグ歯23a間に設けられた第1ドグ歯溝23d1を有するとともに駆動用モータ5と駆動的に連結された第1部材23と、第1ドグ歯溝23d1に係合可能な複数の第2ドグ歯26aと、各第1ドグ歯23aが係合可能な複数の第2ドグ歯溝26c1とを有するととともに自動変速機4の出力軸42と駆動的に連結された第2部材26と、第1部材23と第2部材26が同軸上で回転し、第1部材23及び第2部材26の一方に推力を加えて第1部材23と第2部材26とを係合させる軸動装置27と、軸動装置27を作動させ第1部材232と第2部材26との係合及び非係合を制御する制御装置10と、を備えた車両用自動変速機の自動変速装置であって、制御装置10は、第1部材23と第2部材26とが非係合となる直前における第1部材23の位相位置Pzを記憶する位相位置記憶部10aと、第1部材23と第2部材26とを係合させる時に、第1部材23を記憶した位相位置Pzへと駆動用モータ5を介して制御する位相位置制御部10bとを有する構成であるので、第1部材23と前記第2部材26との非係合の直前における第1部材23の位相位置Pzを記憶していることから、第1部材23と第2部材26とを係合させる時に、その記憶した位相位置Pzへ第1部材23を駆動用モー5タによる駆動にて復帰させることにより、停車中の如く、第1部材23と第2部材26との回転数差がない状態でも、第1部材23と前記第2部材26とを係合させることができる。
上述の如く、本発明の実施形態による車両用自動変速機の自動変速装置によれば、第1部材23と第2部材26は、車両を発進させる変速段(HV走行の1速)の動力伝達経路を構成するので、停車中につき、第1部材23が非回転状態であっても、第1部材23と第2部材26とを係合させることができる。
上述の如く、本発明の実施形態による車両用自動変速機の自動変速装置によれば、本発明の実施形態による車両用自動変速機の自動変速装置によれば、車両を発進させる変速段は、第1速(HV走行の1速)とした構成であるので、車両はスムーズに発進できる。
上述の如く、位相位置Pzは、第1ドグ歯23aの第2ドグ歯溝26c1内における円周方向の中点とするので、第2ドグ歯溝26c1内における第1ドグ歯のバックラッシュなる隙間を考慮されて、第1ドグ歯23aは、第2ドグ歯溝26c1内における円周方向の中心に位置合わせされるため、第1ドグ歯23aは第2ドグ歯溝23c1内に入り易く、第1部材23と第2部材26との係合は容易となる。
上述の如く、本発明の実施形態による車両用自動変速機の自動変速装置によれば、第1ドグ歯23aの第2ドグ歯溝23c1内における円周方向の中点は、駆動用モータ5を正転及び逆転させて演算する構成であるので、当該中点をより正確に求めることができる。
上述の如く、本発明の実施形態による車両用自動変速機の自動変速装置によれば、位相位置Pzは駆動用モータ5が備えた回転角度センサ68の出力に基いて演算する構成であるので、位相位置Pzを演算するために特別なセンサを必要としないため、構造簡単化ができる。
上述の如く、本発明の実施形態による車両用自動変速機の自動変速装置によれば、第2部材26はスリーブ26であり、第2ドグ歯26aは低歯26b1より歯丈が高く形成された複数の高歯26a1を有し、第1部材23はクラッチリング23であり、第1ドグ歯23aは高歯26a1と対応する位置で軸線方向に延在して形成されるとともに外径が高歯26a1の内径より大きく低歯26b1の内径より小さく高歯26a1と同数枚のクラッチ前歯23b1と、クラッチ前歯23b1から所定量後退した位置から軸線方向に延在して形成されるとともにクラッチ前歯23b1間に複数形成されたクラッチ後歯23c1とを有する構成であるので、第1部材23と第2部材26との間に差回転がある場合にも、スリーブ26の高歯26a1が、クラッチリング23のクラッチ前歯23b1に当接して位相合わせを行うことができる。
なお、複数の実施の形態が存在する場合、特に記載がある場合を除き、各々の実施の形態の特徴部分を適宜組合せることが可能であることは、明らかである。
4:自動変速機
5:モータジェネレータ
10:制御装置
10a:位相位置記憶部
10b:位相位置制御部
26:スリーブ(第2部材)
23:第1クラッチリング(第1部材)
23a:第1ドグ歯
23a1:クラッチ前歯
23c1:クラッチ後歯
23d1:第1ドグ歯溝
24:第2クラッチリング(第1部材)
24a:第1ドグ歯
25:クラッチハブ
26:スリーブ(第2部材)
26a:スプライン(第2ドグ歯)
26a1:高歯(第2ドグ歯)
26b1:低歯(第2ドグ歯)
26c1:スプライン歯溝(第2歯溝)
27:軸動装置
29:ストロークセンサ
41:入力軸
42:出力軸
68:回転角度センサ
5:モータジェネレータ
10:制御装置
10a:位相位置記憶部
10b:位相位置制御部
26:スリーブ(第2部材)
23:第1クラッチリング(第1部材)
23a:第1ドグ歯
23a1:クラッチ前歯
23c1:クラッチ後歯
23d1:第1ドグ歯溝
24:第2クラッチリング(第1部材)
24a:第1ドグ歯
25:クラッチハブ
26:スリーブ(第2部材)
26a:スプライン(第2ドグ歯)
26a1:高歯(第2ドグ歯)
26b1:低歯(第2ドグ歯)
26c1:スプライン歯溝(第2歯溝)
27:軸動装置
29:ストロークセンサ
41:入力軸
42:出力軸
68:回転角度センサ
Claims (7)
- 複数の第1ドグ歯を有し、相隣り合う該第1ドグ歯間に設けられた第1ドグ歯溝を有するとともに駆動用モータと駆動的に連結された第1部材と、
前記第1ドグ歯溝に係合可能な複数の第2ドグ歯と、前記各第1ドグ歯が係合可能な複数の第2ドグ歯溝とを有するととともに自動変速機の出力軸と駆動的に連結された第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材が同軸上で回転し、前記第1部材及び前記第2部材の一方に推力を加えて前記第1部材と前記第2部材とを係合させる軸動装置と、
前記軸動装置を作動させ前記第1部材と前記第2部材との係合及び非係合を制御する制御装置と、を備えた車両用自動変速機の自動変速装置であって、
前記制御装置は、前記第1部材と前記第2部材とが非係合となる直前における前記第1部材の位相位置を記憶する位相位置記憶部と、前記第1部材と前記第2部材とを係合させる時に、前記第1部材を記憶した前記位相位置へと前記駆動用モータを介して制御する位相位置制御部とを有する車両用自動変速機の自動変速装置。 - 前記第1部材と前記第2部材は、車両を発進させる変速段の動力伝達経路を構成する請求項1に記載の車両用自動変速機の自動変速装置。
- 前記車両を発進させる変速段は、第1速とした請求項2に記載の車両用自動変速機の自動変速装置。
- 前記位相位置は、前記第1ドグ歯の前記第2ドグ歯溝内における円周方向の中点とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の車両用自動変速機の自動変速装置。
- 前記第1ドグ歯の前記第2ドグ歯溝内における円周方向の中点は、前記駆動用モータを正転及び逆転させて演算する請求項4に記載の車両用自動変速機の自動変速装置。
- 前記位相位置は前記駆動用モータが備えた回転角度センサの出力に基いて演算する請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の車両用自動変速機の自動変速装置。
- 前記第2部材はスリーブであり、前記第2ドグ歯は低歯より歯丈が高く形成された複数の高歯を有し、前記第1部材はクラッチリングであり、前記第1ドグ歯は前記高歯と対応する位置で前記軸線方向に延在して形成されるとともに外径が前記高歯の内径より大きく前記低歯の内径より小さく前記高歯と同数枚のクラッチ前歯と、前記クラッチ前歯から所定量後退した位置から前記軸線方向に延在して形成されるとともに前記クラッチ前歯間に複数形成されたクラッチ後歯とを有する請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の車両用自動変速機の自動変速装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013160360A JP2015031328A (ja) | 2013-08-01 | 2013-08-01 | 車両用自動変速機の自動変速装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013160360A JP2015031328A (ja) | 2013-08-01 | 2013-08-01 | 車両用自動変速機の自動変速装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015031328A true JP2015031328A (ja) | 2015-02-16 |
Family
ID=52516822
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013160360A Pending JP2015031328A (ja) | 2013-08-01 | 2013-08-01 | 車両用自動変速機の自動変速装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015031328A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018123392A1 (ja) * | 2016-12-27 | 2018-07-05 | アイシン・エーアイ株式会社 | 動力伝達制御装置 |
WO2022239825A1 (ja) * | 2021-05-14 | 2022-11-17 | 株式会社アマダ | 減速機構制御システム、減速機構制御プログラム、およびサーボシステム |
WO2022270170A1 (ja) * | 2021-06-25 | 2022-12-29 | 株式会社小松製作所 | 作業機械の変速システム |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009210108A (ja) * | 2008-03-06 | 2009-09-17 | Toyota Motor Corp | 車両の制御装置 |
JP2010096190A (ja) * | 2008-10-14 | 2010-04-30 | Daihatsu Motor Co Ltd | かみ合い式クラッチ装置 |
JP2013122298A (ja) * | 2011-12-12 | 2013-06-20 | Toyota Motor Corp | 動力伝達装置 |
-
2013
- 2013-08-01 JP JP2013160360A patent/JP2015031328A/ja active Pending
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009210108A (ja) * | 2008-03-06 | 2009-09-17 | Toyota Motor Corp | 車両の制御装置 |
JP2010096190A (ja) * | 2008-10-14 | 2010-04-30 | Daihatsu Motor Co Ltd | かみ合い式クラッチ装置 |
JP2013122298A (ja) * | 2011-12-12 | 2013-06-20 | Toyota Motor Corp | 動力伝達装置 |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018123392A1 (ja) * | 2016-12-27 | 2018-07-05 | アイシン・エーアイ株式会社 | 動力伝達制御装置 |
JP2018105438A (ja) * | 2016-12-27 | 2018-07-05 | アイシン・エーアイ株式会社 | 動力伝達制御装置 |
WO2022239825A1 (ja) * | 2021-05-14 | 2022-11-17 | 株式会社アマダ | 減速機構制御システム、減速機構制御プログラム、およびサーボシステム |
WO2022270170A1 (ja) * | 2021-06-25 | 2022-12-29 | 株式会社小松製作所 | 作業機械の変速システム |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8771143B2 (en) | Hybrid power drive system | |
US10086841B2 (en) | Control apparatus for transmission | |
EP2530356B1 (en) | Vehicle drive system | |
JP5641610B2 (ja) | 手動変速機 | |
JP4029875B2 (ja) | 車両の制御装置 | |
JP5907676B2 (ja) | 手動変速機 | |
JP2014149020A (ja) | 自動変速機用ドグクラッチ制御装置 | |
JP2014144666A (ja) | 車両駐車装置および車両の駐車方法 | |
JPWO2012127656A1 (ja) | 車両用駆動装置 | |
JP2015140127A (ja) | ハイブリッド車両用変速機 | |
WO2016194195A1 (ja) | ハイブリッド車両の発進制御装置 | |
JP5160859B2 (ja) | ハイブリッド車両用走行駆動システム | |
JP2015031328A (ja) | 車両用自動変速機の自動変速装置 | |
WO2013008855A1 (ja) | 手動変速機 | |
JP5801068B2 (ja) | 手動変速機 | |
US10293811B2 (en) | Hybrid vehicle power generation control device | |
JP5815988B2 (ja) | 手動変速機 | |
JP6109581B2 (ja) | 車両の動力伝達制御装置 | |
JP2009001120A (ja) | 動力伝達装置 | |
JP5367445B2 (ja) | 車両の動力伝達制御装置 | |
JP6017324B2 (ja) | 車両の動力伝達制御装置 | |
JP2014136495A (ja) | 車両の動力伝達制御装置 | |
JP2013190063A (ja) | ドグクラッチを備えた自動変速機 | |
JP2014097689A (ja) | ハイブリッド車の動力伝達装置 | |
JP5712938B2 (ja) | 車両の変速機制御装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20160707 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20170526 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170627 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20180109 |