JP2015030927A - 機能性壁紙およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このような機能性を付与する方法としては、機能性を発揮する機能性材料を表面に塗布し機能層を形成したり、機能性を有するフィルムを表面にラミネートする方法が採られている。
特許文献1の化粧シートでは、基材上に少なくとも、着色層と、この着色層を被覆する浸透層と、この浸透層上に多数の第1の盛上部から形成された第1盛上層と、この第1盛上層上に多数の第2盛上部から形成された第2盛上層とが順に積層された化粧シートであって、第2盛上部を含む最表面に表面保護層を設けるようにしており、具体的な塗布方法としてグラビア印刷を推奨することが開示されている。
また、特許文献2の意匠表現及び表面特性に優れた積層壁紙の製造方法では、紙質基材表面に熱分解型の発泡剤を含むペースト状塩化ビニル樹脂組成物をロータリースクリーン印刷により塗布したのち、発泡剤の熱分解温度以下で加熱乾燥させて、その上に機能性を付与するための水性ウレタン樹脂組成物を塗布して発泡剤の熱分解温度以下で加熱乾燥したのち、最後に発泡剤の熱分解温度以上に加熱して熱分解型の発泡剤を発泡させるようにしている。
特許文献1の機能性材料の塗布方法は、グラビア印刷で行うため前記現存する従来品と同様であり、表面に凹凸形状を有する壁紙に対して、凹凸形状における凸部の頂部にしか機能性材料を塗布することができないという問題がある。
また、特許文献2のロータリースクリーン印刷により製造した壁紙において、発泡前の比較的凹凸形状の緩やかな状態で表面に表面保護層(機能層)を塗布することで、均一に塗布することができるとしているものの、該製造方法では、塩化ビニル樹脂組成物を発泡させる際に、既に形成されている表面保護層が発泡を抑制してしまい凹凸形状が鮮明に表現できないという問題が生じたり、充分に発泡した場合であっても、該発泡によって表面保護層にひび割れなどの欠損が生じてしまい、表面保護層の効果を充分に発揮することができなかったり、更には機能層を形成するための処理剤として、耐熱性が発泡温度より低いものを用いた場合、発泡工程において、熱劣化による変色による外観の悪化や性能の低下等の問題がある。
さらに、機能性フィルムをラミネートする方法は、意匠を印刷層やエンボスによる凹凸形状で表現する壁紙に用いられる技術であり、発泡前から既に、ある程度凹凸形状を有する壁紙には密着性などの問題から通常適用されていない。また、機能性フィルムをラミネートをする方法では、発泡層と機能性フィルムとの間の空気を抜く必要があるため針エンボスを施すため、機能性フィルムに針エンボスによって多数の針穴が形成され、針穴部分に汚れが入り込み、もしくは意図しない接触時に角や爪等がひっかかりやすくなり、防汚性や耐傷性等の機能性を充分に発揮することができないという問題がある。
このような凹凸形状を有する壁紙では、凹部に汚れなどが溜まり易く、外観や衛生面の悪化の原因となったり、物をぶつけた際等に、凹凸形状における頂部を除く凸部の側面部分及び凹部に角や爪等が引っ掛かって傷が付き易いということが分かり、特に壁紙表面の凹凸形状における凹部に機能性材料を塗布することで、防汚性、耐傷性などの機能性を良好に付与することが可能であることを知見し、本発明を完成したものである。
また、壁紙の表面の凹凸形状を鮮明にするには、機能性材料を塗布する前に発泡やエンボス加工等の凹凸形状の形成工程を完了しておくことが有効であり、壁紙の製造における最終工程で機能性を付与することが有効であることを知見し、本発明を完成したものである。
前記機能層が、少なくとも前記凹凸形状における凹部に存在することを特徴とするものである。
(2)また、前記機能層は、前記装飾層の表面に凹凸形状を設けた後に機能性材料を塗布し、構成することが好ましい。
(3)更に、前記機能性材料の塗布方法としては、リバースロールコーター、ナチュラルロールコーター、スポンジロールコーター、スプレーコーターのいずれかによって塗布し、前記機能層を形成することが好ましい。
前記装飾層の表面に凹凸形状を形成した後に、機能性材料を塗布し、前記凹凸形状における少なくとも凹部に機能層を形成するようにしたことを特徴とするものである。
(5)前記機能性材料の塗布方法としては、リバースロールコーター、ナチュラルロールコーター、スポンジロールコーター、スプレーコーターのいずれかによって塗布し、前記機能層を形成することが好ましい。
また、前記機能層は凹凸形状の形成後に機能性材料を塗布して構成することで、機能層による発泡の抑制がなく、鮮明な凹凸形状を形成することができる。
更に、前記機能性材料の塗布方法において、リバースロールコーター、ナチュラルロールコーター、スポンジロールコーター、スプレーコーターのいずれかの方法をとることによって、鮮明な凹凸形状を形成した後であっても、該凹凸形状における凹部へ機能性樹脂を塗布することができ、発泡性樹脂の発泡温度以下の耐熱温度を持つ機能性材料を塗布することが可能であり、充分な機能性を確保した機能性壁紙を製造することができる。
ここで、本発明における壁紙表面上の凹部とは、装飾層に存在する隣り合う凸部間の谷部のみではなく、凸部を形成し、互いに接触している盛り上がり部同士の間に存在する凹み部も含んでいる。
本発明の機能性壁紙3は、例えば図1(c)に示すように、基材シート11と、発泡して表面に凹凸形状を有した装飾層12と、装飾層12の表面の凹凸形状の凹部12aと凸部12bのうち少なくとも凹部12aに機能性を付与する機能性材料によって形成された機能層14とを有して構成されている。
したがって、この機能性壁紙3は基材シート11、装飾層12、および装飾層12の凹凸形状における隣り合う凸部同士間に形成される凹部及び凸部を形成する互いに接触し合う凸部間に存在する凹み部(以下、凸部間及び凸部上に存在する凹部12aと記載)12aに設けた機能層14で構成されている。
また、機能層14,24は装飾層12,22の表面の凹凸形状のうち少なくとも凸部間及び凸部上に存在する凹部12a,22aに形成できれば良く、凹部12a,22a及び凸部12b,22bの両方に機能層14,24を形成する方がより好ましい。
塗布する機能性材料の粘度や目付け量等は壁紙表面の凹凸形状によって適宜設定する。
また、この機能性壁紙3,6では、基材シート11,21上に装飾層12を発泡、もしくは装飾層22を発泡させ、絵柄層23上からエンボス加工を施して凹凸形状を形成した後に、機能層14,24を形成することで、鮮明な凹凸形状を形成することができるとともに、良好な機能性を確保することができる。
さらに、この機能性壁紙3,6によれば、前記凹凸形状を形成した後に、機能層14,24を形成するようにしたので、機能層14,24によって発泡が抑制されるなどの影響を与えることがなく、所望の発泡倍率を確保することもでき、且つ発泡による機能層14,24の損傷も起こらず、また、発泡過程の高温に晒されることもないため、耐熱性の低い機能性材料を使用できないなどの制限がなく、幅広い種類の機能性材料を使用することができる。
実施例および比較例では、壁紙に付与する機能性に応じて、製造した機能性壁紙に対し、撥水性試験、防汚性試験、表面強度試験を行うとともに、発泡倍率について測定した。
撥水性試験は、JAPAN TAPPI紙パルプ試験法の「紙及び板紙−はっ水性試験方法」に準じた。
防汚性試験は、壁紙製品規格協議会制定「汚れ防止壁紙性能規定」に準じた。
機能層の熱変色(熱劣化)は、製造した機能性壁紙を目視にて観察した。機能層に変色が無く良好な外観のものは「○」とし、機能層に変色が見られたものは「×」とした。
表面強度試験は、壁紙製品規格協議会制定「表面強化壁紙性能規定」に準じた。
発泡倍率は、発泡前の壁紙の厚みを基準値とし、機能性を付与し発泡後の壁紙の厚みを測定して計算で求めた。
本発明における実施例及び比較例では以下の素材を用い、且つ表1及び表2に記載の構成とし、各評価を行った。以下に詳細を説明する。
実施例及び比較例に用いた壁紙素材としては、
裏打紙(基材シート):75g/m2普通紙
装飾層(発泡樹脂層):ポリ塩化ビニル系樹脂組成物
といった従来から使用されている壁紙の素材を用い、以下の方法で製造した。
・壁紙製法
[ロータリースクリーン印刷(RSP法)]
裏打紙の片面に発泡基材層としてポリ塩化ビニル系樹脂組成物をコートし、その後、装飾層となる盛り上がりとして更にポリ塩化ビニル系樹脂組成物をコートする。その後225℃の発泡オーブンで約37秒間加熱して各層を発泡させ、表面に凹凸形状を有する壁紙を得た。
[グラビアエンボス印刷(GPE法)]
裏打紙の片面の装飾層としてポリ塩化ビニル系樹脂組成物をコートし、その後、絵柄層としてインクをコートする。230℃の発泡オーブンで約45秒間加熱して装飾層を発泡させ、エンボス加工を施して表面に凹凸形状を有する壁紙を得た。
・処理剤(機能性材料)
(A):ポリウレタン系機能性塗料
(B):アクリル系機能性塗料
・塗布工程
壁紙素材への上記処理剤の塗布工程としては、装飾層の発泡の前又は凹凸形状を形成した後の二通りを行った。尚、前記凹凸形状の形成とは、壁紙素材の製造方法が、ロータリースクリーン印刷(RSP法)であれば装飾層の発泡工程を指し、グラビアエンボス印刷(GPE法)であれば装飾層を発泡させた後のエンボス加工を施す工程を意味する。
・塗布方法
機能性材料の塗布方法としては、リバースロールコーター、ナチュラルロールコーター、グラビア印刷のいずれかにて行った。
表1に示すように、ロータリースクリーン印刷(RSP法)にて製造した壁紙素材を用い、機能性材料として処理剤(A)を壁紙表面に凹凸形状付与後にリバースロールコーターにて塗布した。
処理剤の塗布方法にナチュラルロールコーターを用いたこと以外、実施例1と同様である。
グラビアエンボス印刷(GPE法)にて製造した壁紙を用いた以外、前記実施例1と同様である。
グラビアエンボス印刷(GPE法)にて製造した壁紙を用いた以外、前記実施例2と同様である。
機能性材料として処理剤(B)を用い、前記実施例1〜実施例4と同様の検討を行った。
壁紙表面に凹凸形状を付与する前に処理剤を塗布したこと以外、実施例2と同様である。
処理剤の塗布方法としてグラビア印刷にて塗布したこと以外、比較例1と同様である。
グラビアエンボス印刷(GPE法)にて製造した壁紙を用いたこと以外、比較例1と同様である。
グラビアエンボス印刷(GPE法)にて製造した壁紙を用いたこと以外、比較例2と同様である。
表面凹凸形成後に処理剤をグラビア印刷にて塗布したこと以外、比較例2と同様である。
機能性材料(B)を用い、前記比較例1〜比較例5と同様の検討を行った。
ロータリースクリーン印刷(RSP法)を用いて製造した処理剤を塗布していない壁紙素材である。
<参考例2>
グラビアエンボス印刷(GPE法)を用いて製造した処理剤を塗布していない壁紙素材である。
比較例2は、装飾層の発泡(壁紙表面に凹凸形状形成)前にグラビア印刷によって処理剤を塗布したため、処理剤の塗布量が少なく、また、壁紙素材がロータリースクリーン印刷(RSP法)で製造されたものを用いているため、装飾層の発泡前から壁紙表面に発泡後に模様となる多少の凹凸形状を有しており、処理剤が該凹凸形状における凸部の頂部にのみに塗布されたため、該凸部の発泡が抑制され、鮮明な意匠性が得られなかった。また、前述の通り機能層は凸部の頂部のみに形成されたため、良好な機能性を得られなかった。更に、装飾層の発泡の際、高温に晒されたため、機能層が熱変色を起こし、外観も悪いものとなった。また、装飾層の発泡の際、高温に晒されたため、機能層が熱変色を起こし、外観も悪いものとなった。
比較例3及び比較例4は、壁紙表面の装飾層を発泡させる前にナチュラルロールコーター又はグラビア印刷によって処理剤を塗布したため、装飾層の発泡が抑制され、エンボス加工を施しても立体感を得るのが難しくなった。また、製造工程として機能層を形成した後にエンボス加工を施しているため、機能層が損傷しやすく、更には前述の通り立体感を得るのが難しいため結果的にエンボスロールを押し付ける強さを上げる必要があり、この結果、より機能層の破損が顕著となり、各機能性が充分に発揮することができなかった。また、装飾層の発泡の際、高温に晒されたため、機能層が熱変色を起こし、外観も悪いものとなった。
比較例5は、壁紙表面に凹凸形状を形成した後にグラビア印刷によって処理剤を塗布した為、装飾層の発泡を抑制することはなく、また、機能層が発泡の際の高温に晒されることがないため、良好な意匠性を得られたが、前記凹凸形状における凸部の頂部にしか処理剤を塗布できず、充分な機能性を発揮しなかった。
比較例7は、壁紙表面に凹凸形状を設ける(装飾層の発泡)前にグラビア印刷によって処理剤を塗布したため、処理剤の塗布量が少なく、また、壁紙素材がRSP法に製造されたものを用いているため、装飾層の発泡前から壁紙表面に発泡後に模様となる多少の凹凸形状を有しており、処理剤が該凹凸形状における凸部の頂部にのみに塗布されたため、該凸部の発泡が抑制され、鮮明な意匠性が得られなかった。また、前述の通り機能層は凸部の頂部のみに形成されたため、良好な機能性を得られなかった。
比較例8及び比較例9は、壁紙表面の装飾層を発泡させる前にナチュラルロールコーター又はグラビア印刷によって処理剤を塗布したため、装飾層の発泡が抑制され、エンボス加工を施しても立体感を得るのが難しくなった。また、製造工程として機能層を形成した後にエンボス加工を施しているため、機能層が損傷しやすく、更には前述の通り立体感を得るのが難しいため結果的にエンボスロールを押し付ける強さを上げる必要があり、この結果、より機能層の破損が顕著となり、各機能性が充分に発揮することができなかった。
比較例10は、壁紙表面に凹凸形状を形成した後にグラビア印刷によって処理剤を塗布した為、装飾層の発泡を抑制することはなく、良好な意匠性を得られたが、前記凹凸形状における凸部の頂部にしか処理剤を塗布できず、充分な機能性を発揮しなかった。
2、5 従来品
3、6 本願機能性壁紙
11、21 基材シート
12、22 装飾層
23 絵柄層
12a、22a 凸部間及び凸部上に存在する凹部
12b、22b 凸部
14、24 機能層
Claims (5)
- 少なくとも基材シート上に、表面に凹凸形状を有する装飾層と機能層とを有する機能性壁紙であって、
前記機能層が、少なくとも前記凹凸形状における凹部に存在することを特徴とする機能性壁紙。 - 前記機能層は、前記装飾層の表面に凹凸形状を設けた後に機能性材料を塗布し、構成することを特徴とする請求項1に記載の機能性壁紙。
- 前記機能性材料の塗布方法としては、リバースロールコーター、ナチュラルロールコーター、スポンジロールコーター、スプレーコーターのいずれかによって塗布し、前記機能層を形成することを特徴とする請求項2に記載の機能性壁紙。
- 少なくとも基材シート上に、表面に凹凸形状を有する装飾層と機能層とを有する機能性壁紙を製造するに際し、
前記装飾層の表面に凹凸形状を形成した後に、機能性材料を塗布し、前記凹凸形状における少なくとも凹部に前記機能層を形成するようにしたことを特徴とする機能性壁紙の製造方法。 - 前記機能性材料の塗布方法としては、リバースロールコーター、ナチュラルロールコーター、スポンジロールコーター、スプレーコーターのいずれかによって塗布し、前記機能層を形成することを特徴とする請求項4に記載の機能性壁紙の製造方法。
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