JP2015030673A - アミロイドベータペプチド阻害剤 - Google Patents

アミロイドベータペプチド阻害剤 Download PDF

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清孝 和田
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Isao Tomita
勲 冨田
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Abstract

【課題】Aβペプチドの神経細胞に対する毒性を阻害する作用を有し、脳血管血流関門を通過可能であって、かつ水に易溶性の化合物を含有するアミロイドベータペプチド阻害剤を提供すること
【解決手段】本発明のアミロイドベータペプチド阻害剤は、キサントシン類を有効成分として含有し、キサントシン類は、好ましくは植物抽出物の形態で含有され、より好ましくは焙煎脱脂米糠の抽出物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、アミロイドベータペプチドの脳の神経細胞に対する毒性を阻害する作用を有するアミロイドベータペプチド阻害剤に関する。
アミロイドベータペプチド(以下、Aβペプチドと略記することがある。)は、アルツハイマー病の病理的特徴の一つである老人班(βアミロイド線維)の主要構成成分として発見され、39〜43アミノ酸残基からなり、それ自身が凝集することにより、神経毒性を示し、細胞死を誘発することが知られている。
特許文献1には、ポリフェノール類を有効成分として含有し、βアミロイド線維の生成または脳組織への沈着を抑制するアルツハイマー病予防薬、または脳組織に沈着したβアミロイド線維の除去作用を有するアルツハイマー病治療薬が記載されている。
特許文献2は、アルツハイマー病などのアミロイド症を治療するため、カテキン類などの標準緑茶葉抽出物が既成のアルツハイマー型のアミロイド線維の分解/破壊を引き起こす能力を有し、後期のアルツハイマー患者などのアミロイド疾患に罹患した患者に有用であることを示唆している(段落0010)。
特許文献3には、ウンカリア・トメントーサ(猫の爪)の植物由来の植物物質を有効成分として治療的有効量含有する、アルツハイマー病などのアミロイド疾患の治療のための医薬組成物が記載されている。また、特許文献3には、活性成分のウンカリア・トメントーサは脳血管血流関門を通過するのに最適化してもよいことが記載されている。
特許文献4には、Aβペプチドの存在下で細胞死が惹起されるPC12細胞の細胞死を抑制し(Aβペプチドの神経細胞毒性低減作用を有し)、脳血管血流関門を通過可能な低分子化合物として、2−フェニル−1,2−ベンゾイソセレナゾール−3(2H)−オン(以下、エブセレンという。)を見出したことが記載されている。
しかし、エブセレンは水に対し極めて難溶性の薬物である。エブセレンの水溶液を注射剤として用いるために、エブセレンの微粒子化(特許文献5)、リポソーム化(特許文献6)など種々の手段が試みられてきた。しかし、未だ注射剤として使用することができるほどの濃度にエブセレンを充分に溶解した水溶液は得られていない。
これに対し、特許文献7では、エブセレンを充分に溶解した水溶液を得るために、エブセレンのシクロデキストリン製剤を得ることを記載している。同製剤を得る方法として、特許文献7は、(1)エブセレンを水と混和し得る有機溶媒に溶解し、(2)それとは別にシクロデキストリンを水溶媒に溶解し、(3)エブセレンの水混和性有機溶液とシクロデキストリン水溶液とを混合し、そして(4)混合液を乾燥して得られる乾燥物を水溶媒と混合することにより、エブセレンを充分に溶解した水溶液を得ることができることを記載している。
このように、Aβペプチドの神経細胞に対する毒性を阻害する作用を有し、脳血管血流関門を通過可能であって、かつ水に易溶性の物質が所望されている。
特開2005−104850号公報 特開2004−537576号公報 特許第4386470号公報 国際公開第98/08831号 特公平7−13016号公報 特公平8−30064号公報 国際公開第2002/055076号
本発明は、上記問題点を解決することを課題とし、Aβペプチドの神経細胞に対する毒性を阻害する作用を有し、脳血管血流関門を通過可能であって、かつ水に易溶性を呈するアミロイドベータペプチド阻害剤を提供することを目的とする。
本発明は、キサントシン類を有効成分として含有するアミロイドベータペプチド阻害剤を提供する。
1つの実施形態では、上記キサントシン類が植物抽出物の形態で含有されている。
さらなる実施態様では、上記植物抽出物は、焙煎脱脂米糠の抽出物である。
本発明はまた、上記アミロイドベータペプチド阻害剤を含む医薬組成物を提供する。
1つの実施形態では、上記医薬組成物中の上記キサントシン類の含有量は、組成物全重量を基準にして0.001重量%〜20重量%である。
本発明はまた、上記アミロイドベータペプチド阻害剤を含む飲食物を提供する。
1つの実施形態では、上記飲食物中の上記キサントシン類の含有量は、組成物全重量を基準にして0.001重量%〜20重量%である。
本発明によれば、Aβペプチドの神経細胞に対する毒性を阻害する作用を有し、脳血管血流関門を通過可能であって、かつ水に易溶性のアミロイドベータペプチド阻害剤を提供することができる。本発明のアミロイドベータペプチド阻害剤は、Aβペプチドに起因するアルツハイマー病を低用量で予防・治療するための医薬組成物に利用することができる。さらに、本発明のアミロイドベータペプチド阻害剤は、食品材料に含まれるような植物抽出物を用いて得ることができるため、飲食物としても利用することができる。
マウス胎児海馬ニューロンを7日間培養し、焙煎米糠抽出物、Aβ、Cu2+を添加後、48時間培養し、LDL細胞毒性テストキットにてニューロンの生存率を測定した結果を示すグラフである。 マウス胎児海馬ニューロンを7日間培養し、焙煎米糠抽出物、Aβ、Cu2+を添加後、48時間培養し、抗APP抗体でニューロンを免疫染色した写真であり、aは、コントロールとして焙煎米糠抽出物、ならびにAβおよびCu2+をいずれも添加しなかった未処理の場合でのニューロンの状態を示す写真であり、bは、AβおよびCu2+のみを添加した場合でのニューロンの状態を示す写真であり、そしてcは、焙煎米糠抽出物、ならびにAβおよびCu2+をいずれも添加した場合でのニューロンの状態を示す写真である。
(アミロイドベータペプチド阻害剤)
本発明のアミロイドベータペプチド阻害剤は、Aβペプチドの神経細胞に対する毒性を阻害する作用を有する。例えば、マウス胎児海馬ニューロンをAβペプチドおよびCu2+存在下で培養すると、通常、著しい細胞死が観察される。アミロイドベータペプチド阻害剤は、たとえAβペプチド、およびCu2+と共存させたとしても、このような著しい細胞死を引き起こさず、ニューロンの生存率を大幅に回復させることができる。
本発明のアミロイドベータペプチド阻害剤のAβペプチドに対する阻害反応の態様は、Aβペプチドを単位構造としたものが重合してβアミロイド線維を形成する反応を阻害する態様、およびβアミロイド線維を分解する態様のいずれをも包含する。
本発明のアミロイドベータペプチド阻害剤は、キサントシン類を有効成分として含有する。
本明細書において、「キサントシン類」とは、キサントシン化合物そのもの、すなわち、2,6−ジヒドロキシ−9−β−D−リボフラノシル−9H−プリン;Aβペプチドを阻害し、薬理学的に許容され得る、キサントシンの誘導体;およびそれらの塩;ならびにこれらの組み合わせ;を包含していう。
キサントシンの誘導体としては、例えば、キサントシンのリン酸化誘導体、キサントシンのメチル化誘導体、キサンチンおよびその誘導体、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
「キサントシンのリン酸化誘導体」とは、キサントシンの糖部分にリン酸基がエステル結合した化合物を指していい、リン酸基が結合する糖部分の位置は特に限定されず、結合するリン酸基の数は少なくとも1つである。すなわち、キサントシンのリン酸化誘導体は、一(モノ)リン酸体、二(ジ)リン酸体、三(トリ)リン酸体のいずれであってもよい。このようなキサントシンのリン酸化誘導体の例としては、モノリン酸誘導体(例えば、キサントシン−2’−モノリン酸、キサントシン−3’−モノリン酸、キサントシン−5’−モノリン酸(キサンチル酸)など);ジリン酸誘導体(例えば、キサントシン−2’,3’−ジリン酸、キサントシン−2’,5’−ジリン酸、キサントシン−3’,5’−ジリン酸など);トリリン酸誘導体(例えば、キサントシン−2’,3’,5’−トリリン酸など);およびこれらの脂肪酸エステルなどのエステル類;ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
キサントシンのメチル化誘導体としては、例えば、カフェイン、パラキサンチン、テオフィリン、テオブロミンなどのキサンチン類、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
キサントシンの塩としては、上記キサントシン誘導体のモノアルカリ金属塩またはジアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)、および上記キサントシン誘導体のモノアルカリ土類金属塩またはジアルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩など)、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
本発明において、キサントシン類は、精製された形態のもの、後述する、植物等から得られた抽出物の形態のもの、またはこれらの組み合わせのいずれであってもよい。
キサントシン類が、例えば、植物等から得られた抽出物の形態のものである場合、好ましくは、焙煎植物繊維の熱水抽出物、あるいは、焙煎植物繊維の熱水抽出物をさらに有機溶媒で抽出して得られた抽出物である。
本発明のアミロイドベータペプチド阻害剤の形態としては、特に限定されないが、好ましくは、当業者が通常用いる経口投与用の剤形である。例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤である。
本発明のアミロイドベータペプチド阻害剤は、キサントシン類のAβペプチドに対する阻害作用を阻害しない範囲の量で、他の添加剤を含有し得る。他の添加剤としては、特に限定されず、例えば、賦形剤、充填剤、希釈剤、着色剤、保存料、香料、甘味剤、緩衝剤、および溶解補助剤、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
賦形剤としては、特に限定されず、例えば、トウモロコシデンプンなどのデンプン類、結晶セルロース、乳糖、グラニュー糖、ブドウ糖などの糖類、マンニトール、キシリトール、ソルビトールなどの糖アルコール、軽質無水ケイ酸、タルク、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、無水リン酸水素カルシウム、第三リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、滑石、およびアラビアゴム、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
充填剤としては、特に限定されず、例えば、微結晶セルロース、マンニトール、ラクトース、およびリン酸カルシウム、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
希釈剤としては、特に限定されず、例えば、炭水化物、グルコースなどの単糖類、スクロース、無水ラクトース、ラクトース一水和物などのオリゴ糖、およびソルビトール、マンニトール、エリスリトール、キシリトールなどの糖アルコール、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
着色剤としては、特に限定されず、例えば、カロチノイド色素、ウコン色素、カラメル色素、カロチン色素、クチナシ色素などの天然色素、および食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色40号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用緑色3号、食用青色1号及び食用青色2号などの食用タール色素、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
保存料としては、特に限定されず、例えば、安息香酸、ポリリジン、ソルビタン、およびプロタミン、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
香料としては、特に限定されず、ミントポリフェノール、カモミールエキス、シソエキスなどの天然香料、およびL−メントールなどの合成香料、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
甘味剤としては、特に限定されず、例えば、上記賦形剤および風味剤として挙げられる糖アルコールのほか、アスパルテーム、およびステビア、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
緩衝剤としては、特に限定されず、例えば、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、およびリン酸二水素ナトリウム、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
溶解補助剤としては、特に限定されず、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、クエン酸ナトリウム、塩化マグネシウム、炭酸ナトリウム、および炭酸水素ナトリウム、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
本発明のアミロイドベータペプチド阻害剤では、上記キサントシン類にこれらの添加剤が、当業者に公知の手段を用いて混合される。
(キサントシン類の調製方法)
次に、本発明のアミロイドベータペプチド阻害剤を得るために、キサントシン類を含有する植物抽出物を用いる場合の、当該キサントシン類を含有する植物抽出物(特に焙煎植物抽出物)の調製方法について説明する。
本方法では、まず、原料の植物が焙煎され、植物焙煎物が作製される。
使用され得る原料の植物の部位としては、特に限定されず、例えば、植物体の果実、頴果、種皮、茎、葉などの任意の部位、およびこれらの組み合わせが挙げられる。原料となる植物は、乾燥したものまたは生のもののいずれであってもよい。抽出操作を行い易いとの理由から乾燥したものであることが好ましい。原料となる植物のより具体的な例としては、大豆、米糠、ふすま、小麦、米、茶葉、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。これらの植物は、当業者が通常用いる方法を用いて予め脱脂しておくことが好ましい。より好ましい植物の例としては、脱脂米糠が挙げられる。
原料植物の焙煎において、設定され得る焙煎の温度は、特に限定されず、例えば、150℃〜230℃であり、好ましくは、170℃〜200℃である。焙煎の時間は、特に限定されず、例えば、5分間〜1時間であり、好ましくは、10分間〜40分間である。
次いで、上記植物焙煎物が熱水浴中に浸漬され、熱水抽出物が抽出される。
抽出に用いる水の量、すなわち、焙煎植物と水との浴比は、特に限定されず、例えば、焙煎植物の容量に対して5倍量〜30倍量であり、好ましくは、10倍量〜20倍量である。抽出の温度は、特に限定されず、例えば、80℃〜100℃である。抽出の時間は、特に限定されず、例えば、1分間〜180分間である。
抽出後、植物焙煎物は、当業者に公知の方法(例えば、濾過)により、浸漬浴から除去される。このようにして、熱水抽出物を得ることができる。なお、除去した残渣(濾物)を用い、上記と同様の操作を繰り返してさらに熱水抽出を行ってもよい。
得られた熱水抽出物は、必要に応じて、例えば、重量比で0.1倍量〜0.3倍量になるまで濃縮されてもよい。さらに、この濃縮した熱水抽出物は、例えば、水分含量が4重量%以下になるまで、スプレードライ法、凍結乾燥法などの方法により乾燥させてもよい。濾液を濃縮して得られる濃縮物、またはさらに乾燥して得られる乾燥物が熱水抽出物として好適に用いることができる。
次いで、熱水抽出物は、有機溶媒または含水有機溶媒でさらに抽出される。
この抽出に使用され得る有機溶媒としては、特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール類、ベンゼン、n−ヘキサン、クロロホルム、および四塩化炭素、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、メタノール、エタノールなどの低級アルコール類である。有機溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせる場合の混合容量比は特に限定されない。
この抽出に使用され得る含水有機溶媒としては、上記有機溶媒と水(水道水、イオン交換水、純水など)との混合溶液であって、例えば、含水アルコール、好ましくは、含水エタノールが挙げられる。
含水有機溶媒の含水率は特に限定されず、含水有機溶媒の重量を基準として、例えば、70重量%〜99重量%であり、好ましくは、80重量%〜98重量%である。
抽出に用いる溶媒の量(すなわち、熱水抽出物と有機溶媒または含水有機溶媒との混合比)は、特に限定されず、例えば、上記熱水抽出物(例えば、スプレードライ品)の容量に対して5倍量〜20倍量であり、好ましくは、8倍量〜10倍量である。抽出の温度は、特に限定されず、例えば、50℃〜100℃である。抽出の時間は、特に限定されず、例えば、30分間〜3時間である。
抽出後、必要に応じて濾過が行われ、有機層が回収される。有機層は、必要に応じて、当業者に公知の手段を用いて、ペースト状または固体になるまで濃縮されてもよい。なお、この濃縮後、得られた抽出物を、さらに上記有機溶媒または含水有機溶媒による抽出を複数回行ってよい。このようにして、有機溶媒または含水有機溶媒による抽出物を得ることができる。得られた抽出物は、キサントシン類を豊富に含有する。
さらに、上記抽出物からキサントシン類を分離かつ精製してもよい。このような分離かつ精製に用いる手段としては、特に限定されず、例えば、抽出物をカラムクロマトグラフィー、HPLC、再結晶、蒸留、液々交流分配クロマトグラフィーなどの、当業者が通常用いる手段が挙げられる。
なお、得られた抽出物については、当業者に公知の方法(例えば、特開平8−256797号公報に記載されるような酵素を用いた定量方法)により、キサントシン類の定量を行うことができる。
(アミロイドベータペプチド阻害剤を含む医薬組成物または飲食物)
まず、本発明のアミロイドベータペプチド阻害剤を医薬組成物として利用する場合について説明する。
本発明の医薬組成物は、上記アミロイドベータペプチド阻害剤を有効成分として含有する。
本発明の医薬組成物は、有効成分のキサントシン類を、組成物全重量を基準にして好ましくは、0.001重量%〜20重量%含有する。0.001重量%よりも少ないと、充分な薬理効果(すなわち、投与された人の体内でのAβペプチドに対する阻害を通じて後述するような疾患の治療または予防を行う効果)が発揮されないおそれがある。20重量%よりも多いと、それ以上の当該薬理効果の向上が期待できず、むしろ生産コストが上昇するおそれがある。
医薬組成物に含まれるその他の添加剤としては、キサントシン類のAβペプチドに対する阻害作用を阻害しない限り、特に限定されず、例えば、賦形剤、充填剤、希釈剤、着色剤、風味剤、甘味剤、緩衝剤、溶解補助剤、保存料、および香料、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
医薬組成物の形態としては、特に限定されないが、好ましくは、液剤である。液剤の調製にあたっては、本発明のアミロイドベータペプチド阻害剤を当業者に公知の希釈剤(例えば、純水)で希釈することにより行われる。
本発明のアミロイドベータペプチド阻害剤を含む医薬組成物の投与量は特に制限されない。患者の年齢、疾患の程度などに応じて適宜設定される。
本発明の医薬組成物が適用される疾患は、βアミロイド線維に起因する疾患である限り、特に限定されず、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ダウン症候群、プリオン病、2型糖尿病、およびこれらの組み合わせが挙げられる。本発明の医薬組成物は、Aβペプチドからこれらの病因物質であるβアミロイド線維の形成を阻害し、およびβアミロイド線維を分解することにより、それぞれの疾患に対する予防薬または治療薬として用いることができる。
次に、本発明のアミロイドベータペプチド阻害剤を飲食物として利用する場合について説明する。
本発明の飲食物は、上記アミロイドベータペプチド阻害剤を含有する。
本発明の飲食物は、通常、食用に供されるもの全般を指し、その形態はどのようなものであってもよく、固形の食品に限定されず、飲料(例えば、液体飲料)も包含される。ここで、本明細書中で用いられる用語「飲食物」とは、摂取にあたり咀嚼を要するものおよび要しないもののいずれをも包含する食品全般をいい、ペースト状、固形状、ゼリー状などのいずれの形態をも包含する。飲食物の具体的な例としては、キャンディ、クッキー、ビスケットなどの菓子類;シロップ類;乾燥果実、乾燥野菜などの果実または野菜加工品;沢庵、キムチなどの漬物類;ビーフジャーキー、ハンバーグ、ハム、ソーセージなどの畜肉または魚肉製品;ラーメン、うどん、蕎麦、パスタ、素麺などの麺類;食パン、フランスパン、あんぱん、惣菜パンなどのパン類;大福、草もちなどの餅類;フルーツ缶詰などの缶・ビン詰類;ゼリー;アイスクリーム;栄養補助食品などのサプリメント;果実飲料;茶飲料;コーヒー飲料;乳飲料;アルコール飲料;清涼飲料;などが挙げられるが、特にこれらに限定されない。
本発明の飲食物は、有効成分のキサントシン類を、組成物全重量を基準にして好ましくは、0.001重量%〜20重量%含有することが好ましい。0.001重量%よりも少ないと、摂取した人の体内でAβペプチドに対する阻害が充分機能しないおそれがある。20重量%よりも多いと、それ以上の阻害作用の向上が期待できず、むしろ生産コストが上昇するおそれがある。
本発明の飲食物は、例えば、上記アミロイドベータペプチド阻害剤を他の食品材料、栄養素(例えば、ビタミン、ミネラル、プロテインなど)、食品添加剤等とともに当業者に公知の手法により混合することにより製造される。本発明の飲食物は、Aβペプチドの神経細胞に対する毒性を阻害する作用を有する成分を食品または飲料として手軽に摂取することができるという点で特に有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1:焙煎米糠抽出物のアミロイド神経毒性に対する阻害効果)
(1)焙煎脱脂米糠熱水抽出物のエタノール抽出物の調製
脱脂米糠100重量部をロータリエバポレーターに仕込み、エバポレーターを回転させながら約170℃にて40分間焙煎(浅炒り)した。得られた焙煎物を、焙煎物の容量に対して10倍量の水中に入れ、加熱して約40分間沸騰させた後、室温まで冷却した。次いで、濾過して濾物を除去し、焙煎脱脂米糠熱水抽出物を得た。
この抽出物を重量比で0.2倍量になるまで減圧下で濃縮し、次いでスプレードライ法により乾燥させた。得られた乾燥物(粉末)の水分含量は、赤外線水分計を用いて測定した結果、4重量%以下であった。
次いで、得られた乾燥物に、乾燥物の重量の10倍量の95%エタノールを添加して、60℃〜65℃にて2時間抽出した。その後、濾過して濾物を除去し、さらに減圧下で濃縮した。このようにして焙煎脱脂米糠熱水抽出物のエタノール抽出物(以下、焙煎米糠抽出物という)を得た。このエタノール抽出物の固形分含量および窒素含量を、加熱乾燥重量測定法およびケルダール法を用いて、3回測定して平均値を算出したところ、固形分含量が76.5重量%であり、窒素含量が1.1重量%であった。
得られたエタノール抽出物に含まれるキサントシン類の濃度を、特開平8−256797号公報に記載の酵素を用いた定量方法により定量した。エタノール抽出物中のキサントシン類の濃度は0.01〜0.02重量%であった。
(2)焙煎米糠抽出物のアミロイド神経毒性に対する阻害効果
(試験薬):試験直前にリン酸緩衝生理食塩水またはヘペス緩衝生理食塩水(ロンザジャパン(株)製)を無菌水にて連続希釈して調製した。
(神経細胞培養):ラット(Jcl:SD)胎児脳よりE17の海馬ニューロンを分散させ、ポリスチレン製シャーレを用いて、B27サプリメント含有神経細胞培養用基礎培地(Gibco(登録商標))中で10〜14日間培養した。うち、半分のシャーレには、培養開始時に予め上記焙煎米糠抽出物を0.3%(w/v)の濃度で添加し、翌日にAβペプチド(第1位アミノ酸−第42位アミノ酸:配列番号1;ベーリンガーインゲルハイム社製;最終濃度:10μM)と塩化銅(最終濃度:100μM)を添加した。残りの一部は、培養米糠抽出物を添加することなく、Aβペプチドと塩化銅とを添加し、残りはそのような処理を行わない未処理のコントロールとした。4日後、細胞の生存率を測定した。
(生存率測定):LDL細胞毒性テストキット(和光純薬工業株式会社製)を用いて、添付書に記載のプロトコールに従って生存率を測定した。結果を図1に示す。また、(Aβペプチド前駆体(APP)の遺伝子を、アデノウイルス法を用いて導入したニューロンを抗APP抗体(タカラバイオ(株)製)にて免疫染色し、顕微鏡下にてニューロンの生死を観察した。顕微鏡写真を図2に示す。
図1および2より明らかなように、Aβペプチド(10μM)および塩化銅(100μM)に、上記焙煎米糠抽出物を共存させない場合(図2のb)、ラット胎児脳海馬ニューロンは著しい細胞死を示したが、当該焙煎米糠抽出物を共存させると、ニューロンの生存率は殆ど低下せず、未処理コントロール(図2のa)と変わらない程度に維持され、毒性の軽減効果が認められた(図2のc)。よって、キサントシン類を含有する焙煎植物抽出物が良好なアミロイドベータペプチド阻害作用を示していたことがわかる。
(実施例2:焙煎米糠抽出物の経口投与ラットの脳中キサントシン類濃度)
実施例1で調製した焙煎脱脂米糠熱水抽出物のエタノール抽出物を水で希釈して10%(w/w)焙煎米糠抽出物水溶液を調製した。
3週齢の雄ラット(Jcl:SD)3匹に対し、1匹1日あたり22.4mLの10%(w/w)焙煎米糠抽出物水溶液(抽出物摂取量2.24mL/日/匹)を摂取させて6週間飼育した。コントロールのラット3匹に対しては、1匹1日あたり21.5mLの水を摂取させて6週間飼育した。
各ラットから脳を摘出し、脳の重量の5倍量の超純水を加えてホモジナイズした。この溶液を1000Gにて10分間の遠心分離に供した。この上清(PNS画分;核を除いた細胞成分を含む)にメタノールを加え、PNS画分の10%(v/v)溶液とし、この溶液を再度遠心分離(4000ppm;15分間)に供した。この上清を孔径0.45μmのメンブレンフィルターで濾過し、濾液を測定試料とした。
測定試料をHPLCにて分析した。HPLC分析条件は以下のとおりである。移動相のグラジエント制御を表1に示す。焙煎米糠抽出物を摂取させたラットの結果を以下の表2に示す。
<HPLC分析条件>
カラム:ODS(平均粒径3.5μm、内径6mm×長さ150mm)
カラム温度:40℃
検出:UV260nm
試料注入量:20μL
流量:1mL/分
移動相:A,0.1M−NaClO+0.1%HPO;B,アセトニトリル
Figure 2015030673
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表2より明らかなように、焙煎米糠抽出物を6週間にわたり、毎日2.24mL与えたラットの脳からは、経口投与した焙煎米糠抽出物に含まれる有効成分のキサントシン類が1.5ppm〜2.5ppmの濃度で検出された。これは、キサントシン類が脳血管血流関門を通過したことを示す。なお、HPLCクロマトグラムの比較より、焙煎米糠抽出物を摂取させたラットでは、キサントシン類を示すピークを確認することができたが、コントロールのラットでは、このようなピークを確認することができなかった。
図2より明らかなように、Aβペプチド(10μM)および塩化銅(100μM)に、上記焙煎米糠抽出物を共存させない場合(図2のb)、ラット胎児脳海馬ニューロンは顕微鏡下でも著しい細胞死を示したが(白矢印を参照)、当該焙煎米糠抽出物を共存させると、ニューロンの生存率は殆ど低下せず、未処理コントロール(図2のa)と変わらない程度に多くの生存ニューロン(白抜き△印を参照)を確認することができた。毒性の軽減効果が認められた(図2のc)。よって、キサントシン類を含有する焙煎植物抽出物が良好なアミロイドベータペプチド阻害作用を示すことを確認することができた。
本発明によれば、Aβペプチドの神経細胞に対する毒性を阻害する作用を有し、脳血管血流関門を通過可能であって、かつ水に易溶性のアミロイドベータペプチド阻害剤を提供することができる。本発明のアミロイドベータペプチド阻害剤は、例えば、医薬組成物の有効成分として医薬製造分野において有用である。さらに、本発明のアミロイドベータペプチド阻害剤は、サプリメントなど食品分野における素材としても有用である。

Claims (7)

  1. キサントシン類を有効成分として含有する、アミロイドベータペプチド阻害剤。
  2. 前記キサントシン類が植物抽出物の形態で含有されている、請求項1に記載のアミロイドベータペプチド阻害剤。
  3. 前記植物抽出物が、焙煎脱脂米糠の抽出物である、請求項2に記載のアミロイドベータペプチド阻害剤。
  4. 請求項1から3のいずれかの項に記載のアミロイドベータペプチド阻害剤を含む、医薬組成物。
  5. 前記キサントシン類の含量が、組成物の全重量を基準にして0.1重量%〜20重量%である、請求項4に記載の医薬組成物。
  6. 請求項1から3のいずれかの項に記載のアミロイドベータペプチド阻害剤を含む、飲食物。
  7. 前記キサントシン類の含量が、組成物の全重量を基準にして0.1重量%〜20重量%である、請求項6に記載の飲食物。
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