JP2015028921A - イオン群照射装置、二次イオン質量分析装置、および二次イオン質量分析方法 - Google Patents

イオン群照射装置、二次イオン質量分析装置、および二次イオン質量分析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】二次イオン質量スペクトルにおけるピークの識別と、それによる試料分子の特定とをスループットよく行うための、イオン群照射装置を提供する。【解決手段】イオン源より放出されたイオンから、イオン群を構成するイオンの平均質量が異なる2個以上のイオン群を選別するイオン群選別手段と、該イオン群選別手段で選別された2個以上のイオン群を試料に照射する一次イオン照射手段と、を有し、さらに、イオン群選別手段は、1個以上のイオン群を選別し、該選別されたイオン群1個から、更に前記2個以上のイオン群を選別することを特徴とするイオン群照射装置を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、試料にイオン群を照射する、イオン群照射装置、二次イオン質量分析装置、および二次イオン質量分析方法に関するものである。
二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectroscopy)は、一次イオンビームを試料に照射し、試料表面より放出される二次イオンの質量電荷比を計測することにより、試料表面を構成する原子種あるいは分子種を特定する分析法である。SIMSは、感度が高く、多種の分子を網羅的に分析でき、試料表面を高い空間分解能で二次元的に分析でき、などの特徴が挙げられる。これらの特徴から、近年、SIMSを用いて、生体組織を構成する多種の分子を特定し、それらの微細な二次元分布状態を可視化するといった方法が注目を集めている。
SIMSでは、一次イオンと試料分子との衝突により生じるスパッタリング現象により、二次イオンが放出される。二次イオンとしては、試料分子の分子構造が分解されずにイオン化したイオン(以下、プレカーサーイオンと呼ぶ)のほか、スパッタリングにより分子構造が分解されてイオン化したイオン(以下、フラグメントイオンと呼ぶ)が多数含まれる。このため、得られる二次イオン質量スペクトルは、プレカーサーイオンピークとフラグメントイオンピークを含むものとなり、試料分子種の特定に至らない場合がある。このとき、質量の異なる2種類以上の一次イオンを照射し、取得した2種類以上の二次イオン質量スペクトルを比較すると、試料分子種の特定が容易になる。一方、2種類以上の一次イオンを照射する方法では、測定時間が長くなるため、試料分子の特定がスループット良く行えない、という問題がある。
測定時間を短縮する各種手法が考案されている。特許文献1では、1個のイオン群を微細な時間間隔を有するn個のサブイオン群へ分割したイオン群を、一次イオンとして試料へ一括して照射し、一次イオンの微細な時間間隔を反映した二次イオン質量スペクトルを得て、特定の二次イオン種に対応するn個のピークの強度を積算する技術が開示されている。通常、SIMSでは二次イオンの質量分解能を確保するために1個のイオン群から更に時間幅の短い1個のイオン群を生成するが、その際にイオン群に含まれるイオンの数が減少するため、充分な二次イオン強度を得るには測定に時間がかかる特許文献1では、イオンの損失なしに一次イオンを試料に照射できるため、測定時間を短縮できる。
一方、試料分子の分解を抑制する一次イオンの照射によりプレカーサーイオンの検出感度を上げることで、スループットよく試料分子種を特定する技術の開発も進められている。これまで、金やビスマスといった液体金属からなる金属クラスターイオンや、フラーレンを中心とする多原子イオンを一次イオンとして用いる検討がされてきた。さらに、近年ではガスクラスターイオンが注目を集めている。ガスクラスターイオンはクラスターサイズが大きいために原子1個当たりの運動エネルギーが小さくなる。このためガスクラスターイオンを一次イオンとして用いると、試料分子の分解が小さくなる。特許文献2では、ガスクラスターイオンの原子1個あたりの運動エネルギーを20eV以下に制御する装置を開示する。
特許第3358065号公報 特開2011−29043号公報
従来のSIMS装置においては、得られる二次イオン質量スペクトルにおいて、プレカーサーイオンとフラグメントイオンとの識別が困難であるという課題があった。この課題を解決するため、質量の異なる2種類以上の一次イオン照射により2種類以上の二次イオン質量スペクトルを取得すると、測定時間が長くなるという課題があった。
特許文献1に記載の方法を用いると、2種類以上の二次イオン質量スペクトルではなく、単一種類の二次イオン質量スペクトルがn個重畳したスペクトルが得られる。このため、測定時間は短縮できるがプレカーサーイオンピークとフラグメントイオンピークとの識別能は向上しない。
特許文献2に記載の装置を用いると、相対的にフラグメントイオン強度は低下するものの、皆無にはならない。このため、依然としてプレカーサーイオンとフラグメントイオンの識別は困難であるという課題があった。
本発明は、イオン群を試料に照射するイオン群照射装置において、イオンを発生させるイオン源と、該イオン源より放出されたイオンから、イオン群を構成するイオンの平均質量が異なる2個以上のイオン群を選別するイオン群選別手段と、該イオン群選別手段で選別された2個以上のイオン群を試料に照射する一次イオン照射手段と、を有し、さらに、該イオン群選別手段は、1個以上のイオン群を選別し、該選別されたイオン群1個から、更に前記2個以上のイオン群を選別する、ことを特徴とするイオン群照射装置を提供する。
本発明のイオン群照射装置によれば、2種類以上の二次イオン質量スペクトルを短い測定時間で得ることができるため、プレカーサーイオンとフラグメントイオンとのピーク識別ならびに試料分子種の特定をスループットよく行える。
本発明を説明するための模式図である。 本発明の第1の実施形態に係る装置構成の概要を示すための模式図である。 本発明の実施形態に係る二次イオン質量スペクトルを説明するための模式図である。 本発明の第2の実施形態に係る装置構成の概要を示すための模式図である。 本発明の第3の実施形態に係る装置構成の概要を示すための模式図である。 本発明の第4の実施形態に係るタイミングチャート例を示すための模式図である。 本発明の第5の実施形態に係るタイミングチャート例および二次イオン質量スペクトルを示すための模式図である。
本発明の詳細な実施形態について、以下で説明する。なお、本発明のイオン群照射装置は、用途は特に限定されず、二次イオン質量分析装置の一部として用いてよく、表面処理装置や表面改質装置として用いてよい。以下では、二次イオン質量分析装置の一部として用いる実施形態を詳細に記載する。ただし、以下の各実施形態および図面の記載はあくまでも本発明の例示であり、特に言及がない場合においても、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。また、矛盾が生じない範囲において、複数の実施例を組み合わせて本発明を実施する場合も、本発明の対象とする範囲に含まれる。
(第1の実施形態)
イオン群を試料に照射するイオン群照射装置において、イオンを発生させるイオン源と、該イオン源より放出されたイオンから、イオン群を構成するイオンの平均質量が異なる2個以上のイオン群を選別するイオン群選別手段と、該イオン群選別手段で選別された2個以上のイオン群を試料に照射する一次イオン照射手段と、を有し、さらに、該イオン群選別手段は、1個以上のイオン群を選別し、該選別されたイオン群1個から、更に前記2個以上のイオン群を選別する、ことを特徴とするイオン群照射装置を提供する。
本実施形態について、図1を用いて説明する。なお、図はあくまでも説明のための例であり、本発明は図に限定されるものではない。
本発明のイオン群選別手段は、イオン源より放出されたイオンから、イオン群を選別し、更に、該選別されるイオン群1個から、更に2個以上のイオン群を選別する。本願説明書では、前記イオン源より放出されたイオンから選別されたイオン群を、第一のイオン群とし、前記第一のイオン群1個から2個以上に選別されたイオン群を、第二のイオン群として説明する。図1の例示では、イオン群が第一のイオン群であり、イオン群2、3、4が第二のイオン群である。
選別された2個以上のイオン群を含む第二のイオン群2、3、4が、イオン群照射手段により、試料へ照射される。本願明細書においては、照射される第二のイオン群を、一次イオンとよぶこともある。イオン源とは、イオンの原料からイオンを生成し放出する、すなわちイオンを発生する手段を指す。第一のイオン群とは、図1に例示するように、イオン群選別手段により、特定の時間幅5で選別されるイオンの集合を指す。第一のイオン群は、時間間隔6により繰り返し選別されてよい。第二のイオン群とは、イオン群選別手段により、少なくとも第一のイオン群が選別された時刻から時刻差7の後に、第一のイオン群より時間幅8、9、10で選別されるイオンの集合を指す。図の第二のイオン群はそれぞれ異なる時刻に選別される例を示すが、同時に選別されてもよい。第二のイオン群がそれぞれ異なる時刻に選別されるとは、第二のイオン群ごとに時刻差(11、12)を持って選別されることをいう。
前記第一および第二のイオン群は、それぞれ2個以上のイオンから成る。前記2個以上のイオンは、それぞれ特定の質量を有する。イオンの種類は、イオンの原子あるいは原子団、質量、価数により決まる。イオンの原子あるいは原子団が異なれば、イオンの質量も異なる。また、イオン群の種類は、イオン群を構成するイオンの種類により決まる。したがって、イオン群を構成するイオンの種類が異なれば、少なくともイオン群の種類が異なり、かつ、少なくともイオン群を構成するイオンの平均質量が異なる。
第一のイオン群1は、様々な種類のイオンが混在する、イオン源より放出されたイオンの中から一部が選別されるものである。図1(a)の例では、第一のイオン群1は、互いに質量の異なるイオン13および14を少なくとも含む。
第二のイオン群2、3、4は、様々な種類のイオンが混在する第一のイオン群の中から、特定のイオンを目的イオンとして選別されるものである。図1(a)の例では。第二のイオン群2、3、4は、目的イオンとしてイオン13、14、13をそれぞれ含む。
なお、イオン群が、1種類のイオンで構成される、とは、2個以上のイオンそれぞれの原子、原子団、質量および価数が同じであることを指す。ただし、イオンが、クラスターイオン(クラスターイオンについては後述する)である場合、イオン群として選別する際にはある程度質量分布に幅が生じるため、一定の質量分布内に存在する一群を1種類のイオンとしてよい。
仮に、前記一群におけるクラスターイオンの質量分布が正規分布N(μ,σ2)に従う(ただしμ:平均,σ2:分散)場合、1種類のクラスターイオンとは、μからのずれが好ましくは±3σ、より好ましくは±σまでを含む。クラスターイオンの分子量が正規分布以外に従う場合もこれに準じて定義される。
仮に、前記一群におけるクラスターイオンの質量分布が完全な対称形でない場合にも、ピークが1つで半値幅が充分狭ければ、それらを1種類のクラスターイオンとすることができる。
さらに、イオン群が、1種類のイオンで構成される、とは、1種類のイオン以外のイオンが分析を妨げない程度に微量に混入する場合を含む。
例えば、イオン群2はイオン13から構成されるが、イオン14あるいはその他のイオンが本発明の分析装置の分析を妨げない程度に微量に混入していてもよい。1種類のイオンに対する混入イオンの割合が多いと、イオン群の有する時間幅が試料に到達するまでに広がり易くなり、試料より得られる二次イオンの時間幅が広くなり、質量分解能が低下する。測定を妨げない程度とは、このような弊害を生じない程度であり、好ましくは10%以下であり、より好ましくは1%以下である。
イオン群の平均質量は、用いるイオン原料の種類や供給圧力、イオン群照射装置における各種部品の構成、第一および第二のイオン群を選別する際の印加電圧や時間といった選別条件、などの各種条件により決まる。例えば、同じイオン原料や供給圧力、同じイオン群照射装置、において、同じ選別条件にて第一のイオン群を選別する場合、第二のイオン群の選別条件を変えることにより、異なる平均質量のイオンから成るイオン群を選別できる。
本発明における平均質量は、イオン群の質量スペクトルにおける平均質量を用いてもよく、前記イオン群の種類、前記イオン群照射装置の構成、前記第一および第二のイオン群の選別条件イオンなど各種条件を用いて計算により求められる質量を用いてもよい。イオン群の質量スペクトルは、イオン群の質量分析により得ることができ、本発明の装置内で測定してもよく、あらかじめ他の装置で測定されてもよい。本発明の装置内で測定する場合、例えば試料近傍にMCP(マイクロチャンネルプレート)を設置し、これに第二のイオン群の選別条件を変えて第二のイオン群を選別し、照射する。MCPにて計測される質量スペクトルの2個以上のピークから、2個以上の第二のイオン群について、各イオン群を構成するイオンの平均質量が得られる。
なお、イオンが1種類であっても実際にイオン源で発生する2個以上のイオンは、イオン源近傍の空間において個々のイオンごとに異なる存在位置と運動エネルギーを持つ。このため、1種類の2個以上のイオンを、1個のイオン群として選別し、検出器にて検出するために必要な時間や印加電圧など条件は、個々のイオンごとにばらつきがある。このばらつきにより、質量が同一のイオンからなるイオン群であっても、実測されて得られる質量スペクトルは、幅を有する連続的なスペクトルとなる。加えて、質量スペクトルは、含まれるイオンの種類が多いほど、半値幅が広くなる。図1(b)に、質量スペクトルの概念図を示す。第一のイオン群1は、様々な質量のイオンを含むため、実測される質量スペクトルは、半値幅の広い質量スペクトル15となる。一方、第二のイオン群2、3、4は、含まれるイオンの質量がより限定されるため、その質量スペクトル16、17、18の有する半値幅は、少なくとも第一のイオン群の質量スペクトル15よりも狭くなる。質量スペクトル16、17、18のように、質量スペクトルがピーク位置の質量m1、m2、m1を中心とした対象形の場合、質量m1、m2、m1が平均質量となる。質量スペクトルが完全な対象形でない場合にも、ピークが一つで半値幅が充分狭ければ、ピーク位置の質量を平均質量として用いてもよい。或いは、ガウス関数などによるピークフィッティングによりピーク位置を求め、その質量を平均質量として用いてもよい。なお、質量スペクトルの半値幅が広いと、二次イオン質量スペクトルの質量分解能が低下し、かつ異なる平均質量のイオン群を照射しても、得られる二次イオン質量スペクトルに差が生じ難いことがある。このため、前記質量スペクトルの半値幅は狭いことが好ましい。2個以上のイオン群は、実測される質量スペクトルのピークを比較し、互いに平均質量が異なれば、ピーク形状の一部が重畳しても、異なる平均質量のイオンから成るイオン群として扱ってよい。ただし、同じイオン原料や供給圧力、イオン群照射装置、イオン群の選別条件、を用いて得られる2個以上のイオン群のピークが、互いに平均質量やピーク形状が僅かに異なってもこれらは誤差と見なし、異なる平均質量としては扱わない。
本発明において、2個以上の第二のイオン群は、互いに平均質量の異なる2個以上のイオン群を含む。イオン群を構成するイオンの種類が異なると、イオン群を構成するイオンの平均質量が異なる。図1(b)の例示では、第二のイオン群2、3、4を構成するイオンの平均質量は、それぞれm1、m2、m1である。図1の例示では、第二のイオン群2を構成するイオンの質量m1は、イオン群3のそれとは異なる一方、イオン群4のそれと等しい。すなわち図1の例示中、本発明の2個以上の第二のイオン群は、第二のイオン群2および3または3および4の組み合わせのうち少なくとも一方を含む。本発明においては、第二のイオン群に、イオンの平均質量の異なるイオン群が2個以上含まれれば、イオンの平均質量の同じ2個以上のイオン群が含まれてもよい。
また、本発明において、選別される第一のイオン群のイオン群間の時刻間隔6は、第二のイオン群との時刻差7、時刻差7および11の和、時刻差7および12の和、のいずれよりも大きければ特に限定されないが、好ましくは10μsecから100msecである。また、第一のイオン群の時間幅5については特に限定されないが、好ましくは0.1nsecから50μsecである。また、第一のイオン群と2個以上の第二のイオン群との時刻差7、時刻差7および11の和、時刻差7および12の和、はいずれも特に限定されないが、好ましくは0.1μsecから10msecである。また、第二のイオン群の時間幅8、9、10については特に限定はされないが、好ましくは0.1nsecから50μsecである。
上記のように選別された、第二のイオン群が、イオン群照射手段により時刻差をもって試料に照射される。なお、照射される試料は同一でないまたは、同一試料中の異なる領域に照射される場合は、同時に照射されることもありうる。時刻差は、第二のイオン群が選別される時刻差(図1(a)の例示では11、12)と同じ時刻差でもよく、異なる時刻差でもよい。前記時刻差の異なる場合には、照射される順番が、選別される順番と同じでもよく、異なっていてもよい。
本発明の2個以上のイオン群は、同一試料の同一表面領域に照射されてもよく、同一試料の異なる複数の表面領域に照射されてもよく、試料および領域ごとでこれらを使い分けてもよい。
本発明の2個以上のイオン群を、同一試料の同一表面領域に照射すると、二次イオン質量分析により、照射領域における分子種の同定がスループット良く行える。加えて、深さ方向の二次オン質量分析を目的とする場合、スパッタによる表面へスパッタレートを高速かつ容易に変更しながら分析できる。また、表面処理や表面改質を目的とする場合、エッチングレート、表面粗さ、コーティング膜厚、を容易に変更しながらスループット良く表面処理や表面改質が行える。
同一試料の異なる複数の表面領域に照射されると、各領域それぞれについて目的分子に適したイオン群を選択でき、スループット良く二次イオン質量分析ができる。加えて、試料や目的分子に適したイオン群を選択する事前検討をスループットよく行える。また、表面処理や表面改質を目的とする場合、複数の表面領域ごとに異なるエッチング深さ、表面粗さ、コーティング膜厚を持つ表面をスループットよく得ることができる。
本発明におけるイオンとは、電荷をおびた原子あるいは原子団を指し、あらゆるイオンが含まれるが、好ましいイオンの例として各種クラスターイオンを挙げることができる。クラスターとは原子あるいは分子が、ファンデルワールス力、静電的相互作用、水素結合、金属結合、共有結合などの相互作用によって2個以上結合した物体を指し、クラスターイオンとは、クラスターが電荷を帯びたものを指す。またクラスターイオンは、1種類の原子または分子から構成されてもよく、2種類以上の原子または分子から構成されてもよい。尚、原子あるいは分子1つから構成されるイオンをモノマーイオンと呼び、クラスターイオンとは区別する。例えば、水分子1個からなるイオンは、クラスターイオンでなくモノマーイオンである。ただし、炭素60個から成るフラーレン分子の場合に限り、フラーレン分子1個であっても、例外的にクラスターイオンとして扱う場合がある。
イオンがクラスターイオンである場合、本発明における第一のイオン群の好ましい例とし、以下を挙げることができる。すなわち、第一のイオン群は、2以上かつ2種以上のクラスターイオンからなるが、2以上2種以上のクラスターイオンとは、同じイオン源から選別され、すなわち、それぞれのクラスターの各ユニットを構成する原子あるいは分子は同一であり、クラスターを構成するユニットの数のみが異なるようなものをいう(たとえば、金原子X個からなるクラスターイオンと金原子Y個からなるクラスターイオン)。
本発明におけるクラスターイオンの好ましい例として、金、ビスマス、キセノン、アルゴン、水からなるクラスターイオン、炭素からなるクラスターであるフラーレンのイオンなどを挙げることができる。
金のクラスターイオンとしては、金原子が2個から1000個、金属結合により結合し、イオン化したクラスターイオンを挙げることができる。ビスマスのクラスターイオンとしては、ビスマス原子が2個から1000個、金属結合により結合し、イオン化したクラスターイオンを挙げることができる。アルゴンのクラスターイオンとしては、アルゴン原子が2個から100000個、ファンデルワールス力により集合し、イオン化したクラスターイオンを挙げることができる。水のクラスターイオンとしては、水分子が2個から100000個、水素結合により結合し、イオン化したクラスターイオンを挙げることができる。炭素のクラスターイオンとしては、炭素原子60個が共有結合により結合したフラーレンや、該フラーレンが更に2個から1000個、ファンデルワールス力により集合し、イオン化したフラーレンイオンを挙げることができる。
また、クラスターイオン以外のイオンとして、本発明において好ましいものの例としてモノマーイオンが挙げられ、詳細には、金、ビスマス、アルゴン、キセノンなど、それぞれ1個の原子からなる単原子イオンや、水などそれぞれ1個の分子からなる単分子イオンを挙げることができる。
なお、本願明細書において、イオンがクラスターイオンである場合には、クラスター内の結合の様式に関わらず、クラスターイオン1個を1イオンとみなし、イオンの質量とはそのイオンを構成する原子の質量の和から、欠損した電子の質量を差し引いた質量、あるいは付加した電子の質量を加算した質量をさす。また、本明細書中、原子、分子、クラスターを含む概念として、粒子という文言を用いる場合がある。また、クラスターイオンについて、イオン種が同じとは、クラスターを構成する各元素、及びその個数、結合様式、価数が同じことをいう。
本実施形態について、さらに、図2、図3を用いて説明する。
図2(a)は、本発明の装置を説明する模式図である。本発明の装置は、一次イオンを照射するための一次イオン照射装置19と、発生した二次イオンを質量分析するための質量分析計20を有する。加えて、得られた二次イオンの質量スペクトルや質量分布画像の解析処理を行う解析装置21、質量スペクトルおよび質量分布画像を出力するための出力装置22を有する。
図2(b)は、第二のイオン群30および31が、試料24に照射される模式図を示す。第二のイオン群30、31を構成するイオンの平均質量は、それぞれM1、M2であり、互いに異なる。試料24は基板25上に固定され、試料保持手段26により保持されている。図2(b)は試料が同一の試料24である場合を例示するが、本発明における試料は照射するイオン群ごとに同一であってもよく、異なっていてもよい。ただし、解析精度の観点からは、同一であることがより好ましい。試料が異なる場合には、例えば生体組織の隣接切片のように、異なる試料間であっても実質同一とみなせる表面を有する試料であることが好ましい。また、図は、同一試料24における同一領域32を照射する場合を例示するが、本発明においては、照射される領域は同一でもよく、異なっていてよい。ただし、解析精度の観点からは、同一であることがより好ましい。また、前記領域が異なる場合には、少なくとも同一位置を含む領域であることが好ましい。
照射されて発生する二次イオンは、質量分析計20により分析され、解析装置21により解析処理され、出力装置22によりそれぞれ異なる二次イオン質量スペクトル33および34が得られる。得られた二次イオン質量スペクトル33および34はスペクトル間で差異解析処理され出力されてもよい。さらに、質量分布画像が解析され出力されてもよい。上記質量分析計20は1つであってもよく、2個以上であってもよい。装置サイズや動作コストの観点からは、上記質量分析計20は1つであることが好ましい。
図2(a)の一次イオン照射装置1は、一次イオン照射手段23と、試料24と、基板25と、試料保持手段26とを有する。このほかに、イオン群の質量スペクトルを得るための質量計測手段を別途有してよい。一次イオン照射手段は、イオン源27と、イオン群選別手段28と、イオン群照射手段29を有する。イオン源27で放出されたイオンから、イオン群選別手段28により第一のイオン群が選別され、さらに1個の第一のイオン群につき2個以上の第二のイオン群が選別される。選別されたイオン群は、イオン群選別手段28またはイオン群照射手段29から試料表面までの電位差により数〜数10keVに加速され、試料表面上の特定の領域に照射される。なお、イオン群照射手段29は、イオン群選別手段28の一部になってよく、その場合、イオン群照射手段29を別途設けていなくともよい。また、イオン群照射手段29は、イオン群の照射径を収束させる収束電極や、イオンを再加速させる再加速電極、イオンを偏向させる偏向電極、を含んでよい。上記一次イオン照射手段は、1個であってもよく、2個以上であってよい。装置サイズや動作コストの観点からは、上記はそれぞれ1つであることが好ましい。また一次イオン照射手段1個に含まれるイオン源27、イオン群選別手段28、イオン群照射手段29は、それぞれ1つであってもよく、2個以上であってもよい。
イオン源27は、イオン原料とイオン原料供給手段とを少なくとも有する。また、イオン原料が電荷を帯びない中性粒子、すなわち、中性の原子、分子、あるいは中性のクラスター等である場合は、イオン化手段を有する。また、必要に応じ、イオン原料供給手段とイオン化手段との間に、過大な中性粒子を除去するスキマーや、差動排気用のバッファー容器を有して良い。
イオン原料とは、一次イオンとして試料に照射するためのイオンの原料となる物質を指す。イオン原料の種類や状態は特に限定されるものではなく、中性あるいは帯電した粒子の集合体である。前記粒子を構成する原子あるいは分子の種類は1種類でもよく、複数の混合物であってもよい。イオン原料の常温常圧下における状態は、気体、液体、固体のいずれでもよく、気体と液体の混合状態であってもよく、固体が気体あるいは液体に溶解した状態であってもよい。前記気体の好ましい例としては、アルゴン、キセノンなどの希ガスや、酸素などが挙げられる。前記液体の好ましい例としては、水、酸、アルコール、アルカリなどが挙げられる。前記固体の好ましい例としては、金、ビスマスなどの金属や、フラーレンが挙げられる。
試料に照射するイオン群に含まれるイオン種は、検出目的とする試料分子の種類に応じ、適宜選択してよい。例えば、目的分子に意図的にイオンを付加することにより、検出感度を向上できる場合がある。付加するイオンの例としては、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニアイオン、銀イオン、金イオン、塩素イオン、などがある。
試料に照射するイオン群に含まれるイオン種の選択は、用いるイオン原料の選択や、イオン群選別手段により行うことができる。例えば、水素イオンの付加を意図する場合には、イオン原料に水、酸、アルコールのいずれかを含ませることで、水素を豊富に含むイオン種を容易に生成できる。また、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニアイオン、銀イオン、金イオン、塩素イオン、の付加を意図する場合には、ナトリウム、カリウム、銀、金、塩素、を含む有機塩あるいは無機塩をイオン原料に含ませてよい。ナトリウム塩の代表的物質としては、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、などが挙げられる。有機塩あるいは無機塩そのものは固体であっても、例えば水などの液体に添加することで、イオン原料として容易に用いることができる。
イオン原料供給手段の構造は限定されず、たとえば、イオン原料を保持する容器、イオン原料を供給するためのノズルやエミッタ、加熱・加圧機構などを有することができる。イオン原料供給手段における、イオン原料の供給は、間欠的に行ってもよいし、連続的に行ってもよい。装置の真空維持の観点からは、例えば間欠バルブを用いて間欠的にイオン原料を供給することが好ましい。イオン原料供給手段が、イオンが質量ごとにイオン群化されて生成する機能を有してよい。たとえば、沸点や融点の違いで分離する温度調節器や、粒子径の違いで分離する空気力学的粒径分布測定器などを有してよい。
イオン化手段は、特に限定されるものではなく、電子衝撃イオン化法、化学イオン化法、光イオン化法、表面電離イオン化法、電界放射法、プラズマイオン化法、ペニングイオン化法、エレクトロスプレー法などが挙げられる。例えば、アルゴン、キセノンなどの希ガスや酸素などの気体のイオン化では、希ガスをノズルより真空中に噴射して生成する中性クラスター粒子に対し、電子衝撃イオン化法を用いることで、単原子イオンおよびクラスターイオンが得られる。また、水、酸、アルコール、アルカリ等の液体のイオン化では、イオン原料供給手段で加熱して気体とし、前記希ガスなどと同様にして電子衝撃イオン化法により単分子イオンおよびクラスターイオンが得られる。また他の方法では、水、酸、アルコールを液体のまま真空中のノズルに流し、ノズル先端に数kV程度の高電圧をかけることによりエレクトロスプレー法でイオン化できる。また、金、ビスマスなどの金属のイオン化では、タングステンエミッタに塗付した金属を真空中で加熱し、引き出し電極とエミッタ先端間に静電界をかけることで電界放射法により単原子およびクラスターイオンが得られる。フラーレンのイオン化は、フラーレンをイオン原料供給手段で加熱して気体とし、前記希ガスなどと同様にして電子衝撃イオン化法により単分子イオンおよびクラスターイオンが得られる。なお、イオン化手段において、イオン化は連続的に行ってもよいし、間欠的に行ってもよい。
イオン群選別手段は、イオン源より発生したイオンから第一のイオン群を選別する第一のイオン群選別手段と、第一のイオン群1個から2個以上の第二のイオン群を選別する第二のイオン群選別手段とを有する。第一および第二のイオン群選別手段は一部が共通であってもよく、それぞれ独立していてもよい。第一のイオン群1個から、第二のイオン群を2個以上選別することにより、第一のイオン群1個から第二のイオン群1個を選別するよりも照射するイオン群を効率よく生成できるため、イオン群を構成するイオンの平均質量の異なる2個以上のイオン群を照射する場合であっても、測定時間を短縮できる。
イオン群選別手段は、各種イオン分離器、チョッパーあるいはそれらの組み合わせを用いることができる。イオン分離器とは、複数種のイオンからなるイオンの集合体を、イオンの性質(質量、電荷数、立体形状など)ごとに気相中において分離する手段を指す。イオン分離器は特に限定はなく、飛行時間型質量分離器、四重極型質量分離器、イオントラップ型質量分離器、磁場型質量分離器、ExBフィルタ、イオン移動度計などが好ましく用いられる。チョッパーは、開口(Open)と閉口(Close)を繰り返すことで、イオンを間欠的に通過させる手段であり、チョッパーによりイオンは進行方向に分断され、1個以上のイオン群が選別される。チョッピング動作とは、チョッパーの開口および閉口により、イオンを進行方向に通過および遮断させることによって、1個以上のイオン群が選別される動作を指す。チョッパーは、閉口状態では、イオンを進行方向に遮断し、開口状態では、イオンを進行方向に通過させる。チョッパーが、閉口状態から一定時間の開口状態を経て、再度閉口状態となることを、1回のチョッピング動作と数える。チョッパーの構成は特に限定されず、偏向電極とアパーチャーとの組み合わせ、メッシュ状のリターディング電極、高速回転するアパーチャーつき円形平板などが好ましく用いられる。本発明においては、動作タイミング制御性やイオン収束性の観点から、偏向電極とアパーチャーとの組み合わせをより好ましく用いることができる。
チョッパーの開口および閉口動作の駆動方法に特に制限はなく、チョッパーの種類に応じ適切な駆動方法を選択してよい。チョッパーが偏向電極とアパーチャーとの組み合わせである場合には、波形発生器を用いて偏向電極へ電圧供給することで、チョッパーの開口および閉口動作を精度良く行うことができる。また、偏向電極への電圧印加信号を分岐し、同時刻、あるいは遅延時間発生装置を介し一定時間遅れた時刻に、前記信号をトリガー信号として質量分析計に送ることもできる。この場合、チョッパーによるチョッピング動作と、質量分析計による二次イオン計測との連動を、精度良く行える。
第二のイオン群を試料に照射する際には、収束して試料上を走査する走査型として照射してもいいし、試料の特定領域に一括して照射する投影型として照射してもよい。
走査型の場合には、収束電極を用いて照射されるイオン群を収束し、さらに偏向電極を用いて偏向させることにより、試料上の微小領域に照射し、これを走査する。照射径に制限はないが、二次イオン質量分析で得られる質量画像の空間分解能に直接影響することから、0.01から50μmφ程度が好ましい。
投影型の場合には、収束電極を用いてイオン群が照射される照射径を収束あるいは拡大し、必要に応じ偏向電極を用いて偏向することにより、試料の特定領域に一括してイオン群を照射する。投影型における照射径に制限は無いが、測定領域の面積と対応するため、0.01から10mmφ程度が好ましい。
本発明では、2個以上の第二のイオン群が試料に照射される。図2(b)に示すように、照射されるイオン群を構成するイオンの平均質量が異なると、得られる二次イオンスペクトルの各ピークの強度が異なる。これらの異なるスペクトルを集積化することにより、主に分析目的のイオン(e.g.プレカーサーイオン)のみからなる、質量スペクトルを得ることができる。
一次イオンとなる第二のイオン群を構成するイオンの質量が大きいほど、試料分子のフラグメンテーションが抑制されるため、二次イオンとしてプレカーサーイオンが得られやすい傾向がある。一方、質量が大きすぎると、二次イオンスペクトルを得づらい場合もある。対象となる領域を構成する分子の分子量や、特に注目したいプレカーサーイオン(あるいはフラグメントイオン)に応じて、一次イオンとしての第二のイオン群の構成イオンの質量を適切に選択することができる。
第二のイオン群を構成するイオンの、イオン群間での構成イオンの質量の差異は、特に限定されないが、一次イオンの質量差が小さすぎると、得られる二次イオンスペクトルの差が生じ難い場合があるため、上記イオン群間での構成イオンの質量の差異は、好ましくは100以上であり、より好ましくは500以上であり、更に好ましくは2000以上である。
試料24は固体あるいは液体であり、有機化合物、無機化合物、或いは、生体試料などが含まれる。試料の固定の例として、試料を平坦な基板25上に固定し、それを試料保持手段26に保持することが挙げられる。
基板25の材質は限定されないが、一次イオン照射ならびに二次イオン放出にともなう、試料24の帯電を抑制させる観点から、金などの金属やITO、またはそれらを表面にコーティングしたシリコンやガラスが好ましく用いられる。
試料保持手段26は、試料24および基板25を保持する領域を有し、さらに、試料24に照射されるイオン群の電流値を計測するためのファラデーカップを有してもよい。また、試料を加熱または冷却する温度調整機構を備えてよい。
試料保持手段26は、水平方向に、移動、回転、あるいは高さ方向の移動ができることが好ましい。面内方向および高さ方向の制御により、一次イオンを照射する領域や高さを調整できる。さらに、試料保持機構は、傾斜も可能であることが望ましい。傾斜の制御により、試料表面に対する一次イオンの入射角を制御できる。試料表面に対する一次イオンの入射は、イオン群ごとで同軸でもよく、異なる入射角であってもよいが、同軸であることが好ましい。
第二のイオン群が照射される回数(照射するイオン群の数)は、特に限定されない。同一試料の同一領域に複数回照射する場合には、照射するイオン量がスタティック限界以上になる前に動作を終了することもできる。スタティック限界とは、一度イオンが衝突した地点に別のイオンが再度衝突することが確率論上、無視できるレベルである。このときのイオン照射量は、表面を構成する原子や分子の1%以下である。
第二のイオン群を、それぞれ照射する回数およびそれらの順番については、特に限定されない。第二のイオン群の種類ごとでの照射の回数あるいは順番は、ランダムであってもよく、規則性があってもよい。例として次のようなパターンが考えられる。(a)イオン群の種類ごとにランダムである(b)特定回のイオン群の種類は同じであり、その他はランダムである(c)シーケンスごとに特定の規則がありそれが繰り返される(d)複数のシーケンスがランダムあるいは規則に従い繰り返される。
イオン群の照射される試料表面より発生する二次イオンは、質量分析計により計測される。質量分析計は、試料近傍の二次イオンを引き出す引出電極と、引出電極に引き出された二次イオンを質量電荷比ごとに分離する質量分離部と、分離された各二次イオンを検出する検出器と、を備える。
更に、質量分析計は、質量分離部とは別に、発生する二次イオンの中から一部のみを二次イオン群として選別する、二次イオン群選別機構を含んでよい。発生する二次イオンの中から一部のみを二次イオン群として選別することで、二次イオンの時間幅を短くできるため、得られる二次イオン質量スペクトルにおける質量分解能を向上できる。なお、二次イオン群選別機構は、質量に基づき二次イオンを選択的に選別する機能を有してもよい。
二次イオン群選別機構は、引出電極に備わってもよく、別の構成部品に備わってもよい。引出電極に備わる場合、例えば電荷印加の時間幅を短くすることで、二次イオン群を選別できる。別の構成部品を用いる場合には、引出電極と質量分離部の間に二次イオン群選別用電極を設置し、該二次イオン群選別用電極への電圧印加を制御することで、二次イオン群を選別してよい。例えば、直交型飛行時間型質量分析計では、二次イオン群選別用電極は、引出電極と質量分離部との間に設置され、質量分離部は、引出電極から二次イオン群選別用電極へ向かう二次イオンの進行方向と垂直方向に設置される。この場合、引出電極は常時二次イオンを引き出し、二次イオン群選別用電極への電圧印加のON/OFFを繰り返すことで、引き出された二次イオンの中から一部を二次イオン群として選別すると同時に、二次イオン群を質量分離部へ導入することができる。
質量分析計における質量分離方式は特に限定されることはなく、飛行時間型、磁場偏向型、四重極型、イオントラップ型、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型、電場型フーリエ変換型、マルチターン型等の各種方式を単独あるいは組み合せて採用することができる。
イオン群を投影型により照射する場合には、二次元イオン検出機能を有する検出器を備える質量分析計を用いることで、二次イオンの質量情報と検出位置情報とを同時に記録することができる。
イオン群を走査型により照射する場合には、位置情報はイオン群の照射時に記録される。この場合、二次イオンの質量電荷比のみを計測できればよいため、検出器は各質量分析方式に適したものを用いればよい。
イオン群を走査型により照射した場合には、質量分析計は位置情報の検出は行わず、二次イオンの質量電荷比のみを計測できればよいため、検出器は各質量分析方式に適したものを用いればよい。
質量分析結果は、解析装置により解析処理され、解析処理された二次イオン質量スペクトルおよび質量分布画像として、出力装置により出力できる。前記解析装置および出力装置は、専用の演算機能及びメモリを備えた集積回路等であってもよく、または汎用のコンピュータ内にソフトウエアとして構築されたものであってもよい。
解析は、照射した一次イオンの種類ごとに得られる複数の二次イオン質量スペクトルに基づいて行うことができる。解析の際は、照射領域内の各位置情報を有する各スペクトルを用いてもよく、照射領域内の一定領域を積算したスペクトルを用いてもよい。解析処理は、1個の二次イオン質量スペクトルの分割処理や、質量電荷比のキャリブレーションや、同種イオン群の照射で得られた質量スペクトルの積算、平均化、規格化を含んでよい。
複数の二次イオン質量スペクトル間の差異を解析する解析処理方法は特に限定されない。異なる複数のスペクトルを用いた加算、引算、差引、除算、積算などの一般的な処理、あるいはジェントルSIMS(G−SIMS)法に基づく解析処理など、あらゆる処理法を単独あるいは組み合わせて適宜行うことができる。
得られる複数の二次イオン質量スペクトルの差異解析例について説明する。差異解析は、照射する一次イオンの質量が大きいほど試料分子のフラグメンテーションを抑制でき、プレカーサーイオンが得られやすくなることを利用する。図3に、解析の例を示す。図3において、(a)質量の大きな一次イオン照射、(b)質量の小さな一次イオン照射によりそれぞれ得られる二次イオン質量スペクトル35、36は、図2の33、34に相当し、両者は比較可能な試料領域または位置から得られ、かつ比較可能な程度の二次イオン強度を有する。ここで、(a)の質量スペクトルから、(b)の質量スペクトルを差し引くと、(c)の差分の質量スペクトル37が得られる。正に凸となるピークと、負に凸となるピークに分類される。このとき、一次イオンの質量の大きいほうがプレカーサーイオンの二次イオン強度も大きいため、プレカーサーイオンは正に凸、フラグメントイオンは負に凸となる。このように、一次イオンの質量の大小関係と、ピークの大小関係との関係から、プレカーサーイオンとフラグメントイオンとを識別できる
尚、プレカーサーイオンの種類としては、試料分子(M)が、電子の脱離によりイオン化したもの(M)、電子の付加によりイオン化したもの(M)の他、特定のイオンが付加または脱離することでイオン化し、かつフラグメンテーションを起こしていない状態のイオンを指す。付加または脱離により生成するイオンの代表例としては、水素付加イオン([M+H])、水素脱離イオン([M−H]、[M−H])、ナトリウム付加イオン([M+Na])、カリウム付加イオン([M+K])、アンモニウム付加イオン([M+NH)、塩素付加イオン([M+Cl])などを言う。その他、金属イオン、一次イオン種由来のイオン、試料分子周囲のマトリックス由来のイオンなどの付加体も含まれる。
また、プレカーサーイオンとフラグメントイオンとが明確に識別された二次イオン質量スペクトルに基づき、プレカーサーイオンとフラグメントイオンとを明確に区別した質量分布画像を得ることもできる。
以上、本発明の二次イオン質量分析装置により、イオン群を構成するイオンの平均質量の異なる2個以上のイオン群照射を短時間で行うことができる。これにより、異なる2個以上の二次イオン質量スペクトルを短い測定時間で得ることができるため、プレカーサーイオンとフラグメントイオンとのピーク識別ならびに試料分子種の特定をスループットよく行える。
(第2の実施形態)
本実施形態の構成を、図4を用いて説明する。
本実施形態では、イオン群選別手段28が、イオン源側に位置する第一のチョッパー38と、第二のチョッパー40と、該第一および第二のチョッパーとの間に配置されるイオン分離器39とを有する。該第一および第二のチョッパーは、閉口状態から一定時間のみ、開口状態とすることでイオンを進行方向に一定時間のみ通過させることでイオン群に選別するチョッピング動作を行う。第二のチョッパーは、第一のチョッパーによる1回のチョッピング動作につき2回以上のチョッピング動作を行うチョッパーであることを特徴とする。
イオン源において放出されるイオンは、様々な種類のイオンを含み、なおかつ時間幅が無限または広い時間幅を有するイオンの集合体となる。前記イオンの集合体の時間幅とは、イオンがイオン源より放出される時間の幅を指す。前記イオンの集合体が、最初に第一のチョッパー38に到達し、第一のチョッパー38によるチョッピング動作により、時間幅が小さくかつ様々な質量のイオンを含む第一のイオン群として選別される。次に、イオン分離器39により第一のイオン群はさらに分離され、その後、第二のチョッパーにより2回以上のチョッピング動作が行われる。以上により、時間幅が短く、かつ目的イオン以外の混入イオンの少ない、異なる質量を有する2個以上の第二のイオン群を、短時間で得ることができる。
以上のように、第一のチョッピング動作と、イオン分離と、第二のチョッピング動作を行うと、時間幅が短く、かつ目的イオン以外の混入イオンの少ないイオン群を容易に得ることができる。イオン群の時間幅が短く、かつ目的イオン以外の混入イオンが少ないと、試料表面にイオン群が到達するまでのイオン群の時間幅の拡大を低減できるため、生成する二次イオンの質量分解能を向上させることができる。このため、第一のチョッパーと、第二のチョッパーと、第一および第二のチョッパーとの間に配置されるイオン分離器とを、好ましく用いることができる。
その他の構成については、実施形態1と同様である。
(第3の実施形態)
本実施形態の構成を、図5を用いて説明する。
図5(a)は、本実施形態の装置を説明する模式図である。本実施形態では、前記第一のチョッパー38および第二のチョッパー40との間に配置されるイオン分離器39として、飛行時間型質量分離器41が用いられる。
飛行時間型質量分離器41は、高い質量分解能を有する。加えて、飛行時間型質量分離器の利用により、イオンをイオン群に分離するために制御すべきパラメータが時刻差のみとなるため、制御の簡便性と精度が向上する。以上により、高質量分解能、高質量精度のイオン群を簡便に得られるため、上記装置を好ましく用いることができる。
図5(a)の動作を説明する。イオン源において放出された、様々な質量のイオンを含みかつ時間幅が無限または広い時間幅を有するイオンの集合体は、第一のチョッパー38によるチョッピング動作1回により、第一のイオン群1個が選別される。第一のイオン群は時間幅が小さくかつ様々な質量のイオンを含む。次に、前記様々な質量のイオンを含む第一のイオン群は、飛行時間型質量分離器41において、各質量電荷比に対応した速度で飛行する。これにより、第一のイオン群のイオンはそれぞれ質量電荷比ごとに分離され、特定質量のイオンを主に含む時間幅の長い複数のイオンの集合体となる。なお、該複数のイオン群は個々の時間幅が長いため、互いに重なっている場合もある。次に、該複数のイオンの集合体の中から、目的イオンを主に含む2個以上イオン群を対象に、第二のチョッパーが2回以上チョッピング動作を行う。以上により、時間幅が短く、かつ目的イオン以外の混入イオンの少ない、異なる質量を有する2個以上の第二のイオン群を、短時間で得ることができる。
本実施形態に係るチョッパーの開口、閉口のタイミングチャートの例を、図5(b)、(c)を用いて説明する。
図5(b)に示すように、チョッパーが開口(Open)している間の時間をチョッパーの開口時間42、チョッパーの開口から次の開口までの間を開口間隔43、チョッパーが開く時刻を、開口時刻44、チョッパーが閉じる時刻を閉口時刻45と呼ぶ。チョッパーの開口時間42は、チョッパーの開口、閉口(Close)により得られるイオン群の時間幅に相当する。また、開口および閉口を行う動作を、チョッピング動作とも呼ぶ。
図5(c)の、第一のチョッパーのタイミングチャート46は、第一のチョッパーが開口間隔ΔT11〜ΔT1nで、開口および閉口の動作をn回行うことを示す。図においてOpenの表記はチョッパーが開口している(イオンを進行方向に通過させる)、Closeの表記はチョッパーが閉口している(イオンの進行を遮断する)ことを意味する。図5(c)では、開口の間隔は全て等しい例を示しているが、開口の間隔は必ずしも一定である必要はなく、それぞれ異なっていてもよい。第二のチョッパーのタイミングチャート47は、第一のチョッパーのチョッピング動作1回に対し第二のチョッパーが2回チョッピング動作を行い、すなわち、第2のチョッパーは合計で2n回動作することを示す。第二のチョッパーにおける動作2回を1サイクルとしたとき、第一のチョッパーと第二のチョッパーとの開口時刻の差は、1サイクル目の1回目がΔT211、2回目がΔT221であり、2サイクル目の1回目がΔT212、2回目がΔT222であり、3サイクル目の1回目がΔT213、2回目がΔT223であり、nサイクル目1回目がΔT21n、2回目がΔT22nであることを示している。また、図ではΔT211〜ΔT21nは全て等しい例を示しているが、サイクルごとに変化してもよい。前記変化はランダムでもよく、規則性があってもよい。また、図ではΔT221〜ΔT22nは全て等しい例を示しているが、サイクルごとに変化してもよい。前記変化はランダムでもよく、規則性があってよい。また、図では1〜n回目のサイクルのいずれにおいても第一のチョッパーの1回のチョッピング動作に対し第二のチョッパーが2回動作しているが、必ずしも一定である必要はない。少なくとも1サイクルにおいて前記第二のチョッパーが2回以上動作するのであれば、各サイクルにおける動作は何回でもよく、サイクルごとに変化してもよい。前記変化はランダムでもよく、規則性があってもよい。
第一のチョッパーと第二のチョッパーとの開口時刻の差の設定は特に限定されず、ランダムであってもよいが、目的をもって設定してもよい。例えば、特定の質量のイオンを照射する目的で、その質量のイオンが通過する時刻差にあわせて第二のチョッパーを作動してもよい。
なお、特定の質量電荷比をもつイオンが、第一のチョッパーを通過した後に第二のチョッパーに到達するまでの時間は遅延時間(飛行時間)として計算できる。すなわち、加速電圧Vにより飛行する質量m、電荷数zのイオンが、全長Lの飛行経路長を等速度にて飛行する時間tは式(1)として求めることができる。eは電荷素量である。
式(1)t=L(m/2zeV)1/2
飛行経路長Lを飛行時間型質量分析器41の長さとして、あるいは、第一のチョッパー38および第二のチョッパー40の距離として(飛行時間型質量分離器を装置鏡筒とは別にせず、グランド電位に基づいて電位を設けた場合)、式(1)を当てはめることにより、特定の質量のイオンを通過させるための第一と第二のチョッパーの開口時刻の差を求めることができる。なお、飛行経路長は、長いほど質量分解能は向上するが、スループットやスペースの制約との兼ね合いから、0.1〜1m程度を好ましく用いることができる。
第一のチョッパー開口時間は特に限定されないが、概ね0.5nsec〜50μsecの範囲内を用いる。チョッパーの開口時間は、後の飛行時間型質量分離器における質量分解能に影響するため、飛行距離長や加速電圧など各種パラメータと、所望の一次イオンの質量分解能との兼ね合いにより決定してよい。第一のチョッパーの開口時間はサイクルごとで一定でもよく、変化してもよい。変化はランダムでもよく、規則性があってもよい。
第二のチョッパー開口時間は特に限定されないが、概ね0.5nsec〜50μsecの範囲内を用いる。ただし、開口時間は、一次イオン照射により試料より放出される二次イオンの質量分解能に影響する場合がある。すなわち、一次イオンのイオン群の時間幅が長すぎると、二次イオン発生時刻の不確定性が増大し、質量分解能を低下させる場合がある。一方、一次イオンの質量電荷比が大きいほど、一次イオンが第二のチョッパーを通過するまでの時間が長くなり、開口時間は大きく設定することとなる。これらの兼ね合いから前記開口時間を決定してよい。第二のチョッパーの開口時間はサイクルごとで一定であってもよく、変化してもよい。前記変化はランダムでもよく、規則性があってもよい。
その他の構成は、上記実施形態と同様である。
(第4の実施形態)
本実施形態では、一次イオン照射手段において、前記第一のチョッパーによる1回のチョッピング動作と、該チョッピング動作に連動した前記第二のチョッパーによる2回以上のチョッピング動作との組み合わせを1サイクルとしたときに、少なくとも1サイクルにより選別される2個以上の第二のイオン群を、第二のイオン群を構成するイオンの質量が小さいものから順に試料へ照射する。
イオン分離器として飛行時間型質量分離器を用いる場合、前記1サイクル内では、第二のイオン群は構成するイオンの質量の小さいものから順に選別される。このため、第二のイオン群を構成するイオンの質量が小さいものから順に試料に照射する場合、イオン選別と照射とでイオン群の順番を入れ替える必要が無い。したがって、それぞれのイオン群について、イオン選別から照射に至るまでの時間を最も短くすることができる。
その他の構成は、上記実施形態と同様である。
(第5の実施形態)
本実施形態では、試料より発生する二次イオンを計測する質量分析計が、飛行時間型質量分析計である。
飛行時間型質量分析計は、試料より発生する全二次イオンを引出電極に導き、加速電圧Vにて加速した後、飛行行路長Lの自由空間を飛行させて検出器へと到達させる。二次イオンは、各質量電荷比ごとに分離されるため、検出器への到達時間tを計測することで、式(1)に基づき個々の二次イオンの質量mを求めることができる。
飛行時間型質量分析計は、イオンの透過率が高いため高感度分析が可能で、かつ質量分解能が高く、ピーク間の分離が容易になるため、プレカーサーイオンとフラグメントイオンとの識別が容易になる。
その他の構成は、上記実施形態と同様である。
(第6の実施形態)
本実施形態では、2個以上の第二のイオン群の、試料への照射において、各々の第二のイオン群の照射について、それぞれ前記質量分析計による計測が行われる。照射1回に対し計測1回であるため、二次イオンスペクトルの計測時間を、照射する第二のイオン群の質量に応じ変化させることができる。
例えば、第二のイオン群を構成するイオンの質量が大きいほど、二次イオンスペクトルの計測時間を長くすることができる。
本実施形態の一次イオン照射および二次イオン計測のタイミングチャートを、図6に例示する。第一のチョッパーのタイミングチャート48において、チョッピング動作49により第一のイオン群1個が選別される。前記第一のイオン群が、第二のチョッパーのタイミングチャート50におけるチョッピング動作51、52により2個の第二のイオン群に選別され、順次試料に照射される。ここで、チョッピング動作51により選別されたイオン群を構成するイオンの質量は、チョッピング動作52による選別されたイオン群のそれよりも小さいこととする。各イオン群の照射により発生した二次イオンは、飛行時間型質量分析計により、タイミングチャート53に示すように、それぞれ計測時間Δt11、Δt12の計測動作54、55にてそれぞれ1回ずつ計測される。
ここで、図6に例示するように、照射するイオン群を構成するイオンの質量が小さいほど、二次イオンの計測時間は短くできる。これは、次の理由による。
飛行時間型質量分析計の計測時間は、計測する質量範囲に依存する。二次イオンの質量が大きいほど、式(1)に基づき検出器までの到達時間が大きくなるため計測に時間を要する。一方、一次イオンの質量が小さいほど、質量の大きな二次イオンはそもそも発生し難くなり、計測は質量の小さな範囲で充分な場合がある。したがって、照射するイオン群のイオンの質量が小さいほど、二次イオンの計測時間を短くできる。
本実施形態では、二次イオンの計測時間を、一次イオンの質量に応じ変化することができる。このため、2個以上のイオン群を照射する場合においても、1サイクルごとの計測時間を最短にでき、全サイクル分の計測時間も短くできる。特に、第二のイオン群を選別する際に飛行時間型質量分離器を用いる場合に有効である。例えば、前記分離器を用いる場合、質量の大きなイオンからなるイオン群を選別するためには長い時間がかかるが、図6に示すように、前記時間内において質量の小さなイオンからなるイオン群を選別し、試料に照射し、二次イオンを計測する動作を完了させることも可能になる。
なお、二次イオンの計測開始時刻56、58に特に制限は無く、第二のチョッパーの開口時刻または閉口時刻と連動してよい。また、二次イオンの計測終了時刻57、59および計測時間に特に制限はなく、任意の計測時間、照射する第二のイオン群を構成するイオンの質量、任意の計測質量範囲、次回の第二のチョッパーの開口時刻または閉口時刻(図6の例示では、チョッピング動作52の開口時刻または閉口時刻に対する二次イオン計測動作54の閉口時刻57)、のいずれかより決定してよい。
なお、照射する2個以上のイオン群のイオンの質量の差に制限はない。ただし、第二のイオン群を選別する際に飛行時間型質量分離器を用い、照射される時間差が選別される時間差と同じ場合には、前記質量が近接するとイオン群間で時間差がつきにくく、二次イオンスペクトルの検出時間が重なる場合がある。このため、本実施形態においては、第二のイオン群を選別する際に飛行時間型質量分離器を用い、照射される時間差が選別される時間差と同じ場合には、上記質量の差は、1000以上が好ましく、10000以上がより好ましい。
その他の構成は、上記実施形態と同様である。
(第7の実施形態)
本実施形態では、第二のチョッパーのチョッピング動作における開口時刻、あるいは、閉口時刻を飛行時間型質量分析計の計測開始時刻として用いる。
本発明においては、飛行時間型質量分析計の計測開始時刻は特に限定されない。ただし、第二のチョッパーのチョッピング動作における開口時刻あるいは閉口時刻を用いることで、該計測動作を単純化でき、制御が容易になる。
その他の構成は、上記実施形態と同様である。
(第8の実施形態)
本実施形態では、第二のチョッパーによるチョッピング動作における開口時刻および閉口時刻を飛行時間型質量分析計の計測開始時刻として用いる。
本発明においては、飛行時間型質量分析計の計測開始時刻および計測終了時刻(すなわち、計測時間)は特に限定されない。ただし、各々の第二のイオン群の照射について、それぞれ飛行時間型質量分析計による計測動作が行われる場合、第二のチョッパーによるチョッピング動作の閉口時刻を飛行時間型質量分析計の計測開始時刻として用い、第二のチョッパーによる次のチョッピング動作の開口時刻を飛行時間型質量分析計の計測終了時刻として用いることで、該計測動作を単純化でき、制御が容易になる。加えて、各々の第二のイオン群照射に対する、二次イオンの計測時間を最も長く確保することができるため、最も質量範囲の広い二次イオンスペクトルを得ることができる。
その他の構成は、上記実施形態と同様である。
(第9の実施形態)
本実施形態においては、前記1サイクルについて、前記質量分析計による計測動作が1回である。
本実施形態では、2個以上のイオン群照射で得られる二次イオンスペクトルが、1個の二次イオンスペクトルとして得られる。ただし、照射するイオン群の種類に対応する二次イオンスペクトルは、互いに時間的に充分離れている。このため、上記1個の二次イオンスペクトルを分割することにより、照射するイオン群の種類に対応する、異なる2個以上の二次イオンスペクトルを得ることができる。
本実施形態の一次イオン照射および二次イオン計測のタイミングチャートを、図7に例示する。イオン選別および照射のタイミングは、第6の実施形態と同様とする。本実施形態においては、二次イオン計測のタイミングチャート60が示すように、1サイクルで選別されたイオンすべてが照射されて発生する二次イオンが、計測時間Δt1にて、1回の計測動作61で計測される。
本実施形態により得られる1個の二次イオンスペクトルを、図7(b)に模式的に示す。一次イオンが質量の小さい順に照射されるため、得られる二次イオンには一次イオンの照射時刻の違いも反映される。すなわち、図7(b)の二次イオンスペクトル64において、二次イオン質量の小さい領域65は、質量の小さな一次イオンにより得られた二次イオンを示し、二次イオン質量の大きい領域66は、質量の大きな一次イオンにより得られた二次イオンを示す。一次イオンの質量が小さいほど、得られる二次イオンの質量が小さい。このため、2個以上の一次イオン照射により得られる1個の二次イオンスペクトルは、解析処理により分割して2個の異なる二次イオンスペクトルを得ることが可能となる。このため、本実施形態では、2個以上の一次イオン照射につき1回の二次イオン計測でよく、計測のための制御を簡素化できる。
なお、二次イオンの計測開始時刻62に特に制限は無く、第二のチョッパーの開口時刻または閉口時刻と連動してよい。また、二次イオンの計測終了時刻63および計測時間に特に制限はなく、任意の計測時間、次回の第一のチョッパーの開口時刻または閉口時刻(図7の例示では、チョッピング動作64の開口時刻または閉口時刻に対する二次イオン計測動作61の閉口時刻63)、のいずれかより決定してよい。
照射する2個以上のイオン群のイオンの質量の差に制限はない。ただし、本実施形態においては、第二のイオン群を選別する際に飛行時間型質量分離器を用い、照射される時間差が選別される時間差と同じ場合には、前記質量が近接するとイオン群間で時間差がつきにくく、二次イオンスペクトルがイオン群ごとに分離できない場合がある。このため、第二のイオン群を選別する際に飛行時間型質量分離器を用い、照射される時間差が選別される時間差と同じ場合には、上記質量の差は、1000以上が好ましく、10000以上がより好ましい。
その他の構成は、上記実施形態と同様である。
(第10の実施形態)
本実施形態では、1サイクルにおいて最も早い時刻に行われる第二のチョッパーによるチョッピングにともなう開口時刻、あるいは、閉口時刻を飛行時間型質量分析計の計測開始時刻として用いる。
本発明においては、飛行時間型質量分析計の計測開始時刻は特に限定されない。ただし、1サイクルについて、飛行時間型質量分析計による計測が1回である場合、1サイクルにおいて最も早い時刻に行われる第二のチョッパーによるチョッピング動作のタイミングを飛行時間型質量分析計の計測開始時刻として用いることで、該計測動作を単純化でき、制御が容易になる。
その他の構成は、上記実施形態と同様である。
(第11の実施形態)
本実施形態では、1サイクルにおいて最も早い時刻に行われる第二のチョッパーによるチョッピングにともなう閉口時刻を飛行時間型質量分析計の計測開始時刻として用い、次の1サイクルにおいて最も早い時刻に行われる第二のチョッパーによるチョッピング動作の開口時刻を飛行時間型質量分析計の計測終了時刻として用いる。
本発明においては、各サイクルにおける、飛行時間型質量分析計の計測終了時刻は特に限定されない。
本発明においては、飛行時間型質量分析計の計測開始時刻は特に限定されない。ただし、1サイクルについて、飛行時間型質量分析計による計測動作が1回である場合、1サイクルにおいて最も早い時刻に行われる第二のチョッパーによるチョッピング動作の閉口時刻を飛行時間型質量分析計の計測開始時刻として用い、次の1サイクルにおいて最も早い時刻に行われる第二のチョッパーによるチョッピング動作の開口時刻を飛行時間型質量分析計の計測終了時刻として用いることで、該計測動作を単純化でき、制御が容易になる。加えて、1サイクルにおいて、2個以上の第二のイオン群照射に対する、二次イオンの計測時間を最も長く確保することができるため、最も質量範囲の広い二次イオンスペクトルを得ることができる。
その他の構成は、上記実施形態と同様である。
(第12の実施形態)
本実施形態では、2個以上の第二のイオン群のうち、少なくとも1個以上がクラスターイオンより構成される。クラスターイオンを用いると、試料分子のフラグメンテーションを抑制できるため、質量の大きな試料分子についてもプレカーサーイオンを高感度に検出でき、フラグメントイオンとの識別が容易になる。
用いるクラスターイオンのクラスターサイズ範囲は特に限定されず、対象とする分子の質量範囲をもとに任意で決定してよい。一般に、クラスターサイズが大きくなるほど質量の大きな分子についてもプレカーサーイオンを感度良く検出することができる。
なお、前記クラスターサイズは、イオン群を構成するイオンの質量を用いて算出できる。
その他の構成は上記実施形態と同様である。
(第13の実施形態)
本実施形態では、2個以上の第二のイオン群のうち、少なくとも1個のイオン群を構成するイオンのイオン原料が、常温常圧下において気体、液体、気体と液体の混合物のいずれかを含む。本発明において、イオン原料の種類に特に限定はないが、液体金属よりも、ガスや非金属液体をイオン原料として用いたほうが、よりクラスターサイズの大きなクラスターイオンの生成が容易となる。クラスターサイズが大きくなるほど質量の大きな分子についてもプレカーサーイオンを高感度に検出できる。このため、イオン原料としては、常温常圧下において気体、液体、気体と液体の混合物のいずれかを含むことが好ましい。
常温常圧下における気体としては、アルゴン、キセノンなどの希ガス類や、酸素などが挙げられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
常温常圧下における液体としては、水、酸、アルカリや、アルコールなどの有機溶媒などが挙げられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
その他の構成は上記実施形態と同様である。
(第14の実施形態)
本実施形態では、2個以上の第二のイオン群のうち、少なくとも1個は、水、酸、アルコールのうち少なくとも1種類の分子を含む。本発明においてイオン群を構成するイオンの構成原子種または分子種は特に限定されないが、水、酸、アルコールのうち少なくとも1種類を含む一次イオンを試料に照射すると、生体分子のようなプロトン親和性を有する分子に対し、プロトン付加イオンの生成を促進できる。この結果、前記分子のプレカーサーイオンの検出感度が向上する。このため、2個以上の第二のイオン群のうち少なくとも1個は、水、酸、アルコールのうち少なくとも1種類を含む水分子を含むことが好ましい。
水分子を含むイオンに特に限定は無いが、好ましい例としては、[(HO)n](n=1〜100000)および[(HO)n+mH]m+(n=1〜100000、m=1〜100000)などが挙げられる。
水分子が10±2個の水クラスターイオン([(HO)10±2])から構成されるイオン群、および水分子が1000±20個の水クラスターイオン([(HO)1000±20])から構成されるイオン群、の2個のイオン群を用いる例を以下で説明する。なお、[(HO)10±2]は、イオンに含まれる水分子数の平均値は10個だが、イオン群として選別する際に±2個の誤差が生じる結果得られるイオンであることを意味する。同様に、[(HO)1000±20]は、イオンに含まれる平均の水分子数は1000個だが、イオン群として選別する際に±20個の誤差が生じる結果得られるイオンであることを意味する。
水クラスターイオンは、イオン原料に水を使用し、イオン原料供給手段において加熱した水を真空中に噴射し、形成された中性の水クラスターを電子衝撃イオン化法でイオン化することにより得ることができる。イオン化した複数のクラスターサイズを有するイオンの集合から、一部を第一のチョッパーによりイオン群として選別する。前記イオン群を飛行時間型質量分離器により質量分離し、第一のチョッパーによるチョッピング動作から特定の時間ΔT1経過後に第二のチョッパーによりチョッピング動作を行い、[(HO)10±2]から構成されるイオン群を選別する。選別された[(HO)10±2]から構成されるイオン群を、生体分子を含む試料へ照射する。照射された表面からの二次イオンを、飛行時間型質量分析計により、計測時間Δt1にて質量分析する。次に、前記第一のチョッパーによるチョッピング動作から特定の時間ΔT2経過後(ΔT1+Δt1<ΔT2)に第二のチョッパーによりチョッピング動作を行い、[(HO)1000±20]から構成されるイオン群を選別する。選別された[(HO)1000±20]から構成されるイオン群を、生体分子を含む試料へ照射する。照射された表面からの二次イオンを、飛行時間型質量分析計により、計測時間Δt1にて質量分析する。以上により、2種類の二次イオン質量スペクトルを短時間で得ることができる。得られた2種類のスペクトルにおいて、生体分子のプレカーサーイオンピークが感度良く得られるため、比較解析処理によるプレカーサーイオンの識別と生体分子種の特定が容易に行える。ただし本発明は、前記の例に限定されるものではない。
酸の種類は特に限定されないが、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸などが好ましい例として挙げられる。
アルコールの種類は特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどが好ましい例として挙げられる。
一つのイオン群に含まれる水、酸、アルコール分子の数および割合に特に制限はない。ただし、前記分子の数が多いほどプロトン化率が向上することがある。
その他の構成は上記実施形態と同様である。
(第15の実施形態)
本実施形態では、2個以上の第二のイオン群のうち、少なくとも1個は、希ガス分子を含む。本発明において2個以上のイオン群を構成するイオンの構成原子種または分子種は特に限定されないが、希ガス分子を含む一次イオンを照射すると、希ガス分子の反応性が低いため、一次イオン照射にともなう試料表面の汚染を抑制できる。このため、2個以上の第二のイオン群のうち少なくとも1個は、希ガス分子を含むことが好ましい。
希ガス分子の種類に特に限定はないが、質量およびコストの観点から、アルゴンまたはキセノンを好ましく用いることができる。
その他の構成は上記実施形態と同様である。
(第16の実施形態)
本実施形態では、二次イオンを計測する質量分析計が、試料表面で発生した二次イオンを、二次イオン発生位置での位置関係を保持したまま検出する、二次元イオン検出機能を有する検出器を備える。
二次元イオン検出機能を有する検出器を備える質量分析計を用いると、二次イオンの試料表面上での発生位置を記録できるため、一次イオンの走査が不要になる。このため試料上の目的領域に同時に一次イオンを照射し、目的領域内の各位置の二次イオンを一括して検出することができる。この結果、一次イオンを走査する場合と比較し、短時間で測定を完了することができる。
本実施形態の質量分析計は、引出電極、質量分離部、前記検出器、の他に、投影倍率を調整するための投影調整電極を有して良い。投影調整電極は、検出器へ向かう二次イオンの進行方向と垂直な二次元平面上に、二次イオンの空間分布を拡大または縮小させる機能を有する。
イオン群の照射により試料表面で発生する二次イオンは、数〜数10kVに印加された引出電極により引き出される。次に、引き出された二次イオンは、投影調整電極により任意の投影倍率に拡大または縮小されて質量分離部へと導入される。次に、導入された二次イオンは、質量電荷比に基づき分離され、必要に応じ更に拡大または縮小される。以上の過程において、二次イオンは、試料表面での相対的位置関係が保持されている。分離された二次イオンは検出器により順次検出され、その質量情報と二次元位置情報とが記録される。
本実施形態における質量分析計における質量分離方式は特に限定されないが、例えば飛行時間型の質量分離方式を用いることで、二次イオンの検出時間(二次イオンの質量と対応)と検出位置を同時に記録することができる。
二次元イオン検出機能を有する検出器の種類に限定は無く、イオンを検出した時刻を検出できるものと位置を検出できるものであればどのような構成でもよい。例えば、MCP(マイクロチャンネルプレート)と二次元型の電子・位置検出器(例えばディレイライン検出器)との組み合わせや、MCPと蛍光板との組み合わせ、MCPとCCD(電荷結合素子)型二次元検出器との組み合わせ、微小なMCPが二次元状に配置された検出器、のいずれをも用いることができる。
本実施形態における質量分析計を用いて二次イオンを計測する際には、投影型によりイオン群を照射し、照射領域の全部または一部より発生する二次イオンを計測する。イオン群の照射位置および面積は、一次イオン照射装置を用い、イオン電流量、入射角、試料表面とイオン照射手段との距離、などにより任意に決定できる。二次イオン計測対象領域の面積および投影倍率は、引出電極と試料との距離、引出電極に印加する電圧、投影調整電極に印加する電圧、などを用いて任意に決定できる。
本実施形態における質量分析計を用いて二次イオンを計測する際には、1回のイオン群照射につき二次イオン計測を連続的に行ってもよく、離散的に行ってもよい。離散的に行う場合、目的分子の質量情報に応じ計測タイミングを制御することで、目的分子の質量分布画像を高速で得ることができる。
その他の構成は上記実施形態と同様である。
(第17の実施形態)
本実施形態においては、イオン原料を供給する間欠バルブを備えることを特徴とする。本発明において、イオン原料供給手段の構造に特に限定はないが、間欠バルブを用いてイオン原料を間欠的に供給すると、イオン原料を連続で供給する場合に比べ、真空排気系の負荷を低減できる。このため、本発明では間欠バルブを好ましく用いることができる。
間欠バルブとは、開口部を有し、開口(Open)と閉口(Close)を間欠的に繰り返す機能を有するバルブを指す。間欠バルブは、閉口状態であっても開口部を完全に遮断しない機能を有してもよい。ただし、噴射空間の真空維持の観点からは、閉口状態では開口部が完全に遮断されることが好ましい。
間欠バルブには、弁体構造により、ゲートバルブ、グローブバルブ、ボールバルブ、バタフライバルブ、ニードルバルブ、ダイヤフラムバルブ、などの種類がある。また間欠バルブには、弁体の駆動方式により、電磁バルブ、電動バルブ、空気バルブ、油圧バルブ、などの種類がある。本発明の間欠バルブは、いずれの種類も用いることができる。ただし応等速度の観点からは、電磁バルブを好ましく用いる。電磁バルブは、弁座の開閉機構により、ポペット式、スプール式、スライド式、などの種類があるが、いずれの種類を用いてもよい。
間欠バルブの開口および閉口動作の駆動方法に特に制限はなく、間欠バルブの種類に応じ適切な駆動方法を選択してよい。間欠バルブが電磁バルブの場合には、波形発生器を用いて電圧供給することで、間欠バルブの開口および閉口動作を精度良く行うことができる。また、間欠バルブへの電圧印加信号を分岐し、同時刻、あるいは遅延時間発生装置を介し一定時間遅れた時刻に、前記信号をトリガー信号としてチョッパーに送ることもできる。この場合、間欠バルブによるイオン原料の噴射動作と、チョッパーによるチョッピング動作との連動を、精度良く行える。
その他の構成は上記実施形態と同様である。
(第18の実施形態)
本実施形態では、2個以上のイオン群の照射される回数が、各イオン群のイオン電流値からそれぞれ決定されることを特徴とする。イオン電流値は、イオン群を何らかの対象物に照射した際に、対象物に流れる電流値として計測される。電流値は単位時間あたりの電荷量であるから、イオン電流値は、特定のイオン群1個により試料に照射されるイオンの数に対応する。複数のイオン群のうち、特定のイオン群のイオン電流値が小さいと、イオン群1個あたりに試料に照射されるイオンの数が少ないため、試料より発生する二次イオンの数も少なくなる。この結果、得られる二次イオン質量スペクトル強度が全体的に小さくなり、他のイオン群の照射により得られる質量スペクトルとの比較が十分行えない場合がある。本実施形態では、例えばイオン電流値の小さなイオン群については、あらかじめ照射の回数を多く設定することができる。すなわち、本実施形態においては、イオン群の違いによるスペクトルの違いを軽減し、互いに比較可能な二次イオンの質量スペクトルが得られる。
イオン電流値と照射回数との間の関係は特に限定されないが、各種イオン群のイオン電流値と照射回数との積が、イオン群ごとでの1桁以内の差異となるよう照射回数を決定することが好ましい。
イオン電流値は、第二のイオン群の電流値を直接計測してもよく、第二のイオン群に選別する以前の連続イオンビームの電流値から計算して求めてもよい。
第二のイオン群の電流値を直接計測する場合は、第二のイオン群をMCP(マイクロチャンネルプレート)に照射して質量スペクトルを取得し、そのピーク面積値を用いる。
一方、連続イオンビームの電流値から計算して求める場合は、まず、連続イオンビームを試料保持機構または装置内のその他の箇所に照射して電流値を計測する。より好ましくは、試料保持機構に含まれるファラデーカップに連続イオンビームを照射し、その電流値を計測する。次に、計測された電流値と、連続イオンビームから第二のイオン群を選別する際のデューティー比(第二イオン群の時間幅/第二のイオン群を選別する時間間隔)と、を用いて計算する。
各第二のイオン群について、以上にして得られるイオン電流値が、イオン群照射装置の照射回数を決定する設定条件にフィードバックされる。イオン電流値と照射回数との積が、試料に照射される総電荷量となるため、照射回数は、得られるイオン電流と、総電荷量の設定により、決定できる。
イオン電流の計測および計算、またそれらのフィードバックによる照射回数の決定は、計測者が手動で行うものであってもよく、装置が自動で行うものであってもよい。
その他の構成は上記実施形態と同様である。
(第19の実施形態)
本実施形態では、照射する第二のイオン群のイオン電流値またはクラスターサイズの変動をモニターし、これを装置の設定条件にフィードバックし、前記の変動を抑制する。
イオン群の選別ならびに照射を長時間行う場合、その時間内において装置の設定条件が同じあっても、イオン群の電流値やクラスターサイズが変動することがある。この場合、第二のイオン群の照射と二次イオン計測を繰り返すサイクルごとで計測結果にばらつきが生じるため、解析精度や再現性が低下する。したがって、前記の変動をモニターし、装置の設定条件にフィードバックし、前記の変動を抑制することが好ましい。
第二のイオン群のイオン電流値またはクラスターサイズは、直接計測して得ることができる。この場合、装置内に設置したMCPに第二のイオン群を照射することにより、質量スペクトルを取得する。質量スペクトルのピーク面積値からイオン電流値が得られ、また、そのピークにおける質量および半値幅からクラスターサイズが得られる。以上の方法を用いて、イオン群を長時間照射する際中に、イオン電流値およびクラスターサイズを定期的にサンプリングすることで、それらの変動をモニターできる。
また、第二のイオン群のイオン電流値は、第二のイオン群として選別される以前の連続イオンビームの電流値から計算して求めることもできる。この場合、まず、連続イオンビームを試料保持機構または装置内のその他の箇所に照射して電流値を計測する。次に、計測された電流値と、連続イオンビームからイオン群を選別する際のデューティー比(第二のイオン群の時間幅/第二イオン群を選別するチョッピング動作の開始時刻間隔)と、を用いて、イオン群のイオン電流値を計算する。より好ましくは、試料保持機構に含まれるファラデーカップに連続イオンビームを照射し、その電流値を計測することができる。以上の方法を用いて、第二のイオン群を長時間照射する際中に、イオン電流値を定期的にサンプリングすることで、それらの変動をモニターできる。
更に、第二のイオン群のイオン電流値またはクラスターサイズの変動は、第二のイオン群の照射される試料表面より発生する二次イオンの総量から判断することもできる。イオン電流値が小さくなると、二次イオン総量も低下する。また、同じイオン電流値でも、クラスターサイズが小さくなると、スパッタ効率が低下するため、二次イオン総量も低下する。したがって、第二のイオン群を長時間照射する際中に、第二のイオン群の照射と二次イオン計測を繰り返すサイクルごとに得られる二次イオン総量を質量分析計により計測することで、イオン電流およびクラスターサイズの変動をモニターできる。
モニターする対象は、イオン電流値であってもよく、クラスターサイズであってもよく、両方であってもよい。
モニター結果は、イオン群照射装置の設定条件にフィードバックされ、設定条件が調整される。設定条件は、イオン照射初期におけるイオン電流値またはクラスターサイズの初期値、或いはイオン群の照射される試料表面より発生する二次イオンの総量について、第二のイオン群の照射開始時の初期値や、第二のイオン群の照射中の平均値、モニターする回の1回前にモニターした値、のいずれかに基づき調整されてよい。或いは、設定条件より決定されるイオン電流値またはクラスターサイズの設定値に基づき調整されてよい。
フィードバックにより調整される設定条件は、特に限定されない。ただし、イオン電流値またはクラスターサイズの変動は、主に間欠バルブより噴射されるイオン原料の圧力変動に起因する。このため、フィードバックにより調整される設定条件は、間欠バルブに供給するイオン原料の圧力、間欠バルブ近傍の圧力、および間欠バルブの時間幅および動作時刻間隔、が例として挙げられる。その他に、間欠バルブとチョッパーとの動作時刻間隔、チョッパーの時間幅および動作時刻間隔、が調整されてよい。その他に、間欠バルブとイオン化手段との距離が調整されてよい。その他に、間欠バルブ、イオン化手段、チョッパー、イオン分離器、などに印加する電圧が調整されてよい。その他に、イオン群の照射回数が調整されてよい。
イオン電流およびクラスターサイズの変動のモニター、およびそのフィードバックによる各種設定条件の調整は、計測者が手動で行うものであってもよく、装置が自動で行うものであってもよい。
その他の構成は上記実施形態と同様である。
(第20の実施形態)
本実施形態では2個以上の第二のイオン群が、3種類以上の3個以上のイオン群からなることを特徴とする。
3種類の第二のイオン群を照射すると、3種類の異なる二次イオン質量スペクトルが得られる。この場合、2種類の質量スペクトルを用いて差異解析処理した質量スペクトルが2種類以上得られるため、それら2つを更に差異解析処理する二次的な解析処理が可能となるため、高精度な解析が行える。加えて、第二のイオン群が3種類以上ある場合には、必ずしも隣同士の質量の一次イオンで得た二次イオン質量スペクトルである必要がなく、任意の組み合わせを選択できるため、規格化などの処理が省略できる場合がある。このため、3種類以上の第二のイオン群を好ましく用いることができる。
その他の構成は上記実施形態と同様である。
1:第一のイオン群
2:第二のイオン群
3:第二のイオン群
4:第二のイオン群
5:第一のイオン群の時間幅
6:第一のイオン群の時間間隔
7:第一のイオン群と2個以上の第二のイオン群との時刻差
8:第二のイオン群の時間幅
9:第二のイオン群の時間幅
10:第二のイオン群の時間幅
11:第二のイオン群を選別する時刻差
12:第二のイオン群を選別する時刻差
13:イオン
14:イオン
15:第一のイオン群1の質量スペクトル
16:第二のイオン群2の質量スペクトル
17:第二のイオン群3の質量スペクトル
18:第二のイオン群4の質量スペクトル
19:一次イオン照射装置
20:質量分析計
21:解析装置
22:出力装置
23:一次イオン照射手段
24:試料
25:基板
26:試料保持手段
27:イオン源
28:イオン群選別手段
29:イオン群照射手段
30:第二のイオン群(質量M1)
31:第二のイオン群(質量M2)
32:照射領域
33:第二のイオン群30の照射で得られる二次イオン質量スペクトル
34:第二のイオン群31の照射で得られる二次イオン質量スペクトル
35:大きな質量の一次イオン照射で得られる二次イオン質量スペクトル
36:小さな質量の一次イオン照射で得られる二次イオン質量スペクトル
37:35−36の差分スペクトル
38:第一のチョッパー
39:イオン分離器
40:第二のチョッパー
41:飛行時間型質量分離器
42:チョッパーの開口時間
43:チョッパーの開口の間隔
44:チョッパーの開口時刻
45:チョッパーの閉口時刻
46:第一のチョッパーのタイミングチャート
47:第二のチョッパーのタイミングチャート
48:第一のチョッパーのタイミングチャート
49:第一のチョッパーによるチョッピング動作
50:第二のチョッパーのタイミングチャート
51:第二のチョッパーによるチョッピング動作(1回目)
52:第二のチョッパーによるチョッピング動作(2回目)
53:二次イオン計測のタイミングチャート
54:二次イオン計測動作(1回目)
55:二次イオン計測動作(2回目)
56:二次イオン計測開始時刻(1回目)
57:二次イオン計測終了時刻(1回目)
58:二次イオン計測開始時刻(2回目)
59:二次イオン計測開示時刻(2回目)
60:二次イオン計測のタイミングチャート
61:二次イオン計測動作
62:二次イオン計測開始時刻
63:二次イオン計測終了時刻
64:二次イオンスペクトル
65:小さな質量の一次イオン照射で得られる二次イオン(二次イオン質量の大きい領域)
66:大きな質量の一次イオン照射で得られる二次イオン(二次イオン質量の大きい領域)

Claims (20)

  1. イオン群を試料に照射するイオン群照射装置において、
    イオン源より放出されたイオンから、イオン群を構成するイオンの平均質量が異なる2個以上のイオン群を選別するイオン群選別手段と、
    該イオン群選別手段で選別された2個以上のイオン群を試料に照射する一次イオン照射手段と、を有し、
    さらに、
    イオン群選別手段は、1個以上のイオン群を選別し、該選別されたイオン群1個から、更に該2個以上のイオン群を選別する、
    ことを特徴とするイオン群照射装置。
  2. イオン群選別手段が、イオン源側に位置する第一のチョッパーと、第二のチョッパーと、第一および第二のチョッパーとの間に配置されるイオン分離器とを有し、
    第一および第二のチョッパーは、開口および閉口により、イオンを進行方向に通過および遮断させてイオン群に選別するチョッピング動作を行い、
    第一のチョッパーによる1回のチョッピング動作に連動して、第二のチョッパーは2回以上のチョッピング動作を行う
    ことを特徴とする、請求項1に記載のイオン群照射装置。
  3. イオン分離器が、飛行時間型質量分離器であることを特徴とする、請求項2に記載のイオン群照射装置。
  4. 一次イオン照射手段において、
    少なくとも1サイクルにより選別される2個以上のイオン群を、イオン群を構成するイオンの質量が小さいものから順に試料へ照射することを特徴とする、請求項2または3のいずれか1項に記載のイオン群照射装置、
    ただし、1サイクルとは第一のチョッパーによる1回のチョッピング動作と、それに連動した第二のチョッパーによる2回以上のチョッピング動作との組み合わせを指す。
  5. 2個以上のイオン群のうち、少なくとも1個は、クラスターイオンより構成されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のイオン群照射装置。
  6. 2個以上のイオン群のうち、少なくとも1個のイオン群を構成するイオンのイオン原料が、常温常圧下において気体、液体、気体と液体の混合物のいずれかを含むことを特徴とする、請求項5に記載のイオン群照射装置。
  7. 2個以上のイオン群のうち、少なくとも1個は、水、酸、アルコールのうち少なくとも1種類の分子を含むことを特徴とする、請求項6に記載のイオン群照射装置。
  8. 2個以上のイオン群のうち、少なくとも1個は、希ガス分子を含むことを特徴とする、請求項6または7のいずれか1項に記載のイオン群照射装置。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載のイオン群照射装置と、
    該イオン群照射装置によるイオン群を照射された試料から発生する二次イオンの質量を計測する質量分析計と、
    を有する、二次イオン質量分析装置。
  10. 質量分析計が、飛行時間型質量分析計であることを特徴とする、請求項9に記載の二次イオン質量分析装置。
  11. 2個以上のイオン群の、試料への照射において、各々のイオン群の照射について、それぞれ質量分析計による計測動作が行われることを特徴とする、請求項10に記載の二次イオン質量分析装置。
  12. 第二のチョッパーの開口時刻あるいは、閉口時刻と同時に、飛行時間型質量分析計の計測を開始することを特徴とする、請求項10記載の二次イオン質量分析装置。
  13. 第二のチョッパーの開口時刻および閉口時刻を飛行時間型質量分析計の計測開始時刻として用いることを特徴とする、請求項11に記載の二次イオン質量分析装置。
  14. 1サイクルについて、質量分析計による計測動作が1回であることを特徴とする、請求項10に記載の二次イオン質量分析装置。
  15. 1サイクルにおいて最も早い時刻に行われる第二のチョッパーによるチョッピング動作における開口時刻、あるいは、閉口時刻、を飛行時間型質量分析計の計測開始時刻として用いることを特徴とする、請求項14に記載の二次イオン質量分析装置。
  16. 1サイクルにおいて最も早い時刻に行われる第二のチョッパーによるチョッピング動作の閉口時刻を飛行時間型質量分析計の計測開始時刻として用い、
    次の1サイクルにおいて最も早い時刻に行われる第二のチョッパーによるチョッピング動作の開口時刻を飛行時間型質量分析計の計測終了時刻として用いる、
    ことを特徴とする、請求項14に記載の二次イオン質量分析装置。
  17. 質量分析計は、試料表面で発生した二次イオンを、二次イオン発生位置での位置関係を保持したまま検出する、二次元イオン検出機能を有する検出器を備えることを特徴とする、請求項9から16のいずれか1項に記載の二次イオン質量分析装置。
  18. 照射するイオン群ごとに二次イオン質量スペクトルを比較する処理を行う解析装置を含むことを特徴とする、請求項9から17のいずれか1項に記載の二次イオン質量分析装置。
  19. 請求項9から18のいずれか1項に記載の二次イオン質量分析装置を用いて、照射するイオン群ごとの二次イオン質量スペクトルについて比較し、それらの差異に基づき質量スペクトル、または質量分布画像を得ること特徴とする、二次イオン質量分析方法。
  20. イオン群を試料に照射するイオン群照射装置において、
    該イオン源より放出されたイオンから、2個以上のイオン群を選別するイオン群選別手段と、
    イオン群選別手段で選別された2個以上のイオン群を試料に照射する一次イオン照射手段と、を有し、
    さらに、
    イオン群選別手段が、イオン源側に位置する第一のチョッパーと、第二のチョッパーと、第一および第二のチョッパーとの間に配置されるイオン分離器とを有し、
    第一および第二のチョッパーは、開口および閉口により、イオンを進行方向に通過および遮断させてイオン群に選別するチョッピング動作を行い、
    第一のチョッパーによる1回のチョッピング動作に連動して、第二のチョッパーは2回以上のチョッピング動作を行う
    ことを特徴とする、二次イオン質量分析装置。
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