以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.第1の実施形態>
[概要]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る情報処理システム1の概略的なシステム構成について説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理システム1の概略的なシステム構成を示した図である。図1に示すように、本実施形態に係る情報処理システム1は、複数のセンサユニット10と、コンテキスト共有サーバ30とを含む。図1に示す例では、複数のセンサユニット10として、センサユニット10a〜10dが示されている。なお、以降では、センサユニット10a〜10dのような各センサユニット10を特に区別しない場合には、単に「センサユニット10」と記載する場合がある。
センサユニット10a〜10dのそれぞれと、コンテキスト共有サーバ30とは、ネットワークn1を介して接続されている。ネットワークn1は、例えば、インターネット、専用線、LAN(Local Area Network)、または、WAN(Wide Area Network)のように、異なる装置間を接続するネットワークであれば、その態様は限定されない。
センサユニット10は、例えば、雨量を測定するための雨量センサや、水位を測定するための水位センサ等のように、観測対象に応じたセンサが接続されている。各センサユニット10は、測定結果をコンテキスト共有サーバ30に送信する。これにより、各センサユニット10の測定結果が、コンテキスト共有サーバ30に集約される。
また、本実施形態に係る情報処理システム1では、複数のセンサユニット10のうち、一のセンサユニット10に接続されたセンサの測定結果に応じて、他のセンサユニット10に接続されたセンサの動作が制御される。そこで、以下に、図2を参照しながら、本実施形態に係る情報処理システム1の概要について、具体的な例を挙げて説明する。図2は、本実施形態にかかる情報処理システム1の概要について説明するための図であり、雨量や河川の水位を測定する各センサのうち、関連するセンサの測定結果に基づいて、河川の氾濫に基づく水害の危険度を判別するための情報処理システム1の一例を示している。
図2に示す例では、上流側に位置する領域g12及びg13を流れる河川p12及びp13が合流して河川p11となり、さらに河川p11がさらに大きな河川p10に流れ込む環境において、各領域の雨量及び河川の水位を測定する場合の例を示している。図2において、センサユニット10a、10f、10g、10hは、雨量センサが接続されたセンサユニット10を示している。また、センサユニット10b、10c、10d、10eは、水位センサが接続されたセンサユニット10を示している。
雨量センサが接続されたセンサユニット10aは、領域g12内に設置されており、領域g12内の雨量を測定する。同様に、センサユニット10fは、領域g13内に設置されており、領域g12内の雨量を測定する。なお、雨量センサが接続されたセンサユニット10g及び10h、領域g11〜g13とは異なる領域に設置されている。
また、水位センサが接続されたセンサユニット10bは、領域g12内を流れる河川p12の水位を測定する。同様に、センサユニット10cは、領域g13内を流れる河川p13の水位を測定する。また、センサユニット10dは、領域g11内を流れる河川p11の水位を測定する。また、センサユニット10eは、河川p10の水位を測定する。
各センサユニット10には、データの計測間隔や、測定したデータをコンテキスト共有サーバ30に送信するタイミングのような制御ルールがあらかじめ設定されており、各センサユニット10は、当該制御ルールに基づき自身の動作を制御する。
また、各センサユニット10は、測定やデータの送信に電源を要するが、このようなセンサユニット10が必ずしも恒常電源に接続して動作できるとは限らない。センサユニット10を設置する環境の中には、電源の存在しない場所もあり、このように電源の存在しない場所でセンサユニット10を動作させる場合には、例えば、太陽光パネルを設けることでセンサユニット10を動作させるための電力を確保する場合もある。このように限られた電力でセンサユニット10を動作させる必要がある場合には、消費電力を抑えてセンサユニット10を動作させる場合もある。そのため、センサによるデータの計測間隔や、測定したデータをコンテキスト共有サーバ30に送信する間隔を、例えば、10分〜1時間の間隔のように、比較的長めに設定することで電力消費を抑える場合がある。
これに対して、例えば、激しい雨により河川の水位が上昇する事態において、特に、上流側の比較的小さな河川では、数分で水位が危険水域まで上昇する場合がある。このような場合には、10分〜1時間の間隔で、データの計測やデータの送信を行っていると、水位が危険水域まで上昇することを事前に察知することが困難な場合がある。
そのため、例えば、雨量センサが接続されたセンサユニット10により雨量を測定し、雨量の測定結果に基づき「激しい雨」と判断された場合には、水位センサが接続されたセンサユニット10のデータの計測間隔やデータの送信間隔を短くしたいという要望がある。
具体的な一例として、図2の領域g12に多量の雨が降ることで、領域g12内を流れる河川p12の水位が上昇する可能性がある。このような場合には、雨量センサが接続されたセンサユニット10aによる雨量の測定結果に応じて、水位センサが接続されたセンサユニット10bの動作(例えば、データの計測間隔)を制御可能とする技術が求められている。
一方で、雨量センサが接続された各センサユニット10の測定結果と、各河川の水位とが必ずしも因果関係があるとは限らない。具体的な一例として、領域g12に多量の雨が降ったとしても、領域g12とは別の領域g13を流れる河川p13の水位が上昇するとは限らない。つまり、領域g12の雨量と、河川p13の水位との間には因果関係があるとは限らず、センサユニット10aの測定結果に応じて、河川p13の水位を測定するセンサユニット10cの動作を制御しても、意味をなさない場合がある。
そこで、本実施形態に係る情報処理システム1では、コンテキスト共有サーバ30が、因果関係のあるセンサユニット10間の関連付けを管理する。そして、コンテキスト共有サーバ30は、各センサユニット10から測定結果に基づき状況や状態を示す情報(以降では、「コンテキスト」と呼ぶ)を取得し、取得したコンテキストを関連するセンサユニット10に通知する。これにより、通知を受けたセンサユニット10は、通知されたコンテキストに基づき、送信元であるセンサユニット10による測定結果に基づく状況を認識し、認識された状況に応じてセンサの動作を制御する。
具体的な一例として、コンテキスト共有サーバ30は、領域g12の雨量を測定するセンサユニット10aと、当該領域g12を流れる河川p12の水位を測定するセンサユニット10bとをあらかじめ関連付けている。そして、コンテキスト共有サーバ30は、センサユニット10aから雨量の測定結果に基づき「激しい雨」を示すコンテキストを受けると、センサユニット10aに関連付けられたセンサユニット10bに、取得した当該コンテキストを送信する。これにより、センサユニット10bは、単体では激しい雨であることを認識することができないが、コンテキスト共有サーバ30から通知されたコンテキストに基づき激しい雨であることを認識できる。そのため、激しい雨の影響により河川p12の水位が危険水域に到達する前にデータの計測間隔を短く設定し、河川p12の急激な水位の上昇を検知することが可能となる。以降では、本実施形態に係る情報処理システム1の詳細について説明する。
[構成]
まず、本実施形態に係る情報処理システム1を構成する、センサユニット10及びコンテキスト共有サーバ30の構成について説明する。まず、図3を参照しながら、センサユニット10の構成について説明する。図3は、本実施形態に係るセンサユニット10の構成を示したブロック図である。図3に示すように、センサユニット10は、センサ11と、制御ユニット12とを含む。また、制御ユニット12は、通信部120と、コンテキスト認識部121と、コンテキスト保持部122と、センサ情報記憶部123と、コンテキスト通知部124と、コンテキスト取得部125と、制御部126と、測定結果通知部127とを含む。
センサ11は、センサユニット10に接続されたセンサを示している。センサ11の種別は、測定対象により適宜選択することが可能であり、例えば、雨量センサ、水位センサ等を選択し得る。また、測定対象に応じて、振動センサ、地震センサ(震度計)、光学センサ(ビデオカメラ)、超音波センサ等を選択することも可能である。また、図3に示す例では、単一のセンサ11が接続される例を示しているが、異なる種類のセンサ11を複数設けてもよい。また、図3に示す例では、センサ11と制御ユニット12とを別々の構成として示しているが、センサ11と制御ユニット12とを一体的に構成してもよい。
センサ11の動作は、後述する制御部126により制御される。また、センサ11は、測定結果を、コンテキスト認識部121と測定結果通知部127とに出力する。
通信部120は、制御ユニット12が、コンテキスト共有サーバ30と通信を行うためのインタフェースである。通信部120は、例えば、制御ユニット12が、セルラー無線通信網のような無線通信ネットワークn1を介してコンテキスト共有サーバ30との間で通信を行うためのデバイスであり得る。なお、無線通信に限らず、制御ユニット12が、コンテキスト共有サーバ30との間で通信を確立できれば、通信部120の態様は特に限定されない。なお、以降では、制御ユニット12内の各構成が、コンテキスト共有サーバ30側の構成とデータの送受信を行う場合には、特に記載が無い場合においても、通信部120を介してデータの送受信を行うものとする。
コンテキスト認識部121は、センサ11の測定結果を取得し、取得した測定結果をあらかじめ決められた条件ごとに分類することで、その測定結果が示す状況や状態を認識し、認識した状況や状態を示すコンテキストを特定する。
具体的には、コンテキスト認識部121は、あらかじめ作成されたコンテキスト認識ルールd11を記憶している。コンテキスト認識部121は、センサ11から取得した測定結果とコンテキスト認識ルールd11とを比較することでコンテキストを特定する。コンテキスト認識ルールd11は、対応するセンサユニット10の測定対象や、当該センサユニット10が設置された環境に応じて異なるルールが設定されている。
例えば、図4は、雨量センサが接続されたセンサユニット10aのコンテキスト認識ルールd11aの一例を示した図であり、雨量の測定結果に応じて雨量に関する雨量コンテキストを認識するためのルールを示している。図4に示すように、コンテキスト認識ルールd11aは、条件部d111と、認識部d112とを含む。条件部d111は、コンテキストを認識するための条件を示している。また、認識部d112は、条件部d111で示された条件が満たされた場合における、コンテキストの認識に係る処理、即ち、どのコンテキスト種別にどのようなコンテキストを設定するかを示している。なお、条件部d111と、認識部d112とを含むデータ構造は、コンテキスト認識ルールd11aに限らず、他のコンテキスト認識ルールd11についても同様である。
例えば、センサユニット10aのコンテキスト認識部121は、雨量センサ11から1時間ごとの雨量の測定結果を取得する。そして、図4に示すように、センサユニット10aのコンテキスト認識部121は、取得した雨量の測定結果が「50mm以上」の場合には、コンテキスト認識ルールd11aに基づき、雨量コンテキストが「非常に激しい雨」であると認識する。また、当該コンテキスト認識部121は、取得した雨量の測定結果が「30mm以上50mm未満」の場合には、コンテキスト認識ルールd11aに基づき、雨量コンテキストが「激しい雨」であると認識する。
また、センサユニット10bのコンテキスト認識部121は、あらかじめ決められたデータの計測間隔ごとに水位センサ11から水位の測定結果を取得する。また、詳細は後述するが、センサユニット10bのコンテキスト保持部122は、センサユニット10aにおける雨量の測定結果に基づき特定された雨量コンテキストが記憶されている場合がある。センサユニット10bのコンテキスト認識部121は、水位センサ11の測定結果とコンテキスト保持部122に記憶された雨量コンテキストとに基づき、水位に関する水位コンテキストと、水害危険度を示す水害危険度コンテキストを特定する。なお、詳細は後述するが、どのセンサユニット10のコンテキスト認識部121で認識されたコンテキストが、どのセンサユニット10に通知されるかについては、後述するコンテキスト共有サーバ30により管理されている。
ここで、図5を参照する。図5は、水位センサ11が接続されたセンサユニット10bのコンテキスト認識ルールd11bの一例を示した図であり、水位センサ11の測定結果と雨量コンテキストに基づき、水位コンテキストと水害危険度コンテキストとを認識するためのルールを示している。
具体的な一例として、センサユニット10bのコンテキスト認識部121は、取得した水位の測定結果が「5m以上」の場合には、コンテキスト認識ルールd11bに基づき、水位コンテキストが「氾濫危険水位」であると認識し、水害危険度コンテキストが「危険」であると認識する。また、当該コンテキスト認識部121は、水位の測定結果が「3m以上5m未満」であり、かつ、雨量コンテキストが「非常に激しい雨」または「激しい雨」の場合には、コンテキスト認識ルールd11bに基づき、水位コンテキストが「氾濫警戒水位」であると認識し、水害危険度コンテキストが「危険」であると認識する。また、当該コンテキスト認識部121は、水位の測定結果が「3m以上5m未満」であり、かつ、雨量コンテキストが「非常に激しい雨」及び「激しい雨」のいずれでもない場合には、コンテキスト認識ルールd11bに基づき、水位コンテキストが「氾濫警戒水位」であると認識し、水害危険度コンテキストが「警戒」であると認識する。なお、雨量コンテキストがコンテキスト保持部122に記憶されていない場合には、コンテキスト認識部121は、雨量コンテキストが設定されていないものとして認識してもよい。
コンテキスト認識部121は、認識したコンテキストを、当該コンテキストの種別(例えば、水位コンテキストや水害危険度コンテキスト)ごとに、コンテキスト保持部122に記憶させる。
コンテキスト保持部122は、コンテキストを、当該コンテキストの種別ごとに記憶する。例えば、コンテキスト保持部122は、コンテキスト認識部121により認識されたコンテキストを、当該コンテキストの種別ごとに記憶する。
また、コンテキスト保持部122は、後述するコンテキスト取得部125が、コンテキスト共有サーバ30から取得したコンテキストを記憶する。例えば、センサユニット10bのコンテキスト保持部122は、コンテキスト取得部125が、コンテキスト共有サーバ30から取得した、センサユニット10aにおける雨量の測定結果に基づき特定された雨量コンテキストを記憶する。
例えば、図6は、コンテキスト保持部122に記憶されるデータd12の一例を示した図である。図6に示すように、データd12は、コンテキスト種別d121と、コンテキスト値d122と、タイムスタンプd123とを含む。コンテキスト種別d121は、コンテキストの種別を示しており、具体的な一例として、「雨量コンテキスト」、「水位コンテキスト」、及び「水害危険度コンテキスト」等が挙げられる。また、コンテキスト値d122は、コンテキスト種別d121で示されたコンテキスト種別のコンテキストの値を示している。具体的な一例として、図6に示す例では、コンテキスト種別d121が「雨量コンテキスト」の場合のコンテキスト値d122として、雨量コンテキストのコンテキスト値である「激しい雨」が示されている。また、タイムスタンプd123は、コンテキスト値d122で示されたコンテキストが認識または取得されたタイミングを示している。
センサ情報記憶部123は、センサユニット10に固有の情報を記憶するための記憶部である。センサ情報記憶部123には、例えば、センサユニット10を特定するための識別情報(以降では、「センサユニットID」と呼ぶ場合がある)が記憶されている。また、センサ情報記憶部123には、センサユニット10に接続されたセンサ11の種別や、センサユニット10が設置された位置を示す位置情報が記憶されていてもよい。なお、センサユニット10が設置された位置を示す位置情報は、例えば、センサユニット10にGPS(Global Positioning System)を設けることで取得してもよいし、センサユニット10の設置者がGPSを用いて取得した位置情報を設定してもよい。
コンテキスト通知部124は、コンテキスト認識部121で認識されコンテキスト保持部122に記憶されたコンテキストと、センサ情報記憶部123に記憶されたセンサユニットIDとを、コンテキスト共有サーバ30に通知する。このとき、コンテキスト通知部124は、コンテキストが認識されたタイミングを示すタイムスタンプを、あわせてコンテキスト共有サーバ30に通知してもよい。
例えば、センサユニット10bに接続された水位センサ11の測定結果が「3m」であり、コンテキスト保持部122に雨量コンテキストとして「激しい雨」が記憶されていたとする。この場合には、コンテキスト認識部121により、水位コンテキストが「氾濫警戒水位」、水害危険度コンテキストが「危険」として認識され、それぞれのコンテキストがコンテキスト保持部122に記憶される。この場合には、コンテキスト通知部124は、センサ情報記憶部123に記憶された、センサユニットID=”10b”を示す情報と、コンテキスト保持部122に記憶された、水位コンテキスト=”氾濫警戒水位”、水害危険度コンテキスト=”危険”を示す情報と、コンテキストが取得されたタイミングを示すタイムスタンプとを、コンテキスト共有サーバ30に通知することとなる。
なお、コンテキスト通知部124が、センサユニットID、認識された各コンテキスト、及びタイムスタンプをコンテキスト共有サーバ30に通知するためのプロトコルは特に限定されない。例えば、コンテキスト通知部124は、”;(セミコロン)”をデリミタとして、各値の種別とその値との組が区切られた一連のデータをコンテキスト共有サーバ30に通知してもよい。
具体的な一例として、上述した例の場合には、コンテキスト通知部124は、「センサユニットID=”10b”;コンテキスト種別1=”水位コンテキスト”;コンテキスト値1=”氾濫警戒水位”;コンテキスト種別2=”
水害危険度コンテキスト”;コンテキスト値2=” 危険”;タイムスタンプ=”YYYY/MM/DD hh:mm:ss”」で示されたデータをコンテキスト共有サーバ30に通知してもよい。
コンテキスト取得部125は、他のセンサユニット10で認識されたコンテキストを、コンテキスト共有サーバ30から取得する。例えば、センサユニット10bのコンテキスト取得部125は、センサユニット10bに関連付けられたセンサユニット10aで認識された雨量コンテキストを、コンテキスト共有サーバ30から取得する。コンテキスト取得部125は、取得したコンテキストを、当該コンテキストの種別ごとにコンテキスト保持部122に記憶させる。
制御部126は、あらかじめ決められたルールに基づき、センサ11の動作や、制御ユニット12内の各部の動作(具体的には、コンテキスト認識部121、コンテキスト通知部124、及び、後述する測定結果通知部127それぞれの動作)を制御する。また、制御部126は、他のセンサユニット10で認識されコンテキスト保持部122に記憶されたコンテキストに基づき、センサ11、コンテキスト認識部121、及び測定結果通知部127の動作を切り替え可能に構成してもよい。
具体的には、制御部126は、あらかじめ作成されたセンサユニット制御ルールd15を記憶している。センサユニット制御ルールd15は、対応するセンサユニット10の測定対象や、当該センサユニット10が設置された環境に応じて異なるルールが設定されている。
例えば、図7は、雨量センサが接続されたセンサユニット10aのセンサユニット制御ルールd15aの一例を示した図であり、センサユニット10aのセンサ11の動作や、制御ユニット12内の各部の動作を制御するためのルールを示している。図7に示すように、センサユニット制御ルールd15aは、条件部d151と、制御部d152とを含む。条件部d151は、コンテキストに応じて制御を切り替える場合の、制御の切り替えに係る条件を示している。また、制御部d152は、条件部d151で示された条件が満たされた場合における、制御内容を示している。なお、条件部d151に、値が設定されていない場合には、対応する制御部d152に示された制御内容が恒常的に適用されることを示している。
図7に示すように、センサユニット制御ルールd15aには、データ計測間隔が「10分」、コンテキスト認識タイミングが「データ計測時」、データ送信タイミングが「データ計測時」、コンテキスト送信タイミングが「コンテキスト認識時」に設定されている。
データ計測間隔は、センサ11が測定を行う間隔を示しており、センサユニット10aに接続された雨量センサ11の場合には、雨量の測定を行う間隔を示している。即ち、センサユニット制御ルールd15aは、雨量センサ11が、10分ごとに雨量の測定を行うことを規定している。
また、コンテキスト認識タイミングは、コンテキスト認識部121がセンサ11の測定結果に基づきコンテキストを認識するタイミングを示している。即ち、センサユニット制御ルールd15aは、コンテキスト認識部121が、雨量の計測時に、コンテキスト(この場合は「雨量コンテキスト」)を認識することを規定している。
また、データ送信タイミングは、後述する測定結果通知部127がセンサ11の測定結果をコンテキスト共有サーバ30に通知するタイミングを示している。即ち、センサユニット制御ルールd15aは、測定結果通知部127が、データの計測時に、センサ11による測定結果をコンテキスト共有サーバ30へ送信することを規定している。
また、コンテキスト送信タイミングは、コンテキスト通知部124が、コンテキスト認識部121により認識されたコンテキストをコンテキスト共有サーバ30に通知するタイミングを示している。即ち、センサユニット制御ルールd15aは、コンテキスト通知部124が、コンテキストの認識時に、認識されたコンテキストをコンテキスト共有サーバ30に送信することを規定している。
また、図8は、水位センサが接続されたセンサユニット10bのセンサユニット制御ルールd15bの一例を示した図であり、センサユニット10bのセンサ11、コンテキスト認識部121、及び測定結果通知部127の動作を制御するためのルールを示している。
図8に示すように、センサユニット制御ルールd15bには、コンテキスト認識タイミングが「データ計測時」、データ送信タイミングが「データ計測時」、コンテキスト送信タイミングが「コンテキスト認識時」に設定されている。なお、これらの設定は、前述したセンサユニット制御ルールd15a(図7参照)と同様のため、詳細な説明は省略する。
また、センサユニット制御ルールd15bでは、条件部d151の設定に応じて、異なるデータ計測間隔の条件が示されている。具体的には、センサユニット制御ルールd15bは、雨量コンテキストが「非常に激しい雨」または「激しい雨」の場合には、データ計測間隔が「1分」であり、それ以外の場合には、データ計測間隔が「10分」であることを規定している。即ち、センサユニット10bの制御部126は、センサユニット10aにおいて、領域g12の雨量が「非常に激しい雨」または「激しい雨」であると認識された場合に、当該領域g12を流れる河川p12の水位の計測間隔を「1分」に変更する。このような構成により、領域g12における雨量が少ない場合には、河川p12の水位の計測間隔を長く設定することで消費電力を抑え、雨量が増加した場合には、河川p12の水位の計測間隔を短くすることで、急激な水位の上昇を検知することが可能となる。
測定結果通知部127は、センサ11から測定結果を取得する。測定結果通知部127は、取得した測定結果と、センサ情報記憶部123に記憶されたセンサユニットIDとをコンテキスト共有サーバ30に通知する。このとき、測定結果通知部127は、測定結果が取得されたタイミングを示すタイムスタンプを、あわせてコンテキスト共有サーバ30に通知してもよい。
なお、測定結果通知部127が、センサユニットID、測定結果、及びタイムスタンプをコンテキスト共有サーバ30に通知するためのプロトコルは特に限定されない。例えば、測定結果通知部127は、”;(セミコロン)”をデリミタとして、各値の種別とその値との組が区切られた一連のデータをコンテキスト共有サーバ30に通知してもよい。
具体的な一例として、上述した例の場合には、測定結果通知部127は、「センサユニットID=”10b”;データ種別1=”水位データ”;データ値1=”3m”;タイムスタンプ=”YYYY/MM/DD hh:mm:ss”」で示されたデータをコンテキスト共有サーバ30に通知してもよい。
なお、測定結果通知部127が、センサ11から測定結果を取得するタイミングや、取得した測定結果をコンテキスト共有サーバ30に送信するタイミングは、センサユニット制御ルールd15に基づき、制御部126により制御される。
また、上記では、コンテキスト通知部124と、測定結果通知部127とを別々の構成として説明したが、コンテキスト通知部124及び測定結果通知部127を一体的に構成して、認識されたコンテキストと測定結果とをあわせて送信してもよい。
次に、図9を参照しながら、コンテキスト共有サーバ30の構成について説明する。図9は、コンテキスト共有サーバ30の構成を示したブロック図である。図9に示すように、コンテキスト共有サーバ30は、通信部300と、センサユニット管理部310と、管理データ記憶部320と、測定結果取得部330とを含む。また、センサユニット管理部310は、コンテキスト取得部311と、ユニット制御部312とを含む。
通信部300は、コンテキスト共有サーバ30が、各センサユニット10と通信を行うためのインタフェースである。なお、通信部300の構成は、前述した通信部120と同様であるため詳細な説明は省略する。また、以降では、コンテキスト共有サーバ30内の各構成が、各センサユニット10側の構成とデータの送受信を行う場合には、特に記載が無い場合においても、通信部300を介してデータの送受信を行うものとする。
管理データ記憶部320は、センサユニット管理部310が各センサユニット10を制御するための制御データや、各センサユニット10から取得したデータを記憶する記憶部である。管理データ記憶部320は、例えば、データベースとして構成してもよい。
具体的な一例として、管理データ記憶部320は、生成コンテキスト管理テーブルd21と、コンテキスト監視テーブルd22と、センサユニット管理テーブルd23とを含む。なお、以降では、単に「生成コンテキスト管理テーブルd21」と記載した場合には、管理データ記憶部320に記憶された生成コンテキスト管理テーブルd21を指すものとする。このことは、「コンテキスト監視テーブルd22」及び「センサユニット管理テーブルd23」についても同様である。
生成コンテキスト管理テーブルd21は、各センサユニット10が生成する(認識する)コンテキストの種別を管理する管理データの一例である。以下に、図10を参照しながら、生成コンテキスト管理テーブルd21について説明する。図10は、生成コンテキスト管理テーブルd21の一例を示した図である。
図10に示すように、生成コンテキスト管理テーブルd21は、センサユニットIDd211と、生成コンテキスト種別d212とを含む。センサユニットIDd211は、各センサユニット10を識別するための識別情報を示している。また、生成コンテキスト種別d212は、センサユニットIDd211で示されたセンサユニット10が生成するコンテキストの種別を示している。
具体的な一例として、生成コンテキスト管理テーブルd21は、センサユニット10aが、雨量コンテキストを生成することを示している。同様に、生成コンテキスト管理テーブルd21は、センサユニット10bが、水位コンテキストと水害危険度コンテキストを生成することを示している。
生成コンテキスト管理テーブルd21と、生成コンテキスト管理テーブルd21に記憶された各情報とは、あらかじめ生成されて管理データ記憶部320に記憶される。
また、後述するコンテキスト取得部311は、生成コンテキスト管理テーブルd21に基づき、各センサユニット10からどの種別のコンテキストが通知されるかを認識する。
コンテキスト監視テーブルd22は、各センサユニット10から取得したコンテキストの履歴を示すデータを記録するための管理データの一例である。以下に、図11を参照しながら、コンテキスト監視テーブルd22について説明する。図11は、コンテキスト監視テーブルd22の一例を示した図である。
図11に示すように、コンテキスト監視テーブルd22は、センサユニットIDd221と、生成コンテキスト種別d222と、コンテキスト値d223と、タイムスタンプd224とを含む。センサユニットIDd221及び生成コンテキスト種別d222は、生成コンテキスト管理テーブルd21(図10参照)におけるセンサユニットIDd211及び生成コンテキスト種別d212と同様である。また、コンテキスト値d223は、センサユニットIDd221で示されたセンサユニット10から通知された、生成コンテキスト種別d222で示されたコンテキスト種別に対応するコンテキストを示している。また、タイムスタンプd224は、コンテキスト値d223に示されたコンテキストが取得されたタイミングを示す情報が示されている。
コンテキスト監視テーブルd22は、あらかじめ生成されて管理データ記憶部320に記憶される。また、後述するコンテキスト取得部311は、各センサユニット10から取得したコンテキストを、コンテキスト監視テーブルd22に記憶させる。これにより、コンテキスト監視テーブルd22を参照することで、いつ、どのセンサユニット10から、どんなコンテキストが通知されたかを認識することが可能となる。
また、センサユニット管理テーブルd23は、各センサユニット10間の関連付けを管理するための管理データの一例である。以下に、図12を参照しながら、センサユニット管理テーブルd23について説明する。図12は、センサユニット管理テーブルd23の一例を示した図である。
図12に示すように、センサユニット管理テーブルd23は、センサユニットIDd231と、利用センサユニットd232と、利用コンテキスト種別d233とを含む。センサユニットIDd231は、各センサユニット10を識別するための識別情報を示している。また、利用センサユニットd232は、センサユニットIDd231が示すセンサユニット10が、自身の動作の切り替えに係る判断を行うためのコンテキストの生成元である他のセンサユニット10の識別情報を示している。また、利用コンテキスト種別d233は、センサユニットIDd231が示すセンサユニット10が、自身の動作の切り替えに係る判断を行うためのコンテキストの種別を示している。
例えば、図12に示す例では、センサユニット管理テーブルd23は、センサユニット10bが、センサユニット10aで特定された雨量コンテキストを、センサユニット10bの動作の切り替えに係る判断に利用することを示している。
センサユニット管理テーブルd23と、センサユニット管理テーブルd23に記憶された各情報とは、あらかじめ生成されて管理データ記憶部320に記憶される。
また、後述するユニット制御部312は、センサユニット管理テーブルd23に基づき、各センサユニット10から取得されたコンテキストを、どのセンサユニット10に通知するかを認識する。
また、管理データ記憶部320は、各センサユニット10から取得した測定結果を記憶する。
ここで、図9を参照する。測定結果取得部330は、各センサユニット10から、当該センサユニット10の識別情報と、当該センサユニット10に接続されたセンサ11の測定結果と、当該測定結果が取得されたタイミングを示すタイムスタンプとを取得する。測定結果取得部330は、取得した識別情報と、測定結果と、タイムスタンプとを関連付けて、管理データ記憶部320に記憶させる。
コンテキスト取得部311は、生成コンテキスト管理テーブルd21を参照し、各センサユニット10で生成されるコンテキストを認識する。そして、コンテキスト取得部311は、生成コンテキスト管理テーブルd21に基づき、各センサユニット10から、当該各センサユニット10に対応する種別のコンテキストと、当該コンテキストが取得されたタイミングを示すタイムスタンプとを取得する。
ここで、図10を参照する。例えば、コンテキスト取得部311は、センサユニット10aから、当該センサユニット10aの識別情報と、種別が雨量コンテキストであるコンテキスト(例えば、「激しい雨」を示すコンテキスト)と、当該コンテキストが取得されたタイミングを示すタイムスタンプとを取得する。
コンテキスト取得部311は、取得したコンテキスト及びタイムスタンプを、取得元のセンサユニット10示す識別情報と、当該コンテキストの種別を示す情報と関連付けて、コンテキスト監視テーブルd22に記憶させる。
ユニット制御部312は、センサユニット10からコンテキスト取得部311にコンテキストが通知された場合に、通知されたコンテキストを利用する他のセンサユニット10に、当該コンテキストを送信する。
具体的には、ユニット制御部312は、コンテキスト監視テーブルd22を監視し、当該コンテキスト監視テーブルd22に新たにデータが記録された場合には、当該データが示すセンサユニット10のコンテキストが更新されたか否かを判断する。
例えば、コンテキスト監視テーブルd22に、センサユニット10aで認識された雨量コンテキストとして「激しい雨」が記録されたとする。このとき、ユニット制御部312は、コンテキスト監視テーブルd22から、過去(例えば、直前)の、センサユニット10aで認識された雨量コンテキストとして設定されたコンテキストを参照し、当該コンテキストが更新されたか否かを判断する。
対応するコンテキストが更新されたと判断した場合には、ユニット制御部312は、センサユニット管理テーブルd23を参照し、更新されたコンテキストを使用する他のセンサユニット10を特定する。
具体的な一例として、図12に示す例の場合には、ユニット制御部312は、センサユニット管理テーブルd23に基づき、センサユニット10aで認識された雨量コンテキストを使用するセンサユニット10として、センサユニット10bを特定する。
ユニット制御部312は、センサユニット管理テーブルd23に基づき特定されたセンサユニット10に、更新されたコンテキストを通知する。図11及び図12に示す例の場合には、ユニット制御部312は、センサユニット10aから雨量コンテキストとして通知された「激しい雨」を示すコンテキストを、センサユニット10bに通知することとなる。これにより、センサユニット10bは、センサユニット10aが設置された領域に降る雨が「激しい雨」であると認識することが可能となる。
なお、上記に示す例では、各センサユニット10がセンサ11による測定結果に基づきコンテキストを認識していたが、コンテキスト共有サーバ30が、各センサユニット10から通知された測定結果に基づきコンテキストを認識してもよい。この場合には、コンテキスト共有サーバ30にコンテキスト認識部121を設け、各センサユニット10に対応するコンテキスト認識ルールd11を、コンテキスト共有サーバ30に設けられたコンテキスト認識部121が参照可能な位置に記憶させればよい。
また、認識されたコンテキストに基づくセンサユニット10の動作の制御を、コンテキスト共有サーバ30が行ってもよい。具体的な一例として、ユニット制御部312が、各センサユニット10で認識されたコンテキストに基づき、関連するセンサユニット10の動作を制御するための制御パラメタを導出し、導出された制御パラメタを対応するセンサユニット10に通知してもよい。この場合には、各センサユニット10に対応するセンサユニット制御ルールd15を、ユニット制御部312が参照可能な位置に記憶させればよい。
[処理]
次に、図13〜図15を参照しながら、本実施形態に係る情報処理システム1の一連の動作について説明する。図13〜図15は、本実施形態に係る情報処理システム1の一連の動作シーケンスの一例を示したシーケンス図である。なお、以降では、本実施形態に係る情報処理システム1の一連の動作について、あらかじめ関連付けられたセンサユニット10a及び10bと、コンテキスト共有サーバ30との動作に着目して説明する。
まず、図13を参照する。図13は、情報処理システム1の一連の動作シーケンスのうち、センサユニット10a及び10bが、センサ11による測定結果に基づきコンテキストを認識する動作を示したシーケンス図である。
(ステップS302)
コンテキスト共有サーバ30は、動作を開始すると待機状態となり、各センサユニット10からの測定結果及びコンテキストの通知を待ち受ける。
(ステップS102a、ステップS104a)
雨量センサ11が接続されたセンサユニット10aの制御部126は、センサユニット制御ルールd15aに設定されたデータ計測間隔に基づき雨量センサ11を制御し(ステップS102a)、雨量データを測定させる(ステップS104a)。例えば、図7に示すセンサユニット制御ルールd15aのように、データ計測間隔が10分に設定されている場合には、制御部126は、雨量センサ11に10分ごとに雨量を測定させる。
また、制御部126は、雨量センサ11に1時間ごとの雨量データを導出させる。このとき、制御部126は、雨量センサ11に1時間ごとの雨量データを測定させてもよいし、10分ごとの雨量データに基づき1時間ごとの雨量データを算出(推定)させてもよい。
(ステップS106a)
制御部126は、あらかじめ設定された(例えば、センサユニット制御ルールd15aから読み出した)コンテキスト認識タイミングに基づき、コンテキスト認識部121に雨量コンテキストの認識を指示する。
(ステップS108a)
制御部126から雨量コンテキストの認識が指示されると、コンテキスト認識部121は、コンテキスト認識ルールd11を参照し、雨量コンテキストの認識のために、他のコンテキストを使用するか必要があるか否かを判断する。具体的には、コンテキスト認識部121は、コンテキスト認識ルールd11の条件部d111を参照し、当該条件部d111に他のコンテキストに基づく条件が設定されているか否かを確認する。
(ステップS110a)
コンテキスト認識ルールd11の条件部d111に、他のコンテキストに基づく条件が設定されている場合には(ステップS108a、YES)、コンテキスト認識部121は、コンテキスト保持部122に記憶されたコンテキストのうち、当該条件部d111に示されたコンテキストを読み出す。なお、条件部d111に、他のコンテキストに基づく条件が設定されていない場合には(ステップS108a、NO)、コンテキスト保持部122からのコンテキストの読み出しに係る処理を実行する必要はない。
(ステップS112a)
コンテキスト認識部121は、雨量センサ11から雨量コンテキストの認識に用いる雨量データを取得する。例えば、図4に示す例の場合には、コンテキスト認識部121は、雨量センサ11から1時間ごとの雨量データを取得する。
コンテキスト認識部121は、雨量センサ11から取得した雨量データと、コンテキスト認識ルールd11の条件部d111とを比較し、対応する雨量コンテキストを特定する。例えば、雨量センサ11から取得した1時間ごとの雨量データが「35mm」を示している場合には、コンテキスト認識部121は、雨量コンテキストが「激しい雨」であると認識する。また、他の一例として、雨量センサ11から取得した1時間ごとの雨量データが「30mm」に満たない場合(例えば、「7mm」の場合)には、コンテキスト認識部121は、雨量コンテキストが「弱い雨」であると認識してもよい。
なお、コンテキスト認識部121は、雨量コンテキストの認識のために、コンテキスト保持部122から他のコンテキストを読み出している場合には、当該他のコンテキストと取得した雨量データとに基づき雨量コンテキストを特定してもよい。
以上により、センサユニット10aのコンテキスト認識部121は、雨量センサ11により測定された雨量データに基づき、雨量コンテキストを認識する。コンテキスト認識部121は、認識した雨量コンテキストを、コンテキスト保持部122に記憶させる。
なお、水位センサが接続されたセンサユニット10bについても、基本的な動作原理は、上述したセンサユニット10aの場合と同様である。
(ステップS102b、ステップS104b)
例えば、センサユニット10bの制御部126は、センサユニット制御ルールd15bに設定されたデータ計測間隔に基づき水位センサ11を制御し(ステップS102b)、水位データを測定させる(ステップS104b)。なお、ここでは、図8に示すセンサユニット制御ルールd15bにおいて、条件部d151が「else」の場合、即ち、雨量コンテキストが取得されていないか、取得された雨量コンテキストが「非常に激しい雨」及び「激しい雨」のいずれでもないものとして説明する。この場合には、データ計測間隔が10分に設定されているため、制御部126は、水位センサ11に10分ごとに水位を測定させる。
(ステップS106b)
制御部126は、あらかじめ設定された(例えば、センサユニット制御ルールd15bから読み出した)コンテキスト認識タイミングに基づき、コンテキスト認識部121に水位コンテキスト及び水害危険度コンテキストの認識を指示する。
(ステップS108b)
制御部126から水位コンテキスト及び水害危険度コンテキストの認識が指示されると、コンテキスト認識部121は、コンテキスト認識ルールd11b(図5参照)を参照し、水位コンテキスト及び水害危険度コンテキストの認識のために、他のコンテキストを使用するか必要があるか否かを判断する。具体的には、コンテキスト認識部121は、コンテキスト認識ルールd11bの条件部d111を参照し、当該条件部d111に他のコンテキストに基づく条件が設定されているか否かを確認する。
(ステップS110b)
コンテキスト認識ルールd11bの条件部d111に、他のコンテキストに基づく条件が設定されている場合には(ステップS108a、YES)、コンテキスト認識部121は、コンテキスト保持部122に記憶されたコンテキストのうち、当該条件部d111に示されたコンテキストを読み出す。例えば、図5に示す例では、条件部d111に雨量コンテキストの条件が示されている。そのため、コンテキスト認識部121は、コンテキスト保持部122に雨量コンテキストが記憶されているかを確認し、記憶されている場合には当該雨量コンテキストをコンテキスト保持部122から読み出す。
なお、条件部d111に、他のコンテキストに基づく条件が設定されていない場合には(ステップS108a、NO)、コンテキスト保持部122からのコンテキストの読み出しに係る処理を実行する必要はない。
(ステップS112b)
コンテキスト認識部121は、水位センサ11から水位コンテキスト及び水害危険度コンテキストの認識に用いる水位データを取得する。
コンテキスト認識部121は、水位センサ11から取得した水位データ及びコンテキスト保持部122から読み出した雨量コンテキストと、コンテキスト認識ルールd11の条件部d111とを比較し、対応する水位コンテキスト及び水害危険度コンテキストを特定する。例えば、水位センサ11から取得した水位データが「3.5m」を示しており、雨量コンテキストが「激しい雨」の場合には、コンテキスト認識部121は、水位コンテキストが「氾濫警戒水位」であり、水害危険度コンテキストが「危険」であると認識する。また、他の一例として、水位センサ11から取得した水位データが「3m」に満たず(例えば、「1.2m」の場合)、雨量コンテキストが「弱い雨」の場合には、コンテキスト認識部121は、水位コンテキストが「低水位」であり、水害危険度コンテキストが「安全」であると認識してもよい。
以上により、センサユニット10bのコンテキスト認識部121は、水位センサ11により測定された水位データと、コンテキスト保持部122に記憶された雨量コンテキストとに基づき、水位コンテキスト及び水害危険度コンテキストを認識する。コンテキスト認識部121は、認識した水位コンテキスト及び水害危険度コンテキストを、コンテキスト保持部122に記憶させる。
次に、図14を参照する。図14は、情報処理システム1の一連の動作シーケンスのうち、コンテキスト共有サーバ30が、センサユニット10a及び10bで認識されたコンテキストを取得し、対応する他のセンサユニット10に当該コンテキストを通知する動作を示したシーケンス図である。
(ステップS114a)
センサユニット10aの制御部126は、あらかじめ設定された(例えば、センサユニット制御ルールd15aから読み出した)データ送信タイミングに基づき、測定された雨量データの送信を測定結果通知部127に指示する。
(ステップS116a)
制御部126から雨量データの送信が指示されると、測定結果通知部127は、雨量センサ11から測定結果、即ち、測定された10分ごとの雨量の測定結果及び導出された1時間ごとの雨量の測定結果を取得する。測定結果通知部127は、取得した雨量の測定結果と、センサ情報記憶部123に記憶されたセンサユニットIDとをコンテキスト共有サーバ30に通知する。このとき、測定結果通知部127は、測定結果が取得されたタイミングを示すタイムスタンプを、あわせてコンテキスト共有サーバ30に通知してもよい。
(ステップS114b)
同様に、センサユニット10bの制御部126は、あらかじめ設定された(例えば、センサユニット制御ルールd15bから読み出した)データ送信タイミングに基づき、測定された水位データの送信を測定結果通知部127に指示する。
(ステップS116b)
制御部126から水位データの送信が指示されると、測定結果通知部127は、水位センサ11から水位の測定結果を取得する。測定結果通知部127は、取得した水位の測定結果と、センサ情報記憶部123に記憶されたセンサユニットIDとをコンテキスト共有サーバ30に通知する。このとき、測定結果通知部127は、測定結果が取得されたタイミングを示すタイムスタンプを、あわせてコンテキスト共有サーバ30に通知してもよい。
(ステップS118a)
また、センサユニット10aの制御部126は、あらかじめ設定された(例えば、センサユニット制御ルールd15aから読み出した)コンテキスト送信タイミングに基づき、認識された雨量コンテキストの送信をコンテキスト通知部124に指示する。
制御部126から雨量コンテキストの送信が指示されると、コンテキスト通知部124は、コンテキスト保持部122に記憶された雨量コンテキストを読み出す。コンテキスト通知部124は、読み出した雨量コンテキストと、センサ情報記憶部123に記憶されたセンサユニットIDとをコンテキスト共有サーバ30に通知する。このとき、コンテキスト通知部124は、雨量コンテキストが認識されたタイミングを示すタイムスタンプを、あわせてコンテキスト共有サーバ30に通知してもよい。
(ステップS120a)
次に、制御部126は、センサユニット制御ルールd15aを読み出す。このとき、センサユニット制御ルールd15aの条件部d151に他のコンテキストに基づく条件が設定されている場合には、制御部126は、コンテキスト保持部122に記憶されたコンテキストのうち、当該条件部d151に示されたコンテキストを読み出す。制御部126は、センサユニット制御ルールd15aの条件部d151に示された条件に基づき、自身があらかじめ記憶している制御ルールを更新する。これにより、データ計測間隔、コンテキスト認識タイミング、データ送信タイミング、及びコンテキスト送信タイミングのような制御ルールが更新され、更新後の制御ルールに基づき、ステップS102a以降の雨量データの取得やコンテキストの認識に係る処理が実行される。
(ステップS118b)
同様に、センサユニット10bの制御部126は、あらかじめ設定された(例えば、センサユニット制御ルールd15bから読み出した)コンテキスト送信タイミングに基づき、認識された水位コンテキスト及び水害危険度コンテキストの送信をコンテキスト通知部124に指示する。
制御部126から水位コンテキスト及び水害危険度コンテキストの送信が指示されると、コンテキスト通知部124は、コンテキスト保持部122に記憶された水位コンテキスト及び水害危険度コンテキストを読み出す。コンテキスト通知部124は、読み出した水位コンテキスト及び水害危険度コンテキストと、センサ情報記憶部123に記憶されたセンサユニットIDとをコンテキスト共有サーバ30に通知する。このとき、コンテキスト通知部124は、水位コンテキスト及び水害危険度コンテキストが認識されたタイミングを示すタイムスタンプを、あわせてコンテキスト共有サーバ30に通知してもよい。
(ステップS120b)
次に、制御部126は、センサユニット制御ルールd15bを読み出す。このとき、センサユニット制御ルールd15bの条件部d151に他のコンテキストに基づく条件が設定されている場合には、制御部126は、コンテキスト保持部122に記憶されたコンテキストのうち、当該条件部d151に示されたコンテキストを読み出す。制御部126は、センサユニット制御ルールd15bの条件部d151に示された条件に基づき、自身があらかじめ記憶している制御ルールを更新する。
ここで、図8に示すセンサユニット制御ルールd15bの例を参照する。図8に示す例では、データ計測間隔に対応する条件部d151には、雨量コンテキストの条件が示されている。この場合には、制御部126は、コンテキスト保持部122に記憶された雨量コンテキストを読み出す。そして、制御部126は、雨量コンテキストが「非常に激しい雨」または「激しい雨」の場合には、データ計測間隔を「1分」に設定する。これにより、例えば、雨量の増加に伴い、雨量コンテキストが「弱い雨」から「激しい雨」に更新されると、この雨量コンテキストの更新に連動して、データ計測間隔が「弱い雨」に対応する「10分」から「激しい雨」に対応する「1分」に更新される。
このように、データ計測間隔、コンテキスト認識タイミング、データ送信タイミング、及びコンテキスト送信タイミングのような制御ルールが更新され、更新後の制御ルールに基づき、ステップS102b以降の水位データの取得やコンテキストの認識に係る処理が実行される。
(ステップS304、S308)
次に、コンテキスト共有サーバ30側の処理に着目する。測定結果取得部330は、各センサユニット10から、当該センサユニット10の識別情報と、当該センサユニット10に接続されたセンサ11の測定結果と、当該測定結果が取得されたタイミングを示すタイムスタンプとを取得する(ステップS304)。
測定結果取得部330は、取得した識別情報と、測定結果と、タイムスタンプとを関連付けて、管理データ記憶部320に記憶させる(ステップS308)。
(ステップS306、S308)
コンテキスト取得部311は、生成コンテキスト管理テーブルd21を参照し、各センサユニット10で生成されるコンテキストを認識する。そして、コンテキスト取得部311は、生成コンテキスト管理テーブルd21に基づき、各センサユニット10から、当該各センサユニット10の識別情報と、対応する種別のコンテキストと、当該コンテキストが取得されたタイミングを示すタイムスタンプとを取得する(ステップS306)。
コンテキスト取得部311は、取得したコンテキスト及びタイムスタンプを、取得元のセンサユニット10示す識別情報と、当該コンテキストの種別を示す情報と関連付けて、コンテキスト監視テーブルd22に記憶させる(ステップS308)。
(ステップS310)
ユニット制御部312は、コンテキスト監視テーブルd22を監視し、当該コンテキスト監視テーブルd22に新たにデータが記録された場合には、当該データが示すセンサユニット10のコンテキストが更新されたか否かを判断する。
例えば、コンテキスト監視テーブルd22に、センサユニット10aで認識された雨量コンテキストとして「激しい雨」が記録されたとする。このとき、ユニット制御部312は、コンテキスト監視テーブルd22から、過去(例えば、直前)の、センサユニット10aで認識された雨量コンテキストとして設定されたコンテキストを参照し、当該コンテキストが更新されたか否かを判断する。
(ステップS312)
対応するコンテキストが更新されたと判断した場合には(ステップS310、YES)、ユニット制御部312は、センサユニット管理テーブルd23を参照し、更新されたコンテキストを使用する他のセンサユニット10を特定する。
具体的な一例として、図12に示す例の場合には、ユニット制御部312は、センサユニット管理テーブルd23に基づき、センサユニット10aで認識された雨量コンテキストを使用するセンサユニット10として、センサユニット10bを特定する。
(ステップS314)
ユニット制御部312は、センサユニット管理テーブルd23に基づき特定されたセンサユニット10に、更新されたコンテキストを通知する。図11及び図12に示す例の場合には、ユニット制御部312は、センサユニット10aから雨量コンテキストとして通知された「激しい雨」を示すコンテキストを、センサユニット10bに通知することとなる。
なお、対応するコンテキストが更新されていなかった場合には(ステップS310、YES)、ユニット制御部312は、ステップS312及びS314に係る処理を実行せずに、再度各センサユニット10からの通知を待ち受ける状態となってもよい。
(ステップS122a、S122b)
ここで、センサユニット10a及び10bの動作に再度着目する。センサユニット10a及び10bそれぞれのコンテキスト取得部125は、センサユニット10a及び10bが起動すると、コンテキスト共有サーバ30からの通知を待ち受けるための待ち受け状態となる。なお、コンテキスト取得部125が「受信プロセス」の一例に相当する。
ここで、図15を参照する。図15は、情報処理システム1の一連の動作シーケンスのうち、センサユニット10a及び10bが、コンテキスト共有サーバ30からコンテキストを受信した場合の動作を示したシーケンス図である。
(ステップS124a、S124b)
センサユニット10a及び10bそれぞれのコンテキスト取得部125は、他のセンサユニット10で認識されたコンテキストを、コンテキスト共有サーバ30から取得する。具体的な一例として、センサユニット10bのコンテキスト取得部125は、センサユニット10bに関連付けられたセンサユニット10aで認識された雨量コンテキストを、コンテキスト共有サーバ30から取得する。
(ステップS126a、S124b)
コンテキスト取得部125は、取得したコンテキストを、当該コンテキストの種別ごとにコンテキスト保持部122に記憶させる。このとき、取得したコンテキストと同じ種別の他のコンテキストが既にコンテキスト保持部122に記憶されている場合には、コンテキスト取得部125は、コンテキスト保持部122に記憶されたコンテキストを、新たに取得したコンテキストで更新してもよい。このように取得したコンテキストがコンテキスト保持部122に記憶されることで、制御部126は、当該コンテキストに基づき制御ルールを変更することが可能となる。
なお、取得したコンテキストをコンテキスト保持部122に記憶させたら、コンテキスト取得部125は、再度コンテキスト共有サーバ30からの通知を待ち受ける状態となる。
[まとめ]
以上のように、本実施形態に係る情報処理システム1では、コンテキスト共有サーバ30が、因果関係のあるセンサユニット10間の関連付けを管理する。そして、コンテキスト共有サーバ30は、各センサユニット10から測定結果に基づき状況や状態を示すコンテキストを取得し、取得したコンテキストを関連するセンサユニット10に通知する。これにより、通知を受けたセンサユニット10は、通知されたコンテキストに基づき、送信元であるセンサユニット10による測定結果に基づく状況を認識し、認識された状況に応じてセンサの動作を制御する。
即ち、本実施形態に係る情報処理システム1に依れば、一のセンサによる測定結果に基づき、当該一のセンサの測定対象と因果関係のある他の測定対象を測定するセンサの処理内容をダイナミックに変更することが可能となる。
<2.変形例>
[概要]
次に、第1の実施形態に係る情報処理システム1の変形例について説明する。上述した実施形態では、各センサユニット10間の関連付けが常に一定の場合の例を示した。一方で、所定のセンサユニット10から取得したコンテキストに応じて、当該センサユニット10から取得したコンテキストを通知するセンサユニット10の範囲を変更できるようにしてもよい。
例えば、図2に示す例において、領域g12における「激しい雨」の継続時間が短い場合には、河川p12の水位は上昇するが、河川p12が流れ込む河川p11の水位が上昇する可能性は低い。この場合には、上述した第1の実施形態に示すように、センサユニット10aの測定結果に応じて、センサユニット10bの動作を制御できればよい。
一方で、領域g12における「激しい雨」が長時間続いた場合には、河川p12の水位に加えて、当該河川p12が流れ込む河川p11の水位もあわせて上昇する場合がある。このような場合には、センサユニット10aの測定結果に応じて、センサユニット10bの動作のみならず、河川p11の水位を測定するセンサユニット10dの動作を制御できることが望ましい。
そこで、変形例では、所定のセンサユニット10から通知されたコンテキストに応じて、コンテキスト共有サーバ30が、当該センサユニット10から取得したコンテキストを通知するセンサユニット10の範囲を変更可能とする例について説明する。なお、以降では、図2に示す、雨量センサが接続されたセンサユニット10aによる雨量の測定結果に応じて、水位センサが接続されたセンサユニット10bの動作を制御する場合を例に説明する。なお、以降では、変形例に係る情報処理システム1の動作について、上述した第1の実施形態とは異なる部分に着目して説明するものとする。
変形例に係るセンサユニット10aでは、コンテキスト認識部121は、1時間ごとの雨量を示す雨量コンテキストに加えて、所定量以上の雨量(例えば、「激しい雨」や「非常に激しい雨」)の継続時間を示す降雨時間コンテキストを認識するものとする。具体的には、コンテキスト認識部121は、30mm以上の雨量が1時間以上継続した場合には、降雨時間コンテキストとして「長時間」を認識し、1時間未満の場合には、降雨時間コンテキストとして「短時間」を認識するものとして説明する。
なお、ここでは説明を簡単にするために、降雨時間コンテキストは、雨量が所定量以上となったタイミングを起点として、所定量以上の雨量が継続している時間を示すものとする。なお、雨量が断続的に変化する場合のように、単に所定量以上の雨量の継続時間のみではなく、水位の変化に影響を及ぼす他の場合についても認識の対象とする場合には、継続時間の計測に係るロジックの変更や、対応するコンテキストの設定を適宜行えばよい。
なお、この場合には、センサユニット10aのコンテキスト認識部121は、認識した雨量コンテキストと降雨時間コンテキストとをコンテキスト保持部122に記憶させることは言うまでもない。
また、センサユニット10aのコンテキスト通知部124は、コンテキスト保持部122に記憶された雨量コンテキストと降雨時間コンテキストとを、センサ情報記憶部123に記憶されたセンサユニットIDとあわせてコンテキスト共有サーバ30に通知する。このとき、コンテキスト通知部124は、コンテキストが認識されたタイミングを示すタイムスタンプを、あわせてコンテキスト共有サーバ30に通知してもよい。
コンテキスト取得部311は、生成コンテキスト管理テーブルd21を参照し、各センサユニット10で生成されるコンテキストを認識する。なお、変形例に係る情報処理システム1においては、生成コンテキスト管理テーブルd21には、センサユニット10aが、雨量コンテキストに加えて降雨時間コンテキストを生成することを示していることとなる。
コンテキスト取得部311は、生成コンテキスト管理テーブルd21に基づき、センサユニット10aから、雨量コンテキスト及び降雨時間コンテキストと、当該コンテキストが取得されたタイミングを示すタイムスタンプとを取得する。
コンテキスト取得部311は、取得したコンテキスト及びタイムスタンプを、取得元のセンサユニット10a示す識別情報と、当該コンテキストの種別を示す情報と関連付けて、コンテキスト監視テーブルd22に記憶させる。これにより、センサユニット10aで認識された雨量コンテキスト及び降雨時間コンテキストが、コンテキスト監視テーブルd22に記憶されることとなる。そして、コンテキスト監視テーブルd22を監視しているユニット制御部312が、コンテキスト監視テーブルd22にセンサユニット10aで認識された雨量コンテキスト及び降雨時間コンテキストが記憶されたことを検知する。
コンテキスト監視テーブルd22に新たにデータが記録された場合には、ユニット制御部312は、当該データが示すセンサユニット10のコンテキストが更新されたか否かを判断する。この場合には、ユニット制御部312は、雨量コンテキスト及び降雨時間コンテキストのうち少なくともいずれかが更新されたか否かを判断する。
対応するコンテキストが更新されたと判断した場合には、ユニット制御部312は、センサユニット管理テーブルd23を参照し、更新されたコンテキストを使用する他のセンサユニット10を特定する。このとき、変形例に係るユニット制御部312は、あらかじめ決められた種別のコンテキストが更新された場合に、更新後のコンテキストに応じて更新されたコンテキストを使用するセンサユニット10の範囲を切り替え可能に管理してもよい。
例えば、今回の例の場合には、センサユニット10aから取得した降雨時間コンテキストが、「短時間」及び「長時間」のうちのいずれかに応じて、センサユニット10aから取得した雨量コンテキストを通知するセンサユニット10を変更してもよい。この場合には、例えば、センサユニット管理テーブルd23に条件部を設け、当該条件部に降雨時間コンテキストの条件を記載するとともに、降雨時間コンテキストの条件ごとに利用センサユニットd232及び利用コンテキスト種別d233を定義すればよい。
具体的な一例として、降雨時間コンテキストが「短時間」の場合には、利用センサユニットd232として、センサユニット10aを定義し、利用コンテキスト種別d233として「雨量コンテキスト」を定義しておけばよい。また、降雨時間コンテキストが「長時間」の場合には、利用センサユニットd232として、センサユニット10a及び10dを定義し、利用コンテキスト種別d233として「雨量コンテキスト」を定義しておけばよい。このような構成により、ユニット制御部312は、取得した雨量コンテキストの通知先として、降雨時間コンテキストが「短時間」の場合には、センサユニット10aを特定し、「長時間」の場合には、センサユニット10a及び10dを特定することが可能となる。
なお、以降の処理については、上述した第1の実施形態に係る情報処理システム1と同様である。即ち、ユニット制御部312は、センサユニット10aから取得した雨量コンテキストを、特定したセンサユニット10に通知する。ユニット制御部312から雨量コンテキストを取得したセンサユニット10は、取得した当該雨量コンテキストとセンサユニット制御ルールd15とに基づき、自身の動作を制御するための制御ルールを変更すればよい。
また、他の具体的な一例として、特定の条件下において、水位センサが接続された複数のセンサユニット10間を連携されてもよい。例えば、上流側の水位が急激に上昇した場合には、その後、下流側の水位が上昇する可能性がある。このような場合には、上流側に位置するセンサユニット10bにより急激な水位の上昇が検知された場合に、下流側に設置されたセンサユニット10dのデータ計測間隔が短くなるように制御してもよい。
この場合には、例えば、センサユニット10bが「急激な水位の上昇」を検知した場合に、ユニット制御部312が、センサユニット10dに対して「急激な水位の上昇」を通知できるように、コンテキストの設定や、センサユニット10間の関連付けを行えばよい。具体的には、センサユニット10bが生成するコンテキストや、生成コンテキスト管理テーブルd21及びセンサユニット管理テーブルd23の定義を適宜調整すればよい。
また、下流側に位置するセンサユニット10dにおいては、センサユニット10bで認識された「急激な水位の上昇」示すコンテキストが通知された場合に、データ計測間隔が短くなるようにセンサユニット制御ルールd15を設定すればよい。
以上のように、変形例に係る情報処理システム1に依れば、コンテキスト共有サーバ30は、所定のセンサユニット10から通知されたコンテキストに応じて、当該センサユニット10から取得したコンテキストを通知する範囲を変更することが可能である。これにより、情報処理システム1は、各センサユニット10における測定結果に応じて当該センサユニット10が設置された領域の状態や状況を判断し、当該状態や状況に応じて、動作を制御するセンサユニット10の範囲をダイナミックに変更することが可能となる。
なお、上記では、所定のセンサユニット10から通知されたコンテキストに応じて、コンテキストを通知する範囲を変更する例について説明したが、その他の条件に基づき、コンテキストを通知する範囲を変更できるようにしてもよい。具体的な一例として、時期、季節、または時間帯に応じて、コンテキストを通知する範囲を変更できるようにしてもよい。
<3.第2の実施形態>
[概要]
第2の実施形態に係る情報処理システム1’について、図16及び図17を参照しながら説明する。図16は、本実施形態に係るセンサユニット10’の構成を示したブロック図である。また、図17は、本実施形態に係るコンテキスト共有サーバ30’の構成を示したブロック図である。
図16に示すように、本実施形態に係るセンサユニット10’は、センサ情報登録部128と、ルール更新部129とを含む点で、第1の実施形態に係るセンサユニット10と異なる。また、図17に示すように、本実施形態に係るコンテキスト共有サーバ30’は、ユニット登録部313を含む点で、第1の実施形態に係るコンテキスト共有サーバ30と異なる。そのため、以降では、本実施形態に係る情報処理システム1’の構成について、前述した第1の実施形態に係る情報処理システム1と異なる部分に着目して説明し、当該情報処理システム1と同様の構成については詳細な説明は省略する。
センサ情報登録部128は、新たにセンサユニット10’を設置した場合に、当該センサユニット10’の情報をコンテキスト共有サーバ30’に登録するためのインタフェースである。
例えば、センサ情報登録部128は、センサ情報記憶部123に記憶されたセンサユニットID、センサ11の種別、センサユニット10が設置された位置を示す位置情報のように、センサユニット10’に関する情報をコンテキスト共有サーバ30’に送信する。
なお、センサユニット10’自体が自身で判断できない情報をコンテキスト共有サーバ30’に通知する必要がある場合には、当該情報を入力するための入力インタフェースを、当該センサユニット10’の設置者に提示できるようにしてもよい。この場合には、センサ情報登録部128は、設置者により入力された情報をコンテキスト共有サーバ30’に送信すればよい。
また、センサ情報登録部128は、設置されたセンサユニット10’が、他のセンサユニット10’うちどのセンサユニット10’と関連付けて動作させるかを指定するための入力インタフェースを、当該センサユニット10’の設置者に提示できるようにしてもよい。これにより、設置者は、当該入力インタフェースを介して、設置するセンサユニット10’が、どのセンサユニット10’で認識されたどの種別のコンテキストを利用するかを指定することが可能となる。センサ情報登録部128は、設置者により指定されたセンサユニット10’間の関連付けを示す情報と、利用するコンテキストの種別を示す情報とをコンテキスト共有サーバ30’に送信すればよい。
センサ情報登録部128から送信されたセンサユニット10’に関する情報は、コンテキスト共有サーバ30’のユニット登録部313で受信される。ユニット登録部313は、センサ情報登録部128から通知された情報を基に、新たに設置されたセンサユニット10’の情報を、管理データ記憶部320に記憶された生成コンテキスト管理テーブルd21や、センサユニット管理テーブルd23に登録する。
このとき、ユニット登録部313は、センサ情報登録部128からから取得したセンサユニット10’に接続されたセンサ11の種別を示す情報に基づき、当該センサユニット10’が生成するコンテキストを認識することができる。具体的な一例として、ユニット登録部313は、センサユニット10’に接続されているセンサ11が雨量センサの場合には、センサユニット10’は雨量コンテキストを生成すると認識する。即ち、ユニット登録部313は、センサ情報登録部128からから取得したセンサユニット10’に接続されたセンサ11の種別を示す情報に基づき、当該センサユニット10’の情報を生成コンテキスト管理テーブルd21に登録することができる。
また、ユニット登録部313は、センサ情報登録部128からセンサユニット10’間の関連付けを示す情報と、利用するコンテキストの種別を示す情報とを取得した場合には、取得した情報をセンサユニット管理テーブルd23に登録してもよい。
また、他の一例として、ユニット登録部313は、センサ情報登録部128からセンサユニット10’の位置情報を取得した場合には、当該センサユニット10’の位置情報に基づき、センサユニット管理テーブルd23に登録する情報を特定してもよい。
例えば、図2に示す例において、水位センサが接続されたセンサユニット10cを新たに登録するものとする。この場合には、ユニット登録部313は、センサ情報登録部128から取得したセンサユニット10cの位置情報に基づき、センサユニット10cの設置位置が領域g13に含まれているものと認識する。
また、ユニット登録部313は、センサ情報登録部128から取得したセンサユニット10cに接続されたセンサ11の種別を示す情報に基づき、当該センサ11が水位センサであると認識する。
そして、ユニット登録部313は、センサユニット10cに水位センサ11が接続されていることと、センサユニット10cが領域g13内に設置されていることとに基づき、センサユニット10cが、センサユニット10fで認識された雨量コンテキストを利用することを認識できる。即ち、ユニット登録部313は、認識したセンサユニット10cとセンサユニット10fとの関係に基づき、センサユニット10cの情報をセンサユニット管理テーブルd23に登録すればよい。
また、水位センサが接続されたセンサユニット10’を登録する場合には、河川をラインに見立てて、当該ライン上の位置関係に基づき、登録するセンサユニット10’に関連付ける他のセンサユニット10’を特定してもよい。具体的な一例として、登録対象のセンサユニット10’を基準として、ライン上の上流及び下流のうちいずれかに設置された他のセンサユニット10’を関連付けてもよい。
また、各センサユニット10’と、コンテキスト共有サーバ30’とが、有線のネットワークで通信を行う場合には、ネットワークを分類することで、ネットワークごとに複数のセンサユニット10’を関連付けてもよい。
なお、ユニット登録部313は、登録対象のセンサユニット10’がどのセンサユニット10’と関係しているかを判断するための条件を、各センサユニット10’の種別に応じて変更してもよい。
例えば、地震センサが接続されたセンサユニット10’のように、測定対象とする地域や領域が、他のセンサが接続されたセンサユニット10’に比べて広範囲にわたるセンサユニット10’もある。このようなセンサユニット10’は、前述した雨量センサが接続されたセンサユニット10’のように限られた領域内に設置されていなかったとしても、当該領域内における特定対象を比較的に高い精度で測定できる場合もある。そのため、例えば、地震センサのように測定対象とする地域や領域が広範囲にわたるセンサが接続されたセンサユニット10’については、特定の領域内に設置されているか否かに関わらず、最も近い位置に設置されたセンサユニット10’を関連付けてもよい。
具体的な処理の内容について、ユニット登録部313が、センサユニット10cを登録する場合を例に説明する。このとき、ユニット登録部313は、センサユニット10cに対して、地震センサが接続されたセンサユニット10’のように、特定の種別のセンサユニット10’については、センサユニット10cに最も近いセンサユニット10’を関連付けてもよい。
ルール更新部129は、コンテキストを認識するための条件や、センサユニット10’内の各部の制御ルールを切り替えるための条件を登録または更新するための構成である。具体的には、ルール更新部129は、コンテキスト認識ルールd11や、センサユニット制御ルールd15を更新する。
例えば、ルール更新部129は、コンテキスト共有サーバ30’からの指示に基づき、コンテキスト認識ルールd11や、センサユニット制御ルールd15を更新してもよい。
具体的な一例として、コンテキスト共有サーバ30’の処理負荷は時間帯に応じて異なる場合があり、処理負荷が低い場合には、コンテキスト共有サーバ30’は多くのデータを処理することが可能である。そのため、例えば、コンテキスト共有サーバ30’の処理負荷が低い場合には、データの計測間隔を短くして多くの測定結果を取得し、データ送信のタイミングを早くすることで、コンテキスト共有サーバ30’に多くのデータを送信することも可能である。即ち、この場合には、コンテキスト共有サーバ30’の処理負荷を監視する監視部を設け、当該監視部に、ルール更新部129へのセンサユニット制御ルールd15の更新を指示させればよい。
また、他の一例として、過去の測定結果やコンテキストの履歴に応じて、コンテキスト認識ルールd11を更新できるようにしてもよい。具体的な一例として、雨量センサ11による雨量の測定結果が10mmの場合においても、晴れが続いて河川の水位が低い場合と、前日までの豪雨により河川の水位が上昇している場合とで、水害となり得る確率が大きく異なる。
そのため、例えば、コンテキスト共有サーバ30’のユニット制御部312が、過去の測定結果(例えば、各河川の水位の測定結果)に応じて、水害危険度コンテキストを認識するためのルールを変更できるようにしてもよい。
具体的な一例として、領域g12を流れる河川p12の前日までの水位の測定結果が所定の水位より低かったとする。この場合には、ユニット制御部312は、領域g12内の雨量を測定するセンサユニット10’のルール更新部129に対して、雨量が30mm以上の場合を「激しい雨」と認識するように、コンテキスト認識ルールd11を更新させる。
また、河川p12の前日までの水位の測定結果が所定の水位より高かったとする。この場合には、ユニット制御部312は、領域g12内の雨量を測定するセンサユニット10’のルール更新部129に対して、雨量が10mm以上の場合を「激しい雨」と認識するように、コンテキスト認識ルールd11を更新させる。
このような構成により、河川が増水している場合には、比較的弱い雨の場合においても、雨量コンテキストを「激しい雨」として認識できることが可能となり、水位センサの動作を制御する条件を、河川が増水していない場合に比べて厳しく設定することが可能となる。
また、センサユニット10’を登録した際に、そのセンサユニット10’に接続されているセンサ11の種別に応じて、ルール更新部129は、コンテキスト認識ルールd11及びセンサユニット制御ルールd15を登録できるようにしてもよい。この場合には、例えば、センサ11の種別に応じたコンテキスト認識ルールd11及びセンサユニット制御ルールd15をセンサユニット10’内にあらかじめ記憶させてもよいし、コンテキスト共有サーバ30’で管理してもよい。
例えば、センサ11の種別に応じたコンテキスト認識ルールd11及びセンサユニット制御ルールd15を、コンテキスト共有サーバ30’で管理する場合には、ユニット登録部313が、ルール更新部129にコンテキスト認識ルールd11及びセンサユニット制御ルールd15を通知してもよい。
具体的には、ユニット登録部313は、センサ情報登録部128からセンサ11の種別を示す情報を取得することで、センサ11の種別に応じたコンテキスト認識ルールd11及びセンサユニット制御ルールd15を特定することができる。即ち、ユニット登録部313は、特定したコンテキスト認識ルールd11及びセンサユニット制御ルールd15をルール更新部129に通知すればよい。これにより、ルール更新部129は、センサユニット10’に接続されたセンサ11の種別に応じて、コンテキスト認識ルールd11及びセンサユニット制御ルールd15を登録することが可能となる。
なお、このような構成とすることで、例えば、センサユニット10’に接続されたセンサ11を、他の種別のセンサ11に差替えた場合においても、差替えた後のセンサ11に対応するコンテキスト認識ルールd11及びセンサユニット制御ルールd15に更新することが可能となる。
また、センサユニット10’に複数種類のセンサ11を接続してもよい。この場合には、例えば、観測対象に応じてコンテキスト認識ルールd11及びセンサユニット制御ルールd15を更新することで、動作させるセンサ11を適宜切り替えてもよい。もちろん、複数種類のセンサ11を並行して動作させてもよい。その場合には、各センサ11が動作できるように、コンテキスト認識ルールd11及びセンサユニット制御ルールd15を適宜調整すればよい。
なお、ルール更新部129は、コンテキスト認識ルールd11及びセンサユニット制御ルールd15の一部の情報のみを更新できるようにしてもよい。例えば、ルール更新部129は、コンテキスト認識ルールd11の条件部d111や、センサユニット制御ルールd15の条件部d115を更新してもよい。また、ルール更新部129は、条件部d111や条件部d115に設定された閾値の値を更新してもよい。
なお、コンテキスト認識ルールd11及びセンサユニット制御ルールd15内の各情報を、センサユニット10’側で管理するか、コンテキスト共有サーバ30’側で管理するかは、運用に応じて適宜決定すればよい。例えば、複数のセンサユニット10’の状態を総括的に判断して、各種条件を変更する場合には、コンテキスト認識ルールd11及びセンサユニット制御ルールd15内の各情報を、コンテキスト共有サーバ30’側で管理してもよい。また、他の一例として、センサユニット10’ごとに固有の設定が多数必要な場合には、コンテキスト認識ルールd11及びセンサユニット制御ルールd15内の各情報を、センサユニット10’側で管理してもよい。
また、コンテキスト認識ルールd11及びセンサユニット制御ルールd15の各条件を細かく設定することで、センサユニット10’側において多様な状況に対応できるようにしてもよい。この場合には、ルール更新部129を設けなくてもよい。
なお、本実施形態に係る情報処理システム1’についても、変形例に係る情報処理システム1と同様に、所定の条件に応じて、コンテキストを通知する範囲を変更できるようにしてもよい。
以上のように、本実施形態に係る情報処理システム1’では、センサ情報登録部128及びユニット登録部313を設けることで、センサユニット10’を登録するためのインタフェースを提供している。このような構成により、コンテキスト共有サーバ30’側で、各センサユニット10’間の関連性を認識し、生成コンテキスト管理テーブルd21やセンサユニット管理テーブルd23に当該センサユニット10’の情報を登録することも可能となる。そのため、センサユニット10’の設置者による、当該センサユニット10’の登録に係る手間を低減することが可能となる。
また、情報処理システム1’では、ルール更新部129を設けることで、コンテキスト認識ルールd11及びセンサユニット制御ルールd15の更新を可能としている。このような構成により、例えば、その時々の状況に応じて、センサユニット10’の動作を制御するための制御ルールや、コンテキストを認識するためのルールをダイナミックに更新することが可能となる。
なお、上記では、センサ情報登録部128及びユニット登録部313と、ルール更新部129とを設ける例について説明したが、センサ情報登録部128及びユニット登録部313と、ルール更新部129とのうち、いずれかのみを設けてもよい。例えば、ルール更新部129を設けずに、センサ情報登録部128及びユニット登録部313を設けてもよい。また、センサ情報登録部128及びユニット登録部313を設けずに、ルール更新部129を設けてもよいことは言うまでもない。
<4.実施例>
[概要]
次に、実施例として、上述した各実施形態に係る情報処理システム1の他の適用例について説明する。上述した各実施形態では、雨量センサが接続されたセンサユニット10と、水位センサが接続されたセンサユニット10とを連携させることで、河川の水位の上昇に伴う水害危険度を監視する例について説明した。本実施例では、前述した情報処理システム1を、橋梁、トンネル、学校等の建造物管理に適用する例について、図18を参照しながら説明する。図18は、本実施例に係る情報処理システムについて説明するための図であり、橋梁の建造物管理に適用した場合の例を示している。
本実施例に係る情報処理システム1では、例えば、所定の位置におけるクルマの流れ(以降では「交通流」と呼ぶ)、橋梁の振動、及び、地震の震度の測定結果に基づき、橋梁の健全性(換言すると、橋梁の劣化の度合い)を評価する。
例えば、図18におけるセンサユニット10i、10j、10k、及び10mは、交通流を測定するためのセンサ(以降では、「交通流センサ」と呼ぶ場合がある)が接続されたセンサユニット10である。センサユニット10iは、道路p20に設置され、道路p20上の領域g20における交通流を測定する。同様に、センサユニット10j、10k、及び10mは、それぞれ、道路p21、p22、及びp23上の領域g21、g22、及びg23における交通流をそれぞれ測定する。以下に、交通流センサ11が接続されたセンサユニット10について、センサユニット10iを例に説明する。
交通流センサ11は、例えば、道路上のあらかじめ決められた複数の位置に向けて超音波を送信し、各位置について、道路または当該道路を通過する車両で反射した反射波を検出する。このとき、交通流センサ11は、超音波の反射時間、即ち、超音波を送信してから反射波が到達するまでの時間により、対応する位置に車体が存在するか否かを判断することができる。交通流センサ11は、複数の位置それぞれについて特定された超音波の反射時間を比較することで、通過車両の速度や、当該車両の長さを測定することができる。また、受信された超音波のドップラーシフトを測定することで、通過した車両の速度を算出してもよい。なお、上述したセンサ11の動作はあくまで一例であり、交通流を測定できれば使用するセンサの種別や、当該センサの動作原理は特に限定されない。
即ち、センサユニット10iの測定結果通知部127は、通過車両の速度の測定結果と、当該車両の長さの測定結果とを交通流センサ11から取得し、取得した各測定結果をコンテキスト共有サーバ30に通知する。
また、センサユニット10iのコンテキスト認識部121は、交通流センサ11から取得した、通過車両の速度の測定結果と、当該車両の長さの測定結果とに基づき、交通流コンテキストを認識する。具体的な一例として、コンテキスト認識部121は、通過車両の速度が「40km/h以上」、かつ、当該車両の長さが「10m以上」の場合に、大型車が通過したことを意味する交通流コンテキストとして「大型車通行」を認識してもよい。なお、交通流コンテキストとしては、例えば、「通行無し」、「自転車通行」、「自動二輪者通行」、「小型車通行」、「大型車通行」等が挙げられる。
また、図18におけるセンサユニット10rは、地震の震度を測定する地震センサ(例えば、「震度計」)が接続されたセンサユニット10である。
即ち、センサユニット10rの測定結果通知部127は、震度の測定結果を地震センサ11から取得し、取得した測定結果をコンテキスト共有サーバ30に通知する。
また、センサユニット10rのコンテキスト認識部121は、地震センサ11から取得した震度の測定結果に基づき、地震コンテキストを認識する。地震コンテキストとしては、例えば、「強い揺れ」、「弱い揺れ」、「地震無し」等が挙げられる。
また、図18におけるセンサユニット10pは、道路p20の延長線上に設置された橋梁p30の振動を測定するための振動センサが接続されたセンサユニット10である。
即ち、センサユニット10pの測定結果通知部127は、橋梁p30の振動の測定結果を振動センサ11から取得する。振動の測定結果としては、例えば、振動の最大加速度[cm/s2]や固有振動数[Hz]が挙げられる。測定結果通知部127は、取得した測定結果をコンテキスト共有サーバ30に通知する。
また、センサユニット10pは、橋梁p30が設置された領域g20中の交通流センサ11が接続されたセンサユニット10iと、当該センサユニット10pに最も近い、地震センサ11が接続されたセンサユニット10rとに関連付けられている。即ち、センサユニット10pのコンテキスト取得部125は、センサユニット10iから、当該センサユニット10iで認識された交通流コンテキストを取得する。同様に、センサユニット10pのコンテキスト取得部125は、センサユニット10rから、当該センサユニット10rで認識された地震コンテキストを取得する。
センサユニット10pのコンテキスト認識部121は、センサユニット10i及び10rから取得した交通流コンテキスト及び地震コンテキストと、振動センサ11から取得した橋梁p30の振動の測定結果とに基づき、健全度コンテキストを認識する。健全度コンテキストは、橋梁p30の健全度を示すコンテキストである。
具体的な一例として、大型車両が通行し、かつ、地震による揺れが無い場合において、測定された橋梁p30の振動の最大加速度が30cm/s2以上である場合は、橋梁p30の劣化が進んでおり非常に危険な状態にある。そのため、センサユニット10pのコンテキスト認識部121は、交通流コンテキストが「大型車通行」であり、かつ、震度コンテキストが「地震無し」であり、かつ、橋梁p30の振動の最大加速度が「30cm/s2以上」の場合には、健全度コンテキストとして「非常に危険」を認識する。
また、他の一例として、測定された橋梁p30の振動の固有振動数が500Hz以下の場合においても、橋梁p30の劣化が進んでおり非常に危険な状態にある。そのため、センサユニット10pのコンテキスト認識部121は、橋梁p30の振動の固有振動数が「500Hz以下」の場合には、健全度コンテキストとして「非常に危険」を認識する。
また、他の一例として、測定された橋梁p30の振動の最大加速度が「10cm/s2以上30cm/s2未満」の場合は、センサユニット10pのコンテキスト認識部121は、健全度コンテキストとして「危険」を認識してもよい。
また、センサユニット10pの制御部126は、センサユニット10i及び10rから取得した交通流コンテキスト及び地震コンテキストに応じて、制御ルールを変更してもよい点は、前述の各実施形態に係る情報処理システム1と同様である。
具体的な一例として、地震が発生していない場合には、振動センサ11による測定を常時行い、健全度コンテキストを5秒ごとに認識し、強い揺れの地震が発生した場合には、健全度コンテキストの認識タイミングを1秒ごとに変更できるようにしてもよい。
この場合には、センサユニット10pのセンサユニット制御ルールd15には、データ計測間隔には「常時」を設定し、コンテキスト認識タイミングについては、地震コンテキストが「強い揺れ」の場合には「1秒」、それ以外の場合には「5秒」を設定すればよい。上記のようにセンサユニット制御ルールd15を定義することで、センサユニット10pの制御部126は、センサユニット10rで認識された地震コンテキストに基づき、コンテキスト認識部121が健全度コンテキストを認識するタイミングを変更することが可能となる。
また、交通流コンテキストに応じて、健全度コンテキストの認識タイミングを変更できるようにしてもよい。具体的な一例として、交通流コンテキストが「大型車通行」の場合に、健全度コンテキストの認識タイミングを「1秒」に設定し、「大型車通行」以外の場合は、健全度コンテキストの認識タイミングを「5秒」に設定してもよい。
なお、上記では、センサユニット10pが、センサユニット10i及び10pと関連付けられている場合について説明したが、上述した変形例に係る情報処理システム1と同様に、関連するセンサユニット10の範囲を変更できるようにしてもよい。
例えば、時間帯に応じて、道路p22及びp23における車両の通行が規制される場合には、道路p21を走る車両は、橋梁p30を渡る可能性が極めて高い。そのため、コンテキスト共有サーバ30は、例えば、道路p22及びp23における車両の通行が規制される時間帯では、センサユニット10i及び10rに加えて、センサユニット10jを、センサユニット10pと連携させてもよい。
この場合には、前述の変形例に示したように、センサユニット管理テーブルd23に条件部を設け、当該条件部に「時間帯」を示す条件を記載するとともに、時間帯の条件ごとに利用センサユニットd232及び利用コンテキスト種別d233を定義すればよい。
また、上述した第2の実施形態に係る情報処理システム1’のように、センサ情報登録部128及びユニット登録部313や、ルール更新部129を設けてもよい。
以上のように、上述した各実施形態に係る情報処理システム1は、例えば、橋梁、トンネル、学校等の建造物管理に適用することも可能である。なお、上述した実施例は、あくまで一例であり、複数のセンサユニット10が連携して動作させるシステムであれば、適用分野は特に限定されない。
なお、上述した一連の動作は、センサユニット10やコンテキスト共有サーバ30の各構成を動作させる装置のCPUを機能させるためのプログラムによって構成することができる。このプログラムは、その装置にインストールされたOS(Operating System)を介して実行されるように構成してもよい。また、このプログラムは、上述した処理を実行する構成が含まれる装置が読み出し可能であれば、記憶される位置は限定されない。例えば、装置の外部から接続される記録媒体にプログラムが格納されていてもよい。この場合には、プログラムが格納された記録媒体を装置に接続することによって、その装置のCPUに当該プログラムを実行させるように構成するとよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。