JP2015017516A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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慎吾 鶴田
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功 金子
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勲 千葉
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享 佐竹
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Abstract

【課題】DPFに捕集されるPMのうちアッシュ成分の存在を考慮しながら精度良くPM堆積量を推定できる内燃機関の排気浄化装置を提供すること。
【解決手段】排気浄化装置は、DPFに堆積したPMのNOによる燃焼量を算出するNO燃焼量演算部56と、DPFに堆積しているPMのうちアッシュ成分の量に基づいてNO燃焼量に対する上限値を設定する上限値設定部58と、NO燃焼量と上限値とに基づいてDPFの細孔内に捕捉されたPMのうちNOによって燃焼した分に相当するNOオフセット補正値を算出する細孔内燃焼量演算部57と、前後差圧及びNOオフセット補正値に基づいて、DPFのPM堆積量を算出する堆積量演算部52と、を備える。細孔内燃焼量演算部57は、NO燃焼量が上限値より小さい場合にはNO燃焼量をNOオフセット補正値とし、NO燃焼量が上限値以上である場合には上限値をNOオフセット補正値とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関する。より詳しくは、粒子状物質の堆積量をフィルタの前後差圧に基づいて推定する内燃機関の排気浄化装置に関する。
内燃機関の排気系に粒子状物質(以下、「Particulate Matter(PM)」ともいう)を捕集するフィルタを設け、PMの排出量を低減する技術は広く用いられている。近年では、フィルタとして所謂ウォールフロー型のフィルタが主として用いられている。ウォールフロー型の排気浄化フィルタは、多孔質壁により区画形成された複数のセルを有するハニカム構造体を備えており、この多孔質壁に形成された無数の細孔に排気を通過させることでPMを捕集し、排気を浄化する。捕集したPMは、例えば、フィルタを昇温することで燃焼除去される。また、このようなフィルタの強制再生を開始する適切なタイミングを把握するためには、フィルタにおけるPMの堆積量を推定する技術が必要となるが、このような技術としてはフィルタの上流側と下流側の圧力差に基づいて推定するものが主流となっている。
実際のフィルタに捕捉されたPMは、フィルタ壁の表面に層状に堆積したものと、フィルタ壁の細孔内に捕捉されたものとに分けられる。ところが、細孔内に捕捉されるPMの量は、フィルタ全体で捕捉されるPMの総量に比べれば僅かであるものの、その前後差圧の変化に及ぼす影響が大きくなっている。このため、フィルタの前後差圧を検出する差圧センサの出力に基づいてPMの堆積量を推定する技術では、細孔内に捕捉されるPMの量を精度良く把握し、これに応じて適切に差圧センサの出力を補正する必要がある(特許文献1、2参照)。
例えば特許文献1の装置では、フィルタの温度、フィルタに供給されるNOx量及び酸素量等に基づいて、フィルタの細孔内におけるPMの燃焼量を算出し、この細孔内PM燃焼量に基づいて、差圧センサの出力から算出した堆積量を補正している。また特許文献2の装置では、フィルタの温度と、酸化触媒の温度に基づいて算出した排気のNO濃度とに基づいてNOによる細孔内のPM燃焼量を算出し、差圧センサの出力から算出した堆積量を補正している。
特開2007−170193号公報 特開2009−24635号公報
ところで、フィルタに捕集されるPMは、強制再生や排気中のNOによって燃焼除去できるスート成分と、燃焼除去できないアッシュ成分とに分けられるが、従来では、このようなアッシュ成分については十分に検討されていない。このため、細孔内におけるPM燃焼量に誤差が生じるおそれがある。すなわち、従来の装置では、実際には細孔内に残っているはずのアッシュ成分の影響を考慮できず、過補正(すなわち、堆積量を実際の堆積量よりも少なく見積もってしまうこと)が発生し、強制再生頻度が増加し、結果として想定外の触媒の熱劣化及びオイルダイリューション量過多が生じてしまうおそれがある。
本発明は、フィルタに捕集される粒子状物質のうちアッシュ成分の存在を考慮しながら精度良くフィルタのPMの堆積量を推定できる内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とする。
(1)本発明の内燃機関の排気浄化装置は、内燃機関(例えば、後述のエンジン1)の排気通路(例えば、後述の排気管3)に設けられ、排気中の粒子状物質を捕集するフィルタ(例えば、後述のDPF32)と、前記フィルタに流入するNOの量に相関のある値(例えば、エンジン回転数、燃料噴射量、酸化触媒の温度等)を取得する取得手段(例えば、排気温度センサ33等)と、前記取得手段で取得した値に基づいて前記フィルタに堆積した粒子状物質のNOによる燃焼量を算出するNO燃焼量算出手段(例えば、後述のNO燃焼量演算部56)と、前記フィルタに堆積しているアッシュ成分の量を取得するアッシュ量取得手段(例えば、後述のアッシュ量演算部53)と、前記アッシュ成分の量に基づいて前記NOによる燃焼量に対する上限値を設定する上限設定手段(例えば、後述の上限値設定部58)と、前記NOによる燃焼量と前記上限値とに基づいて前記フィルタの細孔内に捕捉された粒子状物質のうちNOによって燃焼した分に相当する細孔内燃焼量(例えば、後述のNOオフセット補正値)を算出する細孔内燃焼量算出手段(例えば、後述の細孔内燃焼量演算部57)と、前記フィルタの前後差圧及び前記細孔内燃焼量に基づいて、前記フィルタにおける粒子状物質の堆積量を推定する粒子状物質堆積量推定手段(例えば、後述の堆積量演算部52)と、を備え、前記細孔内燃焼量算出手段は、前記NOによる燃焼量が前記上限値より小さい場合には当該NOによる燃焼量を細孔内燃焼量とし、前記NOによる燃焼量が前記上限値以上である場合には当該上限値を細孔内燃焼量とする。
(2)この場合、前記上限設定手段は、前記アッシュ成分の量が増加するほど前記上限値を小さく設定することが好ましい。
(1)本発明では、フィルタに流入するNOの量に相関のある値に基づいて、フィルタに堆積した粒子状物質のNOによる燃焼量(以下、「NO燃焼量」という)を算出し、このNO燃焼量と所定の上限値とに基づいてフィルタの細孔内に捕捉された粒子状物質のうちNOによって燃焼した分に相当する細孔内燃焼量を算出し、さらにフィルタの前後差圧と細孔内燃焼量とに基づいてフィルタの粒子状物質の堆積量を推定する。ここで、粒子状物質が堆積したフィルタにNOが流入すると、粒子状物質のスート成分はこのNOの還元反応によって燃焼するが、この際、粒子状物質は貴金属と接触しやすい細孔内に捕捉されたものから燃焼し始めることとなる。このため、NOによる燃焼量に対し上限値を設定することにより、細孔内でNOによって燃焼した粒子状物質の量を精度良く算出することができる。また、走行に伴ってフィルタには徐々にアッシュ成分が堆積するところ、上記上限値をアッシュ成分の量に応じて設定することにより、細孔内において燃焼されずに残留するアッシュ成分の量を考慮しながら細孔内燃焼量を精度良く算出できる。また、細孔内燃焼量を精度良く算出することにより、フィルタの粒子状物質の堆積量を精度良く算出することができる。
(2)アッシュ成分の量が増加するほど、フィルタ壁の細孔内への粒子状物質の侵入量が減少し、ひいては細孔内燃焼量も減少する。本発明では、アッシュ成分の量が増加するほど上限値を小さく設定することにより、細孔内燃焼量を精度良く算出できる。またこれにより、(1)の効果をより確実に奏することができる。
本発明の一実施形態に係るエンジンの排気浄化装置の構成を示す図である。 ECUにおいて実行されるDPF再生制御の手順を示す機能ブロック図である。 アッシュ量を算出する手順を示すフローチャートである。 堆積量演算部における具体的な演算手順を示す機能ブロック図である。 DPFのフィルタ壁と、フィルタ壁に捕集されたPMとを模式的に示す図である。 DPFに堆積したPMの総量とDPFの前後差圧との関係を模式的に示す図である。 上限値−アッシュ量マップの具体例を示す図である。 DPFのフィルタ壁の断面を模式的に示す図である。 上記実施形態に係る排気浄化装置において算出されたPM堆積量の具体例を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る内燃機関(以下、「エンジン」という)1の排気浄化装置2の構成を示す図である。エンジン1は、例えば各気筒内に燃料を直接噴射するディーゼルエンジンであり、各気筒には燃料噴射弁11が設けられている。これら燃料噴射弁11は、電子制御ユニット(以下「ECU」という)5により電気的に接続されており、燃料噴射弁の開弁時間及び閉弁時間は、ECU5により制御される。
エンジン1の排気が流通する排気管3には、上流側から順に、酸化触媒31及びディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、「DPF(Diesel Particulate Filter)」という)32が設けられている。
酸化触媒31は、排気中のHC及びCOを浄化する他、エンジン1から排出されたNOをNOに酸化する。また、後述のポスト噴射を実行することによって未燃燃料が供給されると、酸化触媒31は、これを燃焼することによって排気を昇温し、ひいては下流側のDPF32を昇温する。
DPF32は、排気がフィルタ壁の微細な孔を通過する際、排気中の炭素を主成分とする粒子状物質(以下、「PM(Particulate Matter)」という)を、フィルタ壁の表面及びフィルタ壁中の孔に堆積させることによって捕集する。フィルタ壁の構成材料としては、例えば、チタン酸アルミニウムやコージェライトなどを材料とした多孔質体が使用される。
DPF32の捕集能力の限界、すなわち堆積限界までPMを捕集すると、圧損が大きくなるため、捕集したPMを燃焼除去し、DPF32を再生する強制再生処理を適宜実行する必要がある。この強制再生処理は、ポスト噴射を実行し、酸化触媒31により未燃燃料を酸化させることによりDPF32に流入する排気を昇温し、PMを燃焼させることで行われる。このような強制再生処理を適切なタイミングで実行するDPF再生制御の手順については、後に図2を参照して説明する。
ECU5には、エンジン1及び排気浄化装置2の状態を検出するセンサとして、排気温度センサ33、差圧センサ34、エアフローメータ41、及びクランク角度位置センサ12等が接続されている。
排気温度センサ33は、DPF32に流入する排気の温度を検出し、検出信号をECU5に送信する。酸化触媒31の温度[℃]、及びDPF32の表面温度[℃]は、排気温度センサ33の出力に基づいてECU5において既知の方法によって算出される。
エアフローメータ41は、エンジン1の吸入空気量を検出し、検出信号をECU5に送信する。排気流量[m/h]は、エアフローメータ41の出力に基づいてECU5において既知の方法によって算出される。差圧センサ34は、DPF32の前後差圧[hPa]を検出し、検出信号をECU5に送信する。クランク角度位置センサ12は、エンジン1のクランクシャフトの回転角度を検出し、検出信号をECU5に送信する。エンジン1の回転数[rpm]は、クランク角度位置センサ12からの検出信号に基づいて、ECU5において既知の方法によって算出される。
図2は、ECU5において実行されるDPF再生制御の手順を示す機能ブロック図である。以下、DPF再生制御の実行に係るDPF強制再生判断部51、アッシュ量演算部53、及び堆積量演算部52の機能について説明する。
DPF強制再生判断部51は、堆積量演算部52において算出されたPM堆積量に基づいて、DPFの強制再生を開始する時期を判断する。より具体的には、DPF強制再生判断部51は、PM堆積量が所定の再生開始判定量より大きくなった場合には、DPFの強制再生を開始する時期に達したと判断し、所定のDPF強制再生処理を実行する。このDPF強制再生処理は、例えばポスト噴射(膨張工程における燃料噴射)を実行し、酸化触媒により未燃燃料を酸化させることによりDPFに流入する排気を昇温し、堆積したPMを燃焼させることで行われる。なお、このDPF強制再生処理は、再生直後のフィルタには燃焼除去できないアッシュ成分を除き全てのPMが除去されるような時間にわたって実行される。また、DPF強制再生判断部51は、PM堆積量が再生開始判定量以下である場合には、DPFの強制再生を開始する時期に達していないと判断する。
図3は、DPFに堆積したPMのうちアッシュ成分の量に相当するアッシュ量[g]を算出する手順を示すフローチャートである。この図3に示す処理は、アッシュ量演算部において所定の周期で実行される。
S1では、アッシュ量演算部は、DPF強制再生処理の終了直後であるか否かを判別する。S1の判別がNOである場合には、直ちにこの処理を終了する。S1の判別がYESである場合には、S2に移り、差圧センサによって検出したDPFの前後差圧値に基づいて所定のマップを検索することにより、DPF強制再生処理の終了直後のPM堆積量を算出し、これをアッシュ量の暫定値とする。すなわち、上述のようにDPF強制再生処理を実行すると、DPFに堆積していたPMは、燃焼除去できないアッシュ成分を除いて全て燃焼除去される。従って、DPF強制再生処理の終了直後のDPFに残留するPMは、基本的には全てアッシュ成分であるとみなすことができる。
S3では、図示しない処理によって取得した車両の走行距離に基づいて所定のマップを検索することによって、アッシュ量に対する上限値を算出し、S4に移る。DPFに捕集されるアッシュ成分の量は、概ね走行距離に比例すると考えられる。したがって、このような車両走行距離とアッシュ量に対する上限値とを関連付けるマップは、予め実験を行うことにより構築することができる。
S4では、S2で算出した暫定値と上限値を比較し、暫定値が上限値より小さい場合には暫定値をアッシュ量とし(S5参照)、暫定値が上限値以上である場合には上限値をアッシュ量とする(S6参照)。以上のように、DPF強制再生処理の終了直後の差圧センサの検出値から算出した暫定値と、車両走行距離から算出した上限値とを比較し、最終的なアッシュ量を算出することにより、精度良くアッシュ量を算出することができる。
図4は、堆積量演算部52における具体的な演算手順を示す機能ブロック図である。
堆積量演算部52は、基本値演算部54によって算出された基本値[g]と、オフセット補正値演算部55によって算出されたNOオフセット補正値[g]とを合算することによってPM堆積量[g]を算出する。ここで、これら基本値及びNOオフセット補正値の具体的な演算手順を説明する前に、PMが堆積したDPFにおいて生じるNO燃焼による差圧オフセット事象について図5〜6を参照して説明する。
図5は、DPF32のフィルタ壁321と、フィルタ壁321に捕集されたPMとを模式的に示す図である。
DPF32を構成するフィルタ壁321には無数の細孔322が形成されている。このため、図5の上段に示すように、DPF32によって捕集されるPMは、細孔322内に入り込んだものと、フィルタ壁321の表面に層状に堆積したものとに分けられる。また、DPF32に捕集されたPMは、DPFの強制再生処理中でなくとも、比較的低温(例えば、250℃程度)から下記式(1−1)〜(1−3)に示すような排気中のNOによる反応が進行し、PMが燃焼する。
C+2NO→CO+2NO (1−1)
C+NO→CO+NO (1−2)
C+1/2O+NO→CO+NO (1−3)
また、図5の上段に示すような状態でNOが流入すると、上記式(1−1)〜(1−3)に示す反応はより貴金属に近い細孔322内において優先的に進行するため、図5の下段に示すようにPMは細孔322内に入り込んだものから燃焼除去されることとなる。また、一旦、細孔322内のPMがNOによって燃焼した後は、強制再生によって層状に堆積したPMを燃焼除去しない限り、再び細孔322内にPMが入り込むことはない。ところが図5で模式的に示すように、フィルタ壁321の細孔322内に入り込むPMの総量は、フィルタ壁321の表面に層状に堆積したPMの総量と比較すれば僅かであるが、DPFの前後差圧に及ぼす影響が大きくなっている。このため、細孔322内に入り込んだPMの量によって、DPFのPM堆積量とDPFの前後差圧との関係が一意的でなくなってしまう。
図6は、DPFに堆積したPMの総量とDPFの前後差圧との関係を模式的に示す図である。
図6には、DPFにPMが付着していない状態から所定の流量で排気を供給し、DPFにPMを捕集させた場合におけるDPFの前後差圧の変化を太実線で示す。またこの太実線で示す例では、排気中のNOによるPMの燃焼は無いものとした。図6の太実線で示すように、PM堆積量が所定値以下の領域では、所定値以上の領域と比較して、DPF前後差圧の傾きが急になっている。これはPM堆積量が所定値以下の堆積初期時では、排気中のPMは前後差圧に及ぼす影響が大きいフィルタ壁の細孔内に捕捉されるからである。また、PM堆積量が所定値以上となり細孔内がPMでほぼ埋め尽くされた後は、排気中のPMはフィルタ壁の表面に層状に積もるため、前後差圧はPM堆積量に比例してほぼ一定の割合で上昇する。このように、細孔内に捕捉されたPMと、フィルタ壁に層状に堆積したPMとでは差圧感度が異なる。
また図6には、DPFに捕集されたPMのうち細孔内に捕捉されたものが、排気中のNOによって燃焼した場合におけるDPFの前後差圧の変化を太破線で示す。この太破線で示すように、細孔内のPMがNOによって除去されると、細孔内に溜まったPMのうち除去された分だけ、実際のPM堆積量と差圧センサによって検出される前後差圧との間で乖離が生じることとなる。したがって、差圧センサによって検出したDPFの前後差圧に基づいてPM堆積量を推定する場合、細孔内に捕捉されたPMのNOによる燃焼分に応じてこの乖離分を補正する必要がある。上述のNOオフセット補正値は、この乖離分を補償するための入力であり、DPFの細孔内に捕捉されたPMのうちNOによって燃焼した分に相当する。
図4に戻って、以上のような差圧オフセット事象を考慮してPM堆積量を算出する堆積量演算部52の構成について説明する。基本値演算部54は、差圧センサによって検出されたDPF前後差圧[hPa]と排気流量[m/h]とに基づいて、予め設定された差圧−堆積量変換マップを検索することによって、PM堆積量の基本値を算出する。この差圧−堆積量変換マップは、DPF前後差圧とPM堆積量とを関連付けるものである。また、この差圧−堆積量変換マップは、例えば、図6において太実線で示すようにNOによる細孔内のPMの燃焼が無いとの仮定の下で構築されたものが用いられる。また、排気流量が変わるとDPFの前後差圧も変化する。このため、この差圧−堆積量変換マップは排気流量ごとに設定される。
オフセット補正値演算部55は、DPFに堆積したPMのうち排気中のNOによって燃焼したPMの積算量に相当するNO燃焼量[g]を算出するNO燃焼量演算部56と、このNO燃焼量を所定の上限値の下で制限することにより、細孔内に捕捉されたPMのうちNOによって燃焼した分に相当するNOオフセット補正値[g]を算出する細孔内燃焼量演算部57と、アッシュ量に基づいて細孔内燃焼量演算部57における上限値を設定する上限値設定部58と、を含む。
図5を参照して説明したように、DPFに捕集されたPMのうちNOによる燃焼は、貴金属に接触しやすい細孔内から開始する。また図6を参照して説明したように、細孔内のPMが全て燃焼した後であれば、実際のPM堆積量と差圧センサによって検出される前後差圧との間で生じる乖離の大きさは一定であり、したがってNOオフセット補正値も一定である。また、一旦、細孔内のPMが除去された後は、強制再生によって層状に堆積したPMを除去しない限り、再び細孔内にPMが入り込むことはない。以上のことから、NOオフセット補正値は、NOによって燃焼したPMの積算量に相当するNO燃焼量を、上限値の下で制限することによって算出することができる。以下、これらNO燃焼量演算部56と、細孔内燃焼量演算部57と、上限値設定部58と、における演算の具体的な手順を説明する。
NO燃焼量演算部56は、図4に示すように、単位時間当たりにエンジンから排出されるNOx量[g/sec]に、所定のNO変換効率と、所定のDPFガス量因子と、所定の温度因子と、所定の堆積量因子と、所定のスート/NO質量比とを乗算することによって、単位時間当たりにDPFにおいてNOによって燃焼したPMの量[g/sec]を算出し、この単位時間当たりのPMの燃焼量を積分することによって、NO燃焼量を算出する。
ここで、単位時間当たりのNOx量[g/sec]は、例えば、エンジン回転数及び燃料噴射量等のエンジンの燃焼状態を示すパラメータに基づいて所定のNOx排出量マップを検索することによって算出される。なお、エンジンから排出されるNOxのうちほとんどはNOで構成されている。NO変換効率[%]は、酸化触媒によるNOからNOへの変換効率(酸化効率)に相当し、酸化触媒の温度に基づいて所定のNO変換効率マップを検索することによって算出される。従って、これら単位時間当たりのNOx量にNO変換効率を乗じて得られる値は、単位時間当たりにDPFに流入するNOの量[gsec]に相当する。したがって、この単位時間当たりのNO量を算出するために必要となるエンジン回転数、燃料噴射量、及び酸化触媒の温度等は、DPFに流入するNO量に相関のある値に相当する。
また、DPFにNOが流入すると、上記式(1−1)〜(1−3)に示すようなNOによるスート成分の燃焼反応が生じるが、このNOによる燃焼反応は、DPFを通過する排気流量[m/h]、DPFの表面温度[℃]、及びDPFにおけるPMの堆積量[g]に応じて変化する。より具体的には、DPFを通過する排気流量が低下するほど、NOによる燃焼反応は進行しやすくなり、DPFの表面温度が高くなるほど、NOによる燃焼反応は進行しやすくなり、PMの堆積量が増加するほど、NOによる燃焼反応は進行しやすくなる。上記DPFガス量因子、温度因子、及び堆積量因子は、これら排気流量、表面温度、及びPM堆積量の影響を考慮して定められる値であり、それぞれ所定のマップを検索することによって算出される。
上述のように、NOx量、NO変換効率、DPFガス量因子、温度因子、堆積量因子を乗算することにより、単位時間当たりにDPFにおいてPMの燃焼に消費したNOの量[g/sec]が算出される。そして上記スート/NO質量比は、この単位時間当たりのNOの量[g/sec]を、単位時間当たりのスートの燃焼量[g/sec]に変換する係数であり、予め実験を行うことによって定められた値が用いられる。
また、NO燃焼量演算部56は、以上のようにして算出された単位時間当たりのスートの燃焼量[g/sec]を積分することによって、DPFに堆積したPMのうちNOによって燃焼したスートの積算量に相当するNO燃焼量[g]を算出する。また、上述のようにDPFの強制再生処理を実行すると、DPFに堆積していたPMはアッシュ成分を除いて全て燃焼除去される。したがって、この積分値は、DPFの強制再生処理が終了したことに応じて“0”にリセットする。
細孔内燃焼量演算部57は、後述の上限値設定部58によって設定された上限値[g]と、上記NO燃焼量演算部56によって算出されたNO燃焼量[g]とを比較することにより、NOオフセット補正値[g]を算出する。より具体的には、細孔内燃焼量演算部57は、NO燃焼量が上限値より小さい場合には、NO燃焼量をNOオフセット補正値とする。また細孔内燃焼量演算部57は、NO燃焼量が上限値以上である場合には、細孔内に捕捉されたPMはアッシュ成分を除いて全て燃焼除去されたと判断し、上限値をNOオフセット補正値とする。
上限値設定部58は、DPFに捕集されているアッシュ量に基づいて、所定の上限値−アッシュ量マップを検索することによりNO燃焼量に対する上限値を設定する。
図7は、上限値−アッシュ量マップの具体例を示す図である。この図に示すように、上限値設定部58は、アッシュ量が増加するほど上限値を小さく設定する。
図8は、DPF32のフィルタ壁321の断面を模式的に示す図である。
図8の上段に示すように、DPF32にアッシュが捕集されていない場合、排気中のPMは、フィルタ壁321に形成された無数の細孔内に捕捉される。これに対し、図8の下段に示すように、DPF32にアッシュが捕集されていると、細孔はアッシュによって塞がれているため、排気中のPMは細孔内に入り込むことができない。換言すると、DPF32にアッシュが捕集されていると、このアッシュ量に比例して細孔で捕集できるPMの量も減少する。これは、DPF32にアッシュが捕集されるほど、細孔内のPMがNOによって燃焼する量も減少することを意味する。上限値設定部58は、このようなアッシュが捕集されることによる影響を考慮して、アッシュ量が増加するほど上限値を小さく設定する。
図9は、以上のような排気浄化装置において算出されたPM堆積量の具体例を示す図である。
図9の横軸は走行距離[km]であり、縦軸はDPFのPM堆積量[g]である。図9において、細実線は、差圧センサによって検出された前後差圧のみに基づいて推定したPM堆積量、すなわち図4における基本値に相当する。また太実線は、この基本値にNOオフセット補正値を加えることによって算出したPM堆積量に相当する。また図9に示す例では、NOによるPMの燃焼が生じる区間とNOによるPMの燃焼が生じない区間とを、交互に実現した。また、外気温度は25℃であり、開始時におけるDPFのアッシュ量は0[g]であった。
図9に示すように、差圧センサの検出値のみに基づいて算出した基本値(細実線)は、NOによる細孔内のPMの燃焼が開始すると、実測値よりも小さな値へ外れ始める。これに対し、上記基本値にNOオフセット補正値を加えることによって算出されたPM堆積量(太実線)は、実測値とほぼ同じ変化を示すことが検証された。
本実施形態によれば、以下の効果がある。
(1)本実施形態では、DPFに堆積したPMのNOによる燃焼量を算出し、このNO燃焼量と上限値とに基づいてDPFの細孔内に捕捉されたPMのうちNOによって燃焼した分に相当するNOオフセット補正値を算出し、さらにDPFの前後差圧とNOオフセット補正値とに基づいてDPFのPM堆積量を推定する。ここで、PMが堆積したDPFにNOが流入すると、PMはこのNOの還元反応によって燃焼するが、この際、PMは貴金属と接触しやすい細孔内に捕捉されたものから燃焼し始めることとなる。このため、NO燃焼量に対し上限値を設定することにより、細孔内でNOによって燃焼したPMの量を精度良く算出することができる。また、走行に伴ってDPFには徐々にアッシュ成分が堆積するところ、上記上限値をアッシュ量に応じて設定することにより、細孔内において燃焼されずに残留するアッシュ量を考慮しながらNOオフセット補正値を精度良く算出できる。また、NOオフセット補正値を精度良く算出することにより、DPFのPM堆積量を精度良く算出することができる。
(2)アッシュ量が増加するほど、フィルタ壁の細孔内へのPMの侵入量が減少し、ひいては細孔内燃焼量も減少する。本実施形態では、アッシュ量が増加するほど上限値を小さく設定することにより、NOオフセット補正値を精度良く算出できる。またこれにより、上記(1)の効果をより確実に奏することができる。
1…エンジン(内燃機関)
2…排気浄化装置
3…排気管(排気通路)
32…DPF(フィルタ)
33…排気温度センサ(取得手段)
5…ECU
53…アッシュ量演算部(アッシュ量取得手段)
52…堆積量演算部(粒子状物質堆積量推定手段)
56…NO燃焼量演算部(NO燃焼量算出手段)
57…細孔内燃焼量演算部(細孔内燃焼量算出手段)
58…上限値設定部(上限設定手段)

Claims (2)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられ、排気中の粒子状物質を捕集するフィルタを備え、当該フィルタの前後差圧に基づいて粒子状物質の堆積量を推定する内燃機関の排気浄化装置であって、
    前記フィルタに流入するNOの量に相関のある値を取得する取得手段と、
    前記取得手段で取得した値に基づいて前記フィルタに堆積した粒子状物質のNOによる燃焼量を算出するNO燃焼量算出手段と、
    前記フィルタに堆積しているアッシュ成分の量を取得するアッシュ量取得手段と、
    前記アッシュ成分の量に基づいて前記NOによる燃焼量に対する上限値を設定する上限設定手段と、
    前記NOによる燃焼量と前記上限値とに基づいて前記フィルタの細孔内に捕捉された粒子状物質のうちNOによって燃焼した分に相当する細孔内燃焼量を算出する細孔内燃焼量算出手段と、
    前記フィルタの前後差圧及び前記細孔内燃焼量に基づいて、前記フィルタにおける粒子状物質の堆積量を推定する粒子状物質堆積量推定手段と、を備え、
    前記細孔内燃焼量算出手段は、前記NOによる燃焼量が前記上限値より小さい場合には当該NOによる燃焼量を細孔内燃焼量とし、前記NOによる燃焼量が前記上限値以上である場合には当該上限値を細孔内燃焼量とすることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 前記上限設定手段は、前記アッシュ成分の量が増加するほど前記上限値を小さく設定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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