JP2015017061A - 歯周病原因菌に対する抗菌性を有する歯科用材料及び抗菌性義歯 - Google Patents

歯周病原因菌に対する抗菌性を有する歯科用材料及び抗菌性義歯 Download PDF

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Abstract

【課題】歯周病原因菌を抑制することができる歯科用材料、特に抗菌性義歯を提供する。
【解決手段】有機ヨード系抗菌剤から選択される1種以上、ピリジン系抗菌剤から選択される1種以上、及びハロアルキルチオ系抗菌剤から選択される1種以上を含有する歯科用材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、歯周病原因菌に対する抗菌性を有する歯科用材料、特に抗菌性義歯に関する。
プラスチックを成形した義歯の周囲は細菌が繁殖しやすい環境であり、齲蝕原因菌や歯周病原因菌が口腔内に存在すると、義歯の周囲は特にこれらの細菌が繁殖しやすく、義歯周辺の健康な歯が損なわれる原因となりやすい。そのため、義歯を常に清潔に保持する必要があり、歯磨きや義歯洗浄剤等による清掃は欠かせない。
しかしながら、例えば、自分では義歯の清掃ができない高齢者等は、介助者による手助けが必要であるが、介助者がいなかったり、必ずしも行き届いた清掃ができなかったりという状況もある。義歯の清掃を怠ると、免疫力が低下した高齢者等では、口腔内の細菌や食物の残りかすが気管にはいって誤嚥性肺炎を発症する危険性が高くなる。義歯を清潔に保つことは、齲蝕や歯周病の予防だけでなく誤嚥性肺炎などの予防にもつながる。
そこで、これまでにも義歯に抗菌性を持たせるための種々の提案がなされている。例えば、義歯の表面に抗菌性を有する銀イオンを定着させる、即ち、義歯表面を銀イオンでコーティングする方法が提案されている(特許文献1)。有機系抗菌剤であるチアベンダゾールを、石膏型の成形面に離型剤として塗布し、義歯用樹脂の表面に移行させる方法も提案されている(特許文献2)。しかしながら、これらの方法では、義歯の形状等を調整するために削ったりすれば、その部分のコーティングが失われてしまうという問題点がある。
コーティングの問題点を解決する方法として、義歯用の樹脂に抗菌剤を混合した後、成形する提案もなされている(例えば、特許文献3〜8)。これらは無機系、天然系、光触媒系、有機系等の抗菌剤を用いている。具体的に有機系抗菌剤を用いている例としては、特許文献8があり、下記式(Ia)で表される化合物を用いている。
Figure 2015017061
上記式(Ia)の化合物を混合した歯科用材料がCandida albicansの抑制に有効であることが記載されている。
従来の抗菌性義歯では、齲蝕原因菌や口腔内の常在菌を抑制することはできたが、歯周病原因菌を抑制できるものは無かった。
特許第4324639号公報 特開平10−33568号公報 特開2000−143420号公報 特開2002−129034号公報 特開2010−125067号公報 特開平11−178843号公報 特開平8−119821号公報 特開2011−236211号公報
従来技術の抗菌性義歯を総義歯として使用するのであれば、カンジダ菌等に対する抗菌性を有していればよいが、残存歯が1本でもある場合には、歯周病原因菌に対する抗菌性が無ければ残存歯の喪失を防止することはできない。
本発明の目的は、歯周病原因菌を抑制することができる歯科用材料、特に抗菌性義歯を提供することである。
本発明者らは、義歯用樹脂に特定の3種類の抗菌剤を含む抗菌剤組成物を混合して成形した義歯が、主要な歯周病原因菌であるPorphyromonas gingivalis(ジンジバリス菌)を長時間に渡って抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の歯科用材料、抗菌性義歯及び抗菌性義歯の製造方法が提供される。
1.有機ヨード系抗菌剤から選択される1種以上、ピリジン系抗菌剤から選択される1種以上、及びハロアルキルチオ系抗菌剤から選択される1種以上を含有する歯科用材料。
2.前記有機ヨード系抗菌剤が、ジヨードメチル(4−メチルフェニル)スルホンである1に記載の歯科用材料。
3.前記ピリジン系抗菌剤が、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウムである1又は2に記載の歯科用材料。
4.前記ハロアルキルチオ系抗菌剤が、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)スルファミドである1〜3のいずれかに記載の歯科用材料。
5.前記歯科用材料が、義歯用材料である1〜4のいずれかに記載の歯科用材料。
6.有機ヨード系抗菌剤から選択される1種以上、ピリジン系抗菌剤から選択される1種以上、及びハロアルキルチオ系抗菌剤から選択される1種以上が、義歯形成用樹脂中に均一に分散され、所望の形状に形成された抗菌性義歯。
7.前記義歯形成用樹脂が、加熱重合型樹脂又はマイクロ波重合型樹脂である6に記載の抗菌性義歯。
8.有機ヨード系抗菌剤から選択される1種以上、ピリジン系抗菌剤から選択される1種以上、及びハロアルキルチオ系抗菌剤から選択される1種以上を含有する抗菌剤組成物を、義歯形成用樹脂に混合する工程、及び
当該樹脂を所望の形状に形成し硬化する工程
を有する抗菌性義歯の製造方法。
9.前記義歯形成用樹脂が、液部と粉部からなる8に記載の抗菌性義歯の製造方法。
10.前記抗菌剤組成物を、義歯形成用樹脂に混合する工程が、
前記抗菌剤組成物を前記義歯形成用樹脂の液部に混合する工程と、
前記抗菌剤組成物が混合された前記液部に前記義歯形成用樹脂の粉部を添加、混合する工程
からなる9に機作の抗菌性義歯の製造方法。
本発明によれば、ジンジバリス菌を抑制できる歯科用材料、特に抗菌性義歯が提供できる。
本発明の歯科用材料は、有機ヨード系抗菌剤から選択される1種以上、ピリジン系抗菌剤から選択される1種以上、及びハロアルキルチオ系抗菌剤から選択される1種以上を含有することを特徴とする。
また、本発明の抗菌性義歯は、有機ヨード系抗菌剤から選択される1種以上、ピリジン系抗菌剤から選択される1種以上、及びハロアルキルチオ系抗菌剤から選択される1種以上が、義歯形成用樹脂中に均一に分散されていることを特徴とする。
本発明者らは、40年以上に渡る抗菌剤の研究の中で、多種多様な有機系化合物の中から、人体への安全性と抗菌性とのバランスを考慮しながら、抑制しようとする対象菌に対して、より高い相乗効果が得られる組み合わせを模索し、今回、ジンジバリス菌に対して優れた抗菌性と人体への安全性を備える上記3種類の抗菌剤の組み合わせを見出した。
どの菌に対してどのような抗菌剤の組み合わせがより有効であるかは、試験を行ってみて初めて明らかになり、容易に予測できるものではない。
本発明でいう「歯科用材料」とは、広く歯科治療において使用される樹脂製の歯科材料全般を包含するものであり、例えば、歯冠用レジン、人工歯等の歯冠用材料、コンポジットレジン、根管充填材、ボンディング材等の歯科充填用材料、レジンセメント、矯正用接着材等の歯科用接着材・合着材、フィッシャーシーラント、コーティング材、クラウン・ブリッジ・インレー用レジン、支台築造材、義歯床用レジン、義歯床補修用レジン等が挙げられる。治療の過程で一時的に使用する充填物や補綴物や、長期に渡って口腔内で使用されるいわゆる入れ歯や、インプラントの代替歯部分、義歯床等を含む。
また、「義歯」とは、いわゆる入れ歯、インプラントの代替歯部分、義歯床を含む。
本発明の歯科用材料及び抗菌性義歯は、上記3種類の抗菌剤からそれぞれ1種以上、即ち、少なくとも3つの抗菌剤を含有する。3種類の抗菌剤を含有していることによって、長時間に渡って、主要な歯周病原因菌であるジンジバリス菌を効果的に抑制できる。
本発明の抗菌性義歯は、所望の形状に硬化された、患部に適用前若しくは適用した後のものをいう。これに対し本発明の歯科用材料は、そのベースとなる材料(レジン等)に、上記抗菌剤を添加し、均一に混合した流動性のある状態、即ち、患部に適用する前及び後の硬化する前の段階のもの、及び硬化した後のものも含む。
本発明で用いる有機ヨード系抗菌剤としては、ヨードスルホン化合物、ヨウ化不飽和脂肪族化合物等が挙げられ、ヨードスルホニルベンゼン化合物が好ましい。
ヨードスルホニルベンゼン化合物としては、ジヨードメチル−p−トリルスルフォン、1−ジヨードメチルスルフォニル−4−メチルベンゼン、1−ジヨードメチルスルフォニル−4−クロロベンゼン等が挙げられ、ジヨードメチル(4−メチルフェニル)スルホン等が好ましい。
ヨウ化不飽和脂肪族化合物としては、3−ヨード−2−プロパルギルブチルカルバミン酸、4−クロロフェニル−3−ヨードプロパルギルホルマール、3−エトキシカルボニルオキシ−1−ブロム−1,2−ジヨード−1−プロペン、2,3,3−トリヨードアリルアルコール等が挙げられる。
本発明で用いるピリジン系抗菌剤としては、ピリジンチオール−1−オキシド化合物、ハロゲン化されたピリジン誘導体等が挙げられ、ピリジンチオール−1−オキシド化合物が好ましい。
ピリジンチオール−1−オキシド化合物の具体例としては、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛、ジ(2−ピリジンチオール−1−オキシド)等が挙げられ、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム好ましい。
ハロゲン化されたピリジン誘導体としては、2−クロロ−6−トリクロロメチルピリジン、2−クロロ−4−トリクロロメチル−6−メトキシピリジン、2−クロロ−4−トリクロロメチル−6−(2−フリルメトキシ)ピリジン、ジ(4−クロロフェニル)ピリジルメタノールや、スルフォニルハロピリジン化合物に分類される、2,3,5,6−テトラクロロ−4−メチルスルフォニルピリジン、2,3,5−トリクロロ−
4−(n−プロピルスルフォニル)ピリジン等が挙げられる。
本発明で用いるハロアルキルチオ系抗菌剤としては、ハロアルキルチオスルファミド化合物、ハロアルキルチオスルフィミド化合物、ハロアルキルチオフタルイミド化合物、ハロアルキルチオテトラヒドロフタルイミド化合物等が挙げられ、ハロアルキルチオスルファミド化合物が好ましい。
ハロアルキルチオスルファミド化合物の具体例としては、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、N−トリクロロメチルチオ−N−(フェニル)メチルスルファミド、N−トリクロロメチルチオ−N−(4−クロロフェニル)メチルスルファミド、N−(1−フロロ−1,1,2,2−テトラクロロエチルチオ)−N−(フェニル)メチルスルファミド、N−(1,1−ジフロロ−1,2,2−トリクロロエチルチオ)−N−(フェニル)メチルスルファミド等が挙げられ、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド等が好ましい。
ハロアルキルチオスルフィミド化合物の具体例としては、N,N−ジメチル−N'−フェニル−N'−(フロロジクロロメチルチオ)スルフィミド、N,N−ジクロロフロロメチルチオ−N'−フェニルスルフィミド、N,N−ジメチル−N’−(p−トリル)−N’−(フロロジクロロメチルチオ)スルフィミド等が挙げられる。
ハロアルキルチオフタルイミド化合物の具体例としては、N−フロロジクロロメチルチオフタルイミド、N−トリクロロメチルチオフタルイミド等が挙げられる。
ハロアルキルチオテトラヒドロフタルイミド化合物の具体例としては、N−1,1,2,2−テトラクロロエチルチオテトラヒドロフタルイミド、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド等が挙げられる。
本発明で用いる上記3種類の抗菌剤は、個別にベース材料に添加、混合してもよいが、これら3種類の抗菌剤を含む抗菌剤組成物の市販品を用いることもできる。使用できる抗菌剤組成物の市販品としては、例えば、aPIZAS(株式会社ニッショー化学製)が挙げられる。aPIZASは人体に対して高い安全性を有しており特に好ましい。
尚、本発明で用いる抗菌剤組成物は、上記3種類の抗菌剤以外の任意の有機系、無機系抗菌剤を含んでいてもよい。任意の抗菌剤は、本発明のジンジバリス菌の抑制効果を阻害しないものであれば特に限定されない。
任意の抗菌剤の具体例としては、ニトリル系抗菌剤、チアゾール系抗菌剤、ベンツイミダゾール系抗菌剤等が挙げられる。
ニトリル系抗菌剤としては、ハロアリールニトリル化合物が挙げられ、ハロイソフタロニトリル化合物が好ましい。ハロイソフタロニトリル化合物としては、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、5−クロロ−2,4,6−トリフロロイソフタロニトリル等が挙げられる。
チアゾール系抗菌剤としては、イソチアゾリン−3−オン化合物、ベンツチアゾール化合物等が挙げられ、イソチアゾリン−3−オン化合物が好ましい。
イソチアゾリン−3−オン化合物としては、1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オン、2−(n−オクチル)−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−シクロヘキシル−4−イソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。
ベンツチアゾール化合物としては、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンツチアゾール、2−メルカプトベンツチアゾールナトリウム、2−メルカプトベンツチアゾール亜鉛等が挙げられる。
ベンツイミダゾール系抗菌剤としては、ベンツイミダゾールカルバミン酸化合物、イオウ原子含有ベンツイミダゾール化合物、ベンツイミダゾールの環式化合物誘導体等が挙げられ、ベンツイミダゾールカルバミン酸化合物、チアゾリルベンチイミダゾール化合物が好ましい。
ベンツイミダゾールカルバミン酸化合物としては、1H−2−ベンツイミダゾールカルバミン酸メチル、1−ブチルカルバモイル−2−ベンツイミダゾールカルバミン酸メチル、6−ベンゾイル−1H−2−ベンツイミダゾールカルバミン酸メチル、6−(2−チオフェンカルボニル)−1H−2−ベンツイミダゾールカルバミン酸メチル等が挙げられる。
イオウ原子含有ベンツイミダゾール化合物としては、1H−2−チオシアノメチルチオベンツイミダゾール、1−ジメチルアミノスルフォニル−2−シアノ−4−ブロモ−6−トリフロロメチルベンツイミダゾール等が挙げられる。
ベンツイミダゾールの環式化合物誘導体としては、2−(4−チアゾリル)−1H−ベンツイミダゾール、2−(2−クロロフェニル)−1H−ベンツイミダゾール、2−(1−(3,5−ジメチルピラゾリル))−1H−ベンツイミダゾール、2−(2−フリル)−1H−ベンツイミダゾール等が挙げられる。
本発明の歯科用材料は、義歯用材料であることが好ましい。
義歯用のベース材料(レジン)は、広く使用されている義歯用レジンを用いることができる。義歯用レジンとしては、マイクロウエーブ重合型(電子レンジ)、熱重合(お湯炊き)等が好ましい。義歯用レジンの市販品としては、例えば、アクロン(株式会社ジーシー製、加熱重合型)、アクロンMC(株式会社ジーシー製、マイクロ波重合型)、クイックアクロン(株式会社ジーシー製、加熱重合・ヒートショック型)、ラクソン(株式会社ジーシー製、加熱重合型)、フィットレジン(株式会社松風製、常温重合レジン)、ポアーレジン(株式会社松風製、常温重合レジン)、アーバン(株式会社松風製、加熱重合レジン)等が挙げられる。
本発明の歯科用材料が、義歯用以外の用途の場合であっても、本発明で用いる上記3種類の抗菌剤を均一に混合することができるベース材料を用いるものであれば、その用途に特に制限は無い。
本発明の抗菌性義歯の製造方法は、有機ヨード系抗菌剤から選択される1種以上、ピリジン系抗菌剤から選択される1種以上、及びハロアルキルチオ系抗菌剤から選択される1種以上を含有する抗菌剤組成物を、義歯形成用樹脂に混合する工程、及び当該樹脂を所望の形状に形成し硬化する工程を有することを特徴とする。
抗菌剤組成物を義歯形成用樹脂に混合する手段は、当業者が通常用いる方法から適切なものを選択すればよい。例えば、粉及び液の2成分型の義歯成形用レジンの場合には、液に上記抗菌剤組成物を予め添加し、これを粉と混合すればよい。
抗菌剤組成物を混合した樹脂を成形する手段、及び硬化させる手段も、当業者が通常用いる方法からベース材料に適したものを選択すればよい。
義歯形成用樹脂中の抗菌剤組成物の含有量は、使用する樹脂によっても異なるが、通常は0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは1.0〜3重量%の範囲内である。
本発明の歯科用材料及び抗菌性義歯には、抗菌剤の効果が損なわれない範囲で、抗菌剤以外に各種の添加剤が配合されていてもよい。添加剤としては、フィラー、着色剤等の歯科用材料に添加されている各種のものが挙げられる。
以下、本発明の歯科用材料(抗菌性義歯)のジンジバリス菌に対する抗菌力試験結果を示して、本発明をより具体的に説明する。
(1)抗菌力試験用サンプルの製造
・材料
義歯床用レジン:アクロン カラーNo.3(株式会社ジーシー製、加熱重合型樹脂、液部と粉部からなる)
抗菌剤組成物:aPIZAS AP-OJ(株式会社ニッショー化学製、粉体)
・試験用サンプルの製造方法
アクロンの液部に、aPIZAS AP-OJ粉末16gを添加、撹拌して、液の全重量を200gとし、aPIZAS濃度が8重量%の抗菌剤組成物を添加した液部とした。
抗菌剤組成物を添加した液部を予備重合用容器に入れ、この液部に対して義歯用樹脂の粉部を添加した。このときの液部:粉部の重量比は、約40:100であり、従って、義歯用樹脂中の抗菌剤組成物の含有量は約2.3重量%であった。予備重合容器の中で液部と粉部が均一に混ざり、餅状になるまで待った。餅状になった材料を55mm☓55mm☓1.4mmの型に押し込み、常温水を満たした鍋に入れ、約20分かけて沸騰させた。その後、室温まで放冷し、材料を型から取り出し、バリ等を除去して研磨し、50mm×50mm×厚さ約1mmの試験サンプルとした。
抗菌剤組成物を配合しなかった以外は上記と同様の手順で比較対照サンプルを作製した。
(2)抗菌力試験方法
JIS Z 2801:2010「抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果」の5 試験方法を参考にし、抗菌性組成物を混合した試験サンプルと比較対照サンプルの抗菌力試験を行った。
試験は、Porphyromonas gingivalis JCM 8525菌株で実施し、菌液調製溶液は1/10濃度のGAMブイヨン培地を用いた。
試験サンプル及び比較対照サンプルの上に、それぞれ試験菌液を乗せてポリエチレンフィルムを被せ、嫌気状態下、35℃で培養し、6時間後及び24時間後の生菌数を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2015017061
比較対照サンプルに比べ、試験サンプルでは、6時間後、12時間後と生菌数が有意に減少しており、24時間後には、生菌数が検出限界未満となっており、抗菌剤組成物を配合した抗菌性義歯は、主な歯周病原因菌であるジンジバリス菌に対して高い抗菌性を示すことがわかる。
比較対照サンプルでも接種直後、6時間後、24時間後と時間が経つに連れて生菌数が減少しているが、これは、ジンジバリス菌が嫌気性菌であり、元々不安定で死滅し易いこと、試験に用いたGHMブイヨン培地の濃度を1/10としたため、栄養が不足した可能性があると考えられる。
本発明の歯科用材料及び抗菌性義歯は、歯周病原因菌が存在する環境下での使用に特に有用である。
本発明の歯科用材料及び抗菌性義歯を用いれば、歯周病原因菌が存在する口腔内環境であっても、義歯自体及びその周囲での歯周病原因菌の増殖を抑制することが期待できる。

Claims (10)

  1. 有機ヨード系抗菌剤から選択される1種以上、ピリジン系抗菌剤から選択される1種以上、及びハロアルキルチオ系抗菌剤から選択される1種以上を含有する歯科用材料。
  2. 前記有機ヨード系抗菌剤が、ジヨードメチル(4−メチルフェニル)スルホンである請求項1に記載の歯科用材料。
  3. 前記ピリジン系抗菌剤が、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウムである請求項1又は2に記載の歯科用材料。
  4. 前記ハロアルキルチオ系抗菌剤が、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)スルファミドである請求項1〜3のいずれかに記載の歯科用材料。
  5. 前記歯科用材料が、義歯用材料である請求項1〜4のいずれかに記載の歯科用材料。
  6. 有機ヨード系抗菌剤から選択される1種以上、ピリジン系抗菌剤から選択される1種以上、及びハロアルキルチオ系抗菌剤から選択される1種以上が、義歯形成用樹脂中に均一に分散され、所望の形状に形成された抗菌性義歯。
  7. 前記義歯形成用樹脂が、加熱重合型樹脂又はマイクロ波重合型樹脂である請求項6に記載の抗菌性義歯。
  8. 有機ヨード系抗菌剤から選択される1種以上、ピリジン系抗菌剤から選択される1種以上、及びハロアルキルチオ系抗菌剤から選択される1種以上を含有する抗菌剤組成物を、義歯形成用樹脂に混合する工程、及び
    当該樹脂を所望の形状に形成し硬化する工程
    を有する抗菌性義歯の製造方法。
  9. 前記義歯形成用樹脂が、液部と粉部からなる請求項8に記載の抗菌性義歯の製造方法。
  10. 前記抗菌剤組成物を、義歯形成用樹脂に混合する工程が、
    前記抗菌剤組成物を前記義歯形成用樹脂の液部に混合する工程と、
    前記抗菌剤組成物が混合された前記液部に前記義歯形成用樹脂の粉部を添加、混合する工程
    からなる請求項9に記載の抗菌性義歯の製造方法。
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