JP2015015149A - コネクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】ケーブルを安定的に把持することが可能なコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ100は、コネクタ本体1を備え、コネクタ本体1は、上面部111,211と、下面部112と、上面部111の左右一対の縁111aおよび下面部112の左右一対の縁112aに沿って上面部111と下面部112とをそれぞれ連結し、コネクタ本体1内に空間6を形成する第1側面部113および第2側面部114とを有する略箱型形状を呈し、ケーブル200が挿入される開口部115aを有する後端部115と、後端部115の反対側の前端部110と、ケーブル200の外周面を把持するように下面部112に設けられた第1突出部11と、ケーブル200の外周面を把持するように上面部111に設けられた第2突出部231とを備える。第1突出部11および第2突出部231の少なくとも一方は、外力により変形させられて空間6内に突設される変形突出部を構成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、複数の信号線を有するケーブルの終端部に取り付けられるコネクタに関する。
この種のコネクタとして、従来、モジュラーケーブルの一端部に取り付けられて、モジュラージャックに嵌合されるモジュラープラグ用コネクタが知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1記載のコネクタでは、ケーブル端部のシースを除去して複数の信号線を露出させた後、ケーブル端部をコネクタの内部に挿入する。次いで、工具を用いて、複数の信号線と接点とを結線するとともに、コネクタの底部に設けられた楔でシースの外周面を保持し、ケーブルをコネクタに固定する。
特開2006−222097号公報
しかしながら、上記特許文献1記載のコネクタでは、底部に設けられた楔でシースの外周面の周方向一面に把持力を付加するため、ケーブルの把持力が十分であるとはいえず、ケーブルをコネクタに安定的に保持することが困難である。
本発明の目的は、ケーブルを安定的に保持することができるコネクタを提供することである。
本発明の一態様は、複数の信号線を有するケーブルの終端に取り付けられるコネクタであって、コネクタは、コネクタ本体を備え、コネクタ本体は、上面部と、下面部と、上面部の左右一対の縁および下面部の左右一対の縁に沿って上面部と下面部とをそれぞれ連結し、コネクタ本体内に空間を形成する一対の側面部とを有する略箱型形状を呈し、ケーブルが挿入される開口部を有する後端部と、後端部の反対側の前端部と、ケーブルの外周面を把持するように、下面部に設けられた第1突出部と、ケーブルの外周面を把持するように、上面部設けられた第2突出部と、を備え、第1突出部および第2突出部の少なくとも一方は、外力により変形させられて空間内に突設される変形突出部を構成するコネクタである。
本発明によれば、ケーブルの外周面を把持するように第1突出部と第2突出部とを互いに対向して設けるとともに、その少なくとも一方は、外力により変形させられて突設するようにした。これによりケーブルが第1突出部と第2突出部とにより両側から把持され、ケーブルを安定的に保持することができる。
本発明の実施形態に係るコネクタの全体構成を示す斜視図。 本発明の実施形態に係るコネクタの分解斜視図。 図1の要部断面を示す斜視図。 図1のコネクタを構成するコネクタ本体の断面図。 コネクタ本体の分解斜視図。 コネクタ本体の分解斜視図。 図4の矢視VII図。 図1のコネクタ本体とブーツとの位置関係を示す斜視図。 図4の傾斜部の拡大斜視図。 本発明の実施形態に係るコネクタへケーブルを取り付ける手順を説明する図。 本発明の実施形態に係るコネクタへケーブルを取り付ける手順を説明する図。 図11の要部断面図。 本発明の実施形態に係るコネクタへケーブルを取り付ける手順を説明する図。 本発明の実施形態に係るコネクタを構成するシェルの変形例を示す斜視図。 図14の要部拡大図。 図7の変形例を示す図。
以下、図1〜図13を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るコネクタ100の全体構成を示す斜視図であり、図2は、コネクタ100の分解斜視図、図3は、図1の要部断面を示す斜視図である。なお、図1〜図3には、コネクタ100だけでなく、コネクタ100に取り付けられるケーブル200の構成も示している。本実施形態に係るコネクタ100は、例えばモジュラージャックに嵌合されるモジュラープラグとして用いることができる。以下では、便宜上、図示のように前後方向(長さ方向)、左右方向(幅方向)および上下方向(高さ方向)を定義し、この定義に従い各部の構成を説明する。前後方向は、コネクタ100の嵌合方向に相当する。
図2に示すように、ケーブル200は、複数(例えば4対8本)の信号線201と単一のドレイン線202とを包囲する遮蔽部材203を有するシールドケーブルであり、前後方向に延在する軸線L0を中心とした円形断面形状を呈する。なお、信号線201とドレイン線202の本数は上述したものに限らない。遮蔽部材203は、例えばアルミニウム箔等の薄膜の金属(遮蔽用ホイル)により構成される。遮蔽部材203の周囲は、絶縁部材である外被204により覆われている。各信号線201は、信号導体201aと信号導体201aの周囲を覆う絶縁体201bとを有する。
ケーブル200をコネクタ100に取り付ける際には、ケーブル200の前端側の外被204を除去して遮蔽部材203を露出させる。その露出した遮蔽部材203を図2に示すように後方に折り返し、さらにドレイン線202を後方に折り曲げる。この状態では、遮蔽部材203で覆われたケーブル200の端部から複数の信号線201が突出している。なお、ケーブル200は上記態様に限らず、遮蔽部材203とドレイン線202とを有しないケーブルであってもよく、遮蔽部材203又はドレイン線202のどちらか一方を有するケーブルであってもよい。本実施形態では、遮蔽部材203とドレイン線202とを有するケーブルとして説明する。
図1〜3に示すように、コネクタ100は、コネクタ本体1と、コネクタ本体1の内部に配置される整列部材2および仕切り部材3と、コネクタ本体1の後端部に取り付けられるブーツ5とを有する。コネクタ100は、軸線L0を中心とした左右対称形状を呈する。
コネクタ本体1は、全体が略ボックス形状を呈し、コネクタ本体1の内部には、後面が開口した収容空間6が形成されている。コネクタ本体1の収容空間6の前側には、整列部材2が収容され、整列部材2の後方に仕切り部材3が収容される。仕切り部材3の上面、下面、左面および右面には、それぞれ仕切り部材3の前端面から後端面にかけて凹状の収容部3aが形成されている。各収容部3aには一対の信号線201がそれぞれ収容され、仕切り部材3により信号線201が4対に分離される。
整列部材2は、後部底面に傾斜部2aを有し、傾斜部2aの前側で鉛直方向の断面積が小さくなっている。整列部材2には、各信号線201に対応して前後方向に延在する複数の貫通孔2bが開口されている。貫通孔2bは上下2列に、かつ、左右方向に互いに位置をずらして並設され、各貫通孔2bにそれぞれ仕切り部材3により分離された信号線201が挿入される(図10参照)。整列部材2の底面には、傾斜部2aよりも前側に、各貫通孔2bに連通する複数のスリット2cが整列部材2の前面にかけて形成され、スリット2cを介してコネクタ100のコンタクト7(図3)と信号導体201aとが接続される。
ブーツ5は、カバー部51と、カバー部51の後端から後方に向かって突設されたブッシュ部52と、カバー部51の前端から前方に向かって突設された左右一対のガイド部53とを有する。カバー部51とブッシュ部52とは、それぞれ前後方向に貫通する開口部51a,52aを有し、開口部51a,52aにケーブル200が挿入される。ガイド部53の下端面には、上方に向けて凹状の切り欠き部53aが設けられている。ガイド部53は、全体がコネクタ本体1の収容空間6に挿入される。ブーツ5は、上下左右方向に所定の範囲で屈曲可能であり、ケーブル200の周囲にブーツ5を装着することで、ケーブル200の急激な折れ曲がりを防止できる。
図4は、コネクタ本体1の断面図であり、図5,6は、それぞれコネクタ本体1の分解斜視図、図7は、コネクタ本体1を後方から見た図(図4の矢視VII図)である。なお、図5は、コネクタ本体1を斜め上方から見た図を、図6は、斜め下方から見た図を示す。図4〜6に示すように、コネクタ本体1は、ハウジング10と、ハウジング10の後方からハウジング10の外側に装着されるシェル20とを有する。
ハウジング10は、ポリカーボネート等の絶縁性を有する樹脂を構成材とし、射出成形などにより形成される。ハウジング10の後端部115には矩形状の開口部115aが設けられている。ハウジング10は、上面部111と、下面部112と、上面部111の左右両端部(一対の縁)111aおよび下面部112の左右両端部(一対の縁)112aに沿って上面部111と下面部112とを連結する左面部113および右面部114とを有する。ハウジング10は、前端部110、上面部111、下面部112、左面部113、右面部114によって囲まれて後面が開放した収容空間6を形成する。
ハウジング10の前端部110には、左右方向等間隔に信号線201と同数(8個)のスリット116が形成されている。各スリット116は、それぞれハウジング10の前端部110の前面および底面から後方および上方にかけて設けられ、収容空間6に連通している。各スリット116にはそれぞれ上方に向けてコンタクト7が挿入されている。コンタクト7は、りん青銅等の導電性を有する薄板状の金属により構成され、その上端部に鋭角をなす突出部7aが形成されている。コンタクト7は、収容空間6にケーブル200を挿入した後に、上方に所定高さに押し込まれるが(図12参照)、図4〜6の状態では、コンタクト7は所定高さの手前まで押し込まれている。詳述するなら、図4〜図6の状態は、コンタクト7が信号線201の信号導体201aと導通する前の状態であり、コンタクトはスリット116に部分的に押し込まれている。ケーブル200の先端部を収容空間6に挿入した後に、コンタクト7をさらに上方に押し込むことにより、コンタクト7の突出部7aが信号線201の絶縁部201bを貫通し、信号線201の絶縁部201aに接触する。これにより、コンタクト7が信号線201の信号線201aと導通する。
図4に示すように、ハウジング10の下面部112の上面112aは、前後方向に階段状に形成され、収容空間6の断面積は前方に向けて徐々に小さくなっている。すなわち、下面部112は、その上面112aがハウジング10の後端面から水平方向に延在する平面部121と、平面部121の前端から斜め上方に延在する傾斜部122と、傾斜部122の前端から水平方向に延在する平面部123と、平面部123の前端から斜め上方に延在する傾斜部124と、傾斜部124の前端から水平方向に延在する平面部125とを有し、各平面部121,123,125の上方の空間部61〜63の断面積は、前方に向けて徐々に小さくなっている。
空間部63には、整列部材2の傾斜部2a(図2)が下面部112の傾斜部124と当接した状態で、整列部材2が収容される。空間部62には仕切り部材3が収容される。空間部61には、外周面が遮蔽部材203で覆われたケーブル200の先端部が収容される。
ハウジング10の平面部121には、断面三角形状の楔11が下方に向けて突設されている。楔11は、前側、後側および下側の3つの頂部11a,11b,11cを有し、前側の頂部11aにおいて平面部121から片持ち支持されている。楔11は、頂部11aと頂部11cとを結ぶ辺部11dに作用する上方への外力により、頂部11aを支点にして図4の矢印A方向に変形する。図4の点線は変形後の楔11を示しており、楔11の頂部11cが平面部121の後端部を乗り超え、辺部11dが平面部121の上面に載置される。このとき楔11の頂部11bが上方に向けて空間部61内に突設する。図8は、楔11の変形後の楔11とブーツ5との位置関係を示す斜視図である。頂部11bが空間部61内に突設されると、楔11は、ブーツ5のガイド部53における切り欠き部53aに収容される。このとき、楔11の頂部11aと頂部11bとを結ぶ辺部11eが、切り欠き部53aの縁部に当接する。これにより図8に示すように、ブーツ5がコネクタ本体1に対して固定される。
図5に示すように、ハウジング10の上面部111には、後端面から前後方向中央部にかけて矩形状の切り欠き13が設けられ、ハウジング10の空間部61の上方は開放されている。さらに、ハウジング10の上面部111には、ラッチ14が設けられている。ラッチ14は、その前端部がハウジング10の前端角部に支持され、上方に向けて円弧状に湾曲し、後方に延在している。ラッチ14は、図示されないモジュラージャックとの嵌合において、抜け止めの機能を発揮させるために設けられる。ここで空間部61は、図4の断面視において上面部111と水平部125及び傾斜部124で画される空間をいう。空間部62は、図4の断面視において上面部111と傾斜部124、水平部123及び傾斜部122で画される空間をいう。空間部63は、図4の断面視において上面部111と水平部121及び傾斜部122で画される空間をいう。
図5、6に示すように、ハウジング10の右面部114の後端面には、前方にかけて係合溝15が形成されている。ハウジング10の下面部112の底面には、左右一対の凹部16が設けられている。ハウジング10の上面部111、左面部113および右面部114の外表面には、それぞれ段部17が設けられている。ハウジング10の外表面は、段部17よりも後方において凹んでおり、この凹み部にシェル20が配置される。段部17の深さはシェル20の板厚と等しく、段部17を設けることで、ハウジング10の外側にシェル20を段差なく配置することができる。
シェル20は、りん青銅等の導電性を有する薄板の金属を断面コ字形状に折り曲げて形成され、上面部211と、上面部211の左右両端部(左右一対の縁211a)から下方に延在する左面部212および右面部213とを有する。シェル20の右面部213の後端は、前方かつ下方にかけて矩形状に切り落とされ、切り落とし部214が形成されている。シェル20の左面部212の後端部下端面からは、前後方向所定長さの帯板部215が延設されている。
帯板部215は、シェル20の左面部212から右方に折り曲げられた後、さらに右面部213に沿って上方に折り曲げられ、右面部213の切り落とし部214に配置されている。帯板部215の先端部(上端部)はさらに左方に折り曲げられ、図7に示すように、ハウジング10の係合溝15に対応した位置に突出部22が形成されている。突出部22の上方にはシェル20の切り落とし部214の端面が位置するが、この端面と突出部22とは上下方向に分離しており、突出部22の上方にスリット22aが形成されている。なお、帯板部215の左右方向に延在する部位は、シェル20の下面部216を構成し、上下方向に延在する部位は、右面部217を構成する。
図5に示すように、シェル20の上面部211は、左右方向中央部が上方に膨出しており、単なる平坦面に比べ上面部211の剛性が高くなっている。上面部211には空間部61内に斜め前方に向けて傾斜部23が突設されている。図4に示すように、傾斜部23は、ハウジング10の切り欠き13の内側に、より具体的にはハウジング10の楔11の鉛直上方に位置する。傾斜部23の傾斜の先端部の位置は、例えばコネクタ100の上面視において傾斜部23と楔11とが重なるように設定されている。
図9は、傾斜部23の拡大斜視図である。図9に示すように、傾斜部23の左右両端部には、下方に向けてそれぞれカスプ231が突設されている。傾斜部23の左右方向中央部下端面には、凹状の受容部232が形成されている。受容部232は、コネクタ100の中心部の上方、すなわちコネクタ100の中心を通る軸線L0(図1)の鉛直上方に位置する。カスプ231は、ケーブル200の外周面に当接してケーブル200に対し把持力を及ぼすものであり、その先端部は、楔11を上方に変形させたときに楔11の頂部11b(図4の点線)の鉛直上方に位置することが好ましい。これによりコネクタ100の上面および下面から互いに前後方向同一位置でケーブル200を把持することができる。図4における傾斜部23の水平線に対する傾斜角は、0°より大きくかつ90°より小さければよいが、傾斜角が小さすぎると、ケーブル200の十分な把持力を得ることができず、逆に傾斜角が大きすぎると、ケーブル200の挿入が困難となる。そこで、傾斜角としては、例えば45°程度とすることが好ましい。
図5、6に示すように、シェル20の左面部212および右面部213の下端面には、それぞれ下方に向けて凸部24が突設されている。凸部24は、ハウジング10の外側にシェル20が装着された後、左右方向内側に折り曲げられ、ハウジング10の凹部16に収容される。なお、図6は、凸部24を折り曲げた状態を示している。
ハウジング10とシェル20は、予め工場出荷時に一体に組み立てられ、図2のコネクタ本体1の状態でユーザに提供される。この場合、まず、ハウジング10の外側に後方からシェル20を嵌合する。このとき、シェル20の後端の突出部22がハウジング10の係合溝15に係合し、ハウジング10に対しシェル20が周方向に位置決めされる。次いで、シェル20の左右の凸部24が左右方向内側に折り曲げられ、ハウジング底面の凹部16に収容される。これにより、ハウジング10にシェル20が固定され、コネクタ本体1が組み立てられる。
次に、本発明の実施形態に係るコネクタ100へのケーブル200の取付手順を説明する。まず、予めケーブル200にブーツ5を挿通した後、図2に示すようにケーブル200の終端部から外被204を除去するとともに、遮蔽部材203を後方に折り返し、さらにドレイン線202を後方に折り曲げる。次いで、ケーブル200の先端部の信号線201を仕切り部材3で分離し、さらに各信号線201を整列部材2の貫通孔2bに挿入する。整列部材2の前端面から信号線201が突出する場合には、その突出部を切断する。これにより図10に示すように、ケーブル200の先端部に整列部材2、仕切り部材3およびブーツ5が取り付けられたケーブル組立体300が完成する。
次に、ケーブル組立体300をコネクタ本体1の後端の開口部115aからコネクタ本体1内に挿入する。図11は、ケーブル組立体300の挿入状態を示す斜視図(一部断面図)であり、図12は、要部断面図である。図11、12に示すように、ケーブル組立体300の挿入状態においては、整列部材2がコネクタ本体1の奥側(前側)の空間部63に収容され、ハウジング10の前端部110のコンタクト7が整列部材2の前端面からスリット2c内に挿入される。また、仕切り部材3が空間部63の後方の空間部62に収容され、遮蔽部材203で覆われたケーブル200の先端部がコネクタ本体1の入口側の空間部61に収容される。このとき、ハウジング10の楔11は下方に向けて突設されており、楔11が空間部61の外側に退避しているため、ケーブル200を空間部61に容易に挿入することができる。コネクタ本体1内にケーブル組立体300を挿入すると、ドレイン線202がシェル20の傾斜部23の受容部232に受容され、ドレイン線202が位置決めされる。
この状態で、不図示の工具によりコネクタ本体1を上下方向に挟み込み、コネクタ本体1の上面および下面に上下方向に圧接力を付加する。この圧接力により、コネクタ本体1の前端部110の複数のコンタクト7と楔11とに、図12に示すように上方への押し込み力F1,F2が同時に作用する。コネクタ本体1に押し込み力F1が作用すると、コンタクト7がハウジング10内に押し込まれ、コンタクト7の先端の突出部7aが整列部材2のスリット2cを介して信号線201に接触する。さらに、突出部7aが信号線201の絶縁部201bを貫通して、各コンタクト7と各信号線201の信号導体201aとがそれぞれ導通する。
また、楔11に押し込み力F2が作用すると、図13に示すように、楔11が前側の頂部11aを支点にして上方に変形し、楔11の辺部11dがハウジング10の平面部121を乗り越えてケーブル200が上方に押圧される。これにより楔11の頂部11bが、ケーブル200の遮蔽部材203で覆われた外被204の下側周面に食い込むとともに、傾斜部23の左右一対のカスプ231が遮蔽部材203で覆われた外被204の上側周面に食い込む。その結果、楔11とカスプ231とにより遮蔽部材203が上下に挟み込まれ、コネクタ100によりケーブル200を十分な把持力で把持することができ、ケーブル200をコネクタ100に安定的に保持できる。
ケーブル組立体300を挿入した状態では、ドレイン線202が傾斜部23の受容部232に受容されている。したがって、ケーブル200に把持力を付与すると、ケーブル200の表面が傾斜部23に押し当てられ、ドレイン線202は受容部232の奥側に押し込まれる。これにより、ドレイン線202とシェル20とが十分な接圧で接触する。このため、仮に遮蔽部材203が破断した場合であっても、コネクタ100の安定した遮蔽性能を得ることができる。すなわち、コネクタ100の遮蔽性能を得るためには、ドレイン線202および遮蔽部材203の少なくとも一方とシェル20とが導通すればよいが、本実施形態では、受容部232にドレイン線202が受容されるため、ドレイン線202とシェル20とを確実に導通させることができる。
本発明の実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)複数の信号線201を有するケーブル200の終端に取り付けられるコネクタ100(ハウジング10、シェル20)は、信号線201に対応した複数のコンタクト7が配置される前端部110と、ケーブル200が挿入される開口部115aを有する後端部115と、前後左右方向にそれぞれ延在する上面部111,211および下面部112と、左面部113,212および右面部114,213,217とを有し、内部にケーブル200の収容空間6を形成する。そして、本実施形態のコネクタ100では、シェル20の上面部211からは収容空間6に向けて傾斜部23を突設し、ケーブル200の外周面を把持するように傾斜部23に左右一対のカスプ231を設けるとともに、ハウジング10の下面部112には楔11を設け、ケーブル200の挿入後に楔11を外力により上方に変形させて、収容空間6に楔11を突出させるようにした。これによりケーブル200の外周面がカスプ231と楔11とにより上下方向に挟まれ、ケーブル200に十分な把持力を付与することができ、ケーブル200をコネクタ100に安定的に保持できる。
(2)本実施形態に係るコネクタ100は、金属製の遮蔽部材203を有する遮蔽ケーブル200に適用される。遮蔽部材203は表面の摩擦力が小さく滑りやすいが、遮蔽部材203の表面にカスプ231と楔11の先端部がそれぞれ食い込むことで、ケーブル200を強固に保持できる。
(3)コネクタ本体1を、ハウジング10とハウジング10の外側に装着されるシェル20とにより構成し、ハウジング10とシェル20のそれぞれにケーブル表面を保持するための突出部(楔11、カスプ231)を設けるようにしたので、上下一対の突出部を容易に形成することができる。
(4)ハウジング10を樹脂により構成し、シェル20を金属により構成するようにしたので、遮蔽ケーブル200とシェル20との導通により良好な電磁遮蔽性能を得ることができる。
(5)傾斜部23を金属製のシェル20に設けるようにしたので、傾斜部23の剛性を十分に高めることができ、ケーブル200を下方から押圧した際の傾斜部23の変形を抑え、カスプ231の先端部をケーブル表面に容易に食い込ませることができる。また、ケーブル200の引き抜き方向に対して逆らう方向に、傾斜部23をケーブル200に対して突設させることができ、ケーブル200を十分な把持力で把持することができる。
(6)ケーブル200の軸線L0を対称として左右一対のカスプ231を設けるようにしたので、ケーブル200の上面が左右2か所で把持され、ケーブル200の左右方向の移動を確実に阻止することができる。
(7)コネクタ100の上面視において傾斜部23と楔11とがほぼ前後方向同一位置に位置するように傾斜部23を設けたので、傾斜部23と楔11とで上下両方向よりケーブル200を十分な把持力で把持できる。さらに、傾斜部23の傾斜角は、切り曲げ加工時などに曲げ角度を調整するだけで、容易に所望の角度(例えば45°)に設定することができる。これに対し、シェルを後端から斜め前方に向けて折り返すような構成では、傾斜角を大きくすることができず、十分な把持力を発揮することが困難である。つまり、本実施形態によれば、シェルを後端から斜め前方に向けて折り返す構成に比べ、傾斜部23の設置領域は狭いので、コネクタ全体の大きさを変更することなく、収容空間6の十分なスペースを確保することができ、大径ケーブルの挿入が容易である。
(8)シェル20の上面部211から収容空間6に突設された傾斜部23に、受容部232を設け、受容部232をコネクタ本体1の上面から空間6に突設するようにした。これにより、ケーブル200の挿入に伴いドレイン線202が受容部232に挿入され、ドレイン線202を容易に位置決めすることができる。また、ドレイン線202が受容部232に沿って配置され、ドレイン線202の損傷を防ぐことができる。
(9)金属製のシェル20に受容部232を設けるようにしたので、受容部232によって位置決めされたドレイン線202とシェル20とを、ケーブル200の状態(屈曲、捻回転等)によらず、容易かつ安定的に導通させることができる。
(10)ケーブル200の挿入方向に斜めに突設した傾斜部23の左右方向両端部にそれぞれカスプ231を設けるとともに、左右方向中央部に受容部232を設けるようにしたので、ケーブル200を把持する位置でドレイン線202が位置決めされ、ドレイン線202の良好な位置決めが可能である。また、単一の傾斜部23がケーブル200の保持機能とドレイン線202の位置決め機能とを有するので、コネクタ100の構成を簡素化できる。
(11)ハウジング10の右面部114の後端面から前方にかけて係合溝15を形成するとともに、係合溝15に対応してシェル20の端部に突出部22を形成し、突出部22を係合溝15に係合するようにした。このようにコネクタ100の後端部において、ケーブル200を把持する面(上下面)とは異なる面に係合部を設けてハウジング10とシェル20とを係合することで、コネクタ100の上下面の変形が抑えられ、ケーブル200に対し十分な把持力を付与することができる。その結果、ハウジング10の厚さを薄くして収容空間6の入り口側(空間部61)の断面積を拡大することができ、コネクタ本体1内へ大径のケーブル200を容易に挿入することができる。これに対し、例えばコネクタ100の上面または下面、すなわち把持力が発生する位置に係合部を設けると、係合部においてシェル20が大きく変形し、把持力が低下するおそれがある。
(12)ハウジング10の係合溝15とシェル20の突出部22とを係合するので、ハウジング10に対しシェル20が周方向に位置決めされ、シェル20をハウジング10の外側に密着状態に保持できる。
(変形例)
上記実施形態では、カスプ231と受容部232とを同一の傾斜部23に設けるようにしたが、それぞれ別々の部材に設けるようにしてもよい。図14は、その一例を示すシェル20Aの斜視図であり、図15は、図14の要部拡大図である。図14,15の例では、シェル20Aの上面部211に傾斜部23Aが突設され、さらに傾斜部23Aの後方において、斜め前方に向けて左右一対の傾斜部23Bが突設されている。傾斜部23Aの左右方向中央部には、凹形状の受容部232が設けられている。左右の傾斜部23Bはそれぞれ先端が鋭角をなしており、図9と同機能のカスプ(231A)を構成する。このように受容部232とカスプとを別々の傾斜部23A,23Bに設けることで、受容部とカスプの前後方向の位置を互いに独立して最適位置に設定することができる。
上記実施形態のコネクタ100は、コネクタ本体1を備え、コネクタ本体1は、上面部111と、下面部112と、上面部111の左右一対の縁111aおよび下面部112の左右一対の縁112aに沿って上面部111と下面部112とをそれぞれ連結し、コネクタ本体1内に空間6を形成する左側面部113(第1側面部)および右側面部114(第2側面部)とを有する略箱型形状を呈する。このコネクタ本体1は、ケーブル200が挿入される開口部115aを有する後端部115と、後端部115の反対側の前端部110と、有し、上面部211と下面部112とにそれぞれケーブル200の外周面を把持するようにカスプ231(第2突出部)および楔11(第1突出部)を設けるものであるが、第1突出部と第2突出部の少なくとも一方を外力により変形させて収容空間6内に突設させるのであれば、コネクタ100の構成はいかなるものでもよい。例えば、第1突出部としての楔11だけでなく、第2突出部も、外力により変形させる変形突出部として構成してもよい。この場合の外力とは、ケーブル200がコネクタ100に挿入された状態で工具を用いて上下方向に付加される力(図12の押し込み力F2)を言い、この押し込み力F2はコンタクト7の押し込み力F1と同時に付加されることが好ましい。
上記実施形態のコネクタ100は、金属製の遮蔽部材203(遮蔽部)を有する遮蔽ケーブル200に適用したが、遮蔽部を有さないケーブルにも同様に適用することができる。上記実施形態では、第1ボディ部としてのハウジング10と、第2ボディ部としてのシェル20とによりコネクタ本体1を構成したが、3部品以上のボディ部によりコネクタ本体を構成してもよく、単一のボディ部によりコネクタ本体を構成してもよい。上記実施形態では、第1突出部を楔11により構成したが、第1突出部を楔形状以外としてもよい。ケーブル200の挿入前に第1突出部を収容空間6内に所定量だけ突出させ、ケーブル挿入後に外力により第1突出部の突出量を増加させるようにしてもよい。すなわち、ケーブル200の挿入が可能であるならば、第1突出部を予め収容空間6内に所定量だけ突出させておいてもよい。
上記実施形態では、傾斜部23(傾斜部)に第2突出部としてのカスプ231を設けたが、第2突出部の構成はこれに限らず、例えば図15に示すように、コネクタ本体1の上面部211から直接、第2突出部を突出させてもよい。上記実施形態では、カスプ231を左右方向に、すなわち上面部211の縁211aに直交する方向に一対設けたが、カスプ231の個数を3個以上としてもよく、カスプ231をコネクタ本体1の左右中央部に1個だけ設けるようにしてもよい。上記実施形態では、ドレイン線202を受容する受容部232を凹形状として構成したが、例えば前後方向の貫通孔により受容部を構成してもよい。受容部は、例えば切りおこしにより、シェル20に一体に形成される凹形状であってもよく、ドレイン線202が受容される連続的な凹形状(溝)をハウジング10に設けて受容部を構成してもよい。ドレイン線202の周方向の取出し位置は上述したものに限らず、したがって受容部の配置も上述したものに限らない。なお、上記実施形態では、コネクタ本体1に第1突出部と第2突出部と受容部とを設けるようにしたが、コネクタ本体1に受容部のみを設けるようにしてもよい。すなわち、コネクタ100の上面部または下面部から収容空間6に突設されるのであれば、受容部の構成はいかなるものでもよい。
上記実施形態のコネクタ100は、上面部111,211の右端部から下面部112,216の右端部にかけて延在する右面部114,213,217と、上面部111,211の左端部から下面部112,216の左端部にかけて延在する左面部113,212とを有する。そして上記実施形態では、シェル20の右面部217(側面部)のスリット22aの位置に突出部22(係合部)を設けるとともに、この突出部22に対応してハウジング10の右面部114に係合溝15(被係合部)を設け、係合溝15に突出部22(係合部)を係合させるようにしたが、係合部および被係合部の構成はこれに限らない。
例えばハウジング10に係合部(例えば突出部)を設け、シェル20に被係合部(例えば係合溝)を設けるようにしてもよい。図7の変形例である図16に示すように、シェル20の後端面から前方に向けてスリットとしての係合溝25を設けるとともに、この係合溝25にシェル20の端部(突出部22)を係合させるようにしてもよい。なお、上記実施形態では、コネクタ本体1に第1突出部と第2突出部と受容部とを設けた上でさらに係合部を設けるようにしたが、コネクタ本体1に係合部のみを設けるようにしてもよい。
上記実施形態では、コネクタ本体1と整列部材2と仕切り部材3とブーツ5とによりコネクタ100を構成したが、整列部材2と仕切り部材3とブーツ5とを省略し、コネクタ本体1によってコネクタを構成してもよい。
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態および変形例の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。すなわち、本発明の技術的思想の範囲内で考えられる他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。また、上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能である。
6 収容空間
10 ハウジング
11 楔
15 スリット
20 シェル
22 突出部
22a スリット
25 係合溝
23 傾斜部
231 カスプ
232 受容部
100 コネクタ
110 前端部
111,211 上面部
111a,211a 縁
112 下面部
112a 縁
113 左面部
114 右面部
115 後端部
115a 開口部
200 ケーブル
202 ドレイン線
203 遮蔽部材

Claims (10)

  1. 複数の信号線を有するケーブルの終端に取り付けられるコネクタであって、
    該コネクタは、コネクタ本体を備え、
    該コネクタ本体は、
    上面部と、下面部と、前記上面部の左右一対の縁および前記下面部の左右一対の縁に沿って前記上面部と前記下面部とをそれぞれ連結し、前記コネクタ本体内に空間を形成する一対の側面部とを有する略箱型形状を呈し、
    ケーブルが挿入される開口部を有する後端部と、
    前記後端部の反対側の前端部と、
    ケーブルの外周面を把持するように、前記下面部に設けられた第1突出部と、
    ケーブルの外周面を把持するように、前記上面部に設けられた第2突出部と、を備え、
    前記第1突出部および前記第2突出部の少なくとも一方は、外力により変形させられて前記空間内に突設される変形突出部を構成する、コネクタ。
  2. 請求項1に記載のコネクタにおいて、
    前記コネクタ本体は、
    第1ボディ部と、
    前記第1ボディ部に取り付けられる第2ボディ部と、を備える、コネクタ。
  3. 請求項2に記載のコネクタにおいて、
    前記第2ボディ部は、導電性を有する金属により構成される、コネクタ。
  4. 請求項2または3に記載のコネクタにおいて、
    前記変形突出部は、前記第1突出部により構成され、
    前記第2突出部は、前記空間内に前記前端部側に向けて斜めに突設されている、コネクタ。
  5. 請求項4に記載のコネクタにおいて、
    前記第2突出部は、左右方向に対称に複数並設されている、コネクタ。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項に記載のコネクタにおいて、
    前記上面部または前記下面部から前記空間に突設された、ケーブルのドレイン線を受容する受容部をさらに備える、コネクタ。
  7. 請求項6に記載のコネクタにおいて、
    前記受容部が前記第2ボディ部から突設されている、コネクタ。
  8. 請求項6または7に記載のコネクタにおいて、
    前記第2ボディ部は、前記上面部から前記空間内に前記後端部側に向けて斜めに突設された傾斜部を有し、
    前記第2突出部は、前記傾斜部の左右方向両端部に一対設けられ、前記受容部は、前記一対の傾斜部の左右方向中央部に設けられている、コネクタ。
  9. 請求項3〜8のいずれか1項に記載のコネクタにおいて、
    前記一対の側面部の少なくとも一方には、長さ方向に沿ってスリットが形成されるとともに、このスリットの位置に係合部が設けられている、コネクタ。
  10. 請求項9に記載のコネクタにおいて、
    前記係合部は、前記第2ボディ部に設けられ、
    前記第1ボディ部は、前記第一対の側面部の少なくとも一方に前記係合部に対応した被係合部を有し、
    前記第2ボディ部は、前記係合部を前記被係合部に係合して前記第1ボディ部の外側に装着されている、コネクタ。
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