図1は、本発明の実施例1による走行制御システムの構成の一例を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、本実施例に係る走行制御システム1は、例えば、1台以上の車両2の走行制御を支援する走行制御システムであり、1台以上の車両2と、道路インフラから無線通信で情報を車両2に提供するための1台以上の路側機4と、1台以上の車両2に走行制御を支援するための情報を提供する走行制御支援サーバ10と、ネットワーク3と、を含んで構成される。
車両2は、走行制御装置20と、無線通信装置30と、自車位置測位装置40と、入出力装置50と、周辺物体検出装置60と、車両制御装置群70と、センサ群80と、を有する。
走行制御装置20は、例えば、先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance Systems)を実現するためのECU(Electronic Control Unit)等であり、処理部200と、記憶部210と、通信部220と、を有する。
処理部200は、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びRAM(Random Access Memory)などを含んで構成され、所定の動作プログラムを実行することで、走行制御装置20の機能を実現する処理を行う(図19参照)。また、処理部200には、機能ブロックとして、走行制御に関連する車両2の周辺情報を取得する関連周辺情報取得部201、車両2の位置を推定する自車位置推定部202、車両2の走行経路を推定する自車走行経路推定部203、車両制御装置群70の一部又は全てに指示する走行制御内容を決定する走行制御決定部204、走行制御決定部204によって決定された走行制御内容を評価する走行制御評価部205、走行制御決定部204によって決定された走行制御内容を車両制御装置群70の一部又は全てに対して指示する走行制御指示部206、入出力装置50等に走行制御に関する情報を提供する走行制御情報提供部207、入出力装置50等からの走行制御に関する設定変更要求を処理する走行制御情報設定部208、及び、センサ群80等から自車に関する情報を取得する車両情報取得部209、等が含まれる。
記憶部210は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、ROM(Read Only Memory)などの記憶装置を含んで構成され、処理部200が実行するプログラム、及び本システムの実現に必要なデータ群などが格納される(図19参照)。本実施例では、特に、周辺地図データ群211、関連特徴点データ群212、関連道路イベントデータ群213、周辺物体データ群214、及び走行制御パラメータデータ群215、等が記憶部210に格納される。
通信部220は、例えば、Ethernet(登録商標)又はCAN(Controller Area Network)等の通信規格に準拠したネットワークカード等を含んで構成され、車両2に搭載された他の装置と各種プロトコルに基づきデータの送受信を行う。なお、通信部220と車両2に搭載された他の装置との間の接続形態は、Ethernetのような有線接続に限定されることはなく、Bluetooth(登録商標)や無線LAN(Local Area Network)などの近距離無線接続であってもよい。
無線通信装置30は、例えば、LTE(Long Term Evolution)等の長距離無線通信規格、あるいは無線LAN、DSRC(Dedicated Short Range Communications)等の近距離無線通信規格に準拠したネットワークカード等を有し、例えば、車両走行制御支援サーバ10、1台又は複数台の路側機4、1台又は複数台の他車両に搭載された無線通信装置30、1台又は複数台の人等が保有する通信端末(図示省略)等、とデータ通信が可能となるように構成される。
無線通信装置30は、車両走行制御支援サーバ10とネットワーク3を介してデータ通信を行う。無線通信装置30は、好ましくは、長距離無線通信を用いてネットワーク3に接続し、例えば、IP(Internet Protocol)系の各種プロトコルなどに基づいて生成されたデータの送受信を行う。なお、無線通信装置30は、長距離無線通信に限らず、近距離無線通信を用いてネットワーク3に直接接続しても良いし、路側機4等の他の通信装置を介してネットワーク3に接続しても良い。
一方、路側機4、他の車両2に搭載された無線通信装置、又は、人等が保有する通信端末との間では、無線通信装置30は、好ましくは、近距離無線通信を用いてネットワーク3を介さず直接データ通信する。これは、例えば、路車間/車車間通信システムを想定している。ただし、無線通信装置30は、近距離無線通信に限らず、長距離無線通信を用いてネットワーク3経由で、各種通信装置とデータ通信しても良い。また、無線通信装置30は、任意の長距離無線通信規格及び近距離無線通信規格の2つ以上の組み合わせに準拠するように構成されていても良い。
自車位置測位装置40は、車両2の地理的な位置を測位し、その情報を提供する装置であり、例えば、GNSS受信装置が相当する。自車位置測位装置40は、単純にGNSS衛星から受信する電波に基づいた測位結果を提供するように構成されていても良いし、車両2の移動速度及び進行方位角等、センサ群80から取得可能な情報を活用して位置補間及び誤差補正を行うように構成されていても良い。
なお、自車位置測位装置40は、車両2の地理的な位置を測位する装置であれば、GNSS受信装置以外の装置であってもよい。例えば、自車位置測位装置40は、路側機4から車両2が走行している道路を識別する情報及びその道路における車両2の位置を示す情報(例えばその道路の起点からの距離を示す情報)を取得し、それに基づいて車両2の地理的な位置を測位してもよい。また、自車位置測位装置40が取得する車両2の位置を示す情報は、典型的には、後述する緯度及び経度のような座標値であるが、後述する特徴点と車両2との位置関係を特定するために使用できる情報であれば、上記以外の情報であってもよい。例えば、車両2の位置を示す情報は、車両2が走行している道路及びその道路上の位置を示す情報であってもよい。
入出力装置50は、例えば、車載ディスプレイ又はスマートフォン等であり、車両2に乗車している人に情報を提示したり、情報を入力してもらったりすることができるように構成される。本実施例における入出力装置50には、車両2の運転者又は同乗者に、走行制御に関する情報を出力するための走行制御情報出力部51、及び、車両2の運転者又は同乗者に、走行制御に関する情報を入力してもらうための走行制御情報入力部52等が含まれる。
周辺物体検出装置60は、例えば、レーダ又はカメラ等を含み、車両2に搭載されたセンサ群80から取得したセンサデータに基づき、車両2の周辺の物体を検出し、検出物体に関する情報を提供するように構成されている。
車両制御装置群70は、車両2の各種部品を制御するための装置群であり、例えば、エンジン、ブレーキ、及び自動変速機等をそれぞれ制御するためのECUである。
センサ群80は、車両2の各種部品の状態(例えば走行速度、操舵角、アクセルの操作量、ブレーキの操作量等)を検出している装置群であり、例えば、CAN等の車載ネットワーク上に、検出した状態量を定期的に出力している。走行制御装置20を含む車載ネットワークに接続された装置は、各種部品の状態量を取得することが可能となるように構成されている。
ネットワーク3は、無線および/または有線を媒体とする回線交換網又はパケット交換網の任意の組み合わせで構成される通信ネットワークであり、車両走行制御支援サーバ10と車両2に搭載された無線通信装置30とが相互にデータを送受信可能となるように構成されている。走行制御装置20は、無線通信装置30を介して、ネットワーク3を経由して車両走行制御支援サーバ10と通信することができる。
路側機4は、例えば、道路の側方又は上方に設置される装置であり、1つ又は複数の車両2の無線通信装置30と無線通信可能となるように構成されている。また、路側機4は、例えば、道路事業者又はその委託業者が管理する道路ITインフラシステムに接続されている。例えば、路側機4は、道路管制センタ又は道路交通情報センタ等のセンタシステムと通信可能に構成されており、設置されている道路を走行中の1つ又は複数の車両2に対して該センタシステムから要求された情報を配信することが可能である。
車両走行制御支援サーバ10は、例えば、車両2の先進運転支援システム(ADAS)を実現するための1つのサーバ又は複数のサーバで構成されているシステム等であり、処理部100と、記憶部110と、通信部120と、を有する。
処理部100は、例えば、CPU及びRAMなどを含んで構成され、所定の動作プログラムを実行することで、車両走行制御支援サーバ10の機能を実現する処理を行う(図19参照)。また、処理部100には、機能ブロックとして、1つ以上の車両2から該車両に関する情報を受信する車両情報受信部101、車両情報受信部101から受信した車両情報に基づき該車両の走行経路を推定する車両走行経路推定部102、車両2の走行制御に関連する周辺情報を抽出する関連周辺情報抽出部103、関連周辺情報抽出部103によって抽出された関連周辺情報を該車両2に送信する関連周辺情報送信部104、1つ以上の車両2から該車両2の走行制御に関する評価結果を受信する走行制御評価結果受信部105、走行制御評価結果受信部105が受信した車両2の走行制御に関する評価結果を所定の方式に従い記憶部110に格納して管理する走行制御評価管理部106、及び、走行制御評価管理部106に管理されている走行制御評価に基づき走行制御可否を決定する走行制御可否決定部107、等が含まれる。
記憶部110は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、ROMなどの記憶装置を含んで構成され、処理部100が実行するプログラム、及び本システムの実現に必要なデータ群などが格納される(図19参照)。本実施例では、特に、地図データ群111、特徴点データ群112、道路イベントデータ群113、走行制御種別データ群114、及び車両別データ群115、等が記憶部110に格納される。
通信部120は、例えば、Ethernetなどの有線LAN規格に準拠したネットワークカードなどを含んで構成され、ネットワーク3にアクセスして、例えば、IP系の各種プロトコルなどに基づいて生成されたデータの送受信を行う。なお、通信部120のネットワーク3への接続形態は、Ethernetのような有線接続に限定されることはなく、無線LANなどの近距離無線接続であってもよいし、携帯電話の通信システムのような長距離無線接続であってもよい。
車両走行制御支援サーバ10の地図データ群111は、例えば、道路のネットワーク構造、属性、及び形状等の情報を含むデジタル道路地図に関するデータの集合体である。本明細書において、道路とは、車両が走行可能な道を意味し、公道に限ることはなく、私道を含んでも良いし、駐車場等施設内の走行路を含んでも良い。地図データ群111は、前記デジタル道路地図データに加え、道路沿いにある施設情報をさらに含んでいても良いし、後述する特徴点データ群112及び道路イベントデータ群113をさらに含んでいても良い。
車両走行制御支援サーバ10の特徴点データ群112は、例えば、車両2の走行制御に用いる走行道路上の特徴点に関するデータエントリの集合である。本明細書では、一つ以上の異なるデータで構成される一つの集合をエントリという。また、本明細書において、ある車両2の走行道路とは、該車両2が走行又は停止している道路であり、進行方向も考慮して区別される。すなわち、同一の道路であっても、該車両2が走行する方向と反対側に走行するための車線(反対車線)は、別の走行道路として区別される。また、本明細書において、特徴点とは、車両2の走行制御装置20が走行制御内容を決定する際に利用する又は利用する可能性がある、走行道路上における道路の形状、属性、又は状態に関する特徴的な変異点を意味し、例えば、交差点、制限速度変更点、カーブ開始地点、道路の合流地点、道路の分岐地点、踏切、料金所、道路勾配変更点、等の地点が該当する。なお、走行道路毎に特徴点が定義されるため、例えば交差点のように地図データ上は一つの地点であっても、その地点を通る道路の進行方向が複数ある場合には、それらの応じた複数の特徴点として管理されることに注意されたい。
車両走行制御支援サーバ10の道路イベントデータ群113は、例えば、道路交通において動的に発生した道路イベントに関するデータエントリの集合である。本明細書において、道路イベントとは道路における交通流に影響を与える動的な事象を意味し、例えば、工事や通行止め、故障車、事故、又は渋滞等の情報が含まれる。
図19は、本発明の実施例1による走行制御システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
車両走行制御支援サーバ10は、相互に接続されたCPU1900、記憶装置1910及びインタフェース1920を有する。
インタフェース1920は、通信部120を実現するための装置であり、例えば、有線LAN又は無線LAN等の、ネットワーク3に接続可能な任意の通信規格に準拠するネットワークカードである。
記憶装置1910は、RAM、HDD、フラッシュメモリ又はROM等のような任意の種類の記憶装置のいずれか、又はそれらの二つ以上の組み合わせであってよい。典型的には、記憶装置1910は、RAMのような揮発性の記憶装置と、HDD又はフラッシュメモリのような不揮発性の記憶装置と、を含む。記憶装置1910には、少なくとも、処理プログラム1911、地図データ群111、特徴点データ群112、道路イベントデータ群113、走行制御種別データ群114及び車両別データ群115が格納される。これらのプログラム及びデータ群は、例えばHDDに格納され、必要に応じてそれらの少なくとも一部がRAMにコピーされてもよい。
CPU1900は、処理プログラム1911を実行することによって処理部100の機能を実現するプロセッサである。例えば、車両情報受信部101、車両走行経路推定部102、関連周辺情報抽出部103、関連周辺情報送信部104、走行制御評価結果受信部105、走行制御評価管理部106及び走行制御可否決定部107の機能は、CPU1900が、それぞれ、処理プログラム1911に含まれる車両情報受信プログラム、車両走行経路推定プログラム、関連周辺情報抽出プログラム、関連周辺情報送信プログラム、走行制御評価結果受信プログラム、走行制御評価管理プログラム及び走行制御可否決定プログラム(いずれも図示省略)を実行することによって実現される。以下の説明において処理部100内の各部が実行する処理は、実際には処理プログラム1911に従うCPU1900によって実行される。
走行制御装置20は、相互に接続されたCPU1930、記憶装置1940及びインタフェース1950を有する。
インタフェース1950は、通信部220を実現するための装置であり、例えば、Ethernet又はCAN等の、車両2に搭載された他の装置とデータを送受信可能な任意の通信規格に準拠するネットワークカードである。
記憶装置1940は、RAM、HDD、フラッシュメモリ又はROM等のような任意の種類の記憶装置のいずれか、又はそれらの二つ以上の組み合わせであってよい。記憶装置1940には、少なくとも、処理プログラム1941、周辺地図データ群211、関連特徴点データ群212、関連道路イベントデータ群213、周辺物体データ群214及び走行制御パラメータデータ群215が格納される。
CPU1930は、処理プログラム1941を実行することによって処理部200の機能を実現するプロセッサである。例えば、関連周辺情報取得部201、自車位置推定部202、自車走行経路推定部203、走行制御決定部204、走行制御評価部205、走行制御指示部206、走行制御情報提供部207、走行制御情報設定部208及び車両情報取得部209の機能は、CPU1930が、それぞれ、処理プログラム1941に含まれる関連周辺情報取得プログラム、自車位置推定プログラム、自車走行経路推定プログラム、走行制御決定プログラム、走行制御評価プログラム、走行制御指示プログラム、走行制御情報提供プログラム、走行制御情報設定プログラム及び車両情報取得プログラム(いずれも図示省略)を実行することによって実現される。以下の説明において処理部200内の各部が実行する処理は、実際には処理プログラム1941に従うCPU1930によって実行される。
図2は、本発明の実施例1の車両走行制御支援サーバ10が保持する地図データ群111、特徴点データ群112及び道路イベントデータ群113に格納されている情報の一例の説明図である。具体的には、図2は、道路網の一部を抽出し、その中の特徴点及び発生している道路イベントを、一例として模擬的に図示したものである。図2において、外枠を除いた実線は道路を表している。破線はその近傍の道路上で発生している道路イベントの該道路上での発生範囲を表している。実線の枠線で囲まれた用語(7100〜7105)は特徴点及び道路イベントの説明である。
地図データ群111において、道路は、区間道路を表現する道路リンク及び区間道路の端点を表すノードの集合で構成される。各ノードは、ノードIDと呼ばれる識別子を持つ。図2では、ノードの例としてノードID7000〜7040を示してある。以下、ノードIDの値を、そのノードIDによって識別されるノードの参照符号としても用いる。例えば、ノードID7000によって識別されるノードを単にノード7000とも記載する。
一方、リンクは、例えば、ノードIDのペアで表現される。すなわち、ノード7000とノード7001の間の区間道路の道路リンクのIDは(7000、7001)で表現される。本明細書では、道路リンクは進行方向を区別して表現し、道路リンク(7000、7001)はノード7000からノード7001に進行する区間走行道路を、道路リンク(7001、7000)はノード7001からノード7000に進行する区間走行道路を、それぞれ表すものとする。なお、道路リンクの表現方法はこれに限ることはなく、例えば、道路リンク(7000、7001)はノード7000とノード7001の間の双方向を含む区間道路を表し、進行方向を表すデータとの組合せで区間走行道路を表現しても良い。
地図データ群111のデータ構造は、例えばいわゆる車載ナビゲーション装置に採用されているもの等、公知のものを含む任意の構造であってよいため、これに関する説明は省略する。
図3は、本発明の実施例1の車両走行制御支援サーバ10が保持する特徴点データ群112のデータ構造の一例の説明図である。具体的には、図3は、図2の道路網上の特徴点に関する情報の一部を表現したものである。
特徴点ID301は、特徴点を識別するための識別子(ID)である。以下の説明において、特徴点ID301の値を、その値によって識別される特徴点の参照符号として使用する場合がある。例えば、特徴点ID301の値「5000」によって識別される特徴点を、特徴点5000と記載する場合がある。
特徴点種別302は、各特徴点の種別を表す。特徴点の種別は、例えば、走行道路が優先である信号無交差点、走行道路が非優先である信号無交差点、信号交差点、カーブ開始点、又は速度制御変更点、等である。
走行制御評価値303には、各特徴点を用いた走行制御に関する評価値が格納されている。走行制御に関する評価値とは、走行制御実施の好ましさを定量化して表現するものであり、例えば、走行制御の成功率(後述)が一例として挙げられる。なお、評価値は、走行制御の種別毎に管理される。具体的には、特徴点に関連する走行制御種別が存在しない場合は、その特徴点の走行制御評価値303に、「該当無」に相当する値が格納され、1つの特徴点に複数の走行制御種別が関連する場合は、その特徴点の走行制御評価値303に、それぞれの走行制御種別毎の評価値が格納されている。
ある特徴点に関連付けられたある種別の走行制御の評価値が高いことは、その特徴点に関連して(例えばその特徴点との位置関係が所定の条件を満たす車両2において)その種別の走行制御を実施することが好ましいこと、言い換えると、その特徴点とその種別の走行制御との関連付けの妥当性が高いことを意味する。すなわち、評価値は、特徴点と走行制御種別との関連付けの妥当性の高さを示す指標である。この場合、ある特徴点に関連付けられたある種別の走行制御の評価値が低いことは、その特徴点とその種別の走行制御との関連付けの妥当性が低いことを意味する。具体的には、例えば、その特徴点への走行制御の関連付けが初めから不適切であったために恒久的に妥当性が低い場合、又は、道路工事又は渋滞等のイベントに起因して一時的に妥当性が低い場合があり得る。
本実施例では、評価値の一例として走行制御の成功率を挙げ、成功率に基づいて判定された走行制御の実施可否を示す情報(後述する実施可能制御304)は、便宜上、評価値とは別の指標として扱っているが、走行制御の実施可否を示す情報も特徴点と走行制御種別との関連付けの妥当性の高さを示す指標の一種と言えるため、これを評価値として使用してもよい。あるいは、特徴点と走行制御種別との関連付けの妥当性の高さを示す上記以外の指標が評価値として使用されてもよい。
実施可能制御304には、各特徴点に関連して実施可能な走行制御種別のリストが格納されている。各特徴点で実施可能な走行制御種別が存在しない場合は、「該当無」に相当する値が格納される。それぞれの種別の走行制御が実施可能であるか否かの判定については後述する(図12、図13等参照)。
走行道路リンク305は、各特徴点が位置する区間走行道路のリンクIDを表す。
走行道路リンク上位置306は、走行道路リンクが表す区間走行道路の始点ノードの位置から各特徴点までの道なりの距離を示す。例えば、特徴点5000は、走行道路リンク(7000、7001)が表す区間走行道路の始点ノードであるノード7000の位置から道なりに200m進んだ(離れた)位置に存在する。
関連道路イベント307は、各特徴点が関連する道路イベントを表す。特徴点は、交差点やカーブ開始点等、道路の形状に起因して固定的に存在するものに加え、道路イベントに起因して動的に発生するものも存在する。例えば、特徴点5201の車線減少は、工事7104によって車線が一つ封鎖されたことに起因して発生したものである。関連道路イベント307には、その特徴点が動的に発生した原因となった道路イベントのID(上記の例では工事7104のID「7104」)が格納される。もしも、該道路イベントが解消された場合は、該特徴点のデータエントリも特徴点データ群112から消去される。なお、固定的に存在する特徴点の場合は、関連道路イベント307には何も格納されない。
関連情報308には、該特徴点が持つ任意の固有情報が格納される。例えば、図3における特徴点5020のカーブ開始点では、カーブの曲率を表すR値が格納される。
図4は、本発明の実施例1の車両走行制御支援サーバ10が保持する道路イベントデータ群113のデータ構造の一例の説明図である。具体的には、図4は、図2の道路網上の道路イベントに関する情報の一部を表現したものである。
道路イベントID311は、道路イベントを識別するための識別子である。以下の説明において、道路イベントID311の値を、その値によって識別される道路イベントの参照符号として使用する場合がある。例えば、道路イベントID311の値「7104」によって識別される道路イベントを、道路イベント7104と記載する場合がある。
道路イベント種別312は、各道路イベントの種別を表す。道路イベントの種別とは、例えば、道路工事、渋滞、事故、通行止め、等である。例えば、図2において、道路イベント7104として「工事」の文字列が表示されているが、これは道路イベント7104の道路イベント種別312の値である。
道路イベント区間313は、各道路イベントが発生している区間走行道路であり、走行道路リンクIDと該走行道路リンクにおける該当範囲との組合せのリストで表現される。例えば、図4における道路イベント7106の道路イベント区間は、走行道路リンク(7012、7003)の始点(ノード7012)から300mの範囲(ノード7012からノード7003までの道のり距離と同等とする)と、走行道路リンク(7003、7014)の始点(ノード7003)から100mの範囲を示している。
有効期限314は、各道路イベントに関する情報の有効期限である。道路イベント7104の工事は、例えば、道路工事計画等の情報から2013年3月31日22時まで工事が継続実施されることが判明しているため、有効期限314として工事終了時刻が設定されている。一方、道路イベント7105及び7106の渋滞は、一時的に発生しているものなので、いつまで継続するかは不明である。そのため、例えば、最後に渋滞の情報を取得してから一定期間経過後の時刻が道路イベント7105等の有効期限314として設定されてもよい。有効期限を経過した道路イベントに関するデータエントリは、道路イベントデータ群113から削除される。なお、これらの道路イベント情報は、ネットワーク3経由で道路交通情報センタ(図示省略)等から取得されても良いし、1つ以上の車両2から収集される情報に基づいて車両走行制御支援サーバ10が推測しても良い。
図5は、本発明の実施例1の車両走行制御支援サーバ10が保持する走行制御種別データ群114のデータ構造の一例の説明図である。
走行制御種別321は、車両走行制御システム1が管理している1つ以上の走行制御方式の種別を表す。図5の例では、走行制御種別321として、走行制御A、走行制御B、走行制御C等が格納される。これらは、図3の走行制御評価値303及び実施可能制御304に格納されるものに対応する。走行制御種別の具体的な内容はどのようなものであってもよいが、典型的な例を挙げるとすれば、「ブレーキを操作して走行速度を指定された値まで下げる」、「アクセルを操作して走行速度を指定された値まで上げる」又は「舵角を指定された値に設定する」等である。
関連特徴点322は、各走行制御種別が走行制御内容を決定する際に利用する関連特徴点の種別のリストを表す。
サービス可否323は、各走行制御種別が車両走行制御システム1のサポート対象であるかどうかを示す。ある走行制御種別に関するサービス可否323が「可」であれば、車両走行制御支援サーバ10は車両2における該走行制御種別に関する走行制御の実施を支援するが、「不可」であれば車両2において該走行制御種別に関する走行制御が実施されないようにする。
サービス停止道路イベント種別324には、各走行制御種別に関する走行制御の実施を抑制する道路イベント種別が格納される。例えば、走行制御Bに対応するサービス停止道路イベント種別324に「渋滞」が設定されている。この場合、渋滞が発生中の走行道路区間中では、走行制御Bの実施が抑制される(すなわち走行制御Bが実施されない)ことを意味している。
図6は、本発明の実施例1の車両走行制御支援サーバ10が保持する車両別データ群115のデータ構造の一例の説明図である。
車両ID351は、各車両2に対してユニークに割り当てられたIDであり、各車両2を識別するためのIDである。対応走行制御352は、各車両2が対応している走行制御種別(すなわち、各車両2が実施する機能を有している走行制御種別)のリストである。
車両情報353は、各車両2に関する情報であり、例えば、位置情報361、走行情報362、走行道路リンク情報363、目的地情報364、及び経路情報365、等を含む。位置情報361は、各車両2が位置する地点の緯度及び経度等である。走行情報362は、速度、進行方位角等の、各車両2の走行に関するデータ群である。走行道路リンク情報363は、各車両2が位置すると推定される走行道路リンクに関する情報である。目的地情報364は、各車両2が設定している目的地に関する情報である。経路情報365は、各車両2が走行すると推定される走行経路に関する情報である。
なお、車両情報353は、上記の項目の全てを含まなくてもよい。例えば、ある車両2の目的地が指定されておらず、したがって目的地に至る走行経路も推定されていない場合、その車両2に関する目的地情報364及び経路情報365は空であってもよい。
車両別走行制御情報354は、走行制御に関する各車両固有の情報であり、各車両2が過去に実行した走行制御に関する履歴及び該走行制御に関する設定値を含む。車両別走行制御情報354は、例えば、特徴点ID371、制御種別372、履歴373、及び強制OFFフラグ374、等を含み、特徴点ID371と制御種別372との組合せ毎に一つのデータエントリを構成する。
特徴点ID371は、各車両2が走行制御を実施したことのある特徴点の識別子である。制御種別372は、特徴点ID371によって識別される特徴点において実施された走行制御の種別である。履歴373は、特徴点ID371によって識別される特徴点で実施された、種別372によって識別される走行制御の成功回数及び実施回数を含み、さらに、それらの回数から計算される成功率を含んでもよい。
強制OFFフラグ374は、特徴点ID371によって識別される特徴点において、種別372によって識別される走行制御の実施を抑止するフラグである。強制OFFフラグ374がYesの場合は、該走行制御が実施されない。強制OFFフラグ374の設定方法については後述する。
次に、走行制御装置20が保持するデータ群について説明する。
走行制御装置20の周辺地図データ群211は、車両2の走行制御に関連する周辺道路の情報に関するデータの集合体であり、データ構造は車両走行制御支援サーバ10の地図データ群111と同様である。また、周辺地図データ群211は、後述する関連特徴点データ群212、関連道路イベントデータ群213のいずれか1つ以上をさらに含んでいても良い。
走行制御装置20の関連特徴点データ群212は、車両2がこれから走行する可能性がある走行道路上にあり、かつ車両2が対応している走行制御種別に関係する特徴点に係るデータエントリの集合である。
走行制御装置20の関連道路イベントデータ群213は、車両2がこれから走行する可能性がある走行道路上で発生している道路イベントに係るデータエントリの集合である。
走行制御装置20の周辺物体データ群214には、車両2の周辺物体検出装置60によって検出された周辺物体の情報、及び、無線通信装置30経由で1つ以上の他車両2から無線通信で取得した該他車両2の情報(該他車両2の地理的な位置、走行速度、進行方向、車載センサ情報等)等が格納されている。
図7は、本発明の実施例1の走行制御装置20が保持する周辺地図データ群211、関連特徴点データ群212、関連道路イベントデータ群213及び周辺物体データ群214に格納されている情報の一例の説明図である。
具体的には、図7は、車両走行制御支援サーバ10が記憶部110に保持する情報と対比するために、図2に示した地理的領域と同じ領域に関して、ある車両2の走行制御装置20が記憶部210に保持する情報を、一例として模擬的に図示したものである。
図7において、参照符号7500が付されたシンボルは、地図上の上方向に進行する自車両2(すなわち、図7に示す地図データ群211等を保持している車両2)を示す。参照符号7501が付された太線は、自車両2の推定走行経路を示す。参照符号7510が付された複数のシンボルは、自車両2の周辺の他車両2(道路に接する三角形の頂点方向に進行)を示す。参照符号7520が付された文字列は、信号有交差点7002の信号情報を示す。
地図データ群111が車両走行制御システム1のサービス提供範囲における全走行道路情報を格納しているのに対して、周辺地図データ群211には、好ましくは、自車両2がこれから走行すると推定される推定走行経路に関連する道路の情報のみが基本的には含まれる。
推定走行経路は、例えば、ナビゲーションシステム(図示省略)から取得可能な経路情報等から推定される。ナビゲーションシステムによる経路情報等が利用不可の場合は、現在の走行道路を道なりに沿って走行するとの仮定に基づいて走行経路を推定しても良い。推定走行経路に関連する道路とは、例えば、推定走行経路上の道路及びその道路と交差している道路でも良いし、推定走行経路上からある一定距離内のすべての道路でも良いし、自車両2の位置からある一定の走行距離で到達可能なすべての道路でも良いし、それらのいずれかの組合せでも良い。推定走行経路に関連する道路の情報のみを格納することで、走行制御に不要な情報によって記憶部210の容量が消費されるのを防止することができる。
図8は、本発明の実施例1の走行制御装置20が保持する関連特徴点データ群212のデータ構造の一例の説明図である。具体的には、図8は、図7に示した状況における関連特徴点データ群212の情報を表現したものである。
特徴点ID401、特徴点種別402、走行道路リンクID405、走行道路リンク上位置406、及び関連情報407は、それぞれ特徴点データ群112における特徴点ID301、特徴点種別302、走行道路リンク305、走行道路リンク上位置306、関連情報308に対応する。
走行制御可否403は、車両2が対応している各走行制御種別において、各特徴点に対して走行制御を実施してよいかどうかを示す。例えば、自車両2が対応している(すなわち実施可能な)走行制御種別が走行制御A及びBであるとする。一方、種別が「信号交差点」である特徴点5010では走行制御A、B、Cを実施可能(図3を参照)である。この場合、自車両2は、特徴点5010において、走行制御A及びBを実施する可能性がある。そのため、特徴点5010のデータエントリでは、走行制御可否403に走行制御A及びBの走行制御可否情報が示してあり、この例では走行制御A、Bともに実施可と設定されている。
無効走行制御404は、自車両2における各特徴点に対する走行制御に関する個別設定を表している。例えば、特徴点5010のデータエントリでは、走行制御Bが無効と設定されている。このため、走行制御可否403では走行制御Bも実施可能と評価されているが、自車両2においては特徴点ID5010に対する走行制御Bは実施されない。
関連道路イベントデータ群213のデータ構造は、図4と同様である。ただし、車両走行制御支援サーバ10の道路イベントデータ群113が、車両走行制御システム1のサービス提供範囲における全ての道路イベント情報を含む可能性があるのに対し、走行制御装置20の関連道路イベントデータ群213には、推定走行経路に関連する道路上で発生している道路イベント情報のみが基本的には含まれる。
周辺物体データ群214は、自車両2の周辺で検出された各物体に関するデータエントリの集合である。各データエントリには、例えば、各物体の種別(車両、人等)、各物体の位置、各物体が移動する速度、方角及び加速度、各物体種別に応じた各種情報、等が含まれる。
走行制御装置20の走行制御パラメータデータ群215は、走行制御に関する各種パラメータデータの集合である。例えば、走行制御パラメータデータ群215には、走行制御装置20の走行制御機能が有効かどうかを表すフラグ、自車両2の車両ID、走行制御機能の学習モード(後述)を示すフラグ、及び、走行制御に用いる自車両2に関するデータ群、等が含まれる。
続いて、車両走行制御システム1の動作について説明する。
車両走行制御システム1における走行制御装置20は、主要な処理として、走行制御に必要な情報を定期的に又は必要性に応じて取得する関連周辺情報取得処理と、走行制御内容を決定し車両制御装置群70に指示する走行制御処理と、を実行する。それぞれの処理について順番に説明していく。
図9は、本発明の実施例1の車両走行制御システム1において実行される関連周辺情報取得処理のフロー500を示す。
走行制御装置20の関連周辺情報取得部201は、まず、所定時間待機後(ステップ(S)501)、車両2の走行制御機能が有効であるかどうかを確認する(ステップ502)。ここでの所定時間待機とは、関連周辺情報取得のトリガーがかかるまでの時間を待機することである。関連周辺情報取得のトリガーは、一定時間毎に実施されるようにタイマーでかけても良いし、車両2が想定していた走行経路から逸れた場合等、関連周辺情報の更新の必要性に応じてオンデマンドにかけても良い。
走行制御機能が有効であるかどうかは、例えば、走行制御パラメータデータ群215に走行制御機能の有効/無効を示すフラグを格納しておき、それを確認することによって実現できる。このフラグの値は、例えば、車両2の入出力装置50を通じて、運転者が変更することができるようになっている。例えば、運転者が走行制御機能のON/OFFを入力するなどのように直接的に設定しても良いし、エコモードのような運転モードを運転者が選択し、特定のモードが選択された場合に走行制御機能がONに設定されても良い。
ステップ502で走行制御機能が無効であった場合は、ステップ501に戻る。一方、ステップ502で走行制御機能が有効だった場合は、ステップ503に進む。
ステップ503では、車両情報取得部209が、車両走行制御支援サーバ10に関連周辺情報を問い合せるために必要な自車情報を取得する処理を行う。ここでの自車情報とは、車両走行制御支援サーバ10が自車両2を識別するために用いる車両ID、自車両2の地理的な位置情報(緯度、経度等)及び走行情報(速度、進行方位角等)、自車両2の目的地点の情報及び該目的地までの経路情報、等を含む。車両IDは、例えば、走行制御パラメータデータ群215に格納されている。自車両2の地理的な位置情報は、例えば、自車位置測位装置40から取得される。自車両2の走行情報は、例えば、センサ群80から取得される。自車両2の目的地点の情報及び該目的地までの経路情報は、例えば、ナビゲーション装置等の経路探索装置(図示省略)から取得される。
次に、走行制御装置20は、ステップ503で取得した自車情報を用いて、車両情報メッセージ511を生成し、生成したメッセージを車両走行制御支援サーバ10にネットワーク3経由で送信する(ステップ504)。
図10は、本発明の実施例1の走行制御装置20が送信する車両情報メッセージ511のフォーマット550の一例の説明図である。ただし、通信プロトコルに関係するヘッダ情報等の図示は割愛した。
車両情報メッセージ511は、ステップ503で取得した、車両ID551、車両位置情報552、車両走行情報553、目的地情報554、及び経路情報555、等を含む。なお、上記の各種情報は、図示された車両情報メッセージフォーマット550のように1つのメッセージとして送信されても良いし、任意の複数個のメッセージに分割されて送信されても良い。
車両位置情報552は、例えば、自車両2の推定位置を表す緯度561、経度562、走行道路リンクID563、等を含む。なお、走行道路リンクID563は含まれていなくても良い。車両走行情報553は、例えば、自車両2の速度571、進行方位角572、ヨーレート573、等を含む。目的地情報554は、自車両2に接続されているナビゲーションシステム等によって設定されている目的地の情報であり、目的地の緯度581、経度582、目的地が位置する道路リンクID583、目的地の道路リンク上位置584、等を含む。経路情報555は、目的地までの経路情報を表しており、例えば、自車両2の現在位置から目的地までの経路が経由する道路リンク情報のリストが含まれる。なお、経路情報555は、全ての道路リンク情報を含まなくても良く、関連周辺情報の取得が必要な範囲の道路リンク情報に限って送信されても良い。また、目的地情報554及び経路情報555は任意であり、車両情報メッセージ511の中に含まれていなくても良い。
関連周辺情報取得処理フロー500の説明に戻る(図9)。車両走行制御支援サーバ10の車両情報受信部101は、ステップ504で走行制御装置20の関連周辺情報取得部201から送信された車両情報メッセージ511を、ネットワーク3経由で受信する(ステップ521)。なお、図には記載していないが、車両情報受信部101は、車両情報メッセージ511を受信すると、車両情報メッセージフォーマット550に従って各種車両情報データを解析、抽出し、必要に応じて車両別データ群115に格納する。
次に、車両走行制御支援サーバ10の車両走行経路推定部102は、受信した車両情報メッセージ511を用いて、車両情報メッセージ511を送信した車両2(ステップ521〜524の説明において、便宜上、この車両2を自車両2と記載する)の走行経路を推定する。例えば、受信した車両情報に経路情報555が含まれていた場合、車両走行経路推定部102は、経路情報555を自車両2の走行経路として車両別データ群115に設定する。受信した車両情報に経路情報555が含まれておらず、目的地情報554が含まれていた場合は、車両走行経路推定部102は、目的地情報554と自車両2の位置情報とに基づき、ナビゲーションシステムと同様の手法を用いて経路情報を算出して、算出した経路情報を自車両2の推定走行経路として車両別データ群115に設定する。
一方、受信した車両情報に経路情報555も目的地情報554も含まれていなかった場合は、車両走行経路推定部102は、まず、自車両2が位置する走行道路を推定する。受信した車両情報の車両位置情報552の走行道路リンクID563に値が含まれている場合は、推定走行道路を走行道路リンクID563に設定する。含まれていない場合は、例えば、緯度561、経度562及び車両走行情報553の各種データを用いて、所定のマップマッチングのアルゴリズムによって地図データ群111と照合することで自車両2が位置する走行道路を推定する。なお、走行道路リンクID563に値が含まれている場合でも、同様にマップマッチングによって走行道路を推定しても良い。
次に、推定した自車両2が位置する走行道路に基づき、例えば、そこを出発地として、最も選択される可能性の高い1つ以上の経路を走行経路と推定する。なお、走行経路は、必ずしも一本線で構成されていなければならないわけではなく、分岐した複数本の線によって構成されていても良いことに注意されたい。
最も選択される可能性の高い経路とは、例えば、道なりに沿った経路である。道なりに沿った経路とは、ウィンカー(自車両2の図示しない方向指示機)の提示なしで走行可能な経路でも良いし、同一の道路の種別(国道XXX号線等)に沿った経路でも良いし、そのいずれかの組合せによって選択された経路でも良い。あるいは、出発地から目的地まで至る間に通過する分岐点(交差点)の過去の交通流の統計を参照し、各分岐点を最も多くの車両が通過した方向と同一の方向に通過する経路を、最も選択される可能性の高い経路として選択しても良い。
過去の交通流の統計は、車両走行制御支援サーバ10が、1つ以上の車両2から送信されてくる車両情報の履歴を保持し統計解析したものでも良いし、道路事業者のセンタシステム(図示省略)等からネットワーク3経由で取得したものでも良い。車両走行経路推定部102は、以上に挙げられるような方式を用いて推定した走行経路を、車両別データ群115に設定する。
関連周辺情報取得処理フロー500の説明に戻る(図9)。次のステップ523では、関連周辺情報抽出部103が、ステップ522で車両走行経路推定部102が推定した自車両2の走行経路に基づいて、地図データ群111、特徴点データ群112、道路イベントデータ群113、走行制御種別データ群114、及び車両別データ群115を参照して、自車両2の周辺の走行制御関連情報を抽出する。
まず、関連周辺情報抽出部103は、地図データ群111から、推定走行経路に関連する道路の情報を抽出する。推定走行経路に関連する道路とは、例えば、推定走行経路上の道路及びその道路と交差している道路でも良いし、推定走行経路上からある一定距離内のすべての道路でも良いし、自車両2の位置からある一定の走行距離で到達可能なすべての道路でも良いし、それらのいずれかの組合せでも良い。
次に、関連周辺情報抽出部103は、特徴点データ群112及び道路イベントデータ群113から、推定走行経路上の走行道路リンクと同一の走行道路リンクIDを有する関連特徴点データエントリ群及び関連道路イベントデータエントリ群を抽出する。あるいは、関連周辺情報抽出部103は、推定走行経路上の走行道路リンクの代わりに、上記の手順において抽出した推定走行経路に関連する道路に含まれる走行道路リンクと同一の走行道路リンクIDを有する各種関連データエントリ群を抽出しても良い。
続いて、関連周辺情報抽出部103は、走行制御種別データ群114を参照して、サービス可否323が「不可」となっている走行制御種別がある場合は、上記の手順において抽出した特徴点データエントリ群に含まれている走行制御種別のうち、「不可」となっている走行制御種別に相当するデータエントリを削除する。また、関連周辺情報抽出部103は、車両別データ群115から自車両2の車両IDに該当する関連車両別データエントリ群を抽出する。
上記のステップ523の説明は、自車両2の位置との関係が所定の条件を満たす一つ以上の特徴点を特定し、特定した各特徴点に対応付けられた走行制御種別を抽出する処理の一例である。上記の例では、少なくとも、推定された自車両2の走行経路上の特徴点が、自車両2の位置との関係が所定の条件を満たす特徴点として特定される。さらに、推定された走行経路と所定の関係を有する(例えば推定された走行経路と交差する)道路上の特徴点が、自車両2の位置との関係が所定の条件を満たす特徴点として特定されてもよい。
関連周辺情報取得処理フロー500の説明に戻る(図9)。次のステップ524では、関連周辺情報送信部104が、関連周辺情報抽出部103によって抽出された車両周辺の走行制御関連情報に基づき、関連周辺情報メッセージ512を生成し、自車両2の走行制御装置20に対してネットワーク3経由で生成したメッセージを送信する。
図11は、本発明の実施例1の車両走行制御支援サーバ10が送信する関連周辺情報メッセージ512のフォーマット600の一例の説明図である。ただし、通信プロトコルに関係するヘッダ情報等の図示は割愛した。
関連周辺情報メッセージ512は、ステップ523で取得した、周辺道路情報601、関連特徴点情報602、関連道路イベント情報603、及び自車両2に関する車両情報604、等を含む。
周辺道路情報601は、関連する道路情報に含まれるノード情報611−1〜611−mのリスト及び道路リンク情報612−1〜612−kのリストを含む。ノード情報611−1等は、例えば、ノードID、ノードの地理的な位置情報(緯度、経度等)、ノードの属性情報(交差点等)、等を含む。道路リンク情報612−1等は、例えば、端点となる2つのノードのノードID、道路リンクの属性情報(車線数、各車線の進行方向、道路種別(高速道路、国道等)等)、等を含む。
関連特徴点情報602は、周辺道路情報601上にある自車両2の走行制御に関連する特徴点情報621−1〜621−jのリストを含む。関連特徴点情報621−1等は、自車両2が関連特徴点データ212を構成するために必要な情報を含んでおり、例えば、特徴点ID、特徴点種別、走行制御種別毎の走行制御実施可否及び強制OFFフラグ、該特徴点が位置する走行道路リンクID及びその走行道路リンク上での位置情報、該特徴点の関連情報、等を含む。これらは、基本的に、ステップ523で取得した関連特徴点データエントリ群に該当する。走行種別毎の強制OFFフラグは、関連車両別データエントリ群から該特徴点ID及び該走行種別に対する強制OFFフラグ374を参照することで取得できる。
なお、関連特徴点情報621−1等は、走行制御種別毎の走行制御実施可否を示す情報の代わりに(又はそれに加えて)、走行制御の成功率のような評価値(例えば特徴点データ群112の走行制御評価値303と同等の値)を含んでもよい。その場合、関連特徴点データ群212の走行制御可否403は、各種別の走行制御が実施可能(Yes)又は実施不可(No)のいずれであるかを示す情報の代わりに(又はそれに加えて)、各種別の走行制御の成功率等の評価値を含む。
関連道路イベント情報603は、周辺道路情報601上にある道路イベント情報631−1〜631−iのリストを含む。道路イベント情報631−1等は、例えば、道路イベントID、道路イベント種別、該道路イベントが発生している1つ以上の走行道路リンクID及びその走行道路リンク上での発生範囲、等を含む。
車両情報604は、例えば、自車両2が位置する走行道路リンクID641、自車両2の推定走行経路情報642、等を含む。走行経路情報642は、車両走行経路推定部102が関連周辺情報取得フロー500のステップ522で推定した走行経路情報であり、車両情報メッセージフォーマット550の経路情報555と同様である。
なお、上記の各種情報は、図示された車両情報メッセージフォーマット600のように1つのメッセージとして送信されても良いし、任意の複数個のメッセージに分割されて送信されても良い。
関連周辺情報取得処理フロー500の説明に戻る(図9)。走行制御装置20の関連周辺情報取得部201は、ステップ504で車両走行制御支援サーバ10の関連周辺情報送信部104から送信された関連周辺情報メッセージ512をネットワーク3経由で受信する(ステップ505)。なお、図には記載していないが、関連周辺情報取得部201は、関連周辺情報メッセージ512を受信すると、関連周辺情報メッセージフォーマット600に従って各種データを解析し、周辺道路情報601、関連特徴点情報602、関連道路イベント情報603、車両情報604、を抽出しておく。そして、ステップ505で、関連周辺情報取得部201は、抽出した周辺道路情報601を周辺地図データ群211に、抽出した関連特徴点情報602を関連特徴点データ群212に、抽出した関連道路イベント情報603を関連道路イベントデータ群213に、抽出した車両情報604を走行制御パラメータデータ群215に、それぞれ格納する(ステップ506)。
以上によって関連周辺情報取得処理フロー500の1サイクルが終了し、再びステップ501に戻り、繰り返し同様の処理が実行される。
図12は、本発明の実施例1の走行制御装置20が実行する走行制御処理のフロー800を示す。
走行制御装置20の走行制御決定部204は、まず自車両2の走行制御機能が有効であるかどうかを確認する(ステップ801)。これは、関連周辺情報取得処理フロー500のステップ502と同等の処理である。もしも、走行制御機能が無効の場合は、ステップ820に進み所定時間待機する。ステップ820の所定時間待機に関しても、関連周辺情報取得処理フロー500のステップ501と同様に、一定時間毎に実施されるようにタイマーで待機を解除しても良いし、走行制御処理の必要性に応じてオンデマンドに待機を解除しても良い。ステップ801において走行制御機能が有効であった場合は、ステップ802に進む。
ステップ802では、自車位置推定部202が自車位置情報を推定する。ここで、自車位置情報の推定とは、自車両2が位置する走行道路及びその走行道路中の位置を推定することを意味する。自車位置情報の推定は、例えば、自車位置測位装置40から自車両2の地理的な位置情報(緯度、経度等)を、センサ群80から自車両2の走行情報(車速、進行方位角、ヨーレート等)を、周辺地図データ211から自車両2の周辺道路情報を、それぞれ取得し、所定のマップマッチングのアルゴリズムに従い最も可能性の高い走行道路リンク及びその走行道路リンク中の位置を特定することによって、実現される。なお、本明細書では、自車両2が位置する走行道路の推定を走行制御装置20が実行したが、例えば、自車位置測位装置40等の他装置が走行道路の推定を実施し、その情報を走行制御装置20が取得しても良い。あるいは、自車位置推定部202は、車両走行制御支援サーバ10から送信された関連周辺情報メッセージ600に含まれる走行道路リンクID641(走行制御パラメータデータ群215に格納されている)を基準に、自車両2が位置する走行道路リンクを特定しても良い。
続いて、ステップ803で、自車走行経路推定部203が自車両2の走行経路を推定する。走行経路の推定は、例えば、車両走行制御支援サーバ10から送信された関連周辺情報メッセージ600に含まれる走行経路情報642(走行制御パラメータデータ群215に格納されている)をそのまま用いることによって実現されても良いし、車両走行制御支援サーバ10の車両走行経路推定部102による推定(図9のステップ522)と同様にして実現されても良い。
次に、ステップ804で、走行制御決定部204は、ステップ803で推定された走行経路上の特徴点情報を、関連特徴点データ群212の特徴点データエントリの走行道路リンクID405と、該走行経路の走行道路リンクIDを照合することによって、取得する。例えば、ステップ803で推定された走行経路が、図7の経路7501であったとする。すると、該走行経路の走行道路リンクIDは、(7000、7001)、(7001、7002)、(7002、7003)、(7003、7004)、…等であるため、図8の関連特徴点データ群212の走行道路リンクID405を参照し、走行道路リンクID(7001、7002)に対応する特徴点5010、走行道路リンクID(7002、7003)に対応する特徴点5020、5030、…等を取得することができる。
次に、ステップ805に進み、走行制御決定部204は、ステップ804で取得した特徴点に関連付けられた走行制御を自車両2において実施する条件が満たされたかを確認する。この確認は、自車両2の位置と特徴点との関係が所定の条件を満たすか否かに基づいて行われる。
具体的には、まず、走行制御決定部204は、該特徴点情報の各データエントリの走行制御可否403を参照し、自車両2の走行制御機能が対応している走行制御種別に関する情報が含まれているかどうかを確認する。該特徴点情報に自車両2の走行制御機能が対応している走行制御種別に関する情報がない場合は、ステップ820に進み、所定時間待機して、ステップ801に戻る。一方、該当する特徴点データエントリが1つ以上ある場合は、走行制御決定部204は、次に自車両2の各種走行制御機能が該特徴点に対して走行制御を実施するタイミングにあるかを確認する。
例えば、自車両2から該特徴点までの距離が100m以内になった場合に、ある走行制御種別の走行制御に関する処理が実行されるのであれば、該特徴点と自車両2の相対距離を計算して所定の閾値よりも大きいかどうかを確認する。全ての特徴点データエントリが走行制御を実施するタイミングにないと判断された場合は、やはりステップ820に進む。一方、1つ以上の特徴点データエントリが走行制御を実施するタイミングにあると判断された場合は、次のステップ806に進む。
例えば、図7及び図8において、自車両2の位置が走行道路リンク(7000、7001)上であり、有効な走行制御機能が走行制御Aであった場合、特徴点5010、5020、5030、…が、推定された走行経路上の特徴点に該当する。しかし、走行制御Aが実施する条件が、例えば、自車両2から各特徴点までの距離が100m以内になった場合であったとすると、条件を満たさないためステップ820に進む。それに対し、自車両2が走行経路上を走行し、走行道路リンク(7001、7002)に差し掛かった場合、特徴点ID5010までの距離が100mとなるため、走行制御Aを実施する条件が満たされ、ステップ806に進む。
ステップ806では、走行制御決定部204が、所定の走行制御アルゴリズムに従い、該特徴点情報(すなわちステップ805の条件を満たす特徴点情報)を用いて走行制御内容を決定する。このとき、走行制御決定部204は、上記の所定の走行制御アルゴリズムによる必要性に応じて、周辺物体データ群214及びセンサ群80から取得した情報等も含めて、統合的に走行制御内容を判断する。先に挙げた例において、走行制御Aが例えば「自動回生ブレーキ」であった場合、対象の特徴点である信号交差点(特徴点ID5010)までの相対距離、該信号交差点の信号状態かつ/または信号の切替りタイミング(関連情報407から取得)、自車両2の速度、アクセル開度、ブレーキ量等の自車両2の状態及び操作に関する情報(センサ群80から取得)、自車両2の前方を走行している他車両の情報(周辺物体データ群214から取得)、等を総合的に勘案して、回生ブレーキの量及びタイミングを決定する。
複数の種別の走行制御機能が同一の特徴点に対して実行される場合、その走行制御内容が相反する可能性がある。その場合は、各走行制御機能が決定した走行制御内容を優先度に応じて統合して、最終的な走行制御内容を決定する必要がある。これは、走行制御装置20が実行しても良いし、各走行制御内容に関する指示を車両制御装置群70に送信して車両制御装置群70が実行しても良い。最終的な走行制御内容において考慮されなかった走行制御機能に関しては、該特徴点に対する走行制御は実施されなかったものとして扱われる。これによって、後述する走行制御評価が誤って行われることを防ぐ。
続いて、走行制御決定部204は、該特徴点情報を用いた走行制御を実施可能であるか確認する(ステップ807)。具体的には、該特徴点のデータエントリの走行制御可否403を参照し、該当する走行制御種別の走行制御可否が「可(Yes)」となっているかを確認する。該当する走行制御種別の走行制御可否が「可」であった場合は、走行制御を実際に実施しても良い(すなわち、該特徴点への該当する走行制御種別の関連付けが妥当である)ことを意味し、ステップ809に進む。
ステップ809では、走行制御指示部206が、走行制御決定部204によって決定された走行制御内容を実行するため、該走行制御内容に関連する車両制御装置群70に対して制御内容指示を送信し、ステップ810に進む。例えば、自動回生ブレーキの例では、回生ブレーキを制御しているECUに対し、走行制御決定部204が決定した回生ブレーキのタイミングと量に従って、制御内容指示を送信する。
一方、ステップ807において、該当する走行制御種別の走行制御可否が「可」でなかった場合、走行制御を実施してはならない(すなわち、該特徴点への該当する走行制御種別の関連付けが妥当でない)ため、ステップ809は実行されず、ステップ808が実行される。ステップ809を実行しないことによって、周辺環境、道路の形状又は属性等の影響によって発生する走行制御の誤動作が抑制される。
なお、車両走行制御支援サーバ10から、各種別の走行制御の成功率のような評価値が送信され、それが関連特徴点データ群212に保持されている場合には、その評価値に基づいて、走行制御装置20が、後述するステップ853〜855(図13)と同様の処理を行うことによって、該当する走行制御種別の走行制御可否を判定してもよい。
ステップ808では、走行制御決定部204が、走行制御装置20の学習モードがONになっているかどうかを確認する。走行制御装置20の学習モードに関するパラメータは、走行制御パラメータデータ群215に格納されている。学習モードがONであった場合は、ステップ810に進む。そうでなければ、ステップ820に進み、所定時間待機後、ステップ801に戻る。
なお、本実施形態において示す処理の手順は一例であり、例えば上記のステップ809までの手順についても実際には種々の変形例が考えられる。変形例の一つを示せば次の通りである。
走行制御決定部204は、ステップ804を実行した後、ステップ804で取得した特徴点の種別302に基づいて、それらの特徴点に関連付けられた走行制御種別を特定する。次に、走行制御決定部204は、ステップ804で取得された特徴点に関する、上記の特定された走行制御種別の評価値に基づいて、上記の特定された走行制御種別の実行可否を判定する。この判定は上記のステップ807と同様に実行される。
次に、走行制御決定部204は、上記の特定された走行制御種別について、所定の走行制御アルゴリズムに従って、走行制御を実行するタイミングが到来したか否かを判定する。このタイミングは、ステップ806と同様の方法で特定される。走行制御決定部204が、実行可能と判定された走行制御種別について、走行制御を実行するタイミングが到来したと判定した場合、走行制御指示部206は、制御内容指示を送信する(ステップ809)。
いずれの場合であっても、各特徴点に対応付けられた走行制御の評価値に基づいて該走行制御が実施可能であると判定され、かつ、所定の走行制御アルゴリズムに従って該走行制御を実施するタイミングが到来したと判定された場合に、該走行制御を実施するための制御内容指示が送信される。
ステップ810以降の処理では、走行制御評価部205が走行制御内容の評価を行う。まず、ステップ809が実行され、続いてステップ810が実行された場合、ステップ810において、走行制御評価部205は、ステップ809の指示に基づく走行制御が実行された時間帯に基づいて定められる所定の時間帯に、センサ群80が検出した車両操作に関するデータを取得する。ステップ808が実行され、続いてステップ810が実行された場合、ステップ810において、走行制御評価部205は、ステップ807で利用不可と判定された走行制御が仮に利用可能であれば、その走行制御が実行されたであろうと推測される時間帯に基づいて定められる所定の時間帯に、センサ群80が検出した車両操作に関するデータを取得する。
ここで、上記の「所定の時間帯」とは、ステップ806で特定された走行制御に対応する車両操作が自車両2の運転者によって行われる可能性が高い時間帯である。例えば、ステップ809に続いてステップ810が実行された場合、ステップ806で特定された走行制御が実際に実施される。このとき、実施された走行制御が適切でない場合、その走行制御が実施された時間帯又はその近くの時間帯に、その走行制御に反する車両操作が運転者によって行われると想定される。あるいは、ステップ808に続いてステップ810が実行された場合、ステップ806で特定された走行制御は実施されないが、その特定された走行制御が適切であった場合、特定された走行制御が実施可能であれば実施されたであろう時間帯又はその近くの時間帯に、特定された走行制御に反しない車両操作が運転者によって行われると想定される。具体的には、上記の「所定の時間帯」は、例えば、特定された走行制御が実施された(又は実施されたであろう)時間帯と同一の時間帯であってもよいし、その時間帯及びその前後の所定の長さの時間帯を含む時間帯であってもよいし、走行制御決定部204が特徴点に対する走行制御内容を計算している時間帯又はその前後の時間帯を含む時間帯であってもよい。
車両操作に関するデータとは、センサ群80が検出した、自車両2の運転者によって実際に行われた車両操作を示すデータであり、例えば、自車両2のアクセル開度(アクセル操作)、摩擦ブレーキ、回生ブレーキ又は排気ブレーキ等の各種ブレーキ量(ブレーキ操作)、シフトレバー位置(ギア操作)、ウィンカー情報(ウィンカー操作)、舵角/ヨーレート情報(ハンドル操作)、等を含む。
続いて、走行制御評価部205は、ステップ811で、ステップ806で特定された走行制御指示内容と、ステップ810で取得した車両操作に関するデータとを比較し、走行制御指示内容の評価を行う。具体的には、特定された走行制御指示内容が、実際に自車両2の運転者によって行われた車両操作に反するものになっていないかを確認する。例えば、先に挙げた回生ブレーキの例においては、走行制御内容がブレーキに関する操作であるため、回生ブレーキの走行制御指示を送信している(すなわち、その走行制御指示に基づいて回生ブレーキが操作されている)ときに、自車両2の運転者がアクセル操作を行った場合は、走行制御指示と車両操作が相反することになるため、特定された走行制御は誤動作(失敗した)と評価する。なお、評価値は、失敗と成功のように2値で表現したものでも良いし、走行制御指示と車両操作とに関する評価関数を用いて走行制御の成功度合を数値化したものでも良い。
走行制御指示と相反する車両操作の例としては、上記のブレーキ操作に対するアクセル操作(又はその逆)の他、シフトアップに対するシフトダウン(又はその逆)、走行制御指示と異なる側のウィンカー操作、走行制御指示と反対の方向への操舵、等が挙げられる。
また、学習モードにおけるステップ811の評価では、ステップ809が実行された後のステップ811の評価と異なる基準が用いられてもよい。例えば、ステップ809が実行された場合において、実施された走行制御に反する車両操作又は反しない車両操作のいずれも運転者が行わなかった場合(例えば、実施された走行制御が回生ブレーキの使用であり、その走行制御に対応する上記の所定の時間帯に、運転者がブレーキ操作、アクセル操作のいずれも行わなかった場合)、実施された走行制御が適切であった(すなわち走行制御が成功した)と推定できる。しかし、ステップ809が実行されず、学習モードでステップ811が実行される場合において、ステップ806で特定された走行制御に反する車両操作又は反しない車両操作のいずれも運転者が行わなかった場合、特定された走行制御が実際には不要であった可能性があるため、走行制御が失敗したと判定されてもよい。
その後、走行制御評価部205は、ステップ811で評価した結果をステップ812で車両走行制御支援サーバ10に送信し、所定時間待機後(ステップ820)、ステップ801に戻り、上述した処理を繰り返し実行する。
走行制御支援サーバ10の処理は、主要な処理としては、車両2の走行制御装置20に対して関連周辺情報を提供する関連周辺情報提供処理と、1つ以上の車両2の走行制御装置20から受信した走行制御評価結果情報に基づき各特徴点に対する走行制御評価を管理する走行制御評価管理処理と、の2つで構成される。前者の関連周辺情報提供処理は、走行制御装置20の関連周辺情報取得処理フロー500において、既に示した。そこで、次に、走行制御評価管理処理について説明する。
図13は、本発明の実施例1の車両走行制御システム1において実行される走行制御評価管理処理のフロー850を示す。
走行制御支援サーバ10の走行制御評価結果受信部105は、まず、1つ以上の車両2から送信される走行制御評価結果メッセージ860の受信を待つ。前述の走行制御装置20の走行制御処理フロー800のステップ812において、走行制御評価結果メッセージ860が車両2の走行制御装置20からネットワーク3経由で送信されると、走行制御評価結果受信部105は、その走行制御評価結果メッセージ860を受信する(ステップ851)。なお、図には記載していないが、走行制御評価結果受信部105は、走行制御評価結果メッセージ860を受信すると、後述する走行制御評価結果メッセージフォーマット870に従って各種データを解析、抽出する。
図14は、本発明の実施例1の走行制御装置20が送信する走行制御評価結果メッセージ860のフォーマット870の一例の説明図である。ただし、通信プロトコルに関係するヘッダ情報等の図示は割愛した。
走行制御評価結果メッセージ860は、自車両2の車両ID871、走行制御の評価対象の特徴点を示す特徴点ID872、及び、走行制御評価結果873、等を含む。走行制御評価結果873は、走行制御処理フロー800のステップ811における走行制御評価結果であり、走行制御種別881(図14の例では881−1〜881−h)と該走行制御種別に対する評価値882(図14の例では882−1〜882−h)の組合せのリストである。評価値882は、成功(=1)又は失敗(=0)という2値で表現しても良い。あるいは、0点(完全な失敗)〜100点(完全な成功)のように任意の中間値を許容する成功の度合いの指標を評価値882として使用しても良い。
続いて、ステップ852において、走行制御評価管理部106は、ステップ851で受信した走行制御評価結果メッセージ860の情報に基づいて、特徴点ID872に対応する走行制御評価情報を更新する。具体的には、まず、走行制御評価管理部106は、特徴点データ群112から特徴点ID872と同一の特徴点ID301を有するデータエントリを取得する。続いて、走行制御評価管理部106は、取得した特徴点データエントリの走行制御評価値303に含まれる一つ以上の走行制御種別の評価値のうち、走行制御評価結果873に含まれる全ての走行制御種別881と同一の走行制御種別の評価値を更新する。
例えば、走行制御評価結果873に含まれる評価値(例えば評価値882−1等)が成功であった時に、走行制御評価値303として保持された評価値に所定の数値を加え(例えば+0.1)、失敗であった時に、走行制御評価値303の評価値から数値を減じる(例えば−3.0)ことによって評価値を更新してもよい。失敗時に評価値から減じる数値を、成功時の加える数値よりも十分大きくしておくと、走行制御の失敗頻度が増加したときに、評価値が急激に減少する。これによって、該特徴点における失敗頻度の多い走行制御種別に対する評価値を速やかに下げることが可能となる。
また、走行制御評価値303は、所定の期間における走行制御の成功率によって表現してもよい。その場合は、所定の期間を例えば1ヶ月とすると、所定の期間に対して十分粒度の小さい単位時間(例えば1日)あたりの成功数及び制御評価数(成功数+失敗数)を管理し、該当する所定の期間中の成功率を計算することによって、走行制御評価値303を算出してもよい。評価値の更新は、現在の成功数及び制御評価数に走行制御評価結果を反映することによって実現される。
なお、上記の例のうち、評価値が成功であるか失敗であるかに応じて所定の数値(例えばそれぞれ+0.1又は−3.0)を加算することによる評価値の更新方法は、成功数及び失敗数にそれぞれ異なる重みを付けた上で、成功率を計算することと等価である。例えば、失敗数に成功数の30倍の重みを付けて成功率を計算することによって、上記の+0.1又は−3.0を加算する場合と同様に、失敗頻度の高い走行制御種別に対する評価値を速やかに下げることが可能となる。
ステップ852で該特徴点の走行制御評価値の更新が完了すると、ステップ853において、走行制御可否決定部107は、ステップ852で更新した走行制御評価値が所定の閾値(Eth)を上回っているかどうかを確認する。走行制御評価値が閾値を上回っていた場合、走行制御可否決定部107は、該特徴点における該走行制御種別に対して走行制御可と設定する(ステップ854)。具体的には、特徴点データ群112の該特徴点のデータエントリにおける実施可能制御304に、該走行制御種別が登録される。走行制御評価値が閾値を上回っていない場合、走行制御可否決定部107は、該特徴点における該走行制御種別に対して走行制御不可と設定する(ステップ855)。具体的には、該特徴点データエントリにおける実施可能制御304から、該走行制御種別が除外される。いずれの場合も、ステップ854又はステップ855が完了すると、ステップ851に戻る。
以上の処理によって、1つ以上の車両2から収集される走行制御評価結果が統計的に反映されるため、走行制御を失敗する頻度の高い特徴点について、速やかに走行制御不可と判断することができる。そのため、周辺環境、道路の形状又は属性等の影響によって走行制御の誤動作が発生しやすい特徴点では、走行制御の評価値が低く抑えられるようになり、結果として誤動作が発生しやすい特徴点における走行制御の実施を抑制できる。
なお、関連周辺情報メッセージ512の関連特徴点情報621−1等が、走行制御の実施可否を示す情報を含まず、成功率等の評価値を含む場合、処理部100は、ステップ853〜855を省略してもよい。
車両走行制御システム1は、好ましくは、入出力装置50を用いて、車両2の運転者又は同乗者に対して走行制御に関する情報を提示したり、運転者又は同乗者が走行制御に関する設定をしたりすることができるようになっている。
図15は、本発明の実施例1の入出力装置50の走行制御情報出力部51(本明細書ではディスプレイを想定)が表示する走行制御に関する情報の一例の説明図である。
入出力装置50は、例えば、ナビゲーションシステムの装置である。走行制御情報出力部51の地図画面1001には、例えば、ナビゲーションシステムにおける自車位置1050周辺の道路地図及び案内中の経路1041が表示されている。なお、経路案内が設定されていない等の理由によって、案内中の経路情報がない場合は、自車走行経路推定部203によって推定された走行経路が経路1041として表示されても良い。
また、案内中の経路1041上には、走行制御装置20で有効になっている走行制御機能が対象としている特徴点1051〜1053の位置が表示されている。特に、動作中の走行制御に対応する特徴点は、強調表示されることが望ましい。図15の例では、特徴点1051に対応する走行制御が動作中であるため、特徴点1051が強調表示されている。強調表示は、例えば、特徴点を表すアイコンを大きくしたり、点滅させたり、表示色を変更したり、することによって行われてもよい。
さらに、特徴点に対する走行制御が有効になっているか無効になっているかに応じて、表示方法が変更されることが望ましい。例えば、走行制御が無効となっている特徴点1052のアイコンをグレーアウトしたり、表示を小さくしたりすることで、有効となっている特徴点1051との差異を示す。ここで、有効/無効とは、車両走行制御支援サーバ10によって決定された特徴点に対する走行制御可否ではなく、走行制御可能な特徴点に対して、自車両2のユーザが走行制御を動作させるかどうか個別に設定したものを想定している。
走行制御が動作中には、例えば、地図画面1001上に本来の表示の邪魔にならない形でポップアップ画面1060を表示し、動作中の走行制御に対応する特徴点を示す画像1061を表示させる。この例では、動作中の走行制御に対応する特徴点1051が信号交差点であり、信号が赤であることによって自動回生ブレーキを動作させているため、画像1061としては赤信号を表すアイコンが表示されている。
さらに、走行制御情報出力部51の走行制御情報表示画面1002には、例えば、走行制御に関する詳細情報が表示される。これは、例えば、入出力装置50において、操作者(例えば運転者又は同乗者)がメニュー画面等に従って走行制御情報の詳細情報を表示するように選択することによって、表示される画面である。図15の例では、走行制御情報表示画面1002は、走行制御動作状態画面1010及び想定走行制御情報画面1020で構成されている。
走行制御動作状態画面1010には、走行制御に関する現在の状態が表示される。例えば、図15では、信号交差点を対象とした自動回生ブレーキが動作中であるため、走行制御動作状態画面1010には、例えば、「自動回生ブレーキ動作中!」(表示1011)という形で動作中の走行制御種別が表示される。なお、表示手段はテキストに限らず、動作中の走行制御種別を表す画像アイコン又はアニメーションが表示されても良い。また、走行制御動作状態画面1010には、動作中の走行制御が対象としている特徴点の種別1012(図15では「信号交差点」)及び該特徴点の関連情報1013(図15では「赤信号:10秒」)も合わせて表示してよい。
該特徴点の関連情報1013とは、例えば、動作中の走行制御の挙動に関係する該特徴点の属性情報であり、信号交差点であれば信号の状態(赤)及びその保持時間(又は次の状態への切替りタイミング)、カーブ開始点であればカーブの曲率(R値)、等が挙げられる。このような属性情報を合わせて表示することによって、運転者又は同乗者が走行制御の動作理由を認識できるようになり、自動で制御が動作することによる違和感を抑制することができる。
想定走行制御情報画面1020には、将来の走行制御に関係する特徴点の情報が表示される。例えば、図15では、経路1041上の現在走行制御装置20で有効になっている走行制御種別が関係する特徴点情報が1つ以上表示される。各特徴点情報には、例えば、各特徴点の種別1021、自車両2から各特徴点までの距離1022(道のり上の距離)、対象の走行制御の種別1023、対象の走行制御の状態1024、等が含まれる。対象の走行制御の状態とは、すでに走行制御が動作中であれば「動作中」、まだ動作していなければ該特徴点に対する該走行制御が有効になっているかどうか(「有効」又は「無効」)が表示される。
それぞれの該走行制御の状態に応じて表示方法が変更されることが望ましい。例えば、動作中の特徴点情報は赤字にする、又は文字を太くする等によって強調表示し、無効な特徴点情報は薄い色の文字にする、又は文字を小さくする等によって、有効な特徴点情報との差異を表現する。
また、まだ動作していない特徴点に関しては、例えば、ボタン1025及び1026のような、特徴点に対する走行制御の有効/無効の設定を運転者又は同乗者に入力させるための手段を提供しても良い。例えば、運転者又は同乗者がボタン1025等に触れると、入出力装置50の走行制御情報入力部52がボタン1025等の押下と認識し、所定の操作が実行される。
例えば、無効になっている特徴点に関しては、「有効化」ボタン1025が表示されており、このボタン1025が押されると、入出力装置50は走行制御装置20と通信して該特徴点における該走行制御を有効に設定する。反対に、有効になっている特徴点に関しては、「無効化」ボタン1026が表示されており、このボタン1026が押されると、入出力装置50は走行制御装置20と通信して該特徴点における該走行制御を無効に設定する。このようにして無効化された走行制御は、関連特徴点データ群212の無効走行制御404に登録される。後述するように、この無効走行制御404の登録が、強制OFFフラグ374の設定に反映される。
図16は、本発明の実施例1の入出力装置50が走行制御情報を表示するために実行する走行制御情報表示処理フロー1100を示す。
入出力装置50は、まず、ステップ1101において走行制御情報表示画面が有効であるかどうかを確認する。入出力装置50は、走行制御情報出力部51で表示する画面の状態を管理しており、走行制御情報表示画面が表示されているか、又は表示されていなくても走行制御情報表示画面を表示するプログラムが立ち上がっている場合は、有効であると判断する(ステップ1101でYes)。一方、走行制御情報表示画面を表示するプログラムが立上っていない場合等は、無効であると判断する(ステップ1101でNo)。
ステップ1101でNoだった場合は、次にステップ1106に進み、所定時間待機の後、再びステップ1101に戻る。一方、ステップ1101でYesだった場合は、ステップ1102に進み、入出力装置50は、走行制御情報を要求するメッセージ(走行制御情報要求メッセージ1121)を生成し、走行制御装置20に送信する。
走行制御情報要求メッセージ1121は、例えば、このメッセージが走行制御情報要求のメッセージであることを示すメッセージタイプ、送信してほしい走行制御情報の種別を指定する要求情報フラグ、等を含む。走行制御情報の種別とは、例えば、関連周辺情報メッセージフォーマット600の周辺道路情報601、関連特徴点情報602、関連道路イベント情報603、車両情報604、等に相当する。例えば、入出力装置50がナビゲーションシステムの装置であり、すでに周辺道路情報及び車両情報を保持しているのであれば、それらを走行制御装置20から提供してもらう必要がないので、要求情報フラグによって周辺道路情報及び車両情報が送信されないように指定できる。
走行制御装置20は、走行制御情報提供部207が入出力装置50から送信された走行制御情報要求メッセージ1121を受信すると(ステップ1111)、その要求内容に従って必要な走行制御情報を記憶部210から取得し(ステップ1112)、取得した走行制御情報を走行制御情報メッセージ1122として構成して入出力装置50に送信する(ステップ1113)。
図17は、本発明の実施例1の走行制御装置20が送信する走行制御情報メッセージ1122のフォーマット1150の一例の説明図である。ただし、通信プロトコルに関係するヘッダ情報等の図示は割愛した。
走行制御情報メッセージ1122は、ステップ1112で取得した走行制御情報を含む。ステップ1112で取得した走行制御情報は、例えば、周辺道路情報1151、関連特徴点情報1152、関連道路イベント情報1153、車両情報1154、走行制御状態情報1155、等を含む。上記の各種情報1151〜1154は、関連周辺情報メッセージフォーマット600の情報601〜604と同様である。
走行制御状態情報1155は、例えば、走行制御装置20が対応している走行制御種別1161−1〜1161−hと、その種別の走行制御が動作している対象の特徴点を示す動作中特徴点ID1162−1〜1162−hと、のリストを含む。動作中特徴点ID1162−1等には、走行制御が動作中の場合は、その対象の特徴点IDが設定されるのに対し、動作中でない場合は、「該当なし」に相当する値が設定される。なお、走行制御情報要求メッセージ1121の要求情報フラグで送信対象の情報が指定されていた場合は、指定された情報のみを走行制御情報メッセージ1122に含めても良い。また、走行制御情報メッセージ1122は、1つのメッセージとして送信されても良いし、任意の複数個のメッセージに分割して送信されても良い。
入出力装置50は、走行制御装置20が送信した走行制御情報メッセージ1122を受信すると(ステップ1103)、受信したメッセージを上記のメッセージフォーマット1150に従って解析し、上記の各種データを抽出し、抽出した各種データに従って、例えば、図15に示したような形式の走行制御情報を表示する(ステップ1104)。そして、所定時間待機(ステップ1106)の後、再びステップ1101に戻り、同様の処理を実行する。
図18は、本発明の実施例1の入出力装置50経由で走行制御装置20の走行制御に関する設定をするための処理フロー1200を示す。
入出力装置50は、走行制御情報入力部52からの入力を監視しており、まず、走行制御設定に関する入力があるか確認する(ステップ1201)。もし、入力がない場合は(ステップ1201でNo)、ステップ1206に進み、所定時間待機後に再びステップ1201に戻る。入力があった場合は、入出力装置50は、入力情報から走行制御の設定に関する情報を取得する(ステップ1202)。そして、入出力装置50は、所定のフォーマットに従い、取得した走行制御設定情報を含むメッセージ1231を構成し、走行制御装置20に送信する(ステップ1203)。
走行制御設定情報は、例えば、ある特徴点における走行制御の有効化/無効化の設定、及び、走行制御機能の学習モードのON/OFF設定、等を指定する情報である。走行制御の有効化/無効化の設定のためのメッセージは、例えば、設定内容の種別を表す設定メッセージタイプと、設定の変更対象の特徴点を表す特徴点IDと、設定の変更対象の走行制御を表す走行制御種別と、設定変更の値(有効化/無効化)を表す走行制御有効フラグと、等を含む。走行制御機能の学習モードを変更するためのメッセージは、例えば、設定内容の種別を表す設定メッセージタイプと、設定変更の値(学習モードのON/OFF)を表す学習モードフラグと、等を含む。
走行制御設定情報がメッセージ1231として入出力装置50から送信されると、走行制御装置20の走行制御情報設定部208は、メッセージ1231を受信し(ステップ1211)、メッセージ1231の内容に従って、走行制御の設定を更新する(ステップ1212)。例えば、ある特徴点における走行制御の有効/無効を表す設定値は、関連特徴点データ群212における該特徴点のデータエントリの無効走行制御404を変更することで反映される。具体的には、例えば「無効化」ボタン1026等の操作に応じて該特徴点の走行制御Aを無効化する場合、走行制御情報設定部208は、該特徴点のデータエントリの無効走行制御404に「走行制御A」を加える。有効化の場合は、逆に「走行制御A」を無効走行制御404から削除する。また、例えば、学習モードのON/OFFを表す設定値は、走行制御パラメータデータ群215に格納されており、設定変更はその値を変更することによって実現される。
ステップ1212によって、走行制御の設定の更新が完了すると、走行制御情報設定部208は、入出力装置50に対して設定反映を示す通知(メッセージ1232)を送信する(ステップ1213)。入出力装置50は、設定反映通知のメッセージ1232を受信すると(ステップ1204)、その反映後の情報を走行制御情報の表示画面(例えば図15の走行制御情報表示画面1002)に反映させる(ステップ1205)。そして、所定時間待機(ステップ1206)の後、再びステップ1201に戻り処理を続ける。
一方、走行制御装置20の走行制御情報設定部208は、ステップ1213で設定反映通知を送信すると、走行制御設定情報を車両走行制御支援サーバ10に対して送信する(メッセージ1233)。なお、メッセージ1233は、メッセージ1231と同等の情報を含む。
車両走行制御支援サーバ10は、メッセージ1233を受信すると(ステップ1221)、車両別データ群115から自車両2に関するデータエントリを抽出し、対応する値を修正する。例えば、ある特徴点におけるある走行制御の有効/無効を表す設定値がメッセージ1233に含まれる場合、車両走行制御支援サーバ10は、車両別データ群115の特徴点ID371及び走行制御372が該当する強制OFFフラグ374を、受信した設定値に従って修正する。
なお、本実施例では、車両2の入出力装置50経由で、自車両2に関する設定を変更する手法を具体例として記述したが、操作者がパーソナルコンピュータ(図示省略)等の端末を用いてインターネット経由で車両走行制御支援サーバ10にアクセスして、ウェブブラウザ経由で設定を変更しても良い。その場合は、車両走行制御支援サーバ10にウェブサーバが搭載され、端末からアクセスを受けた場合は、車両ID又は車両IDに対応づけられたユーザIDに基づいて認証を行い、車両別データ群115に格納された設定のうち、車両ID又はユーザIDによって特定された車両2に関する設定を端末経由で実行可能となるように車両走行制御システム1が構成される。
また、車両走行制御システム1の管理者が同様なインタフェースを活用して、車両走行制御システム1に関する設定を行うことも可能である。例えば、サポートを終了した走行制御種別を無効化するために、走行制御種別データ群114の該走行制御種別のデータエントリにおけるサービス可否323を「不可」と設定することが可能である。また、例えば、特徴点データ群112に、新しい特徴点データエントリを追記することも可能である。
さらに、本実施例では、特徴点データ群112に対して、動的に特徴点データエントリを追加したり、無効化したりすることも可能である。道路イベントは動的に発生することになるため、道路イベントに起因する特徴点は、通常特徴点データ群112に含まれていない。例えば、工事又は渋滞のような道路イベントの場合、ある一定期間、半固定的に道路の形状又は属性を変更させることがある。その場合、走行制御で利用できるはずの特徴点が現れたり、消滅したりすることがある。新たな特徴点が現れた場合は、特徴点データ群112に該当する特徴点データエントリが追加される。このとき、該特徴点データエントリが特定の道路イベントによって一時的に発生している場合は、特徴点データ群112の関連道路イベント307に該当する道路イベントIDを設定しておく。
これによって、車両走行制御支援サーバ10が車両2に特徴点情報を提供する際に、該当特徴点データエントリの関連道路イベント307が設定されている場合に道路イベントデータ群113を参照して該道路イベントが有効であるかどうかを確認することで、該道路イベントが消滅した場合に即座に該特徴点データエントリを無効化することができる。一方、道路イベントの発生によって既存の特徴点に対応する走行制御の誤動作が発生することを防ぐために、道路イベントが発生したときに一時的に走行制御を実施しないようにすることも可能である。例えば、渋滞発生時に走行制御Bを実施すると不具合が発生しやすくなることがわかっている場合、走行制御種別データ群114の走行制御Bのデータエントリにおけるサービス停止道路イベント種別324に「渋滞」と設定しておく。そして、走行制御評価管理処理フロー850のステップ853において、該特徴点の近傍で発生している道路イベントを道路イベントデータ群113で確認する。この場合、走行制御種別データ群114のサービス停止道路イベント種別324に該道路イベントの種別が登録されている走行制御種別に関しては、たとえ該特徴点に対する評価値が閾値以上だったとしても走行制御不可と設定する(ステップ855)。これによって、動的な道路イベントの発生による一時的な誤動作発生を抑制することが可能となる。
以上のように、本実施例によれば、各車両2の走行制御装置20が各特徴点に対する走行制御結果の成否を評価し、その走行制御評価結果を車両走行制御支援サーバ10で集約することで、各特徴点における走行制御の誤動作の発生しやすさを定量的に評価することができる。そして、走行制御の誤動作の発生しやすさがある所定の値よりも大きい場合(例えば走行制御の成功率が所定の値より低い場合)に走行制御の対象から外すことで、周辺環境、道路の形状及び属性等の影響等によって発生する、事前に予測が困難な走行制御の誤動作を適応的に抑制することができる。
このような誤動作の発生しやすさは、複数の(好ましくは多数の)車両2の走行制御装置20から収集された情報に基づいて評価される。このため、ある車両2が初めて走行する道路においても、その道路を既に走行した他の車両2からの情報に基づいて、走行制御の誤動作を抑制することができる。
また、本実施例によれば、走行制御装置20は、ある特徴点に対する走行制御を実際に実行しなくても、走行制御を実行したと想定される期間において該走行制御に相反する車両操作が行われていないかどうかを確認することによって、走行制御内容が正しかったか誤りだったかを評価することができる。そのため、誤動作の実例を蓄積する必要はなく、走行制御の実施可否を判断するための統計データを収集することが可能である。また、走行制御不可の状況でも(学習モードがONであれば)走行制御に関する評価を継続することができるため、環境が変化して該走行制御の誤動作が発生しなくなった場合は、該走行制御に対する評価値が改善され、その結果、該走行制御を実行可能とするように適応的に走行制御の可否を設定することができる。一方、このような学習を行う必要がない場合には、走行制御に関する評価を行わない(したがって評価結果を車両走行制御支援サーバに送信しない)ことによって、走行制御装置20の処理負荷及びネットワーク3のトラフィックを軽減することができる。
なお、以上で説明した実施形態は一例であり、本発明はこれに限られない。すなわち、様々な応用が可能であり、あらゆる実施の形態が本発明の範囲に含まれる。
例えば、上記実施形態では、走行制御装置や車両走行制御支援サーバの各処理を、プロセッサとRAMを用いて、所定の動作プログラムを実行することで実現しているが、必要に応じて独自のハードウェアで実現することも可能である。また、上記の実施形態では、走行制御装置、無線通信装置、自車位置測位装置、入出力装置、周辺物体検出装置、車両制御装置群、センサ群を個別の装置として記載しているが、必要に応じて任意のいずれか2つ以上を組合せて実現することも可能である。
上記の各処理が、プロセッサが所定の動作プログラムを実行することで実現される場合、各処理を実現する動作プログラム、テーブル、ファイル等の情報は、不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイス、または、ICカード、SDカード、DVD等の計算機読み取り可能な非一時的データ記憶媒体に格納することができる。
また、上記実施形態では、走行制御装置20は周辺地図データ群を車両走行制御支援サーバ10から取得するような構成になっているが、走行制御装置20自身が地図データ群111に相当するデータを管理しても良いし、車両2内の他の装置から取得しても良い。その場合、車両走行制御支援サーバ10からは該車両2の周辺の特徴点情報のみを受信する形でも実現可能である。
あるいは、各車両2が、車両走行制御支援サーバ10の記憶部110と同等の情報を保持し、それに基づいて、各特徴点に対応する各走行制御の評価を行ってもよい。その場合、車両走行制御支援サーバ10は不要となる。ただし、実施例1に示したように、車両走行制御支援サーバ10を用いることによって、各車両2は、自車両2に関連しない地図データ及び特徴点データを保持する必要がなくなり、また、自車両2が初めて走行する道路においても、他車両2から車両走行制御支援サーバ10が収集した評価結果に基づいて走行制御の誤動作を抑えることができる。
また、図面には、実施形態を説明するために必要と考えられる制御線及び情報線を示しており、必ずしも、本発明が適用された実際の製品に含まれる全ての制御線及び情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。