JP2015013864A - ミオシンの発現及び筋線維の同一性を制御するマイクロrna - Google Patents

ミオシンの発現及び筋線維の同一性を制御するマイクロrna Download PDF

Info

Publication number
JP2015013864A
JP2015013864A JP2014157467A JP2014157467A JP2015013864A JP 2015013864 A JP2015013864 A JP 2015013864A JP 2014157467 A JP2014157467 A JP 2014157467A JP 2014157467 A JP2014157467 A JP 2014157467A JP 2015013864 A JP2015013864 A JP 2015013864A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mir
expression
sequence
subject
activity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014157467A
Other languages
English (en)
Inventor
オルソン,エリック
Olson Eric
ヴァン,ローイス,エヴァ
Van Rooij Eva
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
University of Texas System
Original Assignee
University of Texas System
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by University of Texas System filed Critical University of Texas System
Publication of JP2015013864A publication Critical patent/JP2015013864A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/11DNA or RNA fragments; Modified forms thereof; Non-coding nucleic acids having a biological activity
    • C12N15/113Non-coding nucleic acids modulating the expression of genes, e.g. antisense oligonucleotides; Antisense DNA or RNA; Triplex- forming oligonucleotides; Catalytic nucleic acids, e.g. ribozymes; Nucleic acids used in co-suppression or gene silencing
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/70Carbohydrates; Sugars; Derivatives thereof
    • A61K31/7088Compounds having three or more nucleosides or nucleotides
    • A61K31/7105Natural ribonucleic acids, i.e. containing only riboses attached to adenine, guanine, cytosine or uracil and having 3'-5' phosphodiester links
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P21/00Drugs for disorders of the muscular or neuromuscular system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • A61P9/04Inotropic agents, i.e. stimulants of cardiac contraction; Drugs for heart failure
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • A61P9/10Drugs for disorders of the cardiovascular system for treating ischaemic or atherosclerotic diseases, e.g. antianginal drugs, coronary vasodilators, drugs for myocardial infarction, retinopathy, cerebrovascula insufficiency, renal arteriosclerosis
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2310/00Structure or type of the nucleic acid
    • C12N2310/10Type of nucleic acid
    • C12N2310/11Antisense
    • C12N2310/113Antisense targeting other non-coding nucleic acids, e.g. antagomirs
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2310/00Structure or type of the nucleic acid
    • C12N2310/10Type of nucleic acid
    • C12N2310/14Type of nucleic acid interfering N.A.
    • C12N2310/141MicroRNAs, miRNAs
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2330/00Production
    • C12N2330/10Production naturally occurring

Abstract

【課題】病的な心臓肥大、心不全、又は心筋梗塞を治療する方法の提供。【解決手段】(a)心臓肥大、心不全、又は心筋梗塞を有する対象を特定する工程と、(b)前記対象の心臓細胞でmiR−499又はmiR−208bの発現又は活性を阻害する工程と、を含む、その必要がある対象の、病的な心臓肥大、心不全、又は心筋梗塞を治療する方法。阻害する工程が、miR−499又はmiR−208bの阻害薬を前記対象に投与する工程を含む治療方法。miR−499又はmiR−208bの阻害薬が、アンタゴmir、アンチセンスオリゴヌクレオチド、又は阻害性RNA分子であり、アンタゴmir又はアンチセンスオリゴヌクレオチドが、成熟miR−499又はmiR−208b配列に相補的な配列を含むポリヌクレオチド。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2007年7月31日出願の米国仮出願第60/952,911号、2007年10月15日出願の米国仮出願第60/980,113号、及び2007年10月16日出願の米国仮出願第60/980,314号の利益を主張するものであり、これらは全て、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
政府支援の陳述
本発明は、国立衛生研究所(the National Institutes of Health)からの認可番号HL53351−06の下で助成支援によってなされたものである。政府は、本発明の特定の権利を有する。
電子提出されたテキストファイルの記述
本明細書と共に電子提出されたテキストファイルの内容は、その全体を参照により本明細書に組み込む:配列表のコンピュータ可読フォーマットコピー(ファイル名: UTFD: 1992WO.txt、記録日: 2008年7月30日、ファイルサイズ9キロバイト)。
本発明は、一般に、発生生物学及び分子生物学の分野に関する。より特定すれば、本発明は、心筋細胞及び骨格筋細胞における遺伝子調節及び細胞生理に関する。具体的には、本発明は、β−ミオシン重鎖(β-MHC)の発現低下をもたらすMEF2−依存性miRNAならびにβ−MHCと共発現する第2のmiRNAの阻害に関する。これらのmiRNAの阻害は、心臓肥大及び心不全の治療を提供する。速遅筋線維スイッチが望まれる筋骨格疾患を治療するための、これら2種のmiRNAの上方制御も企図される。
冠動脈疾患や心筋梗塞、うっ血性心不全、心臓肥大などの心疾患及びその徴候は、今日の米国において主要な健康上のリスクであることを明らかに示している。これらの疾患に罹っている患者の診断、治療、及び支援にかかるコストは、何十億ドルにもなる。心疾患の、2つの特に重篤な徴候は、心筋梗塞及び心臓肥大である。心筋梗塞は、典型的には、アテローム性動脈硬化の結果として急性血小板冠動脈閉塞が冠動脈に生じ、心筋細胞死が引き起こされる。心筋細胞、即ち心臓の筋肉細胞は最終分化し、一般に細胞分裂が不可能になるので、これらの細胞は一般に、急性心筋梗塞の過程で死んだ場合に瘢痕組織に置き換えられる。瘢痕組織は収縮を起こさず、心臓機能に寄与することができず、心収縮中に拡張することによって、あるいは心室のサイズ及び有効半径を増大させることによって、例えば肥大性になることによって、心臓機能にしばしば有害な役割を演じる。
心臓肥大に関して、ある理論は、これを異常な発達に似ている疾患と見なし、したがって、心臓の発生上のシグナルは肥大性疾患に寄与する可能性があるか否かという問題を提起する。心臓肥大は、高血圧、機械的負荷、心筋梗塞、心不整脈、内分泌障害、及び心収縮タンパク質遺伝子の遺伝変異を生じるものを含めた事実上全ての形の心疾患に対する心臓の適応反応である。肥大応答は、最初は心拍出量を増大させる補償的機構であるが、持続的肥大によって拡張型心筋症(DCM)、心不全、及び突然死をもたらす可能性がある。米国では、約50万人が毎年心不全と診断されており、その死亡率は50%に達する。心臓肥大の原因及び結果は、十分に文書化されてきたが、根本的な分子機構は明らかにされていない。これらの機構を理解することは、心疾患の予防及び治療における主要な課題であり、心臓肥大及び心不全を特に目標とする新しい薬物の設計の際に、治療様式として極めて重要になる。
薬剤治療は、心不全の徴候を低減あるいは無くすための主なメカニズムを代表する。利尿薬は、軽度から中程度の心不全の第一線の治療をなす。利尿薬が有効でない場合、アンギオテンシン転換酵素(ACE)阻害薬(例えば、エナロプリル及びリシノプリル)などの血管拡張薬、又は変力薬療法(即ち、心筋収縮の力を増大させることによって心拍出量を改善する薬物)を使用してもよい。残念ながら、これら標準的な療法の多くには、非常に数多くの副作用があり、一部の患者には禁忌である。このように、現在使用されている薬剤には、特定の患者集団で深刻な欠点がある。新しく安全で効果的な薬剤を利用可能であることは、現在利用可能な薬理学的様式を使用することができない、あるいはこれらの手段からの十分な軽減を受けられない患者に、間違いなく利益をもたらす。
成人の心臓におけるα−及びβ−MHCアイソフォームの比は、心収縮性の主要な決定因子である。β−MHC、即ち成人の心臓の主なミオシンアイソフォームは、比較的低いATPアーゼ活性を示すのに対し、α−MHCは、高いATPアーゼ活性を有する。心筋梗塞や高血圧、その他の障害など、様々な病理学的刺激に応答して、β−MHC発現は増大し、一方、α−MHC発現は、結果として起こる筋原線維ATPアーゼ活性の低下及び心筋線維の短縮速度の低下と共に減少し、最終的には収縮不全に至る。注目すべきことに、心臓のα−MHC含量のわずかな変化が、心仕事量に対して深い影響力を及ぼす可能性がある。
非常に数多くのシグナル経路、特に、異常なカルシウムシグナル伝達が行われる経路が、心臓肥大及び病理学的再構築を促進させる(Heineke & Molkentin、2006)。ストレスに応答する肥大成長では、運動に応答して引き起こされる生理的肥大とは異なるシグナル伝達経路及び遺伝子発現パターンが行われる。ストレス媒介性心筋肥大は、非常に数多くの有害な結果に関連した複雑な現象であり、異なる分子及び組織学的特性によって心臓が線維化し、拡張し、代償不全になり、筋細胞の変性及び死を通してしばしば心不全になる。したがって、基本的な分子機構の解明と、有害な心臓成長を抑制する新規な治療標的の発見に、強い関心が持たれている。
成人の骨格筋線維は、特殊化した収縮及び代謝特性を基にして、速遅収縮サブタイプに分類することができる。これらの性質は、ミオシン重及び軽鎖トロポミオシン及びトロポニンならびにミオグロビンの、速遅収縮タンパク質アイソフォームの特定の組の発現を反映している(Nayaら、2000)。低速収縮筋は、姿勢維持や持続的自発運動などの長期活動で主に使用される。高速収縮線維は、大きな力で突発する活動で主に使用される。成人の骨格筋表現化型は、静的ではなく、代わりに荷重負担及び収縮使用パターンの変動を調節する能力を保持し、その結果、形態、表現型、及び収縮特性に適合される。例えば、宇宙飛行の微小重力環境における身体負荷の除去は、かなりの程度の筋萎縮と、げっ歯類及びヒトの両方に関する収縮及び代謝特性の遅速変化に相関した変性タンパク質表現型をもたらす(Tsikaら、2002; Baldwin及びHaddad, 2001; Edgerton及びRoy、(2000); Fittsら、2000)。
筋肉使用の不足から生じる筋萎縮症である非活動性萎縮は、典型的には、寝たきりの人々、手足にギプスを付けた人々、又はその他の理由で非活動的な人々に見られる。除神経を含めた筋線維の電気的活動の崩壊も、筋萎縮症をもたらす。短期間の非活動状態の後、筋萎縮は元に戻る可能性がある。しかし、筋肉の極端な非活動状態は、骨格筋線維が永久に失われ、これらの繊維が結合組織に置き換えられる可能性がある。骨格筋の速筋線維遺伝子を抑制し、それによって遅筋線維遺伝子の相互発現を活性化させることによって、筋萎縮症の症状を低減、あるいは予防することができると考えられる。インスリン耐性(II型糖尿病の患者に見られるインスリン刺激によるグルコース摂取の欠如)と遅筋対速筋収縮筋繊維のパーセンテージとの、正の相関もある。
マイクロRNAは、最近、とりわけ発生タイミング、アポトーシス、脂肪代謝、及び造血性細胞分化の調節を含めたいくつかの生物学的プロセスに関係している。マイクロRNA(miRs)は、個々のmiRNA遺伝子から、又はタンパク質コーディング遺伝子のイントロンから、又は多数の緊密に関連したmiRNAをしばしばコードするポリシストロン転写物から得られる長さ約18〜約25ヌクレオチドの小さな非タンパク質コーディングRNAである。Carringtonら(2003)の概説を参照されたい。miRは、その配列が完全に相補的である場合はその分解を促進させることによって、あるいはその配列がミスマッチを含有する場合は翻訳を阻害することによって、標的mRNAのリプレッサーとして働く。
miRNAは、RNAポリメラーゼII(pol II)又はRNAポリメラーゼIII(pol III; Qiら、(2006)Cellular & Molecular Immunology Vol.3: 411-419参照)によって転写され、初期転写物から発生し、一般に数千塩基の長さである1次miRNA転写物(pri-miRNA)で終わる。pri−miRNAは、RNアーゼDrochaによって、核内で、約70〜約100ヌクレオチドヘアピン形前駆体(pre-meRNA)に処理される。細胞質に輸送した後、ヘアピンpre−miRNAをさらにDicerで処理して、二本鎖miRNAを生成する。次いで成熟miRNA鎖をRNA誘発性サイレンシング複合体(RISC)に組み込み、その標的mRNAに、塩基対相補性によって結合させる。miRNA塩基がmRNA標的と完全に対になる比較的まれなケースでは、mRNA分解が促進される。より一般的には、miRNAは、不完全なヘテロ二本鎖を標的mRNAと形成し、mRNAの安定性に影響を及ぼすか、あるいはmRNAの翻訳を阻害する。
「シード」領域で終わる、塩基2〜8個に跨るmiRNAの5’部分は、標的認識のため特に重要である(Krenz及びRobbins、2004; Kiriazis及びKranias, 2000)。シードの配列は、標的配列の系統発生的保存と共に、多くの現行の標的予測モデルの基礎を形成する。miRNA及びその標的を予測するための、増えつつある最先端のコンピュータ的アプローチが利用可能になっているが、標的の予測は、依然として主な課題であり実験検証を必要とする。miRNAの機能が特定のmRNA標的の調節にあるとみなすことは、miRNAが何百もの潜在的な高及び低親和性mRNA標的と塩基対を形成することができること、及び複数のmiRNAが個々のmRNAを標的とすることによって、さらに複雑にされる。miRNAの機能に関する理解を高めることによって、正常な発生、分化、細胞間及び細胞内通信、細胞周期、血管新生、アポトーシス、及び多くのその他の細胞過程に寄与する調節ネットワークが、間違いなく明らかにされよう。最近、本発明者らは、α−ミオシン重鎖(MHC)遺伝子のイントロンによってコードされ、かつ心臓ストレスに応答するβ−MHC発現の上方制御及び心臓の速骨格筋遺伝子の抑制に必要とされる、心臓特異的マイクロRNA、miR−208について報告した(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている同時係属出願WO2008/016924参照)。
本発明は、心臓及び骨格筋におけるマイクロRNAの関与について詳述する。
本発明者らは、心臓の成長、機能、及びストレス応答性のレギュレーターとしての、マイクロRNAの重要な役割を発見し、心疾患に関する未発見の調節機構及び潜在的な治療標的を明らかにした。したがって本発明は、その必要がある対象において、病的な心臓肥大、心不全、又は心筋梗塞を治療する方法を提供する。一実施形態では、この方法は、心臓肥大、心不全、又は心筋梗塞を有する対象を特定する工程と、前記対象の心臓細胞でのmiR−499及び/又はmiR−208bの発現又は活性を阻害する工程とを含む。別の実施形態では、この方法はさらに、第2の治療薬を対象に投与する工程を含む。第2の治療薬は、例えば、β遮断薬、イオノトロープ、利尿薬、ACE阻害薬、AII拮抗薬、BNP、Ca++−遮断薬、及びERA、又はHDAC阻害薬であってもよい。
本発明のいくつかの実施形態では、miR−499及び/又はmiR−208bの発現又は活性を阻害する工程が、miR−499及び/又はmiR−208bのアンタゴmirを投与する工程を含む。一実施形態では、本発明はmiR−499又はmiR−208bのアンタゴmirを提供する。別の実施形態では、mir−499及び/又はmiR−208bの発現又は活性は、成熟miR499及び/又はmiR−208b配列を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与することによって阻害される。さらに別の実施形態では、miR−499及び/又はmiR−208bの発現又は活性は、阻害RNA分子を投与することによって阻害され、この阻害RNA分子は、成熟miR−499及び/又はmiR−208b配列との同一性を有する配列を含んでいるものである。阻害RNA分子は、リボザイム、siRNA、又はshRNA分子であってもよい。
本発明は、病的な心臓肥大又は心不全を発症する危険性のある対象を特定する工程と、前記対象の心臓細胞でmiR−499又はmiR−208bの発現又は活性を阻害する工程とを含む、その必要がある対象の病的な肥大又は心不全を予防する方法も提供する。一実施形態では、阻害する工程は、miR−499又はmiR−208bの阻害薬を心臓細胞に送達する工程を含む。別の実施形態では、危険性のある対象が、長期にわたって管理されていない高血圧、矯正されていない弁膜症、慢性アンギナ、最近の心筋梗塞、心疾患に対する先天的素因、及び病的な肥大からなる群から選択された1つ又は複数の危険因子を示す可能性がある。
アンタゴmir、アンチセンスオリゴヌクレオチド、阻害RNA分子、又はmiR−499もしくはmiR−208b発現もしくは活性のその他のモジュレーターを、標的器官、組織、又は細胞型に送達するのに適した当業者に知られている任意の方法によって投与してもよい。例えば、本発明のある実施形態では、miR−499又はmiR−208bのモジュレーターを、静脈内注射や動脈内注射、心膜内注射、皮下注射などの非経口的投与によって、又は組織(例えば、心臓組織、骨格筋組織)への直接注射によって、投与してもよい。いくつかの実施形態では、miR−499又はmiR−208bのモジュレーターは、経口、経皮、腹腔内、皮下、持続放出、制御放出、遅延放出、坐薬、又は舌下投与経路によって投与してもよい。その他の実施形態では、miR−499又はmiR−208bのモジュレーターは、カテーテルシステムによって投与してもよい。
本発明は、その必要がある対象の筋骨格系障害を治療又は予防する方法も意図する。一実施形態では、この方法は、筋骨格系障害の危険性を有する、あるいは危険性がある対象を特定する工程と、前記対象の骨格筋細胞でmiR−499及び/又はmiR−208bの発現及び/又は活性を増大させる工程とを含む。筋骨格系障害には、例えば、非活動性萎縮、抗重力に応答した筋肉疲労、及び除神経を含めてもよい。いくつかの実施形態では、miR−499及び/又はmiR−208bの発現及び/又は活性を増大させる工程は、前記対象に、成熟miR−499及び/又は成熟miR−208b配列を含むポリヌクレオチドを投与する工程を含む。その他の実施形態では、miR−499及び/又はmiR−208bの発現及び/又は活性を増大させる工程は、前記対象に、miR−499及び/又はmiR−208bをコードする発現ベクターを投与する工程を含む。別の実施形態では、この方法はさらに、非−miR−499又はmiR−208b治療薬を対象に投与する工程を含む。
一実施形態では、本発明は、miR−499及び/又はmiR−208bの発現又は活性のモジュレーターを心臓又は骨格筋細胞に投与する工程を含む、心臓又は骨格筋の収縮性を調節する方法を提供する。別の実施形態では、miR−499及び/又はmiR−208bの発現又は活性のモジュレーターを心臓細胞に投与する工程を含む、心臓収縮タンパク質遺伝子発現を調節する方法が提供される。別の実施形態では、miR−499及び/又はmiR−208bの発現又は活性のモジュレーターを骨格筋細胞に投与する工程を含む、骨格筋収縮タンパク質遺伝子発現を調節する方法が提供される。さらに別の実施形態では、本発明は、miR−499及び/又はmiR−208bの発現又は活性のモジュレーターを骨格筋細胞に投与する工程を含む、骨格筋細胞の線維型スイッチを誘発する方法を提供する。モジュレーターは、miR−499及び/又はmiR−208bの発現又は活性の作動薬又は拮抗薬であってもよい。いくつかの実施形態では、THRAP1、PURβ、ミオスタチン(GDF8としても知られている)、Sox 6、及び速筋収縮タンパク質の発現は、細胞とmiR−499阻害薬とを接触させることによって、細胞内で増加する。その他の実施形態では、THRAP1、PURβ、ミオスタチン、Sox 6、及び速筋収縮タンパク質の発現は、細胞とmiR−499作動薬とを接触させることによって、細胞内で減少する。別の実施形態では、Sp3、ミオスタチン、PURβ、THRAP1、及び速筋収縮タンパク質の発現は、細胞とmiR−208b阻害薬とを接触させることによって、細胞内で増加する。さらに別の実施形態では、Sp3、ミオスタチン、PURβ、THRAP1、及び速筋収縮タンパク質の発現は、細胞とmiR−208b作動薬とを接触させることによって、細胞内で減少する。本発明の方法により増加させても減少させてもよい速骨格筋収縮タンパク質遺伝子の例には、トロポニンI2、トロポニンT3、ミオシン軽鎖、又はα骨格アクチンが含まれる。
本発明は、その細胞が機能性miR−499及び/又はmiR−208bを発現することのできない、トランスジェニック非ヒト哺乳類も包含する。別の実施形態では、本発明は、その細胞が、前記非ヒト哺乳類の細胞内で活性な異種プロモーターの制御下にあるmiR−499及び/又はmiR−208bコード領域を含んでいる、トランスジェニック非ヒト哺乳類を提供する。いくつかの実施形態では、哺乳類がマウスである。
本発明は、miR−499及び/又はmiR−208bのモジュレーターを特定するための方法を提供する。一実施形態では、この方法は、細胞と候補物質とを接触させる工程と、miR−499及び/又はmiR−208bの活性又は発現を評価する工程と、工程(b)での活性又は発現を、候補物質の不在下での活性又は発現と比較する工程とを含み、測定された活性又は発現同士の差から、候補物質がmiR−499及び/又はmiR−208bのモジュレーターであることが示される。細胞は、in vitro又はin vivoで候補物質と接触させてもよい。候補物質は、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、又は小分子であってもよい。miR−499及び/又はmiR−208bのモジュレーターは、miR−499及び/又はmiR−208bの作動薬又は拮抗薬であってもよい。miR−499及び/又はmiR−208bのモジュレーターは、miR−208など、miR−499及び/又はmiR−208bの上流レギュレーターの作動薬又は拮抗薬であってもよい。
本発明は、miR−499及び/又はmiR−208bの阻害薬を含む医薬品組成物も提供する。阻害薬は、アンタゴmir、アンチセンスオリゴヌクレオチド、又は阻害RNA分子であってもよい。別の実施形態では、本発明は、miR−499及び/又はmiR−208bの成熟配列を含有するポリヌクレオチドを含む医薬品組成物を提供する。ポリヌクレオチドは、発現ベクター内に含有されていてもよい。
本発明は、これらの図面の1つ又は複数を、本明細書に提示する特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて参照することによって、よりよく理解できる。
miR−208が、α−MHC遺伝子によりコードされ、心臓において特異的に発現されることを示した図である。MiR−208は、α−MHC遺伝子のイントロン内にコードされる。星印は、配列保存を示す(図1A)。miR−208が、α−MHC遺伝子によりコードされ、心臓において特異的に発現されることを示した図である。成体マウス組織のノーザン分析よるmiR−208の転写産物の検出。U6mRNAは、ローディングコントロールとしての役目を果たす(図1B)。 α−MHC及びβ−MHCの制御を示す図である。甲状腺ホルモン及びTREによる、クラススイッチの制御。 α−MHC及びβ−MHCの制御を示す図である。速から遅への筋線維収縮性スイッチにおけるストレス/甲状腺機能低下のモデル。 ヒトの心臓におけるmiR−208の検出を示す図である。α−MHC及びmiR−208の転写産物を、6匹の正常個体及び6匹の特発性心筋症の個体に由来する心臓組織のノーザンブロットにより検出した。α−MHC及びpre−miR−208の発現レベルの間には、密接な相関があり、一方、成熟miR−208の発現は、後者が下方制御された後も維持されている。 miR−208突然変異マウスの作製を示す図である。(図4A)相同的組換えによるmiR−208突然変異マウスを作製するための戦略。pre−miRNA配列を、loxP部位に隣接するネオマイシン耐性カセットで置き換えた。ネオマイシンカセットを、ヘテロ接合マウスとCAG−Creトランス遺伝子を包含する遺伝子導入マウスとを交配させることにより、マウスの生殖細胞系列において除去した。(図4B)野生型及びmiR−208突然変異マウスに由来する心臓のノーザン分析によるmiR−208の転写産物の検出。 表示の遺伝子型の新生仔マウスの心臓におけるα−MHC及びβ−MHCのタンパク質レベルのウェスタン分析を示す図である。各遺伝子型の2匹のマウスを分析した。GAPDHを、ローディングコントロールとして検出した。 MiR−208−/−マウスは、圧負荷に応答して心臓肥大の減少を示す。野生型及びMiR−208−/−マウスの心臓の組織切片を、マッソントリクロームで染色した。miR−208の不在により、TABに21日間供された野生型マウスに見られた肥大及び線維症が減少する。スケールバーは、上のパネルにおいて2mmに等しく、下のパネルにおいて20μmに等しい。 MiR−208−/−マウスは、カルシニューリンの活性化に応答して心臓肥大の減少を示す。カルシニューリントランス遺伝子(CnA-Tg)を発現する6週齢のマウスの心臓及びMiR−208−/−;CnA−Tgマウスの心臓の組織切片を、マッソントリクロームで染色した。miR−208の不在により、CnA−Tgマウスに見られた肥大及び線維症が減少する。スケールバーは、上のパネルにおいて2mmに等しく、下のパネルにおいて20μmに等しい。 MiR−208−/−マウスが、胸部大動脈瘤絞扼術(TAB)及びカルシニューリンの活性化に応答して、β−MHCの上方制御に失敗したことを示す図である。 成体野生型及びmiR−208遺伝子導入マウスにおける、α−及びβ−MHCタンパク質レベルのウェスタン分析を示す図である。GAPDHを、ローディングコントロールとして検出した。 MiR−208−/−マウスが、プロピルチオウラシル(PTU)投与による甲状腺機能低下に応答して、β−MHCの上方制御に失敗したことを示す図である。 β−MHC発現の調節におけるmiR−208の役割の概略図である。 Thrap1を介したβ−MHC及び速骨格筋遺伝子の発現の制御におけるmiR−208の役割の概略図である。 心臓肥大におけるmicroRNAの作用機構を示す図である。 野生型、miR−208+/−マウス及びmiR−208−/−マウスの心臓におけるmiR−499の発現を示すノーザンブロットの図である。野生型及び突然変異マウスにおける、miR−208及びmiR−499ならびにMyh7bの発現の間には直接相関がある。 Myh7b遺伝子座の構造及びその中のmiR−499コード領域の位置を示す図である。 miR−208が心臓のmyh7bの発現を制御する図である。(図16A)Myh7bは、miR−499のように、心臓及び遅骨格筋(ヒラメ筋)において特異的に発現する。(図16B)心臓及び4種の骨格筋型(腓腹筋/足底(GP)、前脛骨筋(TA)長趾伸筋(EDL)又はヒラメ筋)についてのmiR−499に関するリアルタイムPCR分析により、miR−499が心臓及びヒラメ筋において優勢に発現することが確認される。TA及びEDLにおいては、miR−499のわずかなレベルの発現のみが検出できた。(図16C)in situハイブリダイゼーションは、胚形成期間中、myh7bが心臓及び体節において特異的に発現することを示す。(図16D)野生型及びmiR−208突然変異の動物の両方に関するノーザンブロット分析により、miR−208の不在下で、miR−499の発現は心臓において特異的に不在であるが、ヒラメ筋においてはいまだ発現することが示された(下方のブロット)。 野生型のマウス、心疾患のマウスにおけるmiR−499の発現を示すノーザンブロットを示す図である。MI、心筋梗塞。CnA Tg、カルシニューリン遺伝子導入マウス。 心筋におけるmiR−208によるmiR−499の制御の概略図である。 心筋及び骨格筋の両方におけるmiR−208によるmiR−499の制御の概略図である。 miR−499が、THRAPI、PURβ及びGDF8(別名ミオスタチン)を標的とすることにより、ミオシンのスイッチング及び線維型の同一性を制御する図である。 α−MHCの発現の阻害が、miR−208のレベルの低下をもたらすことを示す図である。PTU暴露の0、3、6、9、12、15、18及び21日におけるα−MHC及びβ−MHCの転写産物に関する相対発現レベル。 α−MHCの発現の阻害が、miR−208のレベルの低下をもたらすことを示す図である。PTU暴露の0、3、6、9、12、15、18及び21日におけるα−及びβ−MHCの転写産物に関する相対発現レベル。 α−MHCの発現の阻害が、miR−208のレベルの低下をもたらすことを示す図である。PTU投与期間の表示の時点における、ラット心臓組織中のmiR−208のノーザンブロット分析。 miR−208ノックアウトにおける速骨格遺伝子の上方制御を示す図である。 miR−208ノックアウトマウスにおける心臓ストレス応答遺伝子の調節不全を示す図である。 心臓遺伝子制御におけるmiR−208の役割モデルを示す図である。α−MHC遺伝子はmiR−208をコードし、これはさらなる標的の中でTHRAP1及び骨格筋遺伝子の発現を負に制御する。α−MHC及びβ−MHC遺伝子は連結し、miR−208はストレスシグナル伝達に応答したβ−MHCの上方制御及びPTUによるT3シグナル伝達に対する遮断に必要である。α−及びβ−MHCは、それぞれ速収縮及び遅収縮を促進する。 miR−208の予測標的としてのTHRAP1を示す図である。THRAP1の3’UTR中の推定miR−208結合部位の配列アライメントにより、高レベルの相補性及び配列保存が示される(配列番号6〜13)。 3’UTR THRAP1のルシフェラーゼアッセイを示す図である。THRAP1の3’UTRを含むルシフェラーゼ遺伝子の発現が、miR−208を共形質移入した細胞において減少したが、miR−126を共形質移入した細胞(対照)では減少しなかった。 miR208突然変異マウスの心臓における速骨格筋遺伝子の上方制御を示す図である。 Myh7遺伝子座(β-MHC)の構造及びその中のmiR−208bコード領域の位置を示す図である(配列番号27及び配列番号30〜36)。 ミオシン重鎖遺伝子(myh6及び myh7、別名α-MHC及びβ-MHC)のゲノム重複によるmiR−208及びmiR−208bが発現した図である。miR−208及びmiR−208bは、α−MHC及びβ−MHCにより共発現される(図29A)。ミオシン重鎖遺伝子(myh6及び myh7、別名α-MHC及びβ-MHC)のゲノム重複によるmiR−208及びmiR−208bが発現した図である。全成熟miRは配列中の3塩基が異なるが、相同なシード領域を共有する(図29B)(配列番号27及び配列番号5)。 myomiRは、それらのミオシン宿主遺伝子と共発現及び共制御されることを示す図である。(図30A)ノーザン分析は、mir−208bが、ベースライン状態で心臓において非常に低レベルで発現し、腓腹筋/足底(GP)、前脛骨筋(TA)又は長趾伸筋(EDL)などの速骨格筋線維においては発現しないことを示している。MiR−208bは遅骨格筋のヒラメ筋において高度には発現する。(図30B)表示のミオシン遺伝子に関するリアルタイムPCR分析は、PTU含有の餌を動物に与えることによる甲状腺受容体シグナル伝達の遮断が、ラットの心臓組織においてα−MHCの発現を抑制し、β−MHCの発現を誘導することを示している。この効果は、甲状腺ホルモン(T3)の後続補給により反転できる。myh7bの発現は、幾分β−MHCの発現パターンに似ている。(図30C)生後間もなくβ−MHCからより多くのα−MHCへのシフトが起こる。成体の心臓において、miR−208は、miR−499の活性化に関与しているが、p1、p6及び成体の野生型及びmiR−208突然変異動物の心臓試料についてのノーザンブロット分析は、β−MHC遺伝子から作製したmiR−208bの存在が、miR−208が不在であってもmiR−499の発現を起動させるために十分であることを示している。(図30D)myomiRに関するノーザンブロット分析は、miR−208bが、miR−208の不在下でのストレスシグナル伝達に応答したβ−MHCの誘導の減少を反映していることを示している。MiR−208ノックアウト動物は、ストレス及び甲状腺機能低下に応答したβ−MHCの増加を抑える。ノーザン分析は、PTUに応答した野生型(WT)動物におけるmiR−208bの激しい誘導を示すが、miR−208の不在下(ノックアウト、KO)でのmiR−208bの誘導はわずかである。208a又は208bのいずれかの存在は、myh7b/miR−499を活性化するために十分であることに留意されたい。 PTU投与による甲状腺機能低下が、miR−208bの発現を強く誘導することを示す図である。β−MHCのように、miR−208bはベースライン状態下で心臓において激しく発現するが、その発現は、甲状腺機能低下に応答して強く誘導される。この誘導は、甲状腺ホルモン(T3)の後続補給により反転できる。 PTU投与による甲状腺機能低下期間のmiR−208bの時間依存性誘導を示す図である。PTU投与によるmiR−208bの誘導は、3日後に明らかである。このmiR−208bのPTU誘導性発現は、PTU投与の継続により増加する。 miR−208が、miR−208b及びmiR−499の発現を制御することを示す図である。(A)ノーザンブロットが、miR−499及びmiR−208bの発現は、miR−208ヘテロ接合体(+/-)及びホモ接合体(KO)突然変異動物において用量依存的に下方制御されることを示す。(B)MiR−208bは、miR−208遺伝子導入動物において上方制御され、β−MHCの発現と相関する。(C)心筋においてmiR−208によりmiR−499が制御される概略図である。 心臓のリモデリングのmiR−208による制御の概略モデルを示す図である。miR−208は、miR−499及びmiR−208bの発現の制御を介して、直接的又は間接的のいずれかで心臓のリモデリングを制御する。 miR−208bノックアウトマウスモデルを設計するための標的戦略の概略モデルを示す図である。 miR−499及びmiR−208b両方のための結合部位領域を過剰発現する遺伝子導入マウスモデルの概略図である。骨格筋及び心筋の特異的プロモーター(筋クレアチンキナーゼ(MCK))を使用した、miR−499及びmiR−208b両方のための結合領域部位の骨格筋特異的過剰発現は、心筋及び骨格筋の両方においてmiR−208b及びmiR−499を取り除き、その結果両方のmiRNA(配列番号5、26及び27)のノックダウンを起こすはずである。 Myh7b/miR−499の発現はMEF2に依存することを示す図である。(図37A)ゲル移動度シフトアッセイを、空のpcDNA−Flag又はFlag−MEF2Cのいずれかを形質移入したCOS−1細胞由来の核抽出物及びプローブとして放射標識MEF2部位を使用して実施した。pcDNA−Flagは放射標識MEF2部位に結合できないが(レーン1)、MEF2Cの過剰発現が結合を誘導し(レーン2)、これはポリクロナールFlag抗体1μgを用いてスーパーシフトできる(レーン3)。特異的及び非特異的な競合相手を、50倍モル過剰で使用した(レーン4〜6)。(図37B)COS細胞(24ウェルプレート、5×10細胞/ウェル)に、myh7b−ルシフェラーゼレポーター(野生型及びMef2突然変異体)100ng、Mef2cをコードする発現ベクター50ng、Mef2コアクチベーター、ミオカルジンタンパク質及びpCMV−lacZ30ngを形質移入した。Mef2c及びミオカルジンによるmyh7bレポーターの活性化は、Mef2結合部位を必要とした。(図37C)MEF2部位は、myh7b/rniR−499の心臓の発現に必須である。LacZ遺伝子導入マウスの胚を作製し、E12.5及びp1におけるβ−ラクトシダーゼの発現に関して染色した。myh7b遺伝子の0.8Kb上流の領域は、心臓のlacZの発現を起動するために十分であったが、MEF2部位の突然変異は、心臓における発現を破壊した。(図37D)ノーザンブロット分析は、miR−499の発現が心臓特異的MEF2D遺伝子導入動物の心臓において増加するが、miR−499のレベルは、MEF2C及びDが欠失した心臓において減少することを示す。 miR−499が、β−MHC及び速骨格筋遺伝子の発現を制御することを示す図である。(図38A)miR−499に関するノーザンブロット分析は、筋特異的プロモーターを使用したmiR−499の遺伝子導入過剰発現が、すべての筋肉型においてmiR−499レベルを効果的に誘導することを示している。(図38B)リアルタイムPCR分析は、遺伝子導入過剰発現がベースラインの心臓発現レベルと比較して、速骨格筋型(GP、TA及びEDL)の中で最も高レベルな、効果的なmiR−499の過剰発現をもたらすことを示す。(図38C)野生型又は遺伝子導入動物のいずれかの筋組織についてのリアルタイムPCR分析は、miR−499の過剰発現が、ヒラメ筋、TA及びEDLにおけるβ−MHCの発現を起動するために十分であるが、それは、心臓、ヒラメ筋及びEDLにおける速骨格トロポニンI2(TnnI2)及びT3(TnnT3)を抑制することを示す。(図38D)野生型及びmiR−499遺伝子導入動物の両方の筋線維の急速凍結組織切片の異染性ATPアーゼ染色は、遺伝子導入マウスの速線維(EDL)中の遅筋線維において劇的な増加を示す。(図38E)PTUに応答したβ−MHCの発現についてのmiR−208除去の抑制効果は、miR−499を再導入した場合ない。miR−208突然変異動物の心臓におけるmiR−499遺伝子導入的再導入は、β−MHC及びその対応miRNAであるmiR−208bの激しい誘導をもたらす。(図38F)miR−208の除去は、速骨格筋遺伝子の不適切な誘導を誘導するが、miR−208突然変異動物において遺伝子導入的に発現する場合、miR−499は、非常に強力にこれらの遺伝子を抑制する。
心筋及び骨格筋は、収縮の効率を規制する、ミオシンアイソフォームの発現を調節することによって、仕事負荷、甲状腺ホルモンシグナル伝達、及び損傷などの様々な病態生理学的刺激に応答する。最近、本発明者らは、α−ミオシン重鎖(MHC)遺伝子のイントロンによってコードされ、かつ心臓ストレスに応答したβ−MHC発現の上方制御及び心臓の速骨格筋遺伝子の抑制に必要とされる、心臓特異的マイクロRNA、miR−208について報告した(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている同時係属出願WO2008/016924参照)。
ここで本発明者らは、自らの初期の研究を拡張し、miR−208が、密接に関係するマイクロRNA、それぞれMyh7b遺伝子及びβMHC遺伝子のイントロンによってコードされているmiR−499及びmiR−208bの、心臓発現にも必要とされていることを示す。心臓、ならびに遅骨格筋でのMyh7b及びmiR−499の発現は、MEF2転写因子、横紋筋遺伝子発現のシグナル依存性レギュレーターによって制御される。miR−499又はmiR208の強制発現は、in vivoでの速遅筋線維変換を媒介するのに十分である。mir−208及びmiR−499は、Thrap1、甲状腺ホルモン受容体コレギュレーター、及び転写因子のPURファミリーのメンバーの発現を、負に調節することができ、即ち、心筋及び骨格筋でのβ−MHC発現を負に調節する。Sox6は、遅筋線維型特異的遺伝子のリプレッサーとして機能する。野生型筋管でのSox6発現のノックダウンは、β−MHC発現に著しい増加をもたらす。β−MHCプロモーターの分析は、胎児骨格筋の線維型分化及び心臓のβ−MHC調節においてSox6が極めて重要な役割を演ずることを示唆する、Soxコンセンサス配列を明らかにした。これらの知見は、収縮性及びシグナル応答性を管理する調節マイクロRNAをコードすることによって横紋筋のMyh遺伝子が遺伝子発現パターンを調節する、一般的な調節機構を明らかにする。横紋筋疾患の状況でmiR−499発現を調節することによって、骨格筋及び心筋遺伝子発現を操作する戦略を、これらの発見に照らして記述する。
本発明者らは、ゲノムが、miR−208bと呼ばれる第2のタイプのmiR208を含有することも発見し、これは、イントロン31でβ−MHC遺伝子内に位置し、またβ−MHCのように、miRNA 208bは、心筋及び遅骨格筋(ヒラメ筋)で単独で発現する。このマイクロRNAの配列は、いわゆるシード領域、即ちあるmiRNAのmRNA標的を定義するマイクロRNAの領域において、100%の相同性でmiR−208と大きく重複する。このように、miR−208bは、ヒトの心臓収縮性に計り知れない影響を及ぼす可能性があり、心臓収縮性を調節するmiR−208bの調節も、本発明によって企図される。
このように本発明は、miRNAそのものを使用することによって、あるいはアデノウイルスベクターもしくはβ−MHC発現を高める異所性発現のその他の手段を使用することによって、内因性miR−208b遺伝子又はmiR−208遺伝子(miR−499を上方制御する)を治療により活性化させ、あるいは外因性miR−499又はmiR−208bを心臓に導入することによる、miR−499及び/又はmiR−208bの発現又は活性のアゴニズムを包含する。miR−208変異マウスの心臓での、いくつかの速骨格筋収縮タンパク質遺伝子の上方制御は、miR−208及びmiR−208bが、速骨格筋遺伝子プログラムを典型的には抑制することを示唆しており、これは骨格筋及び心筋でのmiR−499に関して同様の役割をすることを意味する。このように、心臓でのこれら遺伝子の活性化は、心臓収縮性を調節する潜在的な手法を示している。
さらに本発明者らは、骨格筋で速筋線維遺伝子を抑制するために、miR−499及び/又はmiR−208bを使用し、それによって遅筋線維遺伝子の相互発現を活性させることを提示する。遅筋線維遺伝子の発現は、高いインスリン感受性及び骨格筋持久力に連関している。骨格筋での遅筋線維遺伝子の抑制及び速筋線維遺伝子の活性化は、非活動性萎縮、抗重量に応答した筋肉疲労、及び除神経を含めた非常に数多くの筋骨格系障害に関連している。
このように本発明らは、miR−208のように、miR−499が心臓でのβ−MHC遺伝子発現の筋特異的な必須レギュレーターであることを発見した。さらに、miR−208bは、さらに心臓線維症を調節する、心臓でのミオシン遺伝子発現の筋特異的な必須レギュレーターであることを発見した。これらの知見は共に、心臓収縮性及び骨格筋機能を制御するためのこれらマイクロRNAの使用のように、完全に新規である。
miR−499遺伝子のゲノム位置の分析は、α−MHC遺伝子のホモログであるMyh7b遺伝子の20番目のイントロン内に含有されることを示した(図15;配列番号26は、成熟miRNA配列を挙げ;配列番号25は、前駆体配列のステムループ構造を示す。)。マウス、ラット、ヒト、イヌ、フクロネズミ、ニワトリ、及びX.トロピカリス(X.tropicalis)に関するmiR−499のpre−miRNAコード配配列は、それぞれ配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、及び配列番号24に示される(図15)。Myh7b遺伝子は、脊椎動物で保存され、心筋及び遅骨格筋(例えば、ヒラメ筋)で単独で発現する。
miR−499発現を調節することが示されたmiR−208は、α−MHC遺伝子のイントロン内に位置するイントロンmiRNAである。正確なイントロンの位置は、特定の種及び特異的な転写物に依存する。例えばヒトでは、miR−208が、α−MHC遺伝子の28番目のイントロン内にコードされ、一方マウスでは、29番目のイントロン内にコードされる。ヒト、マウス、ラット、及びイヌに関するmiR−208のpre−miRNAコード配列は、それぞれ配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17に示される。成熟miR−208配列は、配列番号15に示される。α−MHCのように、miR−208は、心臓で単独に発現する(図1)。
ヒトpre−miR−208(配列番号14)
acgggcgagc ttttggcccg ggttatacct gatgctcacg tataagacga gcaaaaagct tgttggtcag a
マウスpre−miR−208(配列番号15)
acgggtgagc ttttggcccg ggttatacct gactctcacg tataagacga gcaaaaagct tgttggtcag a
ラットpre−miR−208(配列番号16)
acgggtgagc ttttggcccg ggttatacct gactctcacg tataagacga gcaaaaagct tgttggtcag a
イヌpre−miR−208(配列番号17)
acgcatgagc ttttggctcg ggttatacct gatgctcacg tataagacga gcaaaaagct tgttggtcag a
miRNA標的の確認のためにPicTarアルゴリズムを使用して(Krekら、2005)、本発明者らは、甲状腺ホルモン受容体関連タンパク質1(THRAP1)がmiR−208に関して予測された標的であることを確認した。ヒト、チンパンジー、マウス、ラット、イヌ、ニワトリ、フグ、及びゼブラフィッシュからのTHRAP1 3’UTR配列を、それぞれ配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、及び配列番号13に示す(図25)。
筋収縮性の調節に関わる可能性があるマイクロRNAに関する更なる調査において、本発明者らは、βMHC遺伝子が、イントロン31内にmiR−208と密接に関連しているmiR208bを含有することを見出した。miR−208bの発現はβMHCの発現に続き、即ち、心筋及び遅骨格筋(ヒラメ筋)で単独で発現する。このマイクロRNAの配列は、あるmiRNAのmRNA標的を定義するのを助けるマイクロRNAの部分である、いわゆるシード領域で、100%の相同性でmiR−208と大きく重複する(下線により示される。)。
miR−208 AUAAGACGAGCAAAAAGCUUGU(配列番号5)
miR−208b AUAAGACGAACAAAAGGUUUGU(配列番号27)
ヒト、マウス、ラット、イヌ、フクロネズミ、及びX.トロピカリスのmiR−208bに関するpre−miRNAコード配列を、それぞれ配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、及び配列番号35に示す(図28)。図28は、miR−208b前駆体配列(配列番号36)のステムループ構造も示す。
心臓肥大、心不全、及び心筋梗塞を治療する方法
本発明は、その必要がある対象の病的な心臓肥大、心不全、又は心筋梗塞を治療するための方法を提供する。一実施形態では、この方法は、心臓肥大、心不全、又は心筋梗塞を有する対象を特定する工程と、対象の心臓細胞でのmiR−499及び/又はmiR−208bの発現又は活性を阻害する工程とを含む。別の実施形態では、この方法は、病的な心臓肥大、心不全、又は心筋梗塞を発症する危険性がある対象を特定する工程と、対象の心臓細胞でのmiR−499及び/又はmiR−208bの発現又は活性を阻害する工程とを含む。病的な心臓肥大又は心不全を発症する危険性がある対象は、例えば長期にわたって管理されていない高血圧、矯正されていない弁膜症、慢性アンギナ、最近の心筋梗塞、心疾患に対する先天的素因、又は病的な肥大を含めた、1つ又は複数の危険因子を示す可能性がある。ある実施形態では、危険性のある対象は、心臓肥大に対して遺伝的素因を有すると診断され得る。本発明のいくつかの実施形態では、危険性がある対象は、心臓肥大の家族歴を有する可能性がある。
別の実施形態では、本発明は、対象の心臓細胞でのmiR−499及び/又はmiR−208bの発現又は活性を阻害する工程を含む、その必要がある対象の心臓肥大及び拡張型心筋症を予防する方法を提供する。さらに別の実施形態では、本発明は、対象の心臓細胞でmiR−499及び/又はmiR−208bの発現及び活性を阻害する工程を含む、その必要がある対象で心臓肥大の進行を阻害する方法を提供する。ある実施形態では、本発明は、対象の心臓細胞でのmiR−499及び/又はmiR−208bの発現又は活性を阻害する工程を含む、心不全又は心臓肥大を有する対象の運動負荷を増大させ、入院を減少させ、生活の質を改善し、罹患率を低下させ、かつ/又は死亡率を低下させる方法を提供する。
このように本発明は、miR−499及び/又はmiR−208bの阻害薬を利用して、心臓肥大、心不全、又は心筋梗塞を治療するための方法を提供する。好ましくは、miR−499及び/又はmiR−208b阻害薬の投与の結果、対象の心臓肥大、心不全、又は心筋梗塞の1つ又は複数の症状が改善され、あるいは心臓肥大から心不全への移行が遅くなる。1つ又は複数の改善される症状は、例えば、高い運動能力、高い心臓駆出容積、低い左心室拡張末期圧、低い肺毛細血管楔入圧、高い心拍出量、高い心係数、低い肺動脈圧、低い左心室収縮末期及び拡張末期径、低下した心臓線維症、心筋での少ないコラーゲン沈着、低い左心室及び右心室壁応力、低い壁張力、高い生活の質、及び低い疾患関連罹患率又は死亡率であってもよい。さらに、miR−499及び/又はmiR−208bの阻害薬の使用は、心臓肥大及びそれに関連した症状が引き起こされるのを予防することができる。
miRNAの機能は、アンタゴmirの投与によって、阻害し得る。最初にKrutzfeldt及びその同業者によって、「アンタゴmir」は、miRNA配列に対して少なくとも部分的に相補的な一本鎖の化学修飾されたリボヌクレオチドであることが記述された(Krutzfeldtら、2005)。アンタゴmirは、2’−O−メチル−糖修飾など、1つ又は複数の修飾ヌクレオチドを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、アンタゴmirは、修飾ヌクレオチドのみ含む。アンタゴmirは、部分又は完全ホスホロチオエート主鎖をもたらす1つ又は複数のホスホロチオエート結合を含んでいてもよい。in vivo送達及び安定性を促進させるため、アンタゴmirを、コレステロール部分にその3’末端で結合してもよい。miRNAを阻害するのに適したアンタゴmirは、長さが約15〜約50ヌクレオチドであってもよく、より好ましくは長さ約18〜約30ヌクレオチド、最も好ましくは長さ約20〜約25ヌクレオチドである。「部分的に相補的」は、標的ポリヌクレオチド配列に対して少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%相補的な配列を指す。アンタゴmirは、成熟miRNA配列に対して少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%相補的であってもよい。いくつかの実施形態では、アンタゴmirは、成熟miRNA配列に倒して実質的に相補的であってもよく、即ち、少なくとも約95%、96%、97%、98%、又は99%が標的ポリヌクレオチド配列に対して相補的である。その他の実施形態では、アンタゴmirは、成熟miRNA配列に対して100%相補的である。
マイクロRNA機能の阻害は、成熟miR−499、miR−208、又はmiR−208b配列を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与することによって、実現してもよい。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドであってもよい。好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの化学修飾を有する。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1種又は複数の「ロックト核酸」からなるものであってもよい。「ロックト核酸」(LNA)は、リボース糖部分の2’及び4’炭素の間に余分な橋を含有することによって、LNAを含有するオリゴヌクレオチドに高い熱安定性を与える「ロックされた」構造をもたらす、修飾されたリボヌクレオチドである。あるいは、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、糖−リン酸主鎖ではなくペプチドをベースにした主鎖を含有するペプチド核酸(PNA)を含んでいてもよい。アンチセンスオリゴヌクレオチドが含有していてもよいその他の化学修飾には、限定するものではないが、2’−O−アルキル(例えば、2’−O−メチル、2’−O−メトキシエチル)、2’−フルオロ、及び4’チオ修飾などの糖修飾と、1種又は複数のホスホロチオエート、モルホリノ、又はホスホノカルボキシレート結合などの主鎖修飾が含まれる(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている米国特許第6,693,187号及び第7,067,641号参照)。いくつかの実施形態では、適切なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、5’及び3’末端の両方に2’−O−メトキシエチル−修飾リボヌクレオチドを含有し少なくとも10デオキシリボヌクレオチドが中央にある、2’−O−メトキシエチル「ギャップマー」である。これらの「ギャップマー」は、RNA標的のRNアーゼH依存性分解機構を引き起こすことが可能である。参照によりその全体が本明細書に組み込まれている米国特許第6,838,283号に記載されるように、安定性を高め効力を改善するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドのその他の修飾は当技術分野で知られており、本発明の方法で使用するのに適している。マイクロRNAの活性を阻害するのに有用な好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチドは、長さが約19〜約25ヌクレオチドである。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、成熟miRNA配列に対して少なくとも部分的に相補的な配列、例えば、成熟miRNA配列に対して少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%相補的な配列を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、成熟miRNA配列に対して実質的に相補的であってもよく、即ち、標的ポリヌクレオチド配列に対して少なくとも約95%、96%、97%、98%、又は99%相補的であってもよい。一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、成熟miRNA配列に対して100%相補的な配列を含む。
miR−499、miR−208、及びmiR−208bの機能を阻害するための別の手法は、成熟miR−499、miR−208、及びmiR−208b配列に対して少なくとも部分的な配列同一性を有する阻害RNA分子を投与することである。阻害RNA分子は、ステムループ構造を含む二本鎖の低分子干渉RNA(siRNA)又は低分子ヘアピン型RNA分子(shRNA)であってもよい。阻害RNA分子の二本鎖領域は、成熟miRNA配列に対して少なくとも部分的に同一な配列、例えば約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一な配列を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、阻害RNAの二本鎖領域は、成熟miRNA配列に対して少なくとも実質的に同一な配列を含む。「実質的に同一な」は、標的ポリヌクレオチド配列に対して少なくとも約95%、96%、97%、98%、又は99%同一な配列を指す。その他の実施形態では、阻害RNA分子の二本鎖領域は、標的miRNA配列に対して100%の同一性を含有していてもよい。
本明細書に記述される阻害ヌクレオチド分子は、好ましくは、miR−499(配列番号26)、miR−208(配列番号5)、又はmiR−208b(配列番号27)の成熟配列を標的とする。いくつかの実施形態では、miR−499、miR−208、及びmiR−208bの阻害薬は、成熟miR−499、成熟miR−208、又は成熟miR−208b配列に対して完全に相補的な配列を含むアンタゴmirである。いくつかの実施形態では、miR−499の阻害薬は、5’−UUAAGACUUGCAGUGAUGUUU−3’(配列番号26)に対して部分的に、あるは完全に相補的な配列を有するアンタゴmirである。別の実施形態では、miR−208の阻害薬は、5’−AUAAGACGAGCAAAAAGCUUGU−3’(配列番号5)に対して部分的に、あるいは完全に相補的な配列を有するアンタゴmirである。別の実施形態では、miR−208bの阻害薬は、5’−AUAAGACGAACAAAAGGUUUGU(配列番号27)に対して部分的に、あるいは完全に相補的な配列を有するアンタゴmirである。
いくつかの実施形態では、miR−499、miR−208、及びmiR−208bの阻害薬は、化学的に修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチドである。一実施形態では、miR−499の阻害薬は、5’−UUAAGACUUGCAGUGAUGUUU−3’(配列番号26)に対して実質的に相補的な配列を含む、化学的に修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチドである。別の実施形態では、miR−208の阻害薬は、5’−AUAAGACGAGCAAAAAGCUUGU−3’(配列番号5)に対して実質的に相補的な配列を含む、化学的に修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチドである。別の実施形態では、miR−208bの阻害薬は、5’−AUAAGACGAACAAAAGGUUUGU(配列番号27)に対して実質的に相補的な配列を含む、化学的に修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチドである。本明細書で使用される、「実質的に相補的な」は、標的ポリヌクレオチド配列(例えば、成熟又は前駆体miRNA配列)に対して少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、又は100%相補的な配列を指す。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、miR−499、miR−208、又はmiR−208bに関する前駆体miRNA配列(pre-miRNA)に対して実質的に相補的な配列を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、pre−miR−499、pre−miR−208、又はpre−miR−208b配列のステムループ領域外に位置する配列に対して、実質的に相補的な配列を含む。一実施形態では、miR−499の機能の阻害薬は、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、及び配列番号24からなる群から選択されたpre−miR−499配列に対して実質的に相補的な配列を有する、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。別の実施形態では、miR−208の機能の阻害薬は、配列番号14、配列番号15、配列番号16、及び配列番号17からなる群から選択されたpre−miR−208配列に対して実質的に相補的な配列を有する、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。さらに別の実施形態では、miR−208bの機能の阻害薬は、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、及び配列番号35からなる群から選択されたpre−miR−208b配列に対して実質的に相補的な配列を有する、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。
本発明のその他の実施形態では、miR−499、miR−208、及びmiR−208bの阻害薬は、リボザイムやsiRNA、shRNAなどの阻害RNA分子であってもよい。一実施形態では、miR−499の阻害薬は、成熟miR−499配列(配列番号26)に対して100%の同一性を有する配列を含んでいる、二本鎖領域を含む阻害RNA分子である。別の実施形態では、miR−208の阻害薬は、成熟miR−208配列(配列番号5)に対して100%の同一性を有する配列を含んでいる、二本鎖領域を含む阻害RNA分子である。別の実施形態では、miR−208bの阻害薬は、成熟miR−208b配列(配列番号27)に対して100%の同一性を有する配列を含んでいる、二本鎖領域を含む阻害RNA分子である。いくつかの実施形態では、miR−208、miR−208b、及びmiR−499の機能の阻害薬は、成熟miR−208、miR−208b、又はmiR−499配列に対して少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一な配列を含んでいる二本鎖領域を含む、阻害RNA分子である。
本発明は、治療後にmiR−499及び/又はmiR−208b拮抗薬を除去又は一掃するための方法も企図される。この方法は、心臓組織でmiR−499及び/又はmiR−208b拮抗薬の結合部位を過発現する工程を含んでいてもよい。別の実施形態では、本発明は、治療後にmiR−499及び/又はmiR−208bを除去又は一掃するための方法を提供する。一実施形態では、この方法は、骨格筋及び心筋特異的プロモーター(筋クレアチンキナーゼ(MCK))を使用した、骨格筋でのmiR−499及び/又はmiR−208b結合部位領域の過発現を含む。結合部位領域は、好ましくは、miR−499及び/又はmiR−208bのシード領域の配列を含有する。いくつかの実施形態では、結合部位は、THRAP1やPURβなど、miR−499又はmiR−208bの1つ又は複数の標的の3’UTRからの配列を含有していてもよい。別の実施形態では、マイクロRNAの機能を弱め又は停止させるため、miR−499及び/又はmiR−208b拮抗薬を、miR−499及び/又はmiR−208bの後に投与してもよい。
併用療法
本発明の別の実施形態では、miR−499又はmiR−208bの阻害薬をその他の治療様式と組み合わせて使用することが考えられる。心血管障害の状況における心臓肥大の現行の医学的管理は、少なくとも2つのタイプの薬物、即ちレニン−アンギオテンシン系阻害薬及びβ−アドレナリン作動性遮断薬の使用を含む(Bristow、1999)。心不全の状況における病的な肥大を治療する治療薬には、アンギオテンシンII変換酵素(ACE)阻害薬及びβ−アドレナリン受容体遮断薬が含まれる(Eichhorn及びBristow、1996)。心臓肥大の治療用に開示されたその他の薬剤には、アンギオテンシンII受容体拮抗薬(米国特許第5,604,251号)及びニューロペプチドY拮抗薬(WO98/33791)が含まれる。
非薬理学的治療は、主に、薬理学的治療の補助として使用される。非薬理学的治療の1つの手段では、食事に含まれるナトリウムを減少させる。さらに、非薬理学的治療では、陰性変力薬(例えば、あるカルシウムチャネル遮断薬及び抗不整脈薬、例えばジソピラミド)、心臓毒(例えば、アムフェタミン)、及び血漿増量薬(例えば、非ステロイド系抗炎症薬及びグルココルチコイド)を含めたある沈殿薬物の排除も必要とする。
このように、上述の療法に加え、miR−499及び/又はmiR−208bを用いたより「標準的な」薬学的心臓療法を、対象に提供することもできる。その他の治療薬の例には、限定するものではないがいわゆる「β遮断薬」、抗高血圧薬、強心薬、抗血栓薬、血管拡張薬、ホルモン拮抗薬、変力薬、利尿薬、エンドセリン受容体拮抗薬、カルシウムチャネル遮断薬、ホスホジエステラーゼ阻害薬、ACE阻害薬、アンギオテンシン2型拮抗薬、及びサイトカイン遮断薬/阻害薬、及びHDAC阻害薬が含まれる。併用療法では、miR−499及びmiR−208bの両方の発現又は活性を阻害させることもでき、あるいは、miR−208及び/又はmiR−21やmiR−195などの心臓再構築に関わる追加のmiRNAの発現又は活性を阻害することもできる。併用療法は、miR−29などの特定のマイクロRNAの過発現を含んでもいてもよい。
組合せは、心臓細胞と、miR−499又はmiR−208bの阻害薬及び標準的な薬剤を含む単一の組成物又は医薬品製剤とを接触させることによって、あるいは、心臓細胞と、2種の異なる組成物又は製剤、即ち一方の組成物がmiR−499又はmiR−208bの阻害薬を含み他方が標準的な薬剤を含んでいるものとを同時に接触させることによって、実現することができる。あるいは、miR−499及び/又はmiR−208bの阻害薬を使用する療法は、数分から数週間までに及ぶ間隔で(1種又は複数の)その他の薬剤を投与する前又は後に行ってもよい。標準的な薬剤及びmiR−499又はmiR−208b阻害薬を別々に細胞に施用する実施形態では、一般にそれぞれの送達時と送達時との間で有効時間が確実に途切れないようになされ、したがって、薬剤及びmiR−499又はmiR−208b阻害薬は、有利に複合された効果を依然として細胞に及ぼすことができるようになる。そのような場合、典型的には、細胞と両様式とを互いに約12〜24時間以内に、より好ましくは互いに約6〜12時間以内に接触させることが企図され、その遅延時間は、わずかに約12時間であることが最も好ましい。しかしそのような状況では、治療時間を著しく延ばすことが望ましい可能性があり、その場合、それぞれの投与と投与の間で数日(2、3、4、5、6又は7)から数週間(1、2、3、4、5、6、7、又は8)が続く。
miR−499及び/又はmiR−208bの阻害薬、又はその他の薬剤の、複数回投与が望まれることも考えられる。これに関し、様々な組合せを用いることができる。例示として、miR−499又はmir−208bの阻害薬が「A」であり、その他の薬剤が「B」である場合、合計で3及び4回の投与に基づけば、以下の順番が例として挙げられる。
A/B/A B/A/B B/B/A A/A/B B/A/A A/B/B B/B/B/A B/B/A/B A/A/B/B A/B/A/B A/B/B/A B/B/A/A B/A/B/A B/A/A/B B/B/B/A A/A/A/B B/A/A/A A/B/A/A A/A/B/A A/B/B/B B/A/B/B B/B/A/B
その他の組合せも同様に企図される。
治療計画は、臨床状態に応じて様々となる。しかし、長期にわたる維持は、ほとんどの状況で適切であると見なされる。疾患進行中の短い期間内など断続的に、miR−499及び/又はmiR−208bの阻害薬で肥大を治療することが望ましい可能性もある。
薬理学的治療薬及び投与方法、投薬量などは、当業者に周知であり(例えば、参照により関連ある部分が本明細書に組み込まれている「Physicians Desk Reference」、Klaassenの「The Pharmacological Basis of Therapeutics」、「Remington's Pharmaceutical Sciences」、及び「The Merck Index, Eleventh Edition」参照)、本明細書の開示に照らして本発明と組み合わせることができる。投薬量のいくつかの変更は、治療がなされる対象の状態に応じて必ず行われることになる。投与に関与する者は、いずれにしても、個々の対象に適した用量を決定することになり、そのような個々の決定は、当業者の範囲内である。
本発明で使用してもよい薬理学的治療薬の非限定的な例には、抗高リポタンパク血症薬、抗動脈硬化薬、抗血栓/線維素溶解薬、血液凝固薬、抗不整脈薬、抗高血圧薬、昇圧薬、うっ血性心不全の治療薬、抗狭心症薬、抗菌薬、又はこれらの組合せが含まれる。
さらに、β遮断薬を本発明の実施例では使用したが、新しい組の心臓療法標的遺伝子を開発するのに下記のいずれかを使用してもよいことに、留意すべきである(下記参照)。これら遺伝子の多くは重複し得ることが予測されるが、新しい遺伝子標的をおそらく開発することができる。
ある実施形態では、「抗高リポタンパク血症薬」として本明細書で知られているより多くの血液脂質及び/又はリポタンパク質の1種の濃度を低下させる薬剤の投与を、特にアテローム性動脈硬化症及び血管組織の肥厚又は遮断の治療において、本発明による心臓血管療法と組み合わせることができる。ある実施形態では、抗高リポタンパク血症薬は、アリールオキシアルカン/フィブリン酸誘導体、樹脂/胆汁酸捕捉剤、HMG CoAレダクターゼ阻害薬、ニコチン酸誘導体、甲状腺ホルモン又は甲状腺ホルモン類似体、種々雑多な薬剤、又はこれらの組合せを含んでいてもよい。
アリールオキシアルカン/フィブリン酸誘導体の非限定的な例には、ベクロブレート、エンザフィブレート、ビニフィブレート、シプロフィブレート、シノフィブレート、クロフィブレート(アトロミド−S)、クロフィブリン酸、エトフィブレート、フェノフィブレート、ゲムフィブロジル(ロビド)、ニコフィブレート、ピリフィブレート、ロニフィブレート、シムフィブレート、及びテオフィブレートが含まれる。
樹脂/胆汁酸捕捉剤の非限定的な例には、コレスチラミン(コリバー、ケストラン)、コレスチポル(コレスチド)、及びポリデキシドが含まれる。
HMG CoAレダクターゼ阻害薬の非限定的な例には、ロバスタチン(メバコール)、プラバスタチン(プラバコール)、又はシムバスタチン(ゾコール)が含まれる。
ニコチン酸誘導体の非限定的な例には、ニコチネート、アセピモックス、ニセリトロール、ニコクロネート、ニコモール、及びオキシニアシン酸が含まれる。
甲状腺ホルモン及びその類似体の非限定的な例には、エトロキセート、チロプロピン酸、及びチロキシンが含まれる。
種々雑多な抗高リポタンパク血症薬の非限定的な例には、アシフラン、アザコステロール、ベンフルオレックス、β−ベンザブチラミド、カルニチン、コンドロイチン硫酸、クロメストロン、デタキストラン、デキストラン硫酸ナトリウム、5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸、エリタデミン、フラザボール、メグルトール、メリナミド、ミタトリエンジオール、オルニチン、γ−オリザノール、パンテチン、4酢酸ペンタエリスリトール、α−フェニルブチラミド、ピロザジル、プロブコール(ロレルコ)、β−シトステロール、スルトシル酸−ピペラジン塩、チアデノール、トリパラノール、及びキセンブシンが含まれる。
抗動脈硬化症薬の非限定的な例には、カルバミン酸ピリジノールが含まれる。
ある実施形態では、血栓の除去又は予防を補助する薬剤の投与を、特にアテローム動脈硬化症及び血管構造(例えば、動脈)の遮断の治療において、モジュレーターの投与と組み合わせてもよい。抗血栓薬及び/又は線維素溶解薬の非限定的な例には、抗凝血薬、抗凝血拮抗薬、抗血小板薬、血栓溶解薬、血栓溶解拮抗薬、又はこれらの組合せが含まれる。
ある実施形態では、例えばアスピリンやワーファリン(クマジン)など、経口投与することができる抗血栓薬が好ましい。
抗凝血薬の非限定的な例には、アセノクマロール、アンクロッド、アニシンジオン、ブロミンジオン、クロリンジオン、クメタロール、シクロクマロール、デキストラン硫酸ナトリウム、ジクマロール、ジフェナジオン、ビスクマ酢酸エチル、エチリデンジクマロール、フルインジオン、ヘパリン、ヒルジン、リアポレートナトリウム、オキサジジオン、多硫酸ペントサン、フェニンジオン、フェンプロクモン、ホスビチン、ピコタミド、チオクロマロール、及びワーファリンが含まれる。
抗血小板薬の非限定的な例には、アスピリン、デキストラン、ジピリダモール(パーサンチン)、ヘパリン、スルフィンピラノン(アンツラン)、及びチクロピジン(チクリド)が含まれる。
血栓溶解薬の非限定的な例には、組織プラミノゲンアクチベーター(アクチバーゼ)、プラスミン、プロウロキナーゼ、ウロキナーゼ(アボキナーゼ)、ストレプトキナーゼ(ストレプターゼ)、アニストレプラーゼ/APSAC(エミナーゼ)が含まれる。
対象が出血しており、あるいは出血する可能性が高いある実施形態では、血液凝固を高めることができる薬剤を使用してもよい。血液凝固促進薬の非限定的な例には、血栓溶解拮抗薬及び抗凝固拮抗薬が含まれる。
抗凝固拮抗薬の非限定的な例には、プロタミン及びビタミンK1が含まれる。
血栓溶解拮抗薬の非限定的な例には、アミオカプロン酸(アミカール)及びトラネキサム酸(アムスタット)が含まれる。抗血栓薬の非限定的な例には、アナグレリド、アルガトロバン、シルスタゾール、ダルトロバン、デフィブロチド、エノキサパリン、フラキシパリン、インドブフェン、ラモパラン、オザグレル、ピコタミド、プラフィブリド、テデルパリン、チクロピジン、及びトリフルサルが含まれる。
抗不整脈薬の非限定的な例には、クラスI抗不整脈薬(ナトリウムチャネル遮断薬)、クラスII抗不整脈薬(β−アドレナリン遮断薬)、クラスIII抗不整脈薬(再分極遅延薬)、クラスIV抗不整脈薬(カルシウムチャネル遮断薬)、及び種々雑多な抗不整脈薬が含まれる。
ナトリウムチャネル遮断薬の非限定的な例には、クラスIA、クラスIB、及びクラスIC抗不整脈薬が含まれる。クラスIA抗不整脈薬の非限定的な例には、ジスピラミド(ノルペース)、プロカイナミド(プロネスチル)、及びキニジン(キニデックス)が含まれる。クラスIB抗不整脈薬の非限定的な例には、リドカイン(キシロカイン)、トカイニド(トノカード)、及びメキシレチン(メキシチル)が含まれる。クラスIC抗不整脈薬の非限定的な例には、エンカイニド(エンカイド)及びフレカイニド(タムボコル)が含まれる。
通常ならβ−アドレナリン遮断薬、β−アドレナリン拮抗薬、又はクラスII抗不整脈薬として知られているβ遮断薬の非限定的な例には、アセブトロール(セクトラル)、アルプレノロール、アモスラロール、アロチノロール、アテノロール、ベフノロール、ベタキソロール、ベバントロール、ビソプロノール、ボピンドロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブフラロール、ブニトロロール、ブプラノロール、塩酸ブチドリン、ブトフィロロール、カラゾロール、カルテオロール、カルベジロール、セリプロロール、セタモロール、クロラノロール、ジレバロール、エパノロール、エスモロール(ブレビブロック)、インデノロール、ラベタロール、レボブノロール、メピンドロール、メチプラノロール、メトプロロール、モプロロール、ナドロール、ナドキソロール、ニフェナロール、ニプラジロール、オキスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プラクトロール、プロネタロール、プロパノロール(インデラル)、ソタロール(ベタペース)、スルフィナロール、タリノロール、テルタトロール、チモロール、トリプロロール、及びキシビノロールが含まれる。ある実施形態では、β遮断薬は、アリールオキシプロパノールアミン誘導体を含む。アリールオキシプロパノールアミン誘導体の非限定的な例には、アセブトロール、アルプレノロール、アロチノロール、アテノロール、ベタキソロール、ベバントロール、ビソプロロール、ボピンドロール、ブニトロロール、ブトフィロロール、カラゾロール、カルテオロール、カルベジロール、セリプロロール、セタモロール、エパノロール、インデノロール、メピンドロール、メチプラノロール、メトプロロール、モプロロール、ナドロール、ニプラジロール、オキスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロパノロール、タリノロール、テルタトロール、チモロール、及びトリプロロールが含まれる。
クラスIII抗不整脈薬としても知られている再分極を引き延ばす薬剤の非限定的な例には、アミオダロン(コルダロン)及びソタロール(ベタペース)が含まれる。
通常ならクラスIV抗不整脈薬として知られているカルシウムチャネル遮断薬の非限定的な例には、アリールアルキルアミン(例えば、ベプリジル、ジルチアゼム、フェンジリン、ガロパミル、プレニルアミン、テロジリン、ベラパミル)、ジヒドロピリジン誘導体(フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン)、ピペラジン誘導体(例えば、シンナジリン、フルナリジン、リドフラジン)、又はベンシクランやエタフェノン、マグネシウム、ミベフラジル、又はペルヘキシリンなどの種々雑多なカルシウムチャネル遮断薬が含まれる。ある実施形態では、カルシウムチャネル遮断薬は、長期間作用するジヒドロピリジン(ニフェジピン型)カルシウム拮抗薬を含む。
種々雑多な抗不整脈薬の非限定的な例には、アデノシン(アデノカルド)、ジゴキシン(ラノキシン)、アセカイニド、アジュマリン、アモプロキサン、アプリンジン、トシル酸ブレチリウム、ブナフチン、ブトベンジン、カポベン酸、シフェンリン、ジソピラニド、ヒドロキニジン、インデカイニド、臭化イパトロピウム、リドカイン、ロラジュミン、ロルカイニド、メオベンチン、モリシジン、ピルメノール、プラジュマリン、プロパフェノン、ピリノリン、ポリガラクツロン酸キニジン、硫酸キニジン、及びビキジルが含まれる。
抗不整脈薬の非限定的な例には、交感神経作動薬、α/β遮断薬、α遮断薬、抗アンギオテンシンII薬、β遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、血管拡張薬、及び種々雑多な抗高血圧薬が含まれる。
α−アドレナリン遮断薬又はα−アドレナリン拮抗薬としても知られているα遮断薬の非限定的な例には、アモスラロール、アロチノロール、ダピプラゾール、ドキサゾシン、メシル酸エルゴロイド、フェンスピリド、インドラミン、ラベタロール、ニセルゴリン、プラゾシン、テラゾシン、トラゾリン、トリマゾシン、及びヨヒムビンが含まれる。ある実施形態では、α遮断薬は、キナゾリン誘導体を含んでもよい。キナゾリン誘導体の非限定的な例には、アルフゾシン、ブナゾシン、ドキサゾシン、プラゾシン、テラゾシン、及びトリマゾシンが含まれる。
ある実施形態では、抗高血圧薬は、α及びβ両方のアドレナリン拮抗薬である。α/β遮断薬の非限定的な例には、ラベタロール(ノルモジン、トランデート)が含まれる。
抗アンギオテンシンII薬の非限定的な例には、アンギオテンシン変換酵素阻害薬及びアンギオテンシンII受容体拮抗薬が含まれる。アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)の非限定的な例には、アラセプリル、エナラプリル(バソテック)、カプトプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリラート、フォシノプリル、リシノプリル、モベルトプリル、ペリンドプリル、キナプリル、及びラミプリルが含まれる。アンギオテンシンII受容体拮抗薬、ANG受容体遮断薬、又はANG−IIタイプ−1受容体遮断薬(ARBS)としても知られるアンギオテンシンII受容体遮断薬の非限定的な例には、アンギオカンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、及びバルサルタンが含まれる。
交感神経遮断薬の非限定的な例には、中枢に作用する交感神経遮断薬又は末梢に作用する交感神経遮断薬が含まれる。中枢神経系(CNS)交感神経遮断薬としても知られている、中枢に作用する交感神経遮断薬の非限定的な例には、クロニジン(カタプレス)、グアナベンズ(ワイテンシン)、グアンファシン(テネックス)、及びメチルドーパ(アルドメット)が含まれる。抹消に作用する交感神経遮断薬の非限定的な例には、ガングリオン遮断薬、アドレナリンニューロン遮断薬、β−アドレナリン遮断薬、又はα1−アドレナリン遮断薬が含まれる。ガングリオン遮断薬の非限定的な例には、メカミルアミン(インベルシン)及びトリメタファン(アルフォナド)が含まれる。アドレナリンニューロン遮断薬の非限定的な例には、グアネチジン(イスメリン)及びレセルピン(セルパシル)が含まれる。β−アドレナリン遮断薬の非限定的な例には、アセニトロール(セクトラル)、アテノロール(テノルミン)、ベタキソロール(ケルロン)、カルテオロール(カルトール)、ラベタロール(ノルモジン、トランデート)、メトプロロール(ロプレッサー)、ナダノール(コルガード)、ペンブトロール(レバトール)、ピンドロール(ビスケン)、プロプラノロール(インデラル)、及びチモロール(ブロカドレン)が含まれる。α1−アドレナリン遮断薬の非限定的な例には、プラゾシン(ミニプレス)、ドキサゾシン(カルデュラ)、及びテラゾシン(ヒトリン)が含まれる。
ある実施形態では、心臓血管治療薬には、血管拡張薬(例えば、脳血管拡張薬、冠状動脈拡張薬、又は抹消血管拡張薬)を含めてもよい。ある好ましい実施形態では、血管拡張薬は、冠状動脈拡張薬を含む。冠状動脈拡張薬の非限定的な例には、アモトリフェン、ベンダゾール、ヘミコハク酸ベンフロジル、ベンジオダロン、クロラシジン、クロモナール、クロベンフロール、クロニトレート、ジラゼップ、ジピリダモール、ドロプレニルアミン、エフロキセート、エリスリチルテトラニトラン、エタフェノン、フェンジリン、フロレジル、ガングレフェン、ヘレストロールビス(β−ジエチルアミノエチルエーテル)、ヘキソベンジン、トシル酸イトラミン、ケリン、リドフラニン、マンニトールヘキサニトラン、メジバジン、ニコルグリセリン、4硝酸ペンタエリスリトール、ペントリニトロール、ペルヘキシリン、ピメフィリン、トラピジル、トリクロミル、トリメタジジン、トロルニトレートホスフェート、及びビスナジンが含まれる。
ある実施形態では、血管拡張薬には、長期治療血管拡張薬又は高血圧緊急血管拡張薬を含めてもよい。長期治療血管拡張薬の非限定的な例には、ヒドララジン(アプレソリン)及びミノキシジル(ロニテン)が含まれる。高血圧緊急血管拡張薬の非限定的な例には、ニトロプルシド(ニプリド)、ジアゾキシド(ハイパースタットIV)、ヒドララジン(アプレソリン)、ミノキシジル(ロニテン)、及びベラパミルが含まれる。
種々雑多な抗高血圧薬の非限定的な例には、アジュマリン、γ−アミノ酪酸、ブフェニオード、シクレタイニン、シクロシドミン、タンニン酸クリプテナミン、フェノルドパム、フロセキナン、ケタンセリン、メブタメート、メカミルアミン、メチルドーパ、メチル4−ピリジルケトンチオセミカルバゾン、ムゾリミン、パルギリン、ペムピジン、ピナシジル、ピペロキサン、プリマペロン、プロトベラトリン、ラウバシン、レシメトール、リルメニデン、サララシン、ナトリウムニトロルシシド、チクリナフェン、カンシル酸トリメタファン、チロシナーゼ、及びウラピジルが含まれる。
ある実施形態では、抗高血圧薬は、アリールエタノールアミン誘導体、ベンゾチアジアジン誘導体、N−カルボキシアルキル(ペプチド/ラクタム)誘導体、ジヒドロピリジン誘導体、グアニジン誘導体、ヒドラジン/フタラジン、イミダゾール誘導体、第4級アンモニウム化合物、レセルピン誘導体、又はスルホンアミド誘導体を含んでもよい。
アリールエタノールアミン誘導体の非限定的な例には、アモスラロール、ブフラロール、ジレバロール、ラベタロール、プロネタロール、ソタロール、及びスルフィナロールが含まれる。
ベンゾチアジアジン誘導体の非限定的な例には、アルチジド、ベンドロフルメチアジド、ベンズチアジド、ベンジルヒドロクロロチアジド、ブチアジド、クロロチアジド、クロルタリドン、シクロペンチアジド、シクロチアジド、ジアゾキシド、エピチアジド、エチアジド、フェンキゾン、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチジド、メチクロチアジド、メチクラン、メトラゾン、パラフルチジド、ポリチジド、テトラクロルメチアジド、及びトリクロルメチアジドが含まれる。
N−カルボキシアルキル(ペプチド/ラクタム)誘導体の非限定的な例には、アラセプリル、カプトプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、エナラプリラート、フォシノプリル、リシノプリル、モベルチプリル、ペリンドプリル、キナプリル、及びラミプリルが含まれる。
ジヒドロピリジン誘導体の非限定的な例には、アムロジピン、フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニルバジピン、ニソルジピン、及びニトレンジピンが含まれる。
グアニジン誘導体の非限定的な例には、ベタニジン、ベブリソキン、グアナベンズ、グアナクリン、グアナドレル、グアナゾジン、グアンチジン、グアンファシン、グアノクロール、グアノキサベンズ、及びグアノキサンが含まれる。
ヒドラジン/フタラジンの非限定的な例には、ブドララジン、カドララジン、ジヒドララジン、エンドララジン、ヒドラカルバジン、ヒドララジン、フェニプラジン、ピルドララジン、及びトドララジンが含まれる。
イミダゾール誘導体の非限定的な例には、クロニジン、ロフェキシジン、フェントラミン、チアメニジン、及びトロニジンが含まれる。
第4級アンモニウム化合物の非限定的な例には、臭化アザメトニウム、塩化クロリソンダミン、ヘキサメトニウム、ペンタシニウムビス(メチルスルフェート)、臭化ペンタメトニウム、酒石酸ペントリニウム、塩化フェナクトロピニウム、及びメト硫酸トリメチジニウムが含まれる。
レセルピン誘導体の非限定的な例には、ビエタセルピン、デセルピジン、レシンナミン、レセルピン、及びシロシンゴピンが含まれる。
スルホンアミド誘導体の非限定的な例には、アムブシド、クロパミド、フロセミド、インダパミド、キネタゾン、トリパミド、及びキシパミドが含まれる。
昇圧剤は、一般に、外科処置中に生じる可能性があるショック中に、血圧を上昇させるのに使用される。抗降圧薬としても知られる昇圧剤の非限定的な例には、アメジニウムメチルスルフェート、アンギオテンシンアミド、ジメトフリン、ドーパミン、エチフェルミン、エチレフリン、ゲペフリン、メタラミノール、ミドドリン、ノレピネフリン、フォレドリン、及びシネフリンが含まれる。
うっ血性心不全を治療するための薬剤の非限定的な例には、抗アンギオテンシンII薬、後負荷−前負荷低減治療薬、利尿薬、及び変力薬が含まれる。
ある実施形態では、アンギオテンシン拮抗薬に耐えることができない動物対象を、併用療法で治療してもよい。そのような療法は、ヒドララジン(アプレソリン)及び2硝酸イソソルビド(イソルジル、ソルビトレート)の投与を組み合わせることができる。
利尿薬の非限定的な例には、チアジド又はベンゾチアジアジン誘導体(例えば、アルチアジド、ベンドロフルメタジド、ベンズチアジド、ベンジルヒドロクロロチアジド、ブチアジド、クロロチアジド、クロロチアジド、クロルタリドン、シクロペンチアジド、エピチアジド、エチアジド、エチアジド、フェンキゾン、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、メチクロチアジド、メチクラン、メトラゾン、パラフルチジド、ポリチジド、テトラクロロメチアジド、トリクロルメチアジド)、有機水銀化合物(例えば、クロルメロドリン、メラルリド、メルカムファミド、メルカプトメリンナトリウム、メルクマリル酸、メルクマチリンドジウム、塩化第1水銀、マーサリル)、プテリジン(例えば、フルテレン、トリアムテレン)、プリン(例えば、アセフィリン、7−モルホリノメチルテオフィリン、パモブロム、プロテオブロミン、テオブロミン)、アルドステロン拮抗薬を含むステロイド(例えば、カンレノン、オレアンドリン、スピロノラクトン)、スルホンアミド誘導体(例えば、アセタゾラミド、アムブシド、アゾセミド、ブメタニド、ブタゾラミド、クロラミノフェナミド、クロフェナミド、クロパミド、クロレキソロン、ジフェニルメタン−4,4’−ジスルホンアミド、ジスルファミド、エトキスゾラミド、フロセミド、インダパミド、メフルシド、メタゾラミド、ピレタニド、キネタゾン、トラセミド、トリパミド、キシパミド)、ウラシル(例えば、アミノメトラジン、アミソメトラジン)、カリウム保持性拮抗薬(例えば、アミロリド、トリアムテレン)、あるいはアミノジンやアルブチン、クロラザニル、エタクリン酸、エトゾリン、ヒドラカルバジン、イソソルビド、マンニトール、メトカルコン、ムゾリミン、ペルヘキシリン、チクルナフェン、及び尿素などの種々雑多な利尿薬が含まれる。
強心薬としても知られる陽性変力薬の非限定的な例には、アセフィリン、アセチルジギトキシン、2−アミノ−4−ピコリン、アムリノン、ヘミコハク酸ベンフロジル、ブクラデシン、セルベロシン、カムホタミド、コンバラトキシン、シマリン、デノパミン、デスラノシド、ジギタリン、ジギタリス、ジギトキシン、ジゴキシン、ドブタミン、ドーパミン、ドペキサミン、エノキシモン、エリスロフェレイン、フェナルコミン、ギタリン、ギトキシン、グリコシアミン、ヘプタミノール、ヒドラスチニン、イボパミン、ラナトシド、メタミバム、ミルリノン、ネリホリン、オレアンドリン、オウアバイン、オキシフェドリン、プレナルテロール、プロシラリジン、レシブフォゲニン、シラレン、シラレニン、ストルファンチン、スルマゾール、テオブロミン、及びキサモテロールが含まれる。
特定の実施形態では、変力薬は、強心グリコシド、β−アドレナリン作動薬、又はホスホジエステラーゼ阻害薬である。強心グリコシドの非限定的な例には、ジゴキシン(ラノキシン)及びジギトキシン(クリストジギン)が含まれる。β−アドレナリン作動薬の非限定的な例には、アルブテロール、バムブテロール、ビトルテロール、カルブテロール、クレンブテロール、クロルプレナリン、デノパミン、ジオキセテドリン、ドブタミン(ドブトレックス)、ドーパミン(イントロピン)、ドペキサミン、エフェドリン、エタフェドリン、エチルノレピネフリン、フェノテロール、ホルモテロール、ヘキソプレナリン、イボパミン、イソエタリン、イソプロテレノール、マブテロール、メタプロテレノール、メトキシフェナミン、オキシフェドリン、ピルブテロール、プロカテロール、プロトキシロール、レプロテロール、リミテロール、リトドリン、ソテレノール、テルブタリン、トレトキノール、ツロブテロール、及びキサモテロールが含まれる。ホスホジエステラーゼ阻害薬の非限定的な例には、アムリノン(イノコール)が含まれる。
抗狭心症薬には、有機硝酸化合物、カルシウムチャネル遮断薬、β遮断薬、及びこれらの組合せを含めてもよい。
ニトロ血管拡張薬としても知られている有機硝酸化合物の非限定的な例には、ニトログリセリン(ニトロ−ビッド、ニトロスタット)、2硝酸イソソルビド(イソルジル、ソルビトレート)、及び硝酸アミル(アスピロール、バポロール)が含まれる。
エンドテリン(ET)は、心不全の発症に関わると考えられる強力な生理学的及び病態生理学的効果を発揮する21アミノ酸のペプチドである。ETの効果は、2種類の細胞表面受容体との相互作用を通して媒介される。A型受容体(ET-A)は、血管収縮及び細胞増殖に関連しており、一方B型受容体(ET-B)は、内皮細胞媒介性血管収縮及びアルドステロンなどのその他の神経ホルモンの放出に関連している。ETの生成あるいは関連ある細胞を刺激するその能力を阻害することができる薬剤は、当技術分野で知られている。ETの生成の阻害では、その前駆体からの活性ペプチドの処理に関わる酵素末端エンドセリン変換酵素を遮断する薬剤を使用する。細胞を刺激するETの能力の阻害では、ETとその受容体との相互作用を遮断する薬剤を使用する。エンドセリン受容体拮抗薬(ERA)の非限定的な例には、ボセンタン、エンラセンタン、アムブリセンタン、ダルセンタン、テゾセンタン、アトラセンタン、アボセンタン、クラゾセンタン、エドネンタン、シタクスセンタン、TBC 3711、BQ 123、及びBQ 788が含まれる。
ある実施形態では、2次的な治療薬に、例えば予防的、診断的、又は進展度診断的な、治癒及び軽減のための手術を含む、いくつかのタイプの外科処置を含めてもよい。手術、特に治癒のための手術は、本発明や1種又は複数のその他の薬剤など、その他の治療薬と併せて使用してもよい。
血管及び心臓血管の疾患及び障害のためのそのような外科的治療薬は、当業者に周知であり、限定するものではないが器官に対して手術を行うこと、心臓血管の機械式プロテーゼを提供すること、血管形成、冠状動脈再潅流、カテーテルアブレーション、対象に対して移植可能な心臓徐細動器を提供すること、機械式循環支援、又はこれらの組合せを含めてもよい。本発明で使用してもよい機械式循環支援の非限定的な例には、大動脈内バルーン反対拍動法、左心室補助デバイス、又はこれらの組合せが含まれる。
筋骨格系疾患を治療する方法
本発明は、骨格筋細胞での速骨格筋収縮タンパク質遺伝子の発現又は活性を減少させる方法も提供する。一実施形態では、この方法は、miR−499及び/又はmiR−208bを骨格筋細胞に投与する工程を含む。
いくつかの速骨格筋収縮タンパク質遺伝子の上方制御を、miR−208対立遺伝子を両方とも欠くマウスの心臓で観察した。miR−208bノックアウトマウスの心臓での速骨格筋収縮タンパク質遺伝子のこの上方制御は、miR−208が正常に機能して速骨格筋遺伝子プログラムを抑制することを示している。同時に生ずるmiR−499発現の減少を、miR−208変異マウスで観察し、miR−499も速骨格筋収縮タンパク質遺伝子の発現を負に調節し得ることが示唆された。β−MHC遺伝子のイントロンによってコードされたmiR−208bは、miR−208とは3個の塩基のみ異なり、心筋及び遅骨格筋でのみ発現する。このように、miR−208bは、速骨格筋遺伝子プログラムも調節することができ、線維の同一性を決定することができる。
骨格筋では、遅筋線維遺伝子の抑制及び速筋線維遺伝子の活性化は、限定するものではないが非活動性萎縮、抗重量に応答した筋肉疲労、及び除神経を含めた数多くの筋骨格系障害に関連している。このように、骨格筋細胞でのmiR−208、miR−208b、又はmiR−499の発現は、速筋線維遺伝子の抑制に役立てることができ、それによって遅筋線維遺伝子の相互発現が活性化される。したがって本発明は、その必要がある対象の筋骨格系障害を治療又は予防するための方法も包含する。一実施形態では、この方法は、筋骨格系障害の危険性を有する、あるいは危険性がある対象を特定する工程と、前記対象の骨格筋細胞でのmiR−499及び/又はmiR−208bの発現及び/又は活性を増大させる工程とを含む。いくつかの実施形態では、miR−499及び/又はmiR−208bの発現及び/又は活性を増大させる工程は、miR−499及び/又はmiR−208bの作動薬を、筋骨格系障害を発症する危険性を有する、あるいはその危険性がある対象の骨格筋に投与する工程を含んでもよい。別の実施形態では、本発明は、miR−499及び/又はmiR−208bの作動薬を骨格筋に投与することによって、低重力環境に応答した筋肉疲労を治療又は予防する方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、miR−499又はmiR−208bを骨格筋に投与することによって、筋萎縮を治療又は予防する方法を提供する。
さらに、本明細書に示される結果は、miR−499又はmiR−208b発現を高めることによって遅筋線維遺伝子発現を増大させる戦略を使用して、インスリン感受性を増大させることができることを示唆している。骨格筋は、ヒトにおけるインスリン刺激グルコース摂取の大部分に関与している。インスリン耐性は、II型糖尿病の患者に見られるインスリン刺激グルコース摂取の欠乏である。インスリン耐性と遅対速痙攣筋線維のパーセンテージとの間に相関がある。このように別の実施形態では、本発明は、骨格筋細胞でのmiR−499及び/又はmiR−208bの発現及び/又は活性を増大させる工程を含む、骨格筋でのインスリン感受性を増大させる方法を企図している。
本発明のいくつかの実施形態では、細胞でのmiR−499又はmiR−208bの発現又は活性を増大させる工程は、miR−499又はmiR−208bの作動薬を投与する工程を含む。一実施形態では、miR−499又はmiR−208bの作動薬は、成熟miR−499又はmiR−208b配列を含むポリヌクレオチドであってもよい。別の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号26又は配列番号27の配列を含む。別の実施形態では、miR−499又はmiR−208bの作動薬は、miR−499又はmiR−208bのpri−miRNA又はpre−miRNA配列を含むポリヌクレオチドであってもよい。成熟miR−499又はmiR−208b配列を含むポリヌクレオチドは、一本鎖又は二本鎖であってもよい。ポリヌクレオチドは、ロックト核酸やペプチド核酸などの1つ又は複数の化学修飾、2’−O−アルキル(例えば、2’−O−メチル、2’−O−メトキシエチル)や2’−フルオロ及び4’チオ修飾などの糖修飾と、1つ又は複数のホスホロチオエート、モルホリノ、又はホスホノカルボキシレート結合などの主鎖修飾を含有してもよい。一実施形態では、miR−499又はmiR−208b配列を含むポリヌクレオチドがコレステロールに結合する。別の実施形態では、miR−499又はmiR−208bの作動薬は、miR−499及び/又はmiR−208bの機能を増大させ、補い、又は置換するよう作用するmiR−499又はmiR−208bとは異なる薬剤であってもよい。
別の実施形態では、miR−499又はmiR−208bの作動薬は、ベクターからin vivoで発現してもよい。「ベクター」は、問題の核酸を細胞の内部に送達するのに使用することができる組成物である。限定するものではないが直鎖型ポリヌクレオチド、イオン性又は両親媒性化合物に結合したポリヌクレオチド、プラスミド、又はウイルスを含めた数多くのベクターが、当技術分野では知られている。したがって、「ベクター」という用語は、自己複製プラスミド又はウイルスを含む。ウイルスベクターの例には、限定するものではないがアデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、及びレトロウイルスベクターなどが含まれる。発現構造は、生細胞内で複製することができ、又は合成によって作製することができる。本出願の目的で、「発現構造」、「発現ベクター」、及び「ベクター」という用語は、一般的な例示の意味で本発明の適用を実証するために同義に使用され、本発明を限定するものではない。
一実施形態では、miR−499又はmiR−208bを発現するための発現ベクターは、miR−499又はmiR−208bをコードするポリヌクレオチドに「作動可能に連結された」プロモーターを含む。本明細書で使用される「作動可能に連結された」又は「転写制御下」という文言は、プロモーターがポリヌクレオチドに対して正しい位置及び向きにあり、その結果、RNAポリメラーゼによる転写の開始及びポリヌクレオチドの発現が制御されることを意味する。miR−499をコードするポリヌクレオチドは、1次マイクロRNA−499配列(pri-miR-499)、前駆体マイクロRNA−499配列(pre-miR-499)、又は成熟miR−499配列をコードしてもよい。miR−208bをコードするポリヌクレオチドは、1次マイクロRNA−208b配列(pri-miR-208b)、前駆体マイクロRNA−208b配列(pre-miR-208b)、又は成熟miR−208b配列をコードしてもよい。いくつかの実施形態では、発現ベクターは、プロモーターに作動可能に連結されたポリヌクレオチドを含み、前記ポリヌクレオチドは配列番号26又は配列番号27の配列を含む。配列番号26又は配列番号27の配列を含むポリヌクレオチドは、長さ約18〜約2000ヌクレオチド、長さ約70〜約200ヌクレオチド、長さ約20〜約50ヌクレオチド、又は長さ約18〜約25ヌクレオチドであってもよい。その他の実施形態では、miR−499又はmiR−208bをコードするポリヌクレオチドは、イントロンをコードする核酸内に、あるいはmRNAの非翻訳領域をコードする核酸内に、あるいは非コードRNA内に位置する。一実施形態では、発現構造は、Myh7b遺伝子の20番目のイントロンの配列を含有してもよい。別の実施形態では、発現構造は、Myh7(β-MHC)遺伝子の31番目の配列を含有してもよい。
別の実施形態では、発現ベクターは、miR−499及び/又はmiR−208bの阻害薬を細胞又は対象に送達するのに使用してもよい。miR−499又はmiR−208bの阻害薬を発現させるための発現ベクターは、アンチセンスオリゴヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含み、この発現したアンチセンスオリゴヌクレオチドの配列は、成熟miR−499又はmiR−208b配列に部分的に又は完全に相補的なものである。さらに別の実施形態では、miR−499又はmiR−208bの阻害薬を発現させるための発現ベクターは、shRNA又はsiRNAをコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された1つ又は複数のプロモーターを含み、この発現したshRNA又はsiRNAは、成熟miR−499又はmiR−208b配列と同一の、あるいは部分的に同一の配列を含むものである。「部分的に同一」は、標的ポリヌクレオチド配列に対して少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%が同一の配列を指す。
本出願の全体を通して、「発現構造」という用語は、核酸コード配列の一部又は全てを転写することができる遺伝子産物をコードする核酸を含有する、任意のタイプの遺伝子構造を含むことを意味する。転写物は、タンパク質に翻訳してもよいが、必ずしもその必要はない。いくつかの実施形態では、発現は、問題の遺伝子をコードする核酸の転写のみ含む。
ある実施形態では、問題のポリヌクレオチドをコードする核酸は、プロモーターの転写制御下にある。「プロモーター」は、遺伝子の特定の転写を開始するのに必要な、細胞の合成機構、又は導入された合成機構によって認識された、DNA配列を指す。プロモーターという用語は、RNAポリメラーゼの開始部位の周りにクラスター形成された転写制御モジュールの群を指すため、本明細書で使用されることになる。プロモーターをどのように組織化するかに関する考えの多くは、HSVチミジンキナーゼ(tk)及びSV40早期転写単位に関するものを含めたいくつかのウイルスプロモーターの分析から得られる。より最近の研究によって増強されたこれらの研究は、プロモーターが、それぞれ約7〜20bpのDNAからなりかつ転写アクチベーター又はリプレッサータンパク質用の1つ又は複数の認識部位を含有している、個別の機能的モジュールからなることを示した。
各プロモーター内の少なくとも1つのモジュールは、RNA合成の開始部位を位置付けるよう機能する。この最も良く知られている例はTATAボックスであるが、哺乳類末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ遺伝子のプロモーターやSV40後期遺伝子のプロモーターなど、TATAボックスが不十分ないくつかのプロモーターでは、開始部位そのものの上にある個別のエレメントが、開始の場所を固定するのを助ける。
追加のプロモーターエレメントは、転写開始の頻度を調節する。典型的には、これらは、開始部位から30〜110bp上流の領域内に位置するが、いくつかのプロモーターは、開始部位の下流にも機能的エレメントを含有することが最近示された。プロモーターエレメント同士の間隔はしばしば柔軟性があり、したがってプロモーター機能は、これらエレメントが互いに反転又は移動したときに保存される。tkプロモーターでは、プロモーターエレメント同士の間隔を、活性が低下する前に50bp引き離すことができる。プロモーターに応じて、個々のエレメントは協調的に、あるいは独立して、転写を活性化するよう機能することができるように見える。
その他の実施形態では、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)前初期遺伝子プロモーター、SV40初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスの長い末端反復、ラットインスリンプロモーター、RNA pol IIIプロモーター、及びクリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼプロモーターを使用して、問題のポリヌクレオチドの高レベルの発現を得ることができる。問題のポリヌクレオチドを発現させるための、当技術分野で周知のその他のウイルス又は哺乳類細胞もしくは細菌ファージプロモーターの使用も同様に企図されるが、発現レベルが所与の目的に十分であることを条件とする。
周知の性質を有するプロモーターを用いることによって、形質移入又は形質転換後に問題のポリヌクレオチドの発現のレベル及びパターンを、最適化することができる。さらに、特定の生理学的シグナルに応答して調節されるプロモーターの選択によって、遺伝子産物の誘導発現を行うことができる。表1及び2は、問題の遺伝子の発現を調節するために、本発明の文脈で用いてもよいいくつかの調節エレメントを列挙する。このリストは、遺伝子発現の促進に関与する可能性があるエレメントの全てを網羅したものではなく、単にそのエレメントを例示したものである。
エンハンサーは、DNAの同じ分子の遠位に位置するプロモーターからの転写を増加させる遺伝エレメントである。エンハンサーは、プロモーターと同様に組織化される。即ちエンハンサーは、それぞれが1種又は複数の転写タンパク質に結合する多くの個々のエレメントからなる。
エンハンサーとプロモーターとの間の基本的な区別は、実用可能である。エンハンサー領域は全体として、ある距離を隔てて転写を刺激することができなければならず、これは、プロモーター領域又はその成分エレメントに関して必ずしも真実である必要はない。一方、プロモーターは、特定の部位及び特定の向きでRNA合成の開始を誘導する1つ又は複数のエレメントを持たなければならず、それに対してエンハンサーは、これらの特異性に欠けている。プロモーター及びエンハンサーは、しばしば重複及び近接し、しばしば非常に類似したモジュラー組織を有するように見える。
以下は、発現構造内で問題の遺伝子をコードする核酸と組み合わせて使用することができる、ウイルスプロモーター、細胞プロモーター/エンハンサー、及び誘導性プロモーター/エンハンサーのリストである(表1及び表2)。さらに、任意のプロモーター/エンハンサーの組合せ(真核プロモーターデータベースEPDBのように)を、遺伝子発現の促進に使用することができる。真核細胞は、送達複合体の一部として、あるいは追加の遺伝子発現構造として、適切な細菌ポリメラーゼが提供された場合、ある細菌プロモーターからの細胞質転写を支援することができる。
特に関心が持たれているのは、筋特異的プロモーター(例えば、筋クレアチンキナーゼ)であり、より特定すれば心特異的プロモーターである。これらのプロモーターには、ミオシン軽鎖−2プロモーター(Franzら、1994; Kellyら、1995)、αアクチンプロモーター(Mossら、1996)、トロポニン1プロモーター(Bhavsarら、1996);Na/Ca2+エクスチェンジャープロモーター(Barnesら、1997)、ジストロフィンプロモーター(Kimuraら、1997)、α7インテグリンプロモーター(Ziober及びKramer、1996)、脳ナトリウム利尿ペプチドプロモーター(LaPointeら、1996)、及びαB−クリスタリン/低分子量熱ショックタンパク質プロモーター(Gopal-Srivastava、1995)、αミオシン重鎖プロモーター(Yamauchi-Takiharaら、1989)、及びANFプロモーター(LaPointeら、1988)が含まれる。
cDNAインサートを用いる場合、典型的には、遺伝子転写物の適正なポリアデニル化が行われるように、ポリアデニル化シグナルを含むことが望まれる。ポリアデニル化シグナルの性質は、本発明を首尾良く実施するのに極めて重要とは考えられず、ヒト成長ホルモンやSV40ポリアデニル化シグナルなどの任意のそのような配列を用いてもよい。発現カセットのエレメントとしては、ターミネーターも企図される。これらのエレメントは、メッセージレベルを高めるように、かつカセットからその他の配列へのリードスルーを最小限に抑えるように働くことができる。
本発明のある実施形態では、本発明の核酸構造を含有する細胞を、発現構造にマーカーを含めることによってin vitroで、あるいはin vivoで特定することができる。そのようなマーカーは、特定可能な変化を細胞にもたらし、発現構造を含有する細胞の容易な特定を可能にする。通常、薬物選択マーカーを含めることによって、形質転換体のクローニング及び選択が支援され、例えば、ネオマイシン、プロマイシン、ヒグロマイシン、DHFR、GPT、ゼオシン、及びヒスチジノールに耐性を与える遺伝子が、有用な選択可能なマーカーである。あるいは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(tk)やクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)などの酵素を用いてもよい。免疫学的マーカーを用いることもできる。用いられる選択可能なマーカーは、遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現することが可能である限り、重要とは考えられない。選択可能なマーカーのその他の例は、当業者に周知である。
発現ベクターを細胞に導入することができるいくつかの方法がある。本発明のある実施形態では、発現構造が、ウイルスゲノムからのウイルス又は設計製作された構造を含む。あるウイルスが、受容体媒介性エンドサイトーシスを介して細胞に進入し、宿主細胞と一体化し、ウイルス遺伝子を安定にかつ効率的に発現する能力によって、このウイルスは、外来遺伝子が哺乳類細胞に移動するのに魅力的な候補になった(Ridgeway、1988; Nicolas及びRubenstein、1988; Baichwal及びSugden、1986; Temin、1986)。
in vivo送達に好ましい方法の1つでは、アデノウイルス発現ベクターを使用する。「アデノウイルス発現ベクター」は、(a)構造のパッケージングを支援し、(b)内部でクローニングされたポリヌクレオチドを発現するのに十分なアデノウイルス配列を含有するような構造を含むことを意味する。発現ベクターは、アデノウイルスの遺伝子組換え形態を含む。アデノウイルス、36kB直鎖型二本鎖DNAウイルスの遺伝子構成の知識により、アデノウイルスDNAの大部分を7kBまでの外来配列で置換することが可能である(Grunhaus及びHorwitz、1992)。レトロウイルスとは対照的に、宿主細胞のアデノウイルス感染は染色体の組込みをもたらさないが、それはアデノウイルスDNAが、潜在的な遺伝毒性無しでエピソーム的手法により複製できるからである。また、アデノウイルスは構造的に安定であり、広範な増幅後にゲノム再配列が検出されなかった。アデノウイルスは、その細胞周期段階とは無関係に、事実上全ての上皮細胞に感染することができる。
アデノウイルスは、その中程度のサイズのゲノム、操作のしやすさ、高い力価、広い標的細胞範囲、及び高い感染性により、遺伝子導入ベクターとしての使用に特に適している。ウイルスゲノムの両端は、ウイルスDNA複製及びパッケージングに必要なcisエレメントである100〜200塩基対逆方向反復(ITR)を含有する。
アデノウイルスベクターが複製欠損であるか、又は少なくとも条件付き欠損であるという要件以外、アデノウイルスベクターの性質は、本発明を首尾良く実施するのに極めて重要とは考えられない。アデノウイルスは、42の異なる既知の血清型又はサブグループA〜Fのいずれかであってもよい。サブグループCのアデノウイルス5型は、本発明で使用される条件付き複製欠損アデノウイルスベクターを得るための、好ましい出発材料である。これは、アデノウイルス5型が、多量の生化学及び遺伝情報について知られているヒトアデノウイルスであるからであり、ベクターとしてアデノウイルスを用いるほとんどの構造で歴史的に使用されてきた。
上述のように、本発明による典型的なベクターは複製欠損であり、アデノウイルスE1領域を持たないことになる。したがって、E1コード配列が除去される位置で、問題の遺伝子をコードするポリヌクレオチドを導入するのに最も都合が良くなる。しかし、アデノウイルス配列内の構造の挿入位置は、本発明では重要でない。問題の遺伝子をコードするポリヌクレオチドは、Karlssonら(1986)によって記述されるように、E3置換ベクターの欠失E3領域の代わりに、ヘルパー細胞系もしくはヘルパーウイルスがE4欠損を補完するE4領域で挿入されてもよい。
アデノウイルスベクターは、真核生物遺伝子の発現(Levreroら、1991; Gomez-Foixら、1992)及びワクチン開発(Grunhaus及びHorwitz、1992; Graham及びPrevec、1991)で使用した。最近の動物研究では、組換えアデノウイルスを遺伝子療法に使用できることが示唆された(Stratford-Perricaudet及びPerricaudet、1991; Stratford-Perricaudetら、1990; Richら、1993)。組換えアデノウイルスを種々の組織に投与する研究は、気管注入(Rosenfeldら、1991; Rosenfeldら、1992)、筋肉注射(Ragotら、1993)、抹消静脈注射(Herz及びGerard、1993)、及び脳への定位接種(Le Gal La Salleら、1993)を含む。
レトロウイルスベクターは、細胞内で本発明のポリヌクレオチドを発現させるのにも適している。レトロウイルスは、そのRNAを、逆転写のプロセスによって感染細胞内で二本鎖DNAに変換する能力を特徴とする、一本鎖RNAウイルスの群である(Coffin、1990)。次いで得られたDNAを、プロウイルスとして細胞染色体に安定に組み込み、ウイルスタンパク質の合成を誘導する。組込みは、受容細胞及びその後継でのウイルス遺伝子配列の保持をもたらす。レトロウイルスゲノムは、カプシドタンパク質、ポリメラーゼ酵素、及びエンベロープ成分をそれぞれコードする3つの遺伝子、gag、pol、及びenvを含有する。gag遺伝子の上流で見出される配列は、ゲノムをビリオンにパッケージングするためのシグナルを含有する。2つの長い末端反復(LTR)配列は、ウイルスゲノムの5’及び3’末端に存在する。これらの配列は、強力なプロモーター及びエンハンサー配列を含有し、宿主細胞ゲノムへの組込みも必要とする(Coffin、1990)。
レトロウイルスベクターを構成するために、問題の遺伝子をコードする核酸を、あるウイルス配列の位置でウイルスゲノムに挿入して、複製欠損であるウイルスを生成する。ビリオンを生成するために、gag、pol、及びenv遺伝子を含有するがLTR及びパッケージング成分を含まないパッケージング細胞系が構成される(Mannら、1983)。レトロウイルスLTR及びパッケージング配列と共にcDNAを含有する組換えプラスミドを、この細胞系に導入する場合(例えば、リン酸カルシウム沈殿によって)、パッケージング配列は、組換えプラスミドのRNA転写物をウイルス粒子にパッケージすることが可能になり、次いで培地に分泌される(Nicolas及びRubenstein、1988; Temin、1986; Mannら、1983)。次いで組換えレトロウイルスを含有する培地を収集し、任意選択により濃縮し、遺伝子導入に使用する。レトロウイルスベクターは、広く様々な細胞型に感染することができる。しかし、組込み及び安定な発現は、宿主細胞の分裂を必要とする(Paskindら、1975)。
その他のウイルスベクターは、本発明で発現構造として用いてもよい。ワクシニアウイルス(Ridgeway、1988; Baichwal及びSugden、1986; Couparら、1988)アデノ随伴ウイルス(AAV)(Ridgeway、1988; Baichwal及びSugden、1986; Hermonat及びMuzycska、1984)、及びヘルペスウイルスなどウイルスから得られたベクターを使用してもよい。これらのベクターは、様々な哺乳類細胞に関していくつかの魅力的な特徴を提供する(Friedmann、1989; Ridgeway、1988; Baichwal及びSugden、1986; Couparら、1988; Horwichら、1990)。
センス又はアンチセンス遺伝子構造の発現を行うために、発現構造を細胞に送達しなければならない。この送達は、細胞系を形質転換する実験室手順のようにin vitroで、あるいはある疾患状態の治療のようにin vivoもしくはex vivoで実現してもよい。送達のための1つの機構は、ウイルス完成を介するものであり、発現構造が感染性ウイルス粒子内にカプシド形成される。
発現構造を培養哺乳類細胞内に移動させるためのいくつかの非ウイルス的方法も、本発明によって企図される。これらの方法は、リン酸カルシウム沈殿(Graham及びVan Der Eb、1973; Chen及びOkayama、1987; Rippeら、1990)、DEAE−デキストラン(Gopal、1985)、電気穿孔法(Tur-Kaspaら、1986; Potterら、1984)、直接微量注入(Harland and Weintraub, 1985)、DNA−負荷リポソーム(Nicolau及びSene、1982; Fraleyら、1979)、及びリポフェクタミン−DNA複合体、細胞超音波処理(Fechheimerら、1987)、高速微粒子銃を使用した遺伝子照射(Yangら、1990)、及び受容体媒介性形質移入(Wu及びWu、1987; Wu及びWu, 1988)を含む。これら技法のいくつかは、in vivo又はex vivoでの使用で首尾良く適応させることができる。
発現構造が細胞内に送達されると、問題の遺伝子をコードする核酸を様々な部位に位置付け、発現させることができる。ある実施形態では、遺伝子をコードする核酸は、細胞のゲノムに安定して組み込むことができる。この組込みは、同族組換え(遺伝子置換)を介した同種の位置及び向きであってもよく、あるいはランダムな非特異的位置に組み込んでもよい(遺伝子増加)。さらに別の実施形態では、核酸を、DNAの別のエピソームセグメントとして細胞内で安定に維持することができる。そのような核酸セグメント又は「エピソーム」は、宿主細胞周期とは無関係に、あるいは同調して、維持及び複製を可能にするのに十分な配列をコードする。発現構造を細胞にどのように送達するか、及び細胞内で核酸がどこに残っているかは、用いられる発現構造のタイプに依存する。
本発明のさらに別の実施形態では、発現構造は、裸の組換えDNA又はプラスミドからのみなる。この構造の移動は、細胞膜を物理的に、あるいは化学的に透過可能にする上述の方法のいずれかによって行うことができる。これは、特にin vitroでの移動に適用可能であるが、in vivoでの使用にも適用することができる。Dubenskyら(1984)は、リン酸カルシウム沈殿物の形をとるポリオーマウイルスDNAを、成体及び新生マウスの肝臓及び脾臓に首尾良く注入し、活発なウイルス複製及び急性感染を実証した。Benvenisty及びNeshif(1986)も、リン酸カルシウム沈殿プラスミドの直接腹腔内注射の結果、トランスフェクトされた遺伝子が発現したことを実証した。問題の遺伝子をコードするDNAは、in vivoで同様の手法で移動させることができ、かつ遺伝子産物を発現できることも考えられる。
裸のDNA発現構造を細胞に移動させるための、本発明のさらに別の実施形態では、粒子衝突を行ってもよい。この方法は、DNAコーティングされた微小発射物を高速に加速させて、細胞膜を穿孔させ、死滅させることなく細胞に進入することができる能力に依存する(Kleinら、1987)。小粒子を加速させるためのいくつかの機器が、開発されてきた。そのような1つの機器は、電流を発生させるのに高電圧放電を利用し、それによって動力を供給する(Yangら、1990)。使用される微小発射物は、タングステンや金のビーズなど、生物学的に不活性な物質からなる。
ラット及びマウスの肝臓、皮膚、及び筋組織を含めた選択された器官に、in vivoで衝撃を与えた(Yangら、1990; Zeleninら、1991)。これは、銃と標的器官との間で任意の介在組織を無くすため、即ちex vivo処置のため、組織又は細胞の外科的曝露を必要とし得る。この場合も、特定の遺伝子をコードするDNAは、この方法を介して送達されてもよく、依然として本発明により組み込むことができる。
本発明のその他の実施形態では、発現構造をリポソームに閉じ込めてもよい。リポソームは、リン脂質2重層膜及び内部水性媒体を特徴とする小胞構造である。多重膜リポソームは、水性媒体によって分離された多数の脂質層を有する。これらのリポソームは、リン脂質が過剰な水溶液に懸濁したときに自発的に形成される。脂質成分は、閉構造の形成の前に自己再配列し、水を閉じ込め、脂質2重層の間に溶質を溶解する(Ghosh及びBachhawat、1991)。リポフェクタミン−DNA複合体も企図される。
in vitroでの、リポソーム媒介性核酸送達及び外来DNAの発現は、非常に首尾良く行われた。Wongら(1980)は、培養されたニワトリ胚、HeLa及びヘパトーマ細胞での、リポソーム媒介性送達及び外来DNAの発現の実現可能性を実証した。Nicolauら(1987)は、静脈内注射後にラットで首尾良く行われるリポソーム媒介性遺伝子移動を実現した。
本発明のある実施形態では、リポソームを赤血球凝集ウイルス(HVJ)と複合させてもよい。これは、細胞膜との融合を容易にし、リポソーム被包DNAの細胞進入を促進させることが示された(Kanedaら、1989)。その他の実施形態では、リポソームは、核非ヒストン染色体タンパク質(HMG-1)と複合し、あるいは併せて用いることができる(Katoら、1991)。さらに別の実施形態では、リポソームを、HVJ及びHMG−1と複合させ、あるいは併せて用いることができる。そのような発現構造が、in vitro及びin vivoで核酸の移動及び発現に首尾良く用いられた場合、これらの構造は本発明に適用可能である。細菌プロモーターをDNA構造に用いる場合、適切な細菌ポリメラーゼをリポソーム内に含むことも望ましくなる。
特定の遺伝子をコードする核酸を細胞内に送達するのに用いることができる、その他の発現構造は、受容体媒介性送達ビヒクルである。これらのビヒクルは、ほぼ全ての真核細胞における受容体媒介性エンドサイトーシスによる、高分子の選択的摂取を利用する。様々な受容体の細胞型特異的分布により、送達は、非常に特異的に行うことができる(Wu及びWu、1993)。
受容体媒介性遺伝子標的ビヒクルは、一般に、2つの成分、即ち細胞受容体特異的リガンド及びDNA結合剤からなる。いくつかのリガンドを、受容体媒介性遺伝子移動のために使用した。最も詳細にわたって特徴付けられたリガンドは、アシアロオロソムコイド(ASOR)(Wu及びWu、1987)及びトランスフェリン(Wagnerら、1990)である。最近、ASORと同じ受容体を認識する合成ネオグリコタンパク質を遺伝子送達ビヒクルとして使用し(Ferkolら、1993; Peralesら、1994)、表皮成長因子(EGF)も、遺伝子を扁平上皮癌細胞に送達するのに使用した(Myers、EPO 0273085)。
その他の実施形態では、送達ビヒクルは、リガンド及びリポソームを含んでもよい。例えばNicolauら(1987)は、リポソームに組み込まれたラクトシル−セラミド、ガラクトース末端アシアルガングリオシドを用い、肝細胞によるインスリン遺伝子の摂取の増加が観察された。このように、特定の遺伝子をコードする核酸を、リポソームを含む、あるいは含んでいない任意の数の受容体−リガンド系によって細胞型に特異的に送達できることは、可能性のあることである。例えば、表皮成長因子(EGF)は、EGF受容体の上方制御を示す細胞内への核酸の媒介性送達の受容体として使用することができる。マンノースは、肝細胞にマンノース受容体を向けるのに使用することができる。また、CD5(CLL)、CD22(リンパ腫)、CD25(T細胞白血病)、及びMAA(メラノーマ)に対する抗体を、標的部分として同様に使用することができる。
特定の例では、ポリヌクレオチドを陽イオン脂質と組み合わせて投与してもよい。陽イオン脂質の例には、限定するものではないがリポフェクチン、DOTMA、DOPE、及びDOTAPが含まれる。参照により特に組み込まれるWO/0071096の公報は、DOTAP、即ち遺伝子療法に効果的に使用することができるコレステロール又はコレステロール誘導体製剤など、種々の製剤について記述している。その他の開示は、ナノ粒子を含む種々の脂質又はリポソーム製剤と、投与方法についても論じており、これらには、限定するものではないが米国特許公開第20030203865号、第20020150626号、第20030032615号、及び第20040048787号が含まれ、いずれも、製剤とその他の関連する核酸の投与及び送達形態を及びその他の関連する投与態様を開示する程度まで、参照により特に組み込まれているものである。粒子を形成するのに使用される方法も、それらの態様に関して参照により組み込まれている米国特許第5,844,107号、第5,877,302号、第6,008,336号、第6,077,835号、第5,972,901号、第6,200,801号、及び第5,972,900号に開示されている。
ある実施形態では、遺伝子移動は、ex vivo条件下でより容易に行うことができる。ex vivo遺伝子療法は、動物から細胞を単離し、in vitroで細胞内に核酸を送達し、次いで修飾した細胞を元の動物に戻すことを指す。この療法では、動物からの組織/器官の外科的除去、又は細胞及び組織の1次培養を行う。
薬物製剤及び対象への投与経路
本発明は、miR−499及び/又はmiR−208bの阻害薬又は作動薬を含む医薬品組成物も包含する。臨床的用途が企図される場合、医薬品組成物は、意図される用途に適した形で調製されることになる。一般に、この調製では、本質的に発熱物質が無く、それと共にヒト又は動物に有害となり得るその他の不純物が無い、組成物が調製される。
高分子複合体、ナノカプセル、微小球、ビーズ、及び水中油エマルジョンやミセル、混合ミセル、リポソームなどの脂質をベースにした系などのコロイド分散系は、マイクロRNA機能のオリゴヌクレオチド阻害薬の送達ビヒクルとして、又は特定のマイクロRNAを発現する構造として、使用してもよい。本発明の核酸を心筋及び骨格筋組織に送達するの適した市販の脂肪エマルジョンには、Intralipid(登録商標)、Liposyn(登録商標)、Liposyn(登録商標)II、Liposyn(登録商標)III、Nutrilipid、及びその他同様の脂質エマルジョンが含まれる。in vivoで送達ビヒクルとして使用するのに好ましいコロイド系は、リポソーム(即ち、人工膜ベシクル)である。そのような系の調製及び使用は、当技術分野で周知である。例示的な製剤は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている米国特許第5,981,505号、第6,217,900号、第6,383,512号、第5,783,565号、第7,202,227号、第6,379,965号、第6,127,170号、第5,837,533号、第6,747,014号、及びWO03/093449にも開示されている。
一般に、送達ビヒクルを安定にし、標的細胞による摂取を可能にする、適切な塩及び緩衝液を用いることが望まれる。緩衝液は、組換え細胞が対象に導入されるときにも用いられることになる。本発明の水性組成物は、医薬品として許容される担体又は水性媒体に溶解あるいは分散させた、阻害薬であるポリヌクレオチド又はmiRNAポリヌクレオチド配列(例えば、リポソーム又はその他の複合体又は発現ベクター)又は細胞を含む、有効量の送達ビヒクルを含む。「医薬品として許容される」又は「薬理学的に許容される」という文言は、動物又はヒトに投与したときに、有害な、アレルギー性の、又はその他の不適当な反応をもたらさない分子の部分及び組成物を指す。本明細書で使用される「医薬品として許容される担体」には、ヒトへの投与に適した医薬品などの、医薬品の配合に使用するのに適切な、溶媒、緩衝液、溶液、分散媒体、コーティング、抗細菌及び抗真菌薬、等張及び吸収遅延薬などが含まれる。医薬品として活性な物質にそのような媒体及び薬剤を使用することは、当技術分野で周知である。任意の従来の培地又は薬剤が本発明の活性成分に適合しない範囲を除き、治療組成物に使用することが企図される。組成物のベクター又は細胞を不活性にしないことを条件に、追加の活性成分を組成物に組み込むこともできる。
本発明の活性組成物は、古典的な医薬品調製物を含んでもよい。本発明によるこれら組成物の投与は、その投与経路を介して標的組織が利用可能である限り、任意の一般的な経路を介するものであってもよい。この経路には、経口、経鼻、又は経頬が含まれる。あるいは投与は、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、又は静脈内注射によるもの、又は心組織への直接注射によるものであってもよい。miRNA阻害薬を含む医薬品組成物又はmiRNA配列を含む発現構造は、カテーテルシステムによって、又は治療薬を心臓に送達するために冠状動脈循環を分離するシステムによって、投与してもよい。治療薬を心臓及び冠状血管構造に送達するための様々なカテーテルシステムは、当技術分野で知られている。本発明での使用に適したカテーテルをベースにした送達方法又は冠状動脈分離法の、いくつかの非限定的な例は、参照によりその全体が本明細書に全て組み込まれている米国特許第6,416,510号、米国特許第6,716,196号、米国特許第6.953,466号、WO 2005/082440、WO 2006/089340、米国特許公開第2007/0203445号、米国特許公開第2006/0148742号、及び米国特許公開第2007/0060907号に開示されている。そのような組成物は、通常、上述のように医薬品として許容される組成物として投与されることになる。
活性化合物は、非経口的に、あるいは腹腔内から投与してもよい。例示として、遊離塩基又は薬理学的に許容される塩としての活性化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合して調製することができる。分散液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物中で、また油中で調製することもできる。貯蔵及び使用の通常の条件下、これらの調製物は一般に、微生物の増殖を防止する防腐剤を含有する。
注射での使用又はカテーテル送達に適した医薬品形態には、例えば、滅菌水性溶液又は分散液と、滅菌注射液又は分散液を即時調製するための滅菌粉末が含まれる。一般にこれら調製物は、容易に注射することができる可能性が存在する程度まで、滅菌されかつ流体である。調製物は、製造及び貯蔵の条件下で安定であるべきであり、細菌や真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されるべきである。適切な溶媒又は分散媒体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、これらの適切な混合物、及び植物油を含有してもよい。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、また分散液の場合には必要とされる粒度を維持することによって、また界面活性剤を使用することによって、維持することができる。微生物の動作の防止は、様々な抗細菌及び抗真菌薬、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、及びチメロサールなどによって行うことができる。多くの場合、等張薬、例えば糖又は塩化ナトリウムを含むことが好ましくなる。注射組成物の長期にわたる吸収は、吸収を遅らせる薬剤の組成物、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンで使用することによって、行うことができる。
滅菌注射液は、活性化合物を適切な量で、所望の任意のその他の成分(例えば、上記にて列挙されたもの)と共に溶媒に組み込み、その後、滅菌濾過することによって調製してもよい。一般に分散液は、様々な滅菌活性成分を、塩基性分散媒体及び所望のその他の成分、例えば上記にて列挙されたものを含有する滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌注射液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法には、(1種又は複数の)活性成分と、任意の追加の所望の成分であって先に滅菌濾過されたその溶液からの成分との粉末をもたらす、真空乾燥及び凍結乾燥技法が含まれる。
本発明の組成物は、一般に、天然、あるいは塩の形で配合してもよい。医薬品として許容される塩には、例えば、無機酸(例えば、塩酸又はリン酸)又は有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、及びマンデル酸など)由来の酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基で形成される)が含まれる。タンパク質の遊離カルボキシル基で形成された塩は、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、又は第2鉄)又は有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、及びプロカインなど)から得ることもできる。
配合したら、溶液は、投薬製剤に適合する手法で、かつ治療上有効になるような量で、投与することが好ましい。この製剤は、注射液や薬物放出カプセルなどの様々な剤形で、容易に投与することができる。例えば、水溶液での非経口投与では、この溶液は一般に、適切に緩衝され、液体希釈液はまず、例えば十分な生理食塩液又はグルコースで等張的にされる。そのような水溶液を、例えば静脈内、筋肉内、皮下、及び腹腔内投与に使用してもよい。好ましくは、滅菌水性媒体は、特に本発明の開示に照らして、当業者に知られているように用いられる。例示として、単回用量を等張性NaCl溶液1mlに溶解し、皮下注入流体1000mlに添加し、あるいは提案される輸液部位で注射してもよい(例えば、「Remingon's Pharmaceutical Sciences」第15版、第1035〜1038頁及び1570〜1580頁参照)。投薬量のいくらかの変更は、治療がなされる対象の状態に応じて必ず行われることになる。投薬に責任がある者は、いずれにしても、個々の対象に適切な用量を決定する。さらに、ヒトに投与する場合、調製物は、FDA生物学的製剤基準室(FDA Office of Biologics standards)によって求められる滅菌性、発熱原性、全体的な安全性、及び純度の標準を満たすべきである。
本明細書に記述される組成物のいずれかを、キットに含めてもよい。非限定的な例では、個々のmiRNAはキットに含まれる。キットはさらに、水と、二本鎖のmiRNAのハイブリッド形成を促進させるハイブリッド形成緩衝液とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、キットは、標的miRNAの機能を阻害するための1種又は複数のオリゴヌクレオチドを含んでもよい。キットは、細胞へのmiRNA又はmiRNA阻害薬の送達を促進させる1種又は複数の形質移入試薬を含んでもよい。
キットの構成要素は、水性媒体で、あるいは凍結乾燥形態で包装してもよい。キットの容器手段は、一般に、成分を入れることができ、好ましくは適切に一定分量を採取することができる、少なくとも1種のバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジ、又はその他の容器手段を含むことになる。複数の構成要素がキット内にある場合(標識試薬及び標識を一緒に包装してもよい。)、キットは一般に、追加の成分を別々に入れることができる第2、第3、又はその他の追加の容器を含有することになる。しかし、成分の様々な組合せをバイアルに入れてもよい。本発明のキットは、典型的には、核酸を入れる手段と、市販のため密に閉じ込めた任意のその他の試薬容器も含むことになる。そのような容器は、所望のバイアルが保持される射出又はブロー成型されたプラスチック容器を含んでもよい。
キットの成分が1種及び/又は複数の液体溶液で提供される場合、その液体溶液は水溶液であり、滅菌水溶液が特に好ましい。
しかし、キットの成分は、(1種又は複数の)乾燥粉末として提供してもよい。試薬及び/又は成分を乾燥粉末として提供する場合、この粉末は、適切な溶媒を添加することによって元に戻すことができる。溶媒は、別の容器手段で提供してもよいと考えられる。
容器手段は、一般に、核酸製剤が入れられる、好ましくは適切に分配される、少なくとも1種のバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジ、及び/又はその他の容器手段を含むことになる。キットは、滅菌した、医薬品として許容される緩衝液及び/又はその他の希釈液を入れるための、第2の容器手段を含んでもよい。
本発明のキットは、典型的には、例えば所望のバイアルが保持される射出及び/又はブロー成型されたプラスチック容器など、市販のために密に閉じ込めたバイアルを入れるための手段も含むことになる。
そのようなキットは、miRNA又はmiRNA阻害薬であるオリゴヌクレオチドを保存又は維持し、あるいはそれらの分解を防止する、成分を含んでもよい。そのような成分は、RNアーゼを含まなくてもよく、又はRNアーゼから保護するものであってもよい。そのようなキットは、一般に、適切な手段で、個々の試薬又は溶液のそれぞれに合わせた全く異なる容器を含むことになる。
キットは、キットの成分を用いるための、ならびにこのキットに含まれない任意のその他の試薬を使用するための、取扱指示書も含むことになる。取扱指示書は、実施することができる変形例を含んでもよい。キットは、非経口又はカテーテル投与などの様々な投与経路によってmiRNA作動薬又は拮抗薬を投与するための、用具又は機器を含んでもよい。
そのような試薬は、本発明のキットの実施形態であることが企図される。しかし、そのようなキットは、上記にて特定された特定の品目に限定されず、miRNAの取扱い又は特徴付けで使用される任意の試薬を含んでもよい。
モジュレーターを特定するための方法
本発明はさらに、miR−499及び/又はmiR−208bのモジュレーターを特定するための方法を含む。miR−499及び/又はmiR−208bの特定された阻害薬は、心臓肥大、心不全、又は心筋梗塞の予防又は治療又は回復で有用である。miR−499及び/又はmiR−208bの特定された作動薬は、筋骨格系障害の治療又は予防に有用である。miR−499及び/又はmiR−208bのモジュレーターは、本発明の方法により心臓障害及び/又は筋骨格系障害を治療するための医薬品組成物に含めてもよい。
これらのアッセイは、候補物質の大きなライブラリーのランダムスクリーニングを含んでもよく、あるいはこのアッセイは、miR−499及び/又はmiR−208bの発現及び/又は機能をより容易に阻害し、あるいは高めやすくすると考えられる構造的属性に配慮して選択された、特定の種類の化合物に焦点を当てるために使用してもよい。
miR−499又はmiR−208bのモジュレーターを特定するには、一般に、候補物質の存在下及び不在下でmiR−499及び/又はmiR−208bの機能を決定することになる。例えば、その方法は一般に、
(a)候補物質を提供する工程と、
(b)候補物質とmiR−499及び/又はmiR−208bとを混合する工程と、
(c)miR−499及び/又はmiR−208bの活性を測定する工程と、
(d)工程(c)の活性を、候補物質の不在下での活性と比較する工程と
を含み、測定した活性同士の差から、候補物質が確かにmiR−499及び/又はmiR−208bのモジュレーターであることが示される。
アッセイは、単離された細胞、器官、又は生きている生物で実施してもよい。
miR−499又はmiR−208bの活性又は発現の評価は、miR−499又はmiR−208bの発現レベルの評価を含んでもよい。当業者なら、例えばノーザンブロット法又はRT−PCRを含めたRNA発現レベルの様々な評価方法に精通しているであろう。miR−499又はmiR−208bの活性又は発現の評価は、miR−499又はmiR−208bの活性の評価を含んでもよい。いくつかの実施形態では、miR−499又はmiR−208bの活性の評価は、miR−499又はmiR−208bによって調節される遺伝子の発現又は活性の評価を含む。mir−499によって調節された遺伝子には、例えば、β−ミオシン重鎖及び速骨格筋タンパク質遺伝子、例えばトロポニンI2、トロポニンT3、ミオシン軽鎖、及びα骨格アクチンが含まれる。miR−208bによって調節される遺伝子には、例えば、Sp3、ミオスタチン、PURβ、THRAP1、及び速骨格筋タンパク質遺伝子が含まれる。本発明のある実施形態では、miR−499又はmiR−208bの活性の評価は、心臓でのα−ミオシン重鎖発現レベルとβ−ミオシン重鎖発現レベルとの比の評価を含む。その他の実施形態では、miR−499又はmiR−208bの活性の評価は、骨格筋での種々のβ−ミオシン重鎖アイソフォームの発現レベルの評価を含む。当業者なら、miR−499又はmiR−208bによって調節された遺伝子の活性又は発現を評価する、様々な方法に精通しているであろう。そのような方法には、例えば、ノーザンブロット法、RT−PCR、ELISA、又はウェスタンブロット法が含まれる。
当然ながら、本発明の全てのスクリーニング法は、有効な候補を見出すことができないという事実にも関わらずそれ自体が有用であることが理解されよう。本発明は、それらを見出す方法だけでなく、そのような候補をスクリーニングするための方法を提供する。
本明細書で使用される「候補物質」という用語は、miR−499及び/又はmiR−208bのβ−MHC−調節態様を潜在的にモジュレートできる任意の分子を指す。典型的には、様々な商業的供給源から、有用な化合物の同定を「強力に推し進める」目的で、有用な薬物の基本的基準を満たすと考えられる、分子ライブラリーを獲得することになる。コンビナトリアル発生ライブラリー(例えば、アンタゴmirライブラリー)を含めたそのようなライブラリーのスクリーニングは、多数の関連(及び非関連)化合物を活性に関してスクリーニングする、迅速で効率的な方法である。コンビナトリアル手法は、活性だが通常なら望ましくない化合物をモデルにした第2、第3、及び第4世代化合物の生成による、潜在的な薬物の迅速な発展にも向いている。本発明の方法によりスクリーニングすることができる候補物質の非限定的な例は、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、又は小分子である。miR−499及び/又はmiR−208bのモジュレーターは、miR−208など、miR−499及び/又はmiR−208bの上流レギュレーターの作動薬又は拮抗薬であってもよい。
実行するのに素早く安価で容易なアッセイは、in vitroアッセイである。そのようなアッセイは、一般に単離された分子を使用し、素早くかつ大量に実行することができ、それによって短時間で得ることが可能で情報量が増大する。試験管、プレート、皿、及びディップスティックやビーズなどのその他の面を含めた様々な容器を、アッセイの実行に使用することができる。
化合物のハイスループットスクリーニングの技法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO84/03564に記載されている。多数の小アンタゴmir化合物は、プラスチックのピンやいくつかのその他の面などの固体基板上で合成してもよい。そのような分子は、miR−499又はmiR−208bにハイブリダイズする能力について、素早くスクリーニングすることができる。
本発明は、化合物が細胞内でmiR−499又はmiR−208bの活性及び発現を変化させる能力に関するスクリーニングも企図する。骨格筋細胞由来のものを含めた様々な細胞系は、この目的に向けて特に設計製作された細胞も含めてそのようなスクリーニングアッセイで利用することができる。1次心臓細胞も、H9C2細胞系で可能であるように、使用することができる。
in vivoアッセイでは、特定の欠陥を有するように、あるいは生体内の種々の細胞に到達し作用するという候補物質の能力の測定に使用することができるマーカーを保持するように設計製作された、トランスジェニック動物を含めた心疾患又は筋骨格系疾患の様々な動物モデルを使用する。それらのサイズ、取扱いの容易さ、それらの生理機能及び遺伝子構造に関する情報により、マウスは、特にトランスジェニックに関して好ましい実施形態である。しかし、ラット、ウサギ、ハムスター、モルモット、ネズミ、ウッドチャック、ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマ、及びサル(チンパンジー、テナガザル、及びヒヒ)を含めたその他の動物も同様に適している。阻害薬のアッセイは、これらの種のいずれかから得られた動物モデルを使用して実施してもよい。
試験化合物による動物の治療では、適切な形をとる化合物を動物に投与する。投与は、臨床目的で利用可能な任意の経路によって行われることになる。in vivoでの化合物の有効性の決定では、限定するものではないが肥大シグナル伝達経路及び肥大の身体的症状の変化を含めた様々な異なる基準を用いてもよい。また、毒性及び用量応答の測定は、in vitro又はin cytoアッセイの場合よりも有意義な手法で、動物で行うことができる。
一実施形態では、本発明は、miR−499及び/又はmiR−208bの発現又は活性のモジュレーターを、心筋及び/又は骨格筋細胞に投与する工程を含む、心筋及び/又は骨格筋収縮性を調節する方法を提供する。別の実施形態では、miR−499及び/又はmiR−208bの発現又は活性のモジュレーターを、心臓細胞に投与する工程を含む、心収縮タンパク質遺伝子発現を調節する方法が提供される。別の実施形態では、miR−499及び/又はmiR−208bの発現又は活性のモジュレーターを、骨格筋細胞に投与する工程を含む、骨格筋収縮タンパク質遺伝子発現を調節する方法が提供される。さらに別の実施形態では、本発明は、miR−499及び/又はmiR−208の発現又は活性のモジュレーターを、骨格筋細胞に投与する工程を含む、骨格筋細胞の線維型スイッチを誘導する方法を提供する。モジュレーターは、miR−499及び/又はmiR−208bの発現又は活性の作動薬又は拮抗薬であってもよい。いくつかの実施形態では、THRAP1、PURβ、ミオスタチン、及びSox 6の発現は、細胞をmiR−499阻害薬に接触させることによって、細胞内で増加する。その他の実施形態では、THRAP1、PURβ、ミオスタチン、及びSox 6の発現は、細胞をmiR−499作動薬に接触させることによって、細胞内で減少する。別の実施形態では、Sp3、ミオスタチン、PURβ、及びTHRAP1の発現は、細胞をmiR−208b阻害薬に接触させることによって、細胞内で増加する。さらに別の実施形態では、Sp3、ミオスタチン、PURβ、及びTHRAP1の発現は、細胞をmiR−208b作動薬に接触させることによって、細胞内で減少する。
本発明のある実施形態では、miR−499及び/又はmiR−208bの発現又は活性の阻害薬を、心臓細胞に投与する工程を含む、心臓細胞でのβ−MHC発現を減少させる方法が提供される。本発明のその他の実施形態では、内因性miR−499及び/又はmiR−208bの発現又は活性を増加させる工程、又は外因性miR−499及び/又はmiR−208bを心臓細胞に投与する工程を含む、心臓細胞でのβ−MHC発現を上昇させる方法が提供される。本発明の一実施形態では、miR−499及び/又はmiR−208bの発現又は活性の阻害薬を心臓細胞に投与する工程を含む、心臓細胞での速骨格筋収縮タンパク質遺伝子の発現を増加させる方法が提供される。本発明の別の実施形態では、内因性miR−499及び/又はmiR−208bの発現又は活性を増加させる工程、又は外因性miR−499及び/又はmiR−208bを心臓細胞に投与する工程を含む、心臓細胞での速骨格筋収縮タンパク質遺伝子の発現を減少させる方法が提供される。本発明の方法により増加又は減少させることができる速骨格筋収縮タンパク質遺伝子の例には、限定するものではないがトロポニンI2、トロポニンT3、ミオシン軽鎖、又はα骨格アクチンが含まれる。
一実施形態では、本発明は、心臓肥大、心不全、又は心筋梗塞を有する対象を特定する工程と、miR−499及び/又はmiR−208b阻害薬を対象に投与する工程とを含む、その必要がある対象の病的な心臓肥大、心不全、又は心筋梗塞を治療する方法を提供する。本発明のある実施形態では、miR−499及び/又はmiR−208b阻害薬は、(a)細胞を候補物質に接触させる工程と、(b)miR−499及び/又はmiR−208bの活性又は発現を評価する工程と、(c)工程(b)の活性又は発現を、候補物質の不在下での活性又は発現と比較する工程とを含む方法によって特定することができ、候補物質の不在下での細胞内の活性又は発現と比較して、候補物質に接触させた細胞内でmiR−499及び/又はmiR−208bの活性又は発現が減少した状態は、候補物質がmiR−499及び/又はmiR−208bの阻害薬であることを示している。
別の実施形態では、本発明は、筋骨格系障害を有する、あるいは筋骨格系障害を発症する危険性がある対象を特定する工程と、miR−499及び/又はmiR−208b作動薬を対象に投与する工程とを含む、その必要がある対象の筋骨格系障害を治療する方法を提供する。本発明のある実施形態では、miR−499及び/又はmiR−208b作動薬は、(a)細胞を候補物質に接触させる工程と、(b)miR−499及び/又はmiR−208bの活性又は発現を評価する工程と、(c)工程(b)の活性又は発現を、候補物質の不在下での活性又は発現と比較する工程とを含む方法によって特定することができ、候補物質の不在下での細胞内の活性又は発現と比較して、候補物質に接触させた細胞内でmiR−499及び/又はmiR−208bの活性又は発現が増加した状態は、候補物質がmiR−499及び/又はmiR−208bの作動薬であることを示している。
トランスジェニック動物
本発明の特定の実施形態は、機能的miR−499及び/又はmiR−208b対立遺伝子の一方又は両方を欠くトランスジェニック動物を提供する。また、誘導性の組織選択的又は構成的プロモーターの制御下でmiR−499及び/又はmiR−208bを発現するトランスジェニック動物、そのような動物から得られる組換え細胞系、及びトランスジェニック胚は、miR−499及び/又はmiR−208bが心筋細胞の発生及び分裂と病的な心臓肥大及び心不全の発症で演ずる、正確な役割を決定するのに役立てることができる。さらに、これらのトランスジェニック動物は心臓の発生に洞察を提供するかもしれない。核酸をコードする誘導性の、あるいは抑制可能なmiR−499及び/又はmiR−208bの使用は、過剰に調節された、あるいは調節されていない発現のモデルを提供する。また、miR−499及び/又はmiR−208bに関して「ノックアウト」されたトランスジェニック動物も、一方又は両方の対立遺伝子において、企図される。
一般的な実施形態では、トランスジェニック動物は、トランス遺伝子の発現を可能にする手法でゲノムに所与のトランス遺伝子を組み込むことにより生成される。トランスジェニック動物を生成する方法は、一般に、Wagner及びHoppe(米国特許第4,873,191号; 参照により本明細書に組み込まれている)及びBrinsterら(1985; 参照により本明細書に組み込まれている。)によって記述されている。
典型的には、ゲノム配列によって挟まれた遺伝子を、微量注入によって受精卵に移入する。微量注入された卵を宿主のメスに移植し、後代を、トランス遺伝子の発現についてスクリーニングする。トランスジェニック動物は、限定するものではないが爬虫類、両生類、鳥類、哺乳類、及び魚類を含めたいくつかの動物から得た受精卵から生成してもよい。
微量注入用のDNAクローンは、当技術分野で知られている任意の手段によって調製することができる。例えば、標準的な技法を使用して、微量注入用のDNAクローンを、細菌プラスミド配列を除去するのに適した酵素で切断し、そのDNA断片をTBE緩衝液中1%のアガロースゲル上で電気泳動することができる。DNAバンドは、臭化エチジウムで染色することによって視覚化され、発現配列を含有するバンドが切除される。次いで切除されたバンドを、pH7.0の、0.3M酢酸ナトリウムを含有する透析バッグに入れる。DNAを透析バッグに電気溶離し、1:1のフェノール:クロロホルム溶液で抽出し、2体積のエタノールによって沈殿させる。DNAを、低塩緩衝液(0.2M NaCl、20mM Tris、pH7.4、及び1mM EDTA)1ml中に再溶解し、Elutip−D(商標)カラムで精製する。カラムを最初に高塩緩衝液3ml(1M NaCl、20mM Tris、pH7.4、及び1mM EDTA)でプライム処理し、その後、低塩緩衝液5mlで洗浄する。DNA溶液をカラムに3回通して、DNAをカラムマトリックスに結合する。低塩緩衝液3mlで1回洗浄した後、DNAを0.4mlの高塩緩衝液で溶離し、2体積のエタノールにより沈殿させる。DNA濃度を、UV分光光度計で、260nmでの吸収により測定する。微量注入では、DNA濃度を5mM Tris(pH7.4、及び0.1mM EDTA)中3μg/mlに調節する。微量注入用にDNAを精製するその他の方法は、Palmitierら(1982)及びSambrookら(2001)に記載されている。
例示的な微量注入手順では、6週齢のメスのマウスに、妊馬血清性ゴナドトロピン(PMSG; Sigma)5 IU注射(0.1cc、ip)で、それから48時間後にヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG; Sigma)5 IU注射(0.1cc、ip)で、過剰排卵を誘発させる。メスを、hCG注射直後にオスと一緒に置く。hCG注射から21時間後、交尾したメスをC02窒息又は頚椎脱臼によって犠牲にし、切除した卵管から胚を回収し、0.5%ウシ血清アルブミン(BSA; Sigma)を含んだダルベッコリン酸緩衝生理食塩液に入れる。周囲を取り囲む卵丘細胞をヒアルロニダーゼ(1mg/ml)で除去する。次いで前核胚を洗浄し、注射時まで、5%CO、95%空気の加湿雰囲気を有する37.5℃のインキュベータ内で、0.5%BSA(EBSS)を含有するアール平衡塩溶液に入れる。胚は、2つの細胞段階で移植することができる。
ランダムな周期の成体メスマウスを、精管切除したオスと対にする。C57BL/6又はスイスマウス又はその他同等の株を、この目的で使用することができる。レシピエントのメスを、ドナーのメスと同時に交尾させる。胚移植時に、レシピエントのメスを、体重1g当たり2.5%のアバーチン0.015mlを腹腔内注射することによって、麻酔をかける。卵管を、単一正中背面切開によって露出させる。次いで切開を、卵管の直上で体壁に沿って行う。次いで卵嚢を、時計工用ピンセットで破る。移される胚を、DPBS(ダルベッコリン酸緩衝整理食塩液)中に入れ、注入ピペットの先端に入れる(約10〜12胚)。ピペットの先端を卵管漏斗に挿入し、胚を移す。移した後、切開を2針縫うことによって閉じる。
定義
本明細書で使用される「心不全」という用語は、心臓が血液を送出する能力が低下する、任意の状態を意味するのに広く使用される。その結果、うっ血及び浮腫が組織に発症する。最も頻繁に、心不全は、冠血流量の減少から生じる心筋の収縮性が低下することによって引き起こされ、しかし、心臓弁の損傷、ビタミンの欠乏、及び原発性心筋疾患を含めた多くのその他の要因が、心不全をもたらす可能性がある。心不全の正確な生理学的機構は、全体が理解されていないが、心不全は一般に、交感神経、副交感神経、及び圧受容器応答を含めた心臓の自律的な性質のいくつかの障害に関わると考えられる。「心不全の徴候」という文言は、心不全に関連した実験所見を含む、息切れ、圧痕水腫、肥大した圧痛肝、うっ血頚静脈、及び肺ラ音などの心不全に関連する続発症の全てを包含するのに広く使用される。
「治療」という用語又は文法上の均等物は、心不全の症状の改善及び/又は回復を包含する(即ち、心臓が血液を送出する能力)。心臓の「生理学的機能の改善」は、本明細書に記述される測定(例えば、駆出分画、短縮率、左心室内寸法、心拍数の測定)ならびに動物の生存に対する任意の影響のいずれかを使用して評価することができる。動物モデルの使用では、治療したトランスジェニック動物と未治療のトランスジェニック動物の応答を、本明細書に記述されるアッセイのいずれかを使用して比較する(さらに、治療され及び未治療の非トランスジェニック動物を、対照として含めてもよい。)。それによって、本発明のスクリーニング法で使用される心不全に関連した任意のパラメータに改善を引き起こす化合物を、治療化合物として特定することができる。
「拡張型心筋症」という用語は、収縮期の収縮機能が不十分な、対称的に拡張した左心室の存在を特徴とする心不全のタイプを指し、さらに、右心室も頻繁に関与するものである。
「化合物」という用語は、疾患、病気、疾病、又は身体機能の障害を治療又は予防するのに使用することができる、化学的部分、医薬品、及び薬物などを指す。化合物は、知られており及び潜在的な治療化合物の両方を含む。化合物は、本発明のスクリーニング法を使用したスクリーニングによって、治療的であると決定することができる。「知られている治療化合物」は、そのような治療に効果的であることが示されている(例えば、動物試験又はヒトへの投与による過去の経験を通して)治療化合物を指す。言い換えれば、知られている治療化合物は、心不全の治療に有効な化合物に限定されない。
本明細書で使用される「心臓肥大」という用語は、成人の心筋細胞が肥大成長を通してストレスに応答するプロセスを指す。そのような成長は、細胞分裂無しでの細胞サイズの増大と、力の発生を最大限にするための、細胞内での追加のサルコメアのアセンブルと、胎児心臓遺伝子プログラムの活性化を特徴とする。心臓肥大は、罹患及び死亡の高い危険性をしばしば伴い、したがって、心臓肥大の分子機構の理解を目標にした研究は、人間の健康に著しい影響を及ぼす可能性がある。
本明細書で使用される「モジュレート」という用語は、生物学的活性の変化又は変更を指す。モジュレーションは、タンパク質活性の増加又は減少、キナーゼ活性の変化、結合特性の変化、又はタンパク質もしくは問題のその他の構造に関連した生物学的、機能的、もしくは免疫学的な性質の任意のその他の変化であってもよい。「モジュレーター」という用語は、上述の生物学的活性を変化させる、あるいは変更することが可能な任意の分子又は化合物を指す。
「β−アドレナリン受容体拮抗薬」という用語は、ベータ(β)型のアドレナリン受容体(即ち、カテコールアミン、特にノレピネフリンに応答するアドレナリン作動系の受容体)を、部分的に、あるいは完全に遮断することが可能な化合物又は化学的実体を指す。いくつかのβ−アドレナリン受容体拮抗薬は、ある受容体サブタイプ(一般に、β)に対し、ある程度の特異性を示し;そのような拮抗薬を、「β−特異的アドレナリン受容体拮抗薬」及び「β−特異的アドレナリン受容体拮抗薬」と呼ぶ。「β−アドレナリン受容体拮抗薬」という用語は、選択的及び非選択的な拮抗薬である化合物を指す。β−アドレナリン受容体拮抗薬の例には、限定するものではないがアセブトロール、アテノロール、ブトキサミン、カルテオロール、エスモロール、ラベトロール、メトプロロール、ナドロール、ペンブトロール、プロパノロール、及びチモロールが含まれる。知られているβ−アドレナリン受容体拮抗薬の誘導体の使用は、本発明の方法に包含される。実際、β−アドレナリン受容体拮抗薬として機能的に振る舞う任意の化合物は、本発明の方法に包含される。
「アンギオテンシン変換酵素阻害薬」又は「ACE阻害薬」という用語は、レニン−アンギオテンシン系で比較的不活性なアンギオテンシンIから活性なアンギオテンシンIIへの変換に関与する酵素を、部分的に、あるいは完全に阻害することが可能な化合物又は化学的実体を指す。さらにACE阻害薬は、ブラジキニンの分解を同時に阻害し、ACE阻害薬の抗高血圧作用を著しく高める可能性がある。ACE阻害薬の例には、限定するものではないがベナゼプリル、カプトプリル、エナロプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キアプリル、及びラミプリルが含まれる。知られているACE阻害薬の誘導体の使用は、本発明の方法により包含される。実際、ACE阻害薬として機能的に振る舞う任意の化合物は、本発明の方法に包含される。
本明細書で使用される「遺伝子型」という用語は、生物の実際の遺伝子構成を指し、一方、「表現型」は、個体によって示される物理的な特徴を指す。さらに、「表現型」は、ゲノムの選択的発現の結果である(即ち、細胞歴の発現であり、細胞外環境に対するその応答である。)。実際、ヒトゲノムは、推定30000〜35000遺伝子を含有する。各細胞型では、これら遺伝子のごくわずかな割合(即ち、10〜15%)が発現する。
特許請求の範囲及び/又は明細書で「含む(comprising)」という用語と併せて使用するときの、「a」又は「an」という単語の使用は、「1つ」を意味してもよいが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」、及び「1つ又は複数」の意味とも一致している。本明細書で論じられる任意の実施形態は、本発明の任意の方法又は組成物に関して実施することができ、逆の場合もできると考えられる。さらに、本発明の組成物及びキットは、本発明の方法を実現するのに使用することができる。本出願の全体を通して、「約」という用語は、ある値が、その値を決定するのに用いられる機器又は方法に関して誤差の標準偏差を含むことを示すのに使用される。特許請求の範囲での「又は」という用語の使用は、代替物のみ指すことを明示しない限り、あるいは代替物が相互に排他的であることを明示しない限り、「及び/又は」を意味するのに使用されるが、この開示は、代替物のみと「及び/又は」を指すという定義を支持する。
本明細書及び(1つ又は複数の)請求項で使用される「含む(comprising)」(及び「含む(comprise)」や「含む(comprises)」などのcomprisingの任意の形)、「有する(having)」(及び「有する(have)」や「有する(has)」などのhavingの任意の形)、「含む(including)」(及び「含む(includes)」や「含む(include)」などのincludingの任意の形)、又は「含有する(containing)」(及び「含有する(contains)」や「含有する(contain)」などのcontainingの任意の形)は、包括的又は制約の無い形であり、追加の飲用されていない要素又は方法工程を排除するものではない。
セクションの見出しを、再検討を容易にするために本出願に挿入したが、そのような見出しは、実施形態の部分と解釈すべきではない。
以下の実施例を、本発明の様々な態様をさらに例示するために含める。当業者なら、以下に示す実施例に開示される技法は、本発明の実施に際して十分に機能する本発明者により発見された技法及び/又は組成物を表すものであり、したがってその実施のための好ましい態様を構成すると見なすことができると、解釈すべきである。しかし当業者なら、本発明の開示に照らして、多くの変更を開示された特定の実施形態に行うことができ、それでも本発明の精神及び範囲から逸脱することなく同様の、あるいは類似の結果を得ることができることを理解すべきである。
miR−208を、α−MHC遺伝子のイントロン内にコードする(図1A)。α−MHCと同様に、miR−208を、心臓において特異的に発現し、肺においてわずかに発現する(図1B)。miR−208を、別個の転写産物として転写するのではなく、α−MHCのpre−mRNAの外側に処理する。しかし、興味深いことに、miR−208は、少なくとも14日の著しく長い半減期を示し、その結果α−MHCのmRNAの発現が下方制御された場合でも、機能を発揮できる。マウスにおけるmiR−208の遺伝的欠失は、明白な表現型の誘導に失敗したが、2月齢の野生型及びmiR−208−/−動物由来の心臓についてのマイクロアレイ分析により、多数の速骨格筋収縮性タンパク質遺伝子の顕著な発現をもたらすmiR−208の除去を明らかにし、速骨格筋収縮性タンパク質遺伝子は通常は心臓において発現しない。したがって、これらの結果は、通常の状態下でmiR−208は、単独の心臓特異的MHC遺伝子と共発現し、心臓における骨格筋遺伝子の発現を抑制することにより、心筋細胞の同一性を維持することを示唆する。
miR−208の最も注目に値する機能が、心臓のストレスに対するmiR−208ヌルマウスの異常応答によって明らかになった(van Rooij、Science 2007)。胸部大動脈狭窄による圧負荷又は心臓の病理的リモデリングを起動するカルシウム/カルモジュリン依存性ホスファターゼであるカルシニューリンによるシグナル伝達に応答して、miR−208ヌルマウスは、実質的には心筋細胞の肥大又は線維症がなく、β−MHCの発現を上方制御できないことを示した(図6〜8)。対照的に、ANF及びBNPをコードするストレス応答遺伝子などの他のストレス応答遺伝子は、miR−208突然変異動物において強く誘導され、miR−208が、心臓ストレス応答の他のファセットから離れることができる、β−MHCの発現の調節に特異的に関与することを実証した。
β−MHCの発現は、甲状腺ホルモンシグナル伝達によって抑制され、甲状腺機能低下状態において上方制御される(Leungら、2006)。miR−208−/−動物は、甲状腺機能低下を誘導する、T3阻害剤のプロピルチオウラシル(PTU)投与の後に、β−MHCの発現の上方制御に対してもさらに耐性であった。しかし、興味深いことに、出生前のβ−MHCの発現は、miR−208突然変異マウスにおいて普通であり、miR−208がβ−MHCの発現の生後の制御に特異的に関与することを示し、このことはβ−MHC遺伝子の甲状腺ホルモン応答性の獲得と一致する(図5)。
miR−208の作用機構の手がかりは、miR−208−/−の心臓と甲状腺機能亢進症心臓との類似性によってもたらされ、これらは両方ともβ−MHCの発現の遮断、ストレス応答遺伝子の上方制御ならびに病的な肥大及び線維症に対する防御を表す(図6〜10)。miR−208−/−心臓における速骨格筋遺伝子の上方制御(図22及び27)は、甲状腺機能亢進症状態における速骨格筋線維の誘導もまた模倣する(Weiら、2005)。
これらの知見は、miR−208が、少なくとも部分的に、心臓におけるストレス応答及び甲状腺ホルモンのシグナル伝達経路の共通の構成要素の発現を抑制することによって作用することを示唆している。miR−208の最も強い予測標的の1つは、甲状腺ホルモン受容体(TR)共調節因子のTHRAP1であり、これは転写について正及び負の効果を発揮できる。(Pantosら、2006;Yao及びEghbali,1992;図12)。TRは、負の甲状腺ホルモン応答エレメント(TRE)を介して作用し、成体の心臓においてβ−MHCの発現を抑制する(Zhaoら、2005)。したがって、miR−208の不在下のTHRAP1の発現の増加により、β−MHCの発現に対するTRの抑制活性の強化が予測され、miR−208−/−の心臓におけるβ−MHCの発現の遮断と一致する。しかし、THRAP1はmiR−208の本物の標的であると思われ(図25及び26)、これらのデータは、β−MHCの発現の制御においてさらなる標的の関与の可能性を排除するものではない。
β−MHCに対する微妙なシフトでも、成体の心臓の機械的性能及び効率を低下させるので、心疾患の期間のβ−MHCの発現における増加を防ぐために、miR−208の制御を利用することは治療価値があると思われる。心臓特異性及び正常な心臓の発達に対してではない、心臓ストレス応答に対するmiR−208の関与が、miR−208(及びその下流エフェクター)を、β−MHCのレベルを操作するための魅力的な治療標的にさせる(図13)。
材料及び方法
ノーザンブロット分析。心不全でない、あるいは心不全と診断された、無記名のヒトの左心室の心臓組織試料を、Gilead Colorado(Westminster、CO)から入手した。全RNAを、マウス、ラット及びヒトの心臓組織試料から、Trizol試薬(Gibco/BRL)を使用して単離した。microRNAを検出するためのノーザンブロットを、前記のように実施した(1)。ローディングコントロールの役目を果たすU6プローブ(U6フォワード:5−GTGCTCGCTTCGGCAGC−3(配列番号28);U6リバース:5−AAAATATGGAACGCTTCACGAATTTGCG−3(配列番号29))。α−MHCの発現を検出するために、成体の野生型及びmiR−208突然変異動物の両方の心臓組織由来のRNA10μgを含むノーザンブロットを、5’UTR領域及び第1エキソンの一部を包含する、α−MHCのcDNA断片を用いて解析した。
PTUの投与。甲状腺ホルモンの欠乏は、表示の期間、Harlan Teklad Co.(TD 97061)(Madison、WI)から購入したPTU0.15%を補足した、ヨードを含まない餌を動物に与えることによって誘導した。
マイクロアレイ及びリアルタイムPCR分析。心臓組織由来の全RNAを、Trizol(Invitrogen)を使用して単離した。マイクロアレイ分析を、Mouse Genome 430 2.0アレイ(Affymetrix)を使用して実施した。ランダムヘキサマープライマー(Invitrogen)を用いたRT−PCRを、RNA試料について実施し、その後遺伝子のサブセットの発現を、ABIから購入したTaqmanプローブを使用して、定量的リアルタイムPCRにより分析した。
miR−208突然変異マウスの作製。miR−208標的ベクターを作製するために、miR−208コード領域の上流に伸長した0.4kbの断片(5’アーム)を、ScaII及びNotIを用いて消化し、loxP部位及びFrt−隣接ネオマイシンカセットの上流のpGKneoF2L2dta標的プラスミドに連結した。3.3kbの断片(3’アーム)を、SalI及びHindIIIを用いて消化し、ネオマイシン耐性及びDta陰性選択カセットの間のベクターに連結した。破壊された対立遺伝子を担持する標的ES細胞を、5’及び3’のプローブを用いてサザンブロット分析により特定した。3種のmiR−208標的ESクローンを特定し、胚盤胞注入に使用した。得られたキメラマウスをC57BL/6に交配させ、突然変異対立遺伝子の生殖細胞系列伝達を得た。
ウェスタンブロット。ミオシンを、記載のように心臓組織から抽出した(Morkin、2000)。MHCのイソ型をSDS PAGEにより分離し、マウスモノクロナールα−MHC(BA-G5)(ATCC、Rockville、MD)及びβ−MHCに高度に特異的なマウスモノクロナール抗ミオシン(遅、骨格M8421)(Sigma、MO)を用いてウェスタンブロットを実施した。すべての横紋筋ミオシンを検出するために、汎特異的抗体(マウスモノクロナール3-48;Accurate Chemical & Scientific Corporation、NY)を使用した。THRAP1を、心臓タンパク質溶解物400μgから免疫沈降することによって検出した。試料を4℃において1時間予備クリアリング後、上清を、ウサギポリクロナール抗THRAP1(R.Roeder、Rockefeller Universityのご厚意により送られた)1μl及びプロテインAビーズ15μlと共に4℃において一晩インキュベートした。ビーズを溶解バッファーで3回洗浄し、SDS試料バッファー中で煮沸した。免疫沈降したTHRAP1タンパク質を、SDS−PAGEにより分解し、ウサギポリクロナール抗THRAP1を1:3000の希釈、及び抗ウサギIgG標識ホースラディッシュペルオキシダーゼを1:5000の希釈で使用し、Luminol Reagent(Santa Cruz)により検出して分析した。
組織学的分析及びRNAのin situハイブリダイゼーション。組織学に使用する組織を、Krebs−Henselheit溶液中でインキュベートし、4%パラホルムアルデヒドで固定し、切片にし、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)処理し、Masson’s Trichrome染色又は標準的技術(Krenz及びRobbins、2004)によりin situハイブリダイゼーションした。35S−標識RNAプローブを、Maxiscriptキット(Amersham)を使用して作製した。シグナルを、Adobe Photoshopを使用して赤く疑似カラー化した。
経胸壁心エコー検査。心臓機能及び心臓体積を、断層心エコーにより覚醒マウスにおいて、Vingmed System(GE Vingmed Ultrasound、Horten、Norway)及び11.5−MHzのリニアアレイ変換器を使用して評価した。Mモード心エコー図を使用して、拡張末期及び収縮末期の前壁厚及び後壁厚を測定した。左室(LV)内径(LVID)を、拡張期(LVIDd)又は収縮期(LVIDs)のいずれかにおける最も大きな前後径として測定した。データを、単一観察者による盲検により、マウスの遺伝子型に対して分析した。LVの短縮率(FS)を、以下の式に従って計算した。:FS(%)=[(LVIDd−LVIDs)/LVIDd]×100。
遺伝子導入マウスの作製。対象のmiRNAに隣接するマウスのゲノム断片を、α−MHC及びヒトGHポリ(a)+シグナルを含む、心臓特異的発現プラスミドにサブクローン化した(Kiriazis及びKranias、2000)。ゲノムDNAをマウスの尾の生検から単離し、ヒトGHポリ(a)+シグナルに特異的なプライマーを使用してPCRにより分析した。
LacZ及びMCK遺伝子導入マウスの作製。myh7b/miR−499の心筋及び骨格筋の発現に関与するシス調節エレメントを探索するために、マウスmyh7b遺伝子の0.8Kbのゲノム断片をlacZレポーター遺伝子の上流のhsp68の基本プロモーターと融合し、F0遺伝子導入マウスの胚における発現に関して試験した。遺伝子導入マウスの作製のために、構築体をSalIで消化し、ベクター配列を除去した。DNA断片を、QiaQuickスピンカラム(Qiagen、MD)を使用して精製し、B6C3F1雌のマウス由来の受精卵に注入し、前記のように偽妊娠したICRマウスに移植した(Lienら、1999)。胚を回収し、β−ガラクトシダーゼ活性に関して染色した。筋クレアチンキナーゼ(MCK)遺伝子由来の筋特異的エンハンサーの調節下で、miR−499の構造的活性型を発現する遺伝子導入マウスは、他の所に記載する。(Nayaら、(2000)J. Biol. Chem.、Vol.275:4545-4548)。ゲノムDNAをマウスの尾の生検から単離しヒトGHポリ(a)+シグナルに特異的なプライマーを使用してPCRにより分析した。
プラスミド及び形質移入アッセイ。miR−208コード領域を包含する305bpのゲノム断片をPCRにより増幅し、pCMV6に連結した。全ネズミTHRAP1−UTRを包含する1kbの断片を、PCR増幅し、HA−タグ化pCMV6発現構築体及びホタルルシフェラーゼ(f-luc)レポーター構築体(pMIR-REPORTTm、Ambion)に連結した。UCGUCUUA miR−208のシード結合配列の突然変異体を、PCRに基づく突然変異生成を介して構築した。
(実施例1)
miR−208は、miR−499の発現に必要である。
心臓におけるmiR−208の作用機構をさらに探求するために、本発明者らは、野生型及びmiR−208ヌルマウス由来の心臓におけるmicroRNAの発現パターンを、マイクロアレイ分析により明確にした。突然変異体の心臓において上方制御及び下方制御されるいくつかのmicroRNAの中で、本発明者らは、miR−499が、正常な心臓において非常に豊富であるが、miR−208突然変異体においてバックグラウンドレベルを超えて発現しなかったことを発見した。これらの知見は、ノーザンブロットにより確認した(図14)。miR−499遺伝子のゲノムの位置の分析は、miR−499遺伝子のゲノムが、α−MHC遺伝子の相同体であるMyh7b遺伝子の20番目のイントロン内に含まれることを示した(図15)。myh7bに関するRT−PCRが、宿主遺伝子のmRNAが、miR−208の不在下で用量依存的に無効になることを示すので、miR−208は、Myh7bを制御し、その結果miR−499の転写レベルの発現を制御すると思われる(図14)。Myh7b遺伝子は、脊椎動物において保存され、心筋及び遅骨格筋(例えば、ヒラメ筋)だけにおいて発現する(図16A)。miR−499に関するこの発現パターンは、miR−499に関するリアルタイムPCR分析により確認した(図16B)。Myh7b遺伝子の3’末端を対象とするプローブを使用したin situハイブリダイゼーションは、このミオシンが心臓及び体節においてEI0.5と同様に早く発現したことを示した(図16C)。miR−208の遺伝子欠失は、miR−499の心臓発現を特異的に阻害し、骨格筋の発現は無傷のままである(図16D)。これらのデータは、miR−208がさらなるミオシンのMyh7bの起動に必要であり、Myh7bは関連miR−499を生み出す。さらに、miR−499は心臓肥大期間に下方制御される(図17)。
(実施例2)
MEF2は、心筋及び骨格筋においてmiR−499の発現を制御する。
Myh7遺伝子の5’隣接領域内に、本発明者らは、生物種間に保存された潜在的MEF2の共通配列を特定した。この配列は、ゲル移動度シフトアッセイにおいてMEF2につよく結合し(図37A)、この配列の突然変異は、結合(図37A)及びMEF2によるルシフェラーゼレポーターの転写活性化(図37B)の両方を無効にする。Myh7遺伝子のプロモーター領域を、lacZレポーターに融合し、遺伝子導入マウスを作製した。図37Cに示すように、このゲノム領域は、E12.5において心臓で特異的な直接lacZ発現に十分であった。生後の心臓において、lacZの染色が心室においてのみ観察され、in situハイブリダイゼーションと一致する(データ非掲載)。MEF2部位の突然変異は、lacZトランス遺伝子の発現を完全に除去した(図37C)。in vivoマウスモデルについてのノーザンブロット分析はMEF2に対して感受性であるmiR−499の発現もまた示した。MEF2Dの心臓特異的過剰発現はmiR−499の発現の増加をもたらすが、MEF2C及びD両方の心臓での欠失は、miR−499の発現の減少を起こした(図37D)。MEF2のMyh7bのプロモーターとの直接結合は、Myh7b及びmiR−499のin vivoの発現に必要である。
MEF2部位を、保存Eボックス配列(CANNTG)に並列し、これらはMEF2により骨格筋遺伝子の発現を起動するbHLHタンパク質のMyoDファミリーのメンバーに対する結合部位としての役目を果たす。実際に、MyoDを、普遍的bHLHタンパク質E12と一緒にプロモーター由来のEボックスに結合した。この配列の突然変異は、骨格筋におけるlacZトランス遺伝子の発現を妨げるが、心臓における発現には影響しなかった。
(実施例3)
miR−499のための標的の特定
miR−208及びmiR−499の間の配列相同性、及びmiR−208の遺伝子破壊が、速骨格筋遺伝子に特異的な強い誘導及び心臓におけるβ−MHCの抑制をもたらすことを実証する本発明者らの先のデータを得、miR−499は、骨格筋において同等の機能を有し、線維型の優勢な調節因子として作用できると思われる。miR−499の発現及びその宿主転写産物は、筋原性転写因子のMEF2により制御され、MEF2は遅線維遺伝子の発現及び筋持久性の陽性調節因子である。本発明者らはmiR−499の線維型の制御は、線維型の制御に関与するmiR−499の標的遺伝子に依存すると思われることを示唆する。
MiR−208はmiR−499に対して高度に相同性であり、両方のmicroRNAがMhc遺伝子のイントロンによってコードされるという注目に値する事実は、それらが共通の制御機構を共有していることを示唆する。miRNAは、遺伝子発現に配列特異的な方法で負に影響するので、相同性の高さが、miR−208及びmiR−499が標的遺伝子中の重複によって同等の機能を発揮する可能性を増す。本発明者らは、miR−499の標的の役割を果たすと思われる、MHC発現の転写調節因子を特定した。これらの調節因子は、miR−499の発現が、心臓においてmiR−208によって調節され、miR−208のノックダウンがmiR−499の発現を除去することをもまた示している。
本発明者らの先のデータが、miR−208の遺伝子破壊が、心臓において速骨格筋遺伝子に特異的な強い誘導をもたらすことを実証したので、miR−499は骨格筋において同等の機能を有し、線維型の主要な調節因子として作用できると思われる。この仮説に一致して、この転写産物のプロモーター分析は、miR−499の発現及びその宿主転写産物が、筋原性転写因子のMEF2により制御され、MEF2は骨格筋線維型及び遅線維遺伝子の発現の中心的調節因子であることを示す。本発明者らは、
MEF2活性が、筋持久性を促進し、長時間の運動後の筋肉疲労を防ぐことを示し、MEF2のこれらの作用が、少なくとも部分的にmiR−499の発現の直接活性化に依存することを示唆する(図18)。
これらのデータは、Myh7b遺伝子のMEF2調節性発現が、遅筋及び心臓に特異的なmiRNAのmiR−499をさらに誘導することを示し、miR−499は速骨格筋遺伝子プログラムの発現を下方制御する。さらに、これらのデータは、骨格筋線維型の中心的調節因子としてのmiR−499に関する証拠を提供する(図19)。MiRNA−499は、THRAP1、PURβ及びGDF8(別名ミオスタチン)を標的とすることが予測され、GDF8(別名ミオスタチン)はミオシン発現及び筋線維型の極めて重要な調節因子として知られ、筋線維の同一性におけるmiR−499の機能性のエフェクターであると思われる遺伝子である(図20)。THRAP1は、miR−208により標的とされ、甲状腺受容体シグナル伝達を制御することが以前に特定された(van Rooijら、2007)。成体骨格筋は、転写の再プログラミング能力を維持している。この特性は、免荷(NWB)ヒラメ筋において容易に観察可能であり、免荷(NWB)ヒラメ筋は遅から速への線維型移行と同時にβ−ミオシン重鎖(βMyHC)遺伝子の発現の減少を受ける。NWB状態下のMyHC遺伝子発現におけるこの減少は、Sp3、Purα及びPurβタンパク質間の相互作用によって仲介される。これらのデータは、Purタンパク質がSp3と連携し、筋肉細胞がそれらの表現型をリモデルできる転写プログラムを制御することを実証する(Jiら、2007)。miR−499は、PURβを直接標的とするので、線維型の制御は、PURβを標的とすることによって仲介できる。筋肉制御に関与するさらなる標的は、ミオスタチンである。ミオスタチンは、骨格筋成長の負の調節因子として作用する、形質転換成長因子−βファミリーのメンバーである。マウスにおいて、ミオスタチン遺伝子の遺伝子破壊は、体重及び筋肉量の著しい増加をもたらす。同様に、mdxノックアウトマウスにおけるin vivoのミオスタチンへの薬理学的干渉は、ジストロフィー表現型の機能的改善をもたらす(Tangら、2007)。結果として、ミオスタチンは、筋肉消耗を伴う疾患の治療のための重要な治療標的である。筋肉特異的線維型を制御するためにmiR−499の機能性を操作することは、筋ジストロフィーのように、臨床病理学のための広範囲にわたる影響を有しうる。さらに、これらの結果は、miR−499の発現を上昇させることによる遅線維遺伝子の発現を強化するための戦略が、インスリン感受性、耐久性及び遅線維遺伝子プログラムの他の有益な態様を拡大することを示唆する。
(実施例4)
MiR−208は、miR−208bにより相殺される。
miR−208bはβ−MHC(別名myh7)遺伝子内に位置し、miR−208bは宿主遺伝子と共発現する(図28)。成熟miR−208b配列は、miR−208と比較して3塩基が異なるが、同一のシード領域を有する。2種のmiRNAとそれらの宿主遺伝子の間の相同性は、α−MHC(myh6)及びβ−MHCを生み出すゲノム重複の結果であり得る(図29)。ノーザンブロット分析を実施し、miR−208bの発現パターンを調べた。ベースライン時に、miR−208bはその宿主遺伝子(β-MHC)と同等の発現パターン、即ち発現はヒラメ筋、遅骨格筋において優勢に観察されるが、心臓及び速骨格筋型においてはほとんど発現が観察されない(図30A)。
生後、T3シグナル伝達は、陽性T3応答エレメント(TRE)を介してα−MHCの転写を誘導するが、一方、β−MHC遺伝子のプロモーター中の陰性TREは、転写の抑制を仲介する(Ojamaaら、(2000)Endocrinology、Vol.141: 2139-2144)。ミオシン制御に応答したmiR−208、miR−208b及びmiR−499(即ちmyomiR)の発現を試験するために、ラットにPTU含有の餌を2週間与え、T3シグナル伝達を遮断し、その後PTU投与ラットにT3を補給し、PTU効果を反転させた。予想通り、PTUは、α−MHCの減少及びPTUに応答したβ−MHCの増加を誘導し、このことはT3によって反転できた(図30B)。それほどではないが、myh7bの発現は、β−MHCの発現パターンをたどっており、PTUに応答して発現を誘導し、PTUと一緒にT3に応答して発現が減少した(図30B)。ノーザンブロット分析は、miR−208b及びmiR−499は、それぞれβ−MHC及びmyh7bの発現パターンを正確にたどっていたことを示す(図31)。PTUに長く暴露するほど時間と共にmiR−208bの発現が増加するので、この増加は用量依存性であると思われる(図32)。
α−MHC及びβ−MHCは心臓において相殺されるので、miR−208/miR208bの発現は、相対的に一定レベルを維持すると思われる。マウスにおいてβ−MHCは、胚形成及び生後わずかの期間に発現される主要なMHC遺伝子であるが、α−MHCは成人期にわたって発現する。本発明者らの先のデータは、成体の心臓においてmiR−208がmiR−499の発現に必要であることを示したので、本発明者らは、miR−208bがmiR−208と置換できるかどうかを試験した。p1、p6及び成体の心臓おけるmyomiR関するノーザン分析は、miR−208の不在下で、miR−499が発現を維持し、同時にmiR−208bが存在することを示した(図30C)。miR−208bもまたβ−MHCと同等の方法で、ミオシンのスイッチに応答するかどうかを試験するために、野生型及びmiR−208突然変異動物の両方にPTUを投与した。PTUに応答して、α−MHCの発現は、激しく抑制され、野生型の動物においてpre−miRNA−208の喪失をもたらした(星印で示した)。予想通り、miR−208突然変異動物において、miR−499は完全になくなり、野生型動物においてPTUに応答してわずかに誘導されただけであった。しかし、miR−208bはβ−MHCのようにPTUにより強く誘導され、一方miR−208の不在下で、この誘導は非常にわずかであった(図30D)。同時にこれらの結果は、ミオシン遺伝子内に位置するmyomiRがミオシン遺伝子の発現レベルを制御し、したがってそれらがmiRNAを包含することを示唆する。
以前本発明者らは、心臓特異的なmiR−208の欠失が、ストレス刺激によるβ−MHCの発現の誘導を阻害することを示した(図8)。β−MHCの発現は、ベースラインにおいて非常に低いが、miR−208bに関するノーザンブロットは、miR−208の対立遺伝子の1つ又は両方の除去に対応するmiR−208bの発現の用量依存的減少を示した(図33A)。しかし、β−MHCの発現を誘導することが示されている(図9)、miR−208の遺伝子導入過剰発現はmiR−208bの発現を誘導した(図33B)。これらのデータは、miR−208が心臓のβ−MHCの発現についての効果の上流調節因子であると思われるが、病的心臓のリモデリングは、miR−499及びmiR−208bの制御に起因するものであり得ることもまた暗示する(図33C及び34)。
(実施例5)
MiR−208及びmiR−499は速骨格筋表現型を抑制する。
miR−208ヌルマウスの心臓における速骨格筋遺伝子の上方制御は、miR−499の遅線維特異的発現と相まって、これらのmiRNAが速骨格筋遺伝子の発現を抑制するために機能できることを示唆した。この問題に取り組むために、MCKプロモーター及びエンハンサーの調節下で速骨格筋においてmiR−499を発現する遺伝子導入マウスを作製した。速線維においてmiR−499を発現する多数の安定な遺伝子導入系を得た(図38A)。心臓の発現と比較して、これらの遺伝子導入動物は、ヒラメ筋及び速骨格筋型において効率的にmiR−499を過剰発現した(図38B)。線維型特異的遺伝子の発現の分析は、miR−499の強制発現によって、速線維が遅筋線維表現型に形質転換したことを示した。野生型及びmiR−499遺伝子導入動物の両方における5種すべての筋肉型に対する遺伝子発現分析は、miR−499が、ヒラメ筋、TA及びEDLにおいて、β−MHCの発現を起動させるために十分である一方、miR−499は心臓、ヒラメ筋及びEDLにおいて速骨格トロポニンI及びTを抑制することを示した(図38C)。これらの遺伝子導入動物の速筋線維は、それらの深い赤色により容易に特定可能であり、ミオグロビンの発現及び血管新生が高レベルであることを表していた。同様に、組織切片の異染性ATPアーゼ染色は、遺伝子導入マウスの速線維(EDL)において遅筋線維遺伝子の発現が劇的に増加したことを示した(図38D)。
miR−208ノックアウト動物におけるmiR−499の喪失が、β−MHC及び速骨格筋遺伝子の調節と連続して、又は並行しているかどうかを確定するために、miR−499をmiR−208ヌルバックグラウンドにおいて形質導入的に過剰発現させた。β−MHCに関するノーザンブロット分析及びリアルタイムPCRは、PTUが、野生型(WT)動物において強力にβ−MHC及びmiR−208bを誘導するが、miR−208突然変異動物(KO)においては誘導しなかったことを示す。しかし、遺伝子導入過剰発現によるmiR−499の再導入は、miR−208の不在下でβ−MHCについてのこの抑制効果を無効にする(図38E)。さらに、miR−208の不在下で速骨格トロポニンの発現の誘導は、miR−499トランス遺伝子の存在下で抑制される(図38F)。これらのデータは、miR−499が、遅骨格線維表現型を駆動させるために十分であり、miR−208突然変異動物においてβ−MHC及び速骨格遺伝子についての効果に関与することを示す。
miR−208bは遅骨格筋において発現するので、miR−208bが直接又はmiR−499の調節を介してのいずれかで、骨格筋において線維型の同一性を制御していると強く思われる。先のデータは、miR−208(miR-208bの心臓ファミリーメンバー)の心臓における除去がmiR−499の心臓における阻害及び速骨格筋遺伝子の上方制御をもたらすことを示した(図22及び27)。骨格筋からmiR−208bを除去することにより、miR−499の発現を阻害し、速骨格筋遺伝子の発現を起こし、その結果遅から速への線維型のシフトを誘導すると思われる。miR−208bの機能的意味を、さらに詳細に調査するために、標的戦略を設計し、マウスゲノムからmiR−208bを非常に正確に取り除いた(図35)。miR−499及びmiR−208bの両方を取り除くためのさらなる研究もまた着手できる。骨格筋及び心筋特異的プロモーター(筋クレアチンキナーゼ(MCK))を使用したmiR−499及びmiR−208b両方のための結合部位領域の骨格筋特異的過剰発現は、心筋及び骨格筋両方においてmiR−208b及びmiR−499を取り除くはずであり、その結果両方のmiRNAに関してノックダウンが作製される(図36)。
(実施例6)
miR−208によるMyh7b/miR−499の調節
心臓において、miR−208は速骨格遺伝子の発現を抑制することによって心筋細胞の同一性の維持に関与する系の上流調節因子であり、さらに、ストレスに応答した病的リモデリングにも寄与する。miR−208は、少なくとも部分的に、さらなるmiRNAの、ミオシン遺伝子myh7b内に位置するmiR−499の発現を制御することによって関与する。miR−208は骨格筋において不在であるが、密接に関連するmiRのmiR−208bが、β−MHC転写産物から遅骨格筋において発現される。遅骨格筋線維に対するmiR−499の限定発現に基づき、miR−208bは遅骨格筋中の速線維遺伝子プログラムを抑制するためにmiR−499を誘導できる。しかし、本発明者らのデータは、miR−499がβ−MHCの発現に必要であり、miR−499は、β−MHCが、miR−208b及びmiR−499の活性化を介してそれ自身の発現を刺激するフィードフォワードループを生じることを示す。
miR−208+/−マウスの心臓におけるmiR−208の発現が50%減少することにより、Myh7b/miR−499の発現において対応する減少をもたらし、miR−208の不在がMyh7b/miR−499の発現を完全に除去することは注目に値する。miR−208の発現レベルに対するMyh7b/miR−499の感受性は、miR−208の標的(1つ又は複数)が正確に制御されることを示唆し、miRNAは通常オン−オフスイッチではなく、遺伝子発現の優れたチューナーとして考えられているので、このことは例外的である。
本発明者らは、先に、甲状腺ホルモン受容体共調節因子のTHRAP1を、miR−208の標的であると確定した。miR−208及びmiR−499間のシード配列中の重要な重複のため、これらのmiRNAは重複標的を有しうる。したがって、miR−499はTHRAP1を制御でき、その結果β−MHC及び速骨格遺伝子の発現を調節する。THRAP1に加えて、転写因子のSoxファミリーのメンバーであるSox6は、表現型にもまた寄与できる。骨格筋において高度に発現し、心筋及び骨格筋においてβ−MHCの発現を負に制御することで知られるSox6は、その3’UTR中に多数の保存miR−499結合部位を含み、筋肉遺伝子発現に対するmiR−499の効果の有望なメディエーターを表す。
(実施例7)
miR−208及びmiR−499による心臓リモデリングの制御
miR−208の最も注目に値する機能が、心臓ストレスに対するmiR−208ヌルマウスの異常応答によって明らかになった(von Rooijら、(2007)Science、Vol.316:575-579)。胸部大動脈狭窄による圧負荷又はカルシニューリンによるシグナル伝達に応答して、miR−208ヌルマウスは、肥大又は線維症を実際には示さず、β−MHCの発現を上方制御できなかった。対照的に、ANF及びBNPをコードする遺伝子などの他のストレス応答遺伝子は、miR−208突然変異動物において強く誘導され、miR−208がβ−MHCの発現の調節に特異的に関与することを実証しており、これらは心臓ストレス応答の他のファセットから離れることができない。本発明者らのデータは、miR−499が、miR−208突然変異動物において見られる遺伝子制御効果のいくつかに関与することを示すので、miR−499突然変異動物もまた、miR−208突然変異動物のように、心臓の病的リモデリングに耐性であり得る。miR−208及びmiR−499の両方の不在は、保護効果を誘導することができる。
α−MHC及びβ−MHCは心臓において相殺されるので、miR−208/miR208bの発現は、相対的に一定レベルを維持すると思われる。しかし、α−MHCはマウスにおける優勢なMHCのイソ型であり、β−MHCはヒトにおいて優勢であるのでmiR−208対miR−208bの相対的発現は、したがってマウス対ヒトにおいて異なる。miR−208は、マウスにおいてストレス及び甲状腺機能低下に応答した心臓のβ−MHCの発現に必要であるので、miR−208bは、心疾患中のβ−MHCに対するヒトのシフトにおいて重要な役割を果たすことができる。それにもかかわらず、これらのデータは、これらのmiRNAとミオシン遺伝子との間のクロストークの密接な形態が存在するに違いないことを示している。筋肉特異的線維型を制御するための、miR−208bの機能性の操作は、筋ジストロフィーのように、臨床病理学のための広範囲にわたる暗示を有しうる。さらに、これらの結果は、miR−208bの発現を上昇させることによる遅線維遺伝子の発現を強化するための戦略が、インスリン感受性、耐久性及び遅線維遺伝子プログラムの他の有益な態様を拡大することを示唆する。
本明細書に論じられ引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に開示され特許請求の範囲に記載される組成物及び方法の全ては、本発明の開示に照らして過度な実験を行うことなくなされかつ実行することができる。本発明の組成物及び方法を好ましい実施形態に関して述べてきたが、当業者なら、本発明の概念、精神、及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記述される組成物及び方法と、方法の工程又は工程の順序とに、変更を加えることができることが明らかにされよう。より具体的には、化学的にかつ生理学的に関連しているある薬剤を、本明細書に記載される薬剤の代わりに用いることができ、それと共に同じあるいは同様の結果が実現できることが明らかにされよう。当業者に明らかなそのような類似する置換例及び変更例の全ては、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神、範囲、及び概念の範囲内であると見なされる。
参考文献
以下の参考文献は、これらが本明細書に記述されるものを補う例示的な手順又はその他の詳細を提供する範囲まで、参照により本明細書に特に組み込む。
U.S. Patent 4,873,191
U.S. Patent 5,604,251
U.S. Patent 5,844,107
U.S. Patent 5,877,302
U.S. Patent 5,972,900
U.S. Patent 5,972,901
U.S. Patent 6,008,336
U.S. Patent 6,077,835
U.S. Patent 6,200,801
U.S. Publn. 20020150626
U.S. Publn. 20030032615
U.S. Publn. 20030203865
U.S. Publn. 20040048787
Abraham et al., Mol. Med., 8:750-760, 2002.
Ambros, Cell, 113(6):673-676, 2003.
Angel et al., Cell, 49:729, 1987b.
Angel et al., Mol. Cell. Biol., 7:2256, 1987a.
Atchison and Perry, Cell, 46:253, 1986.
Atchison and Perry, Cell, 48:121, 1987.
Baichwal and Sugden, In: Gene Transfer, Kucherlapati (Ed.), Plenum Press, NY, 117-148, 1986.
Baldwin and Haddad, J. Appl. Physiol., 90:345-357, 2001.
Banerji et al., Cell, 27(2 Pt 1):299-308, 1981.
Banerji et al., Cell, 33(3):729-740, 1983.
Barnes et al., J. Biol. Chem., 272(17):11510-11517, 1997.
Bartel, Cell, 116:281-297, 2004.
Benvenisty and Neshif, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83(24):9551-9555, 1986.
Berkhout et al., Cell, 59:273-282, 1989.
Bhavsar et al., Genomics, 35(1):11-23, 1996.
Blanar et al., EMBO J., 8:1139, 1989.
Bodine and Ley, EMBO J., 6:2997, 1987.
Boshart et al., Cell, 41 :521, 1985.
Bosze et al., EMBO J., 5(7):1615-1623, 1986.
Braddock et al., Cell, 58:269, 1989.
Brennecke et al., Cell, 113:25-36, 2003.
Brinster et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82(13):4438-4442, 1985.
Bristow, Cardiology, 92:3-6, 1999.
Bulla and Siddiqui, J. Virol., 62:1437, 1986.
Calin et al., Proc. Natl. Acd. Sci. USA, 99:15524-15529, 2002.
Campbell and Villarreal, Mol Cell. Biol., 8:1993, 1988.
Campere and Tilghman, Genes and Dev., 3:537, 1989.
Campo et al., Nature, 303:77, 1983.
Carrington et al. Science, 301(5631):336-338, 2003.
Celander and Haseltine, J. Virology, 61:269, 1987.
Celander et al., J. Virology, 62:1314, 1988.
Chandler et al., Cell, 33:489, 1983.
Chang and Karin, Nature, 410(6824):37-40, 2001.
Chang et al., Biochim. Biophys. Acta, 1092(2):153-160, 1991.
Chang et al., Mol Cell. Biol., 9:2153, 1989.
Chang et al., Nature, 430(7001):785-789, 2004.
Chatterjee et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:9114, 1989.
Chen and Okayama, Mol. Cell Biol., 7(8):2745-2752, 1987.
Chen et al., Science, 303(5654):83-86, 2004.
Choi et al., Cell, 53:519, 1988.
Coffin, In: Virology, Fields et al. (Eds.), Raven Press, NY, 1437-1500, 1990.
Cohen et al., J. Cell. Physiol., 5:75, 1987.
Costa et al., Mol. Cell. Biol., 8:81, 1988.
Couch et al., Am. Rev. Resp. Dis., 88:394-403, 1963.
Coupar et al., Gene, 68:1-10, 1988.
Cripe et al., EMBO J., 6:3745, 1987.
Culotta and Hamer, Mol. Cell. Biol., 9:1376, 1989.
Dandolo et al., J Virology, 47:55-64, 1983.
De Villiers et al., Nature, 312(5991):242-246, 1984.
Deschamps et al., Science, 230:1174-1177, 1985.
Dubensky et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:7529-7533, 1984.
Durand et al., Ann. Med., 27:311-317, 1995.
Edbrooke et al., Mol. Cell. Biol., 9:1908, 1989.
Edgerton and Roy, J. Appl. Physiol., 89:1224-1231, 2000.
Edlund et al., Science, 230:912-916, 1985.
Eichhorn and Bristow, Circulation, 94:2285-2296, 1996.
EPO 0273085
Fatkin et al., J. Clin. Invest., 106:1351-1359, 2000.
Fechheimer, et al., Proc Natl. Acad. Sci. USA, 84:8463-8467, 1987.
Feng and Holland, Nature, 334:6178, 1988.
Ferkol et al., FASEB J., 7:1081-1091, 1993.
Firak and Subramanian, Mol. Cell. Biol., 6:3667, 1986.
Fitts et al., J. Appl. Physiol., 89:823-839, 2000.
Foecking and Hofstetter, Gene, 45(1):101-105, 1986.
Fraley et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76:3348-3352, 1979.
Franz et al., Cardioscience, 5(4):235-43, 1994.
Friedman et al., Genes Devel., 3:1314, 1989.
Fujita et al., Cell, 49:357, 1987.
Ghosh and Bachhawat, In: Liver Diseases, Targeted Diagnosis and Therapy Using Specific Receptors and Ligands, Wu et al. (Eds.), Marcel Dekker, NY, 87-104, 1991.
Ghosh-Choudhury et al., EMBO J., 6:1733-1739, 1987.
Gilles et al., Cell, 33:717, 1983.
Gloss et al., EMBO J., 6:3735, 1987.
Godbout et al., Mol. Cell. Biol., 8:1169, 1988.
Gomez-Foix et al., J. Biol. Chem., 267:25129-25134, 1992.
Goodbourn and Maniatis, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85:1447, 1988.
Goodbourn et al., Cell, 45:601, 1986.
Gopal, Mol. Cell Biol., 5:1188-1190, 1985.
Gopal-Srivastava et al., J. Mol. Cell. Biol. 15(12):7081-7090, 1995.
Graham and Prevec, In: Methods in Molecular Biology: Gene Transfer and Expression Protocol, Murray (Ed.), Humana Press, Clifton, NJ, 7:109-128, 1991.
Graham and Van Der Eb, Virology, 52:456-467, 1973.
Graham et al., J. Gen. Virl., 36(1):59-74, 1977.
Greene et al., Immunology Today, 10:272, 1989
Grishok et al., Cell, 106:23-34, 2001.
Grosschedl and Baltimore, Cell, 41:885, 1985.
Grunhaus and Horwitz, Seminar in Virology, 3:237-252, 1992.
Harland and Weintraub, J. Cell Biol., 101(3):1094-1099, 1985.
Haslinger and Karin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82:8572, 1985.
Hauber and Cullen, J. Virology, 62:673, 1988.
Hen et al., Nature, 321:249, 1986.
Hensel et al., Lymphokine Res., 8:347, 1989.
Hermonat and Muzycska, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81 :6466-6470, 1984.
Herr and Clarke, Cell, 45:461, 1986.
Hersdorffer et al., DNA Cell Biol., 9:713-723, 1990.
Herz and Gerard, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:2812-2816, 1993.
Hirochika et al., J. Virol., 61:2599, 1987.
Hirsch et al., Mol. Cell. Biol., 10:1959, 1990.
Holbrook et al., Virology, 157:211, 1987.
Horlick and Benfield, Mol. Cell. Biol., 9:2396, 1989.
Horwich et al. J. Virol., 64:642-650, 1990.
Huang et al., Cell, 27:245, 1981.
Hug et al., Mol. Cell. Biol., 8:3065, 1988.
Hutvagner et al., PLoS Biol., 2(4):E98, 2004.
Hwang et al., Mol. Cell. Biol., 10:585, 1990.
Imagawa et al., Cell, 51:251, 1987.
Imbra and Karin, Nature, 323:555, 1986.
Imler et al., Mol. Cell. Biol., 7:2558, 1987.
Imperiale and Nevins, Mol. Cell. Biol., 4:875, 1984.
Ito and Roeder, Trends Endocrinol. Metab., 12:127-134, 2001.
Jakobovits et al., Mol. Cell. Biol., 8:2555, 1988.
Jameel and Siddiqui, Mol. Cell. Biol., 6:710, 1986.
Jaynes et al., Mol Cell. Biol., 8:62, 1988.
Ji et al., Mol. Cell. Biol. 27(4):1531-43, 2006.
Johnson et al., Mol. Cell. Biol., 9:3393, 1989.
Jones and Shenk, Cell, 13:181-188, 1978.
Kadesch and Berg, Mol. Cell. Biol., 6:2593, 1986.
Kaneda et al., Science, 243:375-378, 1989.
Karin et al., Mol. Cell. Biol., 7:606, 1987.
Karin et al., Mol. Cell. Biol., 7:606, 1987.
Karlsson et al., EMBO J., 5:2377-2385, 1986.
Katinka et al., Cell, 20:393, 1980.
Katinka et al., Nature, 290:720, 1981.
Kato et al, J. Biol. Chem., 266:3361-3364, 1991.
Kawamoto et al., Mol. Cell. Biol., 8:267, 1988.
Kelly et al., J. Cell Biol., 129(2):383-396, 1995.
Kiledjian et al., Mol. Cell. Biol., 8:145, 1988.
Kimura et al., Dev. Growth Differ. 39(3):257-265, 1997.
Kiriazis and Kranias, Annu. Rev. Physiol., 62:321-351, 2000.
Klamut et al., Mol. Cell. Biol., 10:193, 1990.
Klein et al., Nature, 327:70-73, 1987.
Koch et al., Mol. Cell. Biol., 9:303, 1989.
Krek et al., Nature Genetics, 37:495-500, 2005.
Krenz and Robbins, J. Am. Coll. Cardiol., 44:2390-2397, 2004.
Kriegler and Botchan, In: Eukaryotic Viral Vectors, Gluzman (Ed.), Cold Spring Harbor:Cold Spring Harbor Laboratory, NY, 1982.
Kriegler and Botchan, Mol. Cell. Biol., 3:325, 1983a.
Kriegler et al., Cell, 38:483, 1984.
Kriegler et al., Cell, 53:45, 1988.
Kriegler et al., In: Gene Expression, Alan Liss (Ed.), Hamer and Rosenberg, New York,
1983b.
Krutzfeldt et al., Nature, 438:685-689, 2005.
Kuhl et al., Cell, 50:1057, 1987.
Kunz et al., Nucl. Acids Res., 17:1121, 1989.
Lagos-Quintana et al., Science, 294(5543):853-858, 2001.
LaPointe et al., Hypertension 27(3 Pt 2):715-22, 1996.
LaPointe et al., J. Biol. Chem., 263(19):9075-8, 1988.
Larsen et al., Proc Natl. Acad. Sci. USA., 83:8283, 1986.
Laspia et al., Cell, 59:283, 1989.
Latimer et al., Mol. Cell. Biol., 10:760, 1990.
Lau et al., Science, 294(5543):858-862, 2001.
Le Gal La Salle et al., Science, 259:988-990, 1993.
Lee and Ambros, Science, 294(5543):862-864, 2001.
Lee et al., Nature, 294:228, 1981.
Lee et al., Nucleic Acids Res., 12:4191-206, 1984.
Leung et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 48:18125-18130, 2006.
Levinson et al., Nature, 295:79, 1982.
Levrero et al., Gene, 101 :195-202, 1991.
Lin et al., Mol. Cell Biol., 10:850, 1990.
Lowes et al., J. Clin. Invest., 100:2315-2324, 1997.
Luria et al., EMBOJ., 6:3307, 1987.
Lusky and Botchan, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83:3609, 1986.
Lusky et al., Mol. Cell. Biol., 3:1108, 1983.
Macejak and Sarnow, Nature, 353:90-94, 1991.
Majors and Varmus, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80:5866, 1983.
Mann et al., Cell, 33:153-159, 1983.
Markowitz et al., J. Virol., 62:1120-1124, 1988.
McKinsey and Olson, J. Clin. Invest., 115:538-546, 2005.
McNeall et al., Gene, 76:81, 1989.
Meister and Tuschl, Nature, 431 :343-9, 2004.
Miksicek et al., Cell, 46:203, 1986.
Miyata et al., Circ. Res., 86:386-390, 2000.
Mordacq and Linzer, Genes and Dev., 3:760, 1989.
Moreau et al., Nucl. Acids Res., 9:6047, 1981.
Morkin, Microsc. Res. Tech., 50:522-531, 2000.
Moss et al., Biol Chem., 271(49):31688-31694, 1996.
Muesing et al., Cell, 48:691, 1987.
Nakao et al., J. Clin. Invest., 100:2362-2370, 1997.
Naya et al., J Biol Chem, 275(7):4545-4548, 2000.
Ng et al., Nuc. Acids Res., 17:601, 1989.
Nicolas and Rubinstein, In: Vectors: A survey of molecular cloning vectors and their uses, Rodriguez and Denhardt (Eds), Stoneham: Butterworth, 494-513, 1988.
Nicolau and Sene, Biochim. Biophys. Acta, 721 :185-190, 1982.
Nicolau et al., Methods Enzymol., 149:157-176, 1987.
Ondek et al., EMBO J., 6:1017, 1987.
Ornitz et al., Mol. Cell. Biol., 7:3466, 1987.
Palmiter et al., Nature, 300:611, 1982.
Pantos et al., Horm. Metab. Res., 38:308-313, 2006.
Paskind et al., Virology, 67:242-248, 1975.
Pasquinelli and Ruvkun, Ann. Rev. Cell Dev. Biol., 18:495-513, 2002.
PCT Appln. WO 0071096
PCT Appln. WO 98/33791
Pech et al., Mol. Cell. Biol., 9:396, 1989.
Pelletier and Sonenberg, Nature, 334(6180):320-325, 1988.
Perales et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91 :4086-4090, 1994.
Perez-Stable and Constantini, Mol. Cell. Biol., 10:1116, 1990.
Physicians Desk Reference
Picard and Schaffner, Nature, 307:83, 1984.
Pinkevt et al., Genes and Dev., 1:268, 1987.
Ponta et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82:1020, 1985.
Porton et al., Mol. Cell. Biol., 10:1076, 1990.
Potter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:7161-7165, 1984.
Queen and Baltimore, Cell, 35:741, 1983.
Quinn et al., Mol Cell. Biol., 9:4713, 1989.
Racher et al., Biotechnology Techniques, 9:169-174, 1995.
Ragot et al., Nature, 361:647-650, 1993.
Redondo et al., Science, 247:1225, 1990.
Reisman and Rotter, Mol. Cell. Biol., 9:3571, 1989.
Remington's Pharmaceutical Sciences, 15th ed., pages 1035-1038 and 1570-1580, Mack Publishing Company, Easton, PA, 1980.
Renan, Radiother. Oncol., 19:197-218, 1990.
Resendez Jr. et al., Mol. Cell. Biol., 8:4579, 1988.
Rich et al., Hum. Gene Ther., 4:461-476, 1993.
Ridgeway, In: Vectors: A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses, Rodriguez et al. (Eds.), Stoneham: Butterworth, 467-492, 1988.
Ripe et al., Mol. Cell. Biol., 9:2224, 1989.
Rippe, et al., Mol. Cell Biol., 10:689-695, 1990.
Rittling et al., Nuc. Acids Res., 17:1619, 1989.
Rosen et al., Cell, 41:813, 1988.
Rosenfeld et al., Science, 252:431-434, 1991.
Rosenfeld, et al., Cell, 68:143-155, 1992.
Roux et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:9079-9083, 1989.
Sakai et al., Genes and Dev., 2:1144, 1988.
Sambrook and Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual 3rd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001.
Satake et al., J. Virology, 62:970, 1988.
Schaffner et al., J. Mol. Biol., 201:81, 1988.
Searle et al., Mol Cell. Biol., 5:1480, 1985.
Sharp and Marciniak, Cell, 59:229, 1989.
Shaul and Ben-Levy, EMBO J., 6:1913, 1987.
Sherman et al., Mol. Cell. Biol., 9:50, 1989.
Sleigh and Lockett, J. EMBO, 4:3831, 1985.
Spalholz et al., Cell, 42:183, 1985.
Spandau and Lee, J. Virology, 62:427, 1988.
Spandidos and Wilkie, EMBOJ., 2:1193, 1983.
Stephens and Hentschel, Biochem. J., 248:1, 1987.
Stratford-Perricaudet and Perricaudet, In: Human Gene Transfer, Eds, Cohen-Haguenauer and Boiron, John Libbey Eurotext, France, 51-61, 1991.
Stratford-Perricaudet et al., Hum. Gene. Ther., 1:241-256, 1990.
Stuart et al., Nature, 317:828, 1985.
Sullivan and Peterlin, Mol. Cell. Biol., 7:3315, 1987.
Swartzendruber and Lehman, J. Cell. Physiology, 85:179, 1975.
Takebe et al., Mol. Cell. Biol., 8:466, 1988.
Tang et al., Muscle Nerve, 36(3), 342-8, 2007.
Tavernier et al., Nature, 301:634, 1983.
Taylor and Kingston, Mol. Cell. Biol., 10:165, 1990a.
Taylor and Kingston, Mol. Cell. Biol., 10:176, 1990b.
Taylor et al., J Biol. Chem., 264:15160, 1989.
Temin, In: Gene Transfer, Kucherlapati (Ed.), NY, Plenum Press, 149-188, 1986.
The Merck Index, Eleventh Edition
Thiesen et al., J. Virology, 62:614, 1988.
Top et al., J Infect. Dis., 124:155-160, 1971.
Treisman, Cell, 46(4):567-174, 1986.
Tronche et al., Mol. Biol. Med., 7:173, 1990.
Tronche et al., Mol. Cell Biol., 9(11):4759-4766, 1989.
Trudel and Constantini, Genes and Dev., 6:954, 1987.
Tsika et al., Am. J. Physiol. Cell Physiol., 283:C1761-C1775, 2002.
Tur-Kaspa et al., Mol. Cell Biol., 6:716-718, 1986.
Tyndell et al., Nuc. Acids. Res., 9:6231, 1981.
van Rooij et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103(48):18255-18260, 2006.
van Rooij et al. Science 316(5824): 575-9. 2007.
Vannice and Levinson, J. Virology, 62:1305, 1988.
Varmus et al., Cell, 25:23-36, 1981.
Vasseur et al., Proc Natl. Acad. Sci. USA, 77:1068, 1980.
Wagner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87(9):3410-3414, 1990.
Wang and Calame, Cell, 47:241, 1986.
Weber et al., Cell, 36:983, 1984.
Wei et al., J. Endocrinol. Invest., 28:8-11, 2005.
Weinberger et al. Mol. Cell. Biol., 8:988, 1984.
Winoto and Baltimore, Cell, 59:649, 1989.
Wong et al., Gene, 10:87-94, 1980.
Wu and Wu, Adv. Drug Delivery Rev., 12:159-167, 1993.
Wu and Wu, Biochemistry, 27: 887-892, 1988.
Wu and Wu, J. Biol. Chem., 262:4429-4432, 1987.
Xu et al., Curr. Biol., 13:790-795, 2003.
Yamauchi-Takihara, et. al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86(10):3504-3508, 1989.
Yang and Russell, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:4144-4148, 1990.
Yao and Eghbali, Circ. Res., 71:831-839, 1992.
Young et al., In: Handbook of Applied Therapeutics, 7.1-7.12 and 9.1-9.10, 1989.
Yutzey et al. Mol. Cell. Biol., 9:1397, 1989.
Zelenin et al., FEBS Lett., 287(1-2):118-120, 1991.
Zeng et al., Mol Cell., 9(6):1327-33, 2002.
Zhao et al., Nature, 436:214-220, 2005.
Ziober and Kramer, J. Bio. Chem., 271(37):22915-22, 1996.

Claims (83)

  1. (a)心臓肥大、心不全、又は心筋梗塞を有する対象を特定する工程と、
    (b)前記対象の心臓細胞でmiR−499又はmiR−208bの発現又は活性を阻害する工程と
    を含む、その必要がある対象の、病的な心臓肥大、心不全、又は心筋梗塞を治療する方法。
  2. 阻害する工程が、miR−499又はmiR−208bの阻害薬を前記対象に投与する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  3. miR−499又はmiR−208bの阻害薬が、アンタゴmir、アンチセンスオリゴヌクレオチド、又は阻害性RNA分子である、請求項2に記載の方法。
  4. アンタゴmir又はアンチセンスオリゴヌクレオチドが、成熟miR−499又はmiR−208b配列に相補的な配列を含む、請求項3に記載の方法。
  5. アンタゴmir又はアンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号26又は配列番号27に相補的な配列を含む、請求項4に記載の方法。
  6. 阻害性RNA分子が二本鎖領域を含み、前記二本鎖領域が、成熟miR−499又はmiR−208b配列と実質的に同一な配列を含む、請求項3に記載の方法。
  7. 二本鎖領域が、配列番号26又は配列番号27と実質的に同一な配列を含む、請求項6に記載の方法。
  8. miR−499又はmiR−208bの阻害薬が、非経口投与又は直接注射によって心臓組織に投与される、請求項2に記載の方法。
  9. 非経口投与が静脈内又は皮下投与である、請求項8に記載の方法。
  10. miR−499又はmiR−208bの阻害薬が、経口、経皮、持続放出、制御放出、遅延放出、坐薬、カテーテル、又は舌下投与によって投与される、請求項2に記載の方法。
  11. miR−499及びmiR−208bの両方の発現又は活性が阻害される、請求項1に記載の方法。
  12. 第2の心臓肥大治療薬を前記対象に投与する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  13. 前記第2の治療薬が、β遮断薬、イオノトロープ、利尿薬、ACE−I、AII拮抗薬、BNP、Ca++遮断薬、エンドセリン受容体拮抗薬、及びHDAC阻害薬からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
  14. 前記第2の治療薬が、miR−499又はmiR−208bの阻害薬と同時に投与される、請求項12に記載の方法。
  15. 前記第2の治療薬が、miR−499又はmiR−208bの阻害薬の前又は後に投与される、請求項12に記載の方法。
  16. 病的な心臓肥大、心不全、又は心筋梗塞の1つ又は複数の症状が、miR−499又はmiR−208bの阻害薬の投与の後に対象内で改善される、請求項1に記載の方法。
  17. 前記1つ又は複数の症状が、高い運動能力、高い心臓駆出容積、低い左心室拡張末期圧、低い肺毛細血管楔入圧、高い心拍出量、高い心係数、低い肺動脈圧、低い左心室収縮末期及び拡張末期径、低い左心室及び右心室壁応力、低い壁張力、高い生活の質、低い疾患関連罹患率又は死亡率、又はこれらの組合せである、請求項16に記載の方法。
  18. miR−499又はmiR−208bの阻害薬の投与が、対象での心臓肥大から心不全への移行を遅延させる、請求項2に記載の方法。
  19. (a)病的な心臓肥大又は心不全を発症する危険性がある対象を特定する工程と、
    (b)前記対象の心臓細胞でのmiR−499又はmiR−208bの発現又は活性を阻害する工程と
    を含む、その必要がある対象で病的な肥大又は心不全を予防する方法。
  20. 阻害する工程が、miR−499又はmiR−208bの阻害薬を心臓細胞に送達する工程を含む、請求項19に記載の方法。
  21. miR−499又はmiR−208bの阻害薬が、アンタゴmir、アンチセンスオリゴヌクレオチド、又は阻害性RNA分子である、請求項20に記載の方法。
  22. アンタゴmir又はアンチセンスオリゴヌクレオチドが、成熟miR−499又はmiR−208b配列に相補的な配列を含む、請求項21に記載の方法。
  23. アンタゴmir又はアンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号26又は配列番号27に相補的な配列を含む、請求項22に記載の方法。
  24. 阻害性RNA分子が二本鎖領域を含み、前記二本鎖領域が、成熟miR−499又はmiR−208b配列と実質的に同一な配列を含む、請求項21に記載の方法。
  25. 二本鎖領域が、配列番号26又は配列番号27と実質的に同一な配列を含む、請求項24に記載の方法。
  26. 危険性のある対象が、長期にわたって管理されていない高血圧、矯正されていない弁膜症、慢性アンギナ、最近の心筋梗塞、心疾患に対する先天的素因、及び病的な肥大からなる群から選択された1つ又は複数の危険因子を示す可能性がある、請求項19に記載の方法。
  27. 危険性のある対象が、心臓肥大に対する遺伝的素因を有すると診断された、請求項19に記載の方法。
  28. 危険性のある対象が、心臓肥大の家族歴を有する、請求項19に記載の方法。
  29. トランスジェニック非ヒト哺乳類であって、その細胞が、機能性miR−499又はmiR−208bを発現することができない哺乳類。
  30. マウスである、請求項29に記載のトランスジェニック哺乳類。
  31. トランスジェニック非ヒト哺乳類であって、その細胞が、前記非ヒト哺乳類の細胞で活性な異種プロモーターの制御下にあるMiR−499又はmiR−208bコード領域を含む哺乳類。
  32. マウスである、請求項31に記載のトランスジェニック哺乳類。
  33. 前記プロモーターが組織特異的プロモーターである、請求項31に記載のトランスジェニック哺乳類。
  34. 組織特異的プロモーターが筋特異的プロモーターである、請求項33に記載のトランスジェニック哺乳類。
  35. 組織特異的プロモーターが心筋特異的プロモーターである、請求項33に記載のトランスジェニック哺乳類。
  36. 天然のmiR−499対立遺伝子の一方又は両方、及び/又は天然のmiR−208b対立遺伝子の一方又は両方を欠くトランスジェニック非ヒト哺乳類細胞。
  37. 前記天然のmiR−499対立遺伝子の両方、及び/又は前記天然のmiR−208b対立遺伝子の両方を欠く、請求項36に記載の細胞。
  38. 対象の心臓細胞でのmiR−499又はmiR−208bの発現又は活性を阻害する工程を含む、その必要がある対象の心臓肥大及び拡張型心筋症を予防する方法。
  39. 対象の心臓細胞でのmiR−499又はmiR−208bの発現又は活性を阻害する工程を含む、その必要がある対象での心臓肥大の進行を阻害する方法。
  40. (a)筋骨格系障害の危険性を有し、あるいは危険性がある対象を特定する工程と、
    (b)前記対象の骨格筋細胞でのmiR−499及び/又はmiR−208bの発現及び/又は活性を増大させる工程と
    を含む、その必要がある対象の筋骨格系障害を治療又は予防する方法。
  41. 前記筋骨格障害が、筋萎縮症、抗重力に応答した筋肉疲労、及び除神経からなる群から選択される、請求項40に記載の方法。
  42. miR−499又はmiR−208bの発現及び/又は活性を増大させる工程が、成熟miR−499又は成熟miR−208b配列を含むポリヌクレオチドを前記対象に投与する工程を含む、請求項40に記載の方法。
  43. ポリヌクレオチドが配列番号26又は配列番号27の配列を含む、請求項42に記載の方法。
  44. miR−499及び/又はmiR−208bの発現及び/又は活性を増大させる工程が、miR−499及び/又はmiR−208bをコードする発現ベクターを前記対象に投与する工程を含む、請求項40に記載の方法。
  45. 発現ベクターがウイルス発現ベクターである、請求項44に記載の方法。
  46. ウイルス発現ベクターがアデノウイルス発現ベクターである、請求項45に記載の方法。
  47. 発現ベクターが非ウイルス発現ベクターである、請求項44に記載の方法。
  48. 非ウイルス発現ベクターが脂質ビヒクル内に含まれる、請求項47に記載の方法。
  49. ポリヌクレオチドが脂質ビヒクル内に含まれる、請求項42に記載の方法。
  50. miR−499及びmiR−208bの両方の発現及び/又は活性を、前記対象の骨格筋細胞で増大させる、請求項40に記載の方法。
  51. 前記骨格筋細胞の1つ又は複数の速骨格筋遺伝子の発現を、miR−499又はmiR−208bの発現又は活性を増大させた後に低下させる、請求項40に記載の方法。
  52. 1つ又は複数の速骨格筋遺伝子が、トロポニンI2、トロポニンT3、速骨格ミオシン軽鎖、及びα骨格アクチンからなる群から選択される、請求項51に記載の方法。
  53. 非miR−499又はmiR−208b治療薬を対象に投与する工程をさらに含む、請求項40に記載の方法。
  54. miR−499及び/又はmiR−208bのモジュレーターを特定するための方法であって、
    (a)細胞を候補物質に接触させる工程と、
    (b)miR−499及び/又はmiR−208bの活性又は発現を評価する工程と、
    (c)工程(b)の活性又は発現を、候補物質の不在下での活性又は発現と比較する工程と
    を含み、測定した活性又は発現の間の差から、前記候補物質がmiR−499及び/又はmiR−208bのモジュレーターであることが示される方法。
  55. 細胞を、in vitroで候補物質に接触させる、請求項54に記載の方法。
  56. 細胞を、in vivoで候補物質に接触させる、請求項54に記載の方法。
  57. miR−499及び/又はmiR−208bのモジュレーターが、miR−499及び/又はmiR−208bの作動薬である、請求項54に記載の方法。
  58. miR−499及び/又はmiR−208bのモジュレーターが、miR−499及び/又はmiR−208bの拮抗薬である、請求項54に記載の方法。
  59. 候補物質が、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、又は小分子である、請求項54に記載の方法。
  60. miR−499及び/又はmiR−208bの活性又は発現を評価する工程が、miR−499及び/又はmiR−208bの発現を評価する工程を含む、請求項54に記載の方法。
  61. miR−499及び/又はmiR−208bの発現を評価する工程が、ノーザンブロット又はRT−PCRを含む、請求項60に記載の方法。
  62. miR−499及び/又はmiR−208bの活性又は発現を評価する工程が、miR−499及び/又はmiR−208bの活性を評価する工程を含む、請求項54に記載の方法。
  63. miR−499又はmiR−208bの活性を評価する工程が、miR−499又はmiR−208bによって調節された遺伝子の発現又は活性を評価する工程を含む、請求項62に記載の方法。
  64. miR−499によって調節された遺伝子が、β−ミオシン重鎖又は速骨格筋タンパク質遺伝子である、請求項63に記載の方法。
  65. miR−208bによって調節された遺伝子が、Sp3、ミオスタチン、PURβ、THRAP1、又は速骨格筋タンパク質遺伝子である、請求項63に記載の方法。
  66. 速骨格筋タンパク質遺伝子が、トロポニンI2、トロポニンT3、速骨格筋ミオシン軽鎖、又はα骨格アクチンである、請求項64又は請求項65に記載の方法。
  67. miR−499又はmiR−208bの活性を評価する工程が、α−ミオシン重鎖発現レベルとβ−ミオシン重鎖発現レベルとの比を評価する工程を含む、請求項62に記載の方法。
  68. miR−499及び/又はmiR−208bの阻害薬を含む医薬品組成物。
  69. 前記阻害薬が、アンタゴmir、アンチセンスオリゴヌクレオチド、又は阻害性RNA分子である、請求項68に記載の医薬品組成物。
  70. アンタゴmir又はアンチセンスオリゴヌクレオチドが、成熟miR−499又はmiR−208b配列に相補的な配列を含む、請求項69に記載の医薬品組成物。
  71. アンタゴmir又はアンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号26又は配列番号27に相補的な配列を含む、請求項70に記載の医薬品組成物。
  72. 阻害性RNA分子が二本鎖領域を含み、前記二本鎖領域が、成熟miR−499又はmiR−208b配列と実質的に同一な配列を含む、請求項69に記載の医薬品組成物。
  73. 二本鎖領域が、配列番号26又は配列番号27と実質的に同一な配列を含む、請求項72に記載の医薬品組成物。
  74. miR−499の阻害薬及びmiR−208bの阻害薬を含む、請求項68に記載の医薬品組成物。
  75. 注射用に配合される、請求項68に記載の医薬品組成物。
  76. 非経口投与用のキットと組み合わせた、請求項68に記載の医薬品組成物。
  77. 非経口投与が静脈内又は皮下投与である、請求項76に記載の医薬品組成物。
  78. カテーテル投与用のキットと組み合わせた、請求項68に記載の医薬品組成物。
  79. miR−499又はmiR−208bの成熟配列を含有するポリヌクレオチドを含む、医薬品組成物。
  80. 前記ポリヌクレオチドが発現ベクター内に含有される、請求項79に記載の医薬品組成物。
  81. 前記ポリヌクレオチドが配列番号26又は配列番号27の配列を含む、請求項79に記載の医薬品組成物。
  82. 前記ポリヌクレオチドが脂質送達ビヒクルに含まれる、請求項79に記載の医薬品組成物。
  83. miR−499及びmiR−208bの両方の成熟配列を含有するポリヌクレオチドを含む、請求項79に記載の医薬品組成物。
JP2014157467A 2007-07-31 2014-08-01 ミオシンの発現及び筋線維の同一性を制御するマイクロrna Pending JP2015013864A (ja)

Applications Claiming Priority (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US95291107P 2007-07-31 2007-07-31
US60/952,911 2007-07-31
US98011307P 2007-10-15 2007-10-15
US60/980,113 2007-10-15
US98031407P 2007-10-16 2007-10-16
US60/980,314 2007-10-16

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010520205A Division JP5654347B2 (ja) 2007-07-31 2008-07-31 ミオシンの発現及び筋線維の同一性を制御するマイクロrna

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015013864A true JP2015013864A (ja) 2015-01-22

Family

ID=40305287

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010520205A Expired - Fee Related JP5654347B2 (ja) 2007-07-31 2008-07-31 ミオシンの発現及び筋線維の同一性を制御するマイクロrna
JP2014157467A Pending JP2015013864A (ja) 2007-07-31 2014-08-01 ミオシンの発現及び筋線維の同一性を制御するマイクロrna

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010520205A Expired - Fee Related JP5654347B2 (ja) 2007-07-31 2008-07-31 ミオシンの発現及び筋線維の同一性を制御するマイクロrna

Country Status (12)

Country Link
US (2) US8481507B2 (ja)
EP (1) EP2187896B1 (ja)
JP (2) JP5654347B2 (ja)
KR (1) KR20100057022A (ja)
CN (1) CN101808649B (ja)
AU (1) AU2008283794B2 (ja)
BR (1) BRPI0814991A2 (ja)
CA (1) CA2694928A1 (ja)
HK (1) HK1143948A1 (ja)
MX (1) MX2010001216A (ja)
NZ (1) NZ583025A (ja)
WO (1) WO2009018492A2 (ja)

Families Citing this family (25)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EA200900782A1 (ru) * 2006-12-14 2009-12-30 Новартис Аг Композиции и способы, предназначенные для лечения мышечных и сердечно-сосудистых нарушений
NZ594365A (en) * 2009-02-04 2013-03-28 Univ Texas Dual targeting of miR-208a or miR-208b and miR-499 in the treatment of cardiac disorders or musculoskeletal disorders
DK2427472T3 (en) 2009-05-05 2016-09-12 Miragen Therapeutics Lipophilic polynukleotidkonjugater
WO2012006577A2 (en) 2010-07-08 2012-01-12 Duke University Direct reprogramming of cells to cardiac myocyte fate
US9416360B2 (en) 2010-11-05 2016-08-16 MiRagen Therapeutics, Inc. Base modified oligonucleotides
AU2011343720A1 (en) 2010-12-15 2013-04-11 Miragen Therapeutics MicroRNA inhibitors comprising locked nucleotides
US8455518B2 (en) * 2010-12-28 2013-06-04 Avon Products, Inc. Method of treating skin with microRNA modulators
CA2850223A1 (en) 2011-10-06 2013-04-11 Eva Van Rooij Control of whole body energy homeostasis by microrna regulation
CN104685056A (zh) 2012-06-21 2015-06-03 米拉根医疗股份有限公司 包含锁核酸基序的基于寡核苷酸的抑制剂
KR101426530B1 (ko) * 2012-10-04 2014-08-05 한국과학기술연구원 형광 검출기를 포함한 모세관 전기영동법을 이용한 miRNA의 검출 방법
US10076384B2 (en) 2013-03-08 2018-09-18 Symple Surgical, Inc. Balloon catheter apparatus with microwave emitter
BR112015022514A2 (pt) * 2013-03-15 2017-07-18 Alltech Inc composições que compreendem selênio e uso das mesmas para o tratamento e prevenção de doença ou condições associadas à disfunção mitocondrial
GB201400598D0 (en) 2014-01-14 2014-03-05 Univ Glasgow Materials and methods for modulation of tendon healing
CN105154445B (zh) * 2014-06-12 2018-07-27 中国科学院上海生命科学研究院 新的肌营养不良肌病的血清miRNA标志物
KR20170042625A (ko) * 2014-08-04 2017-04-19 미라젠 세러퓨틱스 인코포레이티드 Myh7b의 억제제 및 이의 용도
SG11201705907XA (en) 2015-01-20 2017-08-30 Miragen Therapeutics Inc Mir-92 inhibitors and uses thereof
JP6978774B2 (ja) 2015-11-06 2021-12-08 国立大学法人 熊本大学 心不全の予防又は治療のための医薬組成物
JP6692638B2 (ja) * 2015-12-18 2020-05-13 花王株式会社 PPARδ活性化剤
CN106924757B (zh) * 2015-12-31 2020-07-24 中国科学院遗传与发育生物学研究所 miR-449c-5p及其拟似物在制备治疗和预防心脏瓣膜疾病产品中的应用
US11655469B2 (en) 2016-03-07 2023-05-23 The United States Of America, As Represented By The Secretary, Department Of Health And Human Services MicroRNAs and methods of their use
CN105695606B (zh) * 2016-04-07 2020-08-28 昆明理工大学 用于非治疗目的的肥厚型心肌病相关致病基因突变的筛查方法
KR20210102870A (ko) 2018-08-30 2021-08-20 테나야 테라퓨틱스, 인코포레이티드 미오카르딘 및 ascl1을 사용한 심장 세포 재프로그래밍
AU2021230476A1 (en) * 2020-03-02 2022-10-20 Tenaya Therapeutics, Inc. Gene vector control by cardiomyocyte-expressed microRNAs
US20230132602A1 (en) 2020-04-02 2023-05-04 Mirecule, Inc. Targeted Inhibition Using Engineered Oligonucleotides
KR20230096756A (ko) * 2021-12-23 2023-06-30 사회복지법인 삼성생명공익재단 miR-499-5p 활성화제를 포함하는 뒤센 근이영양증 예방 또는 치료용 조성물

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007070483A2 (en) * 2005-12-12 2007-06-21 The University Of North Carolina At Chapel Hill Micrornas that regulate muscle cell proliferation and differentiation

Family Cites Families (43)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004522411A (ja) 2000-07-31 2004-07-29 ジーン ロジック インコーポレイテッド 分子毒性学モデリング
EP2386637B1 (en) * 2001-09-28 2018-05-16 Max-Planck-Gesellschaft zur Förderung der Wissenschaften e.V. Microrna molecules
EP1578393A4 (en) 2002-02-04 2008-03-19 Gene Logic Inc MODELING THE TOXICITY OF PRIMARY RAT-BASED RAT CELLS
US20080214437A1 (en) * 2002-09-06 2008-09-04 Mohapatra Shyam S Methods and compositions for reducing activity of the atrial natriuretic peptide receptor and for treatment of diseases
US7683036B2 (en) * 2003-07-31 2010-03-23 Regulus Therapeutics Inc. Oligomeric compounds and compositions for use in modulation of small non-coding RNAs
WO2005017145A1 (ja) 2003-08-13 2005-02-24 Japan Biological Informatics Consortium 機能性rnaが制御する被制御遺伝子の同定・予測方法及びその利用方法
EP2295604B1 (en) 2004-02-09 2015-04-08 Thomas Jefferson University Diagnosis and treatment of cancers with microRNA located in or near cancer-associated chromosomal features
US20050256072A1 (en) 2004-02-09 2005-11-17 University Of Massachusetts Dual functional oligonucleotides for use in repressing mutant gene expression
CA2556435C (en) 2004-02-13 2014-08-12 The Rockefeller University Anti-microrna oligonucleotide molecules
AU2005250432B2 (en) 2004-05-28 2011-09-15 Asuragen, Inc. Methods and compositions involving microRNA
US7635563B2 (en) * 2004-06-30 2009-12-22 Massachusetts Institute Of Technology High throughput methods relating to microRNA expression analysis
WO2006013561A2 (en) 2004-08-02 2006-02-09 Yissum Research Development Company Of The Hebrew University Of Jerusalem Compositions and methods for diagnosing and treating post traumatic stress disorder
JP2006101790A (ja) 2004-10-06 2006-04-20 Japan Health Science Foundation 高血圧症のリスクの評価方法
US20080269072A1 (en) 2004-10-21 2008-10-30 Hart Ronald P Rational Probe Optimization for Detection of MicroRNAs
ES2534304T3 (es) 2004-11-12 2015-04-21 Asuragen, Inc. Procedimientos y composiciones que implican miARN y moléculas inhibidoras de miARN
WO2006063356A1 (en) 2004-12-10 2006-06-15 Isis Phamaceuticals, Inc. Regulation of epigenetic control of gene expression
US20060185027A1 (en) * 2004-12-23 2006-08-17 David Bartel Systems and methods for identifying miRNA targets and for altering miRNA and target expression
US20070099196A1 (en) 2004-12-29 2007-05-03 Sakari Kauppinen Novel oligonucleotide compositions and probe sequences useful for detection and analysis of micrornas and their target mRNAs
US8071306B2 (en) * 2005-01-25 2011-12-06 Merck Sharp & Dohme Corp. Methods for quantitating small RNA molecules
AU2006237317B8 (en) 2005-04-19 2011-05-12 Basf Plant Science Gmbh Improved methods controlling gene expression
US10000757B2 (en) 2005-05-27 2018-06-19 Ospedale San Raffaele S.R.L. Gene vector
WO2007035684A2 (en) 2005-09-16 2007-03-29 Primera Biosystems, Inc. Method for quantitative detection of short rna molecules
US20070092882A1 (en) 2005-10-21 2007-04-26 Hui Wang Analysis of microRNA
WO2007073737A1 (en) 2005-12-29 2007-07-05 Exiqon A/S Detection of tissue origin of cancer
AU2007211082B2 (en) 2006-01-27 2012-09-27 Isis Pharmaceuticals, Inc. Oligomeric compounds and compositions for the use in modulation of microRNAs
JP5814505B2 (ja) 2006-04-03 2015-11-17 ロシュ・イノベーション・センター・コペンハーゲン・アクティーゼルスカブRoche Innovation Center Copenhagen A/S antimiRNAアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物
EP2434017A3 (en) 2006-08-01 2012-09-05 Board of Regents of the University of Texas System Identification of a micro-RNA that activates expression of beta-myosin heavy chain
WO2008042231A2 (en) 2006-09-29 2008-04-10 Children's Medical Center Corporation Compositions and methods for evaluating and treating heart failure
EP2208798B1 (de) 2006-10-09 2013-08-07 Medizinische Hochschule Hannover MicroRNA (miRNA) zur Diagnose und Therapie von Herzerkrankungen
AU2007323469B2 (en) 2006-11-23 2014-07-24 Guangdong Maijinjia Biotechnology Co., Ltd Oligonucleotides for modulating target RNA activity
EA200900782A1 (ru) 2006-12-14 2009-12-30 Новартис Аг Композиции и способы, предназначенные для лечения мышечных и сердечно-сосудистых нарушений
WO2008074328A2 (en) 2006-12-21 2008-06-26 Exiqon A/S Microrna target site blocking oligos and uses thereof
EP3536788A1 (en) 2006-12-21 2019-09-11 QIAGEN GmbH Microrna target site blocking oligos and uses thereof
AU2008256886B2 (en) 2007-05-23 2013-02-28 Dharmacon, Inc. Micro-RNA scaffolds and non-naturally occurring micro-RNAs
EP2192925A4 (en) 2007-08-23 2013-04-03 Keren Pharmaceuticals TARGETING RNA WITH EXTERNAL GUIDE SEQUENCES
EP2203559B1 (en) 2007-10-04 2014-02-26 Stella ApS Combination treatment for the treatment of hepatitis c virus infection
WO2009058818A2 (en) 2007-10-29 2009-05-07 The Board Of Regents Of The University Of Texas System Compositions comprising a micro-rna and methods of their use in regulating cardiac remodeling
EP2219653B1 (en) 2007-11-09 2016-12-21 The Board of Regents of The University of Texas System Micro-rnas of the mir-15 family modulate cardiomyocyte survival and cardiac repair
WO2009114681A2 (en) 2008-03-13 2009-09-17 Dharmacon, Inc. Identification of mirna profiles that are diagnostic of hypertrophic cardiomyopathy
US20090326049A1 (en) * 2008-04-04 2009-12-31 Alexander Aristarkhov Blocking oligos for inhibition of microrna and sirna activity and uses thereof
EP2297322A1 (en) 2008-06-04 2011-03-23 The Board of Regents of The University of Texas System Modulation of gene expression through endogenous small rna targeting of gene promoters
AU2009257663B2 (en) * 2008-06-09 2014-06-26 New York Medical College Compositions comprising cardiac stem cells overexpressing specific microRNA and methods of their use in repairing damaged myocardium
US8987435B2 (en) 2008-10-24 2015-03-24 Isis Pharmaceuticals, Inc. Oligomeric compounds and methods

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007070483A2 (en) * 2005-12-12 2007-06-21 The University Of North Carolina At Chapel Hill Micrornas that regulate muscle cell proliferation and differentiation

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6013020694; SCIENCE Vol.316, 20070427, p.575-579 *

Also Published As

Publication number Publication date
AU2008283794A1 (en) 2009-02-05
US8962588B2 (en) 2015-02-24
EP2187896A2 (en) 2010-05-26
NZ583025A (en) 2012-06-29
WO2009018492A2 (en) 2009-02-05
CA2694928A1 (en) 2009-02-05
BRPI0814991A2 (pt) 2015-03-31
EP2187896A4 (en) 2011-10-19
JP2010535246A (ja) 2010-11-18
US8481507B2 (en) 2013-07-09
US20100269183A1 (en) 2010-10-21
EP2187896B1 (en) 2016-01-13
US20130245092A1 (en) 2013-09-19
CN101808649A (zh) 2010-08-18
WO2009018492A3 (en) 2010-01-21
JP5654347B2 (ja) 2015-01-14
CN101808649B (zh) 2014-05-21
KR20100057022A (ko) 2010-05-28
HK1143948A1 (zh) 2011-01-21
AU2008283794B2 (en) 2014-03-20
MX2010001216A (es) 2010-04-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5654347B2 (ja) ミオシンの発現及び筋線維の同一性を制御するマイクロrna
JP5798165B2 (ja) ベータミオシン重鎖の発現を活性化するマイクロrnaの同定
JP5654352B2 (ja) miR−15ファミリーのマイクロRNAによる心筋細胞生存及び心臓修復の調節
JP5978258B2 (ja) 線維症をモジュレートするマイクロrnaファミリー及びその使用
WO2009058818A2 (en) Compositions comprising a micro-rna and methods of their use in regulating cardiac remodeling

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150730

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20160107