JP2015013808A - G2/m期停止及び細胞死を誘導するベンゾヒドラジド誘導体 - Google Patents
G2/m期停止及び細胞死を誘導するベンゾヒドラジド誘導体 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】抗がん剤として、又は抗がん剤シードとして、利用しうる化合物を提供する。【解決手段】下記式(I)で表される化合物。[式中、R1〜3は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、置換されていてもよいC1〜6アルキル基、置換されていてもよいC1〜6アシル基、又は置換されていてもよいC1〜6アルコキシ基である。]【選択図】なし
Description
本発明は、特定のベンゾヒドラジド誘導体及びその医薬用途に関する。本発明により提供される化合物は、抗がん剤として、又は抗がん剤シードとして、利用しうる。
真核細胞では、複数の染色体上の膨大な遺伝子DNAを効率よく複製するために、多くの複製開始点から同時に複製が起こる。そのために、複数の複製単位において、一細胞周期に正確に一度だけ複製反応が起こるようにしておく必要がある。このメカニズムがないと、遺伝情報の本体であるDNAの量に異常が生じてしまう。
遺伝子DNAを一細胞周期に一度だけ複製させるライセンシング制御においては、DNA複製開始因子Cdt1(Cdc10-dependent transcript 1)が中心的な役割を担っており、Cdt1は、抑制蛋白質gemininが結合することによる機能抑制に加えて、3つのユビキチン-プロテアソーム蛋白質分解系で厳密にコントロールされていることが明らかにされてきた(非特許文献3、非特許文献5)。その過程で、正常細胞にCdt1を過剰発現させても比較的軽度の障害しか起こらないのに対し、がん細胞株の場合は著しい再複製・細胞死が惹起されることが見いだされた(非特許文献1、非特許文献3、非特許文献4)。近年、siRNAによるgeminin抑制により、がん細胞を選択的に障害できるとのの報告がなされた(非特許文献6)。
Cdt1の過剰発現に対する正常細胞とがん細胞の差は、がん細胞においてはORC1等の、Cdt1以外のライセンシング因子も過剰発現しており(非特許文献4)、それ故にCdt1に対して高感受性になっているからと考えられた。実際に正常細胞でも、Cdt1とORC1又はCDC6を同時に過剰発現させることにより、再複製が惹起される(前掲非特許文献1)。
一方、特定のカルバゾール誘導体、カルボリン誘導体等の多環性含窒素複素環化合物について、分裂期キネシンEg5の阻害活性を有し、HeLa細胞の増殖をM期で阻害するとの報告がある(非特許文献7、及び特許文献1)。
Sugimoto, N., Yoshida, K., Tatsumi, Y., Yugawa, T., Narisawa-Saito, M., Waga, S., Kiyono, T., and Fujita, M. (2009) Redundant and differential regulation of multiple licensing factors ensures prevention of rereplication in normal human cells. J. Cell Sci. 122, 1184-1191.
Mizushina, Y., Takeuchi, T., Hada, T., Maeda, N., Sugawara, F., Yoshida, H., and Fujita, M. (2008) The inhibitory action of SQDG (sulfoquinovosyl diacylglycerol) from spinach on Cdt1-geminin interaction. Biochimie 90, 947-956.
Sugimoto, N., Kitabayashi, I., Osano, S., Tatsumi, Y., Yugawa, T., Narisawa-Saito, M., Matsukage, A., Kiyono, T. and Fujita, M. (2008) Identification of novel human Cdt1-binding proteins by a proteomics approach: Proteolytic regulation by APC/CCdh1. Mol. Biol. Cell 19, 1007-1021.
Tatsumi, Y., Sugimoto, N., Yugawa, T., Narisawa-Saito, M., Kiyono, T., and Fujita, M. (2006) Deregulation of Cdt1 induces chromosomal damage without rereplication and leads to chromosomal instability. J. Cell Sci. 119, 3128-3140.
Nishitani, H., Sugimoto, N., Roukos, V., Nakanishi, Y., Saijo, M., Obuse, C., Tsurimoto, T., Nakayama, K-I., Nakayama, K., Fujita, M., Lygerous, Z., and Nishimoto, T. (2006) Two E3 ubiquitin ligases, SCF-Skp2 and DDB1-Cul4, target human Cdt1 for proteolysis. EMBO J. 25, 1126-1136.
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本発明者らは、今般、(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-ヨードベンゾヒドラジド(2-ヨード体)が、Cdt1-geminin結合の阻害活性は示さないが、数μMでヒトがん細胞の増殖を抑制しつつ(G2/M期停止と細胞死)、正常線維芽細胞に対する増殖抑制効果は低いことを見出した。すなわち、当該化合物が、がん細胞に対して選択的に毒性を発揮することを見出した。さらに、数十種の類似化合物を合成して活性を調べた結果、(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-メチルベンゾヒドラジドは殺細胞性が高いが選択性は低く、また(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)- 2,4-ジヒドロキシベンゾヒドラジドはある種のがん細胞株に対する毒性が低下することを見出した。さらに興味深いことに、2-ヨード体の構造異性体である(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-4-ヨードベンゾヒドラジド(4-ヨード体)は、Cdt1-geminin結合阻害活性を持ち、抗がん活性も示した。しかし、がん細胞選択性は低下していた。
本発明は、このような知見を基になされた。本発明は、以下を提供する。
[1]下記式(I)
[1]下記式(I)
(式中、R1〜3は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、置換されていてもよいC1〜6アルキル基、置換されていてもよいC1〜6アシル基、又は置換されていてもよいC1〜6アルコキシ基である。)で表わされる化合物、又は医薬として許容されるその塩。
[2]式中、R1及びR2が、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、又は置換されていてもよいC1〜6アルキル基であり、R3が、水素原子である、[1]に記載の式(I)で表わされる化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
[3](E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-ヨードベンゾヒドラジド;(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-4-ヨードベンゾヒドラジド;(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-3-ヨードベンゾヒドラジド;(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-メチルベンゾヒドラジド;(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-フルオロベンゾヒドラジド;(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-クロロベンゾヒドラジド;若しくは(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-ブロモベンゾヒドラジド;である、[2]に記載の式(I)の化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
[4][1]〜[3]のいずれか一に記載された化合物又はその塩、並びに薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
[5]がんの処置のための、[4]に記載の医薬組成物。
[6]抗がん剤として有用な医薬候補化合物の検索における、[1]〜[3]のいずれか一に記載された化合物の、抗がん剤シードとしての使用。
[7]探索が、1又は2以上の対照細胞よりも1又は2以上の標的細胞に対して細胞毒性がより高い候補化合物を同定することを含む、[6]に記載の方法。
[8]探索が、抑制蛋白質GemininとDNA複製開始因子Cdt1との結合阻害活性の有無又は程度を評価することを含む、[6]又は[7]に記載の方法。
[2]式中、R1及びR2が、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、又は置換されていてもよいC1〜6アルキル基であり、R3が、水素原子である、[1]に記載の式(I)で表わされる化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
[3](E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-ヨードベンゾヒドラジド;(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-4-ヨードベンゾヒドラジド;(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-3-ヨードベンゾヒドラジド;(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-メチルベンゾヒドラジド;(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-フルオロベンゾヒドラジド;(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-クロロベンゾヒドラジド;若しくは(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-ブロモベンゾヒドラジド;である、[2]に記載の式(I)の化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
[4][1]〜[3]のいずれか一に記載された化合物又はその塩、並びに薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
[5]がんの処置のための、[4]に記載の医薬組成物。
[6]抗がん剤として有用な医薬候補化合物の検索における、[1]〜[3]のいずれか一に記載された化合物の、抗がん剤シードとしての使用。
[7]探索が、1又は2以上の対照細胞よりも1又は2以上の標的細胞に対して細胞毒性がより高い候補化合物を同定することを含む、[6]に記載の方法。
[8]探索が、抑制蛋白質GemininとDNA複製開始因子Cdt1との結合阻害活性の有無又は程度を評価することを含む、[6]又は[7]に記載の方法。
本発明者らの検討によると、下記の式(I)で表わされる化合物又は薬学的に許容されるその塩は、Cdt1-geminin結合の阻害作用、数μMでのがん細胞の増殖抑制作用、特定のがん細胞に対する増殖抑制作用、又は正常細胞に対する比較的低い増殖抑制作用等、いずれかの作用を有し、抗がん剤又は抗がん剤シードとして有用である。
式中、R1〜3は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、置換されていてもよいC1〜6アルキル基、置換されていてもよいC1〜6アシル基、又は置換されていてもよいC1〜6アルコキシ基である。
本発明において、「アルキル」、「アシル」又は「アルコキシ」というときは、特に示した場合を除き、その炭素鎖は直鎖状であっても分岐していてもよく、「置換されていてもよい」というときは、特に示した場合を除き、置換は、ハロ、ニトロ、シアノ、OH、OR7、5〜10員ヘテロサイクリル、C6〜10アリール、−S(O)nR7、及び−SO2NR7R8(nは0〜2の整数、R7、及びR8は、それぞれ独立にH又はC1〜6アルキル)からなる群から独立的に選択される1〜3個の置換基による置換を意味する。
C1〜6アルキルは、炭素数が1〜6であるアルキルをいい、好ましい例は、メチル、エチル又はプロピルである。C1〜6アシルは、炭素数が1〜6であるアシルをいい、好ましい例は、ホルミル、アセチル又はプロピオニルである。C1〜6アルコキシは、炭素数が1〜6であるアルコキシをいい、好ましい例は、メトキシ又はエトキシである。
好ましい一態様においては、R1及びR2が、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、又は置換されていてもよいC1〜6アルキル基であり、R3が、水素原子である。 さらに好ましい一態様においては、R1が、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、又は置換されていてもよいC1〜6アルキル基であり、R2及びR3が、水素原子であるか;又はR1及びR2が、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、又は置換されていてもよいC1〜6アルキル基であり、R3が、水素原子である。
さらに好ましい一態様においては、R1が、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、又は置換されていてもよいC1〜6アルキル基であり、R2及びR3が、水素原子である。
いずれの場合においても、「置換されていてもよいC1〜6アルキル基」が選択される場合は、メチル基又はエチル基であることが好ましく、メチルであることがより好ましい。
式(I)に包含される化合物の具体例は、(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-ヨードベンゾヒドラジド;
(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-4-ヨードベンゾヒドラジド ;
(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-3-ヨードベンゾヒドラジド;
(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-メチルベンゾヒドラジド;
(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-フルオロベンゾヒドラジド;
(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-クロロベンゾヒドラジド;若しくは
(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-ブロモベンゾヒドラジドである。
(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-4-ヨードベンゾヒドラジド ;
(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-3-ヨードベンゾヒドラジド;
(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-メチルベンゾヒドラジド;
(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-フルオロベンゾヒドラジド;
(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-クロロベンゾヒドラジド;若しくは
(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-ブロモベンゾヒドラジドである。
本発明の式(I)の化合物の製造方法は、特に限定されない。当業者には明らかであるように、市販の化合物を出発物質として、比較的容易に合成することができる。化合物の入手先は複数存在する。合成のための具体的な条件は、当業者であれば適宜設計することができる。必要に応じ、本明細書の実施例や、前掲特許文献1や前掲非特許文献7を参考にすることができる。
本発明の式(I)の化合物のうち、特にN'-[(9-ethyl-9H-carbazol-3-yl)methylene]-2-iodobenzohydrazide(2-iodo体)は、正常細胞の細胞周期の進行に影響を与えず、がん細胞選択的に細胞増殖を阻害し、細胞毒性を発揮することができる。HeLa、H1299は、G2/M期で停止させ、T98G細胞に対しては主にS期で停止させうる。
本発明の式(I)の化合物においては、benzohydrazideのベンゼン環上の置換基を様々とすることにより、抗がん活性、がん細胞選択性、及びCdt1-geminin結合阻害性を、大きく変化させることができる。このような本発明者らの知見は、極めて新規的・独創的である。
例えば、2-iodo体のiodoをmethylとし、2- methyl体とすることにより、がん細胞株に対する抑制効果を高めることができるが、このとき正常細胞に対しても高い毒性を示す場合がある。2- methyl体も2-iodo体と同様に主にM期の進行阻害を行っているものと予想される。2-iodo体のiodoはまた、各種ハロゲン元素で置換可能であり、特にbromoのような原子量の大きなもので置換した場合は、ヨウ素と同様の薬効を示しうる。また、本発明の式(I)の化合物においては、ベンゼン環上の置換基の位置を変えることによっても、活性を変化させることができる。N'-[(9-ethyl-9H-carbazol-3-yl)methylene]-3-iodobenzohydrazide(3-iodo体)は、抗がん活性が比較的低く、一方で、N'-[(9-ethyl-9H-carbazol-3-yl)methylene]-4-iodobenzohydrazide(4-iodo体)は2-iodo体と同等、あるいはより高い抗がん活性を示すが、正常線維芽細胞に対しても高い毒性を示しうる。4-iodo体はまた、Cdt1-gemininの試験管内での結合を阻害しうる。この側面からは、4-iodo体は、新規Cdt1-geminin結合阻害性抗がん剤シードとして、特に重要な化合物であると考えられる。
本発明の式(I)の化合物は、抗がん活性を発揮することができ、また側鎖の変化により、有効性、選択性、薬物動態学上の指標などを改良することができる。そのため、それ自体を、抗がん剤又はがんの処置のための医薬組成物の有効成分として用いることができるほか、がんを処置するための医薬探索の出発点として、すなわち、抗がん剤シードとして、若しくは抗がん剤候補化合物を探索する際のリード化合物として用いることができる。本発明の式(I)の化合物のいくつかは、そのままでは意図した活性が充分ではないか、及び/又は望ましくない活性を有するかもしれないが、医薬候補化合物の探索にはきわめて有用でありうる。
本発明の式(I)の化合物の有効性又は薬理活性、又は本発明の式(I)の化合物をシードとして、又はリード化合物として設計した医薬候補化合物の有用性又は薬理活性は、例えば、以下の項目について試験することにより評価できる。
(1)GemininとCdt1との結合阻害活性の有無又は程度
(2)試験細胞毒性又は増殖抑制の有無又は程度(例えば、MTT試薬又はMTS試薬を用いることにより、評価できる。)
(3)正常細胞への影響の有無又は程度(具体的には、正常細胞に対する細胞毒性や増殖抑制の有無又は程度を評価することにより、実施できる。)
(4)細胞周期への影響の有無又は程度(例えば、FACSを用いることにより実施できる)
(5)Eg5(KSP:キネシンスピンドルタンパク質)阻害の有無又は程度(前掲特許文献1参照。)
(6)がん細胞を移植したヌードマウスへの薬剤投与による有効性及び/又は毒性の程度
抗がん剤としての有用性の評価のため項目やそれぞれの評価法は、当業者にはよく知られており、当業者であれば、適宜設計し、実施でき、またいくつかの評価法については、本願明細書の実施例の項を参照することができる。なお、GemininとCdt1との結合阻害活性の有無又は程度については、前掲非特許文献文献2、及び特開2008-096397を参考に、次のような手順で評価することができる。
(1)GemininとCdt1との結合阻害活性の有無又は程度
(2)試験細胞毒性又は増殖抑制の有無又は程度(例えば、MTT試薬又はMTS試薬を用いることにより、評価できる。)
(3)正常細胞への影響の有無又は程度(具体的には、正常細胞に対する細胞毒性や増殖抑制の有無又は程度を評価することにより、実施できる。)
(4)細胞周期への影響の有無又は程度(例えば、FACSを用いることにより実施できる)
(5)Eg5(KSP:キネシンスピンドルタンパク質)阻害の有無又は程度(前掲特許文献1参照。)
(6)がん細胞を移植したヌードマウスへの薬剤投与による有効性及び/又は毒性の程度
抗がん剤としての有用性の評価のため項目やそれぞれの評価法は、当業者にはよく知られており、当業者であれば、適宜設計し、実施でき、またいくつかの評価法については、本願明細書の実施例の項を参照することができる。なお、GemininとCdt1との結合阻害活性の有無又は程度については、前掲非特許文献文献2、及び特開2008-096397を参考に、次のような手順で評価することができる。
市販の96穴等のプラスチックプレートに、緩衝液で希釈したGST-Cdt1(グルタチオンS−トランスフェラーゼ−Cdt1融合タンパク質。当業者にはよく知られた定法により調製できる。)をプレートに固定し、必要に応じプレート表面をブロッキング処理する。緩衝液で希釈したHis-geminin(Hisタグ化geminin)と、DMSOに溶解させた試験化合物(候補化合物)を混合した後、常温でしばらく静置する(プレインキュベート)。プレインキュベート後の溶液を、先のプラスチックプレート中の系へ加え、常温で約1時間静置する。これにより、試験化合物に阻害活性がなければ、Cdt1とGemininとが結合した複合体が形成される。その後、余剰のHis-gemininを除き、必要に応じプレートを適切に洗浄する。続いて、抗Geminin抗体を系に添加し、常温で約1時間静置することで、Gemininと抗Geminin抗体とを、抗原抗体反応により結合させる。その後、余剰の抗geminin抗体を除き、必要に応じプレートを適切に洗浄する。次いで、ペルオキシダーゼ(HRP)等で標識化された二次抗体を系へ添加し、常温で約1時間静置することで、抗Geminin抗体と二次抗体とを結合させる。余剰の二次抗体を除き、必要に応じ洗浄した後、標識部分を利用して、GemininとCdt1との複合体形成の有無及び試験化合物による阻害の程度を評価する。
本発明の式(I)の化合物、又は本発明の式(I)の化合物をシードとして、又はリード化合物として設計した医薬候補化合物は、正常細胞に対する細胞毒性や増殖抑制が、ないか、又はあったとしてもがん細胞に対する場合と比較して少ない場合がある。これはがん細胞を選択的に処置する上で、好ましい性質である。
本発明の式(I)の化合物、又は本発明の式(I)の化合物をシードとして、又はリード化合物として設計した医薬候補化合物は、1又は2以上の対照細胞よりも1又は2以上の標的細胞に対してより有効である場合がある。このような化合物は、各種がんの差異やメカニズムを研究する上で利用することができる。
なお、前掲非特許文献7及び特許文献1に記載の多環性含窒素複素環化合物については、分裂期キネシンEg5の阻害活性を有し、HeLa細胞の増殖をM期で阻害すると報告されているが、正常細胞への効果は確認されておらず、またがん選択性があるか否かは不明である。
本発明で「薬学的に許容できる塩」というときは、特に記載した場合を除き、医薬組成物の成分として許容できるものを指し、これには、酸により形成される塩類、例えば硫酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、ヨウ化水素酸、スルファミン酸、有機スルホン酸、クエン酸、カルボン酸(たとえば酢酸、安息香酸など)、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、ケイ皮酸、アルコルビン及び関連の酸により形成される塩類;塩基付加塩;塩基により形成される塩類、たとえばナトリウム塩、カリウム塩及びC1〜4アルキルアンモニウム塩が含まれる。
本発明で「組成物」というときは、特に記載した場合を除き、少なくとも2成分を含むものをいう(なお、本明細書では「組成物」を例に説明することがあるが、その説明は、特別な場合を除き、「(抗がん)剤」にも当てはまる。)。
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される種々の添加剤を含んでもよい。このような添加剤の例としては、賦形剤、結合剤、乳化剤、緊張化剤(等張化剤)、緩衝剤、溶解補助剤、防腐剤、安定化剤、抗酸化剤、着色剤、凝固剤、コーティング剤等が挙げられる
本発明の医薬組成物の投与経路は特に限定されない。経口投与することもできるし、非経口的に投与とすることもできる。それぞれの投与経路に適した形態は、当業者であれば適宜設計しうる。
本発明の医薬組成物の投与経路は特に限定されない。経口投与することもできるし、非経口的に投与とすることもできる。それぞれの投与経路に適した形態は、当業者であれば適宜設計しうる。
本発明の剤又は組成物は、1日あたり、有効成分として0.001mg〜100,000mg、好ましくは0.01mg〜10,000mg、より好ましくは、0.1mg〜1000mg投与するために用いうる。投与は、単回でおこなってもよく、複数回(例えば2〜6回)に分けて行ってもよい。
本発明の医薬組成物は、がんや細胞の増殖又はCdt1-Geminin結合に関連した疾患又は状態の処置のために用いうる。なお、本発明において、疾患又は状態について「処置」というときは、特に記載した場合を除き、その疾患又は状態について、治療すること、予防すること、進行を停止することが含まれ、治療には、症状を抑える対処的治療と、根本的な治療とが含まれる。
本発明で「がん」というときは、特に記載した場合を除き、発生母地となった細胞の種類にも、細胞の身体的部位にも限定はなく、あらゆるがんと肉腫とを包含する。本発明でがんというときは、皮膚癌、子宮体がん、子宮頚がん、卵巣がん、乳がん、食道癌、胃癌、虫垂癌、大腸癌、肝癌、肝細胞癌、胆嚢癌、胆管癌、膵臓がん(膵がん)、副腎癌、消化管間質腫瘍、中皮腫、部癌、喉頭癌、口腔癌、口腔底癌、歯肉癌、舌癌、頬粘膜癌、唾液腺癌、副鼻腔癌、上顎洞癌、前頭洞癌、篩骨洞癌、蝶型骨洞癌、甲状腺癌、腎臓がん、肺癌、骨肉腫、前立腺癌、精巣腫瘍(睾丸がん)、腎細胞癌 - 腎臓、膀胱癌、横紋筋肉腫、肛門癌、造血細胞悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫が含まれる。
[化合物の合成と構造の確認]
化合物の合成に必要なヒドラゾンは、市販の化合物をそのまま利用するか、又は市販の対応するカルボン酸よりエチルエステル化し、加ヒドラジン分解を経て合成した。アルデヒドは、市販の化合物をそのまま利用した。
化合物の合成に必要なヒドラゾンは、市販の化合物をそのまま利用するか、又は市販の対応するカルボン酸よりエチルエステル化し、加ヒドラジン分解を経て合成した。アルデヒドは、市販の化合物をそのまま利用した。
合成1:(E)-N'-((9-Ethyl-9H-carbazol-3-yl)methylene)-2-iodobenzohydrazide (NP-10)
ナスフラスコに 2-iodobenzohydrazide (665.12 mg, 2.5 mmol)、EtOH (0.8 M)、N-ethylcarbazole-3-carboxaldehyde (837.64 mg, 1.5 当量)を加え、85 ℃の還流条件において一日撹拌した。反応後、得られた固体を吸引ろ過し、EtOH にて洗浄し、真空乾燥した。白い固体を得た。収量 1.04 g(収率 89%)。他の誘導体についても同様の方法にて合成した。なお、本明細書では、この化合物を「Y」と称することがある。
ナスフラスコに 2-iodobenzohydrazide (665.12 mg, 2.5 mmol)、EtOH (0.8 M)、N-ethylcarbazole-3-carboxaldehyde (837.64 mg, 1.5 当量)を加え、85 ℃の還流条件において一日撹拌した。反応後、得られた固体を吸引ろ過し、EtOH にて洗浄し、真空乾燥した。白い固体を得た。収量 1.04 g(収率 89%)。他の誘導体についても同様の方法にて合成した。なお、本明細書では、この化合物を「Y」と称することがある。
合成2:(E)-N'-((9-Ethyl-9H-carbazol-3-yl)methylene)-4-iodobenzohydrazide (NP-14)
合成3:(E)-N'-((9-Ethyl-9H-carbazol-3-yl)methylene)-3-iodobenzohydrazide (NP-13)
合成4:(E)-N'-((9-Ethyl-9H-carbazol-3-yl)methylene)-2-methylbenzohydrazide (HND-007)
合成5:(E)-N'-((9-Ethyl-9H-carbazol-3-yl)methylene)-2-fluorobenzohydrazide (HMI083-1)
合成6:(E)-N'-((9-Ethyl-9H-carbazol-3-yl)methylene)-2-chlorobenzohydrazide (HMI083-2)
合成7:(E)-N'-((9-Ethyl-9H-carbazol-3-yl)methylene)-2-bromobenzohydrazide (HMI083-3)
[化合物の活性の確認]
用いた培養細胞株と培養方法
HeLa細胞(子宮頸癌由株細胞株)、H1299細胞(肺がん由来細胞株)、T98G細胞(グリオブラストーマ由来細胞株)、HFF2/T細胞(ヒトテロメラーゼの導入により不死化した正常ヒト線維芽細胞株)を用いた。細胞は、特に記載した場合を除き、37℃、5% CO2存在下で、8%FCS含有DMEM(Wako)を用いて培養した。
用いた培養細胞株と培養方法
HeLa細胞(子宮頸癌由株細胞株)、H1299細胞(肺がん由来細胞株)、T98G細胞(グリオブラストーマ由来細胞株)、HFF2/T細胞(ヒトテロメラーゼの導入により不死化した正常ヒト線維芽細胞株)を用いた。細胞は、特に記載した場合を除き、37℃、5% CO2存在下で、8%FCS含有DMEM(Wako)を用いて培養した。
MTSを用いた試験化合物による増殖抑制アッセイ
Subconfluentな細胞(10cm dish)をトリプシンを用いて定法により集め、10mlのDMEMに懸濁した。細胞数を計測し、5×104 cells/mlになるようDMEMで希釈した。充分に懸濁した後、96-well plateに100μl/wellとなるように分注し、インキュベートした。24時間後にDMSOで希釈した試験化合物を加えた(最終濃度0.3、1、3、10、又は30μM)。コントロールには同量のDMSOを加えた。その後48時間インキュベートし、MTS試薬(Promega)を20μl/wellで加え、1〜1.5時間インキュベートした。プレートリーダーを用いて590nmで吸光度を測定した。コントロールの測定値を100%として、試験化合物の各濃度における抑制率を算出し、それらから50%増殖抑制濃度を算出した。
Subconfluentな細胞(10cm dish)をトリプシンを用いて定法により集め、10mlのDMEMに懸濁した。細胞数を計測し、5×104 cells/mlになるようDMEMで希釈した。充分に懸濁した後、96-well plateに100μl/wellとなるように分注し、インキュベートした。24時間後にDMSOで希釈した試験化合物を加えた(最終濃度0.3、1、3、10、又は30μM)。コントロールには同量のDMSOを加えた。その後48時間インキュベートし、MTS試薬(Promega)を20μl/wellで加え、1〜1.5時間インキュベートした。プレートリーダーを用いて590nmで吸光度を測定した。コントロールの測定値を100%として、試験化合物の各濃度における抑制率を算出し、それらから50%増殖抑制濃度を算出した。
FACSによる細胞周期の解析と試験化合物の影響の検討
対数増殖期の細胞を、10μMの試験化合物又は同容量のDMSOで24時間処理した後の細胞周期分布を調べた。核DNAの染色は、ベクトン社のCycleTEST PLUSを用いて行い、解析はベクトン社FACS Caliburを用いて行った。
対数増殖期の細胞を、10μMの試験化合物又は同容量のDMSOで24時間処理した後の細胞周期分布を調べた。核DNAの染色は、ベクトン社のCycleTEST PLUSを用いて行い、解析はベクトン社FACS Caliburを用いて行った。
試験管内でのCdt 1-geminin結合の同定と、試験化合物による阻害アッセイ
ELISA変法による試験管内でのCdt1-geminin結合の同定と試験化合物によるその抑制は、すでに報告した方法にしたがって行った(文献2、及び特開2008-096397参照)。反応系にDMSOで希釈した各種濃度の試験化合物を加え、試験化合物を含まないDMSOを添加したコントロールの測定値を100%として、試験化合物の各濃度における結合抑制率を算出し、それらから50%結合抑制濃度を算出した。
ELISA変法による試験管内でのCdt1-geminin結合の同定と試験化合物によるその抑制は、すでに報告した方法にしたがって行った(文献2、及び特開2008-096397参照)。反応系にDMSOで希釈した各種濃度の試験化合物を加え、試験化合物を含まないDMSOを添加したコントロールの測定値を100%として、試験化合物の各濃度における結合抑制率を算出し、それらから50%結合抑制濃度を算出した。
結果
結果を図1にまとめた。
結果を図1にまとめた。
化合物N'-[(9-ethyl-9H-carbazol-3-yl)methylene]-2-iodobenzohydrazide(NP-10)は、HeLa、H1299、T98Gの増殖を数μMで50%抑制し、10μMの処理によりHeLa、H1299をG2/M期で停止させた。T98G細胞に対しては主にS期で停止させた。一方、HFF2/Tの50%増殖阻害にはHeLaの場合の約10倍の濃度が必要であり、10μM処理では細胞周期進行に影響を与えなかった。すなわち、NP-10はがん細胞選択的に細胞増殖を阻害し、細胞毒性を発揮した。このNP-10の効果には、当該化合部物の全体構造が必要だと考えられ、例えばN-ethylcarbazole-3-carboxaldehyde(Y-R1)又は2-iodobenzohydrazide(Y-R2)のみでは、そのような効果は認められなかった。
一方興味深いことに、benzohydrazideの側鎖を種々の構造で置換することにより、化合物の各種細胞に対する影響やCdt1-geminin結合阻害活性が、種々に変化することが明らかとなった。例えば、ヨウ素の代わりにメチル基をもつHND-007は、3種のがん細胞株に対する抑制効果は高くなる一方、正常線維芽細胞に対しても高い毒性を示すようになった。FACSの結果から、HND-007もNP-10と同様に主にM期の進行阻害を行っているものと予想される。また、ヨウ素の結合部位を変えることでもNP-10の活性は大きな影響を受ける。N'-[(9-ethyl-9H-carbazol-3-yl)methylene]-3-iodobenzohydrazide(NP-13)は、抗がん活性を失ってしまう。一方で、N'-[(9-ethyl-9H-carbazol-3-yl)methylene]-4-iodobenzohydrazide(NP-14)はNP-10と同等あるいはより高い抗がん活性を示すが、正常線維芽細胞に対しても高い毒性を示すようになった。さらに興味深いことに、NP-14はCdt1-gemininの試験管内での結合を、約40μMで50%阻害した。今後はNP-14をベースにした新規Cdt1-geminin結合阻害性抗がん剤シードの開発も推進して行く予定である。また、NP-10のヨウ素を各種ハロゲン元素で置換したところ、臭素のような原子量の大きなもので置換した場合は、ヨウ素と同様の薬効を示すことがわかった。
いずれにせよ、NP-10を含む化合物の抗がん活性は興味深く、培養細胞系でがん選択性を示すものも示さないものも実際の抗がん剤開発の良いシードとなる可能性があり、ヌードマウスxenograft系での抗がん活性を含め、さらなる試験を行っていく。
Claims (8)
- 式中、R1及びR2が、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、又は置換されていてもよいC1〜6アルキル基であり、R3が、水素原子である、請求項1に記載の式(I)で表わされる化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
- (E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-ヨードベンゾヒドラジド;
(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-4-ヨードベンゾヒドラジド ;
(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-3-ヨードベンゾヒドラジド;
(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-メチルベンゾヒドラジド;
(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-フルオロベンゾヒドラジド;
(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-クロロベンゾヒドラジド;若しくは
(E)-N'-((9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン)-2-ブロモベンゾヒドラジド ;である、請求項1に記載の式(I)の化合物、又は薬学的に許容されるその塩。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載された化合物又はその塩、並びに薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
- がんの処置のための、請求項4に記載の医薬組成物。
- 抗がん剤として有用な医薬候補化合物の検索における、請求項1〜3のいずれか1項に記載された化合物の、抗がん剤シードとしての使用。
- 探索が、1又は2以上の対照細胞よりも1又は2以上の標的細胞に対して細胞毒性がより高い候補化合物を同定することを含む、請求項6に記載の方法。
- 探索が、抑制蛋白質GemininとDNA複製開始因子Cdt1との結合阻害活性の有無又は程度を評価することを含む、請求項6又は7に記載の方法。
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